JP2002138365A - わた材の精練方法および脱脂綿の製造方法 - Google Patents

わた材の精練方法および脱脂綿の製造方法

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JP2002138365A
JP2002138365A JP2000330821A JP2000330821A JP2002138365A JP 2002138365 A JP2002138365 A JP 2002138365A JP 2000330821 A JP2000330821 A JP 2000330821A JP 2000330821 A JP2000330821 A JP 2000330821A JP 2002138365 A JP2002138365 A JP 2002138365A
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cotton
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pectin
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Masataka Iwamoto
正孝 岩元
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 繊維材料の風合いなどの品質を制御し得る精
練方法を提供することを課題とする。 【解決手段】 ペクチン分解酵素による精練処理と、ア
ルカリ剤による精練処理とを併用してわた材を精練す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、繊維材料の精練方
法に関し、詳しくは、わた材の膨れ、弾力性および肌触
り等の風合いをコントロールしつつわた材を精練する方
法および脱脂綿の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】繊維、繊維構造物などの繊維材料は、通
常必要に応じて、糊抜き、精練、漂白などの処理が施さ
れ、さらに成形、染色などの処理を施されることが多
い。
【0003】未加工の棉繊維などのセルロース繊維は、
二次細胞膜およびこの膜をワインディング層を介して覆
う一次細胞膜とから構成される。一次細胞膜はワック
ス、ペクチンおよびタンパク質を主成分とするクチクル
層と網状層とからなり、二次細胞膜はセルロース層で構
成されている(繊維と工業、第4巻、大野康雄、197
1年)。精練工程では、主として吸水性および染色性向
上をさせつつ脱色することを目的として、一次細胞膜や
他の夾雑物を除去する処理が行われる。精練工程では糊
抜き、漂白などの処理を同時に行う場合もある。
【0004】従来、セルロース系繊維材料の精練工程で
は、水酸化ナトリウムなどの化学薬品および界面活性剤
を用いて精練用の溶液を調製してこの溶液に繊維材料を
浸漬し、さらに高温下で脱脂処理するなどの処理が行わ
れてきた。繊維材料の精練に関しては、環境汚染を防ぐ
ための費用の増大、精練工程における生産性の向上、繊
維の強度維持などの課題を解決すべく、各種の技術が開
発されている。
【0005】例えば、水酸化ナトリウムや界面活性剤の
多用に伴う廃水処理の費用を抑制するために、綿繊維か
らペクチン物質を遊離し得る酵素を含む酵素液に綿繊維
を浸漬して処理する方法がある(特開平6−22077
2号公報。なお当該公報においては、綿繊維からペクチ
ン物質を遊離し得る酵素のことを「プロトペクチナー
ゼ」と称している)。また、廃水処理の費用の軽減、繊
維の強度維持などの観点からリパーゼなどの油脂分解酵
素を含む水溶液に繊維材料を浸漬する方法も知られてい
る(特開平8−127960号公報)。また、水酸化ナ
トリウムなどの化学薬品を用いる場合にはこのような化
学薬品で精練した後に過酸化水素などによる漂白を別途
に施す必要性があるが、このような煩雑さを簡素化し、
さらに化学薬品の使用量を削減することを目的として、
ペクチン分解酵素と過酸化水素とを混合して、精練、漂
白を同時に行い得る方法も開示されている(特開平10
−88472号公報)。
【0006】さらに、繊維を処理のばらつきなく連続的
に酵素処理する方法として、繊維に酵素含有処理液を付
与する工程(酵素吸着工程)と、酵素処理後に繊維に付
与された酵素含有処理液を熱処理により脱着する工程
(酵素脱着工程)とを繰り返す方法が開示されている
(特開平10−53965号公報)。この2つの工程を
繰り返す方法では、酵素として、セルロース分解酵素、
ペクチン分解酵素、脂質分解酵素、脂質分解酵素、蛋白
分解酵素などが用いられ、吸水性が高く、また繊維の引
張強さのばらつきを抑制することができることが記載さ
れている。
【0007】また、セルロース系繊維構造物を風合いの
ばらつきがなく連続的に減量することを目的として、セ
ルラーゼ酵素を含有する処理液を付与した後に、所定の
温度で連続蒸熱処理する方法も開示されている(特開平
4−352881号公報)。しかし、上記特開平10−
53965号公報によれば、特開平4−352881号
公報に記載の方法では、繊維に対する酵素液の量が十分
でないため酵素の処理ムラができ、強度低下や染色ムラ
が起こるという欠点が指摘されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、化学薬
品、界面活性剤を用いる方法における問題点を解決すべ
く、酵素を用いた種々の方法が行われている。しかし、
上記のような精練方法は織編物については好適と考えら
れるが、繊維材料の中でもわた材のように容積率が低
く、製品に柔らかみ、弾力性、肌触りの良さ、適度な膨
れ具合などの風合いのよさが要求されるものについては
適切ではない場合がある。例えば、水酸化ナトリウムな
どの化学薬品を使わずに酵素および界面活性剤、または
酵素のみで精練すると綿が膨れすぎるなど風合いの制御
が困難である。膨れすぎた綿材料はそのままでは医療
用、化粧用などの製品としては不適当であり、別途の処
理を施す必要がある。
【0009】また、水酸化ナトリウムなどの化学薬品を
用いずに酵素を主として精練することはコストの上昇に
つながりやすい。例えば、上記特開平10−53965
号公報に記載の方法のように、酵素処理液を付与する工
程と、熱処理による酵素脱着工程とを繰り返す方法で
は、高価な酵素を繰り返し多量に使用することや、大規
模の設備を要するなどの点から結局コストが高くなる。
【0010】本発明は、上記のような問題点を解決し、
かつ繊維材料の風合いなどの品質を制御し得る精練方法
を提供することを課題とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、酵素を用
いつつも、風合いなどの品質制御が可能であり、かつコ
ストを低減できる繊維材料の精練方法を求めて鋭意研究
を進めたところ、ペクチン分解酵素とアルカリ剤とを併
用することにより、低コストでかつ風合いなどの品質を
制御しつつ精練できることを見いだし、本発明を完成さ
せた。すなわち、本発明は次の通りである。 (1)ペクチン分解酵素による精練処理と、アルカリ剤
による精練処理とを併用してわた材を精練する、わた材
の精練方法。 (2)わた材をペクチン分解酵素で精練処理した後に、
アルカリ剤で精練処理する、わた材の精練方法。 (3)わた材をアルカリ剤で精練処理した後に、ペクチ
ン分解酵素で精練処理する、わた材の精練方法。 (4)ペクチン分解酵素による精練処理で用いられるペ
クチン分解酵素を含む精練液のペクチン分解酵素量が1
〜4g/Lである、前記(1)から(3)のいずれかに
記載のわた材の精練方法。 (5)ペクチン分解酵素による精練処理を、材料温度5
0〜60℃で行うことを特徴とする、前記(1)から
(4)に記載のわた材の精練方法。 (6)ペクチン分解酵素による精練処理時間が30〜1
30分間であることを特徴とする、前記(1)から
(5)に記載のわた材の精練方法。 (7)前記アルカリ剤が水酸化ナトリウムであり、水酸
化ナトリウムを4〜20g/L含む精練液で前記アルカ
リ剤による精練処理を行うことを特徴とする、前記
(1)から(6)のいずれかに記載のわた材の精練方
法。 (8)脱脂綿の製造方法において、ペクチン分解酵素に
よる精練処理と、アルカリ剤による精練処理とを併用し
て原料棉を精練する精練工程を含むことを特徴とする、
脱脂綿の製造方法。 (9)前記脱脂綿が、医療用または化粧用である、前記
(8)に記載の脱脂綿製造方法。
【0012】上記特許請求の範囲および(1)〜(6)
において、「併用」するとは、ペクチン分解酵素による
精練処理およびアルカリ剤による処理の2種類の処理を
施すことをいい、単に「併用」という場合には処理の順
序は限定しない。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の精練方法は、わた材の製
造過程において行われる精練工程において適用されるも
のであり、原材料となる原料棉などのわた材に、ペクチ
ン分解酵素による精練処理と、アルカリ剤による精練処
理との双方を施して精練を行う。2種の精練処理を併用
することにより、極めて高い濃度でのアルカリ処理を要
せず、また酵素だけで精練した場合のように過度にわた
材が膨れ上がることもなく、わた材の精練を行うことが
できる。
【0014】「わた材」とは、綿繊維材料であって、わ
た状の形態を有するものをいう。綿繊維材料は綿を主体
とする繊維材料であり、綿と合成繊維との棍棒品であっ
てもよい。
【0015】「ペクチン分解酵素」とは、ペクチン類を
分解する酵素であり、例えば、ペクチンエステラーゼ、
ポリメチルガラクツロナーゼ、ポリガラツクロナーゼ、
ポリメチルガラツクロン酸リアーゼ、ポリメチルガラツ
クロン酸リアーゼ、プロトペクチナーゼ、ペクチナーゼ
などが例示される。本発明の精練方法においては、綿繊
維などの精練および食品業界などにおいて一般的に用い
られているものを用いることができる。より具体的に
は、ナガセ生化学(株)の製品である「プロトペクチナ
ーゼナガセ」が好適である。また、本発明を工業生産規
模で行うに当たっては、品質が均一な大量の酵素を用い
ることになるため、大量の酵素の供給体制が整っている
酵素製品を用いることが好ましい。「プロトペクチナー
ゼナガセ」はこのような点でも好ましい。
【0016】精練処理で用いられるペクチン分解酵素を
含む精練液のペクチン分解酵素量は、例えば、「プロト
ペクチナーゼナガセ」の場合1〜4g/Lが好適であ
る。なお、ここでいう酵素液量は、酵素液量1g/Lが
およそ340000U/Lに相当する。
【0017】本明細書では、わた材を精練するために用
いられる各種の成分を含む溶液を精練液という。ペクチ
ン分解酵素を含む精練液中には、他にpH調整剤、界面
活性剤などを配合してもよい。
【0018】「アルカリ剤」とは、塩基性の化学薬品で
あり、本発明では水酸化ナトリウム、重炭酸ナトリウ
ム、炭酸ナトリウムなどが好適に用いられる。アルカリ
剤として水酸化ナトリウムを4〜20g/L含む精練液
で行うことが好ましい。水酸化ナトリウムのみを用いて
精練を行う従来法では、一般的に約45g/Lという極
めて高濃度の水酸化ナトリウムを扱っていたが、本発明
によれば上記のように水酸化ナトリウムの使用量を低減
することができ、環境負荷、作業上の危険性、精練装置
への負担などを低減することができる。アルカリ剤を含
む精練液中には、他に界面活性剤などを配合するのが望
ましい。
【0019】本発明の精練方法では、ペクチン分解酵素
による精練処理とアルカリ剤による精練処理とが施され
るが、その順序は2通りあり、その順序により風合いな
ど品質制御を行うことができる。すなわち、 わた材を先にペクチン分解酵素で精練処理し、その後
にアルカリ剤で精練処理する、 わた材を先にアルカリ剤で精練処理し、その後にペク
チン分解酵素で精練処理する、 という2通りがある。その効果は、資材の使用量や処理
時間等によって異なるが、一般的には後から酵素による
精練を行うの方法のほうが、わた材のソフト感が若干
増し、風合いがより良好なわた材を得ることができる。
他方、後からアルカリ剤による精練を行うの方法のほ
うが、脱脂効果をより得やすい。
【0020】酵素、アルカリ剤は、それぞれの精練処理
の後で水洗により洗い流せばよい。また、上記、の
方法のいずれの場合にあっても、2種の精練処理の後に
さらに界面活性剤などの洗浄剤を用いて洗浄する薬剤洗
浄工程を設けることが好ましい。薬剤洗浄工程を設ける
ことにより、精練処理では十分に脂質等が除去しきれな
かった場合にこれらの成分を取り除くことができる。薬
剤洗浄工程において用いられる界面活性剤は、通常、繊
維材料類の洗浄に用いられるものを用いることができ
る。
【0021】また、精練処理が済んだわた材には、過酸
化水素などを用いて漂白処理を施してもよい。
【0022】精練処理は、一般的に用いられる精練反応
塔などの装置を用いて行うことができ、熱蒸練、蒸煮、
浸漬などの手法を採用することができる。
【0023】酵素による精練処理では、用いられるペク
チン分解酵素の種類に応じて材料であるわた材の温度を
調整するが、材料温度は、好ましくは50〜60℃、特
に好ましくは55〜58℃に調整する。材料温度は、精
練反応塔内温度(精練反応塔内の雰囲気温度)を調整す
ることにより行うことができる。なお、反応塔の種類な
どにもよるが、通常、材料温度は、反応塔内温度より約
10℃程度、場合によっては約10〜20℃程度低くな
る傾向があるので、これを考慮して反応塔内温度は調整
する。
【0024】また、ペクチン分解酵素による精練処理時
間は、反応塔や酵素の種類にもよるが、30〜130分
間程度が好ましい。80分以上行えば酵素による精練と
しては十分な効果が得られる一方、130分以上ペクチ
ン分解酵素による精練を行っても効果の向上があまり認
められない。
【0025】他方、アルカリ剤による精練処理では、好
ましくは精練処理温度を90〜100℃程度、好ましく
は精練処理時間を95〜98分程度に調節する。
【0026】図1に本発明の精練方法の工程の一例を模
式的に示した。図1に示される精練反応塔は、特許第2
525010号に記載されている連続漂白用装置と同様
の装置であり、帯状のわた材を連続して精練することで
きる。なお、図示してないが、温度管理の精度をよくす
るため各精練反応塔には温度センサーを3箇所以上設け
ることが望ましい。図1の例は、先に水酸化ナトリウム
による精練を行い、その後ペクチン分解酵素による精練
を行う例である。図1に沿って、操業例について説明す
る。
【0027】帯状のわた材はローラーを介して浸液槽1
0に送られ、第1精練反応塔20内にわた材を送り込む
前に水酸化ナトリウム溶液に十分に浸される。浸液槽1
0を通過した後にわた材は、第1精練反応塔20に送り
込まれる。第1精練反応塔20は連続運転可能な蒸練式
の精練反応塔である。スチーム源からスチームバルブ2
01、202を通じて蒸気が反応塔に送り込まれる。第
1精練反応塔20内に所定の時間だけわた材を貯留して
精練反応を進める。所定の時間が貯留して第1精練反応
塔20での処理が終了した後は、アルカリ分を希硫酸で
中和し洗浄するため、わた材は中和槽40、水洗槽50
へと順次送り込まれる。
【0028】次に酵素による精練を行うため、ペクチン
分解酵素を含む溶液が入った浸液槽11にわた材が送り
込まれる。ここで予めわた材にペクチン分解酵素溶液を
十分に染み込ませた後、わた材は第2精練反応塔21内
に送り込まれる。第2精練反応塔21も連続運転可能な
蒸練式の精練塔である。スチーム源からからスチームバ
ルブ211、212を通じて蒸気が送り込まれる。第2
精練反応塔21内でも所定の反応時間だけわた材が貯留
される。第2精練反応塔21で酵素反応による精練処理
を行った後、酵素や除去しきれなかった夾雑物を取り除
くために、洗浄を行う。図1では水洗を行っているが、
この段階で界面活性剤などを含む洗浄液を用いて薬剤洗
浄を行ってもよい。
【0029】次に過酸化水素による漂白処理が施され
る。すなわち、予め過酸化水素液をわた材に浸した後、
漂白反応塔30で漂白処理を行う。
【0030】漂白処理の後では4段階の水洗処理が行わ
れる。3つは水中を潜らせて洗浄するものであり、1つ
はスプレー式の洗浄(水洗槽55)である。洗浄終了後
は、乾燥機70を通過させ、乾燥する。乾燥後のわた材
は、ロール状に巻き取られ、必要に応じて適当な大きさ
に裁断されて製品が完成する。
【0031】本発明の精練方法は、わた材の風合いを制
御することができるため、脱脂綿の製造に好適に適用さ
れる。すなわち、本発明により、ペクチン分解酵素によ
る精練処理と、アルカリ剤による精練処理とを併用して
原料棉を精練する精練工程を含むことを特徴とする、脱
脂綿の製造方法が提供される。本発明の脱脂綿の製造方
法は、上記本発明の精練方法により精練を行うこと以外
は、通常の脱脂綿製造方法に従って行えばよい。本発明
の脱脂綿製造方法は、化粧用、医療用の脱脂綿において
求められる、脱脂の程度あるいはソフト感、毛羽立ちの
少なさなどの風合いを具備した製品を製造する方法とし
て好適である。
【0032】また、酵素による精練を先に行い後で、ア
ルカリ剤による精練を行う順序のほうが、わた材の膨れ
具合を抑制できるので医療用脱脂綿の製造方法として特
に好適である。
【0033】
【実施例】<実験例1> 吸水性試験 酵素処理の条件を変えて、各条件下で得られたわた材の
吸水性試験を行った。酵素処理は、開繊、混打された原
料棉(目付150〜210g/m)に対して2回繰り返
すことにより行った。
【0034】(実験例1-1)酵素濃度 まず、酵素濃度1、2、3または4g/Lの各濃度条件
下で得られたわた材ついて試験を行った。界面活性剤は
5g/L、反応時間および温度は、最初の酵素処理にお
いて60〜70℃(反応塔内温度)で60分、2回目の
酵素処理においては80〜90℃(反応塔内温度)で3
0分の条件とした。なお、わた材の正味温度は反応塔内
温度の値から約10〜20℃程度低温となる。
【0035】使用した酵素剤は「プロトペクチナーゼナ
ガセ」(ナガセ生化学(株)製)、界面活性剤は「サン
モールBK−57NM」(日華化学(株)製)、「サン
モールCS−200」(日華化学(株)製)または「デ
ィスパノールCT」(日本油脂(株)製)、pH調整剤
として水酸化ナトリウムまたは重炭酸ナトリウムを用い
た。
【0036】わた材の吸水性は次のようにして試験し
た。上記目付の綿帯を1辺5cmの正方形に切り取り、
これを水面に投入した後、投入から、わた材全体が吸水
するまでの経過時間を吸水時間として求めた。また、下
記実施例においては、吸水後、わた材が水面下に沈降す
るまでの経過時間を沈降時間として求めた。
【0037】その結果を図2に示す。酵素濃度3〜4g
/Lの条件で処理したわた材が吸水し、4g/Lの場合
に最も吸水時間が短かった。1g/L、2g/Lの場合
には、わた材全体が吸水するに至らなかった。
【0038】(実験例1-2)酵素処理の反応温度 酵素処理における処理温度(反応塔内温度)を50、6
0、70、80、90℃とし、各温度条件下で得られた
わた材について吸水性試験を行った。酵素濃度は3g/
Lとし、最初の酵素処理の温度および酵素濃度以外の条
件は実験例1と同様とした。その結果を図3に示す。反
応塔内温度60℃以上で処理したわた材が水を吸水し、
70℃の場合に最も吸水時間が短かった。反応塔内温度
50℃の場合には、わた材全体が吸水するに至らなかっ
た。なお、わた材の正味温度は反応塔内温度から約10
〜20℃程度低温となる。
【0039】(実験例1-3)酵素反応時間 酵素反応時間を30、60、90、120分とし、各反
応時間条件下で得られたわた材について吸水性試験を行
った。反応時間は最初の酵素処理と2回目の酵素処理と
では同じにした。酵素濃度は4g/Lとし、これらの他
の条件は実験例1と同様にして、各わた材について吸水
性試験を行った。その結果を図4に示す。酵素反応を9
0分以上とした場合のわた材が所定量の水を全て吸水
し、120分の場合に最も吸水時間が短かった。酵素反
応時間30分、60分の場合には、わた材全体が吸水す
るに至らなかった。
【0040】<実験例2> 官能試験 従来品および酵素処理綿について、10人のパネラーに
よる官能試験を行った。従来品および酵素処理綿の製造
条件はそれぞれ次の通りである。従来品は、苛性ソーダ
45g/L、デスパノールCT 5g/Lを含む精練液
で精練し(従来品a)、酵素処理綿は、酵素濃度4g/
L、反応塔内温度80℃、反応時間90分の条件で製造
した。
【0041】得られた従来品および酵素処理綿につい
て、いずれが風合いがよいかを選ばせた。結果を10人
のパネラーが酵素処理綿のほうが風合いがよいと答え
た。その理由として、ソフト感がある、肌触りが気持ち
いい等が挙げられた。
【0042】<実施例> (実施例1)晒し綿製の脱脂綿 精練工程後に、漂白処理を施した晒し綿製の脱脂綿を次
のようにして製造した。
【0043】原料棉を開繊し、混打して帯状に成形し、
第1精練処理および第2精練処理からなる精練を行っ
た。酵素処理する際の反応塔での反応温度は72℃と
し、反応時間は42分とした。また、アルカリ処理する
際の反応塔での反応温度は96℃とし、反応時間は35
分とした。
【0044】精練した後、薬品を洗浄し、次に35%過
酸化水素水を30g/Lの割合で含み、水酸化ナトリウ
ムを8g/Lの割合で加えてpH調整した溶液を用いて
漂白を行った。漂白した後、薬品を洗浄し、乾燥機にか
け、所定のサイズに成形して、脱脂綿を得た。なお、薬
品の洗浄は水で行った。
【0045】表1に、第1精練処理、第2精練処理でそ
れぞれ用いた精練液中の精練剤(酵素液またはアルカリ
剤)、pH調整剤、界面活性剤の配合割合、および漂白
に用いた過酸化水素、水酸化ナトリウムの配合割合を示
す。
【0046】また、比較例として、精練工程で1度だけ
酵素による精練処理を行ったもの、および1度だけアル
カリ剤による精練処理を行ったものをそれぞれ製造し
た。
【0047】なお、用いた酵素剤、界面活性剤は上記実
験例1で用いたものと同じものを用いた。
【0048】
【表1】
【0049】各実施例および比較例について、吸水時
間、沈降時間、吸水量、水溶性物質、灰分、
膨れを測定し、また毛羽立ち、風合いについて官能
試験を行った。結果を表2に示す。
【0050】なお、からについては、日本薬局方の
試験方法に従った。「膨れ」(%)の表示は、比較例2
のわた材における加圧後の復元率を100%としたとき
の相対的な割合(%)として表した。具体的には、一辺
50mmの正方形に裁断した綿帯を10枚積層し、上方
から500gの荷重を10秒間加えた後で荷重をはず
し、厚みの復元が停止した状態での綿帯の積層厚さを測
定し、上記の比較例2のわた材に対する相対的な復元率
を求めた。
【0051】また、「毛羽立ち」、「風合い」は、比較
例2のわた材を「1」とし、酵素の単独使用(酵素:4
g/L、苛性ソーダ(pH調整剤として):10g/
L、界面活性剤サンモールBK-57NM:5g/L)で精練した比
較例3のわた材を「5」として、試験者が相対的に数値
を付けて表した。「毛羽立ち」は、「1」のほうが毛羽
立ちが少なく、「5」のほうが毛羽立ちが多い。「風合
い」は「1」のほうが、風合いは劣り、「5」のほうが
風合いは良好である。
【0052】
【表2】
【0053】(実施例2〜8)未晒し綿の脱脂綿 精練工程後に漂白処理を行わない、未晒し綿製の脱脂綿
を製造した。実施例2〜8における、精練用洗浄剤中の
成分の配合割合を表3に示す。また、比較例として、精
練工程で1度だけ酵素による精練処理を行ったもの(比
較例1)、および1度だけアルカリ剤による精練処理を
行ったもの(比較例2)、をそれぞれ製造した。精練剤
などの各成分の配合量、漂白処理を省くこと、および酵
素処理時の綿帯脱脂反応温度(表中「綿帯反応温度」)
がそれぞれ若干異なるが、各実施例および比較例とも
に、他の条件はいずれも上記実施例1と同様の条件で製
造した。
【0054】なお、脱脂反応温度の変動範囲は、いずれ
も酵素反応の適応条件範囲内にあった。
【0055】
【表3】
【0056】
【表4】
【0057】各実施例および比較例について、上記実施
例1と同様にして、吸水時間、沈降時間、吸水
量、水溶性物質、灰分、膨れを測定し、また毛
羽立ち、風合いについて官能試験を行った。結果を表
4に示す。「膨れ」、「毛羽立ち」、「風合い」の表示
は、実施例1と同様に比較例2を基準として表示した。
【0058】
【表5】
【0059】
【表6】
【0060】上記のようにアルカリ剤による精練処理と
ペクチン分解酵素による精練処理の順序を変えることに
より、わた材の膨れ具合や微妙な風合いを変えることが
できる。すなわち、「酵素による精練→アルカリ剤によ
る精練」の順序にするほうが、その逆の順序よりもわた
材の膨れ具合は抑制される。実施例6〜8では膨れは1
08〜112(%)である一方、実施例2〜5では11
8〜121(%)である。実施例8に代表されるような
形態は、医療用の脱脂綿の製造に好適である。他方、
「アルカリ剤による精練→酵素による精練」の順序にす
るほうが、その逆の順序よりも微妙な風合い等を良好に
することができる。実施例2〜5では風合いは3〜4で
ある一方、実施例6〜8では風合いは2〜3である。実
施例5のに代表されるような形態は、微妙な風合いの良
さが求められる化粧用の脱脂綿製造に適している。
【0061】
【発明の効果】本発明によれば、繊維材料の膨れ程度や
風合いなどの品質を制御しつつ、わた材の精練を行うこ
とができる。また、本発明によれば、アルカリ剤を単独
で用いる精練方法より、アルカリ剤の使用濃度を低減さ
せても十分な精練をすることができる。また、本発明
は、酵素単独で精練する場合よりも精練の過程で膨れ具
合を抑制することができ、化粧用、医療用などの脱脂綿
の製造に好適である。さらに、酵素単独で精練するより
も低コストでわた材を精練することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】化粧用または医療用脱脂綿の製造工程の概略を
示す図である。
【図2】精練反応時の酵素濃度とわた材の吸水時間との
関係を示す図である。
【図3】精練反応塔での反応温度とわた材の吸水時間と
の関係を示す図である。
【図4】精練反応時の酵素反応時間とわた材の吸水時間
との関係を示す図である。
【符号の説明】
10、11、12・・・浸液槽 15、16・・・受皿 20・・・第1精練反応塔 201、202・・・スチームバルブ 21・・・第2精練反応塔 211、212・・・スチームバルブ 30・・・漂白反応塔 301、302・・・スチームバルブ 40・・・中和槽 50、51、52、53、54、55、56、57・・・水洗槽 70・・・乾燥機

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ペクチン分解酵素による精練処理と、ア
    ルカリ剤による精練処理とを併用してわた材を精練す
    る、わた材の精練方法。
  2. 【請求項2】 わた材をペクチン分解酵素で精練処理し
    た後に、アルカリ剤で精練処理する、わた材の精練方
    法。
  3. 【請求項3】 わた材をアルカリ剤で精練処理した後
    に、ペクチン分解酵素で精練処理する、わた材の精練方
    法。
  4. 【請求項4】 ペクチン分解酵素による精練処理で用い
    られるペクチン分解酵素を含む精練液のペクチン分解酵
    素量が1〜4g/Lである、請求項1から3のいずれか
    1項に記載のわた材の精練方法。
  5. 【請求項5】 ペクチン分解酵素による精練処理を、材
    料温度50〜60℃で行うことを特徴とする、請求項1
    から4に記載のわた材の精練方法。
  6. 【請求項6】 ペクチン分解酵素による精練処理時間が
    30〜130分間であることを特徴とする、請求項1か
    ら5に記載のわた材の精練方法。
  7. 【請求項7】 前記アルカリ剤が水酸化ナトリウムであ
    り、水酸化ナトリウムを4〜20g/L含む精練液で前
    記アルカリ剤による精練処理を行うことを特徴とする、
    請求項1から6のいずれかに記載のわた材の精練方法。
  8. 【請求項8】 脱脂綿の製造方法において、ペクチン分
    解酵素による精練処理と、アルカリ剤による精練処理と
    を併用して原料棉を精練する精練工程を含むことを特徴
    とする、脱脂綿の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記脱脂綿が、医療用または化粧用であ
    る、請求項8に記載の脱脂綿製造方法。
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