JP2002140164A - 座標入力装置及びその制御方法、プログラム - Google Patents

座標入力装置及びその制御方法、プログラム

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JP2002140164A JP2001154284A JP2001154284A JP2002140164A JP 2002140164 A JP2002140164 A JP 2002140164A JP 2001154284 A JP2001154284 A JP 2001154284A JP 2001154284 A JP2001154284 A JP 2001154284A JP 2002140164 A JP2002140164 A JP 2002140164A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高精度、高分解能であり、操作性に優れた座
標入力装置及びその制御方法、プログラムを安価に提供
する。 【解決手段】 指示具からの照射により座標入力面に生
成された光スポットを検出し、少なくとも3個所の既知
の第1乃至第3の位置における光スポットに対する検出
結果として得られる出力情報を記憶しておく。そして、
その記憶された第1乃至第3の位置における出力情報の
内、少なくとも2つを用いて、座標入力面に生成された
光スポットの座標値を演算する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、指示具からの光を
座標入力画面に照射して光スポットを生成し、前記光ス
ポットに対応した座標を生成する座標入力装置及びその
制御方法、プログラムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、大画面ディスプレイの画面の明る
さが改善され、明るく照明された環境においても十分使
用できるようになってきており、需要が拡大されつつあ
る。そして、座標入力装置は、そのような大画面ディス
プレイと組み合わせた環境においても使用できるよう
に、外乱光に強いことがますます必要とされてきてい
る。
【0003】また、近年、無線通信手段として、赤外線
を利用する機器が増加しており、赤外、可視光ともに外
乱光は増加傾向にあるため、外乱光に強いことは、装置
の重要な特性の一つである。
【0004】しかしながら、特公平7−76902号公
報、特開平6−274266号公報に開示されているよ
うに従来のCCDセンサを用いるものは、光学フィルタ
でしか外乱光を抑制することができない。
【0005】これに対して、特許第2503182号に
開示されているPSDを用いる装置では、光強度を周波
数変調し、この変調波を同期検波することにより、外乱
光の影響を抑制できるため、光学フィルタと併用するこ
とによって、外乱光に対して強い特性を発揮する。
【0006】一方、大画面ディスプレイは、明るさの改
善と同時に高解像度化も進められている。このため、座
標入力装置の分解能も向上させる必要があるが、外乱光
に強いPSDを用いた装置ではこの点において問題があ
る。
【0007】すなわち、センサ出力電圧のダイナミック
レンジが入力範囲にそのまま対応しているため、例えば
全体を1000の座標に分解する場合には少なくとも6
0dB以上のS/N比が必要になり、さらに前記特許第
2503182号で述べられているように、直線性誤差
のデジタル補正が必須であるため、高精度なアナログ回
路と多ビットのAD変換器と演算回路とが必要になる。
さらに、センサ出力信号のS/N比は光量と光スポット
のシャープさに依存するため、前述した外乱光の抑圧だ
けでは不十分であり、明るく高精度な光学系も必要にな
る。このようなことから、装置自体が非常に高価で、大
型なものになってしまう。
【0008】CCDセンサを用い、分解能を高める手法
として、前記特公平7−76902号公報では、ビデオ
カメラを複数台同時使用することが開示されているが、
これでは装置が大型化し、高価になる。また、一台で画
素数の多いビデオカメラの場合には、複数のカメラを用
いるよりもさらに大型化し、高価となる。また、画像処
理によって、画素数よりも高い分解能を達成するには、
膨大な画像データの高速処理が必要となり、リアルタイ
ム動作をさせるには非常に大型で、高価なものとなって
しまう。
【0009】また、前記特開平6−274266号公報
では、特殊な光学マスクと信号処理とによって高分解能
が得られるようにしており、外乱光が小さく良好なS/
N比が確保できれば高分解能化が可能である。しかし、
実際には、リニアセンサでは結像が線状であり、点像と
なるエリアセンサに比べて面内で外乱光との分離ができ
ないため、外乱光の影響を受けやすく、外乱光の少ない
特殊な環境でしか実用にならないという問題がある。
【0010】そこで、外乱光の影響を抑制し、安価な座
標入力装置を提供することを目的として、特開平11−
219253号に開示されているように、筆記具に内蔵
された発光素子を点滅させ、点灯時の信号と非点灯時の
信号との差分信号をリニアセンサで検出することで外乱
光の影響を抑制し、リニアセンサのどの画素にその差分
信号が出力されているかによって、前記筆記具の位置を
検出する方式がある。
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記特
開平11−219253号に開示される座標入力装置に
おいては、次のような課題が存在する。図7には、2つ
のリニアセンサ20X、20Yの配置関係、結像光学系
としての円柱状レンズ90X、90Yの配置関係、及び
円柱状レンズ90X、90Yによって座標入力面10上
の光スポット5の像が各リニアセンサ20X、20Yの
感光部21X、21Y上に線状に結像する様子(図中の
像91X、91Y)を示す。
【0011】これら2つのリニアセンサ20X、20Y
を正確に直角に配置することによって、それぞれが光ス
ポット5のX座標、Y座標を反映した画素に光出力が最
大となるようなセンサ出力信号が得られることになる。
光スポット5の像91X、91Yが各リニアセンサ20
X、20Yの画素の数倍の像幅となるように焦点調節を
行って適度にボケを生じさせ、複数の画素から光出力が
得られるように構成され、この複数画素の信号の重心位
置を求めることによって、光スポット5からのリニアセ
ンサ20X、20Yの出力画素番号αX、αYを算出する
ことができる。
【0012】ここで、この出力画素番号αX、αYを用い
て座標値を演算する従来技術について説明する。
【0013】出力データの重心(αX、αY)から座標を
算出するためには、予め既知の所定位置における光スポ
ット5のリニアセンサ20X、20Yの出力画素番号を
記憶しておく必要がある。すなわち、第1の既知の点の
座標値(X0、Y0)及び第2の既知の点の座標値
(X1、Y1)における光スポット5のリニアセンサ20
X、20Yの出力画素番号を各々(αX0、αY0)、(α
X1、αY1)とすれば、検出すべき任意の位置の光スポッ
ト5の座標値(X、Y)は、下記の式(1)、(2)で
与えられる。
【0014】 X=(αX−αX0)(X1−X0)/(αX1−αX0)+X0 (1) Y=(αY−αY0)(Y1−Y0)/(αY1−αY0)+Y0 (2) このような演算で求められる座標入力装置の座標算出精
度について示したのが、図17である。同図において、
X軸、Y軸は座標入力面の座標値を示し、座標値(0、
0)が座標入力有効エリアの中央位置に相当し、この原
点に対しレンズ等の光学素子を幾何学的に対象に配置す
れば、各象現での光学的特性は原点を中心に対称とな
る。そこで、ある象現におけるこの座標入力装置の座標
算出精度について調べた結果が図17に示されている。
【0015】ここで、図14はその光学的配置をX軸方
向のみ(X軸方向センサ20X、及び円柱状レンズ90
X)示したものであり、図17のX軸、Y軸は座標入力
面の座標値軸であって、図14のX軸、Y軸と同等であ
る。また、図17のZ軸は、本来算出すべき座標値と、
得られる座標入力装置の算出座標値の差、つまり、この
座標入力装置の座標算出精度について示したものであ
る。
【0016】この解析結果は、式(1)、(2)に示さ
れる既知の点(X0、Y0)、(X1、Y1)を、図14に
示されるように、第1の既知の点(X0、Y0)を原点
(座標入力有効エリアの中央位置)、第2の既知の点
(X1、Y1)をその象現における座標入力有効エリアの
中央位置とした場合のものである。これによれば、X軸
の値が大きく、かつ、Y軸の値が大きくなる領域におい
て、徐々に精度が悪くなる様子が見て取れる(グラフよ
りこの座標入力装置の精度は約11mm程度と言え
る)。尚、図17は、X方向の座標算出精度について調
べたものであるが、Y軸方向の座標算出精度も同様の結
果となった。
【0017】つまり、従来例における座標算出精度は、
X軸の値が大きく、かつ、Y軸の値が大きくなる領域
で、座標算出精度が低下する問題が発生している。本現
象は、数値シミュレーションによる解析の結果、円柱状
レンズを用いたことにより発生するものであることが分
かった。この歪みを解決するためには、前記円柱状レン
ズの軸に垂直な方向ばかりでなく、軸に平行な方向の断
面形状も例えば非球面状としなければならず、たとえそ
のようなレンズの光学的な設計が可能であったとして
も、プラスチックレンズの型制作が容易でなく、非常に
高価なレンズとなってしまう。
【0018】本発明は上記のような問題に鑑みてなされ
たものであり、高精度、高分解能であり、操作性に優れ
た座標入力装置及びその制御方法、プログラムを安価に
提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明による座標入力装置は以下の構成を備える。
即ち、指示具からの光を座標入力画面に照射して光スポ
ットを生成し、前記光スポットに対応した座標を生成す
る座標入力装置であって、指示具からの照射により座標
入力面に生成された光スポットを検出する検出手段と、
少なくとも3個所の既知の第1乃至第3の位置における
光スポットによる前記検出手段の出力情報を記憶する記
憶手段と、前記記憶手段に記憶された第1乃至第3の位
置における出力情報の内、少なくとも2つを用いて、前
記座標入力面に生成された光スポットの座標値を演算す
る演算手段とを備える。
【0020】また、好ましくは、前記演算手段は、前記
第1及び第2の位置における出力情報を用いて、前記座
標入力面に生成された光スポットの座標値を演算する第
1の演算と、前記第1の演算結果に対して前記第3の位
置における出力情報を用いて前記座標入力面に生成され
た光スポットの座標値の補正演算を行う第2の演算とを
実行可能である。
【0021】また、好ましくは、前記第1の演算結果で
ある座標値が(X’、Y’)であり、前記第2の演算結
果である座標値が(X、Y)である場合に、XをX’及
びY’の従属関数とし、YをX’及びY’の従属関数と
する。
【0022】また、好ましくは、前記第1の演算結果に
基づいて、前記第2の演算の実行の有無を判定する判定
手段を更に備える。
【0023】また、好ましくは、前記第3の位置は、前
記座標入力面の座標入力有効エリアの4隅部の少なくと
も1つである。
【0024】また、好ましくは、前記検出手段は、感光
部がX軸方向に直線状に配列されたX軸用センサと、感
光部がY軸方向に直線状に配列されたY軸用センサとか
らなり、前記X軸用センサにはY軸方向に軸を有する円
柱状レンズを介して光スポットの光が結像され、前記Y
軸用センサにはX軸方向に軸を有する円柱状レンズを介
して光スポットの光が結像される。
【0025】また、好ましくは、前記第3の位置は、前
記座標入力有効エリア内において、前記円柱状レンズに
入射するその位置からの光線と、前記検出手段の前記感
光部の垂線との間の角度が最大となる位置に設定され
る。
【0026】また、好ましくは、前記検出手段は、感光
部がX軸方向に直線状に配列されたX軸用センサを少な
くとも2つと、感光部がY軸方向に直線状に配列された
Y軸用センサを少なくとも2つ有し、各軸方向のセンサ
群それぞれの前記入力画面上の検出領域の一部は互いに
重複している。
【0027】また、好ましくは、前記演算手段は、前記
検出手段からの出力情報に基づいて、前記座標入力画面
上の原点を決定する。
【0028】また、好ましくは、前記演算手段は、前記
検出手段からの出力情報に基づいて、前記座標入力画面
上に生成された光スポットの座標値を演算するための倍
率を決定する。
【0029】また、好ましくは、前記演算手段は、前記
検出手段からの出力情報に基づいて、前記座標入力画面
上の固定入力点を決定する。
【0030】また、好ましくは、外部装置に対し、前記
座標入力画面上の所定位置の座標情報を出力する出力手
段とを更に備える。
【0031】上記の目的を達成するための本発明による
座標入力装置の制御方法は以下の構成を備える。即ち、
指示具からの光を座標入力画面に照射して光スポットを
生成し、前記光スポットに対応した座標を生成する座標
入力装置の制御方法であって、指示具からの照射により
座標入力面に生成された光スポットを検出する検出工程
と、少なくとも3個所の既知の第1乃至第3の位置にお
ける光スポットによる前記検出工程の出力情報の内、少
なくとも2つを用いて、前記座標入力面に生成された光
スポットの座標値を演算する演算工程とを備える。
【0032】上記の目的を達成するための本発明による
コンピュータ可読メモリは以下の構成を備える。即ち、
指示具からの光を座標入力画面に照射して光スポットを
生成し、前記光スポットに対応した座標を生成する座標
入力装置の制御をコンピュータに機能させるためのプロ
グラムであって、指示具からの照射により座標入力面に
生成された光スポットを検出する検出工程のプログラム
コードと、少なくとも3個所の既知の第1乃至第3の位
置における光スポットによる前記検出工程の出力情報の
内、少なくとも2つを用いて、前記座標入力面に生成さ
れた光スポットの座標値を演算する演算工程のプログラ
ムコードとを備える。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、本発明の
実施の形態を詳細に説明する。
【0034】まず、本発明に係る光学式座標入力装置の
概略構成について、図1を用いて説明する。 <実施形態1>図1は実施形態1の座標入力装置の概略
構成を示す図である。
【0035】本座標入力装置は大別して、座標入力面で
あるスクリーン10に対して光スポット5を形成する指
示具4と、光スポット5のスクリーン10上の座標値等
を検出する座標検出器1とからなる。図1には、それら
の構成と合わせて、出力装置としてスクリーン10に、
画像あるいは座標値等を表示する投射型表示装置8を示
している。
【0036】座標検出器1は、座標検出センサ部2と、
この座標検出センサ部2の制御および座標演算などを行
うコントローラ3、受光素子6、信号処理部7、各種設
定値を記憶するEEPROM等からなる不揮発メモリ9
とから構成されている。光スポット5のスクリーン10
上の座標位置及び指示具4の後述する各スイッチの状態
に対応する制御信号とを検出して、コントローラ3によ
って外部接続装置(不図示)にその情報を通信するよう
にしている。
【0037】投射型表示装置8は、ホストコンピュータ
(不図示)などの外部接続装置である表示信号源からの
画像信号が入力される画像信号処理部81と、これによ
り制御される液晶パネル82、ランプ83、ミラー8
4、コンデンサーレンズ85からなる照明光学系と、液
晶パネル82の像をスクリーン10上に投影する投影レ
ンズ86とからなり、所望の画像情報をスクリーン10
に表示することができる。スクリーン10は、投射画像
の観察範囲を広くするために適度な光拡散性を持たせて
あるので、指示具4から発射された光ビームも光スポッ
ト5の位置で拡散され、画面上の位置や光ビームの方向
によらず、光スポット5の位置で拡散された光の一部が
座標検出器1に入射するように構成されている。
【0038】このように構成することで、指示具4によ
りスクリーン10上で文字情報や線画情報を入力し、そ
の情報を投射型表示装置8で表示することにより、あた
かも『紙と鉛筆』のような関係で情報の入出力を可能と
する他、ボタン操作やアイコンの選択決定などの入力操
作を自由に行うことが可能となる。 <指示具4の詳細説明>図2は実施形態1の指示具の詳
細構成を示す図である。
【0039】指示具4は、光ビームを発射する半導体レ
ーザ、あるいは赤外光を発射するLED等の発光素子4
1と、その発光を駆動制御する発光制御部42、電源部
44、操作用スイッチ43A〜43Dと、電池等の電源
部44、さらに発光素子41を覆う脱着可能な透光性部
材よりなるキャップ46とを内蔵している。発光制御部
42は、操作用スイッチ43A〜43Dの状態により、
発光のON(オン)/OFF(オフ)と、後述する変調
方法とによって、制御信号を重畳した発光制御を行う。
【0040】図3は実施形態1の指示具の動作モードを
示す図である。
【0041】スイッチA〜Dは、図2のスイッチ43A
〜43Dに対応している。尚、図3中、「発光」とは発
光信号(座標信号)に対応し、「ペンダウン」、「ペン
ボタン」とは制御信号に対応する。
【0042】操作者は、指示具4を握ってスクリーン1
0にその先端を向ける。このとき、スイッチ43Aは親
指が自然に触れる位置に配置されており、これを押すこ
とによって光ビーム45が発射される。これにより、ス
クリーン10上に光スポット5が生成され、所定の処理
によって座標信号が出力され始める。但し、この状態で
は、ペンダウン及びペンボタンの制御信号はOFFの状
態(例えば、図3の2段目の状態)である。このため、
スクリーン10上では、カーソルの動きやボタンのハイ
ライト切替などによる操作者への指示位置の明示のみが
行われる。
【0043】また、人差し指及び中指が自然に触れる位
置に配置されたスイッチ43C、43Dを押すことによ
って、図3に示すようにペンダウン及びペンボタンの制
御信号が、発光信号に重畳された信号となる。すなわ
ち、スイッチ43Cを押すことによってペンダウンの状
態となり、文字や線画の入力を開始したり、ボタンを選
択決定するなどの画面制御が実行できる。スイッチ43
Dを押すことによって、ペンボタンの状態(例えば、図
3の3、5段目の状態)となり、メニューの呼び出しな
どの別機能に対応させることができる。これにより、操
作者は、片手でスクリーン10上の任意の位置で、片手
で、すばやく正確に文字や図形を描いたり、ボタンやメ
ニューを選択したりすることによって、軽快に操作する
ことができる。
【0044】また、指示具4の先端部には、スイッチ4
3Bが設けられていて、スクリーン10に指示具4を押
し付けることによって動作する。操作者が、指示具4を
握り、その先端部をスクリーン10に押し付けることで
ペンダウン状態((図3の最下段の状態)となるので、
余分なボタン操作を行うことなしに自然なペン入力操作
を行うことができる。
【0045】また、スイッチ43Aはペンボタンの役割
を持つ。もちろん、画面に押し付けないでスイッチ43
Aを押せば、カーソルのみを動かすこともできる。実際
上、文字や図形の入力は画面から離れて行うより、直接
画面に触れた方が遥かに操作性、正確性が良い。
【0046】実施形態1では、このように4個のスイッ
チを用いて画面から離れていても、また、直前にいて
も、自然で快適な操作が可能であり、場合によって使い
分けることができるように構成されている。さらには、
直接入力専用(ポインタとして使用しない)ならば、光
ビームでなく拡散光源でよいので、半導体レーザよりも
安価で長寿命のLEDを用いることも可能である。
【0047】また、このように近接用、遠隔用の2種類
の指示具4を用いたり、同時に2人以上で操作する、あ
るいは色や太さなど属性の異なる複数の指示具4を用い
る場合のために、発光制御部42は、固有のID番号を
制御信号と共に送信するように設定されている。送信さ
れたID番号に対応して、描かれる線の太さや色などの
属性を外部接続機器側のソフトウェアなどで決定するよ
うになっており、スクリーン10上のボタンやメニュー
などで設定変更することができる。この操作は、指示具
4に別途操作ボタン等を設けて変更指示信号送信するよ
うにしてもよく、これらの設定については、指示具4内
部あるいは座標検出器1内に状態を保持するようにして
ID番号ではなく、属性情報を外部接続機器へ送信する
ように構成することも可能である。
【0048】また、このような追加の操作ボタンは、他
の機能、例えば、表示装置の点滅や信号源の切換、録画
装置などの操作などを行えるようにも設定可能である。
さらに、スイッチ43A、43Bのいずれか一方または
両方に圧力検出手段を設けることによって筆圧検出を行
い、この筆圧データを制御信号と共に送信するなど各種
の有用な信号を送信することが可能である。
【0049】指示具4のスイッチ43Aまたはスイッチ
43BがONになると発光が開始され、その発光信号は
比較的長い連続するパルス列からなるリーダ部と、これ
に続くコード(メーカーIDなど)とからなるヘッダ部
をまず出力し、その後、ペンIDや制御信号などからな
る送信データ列が予め定義された順序と形式に従ってそ
の情報を順次出力する(図5、LSG信号参照)。
【0050】尚、実施形態1では、各データビットにお
いて、“1”ビットは“0”ビットに対して2倍の間隔
をもつような変調形式で形成しているが、データの符号
化方式については種々のものが使用可能である。しかし
ながら、後述するように座標検出のためには、平均光量
が一定していること、また、PLLの同調を行うにはク
ロック成分が十分大きいこと等が望ましく、送信すべき
データ量から見て冗長度を比較的高くしても支障はない
等を勘案して、実施形態1においては、6ビット(64
個)のデータを10ビット長のコードのうち、1と0が
同数で、かつ、1あるいは0の連続数が3以下の108
個のコードに割り付ける方法で符号化している。このよ
うな符号化方式をとることによって、平均電力が一定に
なり、また十分なクロック成分が含まれるので、復調時
に容易に安定した同期信号を生成することができる。
【0051】また、前述したように、ペンダウンおよび
ペンボタンの制御信号は、2ビットであるがIDなどそ
の他の長いデータも送信しなければならない。そこで、
実施形態1では、24ビットを1ブロックとして、先頭
の2ビットは制御信号、次の2ビットは内容識別コード
(例えば、筆圧信号は00、IDは11等)、次の2ビ
ットはこれらのパリティ、その後に、16ビットのデー
タと2ビットのパリティとを並べて、1ブロックのデー
タとして構成する。このようなデータを前述したような
方式により符号化すると、40ビット長の信号になる。
その先頭に10ビット長のシンクコードを付加する。こ
のシンクコードは0が4個、1が5個連続する、あるい
はその反転パターン(直前のブロックの終わりが、1か
0かで切り替える)という特殊なコードを使用して、デ
ータワードとの識別が容易で、データ列の途中において
も確実にその位置を識別してデータの復元ができるよう
になっている。従って、1ブロックで50ビット長の伝
送信号となり、制御信号と16ビットのIDまたは筆圧
等のデータを送信していることになる。
【0052】実施形態1では、第1の周波数60kHz
の1/8の7.5kHzを第2の周波数としているが、
前述のような符号化方式を採用しているため、平均伝送
ビットレートは、この2/3の5kHzとなる。さら
に、1ブロックが50ビットなので、100Hzでは1
ブロック24ビットのデータを送信していることにな
る。従って、パリティを除いた実効ビットレートは、2
000ビット/秒である。このように冗長性は高いが、
誤検出を防止し、同期を容易にすることが非常に簡単な
構成で実現できる方式となっている。また、後述のセン
サ制御のための位相同期信号と、シンクコードの繰り返
し周期のチェックとを併用することによって、信号に短
いドロップアウトが発生した場合でも追従ができ、逆に
実際に、ペンアップやダブルタップのような素早い操作
を行った場合との識別は、ヘッダ信号の有無によって確
実に行えるようにもなっている。 <座標検出器1の詳細説明>図4は実施形態1の座標検
出器の詳細構成を示す図である。
【0053】この座標検出器1には、集光光学系によっ
て高感度に光量検出を行う受光素子6と、結像光学系に
よって光の到来方向を検出する2つのリニアセンサ20
X,20Yとが設けられている。そして、指示具4に内
蔵された発光素子41からの光ビームにより、スクリー
ン10上に生成された光スポット5からの拡散光をそれ
ぞれ受光する。 <集光光学系の動作説明>受光素子6には、集光光学系
としての集光レンズ6aが装着されており、スクリーン
10上の全範囲から高感度で所定波長の光量を検知す
る。この検知出力は、周波数検波部71によって検波さ
れた後、制御信号検出部72において制御信号(指示具
4の発光制御部42によって重畳された信号)などのデ
ータを含むデジタル信号に復調される。
【0054】この制御信号の復元動作におけるタイミン
グチャートについて、図5を用いて説明する。
【0055】図5は実施形態1の制御信号の復元動作に
おけるタイミングチャートである。
【0056】上述したようなビット列からなるデータ信
号は、受光素子6で光出力信号LSGとして検出され、
周波数検波部71で検波される。周波数検波部71は、
光出力信号LSGの中で最も高い第1の周波数のパルス
周期に同調するように構成され、光学的なフィルタと併
用することによって、外乱光の影響を受けることなく、
変調信号CMDを復調する。この検波方法は広く実用さ
れている赤外線リモートコントローラと同様であり、信
頼性の高い無線通信方式である。
【0057】実施形態1では、この第1の周波数として
は、一般に使用されている赤外線リモートコントローラ
より高い帯域である60KHzを用い、同時に使用して
も誤動作することの無いように構成したが、この第1の
周波数を一般に使用されている赤外線リモートコントロ
ーラと同じ帯域にすることも可能であり、このような場
合にはIDなどで識別することによって誤動作を防止す
る。
【0058】さて、周波数検波部71により検波された
変調信号CMDは、制御信号検出部72によってデジタ
ルデータとして解釈され、前述したペンダウンやペンボ
タンなどの制御信号が復元される。この復元された制御
信号は、通信制御部33に送られる。また、変調信号C
MDに含まれる第2の周波数であるコード変調の周期
は、センサ制御部31によって検出され、この信号によ
ってリニアセンサ20X、20Yを制御することにな
る。すなわち、センサ制御部31では、図5に示したヘ
ッダ部(HEADER)のタイミングでリセットし、そ
の後、変調信号CMDの立ち下がりに位相同期した信号
LCKを生成する。
【0059】従って、この生成された信号LCKは、指
示具4の発光の有無に同期した一定周波数の信号とな
る。また、変調信号CMDからは、光入力の有無を示す
信号LONと、この信号LONによって起動されるセン
サリセット信号RCLとが生成される。このセンサリセ
ット信号RCLがハイレベルの間に2つのリニアセンサ
20X、20Yはリセットされ、信号LCKの立ち上が
りに同期したセンサリセット信号RCLの立ち下がりの
タイミングによって後述する同期積分動作が開始され
る。
【0060】一方、制御信号検出部72はヘッダ部を検
出し、他の機器やノイズではなく、指示具4からの入力
が開始されたことを確認すると、この確認を示す信号が
通信制御部33からセンサ制御部31に伝達され、リニ
アセンサ20X,20Yの動作有効を示す信号CONが
ハイレベルにセットされ、座標演算部32の動作が開始
される。
【0061】図6は、光出力信号LSGが無くなり、一
連動作の終了時におけるタイミングチャートを示す。光
出力信号LSGから検波された変調信号CMDがローレ
ベルを一定時間以上続けると、光入力の有無を示す信号
LONがローレベルになり、さらに、センサ動作有効を
示す信号CONもローレベルとなり、その結果、リニア
センサ20X,20Yによる座標の出力動作を終了す
る。 <結像光学系の動作説明>図7はリニアセンサ20X,
20Yの配置関係を示す図である。
【0062】図7では、2つのリニアセンサ20X,2
0Yの配置関係を示すと共に、結像光学系としての円柱
状レンズ90X,90Yによって光スポット5の像が、
リニアセンサ20X,20Yの各センサの感光部21
X、21Yに線状に像91X、91Yを結像する。これ
らリニアセンサ20X,20Yを正確に直角に配置する
ことによって、それぞれがX座標、Y座標を反映した画
素にピークを持つ出力が得られる。
【0063】そして、これらリニアセンサ20X,20
Yは、センサ制御部31によって制御され、出力信号は
センサ制御部31に接続されたAD変換部31Aによっ
てデジタル信号として座標演算部32に送られる。座標
演算部32は、入力されたデジタル信号より出力座標値
を計算し、その計算結果を制御信号検出部72からの制
御信号などのデータと共に通信制御部33を介して、所
定の通信方法で外部制御装置(不図示)に送出する。ま
た、調整時など通常と異なる動作(例えば、ユーザ校正
値の設定)を行わせる場合は、通信制御部33からセン
サ制御部31、座標演算部32へモード切換信号が送ら
れる。
【0064】本例では、光スポット5の像がリニアセン
サ20X,20Yの各センサの画素の数倍の像幅となる
ように焦点調節あるいは拡散フィルム等を用いて故意に
ボケを生じさせている。直径1.5mmのプラスチック
製の円柱状レンズと画素ピッチ約15μm、有効64画
素のリニアCCD、赤外線LEDを用いた実験によれ
ば、最もシャープな結像をさせると、約40度の画角全
面にわたって15μm以下の像幅となる。このような状
態では、画素間分割演算結果が階段状に歪んでしまうこ
とがわかった。
【0065】そこで、像幅が30から60μm程度とな
るように、レンズの位置を調節すると、非常に滑らかな
座標データが得られた。もちろん、大きくぼけさせる
と、ピークレベルが小さくなってしまうので、数画素程
度の像幅が最適である。画素数の少ないCCDと、適度
にボケた光学系を用いることが、本発明のポイントの一
つであり、このような組み合わせを用いることによっ
て、演算データ量が少なく、小さなセンサと光学系で非
常に高分解能、高精度、高速でかつ低コストな座標入力
装置を実現できる。
【0066】アレイ状に配置されたX座標検出用リニア
センサ20X,Y座標検出用リニアセンサ20Yは同一
の構成であり、その詳細構成について、図8を用いて説
明する。
【0067】図8は実施形態1のリニアセンサの詳細構
成を示す図である。
【0068】受光部であるセンサアレイ21はN個の画
素(例えば、光電変換素子が64個、直線状に配列され
たセンサアレイであって、この場合、64画素と定義す
る)からなり、受光量に応じた電荷が積分部22に貯え
られる。積分部22は、N個からなり、ゲートICGに
電圧を加えることによってリセットできるため、電子シ
ャッタ動作が可能である。この積分部22に貯えられた
電荷は、電極STにパルス電圧を加えることによって蓄
積部23に転送される。この蓄積部23は、2N個から
なり、指示具4の発光タイミングに同期したIRCLK
信号のH(ハイレベル)とL(ローレベル)とにそれぞ
れ対応して別々に電荷が蓄積される。その後、光の点滅
に同期して各々別々に蓄積された電荷は、転送クロック
を簡単にするために設けられた2N個からなるシフト部
24を介して、2N個からなるリニアCCD部25に転
送される。
【0069】これにより、リニアCCD部25には、N
画素のセンサ出力の光の点滅に各々対応した電荷が隣接
して並んで記憶されることになる。これらリニアCCD
部25に並べられた電荷は、2N個からなるリングCC
D部26に順次転送される。このリングCCD26は、
CLR信号によってCLR部27で空にされた後、リニ
アCCD部25からの電荷を順次蓄積していく。
【0070】このようにして蓄積された電荷は、アンプ
29によって読み出される。このアンプ29は、非破壊
で蓄積電荷量に比例した電圧を出力するものであり、実
際には、隣接した電荷量の差分、すなわち、発光素子4
1の点灯時の電荷量から非点灯時の電荷量を差し引いた
分の値を増幅して出力する。
【0071】この時、得られるリニアセンサ20X,2
0Yの出力波形の一例について、図9(横軸がCCD画
素番号、縦軸が出力レベル)を用いて説明する。
【0072】図9中、Bの波形は発光素子41の点灯時
の信号のみを読み出したときの波形であり、Aの波形は
非点灯時の波形、すなわち、外乱光のみの波形である
(図8に示したように、リングCCD部26には、これ
らA,Bの波形に対応する画素の電荷が隣接して並んで
いる)。アンプ29は、その隣接する電荷量の差分値
(B−Aの波形)を非破壊増幅して出力することになる
が、これにより、指示具4からの光のみの像の信号を得
ることができ、外乱光(ノイズ)の影響を受けることな
く安定した座標入力が可能となる。
【0073】また、図9に示したB−Aの波形の最大値
をPEAK値と定義すれば、光に対してリニアセンサ2
0X,20Yの各リニアセンサが機能する蓄積時間を増
大させれば、その時間に応じてPEAK値は増大する。
換言すれば、IRCLK信号の1周期分の時間を単位蓄
積時間とし、それを単位として蓄積回数nを定義すれ
ば、蓄積回数nを増大させることでPEAK値は増大す
る。そして、このPEAK値が所定の大ささTH1に達
したことを検出することで、常に一定した品位の出力波
形を得ることができる。
【0074】一方、外乱光が非常に強い場合、差分波形
B−Aのピークが十分な大きさになる前に、リングCC
D部26の転送電荷が飽和してしまう恐れがある。この
ような場合を考慮して、リニアセンサ20X,20Yの
各リニアセンサにはスキム機能を有するSKIM部28
が付設されている。SKIM部28は、非点灯信号のレ
ベルを監視し、図10において、n回目のAnで信号レ
ベルが所定の値を超えている場合(図中、一点鎖線)、
一定量の電荷をA,Bの各画素から抜き取るようにす
る。これにより、次のn+1回目には、An+1に示す
ような波形となり、これを繰り返すことによって、非常
に強い外乱光があっても飽和することなく、信号電荷の
蓄積を続けることができる。
【0075】従って、指示具4からの点滅光の光量が微
弱であっても、多数回積分動作を継続することによっ
て、十分な大きさの信号波形を得ることが可能になる。
特に、指示具4に可視光域の発光源を用いる場合、表示
画像の信号が重畳するので、前述したスキム機能と差分
出力を用いることによって、非常にノイズの少ないシャ
ープな波形を得ることが可能となる。
【0076】また、非常に強い外乱光が入射された場合
には、PEAK値を監視し、そのPEAK値が所定レベ
ルに達した時に蓄積動作を停止させても良い。つまり、
このような場合には、蓄積回数を増大させなくても十分
な品位の出力波形が得られるので、信頼性の高い座標演
算が可能となる。それとともに、蓄積回数が比較的少な
くて済むことから、入射光が弱い場合に比べて、単位時
間あたりの座標サンプリングレートが向上する(例え
ば、20点/秒で座標算出としていたものが40点/秒
とより高速で座標演算が可能という意味)という利点が
得られる。
【0077】次に、リニアセンサ20X,20Yの動作
制御について、図11を用いて説明する。
【0078】図11は実施形態1のリニアセンサの動作
制御を示すフローチャートである。
【0079】センサ制御部31がセンサ制御動作を開始
すると、ステップS102において、信号CONを監視
する。そして、信号CONがハイレベルである場合(ス
テップS102でYES)、ステップS103に進み、
フラグponが1にセットされ、蓄積回数nを0にリセ
ットする。そして、ステップS104において、センサ
出力のPEAK値(ピークレベル)が所定値TH1より
大きいか否かを判定する。
【0080】PEAK値が所定値TH1未満である場合
(ステップS104でNO)、ステップS105におい
て、蓄積回数nが第1所定回数n0より大きいか否かを
判定する。蓄積回数nが第1所定回数n0未満である場
合(ステップS105でNO)、ステップS106に進
み、蓄積回数nを1インクリメントして、ステップS1
04に戻る。一方、PEAK値が所定値TH1より大き
い場合(ステップS104でYES)、あるいは蓄積回
数nが第1所定回数n0より大きい場合(ステップS1
05でYES)、ステップS107に進み、積分停止信
号RONがハイレベル(HI)になって積分動作が停止
される。そして、座標演算部32による座標値演算の処
理が開始される。
【0081】その後、ステップS108において、蓄積
回数nが第2所定回数n1より大きいか否かを判定す
る。蓄積回数nが第1所定回数n1未満である場合(ス
テップS108でNO)、ステップS109に進み、蓄
積回数nを1インクリメントして、ステップS108に
戻る。一方、蓄積回数nが第2所定回数n1より大きい
場合(ステップS108でYES)、ステップS110
に進み、積分停止信号RONがローレベルになり、同時
に、信号LCKの周期の数倍(図6では2倍)の間、セ
ンサリセット信号RCLがハイレベルになる。次に、ス
テップS112において、信号CONを監視する。信号
CONがハイレベルである場合(ステップS112でY
ES)、ステップS103に進む。一方、信号CONが
ローレベルである場合(ステップS112でNO)、ス
テップS111に進み、処理1周期分待機する。
【0082】つまり、信号CONがハイレベルである間
はこの動作が繰り返され、所定回数n1で決まる周期ご
とに座標値演算が行われる。また、ごみなどの影響で、
信号CONがドロップしても、1回のみは状態を保持す
るように、ステップS111が設けられている。もし、
連続して2周期の間、信号CONがローレベルである場
合(ステップS102でNO)、ステップS113に進
み、フラグponが0にリセットされ、シンク信号待ち
の状態になって、初期状態に戻る。
【0083】このドロップアウト対策部分は、1周期で
なくもっと長くすることも可能であり、外乱が少なけれ
ば、逆に短くしてしまってもよいことは言うまでもな
い。尚、ここの1周期を前述のデータブロックの周期の
自然数倍として、シンクコードのタイミングと一致さ
せ、信号CONの代りにシンクコード検出信号を用いて
も同様の動作を行える。
【0084】また、座標検出器に到達する指示具4の光
は、指示具4に内蔵された電源(電池)44の消耗によ
り変動する他、指示具4の姿勢によっても変動する。特
に、スクリーン10の光拡散性が小さい場合、表示画像
の正面輝度は向上するが、この指示具4の姿勢によるリ
ニアセンサ20X、20Yへの入力光量の変動が大きく
なってしまう。しかしながら、実施形態1では、このよ
うな場合であっても、積分回数が自動的に追従して常に
安定した出力信号を得ることができるので、安定した座
標検出が可能となる優れた効果が得られる。また、ポイ
ンタとして光があまり散乱されずにリニアセンサ20
X、20Yに入射した場合は、かなり強い光が入ること
になるが、このような場合であっても安定した座標検出
ができることは明らかである。
【0085】また、画面に直接接触させて使用するLE
Dを用いたペンとポインタを併用する場合、LEDはよ
り大きな光量のものが使用可能であるので、図11に示
した積分回数である第1所定回数n0,第2所定回数n
1をID信号によってペンかポインタかを判別して切替
を行い、ペンの場合は座標サンプリングレートを高速
に、ポインタの場合は低速にすることも可能である。実
際、文字入力のように繊細な描画作業はポインタでは不
可能であり、むしろ低速な座標サンプリングレートによ
って滑らかな線を描けるほうが使い勝手がよく、このよ
うな切替を設けることも有効である。
【0086】以上説明したように、点滅光に高周波数の
キャリアを加え、そのキャリアを周波数検波して得た所
定周期の復調信号によって積分動作のタイミング制御を
行うようにしたので、指示具と搬像部とをコードレスで
同期させることができ、使い勝手の良い座標入力装置を
実現することができる。また、レーザービームを用いる
ことによって画面から離れた位置で容易に繰作すること
が可能となる優れた利点も得られる。また、積分部から
の差分信号中のピークレベルが所定レベルを超えことを
検出し、積分動作を停止させる積分制御手段を設けたの
で、光量が変化してもほぼ一定レベルの光スポット像の
信号を作成でき、これにより、常に安定した高分解能な
座標演算結果を得ることができる。 <座標値演算>座標演算部32における座標演算処理に
ついて説明する。
【0087】上述したように、上記の座標入力装置で
は、リニアセンサ20X、20Yに入射する光量の多少
にかかわらず信号の品位を一定に保つ方法を説明した
が、ここで一つ課題が発生する。前述の光量は、先に説
明したように、指示具4に内蔵された電源部(電池)4
4の消耗により変動する他、指示具4の姿勢(座標入力
を行う通常の筆記動作により指示具4が傾く)、あるい
は、リニアセンサや発光素子の変換効率の個体間差等に
よって変動することが想定される。
【0088】リニアセンサ20X、29Yに到達する光
が減少した場合、それ相応に積分時間を長くする、すな
わち、第1所定回数n0、第2所定回数n1の値を大き
くし、積分回数を増大させることで品位の良い信号波形
を得ることはできるが、積分時間の増大は、座標サンプ
リングレート、つまり、単位時間に算出できる座標点数
の減少を意味し、操作者の筆跡を忠実に再現するにはお
のずと限界がある。例えば、その筆跡を忠実に再現する
ために、25点/秒の座標サンプリングレートが必要で
あると仮定すれば、1回の座標算出動作時間は少なくと
も40msec以下であることが必要であり、その時間
内の積分時間で信号波形が所定のピークレベルに到達す
ることが求められる。
【0089】しかしながら、所定レベルのピークレベル
が得られなかった場合でも、信頼性の高い座標を算出す
ることが可能となれば、操作者にとって筆記性の良い指
示具(例えば、指示具の傾きをより大きくできる)が実
現可能であり、また電池寿命を延ばすことも可能となる
メリットが生まれる。
【0090】そこで、実施形態1の座標演算部32で
は、図12に示すような座標演算処理を行う。
【0091】上述したようにして得られた2つのリニア
センサ20X,20Yの出力信号(アンプ29からの差
分信号)は、センサ制御部31に設けられたAD変換部
31Aでデジタル信号として座標演算部32に送られ、
座標値が演算される。座標値の演算は、まず、X座標、
Y座標の各方向の出力に対して、リニアセンサ20X,
20Yの座標値(X1,Y1)を求める。尚、演算処理
は、X座標、Y座標同様であるので、X座標値の演算に
ついてのみ説明する。
【0092】次に、実施形態1の座標演算処理の処理フ
ローについて、図12を用いて説明する。
【0093】図12は実施形態1の座標演算処理の処理
フローを示すフローチャートである。
【0094】まず、処理の開始時には、処理回数をカウ
ントするカウンタcont=0にセットする。
【0095】次に、ステップS202において、任意の
座標入力点での各画素の差分信号である差分データDx
(n)(例えば、画素数n=64)を読み込む。次に、
ステップS203において、各画素(64画素)の出力
値の平均値を導出し、所定のオフセット量Voffを加え
たVth1を定義する。このVth1を、出力信号の有効性を
判定する第1の閾値として用いる(図13(a)参
照)。つまり、Vth1はリニアセンサに入力される光
量、つまり、信号レベルに応じて可変するとともに、前
述の光量が全く入射されていない状態での出力電圧にも
依存することになるので、リニアセンサ個体間の部品公
差を吸収し、最適な閾値レベルを自動的に設定できる。
【0096】次に、ステップS204において、差分デ
ータDx(n)の最大値を有するピーク画素npeakを検
出する。ステップS205において、ピーク画素npeak
の前後m番目の画素の出力値、Dx(npeak−m)、D
x(npeak+m)を各々求め、その値を比較する。次
に、ステップS206、S207において、比較結果に
応じて第2の閾値Vth2をDx(npeak−m)、Dx
(npeak+m)のいずれかに設定する。実施形態1の場
合、信号レベルがより小さい値を閾値レベルとしている
が、m=3とした場合のその様子を図13(b)に示
し、閾値がDx(npe ak−m)に設定されていることが
理解される。実施形態1の場合、両者の信号レベルで、
値がより小さい値を閾値レベルとして採用しているが、
mの値をより大きくし、信号レベルの高い値を閾値レベ
ルとして採用しても同等の効果が得られる。
【0097】次に、ステップS208において、第1の
閾値Vth1と第2の閾値Vth2を比較する。第2の閾値V
th2が第1の閾値Vth1以上である場合(ステップS20
8でYES)、有効な光が十分に入射されたものとし
て、ステップS209以降の座標演算を実行する。一
方、第2の閾値Vth2が第1の閾値Vth1未満である場合
(ステップS208でNO)、有効な光が十分に得られ
ていないので、処理を中止する。
【0098】ステップS209において、第2の閾値V
th2と各画素の差分データDx(n)との差分であるE
x(n)を不揮発メモリ9に記憶する。次に、ステップ
S210において、座標算出のための有効画素を判定す
る。この有効画素は、その出力値が第2の閾値Vth2を
越えるピーク画素npeakを含む連続した画素のことであ
り、ピーク画素npeakの前の画素群の出力値が連続して
第2の閾値Vth2を越える画素の最小値nminから、ピー
ク画素npeakの後の画素群の出力値が連続して第2の閾
値Vth2を越える画素の最大値nmaxまでが有効画素とな
る。例として、図13(c)では、最小値nminはn
peak−mでその差分データはDx(npea k−m)であ
り、最大値nmaxはnpeak+m+1でその差分データは
Dx(npeak+m+1)となる。この場合、npeak+mよ
り大きいnpeak+m+1の画素の出力値も座標算出の際
に有効なデータとして使用されることになる。尚、図1
3(c)中、第2の閾値Vth2を超える画素が他にも存
在するが、連続の条件を満たさないため、有効画素とは
ならない。
【0099】有効画素の出力値を用いて、ステップS2
11において、リニアセンサ20X上の重心値である画
素座標αXを算出する。実施形態1では、重心法により
出力データの重心を算出している。但し、この画素座標
αXを求める数学的手法は、例えば、出力データEx
(n)のピーク値を求める方法(例えば、微分法によ
る)等が有り、計算の方法によって限定されるものでは
ない。
【0100】以上の構成により、低光量時においても、
求めるべき画素番号を安定して精度良く算出することが
可能となる。
【0101】次に、算出された重心値である画素座標α
Xから、指示具4の座標値を求める方法について説明す
るが、その前に、実施形態1の結像光学系の構成につい
て、図14を用いて説明する。尚、図14では、X軸方
向のみについて説明するが、Y軸方向も同様の構成とな
る。
【0102】図14は実施形態1の結像光学系の構成例
を示す図である。
【0103】図14(a)、(b)に示すように、座標
入力有効エリアの中央部(原点:cont=0)での光
スポット5の光線が、円柱状レンズ90Xを介して、座
標入力面と平行に配置されたリニアセンサ20Xのほぼ
中央部分に集光するように配置されている。
【0104】尚、円柱状レンズ90Xは、レンズ軸に垂
直な断面が単純な円のものと、非球面のものとの2種類
であって、レンズ軸に平行な断面は同一形状となる比較
的制作が容易で安価なプラスチックレンズを採用してい
る。上記の定義は、本座標入力装置で必要とするレンズ
としての有効面のみがその定義を満足していれば良く、
設置のための支持部材等をそれ以外の領域に設けてレン
ズ取り付けを容易にすること等はプラスチックレンズの
一体成形で容易であり、機能上問題がない。またガラス
等の他の部材によるレンズであっても良いことは言うま
でもない。
【0105】さて課題の項でも説明したように、実施形
態1の座標入力装置の結像光学系の光学的配置及び円柱
状レンズ等の光学特性の影響で座標算出精度が大きく劣
化する位置は、座標入力有効エリアの4隅部となるが、
高精度に座標を導出するために、図15を用いてその演
算、補正方法について説明する。
【0106】図15は実施形態1の座標演算処理の詳細
な処理フローを示すフローチャートである。
【0107】まず、上述の図12で算出した画素座標α
Xから座標を算出するためには、初期動作時には基準点
を設定するための所定値を算出しておく必要が有り、ス
テップS003において、その所定値を算出するルーチ
ンなのか(基準点設定モード)、その所定値に基づいて
通常の座標値を算出するモード(座標算出モード)なの
かを判定する。
【0108】尚、基準点設定モードは、通常、工場出荷
時に行われ、座標入力装置本体に用意された所定スイッ
チあるいは指示具4からの指示に基づいて実行される。
【0109】基準点設定モードである場合は、実施形態
1では、従来技術に対して、スクリーン10上の少なく
とも3つの既知の点の座標値(Xcont,Ycont)及びそ
の各々における重心値αXcont、αYcontを算出する。こ
の算出された3つの既知の点の座標値及びその重心値に
基づいて、より高精度な座標演算を実現する。
【0110】具体的には、まず、ステップS002にお
いて、カウンタcont=0の時のスクリーン10上の
1つ目の既知の点の座標値(X0,Y0)を指示して、上
述のステップS202〜ステップS211の処理を実行
することで、その座標値と重心値αX0、αY0を算出す
る。次に、ステップS003において、基準点設定モー
ドであるか否かを判定する。基準点設定モードでない場
合(ステップS003でNO)、ステップS004に進
む。一方、基準点設定モードである場合(ステップS0
03でYES)、ステップS009に進む。
【0111】ステップS009において、算出した座標
値及び重心値αX0を不揮発メモリ9に記憶する。ステッ
プS010において、カウンタcontを1インクリメ
ントする。そして、ステップS011において、カウン
タcontのカウンタ値が2より大きいか否かを判定す
る。2より小さい場合(この場合、cont=1であ
り、ステップS011でNO)、ステップS002に進
み、2つ目の既知の点の座標値(X1,Y1)を指示し
て、上述のステップS202〜ステップS212の処理
を実行することにより、ステップS009において、そ
の座標値と重心値α X1、αY1を不揮発メモリ9に記憶す
る。そして、ステップS010で、カウンタcontが
1インクリメントされ、そのカウンタ値が2となる。こ
の場合、カウンタ値は2より大きくないので、再度、ス
テップS002に戻り、3つ目の既知の点の座標値(X
2,Y2)を指示して、上述のステップS202〜ステッ
プS212の処理を実行することにより、ステップS0
09において、その座標値と重心値αX2、αY2を不揮発
メモリ9に記憶する。そして、ステップS010で、カ
ウンタcontが1インクリメントされ、そのカウンタ
値が3となる。これにより、ステップS011におい
て、カウンタcontのカウンタ値が2より大きくな
り、ステップS012に進む。
【0112】以上の処理により、既知の点の座標値(X
0、Y0)〜(X2、Y2)、その重心値αX0〜αX2、αY0
〜αY2が、基準点として不揮発メモリ9に記憶される。
【0113】尚、本実施の形態においては、第1の既知
の点(X0、Y0)を座標入力有効エリアの中央位置、第
2の既知の点(X1、Y1)を各象現(図14(a)にお
ける座標入力有効エリアの1/4領域)における座標入
力有効エリアの中央位置(cont=1)、第3の既知
の点(X2、Y2)を座標入力有効エリアの4隅部の少な
くとも1つとしている。
【0114】尚、第3の既知の点は、図14(a)に示
すとおり、座標入力有効エリア内において光スポット5
からの光線とZ軸との間の角度θが最大となる点であ
る。
【0115】上述したように、円柱状レンズ90Xを結
像光学系に有するこの種の座標入力装置においては、円
柱状レンズ90Xの軸と光スポット5からの光線が成す
角度が最大となる位置において、レンズ等の光学的特性
により座標算出精度が劣化する。また、その劣化の発生
割合は、座標入力位置(X軸方向及びY軸方向の両者)
に依存しX軸の値が増大するにつれ、かつY軸の値が増
大していくことで、非線型的に劣化する(図16参
照)。
【0116】そして、この非線型的に座標算出精度が劣
化する現象を抑制し、高精度な座標算出を可能とするた
めに、実施形態1では、3つの既知の点の座標値及びそ
の重心値を用いて、高精度な座標算出を実現する。この
座標算出方法を示したのが、ステップS004以降の処
理及びステップS012の処理である。
【0117】ステップS004では、ステップS009
で不揮発メモリ9に記憶された重心値αX0、αX1及びそ
の座標値(X0、Y0)及び(X1、Y1)を用いて、下記
の式(3a)により任意の点の光スポット5の位置X’
を概略演算が可能となる(第1の演算)。
【0118】 X’=(X1−X0)(αX−αX0)/(αX1−αX0)+X0 (3a) ここで、上記式(3a)により、座標算出精度が最も悪
くなる第3の既知の点の座標値(X2、Y2)におけるセ
ンサの出力重心値αX2を用いてX’を算出すれば、既知
の座標X2とこの値の差が、座標算出測定誤差ΔXとな
る(ステップS012)。
【0119】この誤差ΔXを補正係数として用いること
で、出力座標値を校正することになるが、この補正係数
ΔXを、前述既知の位置における出力画素を記憶する際
に、この値を演算して不揮発メモリ9あるいは信号処理
部7に記憶しても良いことは言うまでもない。尚、y方
向に関しても式(3a)に対応する式(3b)を用い
て、Y’を算出することができる。このY’とY2との
差ΔYも補正係数として不揮発メモリ9に記憶してお
く。
【0120】 Y’=(Y1−Y0)(αY−αY0)/(αY1−αY0)+Y0 (3b) 図17に示されるように、Xの値が大きく、かつYの値
が大きくなるにつれて、光学的特性により座標算出精度
が劣化する(図14(a)、座標入力有効エリアのハッ
チング部分であって、特に、cont=2の部分)。従
って、式(3a)及び式(3b)による第1の演算によ
る出力座標値(X’、Y’)を用いて、この出力座標値
がハッチング部分の判定領域に相当するかの判定を行
い、ステップS005において、座標校正の必要の有無
を判定する。判定領域外(ハッチング部以外)である場
合、座標校正の必要がないとして、ステップS006に
進み、第1の演算による座標値(X’、Y’)を確定値
とし、ステップS008において、座標値を出力する。
【0121】一方、判定領域内である場合、座標校正の
必要があるとして、ステップS007に進み、第1の演
算により出力された座標値(X’、Y’)と補正係数Δ
Xを用いて、下記の式(4)により座標値を補正(第2
の演算)し、ステップS008において、その補正した
座標値を出力する。
【0122】 X=X’+ΔX(X’−X1)(Y’−Y1)/(X2−X1)(Y2−Y1) (4) 上記式(4)は、第1の演算による座標値(X’、
Y’)の両方を用いて確定座標Xを算出(XはX’及び
Y’の従属関数)することで、座標入力位置による非線
形的な座標算出誤差発生に対応すると共に、第1の演算
のみによる座標算出(ステップS004、S006)に
よるか、第2の演算による座標算出(ステップS00
4、S007)によるか、その判定領域境界部分に座標
入力が行われた場合であっても、同一の座標値が算出で
きるように構成されている。つまり、判定領域の境界上
の座標入力であっても、演算方法による差による座標値
の差が発生しない、座標入力装置の分解能を低下させる
ことがない優れた利点が得られるように構成されてい
る。
【0123】尚、(4)式に対応するy方向に関する式
(第1項のX’をY’に、第2項のΔXをΔYに置き換
える)を用いて、補正されたYを算出することができ
る。
【0124】また、上記演算はステップS005にて領
域判定を行っているが、誤差の発生の非線形性(X軸の
値が大きく、かつY軸の値が大きくなるにつれて、より
座標算出精度が低下する)を考慮して、次式に示すよう
な高次の補正式を用いて、ステップS005における判
定を行わずに、常に、第2の演算を実行するようにして
も良く、上述した方法と同等の座標算出性能を得ること
が可能となる。さらには、この演算式を用いることによ
り、判定条件式がなくなるので、処理の高速化を図るこ
とが可能であり、どちらの演算式を用いるかは、CP
U、あるいはメモリ等の構成仕様により、適宜選択すれ
ば良い。
【0125】 X=X’+ΔX(X’/X22(Y’/Y22 以上の処理により、従来方法による座標演算結果である
座標算出精度(図17)に比べ、実施形態1による座標
演算結果でる座標算出精度(図16)から明らかなよう
に、座標算出精度が大幅に改善されていることが分か
る。
【0126】以上説明したように、実施形態1によれ
ば、スクリーン10上の既知の位置の座標値及び重心値
を記憶すると共に、算出した座標値に領域判定による演
算方法の改良を計ることによって、分解能を低下させる
ことなく座標算出精度を大幅に改善すると共に、単純な
形状の円柱状レンズを用いて実施が可能なので、低コス
トで、高精度、高分解能に座標を出力する座標入力装置
を実現することができる。
【0127】尚、上記実施形態によって確定した座標値
をそのままリアルタイムで出力することも可能である
し、目的に応じてデータを間引く(例えば、確定座標1
0個毎で1個のデータのみ出力)等も可能であることは
言うまでもないが、以下の仕様を想定する場合には、重
要である。
【0128】指示具4をペンのように使う場合と、ポイ
ンタとして画面から離れて使う場合とでは、使用者の手
の安定性が異なる。ポインタとして使う場合には、画面
上のカーソルが細かく震えてしまうので、このような細
かい動きを抑制したほうが使いやすい。一方、ペンのよ
うに使う場合には、できるだけ忠実に速く追従すること
が求められる。特に、文字を書く場合などには小さな素
早い操作ができないと、正しく入力できなくなってしま
う。
【0129】実施形態1では、制御信号によりIDを送
信しているため、ポインタタイプか否かを、先端のスイ
ッチが押されているか否かで判定可能なので、これによ
り、ポインタとして、あるいはペンとして使っているか
どうかを判定できる。ポインタである場合は、例えば、
前回及び前々回の座標値(X−1,Y−1)、(X−
2,Y−2)を用いて移動平均を算出して、今回の出力
座標値(X,Y)を算出するようにすれば、ぶれの少な
い操作性の良い構成となる。
【0130】実施形態1では、ポインタとして使用して
いる場合における座標算出は、単純な移動平均を用いて
いるが、このような移動平均を算出するための平滑化処
理に用いる関数としては、他にも差分絶対値を大きさに
より非線型圧縮したり、移動平均による予測値を用い
て、これとの差分を非線型圧縮するなどの各種方式が使
用可能である。つまり、ポインタとして使用している場
合は、平滑化を強目にし、ペンとして使用している場合
は弱めに切り替えることが、制御信号により可能であ
る。そのため、それぞれ使い勝手のよい状態を実現可能
であり、この点でも本発明の効果は大きい。
【0131】尚、これらの座標演算処理は、前述したよ
うに座標サンプリングレートが100Hzの場合には1
0msecの間に終了すればよく、データは64画素×
2(X座標およびY座標)×AD変換回路の8ビットと
非常に少ない上、収束演算も必要ないので低速の8ビッ
ト1チップマイクロプロセッサで十分処理が可能であ
る。このようなことは、コスト的に有利なだけでなく、
仕様変更が容易で、開発期間の短縮や様々な派生商品の
間発が容易になる利点もある。特に、エリアセンサを用
いる場合のように、高速の画像データ処理を行う専用の
LSIの開発などは不要であり、開発費用、開発期間な
どの優位性は非常に大きなものである。
【0132】また、上述したような演算処理によって算
出した座標値(X,Y)を示すデータ信号は、座標演算
部32から通信制御部33に送られる。この通信制御部
33には、そのデータ信号と、制御信号検出部72から
の制御信号とが入力される。そして、これらデータ信号
および制御信号は、ともに所定の形式の通信信号に変換
され、外部の表示制御装置に送出される。これにより、
スクリーン10上のカーソルやメニュー、文字や線画の
入力などの各種操作を行うことができる。前述したよう
に、64画素のセンサアレイを使った場合でも、100
0超の分解能と十分な精度とが得られ、リニアセンサ、
光学系ともに小型、低コストな構成でよく、また、演算
回路も非常に小規模な構成とすることが可能な座標入力
装置を得ることができる。 <実施形態2>図18は実施形態2の座標検出器の詳細
構成を示す図である。
【0133】尚、実施形態2の座標検出器は、実施形態
1の座標検出器の変形例であり、同一の構成要素につい
ては、同一の参照番号を付加し、その詳細については省
略する。
【0134】実施形態2の座標検出器1は、結像光学系
によって光の到来方向を検出する4つのリニアセンサ2
0Xa,20Xb,20Ya,20Ybとが設けられて
いる。そして、指示具4に内蔵された発光素子41から
の光ビームにより、スクリーン10上に生成された光ス
ポット5からの拡散光をそれぞれ受光する。
【0135】実施形態1でも説明したように、受光素子
6には、集光光学系としての集光レンズ6aが装着され
ており、スクリーン10上の全範囲から高感度で所定波
長の光量を検知する。この検知出力は、周波数検波部7
1によって検波された後、制御信号検出部72において
制御信号(指示具4の発光制御部42によって重畳され
た信号)などのデータを含むデジタル信号に復調され
る。
【0136】また、実施形態2では、タイミング信号を
送信するコード等の手段を有しないため、変調信号によ
ってリニアセンサ20Xa,20Xb,20Ya,20
Ybを制御することになる。また、後述するが、信号検
出は、発光時と非発光時時の差分によって行う。そし
て、そのシャッタタイミングと発光タイミングをあわせ
るために、上記変調信号のタイミングを用いて、リニア
センサ20Xa,20Xb,20Ya,20Ybのリセ
ット信号を発生させている。
【0137】ここで、周波数検波部71で扱われる信号
のタイミングチャートについて、図19を用いて説明す
る。
【0138】図19は本実施形態で扱われる信号のタイ
ミングチャートである。
【0139】図19において、8−1がペンダウン時の
変調信号を周波数検波部71で検波した後の信号IRで
ある。このIR信号は、いわば、発光している期間をあ
らわしているため、リニアセンサ20Xa,20Xb,
20Ya,20Ybのシャッタタイミングをこの信号に
同期させる必要がある。
【0140】一方、8−2が、リニアセンサ20Xa,
20Xb,20Ya,20Ybのシャッタ周期をあらわ
すもので、L(ローレベル)の時に発光時の検出を行
い、H(ハイレベル)の時に非発光時の検出を行うタイ
ミングを示す信号IRCLKである。このIRCLK信
号は、リニアセンサ20Xa,20Xb,20Ya,2
0Ybに供給されているクロックによって、リニアセン
サ20Xa,20Xb,20Ya,20Ybから出力さ
れる。このIRCLK信号と、発光期間を同期させるた
めに、8−1で示すIR信号が検出されたら、IR信号
とIRCLK信号が同期する程度の一定量の遅延時間を
もって、8ー3で示すリニアセンサ20Xa,20X
b,20Ya,20Ybにクリア(CLR)信号を出力
する。
【0141】このクリア動作によって、同期が可能にな
る。遅延量は、CLR信号が終了後、IRCLK信号が
LOWになる時間によって、決定すればよい。 <結像光学系の動作説明>図20はリニアセンサ20X
a,20Xb,20Ya,20Ybの配置関係を示す図
である。
【0142】図20において、結像光学系としての円柱
状レンズ90Xa,90Xb、90Ya,90Ybによ
って光スポット5の像が、リニアセンサ20Xa,20
Xb,20Ya,20Ybの各センサの感光部21X
a、21Xb、21Ya、21Ybに線状に結像する。
これらリニアセンサ20Xa,20Xb,20Ya,2
0Ybを正確に直角に配置することによって、それぞれ
がX座標、Y座標を反映した画素にピークを持つ出力が
得られる。
【0143】そして、これらリニアセンサ20Xa,2
0Xb,20Ya,20Ybは、センサ制御部31によ
って制御され、出力信号はセンサ制御部31に接続され
たAD変換部31Aによってデジタル信号として座標演
算部32に送られる。座標演算部32は、入力されたデ
ジタル信号より出力座標値を計算し、その計算結果を制
御信号検出部72からの制御信号などのデータと共に通
信制御部33を介して、所定の通信方法で外部制御装置
(不図示)に送出する。また、調整時など通常と異なる
動作(例えば、ユーザ校正値の設定)を行わせる場合
は、通信制御部33からセンサ制御部31、座標演算部
32へモード切換信号が送られる。
【0144】尚、光スポット5の像に関するリニアセン
サ20Xa,20Xb,20Ya,20Ybの構成は、
実施形態1のリニアセンサ20X、20Yと同様であ
る。また、各リニアセンサの詳細構成及び出力波形にお
ける説明は、実施形態1の図8〜図10と同様である。
【0145】次に、リングCCD部26の出力制御にお
けるタイミングチャートについて、図21を用いて説明
する。
【0146】図21は実施形態2のリングCCDの出力
制御におけるタイミングチャートである。
【0147】まず、IR信号から一定遅延時間後のCL
R信号によりすべての動作がクリアされる。このあと、
指示具4による入力があると、CCDOUT信号のよう
な検出信号が、積分動作によって大きくなる。そして、
一定レベル(VTH)を超えると、コンパレータの出力
CMPOUT信号が立ち下がりリングCCD26の積分
動作を停止させる。センサ制御部31は、このCMPO
UT信号が下がるとAD変換を開始する。AD変換期間
は、ADSMPL信号で示したように、リングCCD2
6の画素出力すべてに対して行われる。
【0148】上述のように、リングCCD26の出力
が、一定レベルを超えない場合には、センサ制御部31
は、クリアからの経過時間をカウントし、あらかじめ定
めた一定時間を過ぎているような場合には、強制的にA
D変換動作を行う。このようにしておけば、入力が小さ
い場合でも、一定サンプリング時間内に必ずサンプリン
グが行われるようになる。
【0149】AD変換は、図22に示すようなタイミン
グで行われる。つまり、リングCCD26の出力である
CCDOUT信号は時間軸を拡大すると、図22のよう
に画素単位の検出光レベルに応じた電圧で出力される。
この信号を、サンプリングパルスSPのタイミングで画
素毎にAD変換し、センサ制御部31は、そのレベルを
メモリなどに記憶する。
【0150】上記のような動作を、各座標軸に対応した
リングCCD部26のすべてに対して行い、後述の座標
計算を行う。
【0151】また、座標検出器1に到達する指示具4の
光は、指示具4に内蔵された電源部(電池)44の消耗
により変動する他、指示具4の姿勢によっても変動す
る。特に、スクリーン10の光拡散性が小さい楊合、表
示画像の正面輝度は向上するが、この指示具4の姿勢に
よる座標検出器1への入力光量の変動が大きくなってし
まう。しかしながら、実施形態2では、このような場合
であっても、積分回数が自動的に追従して常に安定した
出力信号を得ることができるので、安定した座標検出が
可能となる。
【0152】以上説明したように、点滅光に高周波数の
キャリアを加え、そのキャリアを周波数検波して得た所
定周期の復調信号によって積分動作のタイミング制御を
行うようにしたので、指示具と搬像部とをコードレスで
同期させることができ、使い勝手の良い座標入力装置を
実現することができる。また、積分部からの差分信号中
のピークレベルを関しし、積分動作を停止させる積分制
御手段を設けたので、光量が変化してもほぼ一定レベル
の光スポット像の信号を作成でき、これにより、常に安
定した高分解能な座標演算結果を得ることができる。 <座標値演算>座標演算部32における座標演算処理に
ついて説明する。
【0153】上述したようにして得られた4つのリニア
センサ20Xa,20Xb,20Ya,20Ybの出力
信号(アンプ29からの差分信号)は、センサ制御部3
1に設けられたAD変換部31Aでデジタル信号として
座標演算部32に送られ、座標値が演算される。座標値
の演算は、まず、X座標、Y座標の各方向の出力に対し
て求める。尚、演算処理は、X座標、Y座標同様である
ので、X座標値の演算についてのみ説明する。
【0154】リニアセンサ20Xa,20Xbはそれぞ
れ、図23に示すように、スクリーン10の縦半分の検
出領域として構成されており、その中央付近では、検出
領域が重複している。
【0155】リニアセンサ20Xaは、スクリーン10
のSXa領域に光スポットがある場合に光を検出し、リ
ニアセンサ20Xbはスクリーン10のSXb領域に光
スポットがある場合に光を検出する。重複領城では、両
センサで検出が行われる。その時のリニアセンサ20X
a,20Xbの出力について、図24を用いて説明す
る。
【0156】図24はリニアセンサの出力を模式的に示
す図である。
【0157】中央の重なりの部分に光スポットがある場
合には、15−1に示すように、リニアセンサ20X
a,20Xbともに出力が現れる。一方、SXb領域に
光スポットがある場合には、15−2に示すように、リ
ニアセンサ20Xbのみに出力が現れる。このように理
想的に重複部分以外では、一方の出力がある場合には、
例えば、一方の座標値を元に、その値が、基準点を超え
たか否かで、切り換えの判定を行い、座標値を連結す
る。
【0158】しかしながら、ノイズ、あるいは漏れ光、
外乱光などによって、15−3に示すような本来の光ス
ポット以外の所に、出力が生じる場合がある。
【0159】このような時に、一方の座標値で判定を行
っていると、間違った判定をしてしまい表示画面上で、
いきなり違う点にカーソルなどが表示され、例えば、描
画中であると、不要な線が引かれてしまうことになる。
そこで、本発明では、得られたリニアセンサ20Xa,
20Xb,20Ya,20Ybの出力のピーク値に基づ
いて、座標値の判定を行う。
【0160】次に、実施形態2の座標演算処理の処理フ
ローについて、図25を用いて説明する。
【0161】図25は実施形態2の座標演算処理の処理
フローを示すフローチャートである。
【0162】尚、リニアセンサ20Xa,20Xbの各
リングCCD26の出力をDXa、DXbとする。この
値は、先に説明したように、AD変換された値であるか
ら、リングCCD26の各画素ごとの光検出量に応じた
電圧値である。そこで、各データの最大値をもって、ピ
ークレベルを決定することができる。
【0163】また、リニアセンサ20Xa,20Xbで
検出される座標を、それぞれCCDXa、CCDXbと
する。
【0164】まず、ステップS301で、任意の座標入
力点での各画素の差分信号である差分データDXa
(n)(実施形態2の場合、画素数n=64)が読み込
まれ、バッファメモリ(不図示)に貯えられる。ステッ
プS302で、このデータのピークレベルを求め、Xa
pとして記憶する。次に、ステップS303で、あらか
じめ設定しておいた閾値Vと比較し、閾値以上のデータ
値Exa(n)を算出する。このデータ値Exa(n)
を用いて、ステップS304で、リニアセンサ20Xa
上の座標CCDXaを算出する。実施形態2では、重心
法により出力データの重心を算出しているが、出力デー
タExa(n)のピーク値を求める方法(例えば、微分
法による)等、計算の方法はこれに限定されないことは
言うまでもない。
【0165】同様にして、リニアセンサ20Xb上の座
標CCDXbも算出する。
【0166】これら算出された座標値は、リニアセンサ
20Xa,20XbのそれぞれのリニアCCD26上で
の画素に対応した座標である。そのため、これらの座標
値を連結することで一つのリニアセンサ20Xa,20
Xb上での座標値として扱えるようになる。
【0167】そこで、リニアセンサ20Xa,20Xb
のそれぞれのリニアCCD26上での画素に対応した座
標値を連結するための基準座標を定義する。
【0168】この基準座標の定義について、図26を用
いて説明する。
【0169】図26は実施形態2の基準座標の定義を説
明するための図である。
【0170】図26は、リニアセンサ20Xa,20X
bのそれぞれのリニアCCD26の座標を概念的に配置
した構成を示している。リニアセンサ20Xa,20X
bの検出領域は、先に説明したように重複部分を有して
いるため、その座標位置を重ねると、同図のようにな
る。
【0171】この時、リニアセンサ20Xa,20Xb
のそれぞれのリニアCCD26が共に測定可能な領域
で、基準点をあらかじめ定義する。つまり、スクリーン
10上の重複部分に入力を行い、座標CCDXa,CC
DXb(CCDXa_org,CCDXb_org)と
して読み込む。これらの値を、基準点データ(基準座
標)として、EEPROM等の不揮発性メモリ(不図
示)に記憶しておき、通常の使用時にはこの値を読み出
して、座標値演算を行う。
【0172】以下、これらの基準点データを用いて、リ
ニアセンサ20Xa,20XbのそれぞれのリニアCC
D26上での画素に対応した座標値を連結した連結座標
CCDXの算出処理について、図27を用いて説明す
る。
【0173】図27は実施形態2の連結座標CCDXの
算出処理の処理フローを示すフローチャートである。
【0174】まず、ステップS307で、リニアセンサ
20Xa,20XbのそれぞれのリニアCCD26の基
準点データ(CCDXa_org,CCDXb_or
g)をメモリから読み込む。ステップS308で、指示
具4からの入力がなされた時に計算されるCCDXa、
CCDXbの値と、基準点データの差分を算出する。こ
れにより、図26の中央付近にある直線L1の点を原点
としたリニアCCD上の座標に変換される。
【0175】次に、ステップS309で、先に記憶して
おいたリニアセンサ20Xa,20Xb各々のピークレ
ベルXaP、XbPを比較する。通常、外乱光などによ
る信号は、正規の光スポットによる信号よりかなり小さ
いため、ピーク値の大きい方を正規の座標として採用す
る。このようにして、L1を境にリニアセンサ20X
a,20XbのそれぞれのリニアCCD26の両リニア
CCDの座標値を連結できる。
【0176】具体的には、ピークレベルXaPがピーク
レベルXbPより大きい場合(ステップS309でYE
S)、ステップS310に進み、CCDX=CCDXa
として、ステップS312に進む。一方、ピークレベル
XaPがピークレベルXbP未満である場合(ステップ
S309でNO)、ステップS311に進み、CCDX
=CCDXbとして、ステップS312に進む。
【0177】そして、ステップS312で、スクリーン
10上の座標値を一致させるために、上記の処理で得ら
れたCCDXからスクリーン10上の座標値Xへの変換
であるスクリーン座標計算を行う。尚、この処理の詳細
については、後述する。
【0178】以上の処理は、X座標について説明を行っ
たが、同様にして、Y座標についても行う。
【0179】そして、上述のような演算処理によって算
出した座標値(X,Y)を示すデータ信号は、座標演算
部32から通信制御部33に送られる。この通信制御部
33には、そのデータ信号と、制御信号検出部72から
の制御信号とが入力される。そして、これらデータ信号
および制御信号は、ともに所定の形式の通信信号に変換
され、外部の表示制御装置に送出される。これにより、
スクリーン10上のカーソルやメニュー、文字や線画の
入力などの各種操作を行うことができる。 <基準点設定>CCD座標値とスクリーン10上の座標
値と一致させるためには、CCD座標値をスクリーン1
0上の座標値へ変換するための倍率、原点の座標値など
の情報をあらかじめ、決定しておく必要がある。そのた
めに、既知の複数の座標位置(基準点)のCCD座標を
取得し、不揮発メモリ等に記憶する。
【0180】図28は実施形態2の基準点の座標位置例
を示す図である。
【0181】まず、基準となる原点を設定する。その際
には、同図P0位置に入力を行い、その時のCCD座標
値を記憶する。この時、リニアセンサ20Xa,20X
b,20Ya,20Ybの重複部分を、この位置に設定
しておけば、上述のようなリニアセンサ20Xa,20
Xb,20Ya,20Ybの座標値を連結するための基
準点入力を兼ねることも可能である。
【0182】次に、原点にたいして、倍率決定のための
入力を行う。実際には原点から既知の点一点の情報があ
れば倍率は計算可能である。
【0183】しかしながら、レンズの収差、ばらつき等
によって、入力位置(基準点)によって、倍率にばらつ
きが生じる。
【0184】図29は実施形態2の基準点による倍率の
ばらつき例を示す図である。
【0185】この図は、基準点のCCD座標値の出力を
示している。
【0186】例として、図28の基準点P0からP7間
のCCD座標値の理論値は線形性のある直線状のデータ
列となる。これに対し、基準点P0からP3間のCCD
座標値の実測値は、理論値と同様、線形性にCCD座標
値の出力が得られるが、基準点P7付近では、CCD座
標値は線形性でなくなり、CCD座標値の理論値の直線
状のデータ列からずれてしまうことがある。このような
場合に、例えば、基準点P7で、倍率のためのデータを
取得し、それを元に座標計算を行うと、全体的に誤差を
生じてしまうことになる。
【0187】そこで、倍率決定のためには、P3点など
の、比較的、CCD座標値の理論値に近いCCD座標値
の実測値を得ることができる基準点でのCCD座標値を
用いる。
【0188】上述してきたように、複数のリニアセンサ
20Xa,20Xb,20Ya,20Ybを用いて連結
して座標値を得るので、図28のように、各々リニアセ
ンサ20Xa,20Xb,20Ya,20Ybの用いら
れる範囲は、図中Xa,Ya,Xb,Ybで示される領
域になる。
【0189】円柱状レンズ90Xa,90Xb,90Y
a,90Yb自体は、各リニアセンサ20Xa,20X
b,20Ya,20Ybに対して用意してあるので、結
局、Xa,b、Yabそれぞれがばらつきを有すること
になる。
【0190】そこで、各リニアセンサ20Xa,20X
b,20Ya,20Ybに対応した倍率を求める必要が
あり、そのために、基準点P3以外にも、基準点P1,
P2,P4の各点でのリニアセンサ20Xa,20X
b,20Ya,20Ybの出力を記憶する。
【0191】基準点P0が図28のように重複部分に存
在するとすると、この点ではXab,Yabの各々の値
が取得される。この時のリニアセンサ20Xa,20X
b,20Ya,20YbのCCDデータをP0Xa、P
0Ya、P0Xb、P0Ybとする。基準点P0は原点
であるので、この場合には、スクリーン10上の座標値
は(X_P0,Y_P0)=(0,0)である。
【0192】倍率の決定は、基準点P3を例にとり、基
準点P3でのCCD座標をP3Xa、P3Yaとし、ス
クリーン10上の座標値をX_P3、Y_P3とした場
合、倍率α3x、α3yは α3x=(X_P3−X_P0)/(P3Xa−P0Xa) (5) α3y=(Y_P3−Y_P0)/(P3Ya−P0Ya) (6) で計算される。
【0193】このように、各基準点に対して計算された
倍率をもって、CCDX座標値に掛け合わせることでス
クリーン10上の座標値を計算することができる。
【0194】実際の計算では、まず、得られたCCD
X、CCDY座標値から、領域判定を行い、各領域に対
応した倍率α1、2、3、4を用いて計算を行う。
【0195】このようにして、線形性の良い基準点での
倍率を決定したが、図28のように、基準点P7付近
(スクリーン10周辺部)では線形性が低下しているの
で、スクリーン10周辺部では誤差を生じることにな
る。
【0196】実際の機器では、スクリーン10の有効投
影範囲以外に余白となる部分が設定されるが、この領域
が小さい場合には、入力がその部分で制限され、実際の
投影範囲に入力できない部分が発生する可能性がある。
【0197】通常のPC使用環境では、メニューバー等
を画像周辺部へカーソルを移動することで、表示するよ
うな場合があり、このように、誤差が発生していると、
その操作を阻害する可能性がある。
【0198】そこで、倍率は、そのままに、スクリーン
10周辺部への入力を可能とするために、基準点P5か
らP8までのCCD座標値を取得、記憶しておき、固定
入力点のデータとする。ここで言う固定入力点とは、入
力がその位置になされた場合、必ず、あらかじめ設定さ
れた点の座標を出力する点である。
【0199】つまり、その固定入力点でのCCD座標が
得られた場合には、倍率に関わらずスクリーン10上の
固定の座標値を出力する。
【0200】そのさい、その点だけを強制的に固定座標
値にすると、急に座標値がかわってしまい、使用感を低
下させるので、適当な点(例えば、基準点P7に対して
基準点P3)のような点から、徐々に変化させる必要が
ある。
【0201】ここで、座標系を図28の基準点P0から
右をXプラス方向、基準点P0より下をYプラス方向と
した場合に、得られたCCD座標値に倍率を乗じたもの
がX_P3より大きく、Y_P3より小さい場合、以下
の式で重みを変えて、座標計算を行う。
【0202】 X=(CCDX*α3x)+(X−X_P3)/(X_P7−X_P3) ) *((Y−Y_P3)/(Y_P3−Y_P7)) *(X_P7−(p7x*α3x)) (7) Y=(CCDY*α3y)+(X−X_P3)/(X_P7−X_P3) ) *((Y−Y_P3)/(Y_P3−Y_P7)) *(Y_P7−(p7y*α3y)) (8) 他の領域についても、各々基準点P1と基準点P5、基
準点P4と基準点P6、基準点P2と基準点P8の組み
合わせで同様の計算を行えば良い。
【0203】また、上記式は、一例であり、より高次の
式を用いても良い。
【0204】以上のようにして、スクリーン10上の座
標値と一致するCCD座標値を計算することができる。
これは、図27のステップS312のスクリーン座標の
計算処理に相当する。
【0205】以下、図27のステップS312の処理の
詳細について、図30を用いて説明する。
【0206】図30は実施形態2のステップS312の
処理の詳細を示すフローチャートである。
【0207】まず、ステップS402で、不揮発メモリ
等に記憶された基準点P0〜P8でのCCD座標値を読
み出す。このCCD座標値と、スクリーン10上の基準
点P0〜P8に対応する既知の座標値を用いて、式
(5)、(6)を用いて倍率を計算する。
【0208】ステップS404で、入力された各リニア
センサのCCD座標値を読み出す。次に、ステップS4
05で、読み出したCCD座標値を連結する。
【0209】次に、ステップS406で、連結されたC
CD座標値から、その座標値がスクリーン10上のどの
象現に入るか判定する。これは、原点座標との比較で行
えば良く、例えば、図28に示すように、第1象現をS
1、以下各象現毎にS2,S3,S4とする。
【0210】判定された象現によって、各々の象現の計
算に振り分けられる。
【0211】例えば、第1象限S1について説明すれ
ば、ステップS411で、第1象限S1の倍率と連結さ
れたCCD座標値を乗じて、スクリーン座標を計算す
る。次に、ステップS415で、計算されたスクリーン
座標が固定入力点となる固定エリアであるか否か判定す
る。この判定は、第1象限S1の場合では、上述したよ
うに、基準点P3の座標値で判定すれば良い。他の象現
も同様にして判定すれば良い。
【0212】ステップS415において、固定エリアで
ない場合(ステップS415でNO)、ステップS42
3に進み、その計算されたスクリーン座標を出力する。
一方、固定エリアである場合(ステップS415でYE
S)、式(7)、(8)を用いて固定エリアに対するス
クリーン座標を計算する。そして、ステップS423に
進み、その計算されたスクリーン座標を出力する。座標
送出後は、すでに倍率等は計算されてメモリに貯えられ
ているので、再度、ステップS404に戻る。
【0213】ここでは、第1象限S1について説明した
が、他の象現でも用いる基準点の座標値が異なるだけ
で、演算方法は同様である。
【0214】以上のように、既知の基準点のCCD座標
値を取得し、不揮発性メモリに記憶しておく。そして、
記憶されたCCD座標値を用いて、原点、倍率、固定入
力点を計算し座標計算を行うことで、より高精度の座標
入力装置を提供可能になる。
【0215】尚、複数の基準点のCCD座標値の取得
は、既知の入力位置に入力できる治具を用いてもよい
し、また、画面上で出荷時に設定することもできる。
【0216】例えば、通信制御部33に対して、スクリ
ーン10上の基準点の座標値を送信すると、ホストコン
ピュータ側のドライバがスクリーン10上のその位置に
カーソルを表示する。そして、そのカーソル位置に対し
て、入力を行えば基準点のCCD座標値が得られる。順
次、送出する座標値を変更して繰り返しこの処理を行え
ば、図31に示すごとく、9点の基準点のCCD座標値
をホストコンピュータ等の外部接続装置側で入力するこ
とができる。
【0217】図31は実施形態2の9点の基準点の座標
値を入力する場合の処理を示すフローチャートである。
【0218】外部接続装置では、基準点取得モードに入
ると、ステップS502で、CCD座標値を取得する基
準点Pn(ここでは、n:1,2,…,8,9)に基準
…P0のスクリーン10の座標値をセットする(ここで
は説明を簡単にするため、X,Yに細かく分けて説明し
ていないが、X,Y共にセットされている)。
【0219】次に、ステップS503で、基準点Pnに
おけるCCD座標値の取得回数を計測するためのカウン
タをクリアする。これは、基準点のCCD座標値をより
精度良くするために、同一の基準点のCCD座標値を複
数回取得し、その取得された複数のCCD座標値の平均
値をその基準点のCCD座標値とするためである。ま
た、この取得回数は、装置のノイズ等の状態に応じて、
要求される精度に基づいて決定すればよい。
【0220】次に、ステップS504で、先にセットし
た基準点の座標値を送出する。ステップS505で、そ
の基準点に対するCCD座標を取得し、メモリに記憶す
る。ステップS507で、取得回数のカウンタをインク
リメントする。ステップS508で、規定回数取得した
か否かを判定する。
【0221】規定回数に達していない場合(ステップS
508でNO)、ステップS505に戻る。規定回数に
達している場合(ステップS508でYES)、ステッ
プS509に進み、同一の基準点に対して取得した複数
のCCD座標値の平均を計算し、この平均のCCD座標
値を各基準点毎に用意されたメモリに格納する。
【0222】ステップS510で、処理対象が最後の基
準点Pnであるか否かを判定する。最後の基準点Pnで
ない場合(ステップS510でNO)、ステップS51
1に進み、処理対象の基準点Pnを1インクリメントし
て、ステップS503に戻る。一方、最後の基準点Pn
である場合(ステップS510でYES)、ステップS
512で、得られた各基準点のCCD座標値を不揮発メ
モリ9に格納する。
【0223】このような作業は、毎回電源投入時に行っ
てもよいが、一般的に出荷時に行えば良い。
【0224】以上説明したように、実施形態2によれ
ば、複数の基準点のCCD座標値を不揮発性メモリに記
憶しておき、これらのCCD座標値から最終的なスクリ
ーン10上の座標値を得るための原点、倍率、固定点を
算出し、座標演算を行うことで、高精度な座標入力装置
を提供可能になる。
【0225】また、本発明中の基準点の数は、これに限
定するものでは無く、各システムの構成により決定すれ
ばよい。
【0226】また、基準点の数は、上記9点に限定せず
とも、システムに合わせて決定すれば良い。
【0227】尚、本発明の目的は、前述した実施形態の
機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録
した記憶媒体を、システムあるいは装置に供給し、その
システムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUや
MPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読
出し実行することによっても、達成されることは言うま
でもない。
【0228】この場合、記憶媒体から読出されたプログ
ラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現するこ
とになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は
本発明を構成することになる。
【0229】プログラムコードを供給するための記憶媒
体としては、例えば、フロッピディスク、ハードディス
ク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD
−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMな
どを用いることができる。
【0230】また、コンピュータが読出したプログラム
コードを実行することにより、前述した実施形態の機能
が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示
に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレ
ーティングシステム)などが実際の処理の一部または全
部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が
実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0231】更に、記憶媒体から読出されたプログラム
コードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードや
コンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメ
モリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基
づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わる
CPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その
処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合
も含まれることは言うまでもない。
【0232】本発明を上記記憶媒体に適用する場合、そ
の記憶媒体には、先に説明したフローチャートに対応す
るプログラムコードが格納されることになる。
【0233】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
高精度、高分解能であり、操作性に優れた座標入力装置
及びその制御方法、プログラムを安価に提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1の座標入力装置の概略構成を示す図
である。
【図2】実施形態1の指示具の詳細構成を示す図であ
る。
【図3】実施形態1の指示具の動作モードを示す図であ
る。
【図4】実施形態1の座標検出器の詳細構成を示す図で
ある。
【図5】実施形態1の制御信号の復元動作におけるタイ
ミングチャートである。
【図6】実施形態1で扱われる信号のタイミングチャー
トである。
【図7】実施形態1のリニアセンサの配置関係を示す図
である。
【図8】実施形態1のリニアセンサの詳細構成を示す図
である。
【図9】実施形態1のリニアセンサの出力波形の一例を
示す図である。
【図10】実施形態1のリニアセンサのスキム動作を説
明するための出力波形の一例を示す図である。
【図11】実施形態1のリニアセンサの動作制御を示す
フローチャートである。
【図12】実施形態1の座標演算処理の処理フローを示
すフローチャートである。
【図13】実施形態1の座標演算に関する説明図であ
る。
【図14】実施形態1の結像光学系の構成例を示す図で
ある。
【図15】実施形態1の座標演算処理の詳細な処理フロ
ーを示すフローチャートである。
【図16】実施形態1の座標入力装置の座標算出精度の
分布を示す図である。
【図17】従来の座標入力装置の座標算出精度の分布を
示す図である。
【図18】実施形態2の座標検出器の詳細構成を示す図
である。
【図19】実施形態2で扱われる信号のタイミングチャ
ートである。
【図20】実施形態2のリニアセンサの配置関係を示す
図である。
【図21】実施形態2のリングCCDの出力制御におけ
るタイミングチャートである。
【図22】実施形態2のAD変換のタイミングチャート
である。
【図23】実施形態2のリニアセンサの構成を示す図で
ある。
【図24】実施形態2のリニアセンサの出力を模式的に
示す図である。
【図25】実施形態2の座標演算処理の処理フローを示
すフローチャートである。
【図26】実施形態2の基準座標の定義を説明するため
の図である。
【図27】実施形態2の連結座標CCDXの算出処理の
処理フローを示すフローチャートである。
【図28】実施形態2の基準点の座標位置例を示す図で
ある。
【図29】実施形態2の基準点による倍率のばらつき例
を示す図である。
【図30】実施形態2のステップS312の処理の詳細
を示すフローチャートである。
【図31】実施形態2の9点の基準点の座標値を入力す
る場合の処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 座標検出器 2 座標検出センサ部 3 コントローラ 4 指示具 5 光スポット 6 受光素子 6a 集光レンズ 7 信号処理部 8 投射型表示装置 9 不揮発メモリ 81 画像信号処理部 82 液晶パネル 83 ランプ 84 ミラー 85 コンデンサーレンズ 86 投影レンズ 20X、20Y、20Xa、20Xb、20Ya、20
Yb リニアセンサ 21 センサアレイ 22 積分部 23 シフト部 24 蓄積部 25 リニアCCD 26 リングCCD 27 クリア部 28 スキム部 29 アンプ 31 センサ制御部 31A AD変換部 32 座標演算部 33 通信制御部 71 周波数検波部 72 制御信号検出部

Claims (25)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 指示具からの光を座標入力画面に照射し
    て光スポットを生成し、前記光スポットに対応した座標
    を生成する座標入力装置であって、 指示具からの照射により座標入力面に生成された光スポ
    ットを検出する検出手段と、 少なくとも3個所の既知の第1乃至第3の位置における
    光スポットによる前記検出手段の出力情報を記憶する記
    憶手段と、 前記記憶手段に記憶された第1乃至第3の位置における
    出力情報の内、少なくとも2つを用いて、前記座標入力
    面に生成された光スポットの座標値を演算する演算手段
    とを備えることを特徴とする座標入力装置。
  2. 【請求項2】 前記演算手段は、前記第1及び第2の位
    置における出力情報を用いて、前記座標入力面に生成さ
    れた光スポットの座標値を演算する第1の演算と、前記
    第1の演算結果に対して前記第3の位置における出力情
    報を用いて前記座標入力面に生成された光スポットの座
    標値の補正演算を行う第2の演算とを実行可能であるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の座標入力装置。
  3. 【請求項3】 前記第1の演算結果である座標値が
    (X’、Y’)であり、前記第2の演算結果である座標
    値が(X、Y)である場合に、XをX’及びY’の従属
    関数とし、YをX’及びY’の従属関数とすることを特
    徴とする請求項2に記載の座標入力装置。
  4. 【請求項4】 前記第1の演算結果に基づいて、前記第
    2の演算の実行の有無を判定する判定手段を更に備える
    ことを特徴とする請求項2に記載の座標入力装置。
  5. 【請求項5】 前記第3の位置は、前記座標入力面の座
    標入力有効エリアの4隅部の少なくとも1つであること
    を特徴とする請求項1に記載の座標入力装置。
  6. 【請求項6】 前記検出手段は、感光部がX軸方向に直
    線状に配列されたX軸用センサと、感光部がY軸方向に
    直線状に配列されたY軸用センサとからなり、前記X軸
    用センサにはY軸方向に軸を有する円柱状レンズを介し
    て光スポットの光が結像され、前記Y軸用センサにはX
    軸方向に軸を有する円柱状レンズを介して光スポットの
    光が結像されることを特徴とする請求項1に記載の座標
    入力装置。
  7. 【請求項7】 前記第3の位置は、前記座標入力有効エ
    リア内において、前記円柱状レンズに入射するその位置
    からの光線と、前記検出手段の前記感光部の垂線との間
    の角度が最大となる位置に設定されることを特徴とする
    請求項6に記載の座標入力装置。
  8. 【請求項8】 前記検出手段は、感光部がX軸方向に直
    線状に配列されたX軸用センサを少なくとも2つと、感
    光部がY軸方向に直線状に配列されたY軸用センサを少
    なくとも2つ有し、各軸方向のセンサ群それぞれの前記
    入力画面上の検出領域の一部は互いに重複していること
    を特徴とする請求項1に記載の座標入力装置。
  9. 【請求項9】 前記演算手段は、前記検出手段からの出
    力情報に基づいて、前記座標入力画面上の原点を決定す
    ることを特徴とする請求項8に記載の座標入力装置。
  10. 【請求項10】 前記演算手段は、前記検出手段からの
    出力情報に基づいて、前記座標入力画面上に生成された
    光スポットの座標値を演算するための倍率を決定するこ
    とを特徴とする請求項8に記載の座標入力装置。
  11. 【請求項11】 前記演算手段は、前記検出手段からの
    出力情報に基づいて、前記座標入力画面上の固定入力点
    を決定することを特徴とする請求項8に記載の座標入力
    装置。
  12. 【請求項12】 外部装置に対し、前記座標入力画面上
    の所定位置の座標情報を出力する出力手段とを更に備え
    ることを特徴とする請求項1に記載の座標入力装置。
  13. 【請求項13】 指示具からの光を座標入力画面に照射
    して光スポットを生成し、前記光スポットに対応した座
    標を生成する座標入力装置の制御方法であって、 指示具からの照射により座標入力面に生成された光スポ
    ットを検出する検出工程と、 少なくとも3個所の既知の第1乃至第3の位置における
    光スポットによる前記検出工程の出力情報の内、少なく
    とも2つを用いて、前記座標入力面に生成された光スポ
    ットの座標値を演算する演算工程とを備えることを特徴
    とする座標入力装置の制御方法。
  14. 【請求項14】 前記演算工程は、前記第1及び第2の
    位置における出力情報を用いて、前記座標入力面に生成
    された光スポットの座標値を演算する第1の演算と、前
    記第1の演算結果に対して前記第3の位置における出力
    情報を用いて前記座標入力面に生成された光スポットの
    座標値の補正演算を行う第2の演算とを実行可能である
    ことを特徴とする請求項13に記載の座標入力装置の制
    御方法。
  15. 【請求項15】 前記第1の演算結果である座標値が
    (X’、Y’)であり、前記第2の演算結果である座標
    値が(X、Y)である場合に、XをX’及びY’の従属
    関数とし、YをX’及びY’の従属関数とすることを特
    徴とする請求項14に記載の座標入力装置の制御方法。
  16. 【請求項16】 前記第1の演算結果に基づいて、前記
    第2の演算の実行の有無を判定する判定工程を更に備え
    ることを特徴とする請求項14に記載の座標入力装置の
    制御方法。
  17. 【請求項17】 前記第3の位置は、前記座標入力面の
    座標入力有効エリアの4隅部の少なくとも1つであるこ
    とを特徴とする請求項13に記載の座標入力装置の制御
    方法。
  18. 【請求項18】 前記検出工程による検出を行う検出部
    は、感光部がX軸方向に直線状に配列されたX軸用セン
    サと、感光部がY軸方向に直線状に配列されたY軸用セ
    ンサとからなり、前記X軸用センサにはY軸方向に軸を
    有する円柱状レンズを介して光スポットの光が結像さ
    れ、前記Y軸用センサにはX軸方向に軸を有する円柱状
    レンズを介して光スポットの光が結像されることを特徴
    とする請求項13に記載の座標入力装置の制御方法。
  19. 【請求項19】 前記第3の位置は、前記座標入力有効
    エリア内において、前記円柱状レンズに入射するその位
    置からの光線と、前記検出部の前記感光部の垂線との間
    の角度が最大となる位置に設定されることを特徴とする
    請求項18に記載の座標入力装置の制御方法。
  20. 【請求項20】 前記検出工程による検出を行う検出部
    は、感光部がX軸方向に直線状に配列されたX軸用セン
    サを少なくとも2つと、感光部がY軸方向に直線状に配
    列されたY軸用センサを少なくとも2つ有し、各軸方向
    のセンサ群それぞれの前記入力画面上の検出領域の一部
    は互いに重複していることを特徴とする請求項13に記
    載の座標入力装置の制御方法。
  21. 【請求項21】 前記演算工程は、前記検出工程からの
    出力情報に基づいて、前記座標入力画面上の原点を決定
    することを特徴とする請求項20に記載の座標入力装置
    の制御方法。
  22. 【請求項22】 前記演算工程は、前記検出工程からの
    出力情報に基づいて、前記座標入力画面上に生成された
    光スポットの座標値を演算するための倍率を決定するこ
    とを特徴とする請求項20に記載の座標入力装置の制御
    方法。
  23. 【請求項23】 前記演算工程は、前記検出工程からの
    出力情報に基づいて、前記座標入力画面上の固定入力点
    を決定することを特徴とする請求項20に記載の座標入
    力装置の制御方法。
  24. 【請求項24】 外部装置に対し、前記座標入力画面上
    の所定位置の座標情報を出力する出力工程とを更に備え
    ることを特徴とする請求項13に記載の座標入力装置の
    制御方法。
  25. 【請求項25】 指示具からの光を座標入力画面に照射
    して光スポットを生成し、前記光スポットに対応した座
    標を生成する座標入力装置の制御をコンピュータに機能
    させるためのプログラムであって、 指示具からの照射により座標入力面に生成された光スポ
    ットを検出する検出工程のプログラムコードと、 少なくとも3個所の既知の第1乃至第3の位置における
    光スポットによる前記検出工程の出力情報の内、少なく
    とも2つを用いて、前記座標入力面に生成された光スポ
    ットの座標値を演算する演算工程のプログラムコードと
    を備えることを特徴とするプログラム。
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