JP2002147734A - Pcb廃油の処理装置および処理方法 - Google Patents
Pcb廃油の処理装置および処理方法Info
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- JP2002147734A JP2002147734A JP2000347686A JP2000347686A JP2002147734A JP 2002147734 A JP2002147734 A JP 2002147734A JP 2000347686 A JP2000347686 A JP 2000347686A JP 2000347686 A JP2000347686 A JP 2000347686A JP 2002147734 A JP2002147734 A JP 2002147734A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】ダイオキシンの発生を防ぎながらPCB廃油を
効率よく処理する装置および方法を提供する。 【解決手段】カーボンを含有するPCB廃油を供給する
ためのノズル4およびブラウンガスを供給するためのノ
ズル5を設けたPCB反応室2と、該PCB反応室の天
井2aに火格子9を介して連通した反応補助室3とから
なるPCB廃油の処理装置。
効率よく処理する装置および方法を提供する。 【解決手段】カーボンを含有するPCB廃油を供給する
ためのノズル4およびブラウンガスを供給するためのノ
ズル5を設けたPCB反応室2と、該PCB反応室の天
井2aに火格子9を介して連通した反応補助室3とから
なるPCB廃油の処理装置。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、PCB廃油の処理
装置および処理方法に関する。
装置および処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】PCB(ポリ塩化ビフェニル)は、耐熱
・耐薬品性、絶縁性にすぐれるため、かつてコンデンサ
ーやトランスの絶縁体、熱処理用の熱媒体、ペンキや印
刷インクの添加剤などに広範囲に使用されていた。現在
は、その毒性が強いために製造中止されている。それで
も、上記特性ゆえに分解しにくく廃棄処理が極めて困難
な既存PCB廃油の処分が問題となっている。そこで、
PCBの処理方法として、例えば特開平11−2072
90、特開兵1−37440、特開平9−119623
および特開平7−91638に、PCBを焼却処理する
方法が提案されている。
・耐薬品性、絶縁性にすぐれるため、かつてコンデンサ
ーやトランスの絶縁体、熱処理用の熱媒体、ペンキや印
刷インクの添加剤などに広範囲に使用されていた。現在
は、その毒性が強いために製造中止されている。それで
も、上記特性ゆえに分解しにくく廃棄処理が極めて困難
な既存PCB廃油の処分が問題となっている。そこで、
PCBの処理方法として、例えば特開平11−2072
90、特開兵1−37440、特開平9−119623
および特開平7−91638に、PCBを焼却処理する
方法が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、PCB廃油を
比較的低い温度で焼却処理すると、PCBと同じく環境
ホルモンの一種であるダイオキシン(ポリ塩化ジベンゾ
ダイオキシン)が副生してしまう。ダイオキシンは、発
ガン性、皮膚障害、内臓障害、急性及び慢性の毒性、催
奇形性が極めて強い。一方、PCB廃油を高温度(一般
に1400℃以上)で焼却処理すると、ダイオキシンの
副生は緩和するものの、高温度と室内で発生する塩素ガ
スとが炉材を傷める。したがって、本発明の目的は、ダ
イオキシンの発生を防ぎながらPCB廃油を効率よく処
理する装置および方法を提供することにある。
比較的低い温度で焼却処理すると、PCBと同じく環境
ホルモンの一種であるダイオキシン(ポリ塩化ジベンゾ
ダイオキシン)が副生してしまう。ダイオキシンは、発
ガン性、皮膚障害、内臓障害、急性及び慢性の毒性、催
奇形性が極めて強い。一方、PCB廃油を高温度(一般
に1400℃以上)で焼却処理すると、ダイオキシンの
副生は緩和するものの、高温度と室内で発生する塩素ガ
スとが炉材を傷める。したがって、本発明の目的は、ダ
イオキシンの発生を防ぎながらPCB廃油を効率よく処
理する装置および方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者は、上
記課題を解決するために、粉状、粉末状などのカーボン
を含有するPCB廃油を供給するためのノズルおよびブ
ラウンガスを供給するためのノズルを設けた反応室と、
該反応室の天井に火格子を介して連通した反応補助室と
からなるPCB廃油の処理装置を提供する。また、上記
装置を使用してPCB廃油を処理する方法をも提供す
る。それは、PCB反応室内にブラウンガス供給ノズル
からブラウンガスを噴射させて火炎を形成し、該火炎中
にPCB供給ノズルから粉状、粉末状などのカーボンを
含有するPCB廃油を供給してPCB廃油を脱塩素化
し、生成ガスを反応補助室に通した後に排出することを
特徴とする。反応補助室から排出されたガスを再燃焼ガ
スとして利用することもできる。
記課題を解決するために、粉状、粉末状などのカーボン
を含有するPCB廃油を供給するためのノズルおよびブ
ラウンガスを供給するためのノズルを設けた反応室と、
該反応室の天井に火格子を介して連通した反応補助室と
からなるPCB廃油の処理装置を提供する。また、上記
装置を使用してPCB廃油を処理する方法をも提供す
る。それは、PCB反応室内にブラウンガス供給ノズル
からブラウンガスを噴射させて火炎を形成し、該火炎中
にPCB供給ノズルから粉状、粉末状などのカーボンを
含有するPCB廃油を供給してPCB廃油を脱塩素化
し、生成ガスを反応補助室に通した後に排出することを
特徴とする。反応補助室から排出されたガスを再燃焼ガ
スとして利用することもできる。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図面を参照しながら説明する。図1において、1は
PCB廃油の処理装置本体であって、内部に反応室2と
反応補助室3とが形成されている。
て、図面を参照しながら説明する。図1において、1は
PCB廃油の処理装置本体であって、内部に反応室2と
反応補助室3とが形成されている。
【0006】上記反応室2の底部中央には、PCB廃油
の供給手段であるPCB供給ノズル4が設けられてい
る。PCB廃油には予め塊状、粉末状または粒状のカー
ボンを分散、懸濁などして含有させておく。カーボンは
好ましくはススカーボンであり、特に好ましくは粒径が
約0.01μ以下の超微粒子ススカーボンである。PC
B中のカーボン含有率は、ブラウンガス、すなわち、水
素と酸素の化学当量ガス(水素分子1モルに対して酸素
分子1/2モルの割合で混合されたガス)の燃焼により
生成される水蒸気(H2O)をさらにカーボンが還元し
て生ずる水素の量が、PCBの水素化(脱塩素化)およ
び塩素ガスの水素化(HCl)に充分な量となればよ
い。
の供給手段であるPCB供給ノズル4が設けられてい
る。PCB廃油には予め塊状、粉末状または粒状のカー
ボンを分散、懸濁などして含有させておく。カーボンは
好ましくはススカーボンであり、特に好ましくは粒径が
約0.01μ以下の超微粒子ススカーボンである。PC
B中のカーボン含有率は、ブラウンガス、すなわち、水
素と酸素の化学当量ガス(水素分子1モルに対して酸素
分子1/2モルの割合で混合されたガス)の燃焼により
生成される水蒸気(H2O)をさらにカーボンが還元し
て生ずる水素の量が、PCBの水素化(脱塩素化)およ
び塩素ガスの水素化(HCl)に充分な量となればよ
い。
【0007】反応室2には、ブラウンガス供給ノズル5
が設けられている。ブラウンガス供給ノズル5は、図1
のように低部に設置されたPCB供給ノズル4の周囲
に、同心円状に複数、特に3個以上の羽口を設けること
が好ましい。さらには、複数の前記ブラウンガス供給ノ
ズルを斜め内方に向けて配向させ、これらからブラウン
ガスが噴出して発熱反応する噴炎5aが、上記PCB供
給ノズル4上にドーム状火炎を形成して、室内の中央部
に最高温度分布域を作る。
が設けられている。ブラウンガス供給ノズル5は、図1
のように低部に設置されたPCB供給ノズル4の周囲
に、同心円状に複数、特に3個以上の羽口を設けること
が好ましい。さらには、複数の前記ブラウンガス供給ノ
ズルを斜め内方に向けて配向させ、これらからブラウン
ガスが噴出して発熱反応する噴炎5aが、上記PCB供
給ノズル4上にドーム状火炎を形成して、室内の中央部
に最高温度分布域を作る。
【0008】反応室2は、室内での発熱反応に伴う高温
(通常、1000〜1800℃)から装置本体1を保護
するために、当該技術分野で周知の定型又は不定型耐火
物で内張りされる。炉材の寿命は、炉の使用温度が低い
ほど延び、1600℃での炉材耐用期間を1とすると、
例えば1350℃ではその5倍、1000℃でその10
〜20倍に延びる。上記反応室2の底部および下方側部
には、特に粗塊状(径20〜25mm)の耐火材6を充
填敷設することが好ましい。耐火材6には、溶融アルミ
ナ、電融ジルコニアなどの耐熱性粗塊が好ましい。使用
につれ劣化した耐火材6は、容易に新しいものと交換す
ることができる。7は、補助ノズルであって、必要に応
じてブラウンガスまたは酸素ガスが供給される。
(通常、1000〜1800℃)から装置本体1を保護
するために、当該技術分野で周知の定型又は不定型耐火
物で内張りされる。炉材の寿命は、炉の使用温度が低い
ほど延び、1600℃での炉材耐用期間を1とすると、
例えば1350℃ではその5倍、1000℃でその10
〜20倍に延びる。上記反応室2の底部および下方側部
には、特に粗塊状(径20〜25mm)の耐火材6を充
填敷設することが好ましい。耐火材6には、溶融アルミ
ナ、電融ジルコニアなどの耐熱性粗塊が好ましい。使用
につれ劣化した耐火材6は、容易に新しいものと交換す
ることができる。7は、補助ノズルであって、必要に応
じてブラウンガスまたは酸素ガスが供給される。
【0009】上記反応室2には、上記反応補助室3に通
じる上昇通路8を形成し、該上昇通路8に向けて、天井
2aをドーム状に形成する。上記上昇通路8の上部には
火格子9が設けられる。火格子の材質は、通常、溶融ア
ルミナ、電融ジルコニアなどの高温耐火物である。該火
格子9を介して上記反応室2と上記反応補助室3とが連
通している。天井2aの中央部に設けられた火格子9
は、上記反応補助室3の中央底部も構成する。該火格子
の下方周囲は摺鉢状底部10となっている。
じる上昇通路8を形成し、該上昇通路8に向けて、天井
2aをドーム状に形成する。上記上昇通路8の上部には
火格子9が設けられる。火格子の材質は、通常、溶融ア
ルミナ、電融ジルコニアなどの高温耐火物である。該火
格子9を介して上記反応室2と上記反応補助室3とが連
通している。天井2aの中央部に設けられた火格子9
は、上記反応補助室3の中央底部も構成する。該火格子
の下方周囲は摺鉢状底部10となっている。
【0010】反応補助室3は、反応補助室内での発熱反
応に伴う高温(通常、8000〜1400℃)から装置
本体1を保護するために、当該技術分野で周知の定型又
は不定型耐火物で内張りされる。特に、上記火格子9お
よび摺鉢状底部10の上に、粗塊状(径20〜25m
m)の耐火緩衝材11を充填敷設することが好ましい。
これにより、上記上昇通路8および火格子9を通り抜け
る高温気体の上昇流の勢いを弱めるとともに乱流を作
り、直通ガスを最小限に抑えて室内ガス分布が均一化さ
れる。耐火緩衝材11には、溶融アルミナ、電融ジルコ
ニアなどの耐熱性粗塊が好ましい。使用につれ劣化した
耐火緩衝材11は、容易に新しいものと交換することが
できる。12は、排出パイプである。
応に伴う高温(通常、8000〜1400℃)から装置
本体1を保護するために、当該技術分野で周知の定型又
は不定型耐火物で内張りされる。特に、上記火格子9お
よび摺鉢状底部10の上に、粗塊状(径20〜25m
m)の耐火緩衝材11を充填敷設することが好ましい。
これにより、上記上昇通路8および火格子9を通り抜け
る高温気体の上昇流の勢いを弱めるとともに乱流を作
り、直通ガスを最小限に抑えて室内ガス分布が均一化さ
れる。耐火緩衝材11には、溶融アルミナ、電融ジルコ
ニアなどの耐熱性粗塊が好ましい。使用につれ劣化した
耐火緩衝材11は、容易に新しいものと交換することが
できる。12は、排出パイプである。
【0011】以下、上記実施例のPCB廃油の処理装置
による処理方法について説明する。まず、ブラウンガス
供給ノズル5からブラウンガスを反応室2内に噴出させ
燃焼させる。この燃焼は、純酸素による水素燃焼であ
る。この水素燃焼では、プロパン、アセチレンなどの炭
化水素系ガスの燃焼よりもはるかに高温度(1800〜
5000℃)の火炎が容易に得られる。また、本発明で
は、上記のように助燃ガス成分として、空気(O2+N
2)の代わりにブラウンガス中の純酸素が使われるの
で、N2の侵入する機会がなく、よってNOxの発生が
皆無かまたは最小限に抑えられる。また、純酸素(窒素
で希釈されていない)を使用することで、室内総ガス量
も最小にすることができる。室内ガス総量の削減は、P
CBの反応室内滞在時間を延長させ、これは、PCB分
解効率を上げ、炉をコンパクト化できる点で有利であ
る。ブラウンガス(H2+1/2O2)は、燃焼後に再
び水(H2O)となって、上記反応室2内で蒸発して水
蒸気となる。
による処理方法について説明する。まず、ブラウンガス
供給ノズル5からブラウンガスを反応室2内に噴出させ
燃焼させる。この燃焼は、純酸素による水素燃焼であ
る。この水素燃焼では、プロパン、アセチレンなどの炭
化水素系ガスの燃焼よりもはるかに高温度(1800〜
5000℃)の火炎が容易に得られる。また、本発明で
は、上記のように助燃ガス成分として、空気(O2+N
2)の代わりにブラウンガス中の純酸素が使われるの
で、N2の侵入する機会がなく、よってNOxの発生が
皆無かまたは最小限に抑えられる。また、純酸素(窒素
で希釈されていない)を使用することで、室内総ガス量
も最小にすることができる。室内ガス総量の削減は、P
CBの反応室内滞在時間を延長させ、これは、PCB分
解効率を上げ、炉をコンパクト化できる点で有利であ
る。ブラウンガス(H2+1/2O2)は、燃焼後に再
び水(H2O)となって、上記反応室2内で蒸発して水
蒸気となる。
【0012】次に、前記水蒸気が存在する反応室2内
に、予めカーボンを混入分散しておいたPCB廃油を、
PCB供給ノズル4から火炎に向けて噴射する。上記P
CB廃油中に分散しているカーボン(C)は、式
(1): C+H20 → CO+H2 (1) の反応により、上記水蒸気(H20)と反応して、一酸
化炭素(CO)および水素(H2)を生成する。上記反
応は、800℃以上で容易に進み、900〜1100℃
以上で急激に進む。なお、上記反応の際に副生されるC
O2の分圧は、CO分圧に比べて非常に小さい。上記反
応で発生したH2とPCB廃油(RClx)とが、高温
下で式(2): xH2 + 2RClx → 2RHx+ xCl2 (2) 〔式中、Rはビフェニル環を表し、xは2〜10の整数
を表す〕に従って反応する。こうして、PCB中の塩素
が水素と置換されて無害化される。
に、予めカーボンを混入分散しておいたPCB廃油を、
PCB供給ノズル4から火炎に向けて噴射する。上記P
CB廃油中に分散しているカーボン(C)は、式
(1): C+H20 → CO+H2 (1) の反応により、上記水蒸気(H20)と反応して、一酸
化炭素(CO)および水素(H2)を生成する。上記反
応は、800℃以上で容易に進み、900〜1100℃
以上で急激に進む。なお、上記反応の際に副生されるC
O2の分圧は、CO分圧に比べて非常に小さい。上記反
応で発生したH2とPCB廃油(RClx)とが、高温
下で式(2): xH2 + 2RClx → 2RHx+ xCl2 (2) 〔式中、Rはビフェニル環を表し、xは2〜10の整数
を表す〕に従って反応する。こうして、PCB中の塩素
が水素と置換されて無害化される。
【0013】RHx(ビフェニル)の一部あるいは全部
は、その後、容易に熱分解してメタン、エタン、プロパ
ンなどの気体に変わる。
は、その後、容易に熱分解してメタン、エタン、プロパ
ンなどの気体に変わる。
【0014】一方、式(2)の反応で発生した塩素(C
l2)は、上記式(1)の反応で発生した水素(H2)
との次の反応: Cl2 + H2 → 2HCl (3) によって、速やかに安定な塩化水素(HCl)に変わ
る。こうして塩素ガスによる炉材の腐食が防がれる。
l2)は、上記式(1)の反応で発生した水素(H2)
との次の反応: Cl2 + H2 → 2HCl (3) によって、速やかに安定な塩化水素(HCl)に変わ
る。こうして塩素ガスによる炉材の腐食が防がれる。
【0015】上記(1)〜(3)の反応が反応室内で同
時に生起されることで、PCB廃油の分解が効率よく行
われる。上記(1)〜(3)の反応速度は、Cの添加
量、室内温度、PCBの投入速度により調整することが
できる。上記(1)および(3)の反応はともに、発熱
反応である。上記(1)〜(3)の反応は、温度が高い
ほど(例えば1600〜1800℃)、より顕著に進む
が、それより低い温度(例えば1000〜1600℃、
特に1200〜1400℃)でも進行可能である。この
温度範囲は、燃焼ガス成分に炭化水素ガス、助燃ガス成
分に空気を用いてPCB廃油を酸化燃焼する場合に必要
とされる温度(一般に1400℃以上、好ましくは16
00〜1800℃)よりも低い。反応室2内に低温度を
採用することは、上記したように炉材の延命につなが
り、あるいは装置本体1を小型化できる点で工業上有利
である。
時に生起されることで、PCB廃油の分解が効率よく行
われる。上記(1)〜(3)の反応速度は、Cの添加
量、室内温度、PCBの投入速度により調整することが
できる。上記(1)および(3)の反応はともに、発熱
反応である。上記(1)〜(3)の反応は、温度が高い
ほど(例えば1600〜1800℃)、より顕著に進む
が、それより低い温度(例えば1000〜1600℃、
特に1200〜1400℃)でも進行可能である。この
温度範囲は、燃焼ガス成分に炭化水素ガス、助燃ガス成
分に空気を用いてPCB廃油を酸化燃焼する場合に必要
とされる温度(一般に1400℃以上、好ましくは16
00〜1800℃)よりも低い。反応室2内に低温度を
採用することは、上記したように炉材の延命につなが
り、あるいは装置本体1を小型化できる点で工業上有利
である。
【0016】反応室2内を出る混合気体は、水蒸気、水
素、一酸化炭素、塩化水素、ビフェニル、およびビフェ
ニルの熱分解により生じた炭化水素からなり、上昇流と
なって上昇通路8から反応補助室3に入る。該混合気体
は、反応補助室3の耐火緩衝材11によりその上昇の勢
いが弱められる。反応補助室内では、上記(1)〜
(3)の反応が引き続き行われるほかに、RHの熱分解
も行われる。
素、一酸化炭素、塩化水素、ビフェニル、およびビフェ
ニルの熱分解により生じた炭化水素からなり、上昇流と
なって上昇通路8から反応補助室3に入る。該混合気体
は、反応補助室3の耐火緩衝材11によりその上昇の勢
いが弱められる。反応補助室内では、上記(1)〜
(3)の反応が引き続き行われるほかに、RHの熱分解
も行われる。
【0017】排ガスが排出パイプ12を介して処理装置
本体1から排出される。この排ガスには、水蒸気、塩化
水素、一酸化炭素、水素、メタン、エタン、プロパンな
どが含まれる。この排ガスを送風して燃焼ガスとして使
用してもよく、その場合には排ガス中にCO2も含有す
る。
本体1から排出される。この排ガスには、水蒸気、塩化
水素、一酸化炭素、水素、メタン、エタン、プロパンな
どが含まれる。この排ガスを送風して燃焼ガスとして使
用してもよく、その場合には排ガス中にCO2も含有す
る。
【0018】上記排ガスは、適当な熱交換手段(図示せ
ず)により冷却され、水蒸気成分は水に戻る。さらに、
冷却されたガスは、例えば水酸化ナトリウム、炭酸ナト
リウム、水酸化カルシウムなどの塩基性水溶液に通すこ
とで、HClは塩(NaCl,CaCl2)となって除
去される。また、該冷却ガスを水に通すことで、HCl
を水に吸収させることも可能である。
ず)により冷却され、水蒸気成分は水に戻る。さらに、
冷却されたガスは、例えば水酸化ナトリウム、炭酸ナト
リウム、水酸化カルシウムなどの塩基性水溶液に通すこ
とで、HClは塩(NaCl,CaCl2)となって除
去される。また、該冷却ガスを水に通すことで、HCl
を水に吸収させることも可能である。
【0019】
【実施例】ブラウンガス(H2+1/2O2の水素と酸
素との化学当量ガス)を、反応室2底部のPCB供給ノ
ズル4の周囲に同心円状に配置された3本のブラウンガ
ス供給ノズル5から反応室2内へ噴射し、室内中央部に
ドーム状火炎を形成した。そのドーム状火炎の最高温度
域は1800℃以上に達したが、室内平均温度は130
0℃であった。次いで、粒径が0.01μ以下の超微粒
子ススカーボンを、ブラウンガスから生成する水蒸気
(H2O)に対して20モル%になるようにPCB廃油
内に予め懸垂させたカーボン含有PCB廃油を、ノズル
4から室内に一定速度で1時間圧送した。室内では、
(1)カーボンと水蒸気(ブラウンガス燃焼に基づく)
との反応による水素ガスの生成、(2)水素ガスとPC
B廃油との反応による脱塩素化、(3)水素ガスと塩素
ガスとの反応が同時に生起された。上記(1)および
(3)の反応は発熱反応であるために、室内温度は上昇
した。反応室2出口での混合気体の温度は1550℃に
達し、反応補助室3出口での排ガス温度は1400℃に
達した。反応補助室3の出口から排出される排ガスを、
NaOH水溶液に通してHClを除去した。最終排ガス
の温度(CO+H2ガスの温度)は、70℃となった。
最終排ガスには、ダイオキシンおよびNOxは含まれて
いなかった。このガスは、燃焼ガスとして再使用可能で
あった。
素との化学当量ガス)を、反応室2底部のPCB供給ノ
ズル4の周囲に同心円状に配置された3本のブラウンガ
ス供給ノズル5から反応室2内へ噴射し、室内中央部に
ドーム状火炎を形成した。そのドーム状火炎の最高温度
域は1800℃以上に達したが、室内平均温度は130
0℃であった。次いで、粒径が0.01μ以下の超微粒
子ススカーボンを、ブラウンガスから生成する水蒸気
(H2O)に対して20モル%になるようにPCB廃油
内に予め懸垂させたカーボン含有PCB廃油を、ノズル
4から室内に一定速度で1時間圧送した。室内では、
(1)カーボンと水蒸気(ブラウンガス燃焼に基づく)
との反応による水素ガスの生成、(2)水素ガスとPC
B廃油との反応による脱塩素化、(3)水素ガスと塩素
ガスとの反応が同時に生起された。上記(1)および
(3)の反応は発熱反応であるために、室内温度は上昇
した。反応室2出口での混合気体の温度は1550℃に
達し、反応補助室3出口での排ガス温度は1400℃に
達した。反応補助室3の出口から排出される排ガスを、
NaOH水溶液に通してHClを除去した。最終排ガス
の温度(CO+H2ガスの温度)は、70℃となった。
最終排ガスには、ダイオキシンおよびNOxは含まれて
いなかった。このガスは、燃焼ガスとして再使用可能で
あった。
【0020】
【発明の効果】本発明のPCB処理装置及びこれを用い
る処理方法によれば、PCB廃油を完全に分解できる上
に、ダイオキシンおよびNOxを副生しない。ブラウン
ガスの使用は、炉内総ガス量の削減、炉内滞留時間の延
長、炉のコンパクト化に寄与する。また、本発明によれ
ば、低温度も採用でき、従来の燃焼炉に比べて炉の延命
および小型化も可能となる。
る処理方法によれば、PCB廃油を完全に分解できる上
に、ダイオキシンおよびNOxを副生しない。ブラウン
ガスの使用は、炉内総ガス量の削減、炉内滞留時間の延
長、炉のコンパクト化に寄与する。また、本発明によれ
ば、低温度も採用でき、従来の燃焼炉に比べて炉の延命
および小型化も可能となる。
【図1】本発明の一実施例を示す説明断面図である。
1 処理装置本体 2 反応室 2a 天井 3 反応補助室 4 PCB供給ノズル 5 ブラウンガス供給ノズル 5a 噴炎 6 耐火材 7 補助ノズル 8 上昇通路 9 火格子 10 摺鉢状底部 11 耐火緩衝材 12 排出パイプ
【手続補正書】
【提出日】平成12年12月6日(2000.12.
6)
6)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【補正内容】
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者は、上
記課題を解決するために、粉状、粉末状などのカーボン
を含有するPCB廃油を供給するためのノズルおよびブ
ラウンガスを供給するためのノズルを設けた反応室と、
該反応室に連通した反応補助室とからなるPCB廃油の
処理装置を提供する。また、上記装置を使用してPCB
廃油を処理する方法をも提供する。それは、PCB反応
室内にブラウンガス供給ノズルからブラウンガスを噴射
させて火炎を形成し、該火炎中にPCB供給ノズルから
粉状、粉末状などのカーボンを含有するPCB廃油を供
給してPCB廃油を脱塩素化し、生成ガスを反応補助室
に通した後に排出することを特徴とする。反応補助室か
ら排出されたガスを再燃焼ガスとして利用することもで
きる。
記課題を解決するために、粉状、粉末状などのカーボン
を含有するPCB廃油を供給するためのノズルおよびブ
ラウンガスを供給するためのノズルを設けた反応室と、
該反応室に連通した反応補助室とからなるPCB廃油の
処理装置を提供する。また、上記装置を使用してPCB
廃油を処理する方法をも提供する。それは、PCB反応
室内にブラウンガス供給ノズルからブラウンガスを噴射
させて火炎を形成し、該火炎中にPCB供給ノズルから
粉状、粉末状などのカーボンを含有するPCB廃油を供
給してPCB廃油を脱塩素化し、生成ガスを反応補助室
に通した後に排出することを特徴とする。反応補助室か
ら排出されたガスを再燃焼ガスとして利用することもで
きる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2E191 BA13 BC01 BD12 3K078 BA03 BA26 CA02
Claims (4)
- 【請求項1】 カーボンを含有するPCB廃油を供給す
るためのノズルおよびブラウンガスを供給するためのノ
ズルを設けた反応室と、該反応室の天井に火格子を介し
て連通した反応補助室とからなるPCB廃油の処理装
置。 - 【請求項2】 複数の前記ブラウンガス供給ノズルを斜
め内方に向けて配向させ、これらからブラウンガスが噴
出して発熱反応する噴炎が、上記PCB供給ノズル上に
ドーム状火炎を形成するにようにした、請求項1に記載
のPCB廃油の処理装置。 - 【請求項3】 前記反応補助室に溶融アルミナ塊などの
耐熱性粗塊を敷設する、請求項1または2に記載のPC
B廃油の処理装置。 - 【請求項4】 PCB反応室内にブラウンガス供給ノズ
ルからブラウンガスを噴射させて火炎を形成し、該火炎
中にPCB供給ノズルからカーボンを含有するPCB廃
油を供給してPCB廃油を脱塩素化し、生成ガスを反応
補助室に通して排出することからなるPCB廃油の処理
方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000347686A JP2002147734A (ja) | 2000-11-15 | 2000-11-15 | Pcb廃油の処理装置および処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000347686A JP2002147734A (ja) | 2000-11-15 | 2000-11-15 | Pcb廃油の処理装置および処理方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002147734A true JP2002147734A (ja) | 2002-05-22 |
Family
ID=18821373
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000347686A Withdrawn JP2002147734A (ja) | 2000-11-15 | 2000-11-15 | Pcb廃油の処理装置および処理方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2002147734A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003062117A (ja) * | 2001-08-30 | 2003-03-04 | Get:Kk | ダイオキシン類等石炭・石油生成物の処理方法 |
JP2006167634A (ja) * | 2004-12-16 | 2006-06-29 | Jipangu Energy:Kk | 汚泥処理方法及び処理システム |
-
2000
- 2000-11-15 JP JP2000347686A patent/JP2002147734A/ja not_active Withdrawn
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003062117A (ja) * | 2001-08-30 | 2003-03-04 | Get:Kk | ダイオキシン類等石炭・石油生成物の処理方法 |
JP2006167634A (ja) * | 2004-12-16 | 2006-06-29 | Jipangu Energy:Kk | 汚泥処理方法及び処理システム |
JP4526373B2 (ja) * | 2004-12-16 | 2010-08-18 | 株式会社Z・E・T | 汚泥処理方法及び処理システム |
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