JP2002131872A - ポリエステル支持体 - Google Patents

ポリエステル支持体

Info

Publication number
JP2002131872A
JP2002131872A JP2000327651A JP2000327651A JP2002131872A JP 2002131872 A JP2002131872 A JP 2002131872A JP 2000327651 A JP2000327651 A JP 2000327651A JP 2000327651 A JP2000327651 A JP 2000327651A JP 2002131872 A JP2002131872 A JP 2002131872A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polyester
support
film
layer
acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000327651A
Other languages
English (en)
Inventor
Mineko Ito
峰子 伊東
Hirokazu Koyama
博和 小山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Inc filed Critical Konica Minolta Inc
Priority to JP2000327651A priority Critical patent/JP2002131872A/ja
Publication of JP2002131872A publication Critical patent/JP2002131872A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 巻癖回復性に優れ、ピンボケの発生が無く、
更に接着性にも優れる写真感光材料用プラスチックフィ
ルムを提供すること。 【解決手段】 異なるポリエステル層を少なくとも2層
積層してなる積層ポリエステル支持体において、少なく
とも1層のポリエステル層が共重合成分として少なくと
も一種の金属スルホネート基を有する芳香族ジカルボン
酸を全エステル結合単位に対して4〜10mol%含有
し、かつ、少なくとも一種のポリアルキレングリコール
および/またはポリエーテルジカルボン酸を共重合成分
としてポリエステル反応生成物の2〜8重量%含有する
共重合ポリエステルからなり、かつ、積層ポリエステル
支持体の少なくとも片面に、ポリウレタン系樹脂及びア
クリル系樹脂の少なくとも1種を含有する下引層の塗布
液を塗布し、乾燥、延伸、熱処理を施し、結晶配向され
ており、積層ポリエステル支持体の総膜厚が105〜1
30μmであるポリエステル支持体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、接着性に優れたポリエ
ステル支持体に関し、さらに、現像後の巻き癖回復性に
優れ、ピンボケの発生のない写真感光材料用ポリエステ
ル支持体に関する。
【0002】
【従来の技術】ハロゲン化銀写真感光材料(感光材料)
には、X線撮影用フィルム、製版用フィルム及びカット
フィルムのようにシート状態の形態で使用されるもの、
ロール状の形態で使用されるものがある。ロール状にし
た感光材料の代表的なものとしては、一般のカメラに装
填して撮影に用いられる35mm幅またはそれ以下の幅
に切断されパトローネ内に収められたカラーフィルムま
たは黒白ネガフィルム、さらに幅広に切断され巻き芯に
巻かれたブローニフィルムなどのロールフィルムが挙げ
られる。ロールフィルムの支持体には、従来、セルロー
ストリアセテート(TAC)フィルムが用いられてい
た。TACフィルムは、光学的に異方性が無く透明度が
高く、さらには、現像処理後のカール解消性についても
優れているという写真用支持体として優れた性質を有し
ている。これらのTACフィルムは、セルローストリア
セテートを塩化メチレン等の有機溶媒に溶解し、得られ
た溶液を金属ベルト等に流延、乾燥することにより作製
されている。セルローストリアセテートの溶解に使用さ
れる有機溶剤として用いられる塩化メチレン等の塩素系
の溶剤は、人体に対して毒性を有しており、作業環境な
どの問題があった。
【0003】さらに、写真用支持体としては、溶剤を使
用しないでフィルム形成が可能な材料であるポリエチレ
ンテレフタレート(PET)、ポリエチレン−2,6−
ナフタレート(PEN)等のポリエステルを用いたフィ
ルムが知られている。PETフィルムは、通常、PET
を溶融押し出しした後、二軸延伸することにより得られ
る。これらPETフィルムは、従来からX線フィルム、
リスフィルム等のシート状態の形態で使用されるフィル
ムの支持体として使用されている。しかしながら、これ
らPETフィルムは巻きぐせカールを起こし易いため、
PETフィルムをロール状に巻かれている135型フィ
ルム、ブローニー型フィルム等の支持体に使用した場
合、巻きぐせカールを起こし、カメラ内での搬送トラブ
ル、現像工程や現像後写真印画紙に画像を形成させる焼
き付け工程等で擦り傷を発生したり、搬送時にジャミン
グを起こしたりする等の問題を生じる。PENフィルム
は、新しいカメラシステムであるアドバンスドフォトシ
ステム(APS)や一体型カメラの写真フィルムに使用
する薄い支持体の形成材料として検討され、実用化され
ている(EP0606070A1、特開平7−7258
4号公報)。また、WO94/19722には、各種物
性が規定され、厚さ40〜120μmのPENフィルム
で、巻きぐせが付きにくく、透明性、滑り性に優れたフ
ィルムが開示されている。しかしながら、これらのPE
Nフィルムは、いわゆるフィルムの腰が強く、従来の1
35型あるいはブローニー型フィルムの支持体として用
いた場合、自動ローディングや自動巻き上げの際にトラ
ブルが発生することが多く、135型フィルムやブロー
ニー型フィルムに利用する方向では検討が進んでいな
い。
【0004】PETフィルムの巻きぐせ回復性を改良す
る技術として、特開平1−244446号公報、特開平
4−234039号公報、特開平5−210199号公
報、特開平6−82969号公報などには、スルホン酸
基またはその塩を有する芳香族ジカルボン酸および/ま
たはポリアルキレングリコールが共重合成分として含有
されているポリエステルを用いる技術、特開平4−93
937号、特開平6−11795号、特開平6−161
035号、特開平6−289534号、特開平6−24
0020号、特開平6−110154号公報などには、
こうしたポリエステルを2層以上積層したポリエステル
を用いる技術が知られている。これらの技術により得ら
れたフィルムは、巻癖はつくが現像処理で回復すると
か、積層フィルムである場合にはアンチカールを付与で
きる等、TACフィルムに類似の性能を付与することが
でき、TACフィルムに置き換えられるフィルムが得ら
れる非常に優れた技術である。しかしながら、この技術
は、主に膜厚80μm前後の薄手のポリエステルベース
で検討された技術である。135型やブローニーフィル
ムには厚さ120μm前後のTACフィルムが使用され
ている。カメラ等を小型化するにはフィルムを薄膜化す
ることは有効であるが、薄膜化したポリエステル支持体
を使用した写真フィルムを、通常使用されているTAC
フィルムを支持体として使用した写真フィルムに置き換
えて使用した場合、ピンボケが発生するなどの問題が起
こってしまうので、薄膜化した支持体を使用することが
できず、120μm前後の厚さの支持体を使用せざるを
得なかった。
【0005】さらに、ポリエステルフィルムを感光材料
用支持体として用いる場合、写真構成層との接着性を高
めるために通常下引層を設けるが、下引層を設けるに当
たっては、水溶性または水分散性樹脂を用いた塗布液を
用いることができれば、製造過程での作業環境を悪化さ
せず、また、防爆設備が不要であるので好ましい。積層
ポリエステル支持体をTACフィルムと同等の120μ
m前後の厚さにした場合、厚さ80μm前後の薄手の支
持体とは異なり、下引層によっては現像処理時に十分に
巻癖が回復せず、現像後において行う作業に困難が生
じ、ラボ機器をスムーズに搬送することができずジャミ
ング等の問題を起こしたり、フィルム表面に傷が付きや
すいなどの問題を生じることが分かってきた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の事情に
よりなされたものであり、その目的は、巻癖回復性に優
れ、ピンボケを発生させず、接着性が優れた写真感光材
料に用いられるプラスチックフィルムを提供することに
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、 (1)異なるポリエステル層を少なくとも2層積層して
なる積層ポリエステル支持体において、少なくとも1層
のポリエステル層が共重合成分として少なくとも一種の
金属スルホネート基を有する芳香族ジカルボン酸を全エ
ステル結合単位に対して4〜10mol%含有し、か
つ、少なくとも一種のポリアルキレングリコールおよび
/またはポリエーテルジカルボン酸を共重合成分として
ポリエステル反応生成物の2〜8重量%含有する共重合
ポリエステルからなり、かつ、積層ポリエステル支持体
の少なくとも片面に、ポリウレタン系樹脂及びアクリル
系樹脂の少なくとも1種を含有する下引層の塗布液を塗
布し、乾燥、延伸、熱処理を施し、結晶配向されてお
り、積層ポリエステル支持体の総膜厚が105〜130
μmであることを特徴とするポリエステル支持体。 (2)異なるポリエステル層を少なくとも2層積層して
なる積層ポリエステル支持体において、少なくとも1層
のポリエステル層が共重合成分として少なくとも一種の
金属スルホネート基を有する芳香族ジカルボン酸を全エ
ステル結合単位に対して4〜10mol%含有し、か
つ、少なくとも一種のポリアルキレングリコールおよび
/またはポリエーテルジカルボン酸を共重合成分として
ポリエステル反応生成物の2〜8重量%含有する共重合
ポリエステルからなり、かつ、積層ポリエステル支持体
の少なくとも片面に、ビニリデン系樹脂および水溶性ポ
リマーを含有する下引層の塗布液を塗布し、乾燥、延
伸、熱処理を施し、結晶配向されており、積層ポリエス
テル支持体の総膜厚が105〜130μmであることを
特徴とするポリエステル支持体。によって達成される。
【0008】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
おいて下引層の塗布液に用いられるポリウレタン系樹
脂、アクリル系樹脂及びビニリデン系樹脂は水分散性で
あり、ポリウレタン系樹脂及びアクリル系樹脂の少なく
とも1種を含有する下引層の塗布液及びビニリデン系樹
脂および水溶性ポリマーを含有する下引層の塗布液は水
系塗布液であることが好ましい。
【0009】先ず、本発明に用いられるポリウレタン系
樹脂(ポリウレタン)について説明する。本発明の水分
散性ポリウレタンは公知であり、例えば、末端イソシア
ネート基を含むプレポリマーを活性水素化合物、通常
は、ジアミンまたはジオールによって連鎖延長すること
によって製造される。プレポリマーは、末端ヒドロキシ
ル基を有するジオールまたはポリオールを過剰のジイソ
シアネートまたはポリイソシアネートと反応させること
によって形成する。水分散性とさせるためには、陰イオ
ン性、陽イオン性または非イオン性の親水性基によって
官能化したプレポリマーが用いられる。これにより陰イ
オン性、陽イオン性または非イオン性親水性基によって
安定化された分散液を製造することができる。陰イオン
性分散液は、通常、カルボキシレートまたはスルホネー
トで官能化されたコモノマー、例えば、適当に封鎖され
たジヒドロキシカルボン酸(ジメチロールプロピオン
酸)またはジヒドロキシスルホン酸を用いたプレポリマ
ーを用いることによって得ることができる。陽イオン性
分散液は、第三窒素原子を含むジオールを用いたプレポ
リマーを用い、第三窒素原子を適当なアルキル化剤また
は酸によって第四アンモニウムイオンに転化することに
よって得ることができる。非イオン性分散液は、ポリエ
チレンオキシド側鎖を有するジオールまたはジイソシア
ネートコモノマーを用いたプレポリマーを用いることに
よって得ることができる。非イオン性分散液は、広範囲
のpHにわたって安定性を有している。ポリウレタンが
非イオン基と陰イオン基をともに有するとき、非イオン
基と陰イオン基とは組合わさって相乗効果を奏すること
ができる。
【0010】本発明において、カルボン酸塩基であるア
ニオン基を含むポリウレタン分散液を用いることができ
る。さらに、カルボン酸塩アニオン基と組み合わせて非
イオン基を含むこともできる。導入されたカルボキシレ
ート基によって十分な水分散性が得られるためには、ポ
リウレタンの酸価は少なくとも5であることが必要であ
る。酸価は、ポリマー1gを中和するのに必要なKOH
のmq数と定義される。また、本発明のポリウレタン
は、例えば、イソシアネートを末端基とするプレポリマ
ーから誘導され、脂肪族ポリアミンによって延長され、
且つ、N−メチロールヒドラジド基で末端キャップされ
ているような自己架橋性ポリウレタンであることができ
る。本発明では、写真フィルムの老化または保管時にお
ける黄変を防ぐために、ポリウレタンは脂肪族ポリウレ
タンであるのが好ましい。
【0011】ポリウレタン分散液の製造には、いくつか
の異なる技術があり、そのうち1つを使用できる。例え
ば、プレポリマーを形成、中和し、しかるべき場合に
は、アルキル化し、次いで、過剰の有機溶媒、例えば、
アセトンまたはテトラヒドロフラン中で連鎖延長させ
る。次に、プレポリマー溶液を水で希釈し、溶媒を蒸留
によって除去する方法(「アセトン」法として知られた
方法である。)、低分子量プレポリマーを、通常は、粘
度を低下させるための少量の溶媒の存在下で製造し、プ
レポリマーを水中に分散させた直後にジアミンによって
連鎖延長する方法(後者は「プレポリマー混合」と称す
る方法である。)が挙げられる。ポリウレタン分散液の
製造に用いる有用なポリオールとしては、例えば、ジオ
ール(例えば、エチレングリコール、ブチレングリコー
ル、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオールまたは
これらのいずれかの混合物)とジカルボン酸または無水
物(例えば、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼ
ライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、マレ
イン酸及びこれらの酸の無水物)から得られるポリエス
テルポリオール;ジオールを反応させたカプロラクトン
のようなラクトンから得られるポリラクトン;ポリプロ
ピレングリコールのようなポリエーテル;アクリル酸ま
たはメタクリル酸アルキルのようなアクリル酸エステル
とカルボキシル、ヒドロキシル、シアノ及び/もしくは
グルシジル基のような官能基を含むエチレン列不飽和モ
ノマーとの付加重合によって得られるヒドロキシルを末
端基とするポリアクリル樹脂が挙げられる。
【0012】使用できるジイソシアネートとしては、例
えば、トルエンジイソシアネート、テトラメチレンジイ
ソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソ
ホロンジイソシアネート、エチルエチレンジイソシアネ
ート、2,3−ジメチルエチレンジイソシアネート、1
−メチルトリメチレンジイソシアネート、1,3−シク
ロペンチレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシ
レンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシア
ネート、4,4′−ビフェニレンジイソシアネート、
1,5−ナフタレンジイソシアネート、ビス−(4−イ
ソシアナトシクロヘキシル)メタン、4,4′−ジイソ
シアナトジフェニルエーテル、テトラメチルキシレンジ
イソシアネートなどが挙げられる。イソシアネート基と
反応性であって、陰イオンを形成できる基を有する化合
物としては、例えば、ジヒドロキシプロピオン酸、ジメ
チロールプロピオン酸、ジヒドロキシコハク酸及びジヒ
ドロキシ安息香酸が挙げられる。他の適当な化合物は、
単糖類、例えば、グルコン酸、糖酸、ムチン酸、グルク
ロン酸などを酸化することによって製造できるポリヒド
ロキシ酸である。酸を中和して、水分散性とするための
陰イオン基を形成するのに用いられる適当な第三アミン
としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミ
ン、ジメチルアニリン、ジエチルアニリン、トリフェニ
ルアミンなどが挙げられる。プレポリマーを連鎖延長す
るのに適当なジアミンとしては、例えば、エチレンジア
ミン、ジアミノプロパン、へキサメチレンジアミン、ヒ
ドラジン、アミノエチルエタノールアミンなどが挙げら
れる。プレポリマーの形成を助けたり、その粘度を低下
させ、且つ、水分散性を増大させるのに溶媒を使用する
ことができる。使用できる溶媒としては、例えば、メチ
ルエチルケトン、トルエン、テトラヒドロフラン、アセ
トン、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンな
どが挙げられるが、N−メチルピロリドンのような水混
和性溶媒が非常に好ましい。
【0013】次に、本発明に用いられるアクリル系樹脂
について説明する。アクリル系樹脂は、アクリルエステ
ルあるいはメタクリルエステルを主要な成分とする重合
体をいう。本発明のアクリル系樹脂には、アルキルアク
リレート、アルキルメタクリレートのみからなる重合体
でもよいが、アルキルアクリレート、アルキルメタクリ
レートの以外の単量体を共単量体とする共重合体であっ
てもよい。これら共単量体としては特に限定はなく、こ
れら共単量体を選ぶことにより必要とする特性を与える
ことができる。アクリル系樹脂の形成に用いられるアル
キルアクリレート、アルキルメタクリレートのアルキル
基としては、具体的には、メチル基、エチル基、n−プ
ロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル
基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、ラウリル
基、ステアリル基、シクロヘキシル基などが挙げられ
る。また、本発明で用いることができる共単量体として
は、例えば、官能基を有するビニル単量体が挙げられ
る。
【0014】本発明に用いられるアクリル系樹脂の1つ
として、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレー
ト30〜99.9モル%及びこれらと共重合可能でかつ
官能基を有するビニル単量体70〜0.1モル%を用い
た水溶性あるいは水分散性樹脂が挙げられる。本発明に
用いられるアクリル系樹脂は数平均分子量20万〜10
0万のものが好ましい。上記のアクリル系樹脂におい
て、アルキルアクリレートあるいはアルキルメタクリレ
ートを30モル%以上有することにより塗布形成性、塗
膜の強度、耐ブロッキング性が与えられ、また、共重合
可能でかつ官能基を有するビニル単量体によってもたら
される特性をアクリル系樹脂に与えるためには、共重合
可能でかつ官能基を有するビニル単量体を0.1モル%
以上導入することが必要である。
【0015】共重合可能でかつ官能基を有するビニル単
量体を用いることにより、水溶化したり、水分散化しや
すくすることができ、水分散状態を長期にわたり安定に
することができる。さらに、塗布層の積層ポリエステル
支持体への接着性の改善、塗布層内での反応による塗布
層の強度、耐水性、耐薬品性の改善、更に、写真感光材
料と他の材料との接着性の改善などをはかることができ
る。本発明で用いるアルキルアクリレートあるいはアル
キルメタクルートと共重合可能でかつ官能基を有するビ
ニル単量体としては、樹脂に親水性を付与して樹脂の水
分散性を良好にする官能基を有するビニル単量体、ポリ
エステル支持体との接着性、下塗り層上に設ける他の塗
布層との接着性を良好にする官能基を有するビニル単量
体が好ましく、好ましい官能基の具体例としては、カル
ボキシル基及び/またはその塩、酸無水物基、スルホン
酸基及び/またはその塩、アミド基またはアルキロール
化されたアミド基、アミノ基(置換アミノ基を含む)ま
たはアルキロール化されたアミド基、水酸基、エポキシ
基等が挙げられる。特に、良好な接着性、水溶性、水分
散性を与えるという点からすると、官能基としてはカル
ボキシル基及び/またはその塩、酸無水物基、エポキシ
基等が好ましい。上記官能基は樹脂中に2種以上含有さ
れていてもよい。
【0016】さらに、本発明においてはアルキルアクリ
レートあるいはアルキルメタクリレートと共重合可能で
かつ官能基を有するビニル系単量体として、反応性官能
基、自己架橋性官能基などの官能基を有する下記の化合
物類を使用することができる。カルボキシル基及び/ま
たはその塩、あるいは酸無水物基を有する化合物として
は、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン
酸、フマル酸、クロトン酸、これらのカルボン酸のナト
リウムなどとの金属塩、アンモニア塩あるいは無水マレ
イン酸などが挙げられる。スルホン酸基及び/またはそ
の塩を有する化合物としては、ビニルスルホン酸、スチ
レンスルホン酸、これらのスルホン酸のナトリウムなど
との金属塩、アンモニア塩などが挙げられる。アミド基
あるいはアルキロール化されたアミド基を有する化合物
としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メ
チルメタクリルアミド、メチロール化アクリルアミド、
メチロール化メタクリルアミド、ウレイドビニルエーテ
ル、β−ウレイドイソブチルビニルエーテル、ウレイド
エチルアクリレートなどが挙げられる。アミノ基あるい
はアルキロール化されたアミノ基及び/またはその塩を
有する化合物としては、ジエチルアミノエチルビニルエ
ーテル、2−アミノエチルビニルエーテル、3−アミノ
プロピルビニルエーテル、2−アミノブチルビニルエー
テル、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチル
アミノエチルビニルエーテル、それらのアミノ基をメチ
ロール化したもの、ハロゲン化アルキル、ジメチル硫
酸、サルトンなどにより4級塩化したものなどが挙げら
れる。水酸基を有する化合物としては、β−ヒドロキシ
エチルアクリレート、β−ヒドロキシエチルメタクリレ
ート、β−ヒドロキシプロピルアクリレート、β−ヒド
ロキシプロピルメタクリレート、β−ヒドロキシビニル
エーテル、5−ヒドロキシペンチルビニルエーテル、6
−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、ポリエチレング
リコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモ
ノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノアク
リレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレー
トなどが挙げられる。エポキシ基を有する化合物として
は、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレー
トなどが挙げられる。
【0017】本発明に用いられるアクリル系樹脂には、
上記以外にさらにアクリロニトリル、メタクリロニトリ
ル、スチレン類、ブチルビニルエーテル、マレイン酸モ
ノあるいはジアルキルエステル、フマル酸モノあるいは
ジアルキルエステル、イタコン酸モノあるいはジアルキ
ルエステル、メチルビニルケトン、塩化ビニル、塩化ビ
ニリデン、酢酸ビニル、ビニルピリジン、ビニルピロリ
ドン、ビニルトリメトキシシランなどの共単量体を併用
してもよい。本発明において併用できる共単量体はこれ
らに限定されるものではない。
【0018】次に、本発明に用いられるビニリデン系樹
脂について説明する。本発明においてビニリデン系樹脂
とは、塩化ビニリデンを主成分として含む単一あるいは
共重合体をいう。これらビニリデン系樹脂はラテックス
の形態や粉体の形態で市販されており、本発明において
はこれらを用いることができる。本発明で用いるビニリ
デン系樹脂はラテックスの形態であるものが好ましい。
この様なラテックスは、例えば、旭化成株式会社、呉羽
化学株式会社より市販されている。これらの市販の塩化
ビニリデン共重合体を以下に示す。
【0019】V−1 サランラテックス L502 V−2 サランラテックス L106C V−3 サランラテックス L108 V−4 サランラテックス L110A V−5 サランラテックス L115A V−6 クレハロンラテックス DOA・X−1 V−7 クレハロンラテックス DOA・X−2 本発明の下引層の塗布液において、ビニリデン系樹脂は
水溶性ポリマーとともに用いられる。
【0020】本発明で用いる水溶性ポリマーとは、20
℃において、水100gに0.05g以上溶解するポリ
マーをいい、その種類は特に限定されるものではない。
水溶性ポリマーの20℃の水100gに対する溶解量は
0.05g以上であれば本発明で用いることができる
が、溶解量が0.1g以上である水溶性ポリマーが好ま
しい。以下に、本発明で用いることができる水溶性ポリ
マーとしては、例えば、ゼラチン、ゼラチン誘導体、ゼ
ラチンと他の高分子とのグラフトポリマー、アルブミ
ン、カゼイン等の蛋白質、ヒドロキシエチルセルロー
ス、カルボキシメチルセルロース、セルロース硫酸エス
テル等のごときセルロース誘導体、アルギン酸ソーダ、
セルロース硫酸エステル、デキストリン、デキストラ
ン、デキストラン硫酸塩などの糖誘導体、ポリビニルア
ルコール、ポリビニルアルコール部分アセタール、ポリ
−N−ビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリメタク
リル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルイミダゾー
ル、ポリビニルピラゾール等の単一あるいは共重合体等
の合成水溶性高分子が挙げられる。本発明で用いること
ができる水溶性ポリマーはこれらに限定されるわけでは
ない。これらの水溶性ポリマーは単独で使用しても、2
種以上併用してもよい。
【0021】本発明において、特に好ましい水溶性ポリ
マーは、ゼラチンである。ゼラチンとしては、公知のゼ
ラチンを用いることができる。これらの例としては、ア
ルカリ処理ゼラチン、酸処理ゼラチン、ゼラチン誘導
体、例えば、部分フタル化ゼラチン、アセチル化ゼラチ
ンなどが挙げられるが、好ましくは脱イオン化ゼラチン
である。本発明のビニリデン系樹脂および水溶性ポリマ
ーを含有する下引層の塗布液おけるビニリデン系樹脂と
水溶性ポリマーの混合比率は、ビニリデン系樹脂:水溶
性ポリマー=20:1〜1:4(重量比)であることが
好ましく、さらに好ましくは10:1〜1:1である。
水溶性ポリマーの比率が小さいときは、本発明の目的で
ある巻き癖回復性や回収性が不十分となり、こ比率が大
きいときは、下引層の支持体に対する接着性が不十分と
なる。さらに、ビニリデン系樹脂と水溶性ポリマーの混
合比率が上記範囲であれば下引層塗布液の分散安定性が
向上し、また、下引層上に写真構成層等の親水性コロイ
ド層を塗設する場合、優れた接着性を有することを見い
だした。
【0022】本発明のポリウレタン系樹脂及びアクリル
系樹脂を含有する下引層の塗布液、ビニリデン系樹脂お
よび水溶性ポリマーを含有する下引層の塗布液には、本
発明の効果を損なわない範囲で他のポリマーを混合する
ことができる。本発明において、下引層の塗布液は、水
系の塗布液であることが好ましい。水系の塗布液とは水
あるいは水を主たる溶媒とした塗布液をいい、溶液の状
態であっても、分散液の状態であってもよい。
【0023】下引層の塗布液には種々の添加剤を添加す
ることができる。例えば、塗布助剤として界面活性剤等
を添加してもよく、支持体を巻き取る際のブロッキング
を防止するためにマット剤を混合してもよい。マット剤
としては無機粒子が好ましい。無機粒子の具体例として
は、シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、アルミナゾ
ル、カオリン、タルク、マイカ、炭酸カルシウムなどを
挙げることができる。無機微粒子は平均粒径0.01〜
10μmであるものが好ましく、更に好ましい平均粒径
は0.08〜2μmである。添加量は、塗布液の固形分
1部に対する配合比は、重量比で0.05〜5部が好ま
しく、より好ましくは0.1〜1部である。下引層の塗
布液は、固形分を0.5〜20重量%含有するものが好
ましく、更に好ましくは1〜10重量%含有するもので
ある。本発明の下引層の塗布液には耐水性を向上させる
ために、硬化剤を含有させることができる。用いる硬化
剤に特に制限はないが、好ましく用いられる硬化剤とし
ては、例えば、アジリジン系、エポキシ系等の硬化剤が
挙げられる。
【0024】次に、本発明に用いられる積層ポリエステ
ル支持体について説明する。本発明の積層ポリエステル
支持体の総膜厚は105〜130μmであり、これによ
りカメラ等でのピントの問題、パトローネへの充填の問
題を解決している。本発明における積層ポリエステル支
持体は、少なくとも2層のポリエステル層を積層してな
る。積層ポリエステル支持体を構成する層は2層以上で
あれば何層であってもかまわないが、製造設備が複雑化
する等の点からすると、2層または3層が好ましい。本
発明の積層ポリエステル支持体において、その少なくと
も1層のポリエステル層は、共重合成分として少なくと
も一種の金属スルホネート基を有する芳香族ジカルボン
酸を全エステル結合単位に対して4〜10mol%含有
し、かつ、少なくとも一種のポリアルキレングリコール
および/またはポリエーテルジカルボン酸をポリエステ
ル反応生成物の2〜8重量%共重合成分として含有する
共重合ポリエステル(以下、本発明の共重合ポリエステ
ルということもある。)からなっている。積層ポリエス
テル支持体の他の層はいずれのポリエステルを用いた層
であってもよい。
【0025】本発明の積層ポリエステル支持体は、例え
ば、汎用のポリエステル(ホモ)と本発明の共重合ポリ
エステルを準備し、2層以上を積層することにより得る
ことができる。本発明の積層ポリエステル支持体が3層
以上の積層体である場合、写真現像時の巻き癖回復性を
高めるためには、外層が本発明の共重合ポリエステルの
層であることが好ましい。さらに、積層層間の接着性の
向上のためには、特開平6−161035号公報に記載
のように、汎用のポリエステル層に共重合ポリエステル
を混合することが好ましく、混合する割合は5〜50重
量%であることが好ましく、10〜40重量%であるこ
とがより好ましい。また、本発明の積層ポリエステル支
持体は、共重合成分の比率の異なる本発明の共重合ポリ
エステルを2種以上準備して2層以上の積層体としても
よい。この時、積層層間の接着性向上のためには隣接す
る層間の共重合成分差をある範囲内に設定することが好
ましく、これについては、例えば、特開平6−2895
34号公報の記載を参考にできる。本発明の共重合ポリ
エステルを用いて3層以上の異なるポリエステル層積層
する場合、写真現像時の巻き癖回復性を高めるために
は、外層の共重合成分比率を内層よりも多くすることが
好ましい。
【0026】本発明の積層ポリエステル支持体が3層以
上の積層体である場合、中間層の膜厚の合計が40〜1
00μmであることが好ましく、55〜85μmである
ことがより好ましい。40μm未満では巻きぐせが付き
易すくなり、100μm以上では巻きぐせ回復性が低下
してしまう。また、汎用のポリエステル(ホモ)層と本
発明の共重合ポリエステル層の2層からなるの積層体で
ある場合、汎用のポリエステル(ホモ)層の膜厚が50
〜100μmであることが好ましく、65〜90μmで
あることがより好ましい。さらに、共重合成分の一部ま
たは全てが異なるポリエステル樹脂を2種以上準備して
2層以上積層しても良い。なお、積層ポリエステル支持
体を構成する層は、厚み2ミクロン以上のものであり、
これら層には下引層等は含まない。さらに、本発明に使
用されるポリエステル支持体は、厚みを二等分する位置
を中心として、その両側の積層構造が互いに非対称であ
ることが巻き癖防止やアンチカールの観点から好まし
い。ここでいう非対称とは、物理的、機械的あるいは化
学的に相違することを意味し、例えば、構成する層の厚
さが異なる、ポリエステルを構成する主構成成分やその
量が異なる、ポリエステルの共重合成分やその量が異な
る、あるいは、固有粘度が異なる、さらには吸水率、弾
性率が異なることも含まれる。これら積層支持体の非対
称を確認するには、各種分析機器を用いることができ、
特に限定されないが、層構成については支持体断面を顕
微鏡観察により確認することにより行うことができる。
また、支持体を半分に分割する面まで、それぞれ上下か
ら削り取り、上下の分析対象物を得て、加水分解を行い
液体クロマトグラフィーやNMR分析、GPC分析を行
ってもよい。また、この上下の分析対象物の固有粘度測
定、吸水率、弾性率測定を行ってもよい。
【0027】次に、本発明の積層ポリエステル支持体に
用いるポリエステルについて説明する。本発明に用いら
れるポリエステルとは、二塩基酸の少なくとも一種とグ
リコールの少なくとも一種を構成成分とするポリエステ
ルであり、二塩基酸としては、例えば、テレフタル酸、
イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸もしく
はそのエステル形成性誘導体などが挙げられ、グリコー
ルとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレン
グリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコー
ル、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレン
グリコール、p−キシリレングリコールなどが挙げられ
る。なかでも、これらポリエステルとしては、テレフタ
ル酸とエチレングリコールを構成成分とするポリエチレ
ンテレフタレートが好ましい。
【0028】次に、本発明の少なくとも1層のポリエス
テル層に用いられる本発明の共重合ポリエステルについ
て詳細に説明する。本発明に用いられる本発明の共重合
ポリエステルは、少なくとも一種の金属スルホネート基
を有する芳香族ジカルボン酸を全エステル結合単位に対
して4〜10mol%含有し、かつ、少なくとも一種の
ポリアルキレングリコールおよび/またはポリエーテル
ジカルボン酸を共重合成分としてポリエステル反応生成
物の2〜8重量%含有する共重合ポリエステルである。
本発明に用いられる本発明の共重合ポリエステルは、例
えば、少なくとも一種の金属スルホネート基を有する芳
香族ジカルボン酸、少なくとも一種のポリアルキレング
リコールおよび/またはポリエーテルジカルボン酸を共
重合成分とし、芳香族二塩基酸とグリコールを主構成成
分とする合成をすることができる。上記金属スルホネー
ト基を有する芳香族ジカルボン酸としては、例えば、5
−ナトリウムスルホイソフタル酸、2−ナトリウムスル
ホイソフタル酸、4−ナトリウムスルホイソフタル酸、
4−ナトリウムスルホ−2,6−ナフタレンジカルボン
酸もしくはそのエステル形成性誘導体、及び、これらの
化合物のナトリウムを、例えば、カリウム、リチウムな
ど他の金属で置き換えた化合物を用いることができる。
上記ポリアルキレングリコールとしては、例えば、ポリ
エチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールな
どを用いることができ、このうちポリエチレングリコー
ルが好ましい。ポリアルキレングリコールの分子量は特
に限定されないが、300〜20000が好ましく、更
に好ましくは600〜10000、特に好ましくは10
00〜5000である。また、本発明でいうポリエーテ
ルジカルボン酸はエステル等の誘導体も含み、例えば、
下記式で示される化合物が挙げられる。 R1OOCCH2−(O−R2n−OCH2COOR31、R3:水素原子または炭素数1〜8のアルキル基 R2:炭素数2〜8のアルキレン基 n:正の整数 このうち、R1及びR3としては水素原子が好ましく、R
2としてはエチレンが好ましい。ポリエーテルジカルボ
ン酸の分子量は特に限定されないが、300〜2000
0が好ましく、更に好ましくは600〜10000、特
に好ましくは1000〜5000である。
【0029】上記二塩基酸としては、例えば、テレフタ
ル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸
などを用いることができ、上記グリコール(二価のアル
コール)としては、例えば、エチレングリコール、プロ
ピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリ
コール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチ
レングリコール、p−キシリレングリコールなどを用い
ることができる。なかでもテレフタル酸とエチレングリ
コールを主構成成分とする共重合ポリエチレンテレフタ
レートが好ましい。本発明の積層ポリエステル支持体に
用いられるポリエステル、共重合ポリエステルは、本発
明の効果を阻害しない範囲で、さらに他の成分が共重合
されていてもよいし、他のポリマーがブレンドされてい
ても良い。
【0030】本発明で用いることができる二塩基酸とし
ては、上記の芳香族二塩基酸の他に、例えば、2,7−
ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボ
ン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジ
カルボン酸などの芳香族ジカルボン酸及びそのエステル
形成可能な誘導体(例えば、無水物、低級アルキルエス
テル等);シクロプロパンジカルボン酸、シクロブタン
ジカルボン酸及びヘキサヒドロテレフタル酸などの脂環
式ジカルボン酸及びそのエステル形成可能な誘導体(例
えば、無水物、低級アルキルエステル等);アジピン
酸、コハク酸、シュウ酸、アゼライン酸、セバシン酸及
びダイマー酸などの脂肪族ジカルボン酸及びそのエステ
ル形成可能な誘導体(例えば、無水物、低級アルキルエ
ステル)が挙げられ、これらは全二塩基酸の10モル%
以下の量で使用することができる。本発明で使用するこ
とができる上記以外の二価のアルコールとしては、例え
ば、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、
ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テト
ラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネ
オペンチルグリコール、p−キシレングリコール、1,
4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、
p,p’−ジヒドロキシフェニルスルフォン、1,4−
ビス(β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ポ
リアルキレン(例、エチレン、プロピレン)グリコー
ル、及びp−フェニレンビス(ジメチロールシクロヘキ
サン)などが挙げられ、これらは全二価のアルコールの
10モル%以下の量で使用することができる。上記ポリ
エステルは、例えば、安息香酸、ベンゾイル安息香酸、
ベンジルオキシ安息香酸、メトキシポリアルキレングリ
コールなどの1官能性化合物によって末端の水酸基また
はカルボキシル基を封鎖したものであってもよく、ある
いは、例えば、極く少量のグリセリン、ペンタエリスリ
トールの如き3官能エステル形成化合物、4官能エステ
ル形成化合物を実質的に線状の共重合体が得られる範囲
内で用い変性されたものであってもよい。
【0031】本発明に用いられる本発明の共重合ポリエ
ステルを含むポリエステル(以下、単にポリエステルと
いうことがある。)は、通常の公知の方法で得ることが
できる。すなわち、ジカルボン酸成分とグリコール成分
をエステル交換後、高温、減圧下にて重縮合せしめて得
ることができる。共重合成分である金属スルホネート基
を有する芳香族ジカルボン酸類やポリエチレングリコー
ルをエステル交換反応後に添加し、重縮合を行う。本発
明に用いられるポリエステル樹脂は0.35〜0.70
の範囲の固有粘度を有することが好ましい。この範囲以
下では脆弱性が不充分となり、この範囲以上では機械強
度が強すぎることになる。本発明に用いられるポリエス
テルには、酸化防止剤を含有させてもよい。特に、ポリ
エステルがポリオキシアルキレン基を有する化合物を用
いて合成されたものである場合、支持体製膜工程での熱
分解物などの影響で、写真感光材料の未露光部分の濃度
が高くなるいわゆるかぶり現象が生じやすくなるため、
酸化防止剤を添加は有効である。使用する酸化防止剤は
その種類につき特に限定はなく、各種の酸化防止剤を使
用することができるが、その例としては、ヒンダードフ
ェノール系化合物、ホスファイト系化合物、チオエーテ
ル系化合物などの酸化防止剤を挙げることができる。な
かでも、透明性の点で、ヒンダードフェノール系化合物
を酸化防止剤として用いることが好ましい。酸化防止剤
は、通常、ポリエステルに対して0.01〜2重量%、
好ましくは0.1〜0.5重量%添加される。酸化防止
剤の含有量が少ないと、写真感光材料にかぶり現象が生
じやすくなり、多すぎるとフィルムのヘーズが高くなり
透明性が劣ることになる場合がある。なお、これらの酸
化防止剤は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を
組合せて使用してもよい。
【0032】本発明に用いられるポリエステルには、ラ
イトパイピング現象を防止する目的で、染料を含有させ
ることが好ましい。このような目的で配合される染料と
しては、その種類に特に限定があるわけではないが、フ
ィルムの製造工程で加熱されるので、耐熱性に優れてい
ることが要求され、アンスラキノン系やペリノン系の染
料が好ましい。また、色調としては、一般の写真感光材
料に見られるようにグレー染色が好ましい。これらの染
料としては、Bayer社製のMACROLEXシリー
ズ、住友化学(株)製のSUMIPLASTシリーズ、
三菱化成(株)製のDiaresinシリーズなどが挙
げられ、これらを1種単独で、もしくは2種以上の染料
を必要な色調となるように混合して用いることができ
る。この際、フィルムの分光透過率を400〜700n
mの波長範囲で60%以上85%以下とし、さらに60
0〜700nmの波長範囲で分光透過率の最大と最小の
差が10%以内とするように染料を用いることが、ライ
トパイピング現象を防止し、かつ、良好な写真プリント
を得る上で好ましい。着色剤の添加方法としては特に限
定がある訳ではなく、ポリエステルの重合から溶融押出
までのいずれかの段階で必要量の着色剤を添加し、着色
すればよく、また、あらかじめ高濃度のいわゆるマスタ
ーペレットを用意しておき、適宜希釈して溶融押出する
方法は濃度をコントロールしやすいことから好ましく用
いられる。回収ポリエステルを含有させる場合などで濃
度の微調整が必要な場合はこの方法が有効である。マス
ターペレットにおける染料の濃度は100〜10000
ppmが好ましい。また、ポリエステルに対して染料を
同じ濃度にした場合、厚膜の支持体では、薄手に比べト
ータルの染料が増加し、透過率が下がることになる。こ
の濃度アップが問題となる場合は、乳剤層が塗設される
側の表層にくる層以外の層の濃度を低めに設定すること
もできる。
【0033】本発明のポリエステル支持体には、必要に
応じて易滑性を付与することもできる。易滑性付与手段
としては特に限定はないが、ポリエステルに不活性無機
粒子を添加する外部粒子添加方法、ポリエステルの合成
時に添加する触媒を析出させる内部粒子析出方法、ある
いは、界面活性剤などをフィルム表面に塗布する方法な
どが一般的である。これらの中でも、析出する粒子を比
較的小さくコントロールできる内部粒子析出方法が、フ
ィルムの透明性を損なうことなく易滑性を付与できるの
で好ましい。触媒としては、公知の各種触媒が使用でき
るが、特に、Ca、Mnを使用すると高い透明性が得ら
れるので好ましい。これらの触媒は1種でもよいし、2
種を併用してもよい。上記の酸化防止、ライトパイピン
グ防止、易滑性などの機能付与、または上記以外の各種
添加剤の添加は、全層に添加することができるが、少な
くとも表面層に添加されていることが好ましい。他の層
の添加量を減らすとか、あるいは、添加しないことでフ
ィルムの透明性を高くすることもできる。
【0034】さらに、本発明のポリエステルには、回収
ポリエステルを含有させることができる。回収ポリエス
テルとは、写真用ポリエステル支持体の製膜工程におい
て、エッジ屑や不良巻などとして発生するフィルム屑を
回収し、粉砕したもの、あるいは、ポリエステル支持体
を用いて作られた写真感光材料の屑(先端加工やパーフ
ォ屑、不良巻きなど)やユーザーで不要となったフィル
ムを回収して支持体以外の層を剥離し、粉砕したもので
ある。回収ポリエステルは、乳剤が塗設される面の支持
体最外層以外の層に混合することが好ましく、3層以上
の場合は中間層に混合することが好ましい。混合する割
合は40重量%以下であることが好ましい。40重量%
以上では強度、透明性等に問題がでてくることがある。
なお、回収ポリエステルとしてはPETボトルなどの回
収屑もあるが、不純物、写真性能への影響等の問題から
するとあまり好ましくない。ただし、こうした屑も性能
に影響しない範囲で混合させることは可能であり、資源
リサイクルの観点からは好ましい。
【0035】ポリエステルの積層は、従来公知の方法で
行うことができる。例えば、複数の押出機およびフィー
ドブロック式ダイあるいはマルチマニフォールド式ダイ
による共押出し法、積層体を構成する単層フィルムまた
は積層フィルム上に積層体を構成するその他の樹脂を押
出機から溶融押出し、冷却ドラム上で冷却固化させる押
出しラミネート法、積層体を構成する単層フィルムまた
は積層フィルムを必要に応じてアンカー剤や接着剤を介
して積層するドライラミネート法などが挙げられる。な
かでも製造工程が少なくてすみ、各層間の接着性が良好
な共押出し法が好ましい。
【0036】未延伸シートを得る方法および縦方向に一
軸延伸する方法には、従来公知の方法を用いることがで
きる。例えば、原料のポリエステルをペレット状に成型
し、熱風乾燥あるいは熱をかけながら真空乾燥する。乾
燥温度は熱で酸化分解しない範囲で高い方が好ましく、
通常、100〜200℃、好ましくは140〜180℃
である。真空乾燥は酸素、水分を減らし酸化を防止でき
ることから好ましい。乾燥により、含水率を100pp
m、好ましくは30ppm以下とするのがよい。その
後、溶融押出し、Tダイよりシート状に押出して、静電
印加法などにより冷却ドラムに密着させ、冷却固化さ
せ、未延伸シートを得る。次いで、得られた未延伸シー
トを複数のロール群および/または赤外線ヒーターなど
の加熱装置を介してポリエステルのガラス転移温度(T
g)〜Tg+100℃の範囲内に加熱し、一段または多
段縦延伸する方法である。延伸倍率は、通常2.5〜6
倍の範囲で、続く横延伸が可能な範囲とする必要があ
る。延伸温度の設定は各構成層のポリエステルのTgの
なかで最も高いTgを基準にすることが好ましい。
【0037】本発明では上記の様にして得られた縦方向
に一軸延伸されたポリエステルフィルムを、Tg〜Tm
−20℃の温度範囲内で、2つ以上に分割された延伸領
域で昇温しながら横延伸し、次いで、熱固定することが
好ましい。横延伸倍率は通常3〜6倍であり、また縦、
横延伸倍率の比は、得られた二軸延伸フィルムの物性を
測定し、好ましい特性を有するように適宜調整する。延
伸温度の分割領域は少なくとも2段階、さらに3段階で
あることが好ましい。それ以上でもかまわないが、設備
が大きくなるなどの問題が生じる。各領域の温度は順次
高くなるように設定し、かつ温度差は1〜50℃の範囲
とすることが好ましい。なお、同時二軸延伸等の無接触
延伸も、傷等の故障が発生しにくいことから好ましく用
いることができる。次いで、熱固定を行うのであるが、
この前に二軸延伸フィルムを、その最終横延伸温度以下
で、Tg−40℃以上の範囲に0.01〜5分間保持す
ることが好ましい。縦、横方向に二軸延伸したフィルム
を、熱固定するに際しては、その最終横延伸温度より高
温で、Tm−20℃以下の温度範囲内で、2つ以上に分
割された領域で昇温しながら熱固定することが好まし
い。熱固定時間は通常0.5〜300秒間である。熱固
定されたフィルムは通常Tg以下まで冷却され、フィル
ム両端のクリップ把持部分をカットし巻き取られる。こ
の際、最終熱固定温度以下、Tg以上の温度範囲内で、
横方向に0.1〜10%弛緩処理することが好ましい。
また、冷却は、最終熱固定温度からTgまでを、毎秒1
00℃以下の冷却速度で徐冷することが好ましい。冷
却、弛緩処理する手段は特に限定はなく、従来公知の手
段で行えるが、特に複数の温度領域で順次冷却しながら
これらの処理を行うことが、フィルムの寸法安定性向上
の点で好ましい。なお、冷却速度の算出は、最終熱固定
温度をT1、フィルムが最終熱固定温度からTgに達す
るまでの時間をtとしたとき、(T1−Tg)/tで算
出した値である。これら熱固定条件、冷却、弛緩処理条
件のより最適な条件は、フィルムを構成するポリエステ
ルにより異なるので、得られた二軸延伸フィルムの物性
を測定し、好ましい特性を有するように適宜調整するこ
とにより決定すればよい。
【0038】本発明では、本発明の下引層の塗布液は、
製膜工程の途中の段階で、延伸・熱固定が完了する前に
塗布され、乾燥、延伸、熱処理が施され、結晶配向され
る。下引層を形成する塗布液を塗布する時期は、ペレッ
トを溶融押出し、未延伸フィルムを得た段階であっても
よく、また、該未延伸フィルムを延伸させるが最終延伸
倍率まで延伸させてはいない延伸フィルム、例えば、縦
方向または横方向のいずれか一方に延伸した一軸延伸フ
イルム、縦または横方向に更に延伸することによって配
向結晶化を完成させることができる程度に縦及び横方向
の二方向に延伸した二軸延伸フィルムを得た段階であっ
てもよい。次いで、これら下引層を形成する塗布液が塗
布された未延伸フィルムあるいは最終延伸倍率までは延
伸させてはいない延伸フィルムは、乾燥され、延伸、熱
固定等の工程に導かれ、所望の延伸倍率で延伸され、熱
固定を完了する。例えば、ポリエステルフィルムを縦に
1軸延伸した段階で下引層を形成する塗布液を塗布した
場合、塗布された縦1軸延伸ポリエステルフィルムは、
ステンターに導かれて横延伸され、熱固定される。この
間に塗布液は乾燥し、フィルム上に連続皮膜を形成す
る。乾燥は延伸前或いは延伸時に行うことが好ましい。
【0039】塗布方法としては、公知の種々の方法を用
いることができる。例えば、ロールコート法、グラビア
ロールコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート
法、エアーナイフコート法、バーコート法、含浸法及び
カーテンコート法等を単独でもしくは組み合わせて使用
することができる。塗設の際、コロナ放電処理、薬液処
理などの各種表面処理を必要に応じて施すことができ
る。さらに、強度を向上させる目的で、多段縦延伸、再
縦延伸、再縦横延伸、横・縦延伸など公知の延伸フィル
ムに用いられる延伸を行うこともできる。以上のように
して得られたポリエステルフィルムは、厚みムラが小さ
く、平面性に優れ、品質むらが非常に少ないので本発明
の効果を最大限に発揮させることができる。
【0040】次に、本発明の支持体の物性について説明
する。カメラや現像処理機で搬送不良や搬送不良による
擦り傷発生をなくすために、本発明に用いるポリエステ
ル支持体は次のような物性であることが好ましい。熱処
理後の巻癖カール度は135m-1以下であり、好ましく
は130m-1以下である。これ以上のカール度を有する
場合はカメラや現像処理機で搬送不良や搬送不良により
擦り傷を発生するトラブルを生じることがある。温水中
カール度は50m-1以下であり、好ましくは45m-1
下である。温水中カール度がこれ以上大きいとハンガー
型自動現像機での処理中にトラブルを生じることがあ
る。温水処理後の回復カール度は40m-1以下である。
これ以下であれば現像処理後の印画紙への焼き付け操作
時にフィルムによるトラブルを起こすようなことはな
い。幅手カール度は3〜20m-1である。これ以上ある
いは以下の場合、親水性コロイド層塗布後の幅手カール
が大きくなり、カメラなどの搬送中に擦り傷を発生する
トラブルを生じることがある。ヤング率は350〜48
0kg/mm2である。また、ループスティフネスは1
0〜30g重である。この範囲以外ではカメラへのフィ
ルムの自動ローディングや自動巻き上げの際のトラブ
ル、現像処理、印画紙焼き付け処理操作に搬送トラブル
を生じることがある。水中浸漬直後のヤング率は250
kg/mm2以上である。これ以下では現像処理中にフ
ィルムが折れるトラブルを生じることがある。縦方向の
熱収縮は−0.5〜3.0%である。3.0%以上では
接着層や導電層を塗設する際に塗布故障を生じたり、平
面性が劣化したりする。
【0041】なお、以上の値は下記方法で測定したもの
である。また、本発明の支持体に塗設される親水性コロ
イド層が25μm以下の場合であり、これを越える場
合、上記物性値の好ましい範囲は変化する。 <熱処理後の巻癖カール度>支持体を35mm(製造時
の横方法)×120mm(製造時の縦方向)の帯状に切
断し、温度23℃、相対湿度55%の条件下で1日放置
した後に直径が10.8mmであるコアにこれを巻き付
けた。このとき、支持体に幅手カールがあるときはその
支持体の凹面が外になるようにして巻く。その後、温度
55℃、相対湿度20%の条件下で4時間熱処理を行っ
た。熱処理後、温度23℃、相対湿度55%の条件下で
30分かけて放冷した後にコアから解放し、1分経過後
に支持体の巻癖カール度を測定する。カール度は1/r
で表し、rはカールした支持体の曲率半径を表し、単位
はmである。 <温水中カール度>支持体を35mm(製造時の横方
法)×2mm(製造時の縦方向)の帯状に切断し、38
℃の温水中に30分間浸漬した時の水中での幅手方向の
カール度を測定する。乳剤層を塗設する側が凹の場合を
プラスとして測定。 <温水処理後の回復カール度>熱処理後の巻癖カール度
と同様に熱処理を行う。熱処理後、コアから解放して支
持体の一端に70gの荷重をかけ、38℃の温水中に1
0分間浸漬する。その後、荷重をかけたまま55℃の温
風乾燥機で3分かけて乾燥する。荷重を除去し、支持体
を横置きにして温度23℃、相対湿度55%の条件下で
1日放置した後に、フィルム中央部のカール度を測定す
る。 <幅手カール度>支持体を35mm(製造時の横方法)
×2mm(製造時の縦方向)の帯状に切断し、温度23
℃、相対湿度55%の条件下で1日放置した後に、幅手
方向のカール度を測定する。乳剤層を塗設する側が凸の
場合をプラスとして測定。 <ヤング率、水中浸漬直後のヤング率>ヤング率は支持
体を温度23℃、相対湿度55%に調整された部屋に4
時間以上放置した後、試料幅10mm、長さ150mm
に切断し、チャック間100mmにして引張速度100
mm/minで引張試験を行う。得られた荷重−伸び曲
線の立ち上がり部の接線よりヤング率を計算する。水中
浸漬直後のヤング率は支持体を25℃の水中に30分浸
漬した後直ちに同様にして測定する。 <ループスティフネス>支持体を35mm×180mm
の帯状に切断し、フィルム中央付近の長さ100mmの
部分でループを作り、形成されたループを外側から10
mm押し込んだ時にかかる荷重を測定した。この測定
は、「ループスティフネステスター」((株)東洋精機
製作所製)を用いて行なう。 <熱収縮率>支持体から150mm×150mmのサン
プルを切出し、23℃、55%RHの条件下で1日調湿
した後、縦方向および横方向にそれぞれ100mm間隔
の罫書き線を入れる。そして130℃で30分間熱処理
を行い、さらに23℃、55%RHの条件下で1日調湿
した後の罫書き線の間隔を測定する。熱処理前後の罫書
き線の間隔の差を求め、熱処理前の間隔に対する100
分率で表す。なお熱処理前に対して収縮する方向を+、
伸びる方向を−とする。
【0042】また、本発明の支持体に含まれるオリゴマ
ー、アルデヒド、ジエチレングリコール(DEG)等の
不純物はカブリ等の写真性能に影響することがあるので
少ない方が好ましい。例えば、オリゴマー量は3%以
下、好ましくは1%以下である。DEGは5mol%以
下、好ましくは3mol%以下である。アルデヒドは1
00ppm以下、好ましくは30ppm以下である。
【0043】本発明の写真用支持体は、少なくとも一方
の側に少なくとも一層のハロゲン化銀乳剤層を有するこ
とにより、ハロゲン化銀写真感光材料を構成する。この
際、写真用支持体には接着性向上の為、コロナ放電処
理、グロー放電処理、紫外線処理、火炎処理、大気圧ガ
ス中放電プラズマ処理、薬液処理などの各種表面処理を
必要に応じて施すことができる。また、ハロゲン化銀乳
剤層や下引層以外に、導電層、バックコート層、滑り
層、透明磁性層、保護層なども設けることができる。特
に導電層や滑り層はスタチック防止、擦り傷発生防止か
ら好ましく用いられる。導電剤としては、例えば特公昭
60−51693号公報、特開昭61−223736号
公報及び同62−9346号公報に記載の第4級アンモ
ニウム基を側鎖に持つ架橋型共重合体粒子、特開平7−
28194号公報に記載のアイオネン重合体架橋型ある
いはアイオネン重合体を側鎖に持つ共重合体粒子等のカ
チオン帯電防止剤、特公昭35−6616号公報記載の
アルミナゾルを主成分とするもの、特開昭57−104
931号公報に記載のZnO、SnO2、TiO2、Al
23、In23、SiO2、MgO、BaO、MoO3
ZiO2等の微粒子金属酸化物、特公昭55−5982
号公報に記載のV205等の金属酸化物などが利用でき
る。滑り剤としては、例えば特願平10−184101
号明細書に記載の滑り剤が使用できる。本発明に用いる
ハロゲン化銀乳剤層を構成するハロゲン化銀としては、
任意の組成のものを使用できる。例えば、塩化銀、塩臭
化銀、塩沃臭化銀、純臭化銀もしくは沃臭化銀がある。
【0044】ハロゲン化銀乳剤は、例えば、リサーチ・
ディスクロージャー(以下、RDと略す。)No.17
643、22〜23頁(1979年12月)の“1.乳
剤製造法(Emulsion preparation
and types )”、およびRD No.18
716、648頁、グラキデ著「写真の物理と化学」ポ
ールモンテル社刊(P.Glkides,Chimie
et PhysiquePhotographiqu
e,Paul Montel,1967)、ダフィン著
「写真乳剤化学」、フォーカルプレス社刊(G.F.D
auffin,Photographic Emuls
ion Chemistry Focal Press
1966)、ゼリクマン等著「写真乳剤の製造と塗
布」、フォーカルプレス社刊(V.L.Zelikma
n et al,Making and coatin
g Photographic Emulsion,F
ocal Press 1964)などに記載された方
法を用いて調製することができる。乳剤は、米国特許第
3,574,628号明細書、同第3,665,394
号明細書および英国特許第1,413,748号明細書
などに記載された単分散乳剤も好ましい。
【0045】ハロゲン化銀乳剤には物理熟成、化学熟成
及び分光増感を行うことができる。このような工程で使
用される添加剤は、RD No.17643、RD N
o.18716及びRD No.308119(それぞ
れ、以下、RD17643、RD18716及びRD3
08119と略す。)に記載されている。下記にその記
載箇所を示す。
【0046】 〔項目〕 〔RD308119〕 〔RD17643〕 〔RD18716〕 化学増感剤 996頁III−A 23頁 648頁 分光増感剤 996頁IV−A,B,C,D 23〜24頁 648〜9頁 I,J項 強色増感剤 996頁IV−A-E,J項 23〜24頁 648〜9頁 カブリ防止剤 998頁VI 24〜25頁 649頁 安定剤 998頁VI 24〜25頁 649頁 本発明の写真感光材料がカラー写真感光材料である場
合、使用することができる写真用添加剤は上記RDに記
載されている。下記にその関連のある記載箇所を示す。
【0047】 〔項目〕 〔RD308119〕 〔RD17643〕 〔RD18716〕 色濁り防止剤 1002頁VII−I項 25頁 650頁 色素画像安定剤 1001頁VII−J項 25頁 増白剤 998頁V 24頁 紫外線吸収剤 1003頁VIII−C, 25〜26頁 XIII−C項 光吸収剤 1003頁VIII 25〜26頁 光散乱剤 1003頁VIII フィルター染料 1003頁VIII 25〜26頁 バインダー 1003頁IX 26頁 651頁 スタチック防止剤 1006頁XIII 27頁 650頁 硬膜剤 1004頁X 26頁 651頁 可塑剤 1006頁XII 27頁 650頁 潤滑剤 1006頁XII 27頁 650頁 活性剤・塗布助剤 1005頁XI 26〜27頁 650頁 マット剤 1007頁XVI 現像剤(感材中に含有)1011頁XX−B項 また、本発明の写真感光材料がカラー写真感光材料であ
る場合、種々のカプラーを使用することができ、その具
体例は、下記RD17643及びRD308119に記載されている。
下記にその関連ある記載箇所を示す。
【0048】 〔項目〕 〔RD308119〕 〔RD17643〕 イエローカプラー 1001頁VII−D項 25頁VII−C〜G項 マゼンタカプラー 1001頁VII−D項 25頁VII−C〜G項 シアンカプラー 1001頁VII−D項 25頁VII−C〜G項 カラードカプラー 1002頁VII−G項 25頁VII−G項 DIRカプラー 1001頁VII−F項 25頁VII−F項 BARカプラー 1002頁VII−F項 この他の有用残基 1001頁VII−F項 放出カプラー アルカリ可溶性カプラー1001頁VII−E項 また、これら添加剤はRD308119 1007頁
XIV項に記載されている分散法などにより、写真感光層
に添加することができる。カラー写真感光材料には前述
のRD308119 VII−K項に記載されているフィ
ルター層や中間層などの補助層を設けることができる。
カラー写真感光材料を構成する場合、前述のRD308
119 VII−K項に記載されている順層、逆層、ユニ
ット構成などの様々な層構成をとることができる。
【0049】この発明のハロゲン化銀写真感光材料を現
像処理するには、例えば、T.H.ジェームズ著、Th
e Theory of The Photograf
icProcess Forth Edition 第
291頁〜第334頁およびJournal of t
he American Chemical Soci
ety第73巻、第3,100頁(1951)に記載さ
れているそれ自体公知の現像剤を使用することができ
る。また、カラー写真感光材料は前述のRD17643
28〜29頁、RD18716 615頁及びRD3
08119 XIXに記載された通常の方法によって、現
像処理することができる。
【0050】
【実施例】以下に、本発明を実施例により具体的に説明
するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるも
のではない。 実施例1 (ポリエステル支持体の作成)テレフタル酸ジメチル1
00重量部、エチレングリコール64重量部に酢酸カル
シウムの水和物と酢酸マンガンの水和物とをそれぞれテ
レフタル酸ジメチル1モルに対して2×10-4モル添加
し、常法によりエステル交換反応を行った。得られた生
成物に5−ナトリウムスルホジ(β−ヒドロキシエチ
ル)イソフタル酸のエチレングリコール溶液(濃度35
重量%)32重量部(5.8モル%/全酸成分)、ポリ
エチレングリコール(数平均分子量3000)8.4重
量部(6.7重量%/ポリマー)、三酸化アンチモン
0.05重量部、リン酸トリメチルエステル0.13重
量部、酸化防止剤としてイルガノックス1010(登録
商標、CIBA−GEIGY社製)0.4重量%および
酢酸ナトリウム0.04重量部を添加した。次いで、徐
々に昇温、減圧し、280℃、0.5mmHgで重合を
行い共重合ポリエステルを得た。また、この共重合ポリ
エステルを用いてバイエル社製染料を次の配合割合で混
練し、染料濃度2000ppmのマスターペレットを作
製した。次いで、上記共重合ポリエステルと上記マスタ
ーペレットを9対1の割合でブレンドし、ポリエステル
Aを得た。 Macrolex Red EG 1 Macrolex Violet B 1 Macrolex Green G 1 一方、市販のポリエチレンテレフタレート(固有粘度
0.65)に、この市販のポリエチレンテレフタレート
を用い、上記と同様にして作製したマスターペレットを
9対1の割合でブレンドした。得られたポリエチレンテ
レフタレート(a)と上記ポリエステルAを、ポリエス
テルA/ポリエチレンテレフタレート(a)=35/6
5(重量比)の割合になるようにタンブラー型混合機で
ブレンドし、ポリエステルBを得た。各々150℃で8
時間真空乾燥したポリエステルAとポリエステルBを、
3台の押出機を用いて280℃で溶融押出し、Tダイ内
で層状に接合し、冷却ドラム上に静電印加しながら密着
させて冷却固化し、ポリエステルAが両外層、ポリエス
テルBが中間層である3層構成の積層未延伸シートを作
製した。なお、各層の厚さの比が1:4:3となるよう
に各押出機の押出し量を調整した。この未延伸シートを
ロール式縦延伸機を用いて90℃で縦方向に3.5倍延
伸した後、フィルムの両面をコロナ放電処理した。次い
で、このコロナ放電処理したフィルムの両面に、固形分
が10重量%になるように調整した下記の下引塗布液P
−1〜P−5をワイヤーバーコーターにて下記延伸をし
た後の乾燥塗布厚みが0.3μmになるように塗布し
た。下引塗布液を塗布したフィルムは、テンター式横延
伸機を用いて、第1延伸ゾーン100℃で総横延伸倍率
の50%延伸し、さらに第2延伸ゾーン120℃で総横
延伸倍率3.6倍となるように延伸した。次いで、10
0℃で2秒間熱処理し、さらに第1熱固定ゾーン170
℃で5秒間熱固定し、第2熱固定ゾーン210℃で15
秒間熱固定した。次いで、横方向に5%弛緩処理しなが
ら室温まで30秒かけて徐冷し、厚さ120μm(各層
の膜厚15μm/60μm/45μm)のポリエステル
シートの両面に下引層を設けた2軸延伸積層ポリエステ
ルシート1を得た。また、同様にして、厚さ80μm
(各層の膜厚10μm/40μm/30μm)のポリエ
ステルシートの両面に下引塗布液P−2を塗布した2軸
延伸積層ポリエステルシート2を得た。
【0051】〈下引塗布液P−1〉武田薬品工業(株)
製水系ウレタン樹脂タケラックXW−76−P15、
2,6−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジンナ
トリウム塩及びポリグリセリン(C−1)をそれぞれ固
形分として95.5:2.5:2.0(重量比)の割合
で10重量%含む水系下引き塗布液。 〈下引塗布液P−2〉武田薬品工業(株)製水系ウレタ
ン樹脂タケラックW−6015、2,6−ジクロロ−6
−ヒドロキシ−s−トリアジンナトリウム塩及びポリグ
リセリン(C−1)をそれぞれ固形分として95.5:
2.5:2.0(重量比)の割合で10重量%含む水系
下引き塗布液。 〈下引塗布液P−3〉ブチルアクリレート30重量%、
t−ブチルアクリレート20重量%、スチレン25重量
%及び2−ヒドロキシエチルアクリレート25重量%の
共重合体ラテックス、2,6−ジクロロ−6−ヒドロキ
シ−s−トリアジンナトリウム塩及びポリグリセリン
(C−1)をそれぞれ固形分として95.5:2.5:
2.0(重量比)の割合で10重量%含む水系下引き塗
布液。 〈下引塗布液P−4〉ブタジエン30重量%及びスチレ
ン70重量%の共重合体ラテックス、2,6−ジクロロ
−6−ヒドロキシ−s−トリアジンナトリウム塩及びポ
リグリセリン(C−1)をそれぞれ固形分として95.
5:2.5:2.0(重量比)の割合で10重量%含む
水系下引き塗布液。 〈下引塗布液P−5〉イーストマン・コダック社製水性
ポリエステルWD−SIZE、2,6−ジクロロ−6−
ヒドロキシ−s−トリアジンナトリウム塩及びポリグリ
セリン(C−1))をそれぞれ固形分として95.5:
2.5:2.0(重量比)の割合で10重量%含む水系
下引き塗布液。 (C−1) HO−(−CH2C(OH)HCH2O−)6−H 得られた2軸延伸積層ポリエステルシート1の下引層の
上に、下記の帯電防止層塗布液と滑り性層塗布液1を、
それぞれコロナ放電処理を施し、それぞれ乾燥膜厚が
0.03μmになるように塗布し、乾燥し、2軸延伸積
層ポリエステル支持体(サンプルNo.1〜5)を得た。
【0052】 〈帯電防止層塗布液〉 石原産業(株)製アンチモンドープ酸化錫SN−100D(固形分30重量%) 300g ゼラチン 10g ポリアミド−エピクロルヒドリン樹脂(アジピン酸とジエチレントリアミンの反 応生成物をエピクロル ヒドリンに常法で反応させた合成物) 固形分で0.5g ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(重合度10) 0.1g 水で仕上げる 1000ml 〈滑り性層塗布液1〉90℃で溶融したカルナウバワッ
クス90gにC1021(CH2CH2O)18H10gと水
900mlを混合し、高速ホモジナイザーを用いて分散
し、平均粒径0.06μmの滑り剤分散液を得た。この
滑り剤分散液20gに完全ケン化型ポリビニルアルコー
ル2gを混合し、水で1000mlに仕上げた。2軸延
伸積層ポリエステルシート2の下引層の上にコロナ放電
処理を施し、下記の下引上層塗布液を乾燥膜厚が0.2
μmになるように塗布乾燥し、2軸延伸積層ポリエステ
ル支持体(サンプルNo.6)を得た。
【0053】 〈下引上層塗布液〉 ゼラチン 10g 化合物(UL−1) 0.2g 化合物(UL−2) 0.2g 化合物(UL−3) 0.1g シリカ粒子(平均粒径3μm) 0.1g 水で仕上げる 1000ml
【0054】
【化1】 得られた2軸延伸積層ポリエステル支持体(サンプルN
o.1〜6)の上に特開平7−248573号公報の実施
例1に記載の写真構成層(第1〜12層)を塗設し、ハ
ロゲン化銀写真感光材料を作成した。
【0055】得られたハロゲン化銀写真感光材料(サン
プル)について下記の評価を行った。得られた結果を表
1に示す。なお、現像処理は下記の処理工程によって行
なった。 (現像処理) 処理工程 処理時間 処理温度 補充量 発色現像 3分15秒 38±0.3℃ 780cc 漂白 45秒 38±2.0℃ 150cc 定着 1分30秒 38±2.0℃ 830cc 安定 60秒 38±5.0℃ 830cc 乾燥 1分 55±5.0℃ − 補充量は感光材料1m2当たりの値である。発色現像
液、漂白液、定着液、安定液及びその補充液は以下のも
のを使用した。 (発色現像液) 水 800cc 炭酸カリウム 30g 炭酸水素ナトリウム 2.5g 亜硫酸カリウム 3.0g 臭化ナトリウム 1.3g 沃化カリウム 1.2mg ヒドロキシルアミン硫酸塩 2.5g 塩化ナトリウム 0.6g 4−アミノ−3−メチル−N−エチルーN−(β−ヒドロキシルエチル)アニ リン硫酸塩 4.5g ジエチレントリアミン五酢酸 3.0g 水酸化カリウム 1.2g 水を加えて1リットルとし、水酸化カリウムまたは20
%硫酸を用いてpH10.06に調整する。 (発色現像補充液) 水 800cc 炭酸カリウム 35g 炭酸水素ナトリウム 3g 亜硫酸カリウム 5g 臭化ナトリウム 0.4g ヒドロキシルアミン硫酸塩 3.1g 4−アミノ−メチル−N−エチル−N−(β−ヒドロキシルエチル)アニリン 硫酸塩 6.3g 水酸化カリウム 2g ジエチレントリアミン五酢酸 3.0g 水を加えて1リットルとし、水酸化カリウムまたは20
%硫酸を用いてpH10.18に調整する。
【0056】 (漂白液) 水 700cc 1,3−ジアミノプロパン四酢酸鉄(III)アンモニウム 125g エチレンジアミン四酢酸 2g 硝酸ナトリウム 40g 臭化アンモニウム 150g 氷酢酸 40g 水を加えて1リットルとし、アンモニア水または氷酢酸
を用いてpH4.4に調整する。 (漂白補充液) 水 700cc 1,3−ジアミノプロパン四酢酸鉄(III)アンモニウム 175g エチレンジアミン四酢酸 2g 硝酸ナトリウム 50g 臭化アンモニウム 200g 氷酢酸 56g アンモニア水または氷酢酸を用いてpH4.4に調整後
水を加えて1リットルとする。
【0057】 (定着液) 水 800cc チオシアン酸アンモニウム 120g チオ硫酸アンモニウム 150g 亜硫酸ナトリウム 15g エチレンジアミン四酢酸 2g アンモニア水または氷酢酸を用いてpH6.2に調整後
水を加えて1リットルとする。 (定着補充液) 水 800cc チオシアン酸アンモニウム 150g チオ硫酸アンモニウム 180g 亜硫酸ナトリウム 20g エチレンジアミン四酢酸 2g アンモニア水または氷酢酸を用いてpH6.5に調整後
水を加えて1リットルとする。
【0058】 (安定液及び安定補充液) 水 900cc パラオクチルフェニルポリオキシエチレンエーテル(n=10) 2.0g ジメチロール尿素 0.5g ヘキサメチレンテトラミン 0.2g 1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン 0.1g シロキサン(UCC製L−77) 0.1g アンモニア水 0.5cc 水を加えて1リットルとした後、アンモニア水または5
0%硫酸を用いてpH8.5に調整する。
【0059】〈現像処理後の巻癖回復性〉ハロゲン化銀
写真感光材料(サンプル)を35mm(製造時の横方
向)×120mm(製造時の縦方向)の帯状に切断し、
温度23℃、相対湿度55%RHの条件下で1日放置し
た後に、直径が10.8mmのコアに写真構成層が内側
になるように巻き付けた。その後、温度55℃、相対湿
度20%RHの条件下で4時間熱処理を行った。熱処理
後、コアから解放してサンプルの一端に70gの荷重を
かけ、上記現像処理を行った。荷重を除去し、サンプル
を横置きにして温度23℃、相対湿度55%RHの条件
下で1日放置した後にサンプルの中央部(コア部)のカ
ール度を測定し、下記の評価基準で評価したた。 (評価基準) A;カール度25未満 B;カール度25以上30未満 C;カール度30以上35未満 D;カール度35以上40未満 E;カール度40以上50未満 F;カール度50以上 この評価では評価D以上ならば実用上問題ないとみなせ
る。
【0060】〈生膜付き及び乾燥膜付き〉現像処理前お
よび現像処理後のサンプルの写真構成層側の面及びその
反対側の面に、サンプルに対してカミソリで45°の角
度で支持体に達する傷を入れ、該切り傷にかかるように
セロファン粘着テープを圧着し、次いでセロファン粘着
テープを急激に引き剥がし、切り傷から下のセロファン
粘着テープを圧着した部分(写真構成層側の面及びその
反対側の面)の剥離面積を求め、生膜付き及び乾燥膜付
きを下記の評価基準で評価した。 (評価基準) A;接着力は非常に強く、剥離面積はセロファン粘着テ
ープを圧着した部分の5%未満である。 B;接着力は強く、剥離面積はセロファン粘着テープを
圧着した部分の5%以上、20%未満である。 C;剥離面積はセロファン粘着テープを圧着した部分の
20%以上、50%未満である。 D;剥離面積はセロファン粘着テープを圧着した部分の
50%以上、100%未満である。 E;接着力は非常に弱く、写真構成層または裏面構成層
は完全に剥離する。この評価では評価B以上ならば実用
上問題ないとみなせる。
【0061】〈ウエット膜付き〉上記現像処理の発色現
像後に、サンプルの両面に、鋭利な針で支持体にまで達
する傷を格子状につけ、該表面を塗れたままの状態でゴ
ム手袋をつけた手で10秒間強くこすり、剥離した層の
面積を格子面積と比較し、剥離面積を上記生膜付き及び
乾燥膜付きの場合と同じ評価基準によってウエット膜付
きを評価した。 〈ピンボケ〉得られたサンプルをJIS K7519−
1982記載の寸法に切断し、巻き芯(11.5mm)
に巻いて35mmロールフィルムを作製し、JIS K
7519−1982を満足する寸法を有するパトローネ
内に装填した。このパトローネをコンタックRT SII
Iカメラ、プランナーT、F1.4の50mm標準レン
ズにて、実際に撮影を行い、現像処理後、ネガフィルム
を観察してピンボケの有無を観察し、下記の評価基準で
ピンボケを評価した。 (評価基準) ○;ピンボケの発生なし ×;ピンボケの発生あり
【0062】
【表1】 表1の結果より、本発明の下引き層を有するポリエステ
ル支持体は、厚さ120μmであっても、現像処理後の
巻癖回復性に優れ、膜付きも良好であるが、本発明の下
引き層でない下引き層を有するポリエステル支持体(サ
ンプルNo.5)は、膜付き、特に、ウェット膜付きで劣
る。また、支持体の厚さが薄い場合には、本発明の下引
き層を有していてもピンボケすることがわかった。(サ
ンプルNo.6)
【0063】実施例2 実施例1の下引塗布液P−1〜5のそれぞれに代え、そ
れぞれ下記下引塗布液P−6〜P−10を用い、また、
帯電防止層塗布液、滑り性層塗布液1、下引上層塗布液
を塗布しなかった以外は2軸延伸積層ポリエステル支持
体(サンプルNo.1〜6)と同様にして、2軸延伸積層
ポリエステル支持体(サンプルNo.7〜12)を作製し
た。 〈下引塗布液P−6〉旭化成(株)製サランラテックス
L110A、ゼラチン及び日本ポリウレタン工業(株)
製DC−3900をそれぞれ固形分として92.5:
5.0:2.5(重量比)の割合で10重量%含む水系
下引き塗布液。 〈下引塗布液P−7〉旭化成(株)製サランラテックス
L110A、ゼラチン、日本ポリウレタン工業(株)製
DC−3900をそれぞれ固形分として17.5:8
0.0:2.5(重量比)の割合で10重量%含む水系
下引き塗布液。 〈下引塗布液P−8〉旭化成(株)製サランラテックス
L110A、ゼラチン、日本ポリウレタン工業(株)製
DC−3900をそれぞれ固形分として67.5:重量
%対30.0:重量%対2.5重量%(重量比)の割合
で10重量%含む水系下引き塗布液。 〈下引塗布液P−9〉旭化成(株)製サランラテックス
L502、ゼラチン、日本ポリウレタン工業(株)製D
C−3900をそれぞれ固形分として67.5:30.
0:2.5(重量比)の割合で10重量%含む水系下引
き塗布液。 〈下引塗布液P−10〉旭化成(株)製サランラテック
スL110A、日本ポリウレタン工業(株)製DC−3
900をそれぞれ固形分として97.5:2.5(重量
比)の割合で10重量%含む水系下引き塗布液。得られ
た2軸延伸積層ポリエステル支持体(サンプルNo.7〜
12)の上に特開平7−248573号公報の実施例1
に記載の写真構成層(第1〜12層)を塗設し、ハロゲ
ン化銀写真感光材料を作成した。
【0064】得られたハロゲン化銀写真感光材料(サン
プル)について下記の評価を行った。得られた結果を表
2に示す。 〈写真構成層側の生膜付き及び乾燥膜付き〉実施例1と
同じ 〈現像処理後の巻癖回復性〉実施例1と同じまた、下記
により回収性の評価を行った。得られた結果を表2に示
す。 〈回収性〉2軸延伸積層ポリエステル支持体(サンプル
No.7〜12)に裏面構成層を塗設たフィルムを2×5
cmに切断した。この切片を高級アルコールのポリエチ
レングリコールエーテル(花王(株)製エマルゲン10
6)0.104gと炭酸ナトリウム0.50gを水15
0mlに溶解した水溶液に浸漬し、約90℃で撹拌し
た。この際、塗設層が完全に剥がれる時間を測定し、下
記の評価基準で回収生を評価した。得られた結果を表2
に示す。 (評価基準) A;30分未満に塗設層が完全に剥離する。 B;30分以上1時間未満に塗設層が完全に剥離する。 C;1時間以上経っても剥離しない。
【0065】
【表2】 表2の結果より、本発明の下引き層を有するポリエステ
ル支持体は、厚さ120μmであっても、現像処理後の
巻癖回復性に優れ、膜付きも良好であり、回収性も良好
であるが、本発明の下引き層でない下引き層を有するポ
リエステル支持体である場合、支持体厚さが80μmの
とき(サンプルNo.12)には、巻癖回復性は充分であ
るが、支持体厚さが120μmのとき(サンプルNo.1
1)には、巻癖回復性が不充分であり、回収性も劣って
おる。また、写真構成層への接着も不十分であった。
【0066】
【発明の効果】本発明のポリエステル支持体は、巻癖回
復性に優れ、ピンボケを発生させず、接着性が優れてい
る。また、下引層の回収も容易である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 異なるポリエステル層を少なくとも2層
    積層してなる積層ポリエステル支持体において、少なく
    とも1層のポリエステル層が共重合成分として少なくと
    も一種の金属スルホネート基を有する芳香族ジカルボン
    酸を全エステル結合単位に対して4〜10mol%含有
    し、かつ、少なくとも一種のポリアルキレングリコール
    および/またはポリエーテルジカルボン酸を共重合成分
    としてポリエステル反応生成物の2〜8重量%含有する
    共重合ポリエステルからなり、かつ、積層ポリエステル
    支持体の少なくとも片面に、ポリウレタン系樹脂及びア
    クリル系樹脂の少なくとも1種を含有する下引層の塗布
    液を塗布し、乾燥、延伸、熱処理を施し、結晶配向され
    ており、積層ポリエステル支持体の総膜厚が105〜1
    30μmであることを特徴とするポリエステル支持体。
  2. 【請求項2】 異なるポリエステル層を少なくとも2層
    積層してなる積層ポリエステル支持体において、少なく
    とも1層のポリエステル層が共重合成分として少なくと
    も一種の金属スルホネート基を有する芳香族ジカルボン
    酸を全エステル結合単位に対して4〜10mol%含有
    し、かつ、少なくとも一種のポリアルキレングリコール
    および/またはポリエーテルジカルボン酸を共重合成分
    としてポリエステル反応生成物の2〜8重量%含有する
    共重合ポリエステルからなり、かつ、積層ポリエステル
    支持体の少なくとも片面に、ビニリデン系樹脂および水
    溶性ポリマーを含有する下引層の塗布液を塗布し、乾
    燥、延伸、熱処理を施し、結晶配向されており、積層ポ
    リエステル支持体の総膜厚が105〜130μmである
    ことを特徴とするポリエステル支持体。
JP2000327651A 2000-10-26 2000-10-26 ポリエステル支持体 Pending JP2002131872A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000327651A JP2002131872A (ja) 2000-10-26 2000-10-26 ポリエステル支持体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000327651A JP2002131872A (ja) 2000-10-26 2000-10-26 ポリエステル支持体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002131872A true JP2002131872A (ja) 2002-05-09

Family

ID=18804629

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000327651A Pending JP2002131872A (ja) 2000-10-26 2000-10-26 ポリエステル支持体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002131872A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5459021A (en) Silver halide photographic light-sensitive material
JP2002131872A (ja) ポリエステル支持体
JP3467667B2 (ja) ハロゲン化銀写真感光材料用支持体の製造方法およびハロゲン化銀写真感光材料
EP0681211B1 (en) Process for preparing a photographic support
JP2879251B2 (ja) ロール状ハロゲン化銀写真感光材料
JP3451501B2 (ja) 写真用支持体
JP3496165B2 (ja) 写真用支持体
JP3496166B2 (ja) 写真用支持体及びそれを用いた写真感光材料
JPH11202446A (ja) 写真用支持体及び写真材料
JP3517797B2 (ja) 写真用支持体
JP3321692B2 (ja) ハロゲン化銀写真感光材料
JP3047476B2 (ja) 積層ポリエステルフイルム及び写真感光材料
JP3528061B2 (ja) 写真用支持体
JPH115858A (ja) ポリエステル系写真印画紙用支持体の製造方法
JP3458197B2 (ja) 写真用支持体
JP2001290243A (ja) ロール状写真感光材料用支持体及び写真感光材料用積層ポリエステル支持体の製造方法
JPH07270966A (ja) 写真用支持体および写真感光材料
JPH08328198A (ja) 写真用支持体
JPH0553245A (ja) 写真感光材料
JP2002156731A (ja) ロール状ハロゲン化銀写真感光材料
JPH08304956A (ja) 写真用支持体
JPH07306497A (ja) 写真用支持体
JPH07281353A (ja) ハロゲン化銀写真感光材料
JPH0990552A (ja) ハロゲン化銀写真感光材料
JPH0728191A (ja) ハロゲン化銀写真感光材料