JP2002134445A - 研磨パッド用組成物及びこれを用いた研磨パッド - Google Patents

研磨パッド用組成物及びこれを用いた研磨パッド

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 親水性等に優れた特定の官能基を有する物質
を含有する研磨パッド用組成物、及び優れた耐水性、耐
久性を有し、且つ高い研磨速度等の研磨性能に優れる研
磨パッドを提供する。 【解決手段】 99質量%の(a)1,2−ポリブタジ
エン、1質量%の(b)両末端ヒドロキシル基含有ポリ
ブタジエン、並びに上記(a)及び(b)の合計に対し
て30体積%のβ−サイクロデキストリン(水溶性物
質)、を120℃に加熱されたニーダーにて混練した。
その後、有機過酸化物を上記(a)及び(b)の合計1
00質量部に対して1質量部添加し、更に混練した後、
金型内にて170℃で15分間架橋反応させて成形し、
直径60cm、厚さ2mmの研磨パッドを得た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、研磨パッド用組成
物及びこれを用いた研磨パッドに関し、この研磨パッド
は半導体ウェハ等の表面の研磨に好適に利用できる。
【0002】
【従来の技術】高い平坦性を有する表面を形成できる研
磨方法としてCMP(Chemical Mechan
ical Polishing)が近年注目されてい
る。CMPでは研磨パッドと被研磨面とを摺動しなが
ら、研磨パッド表面に砥粒が分散された水系分散体であ
るスラリーを上方から流下させて研磨が行われる。この
CMPにおいて生産性を大きく左右する因子として研磨
速度が挙げられるが、この研磨速度は従来よりもスラリ
ーの保持量を多くすることにより大幅に向上できるとさ
れている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来より、C
MP用研磨パッドは数十μm径の空孔が形成された発泡
ポリウレタンが用いられており、ポリウレタンは、一般
的に耐水性に劣るためパッドの耐久性に問題がある。一
方、耐水性に優れるブタジエンゴム等のエラストマーを
用いた場合は、水の濡れ性が低く研磨速度が低い問題が
ある。本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、
親水性等に優れた特定の官能基を有する物質を含有する
研磨パッド用組成物、及び優れた耐水性、耐久性を有
し、且つ高い研磨速度等の研磨性能に優れる研磨パッド
を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の研磨パッ
ド用組成物は、(A)架橋エラストマーと、(B)カル
ボキシル基、アミノ基、ヒドロキシル基、エポキシ基、
スルホン酸基及びリン酸基の群から選ばれる少なくとも
1種の官能基を有する物質と、を含有することを特徴と
する。
【0005】上記(A)と上記(B)の含有量は、請求
項2記載のように、(A)及び(B)の合計量を100
質量%とした場合に、(A)が40〜99.9質量%
(特に60〜99.9質量%、更には70〜99.5質
量%)であることが好ましく、(B)が0.1〜60質
量%(特に0.1〜40質量%、更には0.5〜30質
量%)であることが好ましい。(B)が0.1質量%未
満の場合は、研磨速度を向上させる十分な効果が得られ
ないことがある。一方、(B)が60質量%を超える場
合は、研磨速度を向上させる効果が飽和しており、含有
させる物質によっては、この組成物から形成される研磨
パッドの成形性が低下したり、強度が低下することがあ
る。
【0006】上記「(A)架橋エラストマー」として
は、ブタジエンゴム、1,2−ポリブタジエン、イソプ
レンゴム、アクリルゴム、アクリロニトリル−ブタジエ
ンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピ
レンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、スチレンーイ
ソプレンゴム等を架橋反応させた架橋ゴムや、エチレン
−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート
共重合体等を架橋させた(架橋剤の配合、或いは紫外線
又は電子線等の照射による)重合体や、イオノマー等が
挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、2種類
以上を混合して用いてもよい。
【0007】半導体研磨においては、硫黄等の不純物を
嫌うため有機過酸化物を用いて架橋されたものが好まし
く、(A)としては、請求項3記載のように、有機過酸
化物での架橋が容易なジエン系エラストマーを架橋させ
たものを用いることが好ましい。このジエン系架橋エラ
ストマーのなかでも、硬度の高い組成物が得られるた
め、架橋1,2−ポリブタジエンを用いることが特に好
ましい。
【0008】上記「(B)物質」としては、(1)ヒュ
ームドシリカ及びコロイダルシリカ等の上記官能基を有
する無機粒子、(2)無水マレイン酸変性ポリエチレ
ン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、末端ヒドロキ
シルポリブタジエン及び末端カルボキシルポリブタジエ
ン等の上記官能基による変性重合体、及び(3)上記官
能基を有する単量体を使用した重合体(共重合体も含
む。)が挙げられる。これらは、単独で用いてもよい
し、2種類以上を混合して用いてもよい。これらのなか
でも、請求項4記載のように、研磨時にウェハにスクラ
ッチを生じにくいという観点から、(B)が重合体であ
ることが好ましい。
【0009】官能基を有する単量体を使用した共重合体
としては、例えば、共重合体の繰り返し単位として、
(1)脂肪族共役ジエン(以下、「単量体」ともい
う。)単位及び(2)1個の重合性不飽和基と、カルボ
キシル基、アミノ基、ヒドロキシル基、エポキシ基、ス
ルホン酸基及びリン酸基の群から選ばれる少なくとも1
種の官能基とを有する単量体(以下、「単量体」とも
いう。)単位、を含有する共重合体、又は上記(1)及
び(2)と、(3)少なくとも2個の重合性不飽和基を
有する単量体(以下、「単量体」ともいう。)単位を
含有する共重合体が挙げられる。
【0010】単量体としては、1,3−ブタジエン、
イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、
クロロプレン等が挙げられる。これらは、単独で用いて
もよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0011】単量体のうち、カルボキシル基を有する
単量体としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フ
マル酸、イタコン酸、テトラコン酸、けい皮酸等の不飽
和カルボン酸類;フタル酸、こはく酸、アジピン酸等の
非重合性多価カルボン酸と(メタ)アリルアルコール、
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基
含有不飽和化合物とのモノエステル等の遊離カルボキシ
ル基含有エステル類や、これらの塩化合物等が挙げられ
る。なかでも不飽和カルボン酸類が好ましく用いられ
る。これらは、単独で用いてもよいし、2種類以上を混
合して用いてもよい。
【0012】アミノ基を有する単量体としては、三級ア
ミノ基を有する単量体が好ましく、ジメチルアミノメチ
ル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノメチル(メ
タ)アクリレート、2−ジメチルアミノエチル(メタ)
アクリレート、2−ジエチルアミノエチル(メタ)アク
リレート、2−(ジ−n−プロピルアミノ)エチル(メ
タ)アクリレート、2−ジメチルアミノプロピル(メ
タ)アクリレート、2−ジエチルアミノプロピル(メ
タ)アクリレート、2−(ジ−n−プロピルアミノ)プ
ロピル(メタ)アクリレート、3−ジメチルアミノプロ
ピル(メタ)アクリレート、3−ジエチルアミノプロピ
ル(メタ)アクリレート、3−(ジ−n−プロピルアミ
ノ)プロピル(メタ〉アクリレート等のジアルキルアミ
ノアルキル(メタ)アクリレート類;N−ジメチルアミ
ノメチル(メタ)アクリルアミド、N−ジエチルアミノ
メチル(メタ〉アクリルアミド、N−(2−ジメチルア
ミノエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−ジエ
チルアミノェチル)〈メタ)アクリルアミド、N−(2
−ジメチルアミノプロピル)(メタ)アクリルアミド、
N−(2−ジエチルアミノプロピル)(メタ)アクリル
アミド、N−(3−ジメチルアミノプロピル)(メタ)
アクリルアミド、N−(3−ジエチルアミノプロピル)
(メタ)アクリルアミド等のN−ジアルキルアミノアル
キル基含有不飽和アミド類;N,N−ジメチル−p−ア
ミノスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノスチレ
ン、ジメチル(p−ビニルベンジル)アミン、ジエチル
(p−ビニルベンジル)アミン、ジメチル(p−ビニル
フェネチル)アミン、ジエチル(p−ビニルフェネチ
ル)アミン、ジメチル(p−ビニルベンジルオキシメチ
ル)アミン、ジメチル〔2−(p−ビニルベンジルオキ
シ)エチル〕アミン、ジエチル(p−ビニルベンジルオ
キシメチル)アミン、ジエチル〔2−(p−ビニルベン
ジルオキシ)エチル〕アミン、ジメチル(p−ビニルフ
ェネチルオキシメチル)アミン、ジメチル〔2−(p−
ビニルフェネチルオキシ)エチル〕アミン、ジエチル
(p−ビニルフェネチルオキシメチル)アミン、ジエチ
ル〔2−(p−ビニルフェネチルオキシ)エチル〕アミ
ン、2−ビニルピリジン、3−ビニルピリジン、4−ビ
ニルピリジン等の三級アミノ基含有ビニル芳香族化合物
等が挙げられ、なかでもジアルキルアミノアルキル(メ
タ)アクリレート類、三級アミノ基含有ビニル芳香族化
合物が好ましい。これらは、単独で用いてもよいし、2
種類以上を混合して用いてもよい。
【0013】ヒドロキシル基を有する単量体としては、
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒド
ロキシプロピル〈メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ
プロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル
(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)
アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレ
ート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;
ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等
のポリアルキレングリコール(アルキレングリコール単
位数は例えば2〜23)のモノ(メタ)アクリレート
類;N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N
−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、
N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリ
ルアミド等のヒドロキシル基含有不飽和アミド類;o−
ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒ
ドロキシスチレン、o−ヒドロキシ−α−メチルスチレ
ン、m−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、p−ヒドロ
キシ−α−メチルスチレン、p−ビニルベンジルアルコ
ール等のヒドロキシル基含有ビニル芳香族化合物;(メ
タ)アリルアルコール等が挙げられ、なかでもヒドロキ
シアルキル(メタ)アクリレート類、ヒドロキシル基含
有ビニル芳香族化合物が好ましい。これらは、単独で用
いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0014】エポキシ基を有する単量体としては、(メ
タ)アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)ア
クリレート、3,4−オキシシクロヘキシル(メタ)ア
クリレート等が挙げられる。これらは、単独で用いても
よいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0015】スルホン酸基を有する単量体としては、2
−(メタ)アクリルアミドエタンスルホン酸、2−(メ
タ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、3−(メタ)
アクリルアミドプロパンスルホン酸、2−(メタ)アク
リルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−(メ
タ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等
の(メタ)アクリルアミド系単量体;2−スルホン酸エ
チル(メタ)アクリレート、2−スルホン酸プロピル
(メタ)アクリレート、3−スルホン酸プロピル(メ
タ)アクリレート、1,1−ジメチル−2−スルホン酸
エチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート
系単量体;p−ビニルベンセンスルホン酸、p−イソプ
ロペニルベンセンスルホン酸等のビニル芳香族化合物系
単量体や、これらの塩化合物等が挙げられる。これら
は、単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用い
てもよい。
【0016】リン酸基を有する単量体としては、リン酸
エチレン(メタ)アクリレート、リン酸トリメチレン
(メタ)アクリレート、リン酸テトラメチレン(メタ)
アクリレート、リン酸プロピレン(メタ)アクリレー
ト、リン酸ビス(エチレン(メタ)アクリレート)、リ
ン酸ビス(トリメチレン(メタ)アクリレート)、リン
酸ビス〈テトラメチレン(メク)アクリレート)、リン
酸ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、リン酸
トリエチレングリコール(メタ)アクリレート、リン酸
ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、リン酸
ビス(ジエチレングリコール(メタ)アクリレート)、
リン酸ビス(トリエチレングリコール(メタ)アクリレ
ート)、リン酸ビス(ポリエチレングリコール(メタ)
アクリレート)や、これらの塩化合物等が挙げられる。
これらは、単独で用いてもよいし、2種類以上を混合し
て用いてもよい。
【0017】単量体としては、エチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)
アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)ア
クリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリ
レート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレ
ート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレー
ト、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレー
ト、ジビニルベンゼン、ジイソプロペニルベンゼン、ト
リビニルベンゼン等が挙げられる。これらは、単独で用
いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0018】また、請求項1記載の研磨パッド用組成物
は、請求項5記載のように、上記(B)を含有する上記
(A)からなるマトリックス材中に、水溶性物質が含有
されてなるものとすることができる。尚、(B)は
(A)からなるマトリックス材中に分散されていてもよ
いし、(A)とともにマトリックス材を形成していても
よい。
【0019】上記「水溶性物資」は、水と接触すること
によりマトリックス材表面から遊離することができるも
のをいう。従って、水溶性物質には、水溶性高分子等の
水に溶解する物質の他、吸水性樹脂等の水との接触によ
り膨潤(ゲル化)し、これにより遊離することができる
ものを含むものとする。尚、この水溶性物質は、水を主
成分とし、メタノール等が混合された媒体によって溶解
又は膨潤するものであってもよい。また、この水溶性物
質は、通常分散体としてマトリックス材中に分散されて
いる。
【0020】水溶性物質としては、有機系及び/又は無
機系の水溶性物質を用いることができる。有機系水溶性
物質としては、デキストリン、シクロデキストリン、マ
ンニット、糖類(乳糖等)、セルロース類(ヒドロキシ
プロピルセルロース、メチルセルロース等)、でんぷ
ん、タンパク質、ポリビニルアルコール、ポリビニルピ
ロリドン、ポリビニルスルホン酸、ポリアクリル酸、ポ
リエチレンオキサイド、水溶性の感光性樹脂、スルフォ
ン化ポリイソプレン等を挙げることができる。
【0021】無機系水溶性物質としては、酢酸カリウ
ム、硝酸カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、
臭化カリウム、リン酸カリウム、硫酸カリウム、硫酸マ
グネシウム及び硝酸カルシウム等を挙げることができ
る。尚、水溶性物質の溶出を抑制する必要があるとき
は、水溶性物質にカップリング処理及び/又はコーティ
ング処理等を行うことができる。また、これらは、単独
で用いてもよいし、有機系或いは無機系を問わず、2種
類以上を混合して用いてもよい。
【0022】また、この水溶性物質の平均粒径は0.1
〜500μmとすることができ、好ましくは0.5〜1
00μmである。この平均粒径が0.1μm未満の場合
は、形成される空孔が小さく、砥粒を十分に保持できる
研磨パッドが得られないことがある。一方、これが50
0μmを超える場合は、得られる研磨パッドの機械的強
度が低下してしまうことがある。尚、この平均粒径はマ
トリックス中における水溶性物質の最大長さの平均値で
あるものとする。また、水溶性物質が研磨パッド用組成
物から遊離した後にできる空孔の平均孔径も0.1〜5
00μmとすることができ、好ましくは0.5〜100
μmである。
【0023】この水溶性物質の含有量は、上記「マトリ
ックス材」を100体積%とした場合に、水溶性物質は
5〜50体積%(特に10〜45体積%、更には20〜
40体積%)であることが好ましい。水溶性物質の含有
量が5体積%未満の場合は、得られる研磨パッドにおい
て、空孔が十分に形成されず研磨速度が低下する傾向に
ある。一方、この含有量が50体積%を超える場合は、
得られる研磨パッドの硬度及び機械的強度を適正な値に
保持できないことがある。
【0024】マトリックス材には、その全体に水溶性物
質が分散され、含有される。そして、この研磨パッド用
組成物から得られる研磨パッドにおいては、水と接触し
てその最表層に存在する水溶性物質が溶出することによ
り空孔が形成される。この空孔はスラリーを保持し、研
磨屑を一時的に滞留させる機能を有する。水溶性物質
は、研磨パッド中において水系分散体であるスラリーと
接触することにより溶解又は膨潤し、マトリックス材か
ら離脱する。
【0025】また、水溶性物質は、研磨パッド内におい
て表層に露出した場合にのみ水溶し、研磨パッド内部で
は吸湿したり、膨潤しないことが好ましい。このため、
水溶性物質は最外部の少なくとも一部に吸湿を抑制する
外殻を備えることが好ましい。この外殻は水溶性物質に
物理的に吸着していても、水溶性物質と化学結合してい
ても、更にはこの両方により水溶性物質に接していても
よい。このような外殻を形成する材料としては、エポキ
シ樹脂、ポリイミド、ポリアミド、ポリシリケート等を
挙げることができる。尚、この外殻は水溶性物質の一部
のみに形成されていても十分に上記効果を得ることがで
きる。
【0026】この水溶性物質は、空孔を形成する機能以
外にも、研磨パッド中においては、研磨パッドの押し込
み硬さを大きくする機能を有する(例えば、ショアーD
硬さ35〜100)。この押し込み硬さが大きいことに
より研磨パッドにおいて被研磨面に負荷する圧力を大き
くすることができる。このため、研磨速度を向上させる
ばかりでなく、同時に高い研磨平坦性が得られる。従っ
て、この水溶性物質は、研磨パッドにおいて十分な押し
込み硬さを確保できる中実体であることが特に好まし
い。
【0027】請求項1乃至5に記載の研磨パッド用組成
物において、マトリックス材には、水溶性物質以外に、
従来よりスラリーに含有されている砥粒(シリカ、アル
ミナ、セリア、ジルコニア及びチタニア等)、酸化剤、
アルカリ金属の水酸化物及び酸、pH調節剤、界面活性
剤、スクラッチ防止剤等の少なくとも1種を含有させる
ことができる。これにより、この研磨パッド用組成物か
ら形成された研磨パッドを用いた場合には、研磨時に水
のみを供給して研磨を行うことも可能となる。
【0028】更に、請求項1乃至5に記載の発明におけ
る研磨パッド用組成物には、必要に応じて、充填剤、軟
化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、
可塑剤等の各種の添加剤を配合することができる。特
に、充填剤としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウ
ム、タルク、クレー等の剛性を向上させる材料、二酸化
マンガン、三酸化二マンガン、炭酸バリウム等の研磨効
果を備える材料等を用いてもよい。
【0029】この研磨パッド用組成物の製造方法は特に
限定されない。混練工程を有する場合は公知の混練機等
により混練を行うことができる。例えば、ロール、ニー
ダー、バンバリーミキサー、押出機(単軸、多軸)等の
混練機を挙げることができる。尚、混練された研磨パッ
ド用組成物は、プレス成形、押出成形、射出成形等によ
りシート状、ブロック状又はフィルム状等の所望の形状
に加工することができる。また、これを所望の大きさに
加工することにより研磨パッドを得ることができる。
【0030】また、水溶性物質をマトリックス材中に分
散させる方法は特に限定されないが、通常、マトリック
ス材、水溶性物質及びその他の添加剤等を混練して得る
ことができる。この混練においてマトリックス材は加工
し易いように加熱されて混練されるが、この時の温度に
おいて水溶性物質は固体であることが好ましい。固体で
あることにより、マトリックス材との相溶性の大きさに
関わらず水溶性物質を前記の好ましい平均粒径を呈する
状態で分散させ易くなる。従って、使用するマトリック
ス材の加工温度により、水溶性物質の種類を選択するこ
とが好ましい。
【0031】請求項6記載の研磨パッドは、請求項1乃
至5のうちのいずれか1項に記載の研磨パッド用組成物
からなることを特徴とする。
【0032】また、請求項7記載の研磨パッドは、請求
項1乃至4のうちのいずれか1項に記載の研磨パッド用
組成物からなり、多孔質であることを特徴とする。この
多孔質である研磨パッドを製造する方法は、特に限定さ
れないが、例えば、発泡剤を含有させ、発泡させたり、
中空粒子を含有させたりすることにより多孔質な研磨パ
ッドを得ることができる。
【0033】これらの研磨パッドのショアーD硬さは3
5以上(特に50〜90、更には60〜85、通常10
0以下)であることが好ましい。このショアーD硬さが
35未満であると、研磨時に被研磨体に加えることので
きる圧力が低下する傾向にあり、研磨速度が低下し、研
磨平坦性が十分でなくなることがある。
【0034】また、研磨パッドの表面(研磨面)にはス
ラリーの排出性を向上させる目的等で必要に応じて溝及
びドットパターンを所定の形状で形成できる。更に、こ
の研磨パッドの裏面(研磨面と反対側)に、より軟質な
層を張り合わせた研磨パッドのような多層構造を呈する
研磨パッドとすることもできる。この研磨パッドの形状
は特に限定されず、円盤状、ベルト状、ローラー状等、
研磨装置に応じて適宜選択することができる。
【0035】
【発明の実施の形態】以下、実施例により本発明を具体
的に説明する。 [1]研磨パッド用組成物の調製及び研磨パッドの形成 実施例1 99質量%の(a)1,2−ポリブタジエン(ジェイエ
スアール株式会社製、商品名「JSR RB83
0」)、1質量%の(b)両末端ヒドロキシル基含有ポ
リブタジエン(日本曹達株式会社製、商品名「NISS
O−PB G3000」)、並びに上記(a)及び
(b)の合計に対して30体積%の(c)水溶性物質で
あるβ−シクロデキストリン(横浜国際バイオ研究所株
式会社製、商品名「デキシーパールβ−100」)、を
120℃に加熱されたニーダーにて混練した。その後、
有機過酸化物(日本油脂株式会社製、商品名「パークミ
ルD40」)を上記(a)及び(b)の合計100質量
部に対して1質量部添加し、更に混練した後、金型内に
て170℃で15分間架橋反応させて成形し、直径60
cm、厚さ2mmの研磨パッドを得た。
【0036】実施例2 まず、ラウリル硫酸ナトリウムを乳化剤、ベンゾイルパ
ーオキシドを重合開始剤として、ブタジエン/アクリロ
ニトリル/メタクリル酸/2−ヒドロキシブチルメタク
リレート/エチレングリコールジメタクリレート/ジビ
ニルベンゼン=62/20/5/11/1/2(モル
%)の割合の単量体をエマルジョン重合した。次いで、
得られた共重合体エマルジョンを凝固し、乾燥して
(d)官能基含有共重合体を調製した。このときの重合
転化率は、ほぼ100%であった。その後、90質量%
の実施例1で用いた(a)1,2−ポリブタジエン、8
質量%の(e)ポリブタジエンゴム(JSR株式会社
製、商品名「BR01」)、2質量%の上記のように調
製した(d)官能基含有共重合体、並びに上記(a)、
(d)及び(e)の合計に対して30体積%の実施例1
で用いた(c)水溶性物質、を120℃に加熱されたニ
ーダーにて混練した。次いで、実施例1で用いた有機過
酸化物を上記(a)、(d)及び(e)の合計100質
量部に対して1質量部添加した以外は実施例1と同様に
して研磨パッドを得た。
【0037】比較例1 70体積%の実施例1で用いた(a)1,2−ポリブタ
ジエン、及び30体積%の実施例1で用いた(c)水溶
性物質、を120℃に加熱されたニーダーにて混練し
た。その後、実施例1で用いた有機過酸化物を上記
(a)100質量部に対して1質量部添加した以外は実
施例1と同様にして研磨パッドを得た。
【0038】比較例2 92質量%の実施例1で用いた(a)1,2−ポリブタ
ジエン、8質量%の実施例2で用いた(e)ポリブタジ
エンゴム、並びに上記(a)及び(e)の合計に対して
30体積%の実施例1で用いた(c)水溶性物質、を1
20℃に加熱されたニーダーにて混練した。その後、実
施例1で用いた有機過酸化物を上記(a)及び(e)の
合計100質量部に対して1質量部添加した以外は実施
例1と同様にして研磨パッドを得た。
【0039】[2]研磨性能の評価 実施例1、2及び比較例1、2で得られた各研磨パッド
をそれぞれ研磨機(SFT社製、型式「ラップマスター
LGP510」)の定盤上に装着し、定盤回転数50
rpm、スラリーの流量100ml/分の条件でシリカ
膜ウェハを研磨し、各研磨パッドによる研磨性能の違い
を評価し、表1に示した。尚、研磨速度は光学式膜厚計
による膜厚変化測定により求めた。
【0040】
【表1】
【0041】表1によれば、ヒドロキシル基等の官能基
を有する物質を含有しない比較例1及び2の研磨パッド
による研磨速度は、それぞれ1080、1120Å/分
である。これに対し、ヒドロキシル基等の官能基を有す
る物質を含有する実施例1及び2の研磨パッドによる研
磨速度は、それぞれ1340、1440Å/分であり、
比較例と比べて、この研磨速度が約20〜30%も向上
しており、実施例1及び2の研磨パッドは研磨性能に優
れることが分かった。
【0042】
【発明の効果】請求項1乃至5に記載の研磨パッド用組
成物によると、研磨速度の大きい研磨性能に優れた請求
項6乃至7に記載の研磨パッドを形成することができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09K 3/14 550 C09K 3/14 550J (72)発明者 小林 豊 東京都中央区築地2丁目11番24号 ジェイ エスアール株式会社内 Fターム(参考) 3C058 AA07 CB03 DA02 DA12 DA17 4F071 AA10 AA12 AA12X AA33X AA34X AA76 AE13 AF53 AH19 DA19 DA20 4J002 AC03W AC04W AC06W AC07W AC08W BB06W BB07W BB15W BB21X BC01X BD12W BG04W BG07X BG13X BL02X BQ00X CP03W DJ016 FA08X FA086 FB086

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)架橋エラストマーと、(B)カル
    ボキシル基、アミノ基、ヒドロキシル基、エポキシ基、
    スルホン酸基及びリン酸基の群から選ばれる少なくとも
    1種の官能基を有する物質と、を含有することを特徴と
    する研磨パッド用組成物。
  2. 【請求項2】 上記(A)及び上記(B)の合計量を1
    00質量%とした場合に、上記(A)が40〜99.9
    質量%であり、上記(B)が0.1〜60質量%である
    請求項1記載の研磨パッド用組成物。
  3. 【請求項3】 上記架橋エラストマーがジエン系架橋エ
    ラストマーである請求項1又は2に記載の研磨パッド用
    組成物。
  4. 【請求項4】 上記(B)が重合体である請求項1乃至
    3のうちのいずれか1項に記載の研磨パッド用組成物。
  5. 【請求項5】 上記(B)を含有する上記(A)からな
    るマトリックス材中に、水溶性物質が含有されてなる請
    求項1乃至4のうちのいずれか1項に記載の研磨パッド
    用組成物。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至5のうちのいずれか1項に
    記載の研磨パッド用組成物からなることを特徴とする研
    磨パッド。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至4のうちのいずれか1項に
    記載の研磨パッド用組成物からなり、多孔質であること
    を特徴とする研磨パッド。
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