JP2002149965A - 建物火災リスク評価装置、建物火災リスク評価方法および記憶媒体 - Google Patents

建物火災リスク評価装置、建物火災リスク評価方法および記憶媒体

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JP2002149965A JP2000349620A JP2000349620A JP2002149965A JP 2002149965 A JP2002149965 A JP 2002149965A JP 2000349620 A JP2000349620 A JP 2000349620A JP 2000349620 A JP2000349620 A JP 2000349620A JP 2002149965 A JP2002149965 A JP 2002149965A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 建物の火災保険料を個々の建物の構造および
リスクに応じて算定するために、火災現象解析と確率論
とを連成してリスク評価を行う。 【解決手段】 この建物火災リスク評価装置は、建物の
構造、仕様に関する条件と火災が発生する条件とを含む
建物火災環境情報(建物火災評価用データ)と、建物に
火災が発生する際のリスクに関する情報(火災リスク評
価用データ)とが格納されたデータベース2と、このデ
ータベース2に格納されている建物火災評価用データを
基に、建物内部に火災が発生してから延焼する火災現象
を時系列的に解析する建物火災評価モジュール31と、
解析された火災現象とデータベース2に格納されている
火災リスク評価用データとを基に建物火災のリスクを確
率的に評価する火災リスク評価モジュール32とを備え
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば火災保険料
の算定を行うための建物火災リスク評価装置、建物火災
リスク評価方法および記憶媒体に関する。
【従来の技術】従来は建物の火災解析は、Quintiereの
式や2-ゾーンモデル等研究されてきた。例えば、東京
消防庁の火災予防審議会報告(「建築物の防災特性に応
じた防火安全性の評価(延焼拡大抑制の評価)−火災予
防審議会答申−」、平成11年3月、東京消防庁火災予
防審議会)の中で、以下のような火災解析手法(東京消
防庁モデル)が示されている。
【0002】1.火災延焼挙動の評価手法 1.1 評価要素 1)出火環境 出火室の用途は、主に一般事務室を、出火室内の出火位
置は、室中央を想定している。また、評価要素として
は、以下のものを採用している。 (1)出火室面積等:出火室面積や窓面積は、出火室にお
ける煙層温度に影響し、また、火災荷重やスパンドレル
高さ等は、外壁窓口から上階に延焼する時間に影響する
ことから、それぞれを評価要素としている。 (2)内装材:内装材の違いは、盛期火災に至る出火温度
に影響するため評価要素としている。 (3)火災成長パラメータ(α):本モデルでは、発熱速
度をQ=αt2でモデル化している。αの違いにより火災
の成長は大きく異なるため評価要素としている。 2)建物空間特性 建物の空間特性は、防火区画(防火区画から間仕切壁レ
ベルまで)の耐火性能および構成を評価要素としてい
る。
【0003】1.2 パラメータの検討 1)出火環境 一方、内装材については大きく不燃化が施されているか
どうかをパラメータとし、火災室が盛期火災になる状況
(煙層温度)に違いを持たせている。火災成長パラメー
タと火災荷重については、総合防火設計法での推奨値を
基準に、それを平均値として、その上下のランクを設定
できるようにしている。
【0004】2)出火室面積等 火災荷重については、過去の可燃物量調査に基づき用途
別に可燃物密度のグレード化を行い、出火室面積から可
燃物量を算出している。火災荷重は建物収容物の違いに
よるものであり、調査結果の平均値μと標準偏差σを用
いてμ+σ、μ、μ−σの3段階に設定している。
【0005】3)内装材 ここでは、内装材が不燃・準不燃材の場合は、600℃、
可燃材の場合は300℃と仮定している。
【0006】火災成長パラメータ 火災の発熱速度を左右する火災成長パラメータは、NFPA
や建設省プロ等で採用されている用途別の値を標準値と
して、これより高い場合と低い場合の3段階に分類して
いる。
【0007】1.3 建物空間特性 過去の火災事例の分析等から、火災の延焼状況に影響を
与える防火区画(防災区画から間仕切レベルまで)に関
して、その耐火時間を以下のように設定されている。
【0008】(1)耐火構造の壁(+甲種防火戸)に関し
ては、法令上必要とされている耐火時間:60分 (2)防火構造の壁(+乙種防火戸以上)に関しては、耐
火時間:20分 (3)不燃間仕切壁(+不燃扉以上)に関しては、耐火時
間:10分 (4)上記以外の間仕切壁(+扉)に関しては、耐火時
間:5分 なお、区画を構成している扉が開放されている場合や、
若干でも区画に不備があると判断された場合は0分とし
ている。
【0009】1.4 延焼パターンの検討 本評価方法では、建物の空間をゾーニングし、段階的に
拡大していくという考えに基づいて火災フェーズの概念
を採用している。
【0010】1)火災フェーズの定義 初期火災から上階延焼までの火災フェーズを以下の8フ
ェーズに分類している。 (1)フェーズ1:消火器またはスプリンクラー設備で消
火可能な火災の段階 (2)フェーズ2:屋内消火栓、排煙起動の初期対応行動
が可能な火災の段階 (3)フェーズ3:出火室の扉閉鎖、空調停止による空気
の流入防止が可能な火災の段階 (4)フェーズ4:盛期火災となり、出火室の区画の耐火
時間によって火災が出火室に止まっている火災の段階 (5)フェーズ5:出火室を突破し、同一防火区画内の隣
接空間に火災が拡大している段階 (6)フェーズ6:防火区画を突破し、他の防火区画に火
災が拡大している段階 (7)フェーズ7:竪穴区画に火災が拡大している段階 (8)フェーズ8:上階に火災が拡大している段階
【0011】2)フェーズ進展の考え方 火災は空間的に延焼拡大するモデルとして考えているた
め、建物居室等のレイアウトにより延焼拡大経路は異な
るものとしている。なお、火災の進展は、 各フェーズに対応した防火設備等がフェーズ限界時間
までに機能した場合 フェーズ限界時間の前に消防隊が放水を開始した場合 には、火災の進展は止まり、それ以降のフェーズには進
展しないものとしている。
【0012】1.5 各フェーズ限界時間の計算モデル 1)フェーズ1の限界時間 フェーズ1の限界時間T1は、以下の式により決定して
いる。 T1=Min(発熱速度が950kwになる時間,煙層降下予測
による限界時間) なお、上式に於いて、950kwは、検定用クリブ(A-2模
型)の燃焼データによる1900kwの半分として求めてい
る。また、煙層降下予測式は後述のフェーズ2で使用す
る式を用いるものとしている。
【0013】2)フェーズ2の限界時間 フェーズ2の限界時間は、煙層が出火室の中で避難者ま
たは初期消火活動従事者の頭上(1.6+0.1*(天井高さ))
まで降下する時点を限界時間と考え、以下の式(1)を
用いる。
【0014】
【数1】
【0015】ここで、 ts :フェーズ2の限界時間(sec) ρ :煙りの密度(=0.7 kg/m3) k :プリュームの巻き込み係数(= 0.069 kg/sec/m
(5/3)/kw(1/3)) Aroom :居室の面積(m2) α :火災成長パラメータ Hroom :居室の天井高さ(m) である。
【0016】3)フェーズ3の限界時間 フェーズ3の限界時間は、出火室が盛期火災になる時点
をもって設定している。 盛期火災になる煙層温度は
次のように設定している。 内装が不燃・準不燃材の場合:600℃内装 内装が可燃材の場合 :300℃
【0017】4)煙層温度の予測式 Quintiereらはフラッシュオーバー以前における火災初
期の煙層温度として、下式を提案しており、盛期火災以
前の煙層温度の予測には下記式(2)を使用している。
【0018】
【数2】
【0019】ここで、 Thi :煙層温度(℃) Q :発熱速度(kw) hk :周壁の熱特性(kw/m2/k) AT :周壁の面積(m2) H :開口部の高さ(m) T :雰囲気温度(k) T0 :出火室の平常時の温度(℃) である。また、周壁の熱伝達係数hkは、次式(3)を使
用している。
【0020】
【数3】
【0021】ここで、 k :壁体の熱伝達率(kw/m/k) ρ :壁体の密度(kg/m3) c :壁体の比熱(kJ/kg/k) tc :火災の特性時間(sec)(=600secに固定) である。
【0022】5)開口条件 Quintiereの出火室温度の簡易予測式には、開口条件が
必要であるが、ここでは、室内温度上昇によりガラスの
破壊を考慮して以下のような扱いとしている。 ・煙層温度 < 170℃のとき、実際に開いている窓部分
の面積を開口部面積とする。 ・煙層温度 > 170℃のとき、Max(窓部分の総面積*0.
2,実際に開いている窓部分の面積)を開口部面積とす
る。
【0023】6)フェーズ4以降の延焼計算 (1)延焼モデル 延焼計算は、以下の仮定を設定してモデリングしてい
る。 仮定1:着火セルのフラッシュオーバー時間までは、他
のセルへの延焼はしない。 仮定2:着火セルがフラッシュオーバーし、そのセルは
全面火災となり、隣接ブロックは着火するが、延焼抵抗
がある場合は、その大きさにより着火が遅れるものとし
ている。着火遅れは、セル区画の耐火性能を考慮してフ
ェーズの進展を考え限界時間として使用している。 (2)延焼セルのフラッシュオーバー時間(τ) ・延焼抵抗のないセル間同士において、フラッシュオー
バーした延焼セルは、火元セルの熱エネルギーが延焼セ
ルのフラッシュオーバーを加速させると考え、延焼セル
の内装材の種類により決まるフラッシュオーバー時間
(τ0)の1/2とする場合(τ1) ・下記7)に述べる上階への延焼条件を満足した場合
(τ2) の最小値、すなわち、 τ = Min(τ1,τ2) (4) で決定している。
【0024】7)外壁開口部からの上階延焼判定 (1)出火室内の温度上昇の求め方 盛期火災時における火災室内上昇温度は、次式(5),
(6),(7)を用いて算出している。
【0025】
【数4】
【0026】である。 (2)噴出気流の熱量の求め方 噴出気流熱量は、噴出気流のエンタルピー量と未燃焼ガ
スの発熱量を合計した熱量と考え、次式(8),
(9),(10)により計算される。
【0027】
【数5】
【0028】(3)直上階の開口部下端までの距離から無
次元温度の求め方 開口噴出気流の温度性状は、横井により実験的に調べら
れており、この実験結果を使用することとし、以下の3
つの範囲に分けて、
【0029】
【数6】
【0030】である。
【0031】8)スパンドレル高さ、庇の効果 無次元温度を求める際には、噴出気流軸上に沿った長さ
zを与える必要がある。ここでは、スパンドレル、庇の
ある場合を考慮して次のように設定している。
【0032】・庇がない場合 z = h1 (18) ・庇のみがある場合 z = h1 + h4 (19) ・庇、手摺がある場合 z = h2 + h3 + h4 (20) 但し、h1,h2はいずれも噴出気流の気流中心軸の原点か
らの距離をとっている。
【0033】9)噴出気流上昇温度の求め方 噴出気流の上昇温度は、次式(21),(22)で求め
られる。
【0034】
【数7】
【0035】10)上階延焼の判定 上階延焼の判定は、上階の開口部下端における温度上昇
と、開口部下端における輻射の2つの観点から判定して
いる。また、上端延焼は、フェーズ4に進展した後、以
下の条件を同時に満足した時点に発生するものと考えて
いる。
【0036】
【数8】
【0037】である。
【0038】1.6 焼損面積予測値の求め方 1)フェーズ1からフェーズ3まで フェーズ1からフェーズ3までは、出火室内の火災初期
段階における焼損面積である。ここでは同心円上の延焼
拡大モデルを考え次式(26)で計算している。
【0039】
【数9】
【0040】2)フェーズ4以降の延焼拡大 フェーズ4における火災の状態は、盛期火災後出火室の
耐火時間で決まる。盛期火災になっているため、室単位
で焼損面積を計上し次式(27)で算出している。
【0041】
【数10】
【0042】1.7 上下階への延焼のモデル 東京消防庁モデルでは、外気に接している部屋の窓から
スパンドル、庇の効果を考慮して、上階への延焼のみを
取り扱う。
【0043】1.8 完全密閉の部屋の取り扱い 燃料支配型の煙層温度を求めるため使用しているQuinti
ereらの簡易式は、開口部面積が分母に用いられている
ため、開口部面積が0の完全密閉の部屋には使用できな
い。完全密封型の部屋に対しては、部屋空間の気体と発
熱量を考慮した一点近似の熱伝導方程式(28),(2
9)を解くことにより空間の温度を計算することとして
いる。
【0044】
【数11】
【0045】2.火災の延焼確率の評価手法 火災の延焼挙動から、火災発生時点からの経過時間と火
災による延焼面積の関係が求まる。
【0046】一方、火災が延焼する時間内に、消火設備
および消防活動の成否するかを確率論で計算することに
よって、一定の延焼面積を超える確率(以下、年間超過
確率という。)を算出できる。建物を対象に、火災の延
焼挙動に消火設備および消防活動の成否を組み合わせ
て、火災の延焼面積と年間超過確率の関係を算出するモ
デルとして、従来、東京消防庁モデルが公表されてい
た。以下にその手法を説明する。
【0047】2.1 火災フェーズの分類 火災の延焼段階を、その規模と特徴に応じて、フェーズ
1〜フェーズ8に分割して、その各フェーズに対して、
火災がそのフェーズを超える確率、すなわち超過確率を
算出する。なお、火災フェーズの定義は、1.4項に記
載した通りである。
【0048】2.2 フェーズの超過確率の算出方法 1)フェーズ1の超過確率 消火器不奏功かつスプリンクラー不奏功によって、フェ
ーズ2に進展するとして、フェーズ1の超過確率を算出
する。消火器については、自火報の作動、消火器従事、
消火器による消火が間に合うかどうか、消火器作動、お
よび消火器による消火の奏功の構成要素のそれぞれに対
して、経験データを当てはめることによって、不奏功確
率を算出する。スプリンクラーについては、非常電源作
動およびスプリンクラー作動の構成要素に対して、同様
に経験データを当てはめることによって、不奏功確率を
算出する。
【0049】なお、例えば「消火器による消火が間に合
うかどうか」のように、構成要素によっては、余裕時間
との関係によってその成否の確率が変動する場合があ
り、このような構成要素に対しては、火災のフェーズ1
を超える迄の時間(すなわち、フェーズ1の限界時間)
を時間余裕として、成功確率を算出する。
【0050】2)フェーズ2の超過確率 屋内消火栓不奏功かつ排煙起動不奏功によって、フェー
ズ3に進展するとして、フェーズ2の超過確率を算出す
る。屋内消火栓については、自火報の作動、非常電源作
動、屋内消火栓従事、屋内消火栓が間に合うかどうか、
屋内消火栓作動および屋内消火栓奏功の構成要素のそれ
ぞれに対して、経験データを当てはめることによって、
不奏功確率を算出する。排煙設備については、自火報作
動、非常電源作動、排煙設備従事、排煙設備の起動が間
に合うかどうか、および排煙設備作動の構成要素のそれ
ぞれに対して、同様に経験データを当てはめることによ
って、不奏功確率を算出する。
【0051】なお、構成要素によっては、余裕時間との
関係によってその成否の確率が変動する場合があり、こ
のような構成要素に対しては、フェーズ2の限界時間を
時間余裕として、不奏功確率を算出する。
【0052】3)フェーズ3の超過確率 空調停止不奏功かつ防火戸閉鎖不奏功によって、フェー
ズ4に進展するとして、フェーズ3の超過確率を算出す
る。空調停止については、自火報の作動、非常電源作
動、空調停止従事、空調停止が間に合うかどうか、およ
び空調設備ダンパ連動設備作動の構成要素のそれぞれに
対して、経験データを当てはめることによって、不奏功
確率を算出する。防火戸閉鎖については、例えば、自火
報作動、扉閉鎖従事、および扉閉鎖が間に合わうかどう
かの構成要素のそれぞれに対して、経験データを当ては
めることによって、不奏功確率を算出する。防火戸が複
数枚あるときは、1枚でも閉鎖できない場合は「閉鎖失
敗」とする。
【0053】
【数12】
【0054】なお、構成要素によっては、余裕時間との
関係によってその成否の確率が変動する場合があり、こ
のような構成要素に対しては、フェーズ3の限界時間を
時間余裕として、不奏功確率を算出する。
【0055】4)フェーズ4以降の超過確率 フェーズiの限界時間に対して、放水開始遅れ(消防隊
による放水が間に合わない)が発生すると、フェーズi
+1に進展する。この放水開始遅れの発生確率が超過確
率になる。
【0056】
【数13】
【0057】フェーズiの限界時間は、区画構成材の耐
火時間から求めることができ、例えば次の通りである。
【0058】
【表1】
【0059】2.3 平均焼損面積予測値の算出方法 火災現象挙動の解析から、既に記載の通り、
【0060】
【数14】
【0061】が算出される。これに、火災フェーズ毎の
生起確率で重み付けすることにより、次の通り、平均焼
損面積予測値が算出される。
【0062】
【表2】
【0063】これでは、建物の構造およびリスクに応じ
た適正な火災保険の算定ができないという問題があっ
た。
【発明が解決しようとする課題】このように従来の解析
手法として、建物火災解析に関して、相関式を用いた簡
易な手法しか開示されておらず、実際の建物のような複
雑な構造物について火災保険料を算定する上での適用に
までは至らず、このため、人による経験的手法、あるい
は概算でしか建物の火災保険料の算定ができず、個々の
建物の構造およびリスクに応じた適正な火災保険料の算
定および被保険者に対するアドバイスができないという
問題点があった。
【0064】本発明はこのような課題を解決するために
なされたもので、建物の火災保険料を個々の建物の構造
およびリスクに応じて算定することができ、また、建物
に対して火災保険をかけようとする被保険者に対しより
安全な火災防止・低減対策についてのコンサルテーショ
ンを行うことのできる建物火災リスク評価装置、建物火
災リスク評価方法および記憶媒体を提供することを目的
としている。
【0065】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1記載の発明の建物火災リスク評価装置は、
建物の構造、仕様に関する条件と火災が発生する条件と
を含む建物火災環境情報と、前記建物に火災が発生する
際のリスクに関する情報とが格納された格納手段と、前
記格納手段に格納されている建物火災環境情報を基に、
前記建物内部に火災が発生してから延焼する火災現象を
時系列的に解析する解析手段と、前記解析手段により解
析された火災現象と前記格納手段に格納されているリス
クに関する情報とを基に建物火災のリスクを確率的に評
価する評価手段とを具備したことを特徴としている。
【0066】請求項2記載の発明の建物火災リスク評価
装置は、建物の構造、仕様に関する条件と火災が発生す
る条件とを含む建物火災環境情報と、前記建物に火災が
発生する際のリスクに関する情報とが格納された格納手
段と、前記格納手段に格納されている建物火災環境情報
を基に、前記建物内部に火災が発生してから延焼する火
災現象を時系列的に解析する解析手段と、前記解析手段
により解析された火災現象と前記格納手段に格納されて
いるリスクに関する情報と前記建物内の消火機器および
/または消火設備の設置状況、消火活動を行う際の時間
的余裕度を含む各種パラメータとを基に建物火災のリス
クを確率的に評価する評価手段とを具備したことを特徴
としている。
【0067】請求項3記載の発明の建物火災リスク評価
装置は、建物内部を仕切る区画の構成情報、各区画に配
分されている資産の情報を含む建物火災環境情報と、建
物火災に関するリスクの情報とが格納された格納手段
と、前記格納手段に格納されている建物火災環境情報を
基に、前記建物の各区画を火災発生元とした場合に火災
が延焼する火災現象を時系列的に解析する解析手段と、
前記解析手段により解析された火災現象と前記格納手段
に格納されている各区画の資産情報と前記建物火災に関
するリスクの情報とを基に、建物火災による資産損失の
リスクを確率的に評価する評価手段とを具備したことを
特徴としている。
【0068】請求項4記載の発明の建物火災リスク評価
装置は、請求項1乃至3いずれか一記載の建物火災リス
ク評価装置において、前記解析手段による解析結果ある
いは前記評価手段による評価結果を保存する保存手段
と、前記保存手段に保存された解析結果あるいは評価結
果に基づき前記建物に対して防火対策を施した場合の再
評価用のデータを基に前記解析手段および前記評価手段
に再解析あるいは再評価させた再解析結果あるいは再評
価結果と、前記保存手段に保存された防火対策前の解析
結果あるいは評価結果とを数値的あるいは視覚的に比較
可能な形態で出力する手段とを具備したことを特徴とし
ている。
【0069】請求項5記載の発明の建物火災リスク評価
装置は、請求項3記載の建物火災リスク評価装置におい
て、前記解析手段は、前記建物内のある区画に発生した
火災が、隣接する区画へ延焼する過程、上下の区画へ延
焼する過程、隣接する建物へ延焼する過程の中の少なく
とも一つの過程を火災現象として解析する手段を有する
ことを特徴としている。
【0070】請求項6記載の発明の建物火災リスク評価
装置は、請求項1乃至3いずれか一記載の建物火災リス
ク評価装置において、前記格納手段に入力する建物火災
環境情報、建物火災に関するリスクの情報、各種パラメ
ータのデフォルト値が設定されたデフォルト値設定手段
と、前記格納手段に格納するデータを入力する際に、前
記デフォルト値設定手段のデフォルト値を示してデータ
の入力を促す手段と、前記デフォルト値あるいは前記デ
ータの入力を促す手段により入力されたデータを、建物
固有の入力データセットとして前記格納手段に格納する
データ管理手段とを具備したことを特徴としている。
【0071】請求項7記載の発明の建物火災リスク評価
装置は、請求項3記載の建物火災リスク評価装置におい
て、前記解析手段は、前記建物の区画に資産価値情報を
追加して解析する手段を備え、前記評価手段は、資産損
失リスクとして火災による損害額を評価する手段を具備
したことを特徴としている。
【0072】請求項8記載の発明の建物火災リスク評価
装置は、請求項3記載の建物火災リスク評価装置におい
て、前記解析手段により解析された時系列的な火災現象
を、区画毎あるいは部屋毎の温度または火災のフェーズ
を視覚的に識別可能な形態で表示する表示手段を有する
ことを特徴としている。
【0073】請求項9記載の発明の建物火災リスク評価
装置は、請求項3記載の建物火災リスク評価装置におい
て、建物内の外気に接していない区画が盛期火災になっ
た時点から前記区画周囲の壁が崩壊するまでの耐火時間
を入力する入力手段と、前記入力手段により入力された
耐火時間を前記解析手段により解析される建物火災環境
情報の一つとして前記格納手段に格納する手段とを具備
したことを特徴としている。
【0074】請求項10記載の発明の建物火災リスク評
価装置は、請求項2記載の建物火災リスク評価装置にお
いて、前記評価手段は、時系列的に進展する火災現象を
イベントツリーでモデル化する手段と、消火機器および
/または消火設備の設置状況、消火活動の奏功確率を含
む各種パラメータをフォールトツリーでモデル化する手
段と、前記フォールトツリーに基づく確率計算により火
災現象がある程度で収束する確率を評価するとともに、
この評価結果をもとにイベントツリーに基づく確率計算
によりある程度の火災現象が発生する確率を評価する手
段とを有することを特徴としている。
【0075】請求項11記載の発明の建物火災リスク評
価方法は、建物の構造、仕様に関する条件と火災が発生
する条件とを含む建物火災環境情報と、前記建物に火災
が発生する際のリスクに関する情報とが格納された格納
手段から前記建物火災環境情報を読み出す段階と、読み
出した前記建物火災環境情報を基に、火災が発生してか
ら延焼する火災現象を時系列的に解析する段階と、前記
格納手段からリスクに関する情報を読み出す段階と、読
み出したリスクに関する情報と、解析された火災現象と
を基に建物火災のリスクを確率的に評価する段階とを有
することを特徴としている。
【0076】請求項12記載の発明の記憶媒体は、コン
ピュータに処理を実行させるプログラムを記憶した記憶
媒体において、前記コンピュータに、入力された建物の
構造、仕様に関する条件と火災が発生する条件とを含む
建物火災環境情報と、前記建物に火災が発生する際のリ
スクに関する情報とを格納させ、前記建物火災環境情報
を基に、前記建物内部に火災が発生してから延焼する火
災現象を時系列的に解析させ、解析された火災現象と前
記リスクに関する情報とを基に建物火災のリスクを確率
的に評価させるプログラムを前記コンピュータが読み取
り可能に記憶したことを特徴としている。
【0077】すなわち、本発明は、建物火災に関連する
多数の重要パラメータを奏功確率分布/発生確率分布と
して表現し、重要パラメータのとり得る確率的分布を考
慮して、重要パラメータの組み合わせにより発生する数
千ケース以上に渡るパラメータ組み合わせ条件に対し
て、火災解析およびリスク解析を一度に実施し、かつ建
物内の室あるいは区画に装備された諸機器または、財物
の価値を考慮し、室毎、区画毎の資産価値情報をも考慮
し、そのそれぞれの解析結果から出てくる火災の被害損
傷金額(損害額)を基に、フォールトツリー解析手法や
イベントツリー解析手法等の確率的リスク評価手法を組
み合わせて、建物火災に関わるリスクコストを定量的に
評価する。
【0078】なお、資産価値情報とは、各部屋に設置さ
れた設備、機器等の価値により定まる資産価値分布を意
味するものである。例えば、その部屋には廃棄物保管場
所であるならば、焼損による資産価値は低いが、資産価
値の高い(現金、宝石、高級機器等)重要物質を格納し
ている部屋が焼損すると焼損による被害は、単に部屋の
価値のみに留まらず、部屋に保管されていた全ての重要
物質の損害を考慮に入れる必要がある。この様に、部屋
および部屋に含まれている資産価値の分布状況を考慮す
るための指標を資産価値分布と定義する。資産価値分布
の単位は、単位面積当たりの価値(絶対値としての円、
あるいは相対値を単位とする)として入力する。
【0079】これにより、建物火災による被害損傷金額
を算定し、あるいは、建物火災に対しより安全な火災防
止対策を被保険者等に提示し、火災保険料に関し従来の
経験を基にした火災保険料を設定する手法に代わり、よ
り科学的な火災シミュレーション/リスク評価解析に基
づいた確率的な手法による火災保険料算定の判断基準を
提供し、かつ建物火災損失を低減するためのコンサルテ
ーションを、数値的、かつ具体的に行うことができる。
【0080】建物火災の延焼が拡大するかどうかは、ス
プリンクラー設備、消火器、屋内外消火栓および自衛消
火ポンプが間に合って、消火に奏功(=成功)するかど
うかや、近くの消防署からの消防車が間に合って、消火
に奏功するかに依存する。
【0081】こうした防災設備や消防車の成否といった
建物火災に関連する重要パラメータのうち、人的操作に
関連する重要パラメータは、操作に利用できる時間余裕
に依存する。
【0082】例えば、消火器による初期消火の場合に
は、消火器による消火が可能な火災に規模になるまでの
時間余裕に依存して、消火器による消火活動の成否の確
率が変わってくる。また、一定の焼損面積にて火災が収
束するかは、その焼損面積に至るまでの時間がどの程度
かが、消防車による消火が間に合う確率に関係する。こ
のため、建物火災に関連する重要パラメータを時間余裕
に応じた確率として、すなわち確率分布として、与える
ことがある。
【0083】火災解析および火災リスク解析のそれぞれ
は、上述した東京消防庁火災予防審議会報告等にて開示
されている一般的な手法を利用しつつも、建物火災に際
し、各室または仕切り区域に対し、室、仕切り区域その
ものの資産価値やそこに設置されている設備等の資産価
値を考慮することにより、火災解析で表現したセルに資
産価値分布を追加することにより、火災による損害額を
評価し、かつその結果を基にして、リスク評価を実施す
ることにより、対象とする建物の火災リスクコストを算
出する。
【0084】建物火災に際し、各室または防火壁/間仕
切壁にて仕切られた区画に対し、部屋、区画そのものの
資産価値やそこに設置されている設備等の資産価値を考
慮する。つまり火災解析で表現したセルに資産価値分布
を追加することにより、火災による損害額を評価し、か
つその結果を基にしてリスク評価を実施することによ
り、対象とする建物火災によるリスクコストを算出す
る。
【0085】消防火設備および消防火活動を構成する重
要パラメータの奏功確率分布を算出する手段にフォール
トツリー解析手法を使用し、また火災延焼進展の確率を
算出する手段にイベントツリー解析手法を使用し、挙動
解析と確率評価を連成させて、建物火災リスクを評価す
る。
【0086】一般に、建物火災に関連するパラメータ
は、特定の建物に限定した場合にも、例えば、火災の発
生場所は、建物内の多数の火災区画に一定の火災発生頻
度で分布することから、特定することはできない。
【0087】一方、火災挙動解析では、特定の火災区画
での発生を仮定して、これに対して、その後の延焼挙動
を評価する。従って、特定の建物に限定した場合にも、
火災リスクを算出するには、重要パラメータの一つであ
る火災の発生場所を様々に仮定した上で、そのそれぞれ
に対して、火災挙動解析を行い、その結果である火災発
生後の経過時間と延焼面積の関係を入力として、延焼面
積と超過確率の関係を算出する必要がある。同様に、特
定の建物の特定の火災区画での火災発生と限定した場合
にも、建物内の様々な火災区画を仕切っている防火戸や
間仕切扉の火災時の閉鎖は、一定の確率で失敗する。こ
れを考慮するには、重要パラメータの一つである防火戸
や間仕切扉の開閉状況を様々に仮定した上で、そのそれ
ぞれに対して、火災挙動解析を行い、その結果である火
災発生後の経過時間と延焼面積の関係を入力として、延
焼面積と年間超過確率の関係を算出する必要がある。
【0088】これらを、火災シナリオ毎に平均化するこ
とによって、「延焼面積と年間超過確率の関係」を示す
曲線を作成する。また、この曲線に、資産の配分状況に
応じた重み付けを行うことによって、「損害額と年間超
過確率の関係」を示す曲線、すなわちリスク曲線を作成
する。
【0089】このように本発明では、建物の各室に資産
価値分布を考慮し、かつ、防災設備、消火活動の奏功確
率を導入し、かつ、モデルに含まれるパラメータのとり
うる範囲を確率変数として表現し、それらを自動的に変
化させるアルゴリズムを導入し、火災現象解析と確率論
とを連成することにより火災リスクを評価する。
【0090】つまり、本発明では、建物火災解析評価手
法に、確率的な手法を取り入れ、火災現象解析をリスク
評価手法と連成し、膨大な計算ケースを一度に実施し、
リスクコスト、累積損傷確率を解析し、これにより、火
災保険および火災に起因する損害を担保する各種損害保
険等の保険料算定のための相対的定量的評価、並びに火
災リスクコンサルテーションを実施することができる。
【0091】すなわち、建物の火災保険料を個々の建物
の構造およびリスクに応じて算定することができる。ま
た、建物に対して火災保険をかけようとする被保険者に
対しより安全な火災防止・低減対策についてのコンサル
テーションを行うことができる。
【0092】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して詳細に説明する。図1は本発明に係わる一つ
の実施の形態の建物火災リスク評価装置のソフトウェア
構成を示す図である。
【0093】図1に示すように、この建物火災リスク評
価装置は、建物火災リスク評価制御部1と、入力データ
格納手段としてデータベース2と、建物火災リスク解析
部3とを有している。これら各構成は、プログラムとし
てコンピュータ(PC)のハードディスク装置等にイン
ストールされて、所定のオペレーティングシステム(O
S)の環境下で実行される。所定のOSとは、例えばWi
ndows、UNIX(登録商標)、LINUX等である。
【0094】建築物火災リスク解析部3は、建物火災評
価モジュール31と火災リスク評価モジュール32とを
有している。
【0095】建物火災評価モジュール31は、データベ
ース2に格納されている建物火災評価用データ(建物火
災環境情報)を基に、建物内部に火災が発生してから延
焼する火災現象を時系列的に解析するプログラムであ
る。
【0096】火災リスク評価モジュール32は、建物火
災評価モジュール31により解析された火災現象とデー
タベース2に格納されている火災リスク評価用データ
(リスクに関する情報)とを基に、建物火災のリスクを
確率的に評価するプログラムである。この火災リスク評
価モジュール32には、確率的なリスク評価を行う上で
の一つの手段として、例えばフォールトツリー解析機能
やイベントツリー解析機能といった信頼性解析機能が備
えられている。このようなフォールトツリー解析機能や
イベントツリー解析機能は、汎用ソフトウェアをこのモ
ジュールにプラグインする(組み込む)ことでも使用可
能である。
【0097】建物火災リスク評価制御部1は、入力作成
機能11、入力ファイル管理機能12、解析作動機能1
3、解析結果の作図機能14、並びに解析結果の管理機
能15等を有している。入力作成機能11は、データベ
ース2へ入力するデータを作成するための各種画面を表
示する。入力ファイル管理機能12は、入力されたデー
タをデータベース2にファイルとして管理する。解析作
動機能13は、建物火災リスク解析部3に解析動作を実
行させる。解析結果の作図機能14は、建物火災リスク
解析部3から建物火災リスク解析結果として出力された
デジタルデータを基に作図(グラフ化)する。解析結果
の管理機能15は、建物火災リスク解析部3から出力さ
れた建物火災リスク解析結果のデジタルデータをファイ
ルとして管理する。
【0098】データベース2には、建物火災リスク評価
制御部1により作成された建物火災評価用データと火災
リスク評価用データがそれぞれ入力され、データファイ
ルとして格納される。
【0099】建物火災評価用データは、火災の設定(火
災成長パラメータ、可燃物密度データ、出火時の雰囲気
温度等)、出火室の設定(出火室の面積や天井高さ、開
口部の形状等)、区画の種類(耐火壁/間仕切壁や防火
戸/間仕切扉の耐火性能等)、内装の種類(可燃性、不
燃性、周囲壁の熱伝達率等に関わるデータ)である。
【0100】火災成長パラメータは、発生した火災の進
展挙動を評価するために必要なデータであり、建物が木
造か、鉄筋コンクリート製か、出火室に燃え易いものが
存在するか否かにより、燃焼スピードが変わるが、これ
らを表現するパラメータである。可燃物密度データは、
例えば室内に存在する家財道具、紙、可燃物液体等が単
位面積当たりどの程度の重さで存在するかを示すデー
タ、その他、単位面積当たりの資産の配分状況等のデー
タである。
【0101】すなわち、建物火災評価用データとは、火
災成長パラメータ、可燃物密度、出火時の雰囲気温度、
等の火災の設定に関わるセル毎のデータ、面積、天井高
さ、開口部、周壁の熱伝達係数等の出火室の設定に関わ
るセル毎のデータ、耐火壁/間仕切壁、防火戸/間仕切
扉の耐火性能等の区画の種類に関わるデータ、内装が可
燃性か不燃性か等の内装の種類に関わるデータ、その他
である。
【0102】ここで、火災成長パラメータについて説明
する。火災の発熱速度Q(kW)は、次式で計算され
る。
【0103】Q=α×t2 t:火災発生後の経過時間(sec) α:火災成長パラメータ αの値として、例えば事務所は、α=0.03〜0.0
7、病院は0.009〜0.02等である。
【0104】ビルや工場等の建物は、1構内に複数設置
されている場合がある。このとき、1建物に対するリス
ク曲線をユニットのリスク曲線という。また、1構内に
ある複数ユニットのリスク曲線を合計(積分)して得ら
れたリスク曲線を構内のリスク曲線という。さらに、地
理的に離れた複数構内に対して構内のリスク曲線を合計
して得られたリスク曲線を複数構内のリスク曲線とい
う。
【0105】ここで、ユニットのリスク曲線を例に説明
する。ユニットは、防火壁や防火戸、間仕切壁や間仕切
扉によって仕切られた(火災)区画から構成される。い
ずれの区画においても火災発生が想定される。このと
き、特定の区画での火災発生を想定して、建物火災評価
モジュール31で、火災発生後の経過時間と延焼面積
(の拡大)の関係を求める。この関係は、例えば消火設
備による消火活動や消防隊が間に合うかどうかの確率を
算出するために使用する。こうして、特定の区画での火
災発生に対して、延焼面積(の拡大)とその発生確率の
関係が算出される。延焼面積の変わりに、延焼面積にそ
の単価(単位面積当たりの資産価値)で重み付けした値
を使用すれば、焼損資産(の拡大)とその発生確率の関
係が算出される。これらの計算をユニットの全ての区画
に対して実行して、最後にこれらを合計(積分)するこ
とによって、ユニットのリスク曲線が得られる。なお、
ここでは、延焼面積と年間超過確率の関係や焼損資産と
年間超過確率の関係をリスク曲線と総称した。
【0106】火災リスク評価用データとは、建物全体や
セル毎の火災発生頻度、自火報、スプリンクラー設備、
消火器、屋内外消火栓、排煙設備、空調設備、自衛消防
ポンプ等の防災設備に関わるデータ、初期対応者の数や
習熟度等の初期消火活動従事者に関わるデータ、出火箇
所と防災センターとの距離等の初期消火活動開始までの
時間に関わるデータ、設備特性データ(設備の維持管理
の良否等)、近くの消防署までの距離等消防署による消
火活動に関わるデータ、防災設備や消防署による消火活
動の成否に関わる信頼性データ、等のデータである。
【0107】すなわち、火災リスク評価用データは、火
災の進展挙動に対して、消火活動を加味したときに、ど
の程度の可能性、すなわち確率で火災の延焼面積が拡大
していくかの評価、すなわち火災のリスク評価に必要な
データである。
【0108】具体的には、建物の火災発生頻度や区画毎
に火災発生頻度を配分するためのデータ、自火報、スプ
リンクラー設備、消火器、屋内/外消火栓、排煙設備、
空調設備および自衛の消防ポンプ等の防災設備に関わる
データ、初期対応者の人数や習熟度、初期消火活動のた
めの移動距離および近くの消防署までの距離等消火活動
に関わるデータ、防災設備の信頼性に関わる管理特性等
のデータである。
【0109】以下、この建物火災リスク評価装置の動作
を説明する。この建物火災リスク評価装置の場合、PC
上で建物火災リスク評価制御部1を起動すると、図2に
示すようなメインメニュー画面が表示される。
【0110】このメインメニュー画面には、既に作成さ
れているデータの一覧が表示されており、リストボック
スに登録された建物番号および建物名称により、入力デ
ータおよび解析結果が一緒に管理されている。
【0111】また、このメインメニュー画面内の右側部
分には、データ作成ボタン、計算の実行ボタン、計算結
果のグラフ表示ボタンが表示されており、それぞれのボ
タンをクリック操作することによって、入力データの作
成、計算の実行、計算結果のグラフ表示の機能を呼び出
してその機能を実行することができる。
【0112】また、このメインメニュー画面下部には、
新規、修正、削除、インポート、コピーおよび終了等の
各ボタンが表示される。これらのボタンは、データの作
成を行う上で、新規データの作成、旧データの修正、旧
データの削除、他形式のデータをインポート、旧データ
をコピーするためのボタンである。特に、コピーボタン
は、旧データをコピーして、それを基に、新規データを
作成するためのものである。
【0113】このメインメニュー画面の、例えばデータ
作成ボタンをクリック操作すると、図3に示すような入
力データ作成画面が表示される。この入力データ作成画
面には、解析対象となり得る建物に関する多数のパラメ
ータ設定ボタン、つまりデータチェックボックスが設け
られている。
【0114】入力変数は、グループ分けされており、各
グループのデータが正しいことが確認できた場合にデー
タチェックボックスをクリックすることによりチェック
マークが表示され、データが確認済みであることが一目
で判る。
【0115】これらデータチェックボックスのうち、例
えば建築物特性データのデータチェックボックスがクリ
ックされると、図4に示すような建築物特性データ設定
画面が表示される。
【0116】この建築物特性データ設定画面は、このグ
ループに属する変数名と変数の意味と値を入力するため
の画面であり、建築物特性に関する詳細なデータ入力ボ
ックスが多数設けられている。各データ入力ボックスに
は、予め設定されているデフォルト値が表示される。
【0117】従って、使用者は、デフォルトの値をその
まま利用し、デフォルトから変更したい変数の値のみを
入力するだけでそのグループのデータ入力を済ませるこ
とができる。こうして得られるデフォルト値あるいはデ
フォルトから変更入力により得られたデータを、建物固
有の入力データセットとして作成することができる(請
求項6に対応)。
【0118】なお、上記メインメニュー画面の、コピー
ボタンをクリック操作すると、ファイルのコピーによ
り、既に作成されているデータの複製を作ることができ
る。また、メインメニュー画面の、インポートボタンを
クリック操作すると、例えばCSV形式等のデータ(テ
キスト形式のデータ)をこのソフトウェアのデータ形式
に変換して用いることもできる。
【0119】こうして、ある建物に対して建物火災リス
ク評価に必要なデータが1セット入力されると、この1
セットのデータは入力ファイル管理機能12によりデー
タベース2に格納されて管理される。
【0120】図1に示したメインメニュー画面の計算の
実行ボタンがクリックされると、解析作動機能13が起
動し、データベース2に管理されている入力データ(入
力ファイル)を用いた建物火災リスク解析処理を建物火
災リスク解析部3に実行させる。
【0121】建物は、耐火壁/間仕切壁や防火戸/間仕
切壁によって区画に分割され、この区画は1乃至複数の
セルから構成される。
【0122】建物火災リスク解析部3では、建物火災評
価モジュール31が、こうしたセルを計算単位として火
災の延焼進展挙動を解析する。
【0123】具体的に、建物火災評価モジュール31
は、特定セルでの火災発生を前提に、その後の火災進
展、すなわち火災フェーズ1〜8までの延焼挙動を解析
する。
【0124】この延焼挙動の解析結果として、火災発生
後の経過時間と延焼面積の拡大、厳密には、いずれのセ
ルが延焼していくかが計算される。この火災の延焼進展
挙動のディジタルデータは、ファイルとしてデータベー
ス2に格納される。
【0125】また、建物内では、資産の配分状況がセル
によって相違する。このことから、建物火災評価モジュ
ール31では、単に、延焼面積が時間の経過とともにど
のように拡大していくかだけではなく、延焼していくセ
ルの特定も行うことで、火災発生後の経過時間と焼損額
の拡大の様相も計算される。
【0126】この計算結果として、建物火災評価モジュ
ール31からは、火災発生後の経過時間と延焼面積の関
係のディジタルデータと、火災発生後の経過時間と焼損
額の関係のディジタルデータとが火災リスク評価モジュ
ール32に出力される。
【0127】火災リスク評価モジュール32では、建物
火災評価モジュール31から入力された2つのディジタ
ルデータを用いて、セルでの火災発生の可能性、すなわ
ち火災発生頻度を前提にした建物のリスクが計算され
る。なお、リスクとは、火災による焼損額と年間超過確
率の関係を意味する。また、火災による焼損面積と年間
超過確率の関係も含めて(便宜上のため)リスクという
ことにする。
【0128】なお、年間超過確率とは、一般に、パラメ
ータx(焼損額や焼損面積)に対して、x=aを超える
火災の1年当たりの発生確率をいう。
【0129】従って、火災リスクの計算とは、ある焼損
額または焼損面積に対して、対応する年間超過確率を計
算することと同一である。
【0130】火災がある焼損面積(または焼損額)にて
収まる確率は、火災発生頻度、防災設備の成否、消火活
動の成否等に依存する。これらの成否のデータ、すなわ
ち設備の信頼性等のデータに加えて、消火活動等、人の
操作による消火の成否は時間余裕がどの程度あるかに依
存する。このため、建物火災評価モジュール31にて計
算した火災発生後の経過時間と延焼面積の関係を使用し
てこうした成否の確率を算出する。これらの確率を加味
することによって火災による焼損面積と年間超過確率の
関係が計算される。
【0131】建物火災評価モジュール31により得られ
た火災発生後の経過時間と延焼面積との関係、および火
災発生後の経過時間と焼損額との関係、並びに火災リス
ク評価モジュール32により得られた火災による焼損面
積と年間超過確率の関係、および火災による焼損額と年
間超過確率の関係との関係の各ディジタルデータ(ディ
ジタル値)がデータベース2に出力ファイルとして格納
される。
【0132】ここで、図2のメインメニュー画面の計算
結果のグラフ表示ボタンがクリック操作されると、解析
結果の作図機能14が起動する。
【0133】解析結果の作図機能14は、データベース
2のディジタルデータを読み出し作図処理を実行する。
これにより、例えば建物火災評価モジュール31により
計算された火災の延焼進展挙動のディジタルデータか
ら、図5〜図8に示すように、建物の各階の時系列的な
延焼面の燃え広がり具合がグラフィカルに表示される
(請求項8に対応)。
【0134】図5は4階建のビルの1階のある区画、例
えばセルPから出火した際のtime=0の時点の焼損各階
の焼損状況を示している。「セル」とは、解析対象であ
る建物の火災解析を実施するため分割した基本計算単位
空間を意味し、通常は、建物中の1部屋(または間仕切
りされた1空間)を1セルに設定して計算するが、部屋
または空間を複数のセルに分割して表現しても良い。ま
た、図中、はフェーズ1、はフェーズ2、はフェ
ーズ3、はフェース4、はフェーズ5、はフェー
ズ6、はフェーズ7、はフェース8を示す。
【0135】この図5のように、time=0の時点では、
1階の出火元のセルPのみがフェーズ1で焼損し始めた
ことが解る。
【0136】図6はtime=1000secの時点の焼損
状況を示しており、出火元のセルPはフェーズ8に達
し、このセルPの左右のセルもフェーズ4,5に至り、
さらに1階だけでなく、セルPの真上の2階のセルもフ
ェーズ4で延焼していることが解る。
【0137】図7はtime=5000secの時点の焼損
状況を示しており、1階,2階の多くのセルが既にフェ
ーズ4以上に達し、3階の一部のセルもフェーズ4とな
り、延焼範囲が上階へ着実に広がっていることが解る。
【0138】図8はtime=10000secの時点の焼
損状況を示しており、1階の全域でフェーズ4以上、2
階のほぼ全域でフェーズ4以上、3階の一部のセルもフ
ェーズ8に至り、4階もフェーズ4以上の区域が多くな
ってきたことが解る。
【0139】なお、上記グラフィック表示の例では、特
許出願の制限事項から各セルにフェーズ番号を付して延
焼状況を示したが、この他、各セルをフェーズに応じて
色分けしたり棒グラフ等にすることで、より延焼状況が
視認し易くなる。
【0140】また、延焼状況を時系列的に順時表示、つ
まりアニメーション表示したり、これらの表示の仕方を
組み合わせ、例えば部屋の温度と火災のレベルを同時に
表現する等、複数の異なる情報を同時表示することによ
って、火災現象を、ユーザに、より理解し易い形態で表
現することも可能である。
【0141】また、本実施の形態では、予め建物火災リ
スク評価制御部1に解析結果の作図機能14を組み込ん
でおいたが、建物火災リスク評価制御部1とは別に、汎
用ソフトを使用し、ファイルに格納したディジタルデー
タを汎用ソフトに読み込ませて図式化(グラフィック表
示)しても良い。
【0142】これらの解析結果の図面やデータは、解析
結果の管理機能15により、データベース2に、入力フ
ァイルと対応させる形で管理される。
【0143】ここで、図9を参照して建物火災の解析処
理と確率論的リスク評価処理について説明する。
【0144】建物火災評価モジュール31および火災リ
スク評価モジュール32は、まず、データベース2から
解析および評価に使用するデータ(建物構造、配置、防
火設備、消火活動等のデータ)を読み込む(S1)。
【0145】建物火災評価モジュール31は、まず、出
火セルパラメータの指定を促す。例えばN階建ての建物
の場合、出火階kと(S2)、各フロアを基本計算単位
に分割した複数個のセルの中の出火セル(m,n)とを
指定する(S3)。一つの建物には、多数(m×n×
k)のセルの集まりとし、それぞれのセルから出火する
ことを想定して解析を行う。
【0146】出火セルパラメータが指定されると、続い
て、建物火災評価モジュール31は、各セルに設置され
ている扉の開閉状況等のパラメータの指定を促す。火災
の延焼挙動は、出火セルを特定した場合にも、防火戸/
間仕切扉の開閉状況によって大きく依存するため、この
パラメータを指定する。
【0147】扉の開閉状況等のパラメータが指定される
と(S4)、続いて、建物火災評価モジュール31は、
建物火災が発生してからいつまで解析するかの時間設定
を促す。なお、この時間は予め固定値で設定しておくこ
とで解析処理時のデータ入力を省くこともできる。
【0148】そして、時間設定が行われたことで、建物
火災評価モジュール31は、読み込んだデータを基に建
物火災解析処理(FIRE:ルーチン名)を実行する
(S5)。
【0149】この建物火災解析処理(FIRE)では、
上記セル毎の最小単位の計算によって、特定の出火セ
ル、特定のパターンに対する火災の延焼挙動、すなわ
ち、火災発生後の経過時間と延焼面積の拡大の関係、並
びに火災発生後の経過時間と延焼セルの拡大の関係とが
求められ、建物火災評価モジュール31から火災リスク
評価モジュール32へ計算結果のディジタルデータが出
力される。具体的には、経過時間対延焼面積、経過時間
対延焼セルの各データが出力される。
【0150】防火戸/間仕切扉は、ある確率で開状態で
あり、残りの確率で閉状態になっているため、火災の延
焼挙動の解析を行った後に、こうした確率による重み付
けを行う必要がある。
【0151】そこで、火災リスク評価モジュール32で
は、データベース2から読み込んだデータと建物火災評
価モジュール31から入力された計算結果のディジタル
データとを基に特定の出火セル、特定のパターンに対す
る延焼面積と年間超過確率を計算する(S6)。つまり
出火階k、出火セル(m,n)の場合の延焼面積と年間
超過確率の関係を求める。この確率計算に使用する主な
データとしては、出火セル毎の火災発生頻度、防災設備
の不効奏確率、消火活動の時間的余裕度等である。
【0152】続いて、火災リスク評価モジュール32で
は、計算した延焼面積と年間超過確率を基に特定の出火
セル、特定のパターンに対する火災リスクを計算する
(S7)。つまり出火階k、出火セル(m,n)の場合
の損害額と年間超過確率との関係を求める。
【0153】これにより、火災リスク評価モジュール3
2からは、火災による延焼面積と年間超過確率の関係、
および火災による焼損額と年間超過確率の関係がディジ
タルデータとして出力される。
【0154】このような特定の出火セルに対する全ての
パターンの解析を終了すると、続いて、火災リスク評価
モジュール32では、これら全てのパターンの火災リス
クを合計する(数値積分する)ことによって、特定のセ
ルを出火セルとしたときの火災リスクが求められる。
【0155】これを繰り返し、この階(フロア)の全て
のセルに渡って計算を終えると、これらを合計すること
によって、その階を出火階としたときの火災リスク(火
災による焼損額と年間超過確率の関係)が計算される
(S8)。
【0156】全ての階に渡って、計算が終了すると、こ
れら全てを合計して、建物(ユニット)の火災リスク
(火災による焼損額と年間超過確率の関係)が計算され
(S9)、計算が終了する。
【0157】以下、上記実施の形態以外で、各請求項に
記載された構成をサポートする実施例を説明する。実施
例として、例えば仮想的にテレビ工場(以下、仮想テレ
ビ工場と称す)を想定し、まず、請求項2に対応する実
施例を説明する。
【0158】図10に示すように、仮想テレビ工場は、
11区画から構成される。各区画間には10枚の扉があ
り、また区画を構成する間仕切壁や防火戸の耐火時間は
図1に示す通りである。解析に際して、仮想テレビ工場
を28セル(7×4)に分割する。
【0159】図10には、各セルの床面積(m2)を表
示している。なお、セル間をどう延焼していくかを示す
ために各セルの位置関係の情報は使用するが、幾何学的
形状は使用しないため、区画の面積を保存するように、
各セルの面積を設定している。
【0160】この仮想テレビ工場に対して火災の延焼挙
動および火災フェーズの超過確率を算出する際に必要に
なる入力条件を図11に示す。
【0161】解析には、火災の設定、出火室の設定、設
備関連、区画関連、消火活動、火災の発生頻度、建屋の
財産額等の入力データが必要であり、図11の通り設定
する。なお、東京消防庁モデルでは、屋外消火栓および
消防ポンプ(消防自動車)は考慮されていないが、この
例では、装備されているものとして想定した。
【0162】仮想テレビ工場について、火災挙動とリス
ク評価を統合した一連の計算を実施し、動作確認を行っ
た結果を説明する。
【0163】この場合、セル数は28であり、扉数は全
部で10枚であるため、どのセルで出火するか、28通
り×(扉全閉鎖1通り+扉1枚開放10通り+扉2枚開
放=45通り)から1568ケースの火災延焼シナリオ
がある。
【0164】それぞれの1ケースに対して、火災挙動が
計算され、そこから得られた「延焼面積と火災発生後の
経過時間の関係」を使用して、「延焼面積と年間超過確
率の関係」が計算される。これらの計算が1568回実
施され、得られた1568本の「延焼面積と年間超過確
率の関係」のリスク曲線を重ね合わせることによって、
仮想テレビ工場の「延焼面積と年間超過確率の関係」が
求められる。これらは、自動的に計算される。
【0165】例えば、セル(5,3,1)で出火したと
き、扉10個が全て閉鎖している場合に、火災挙動が計
算され、延焼面積の広がりは、図12に示すようにな
る。
【0166】すなわち、出火セル(5,3,1)におい
て、火災フェーズが1、2、3と変わっていくタイミン
グ(火災発生後の経過時間、秒)、そのときの延焼面
積、並びにそれ以外のセルへの延焼のタイミング(秒)
が計算される。
【0167】図13には、火災発生後の時間経過に伴
い、各セルの火災フェーズがどのように進展していくか
の出力(一部抜粋)を示す。
【0168】このようにして、1568ケースのうちの
1ケースに対して、延焼面積(厳密には延焼セルも特定
されている)と火災発生後の経過時間の関係が計算され
る。
【0169】次に、上記1ケースに対する確率計算が行
われる。火災の消火は、自動火災報知設備(自火報)が
作動して、余裕時間内に対応行動が開始され、例えば消
火器等の防災設備が作動して(壊れていなくて)、かつ
消火に奏功したとき、火災が消火される。こうした評価
要素は、まとめると次の通りである。
【0170】防災設備の作動確率(スプリンクラー、
自火報、消火器、消火栓、排煙設備、非常電源、防火
戸) 自火報鳴動から火災成長開始までの時間 行動開始までの所要時間(消火器、消火栓、防火戸、
排煙設備、空調、119通報) 対応行動開始の遅れ時間(人員数や習熟度の影響) 初期対応行動の実施確率 消火器、屋内消火栓の奏功確率
【0171】消火器を例にとると、その作動確率は、〜
0.99である。また、消火器による消火行動を行うに
は相応の時間が必要であり、図14に示すように、初期
対応行動の時間が長ければ、消火器使用行動が間に合う
確率が大きくなる。
【0172】火災挙動解析から算出した「延焼面積と火
災発生後の経過時間の関係」から、ある延焼面積に対し
て、その延焼面積に対応する経過時間が解り、この経過
時間を図14の横軸に当てはめて、消火器による消火行
動の累積確率が解る。
【0173】こうして、消火器が作動でき、かつ消火器
による消火行動が間に合った場合に、さらに消火器によ
る消火がある奏功(奏功確率〜0.8)すると、消火に
成功することになる。こうしてある延焼面積に対して、
消火器による消火成功/失敗確率が計算される。
【0174】また、公設消防隊(消防署)による放水開
始時間は、自火報発報後、出火室の確認、119番通
報、近くの消防署までの距離等を基に、仮想テレビ工場
の場合には、図15に示すような累積確率で与えられ
る。
【0175】消火器の例と同様に、火災挙動解析から算
出した「延焼面積と火災発生後の経過時間の関係」か
ら、ある延焼面積に対して、その延焼面積に対応する経
過時間が解り、この経過時間を図15の横軸に当てはめ
て、消防隊による放水開始時間に対応する累積確率が解
る。
【0176】こうした計算を消火器以外の防災設備等に
対しても行うことによって、延焼面積と消火失敗確率が
計算される。あるいは、延焼面積と火災がこの面積を超
えてしまう確率(超過確率)の関係が計算される。
【0177】この超過確率に、出火セルの火災の発生頻
度(〜年間の火災発生確率)をかけると、年間超過確率
を求めることができる。
【0178】このようにして1568ケースのうちの1
ケースに対して、「延焼面積と年間超過確率の関係」が
求められる。
【0179】こうした一連の計算を、仮想テレビ工場の
場合には、1568ケース計算することによって、15
68本の「延焼面積と年間超過確率の関係」が計算され
る。
【0180】最後にこれら1568本の曲線を重ね合わ
せることによって、図16に示すように、仮想テレビ工
場に対する「延焼面積と年間超過確率の関係」が算出さ
れる。
【0181】このようにして仮想テレビ工場に対して、
「延焼面積と(年間)超過確率の関係」(リスク曲線)
が得られる。
【0182】防災設備の構成、区画・間仕切りの耐火時
間、可燃物の密度や内装の種類といったパラメータを変
動させたときに、図16のリスク曲線がどのように変動
するかを調べることによって、消防に使用するコストを
最適化することができる。
【0183】また、例えば、単位面積当たりの資産(円
/m2)が一様であると近似すると、図16の横軸は火
災による焼損額(円)に比例することになる。
【0184】従って、このリスク曲線を積分することに
よって、火災による損害額の年間の期待値を計算でき、
これが火災保険の料率算定に有用な情報となる。
【0185】続いて、請求項3に対応する実施例につい
て説明する。ここでは、請求項2に対応する実施例の説
明に使用した仮想テレビ工場の例に情報を追加する形で
実施例を説明する。
【0186】図17に示すように、この例の仮想テレビ
工場は、11区画から構成され、各区画間に10枚の
扉、区画を構成する間仕切壁や防火戸の耐火時間が設定
されており、一つのフロアを28セル(7×4)に分割
している。
【0187】この例では、新たに、単位面積当たりの資
産価値(万円/m2)が用途に応じて相違するものとし
ている。
【0188】工場の全域に渡って資産価値が一様とする
粗い近似も考えられるが、実用上は、工場内の用途に応
じて火災の延焼による損害は相違すると考えるのが現実
的である。そこで、この実施例では、こうした資産価値
の分布を反映した上で、「火災による焼損額と(年間)
超過確率の関係」(リスク曲線)を計算する。
【0189】火災の延焼挙動および火災フェーズの超過
確率を算出するための入力条件は、請求項2に対応する
実施例で説明した場合と同様である。
【0190】つまり、セル数は28であり、扉数は全部
で10枚であるため、出火区画と扉の開放枚数2枚まで
のケースで計1568ケースのシナリオがある。
【0191】例えば、セル(5,3,1)で出火したと
き、扉10個が全て閉鎖している場合に、図12に示し
たように、火災挙動が計算され、火災フェーズが1、
2、3と変わっていくタイミング(火災発生後の経過時
間、秒)、そのときの延焼面積、並びにそれ以外のセル
への延焼のタイミング(秒)が計算される。
【0192】この時点で、火災発生後の時間経過に伴
い、どのセル(複数)が延焼しているかが計算されてお
り、一方、個々のセルに対する資産価値(円/m2)が
判っている。
【0193】従って、これら2つの情報を重ね合わせる
ことによって、図18に示すように、火災発生後の経過
時間と火災による焼損金額の関係が計算される。
【0194】次に、この1ケースに対して確率計算が行
われる。ここでの手続きは、請求項2に対応する実施例
の場合と同様であるが、この実施例では、「延焼面積と
火災発生後の経過時間の関係」に代えて、「焼損金額と
火災発生後の経過時間の関係」を使用する点が相違す
る。
【0195】例えば、図14に示した消火器使用行動が
間に合う確率を計算するには、火災挙動解析から算出し
た「焼損金額と火災発生後の経過時間の関係」から、あ
る焼損金額に対して、その焼損金額に対応する経過時間
が解り、この経過時間を図14の横軸に当てはめること
で、消火器による消火行動の累積確率が解る。
【0196】こうして、消火器が作動でき、かつ消火器
による消火行動が間に合った場合に、さらに消火器によ
る消火が奏功(奏功確率〜0.8)すると、消火に成功
することになる。こうしてある焼損金額に対して、消火
器による消火成功/失敗確率が計算される。
【0197】消火器以外の防災設備等に対しても同様に
計算して、焼損金額と消火失敗確率が計算される。ある
いは、焼損金額と火災がこの焼損金額を超えてしまう確
率(超過確率)の関係が計算される。
【0198】この実施例では、請求項2に対応する実施
例と同様に、この超過確率に、出火セルの火災の発生頻
度(〜年間の火災発生確率)をかけることで、年間超過
確率を求める。
【0199】このようにして1568ケースのうちの1
ケースに対して、「焼損金額と年間超過確率の関係」を
計算する。一連の計算を、1568ケース分計算して、
これらを重ね合わせることによって、図19に示すよう
な仮想テレビ工場に対する「焼損金額と年間超過確率の
関係」が求められる。
【0200】このようにして、この実施例においても仮
想テレビ工場に対して、「焼損金額と(年間)超過確率
の関係」(リスク曲線)が得られる。
【0201】防災設備の構成、区画・間仕切りの耐火時
間、可燃物の密度や内装の種類といったパラメータを変
動させたときに、リスク曲線がどのように変動するかを
調べることによって、防災に使用するコストを最適化す
ることが可能である。
【0202】また、このリスク曲線を積分することによ
って、火災による損害額の年間の期待値を計算でき、こ
れが火災保険の料率算定に有用な情報になる。
【0203】さらに、火災保険の料率算定における免責
限度額や支払限度額の設定、火災の点からのリスクマネ
ジメント方針の策定に利用することができる。
【0204】図20に出力ファイルの例を示す。同図に
示すように、出力ファイルには、例えば、建物面積に対
する焼損面積の割合、建物総額に対する焼損額の割合
(建物全体の財産額に対する焼損した財産額の割合)、
出火を前提とした焼損面積、出火を前提とした焼損財産
額(円)、超過確率、年間超過確率、累積超過確率、累
積超過頻度等のデータが出力される。
【0205】次に、請求項4に対応する実施例を説明す
る。上記実施の形態の建物火災評価モジュール31は、
「火災発生後の経過時間と焼損額の関係」を求めて、デ
ィジタルデータとして出力し、ファイルに格納、あるい
はグラフ表示するものであるが、この実施例では、一旦
求めた「火災発生後の経過時間と焼損額の関係」に対し
て、例えば壁面を強化する等して建物に防災対策を施し
た場合に、建物構造のデータを変更し、再計算して得ら
れたディジタルデータをあわせて表示する。
【0206】つまり、図21に示すように、壁を強化し
た場合の再評価データ(対策後のデータ)と現状の仮想
テレビ工場の場合のデータ(対策前のデータ)とを同一
画面上にグラフ表示する。
【0207】これにより、防災対策を行うか否かによっ
て異なる火災保険の料率、免責限度額や支払限度額等
を、例えば保険会社から建物の所有者に提示し、投資対
効果を定量的に明示でき、適切な改善策を提案する等、
リスクコンサルテーションに利用することができる。
【0208】続いて、請求項5に対応する実施例につい
て説明する。この実施例は、仮想ビルを想定した実施例
である。この実施例の仮想ビルは、4階建であり、1階
〜4階の各階は、図22に示すように、正方形で示した
10区画とやや大きめの1区画の計11区画から構成さ
れている。なお、図22に記した各セル座標は、だいひ
ょうてきに1階のセルについて示したものである。
【0209】区画間には8枚の扉があり、また区画を構
成する間仕切壁や扉の位置は、図のマーク○、△に示す
位置である。マーク△は開口8m2、マーク○は開口5
2の扉を示す。
【0210】解析に際して、この仮想ビルを120セル
(5×6×4)に分割する。各セルの面積は、図23に
示す値であるものと仮定する。
【0211】この実施例の場合も、請求項2に対応する
実施例と同様に、火災の延焼挙動および火災フェーズの
超過確率を算出する際に必要になるデータとして、火災
の設定、出火室の設定、設備関連、区画関連、消火活
動、火災の発生頻度、建屋の財産額等のデータを入力す
る。
【0212】既に上記実施の形態で説明したように、こ
の建物火災リスク評価装置には、外壁への開口部や階段
室、また、天井や床を介して上階や下階に火災が延焼し
ていくモデルが組み込まれている。
【0213】セル数は120であり、扉はこの計算では
閉鎖していると仮定した。なお、扉の開放を考える場合
も同様である。
【0214】従って、この場合には、120ケースに対
して、建物火災リスク解析部3にて火災挙動が計算さ
れ、この計算によって得られた「延焼面積と火災発生後
の経過時間の関係」を使用して、「延焼面積と年間超過
確率の関係」が計算される。
【0215】例えば図24に示すように、2階のセル
(3,3,2)で出火したとき、火災挙動が計算され、
火災発生後の経過時間に伴い、火災が同一階の他セル、
上階や下階のセルへの延焼が計算される。
【0216】すなわち、出火セル(3,3,2)におい
て、火災フェーズが1、2、3と変わっていくタイミン
グ(火災発生後の経過時間、秒)、そのときの延焼面
積、並びにそれ以外のセルへの延焼のタイミング(秒)
が計算される。
【0217】このようにして120ケースのうちの1ケ
ースに対して、延焼面積(厳密には延焼セルも特定され
ている)と火災発生後の経過時間の関係が計算される。
【0218】次に、この1ケースに対する確率計算が行
われる。この部分の計算は、請求項2に対応する実施例
に記載の内容と同様である。
【0219】こうして、延焼面積と火災がこの面積を超
えてしまう確率(超過確率)の関係が計算される。ま
た、この超過確率に、出火セルの火災発生頻度(〜年間
の火災発生確率)をかけることで、年間超過確率が求め
られる。
【0220】このようにして120ケースのうちの1ケ
ースに対して、「延焼面積と年間超過確率の関係」が求
められる。
【0221】こうした一連の計算を、仮想ビルの場合に
は、120ケース分計算することによって、120本の
「延焼面積と年間超過確率の関係」が計算される。
【0222】これら120本の曲線を、階(フロア)毎
に、この場合には30本(=x方向5×y方向6)を重
ね合わせることによって、図25に示すように、特定の
階(フロア)での出火を想定したときの「延焼面積と
(年間)超過確率の関係」を求めることができる。
【0223】さらに、仮想ビル全てに渡って、この場合
には120本(=30本/階×4階)を重ね合わせるこ
とによって、図26に示すように、仮想ビルに対する
「延焼面積と年間超過確率の関係」が求められる。
【0224】このように仮想ビルに対して、「延焼面積
と(年間)超過確率の関係」が得られる。また、請求項
3に対応する実施例との組み合わせによって、「火災に
よる焼損額と(年間)超過確率の関係」も同様に得られ
る。
【0225】防災設備の構成、区画・間仕切りの耐火時
間、可燃物の密度や内装の種類といったパラメータを変
動させたときに、こうしたリスク曲線がどのように変動
するかを調べることによって、高層ビルに対して、消防
に使用するコストを最適化することができる。このリス
ク曲線を積分することによって、火災による損害額の年
間の期待値を計算でき、この計算結果が高層ビルに対す
る火災保険の料率算定に有用な情報となる。
【0226】続いて、請求項7に対応する実施例につい
て説明する。この実施例は、仮想テレビ工場の例であ
り、請求項3に対応する実施例に準じて実施例を説明す
る。
【0227】仮想テレビ工場を対象に、請求項3に対応
する実施例では、単位面積当たりの資産価値(円/
2)が工場内の事務所や倉庫といった用途に応じて相
違するとものした。
【0228】請求項3に対応する実施例はこうした資産
価値の分布(円/m2)を反映した上で、「火災による
焼損額と(年間)超過確率の関係」(リスク曲線)を求
めたものである。
【0229】この請求項7に対応する実施例では、こう
したセル内に収納されている設備・機器等の資産価値の
分布(円/m2)に加えて、建物自体の資産価値(円/
2または円/セル)を考慮する。なお、火災の延焼挙
動および火災フェーズの超過確率を算出するための入
力、並びに火災の延焼挙動の計算手続き等は、請求項3
に対応する実施例と同様である。
【0230】火災発生後の時間経過に伴い、どのセル
(複数)が延焼しているかが計算され、一方、個々のセ
ル内にある資産価値(円/m2)、並びに個々のセルの
建物としての資産価値(円/m2または円/セル)が判
っている。
【0231】従って、これら2つの情報を重ね合わせる
ことによって、火災発生後の経過時間と火災による焼損
金額の関係が求められる。
【0232】以下は、請求項3に対応する実施例と同様
に、セル内の資産とセル自体の資産を併せた資産価値を
対象に、仮想テレビ工場に対する「焼損金額と年間超過
確率の関係」が求められる。
【0233】こうして得られたリスク情報、すなわち、
焼損金額と年間超過確率の関係の曲線には、建物内にあ
る資産と建物自体の資産価値の両方が考慮されているこ
とから、防災に使用するコストの最適化、火災保険の料
率算定、免責限度額や支払限度額の設定、並びに火災の
点からのリスクマネジメント方針の策定に一層効果的に
利用できる。また、建物内にある資産が流動的であり、
建物自体の資産価値を対象に火災による資産損失リスク
を見たい場合や建物内にある資産の流動性の影響を感度
解析によって調べる、等の保険業務を行う上で効率的で
ある。
【0234】以下、請求項9に対応する実施例について
説明する。この実施例においては、上述した請求項3の
実施例において、建物内の外気に接していない区画が成
果火災になった時点から、この区画の周囲の壁が崩壊す
るまでの耐火時間を、図示しない入力手段によって入力
する。例えば、耐火変数を表す変数として、上記従来の
技術の項の1.3節において説明した一般的な耐火時間
設定により規定される変数[igrade]を導入することとす
る。すなわち、セル(m,n,k)における方向lに存
在する壁(あるいは床や天井)に対しての耐火時間を表
す変数igrade(m,n,k,l)の値を、その壁などが有する耐
火性能に応じて、以下のように定める。 igrade(m,n,k,l)=0 耐火構造の壁(+甲種防火戸)の場合 =1 防火構造の壁(+乙種防火戸以上)の場合 =2 不燃間仕切り壁(+不燃扉以上)の場合 =3 上記以外の間仕切り壁(+扉)の場合 =4 扉開放状態の場合 ここで、方向lは、l=1が東、2が西、3が北、4が
南、5が天井、6が床を表すものとする。こうして定め
られた igrade(m,n,k,l) の値に応じて、=0のときtim
e=3600sec、1のときtime=1200sec、
2のときtime=600sec、3のときtime=300s
ec、4のときtime=0secを、それぞれの耐火時間
とする。こうしてigrade(m,n,k,l) の値の指定によって
入力される、各セル毎各方位毎に決まる耐火時間を、デ
ータベース2の建物火災評価用データのひとつのパラメ
ータとして格納し、このパラメータに基く詳細な耐火時
間設定を考慮した解析を、上述した請求項3に対応する
実施例に基づいて行う。
【0235】続いて、請求項10に対応する実施例につ
いて説明する。この実施例は、仮想テレビ工場を例にし
た実施例である。この実施例の仮想テレビ工場は、図1
7に示したように、11区画から構成されている。各区
画間には10枚の扉があり、また区画を構成する間仕切
壁や防火戸の耐火時間は、図中の壁位置に示した各
( )内の数値である。解析に際して、仮想テレビ工場
を28セル(7×4)に分割する。
【0236】図17には、各セルの床面積(m2)が表
示されている。なお、セル間をどう延焼していくかを示
すために各セルの位置関係の情報は使用するが、幾何学
的形状は使用しないため、区画の面積を保存するよう
に、各セルの面積を設定している。また、単位面積当た
りの資産価値(万円/m2)が併せて表示されている。
【0237】火災の延焼挙動および火災フェーズの超過
確率を算出する際に必要になる入力は、請求項2に対応
する実施例に記載の通りであり、例えば火災の設定、出
火室の設定、設備関連、区画関連、消火活動、火災の発
生頻度、建屋の財産額等のデータである。
【0238】セル数は28であり、扉数は全部で10枚
であるため、出火区画と扉の開放枚数2枚までのケース
で計1568ケースのシナリオがある。
【0239】建物火災リスク解析部3では、個々のケー
スに対して、火災挙動が計算され、そこから得られた
「延焼面積と火災発生後の経過時間の関係」を使用し
て、「延焼面積と年間超過確率の関係」が計算される。
【0240】これらの計算が1568回実施され、得ら
れた1568本の「延焼面積と年間超過確率の関係」の
曲線を重ね合わせることによって、仮想テレビ工場の
「延焼面積と年間超過確率の関係」が求められる。これ
らの計算は、自動的に実行される。
【0241】例えばセル(5,3,1)で出火したと
き、扉10個が全て閉鎖している場合に、火災挙動が計
算され、図27に示すような延焼面積の広がりとなる。
【0242】すなわち、出火セル(5,3,1)におい
て、火災フェーズが1、2、3と変わっていくタイミン
グ(火災発生後の経過時間、秒)、そのときの延焼面
積、並びにそれ以外のセルへの延焼のタイミング(秒)
が計算される。
【0243】このようにして1568ケースのうちの1
ケースに対して、延焼面積(厳密には延焼セルも特定さ
れている)と火災発生後の経過時間の関係が計算され
る。
【0244】次に、この1ケースに対する確率計算が行
われる。請求項2に対応する実施例に説明した通り、火
災の消火は、防災設備や初期対応行動、公設消防車等の
作動確率や実施確率、奏功確率等から決まる。火災消火
に成功か失敗か、言い換えれば、火災フェーズが進展し
ていくか(消火され)収束するかの確率を計算するため
に、この実施例では、信頼性工学の分野で広く使用され
ているフォールトツリー解析手法およびイベントツリー
解析手法を使用する。
【0245】以下に、フォールトツリー解析手法および
イベントツリー解析手法の使用例を説明する。まず、火
災フェーズのモデル化について説明する。イベントツリ
ー解析は、途中の防災活動や緩和活動が成功した場合と
失敗した場合のシナリオをイベントツリーで表現し、そ
れぞれのシナリオの発生確率(または発生頻度)を評価
する手法である。
【0246】火災リスク評価では、火災が各フェーズで
とどまるかそれ以上のフェーズに進展するかを評価する
ため、イベントツリー解析を使用できる。
【0247】ここでは、仮想テレビ工場の電気室〔セル
(4,4)〕から出火した場合についてフェーズ6に至るま
での事象進展を図27のイベントツリーでモデル化し
て、火災が発生した場合の1〜6までの各フェーズに至
る確率を定量評価する例について説明する。なお、説明
を簡単にするために扉は全て閉鎖しているものとする。
【0248】イベントツリーの各分岐は、それぞれの事
象での収束に失敗する確率、この場合には各フェーズの
超過確率に相当する。
【0249】各フェーズの失敗確率は、各フェーズにお
ける防災活動の失敗の組み合わせであるため、フォール
トツリー解析によって評価する。このため、フェーズ1
〜5のそれぞれについて、各フェーズでの防災活動の失
敗を組み合わせた以下のフォールトツリーでモデル化し
た。
【0250】・ フェーズ1超過に対するフォールトツ
リー(図28〜図29) ・ フェーズ2超過に対するフォールトツリー(図30
〜図32) ・ フェーズ3超過に対するフォールトツリー(図33
〜図35) ・ フェーズ4超過に対するフォールトツリー(図36
〜図37) ・ フェーズ5超過に対するフォールトツリー(図38
〜図39)
【0251】次に、火災フェーズ発生確率の定量評価に
ついて説明する。図28〜39のフォールトツリーを定
量評価して、各火災フェーズの超過確率を評価するとと
もに、この評価結果を図27のイベントツリーの分岐確
率とすることにより、火災が発生した場合に各火災フェ
ーズが発生する確率を評価する。
【0252】なお、汎用の信頼性評価支援システムで
も、これらの計算を実施させることができる。
【0253】以下に、各フェースに対するフォールトツ
リー手法による確率計算結果(火災フェーズ超過確率)
と、イベントツリー手法による確率計算結果(火災フェ
ーズ発生確率)を示す。
【0254】
【表3】
【0255】以上説明したように本実施の形態の建物火
災リスク評価装置によれば、建物解析評価を行うにあた
り、火災解析と防災設備の奏功確率を連成して解き、資
産価値の室内分布を考慮して、対象とする建物の火災解
析/確率論的リスク解析を数百回から数万回の計算を行
うことにより、リスクコスト、累積損傷確率が求められ
るので、火災保険料決定のための相対的な指標を与える
ことができ、かつ、建物自体の改良、防災設備強化とそ
の効果を相対的に比較できることから、投資対効果を定
量的に明示でき、適切な改善提案を策定できる手段とし
てリスクコンサルテーション等に利用することができ
る。
【0256】この結果、保険会社の利益として、定量的
リスク評価の信頼性が向上し、火災保険統計データ上で
取り扱えない火災リスクに対し、一層適切な火災保険料
の算出が可能となり、火災保険の引き受けに関して安定
化を図ることができる。
【0257】また、この実施の形態の建物火災リスク評
価装置によれば、建物火災に付随して発生する利益喪失
等の間接損害および建物内の人員に対する死亡・負傷に
よる人的損害に対するリスク評価も可能となり、これら
のリスクも含めた投資対効果を定量的に明示できる。
【0258】さらに、この実施の形態の建物火災リスク
評価装置によれば、評価された火災リスクコストを基
に、建物、およびそれに附随する施設に対し、施設を改
善するために必要な投資費用と改善をしない場合の火災
損失額を被保険者に提示(アドバイス)でき、合理的な
改善策を提案することができる。
【0259】なお、本発明は上記実施の形態のみに限定
されるものではない。上述した実施の形態において記載
した手法は、コンピュータに実行させることのできるプ
ログラムとして記憶媒体に記憶し、各装置に応用した
り、通信媒体により伝送して各種装置に適用することも
可能である。
【0260】この場合、記憶媒体に記憶されたソフトウ
ェア(プログラム)をコンピュータが読み出すことによ
り、各実施の形態における処理が可能になる。なお、本
発明における記憶媒体としては、磁気ディスク、フロッ
ピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディス
ク(CD−ROM、CD−R、DVD等)、光磁気ディ
スク(MO等)、半導体メモリ等、プログラムを記憶で
き、かつコンピュータが読み取り可能な記憶媒体であれ
ば、その記憶形式はいずれの形態であっても良い。
【0261】また、記憶媒体からコンピュータにインス
トールされたプログラムの指示に基づき、コンピュータ
上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)
や、データベース管理ソフト、ネットワークソフト等の
MW(ミドルウェア)等が本実施の形態を実現するため
の各処理の一部を実行しても良い。
【0262】さらに、本発明における記憶媒体は、コン
ピュータと独立した媒体に限らず、LANやインターネ
ット等により伝送されたプログラムをダウンロードして
記憶または一時記憶した記憶媒体も含まれる。
【0263】また、記憶媒体は一つに限らず、複数の媒
体から本実施の形態における処理が実行される場合も本
発明における記録媒体に含まれ、媒体構成はいずれの構
成であっても良い。
【0264】なお、本発明におけるコンピュータは、記
憶媒体に記憶されたプログラムに基づき、本実施の形態
における各処理を実行するものであって、パソコン等の
一つからなる装置、複数の装置がネットワーク接続され
たシステム等のいずれの構成であっても良い。
【0265】また、本発明におけるコンピュータとは、
パソコンに限らず、情報処理機器に含まれる演算処理装
置、マイコン等も含み、プログラムによって本発明の機
能を実現することが可能な機器、装置を総称している。
【0266】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、建
物の構造、仕様に関する条件と火災が発生する条件とを
含む建物火災環境情報と、建物に火災が発生する際のリ
スクに関する情報とが格納された格納手段から建物火災
環境情報を読み出し、火災が発生してから延焼する火災
現象を時系列的に解析し、格納手段からリスクに関する
情報を読み出し、読み出したリスクに関する情報と、解
析された火災現象とを基に建物火災のリスクを確率的に
評価するので、建物の火災保険料を個々の建物の構造お
よびリスクに応じて算定することができる。また、建物
に対して火災保険をかけようとする被保険者に対しより
安全な火災防止・低減対策についてのコンサルテーショ
ンを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る一つの実施の形態の建物火災リス
ク評価装置の構成を示す図である。
【図2】この建物火災リスク評価装置におけるメインメ
ニュー画面を示す図である。
【図3】この建物火災リスク評価装置における入力デー
タ作成画面を示す図である。
【図4】この建物火災リスク評価装置における建築物特
性データ設定画面を示す図である。
【図5】建物の各階の時系列的な延焼面の燃え広がり具
合をグラフィカルに表示した例(time=0の時点)を示
す図である。
【図6】建物の各階の時系列的な延焼面の燃え広がり具
合をグラフィカルに表示した例(time=1000の時点)を
示す図である。
【図7】建物の各階の時系列的な延焼面の燃え広がり具
合をグラフィカルに表示した例(time=5000の時点)を
示す図である。
【図8】建物の各階の時系列的な延焼面の燃え広がり具
合をグラフィカルに表示した例(time=10000の時点)
を示す図である。
【図9】この建物火災リスク評価装置における建物火災
の解析処理と確率的リスク評価処理を示すフローチャー
トである。
【図10】サンプル計算のために想定した仮想テレビ工
場の建屋形状とフロア構成(実施例)を示す図である。
【図11】仮想テレビ工場の解析のための入力条件を示
す図である。
【図12】延焼面積と火災発生後の経過時間の関係(仮
想テレビ工場、出火室限定)を示す図である。
【図13】セル(5,3,1)から出火したことを想定
した場合の火災挙動の計算結果の一例(出力データ抜
粋)を示す図である。
【図14】初期対応行動(消火器使用行動が間に合う)
確率を示す図である。
【図15】消防隊による放水開始時間の分布を示す図で
ある。
【図16】焼損面積と(年間)超過確率の関係(仮想テ
レビ工場の場合)を示す図である。
【図17】サンプル計算のために想定した仮想テレビ工
場の建屋形状とフロア構成(資産価値分布を追加した実
施例)を示す図である。
【図18】火災発生後の経過時間と火災による焼損金額
の関係を示す図である。
【図19】損害額と年間超過確率の関係を示す図であ
る。
【図20】出力ファイルの一例を示す図である。
【図21】壁を強化した場合と現状の仮想テレビ工場の
場合を同一画面上に表示したグラフの一例を示す図であ
る。
【図22】仮想ビルの建屋形状とセル単位に分割された
フロアを示す図である。
【図23】仮想ビルの各セルの面積を示す図である。
【図24】2階のあるセルで出火したときの火災挙動を
示す図である。
【図25】特定のフロアから出火したときの仮想ビルに
対する延焼面積と(年間)超過確率の関係(階毎)を示
す図である。
【図26】特定のフロアから出火したときの仮想ビルに
対する延焼面積と(年間)超過確率の計算結果(ビル全
体)を示す図である。
【図27】電気室からの火災(全扉閉鎖)をイベントツ
リーでモデル化した一例を示す図である。
【図28】フェーズ1超過に対するフォールトツリー
(1/2)を示す図である。
【図29】フェーズ1超過に対するフォールトツリー
(2/2)を示す図である。
【図30】フェーズ2超過に対するフォールトツリー
(1/3)を示す図である。
【図31】フェーズ2超過に対するフォールトツリー
(2/3)を示す図である。
【図32】フェーズ2超過に対するフォールトツリー
(3/3)を示す図である。
【図33】フェーズ3超過に対するフォールトツリー
(1/3)を示す図である。
【図34】フェーズ3超過に対するフォールトツリー
(2/3)を示す図である。
【図35】フェーズ3超過に対するフォールトツリー
(3/3)を示す図である。
【図36】フェーズ4超過に対するフォールトツリー
(1/2)を示す図である。
【図37】フェーズ4超過に対するフォールトツリー
(2/2)を示す図である。
【図38】フェーズ5超過に対するフォールトツリー
(1/2)を示す図である。
【図39】フェーズ5超過に対するフォールトツリー
(2/2)を示す図である。
【符号の説明】
1…建物火災リスク評価制御部、2…データベース、3
…建物火災リスク解析部、31…建物火災評価モジュー
ル、32…火災リスク評価モジュール。
フロントページの続き (72)発明者 田辺 安雄 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内 (72)発明者 大田 修一 神奈川県川崎市川崎区浮島町2−1 株式 会社東芝浜川崎工場内 (72)発明者 山下 正弘 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内 (72)発明者 藤井 正彦 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内 (72)発明者 吉岡 律夫 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内 (72)発明者 植松 憲司 東京都千代田区神田駿河台三丁目11番地 株式会社インタリスク内 (72)発明者 岩間 一雄 東京都千代田区神田駿河台三丁目11番地 株式会社インタリスク内 (72)発明者 小柴 利夫 東京都千代田区神田駿河台三丁目11番地 株式会社インタリスク内 Fターム(参考) 5B049 AA06 BB46 CC00 EE03 5B055 CA00 CB05 CC00

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 建物の構造、仕様に関する条件と火災が
    発生する条件とを含む建物火災環境情報と、前記建物に
    火災が発生する際のリスクに関する情報とが格納された
    格納手段と、 前記格納手段に格納されている建物火災環境情報を基
    に、前記建物内部に火災が発生してから延焼する火災現
    象を時系列的に解析する解析手段と、 前記解析手段により解析された火災現象と前記格納手段
    に格納されているリスクに関する情報とを基に建物火災
    のリスクを確率的に評価する評価手段とを具備したこと
    を特徴とする建物火災リスク評価装置。
  2. 【請求項2】 建物の構造、仕様に関する条件と火災が
    発生する条件とを含む建物火災環境情報と、前記建物に
    火災が発生する際のリスクに関する情報とが格納された
    格納手段と、 前記格納手段に格納されている建物火災環境情報を基
    に、前記建物内部に火災が発生してから延焼する火災現
    象を時系列的に解析する解析手段と、 前記解析手段により解析された火災現象と前記格納手段
    に格納されているリスクに関する情報と前記建物内の消
    火機器および/または消火設備の設置状況、消火活動を
    行う際の時間的余裕度を含む各種パラメータとを基に建
    物火災のリスクを確率的に評価する評価手段とを具備し
    たことを特徴とする建物火災リスク評価装置。
  3. 【請求項3】 建物内部を仕切る区画の構成情報、各区
    画に配分されている資産の情報を含む建物火災環境情報
    と、建物火災に関するリスクの情報とが格納された格納
    手段と、 前記格納手段に格納されている建物火災環境情報を基
    に、前記建物の各区画を火災発生元とした場合に火災が
    延焼する火災現象を時系列的に解析する解析手段と、 前記解析手段により解析された火災現象と前記格納手段
    に格納されている各区画の資産情報と前記建物火災に関
    するリスクの情報とを基に、建物火災による資産損失の
    リスクを確率的に評価する評価手段とを具備したことを
    特徴とする建物火災リスク評価装置。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3いずれか一記載の建物火
    災リスク評価装置において、 前記解析手段による解析結果あるいは前記評価手段によ
    る評価結果を保存する保存手段と、 前記保存手段に保存された解析結果あるいは評価結果に
    基づき前記建物に対して防火対策を施した場合の再評価
    用のデータを基に前記解析手段および前記評価手段に再
    解析あるいは再評価させた再解析結果あるいは再評価結
    果と、前記保存手段に保存された防火対策前の解析結果
    あるいは評価結果とを数値的あるいは視覚的に比較可能
    な形態で出力する手段とを具備したことを特徴とする建
    物火災リスク評価装置。
  5. 【請求項5】 請求項3記載の建物火災リスク評価装置
    において、 前記解析手段は、 前記建物内のある区画に発生した火災が、隣接する区画
    へ延焼する過程、上下の区画へ延焼する過程、隣接する
    建物へ延焼する過程の中の少なくとも一つの過程を火災
    現象として解析する手段を有することを特徴とする建物
    火災リスク評価装置。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至3いずれか一記載の建物火
    災リスク評価装置において、 前記格納手段に入力する建物火災環境情報、建物火災に
    関するリスクの情報、各種パラメータのデフォルト値が
    設定されたデフォルト値設定手段と、 前記格納手段に格納するデータを入力する際に、前記デ
    フォルト値設定手段のデフォルト値を示してデータの入
    力を促す手段と、 前記デフォルト値あるいは前記データの入力を促す手段
    により入力されたデータを、建物固有の入力データセッ
    トとして前記格納手段に格納するデータ管理手段とを具
    備したことを特徴とする建物火災リスク評価装置。
  7. 【請求項7】 請求項3記載の建物火災リスク評価装置
    において、 前記解析手段は、 前記建物の区画に資産価値情報を追加して解析する手段
    を備え、 前記評価手段は、 資産損失リスクとして火災による損害額を評価する手段
    を具備したことを特徴とする建物火災リスク評価装置。
  8. 【請求項8】 請求項3記載の建物火災リスク評価装置
    において、 前記解析手段により解析された時系列的な火災現象を、
    区画毎あるいは部屋毎の温度または火災のフェーズを視
    覚的に識別可能な形態で表示する表示手段を有すること
    を特徴とする建物火災リスク評価装置。
  9. 【請求項9】 請求項3記載の建物火災リスク評価装置
    において、 建物内の外気に接していない区画が盛期火災になった時
    点から前記区画周囲の壁が崩壊するまでの耐火時間を入
    力する入力手段と、 前記入力手段により入力された耐火時間を前記解析手段
    により解析される建物火災環境情報の一つとして前記格
    納手段に格納する手段とを具備したことを特徴とする建
    物火災リスク評価装置。
  10. 【請求項10】 請求項2記載の建物火災リスク評価装
    置において、 前記評価手段は、 時系列的に進展する火災現象をイベントツリーでモデル
    化する手段と、 消火機器および/または消火設備の設置状況、消火活動
    の奏功確率を含む各種パラメータをフォールトツリーで
    モデル化する手段と、 前記フォールトツリーに基づく確率計算により火災現象
    がある程度で収束する確率を評価するとともに、この評
    価結果をもとにイベントツリーに基づく確率計算により
    ある程度の火災現象が発生する確率を評価する手段とを
    有することを特徴とする建物火災リスク評価装置。
  11. 【請求項11】 建物の構造、仕様に関する条件と火災
    が発生する条件とを含む建物火災環境情報と、前記建物
    に火災が発生する際のリスクに関する情報とが格納され
    た格納手段から前記建物火災環境情報を読み出す段階
    と、 読み出した前記建物火災環境情報を基に、火災が発生し
    てから延焼する火災現象を時系列的に解析する段階と、 前記格納手段からリスクに関する情報を読み出す段階
    と、 読み出したリスクに関する情報と、解析された火災現象
    とを基に建物火災のリスクを確率的に評価する段階とを
    有することを特徴とする建物火災リスク評価方法。
  12. 【請求項12】 コンピュータに処理を実行させるプロ
    グラムを記憶した記憶媒体において、 前記コンピュータに、 入力された建物の構造、仕様に関する条件と火災が発生
    する条件とを含む建物火災環境情報と、前記建物に火災
    が発生する際のリスクに関する情報とを格納させ、 前記建物火災環境情報を基に、前記建物内部に火災が発
    生してから延焼する火災現象を時系列的に解析させ、 解析された火災現象と前記リスクに関する情報とを基に
    建物火災のリスクを確率的に評価させるプログラムを前
    記コンピュータが読み取り可能に記憶したことを特徴と
    する記憶媒体。
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