JP2002131485A - イオンビーム遮断装置 - Google Patents

イオンビーム遮断装置

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JP2002131485A
JP2002131485A JP2000322056A JP2000322056A JP2002131485A JP 2002131485 A JP2002131485 A JP 2002131485A JP 2000322056 A JP2000322056 A JP 2000322056A JP 2000322056 A JP2000322056 A JP 2000322056A JP 2002131485 A JP2002131485 A JP 2002131485A
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JP2000322056A
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English (en)
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Akira Ozawa
顕 小沢
Atsushi Yoshida
敦 吉田
Isao Tanihata
勇夫 谷畑
Yutaka Takahashi
豊 高橋
Katsushige Horiguchi
勝重 堀口
Hiroaki Morita
弘明 森田
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RIKEN Institute of Physical and Chemical Research
Original Assignee
RIKEN Institute of Physical and Chemical Research
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高エネルギーイオンビームを損傷を受けるこ
となく長時間遮断することができ、遮断部の局部過熱が
少なく、かつ残留放射能の少ないイオンビーム遮断装置
を提供する。 【解決手段】 真空チャンバー11内を通過するイオン
ビームを遮断するためのビーム遮断ターゲット12と、
イオンビームの通過経路内にターゲットを出没させるよ
うに真空チャンバーの外側からターゲットを往復動させ
るターゲット往復動装置14と、ターゲットを真空チャ
ンバーの外側からイオンビームと交叉する軸心を中心に
回転させるターゲット回転装置16とを備える。イオン
ビームの遮断時に、イオンビーム遮断位置が許容温度に
なるようにターゲットを連続回転させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、重イオン加速器で
加速したイオンビームを長時間の遮断維持するためのイ
オンビーム遮断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】原子からいくつかの電子がはぎ取られ
て、電荷を帯びたものをイオンと呼び、とくにヘリウム
より重い元素のイオンを「重イオン」と呼ぶ。重イオン
を高速に加速した高速重イオンを利用する分野を「重イ
オン科学」と呼び、原子、原子核、素粒子物理学のよう
な基礎研究から、生物、医療、工業等への応用研究、さ
らに宇宙物理学、地質学、考古学等の研究まで広く利用
されている。
【0003】重イオンを加速するには、重イオン加速器
が用いられる。重イオン加速器には、重イオン線型加速
器、サイクロトロン等がある。重イオン線型加速器は、
高周波電場発生装置を直線状に配置したものであり、
金、ビスマスのような非常に重いイオンに対して加速効
率がよい特徴がある。サイクロトロンは、磁場の中で円
運動をするイオンを、運動の周期と同期した高周波電場
で繰り返し加速し、高速のイオンビームを得る装置であ
る。サイクロトロンには、AVFサイクロトロン、リン
グサイクロトロン、等の形式がある。AVF(Azim
uthally Varying Field:周回変
動磁場型)サイクロトロンは、加速途中でのイオンビー
ムの収束力を強めるために、円周方向の磁場に強弱の変
化をもたせたものである。リングサイクロトロンは、磁
場を発生させる電磁石を円周に分割配置することで磁場
の変化を大きくし、さらに強力な収束力を生み出すもの
である。
【0004】これらの重イオン加速器により、水素から
ウランまで周期律表のほとんどすべてのイオンを加速す
ることができる。また、特にリングサイクロトロンで
は、光速に対して水素で約60%、ヘリウム、炭素で約
50%、金、ウランでも約20%の高速まで加速でき
る。この場合、重イオンの加速エネルギーは、最大約2
10MeV/u(水素イオンの場合)にまで達してい
る。
【0005】上述した重イオンのイオンビームを所定の
ターゲットに照射する場合、重イオン加速器で発生した
イオンビームを遮断するためのイオンビーム遮断装置が
必要となり、例えば、図4に示す「ビームシャッター」
(実開昭63−124700号)が既に出願されてい
る。このビームシャッターは、「ビーム輸送装置内のビ
ーム通路aとビーム通路外の間で移動可能でかつ対地絶
縁されたシャッター金具bを設け、このシャッター金具
bにはビーム入射面に耐熱耐ビーム性の金属シャッター
板cを設け、ターゲット側のシャッター金具内部には外
部との間に導水管dで連結された冷却水槽eを設けた」
ものである。
【0006】また、図5は、別の従来のイオンビーム遮
断装置を示す構成図である。この図において、1はビー
ム遮断ターゲット、2は直線移動機構、3は伸縮ベロ
ー、4は冷却水入口、5は冷却水出口である。この装置
は、フランジ6でイオンビームの通路(図示せず)に気
密に取り付けられる。直線移動機構2は、移動部材2a
に取り付けられたビーム遮断ターゲット1を前後に移動
させ、イオンビーム通路にターゲット1を出没させるよ
うになっている。
【0007】上述した従来のイオンビーム遮断装置にお
いて、真空破断発生時などに、装置が所定のインターロ
ックによりイオンビームの発生を中止するまでの間、若
しくはイオンビームを発生させながらある時間の間ビー
ムを遮断したい時に、直線移動機構2によりビーム遮断
ターゲット1を前進直線移動させてビームを遮断する。
【0008】伸縮ベロー3は、移動部材2aとフランジ
6の間を気密に連結し、ビーム遮断ターゲットの雰囲気
(真空領域)と大気雰囲気とを隔離しながらビーム遮断
ターゲット1の前後移動を可能にしている。
【0009】冷却水は冷却水出入口4、5から供給・排
出され、イオンビームを遮断している間、ビーム遮断タ
ーゲット1がイオンビームの高いエネルギーを受け止め
て急速な温度上昇を余儀なくされるため、その温度上昇
を抑制するためのものである。ビーム遮断ターゲット1
の材質は、ビーム遮断ターゲット自体の温度上昇を防止
し、かつ冷却水に温度上昇分を速やかに熱伝達するため
に熱伝導性の高い材料(例えば、銅又は銅合金)が利用
されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来のイオン
ビーム遮断装置では、イオンビームを遮断している間、
遮断されたイオンビームがビーム遮断ターゲット1上の
同じ箇所にのみ照射されるため、ビーム遮断ターゲット
の寿命が極めて短い問題点があった。すなわち、重イオ
ンの加速エネルギーは、最大約210MeV/u(水素
イオンの場合)にまで達しているため、このような高エ
ネルギーのイオンビームを遮断すると、比較的小電流で
あってもほとんど瞬時にビーム遮断ターゲット1が焼損
して貫通孔ができ、ほとんど実用できない問題点があっ
た。
【0011】また、10〜20MeV/u程度のイオン
ビームの場合でも、大電流のビームであると、冷却水流
路を十分大きく設け、大量の冷却水を流さない限り、数
秒間でビーム遮断ターゲット1が焼損してしまう問題点
があった。また、この場合、遮断ターゲットの表面上の
温度分布の偏りが大きく、冷却水への熱交換効率に対し
て効率が悪く、このためビーム遮断時間を長時間維持す
ることができなかった。更に、伝熱を促進するために熱
伝導率の高い材料として銅又は銅合金をビーム遮断ター
ゲット1に使用すると、大電流の高エネルギービームを
遮断した場合に、残留放射能が高くなり、保守の際の安
全性が低下する問題点があった。
【0012】本発明は、上述した問題点を解決するため
に創案されたものである。すなわち本発明の目的は、高
エネルギーイオンビームを損傷を受けることなく長時間
遮断することができ、遮断部の局部過熱が少なく、かつ
残留放射能の少ないイオンビーム遮断装置を提供するこ
とにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、真空チ
ャンバー(11)内を通過するイオンビームを遮断する
ためのビーム遮断ターゲット(12)と、イオンビーム
の通過経路内にターゲットを出没させるように真空チャ
ンバーの外側からターゲットを往復動させるターゲット
往復動装置(14)と、ターゲットを真空チャンバーの
外側からイオンビームと交叉する軸心を中心に回転させ
るターゲット回転装置(16)とを備え、イオンビーム
の遮断時に、イオンビーム遮断位置が許容温度になるよ
うにターゲットを連続回転させる、ことを特徴とするイ
オンビーム遮断装置が提供される。
【0014】上記本発明の構成によれば、ビーム遮断タ
ーゲット(12)によるイオンビームの遮断時に、ター
ゲット回転装置(16)をその軸心を中心に連続回転さ
せることができる。従って、ターゲットの伝熱による冷
却速度が不十分であっても、ターゲットを連続回転させ
て、イオンビームをターゲット外表面の大部分でほぼ均
等に遮断し、部分的な過熱を防いで熱応力の発生を防
ぎ、かく遮断位置の最高温度をターゲットの許容温度以
下に抑えることができる。更に、この構成により、耐熱
温度が高くかつ残留放射能が低い材料(例えば、カーボ
ン)を気密性や耐熱衝撃性が低いにもかかわらずターゲ
ットの表面に用いることができ、ターゲットの耐熱性を
高め、イオンビームによる残留放射能を低減することが
できる。
【0015】本発明の好ましい実施形態によれば、更
に、前記ビーム遮断ターゲット(12)を内部から冷却
する内部冷却装置(18)を備える。また、前記ビーム
遮断ターゲット(12)は、内部から冷却された内部タ
ーゲット(12a)と、その外側に密着して設けられた
外部ターゲット(12b)とからなり、内部ターゲット
(12a)は熱伝導率が高い材料からなり、外部ターゲ
ット(12b)は耐熱温度が高くかつ残留放射能が低い
材料からなる。また、前記外部ターゲット(12b)の
外表面は、回転軸を軸心とする円筒形である、ことが好
ましい。
【0016】この構成により、内部冷却装置(18)で
内部ターゲット(12a)を冷却液(例えば冷却水)で
冷却して、内部ターゲットを残留放射能のおそれのない
十分低い温度に保持できる。また、内部ターゲットが熱
伝導率が高い材料であり、その外側に密着して外部ター
ゲットが取り付けられているので、均等に加熱された外
部ターゲットを半径方向に伝熱により効果的に冷却する
ことができる。
【0017】また、前記ターゲット往復動装置(14)
は、ビーム遮断ターゲット(12)を支持するターゲッ
ト支持台(19)と、該ターゲット支持台と真空チャン
バー(11)を気密に連結しかつターゲット支持台の往
復動を可能にする伸縮ベロー(20)と、ターゲット支
持台を往復動方向に案内し往復動させる往復動駆動装置
(15)とからなる。
【0018】この構成により、伸縮ベロー(20)でタ
ーゲット支持台(19)と真空チャンバー(11)を気
密に連結したままで、往復動駆動装置(15)によりタ
ーゲット支持台を往復動させることができる。
【0019】更に、前記ターゲット回転装置(16)
は、ビーム遮断ターゲット(12)を先端に保持しター
ゲットの往復動方向に延びる中空円筒形のターゲット支
持ロッド(13)と、該ターゲット支持ロッドを回転可
能かつ気密に支持する真空軸受(21)と、ターゲット
支持ロッドをその軸心を中心に回転駆動する回転駆動装
置(17)とからなる。
【0020】この構成により、真空軸受(21)により
ターゲット支持ロッド(13)を回転可能かつ気密に支
持した状態で、回転駆動装置(17)によりターゲット
支持ロッドをその軸心を中心に回転駆動してビーム遮断
ターゲット(12)をイオンビームと交叉する軸心を中
心に回転させることができる。
【0021】また、前記回転駆動装置(17)は可変速
機構を有し、冷却液の温度を検出し、冷却液温度が許容
温度になるようにターゲットの回転数を変化させること
が好ましい。この構成により、イオンビーム遮断時のタ
ーゲット回転数を、イオンビーム遮断位置が許容温度に
なるように最適速度に設定することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施態様
を図面を参照して説明する。なお、各図において、共通
する部分には同一の符号を付し重複した説明を省略す
る。図1は、本発明のイオンビーム遮断装置の全体斜視
図であり、図2は、図1のイオンビーム遮断装置の横断
面図である。図1及び図2に示すように、本発明のイオ
ンビーム遮断装置10は、ビーム遮断ターゲット12、
ターゲット往復動装置14、ターゲット回転装置16及
び内部冷却装置18を備える。ビーム遮断ターゲット1
2は、ビーム通路外では回転せず、ビーム遮断時に回転
を行う。
【0023】ビーム遮断ターゲット12は、内部から冷
却された内部ターゲット12aと、その外側に密着して
取付けられた外部ターゲット12bとからなる。外部タ
ーゲット12bの外表面は、回転軸Zを軸心とする円筒
形に形成されている。また、内部ターゲット12aは内
部冷却装置18による冷却剤(この例では冷却水)によ
り残留放射能のおそれのない十分低い温度まで伝熱で冷
却できるように、熱伝導率が高い材料(例えば銅又は銅
合金)からなる。更に、外部ターゲット12bは、イオ
ンビームによる残留放射能を低減するように、耐熱温度
が高くかつ残留放射能が低い材料(例えばカーボン)か
らなる。この構成により、真空チャンバー11内を通過
するイオンビームの経路にビーム遮断ターゲット12を
移動することにより、イオンビームを遮断することがで
きる。
【0024】ターゲット往復動装置14は、ターゲット
支持台19、伸縮ベロー20及び往復動駆動装置15か
らなる。ターゲット支持台19には、後述するターゲッ
ト支持ロッド13の末端(図で右端)と真空軸受21が
取付けられ、これらを介してビーム遮断ターゲット12
を水平に支持する。伸縮ベロー20は、その両端がター
ゲット支持台19と真空チャンバー11にそれぞれ気密
に取付けられ、その間を気密に連結する。また、この伸
縮ベロー20はZ軸方向に伸縮可能であり、真空チャン
バー11内の気密(真空)を保持したままターゲット支
持台19がZ軸方向に往復動できるようになっている。
【0025】往復動駆動装置15は、Z軸方向の直線ガ
イドと図示しない駆動ユニット(例えば直動シリンダ)
からなり、ターゲット支持台19を往復動方向(図でZ
軸方向)に案内し、かつ往復動させるようになってい
る。上述したターゲット往復動装置14により、イオン
ビームの通過経路内にターゲット12を出没させるよう
に真空チャンバーの外側からターゲット12を往復動さ
せることができる。
【0026】ターゲット回転装置16は、ターゲット支
持ロッド13、真空軸受21及び回転駆動装置17から
なる。ターゲット支持ロッド13は、ビーム遮断ターゲ
ット12を先端に保持しターゲットの往復動方向(Z軸
方向)に延び、末端がロッド支持部材19aにZ軸を中
心に回転可能に取付けられている。ターゲット支持ロッ
ド13は、中空円筒形であり、内部を冷却水が流れ、内
部ターゲット12aを内側から水冷するようになってい
る。真空軸受21は、この例では真空磁気軸受であり、
ターゲット支持ロッド13の中間部を回転可能に支持
し、かつこれを気密に支持している。なお、真空磁気軸
受は、軸受の内輪と外輪との間に磁性流体が充填され、
強力な磁石の作用でシールし、摩擦や摩耗がほとんどな
い特徴を有している。
【0027】回転駆動装置17は、ターゲット支持ロッ
ド13の中間部に固定されたタイミングベルト用の従動
プーリ17aと、従動プーリ17aとタイミングベルト
を介して連結された駆動プーリ17bと、駆動プーリを
回転駆動する電動機17cとからなる。電動機17c
は、例えば直流モータであり、その電圧制御により回転
速度を自由に変更できるようになっている。なお、交流
モータを用いサイリスタ制御で可変速にしてもよい。こ
の電動機17cの回転により、駆動プーリ、タイミング
ベルトを介して従動プーリ17aを回転駆動し、ターゲ
ット支持ロッド13をその軸心Zを中心に回転駆動する
ことができ、かつ必要によりその回転速度を自由に変更
できるようになっている。
【0028】内部冷却装置18は、ターゲット支持ロッ
ド13の内側を軸方向に延びる冷却パイプ18aと、こ
の冷却パイプ18aの内側に冷却水を供給する回転継手
18bと、その外側から冷却水を排水する回転継手18
cとからなり、冷却水を冷却パイプ18aを通して内部
ターゲット12aの内側に供給し、ここで内部ターゲッ
ト12aを冷却して温度上昇した冷却水を回転継手18
cから排出するようになっている。
【0029】また、本発明のイオンビーム遮断装置10
では、冷却水の出口温度を検出する温度検出器を備え、
この温度が許容温度になるように電動機17cの回転速
度を変えて、ターゲットの回転数を変化させるようにな
っている。
【0030】上述した本発明の構成によれば、ビーム遮
断ターゲット12によるイオンビームの遮断時に、ター
ゲット回転装置16をその軸心を中心に連続回転させる
ことができる。従って、ターゲットの伝熱による冷却速
度が不十分であっても、ターゲットを連続回転させて、
イオンビームをターゲット外表面の大部分でほぼ均等に
遮断し、部分的な過熱を防いで熱応力の発生を防ぎ、か
く遮断位置の最高温度をターゲットの許容温度以下に抑
えることができる。更に、耐熱温度が高くかつ残留放射
能が低い材料(例えば、カーボン)を気密性や耐熱衝撃
性が低いにもかかわらずターゲットの表面に用いること
ができ、ターゲットの耐熱性を高め、イオンビームによ
る残留放射能を低減することができる。
【0031】また、内部冷却装置18で内部ターゲット
12aを冷却液で冷却して、内部ターゲットを焼損のお
それのない十分低い温度に保持できる。また、内部ター
ゲットが熱伝導率が高い材料であり、その外側に密着し
て外部ターゲットが取り付けられているので、均等に加
熱された外部ターゲットを半径方向に伝熱により効果的
に冷却することができる。
【0032】
【実施例】図3は、本発明のイオンビーム遮断装置の実
施例を示す図である。この図において、横軸はターゲッ
ト12のZ軸まわりの回転速度、縦軸は温度である。ま
た、図中の実線は40Ar一次ビームをトータル1.8k
W投入した場合のビーム照射位置の温度(ピーク温
度)、破線はビーム照射位置が0.05秒間回転後の温
度である。この図から、10rpmでは、ビーム照射位
置の温度が800℃を超え、アルミニウムの融点を超え
ているのがわかる。この条件で、回転を停止した場合に
は、カーボンからなる外部ターゲット12bに瞬時にビ
ームサイズの貫通孔が形成された。この場合の温度の実
測はできなかったが、少なくとも1000℃をはるかに
超えていたと想定することができる。従って、図3の結
果から、ターゲット12を少なくとも10rpm以上で
回転させることにより、ビーム照射位置の温度(ピーク
温度)を約800℃前後まで下げることができ、高エネ
ルギーイオンビームを損傷を受けることなく長時間遮断
することができ、遮断部の局部過熱が少なくできること
がわかる。
【0033】次に、銅や銅合金に比べてカーボンの残留
放射能が低い理由を説明する。放射化で重要なのは、放
射線を出す原子核の寿命とその強さである。放射線に
は、β線、ガンマ線などがあるが、β線は簡単にシール
ドできるので、放射化の点ではガンマ線の寄与が大き
い。銅とカーボンを比較すると、銅付近の核図表から、
銅に強い重イオンビームを照射すると、銅に近いNi5
3,Ni59,Co60等が生成されるおそれがある。
これらは1年以上の寿命を有しかつガンマ線を出すの
で、残留放射能が高くなる。これに対して、カーボンに
強い重イオンビームを照射すると、カーボンに近いC1
4,Be10等が生成されるが、これらはガンマ線を出
さない。またそれ以外の原子核は寿命が30分以下と短
く、残留放射能のおそれがない。以上より、銅とカーボ
ンを比較した場合、放射化の点では、(1)放射化に寄
与しそうな原子核の生成率は、銅の方が大きく、(2)
寿命が1年以上の原子核はともに作られるが、カーボン
の場合はガンマ線を出す原子核はない。従って、カーボ
ンの方が放射化は少ないといえる。
【0034】すなわち、本発明によれば、ターゲットを
連続回転させて、イオンビームをターゲット外表面でほ
ぼ均等に遮断し、部分的な過熱を防いで熱応力の発生を
防ぎ、かつ遮断位置の最高温度をターゲットの許容温度
以下に抑えることができ、これにより、耐熱温度が高く
かつ残留放射能が低い材料(例えば、カーボン)を気密
性や耐熱衝撃性が低いにもかかわらずターゲットの表面
に用いることができ、ターゲットの耐熱性を高め、イオ
ンビームによる残留放射能を低減することができる。
【0035】なお、本発明は上述した実施形態に限定さ
れず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できる
ことは勿論である。
【0036】
【発明の効果】上述したように、本発明のイオンビーム
遮断装置は、ビーム遮断ターゲットを連続回転させて、
遮断位置の最高温度をターゲットの許容温度以下に抑
え、残留放射能が低い材料をターゲットとして用いるこ
とを可能にしたものである。
【0037】すなわち、本発明のイオンビーム遮断装置
は、高エネルギーイオンビームを損傷を受けることなく
長時間遮断することができ、遮断部の局部過熱が少な
く、かつ残留放射能の少ない、等の優れた効果を有す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のイオンビーム遮断装置の全体斜視図で
ある。
【図2】図1のイオンビーム遮断装置の横断面図であ
る。
【図3】本発明のイオンビーム遮断装置の実施例を示す
図である。
【図4】従来のイオンビーム遮断装置(ビームシャッタ
ー)の断面図である。
【図5】従来の別のイオンビーム遮断装置の全体斜視図
である。
【符号の説明】
a ビーム通路、b シャッター金具、c 金属シャッ
ター板、d 導水管、e 冷却水槽、1 ビーム遮断タ
ーゲット、2 直線移動機構、2a 移動部材、3 伸
縮ベロー、4 冷却水入口、5 冷却水出口、6 フラ
ンジ、10 イオンビーム遮断装置、11 真空チャン
バー、12 ビーム遮断ターゲット(ターゲット)、1
2a 内部ターゲット、12b 外部ターゲット、13
ターゲット支持ロッド、14 ターゲット往復動装
置、15 往復動駆動装置、16 ターゲット回転装
置、17 回転駆動装置、17a 従動プーリ、17b
駆動プーリ、17c 電動機、18 内部冷却装置、
18a 冷却パイプ、18b,18c 回転継手、19
ターゲット支持台、20 伸縮ベロー、21 真空軸
受(磁気シール軸受)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小沢 顕 埼玉県和光市広沢2番1号 理化学研究所 内 (72)発明者 吉田 敦 埼玉県和光市広沢2番1号 理化学研究所 内 (72)発明者 谷畑 勇夫 埼玉県和光市広沢2番1号 理化学研究所 内 (72)発明者 高橋 豊 兵庫県川西市水明台1−2−19 (72)発明者 堀口 勝重 兵庫県神戸市西区岩岡町野中453番地2 (72)発明者 森田 弘明 兵庫県神戸市長田区長田天神町4丁目4番 地7号 Fターム(参考) 2G085 BA16 BD02 BD04 BE02 BE03 BE06 EA01

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空チャンバー(11)内を通過するイ
    オンビームを遮断するためのビーム遮断ターゲット(1
    2)と、イオンビームの通過経路内にターゲットを出没
    させるように真空チャンバーの外側からターゲットを往
    復動させるターゲット往復動装置(14)と、ターゲッ
    トを真空チャンバーの外側からイオンビームと交叉する
    軸心を中心に回転させるターゲット回転装置(16)と
    を備え、 イオンビームの遮断時に、イオンビーム遮断位置が許容
    温度になるようにターゲットを連続回転させる、ことを
    特徴とするイオンビーム遮断装置。
  2. 【請求項2】 更に、前記ビーム遮断ターゲット(1
    2)を内部から冷却する内部冷却装置(18)を備え
    る、ことを特徴とする請求項1に記載のイオンビーム遮
    断装置。
  3. 【請求項3】 前記ビーム遮断ターゲット(12)は、
    内部から冷却された内部ターゲット(12a)と、その
    外側に密着して設けられた外部ターゲット(12b)と
    からなり、内部ターゲット(12a)は熱伝導率が高い
    材料からなり、外部ターゲット(12b)は耐熱温度が
    高くかつ残留放射能が低い材料からなる、ことを特徴と
    する請求項1又は2に記載のイオンビーム遮断装置。
  4. 【請求項4】 前記外部ターゲット(12b)の外表面
    は、回転軸を軸心とする円筒形である、ことを特徴とす
    る請求項3に記載のイオンビーム遮断装置。
  5. 【請求項5】 前記ターゲット往復動装置(14)は、
    ビーム遮断ターゲット(12)を支持するターゲット支
    持台(19)と、該ターゲット支持台と真空チャンバー
    (11)を気密に連結しかつターゲット支持台の往復動
    を可能にする伸縮ベロー(20)と、ターゲット支持台
    を往復動方向に案内し往復動させる往復動駆動装置(1
    5)とからなる、ことを特徴とする請求項1に記載のイ
    オンビーム遮断装置。
  6. 【請求項6】 前記ターゲット回転装置(16)は、ビ
    ーム遮断ターゲット(12)を先端に保持しターゲット
    の往復動方向に延びる中空円筒形のターゲット支持ロッ
    ド(13)と、該ターゲット支持ロッドを回転可能かつ
    気密に支持する真空軸受(21)と、ターゲット支持ロ
    ッドをその軸心を中心に回転駆動する回転駆動装置(1
    7)とからなる、ことを特徴とする請求項1又は2に記
    載のイオンビーム遮断装置。
  7. 【請求項7】 前記回転駆動装置(17)は可変速機構
    を有し、冷却液の温度を検出し、冷却液温度が許容温度
    になるようにターゲットの回転数を変化させる、ことを
    特徴とする請求項6の大電流イオンビーム遮断装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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