JP2002136222A - アガリクス茸の子実体の人工菌床栽培方法 - Google Patents

アガリクス茸の子実体の人工菌床栽培方法

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JP2002136222A
JP2002136222A JP2001335657A JP2001335657A JP2002136222A JP 2002136222 A JP2002136222 A JP 2002136222A JP 2001335657 A JP2001335657 A JP 2001335657A JP 2001335657 A JP2001335657 A JP 2001335657A JP 2002136222 A JP2002136222 A JP 2002136222A
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agaricus
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Masato Iwata
眞人 岩田
Kenji Furuya
賢次 古屋
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I M B KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】アガリクス茸の子実体は、天然のものを採取す
るか、または暖地のハウス内で「畝作り法」によって栽
培されている。畝作り法による栽培は、ハウス内で行わ
れるといっても、粗放的であるためにアガリクス茸の子
実体の収量が少なく、かつ屋外で栽培されるために天候
の影響を受けやすく、そのため通年的に安定した生産が
不可能であるという欠点がある。従って、アガリクス茸
の子実体を気候に左右されず、安定的に、集約的かつ大
量に栽培できる人工的栽培方法が望まれている。 【解決手段】本発明により、穀物を含む培地でアガリク
ス茸を培養する工程を含む、アガリクス茸の子実体の人
工菌床栽培方法が提供される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アガリクス茸の子
実体の人工菌床栽培方法およびアガリクス茸の子実体の
培養に用いられる培地に関する。
【0002】
【従来の技術】ハラタケ科アガリクス属に属するキノコ
(以下、本明細書では、これらを総称してアガリクス茸
という)は、数多く知られており、例えば、Agari
cusblazei Murrill、Agaricu
s bisporus、Agaricus sylva
ticus、Agaricus arvensisなど
が挙げられる。例えば、Agaricus blaze
i Murrillは、別名ヒメマツタケあるいはカワ
リハラタケと呼ばれる(水野卓、川合正允 編著:キノ
コの化学・生化学、学会出版センター、223頁〜22
8頁(1992))。このキノコは、主にブラジル東南
部サンパウロのピエダーテの山地に自生し、住民が昔か
ら食用にしている。
【0003】最近、このアガリクス茸の子実体抽出液が
成人病、ガンに効果があるとの発表があり、薬用キノコ
として極めて有望であることが明らかになり、アガリク
ス茸の子実体の需要が高まると期待されている。アガリ
クス茸の子実体のニーズは、日本よりもむしろ、ヨーロ
ッパ、アメリカに高いが、日本においても薬用キノコと
して、ますます需要が高まると期待されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、現在、アガ
リクス茸の子実体は、天然のものを採取するか、または
ビニールハウスおよびプレハブのような暖地のハウス内
で「畝作り法」によって栽培されているにすぎない。
【0005】天然のものを採取するにしても、アガリク
ス茸の自生地がブラジル東南部であることから分かるよ
うに、暖地でしか栽培できないという欠点がある。「畝
作り法」は、アガリクス茸の唯一の栽培方法である。こ
の方法では、稲わら、サトウキビバガスなどを発酵させ
てつくった堆肥で畝をつくり、この畝に覆土をすること
により、畝床をつくり、そして、堆肥の部分に種菌を接
種し、アガリクス茸を発生させる。しかし、畝作り法に
よる栽培は、ハウス内で行われるといっても、粗放的で
あるためにアガリクス茸の子実体の収量が少なく、かつ
屋外で栽培されるために天候の影響を受けやすく、その
ため通年的に安定した生産が不可能であるという欠点が
ある。
【0006】従って、アガリクス茸の子実体を気候に左
右されず、安定的に、集約的かつ大量に栽培できる人工
的栽培方法が望まれている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明のアガリクス茸の
子実体の人工菌床栽培方法は、穀物を含む培地でアガリ
クス茸を培養する工程を含む。
【0008】好ましい実施態様においては、上記穀物
は、アワ、ヒエ、キビ、イネ、およびコムギの少なくと
も1種である。
【0009】好ましい実施態様においては、上記培地
は、アワ、ヒエ、およびキビからなる培地である。
【0010】好ましい実施態様においては、上記培地
は、乾燥重量基準でアワ35〜45%、ヒエ35〜45
%、およびキビ10〜30%からなる。
【0011】好ましい実施態様においては、上記培地
は、さらに栄養源および培地基材の少なくとも一方を含
む。
【0012】好ましい実施態様においては、上記培地に
おいて、穀物100重量部に対して前記栄養源が0〜3
00重量部の割合で含有され、そして前記培地基材が0
〜300重量部の割合で含有される。
【0013】本発明のアガリクス茸の子実体の人工菌床
栽培用培地は、穀物を含む。
【0014】好ましい実施態様においては、上記穀物
は、アワ、ヒエ、キビ、イネ、およびコムギの少なくと
も1種である。
【0015】好ましい実施態様においては、上記培地
は、アワ、ヒエ、およびキビからなる。
【0016】好ましい実施態様においては、上記培地
は、乾燥重量基準でアワ35〜45%、ヒエ35〜45
%、およびキビ10〜30%からなる。
【0017】好ましい実施態様においては、上記培地
は、さらに栄養源および培地基材の少なくとも一方を含
む。
【0018】好ましい実施態様においては、上記培地に
おいて、穀物100重量部に対して前記栄養源が0〜3
00重量部の割合で含有され、そして前記培地基材が0
〜300重量部の割合で含有される。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の人工菌床栽培方法および
該方法に用いられる培地を、以下に詳述する。
【0020】(1.アガリクス茸の子実体の人工菌床栽
培用培地)人工菌床栽培に用いる培地は、穀物を含む。
【0021】ここで、本明細書において穀物とは、ア
ワ、ヒエ、キビ、イネ、サトウキビ、ムギ(例えば、コ
ムギ、オオムギ、ライムギ)など、イネ科の栽培植物を
全て包含する。特に好ましい穀物は、アワ、ヒエ、およ
びキビであり、穀物がこれらの成分でなることが好まし
い。本発明の方法においては、穀物の種子を用いてもよ
いし、ワラ、フスマ、もみがら、およびサトウキビバガ
スのような種子以外の植物体を用いてもよい。ワラのよ
うな種子以外の植物体を用いる場合、植物体を直径15
mm×長さ15mm以下に細断して用いることが好まし
い。穀物の形態は、特に限定されず、コーンコブ粉砕
物、ならびに種皮を取り除いたアワおよびヒエの種子の
ような粒状であってもよいし、ワラの細断物のような細
片状であってもよいし、米ヌカ、トウモロコシヌカ、ム
ギヌカ、およびオオムギ粉砕物のような粉末であっても
よい。本発明の方法においては、1種の穀物を用いても
よいし、任意の種類の穀物を組み合わせて用いてもよ
い。
【0022】本発明の培地はさらに、必要に応じて、栄
養源、培地基材、添加剤などの穀物以外の他の成分を含
み得る。栄養源としては、牛フン堆肥、鶏フン堆肥、バ
ーク堆肥、オカラ、豆皮、コーヒーかす、酒かす、食品
製造副産物などの当該分野で栄養源として用いられる材
料のいずれもが用いられ得る。
【0023】培地基材は、オガクズ、木材チップ、綿実
ハルブラン、ココナッツピート、苔類、園芸用土などを
含む。添加剤は石灰、牡蛎殻、糖蜜、植物用液体肥料な
どを含む。
【0024】本発明の培地においては、上記穀物100
重量部に対して、上記栄養源は、0重量部から300重
量部、好ましくは10重量部から100重量部、さらに
好ましくは20重量部から50重量部の割合で含有され
る。上記培養基材は、上記穀物100重量部に対して、
0重量部から300重量部、好ましくは50重量部から
200重量部、さらに好ましくは100重量部から15
0重量部の割合で含有される。添加剤は、上記穀物10
0重量部に対して、10重量部以下の割合で含有され
る。
【0025】上記穀物は、好ましくは培地全体の30重
量%以上、さらに好ましくは35重量%以上、最も好ま
しくは40重量%以上の割合で含有される。上記重量
は、乾燥重量であり、具体的には各成分を90℃におい
て5時間乾燥を行った後の重量をいう。以下本明細書中
で培地組成の重量について言及する場合は、すべて乾燥
重量を基準とし、具体的には各成分を90℃において5
時間乾燥を行った後の重量を基準とする。
【0026】本発明の培地は、上記のように、例えば、
穀物のみでなる培地であってもよく、このような培地の
好ましい例としては、アワ35〜45重量%、ヒエ35
〜45重量%、およびキビ10〜30重量%でなる培地
が挙げられる。穀物以外の培地成分を含む培地の好まし
い例としては、穀物30〜40重量%、栄養源10〜2
0重量%、および培地基材40〜50重量%を含む培地
が挙げられる。
【0027】上記の培地成分を混合し、当業者に周知の
方法に従って水を加えて練り合わせることにより、本発
明の人工菌床栽培方法に用いられる培地が作成される。
好ましくは、上記培地成分の混合物に、混合物の重量の
約2倍量の水を加え、水分がなくなるまで煮沸を続け、
その後、冷却する。
【0028】上記培地は、必要に応じて適切な容器に収
容される。培養容器は、滅菌処理に耐え得る容器であれ
ば、その形状、大きさ、材料などは制限されない。キノ
コ栽培で最も一般的に用いられる容量850ml、直径
58mmのビンを使用してもよいし、他の菌床栽培用容
器、例えば袋栽培用の袋を使用することもできる。
【0029】(2.滅菌)上記の人工菌床栽培用培地
は、そのままで、あるいは培養容器に詰められた後に滅
菌処理が行われる。滅菌条件は、一般的に用いられる滅
菌処理の条件の範囲内であれば、特に限定されない。滅
菌方法の例としては、高圧蒸気滅菌、常圧蒸気滅菌など
が挙げられる。例えば、121℃にて60分間の高圧蒸
気滅菌が好ましい。
【0030】大量の培地の蒸気滅菌を行う場合は、滅菌
処理の時間を延長することが好ましい。
【0031】(3.アガリクス茸の接種)種菌を調製す
るためには、天然または人工栽培のアガリクス茸の子実
体のいずれから菌糸または胞子を採取して培地で増殖さ
せて用いてもよいし、あるいは微生物寄託機関および研
究機関などで保存されている菌株の菌糸を培地で増殖さ
せて用いてもよい。
【0032】得られた種菌と滅菌処理後の人工菌床栽培
用培地を混合することにより、接種を行う。種菌と培地
の容積比は、特に限定されないが、1:100〜1:2
5であることが好ましい。
【0033】(4.子実体の栽培) (4.1 培養)アガリクス茸の子実体を栽培するため
には、まず、培地に接種された種菌の培養を行い、アガ
リクス茸を増殖させ、菌回りを完了させる(培地全体に
菌糸が行き渡った状態を、菌回りが完了した、とい
う)。培養条件は、アガリクス茸が生育可能な条件であ
れば、特に限定されない。好ましくは、温度は、15℃
以上30℃以下、湿度は50%以上75%以下、CO2
濃度は、2500ppm以下である。より好ましくは、
温度は、20℃以上28℃以下、湿度は60%以上70
%以下、CO2濃度は、300〜2000ppmであ
る。さらに好ましくは、温度25℃、湿度60〜70%
RH、CO2濃度600〜1500ppmである。光照
射は、あってもなくてもよいが、好ましくは、暗黒条件
である。菌回りにかかる時間は、培地の容量(培養に用
いる容器の容量)によって変動する。菌回りが完了した
後、さらに数日間培養を続け、菌糸を熟成させ、子実体
の発生を促進すことができる。熟成を行う場合、その期
間は、5日以上20日以下、好ましくは10日以上15
日以下であり得る。しかし、熟成は必ずしも必要ではな
い。
【0034】(4.2 芽出し)培養後、芽出し操作を
行う。芽出し操作の前に、覆土を行ってもよい。覆土に
用いられる土の例としては、ピートモス(園芸で用いる
苔の一種)が挙げられる。覆土の厚さは、特に限定され
ないが、1.0cm〜3.5cmが好ましい。覆土を行
わない場合、上記4.1項の培養物を、そのまま芽出し
条件で培養する。覆土を行う場合は、上記4.1項の培
養物の表面に覆土を行った後、芽出し条件で培養する。
【0035】芽出し条件は、一般にアガリクス茸が生育
可能な条件であれば、特に限定されない。好ましくは、
温度は、20℃以上30℃以下、湿度は80%以上98
%以下、CO2濃度は、2500ppm以下である。よ
り好ましくは、温度は、22℃以上28℃以下、湿度は
85%以上95%以下、CO2濃度は、300ppm以
上2200ppm以下である。さらに好ましくは、温度
25℃、湿度95%RH、CO2濃度が600ppm以
上2000ppm以下である。光照射は、あってもなく
てもよいが、好ましくは、暗黒条件である。芽出し条件
は、培養条件よりも高湿度および高CO2濃度であるこ
とが好ましい。芽出し条件で培養される日数は、特に限
定されず、肉眼で幼子実体の形成が認められるまでであ
る。
【0036】(4.3 子実体の生育)4.2項で得ら
れる幼子実体の生育は、アガリクス茸が生育可能な条件
であれば、特に限定されない。好ましくは、温度は、2
0℃以上30℃以下、湿度は75%以上95%以下、C
2濃度は、2500ppm以下である。より好ましく
は、温度は、22℃以上28℃以下、湿度は80%以上
90%以下、CO2濃度は、300ppm以上2000
ppm以下である。さらに好ましくは、温度25℃、湿
度90%RH、CO2濃度600ppm以上1500p
pm以下である。生育工程では、光照射が必要である。
光照射は、好ましくは、50Lux以上500Lux以
下で1日あたり1時間以上8時間以下、さらに好ましく
は、100Lux以上500Lux以下で1日あたり2
時間以上6時間以下、さらにより好ましくは、200L
ux以上500Lux以下で1日あたり3〜5時間程度
である。所望の形態の子実体を得るためには、光照射お
よびCO2濃度を、適切にコントロールする。
【0037】生育を行う日数は、アガリクス茸の生育条
件によって変化し得る。アガリクス茸の子実体が所望の
大きさに生育したら、子実体の収穫を行う。
【0038】
【実施例】以下に、本発明の実施例を説明する。しか
し、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0039】(実施例1:アガリクス茸(Agaric
us blazei Murrill)のビン栽培) (1.培地の作製)ヒエ:アワ:キビの種子を2:2:
1の乾燥重量比で混合し、この混合物の2倍量(重量
比)の水を加え煮沸し、水分がほぼなくなったら火を止
めて冷却した。
【0040】20℃以下に冷却された培地を、口径58
mm、容量850mlのポリプロピレン製のビンに60
0g詰め、キャップをはめた。次いで、121℃、1a
tm(ゲージ圧)で、60分間の高圧蒸気滅菌を行い、
その後、清浄な室内で培地温度が18℃となるまで冷却
した。
【0041】(2.アガリクス茸の接種)市販のアガリ
クス茸(Agaricus blazei Murri
ll)の子実体から胞子を採取し、ポテトデキストロー
ス寒天培地(PDA培地)上で発芽および菌糸の増殖を
行った。発芽および菌糸の増殖の条件は、温度25℃、
湿度65%RH、暗条件下で25日間培養した。培養菌
糸片5mm角を新たにPDA培地に接種し、同条件下で
培養を行った。この操作を計3回繰り返して菌を純化し
た。このようにして得られた菌糸と、上記1項の培地と
同じ組成の培地との混合物を種菌として用いた。
【0042】種菌15gを、上記1項の滅菌した培地と
混合することにより接種した。このようにして、16本
のビンの培地に接種を行なった(種菌と培地の容積比
は、1:40)。
【0043】(3.子実体の栽培) (3.1 培養)接種した種菌を、暗黒下、温度25
℃、湿度60〜70%RH、CO2濃度1500ppm
以下の条件で培養した。菌糸は20日間で菌回りが完了
したが、その後20日間熟成させ、総培養日数は40日
間とした。
【0044】(3.2 芽出し)培養終了後、芽出し操
作を行った。菌掻きは行わず、ビンのキャップを外すの
みの方法と、菌床表面にピートモスで1cmの厚さで覆
土をする方法の二種で行った。
【0045】いずれの場合も芽出しの条件は、暗黒下、
温度25℃、湿度95%RH、CO 2濃度2000pp
m以下であった。
【0046】覆土を行うか否かは、子実体の形成日数に
ほとんど影響を及ぼさず、いずれの方法においても、1
4〜17日間で幼子実体の形成が認められた。
【0047】これらの結果から、覆土を行うか否かにか
かわらず、アガリクス茸が子実体を形成することが分か
った。
【0048】(3.3 子実体の生育)3.2で得られ
た幼子実体の生育を、温度25℃、湿度90%RH、C
2濃度1500ppm以下の条件で行った。生育工程
では、200〜500Luxで1日あたり3〜5時間の
光照射を行った。
【0049】子実体は、生育7日目で茎長5cm程度と
なった(図1)。1ビンあたりで収穫された子実体の収
量は平均50gであった。
【0050】本実施例に用いた培地組成は形体が粒状で
あるため培地中の水分が均一になりにくいが、培地と種
菌を混合して接種することにより、培養がスムーズに進
み、アガリクス茸の子実体がより安定的に得られること
が分かった。
【0051】(実施例2:アガリクス茸(Agaric
us blazei Murrill)の袋栽培) (1.培地の作製)穀物としての米ヌカおよびフスマ、
栄養源としての牛フン堆肥、ならびに培地基材としての
オガクズ(オガクズの含水率は種々異なるが、この実施
例では、含水率63%のオガクズを用いた)を、以下の
表1の重量比で混合し、水を加えて練り合わせた。練り
合わせた混合物を、耐熱性のポリプロピレン袋に1袋当
たり1500gづつ充填し、次いで、121℃、1at
m(ゲージ圧)で、60分間の高圧蒸気滅菌を行なっ
た。滅菌後、清浄な室内で培地温度が18℃程度になる
まで冷却した。
【0052】
【表1】 (2.アガリクス茸の接種)実施例1の第2節と同様に
して種菌を得た。この種菌80gを、上記実施例2の第
1節の滅菌した培地と混合することにより、20袋に接
種した(種菌と培地の容積比は、1:25)。接種後、
袋の口を閉じた。
【0053】(3.子実体の栽培) (3.1 培養)接種後の袋を、暗黒下、温度23〜2
5℃、湿度60〜70%RH、CO2濃度1500pp
m以下の条件で培養した。菌糸は約40日間で菌回りが
完了したが、その後10日間熟成させ、総培養日数は5
0日間とした。
【0054】(3.2 芽出し)培養終了後、芽出し操
作を行った。培養50日目くらいで袋の上端部分を菌床
面から5cm程度上のところで切り取り、園芸に用いる
ピートモスまたは山土で菌床面を覆土した。菌掻きは行
わなかった。
【0055】芽出しの条件は、暗黒下、温度18〜22
℃(上記実施例2の第3.1節の培養条件よりも3〜5
℃低め)、湿度90〜95%RH、CO2濃度800p
pm以下であった。芽出しの間、表面の覆土が乾燥して
きたら水を噴霧し、乾燥を防いだ。
【0056】芽出し20日目くらいから菌床面で幼子実
体の形成が認められた。この頃を「生育」開始とした。
【0057】(3.3 子実体の生育)3.2で得られ
た幼子実体の生育を、温度18〜22℃、湿度90〜9
5%RH、CO2濃度800ppm以下の条件で行っ
た。生育工程では、100Luxで1日あたり2〜3時
間の光照射を行った。
【0058】子実体は、生育6〜7日目で茎長8〜12
cm程度となり、傘が開く前に収穫した(図2)。1袋
あたりで収穫された子実体の収量は平均約200gであ
った。
【0059】本実施例の方法により、アガリクス茸の子
実体が安定的に得られることが分かった。
【0060】
【発明の効果】本発明によって、これまで不可能とされ
てきたアガリクス茸の人工菌床栽培が可能となった。本
発明の栽培方法は、場所、季節、天候にかかわらず、ア
ガリクス茸の子実体を施設栽培することが可能であるた
め、大量栽培に道が拓けた。これまでのキノコと比較し
ても大差のない、総栽培日数60〜65日間での栽培も
可能である。
【0061】従来の畝作り法では、野外の開放系で栽培
が行われるため、畝床が雑菌に汚染される危険性、なら
びにハエおよび土壌中の害虫によってアガリクス茸の菌
糸が侵される危険性が高く、アガリクス茸の安定的な生
産は難しかった。
【0062】本発明の栽培方法では、人工菌床栽培用培
地を滅菌処理して培地中の雑菌を死滅させてから種菌を
接種し、接種後も無菌に近い状態で栽培が行われるため
に、これらの問題点を回避し得るという利点がある。
【0063】また、本発明の栽培方法では、培地成分お
よびその混合割合を比較的自由に選択できるため、アガ
リクス茸の薬効成分の生合成経路の初発原料を培地に添
加して、薬効成分を増加させることが可能であるという
利点がある。
【0064】現在、アガリクス茸に含有される抗腫瘍活
性物質としては、β−D−グルカンを中心とした多糖類
が最も有望であり、その他、核酸、レクチン、ステロイ
ド、脂質なども抗腫瘍活性が認められている。そのた
め、グルコース、スクロース、またはデンプン質の培地
への添加は、アガリクス茸の有する抗腫瘍活性物質(薬
効成分)を増加するために有効であると考えられる。従
来法では、将来、アガリクス茸の薬効成分の生合成経路
が明確になった場合に、その初発原料を添加しても、培
地中に混在する他の微生物によって初発原料が分解され
てその添加効果が減少するか、あるいは反対に他の微生
物の増殖を促進して、目的のアガリクス茸菌糸の増殖を
阻害するおそれがある。
【0065】さらに、本発明の栽培方法によれば、用い
られる培養容器の大きさおよび形が限定されず、小単位
の培養容器であってもよいために、栽培施設の立体空間
を有効に利用でき、経済効率も良いという利点が得られ
る。
【0066】上記に加えて、本発明の栽培方法によって
得られた子実体は、泥臭い臭気がなく、煎じて服用する
際においても抵抗が少ないという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1に記載の栽培によって得られ
た生育7日目のアガリクス茸の子実体の写真である。
【図2】図2は、実施例2に記載の栽培によって得られ
た生育7日目のアガリクス茸の子実体の写真である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒ素の含有量がDDTC−Ag吸光光度
    法によって測定した場合に検出限界未満であり、鉛の含
    有量が原子吸光光度法によって測定した場合に検出限界
    未満であり、そして総水銀の含有量が還元気化原子吸光
    光度法によって測定した場合に検出限界未満である、ア
    ガリクス茸の子実体。
JP2001335657A 1997-02-12 2001-10-31 アガリクス茸の子実体の人工菌床栽培方法 Withdrawn JP2002136222A (ja)

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JP2010000064A (ja) * 2008-06-23 2010-01-07 Toyama Prefecture キノコ栽培用培地とキノコの栽培方法

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