JP2002143347A - 糸巻きゴルフボール - Google Patents

糸巻きゴルフボール

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JP2002143347A
JP2002143347A JP2000349536A JP2000349536A JP2002143347A JP 2002143347 A JP2002143347 A JP 2002143347A JP 2000349536 A JP2000349536 A JP 2000349536A JP 2000349536 A JP2000349536 A JP 2000349536A JP 2002143347 A JP2002143347 A JP 2002143347A
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Japan
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golf ball
thread
wound
rubber
deformation
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Application number
JP2000349536A
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English (en)
Inventor
Keiji Moriyama
圭治 森山
Takashi Sasaki
隆 佐々木
Satoshi Iwami
聡 岩見
Kazuhiko Isogawa
一彦 五十川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Rubber Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Rubber Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明により、糸巻きゴルフボールを提供す
る。 【解決手段】 本発明は、ソリッドセンター(1)と、該
ソリッドセンター上に巻き付けられた糸ゴム層(2)とか
ら成る糸巻きコア(4)、および糸巻きコア上に形成され
たカバー(3)から成る糸巻きゴルフボールにおいて、該
ゴルフボールがショアーD硬度による表面硬度45〜6
0を有し、該糸巻きコア(4)の初期荷重98Nを負荷し
た状態から終荷重1275Nを負荷したときまでの変形
量をA(mm)とし、該ゴルフボールの初期荷重98N
を負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときま
での変形量をB(mm)とした場合、該変形量Aが2.
4〜3.3mmであり、変形量の差(A−B)が0〜
0.3mmであることを特徴とする糸巻きゴルフボール
に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、糸巻きゴルフボー
ルに関する。更に詳しくは、本発明は、良好な打球感お
よび優れたスピン性能を保持し、かつ飛距離の向上した
糸巻きゴルフボールに関する。
【0002】
【従来の技術】糸巻きゴルフボールは、固体のセンター
(ソリッドセンター)または液体のセンター(リキッド
センター)に糸ゴムを巻き付けて糸ゴム層を形成し、上
記糸ゴム層の外側をカバー材(アイオノマー、バラタ
等)で被覆したものである。糸巻きゴルフボールは一般
に、ソリッドゴルフボールと比較すると、打球感がソフ
トであり、またスピン性能が優れているためコントロー
ル性に優れており、これらの特性を重視するプロゴルフ
ァーをはじめとする上級ゴルファーに愛用されている。
しかしながら、糸巻きゴルフボールは、スピン量が大き
く、打出角も小さいため、飛距離の点でソリッドゴルフ
ボールに劣る。従って、打球感およびスピン性能に優れ
るという利点を保持し、かつ十分な飛距離の得られる糸
巻きゴルフボールが求められている。
【0003】このような問題点を解決するため、ソリッ
ドセンター、糸ゴム層およびカバーから成る糸巻きゴル
フボールにおいて、ソリッドセンターの材料や、物性、
例えば直径、硬度や硬度分布、圧縮変形量等、およびカ
バーの硬度等を適正化することにより、優れた打球感や
スピン性能を保持したまま更に長い飛距離を有する、ソ
リッドセンターを用いた糸巻きゴルフボールが提案され
てきた(例えば、特開平5‐337217号公報、特開
平6‐54930号公報、特開平9‐271539号公
報、特開平11‐333025号公報等)。
【0004】特開平5‐337217号公報には、ソリ
ッドセンターとして油状物質を含有させた架橋構造を有
する軟質の固形ゴムを用いることにより、適正な初速の
もとでスピン量を抑制して、ウッド、アイアンクラブに
よる打撃時の飛距離をバランス良く向上させた糸巻きゴ
ルフボールが開示されている。
【0005】特開平6‐54930号公報には、ソリッ
ドセンターのJIS‐A硬度による表面硬度が60以下
であり、500g荷重負荷時の歪量を0.5mm以上に
することでスピン量を抑制し、従来の糸巻きゴルフボー
ルにない飛距離を有する糸巻きゴルフボールが開示され
ている。
【0006】特開平9‐271539号公報には、ソリ
ッドセンターが直径35〜38mm、130kg荷重変
形量(初荷重10kg)3.5〜6.0mmを有し、ソ
リッドセンターの荷重変形量からゴルフボールの荷重変
形量を引いた値が0.5〜3.0mmであり、カバーの
ショアD硬度を65〜75に設定することでスピン量を
抑制して飛距離を増加させた糸巻きゴルフボールが開示
されている。
【0007】特開平11‐333025号公報には、直
径29〜35mm、JIS‐C硬度による中心硬度30
〜70を有する内核センター上に、JIS‐C硬度70
〜90を有するセンター外層を被覆した2層センターに
より軟らかく良好な打球感が得られ、ショアD硬度40
〜60を有するカバーを用いることでスピン性能を安定
させた糸巻きゴルフボールが開示されている。
【0008】しかしながら、従来のソリッドセンタ−を
用いた糸巻きゴルフボールについて飛距離を向上させる
ための提案は、上記のようにソリッドセンタ−を軟らか
くしてスピン量を抑制することによりゴルフボールの飛
距離を向上させる、若しくはセンターを大径化してカバ
ー硬度を硬くすることでゴルフボールの飛距離を向上さ
せる(スピン性能は劣る)ものであった。軟質カバーを
用いて糸巻きゴルフボールの優れたスピン性能を維持し
たまま、軟らかいセンターを用いた糸巻きボールを作製
した場合、ゴルフボールの硬度が低下して反発性が低下
する。このような反発性の低下を抑制するには、糸ゴム
を高いテンションで巻き付ける必要性があり糸巻き工程
において糸ゴムが切れやすくなる等の問題点があった。
【0009】従って、糸巻きゴルフボールの優れた打球
感およびスピン性能を有するという利点を保持し、かつ
ソリッドゴルフボールのような十分な飛距離の得られる
糸巻きゴルフボールという観点で未だ満足のいくものは
得られておらず、更に打球感やスピン性能および飛行性
能に優れた糸巻きゴルフボールが求められている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な従来の糸巻きゴルフボールの有する問題点を解決し、
良好な打球感および優れたスピン性能を保持し、かつ飛
距離の向上した糸巻きゴルフボールを提供することを目
的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記目的を
達成すべく鋭意研究を重ねた結果、ソリッドセンターを
用いた糸巻きゴルフボールにおいて、ゴルフボールの表
面硬度および糸巻きコアの変形量とゴルフボールの変形
量の関係を特定範囲内に規定することによって、反発性
の低下を抑制することができ、糸巻きゴルフボール特有
の良好な打球感および優れたスピン性能を損なうことな
く飛距離を最大限に増大させ得ることを見い出し、本発
明を完成するに至った。
【0012】即ち、本発明は、ソリッドセンター(1)
と、該ソリッドセンター上に巻き付けられた糸ゴム層
(2)とから成る糸巻きコア(4)、および糸巻きコア上に
形成されたカバー(3)から成る糸巻きゴルフボールにお
いて、該ゴルフボールがショアーD硬度による表面硬度
45〜60を有し、該糸巻きコア(4)の初期荷重98N
を負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときま
での変形量をA(mm)とし、該ゴルフボールの初期荷
重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷し
たときまでの変形量をB(mm)とした場合、該変形量
Aが2.4〜3.3mmであり、変形量の差(A−B)
が0〜0.3mmであることを特徴とする糸巻きゴルフ
ボールに関する。
【0013】更に本発明を好適に実施するために、上記
ソリッドセンター(1)が、直径28〜32.5mmを有
し、上記ソリッドセンターの初期荷重9.8Nを負荷し
た状態から終荷重294Nを負荷したときの変形量が
6.0〜12.0mmであることが好ましく;上記糸ゴ
ム層(2)が厚さ3.5〜6.0mmを有し、かつ上記カ
バー(3)が厚さ1.0〜2.0mmを有することが好ま
しい。
【0014】本発明のゴルフボールを図1を用いて更に
詳しく説明する。図1は、本発明のゴルフボールの1つ
の態様を示す概略断面図である。図1に示すように、本
発明のゴルフボールはソリッドセンター(1)上に糸ゴム
層(2)を巻き付けてなる糸巻きコア(4)、該糸巻きコア
(4)上にカバー(3)を形成する。
【0015】本発明のゴルフボールのソリッドセンター
(1)は、ゴム組成物の加硫成形物から成り、油状物質を
含有してもよい。上記ゴム組成物を得るための基材ゴム
は、硫黄または過酸化物加硫が可能なゴムであればいず
れでもよく、例えば、ポリブタジエンゴム(BR)、天
然ゴム(NR)、エチレン‐プロピレン‐ジエンモノマ
ー三元共重合体ゴム(EPDM)、ポリノルボルネンゴ
ム等が好適に使用し得る。さらに、スチレン系、エチレ
ン系、ウレタン系熱可塑性エラストマーを用いることも
できる。
【0016】油状物質も特に限定されず、室温で流動性
または半固形状を呈する物質で、できるだけ揮発性のな
いものであればいずれでもよい。特に、上記ゴムとの相
溶性に優れ、ゴム中に均一に混合されてゴムの有する反
発性を著しく損なわないか、あるいは逆に、反発性の低
いゴムに対しては、混合することによって適度な反発弾
性を付与し得る油状物質であることが望ましい。例え
ば、これらの油状物質として、つぎのものが挙げられ
る。
【0017】(1)石油系配合油:ゴムの伸展油として
よく使用されるもので、芳香族環、ナフテン環、パラフ
ィン鎖の含有量によって以下のように分類される。 (i)パラフィン系油:パラフィン鎖を50%以上含む。 (ii)ナフテン系油:ナフテン環炭素を30〜45%含む。 (iii)芳香族(アロマティック)系油:芳香族炭素を3
5%以上含む。
【0018】(2)可塑剤 ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート
(DOP)等のフタレート系、ジオクチルアジペート
(DOA)等のアジペート系、ジオクチルセバケート
(DOS)等のセバケート系、トリクレジルホスフェー
ト(TCP)等のホスフェート系、アジピン酸系ポリエ
ステル等が挙げられる。
【0019】(3)サブ(ファクチス):植物油等を硫
黄または塩化硫黄で加硫したもので、飴サブ、黒サブ、
ブラウンサブ等が挙げられる。
【0020】(4)アルキルベンゼン:1‐ドデシル‐4
‐ヘキシルベンゼン、1‐ドデシル‐3‐ヘキシルベンゼ
ン、1.3.5‐メチレン、1.2.3ヘミメリテン等が挙げられ
る。
【0021】(5)液状ゴム:液状ポリブタジエン、液
状ポリイソプレン等が挙げられる。これらの油状物質は
単独で用いてもよいし、または2種以上混合して用いて
もよい。
【0022】油状物質と基材ゴムとの組合せは、油状物
質のゴムに対する相溶性を考慮して決定される。好適な
組合せの典型的な例としては、例えば、ポリブタジエン
ゴム、天然ゴムとナフテン油または芳香族油;EPDM
とパラフィン油;ポリノルボルネンゴムとナフテン系
油、芳香族系油、可塑剤、アルキルベンゼン、パラフィ
ン系油;ウレタンゴムと可塑剤、サブ等が挙げられる。
【0023】油状物質の配合量は、基材ゴム100重量部
に対して、30〜500重量部程度が好ましく、また、50〜4
00重量部がより好ましい。配合量が30重量部未満では、
改良効果が得られず、500重量部以下では、組合せによ
ってオイルをゴム中に混合できない場合が生じる。
【0024】本発明のソリッドセンター(1)は、単層構
造であっても、2層以上の多層構造を有していてもよい
が、ソリッドセンター(1)に油状物質を用いる場合には
ソリッドセンターを2層以上の多層構造として、外層に
熱可塑性樹脂の層を設けて、油状物質のブリードを防止
することが好ましい。上記熱可塑性樹脂としては、ポリ
スチレン系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリ
エステル系、ポリアミド系、塩化ビニル系、フッ素系等
の熱可塑性樹脂(ハードセグメントとソフトセグメント
から成る熱可塑性エラストマーを含む)またはそれらの
混合物が挙げられるが、油状物質のブリードを防止する
ため、耐油性に優れるポリウレタン系、ポリエステル
系、ポリアミド系、塩化ビニル系熱可塑性樹脂またはそ
れらの混合物が好適である。特に、高反発と良好な打球
感を達成し得るポリウレタン系、ポリエステル系、ポリ
アミド系熱可塑性エラストマーまたはそれらの混合物が
好ましい。
【0025】上記熱可塑性エラストマーの具体例とし
て、例えば東レ(株)から商品名「ペバックス」で市販さ
れている(例えば、「ペバックス2533」)ポリアミ
ド系熱可塑性エラストマー、東レ・デュポン(株)から商
品名「ハイトレル」で市販されている(例えば、「ハイ
トレル3548」、「ハイトレル4047」)ポリエス
テル系熱可塑性エラストマー、武田バーディシュ(株)か
ら商品名「エラストラン」で市販されている(例えば、
「エラストランET880」)ポリウレタン系熱可塑性
エラストマー等が挙げられる。
【0026】本発明のゴルフボールのソリッドセンター
(1)は、基材ゴムおよび油状物質に加えて、比重調節剤
としての充填剤(例えば、硫酸バリウム等)、補強剤
(例えば、含水ケイ酸、カーボンブラック等)、粘着付
与剤としての加工助剤、酸化防止剤等を添加することが
できる。更に、硫黄加硫を行う場合は、硫黄、酸化亜
鉛、ステアリン酸、加硫促進剤、ステアリン酸亜鉛等を
加硫系薬品として加え、また、過酸化物加硫を行う場合
は、有機過酸化物(例えば、ジクミルパーオキサイド、
1,1‐ジ‐t‐ブチルパーオキシ‐3,3,5‐トリメ
チルシクロヘキサン等)、活性剤(例えば、ステアリン
酸亜鉛等)、酸化亜鉛、共架橋剤(例えば、アクリル酸
亜鉛、メタクリル酸亜鉛、N,N'‐m‐フェニレンジマ
レイミド等)を適量加えて、加硫可能なゴム組成物とす
ることができる。
【0027】本発明のゴルフボールに用いられるソリッ
ドセンター(1)は、前述のゴム組成物を、混合、混練
し、金型内で、例えば150〜170℃で10〜20分
間加硫成形することにより得ることができる。
【0028】本発明のゴルフボールのソリッドセンター
(1)は、直径28〜32.5mm、好ましくは30〜3
2.5mm、より好ましくは31.5〜32.5mmを
有する。上記ソリッドセンター(1)の直径が28mm未
満ではフライト性能初期条件において低打出角、高スピ
ンになり飛距離が低下し、32.5mmより大きいと軟
らかいソリッドセンターを用いているのでゴルフボール
の反発性が低下して飛距離が低下する。
【0029】本発明のゴルフボールでは、ソリッドセン
ター(1)の初期荷重9.8Nを負荷した状態から終荷重
294Nを負荷したときの変形量が6.0〜12.0m
m、8.0〜11.5mmであることが望ましい。ソリ
ッドセンター(1)の上記変形量が6.0mm未満では非
常に軟らかい良好な打球感を得られない。12mmより
大きいとゴルフボールの硬度が小さくなって反発性が低
下して飛距離が低下する。
【0030】得られたソリッドセンター(1)上には、ゴ
ルフボール用の糸ゴムを巻きつけて、ソリッドセンター
(1)と糸ゴム層(2)からなる糸巻きコア(4)を形成す
る。ソリッドセンター(1)上に巻き付ける糸ゴムは、糸
巻きゴルフボールの糸ゴム層に従来から使用されている
ものと同様のものを用いてもよく、例えば天然ゴムまた
は天然ゴムと合成ポリイソプレンに硫黄、加硫助剤、加
硫促進剤、老化防止剤等を配合したゴム組成物を加硫す
ることによって得られたものを用いてもよい。糸ゴム層
(2)は、従来の糸巻きゴルフボールの糸巻きコアを製造
する方法で、ソリッドセンター上に巻き付けることがで
きる。
【0031】上記糸ゴム層(2)は厚さ3.5〜6.0m
m、好ましくは3.5〜4.5mm、より好ましくは
4.0〜4.5mmを有することが望ましい。3.5m
m未満ではドライバーからロングアイアンを用いた高ヘ
ッドスピートでの打撃時の反発性が低下し、6.0mm
を越えるとフライト性能初期条件において低打出角、高
スピンになり飛距離が低下する。
【0032】本発明のゴルフボールにおいて、糸巻きコ
ア(4)の初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重12
75Nを負荷したときまでの変形量が2.4〜3.3m
mであることを要件とするが、好ましくは2.5〜3.
3mm、より好ましくは2.5〜3.0mmである。上
記糸巻きコアの変形量が2.4mm未満では打撃時の衝
撃が大きくなり易く、特に軟質ソリッドセンターとした
場合には糸ゴムを高いテンションで巻き付けることにな
り糸巻き工程において糸ゴムが切れやすくなるという欠
点が生じる。3.3mmより大きいと、糸巻きコアの反
発性が低下し、また糸ゴムの延伸率を下げて巻き付ける
ことになり糸ゴム層の反発性が低下して、得られるゴル
フボールの反発性が低下する。得られた糸巻きコア(4)
上には、次いでカバー(3)を形成する。
【0033】本発明のゴルフボールに用いられるカバー
(3)は、従来からゴルフボールのカバーに用いられてい
るアイオノマー樹脂、アイオノマー樹脂と熱可塑性エラ
ストマーまたはジエン系ブロック共重合体との組合せ、
熱硬化性ポリウレタン樹脂等を用いることができ、糸ゴ
ムの熱劣化の問題から低温成形可能な熱硬化性ポリウレ
タン樹脂が好ましい。
【0034】上記アイオノマー樹脂としては、エチレン
とα,β‐不飽和カルボン酸との共重合体中のカルボキ
シル基の少なくとも一部を金属イオンで中和したもの、
エチレンとα,β‐不飽和カルボン酸とα,β‐不飽和カ
ルボン酸エステルとの三元共重合体中のカルボキシル基
の少なくとも一部を金属イオンで中和したもの、または
それらの混合物である。上記のα,β‐不飽和カルボン
酸としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、フマル
酸、マレイン酸、クロトン酸等が挙げられ、特にアクリ
ル酸とメタクリル酸が好ましい。また、α,β‐不飽和
カルボン酸エステル金属塩としては、例えばアクリル
酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸等のメチル、
エチル、プロピル、n‐ブチル、イソブチルエステル等
が用いられ、特にアクリル酸エステルとメタクリル酸エ
ステルが好ましい。上記エチレンとα,β‐不飽和カル
ボン酸との共重合体中や、エチレンとα,β‐不飽和カ
ルボン酸とα,β‐不飽和カルボン酸エステルとの三元
共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部を中和す
る金属イオンとしては、ナトリウム、カリウム、リチウ
ム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、バリウム、アル
ミニウム、錫、ジルコニウム、カドミウムイオン等が挙
げられるが、特にナトリウム、亜鉛、マグネシウムイオ
ンが反発性、耐久性等からよく用いられ好ましい。
【0035】上記アイオノマー樹脂の具体例としては、
それだけに限定されないが、ハイミラン(Hi‐mil
an)1555、ハイミラン1557、ハイミラン16
05、ハイミラン1652、ハイミラン1705、ハイ
ミラン1706、ハイミラン1707、ハイミラン18
55、ハイミラン1856(三井デュポンポリケミカル
社製)、サーリン(Surlyn)8140、サーリン9
120、サーリン8945、サーリン9945、サーリ
ンAD8511、サーリンAD8512、サーリンAD
8542、サーリン6320(デュポン社製)、アイオ
テック(Iotek)7010、アイオテック8000
(エクソン(Exxon)社製)等を例示することができ
る。これらのアイオノマー樹脂は、上記例示のものをそ
れぞれ単独または2種以上の混合物として用いてもよ
い。
【0036】上記熱可塑性エラストマーの具体例とし
て、例えば東レ(株)から商品名「ペバックス」で市販さ
れている(例えば、「ペバックス2533」)ポリアミ
ド系熱可塑性エラストマー、東レ・デュポン(株)から商
品名「ハイトレル」で市販されている(例えば、「ハイ
トレル3548」、「ハイトレル4047」)ポリエス
テル系熱可塑性エラストマー、BASFポリウレタンエ
ラストマーズ社から商品名「エラストラン」(例えば、
「エラストランET880」)ポリウレタン系熱可塑性
エラストマー等が挙げられる。
【0037】上記ジエン系ブロック共重合体は、ブロッ
ク共重合体または部分水添ブロック共重合体の共役ジエ
ン化合物に由来する二重結合を有するものである。その
基体となるブロック共重合体とは、少なくとも1種のビ
ニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAと少な
くとも1種の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロ
ックBとから成るブロック共重合体である。また、部分
水添ブロック共重合体とは、上記ブロック共重合体を水
素添加して得られるものである。ブロック共重合体を構
成するビニル芳香族化合物としては、例えばスチレン、
α‐メチルスチレン、ビニルトルエン、p‐t‐ブチル
スチレン、1,1‐ジフェニルスチレン等の中から1種
または2種以上を選択することができ、スチレンが好ま
しい。また、共役ジエン化合物としては、例えばブタジ
エン、イソプレン、1,3‐ペンタジエン、2,3‐ジメ
チル‐1,3‐ブタジエン等の中から1種または2種以
上を選択することができ、ブタジエン、イソプレンおよ
びこれらの組合せが好ましい。上記ジエン系ブロック共
重合体の具体例としては、例えばダイセル化学工業(株)
から商品名「エポフレンド」市販されているもの(例え
ば、「エポフレンドA1010」)、(株)クラレから商
品名「セプトン」で市販されているもの(例えば、「セ
プトンHG‐252」)等が挙げられる。が挙げられ
る。
【0038】本発明のゴルフボールのカバー(3)にアイ
オノマー樹脂と熱可塑性エラストマーとの組合せを用い
る場合、上記熱可塑性エラストマーの配合量は、カバー
用の基材樹脂100重量部に対して、0〜60重量部、
好ましくは10〜40重量部である。60重量部より多
いとカバーが軟らかくなり過ぎて反発性が低下したり、
またアイオノマー樹脂との相溶性が悪くなって耐久性が
低下しやすくなる。
【0039】上記熱硬化性ポリウレタン樹脂は、イソシ
アネート基末端ウレタンプレポリマーおよび硬化剤を含
有するカバー用ポリウレタン組成物から成る。本発明で
使用されるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー
は、イソシアネート基をウレタンプレポリマー分子鎖中
に少なくとも2以上有するものであれば特に制限されな
い。イソシアネート基のウレタンプレポリマー分子鎖中
の位置も特に限定はされず、ウレタンプレポリマー分子
鎖主鎖末端にあってもよいし、側鎖末端にあってもよ
い。上記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー
は、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基が、
ポリオールのヒドロキシル基に対してモル比で過剰にな
るように反応を行うことにより得ることができる。
【0040】前記ポリイソシアネート化合物としては、
特に限定されず、2,4‐トリレンジイソシアネート、
2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジ
イソシアネートと2,6‐トリレンジイソシアネートの
混合物(TDI)、4,4’‐ジフェニルメタンジイソシ
アネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート
(HDI)、1,5‐ナフチレンジイソシアネート(ND
I)、3,3’‐ビトリレン‐4,4’‐ジイソシアネー
ト(TODI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、
パラフェニレンジイソシアネート(PPDI)等の芳香族
ジイソシアネート;4,4’‐ジシクロヘキシルメタン
ジイソシアネート(水素添加MDI)、イソホロンジイソ
シアネート(IPDI)等の脂環式ジイソシアネートま
たは脂肪族ジイソシアネート等が挙げられる。上記ポリ
イソシアネート化合物は、単独で或いは、少なくとも2
種以上の混合物として使用することができる。得られる
ポリウレタン製カバーの機械的特性及びゴルフボールの
反発性や耐候性・耐水性が良好であるという点から、T
DI若しくは水素添加MDI又はそれらを主成分とする
ポリイソシアネートが好ましく、本発明においては、ト
リレンジイソシアネート系ウレタンプレポリマー又はト
リレンジイソシアネート系ウレタンプレポリマーと4,
4'‐ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート系ウレ
タンプレポリマーとの混合物を好適に使用することがで
きる。上記トリレンジイソシアネート系ウレタンプレポ
リマー及び4,4'‐ジシクロヘキシルメタンジイソシア
ネート系ウレタンプレポリマーとはそれぞれ、TDI若
しくはTDIを主成分とするポリイソシアネート化合物
及び4,4’‐ジシクロヘキシルメタンジイソシアネー
ト(水素添加MDI)若しくは水素添加MDIを主成分と
するポリイソシアネート化合物とポリオールとを反応す
ることにより得られるイソシアネート基末端ウレタンプ
レポリマーのことをいう。
【0041】上記ポリオールとしては、水酸基を複数有
するものであれば、低分子量化合物、高分子量化合物の
如何を問わない。低分子量のポリオールとしては、例え
ば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリ
エチレングリコール、1,3‐ブタンジオール、1,4‐
ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6‐ヘ
キサンジオール等のジオール;グリセリン、トリメチロ
ールプロパン、ヘキサントリオールなとのトリオールが
挙げられる。高分子量のポリオールとしては、活性水素
を持つ開始剤とアルキレンオキサイドとの反応によって
得ることができるポリエーテルポリオール;アジピン酸
等の2塩基酸とグリコール又はトリオールとの脱水縮台
によって得られる縮合系ポリエステルポリオール;ε‐
カプロラクタム等のラクタムの開環重合によって得られ
るラクトン系ポリエステルポリオール;環状ジオールを
用いて合成されるポリカーボネートジオール;アクリル
系共重合体に適宜水酸基を導入してなるアクリルポリオ
ールなどのポリマーポリオールが挙げられる。
【0042】上記ポリエーテルポリオールとしては、ポ
リオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレング
リコール(PPG)、ポリオキシテトラメチレングリコー
ル(PTMG)等が挙げられ、縮合系ポリエステルポリオ
ールとしてはポリエチレンアジペート(PEA)、ポリブ
チレンアジペート(PBA)、ポリヘキサメチレンアジペ
ート(PHMA)などが挙げられ、ラクトン系ポリエステ
ルポリオールとしてはポリ‐ε‐カプロラクトン(PC
L)などが挙げられる。反発性及び耐水性に優れている
という点からは、好ましくはポリエーテルポリオール、
さらに好ましくはポリオキシテトラメチレングリコール
が使用される。
【0043】また、上記ポリイソシアネートと上記ポリ
オールの組合せとしては、TDI又は水素添加MDI若
しくはそれらを主成分とするポリイソシアネート化合物
とポリオキシテトラメチレングリコールとの組合せが好
ましい。上記イソシネート基末端ウレタンプレポリマー
の具体例としては、ユニロイヤル社から商品名「アジプ
レン」で市販されているもの、例えば「アジプレンLF
900A」、「アジプレンLF930A」、「アジプレ
ンLF950A」、「アジプレンLF0330」、「ア
ジプレンL200」等が挙げられる。
【0044】本発明で使用される硬化剤としては、グリ
コール系またはアミン系の硬化剤が挙げられる。グリコ
ール系硬化剤としては、1,4‐ブタンジオール、1,3
‐ブタンジオール、2,3‐ブタンジオール、2,3‐ジ
メチル‐2,3‐ブタンジオール、ジプロピレングリコ
ール、エチレングリコール、およびこれらの混合物等が
挙げられる。
【0045】アミン系硬化剤としては、3,3’‐ジク
ロロ‐4,4’‐ジアミノジフェニルメタン(MOC
A)、2,2’‐ジクロロ‐3,3’,5,5’‐テトラエ
チル‐4,4’‐ジアミノジフェニルメタン等のジフェ
ニルメタン系;3,5‐ジメチルチオ‐2,4‐トルエン
ジアミン、3,5‐ジエチル‐2,4‐トルエンジアミン
等のトルエンジアミン系;トリメチレングリコール‐ジ
‐p‐アミノベンゾエート、ポリテトラメチレングリコ
ール‐ジ‐p‐アミノベンゾエート等のベンゾエート系
等が挙げられる。本発明では、ジフェニルメタン系およ
びベンゾエート系のアミン系硬化剤が好ましく、2,
2’‐ジクロロ‐3,3’,5,5’‐テトラエチル‐4,
4’‐ジアミノジフェニルメタンおよびポリテトラメチ
レングリコール‐ジ‐p‐アミノベンゾエートがより好
ましい。上記硬化剤の配合量は、特に限定されないが、
イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーに対して、
NH2/NCO=0.85〜1.15(モル比)になる様
に配合することが好ましいが、所望により上記範囲を超
えてもよい。上記硬化剤の具体例として、ユニロイヤル
社から商品名「ロンザキュアM‐CDEA」で市販され
ているアミン系硬化剤、エアープロダクツ社から商品名
「ポラミン 250P」で市販されているアミン系硬化
剤等が挙げられる。
【0046】本発明で使用されるポリウレタン製カバー
用組成物には、ポリウレタンの反応に使用される通常の
触媒を含むことができる。上記触媒としては、3級アミ
ン系触媒、有機金属系触媒等が用いられる。3級アミン
系触媒としては、トリエチルアミン、トリエチレンジア
ミン、N,N,N’,N”,N”‐ペンタメチルジエチ
レントリアミン、N,N‐ジメチルエタノールアミン、
エチルモルホリン等が挙げられる。また、3級アミン
と、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、
1,4‐ブタンジオール、N,N‐ジメチルエタノール
アミンとのブレンド等が挙げられる。有機金属系触媒と
しては、ジブチルチンジラウリレート、ジブチルチンジ
アセテートなとの錫系触媒などが挙げられる。本発明で
は、トリエチレンジアミンとジプロピレングリコールと
のブレンドが好ましい。上記触媒の具体例としては、エ
アープロダクツ社から商品名「DABCO 33‐L
V」で市販されている触媒等が挙げられる。
【0047】本発明に用いられるカバーには、上記樹脂
以外に必要に応じて、コアに用いたものと同様の充填材
や、種々の添加剤、例えば二酸化チタン等の顔料、分散
剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等を添加して
もよい。
【0048】上記カバーを被覆する方法についても、特
に限定されるものではなく、通常のカバーを被覆する方
法で行うことができる。カバーに熱可塑性樹脂を用いる
場合、カバー用組成物を予め半球殻状のハーフシェルに
成形し、それを2枚用いてコアを包み、130〜170
℃で1〜5分間加圧成形するか、または上記カバー用組
成物を直接コア上に射出成形してコアを包み込む方法が
用いられる。また、熱硬化性ポリウレタン樹脂を用いる
場合、糸巻きコアを保持させた半球状キャビティを有す
るディンプル付き金型にカバー用組成物を注入し、この
金型を反転し、上記カバー用組成物を別の半球状キャビ
ティを有するディンプル付き金型に注入し、両金型を合
わせて、50〜150℃で0.5〜3分間加熱プレス成
形して硬化する方法が用いられる。
【0049】上記カバーの厚さは、1.0〜2.0m
m、好ましくは1.3〜1.8mmである。1.0mm
より小さいと薄くなり過ぎて耐久性が低下し、反発性能
も低下し、2.0mmより大きいと打球感が悪くなる。
【0050】更に、カバー成形時、ディンプルと呼ばれ
るくぼみを多数表面上に形成する。本発明のゴルフボー
ルは美観を高め、商品価値を上げるために、通常ペイン
ト仕上げ、マーキングスタンプ等を施されて市場に投入
される。
【0051】本発明では、糸巻きコア上にカバーを被覆
して作製したゴルフボールがショアーD硬度による表面
硬度45〜60を有することを要件とするが、好ましく
は50〜60、より好ましくは53〜60である。上記
表面硬度が45未満では、ショートアイアンからアプロ
ーチショット等、ボール表面部分のみに変形の及ぶ低ヘ
ッドスピードでの打撃時のスピン性能を良好にできる一
方、ドライバーからロングアイアンによる、センターま
で変形の及ぶ高ヘッドスピードでの打撃時のスピン量ま
で大きくなって飛距離が低下する。60より高いとショ
ートアイアンからアプローチショット等、ボール表面部
分のみに変形の及ぶ低ヘッドスピードでの打撃時のスピ
ン量が小さくなり過ぎてスピン性能が低下する。
【0052】更に本発明のゴルフボールにおいては、上
記糸巻きコア(4)の変形量をA(mm)とし、糸巻きコ
ア上にカバーを被覆して作製したゴルフボールの初期荷
重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷し
たときまでの変形量をB(mm)とした場合、上記変形
量の差(A−B)が0〜0.3mmであることを要件と
するが、好ましくは0.1〜0.25mm、より好まし
くは0.15〜0.2mmである。上記変形量の差(A
−B)が0mmより小さいと糸巻きコアにカバーを被覆
成形する際の糸ゴムの熱劣化により、得られるゴルフボ
ールの硬度が低下して反発性も低下する。上記変形量の
差(A−B)が0.3mmより大きいと打球感が硬くて
悪いものとなる。
【0053】上記ゴルフボールの初期荷重98Nを負荷
した状態から終荷重1275Nを負荷したときまでの変
形量Bは2.3〜3.2mm、好ましくは2.4〜3.
1mm、より好ましくは2.4〜2.7mmを有するこ
とが望ましい。上記ゴルフボールの変形量が2.3mm
未満では打撃時の衝撃力が大きく打球感が硬くて悪いも
のとなり、3.2mmを越えると反発性が低下して飛距
離が低下する。
【0054】本発明では、従来の糸巻きゴルフボール特
有の良好な打球感およびスピン性能を損なわず、飛距離
を向上させた糸巻きゴルフボールを提供し得る。
【0055】
【実施例】本発明を実施例を挙げて更に具体的に説明す
るが、これら実施例に限定されるものではない。
【0056】ソリッドセンターの作製 (i)センター内層 以下の表1(実施例)および表2(比較例)に示した配
合のセンター内層用組成物を混練し、同表に示した成形
条件で加熱プレスすることにより、球状のセンター内層
を得た。得られたセンター内層の直径およびJIS‐A
硬度を測定し、それらの結果を表4(実施例)および表
5(比較例)に示す。 (ii)センター外層 以下の表1(実施例)および表2(比較例)に示した配
合のセンター外層用組成物を上記(i)で得られたセンタ
ー内層上に直接射出成形することにより、2層構造を有
するソリッドセンターを得た。センター外層の厚さおよ
びショアD硬度、並びにソリッドセンターの直径および
荷重負荷時の変形量を測定し、それらの結果を表4(実
施例)および表5(比較例)に示す。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】(注1)商品名、日本ゼオン(株)製のポリノ
ルボルネンゴム (注2)商品名、日本サン石油(株)製のナフテン系オイル (注3)商品名「BR01」、JSR(株)製のハイシスポ
リブタジエンゴム(シス‐1,4‐ポリブタジエン含量:
96%) (注4)日本ゼオン(株)製のハイスチレンレジン (注5)商品名、大内新興化学工業(株)製の加硫促進剤、
ジベンジルチオカルバミン酸亜鉛 (注6)商品名、大内新興化学工業(株)製の加硫促進剤、
ジベンゾチアジルスルフィド (注7)商品名、大内新興化学工業(株)製の加硫促進剤、
N‐シクロへキシル‐2‐ベンゾチアジルスルフェンア
ミド (注8)商品名、東レ・デュポン(株)製のポリエステル系
熱可塑性エラストマー (注9)商品名、東レ・デュポン(株)製のポリエステル系
熱可塑性エラストマー
【0060】糸ゴム層の形成 上記ソリッドセンターの周囲に、基材ゴムが天然ゴム/
低シスイソプレンゴム(シェル化学社製のシェルIR‐
309)=40/60(重量比)のブレンドゴム製の幅
1.5mmおよび厚さ0.5mmを有する糸ゴムを巻き
付け、外径39.7mmの糸巻きコアを作製した。糸ゴ
ム層の厚さおよび糸巻きコアの荷重負荷時の変形量
(A)を測定し、それらの結果を表4(実施例)および
表5(比較例)に示す。
【0061】(実施例1〜7および比較例2〜4)以下
の表3に示すカバー用配合a〜cを、得られた糸巻きコ
アを保持させた半球状キャビティを有するディンプル付
き金型に注入し、この金型を反転する。上記カバー用配
合材料を別の半球状キャビティを有するディンプル付き
金型に注入し、両金型を合わせて、同表に示す成形条件
で加熱プレス成形して硬化し、厚さ1.5mmのカバー
層を形成した。表面にペイントを塗装して、直径42.
7mmを有する糸巻きゴルフボールを得た。
【0062】(比較例1)以下の表3に示すカバー用配
合dを用いて半球殻状のハーフシェルを成形し、これを
2枚用いて、得られた糸巻きコアを包み、ディンプル付
き金型内で同表に示す成形条件により加熱プレス成形し
て、厚さ1.5mmのカバー層を形成した。表面にペイ
ントを塗装して、直径42.7mmを有する糸巻きゴル
フボールを得た。
【0063】
【表3】
【0064】(注10):ユニロイヤル社製のTDI/PT
MG系ウレタンプレポリマー (注11):ユニロイヤル社製のTDI/PTMG系ウレタ
ンプレポリマー (注12):ユニロイヤル社製の芳香族ジアミン硬化剤、
2,2’‐ジクロロ‐3,3’,5,5’‐テトラエチル‐
4,4’‐ジアミノジフェニルメタン (注13)デュポン社製のナトリウムイオン中和エチレン-
メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂、ショアD硬
度=61 (注14)デュポン社製の亜鉛イオン中和エチレン-メタク
リル酸共重合体系アイオノマー樹脂、ショアD硬度=59 (注15)(株)クラレ製の末端に-OH基が付加した水素添
加スチレン-イソプレン-スチレン(SIS)ブロック共重
合体、JIS-A硬度=80、スチレン含量約40重量%(注16)
ダイセル化学工業(株)製のエポキシ基を含有するポリブ
タジエンブロックを有するスチレン-ブタジエン-スチレ
ン(SBS)構造のブロック共重合体、JIS-A硬度=70、
スチレン/ブタジエン=40/60(重量比)、エポキシ含量約
1.5〜1.7重量%
【0065】得られたゴルフボールの表面硬度、荷重負
荷時の変形量(B)、打出角、スピン量、飛距離および
打球感を測定または評価し、糸巻きコアとゴルフボール
との荷重負荷時の変形量の差(A−B)を計算により求
め、それらの結果を表6(実施例)および表7(比較
例)に示す。試験方法は以下の通り行った。
【0066】(試験方法) 荷重負荷時の変形量 (1)ソリッドセンター ソリッドセンターに初期荷重9.8Nを負荷した状態か
ら終荷重294Nを負荷したときまでの変形量(mm)を
測定することにより決定した。 (2)コアおよびゴルフボール コアまたはゴルフボールに初期荷重98Nを負荷した状
態から終荷重1275Nを負荷したときまでの変形量
(mm)を測定することにより決定した。 飛行性能 (1)ゴルフラボラトリー社製スイングロボットにメタル
ヘッド製ウッド1番クラブ(住友ゴム工業(株)製のXX
IO、W#1、ロフト角8°、Xシャフト)を取付け、
ヘッドスピードを50m/秒に設定して各ゴルフボール
を打撃し、打ち出し直後の打出角、打ち出し直後のバッ
クスピン量(スピン量)、および飛距離としてトータル
(停止点までの距離)を測定した。測定は各ゴルフボー
ルで12回(n=12)行って、その平均を算出して、
各ゴルフボールの結果とした。
【0067】(2)ゴルフラボラトリー社製スイングロボ
ットにサンドウェッジ(住友ゴム工業(株)製のDP‐6
01、SW)を取付け、ゴルフボールをヘッドスピード
21m/秒に設定して打撃し、打ち出し直後のバックス
ピン量(スピン量)を測定した。測定は各ゴルフボール
で12回(n=12)行って、その平均を算出して、各
ゴルフボールの結果とした。
【0068】打球感 ゴルファー10人によるメタルヘッド製ドライバーでの実
打テストを行い、打撃時の衝撃の大きさと反発感の有り
無しとを評価し、最も多い評価をそのゴルフボールの結
果とした。評価基準は以下の通りである。 評価基準(衝撃性) ○ … 衝撃が小さくて打球感が良好 △ … 普通 × … 衝撃が大きくて打球感が悪い 評価基準(反発感) ○ … 反発感があり打球感が良好 × … 反発感のない重い打球感であり悪い
【0069】(試験結果)
【表4】
【0070】
【表5】
【0071】
【表6】
【0072】
【表7】
【0073】以上の結果より、本発明の実施例1〜5の
糸巻きゴルフボールは、比較例の糸巻きゴルフボール以
上の飛距離を有し、また、ドライバーおよびサンドウェ
ッジによる打撃時のスピン量も比較例の糸巻きゴルフボ
ールと同等またはそれ以上という結果であった。
【0074】また実施例6のゴルフボールは、本発明の
範囲内であり比較例よりは優れるが、ソリッドセンター
の直径が大きく、糸ゴム層の厚さが小さいため、実施例
のゴルフボールの中では若干反発性が低くて飛距離が短
くなっている。実施例7のゴルフボールは、本発明の範
囲内であり比較例よりは優れるが、ソリッドセンターの
荷重負荷時の変形量が小さいため、実施例のゴルフボー
ルの中では若干衝撃が大きくて打球感が悪いものとなっ
ている。
【0075】これに対して、比較例1のゴルフボール
は、変形量差(A−B)小さいため、反発性が低くて飛
距離が短くなっている。比較例2のゴルフボールは、コ
アの荷重負荷時の変形量が大きいため、反発性が低くて
飛距離が短いものとなっており、また打撃時に反発感の
ない重い打球感となっている。比較例3のゴルフボール
は、コアの荷重負荷時の変形量が小さいため打撃時の衝
撃が大きく打球感が悪くなっており、またソリッドセン
ターの直径が小さく荷重負荷時の変形量も小さいため、
低打出角、高スピン量となって飛距離が短いものとなっ
ている。比較例4のゴルフボールは、ゴルフボールの表
面硬度が大きいため、打撃時の衝撃が大きく打球感が悪
くなり、またサンドウェッジによる打撃時のスピン量が
非常に小さいものとなっている。
【0076】
【発明の効果】本発明のゴルフボールは、ソリッドセン
ターを用いた糸巻きゴルフボールにおいて、ゴルフボー
ルの表面硬度および糸巻きコアの変形量とゴルフボール
の変形量の関係を特定範囲内に規定することによって、
反発性の低下を抑制することができ、糸巻きゴルフボー
ル特有の良好な打球感および優れたスピン性能を損なう
ことなく飛距離を最大限に増大させ得たものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のゴルフボールの1つの態様の概略断
面図である。
【符号の説明】
1 … ソリッドセンター 2 … 糸ゴム層 3 … カバー 4 … 糸巻きコア
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岩見 聡 兵庫県神戸市中央区脇浜町3丁目6番9号 住友ゴム工業株式会社内 (72)発明者 五十川 一彦 兵庫県神戸市中央区脇浜町3丁目6番9号 住友ゴム工業株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ソリッドセンター(1)と、該ソリッドセ
    ンター上に巻き付けられた糸ゴム層(2)とから成る糸巻
    きコア(4)、および糸巻きコア上に形成されたカバー
    (3)から成る糸巻きゴルフボールにおいて、 該ゴルフボールがショアーD硬度による表面硬度45〜
    60を有し、 該糸巻きコア(4)の初期荷重98Nを負荷した状態から
    終荷重1275Nを負荷したときまでの変形量をA(m
    m)とし、 該ゴルフボールの初期荷重98Nを負荷した状態から終
    荷重1275Nを負荷したときまでの変形量をB(m
    m)とした場合、 該変形量Aが2.4〜3.3mmであり、変形量の差
    (A−B)が0〜0.3mmであることを特徴とする糸
    巻きゴルフボール。
  2. 【請求項2】 前記ソリッドセンターが、直径28〜3
    2mmを有し、該ソリッドセンターの荷重294Nを負
    荷したときの変形量6.0〜12.0mmである請求項
    1記載の糸巻きゴルフボール。
  3. 【請求項3】 前記糸ゴム層(2)が厚さ3.5〜6.0
    mmを有し、かつ前記カバー(3)が厚さ1.0〜2.0
    mmを有する請求項2記載の糸巻きゴルフボール。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002345999A (ja) * 2001-05-23 2002-12-03 Bridgestone Sports Co Ltd マルチピースソリッドゴルフボール
JP2007301357A (ja) * 2006-05-08 2007-11-22 Bridgestone Sports Co Ltd ゴルフボール
JP2008149059A (ja) * 2006-12-20 2008-07-03 Kasco Corp ゴルフボール

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