JP2002151632A - 樹脂封止型半導体装置の製造方法 - Google Patents

樹脂封止型半導体装置の製造方法

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JP2002151632A JP2000346566A JP2000346566A JP2002151632A JP 2002151632 A JP2002151632 A JP 2002151632A JP 2000346566 A JP2000346566 A JP 2000346566A JP 2000346566 A JP2000346566 A JP 2000346566A JP 2002151632 A JP2002151632 A JP 2002151632A
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sealing resin
semiconductor device
pressure
viscosity
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Shinji Takei
信二 武井
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Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 封止樹脂の未充填部分が生じ難く、外観不良
や特性不良を発生する虞が少ない、製造歩留が向上する
樹脂封止型半導体装置の製造方法を提供する。 【解決手段】 リードフレーム3上に半導体素子2を搭
載し、封止樹脂31により成形金型を用いてパッケージ
32を成形し半導体素子2を封止するのに際し、封止樹
脂31に、高化式フロー粘度計の測定荷重を10kg・
f〜60kg・fの間で3点以上について測定した時の
最小粘度Y[Pa・S]と測定荷重X[kg・f]の関
係を最小二乗法によって直線近似した場合の近似式が、 Y=aX+b 但し、−0.1≦a≦0.1 である構造粘性が略ニュートン流体の材料を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、樹脂封止型半導体
装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来技術を図14乃至図18を参照して
説明する。図14は半導体装置の断面図であり、図15
は半導体素子を搭載したリードフレームを成形金型にセ
ットした状態を示す断面図であり、図16は成形金型に
封止樹脂を射出し加圧している状態を示す断面図であ
り、図17は成形金型内における封止樹脂の流動状態を
説明するための断面図であり、図18は封止樹脂の未充
填状態を示す図で、図18(a)は半導体装置の裏面
図、図18(b)は要部を拡大して示す断面図である。
【0003】周知の通り、発熱量の大きいパワーIC、
パワートランジスタ等の電力用の半導体装置では、半導
体素子をリードフレーム上に固定し、樹脂により封止す
る樹脂封止パッケージの形態を取る場合に、発生熱の処
理、すなわち放熱対策が必要であり、半導体装置の小型
化を進めようとする場合には、よりその対策が重要なも
のとなっている。そして、その放熱対策の1つとして、
樹脂封止パッケージの肉厚を薄くして熱抵抗を小さく
し、半導体素子あるいは熱拡散部材を兼ねるリードフレ
ームからの熱放散を容易にし、これによって放熱性を向
上させることが必要となる。
【0004】例えば、図14に示すようなTO−3P
(H)タイプ(株式会社 東芝製)の樹脂封止パッケー
ジを有する電力用の半導体装置により説明すると、半導
体装置1は、半導体素子2をリードフレーム3のダイパ
ッド部4に、良熱伝導性の導電性接着剤により固定され
て搭載され、さらに半導体素子2の電極と、これに対応
するリードフレーム3のインナーリード部5の端部とを
ボンディングワイヤ6によって電気的に接続するように
して構成されている。
【0005】そして、このような半導体装置1では、図
15に示すようにリードフレーム3上に半導体素子2を
固定するように構成されたものを、上型7と下型8とで
構成される成形金型9を型締めして形成されるキャビテ
ィ9a内にセットし、所定成形条件の下で、例えばシリ
カ等のフィラを70wt%〜90wt%の範囲で含むエ
ポキシ樹脂の封止樹脂を用いてパッケージ10の成形が
行われて半導体装置1は形成される。
【0006】形成された半導体装置1は、外部の放熱部
材等に下面を当接するようにして実装が行われるため、
ダイパッド部4裏面側のパッケージ10の肉厚が、0.
3mm〜0.6mmの薄いものとなっている。なお、ダ
イパッド部4上面側ではパッケージ10の肉厚が約2m
m程度と厚いものとなっている。また、11はパッケー
ジ10から延出するリードフレーム3のアウターリード
部であり、12は半導体装置1を固定するためにリード
フレーム3の取付孔13に対応して設けられた貫通孔で
ある。
【0007】また、このような半導体装置1のパッケー
ジ10を形成する樹脂封止の製造工程は、次のようなも
のとなる。先ず第1の工程で、図15に示すようにリー
ドフレーム3のダイパッド部4に半導体素子2を搭載し
たものを成形金型9のキャビティ9a内にセットする。
【0008】そして、第2の工程で、図16に示すよう
に図示しないがトランスファ機構によってプランジャを
作動させ、ポットから熔融状態の封止樹脂14を成形金
型9のキャビティ9a内にランナ15、ゲート16を介
して所定圧力で射出する。これによって熔融状態の封止
樹脂14は、キャビティ9a内を流れ、キャビティ9a
を満たした状態で所定の圧力状態を所定時間維持する。
【0009】その後、第3の工程で、トランスファ機構
によってプランジャを後退させ、また成形金型9を型開
きすると共に、図示しないエジェクターピンによりパッ
ケージ10の形成により、図14に示す樹脂封止がなさ
れた半導体装置1を離型する。
【0010】こうした成形金型9へのセットから離型ま
での一連の成形過程を、リードフレーム3に半導体素子
2を搭載したものを新しくして繰り返すことにより、多
数の半導体装置1が連続して製造される。
【0011】しかしながら上記の従来技術においては、
熔融状態の封止樹脂14を成形金型9のキャビティ9a
内に射出した際、封止樹脂14はキャビティ9a内を略
上下に仕切るリードフレーム3によって、その上面側と
下面側に分岐し別々に流れる。この時、リードフレーム
3の上面側と下面側とでは、キャビティ9a内壁面との
間隙寸法の差、例えばリードフレーム3の下面側の間隙
寸法が0.3mm〜0.6mmであるのに対し、上面側
の間隙寸法が約2mmと大きな差があり、流路体積に大
きな違いが有るために、下面側に先行して上面側に封止
樹脂14は流れる。
【0012】さらに、リードフレーム3の上面側を流れ
た封止樹脂14は、図17に実線矢印で示すようにキャ
ビティ9aのゲート16とは逆側のエアベント17側の
内壁面に衝突し、方向を変えてリードフレーム3の下面
側に流れ、ゲート16から下面側を流れた封止樹脂14
と合流する。そして、この封止樹脂14の合流部分で
は、射出後に所定の圧力状態を所定時間維持したとして
も、例えば図18(a)に裏面図、図18(b)に拡大
して模式的に要部の断面図を示すように、パッケージ1
0に封止樹脂14の未充填部分Zが生じ、外観不良や特
性不良を発生する虞があった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】上記のような状況に鑑
みて本発明はなされたもので、その目的とするところは
封止樹脂が円滑に流れることによって未充填部分が生じ
難くなり、外観不良や特性不良を発生する虞が少なく、
製造歩留が向上した樹脂封止型半導体装置の製造方法を
提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の樹脂封止型半導
体装置の製造方法は、フレーム上に半導体素子を搭載
し、封止樹脂材料により成形金型を用いてパッケージを
成形し半導体素子を封止するのに際し、封止樹脂材料
に、高化式フロー粘度計の測定荷重を10kg・f〜6
0kg・fの間で3点以上について測定した時の最小粘
度Y[Pa・S]と測定荷重X[kg・f]の関係を最
小二乗法によって直線近似した場合の近似式が、 Y=aX+b 但し、−0.1≦a≦0.1 である構造粘性が略ニュートン流体の材料を用いたこと
を特徴とする方法であり、さらに、成形金型で熔融させ
る際の封止樹脂材料の形態が顆粒状となっていることを
特徴とする方法であり、また、フレーム上に半導体素子
を搭載し、フィラ含有封止樹脂材料により成形金型を用
いてパッケージを成形し半導体素子を封止する樹脂封止
型半導体装置の製造方法において、封止樹脂材料に含有
されたフィラの比表面積が、0.70m /g〜0.7
6m/gとなっていることを特徴とする方法である。
【0015】
【発明の実施の形態】以下本発明の一実施形態を、図1
乃至図13参照して説明する。図1は第1の工程の断面
図であり、図2は第2の工程の断面図であり、図3は第
3の工程の断面図であり、図4は第4の工程を示す図
で、図4(a)は半導体装置の斜視図、図4(b)は半
導体装置の断面図である。
【0016】また、図5は粉粒体における流動距離と樹
脂内圧力の関係を説明するための図であり、図6は粉粒
体における流動距離に対する樹脂内圧力の関係を示す図
であり、図7は樹脂内圧力を測定するスパイラルフロー
金型の正面図であり、図8はスパイラルフロー金型を用
いて測定した樹脂内圧力の経時変化を示す図であり、図
9はフィラ入り樹脂における流動距離に対する樹脂内圧
力の関係を示す図である。
【0017】さらに、図10は高化式フロー粘度測定に
おける粘度の経時変化を示す図であり、図11は高化式
フロー粘度測定における粘度の経時変化の最小粘度と測
定荷重の関係を示す図であり、図12はフィラ入り樹脂
におけるフィラ比表面積と構造粘性の関係を示す図で、
図12(a)はフィラ比表面積とチキソ指数の関係を示
す図、図12(b)はフィラ比表面積とチキソ指数の測
定結果を示す図であり、図13は構造粘性の異なるフィ
ラ入り樹脂における流動距離に対する樹脂内圧力の関係
を示す図である。なお、従来と同一部分には同一符号を
付して説明を省略し、従来と異なる本発明の構成につい
て説明する。
【0018】先ず、実施形態の説明に先立って、発明者
行った未充填部分発生のメカニズムの検証、これによっ
て得られた知見について説明する。
【0019】従来技術においても説明したが、半導体装
置1における半導体素子2の樹脂封止は、油圧プレスも
しくはサーボモータ等を駆動源としてトランスファ機構
により発生した成形圧力Pを、ポット内で加熱熔融し
た封止樹脂14にプランジャを介して伝え、封止樹脂1
4を成形金型9内に流動させ、成形を行うことでなされ
る。この時、リードフレーム3のダイパッド部4裏面側
のような間隙寸法の小さい部位では流動抵抗が大きく、
樹脂内圧力Pは小さくなる。
【0020】すなわち、一般にモールド樹脂のようなフ
ィラを含む粉粒体の場合、樹脂内圧力Pは壁面からの
摩擦によって流動距離hが長くなるにつれて低下する。
これは図5で示すように、流動部分の直径がDの円筒内
に、外部圧力(上記のプランジャによる成形圧力)P
を加えた場合、流動距離hにおける樹脂内圧力Pは、
次のように示される。
【0021】含有量100%フィラの完全な粉粒体で
は、外部圧力Pの位置からの流動距離hにおける力の
壁面での釣合式は、 D・P+D・λdh=D(P+dP)+4
D・k・P・μdh となり、これを積分して、初期条件のh=0のときにP
=Pを代入すると、 P=[1−exp(−4μ・k・h/D)]D・λ/
4μ・k λ:粉粒体の充填密度 k:壁面からの垂直応力を水平方向に変換する比例定数 μ:摩擦係数 となる。そして、この式における樹脂内圧力Pと流動
距離hの関係を図示すると、図6に示す通りとなり、流
動距離hが無限大では、樹脂内圧力Pは(D・λ/4
μ・k)に収束する。この結果から、外部圧力Pの値
に関係なく、(D・λ/4μ・k)以上の圧力はモール
ド樹脂に伝わらないことになる。
【0022】しかし、実際のモールド樹脂、例えばシリ
カをフィラとして含むエポキシ樹脂等においては、樹脂
分が潤滑剤として働き、壁面での摩擦抵抗は小さくな
る。このため、これを確認すべく図7に正面図を示すよ
うなスパイラルフロー金型21の所定位置に圧力センサ
22,22,22,22,22,22をそ
れぞれ取り付け、成形時の樹脂内圧力Pの流動距離h
及びフィラ含有量依存性を、シリカをフィラとして含む
エポキシ樹脂をモールド樹脂23として用いて調べた。
ここで、圧力センサ22は樹脂投入口に取付けられて
おり、圧力センサ22は樹脂投入口から10cm離れ
た位置に取付けられており、さらに圧力センサ22
22,22,22は、それぞれ樹脂投入口からそ
れぞれ所定距離だけ離れた位置に取付けられている。
【0023】なお、モールド樹脂23をスパイラルフロ
ー金型21に射出し成形を行った際の、樹脂投入口から
10cm離れた位置の圧力センサ22によって検出さ
れた樹脂内圧力Pの変化は、図8に示すようなものと
なる。樹脂内圧力Pは、モールド樹脂23のフローフ
ロント部24が圧力センサ22を通過する時点、ま
たフローフロント部24が金型21の流動末端部25に
到達した時点までは、大きな圧力上昇はないが、その
後は充填が進むにしたがい急激に圧力は上昇して充填完
了時点で最高圧力となり、その状態が所定時間維持さ
れた時点からはモールド樹脂23の硬化収縮による圧
力低下が始まる。
【0024】そして、一般のシリカをフィラとして含む
エポキシ樹脂のモールド樹脂23で、モールド樹脂23
中のフィラ含有量を変えて流動距離hに対する樹脂内圧
力P を調べたところ、図9に示す結果が得えられた。
これによるとフィラ含有量が65wt%(曲線
65)、75wt%(曲線F75)の場合には、潤滑
剤としてのエポキシ樹脂分が多いために、流動距離hが
長くなっても著しい樹脂内圧力Pの低下は見られなか
った。しかし、フィラ含有量が85wt%(曲線
85)の場合には、摩擦抵抗が大きくなって著しい樹
脂内圧力Pの低下が認められた。
【0025】これに対し、半導体装置のパッケージ等に
用いる封止樹脂は、通常、フィラ含有量が70wt%〜
90wt%であり、成形時の成形金型への充填率が高く
なるにつれ、流動する封止樹脂のフローフロント部にお
ける樹脂内圧力Pは著しく低下する。そして、成形金
型内を分岐し別々に流動した封止樹脂が合流する部分で
は融着不良、つまり未充填不良が生じ易くなる。この結
果、成形時の成形金型内での樹脂内圧力Pの低下がな
ければ、未充填部分が生じ難くなることが判明した。
【0026】一方、成形金型内で封止樹脂が合流する部
分での融着不良(未充填不良)や成形物内のボイドが生
じるボイド不良は、封止樹脂内においてボイドが成長す
るか、あるいは消滅するかによって決まる。またボイド
の安定性については、樹脂内圧力Pと封止樹脂の表面
張力(界面張力)の和が、ボイドの内圧力に等しい時に
安定である。このことより、封止樹脂内におけるボイド
が成長あるいは消滅するかについては、次のように考察
できる。
【0027】すなわち、ボイド界面における力の平衡関
係は、 P−P=γ/m P:ボイド内圧力 P:樹脂内圧力 γ:封止樹脂/ボイド界面張力 m:ボイド体積の表面積に対する比 となる。そして、この式はボイドが成長するか、圧滅す
るかの境界を示し、P>P+γ/m の時には、ボ
イドが成長し、P<P+γ/m の時には、ボイド
内の気体が封止樹脂内に溶解し、ボイドは消滅する。
【0028】従って、未充填不良を低減させるために
は、樹脂内圧力Pの低下を防ぐことが有効であること
が推察できる。そして、圧力伝達性については、熔融状
態となっている樹脂の粘弾性の性質と関係が有り、良好
な圧力伝達性を示すものとしては水が有り、これは流体
形式(構造粘性)のうちのニュートン流体に形式分けさ
れる。そして、封止樹脂についても、水のような完全な
ニュートン流体である必要はないが、熔融状態での流体
形式が、実質的に略ニュートン流体となっていることが
要となる。
【0029】また、一般に、高分子材料や充填材が分散
する複合材料などの粘弾性的性質をもつ封止樹脂等の熔
融体では、成形金型のゲートのように狭細部を通過する
際(高せん断応力負荷)に、粘度変化が生じる。これ
は、樹脂とフィラ粒子間の相互作用によって、両者が強
固に接着し不動化した中間相の存在によるもので、高せ
ん断応力領域で中間相が破壊されると流動抵抗が小さく
なり、見かけの粘度が低下する(粘性の性質が強くな
る)。逆に新たな中間相が形成される場合、見かけの粘
度は上昇する(弾性の性質が強くなる)。そして、流体
形式としては、粘度が低下する性質を持つ流体をチキソ
トロピック流体、粘度が変化しない性質を持つ流体をニ
ュートン流体、粘度が上昇する性質を持つ流体をダイラ
タント流体と分類される。
【0030】さらに、樹脂は高分子材料特有の粘性と弾
性の性質が共存し、封止樹脂のようなフィラ等の無機充
填材含む高分子材料は、外部応力の強弱によって粘弾性
の性質の比率が変化する特徴を持つ。そして、封止樹脂
が成形金型内で流動すると、金型内表面の接触界面でせ
ん断応力が発生し、これによって一般的な封止樹脂は、
チキソトロピック性を示すようになる。
【0031】ここで、半導体装置のパッケージ等に用い
る封止樹脂について、その粘度の経時変化を高化式フロ
ー粘度測定器機(島津製作所製)を使い、測定荷重を1
0kg・f〜60kg・fの間で3点以上、例えば10
kg・f、20kg・f、40kg・f、60kg・f
と変えながら測定したところ、ダイラタント流体の性状
を示す封止樹脂(以下ダイラタント流体の封止樹脂と記
す)では、図10に示すような測定荷重10kg・fで
は曲線H10、20kg・fでは曲線H20、40kg
・fでは曲線H40の各結果を得た。なお、測定荷重6
0kg・fの場合については図示していない。また、上
記測定の結果によれば、いずれの測定荷重においても、
測定開始後の熔融初期から粘度は時間経過と共に低下
し、また、20秒経過後に最小粘度を示してからは逆に
粘度を増加させるように変化する。
【0032】この20秒経過後に最小粘度を示す傾向
は、図示しないがチキソトロピック流体の性状を示す封
止樹脂(以下チキソトロピック流体の封止樹脂と記す)
においても、略ニュートン流体の性状を示す封止樹脂
(以下略ニュートン流体の封止樹脂と記す)においても
同様である。なお、チキソトロピック流体の封止樹脂で
は、測定荷重が大きな場合に低粘度、小さい場合に高粘
度であり、略ニュートン流体の封止樹脂では、測定荷重
の大小に関係なくその粘度の経時変化曲線は、ダイラタ
ント流体の封止樹脂における測定荷重が20kg・fの
曲線と類似したものとなっている。
【0033】そして、上記の各流体形式の封止樹脂にお
ける粘度の経時変化曲線の最小粘度と測定荷重の関係に
ついて最小二乗法によって直線近似式(Y=aX+b)
を求めると、図11に示すように、ダイラタント流体の
封止樹脂では、 Y=1.2373X+47.288 となり、測定荷重X[kg・f]の増加に対し最小粘度
Y[Pa・S]も増加する正比例の関係に有り、図示し
なかったチキソトロピック流体の封止樹脂では、 Y=−0.8136X+106.44 となり、測定荷重X[kg・f]の増加に対し最小粘度
Y[Pa・S]が減少する逆比例の関係に有り、また同
じく図示しなかった略ニュートン流体の封止樹脂では、 Y=−0.0508X+79.153 となり、測定荷重X[kg・f]が増加しても最小粘度
Y[Pa・S]は略一定となっている。
【0034】また一方、測定荷重と最小粘度の関係は、
前述の通り封止樹脂に含まれているフィラと樹脂界面に
依存しており、上記の各流体形式の封止樹脂に含まれる
フィラの比表面積S[m/g]と、各直線近似式の傾
きaが示しているところのチキソ指数T(チキソ性)の
関係を調べたところ、図12に示す通りとなり、さらに
図12(a)のプロットした点を最小二乗法によって直
線近似式を求めたところ T=−3.9233S+2.8622 となった。
【0035】これによると含有するフィラの比表面積S
を変えることによって流体形式を変えることができ、フ
ィラの比表面積Sが0.70(m/g)〜0.76
(m/g)であるとき、チキソ指数Tが−0.1〜
0.1となり、略ニュートン流体となる。
【0036】そしてさらに、上記の各流体形式の封止樹
脂について、圧力伝達性を見るために樹脂内圧力P
流動距離hの関係を測定したところ、図13に示す通り
となり、流動距離hが50cmの位置での樹脂内圧力P
が、曲線Qで示すチキソトロピック流体の封止樹脂
と、曲線Qで示すダイラタント流体の封止樹脂は低下
しているのに対し、曲線Qで示す略ニュートン流体の
封止樹脂では殆ど低下しておらず、良好な圧力伝達性を
示している。
【0037】なお、ダイラタント流体の封止樹脂におい
ては、粘度上昇により流動界面での摩擦抵抗が大きくな
り、圧力が減衰して行くからであると思われる。またチ
キソトロピック流体の封止樹脂においては、界面での粘
性度上昇に伴いフィラが緩衝材のような働きをし、圧力
エネルギが吸収され、流動末端まで圧力が伝わらなくな
るからであると思われる。さらにチキソトロピック流体
の封止樹脂では、形状維持性が強く、外部から応力を受
けない限り、その形状を保つ性質を持っており、成形物
の未充填部分を観察してみると、樹脂フローの先端部の
形状が残っており、成形圧力が伝達されていない状態が
見られる。
【0038】次に、以上の検証結果、得られた知見に基
づく樹脂封止型半導体装置の製造方法の実施形態を、以
下に説明する。
【0039】先ず、図1に示す第1の工程で、リードフ
レーム3のダイパッド部4上に半導体素子2を、良熱伝
導性の導電性接着剤により固定する。そして半導体素子
2の電極と、これに対応するリードフレーム3のインナ
ーリード部5の端部とをボンディングワイヤ6によって
電気的に接続する。
【0040】次に、図2に示す第2の工程で、リードフ
レーム3のダイパッド部4に半導体素子2を搭載したも
のを、成形金型9の上型7と下型8を型締めして形成さ
れるキャビティ9a内にセットする。これによりセット
されたリードフレーム3のダイパッド部4の裏面側に
は、キャビティ9a内面との間に0.3mm〜0.6m
mの狭い間隙が形成され、ダイパッド部4上の半導体素
子2の上方にはキャビティ9a内面との間に約2mmの
比較的大きい間隙が形成される。
【0041】そして、図3に示す第3の工程で、比表面
積が0.70m/g〜0.76m /gのシリカをフ
ィラとして含有し、チキソ指数Tが−0.1〜0.1で
ある構造粘性が略ニュートン流体となる直径が10mm
〜55mmのタブレット状に形成したエポキシ樹脂でな
る封止樹脂31を、図示しないポットに導入して熔融す
る。
【0042】その後、図示しないトランスファ機構によ
ってプランジャを作動させ、175℃〜185℃の熔融
状態の封止樹脂31を、同じく175℃〜185℃の温
度に保持された成形金型9のキャビティ9a内にランナ
15、ゲート16を介し、12MPa〜15MPaの所
定圧力で射出する。これによって熔融状態の封止樹脂3
1は、キャビティ9a内を流れ、キャビティ9aを満た
した状態で所定圧力状態を30秒〜60秒の所定時間維
持する。
【0043】その後、図4に示す第4の工程で、トラン
スファ機構によってプランジャを後退させ、また成形金
型9を型開きすると共に、図示しないエジェクターピン
により、パッケージ32の形成によって樹脂封止がなさ
れたTO−3P(H)タイプ(株式会社 東芝製)の電
力用の半導体装置33を離型する。
【0044】こうした成形金型9へのセットから離型ま
での一連の成形過程を、リードフレーム3に半導体素子
2を搭載したものを新しくして繰り返すことにより、多
数の半導体装置33を連続して製造する。
【0045】そして、以上のようにして形成された半導
体装置33について、パッケージ32の外観を検査し、
その未充填部分の有無を調べ、不良数をカウントしたと
ころ、略ニュートン流体の封止樹脂を用いた本実施形態
では、調査数1,208,967個に対し、不良数が6
04個で、不良率が0.05%と低く良好なものであっ
た。
【0046】また、これと比較するために、同様の成形
条件で、従来の一般的なモールド樹脂が該当するチキソ
トロピック流体の封止樹脂を用いて成形した場合には、
調査数1,187,709個に対し、不良数が7,48
2個で、不良率が0.63%と高いものであった。さら
に、ダイラタント流体の封止樹脂を用いて成形した場合
には、調査数3,506,374個に対し、不良数が1
3,324個で、不良率が0.38%と、ダイラタント
流体の封止樹脂よりも低いものの高いものであった。
【0047】一方、上記の実施形態では、封止樹脂31
が熔融前の形状が直径10mm〜55mmのタブレット
状のものを用いたが、近年、タブレット状のものでは、
微粉末を高圧力で押し固め数種類のタブレットを作らな
ければならず、またタブレット化する際の微粉末が除去
できずにモールド装置内に導入され、センサ類の誤動作
を引き起こしたり、あるいは成形するパッケージの種類
によって大きさの異なるタブレット状の封止樹脂を用意
しなければならない等の不都合が有る。このため、これ
らを軽減する目的で、封止樹脂を粒径が0.18mm〜
1.65mm程度の亜球とし顆粒状としたものが成形材
料として用いられるようになってきている。
【0048】しかし、従来のモールド樹脂においては、
顆粒状の封止樹脂を用いて成形を行った場合に、タブレ
ット状の封止樹脂における場合よりも成形物にボイドが
多く認められる。このため、タブレット状の封止樹脂及
び顆粒状の封止樹脂について、それぞれポットからプラ
ンジャによって押し出されランナを流動してキャビティ
内に流入する封止樹脂を、硬化させてその断面を観察し
た。
【0049】その結果、顆粒状の封止樹脂では、ランナ
を流動するものを硬化せて観察したところ、顆粒間の隙
間の空気が熔融している封止樹脂に巻き込まれ、そのま
まの状態で移送されキャビティ内に流入し、硬化するた
めであること判明した。またキャビティ内に流入し最終
の圧力が加えられる前のものについて、硬化させて断面
状態を観察したところ、タブレット状の封止樹脂では熔
融樹脂内のボイドは小さく細かいのに対し、顆粒状の封
止樹脂では空気が流入しているので熔融樹脂内のボイド
の体積は極めて大きくなっている。
【0050】このようなことから、上記実施形態の変形
形態として、タブレット状の封止樹脂に替えて、比表面
積が0.70m/g〜0.76m/gのシリカをフ
ィラとして含有し、チキソ指数Tが−0.1〜0.1で
ある構造粘性が略ニュートン流体となる顆粒状のエポキ
シ樹脂でなる封止樹脂を用い、上記の成形過程により半
導体装置33のパッケージの成形を行った。その結果、
検査数600個のうち、直径が0.5mm以上の表面の
ボイド数は18個で、1つの半導体装置33当たりのボ
イド数は0.03個となり、良好なものであった。
【0051】これに対し、従来のチキソトロピック流体
となる顆粒状の封止樹脂を用いて成形した場合には、検
査数600個のうち、直径が0.5mm以上の表面のボ
イド数は390個で、1つの半導体装置33当たりのボ
イド数は0.7個と高い数値となった。なお、チキソト
ロピック流体となるタブレット状の封止樹脂を用いて成
形した場合には、検査数600個のうち、直径が0.5
mm以上の表面のボイド数は23個で、1つの半導体装
置33当たりのボイド数は0.038個で、略ニュート
ン流体となる顆粒状の封止樹脂の場合には、これとほぼ
同等であった。
【0052】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、成形時の熔融した封止樹脂の流れが円滑とな
り、成形物において未充填部分が生じ難くなり、外観不
良や特性不良を発生する虞が少なくると共に、製造歩留
が向上する等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態における第1の工程の断面
図である。
【図2】本発明の一実施形態における第2の工程の断面
図である。
【図3】本発明の一実施形態における第3の工程の断面
図である。
【図4】本発明の一実施形態における第4の工程を示す
図で、図4(a)は半導体装置の斜視図、図4(b)は
半導体装置の断面図である。
【図5】本発明に係る粉粒体における流動距離と樹脂内
圧力の関係を説明するための図である。
【図6】本発明に係る粉粒体における流動距離と樹脂内
圧力の関係を示す図である。
【図7】本発明に係る樹脂内圧力を測定するスパイラル
フロー金型の正面図である。
【図8】本発明に係るスパイラルフロー金型を用いて測
定した樹脂内圧力の経時変化を示す図である。
【図9】本発明に係るフィラ入り樹脂における流動距離
に対する樹脂内圧力の関係を示す図である。
【図10】本発明に係る高化式フロー粘度測定における
粘度の経時変化を示す図である。
【図11】本発明に係る高化式フロー粘度測定における
粘度の経時変化の最小粘度と測定荷重の関係を示す図で
ある。
【図12】本発明に係るフィラ入り樹脂におけるフィラ
比表面積と構造粘性の関係を示す図で、図12(a)は
フィラ比表面積とチキソ指数の関係を示す図、図12
(b)はフィラ比表面積とチキソ指数の測定結果を示す
図である。
【図13】本発明に係る構造粘性の異なるフィラ入り樹
脂における流動距離に対する樹脂内圧力の関係を示す図
である。
【図14】従来技術における半導体装置の断面図であ
る。
【図15】従来技術における半導体素子を搭載したリー
ドフレームを成形金型にセットした状態を示す断面図で
ある。
【図16】従来技術における成形金型に封止樹脂を射出
し加圧している状態を示す断面図である。
【図17】従来技術における成形金型内における封止樹
脂の流動状態を説明するための断面図である。
【図18】従来技術における封止樹脂の未充填状態を示
す図で、図18(a)は半導体装置の裏面図、図18
(b)は要部を拡大して示す断面図である。
【符号の説明】
2…半導体素子 3…リードフレーム 9…成形金型 31…封止樹脂 32…パッケージ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フレーム上に半導体素子を搭載し、封止
    樹脂材料により成形金型を用いてパッケージを成形し前
    記半導体素子を封止するのに際し、前記封止樹脂材料
    に、高化式フロー粘度計の測定荷重を10kg・f〜6
    0kg・fの間で3点以上について測定した時の最小粘
    度Y[Pa・S]と前記測定荷重X[kg・f]の関係
    を最小二乗法によって直線近似した場合の近似式が、 Y=aX+b 但し、−0.1≦a≦0.1 である構造粘性が略ニュートン流体の材料を用いたこと
    を特徴とする樹脂封止型半導体装置の製造方法。
  2. 【請求項2】 成形金型で熔融させる際の封止樹脂材料
    の形態が顆粒状となっていることを特徴とする請求項1
    記載の樹脂封止型半導体装置の製造方法。
  3. 【請求項3】 フレーム上に半導体素子を搭載し、フィ
    ラ含有封止樹脂材料により成形金型を用いてパッケージ
    を成形し前記半導体素子を封止する樹脂封止型半導体装
    置の製造方法において、前記封止樹脂材料に含有された
    フィラの比表面積が、0.70m/g〜0.76m
    /gとなっていることを特徴とする樹脂封止型半導体装
    置の製造方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014013803A (ja) * 2012-07-04 2014-01-23 Taiyo Yuden Co Ltd インダクタ
JP2016040393A (ja) * 2015-12-28 2016-03-24 日立化成株式会社 液状エポキシ樹脂組成物及び電子部品装置
JP2016135888A (ja) * 2016-04-15 2016-07-28 日立化成株式会社 液状エポキシ樹脂組成物及び電子部品装置
JP2019012714A (ja) * 2017-06-29 2019-01-24 株式会社ディスコ 半導体パッケージの製造方法
JP2022045072A (ja) * 2020-09-08 2022-03-18 株式会社東芝 半導体装置

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