JP2002146079A - 熱可塑性樹脂発泡体及びその製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂発泡体及びその製造方法

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JP2002146079A
JP2002146079A JP2000349864A JP2000349864A JP2002146079A JP 2002146079 A JP2002146079 A JP 2002146079A JP 2000349864 A JP2000349864 A JP 2000349864A JP 2000349864 A JP2000349864 A JP 2000349864A JP 2002146079 A JP2002146079 A JP 2002146079A
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thermoplastic resin
weight
pressure
resin
layered silicate
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Application number
JP2000349864A
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English (en)
Inventor
Koji Ichihara
幸治 市原
Kouki Deguchi
好希 出口
Toshio Inamori
俊夫 稲守
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 機械的強度等超高分子量樹脂の有する優れた
特性を十分に発揮しうる熱可塑性樹脂発泡体、及びその
発泡体を効率的に製造することのできる発泡体の製造方
法を提供する。 【解決手段】 粘度平均分子量が50万以上の熱可塑性
樹脂100重量、及び、層状珪酸塩1〜20重量部から
なり、該層状珪酸塩が、厚さ0.5〜30nmのものを
5重量%以上含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱可塑性樹脂発泡
体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】粘度平均分子量が50万以上の熱可塑性
樹脂は、分子量50万未満の熱可塑性樹脂と比較して、
引張強度や耐衝撃性等の力学特性に優れているが、溶融
粘度が高いため、成形方法が圧縮成形等に限られ、成形
品の生産性が極めて悪いという欠点がある。そして、こ
の樹脂を発泡して得られる発泡体も、上述したような優
れた性能を示すことが予想されるが、やはり、高い溶融
粘度のため、安定して発泡体を得るのは極めて難しいも
のであった。
【0003】ところで、特開昭51−70265号公報
には、沸点150℃以上の常態液状物(所謂「液状可塑
剤」)を添加し、分子量30万以上の超高分子量ポリオ
レフィンの発泡体を製造する方法が提案されている。
【0004】しかし、上記の方法によると、得られる発
泡体中に液状可塑剤が残存するため、発泡体の物性が低
下し、そのままでは超高分子量ポリオレフィンの有する
優れた特性を十分に発揮することができず、残存した液
状可塑剤を除去、回収するための工程が必要であった。
【0005】一方で、高い発泡倍率と優れた機械特性を
有する発泡体を得るために、発泡剤及びシランカップリ
ング剤を吸着した粘土化合物を含有するポリプロピレン
系発泡体組成物が知られている(特開平8−14369
7号公報)。
【0006】上記粘土化合物は吸着した発泡剤とシラン
カップリング剤との間で層間化合物を形成し、成形中の
発泡剤の損失を低減できるとしている。
【0007】しかし、上記粘土化合物は、そのままで
は、高分子量の樹脂中で分散させるのは難しく、また、
予め、発泡剤及びシランカップリング剤を粘土化合物に
吸着させておかねばならず、工程が増加するという欠点
もあった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の課題を
解決し、機械的強度等超高分子量樹脂の有する優れた特
性を十分に発揮しうる熱可塑性樹脂発泡体、及びその発
泡体を効率的に製造することのできる発泡体の製造方法
を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明の熱
可塑性樹脂発泡体(以下、「請求項1記載の本発明」と
いう)は、粘度平均分子量が50万以上の熱可塑性樹脂
100重量部、及び、層状珪酸塩1〜20重量部からな
り、該層状珪酸塩が、厚さ0.5〜30nmのものを5
重量%以上含むものである。
【0010】請求項1記載の本発明において使用される
熱可塑性樹脂は、粘度平均分子量が50万以上であれば
特に限定されるものではなく、例えば、超高分子量ポリ
エチレン、超高分子量ポリプロピレン、超高重合度ポリ
塩化ビニルなどがあげられる。これらは単独で使用され
てもよいし、2種類以上併用されてもよい。なかでも、
結晶性樹脂が、非溶融状態において形状保持効果が高い
ため好ましい。
【0011】上記熱可塑性樹脂の粘度平均分子量は、高
すぎると、本発明の製造方法を用いても、効率的に発泡
体を得ることが困難になるので500万以下が好まし
い。
【0012】上記熱可塑性樹脂は、全体として粘度平均
分子量が50万以上であればよく、この範囲内で低分子
量成分が含まれていてもなんら差し支えない。
【0013】本発明において使用される層状珪酸塩と
は、多数の微細な薄片状結晶からなる複数の層を有し、
層間に交換性陽イオンを有する珪酸塩鉱物を意味する。
この薄片状結晶は、通常、その長径と厚みの比(以下、
「アスペクト比」という)が約20〜200程度であ
る。層状珪酸塩では、これらの微細な薄片状結晶がイオ
ン結合により凝集されている。上記層状珪酸塩の平均厚
さは、薄すぎると成形時の操作性が低下し、厚すぎる
と、発泡体の靱性が低下するので、0.5〜1000n
mが好ましい。
【0014】上記層状珪酸塩としては、例えば、モンモ
リロナイト、サポナイト、ヘクトライト、バイデライ
ト、スティブンサイト、ノントロナイト等のスメクタイ
ト系粘土鉱物;膨潤性雲母;バーミキュライト、ハロイ
サイト、セピオライトなどから、上記厚みのものが適宜
選定される。
【0015】上記層状珪酸塩は、その薄片状結晶が隔壁
として作用し、発泡時のガス抜けを抑制する作用を有す
る。従って、層状珪酸塩の薄片状結晶のアスペクト比が
高いスメクタイト系粘土鉱物または膨潤性雲母が、発泡
時のガス抜けをより抑制するので好ましく、より好まし
くは、モンモリロナイト(アスペクト比:約100)、
膨潤性雲母(アスペクト比:約150)である。
【0016】層状珪酸塩の結晶薄片の構造を図1に略図
的に示す。また、図2は、図1に示した立方体部分Xを
拡大したモンモリロナイトの結晶構造の模式図である。
層状珪酸塩では、層間に存在する交換性陽イオンを有す
る。この交換性陽イオンは、一般に結晶表面(B)上の
ナトリウムイオンやカルシウムイオンなどである。これ
らのイオンは、カチオン性物質とのイオン交換性を有す
るので、カチオン性を有する種々の物質を層間に挿入す
ることができる。
【0017】このため、特に、上記熱可塑性樹脂とし
て、オレフィン系樹脂等の非極性樹脂を用いる場合に
は、層状珪酸塩の層間に存在する交換性陽イオンは、予
めカチオン系界面活性剤によりイオン交換して疎水化さ
れているのが、ポリオレフィン系樹脂と層状珪酸塩との
間に高い親和性が得られるので好ましい。
【0018】上記カチオン系界面活性剤としては特に限
定されず、通常用いられるカチオン系界面活性剤が用い
られ、例えば、4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム
塩等を主体成分とするものが挙げられ、好ましくは、炭
素数8以上のアルキル鎖を有する4級アンモニウム塩が
用いられる。炭素数が8以上のアルキル鎖を含有しない
場合には、アルキル基アンモニウムイオンの親水性が強
く、層状珪酸塩の層間を十分に非極性または低極性化す
ることが困難となる。
【0019】上記4級アンモニウム塩としては、例え
ば、ラウリルトリメチルアンモニウム塩、ステアリルト
リメチルアンモニウム塩、トリオクチルアンモニウム
塩、ジステアリルジメチルアンモニウム塩(以下、「D
SDM」という)、ジ硬化牛脂ジメチルアンモニウム
塩、ジステアリルジベンジルアンモニウム塩等が挙げら
れる。
【0020】上記層状珪酸塩の陽イオン交換容量は特に
限定されないが、少なすぎると、イオン交換により結晶
層間に挿入されるカチオン系界面活性剤の量が少ないた
めに、層間が十分に疎水化されない場合があり、多すぎ
ると層状珪酸塩の層間の結合力が強固となり、結晶薄片
をデラミネート(層間剥離)することが困難な場合があ
るので、50〜200ミリ当量/100gであることが
好ましい。
【0021】上記層状珪酸塩の量は、少なすぎると、発
泡時の気泡成長の抑制が不十分となり、多すぎると、均
一微細な発泡体を得ることが難しく、得られる発泡体の
セル壁が脆性的となり、独立気泡構造を形成しにくくな
るので、上記熱可塑性樹脂100重量部に対して、1〜
20重量部に限定される。
【0022】上記熱可塑性樹脂には、必要に応じて、マ
レイン酸等のカルボン酸をグラフトしたオリゴマーが添
加されてもよい。このようにすることにより、熱可塑性
樹脂成分と層状珪酸塩との親和性が良好となる。
【0023】上記熱可塑性樹脂には、さらに必要に応じ
て、酸化防止剤、紫外線吸収剤、潤滑剤、難燃剤、帯電
防止剤、核剤等が添加されてもよい。
【0024】請求項1記載の本発明において、発泡体中
の層状珪酸塩の厚さが、0.5〜30nmのものの占め
る割合が5重量%以上となるまで、層状珪酸塩を分散さ
せる必要がある。層状珪酸塩の分散が不十分であると、
発泡体の気泡径が大きく、断熱性能が低下するからであ
る。
【0025】請求項2記載の発明の熱可塑性樹脂発泡体
(以下、「請求項2記載の本発明」という)は、粘度平
均分子量が50万以上の熱可塑性樹脂100重量部、及
び、層状珪酸塩1〜20重量部からなり、該層状珪酸塩
が、X線回折法により測定される平均層間距離が6nm
以上であることを特徴とする。
【0026】請求項2記載の本発明においては、層状珪
酸塩が、X線回折法により測定される平均層間距離が6
nm以上であること以外は、請求項1記載の本発明と同
様である。
【0027】一般に、分散されていない層状珪酸塩の層
間はイオン結合力により互いに凝集し、1nm程度の層
間距離にて安定に存在する。この層間の凝集力を弱め、
層状珪酸塩の薄片を熱可塑性樹脂中に分散することがで
きれば、得られる発泡体の機械的強度、熱的特性を著し
く改善することが可能となる。さらに、発泡時のガスの
拡散を抑制できるため、均一微細な発泡体を得ることが
できる。
【0028】なお、上記層間距離は、X線回折法によ
り、層状珪酸塩の積層面の回折より得られる回折ピーク
2θを測定し、下記式(1)(ブラックの回折式)を用
いて算出したものである。 λ=2dsinθ ・・・(1) (ここで、λ=1.54、d:層状珪酸塩の層間距離、
θ:回折角)
【0029】請求項4記載の発明の熱可塑性樹脂発泡体
の製造方法(以下、「請求項4記載の本発明」という)
は、粘度平均分子量が50万以上の熱可塑性樹脂100
重量部、及び、層状珪酸塩1〜20重量部からなる樹脂
組成物に、常温・常圧下で気体の非反応性ガスを高圧下
で含浸させ、次いで、該非反応性ガスを気化させること
により、上記樹脂組成物を発泡させるものである。
【0030】請求項4記載の本発明で用いられる非反応
性ガスとは、常温・常圧で気体である有機ないしは無機
物質であって、上記樹脂組成物を劣化させないものであ
れば特に限定されず、例えば、二酸化炭素、窒素、アル
ゴン、ネオン、ヘリウム、酸素等の無機ガス;フロン、
低分子量の炭化水素等の有機ガスなどが挙げられる。こ
れらは単独で使用されてもよいし、2種類以上併用され
てもよい。
【0031】就中、環境に与える悪影響が低く、そして
ガスの回収を必要としない点で、無機ガスが好ましく、
とりわけ、上記樹脂組成物に対する溶解度が高く、可塑
化効果が大きく、また、直接大気中へ放出しても殆ど害
がなく、且つ、樹脂の溶融粘度の低下が大きい点から、
二酸化炭素が最も好ましい。
【0032】また、二酸化炭素は、超臨界状態で含浸さ
せることが好ましい。二酸化炭素は、比較的低い温度及
び圧力で超臨界状態にすることができる。超臨界状態で
二酸化炭素を含浸させると、樹脂中への拡散が速いの
で、溶解が容易であり、且つ、層状珪酸塩の熱可塑性樹
脂中への分散を助けるなどの利点がある。
【0033】非反応性ガスとして二酸化炭素を用いる場
合には、樹脂に対する二酸化炭素の溶解量は、1重量%
以上30重量%以下の範囲が好ましく、3重量%以上2
0重量%以下の範囲がより好ましい。1重量%未満の場
合、樹脂の粘度が充分に低下せず、押出が困難となる。
一方、30重量%を超える量にしようとする場合には、
大がかりな設備を用いて溶解時の圧力を極端に高くする
必要がある場合があり、生産効率上好ましくない。
【0034】溶解量を上記の範囲内とするためには、二
酸化炭素の圧力は0. 5MPa 以上50MPa 以下であるこ
とが好ましく、1. 5MPa 以上35MPa 以下であること
がより好ましい。
【0035】上記非反応性ガスを樹脂組成物中へ高圧下
で含浸させる方法としては、例えば、オートクレーブ中
に非反応性ガスを封入し、圧力を印加する方法などがあ
げられる。この方法は、温度及び圧力のコントロールが
容易であるという点で好ましい。
【0036】請求項5記載の発明の熱可塑性樹脂発泡体
の製造方法(以下、「請求項5記載の本発明」という)
は、粘度平均分子量が50万以上の熱可塑性樹脂100
重量部、及び、層状珪酸塩1〜20重量部からなる樹脂
組成物を押出機に供給すると供に、常温・常圧下で気体
の非反応性ガスを高圧下で含浸させて溶解・混練し、溶
解時のガス圧力以上の樹脂圧力で金型に導入し、次いで
冷却しながら樹脂圧力を溶解時のガス圧力以上に保持し
た状態で金型先端から押出して、上記樹脂組成物を発泡
させるものである。
【0037】請求項5記載の本発明で用いられる非反応
性ガスは、請求項4記載の本発明で使用されるものと同
様のものが使用される。
【0038】上記樹脂組成物に非反応性ガスを高圧下で
含浸させて溶解させる方法としては、ガスを溶融状態の
樹脂に溶解させる方法と、固体状態の樹脂に溶解させる
方法があるが、どちらの方法を用いてもよく、また、両
者を併用してもよい。
【0039】溶融状態の樹脂にガスを高圧下で溶解させ
る方法としては、例えば、ベントタイプスクリュを使用
して、シリンダーの途中からベント部分に混入する方法
や、タンデム押出機を利用して第1押出機内または第2
押出機への樹脂流入部付近においてガスを圧入させて、
第2押出機で十分溶解・混練する方法等が挙げられる。
【0040】固体状態の樹脂にガスを高圧下で溶解させ
る方法としては、例えば以下のような方法が挙げられ
る。(1)予め高圧容器などでペレットまたはパウダー
状態の樹脂にガスを溶解させる方法。(2)押出機内の
ホッパから固体輸送部においてガスを樹脂中に溶解させ
る方法。
【0041】(1)の方法の場合、ガスを溶解させた樹
脂の押出機への供給は、樹脂に溶解したガスが拡散によ
って大気中に抜けていくことを抑制するためにできるだ
け速やかに行うことが好ましい。一方(2)の方法の場
合は、ガスが押出機外へ揮散しないようにスクリュ駆動
軸及びホッパの耐圧シール構造を組み入れることが好ま
しい。ガスの供給はガスボンベから直接行ってもよい
し、プランジャーポンプ等を用いて加圧供給してもよ
い。
【0042】本発明において、常温・常圧で気体状態の
非反応性ガスを樹脂に高圧下で溶解させると、樹脂は、
可塑化されて流動性が向上し、スクリュ押出機内で溶融
混練しやすくなる。上記樹脂組成物に対する非反応性ガ
スの溶解量は、溶解によって樹脂の溶融粘度が成形に適
した粘度になるのであれれば特に限定されず、超高分子
量ポリオレフィンの分子量、ガスの種類によって適宜選
択できる。
【0043】次いで、非反応性ガスを溶解・混練した樹
脂組成物を、溶解時のガス圧力以上の樹脂圧力で、押出
機に接続された金型に導入する。溶解時のガス圧力より
低い場合には、溶解していたガスが樹脂から相分離して
気泡となりやすく、金型先端から吹き出すおそれがある
からである。
【0044】次いで、冷却しながら樹脂圧力を溶解時の
ガス圧力以上に保持した状態で金型先端から押出して発
泡させる。この場合、金型先端近傍部分での樹脂圧力
が、溶解時のガス圧力未満の場合には、粗大な孔径の気
泡ができやすく、外観が悪くなり、良好な発泡体を得る
ことができなくなる。
【0045】このときの温度は、熱可塑性樹脂が結晶性
樹脂の場合には、(降温時の結晶化ピーク温度−10
℃)〜(降温時の結晶化ピーク温度+20℃)であるこ
とが好ましい。(降温時の結晶化ピーク温度−10℃)
未満の温度で押出した場合には、樹脂の結晶化が進み、
樹脂の粘度が急激に上昇するために、ほとんど発泡が起
こらず、その結果、比重がほとんど低下しなくなり、良
好な発泡体を得ることができなくなる。一方、(降温時
の結晶化ピーク温度+20℃)を超える温度で押出した
場合には、樹脂の粘度が低いために粗大な孔径の気泡が
できやすく、それが欠陥となって強度の低下した発泡体
となりやすい。
【0046】なお、上記「降温時の結晶化ピーク温度」
とは、溶融状態の樹脂が降温して結晶化する際の結晶化
ピーク温度を意味し、より詳細には、このような降温の
際に、樹脂が発熱する熱量が最大となる温度を意味す
る。このような温度は、大気圧下で示差走査型熱量計
(DSC)により測定される。また、「結晶化ピーク温
度」は、JIS K 7121の9. 2にその求め方と
ともに詳細に記載されている。一方、熱可塑性樹脂が非
晶性樹脂の場合には、上記「降温時の結晶化ピーク温
度」を、「ガラス転移温度」と読みかえるものとする。
【0047】請求項5記載の本発明において、非反応性
ガスの溶解量、溶解圧力は特に限定されるものではない
が、非反応性ガスとして二酸化炭素を用いる場合、その
溶解量、溶解圧力は、請求項4記載の本発明の場合と同
様である。
【0048】なお、請求項5記載の本発明においては、
押出機内部における滞留時間内に非反応性ガスを含浸、
溶解させる必要があるので、超臨界状態で溶解させるの
がさらに好ましい。
【0049】(作用)請求項1記載の本発明は、粘度平
均分子量が50万以上の熱可塑性樹脂100重量部、及
び、層状珪酸塩1〜20重量部からなるから、機械的強
度に優れた特性を十分に発揮することができる。そし
て、該層状珪酸塩が、厚さ0.5〜30nmのものを5
重量%以上含むものであるから、均一微細な発泡体とな
る。
【0050】請求項2記載の本発明は、粘度平均分子量
が50万以上の熱可塑性樹脂100重量部、及び、層状
珪酸塩1〜20重量部からなるから、機械的強度に優れ
た特性を十分に発揮することができる。そして、該層状
珪酸塩が、X線回折法により測定される平均層間距離が
6nm以上であるから、均一微細な発泡体となる。
【0051】請求項1又は2に記載の本発明において、
層状珪酸塩が、スメクタイト系粘土鉱物、又は、膨張性
雲母であると、発泡時のガス抜けをより抑制することが
でき、さらに均一微細な発泡体となる。
【0052】請求項4記載の本発明は、粘度平均分子量
が50万以上の熱可塑性樹脂100重量部、及び、層状
珪酸塩1〜20重量部からなる樹脂組成物に、常温・常
圧下で気体の非反応性ガスを高圧下で含浸させ、次い
で、該非反応性ガスを気化させることにより、上記樹脂
組成物を発泡させるものであるから機械的強度に優れた
発泡体を、効率的に得ることができる。
【0053】請求項5記載の本発明は、粘度平均分子量
が50万以上の熱可塑性樹脂100重量部、及び、層状
珪酸塩1〜20重量部からなる樹脂組成物を押出機に供
給すると供に、常温・常圧下で気体の非反応性ガスを高
圧下で含浸させて溶解・混練し、溶解時のガス圧力以上
の樹脂圧力で金型に導入し、次いで冷却しながら樹脂圧
力を溶解時のガス圧力以上に保持した状態で金型先端か
ら押出して発泡させるものであるから機械的強度に優れ
た発泡体を、効率的に得ることができる。
【0054】請求項4又は5に記載の本発明において、
非反応性ガスとして二酸化炭素を超臨界状態で含浸させ
ると、溶解が容易であり、且つ、層状珪酸塩の熱可塑性
樹脂中への分散を助ける。
【0055】
【発明の実施の形態】図3は、請求項5記載の本発明に
使用される製造装置の一例を示す略図的断面図である。
図3に示すように、上記製造装置は、押出機1、ガスボ
ンベ10、11、及び、加圧ポンプ12、13からな
る。押出機1は、固体輸送部3、溶融体輸送部4、及
び、チューブラー状金型(以下、単に「金型」という)
5からなる。
【0056】固体輸送部3、及び、溶融体輸送部4に
は、スクリュ2が内挿され、それぞれに、ガス供給口1
4、15が設けられ、それぞれ、上記加圧ポンプ12、
13に連通されている。さらに、固体輸送部3上方に
は、耐圧シール構造とされたホッパ16が設けられてい
る。
【0057】上記製造装置を用いて発泡体を製造するに
は、まず、本発明1乃至3に記載の樹脂組成物を、ホッ
パ16より押出機1の固体輸送部3に供給する。
【0058】一方、ガスボンベ10、11より、二酸化
炭素を加圧ポンプ12、13を用いて加圧し、ガス供給
口14、15から固体輸送部3、溶融体輸送部4に供給
し、上記樹脂組成物に含浸させて溶解・混練し、溶解時
のガス圧力以上の樹脂圧力で金型5に導入する。次いで
冷却しながら樹脂圧力を溶解時のガス圧力以上に保持し
た状態で金型5先端から押出すことにより、発泡体を得
ることができる。
【0059】
【実施例】次に、本発明を、実施例を挙げて詳しく説明
する。
【0060】(実施例1)熱可塑性樹脂として、超高分
子量ポリエチレン(三井化学社製、商品名「ハイゼック
ス・ミリオン240M」;粘度平均分子量230万、融
点136℃、降温時の結晶化ピーク温度118℃)10
0重量部、DSDM変性モンモリロナイト(豊順鉱業
製、商品名「ニューエスベンD」;ジステリアルジメチ
ルアンモニウムクロライドにてモンモリロナイト層間の
ナトリウムイオンを全量イオン交換した有機化モンモリ
ロナイト、平均厚さ500nm)5重量部、無水マレイ
ン酸変性ポリエチレンオリゴマー(三洋化成社製、商品
名「ユーメックス2000」;官能基含有量=0.92
mmol/g)5重量部を、ラボプラストミルを用いて
混練、混合し、樹脂組成物を得た。
【0061】次いで、得られた樹脂組成物を、ハンドプ
レスを用いて、設定温度220℃で2分間予熱し、プレ
ス圧7.5MPaで10分間プレスし、1mmの厚さの
シートを得た。得られたシートを3cm角に切り出し、
オートクレーブ中に密閉し、該オートクレーブの内部温
度を140℃に設定した。
【0062】次いで、上記オートクレーブ中に、非反応
性ガスとして二酸化炭素(臨界温度30℃、臨界圧力7
MPa)を注入し、オートクレーブ内の圧力を6MPa
として30分間保持し、樹脂組成物に二酸化炭素を含浸
させた。樹脂組成物に含浸した二酸化炭素は、約4重量
%であった。
【0063】そして、上記オートクレーブの内部温度を
118℃に設定するとともに、オートクレーブ内を大気
圧まで除圧し、二酸化炭素を気化させ、上記樹脂組成物
を発泡させ、発泡体を得た。
【0064】(実施例2)二酸化炭素を注入したときの
オートクレーブ内の圧力を15MPaとしたこと以外
は、実施例1と同様にして発泡体を得た。なお、樹脂組
成物に含浸した二酸化炭素は、約10重量%であった。
【0065】(実施例3)図3に示した製造装置を用
い、実施例1と同様の樹脂組成物を、ホッパ16より押
出機1の固体輸送部3に供給するとともに、ガス供給口
14、15から二酸化炭素を15MPaの圧力で圧入含
浸させて溶解・混練した。このときの樹脂組成物に含浸
した二酸化炭素は、約10重量%であった。
【0066】一方で、押出機1のスクリュ2を10rp
mで回転させるとともに、バレル温度を200℃に設定
し、押出量2kg/hrで押出し、金型5(入口樹脂流
路断面外径40mm、内径30mm;出口樹脂流路断面
外径40mm、内径38.5mm;設定温度118℃)
先端から押出して発泡させ、チューブ状の発泡体を得
た。このときの金型5入口近傍での樹脂圧力40MP
a、出口近傍での樹脂圧力25MPaであった。
【0067】(比較例1)DSDM変性モンモリロナイ
トとして、平均厚さ1500nm、平均層間距離3.5
nmのものを用いたこと以外は、実施例3と同様にし
て、チューブ状の発泡体を得た。
【0068】(比較例2)DSDM変性モンモリロナイ
トの量を30重量部としたこと以外は、実施例3と同様
にして、チューブ状の発泡体を得た。
【0069】(比較例3)二酸化炭素を圧入含浸させな
かったこと以外は、実施例3と同様にして押出したが、
押出機1の負荷限界に達し、発泡体を得ることができな
かった。
【0070】(比較例4)樹脂組成物として、超高分子
量ポリエチレン単独のものを用いたこと以外は、実施例
3と同様にして、チューブ状の発泡体を得た。
【0071】実施例1〜3、比較例1、2、4で得られ
た発泡体を以下の評価に供した。
【0072】評価
【0073】厚さ0.5〜30nmの層状珪酸塩の割
合 得られた発泡体を、透過型電子顕微鏡(日立製作所社
製、型式「H7000」で観察し、倍率4万〜15万倍
の画像を電子計算機による画像解析にて算出した。
【0074】平均層間距離 X線回折装置(リガク社製、型式「RINT110
0」)により、発泡体中の層状珪酸塩の積層面の回折よ
り得られる回折ピーク2θを測定し、上記式(1)によ
り算出した。
【0075】発泡倍率 得られた発泡体の比重を水中置換法(JIS K711
2 A法)により測定し、発泡前の比重を発泡体の比重
で除した。
【0076】平均気泡径 得られた発泡体を、2次電子反射式電子顕微鏡(JOE
L社製、型式「JSM−5800LV」により観測し、
観測された気泡50個の平均を平均気泡径とした。
【0077】引張強度 JIS K7127に準拠して引張強度を測定した。以
上の結果を表1に纏めて記した。
【0078】
【表1】
【0079】
【発明の効果】本発明の樹脂発泡体は上述の如き構成と
なされているから、機械的強度に優れた、均一微細なも
のとなる。
【0080】本発明の発泡体の製造方法は上述の如き構
成となされているから、機械的強度に優れた発泡体を、
効率的に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】層状珪酸塩の結晶薄片の構造を示す模式図。
【図2】図1に示した結晶構造の立方体部分Xを拡大し
て示す模式図。
【図3】請求項5記載の本発明に使用される製造装置の
一例を示す略図的断面図。
【符号の説明】
1 押出機 5 金型
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // B29K 101:12 B29K 101:12 105:04 105:04 105:16 105:16 Fターム(参考) 4F074 AA17 AA28 AA97 AB01 AB03 AC32 AC36 AF00 BA32 CA22 CA24 CC22X CC23X CC25X DA02 DA03 DA08 4F207 AA11A AB02 AB16 AR02 KA01 KA12 KF01 KF04 KF12 KK04 KK52 KM16 4J002 AA011 BB031 BB121 BD041 DA007 DE017 DJ006 DJ056 EA007 EB067 FD327

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粘度平均分子量が50万以上の熱可塑性
    樹脂100重量部、及び、層状珪酸塩1〜20重量部か
    らなり、該層状珪酸塩が、厚さ0.5〜30nmのもの
    を5重量%以上含むことを特徴とする熱可塑性樹脂発泡
    体。
  2. 【請求項2】 粘度平均分子量が50万以上の熱可塑性
    樹脂100重量部、及び、層状珪酸塩1〜20重量部か
    らなり、該層状珪酸塩が、X線回折法により測定される
    平均層間距離が6nm以上であることを特徴とする熱可
    塑性樹脂発泡体。
  3. 【請求項3】 層状珪酸塩が、スメクタイト系粘土鉱
    物、又は、膨張性雲母であることを特徴とする請求項1
    又は2に記載の熱可塑性樹脂発泡体。
  4. 【請求項4】 粘度平均分子量が50万以上の熱可塑性
    樹脂100重量部、及び、層状珪酸塩1〜20重量部か
    らなる樹脂組成物に、常温・常圧下で気体の非反応性ガ
    スを高圧下で含浸させ、次いで、該非反応性ガスを気化
    させることにより、上記樹脂組成物を発泡させることを
    特徴とする熱可塑性樹脂発泡体の製造方法。
  5. 【請求項5】 粘度平均分子量が50万以上の熱可塑性
    樹脂100重量部、及び、層状珪酸塩1〜20重量部か
    らなる樹脂組成物を押出機に供給すると供に、常温・常
    圧下で気体の非反応性ガスを高圧下で含浸させて溶解・
    混練し、溶解時のガス圧力以上の樹脂圧力で金型に導入
    し、次いで冷却しながら樹脂圧力を溶解時のガス圧力以
    上に保持した状態で金型先端から押出して、上記樹脂組
    成物を発泡させることを特徴とする熱可塑性樹脂発泡体
    の製造方法。
  6. 【請求項6】 非反応性ガスとして二酸化炭素を超臨界
    状態で含浸させることを特徴とする請求項4又は5に記
    載の熱可塑性樹脂発泡体の製造方法。
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