JP2002135908A - パラレルハイブリッド車両 - Google Patents

パラレルハイブリッド車両

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JP2002135908A JP2000324918A JP2000324918A JP2002135908A JP 2002135908 A JP2002135908 A JP 2002135908A JP 2000324918 A JP2000324918 A JP 2000324918A JP 2000324918 A JP2000324918 A JP 2000324918A JP 2002135908 A JP2002135908 A JP 2002135908A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】電動発電機でエンジンの回転始動を行った後、
車両を発進する際のエネルギ損失を抑制すると共に、ト
ルク立ち上がりに伴うショックを軽減する。 【解決手段】エンジン1の回転が停止している状態か
ら、モータ/発電機2を、最大発生トルクTM/GMAXに設
定されている所定大トルクTM/G-Hi0 で逆回転し、エン
ジン回転数NE が、フリクションに抗して回転可能な所
定低回転数NE0以上になったら、モータ/発電機2を、
エンジンのフリクショントルク程度に設定された所定小
トルクTM/G-LO0 で逆回転し、正回転しているエンジン
1に点火して回転始動する。エンジン1が回転始動した
ら、モータ/発電機2のトルクTM/Gを正値化すること
で車両を発進させ、やがて正回転化してモータ/発電機
回転数NM/G とエンジン回転数NE とが同期したときに
両者を直結する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンジンと、発電
機を兼ねる電動機とを有し、これらの出力トルクを、差
動装置からなるトルク合成機構を介して変速装置に伝達
することにより、エンジン及び電動機の何れか一方又は
双方で走行駆動力を得るようにしたパラレルハイブリッ
ド車両に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来のパラレルハイブリッド車両として
は、例えば特開平10−304513号公報に記載され
るものがある。この従来例に記載されるものは、エンジ
ンの出力トルクと、電動発電機の出力トルクとを、遊星
歯車機構からなるトルク合成機構によって合成し、それ
を変速装置を介して駆動輪に伝達する。このパラレルハ
イブリッド車両では、例えば発進加速は、前述のように
電動発電機の出力トルクとエンジンの出力トルクとを合
成して用い、更に高速領域になると、電動発電機をオフ
とし、エンジンの出力トルクだけで走行する。このよう
なパラレルハイブリッド車両では、電動発電機の回転数
がエンジンの回転数に到達したら、両者、より具体的に
は両者に連結されている遊星歯車機構の各要素を直結ク
ラッチで直結することで、エンジントルクのみでの走行
を可能としている。また、車両減速時には、路面反力ト
ルクで電動発電機を回転させ、当該電動発電機を発電機
として機能させることで電力を蓄える、所謂回生作動さ
せるように構成されている。即ち、パラレルハイブリッ
ド車両では、電動発電機の運転状態、即ち回転数や出力
トルクを制御することにより、より効率のよい走行、例
えば高い加速力や低燃費を達成することを目的としてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前述したよ
うなパラレルハイブリッド車両では、車両停止中にエン
ジンの回転を停止して、燃費の向上を図ろうとするもの
が多い。このようにエンジンの回転が停止している状態
から、例えば運転者がアクセルペダルを踏込む等して、
駆動力が要求された場合には、エンジンの回転を始動す
る必要が生じる。このような場合、前記従来のパラレル
ハイブリッド車両では、駆動系に介装されたワンウエイ
クラッチで駆動出力を規制しながら、つまり遊星歯車機
構のうち、駆動輪への出力系に連結された要素を固定し
ながら、電動発電機を出力方向と逆方向に回転させるこ
とによりエンジンを回転させ、その回転中に点火してエ
ンジンの回転始動を行うことは記載されているが、電動
発電機のトルクをどのように制御するか具体的に記載さ
れていないため、エンジンの回転始動と共に車両を速や
かに発信させようとすると、充放電効率に起因するエネ
ルギ損失が増加したり、車両の急発進に伴うショックや
エンジン始動直後のオーバシュートと電動発電機トルク
の反転とが重なることに起因するショックが発生したり
する恐れがあった。
【0004】本発明は、前記諸問題を解決すべく開発さ
れたものであり、例えば停止状態からエンジンを回転始
動し、車両発進させる際のエネルギ損失を抑制すると共
に、そのときのショックを抑制防止することができるパ
ラレルハイブリッド車両を提供することを目的とするも
のである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明のうち請求項1に係るパラレルハイブリッド
車両は、エンジンと、発電機及び電動機の両機能を備え
た電動発電機と、変速装置と、第1軸に前記エンジンの
出力軸が接続され、且つ第2軸に前記電動発電機の出力
軸が接続され、且つ第3軸に前記変速装置の入力軸が接
続された差動装置と、少なくとも前記電動発電機の運転
状態を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前
記エンジンの回転が停止している状態で、車両を駆動す
る方向を正方向としたとき、電動発電機を負方向に回転
させてエンジンの回転可能なパラレルハイブリッド車両
において、前記制御手段は、前記エンジンの回転が停止
している状態から当該エンジンの回転数が第1所定回転
数になるまで、前記電動発電機を負方向の所定大トルク
の指令値で回転し、エンジンの回転数が前記第1所定回
転数になってから、前記電動発電機を、前記所定大トル
クより小さく且つエンジンのフリクショントルクと同等
又はほぼ同等の負方向の所定小トルクの指令値で回転す
ることを特徴とするものである。
【0006】また、本発明のうち請求項2に係るパラレ
ルハイブリッド車両は、前記請求項1の発明において、
前記制御手段は、エンジンに点火後、エンジンの回転数
が前記第1所定回転数より大きい第2所定回転数となる
まで、前記電動発電機を負方向の所定小トルクの指令値
で回転し、エンジンの回転数が前記第2所定回転数とな
ってからは、エンジンの回転数と電動発電機の回転数と
が同期可能となるようにエンジンのトルクに基づいて算
出されたトルクに所定遅れ成分を加えたトルク指令値で
前記電動発電機を回転することを特徴とするものであ
る。
【0007】また、本発明のうち請求項3に係るパラレ
ルハイブリッド車両は、前記請求項1又は2の発明にお
いて、前記所定大トルクは、電動発電機の最大発生トル
クであることを特徴とするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明のパラレルハイブリ
ッド車両駆動装置の実施の形態を図面に基づいて説明す
る。図1は、本発明の一実施形態を示す概略構成図であ
り、エンジン1及び発電機及び電動機として作用する電
気的回転駆動源としての3相誘導モータ/発電機で構成
される交流式のモータ/発電機(電動発電機)2の出力
側が、夫々、トルク合成機構である差動装置3の入力側
に連結され、この差動装置3の出力側がトルクコンバー
タ等の発進装置を搭載していない変速装置4の入力側に
接続され、変速装置4の出力側が図示しない終減速装置
20(図2参照)を介して駆動輪5に連結されている。
ちなみに、この実施形態では、前記差動装置3と変速装
置4との間に、オイルポンプ13が配設されており、こ
のオイルポンプ13で創成される流体圧が変速装置4の
制御並びに差動装置3の直結クラッチの締結解放に用い
られる。
【0009】ここで、エンジン1はエンジン用コントロ
ーラECによって制御され、モータ/発電機2は、ステ
ータとロータとを有し、充電可能なバッテリやコンデン
サで構成される蓄電装置6に接続されたモータ/発電機
駆動回路7によって駆動制御される。モータ/発電機駆
動回路7は、蓄電装置6に接続されたチョッパ7aと、
このチョッパ7aとモータ/発電機2との間に接続され
た例えば6つのサイリスタを有して直流を3相交流に変
換するインバータ7bとで構成され、チョッパ7aに後
述するモータ/発電機用コントローラ12からのデュー
ティ制御信号DSが入力されることにより、このデュー
ティ制御信号DSに応じたデューティ比のチョッパ信号
をインバータ7bに出力する。このインバータ7bは、
図示しないモータ/発電機2のロータの回転位置を検出
する位置センサの回転位置検出信号に基づいて、モータ
/発電機2の正回転時及び逆回転時に電動機又は発電機
として作用させるように、その回転に同期した周波数で
駆動する3相交流を形成するように、例えば前記各サイ
リスタのゲート制御信号を形成する。ちなみに、モータ
/発電機2はエンジン1同様、車両を駆動するためにも
用いられるので、車両を駆動する側への回転方向正方向
又は正回転とし、その逆方向への回転方向を負方向又は
逆回転と定義する。
【0010】また、差動装置3は、図2に示すように、
トルク合成機構として遊星歯車機構21を備えて構成さ
れている。この遊星歯車機構21は、エンジン1とモー
タ/発電機2との間で差動機能を発現しながらトルク合
成機構をなすものである。そして、サンギヤSと、その
外周側に等角間隔で噛合する複数のピニオンPと、各ピ
ニオンPを連結するピニオンキャリアCと、ピニオンP
の外側に噛合するリングギヤRとを備え、この遊星歯車
機構21のリングギヤRがエンジン1(図ではENG)
に連結され、同じく遊星歯車機構21のサンギヤSがモ
ータ/発電機2のロータに連結され、同じく遊星歯車機
構21のピニオンキャリアCが変速装置4(図ではT/
M)の入力軸22に連結されている。
【0011】また、前記遊星歯車機構21のサンギヤ
S、即ちモータ/発電機2とキャリアC、即ち変速装置
4との間には、両者を締結することでモータ/発電機2
とエンジン1とを直結する直結クラッチ36が介装され
ている。なお、前記直結クラッチ36の締結解放は、当
該直結クラッチ36への作動流体圧を制御する圧力制御
弁のソレノイド36aへの制御信号によって制御されて
おり、当該ソレノイド36aへの直結クラッチ制御信号
CSが高レベルにあるとき、直結クラッチ36が締結さ
れ、当該直結クラッチ制御信号CSが低レベルにあると
き、直結クラッチ36が解放される。また、前記直結ク
ラッチ制御信号CSは、前記低レベルと高レベルとの間
で無段階に調整可能であり(実質的にはディジタル化さ
れる)、直結クラッチ36の締結状態は、半締結の状態
で、種々の締結力を発現することができる。また、前記
遊星歯車機構21のピニオンキャリヤC、即ち変速装置
4の入力側と図示しないケースとの間には、当該ピニオ
ンキャリヤC、及び変速装置4の回転方向を正回転にの
み規制し、逆回転では締結して、当該逆回転を許容しな
いワンウエイクラッチOWCが介装されている。また、
本実施形態では、エンジン1内での爆発振動を抑制する
ために、本実施形態では、エンジン1の出力側にダンパ
ー17を介装している。
【0012】さらに、変速装置4は、変速装置用コント
ローラTCによって車速とスロットル開度とをもとに予
め設定された変速制御マップを参照して決定された例え
ば第1速〜第4速の変速比に制御される。ちなみに、こ
の変速装置4は自動変速装置であり、締結することによ
り図示しない駆動輪側からの逆駆動力、所謂路面反力ト
ルクをトルク合成機構側に伝達可能なエンジンブレーキ
用クラッチ(以下、単にエンブレ用クラッチとも記す)
を有している。
【0013】また、エンジン1及びモータ/発電機2に
は、その出力軸の回転数を検出するエンジン回転数セン
サ8及びモータ/発電機回転数センサ9が設けられてい
ると共に、図示しないセレクトレバーで選択されたレン
ジに応じたレンジ信号を出力するインヒビタースイッチ
10及びアクセルペダルの踏込みに応じたスロットル開
度を検出するスロットル開度センサ11が設けられ、こ
れら回転数センサ8及び9の回転数検出値NE 及びN
M/G と車速センサ14の車速検出値V及びインヒビター
スイッチ10のレンジ信号RS及びスロットル開度セン
サ11のスロットル開度検出値TH等がモータ/発電機
2及び直結クラッチ36を制御するモータ/発電機用コ
ントローラ12に供給される。また、前記モータ/発電
機用コントローラ12は、少なくとも前記変速装置用コ
ントローラTCと相互通信を行い、例えば変速装置4の
ギヤ比(変速段)やエンジンブレーキ用クラッチの締結
解放状態といった情報を、変速装置信号TSとして入力
するように構成されている。
【0014】また、このモータ/発電機用コントローラ
12は、前記エンジン用コントローラECとも相互通信
を行い、例えばエンジン1の運転状態、即ちスロットル
開度TVOや吸入空気量、空燃比、点火時期、冷却水
温、或いはエンジン1の爆発状態などの情報を、エンジ
ン信号ESとして入力するように構成されている。ま
た、このエンジン用コントローラECは、前記モータ/
発電機用コントローラ12からエンジントルクの要求が
あった場合には、その要求に応じてエンジントルクを制
御するように構成されている。なお、前記モータ/発電
機回転数センサ9では、モータ/発電機2の正回転、逆
回転も検出することができる。
【0015】前記モータ/発電機用コントローラ12
は、少なくとも入力側インタフェース回路12a、演算
処理装置12b、記憶装置12c及び出力側インタフェ
ース回路12dを有するマイクロコンピュータ12eで
構成されている。入力側インタフェース回路12aに
は、エンジン回転数センサ8のエンジン回転数検出値N
E 、モータ/発電機回転数センサ9のモータ/発電機回
転数検出値NM/G 、車速センサ14の車速検出値V、イ
ンヒビタースイッチ10のレンジ信号RS、スロットル
開度センサ11のスロットル開度検出値TH、エンジン
用コントローラECのエンジン信号ES及び前記変速装
置用コントローラの変速装置信号TSが入力されてい
る。
【0016】演算処理装置12bは、例えばキースイッ
チ(図示せず)がオン状態となって所定の電源が投入さ
れることにより作動状態となり、先ず初期化を行って、
モータ/発電機2への駆動デューティ制御信号MS及び
発電デューティ制御信号GSをオフ状態とすると共に、
直結クラッチ36へのクラッチ制御信号CSもオフ状態
とし、その後、例えば後述する図3の演算処理に従っ
て、エンジン回転数検出値NE 、モータ/発電機回転数
検出値NM/G 、車速検出値V、レンジ信号RS及びスロ
ットル開度検出値TH等に基づいてモータ/発電機2及
び直結クラッチ36を制御する。ちなみに、この実施形
態では、車両の停車時にエンジン1の回転を停止する、
所謂アイドリングストップを行うように構成されてい
る。
【0017】記憶装置12cは、演算処理装置12bの
演算処理に必要な処理プログラムを予め記憶していると
共に、演算処理装置12bの演算過程で必要な各種デー
タを記憶する。出力側インタフェース回路12dは、演
算処理装置12bの演算結果である駆動デューティ制御
信号MS及び発電デューティ制御信号GSと直結クラッ
チ制御信号CSとをモータ/発電機駆動回路7及びソレ
ノイド36aに供給する。ちなみに、前記モータ/発電
機2では、逆起電圧を利用することにより、車両に制動
力を付与することも可能である。このモータ/発電機2
の制動トルク増加制御は、モータ/発電機2が発電機と
して作用しているときにはモータ/発電機駆動回路7の
チョッパ7aに供給するデューティ制御信号DSのデュ
ーティ比を大きくして発生する逆起電圧を増加させるこ
とにより制動トルクを増加させる。また、モータ/発電
機2が電動機として作用しているときには、デューティ
制御信号DSのデューティ比を小さくして駆動トルクを
減少させることにより制動トルクを増加させる。また、
モータ/発電機2の制動トルク減少制御は、上記とは逆
に、モータ/発電機2が発電機として作用しているとき
には、デューティ制御信号DSのデューティ比を小さく
して発生する逆起電力を減少させることにより制動トル
クを減少させ、モータ/発電機2が電動機として作用し
ているときには、デューティ制御信号DSのデューティ
比を大きくして駆動トルクを増加させることにより制動
トルクを減少させる。
【0018】次に、走行状態、蓄電装置の状態、車両の
操作状態に応じて前記モータ/発電機用コントローラ1
2で行われるエンジン1及びモータ/発電機2の各種の
作動状態について説明する。前述のように、本実施形態
ではアイドリングストップによって、車両の停車中にエ
ンジン1の回転が停止されている。そこで、セレクトレ
バーの操作によってドライブレンジDを始めとする走行
レンジが選択され、或いはパーキングレンジPやニュー
トラルレンジNが選択されている場合でも、スロットル
開度THが“0”を越えている場合のように、エンジン
の回転始動が必要な場合には、前記モータ/発電機2を
逆回転させると、ピニオンキャリヤCは前記ワンウエイ
クラッチOWCによって逆回転できないため、エンジン
1が正方向に回転される。この状態で、燃料を噴射する
ことでエンジン1の回転が始動する。また、これに伴っ
て前記オイルポンプも駆動が開始される。
【0019】このようにしてエンジン1の回転始動後
に、車両を発進走行させる必要がない場合、つまりフッ
トブレーキが踏み込まれているような場合には、そのエ
ンジン1の回転駆動力を利用してバッテリなどの蓄電装
置6に蓄電を行う。つまり、モータ/発電機2を発電機
として使用し、発電を行う。また、ドライブレンジDを
始めとする走行レンジが選択され、アクセルペダルが踏
み込まれると、車両を発進させるために、直結クラッチ
36の解放状態で、スロットル開度が大きくなるほど、
目標エンジン回転数NEPにエンジン1の回転数を維持し
ながら、モータ/発電機2を次第に正回転させるべく、
正方向トルクを発生せしめ、これによりピニオンキャリ
ヤCに正方向のトルクを与えて車両を発進加速させる。
【0020】やがて、モータ/発電機2の回転数が、後
述するように所定の回転数、つまり目標エンジン回転数
EPに維持されているエンジンの回転数に一致又はほぼ
一致したら、前記直結クラッチ36を締結し、エンジン
1とモータ/発電機2とを直結して車両を走行する。直
結クラッチ締結後の走行状態においては、通常、モータ
/発電機2はトルクを発生せず、所謂フリーな状態にし
て、エンジン1でのみトルクを発生して走行する。但
し、アクセルペダルの踏込み量が大きい状態で、且つ蓄
電装置6の蓄電量が十分な場合には、モータ/発電機2
がトルクを発生し、エンジン1のアシストを行うことも
可能である。
【0021】このような加速走行状態に対して、車両が
減速状態にある、所謂エンジンブレーキの効きが期待さ
れる状況では、前記直結クラッチ36を締結したまま
で、モータ/発電機2を発電機として用い、駆動輪5か
ら入力される路面反力トルクに対し、負の方向のトルク
を発生させて、本来のエンジンブレーキの代わりに或い
はそれに加えて制動力を強める。
【0022】次に、前記モータ/発電機用コントローラ
12で行われる通常走行での目標モータ/発電機トルク
及び目標エンジントルクの設定のための演算処理につい
て、図3を用いて説明する。図3は、演算処理の内容を
ブロック化したものである。この演算処理では、前記イ
ンヒビタスイッチ10からのレンジ信号RSから要求ギ
ヤ段が得られるから、そのギヤ段に応じた目標変速比を
用い、それを車速に乗じ、更に二次減速比(最終減速
比)を乗じたものを、タイヤ転がり動半径で除して変速
装置入力軸目標回転数が得られる。前記直結クラッチ3
6が締結されている場合には、エンジン1、モータ/発
電機2、手動変速装置4の入力軸を直結状態に維持して
いるので、変速装置入力軸実回転数はエンジン回転数N
E 又はモータ/発電機回転数NM/G と同じであり、これ
を前記変速装置入力軸目標回転数から減じて変速装置入
力軸回転数差を得る。
【0023】この変速装置入力軸回転数差に対し、PI
D制御、即ち比例・積分・微分制御の各ゲインを乗じ
て、変速装置入力軸目標トルクを得る。この変速装置入
力軸目標トルクから、前記推定エンジントルクを減じた
ものが目標モータ/発電機トルクになるから、この目標
モータ/発電機トルクを指令値として出力する。推定エ
ンジントルクは、周知のように、エンジン回転数NE
変数とし、スロットル開度TVOをパラメータとするマ
ップ検索などによって算出することができる。一方、前
記変速装置入力軸回転数差に対し、個別のPID制御の
各ゲインを乗じて、目標エンジントルクを得ることも可
能であるので、エンジントルクを制御可能である場合に
は、それを指令値として出力する。
【0024】次に、前記モータ/発電機用コントローラ
12内で行われる数ある演算処理のうちから、エンジン
回転始動時に行われる演算処理について、図4のフロー
チャートを伴って説明する。この演算処理は、前記モー
タ/発電機用コントローラ12内の演算処理装置12b
で、所定制御時間ΔT毎のタイマ割込によって行われ
る。また、このフローチャートでは特に通信のステップ
を設けていないが、必要な情報やプログラムは随時入力
インターフェース12aを介して外部や記憶装置12c
から読込まれ、演算処理中の情報は随時記憶装置12c
に記憶される。また、演算処理中の直結移行フラグ
3 、エンジン完爆フラグF2 、エンジン低回転フラグ
1 は何れもエンジン停止でリセットされる。
【0025】この演算処理では、まずステップS1で、
直結移行フラグF3 が“0”のリセット状態であるか否
かを判定し、当該直結移行フラグF3 がリセット状態で
ある場合にはステップS2に移行し、そうでない場合に
はメインプログラムに復帰する。前記ステップS2で
は、エンジン完爆フラグF2 が“0”のリセット状態で
あるか否かを判定し、当該エンジン完爆フラグF2 がリ
セット状態である場合にはステップS3に移行し、そう
でない場合にはステップS13に移行する。
【0026】前記ステップS3では、エンジン低回転フ
ラグF1 が“0”のリセット状態であるか否かを判定
し、当該エンジン低回転フラグF1 がリセット状態であ
る場合にはステップS4に移行し、そうでない場合には
ステップS8に移行する。前記ステップS4では、同ス
テップ内で行われる個別の演算処理に従って、例えばブ
レーキペダルの踏込みが解除され且つアクセルペダルが
踏込まれているとか、前記スロットル開度センサ11の
スロットル開度検出値THが所定値以上であるとか、或
いは前記蓄電装置6の容量が低減しているなどから、エ
ンジン回転始動が必要か否かを判定し、エンジン回転始
動が必要な場合にはステップS5に移行し、そうでない
場合にはメインプログラムに復帰する。
【0027】前記ステップS5では、同ステップ内で行
われる個別の演算処理に従って、モータ/発電機2を、
例えば最大発生トルクTM/GMAXに設定された所定大トル
クT M/G-Hi0 の指令値で逆回転制御してからステップS
6に移行する。前記ステップS6では、前記エンジン回
転数センサ8で検出されたエンジン回転数検出値N
E が、例えば600rpm程度、つまりエンジン1がフ
リクショントルクに抗して回転できる程度の所定低回転
数NE0以上であるか否かを判定し、当該エンジン回転数
検出値NE が所定低回転数NE0以上である場合にはステ
ップS7に移行し、そうでない場合にはメインプログラ
ムに復帰する。
【0028】前記ステップS7では、前記エンジン低回
転フラグF1 を“1”にセットしてから前記ステップS
9に移行する。前記ステップS9では、同ステップ内で
行われる個別の演算処理に従って、モータ/発電機2
を、前記所定大トルクTM/G-Hi0 より小さく且つエンジ
ン1のフリクショントルク程度に設定された所定小トル
クTM/G-LO0 の指令値で逆回転制御してからステップS
10に移行する。
【0029】前記ステップS10では、前記エンジン用
コントローラECに向けて点火指令を出力してからステ
ップS11に移行する。前記ステップS11では、同ス
テップ内で行われる個別の演算処理に従って、例えばエ
ンジン回転数NE が、回転開始後にしか達成し得ない所
定高回転NE1以上であるか否か等の判定により、エンジ
ン1の完爆が確認されたか否かを判定し、エンジン完爆
確認した場合にはステップS12に移行し、そうでない
場合にはメインプログラムに復帰する。なお、完爆と
は、エンジン内での点火が安定し、自身の回転慣性で回
転し続けることができる状態を意味する。
【0030】前記ステップS12では、前記エンジン完
爆フラグF2 を“1”にセットしてから前記ステップS
13に移行する。前記ステップS13では、同ステップ
内で行われる個別の演算処理に従って、モータ/発電機
2を正回転化する制御、つまりモータ/発電機2を正方
向のトルクで駆動する制御を行ってからステップS14
に移行する。
【0031】前記ステップS14では、同ステップ内で
行われる個別の演算処理に従って、前記エンジン回転数
センサ8で検出したエンジン回転数検出値NE とモータ
/発電機回転数センサ9で検出したモータ/発電機回転
数検出値NM/G とが同等か又はほぼ同等であるか否かを
判定し、当該エンジン回転数検出値NE とモータ/発電
機回転数検出値NM/G とが同等又はほぼ同等である場合
にはステップS15に移行し、そうでない場合にはメイ
ンプログラムに復帰する。
【0032】前記ステップS15では、前記直結移行フ
ラグF1 を“1”にセットしてからメインプログラムに
復帰する。次に、前記図4の演算処理の作用について、
図5の共線図と図6のタイミングチャートを用いて説明
する。なお、図6に示すNC は、変速比が固定されてい
る車両発進時にあって車速と等価な出力回転数(キャリ
ア回転数)を示す。
【0033】この演算処理によれば、例えば時刻t00
エンジン1の回転が停止しており(各フラグはリセット
されている)、その後、時刻t01で、例えば運転者がア
クセルペダルを踏込むなどして発進の意思が明確になる
と、図4の演算処理のステップS1〜ステップS3を経
て、ステップS4でエンジンの回転始動必要と判定して
ステップS5以後に移行する。このステップS5では、
モータ/発電機2を、例えば最大発生トルクTM/GMAX
設定された所定大トルクTM/G-Hi0 (図では−T
M/G-Hi0 )の指令値で逆回転制御するため、図5aのよ
うに、負の方向のモータ/発電機駆動トルクがエンジン
のフリクショントルク(括弧内)より大きくなり、同図
5bのようにエンジン1が正方向に回転し始める。な
お、図6で負の方向に発生しているエンジントルクがエ
ンジン1のフリクショントルクである。但し、このとき
には、未だエンジン回転数NE が所定低回転数NE0未満
であるため、図4の演算処理はステップS6からメイン
プログラムに復帰してしまう。
【0034】このようなモータ/発電機2の所定大トル
クTM/G-Hi0 の指令値による逆回転制御が継続される
と、エンジン回転数NE が次第に大きくなり、時刻t02
で所定低回転数NE0以上となった。そのため、図4の演
算処理ではステップS6からステップS7に移行して、
エンジン低回転フラグF1 がセットされ、これ以後は同
演算処理のステップS3からステップS8に移行するフ
ローが繰り返される。なお、エンジン回転数NE が所定
低回転数NE0に達するまで、モータ/発電機2が最大発
生トルクTM/GMAXと同程度の前記所定大トルクT
M/G-Hi0 を発生し、エンジン1を駆動することで、その
間の所要時間を短縮することができる。
【0035】また、これに続くステップS9では、図5
cに示すように、モータ/発電機2を、例えばエンジン
1のフリクショントルクと同程度に設定された所定小ト
ルクTM/G-LO0 (図では−TM/G-LO0 )の指令値で逆回
転制御する。従って、前記時刻t02以後、エンジン1は
正方向に、モータ/発電機2は負方向に、夫々、少し増
速するものの、例えばエンジン回転数NE に関しては、
やがて前記所定低回転数NE0より少し大きな回転数で安
定する。このように、モータ/発電機2を比較的小さな
所定小トルクTM/G-LO0 の指令値で逆回転し、エンジン
1を、前記フリクショントルクに抗して回転する所定低
回転数NE0又はそれより少し大きい回転数で安定して回
転させながら、次のステップS10でエンジンの点火指
令を出力する。これにより、エンジン1が点火し、回転
が始動されるはずであるが、点火指令が出力されたから
といって、常に、即座に回転が始動するわけではなく、
この場合も、時刻t02直後にはエンジン1は未だ回転始
動していない(エンジントルクTE が立ち上がっていな
い)。そのため、前記時刻t02以後は、ステップS11
でエンジン1の完爆が確認されるまで、メインプログラ
ムに復帰するフローが繰り返される。なお、エンジン1
の回転が始動するまでは、モータ/発電機2は所定小ト
ルクTM/G-LO0 で駆動されるので、消費電力を抑制する
ことができる。
【0036】その後、時刻t03でエンジン1が点火し、
回転が始動されると、図6に示すように、エンジントル
クTE が立ち上がると共に、エンジン回転数NE が増速
する。このときのエンジントルクとモータ/発電機トル
クとは、図5dのように両者とも、エンジン回転数を増
速せしめる方向であるが、モータ/発電機トルクは小さ
な値をとっているため、これによるエンジン回転数の吹
け上がりへの影響は小さい。やがて、時刻t04でエンジ
ン回転数NE が前記所定高回転数NE1以上になると、図
4の演算処理のステップS11でエンジン1の完爆が確
認され、同ステップS12に移行してエンジン完爆フラ
グF2 がセットされるので、これ以後は前記ステップS
2からステップS13に移行するフローが繰り返され
る。
【0037】そして、次のステップS13では、モータ
/発電機2をエンジン1と同期して直結クラッチ36を
直結するために、当該モータ/発電機2の正回転化制
御、つまり図5eに示すようにモータ/発電機トルクを
正方向に変換して正トルク駆動制御を行う。この制御で
は、図6に示すように、エンジン回転数NE が前記所定
高回転数N(第2所定回転数)E1となった時刻t04以降
は、例えばエンジントルクを基に算出された、エンジン
回転数NE とモータ/発電機回転数NM/G とを近づけて
同期させることが可能なモータ/発電機トルクに、一次
遅れ、或いは二次遅れといった遅れ成分を加えたモータ
/発電機トルクの指令値に切り換える。これにより、エ
ンジンの完爆判定直後では、モータ/発電機トルクT
M/G はエンジントルクT E よりも小さな値をとり、モー
タ/発電機回転数NM/G が負方向に増大するため、車両
駆動力が急激に立ち上がることに起因するショックの発
生が防止される。その後、既に正方向のエンジントルク
E に抗して、モータ/発電機トルクTM/ G が負方向か
ら変化して正方向に移行する時刻t05から車両駆動力が
生じ、図5fに示すように出力回転数NC が正値とな
り、車速が次第に増速する(但し、ここでは考え方を簡
単にするためにイナーシャの影響は無視している)。
【0038】以上に示した制御により、エンジンの完爆
判定を低回転数で誤りなく確実に行うことができるの
で、エンジン回転始動時のエンジン回転数NE 及びモー
タ/発電機回転数NM/G の過度な増大を抑制することが
できる。従って、エンジン回転数NE とモータ/発電機
回転数NM/G とを同期させるまでの時間を短縮すると共
に、それらの同期回転数を低く抑えることができ、充放
電効率に起因するエネルギ損失を小さくすることができ
る。また、モータ/発電機回転数NM/G の増大を抑制す
ることで消費電力を抑制することができるため、モータ
/発電機2、インバータ7b、蓄電装置6などのシステ
ムの小型化が可能となり、コストダウンにつながる。更
に、前記所定大トルクTM/G-Hi0 をモータ/発電機2の
最大発生トルクとしているため、エンジン点火までの時
間を短縮することができ、車両を速やかに発進させるこ
とができる。
【0039】このように、エンジン回転数NE とモータ
/発電機回転数NM/G とは大きく異なる状態において、
図4の演算処理ではステップS14からメインプログラ
ムに復帰して、以上のフローを繰り返す。その後、エン
ジン回転数NE は、燃費が低下しないようにエンジンコ
ントローラECによってほぼ一定の値に保持され、その
一方で、車速、即ち出力回転数N C が次第に増速するこ
とから、モータ/発電機回転数NM/G も次第に負値から
正値に転じ、更に増速し、時刻t06でエンジン回転数N
E とモータ/発電機回転数NM/G が同等又はほぼ同等に
なると、図5gに示すように直結クラッチ36を完全締
結して両者を同期化すると共に、図4の演算処理ではス
テップS14からステップS15に移行して直結移行フ
ラグF3 がセットされるため、これ以後、図4の演算処
理が開始されても、ステップS1からメインプログラム
に直接復帰してしまい、エンジン回転始動のための処理
は行われない。
【0040】これに対して、図7は、本発明との比較例
のエンジン回転始動の演算処理によるタイミングチャー
トを示している。この演算処理では、時刻t10で回転停
止状態にあるエンジンを、時刻t11で回転始動させるた
めに、モータ/発電機を最大発生トルクTM/GMAXの指令
値で逆回転制御し、時刻t12でエンジンが回転始動し、
エンジン回転数NE が前記所定高回転数NE1となった時
刻t13でモータ/発電機トルクTM/G の指令値を正値化
し、エンジン回転数NE とモータ/発電機回転数NM/G
とが同等又はほぼ同等となった時刻t15で直結クラッチ
を完全締結してエンジンとモータ/発電機とを同期化し
たものである。モータ/発電機を逆回転してエンジンが
回転始動した後は、前述のようにエンジンとモータ/発
電機とを同期させて直結する必要があるため、モータ/
発電機のトルクを正方向に転換するが、確実にエンジン
を完爆させた上で転換しないとエンストする恐れがある
ため、モータ/発電機はエンジンが確実に完爆したと判
断される見込み回転数に達するまで、エンジンをクラン
キングしなければならない。この見込み回転数は、モー
タ/発電機の正方向トルクがエンジン回転数を引き下げ
る方向に作用するため、エンストの危険を回避するため
に、低回転に設定することができない。従って、エンジ
ンは完爆した後も、しばらくの間、モータ/発電機の大
トルクによって吹き上がり方向へ後押しされる形とな
り、その後にモータ/発電機トルクの反転を行うことに
なるので、エンジン回転数は過剰に吹け上がることにな
る。そして、当然のことながら、遊星歯車機構を介して
連結されているモータ/発電機も負方向に吹け上がる
(増速される)ことになる。その状態から、モータ/発
電機に正方向のトルクを発生させて、車両駆動力を滑ら
かに発生させながら、モータ/発電機回転数をエンジン
回転数に近づけて同期させる場合、同期回転数も同様に
大きな値となる。そして、充放電効率が100%でない
限り、モータ/発電機の正回転、逆回転何れの場合にお
いても、回転数の絶対値のより大きな領域におけるエネ
ルギ損失はより大きくなる。
【0041】また、モータ/発電機が逆回転している間
は発電することになり、モータ/発電機回転数が負方向
に増大するほど発電量が増すが、この際、使用するモー
タ/発電機、インバータ、蓄電装置の何れかの能力によ
って決定される限界値以上には発電した電力を吸収する
ことができず、即ち発電負荷が頭打ちになるため、エン
ジン回転始動時に限界値を越えてエンジンが吹け上がる
ような、例えばアクセル開度が大きいような場合には、
より吹け上がり傾向が増すことになる。
【0042】更に、モータ/発電機が正方向のトルクを
発生してエンジンと回転を同期させる際にも、前記発電
時と同様の限界値が存在し、モータ/発電機回転数が増
大して、これを越えた場合、同期までの所要時間が延
び、より同期回転数が大きくなることになり、充放電効
率に起因するエネルギ損失が増加することになる。ま
た、最悪の場合、エンジントルクに対してモータ/発電
機トルクが不足し、同期できないこともあり得る。別の
比較例として、モータ/発電機トルクを正方向に転換し
た際に、より大きなモータ/発電機トルクを発生するこ
とで速やかにエンジン回転数を引き下げ、モータ/発電
機回転数と同期させればよいのであるが、反面で、車両
の急発進、同期時直結クラッチ締結によるショックの発
生が懸念される。また、車両発進時、エンジン始動直後
のオーバシュートが重なると、よりショックが悪化する
可能性もある。更に、別の比較例として、より限界値の
高いモータ/発電機、インバータ、蓄電装置を用いるこ
とが有効であるが、同然のことながら、コストアップや
大型化につながる。
【0043】次に、本発明のパラレルハイブリッド車両
の第2実施形態について説明する。本実施形態の主要な
構成要件は、前記第1実施形態と同様である。この実施
形態では、前記第1実施形態の図4の演算処理のステッ
プS9で、同ステップS11で完爆判定するまでの間、
エンジンのフリクショントルクに釣り合う一定の所定小
トルクTM/G-LO0 を指令値としてモータ/発電機2を逆
回転させる代わりに、図8に示すように、前記所定小ト
ルクTM/G-LO0 から所定勾配で次第に負方向(クランキ
ング力が増す方向)に増大させた指令値でモータ/発電
機2を逆回転させる。つまり、エンジン回転数NE が所
定低回転数NE0以上となった時刻t02で、モータ/発電
機2を、一旦、前記エンジンフリクショントルクに釣り
合う負方向の所定小トルクTM/G-LO0 の指令値で逆回転
し、その後、エンジン1の完爆が確認されるまで、即ち
エンジン回転数NE が前記所定高回転数NE1となるま
で、モータ/発電機トルクTM/G の指令値を負方向に微
小トルクで増大する。これによって、エンジン1の状態
によってエンジンフリクショントルクが変化しても、エ
ンジン回転数NE が小さくなってエンジン1を回転始動
できないという事態を回避することができる。
【0044】また、これに代えて、エンジン回転数NE
が前記所定低回転数NE0以上となった後、例えば検出さ
れるエンジン回転数NE が小さくなったら、モータ/発
電機トルクTM/G の指令値を負方向に増大して、エンジ
ン回転数NE が前記所定高回転数NE1まで増大しない程
度の微小トルクでエンジン回転数NE を増速し、エンジ
ン回転数NE を前記所定低回転数NE0以上、所定高回転
数NE1未満に保つようにしてもよい。
【0045】なお、前記各実施形態では、前記直結クラ
ッチが遊星歯車機構のサンギヤとキャリアとの間に介装
されているが、この直結クラッチは、遊星歯車機構の3
要素のうちの2要素間に介装されていればよく、例えば
キャリアとリングギヤ間に介装させてもよい。また、前
記各実施形態では、エンジンの完爆(エンジンが自立回
転可能)状態となったら、正トルク駆動制御において目
標モータ/発電機トルクに一次又は二次遅れといった遅
れ成分を加えて立ち上げているが、これに限定されるも
のではない。
【0046】また、前記各実施形態では、コントローラ
にマイクロコンピュータを用いた場合について説明した
が、これに代えて各種の演算回路を使用することも可能
である。
【0047】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のうち請求
項1に係るパラレルハイブリッド車両によれば、エンジ
ンの回転が停止している状態から当該エンジンの回転数
が第1所定回転数になるまで、電動発電機を負方向の所
定大トルクで回転し、エンジンの回転数が第1所定回転
数になってから、電動発電機を、前記所定大トルクより
小さく且つエンジンのフリクショントルクと同等又はほ
ぼ同等の負方向の所定小トルクで回転する構成としたた
め、前記第1所定回転数を、フリクショントルクに抗し
てエンジンが回転できる程度の回転数に設定し、前記電
動発電機が所定小トルクで回転しているときに、エンジ
ンに点火して回転始動するようにすれば、エンジン及び
電動発電機の回転数の増大を抑制することができ、その
後、電動発電機トルクを判定してエンジン回転数と電動
発電機回転数とをどうきさせるまでの車両発進時におけ
るエネルギ損失を抑制することができる。また、電動発
電機の回転数の増大が抑制されることで最大電力が抑制
され、電動発電機、インバータ、蓄電装置などのシステ
ムの小型化が可能となり、コストダウンにつながる。
【0048】また、本発明のうち請求項2に係るパラレ
ルハイブリッド車両によれば、エンジンを点火後、エン
ジン回転数が第1所定回転数より大きい第2所定回転数
となるまでは負方向の所定小トルクの指令値で電動発電
機を回転し、エンジン回転数が第2所定回転数となって
からは、エンジン回転数と電動発電機回転数とが同期す
るようにエンジントルクに基づいて算出されたトルク指
令値で電動発電機を回転する構成としたことにより、エ
ンジン完爆判定後の初期においては電動発電機トルクは
エンジントルクよりも小さな値となり、電動発電機回転
数が負方向に増大するため、車両駆動力が急激に立ち上
がることに起因するショックの発生を防止することがで
きる。
【0049】また、本発明のうち請求項3に係るパラレ
ルハイブリッド車両によれば、電動発電機の最大発生ト
ルクを負方向の所定大トルクに設定することにより、エ
ンジン点火までの所要時間を短くすることができ、より
車両の発進を速やかに行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のパラレルハイブリッド車両の一実施形
態を示す概略構成図である。
【図2】図1のパラレルハイブリッド車両の模式図であ
る。
【図3】図1のモータ/発電機用コントローラで行われ
る通常のトルク制御のための演算処理を示すブロック図
である。
【図4】図1のモータ/発電機用コントローラで行われ
るエンジン回転始動のための演算処理のフローチャート
である。
【図5】図4の演算処理によるモータ/発電機、出力、
エンジンの共線図である。
【図6】図4の演算処理によるエンジン回転始動時のタ
イミングチャートである。
【図7】比較例の演算処理によるエンジン回転始動時の
タイミングチャートである。
【図8】本発明のパラレルハイブリッド車両の第2実施
形態を示すエンジン回転始動時のタイミングチャートで
ある。
【符号の説明】
1はエンジン 2はモータ/発電機(電動発電機) 3は差動装置 4は変速装置 5は駆動輪 6は蓄電装置 7はモータ/発電機駆動回路 8はエンジン回転数センサ 9はモータ/発電機回転数センサ 10はインヒビタスイッチ 11はスロットル開度センサ 12はモータ/発電機用コントローラ 13はオイルポンプ 14は車速センサ Sはサンギヤ Rはリングギヤ Cはピニオンキャリア
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // B60K 6/02 B60K 9/00 E Fターム(参考) 3D039 AA01 AA02 AA03 AA04 AB27 AC03 AC06 AC21 AC32 AD06 AD11 3G093 AA01 AA04 AA07 BA02 BA14 BA19 BA21 CA01 DA00 DA01 DA05 DA06 DA09 DB05 DB10 DB11 EA02 EA03 EA09 EB08 EC02 FA04 FA05 FA06 FA11 FB03 5H115 PA11 PC06 PG04 PI16 PI21 PI24 PI29 PU09 PU23 PU25 PV03 PV09 QE01 QN06 RB21 RE01 SE03 SE05 TB01

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンと、発電機及び電動機の両機能
    を備えた電動発電機と、変速装置と、第1軸に前記エン
    ジンの出力軸が接続され、且つ第2軸に前記電動発電機
    の出力軸が接続され、且つ第3軸に前記変速装置の入力
    軸が接続された差動装置と、少なくとも前記電動発電機
    の運転状態を制御する制御手段とを備え、前記制御手段
    は、前記エンジンの回転が停止している状態で、車両を
    駆動する方向を正方向としたとき、電動発電機を負方向
    に回転させてエンジンの回転可能なパラレルハイブリッ
    ド車両において、前記制御手段は、前記エンジンの回転
    が停止している状態から当該エンジンの回転数が第1所
    定回転数になるまで、前記電動発電機を負方向の所定大
    トルクの指令値で回転し、エンジンの回転数が前記第1
    所定回転数になってから、前記電動発電機を、前記所定
    大トルクより小さく且つエンジンのフリクショントルク
    と同等又はほぼ同等の負方向の所定小トルクの指令値で
    回転することを特徴とするパラレルハイブリッド車両。
  2. 【請求項2】 前記制御手段は、エンジンに点火後、エ
    ンジンの回転数が前記第1所定回転数より大きい第2所
    定回転数となるまで、前記電動発電機を負方向の所定小
    トルクの指令値で回転し、エンジンの回転数が前記第2
    所定回転数となってからは、エンジンの回転数と電動発
    電機の回転数とが同期可能となるようにエンジンのトル
    クに基づいて算出されたトルクに所定遅れ成分を加えた
    トルク指令値で前記電動発電機を回転することを特徴と
    する請求項1に記載のパラレルハイブリッド車両。
  3. 【請求項3】 前記所定大トルクは、電動発電機の最大
    発生トルクであることを特徴とする請求項1又は2に記
    載のパラレルハイブリッド車両。
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