JP2002145810A - アルキル芳香族炭化水素の塩素化方法 - Google Patents

アルキル芳香族炭化水素の塩素化方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 トルエン等のアルキル芳香族炭化水素をルイ
ス酸触媒の存在下に塩素化してジ核塩素化アルキル芳香
族炭化水素を製造する際に、得られるジ核塩素化異性体
混合物中の2,6-置換体の生成割合を増加させることがで
き、2,6-置換体を工業的に有利に製造することができる
アルキル芳香族炭化水素の塩素化方法を提供する。 【解決手段】 アルキル芳香族炭化水素をルイス酸触媒
の存在下に塩素化してジ核塩素化異性体混合物を製造す
る方法であり、塩化第二錫(SnCl4)及び四塩化チタン(Ti
Cl4)から選ばれた1種又は2種のルイス酸触媒を用いて
第一段塩素化反応を行い、引き続いて塩化アルミニウム
(AlCl3)、塩化ガリウム(GaCl3)、塩化第二鉄(FeCl3)、
及び塩化アンチモン(SbCl5)から選ばれた1種又は2種
以上のルイス酸触媒を用いて第二段塩素化反応を行う、
アルキル芳香族炭化水素の塩素化方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、ルイス酸触媒の存在
下にアルキル芳香族炭化水素を塩素化し、特に限定する
ものではないが、2,6-ジクロロアルキル芳香族炭化水素
を工業的に有利に製造する上で好適なジ核塩素化異性体
混合物を製造することができるアルキル芳香族炭化水素
の塩素化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】アルキル芳香族炭化水素、例えばトルエ
ンを塩素化して得られるジクロロトルエン(DCT)
は、従来よりその多くのものが医薬、農薬、ポリマ原料
等、各種有機合成化学物質の原料として用いられてい
る。なかでも、2,6-ジクロロトルエン(2,6-DCT)は
特に重要な化合物であり、この2,6-DCTを製造するた
めの多くの方法が提案されている。
【0003】例えば、2-アミノ-6-クロロトルエンのア
ミノ基をサンドマイヤー法で塩素原子に置換する方法、
p-トルエンスルホン酸の核塩素化による方法(特公昭40
-12,615号、特公昭40-17,372号等の各公報)、トルエン
とイソブテンとを反応させて得られた3,5-ジ-t-ブチル
トルエンの核塩素化による方法(特公昭47-26,495号、
特開昭60-152,429号、特開昭62-5,930号、特開平4-91,0
45号、特開平4-352,735号等の各公報)等の方法が古く
から提案されている。
【0004】しかしながら、これらの方法はそのいずれ
も、原料それ自体の製造工程も含めて、目的の2,6-DC
Tを得るのに反応工程が長くてトータル収率が低下する
ほか、高価な塩化銅(CuCl)触媒を多量に必要とする、
工業的に実施するには不利な脱スルホン化反応や接触脱
アルキル化反応を行う必要がある等の問題もあり、工業
的には採用し難い方法である。
【0005】このため、工業的には、トルエンをルイス
酸触媒の存在下に核塩素化し、2,6-DCTを多く含むD
CT異性体混合物を得て、吸着分離等で2,6-DCTを製
造する方法が重要である。
【0006】しかしながら、ルイス酸触媒の存在下にト
ルエンを核塩素化してDCT異性体混合物を製造する方
法については、具体的には特開昭51-143,627号公報の実
施例1(比較実施例)に記載されているが、この方法に
おいては、ルイス酸触媒として塩化アンチモン(SbC
l3)を使用し、DCT異性体混合物(2,4-DCT:2
5.2wt%、2,5-DCT:22.5wt%、2,6-DCT:
15.4wt%、2,3-DCT:7.7wt%、及び3,4-DC
T:4.5wt%)を得たことが記載されており、2,6-D
CT生成割合(2,6-DCT/全DCT)は得られたDC
T異性体混合物中の高々20.5%にすぎない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者ら
は、アルキル芳香族炭化水素の塩素化反応において、得
られるジ核塩素化異性体混合物中の2,6-置換体の生成割
合を増加させることについて鋭意検討した結果、この塩
素化反応の際に、塩化第二錫(SnCl4)及び四塩化チタン
(TiCl4)から選ばれた1種又は2種のルイス酸触媒を用
いて第一段塩素化反応を行い、引き続いて塩化アルミニ
ウム(AlCl3)、塩化ガリウム(GaCl3)、塩化第二鉄(FeC
l3)、塩化アンチモン(SbCl5)、及び塩化ジルコニウム
(ZrCl4)から選ばれた1種又は2種以上のルイス酸触
媒を用いて第二段塩素化反応を行うことにより、従前に
比べて格段に向上し、2,6-置換体を工業的に有利に製造
することができることを見出し、本発明を完成した。
【0008】従って、本発明の目的は、トルエン等のア
ルキル芳香族炭化水素をルイス酸触媒の存在下に塩素化
してジ核塩素化アルキル芳香族炭化水素を製造する際
に、得られるジ核塩素化異性体混合物中の2,6-置換体の
生成割合を増加させることができ、2,6-置換体を工業的
に有利に製造することができるアルキル芳香族炭化水素
の塩素化方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、ア
ルキル芳香族炭化水素をルイス酸触媒の存在下に塩素化
してジ核塩素化アルキル芳香族炭化水素を製造する方法
であり、塩化第二錫(SnCl4)及び四塩化チタン(TiCl4)か
ら選ばれた1種又は2種のルイス酸触媒を用いて第一段
塩素化反応を行い、引き続いて塩化アルミニウム(AlC
l3)、塩化ガリウム(GaCl3)、塩化第二鉄(FeCl3)、塩化
アンチモン(SbCl5)、及び塩化ジルコニウム(ZrCl4)か
ら選ばれた1種又は2種以上のルイス酸触媒を用いて第
二段塩素化反応を行うことを特徴とするアルキル芳香族
炭化水素の塩素化方法である。
【0010】本発明方法において、塩素化反応の対象と
なるアルキル芳香族炭化水素としては、トルエン、エチ
ルベンゼン、プロピルベンゼン、ブチルベンゼン等を例
示することができ、特に好ましくは、トルエンである。
本発明の塩素化反応において、使用される塩素化剤は、
単体の塩素、スルフリルクロライド、t-ブチルハイポク
ロライド等種々用いることができるが、通常は単体の塩
素を使用する。その際、塩素はそのまま加えても窒素ガ
スのような不活性ガスに希釈して加えてもよい。
【0011】そして、本発明方法においては、これらの
アルキル芳香族炭化水素をルイス酸触媒の存在下に塩素
化する際に、互いに異なる特定のルイス酸触媒を2段階
に分けて反応系に添加し、塩素化反応を行う。すなわ
ち、第一段塩素化反応においては、塩化第二錫(SnCl4)
及び四塩化チタン(TiCl4)から選ばれた1種又は2種の
ルイス酸触媒、好ましくは塩化第二錫(SnCl4)を反応系
に添加して塩素化反応を行い、引き続いて第二段塩素化
反応においては、第一段塩素化反応で用いたルイス酸触
媒を分離除去することなく、塩化アルミニウム(AlC
l3)、塩化ガリウム(GaCl3)、塩化第二鉄(FeCl3)、及び
塩化アンチモン(SbCl5)から選ばれた1種又は2種以上
のルイス酸触媒、好ましくは塩化アルミニウム(AlCl3)
を反応系に添加して塩素化反応を行う。
【0012】また、上記の第二段塩素化反応において用
いる塩化アルミニウムは、固体状態ではなく、塩化アル
ミニウムとアルキル芳香族炭化水素と塩化水素とを混合
して得られる液状触媒として用いてもよい。この液状触
媒を調製するために使用するアルキル芳香族炭化水素と
しては、それが液体であって塩化アルミニウムと塩化水
素との錯体に対して溶解性を有するものであればよく、
特に制限されるものではないが、好ましくは塩素化反応
の反応原料である一般式(I)に示したアルキル芳香族
炭化水素であるのがよい。このように、塩素化反応の反
応原料であるアルキル芳香族炭化水素と液状触媒調製用
のアルキル芳香族炭化水素とが同じものであれば、液状
触媒由来のアルキル芳香族炭化水素あるいはそのジ核塩
素化物が塩素化反応の生成物であるジ核塩素化アルキル
芳香族炭化水素の不純物となることがなく、塩素化反応
終了後の分離精製が容易になる。また、液状触媒を調製
するために用いる塩化水素については、塩素化反応で発
生する副生塩化水素の一部を利用することもできる。
【0013】上記液状触媒は、塩化アルミニウムとアル
キル芳香族炭化水素と塩化水素とを混合することで生成
するため、特に調製する方法に制限はないが、通常は、
アルキル芳香族炭化水素に塩化アルミニウムを加えて得
られた懸濁液に塩化水素を吹き込むことによって調製す
る。この液状触媒を調製する際における塩化アルミニウ
ム、アルキル芳香族炭化水素及び塩化水素の使用量は、
それぞれを混合して全体が液状となる量であれば特に制
限はないが、アルキル芳香族炭化水素1モルに対して、
塩化アルミニウムが0.014〜0.5モル、好ましくは
0.1〜0.4モルであり、また、塩化水素が0.1〜1
0モル、好ましくは0.15〜1モルであるのがよい。
【0014】ただし、第一段塩素化反応後、第一段塩素
化反応で用いたルイス酸触媒は、分離除去する必要はな
く、工程数削減のためには、第一段塩素化反応で用いた
ルイス酸触媒の分離除去は行わないことが望ましいが、
分離除去を行っても何ら不都合が生じることはない。
【0015】本発明方法において、上記第一段塩素化反
応と第二段塩素化反応における反応条件については、使
用するルイス酸触媒の種類が異なる以外に、基本的には
差異がなく、これら第一段塩素化反応と第二段塩素化反
応とを同じ反応条件で行ってもよく、必要により触媒濃
度、反応温度等について異なる条件を採用してもよい。
【0016】本発明の上記第一段及び/又は第二段の塩
素化反応において、使用するルイス酸触媒の使用量は、
使用するルイス酸触媒の種類や、塩素化反応が第一段で
あるか第二段であるか等により異なるが、反応系でのル
イス酸触媒の触媒濃度が通常0.01重量%以上5重量
%以下、好ましくは0.1重量%以上3重量%以下であ
るのがよく、この使用量が0.01重量%より少ないと
原料中水分の影響を受けやすくなり、これを避けるため
の原料脱水設備費用がかかるばかりでなく、反応工程に
続く触媒処理工程への負荷がかかるという問題が生じ
る。
【0017】また、第二段塩素化反応と第一段塩素化反
応で使用する触媒の比率も重要であり、重量比で0.0
2以上、好ましくは0.1以上がよい。この比率が0.
02よりも小さいと、第二段塩素化反応においても第一
段塩素化反応で使用した触媒の影響が現れ、目的の2,6-
置換体の収率が低下する。
【0018】反応圧力は、常圧、加圧、減圧のいずれの
条件でもかまわないが、通常は常圧で行う。また、反応
は、溶媒を用いずに行っても、また、塩素化反応に不活
性な溶媒を用いて行ってもよい。塩素化反応に不活性な
溶媒としては、具体的には、ジクロロメタン、クロロホ
ルム、四塩化炭素、テトラクロロエタン等が挙げられ
る。
【0019】更に、第一段及び/又は第二段の塩素化反
応における反応温度については、通常0℃以上150℃
以下、好ましくは0℃以上50℃以下であり、この反応
温度が0℃より低くなると反応器冷却のための冷凍設備
費用がかかるというという問題が生じ、また、150℃
より高くなると2,6-置換体の著しい収率低下及び反応器
の複雑化のために設備費用がかかるという問題が生じ
る。
【0020】そして、反応方式についても、特に制限は
なく、例えば回分式、アルキル芳香族炭化水素を回分で
仕込み、塩素ガスを連続で吹き込む半回分式、あるいは
連続式が挙げられる。反応器については、回分式、半回
分式では1槽でよい。連続式では2槽以上の反応器を直
列に接続し、2槽目以降の適当な組成の反応器へ第二段
塩素化反応用のルイス酸触媒を加えればよい。
【0021】更に、反応系へのルイス酸触媒の添加タイ
ミングについては、第一段塩素化反応の場合には当該反
応の開始当初であり、また、第二段塩素化反応の場合に
は、第一段塩素化反応における反応系の塩素化度DCl
0<DCl≦1.15の時点、好ましくは0.6≦DCl
1.0の時点であるのがよい。塩素化度DCl=0の時点
は第一段塩素化反応のルイス酸触媒と第二段塩素化反応
のルイス酸触媒とを同時に添加することになり、ルイス
酸触媒を2段階で添加する意義が失われ、また、塩素化
度DCl>1.15の時点になると、第二段塩素化反応に
おける主たる反応物であるモノ塩素化アルキル芳香族化
合物が減少し、第二段塩素化反応用のルイス酸触媒の効
果が希薄となって目的とする2,6-置換体の生成割合が低
下する。
【0022】そして、第一段塩素化反応から第二段塩素
化反応への切り替えは、具体的には、第一段塩素化反応
の塩素化度DClをガスクロマトグラフィーによる分析
や、原料使用量の把握等の手段で監視し、この第一段塩
素化反応の塩素化度DClが所定の値に到達した時点で第
二段塩素化反応用のルイス酸触媒を添加し、引き続いて
この第二段塩素化反応の塩素化度が1.2〜2.0程
度、好ましくは1.3〜1.8程度になるまで、第二段
核塩素化反応を継続することにより行われる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、実施例及び比較例に基づい
て、本発明方法の好適な実施の形態を具体的に説明す
る。
【0024】実施例1〜5及び比較例1〜10 攪拌機、温度計、ガス吹込管、還流冷却管を備えた30
0ml容積の4つ口フラスコに、トルエン184g
(2.0モル)と表1に示す第一段塩素化反応用のルイ
ス酸触媒を表1に示す触媒濃度で仕込み、反応温度50
℃で1.58g/分(0.022モル/分)の速度で塩
素を吹き込みながら第一段塩素化反応を行い、この第一
段塩素化反応の塩素化度DClが表1に示す値になったと
きに第二段塩素化反応用のルイス酸触媒を表1に示す触
媒濃度で添加し、引き続き反応温度50℃で1.58g
/分(0.022モル/分)の速度で塩素を吹き込みな
がら第二段塩素化反応を行った。なお、1種類のルイス
酸触媒を用いた比較例1〜9については、反応開始時に
ルイス酸触媒の全量を仕込んだ。
【0025】反応終了後、得られた反応混合物をガスク
ロマトグラフィーで分析し、DCTの異性体比を求め
た。結果を表1に示す。この表1に示す結果から明らか
なように、第一段塩素化反応のルイス酸触媒として塩化
第二錫(SnCl4)又は四塩化チタン(TiCl4)を用い、また、
第二段塩素化反応のルイス酸触媒として塩化アルミニウ
ム(AlCl3)、塩化ガリウム(GaCl3)、塩化第二鉄(FeC
l3)、又は塩化アンチモン(SbCl5)を用いた実施例1〜5
の場合は、単独のルイス酸触媒を用いた比較例1〜9の
場合や、第一段塩素化反応のルイス酸触媒として塩化第
二錫(SnCl4)及び四塩化チタン(TiCl4)以外の塩化ニオブ
(NbCl 5)を用いた比較例10の場合に比べて、2,6-D
CTの生成割合が顕著に高くなっている。
【0026】
【表1】
【0027】実施例6〜9及び比較例11〜15 第一段塩素化反応用のルイス酸触媒として塩化第二錫(S
nCl4)を用い、第二段塩素化反応用のルイス酸触媒とし
て塩化アルミニウム(AlCl3)を用い、表2に示す触媒濃
度及び第二段触媒添加時塩素化度DClで反応を行った以
外は、上記実施例1〜5の場合と同様に塩素化反応を行
い、得られた反応混合物をガスクロマトグラフィーで分
析し、DCTの異性体比を求めた。結果を表2に示す。
【0028】
【表2】
【0029】この表2に示す結果から、第二段触媒添加
時塩素化度DClの値が0.00(即ち、第一段塩素化反
応用ルイス酸触媒の塩化第二錫(SnCl4)と第二段塩素化
反応用ルイス酸触媒の塩化アルミニウム(AlCl3)とを反
応当初に同時に添加した場合)の比較例11では、比較
例4に示した塩化アルミニウムのみでの結果と実質的に
変わりはなく、第二段触媒添加時塩素化度DClの値が
1.19以上の比較例12及び13の場合には、2,6-D
CTの生成割合が低下することが判明した。
【0030】また、比較例14では、第一段塩素化反応
の後、塩化第二錫(SnCl4)を通常の方法で水洗除去後に
第二段塩素化反応を行ったが、実施例8とほぼ同様の組
成であった。このような結果が得られたのは、本発明で
特定した第一段及び第二段の塩素化反応で用いるルイス
酸触媒の組合せにおいて、第二段塩素化反応用のルイス
酸触媒の触媒活性が第一段塩素化反応用のルイス酸触媒
の触媒活性に比べて遥かに高いためである。従って、触
媒の後処理は、2段階の反応であるにもかかわらず、第
一段塩素化反応終了時には不要であり、第二段塩素化反
応終了後に行うだけでよい。但し、実施例8、9と、第
二段塩素化反応のルイス酸触媒濃度と第一段塩素化反応
のルイス酸触媒濃度との重量比を0.01とした比較例
15との比較から、このルイス酸触媒濃度の重量比を極
端に減少させると、2種類のルイス酸触媒を用いる効果
が十分に発揮されないことも判明した。
【0031】実施例10 〔液状触媒の調製〕攪拌機、ガス吹込管、還流冷却管を
備えた300ml容積の4つ口フラスコに、トルエン2
00.9g(2.18モル)を仕込み、室温下に攪拌しな
がら塩化水素ガスを30分間吹き込んだ後、塩化アルミ
ニウム89.42g(0.671モル:和光純薬特級)を
一度に投入した(この際、急激な温度変化は観測されな
かった)。その後、更に室温下に攪拌しながら塩化水素
ガスを90分間吹き込むことで、トルエン層が消失し、
均一な液状触媒(液状AlCl3;重量:303.5g、
密度:1.05g/cm3(22℃))を得た。尚、液状
触媒を得るまでに導入された塩化水素の量は13.18
g(0.361モル)であり、また、得られた液状触媒
のトルエン/塩化アルミニウム/塩化水素のモル比は
6:2:1であった。
【0032】〔トルエンの塩素化反応〕上記実施例4の
塩素化反応で、第二段塩素化反応の際に用いた塩化アル
ミニウムに代えて、先に調製した液状触媒3.18g
(塩化アルミニウム0.94g相当:原料トルエンに対
して0.5重量%)を添加し、第二段塩素化反応を1.5
時間行った以外は、実施例4の場合と同様に塩素化反応
を行った。得られた反応混合物の組成をガスクロマトグ
ラフィー(本体:島津製作所GC-1700、カラム:J&W DB
-210)により調べた結果、トルエンの転化率が100.
0%、クロルトルエンの生成率が33.7%、ジクロル
トルエンの生成率が56.2%であった。また、得られ
た反応混合物をガスクロマトグラフィーで分析し、DC
Tの異性体比を求めると、2,6−体が25.3%、2,
4−体が31.1%、2,5−体が25.9%、2,3−体
が11.6%、及び3,4−体が6.0%であった。尚、
この際の塩素反応率は99.4%であった。
【0033】
【発明の効果】本発明によれば、トルエン等のアルキル
芳香族炭化水素をルイス酸触媒の存在下に塩素化してジ
核塩素化アルキル芳香族炭化水素を製造する際に、得ら
れるジ核塩素化異性体混合物中の2,6-置換体の生成割合
を顕著に増加せしめることができ、医薬、農薬、ポリマ
原料等の各種有機化学物質の原料として特に重要な2,6-
置換体を工業的に有利に製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鎌田 正利 静岡県庵原郡蒲原町蒲原161番地、日本軽 金属株式会社蒲原製造所内 (72)発明者 浅輪 智丈 静岡県庵原郡蒲原町蒲原161番地、日本軽 金属株式会社蒲原製造所内 (72)発明者 合戸 広 静岡県庵原郡蒲原町蒲原161番地、日本軽 金属株式会社蒲原製造所内 (72)発明者 松岡 昌太郎 愛知県名古屋市港区大江町9番地の1、東 レ株式会社名古屋事業場内 Fターム(参考) 4H006 AA02 AC30 BA09 BA10 BA11 BA13 BA19 BA37 BB11 BC10 BC32 BC34 EA21 4H039 CA52 CD10

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I) 【化1】 (式中、Rは炭素数1〜4の低級アルキル基を示す)で
    示されるアルキル芳香族炭化水素をルイス酸触媒の存在
    下に塩素化してジ核塩素化異性体混合物を製造する方法
    であり、塩化第二錫(SnCl4)及び四塩化チタン(TiCl4)か
    ら選ばれた1種又は2種のルイス酸触媒を用いて第一段
    塩素化反応を行い、引き続いて塩化アルミニウム(AlC
    l3)、塩化ガリウム(GaCl3)、塩化第二鉄(FeCl3)、塩化
    アンチモン(SbCl5)、及び塩化ジルコニウム(ZrCl4)か
    ら選ばれた1種又は2種以上のルイス酸触媒を用いて第
    二段塩素化反応を行うことを特徴とするアルキル芳香族
    炭化水素の塩素化方法。
  2. 【請求項2】 アルキル芳香族炭化水素がトルエンであ
    る請求項1に記載のアルキル芳香族炭化水素の塩素化方
    法。
  3. 【請求項3】 第一段塩素化反応で用いるルイス酸触媒
    が塩化第二錫(SnCl4)であり、また、第二段塩素化反応
    で用いるルイス酸触媒が塩化アルミニウム(AlCl3)であ
    る請求項1又は2に記載のアルキル芳香族炭化水素の塩
    素化方法。
  4. 【請求項4】 第二塩素化反応で用いるルイス酸触媒が
    塩化アルミニウム(AlCl3)とアルキル芳香族炭化水素と
    塩化水素とを混合して得られる液状触媒である請求項1
    〜3のいずれかに記載のアルキル芳香族炭化水素の塩素
    化方法。
  5. 【請求項5】 液状触媒を得るためのアルキル芳香族炭
    化水素が一般式(I)で示されるアルキル芳香族炭化水
    素である請求項1〜4のいずれかに記載のアルキル芳香
    族炭化水素の塩素化方法。
  6. 【請求項6】 第一段塩素化反応及び/又は第二段塩素
    化反応で用いるルイス酸触媒の触媒濃度がそれぞれ0.
    01〜5重量%の範囲内である請求項1〜5のいずれか
    に記載のアルキル芳香族炭化水素の塩素化方法。
  7. 【請求項7】 第二段塩素化反応で用いるルイス酸触媒
    濃度と第一段塩素化反応で用いるルイス酸触媒濃度との
    重量比が0.02以上である請求項1〜6のいずれかに
    記載のアルキル芳香族炭化水素の塩素化方法。
  8. 【請求項8】 第一段塩素化反応及び/又は第二段塩素
    化反応での反応温度が0〜150℃の範囲内である請求
    項1〜7のいずれかに記載のアルキル芳香族炭化水素の
    塩素化方法。
  9. 【請求項9】 第二段塩素化反応に用いるルイス酸触媒
    は、第一段塩素化反応における反応系の塩素化度DCl
    0<DCl≦1.15の時点で添加される請求項1〜8の
    いずれかに記載のアルキル芳香族炭化水素の塩素化方
    法。
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