JP2002137906A - 金属水素化錯化合物とその酸化体の分離方法、及び分離装置 - Google Patents
金属水素化錯化合物とその酸化体の分離方法、及び分離装置Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 環境負荷を与えずに、アルカリ性溶液中に共
存する金属水素化錯化合物とその酸化体を分離できる、
安全かつ簡便な分離方法、及び分離装置を提供。 【解決手段】 アルカリ性溶液中に共存する金属水素化
錯化合物とその酸化体を分離するに際し、アルカリ性溶
液を冷却し、酸化体を結晶化させて分離することにより
提供。
存する金属水素化錯化合物とその酸化体を分離できる、
安全かつ簡便な分離方法、及び分離装置を提供。 【解決手段】 アルカリ性溶液中に共存する金属水素化
錯化合物とその酸化体を分離するに際し、アルカリ性溶
液を冷却し、酸化体を結晶化させて分離することにより
提供。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属水素化錯化合
物とその酸化体の分離方法、分離装置、及びこれらを利
用した水素発生システムに関し、さらに詳しくは、環境
負荷を与えずに、アルカリ性溶液中に共存する金属水素
化錯化合物とその酸化体を分離できる、安全且つ簡便な
分離方法、分離装置、及びこれらを利用した水素発生シ
ステムに関する。
物とその酸化体の分離方法、分離装置、及びこれらを利
用した水素発生システムに関し、さらに詳しくは、環境
負荷を与えずに、アルカリ性溶液中に共存する金属水素
化錯化合物とその酸化体を分離できる、安全且つ簡便な
分離方法、分離装置、及びこれらを利用した水素発生シ
ステムに関する。
【0002】
【従来の技術】燃料電池は、酸素と水素とを反応させて
電気を取り出す、いわば発電装置の1種であるが、内燃
機関等を使用せずに化学エネルギーをそのまま電気に変
換するため、発電効率を非常に高くすることができ、ま
た、副生成物としては水しか発生しないことから、環境
負荷の小さなエネルギー源であるともいえる。省エネル
ギー、環境負荷の低減が益々重要となる今後の社会情勢
を考えると、燃料電池は、非常に優れた発電装置であ
り、今後の発展が望まれる技術分野である。
電気を取り出す、いわば発電装置の1種であるが、内燃
機関等を使用せずに化学エネルギーをそのまま電気に変
換するため、発電効率を非常に高くすることができ、ま
た、副生成物としては水しか発生しないことから、環境
負荷の小さなエネルギー源であるともいえる。省エネル
ギー、環境負荷の低減が益々重要となる今後の社会情勢
を考えると、燃料電池は、非常に優れた発電装置であ
り、今後の発展が望まれる技術分野である。
【0003】しかしながら、燃料電池本体、あるいはそ
の周辺機器には多くの技術的課題が残されており、決定
的な解決方法が提案されないままになっているものもあ
る。中でも、特に大きな課題の1つとして、水素の貯蔵
・供給方法が挙げられている。燃料電池の発電に必要な
燃料のうち、酸素は、大気中の酸素を取り込むことによ
って特に貯蔵することなく供給可能であるが、水素は、
大気中には存在しないので、何らかの手段を用いて貯蔵
して長期的、安定的に燃料電池へ供給する必要がある。
の周辺機器には多くの技術的課題が残されており、決定
的な解決方法が提案されないままになっているものもあ
る。中でも、特に大きな課題の1つとして、水素の貯蔵
・供給方法が挙げられている。燃料電池の発電に必要な
燃料のうち、酸素は、大気中の酸素を取り込むことによ
って特に貯蔵することなく供給可能であるが、水素は、
大気中には存在しないので、何らかの手段を用いて貯蔵
して長期的、安定的に燃料電池へ供給する必要がある。
【0004】ところで、現在までに主に実施されてきた
水素の貯蔵・供給方法としては、以下のものが挙げられ
る。 (1)高圧ボンベ内に貯蔵する高圧水素ボンベ方式 (2)水素を液化してボンベに貯蔵する液体水素ボンベ
方式 (3)水素吸蔵合金内に水素を貯蔵する水素吸蔵合金方
式 (4)天然ガス等を改質して水素を取り出すガス改質方
式 しかしながら、これらは、以下のようにいずれも何らか
の問題を抱えている。 (1)高圧水素ボンベ方式は、純粋な水素を貯蔵してお
ける長所を持つが、ボンベの重量を加味すると質量当た
りの水素吸蔵量は小さく、また、純水素の形で貯蔵する
ために非常に危険である。 (2)液体水素ボンベ方式は、上記高圧水素ボンベ方式
と同様な欠点を持っており、さらに、貯蔵の際には気化
しないように常に冷却する必要があるため、余分なエネ
ルギーを消費する。 (3)水素吸蔵合金方式は、水素を合金中に貯蔵できる
ので比較的安全であるが、合金中に貯蔵する際に、及び
燃料電池に供給する際に加熱する必要があるため、始動
性が悪く、始動までに数分〜数十分かかる。また、質量
当たりの水素吸蔵量も少なく、実質1〜2%である。さ
らに、合金が非常に高価であることも欠点の1つであ
る。 (4)ガス改質方式は、天然ガス等を改質して水素を取
り出し、燃料電池に供給する方式であり、燃料が比較的
安価で、すでにインフラが整っている等の長所は有する
ものの、燃料の改質器が必要である、供給される水素の
純度が低い、供給される水素ガス中に燃料電池内の触媒
を被毒する一酸化炭素が含まれる等の問題を抱えてい
る。
水素の貯蔵・供給方法としては、以下のものが挙げられ
る。 (1)高圧ボンベ内に貯蔵する高圧水素ボンベ方式 (2)水素を液化してボンベに貯蔵する液体水素ボンベ
方式 (3)水素吸蔵合金内に水素を貯蔵する水素吸蔵合金方
式 (4)天然ガス等を改質して水素を取り出すガス改質方
式 しかしながら、これらは、以下のようにいずれも何らか
の問題を抱えている。 (1)高圧水素ボンベ方式は、純粋な水素を貯蔵してお
ける長所を持つが、ボンベの重量を加味すると質量当た
りの水素吸蔵量は小さく、また、純水素の形で貯蔵する
ために非常に危険である。 (2)液体水素ボンベ方式は、上記高圧水素ボンベ方式
と同様な欠点を持っており、さらに、貯蔵の際には気化
しないように常に冷却する必要があるため、余分なエネ
ルギーを消費する。 (3)水素吸蔵合金方式は、水素を合金中に貯蔵できる
ので比較的安全であるが、合金中に貯蔵する際に、及び
燃料電池に供給する際に加熱する必要があるため、始動
性が悪く、始動までに数分〜数十分かかる。また、質量
当たりの水素吸蔵量も少なく、実質1〜2%である。さ
らに、合金が非常に高価であることも欠点の1つであ
る。 (4)ガス改質方式は、天然ガス等を改質して水素を取
り出し、燃料電池に供給する方式であり、燃料が比較的
安価で、すでにインフラが整っている等の長所は有する
ものの、燃料の改質器が必要である、供給される水素の
純度が低い、供給される水素ガス中に燃料電池内の触媒
を被毒する一酸化炭素が含まれる等の問題を抱えてい
る。
【0005】一方、これら従来方式に対し、本発明者ら
は、先の特願平11−190208号において、金属水
素化錯化合物が酸化される過程で発生する水素を利用し
た水素の貯蔵・供給方式を開示した。即ち、次の一般式
(I): MIMIIIH4−nRn ・・・・(I) または次の一般式(II): MII(MIIIH4−nRn)2 ・・・・(II) (式中、MIはアルカリ金属、MIIはアルカリ土類金
属または亜鉛、MIIIは硼素、アルミニウムまたはガ
リウム、Rはアルキル基、アルコキシル基、またはアシ
ルオキシ基、nは0〜3の整数である。)で表される化
合物から選ばれる少なくとも1種の金属水素化錯化合物
を溶解した溶液、及び水素発生触媒能を有する金属、水
素吸蔵能を有する合金及びそれらのフッ化処理物の中か
ら選ばれる少なくとも1種の水素吸蔵合金との組合せか
らなる水素発生剤を水素貯蔵方式とし、必要に応じて、
該水素発生剤から水素を発生させて供給することを特徴
とする水素貯蔵・供給方式である。
は、先の特願平11−190208号において、金属水
素化錯化合物が酸化される過程で発生する水素を利用し
た水素の貯蔵・供給方式を開示した。即ち、次の一般式
(I): MIMIIIH4−nRn ・・・・(I) または次の一般式(II): MII(MIIIH4−nRn)2 ・・・・(II) (式中、MIはアルカリ金属、MIIはアルカリ土類金
属または亜鉛、MIIIは硼素、アルミニウムまたはガ
リウム、Rはアルキル基、アルコキシル基、またはアシ
ルオキシ基、nは0〜3の整数である。)で表される化
合物から選ばれる少なくとも1種の金属水素化錯化合物
を溶解した溶液、及び水素発生触媒能を有する金属、水
素吸蔵能を有する合金及びそれらのフッ化処理物の中か
ら選ばれる少なくとも1種の水素吸蔵合金との組合せか
らなる水素発生剤を水素貯蔵方式とし、必要に応じて、
該水素発生剤から水素を発生させて供給することを特徴
とする水素貯蔵・供給方式である。
【0006】また、上記一般式中の物質としては、以下
のようなものが例示されている。 MI:リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム等 MII:マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、
亜鉛等 MIII:硼素、アルミニウム、ガリウム等 R:エチル基、ブチル基等のアルキル基、メトキシ基、
エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ
基、n−ブトキシ基、iso−ブトキシ基、sec−ブ
トキシ基、tert−ブトキシ基、2−メトキシエトキ
シ基、2−エトキシメトキシ基等のアルコキシル基、ま
たはアセトキシ基、プロピオニルオキシ基等のアシルオ
キシ基等
のようなものが例示されている。 MI:リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム等 MII:マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、
亜鉛等 MIII:硼素、アルミニウム、ガリウム等 R:エチル基、ブチル基等のアルキル基、メトキシ基、
エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ
基、n−ブトキシ基、iso−ブトキシ基、sec−ブ
トキシ基、tert−ブトキシ基、2−メトキシエトキ
シ基、2−エトキシメトキシ基等のアルコキシル基、ま
たはアセトキシ基、プロピオニルオキシ基等のアシルオ
キシ基等
【0007】即ち、一般式(I)で表わされる金属水素
化錯化合物の例としては、水素化硼素ナトリウム(Na
BH4)、水素化硼素カリウム(KBH4)、水素化ア
ルミニウムリチウム(LiAlH4)、トリメトキシ水
素化硼素ナトリウム(NaBH(OCH3))、トリア
セトキシ水素化硼素ナトリウム(NaBH(OCOCH
3))、水素化トリエチル硼素リチウム(Li(C2H
5)9BH)、水素化トリ−S−ブチル硼素カリウム
(K(s−C4H9)3BH)、トリメトキシ水素化ア
ルミニウムリチウム(LiAlH3(OC2H5))、
モノエトキシ水素化アルミニウムリチウム(LiAlH
3(OC2H5))、トリ−tert−ブトキシ水素化
アルミニウムリチウム、水素化ビス(2−メトキシエト
キシ)アルミニウムナトリウム等を挙げることができ
る。金属水素化錯化合物としては、アルカリ性溶媒中に
溶解したときの安定性から、水素化硼素ナトリウム(N
aBH 4)、水素化硼素カリウム(KBH4)が好適に
使用される。
化錯化合物の例としては、水素化硼素ナトリウム(Na
BH4)、水素化硼素カリウム(KBH4)、水素化ア
ルミニウムリチウム(LiAlH4)、トリメトキシ水
素化硼素ナトリウム(NaBH(OCH3))、トリア
セトキシ水素化硼素ナトリウム(NaBH(OCOCH
3))、水素化トリエチル硼素リチウム(Li(C2H
5)9BH)、水素化トリ−S−ブチル硼素カリウム
(K(s−C4H9)3BH)、トリメトキシ水素化ア
ルミニウムリチウム(LiAlH3(OC2H5))、
モノエトキシ水素化アルミニウムリチウム(LiAlH
3(OC2H5))、トリ−tert−ブトキシ水素化
アルミニウムリチウム、水素化ビス(2−メトキシエト
キシ)アルミニウムナトリウム等を挙げることができ
る。金属水素化錯化合物としては、アルカリ性溶媒中に
溶解したときの安定性から、水素化硼素ナトリウム(N
aBH 4)、水素化硼素カリウム(KBH4)が好適に
使用される。
【0008】また、一般式(II)で表わされる金属水
素化錯化合物の例としては、水素化硼素亜鉛(Zn(B
H4)2)、水素化硼素カルシウム(Ca(B
H4)2)、テトラメトキシ水素化硼素亜鉛(Zn[B
(OCH3)2H2])、ヘキサエトキシ水素化硼素カ
ルシウム(Ca[B(OC2H5)3H]2)等を挙げ
ることができる。尚、これらの金属水素化錯化合物は公
知であり、選択的水素化用試薬として市販されている。
素化錯化合物の例としては、水素化硼素亜鉛(Zn(B
H4)2)、水素化硼素カルシウム(Ca(B
H4)2)、テトラメトキシ水素化硼素亜鉛(Zn[B
(OCH3)2H2])、ヘキサエトキシ水素化硼素カ
ルシウム(Ca[B(OC2H5)3H]2)等を挙げ
ることができる。尚、これらの金属水素化錯化合物は公
知であり、選択的水素化用試薬として市販されている。
【0009】上記の金属水素化錯化合物を溶解する溶媒
としては、該化合物を安定に維持しうるアルカリ性条件
を満たして実現できるものであれば良く、特に制限はな
いが、水が最も好ましく、メチルアルコール、エチルア
ルコール等のアルコール類、これらアルコールと水との
混合物、また、必要に応じて、ジメチルホルムアミド、
ジメチルアセトアミド、エチレングリコール、ジエチレ
ングリコールのような水混和性溶剤と水またはアルコー
ル類との混和溶剤を用いることができる。
としては、該化合物を安定に維持しうるアルカリ性条件
を満たして実現できるものであれば良く、特に制限はな
いが、水が最も好ましく、メチルアルコール、エチルア
ルコール等のアルコール類、これらアルコールと水との
混合物、また、必要に応じて、ジメチルホルムアミド、
ジメチルアセトアミド、エチレングリコール、ジエチレ
ングリコールのような水混和性溶剤と水またはアルコー
ル類との混和溶剤を用いることができる。
【0010】次に、アルカリ性溶媒を形成するのに用い
るアルカリ性物質としては、水酸化リチウム、水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウムのようなアルカリ金属水酸化
物、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエ
チルアンモニウムヒドロキシドのような第4アルキルア
ンモニウム化合物を用いることができる。これらのアル
カリ性物質は、5〜30wt%の濃度で所定の溶剤に溶
解され、アルカリ性溶媒が調整される。アルカリ性物質
の濃度が、5wt%未満であると金属水素化錯化合物を
安定的に溶解できず、一方、30wt%を超えると金属
水素化錯化合物を溶解しにくくなる。
るアルカリ性物質としては、水酸化リチウム、水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウムのようなアルカリ金属水酸化
物、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエ
チルアンモニウムヒドロキシドのような第4アルキルア
ンモニウム化合物を用いることができる。これらのアル
カリ性物質は、5〜30wt%の濃度で所定の溶剤に溶
解され、アルカリ性溶媒が調整される。アルカリ性物質
の濃度が、5wt%未満であると金属水素化錯化合物を
安定的に溶解できず、一方、30wt%を超えると金属
水素化錯化合物を溶解しにくくなる。
【0011】上記方式の特徴としては、水素を安定的に
貯蔵できる、純水素の形では貯蔵しないので安全であ
る、常温常圧下でほぼ純水素の形で容易に水素を取り出
すことができる、質量当たりの水素吸蔵量が大きい(理
論値:約10wt%)といった点が挙げられ、非常に優
れた水素貯蔵・供給方式であるといえる。
貯蔵できる、純水素の形では貯蔵しないので安全であ
る、常温常圧下でほぼ純水素の形で容易に水素を取り出
すことができる、質量当たりの水素吸蔵量が大きい(理
論値:約10wt%)といった点が挙げられ、非常に優
れた水素貯蔵・供給方式であるといえる。
【0012】しかしながら、上記方式においても、金属
水素化錯化合物とその酸化体の分離という課題が存在す
る。即ち、水素発生後の溶液中には金属水素化錯化合物
とその酸化体が共存することになるが、未反応の金属水
素化錯化合物をさらに反応させて水素を取り出そうとす
る場合、酸化体の影響で水素発生速度が低下するという
問題がある。また、酸化体を金属水素化錯化合物へ再生
する場合、反応効率や反応時間を考慮すると、これらが
共存する溶液に対して再生処理を施すよりも、酸化体と
金属水素化錯化合物をあらかじめ分離し、酸化体のみに
再生処理を施す方が好ましい。
水素化錯化合物とその酸化体の分離という課題が存在す
る。即ち、水素発生後の溶液中には金属水素化錯化合物
とその酸化体が共存することになるが、未反応の金属水
素化錯化合物をさらに反応させて水素を取り出そうとす
る場合、酸化体の影響で水素発生速度が低下するという
問題がある。また、酸化体を金属水素化錯化合物へ再生
する場合、反応効率や反応時間を考慮すると、これらが
共存する溶液に対して再生処理を施すよりも、酸化体と
金属水素化錯化合物をあらかじめ分離し、酸化体のみに
再生処理を施す方が好ましい。
【0013】ところで、金属水素化錯化合物とその酸化
体の分離に関しては、例えば、特開昭50−15950
0には、水素化硼素ナトリウムのみを溶解するイソプロ
ピルアミン溶媒を用いて、水素化硼素ナトリウム、水素
化ナトリウム、ホウ酸等を含有する水酸化ナトリウム水
溶液から水素化硼素ナトリウムを抽出・分離する方法が
開示されているが、この方法にも以下のような問題があ
る。 (1)抽出・分離操作にイソプロピルアミンを用いるた
め、環境負荷が大きい。イソプロピルアミンは人体や他
の生物に対して有害なため、イソプロピルアミンが系外
へ流出しないような厳重な設備が必要となる。 (2)抽出・分離操作は、イソプロピルアミンと相溶性
のない溶媒を用いた溶液にしか適用できない。例えば、
上記水素化硼素ナトリウムの溶媒として水が用いられて
いる場合、イソプロピルアミンと水は相溶性があるた
め、本溶剤で抽出・分離するには第3成分を大量に投入
する等の工夫が必要となる。 (3)溶媒がイソプロピルアミン以外である水素化硼素
溶液を得たい場合には、抽出、晶出、さらに再溶解とい
った煩雑なプロセスが必要となる。そのため、アルカリ
性溶液中に共存する金属水素化錯化合物とその酸化体と
を分離するに際し、上記した問題点の起きない効率的で
且つ実用的な分離方法の開発が求められていた。
体の分離に関しては、例えば、特開昭50−15950
0には、水素化硼素ナトリウムのみを溶解するイソプロ
ピルアミン溶媒を用いて、水素化硼素ナトリウム、水素
化ナトリウム、ホウ酸等を含有する水酸化ナトリウム水
溶液から水素化硼素ナトリウムを抽出・分離する方法が
開示されているが、この方法にも以下のような問題があ
る。 (1)抽出・分離操作にイソプロピルアミンを用いるた
め、環境負荷が大きい。イソプロピルアミンは人体や他
の生物に対して有害なため、イソプロピルアミンが系外
へ流出しないような厳重な設備が必要となる。 (2)抽出・分離操作は、イソプロピルアミンと相溶性
のない溶媒を用いた溶液にしか適用できない。例えば、
上記水素化硼素ナトリウムの溶媒として水が用いられて
いる場合、イソプロピルアミンと水は相溶性があるた
め、本溶剤で抽出・分離するには第3成分を大量に投入
する等の工夫が必要となる。 (3)溶媒がイソプロピルアミン以外である水素化硼素
溶液を得たい場合には、抽出、晶出、さらに再溶解とい
った煩雑なプロセスが必要となる。そのため、アルカリ
性溶液中に共存する金属水素化錯化合物とその酸化体と
を分離するに際し、上記した問題点の起きない効率的で
且つ実用的な分離方法の開発が求められていた。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
従来方法の問題点を解決するために、環境負荷を与えず
に、アルカリ性溶液中に共存する金属水素化錯化合物と
その酸化体を分離できる、安全且つ簡便な分離方法、及
び分離装置、さらにはこれらを利用した水素発生システ
ムを提供することにある。
従来方法の問題点を解決するために、環境負荷を与えず
に、アルカリ性溶液中に共存する金属水素化錯化合物と
その酸化体を分離できる、安全且つ簡便な分離方法、及
び分離装置、さらにはこれらを利用した水素発生システ
ムを提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題に鑑み、鋭意研究を行った結果、アルカリ性溶液中に
共存する金属水素化錯化合物とその酸化体を分離するに
際し、アルカリ性溶液を冷却し、酸化体を結晶化させて
分離することで、本課題が解決されることを見出し、本
発明を完成するに至った。
題に鑑み、鋭意研究を行った結果、アルカリ性溶液中に
共存する金属水素化錯化合物とその酸化体を分離するに
際し、アルカリ性溶液を冷却し、酸化体を結晶化させて
分離することで、本課題が解決されることを見出し、本
発明を完成するに至った。
【0016】即ち、本発明の第1の発明によれば、次の
一般式(I): MIMIIIH4−nRn ・・・・(I) または次の一般式(II): MII(MIIIH4−nRn)2 ・・・・(II) (式中、MIはアルカリ金属、MIIはアルカリ土類金
属または亜鉛、MIIIは硼素、アルミニウムまたはガ
リウム、Rはアルキル基、アルコキシル基、またはアシ
ルオキシ基、nは0〜3の整数である。)で表される化
合物から選ばれる少なくとも1種の金属水素化錯化合物
とその酸化体とを分離するに際し、アルカリ性溶液を冷
却し、酸化体を結晶化させて分離することを特徴とする
金属水素化錯化合物とその酸化体の分離方法が提供され
る。
一般式(I): MIMIIIH4−nRn ・・・・(I) または次の一般式(II): MII(MIIIH4−nRn)2 ・・・・(II) (式中、MIはアルカリ金属、MIIはアルカリ土類金
属または亜鉛、MIIIは硼素、アルミニウムまたはガ
リウム、Rはアルキル基、アルコキシル基、またはアシ
ルオキシ基、nは0〜3の整数である。)で表される化
合物から選ばれる少なくとも1種の金属水素化錯化合物
とその酸化体とを分離するに際し、アルカリ性溶液を冷
却し、酸化体を結晶化させて分離することを特徴とする
金属水素化錯化合物とその酸化体の分離方法が提供され
る。
【0017】また、本発明の第2の発明によれば、第1
の発明において、上記アルカリ性溶液は、20〜−40
℃に冷却されることを特徴とする金属水素化錯化合物と
その酸化体の分離方法が提供される。
の発明において、上記アルカリ性溶液は、20〜−40
℃に冷却されることを特徴とする金属水素化錯化合物と
その酸化体の分離方法が提供される。
【0018】また、本発明の第3の発明によれば、第1
または第2の発明において、上記アルカリ性溶液は、冷
却中に撹拌されていることを特徴とする金属水素化錯化
合物とその酸化体の分離方法が提供される。
または第2の発明において、上記アルカリ性溶液は、冷
却中に撹拌されていることを特徴とする金属水素化錯化
合物とその酸化体の分離方法が提供される。
【0019】また、本発明の第4の発明によれば、第1
〜第3のいずれかの発明において、上記アルカリ性溶液
は、酸化体濃度が0.1mol/l以上であることを特
徴とする金属水素化錯化合物とその酸化体の分離方法が
提供される。
〜第3のいずれかの発明において、上記アルカリ性溶液
は、酸化体濃度が0.1mol/l以上であることを特
徴とする金属水素化錯化合物とその酸化体の分離方法が
提供される。
【0020】また、本発明の第5の発明によれば、第1
〜第4のいずれかの発明において、上記アルカリ性溶液
には、冷却前または冷却中に上記酸化体の結晶が投入さ
れることを特徴とする金属水素化錯化合物とその酸化体
の分離方法が提供される。
〜第4のいずれかの発明において、上記アルカリ性溶液
には、冷却前または冷却中に上記酸化体の結晶が投入さ
れることを特徴とする金属水素化錯化合物とその酸化体
の分離方法が提供される。
【0021】さらに、本発明の第6の発明によれば、第
1の発明において、上記金属水素化錯化合物は、NaB
H4またはKBH4であることを特徴とする金属水素化
錯化合物とその酸化体の分離方法が提供される。
1の発明において、上記金属水素化錯化合物は、NaB
H4またはKBH4であることを特徴とする金属水素化
錯化合物とその酸化体の分離方法が提供される。
【0022】一方、本発明の第7の発明によれば、第1
〜第6のいずれかの分離方法に使用されることを特徴と
する分離装置が提供される。
〜第6のいずれかの分離方法に使用されることを特徴と
する分離装置が提供される。
【0023】また、本発明の第8の発明によれば、第7
の発明の分離装置がシステムの一部に組み込まれている
ことを特徴とする水素発生システムが提供される。
の発明の分離装置がシステムの一部に組み込まれている
ことを特徴とする水素発生システムが提供される。
【0024】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明す
る。
る。
【0025】1.金属水素化錯化合物とその酸化体を含
む溶液 本発明の分離方法において、分離の対象となる金属水素
化錯化合物とその酸化体を含む溶液は、前述の一般式
(I)、(II)で表される化合物から選ばれる少なく
とも1種の金属水素化合物とその酸化体がアルカリ性溶
媒に溶解しているものである。
む溶液 本発明の分離方法において、分離の対象となる金属水素
化錯化合物とその酸化体を含む溶液は、前述の一般式
(I)、(II)で表される化合物から選ばれる少なく
とも1種の金属水素化合物とその酸化体がアルカリ性溶
媒に溶解しているものである。
【0026】前述したように、一般式(I)で表わされ
る金属水素化錯化合物の例としては、水素化硼素ナトリ
ウム(NaBH4)、水素化硼素カリウム(KB
H4)、水素化アルミニウムリチウム(LiAl
H4)、トリメトキシ水素化硼素ナトリウム(NaBH
(OCH3))、トリアセトキシ水素化硼素ナトリウム
(NaBH(OCOCH3))、水素化トリエチル硼素
リチウム(Li(C2H5)9BH)、水素化トリ−S
−ブチル硼素カリウム(K(s−C4H9)3BH)、
トリメトキシ水素化アルミニウムリチウム(LiAlH
3(OC2H5))、モノエトキシ水素化アルミニウム
リチウム(LiAlH3(OC2H5))、トリ−te
rt−ブトキシ水素化アルミニウムリチウム、水素化ビ
ス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム等
を挙げることができる。金属水素化錯化合物としては、
アルカリ性溶媒中に溶解したときの安定性から、水素化
硼素ナトリウム(NaBH4)、水素化硼素カリウム
(KBH4)が好適に使用される。
る金属水素化錯化合物の例としては、水素化硼素ナトリ
ウム(NaBH4)、水素化硼素カリウム(KB
H4)、水素化アルミニウムリチウム(LiAl
H4)、トリメトキシ水素化硼素ナトリウム(NaBH
(OCH3))、トリアセトキシ水素化硼素ナトリウム
(NaBH(OCOCH3))、水素化トリエチル硼素
リチウム(Li(C2H5)9BH)、水素化トリ−S
−ブチル硼素カリウム(K(s−C4H9)3BH)、
トリメトキシ水素化アルミニウムリチウム(LiAlH
3(OC2H5))、モノエトキシ水素化アルミニウム
リチウム(LiAlH3(OC2H5))、トリ−te
rt−ブトキシ水素化アルミニウムリチウム、水素化ビ
ス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム等
を挙げることができる。金属水素化錯化合物としては、
アルカリ性溶媒中に溶解したときの安定性から、水素化
硼素ナトリウム(NaBH4)、水素化硼素カリウム
(KBH4)が好適に使用される。
【0027】また、一般式(II)で表わされる金属水
素化錯化合物の例としては、水素化硼素亜鉛(Zn(B
H4)2)、水素化硼素カルシウム(Ca(B
H4)2)、テトラメトキシ水素化硼素亜鉛(Zn[B
(OCH3)2H2])、ヘキサエトキシ水素化硼素カ
ルシウム(Ca[B(OC2H5)3H]2)等を挙げ
ることができる。
素化錯化合物の例としては、水素化硼素亜鉛(Zn(B
H4)2)、水素化硼素カルシウム(Ca(B
H4)2)、テトラメトキシ水素化硼素亜鉛(Zn[B
(OCH3)2H2])、ヘキサエトキシ水素化硼素カ
ルシウム(Ca[B(OC2H5)3H]2)等を挙げ
ることができる。
【0028】一方、上記金属水素化錯化合物を溶解する
溶媒としては、該化合物を安定に維持しうるアルカリ性
条件を満たして実現できるものであれば良く、特に制限
はないが、水が最も好ましく、メチルアルコール、エチ
ルアルコール等のアルコール類、これらアルコールと水
との混合物、また、必要に応じて、ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルアセトアミド、エチレングリコール、ジエ
チレングリコールのような水混和性溶剤と水またはアル
コール類との混和溶剤を用いることができる。
溶媒としては、該化合物を安定に維持しうるアルカリ性
条件を満たして実現できるものであれば良く、特に制限
はないが、水が最も好ましく、メチルアルコール、エチ
ルアルコール等のアルコール類、これらアルコールと水
との混合物、また、必要に応じて、ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルアセトアミド、エチレングリコール、ジエ
チレングリコールのような水混和性溶剤と水またはアル
コール類との混和溶剤を用いることができる。
【0029】2.金属水素化錯化合物とその酸化体を含
む溶液の冷却、分離 本発明においては、金属水素化錯化合物とその酸化体と
が共存する溶液から、酸化体を分離するに際し、該溶液
を所定の温度に冷却し、溶液中の酸化体を結晶化させた
後に、溶液から酸化体の結晶を分離する。
む溶液の冷却、分離 本発明においては、金属水素化錯化合物とその酸化体と
が共存する溶液から、酸化体を分離するに際し、該溶液
を所定の温度に冷却し、溶液中の酸化体を結晶化させた
後に、溶液から酸化体の結晶を分離する。
【0030】金属水素化錯化合物とその酸化体の溶液中
での溶解度が異なるため、溶液を所定の温度まで冷却す
ると、まず、酸化体の結晶が析出するが、溶液中の酸化
体の濃度は、0.1mol/l以上であることが必要で
ある。酸化体の濃度が、0.1mol/l未満であると
結晶が析出しない。
での溶解度が異なるため、溶液を所定の温度まで冷却す
ると、まず、酸化体の結晶が析出するが、溶液中の酸化
体の濃度は、0.1mol/l以上であることが必要で
ある。酸化体の濃度が、0.1mol/l未満であると
結晶が析出しない。
【0031】また、酸化体の結晶のみを析出させるため
に必要とされる溶液の温度は、分離すべき溶液の溶質の
種類、その濃度、溶媒の種類等によって最適温度が存在
するために一概にはいえないが、通常は20〜−40℃
である。溶液の温度が20℃を超えると、酸化体の析出
量が少なくなり、−40℃未満になると、目的とする酸
化体以外の物質が析出するので分離効果が低下する。
に必要とされる溶液の温度は、分離すべき溶液の溶質の
種類、その濃度、溶媒の種類等によって最適温度が存在
するために一概にはいえないが、通常は20〜−40℃
である。溶液の温度が20℃を超えると、酸化体の析出
量が少なくなり、−40℃未満になると、目的とする酸
化体以外の物質が析出するので分離効果が低下する。
【0032】さらに、酸化体の結晶の析出速度を上げる
ため、上記溶液を冷却する際に、溶液を攪拌しても良
い。攪拌手段としては、公知の手段が使用でき、特に制
限されないが、例えば、攪拌羽根による攪拌、振動によ
る攪拌、超音波による攪拌等が挙げられる。
ため、上記溶液を冷却する際に、溶液を攪拌しても良
い。攪拌手段としては、公知の手段が使用でき、特に制
限されないが、例えば、攪拌羽根による攪拌、振動によ
る攪拌、超音波による攪拌等が挙げられる。
【0033】また、酸化体の結晶の析出速度を上げるた
め、結晶核として、析出する酸化体と同種の結晶を上記
溶液中に投入しても良い。尚、析出した酸化体結晶と溶
液の分離方法は、特に制限されず、公知の手段が使用で
きる。
め、結晶核として、析出する酸化体と同種の結晶を上記
溶液中に投入しても良い。尚、析出した酸化体結晶と溶
液の分離方法は、特に制限されず、公知の手段が使用で
きる。
【0034】3.金属水素化錯化合物を用いた水素発生
システム 金属水素化錯化合物とその酸化体が共存する溶液から、
酸化体を分離するに際し、溶液を冷却し、酸化体を結晶
化させて分離する本発明の分離装置が適用された例とし
て、金属水素化錯化合物を用いた水素発生システムの流
れ図を図−1に示す。図中、水素発生剤貯蔵槽には金属
水素化錯化合物の水溶液が貯蔵されており、水溶液は、
貯蔵槽から水素発生装置に送られる。水素発生装置に
は、水素発生触媒がセットされており、金属水素化錯化
合物が酸化されて水素が発生する。次いで、水素発生後
の水溶液は、未反応の金属水素化錯化合物と共に多分の
酸化体が存在する状態となるので、冷却槽に送られて所
定の温度に冷却され、溶解度の低い酸化体が結晶化す
る。結晶化した酸化体は冷却槽において沈殿し、分離さ
れる。冷却槽で酸化体が分離された水溶液は、水素発生
剤貯蔵槽に送られ、水素発生装置に循環される。尚、本
発明の分離装置は、通常は、かかる水素発生システムの
一部に組み込まれて使用されるが、使用形態に特に制限
はなく、例えば、酸化体の再生処理システム等に使用す
ることができる。
システム 金属水素化錯化合物とその酸化体が共存する溶液から、
酸化体を分離するに際し、溶液を冷却し、酸化体を結晶
化させて分離する本発明の分離装置が適用された例とし
て、金属水素化錯化合物を用いた水素発生システムの流
れ図を図−1に示す。図中、水素発生剤貯蔵槽には金属
水素化錯化合物の水溶液が貯蔵されており、水溶液は、
貯蔵槽から水素発生装置に送られる。水素発生装置に
は、水素発生触媒がセットされており、金属水素化錯化
合物が酸化されて水素が発生する。次いで、水素発生後
の水溶液は、未反応の金属水素化錯化合物と共に多分の
酸化体が存在する状態となるので、冷却槽に送られて所
定の温度に冷却され、溶解度の低い酸化体が結晶化す
る。結晶化した酸化体は冷却槽において沈殿し、分離さ
れる。冷却槽で酸化体が分離された水溶液は、水素発生
剤貯蔵槽に送られ、水素発生装置に循環される。尚、本
発明の分離装置は、通常は、かかる水素発生システムの
一部に組み込まれて使用されるが、使用形態に特に制限
はなく、例えば、酸化体の再生処理システム等に使用す
ることができる。
【0035】
【実施例】以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を
さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例に
より限定されるものではない。尚、実施例、比較例に用
いた試験・評価方法は、以下の通りである。
さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例に
より限定されるものではない。尚、実施例、比較例に用
いた試験・評価方法は、以下の通りである。
【0036】(1)評価・試験方法NaBH4/(B全量)の測定方法 NaBH4濃度の測定方法 NaBH4濃度は、ヨードメトリー法で測定した。原理
を以下に示す。 3BH4 − + 4IO3 − → 4I− + 3B
(OH)4 − at pH=4.5 IO3 − + 5I− + 6H+ → 3I2 +
3H2O 上記反応により生成したヨウ素をクロロホルムに抽出す
る。この溶液は紫色に呈色しており、λ=511nmに
て測定した吸光度によりヨウ素を定量する。定量された
ヨウ素量からBH4 −イオンを定量する。 B全量の測定方法 溶液には、NaBH4とNaBO2が共存するため、先
ず、溶存しているNaBH4を全て酸化してNaBO2
へと反応させる。 NaBH4 + 2H2O → NaBO2 + 4H
2 その後に以下の反応を行わせる。 NaBO2 + 2H2O → NaB(OH)4 a
t pH=5.5 NaB(OH)4 + 2HOCH2(CHOH)4C
H2OH→ [C12H24BO14]H(強酸) この反応で得られた[C12H24BO14]H(強
酸)を強アルカリ溶液で中和滴定し、全硼素量を定量す
る。
を以下に示す。 3BH4 − + 4IO3 − → 4I− + 3B
(OH)4 − at pH=4.5 IO3 − + 5I− + 6H+ → 3I2 +
3H2O 上記反応により生成したヨウ素をクロロホルムに抽出す
る。この溶液は紫色に呈色しており、λ=511nmに
て測定した吸光度によりヨウ素を定量する。定量された
ヨウ素量からBH4 −イオンを定量する。 B全量の測定方法 溶液には、NaBH4とNaBO2が共存するため、先
ず、溶存しているNaBH4を全て酸化してNaBO2
へと反応させる。 NaBH4 + 2H2O → NaBO2 + 4H
2 その後に以下の反応を行わせる。 NaBO2 + 2H2O → NaB(OH)4 a
t pH=5.5 NaB(OH)4 + 2HOCH2(CHOH)4C
H2OH→ [C12H24BO14]H(強酸) この反応で得られた[C12H24BO14]H(強
酸)を強アルカリ溶液で中和滴定し、全硼素量を定量す
る。
【0037】実施例1 室温下で、NaBH4 15重量部、NaBO2・4H
2O 234重量部、NaOH 100重量部を、50
℃で、全量が1000重量部となるように水に溶解し
た。この水溶液を冷却槽に導入し、0℃まで冷却して1
2時間静置した。冷却前と冷却静置後のNaBH4濃
度、B全量の濃度を前記分析法で定量した。また、結晶
析出の有無を目視で確認した。結果を表1に示す。
2O 234重量部、NaOH 100重量部を、50
℃で、全量が1000重量部となるように水に溶解し
た。この水溶液を冷却槽に導入し、0℃まで冷却して1
2時間静置した。冷却前と冷却静置後のNaBH4濃
度、B全量の濃度を前記分析法で定量した。また、結晶
析出の有無を目視で確認した。結果を表1に示す。
【0038】実施例2 室温下で、NaBH4 30重量部、NaBO2・4H
2O 469重量部、NaOH 100重量部を、50
℃で、全量が1000重量部となるように水に溶解した
以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に
示す。
2O 469重量部、NaOH 100重量部を、50
℃で、全量が1000重量部となるように水に溶解した
以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に
示す。
【0039】実施例3 溶液の冷却を開始する直前に、NaBO2・6H2Oの
結晶を50重量部投入した以外は、実施例2と同様の操
作を行った。結果を表1に示す。
結晶を50重量部投入した以外は、実施例2と同様の操
作を行った。結果を表1に示す。
【0040】実施例4 溶液の冷却中に、平羽根型攪拌装置を用いて回転速度6
0rpmで溶液を攪拌した以外は、実施例2と同様の操
作を行った。結果を表1に示す。
0rpmで溶液を攪拌した以外は、実施例2と同様の操
作を行った。結果を表1に示す。
【0041】比較例1 溶液の冷却温度を−50℃とした以外は、実施例1と同
様の操作を行った。結果を表1に示す。
様の操作を行った。結果を表1に示す。
【0042】比較例2 溶液の冷却温度を25℃とした以外は、実施例1と同様
の操作を行った。結果を表1に示す。
の操作を行った。結果を表1に示す。
【0043】比較例3 NaBO2・4H2Oの溶解量を10重量部とした以外
は、実施例2と同様の操作を行った。結果を表1に示
す。
は、実施例2と同様の操作を行った。結果を表1に示
す。
【0044】
【表1】
【0045】表1から明らかなように、本発明の分離方
法は、環境負荷を与えない、安全かつ簡便な分離方法に
も拘わらず、高い透過液NaBH4濃度を与え、分離効
果にも優れている。
法は、環境負荷を与えない、安全かつ簡便な分離方法に
も拘わらず、高い透過液NaBH4濃度を与え、分離効
果にも優れている。
【0046】
【発明の効果】以上の如く、本発明によれば、少なくと
も1種の金属水素化錯化合物と、その酸化体とが共存す
るアルカリ性溶液から、後者の酸化体のみを選択的に分
離するに際し、アルカリ性溶液を冷却し、酸化体を結晶
化させて分離することにより、環境負荷を与えない、安
全且つ簡便な金属水素化錯化合物とその酸化体の分離方
法、及び分離装置、さらにこれらを利用した水素発生シ
ステムが提供される。
も1種の金属水素化錯化合物と、その酸化体とが共存す
るアルカリ性溶液から、後者の酸化体のみを選択的に分
離するに際し、アルカリ性溶液を冷却し、酸化体を結晶
化させて分離することにより、環境負荷を与えない、安
全且つ簡便な金属水素化錯化合物とその酸化体の分離方
法、及び分離装置、さらにこれらを利用した水素発生シ
ステムが提供される。
【図1】図1は、本発明の分離装置を適用した水素発生
システムを例示する説明図である。
システムを例示する説明図である。
1 冷却槽(分離装置) 2 水素発生剤貯蔵槽 3 水素発生装置
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年12月22日(2000.12.
22)
22)
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の名称
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の名称】 金属水素化錯化合物とその酸化体の分
離方法、及び分離装置
離方法、及び分離装置
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正内容】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属水素化錯化合
物とその酸化体の分離方法、及び分離装置に関し、さら
に詳しくは、環境負荷を与えずに、アルカリ性溶液中に
共存する金属水素化錯化合物とその酸化体を分離でき
る、安全且つ簡便な分離方法、及び分離装置に関する。
物とその酸化体の分離方法、及び分離装置に関し、さら
に詳しくは、環境負荷を与えずに、アルカリ性溶液中に
共存する金属水素化錯化合物とその酸化体を分離でき
る、安全且つ簡便な分離方法、及び分離装置に関する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正内容】
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
従来方法の問題点を解決するために、環境負荷を与えず
に、アルカリ性溶液中に共存する金属水素化錯化合物と
その酸化体を分離できる、安全且つ簡便な分離方法、及
び分離装置を提供することにある。
従来方法の問題点を解決するために、環境負荷を与えず
に、アルカリ性溶液中に共存する金属水素化錯化合物と
その酸化体を分離できる、安全且つ簡便な分離方法、及
び分離装置を提供することにある。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正内容】
【0023】
【発明の実施の形態】
【0024】以下に、本発明を詳細に説明する。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】削除
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0046
【補正方法】変更
【補正内容】
【0046】
【発明の効果】以上の如く、本発明によれば、少なくと
も1種の金属水素化錯化合物と、その酸化体とが共存す
るアルカリ性溶液から、後者の酸化体のみを選択的に分
離するに際し、アルカリ性溶液を冷却し、酸化体を結晶
化させて分離することにより、環境負荷を与えない、安
全且つ簡便な金属水素化錯化合物とその酸化体の分離方
法、及び分離装置が提供される。
も1種の金属水素化錯化合物と、その酸化体とが共存す
るアルカリ性溶液から、後者の酸化体のみを選択的に分
離するに際し、アルカリ性溶液を冷却し、酸化体を結晶
化させて分離することにより、環境負荷を与えない、安
全且つ簡便な金属水素化錯化合物とその酸化体の分離方
法、及び分離装置が提供される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B01D 9/02 619 B01D 9/02 619A // H01M 8/04 H01M 8/04 J (72)発明者 中村 雅則 茨城県つくば市和台32 積水化学工業株式 会社内 (72)発明者 土山 和夫 茨城県つくば市和台32 積水化学工業株式 会社内 (72)発明者 須田 精二郎 東京都新宿区西新宿1−24−1 株式会社 水素エネルギー研究所内 Fターム(参考) 5H027 BA14
Claims (8)
- 【請求項1】 次の一般式(I): MIMIIIH4−nRn ・・・・(I) または、次の一般式(II): MII(MIIIH4−nRn)2 ・・・・(II) (式中、MIはアルカリ金属、MIIはアルカリ土類金
属または亜鉛、MIIIは硼素、アルミニウムまたはガ
リウム、Rはアルキル基、アルコキシル基、またはアシ
ルオキシ基、nは0〜3の整数である。)で表される化
合物から選ばれる少なくとも1種の金属水素化錯化合物
と、その酸化体とが共存するアルカリ溶液から、酸化体
のみを選択的に分離するに際し、アルカリ性溶液を冷却
し、酸化体を結晶化させて分離することを特徴とする金
属水素化錯化合物とその酸化体の分離方法。 - 【請求項2】 上記アルカリ性溶液は、20〜−40℃
に冷却されることを特徴とする請求項1に記載の金属水
素化錯化合物とその酸化体の分離方法。 - 【請求項3】 上記アルカリ性溶液は、冷却中に撹拌さ
れることを特徴とする請求項1または2に記載の金属水
素化錯化合物とその酸化体の分離方法。 - 【請求項4】 上記アルカリ性溶液は、酸化体濃度が
0.1mol/l以上であることを特徴とする請求項1
〜3のいずれか1項に記載の金属水素化錯化合物とその
酸化体の分離方法。 - 【請求項5】 上記アルカリ性溶液には、冷却前または
冷却中に上記酸化体の結晶が投入されることを特徴とす
る請求項1〜4のいずれか1項に記載の金属水素化錯化
合物とその酸化体の分離方法。 - 【請求項6】 上記金属水素化錯化合物は、NaBH4
またはKBH4であることを特徴とする請求項1に記載
の金属水素化錯化合物とその酸化体の分離方法。 - 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか1項に記載の分
離方法に使用されることを特徴とする分離装置。 - 【請求項8】 請求項7項に記載の分離装置がシステム
の一部に組み込まれていることを特徴とする水素発生シ
ステム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000330318A JP2002137906A (ja) | 2000-10-30 | 2000-10-30 | 金属水素化錯化合物とその酸化体の分離方法、及び分離装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000330318A JP2002137906A (ja) | 2000-10-30 | 2000-10-30 | 金属水素化錯化合物とその酸化体の分離方法、及び分離装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002137906A true JP2002137906A (ja) | 2002-05-14 |
Family
ID=18806864
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000330318A Pending JP2002137906A (ja) | 2000-10-30 | 2000-10-30 | 金属水素化錯化合物とその酸化体の分離方法、及び分離装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2002137906A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011207747A (ja) * | 2010-03-26 | 2011-10-20 | Rohm & Haas Co | 水素化ホウ素化合物の製造方法 |
JP2016055217A (ja) * | 2014-09-05 | 2016-04-21 | 富士フイルムファインケミカルズ株式会社 | ジボランの除去方法およびジボラン除去剤 |
-
2000
- 2000-10-30 JP JP2000330318A patent/JP2002137906A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011207747A (ja) * | 2010-03-26 | 2011-10-20 | Rohm & Haas Co | 水素化ホウ素化合物の製造方法 |
JP2016055217A (ja) * | 2014-09-05 | 2016-04-21 | 富士フイルムファインケミカルズ株式会社 | ジボランの除去方法およびジボラン除去剤 |
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