JP2002130651A - 鋼製煙突ライニング構造及びその施工方法 - Google Patents

鋼製煙突ライニング構造及びその施工方法

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(57)【要約】 【課題】 施工が簡易な不定形耐火物に亀裂が発生しに
くい鋼製煙突ライニング構造及びその施工方法の提供に
ある。 【解決課題】 鋼製煙突ライニング構造1は、鋼製煙突
2の内側にこの鋼製煙突2の鋼材3に接して設けられた
ロックウール4と、これより座金7が内側に突出して鋼
材3に取り付けられた座金付き溶接ピン8と、ロックウ
ール4に接して設けられた不定形耐火物9とで構成す
る。また、その施工方法は、鋼製煙突2の鋼材3の内側
にロックウール4を取り付け、これを座金付き溶接ピン
6を使用してロックウール3を貫通するように後付け固
定させた後、ロックウール4より長い長さの別の座金付
き溶接ピン8を使用してロックウール4を貫通するよう
に後付け固定させる。そして、このロックウール4の内
側に不定形耐火物9を流し込み、コテ塗り又は吹き付け
固定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋼製煙突ライニン
グ構造及びその施工方法に係り、高耐熱性を有する不定
形耐火物と高断熱性を有する断熱材とを複合させた鋼製
煙突ライニング構造及びその施工方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】鋼製煙突の鋼材の内側にライニング材を
施工する場合、鋼材に溶接ピンを溶接した後に金網を溶
接ピンに溶接し、不定形耐火物を流し込み固定した工法
や鋼材にY字状の溶接ピンを溶接して不定形耐火物を流
し込み固定した工法が知られている。
【0003】また、近年ビルの多様化により、非常用発
電機を増設するケースが増え、その発電設備も大型化、
高性能化しており、その排ガス温度が高温(400〜7
00℃)になってきている。
【0004】そのため、高耐火性を有するライニング材
が必要になっており、また、限られた狭い煙道空間にお
いて、大風量排気ガスを通す空間を確保し、且つコンク
リートが劣化しない温度まで断熱しなければならないた
め、高断熱性能を有するライニング材が求められてい
る。
【0005】この要求に答えたものとして、溶接ピンを
溶接した鋼材の内側にパーライト板などからなる断熱材
を取り付け、その後、溶接ピンに金網を溶接して不定形
耐火物を流し込み固定する工法が採用されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記断熱材と不定形耐
火物とを複合させて施工する場合、先に溶接された溶接
ピンがあるため、断熱材に穴開け加工したり、断熱材を
カットしなければ、取り付けることができず、内面の断
熱材の施工がしにくいという問題がある。また、不定形
耐火物を保持するために、溶接金網を用いると、溶接金
網の熱膨張により加熱中に不定形耐火物に亀裂を発生さ
せてしまい、長期に使用した場合には、不定形耐火物が
脱落の要因になる可能性がある。
【0007】本発明は、上記課題を解決するためになさ
れたものであり、その目的は、高耐熱性を有する不定形
耐火物と高断熱性を有する断熱材とを複合させた鋼製煙
突ライニング材を施工する場合、その施工が簡易であ
り、不定形耐火物に亀裂が発生しにくい鋼製煙突ライニ
ング構造及びその施工方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係る請求項1の
発明は、鋼製煙突の内側に該鋼材に接して設けられた断
熱材と、前記断熱材より座金が内側に突出して該鋼材に
取り付けられた座金付き溶接ピンと、前記断熱材に接し
て設けられた不定形耐火物とからなることを特徴とす
る。
【0009】請求項2の発明は、断熱材は、該断熱材の
厚さと略同一または若干短い長さの座金付き溶接ピンに
より後付け固定されていることを特徴とする。
【0010】請求項3の発明は、鋼製煙突の鋼材の内側
に断熱材を取り付け、前記断熱材を座金付き溶接ピンを
使用して断熱材を貫通するように後付け固定させ、その
後、前記断熱材より長い長さの別の座金付き溶接ピンを
使用して断熱材を貫通するように後付け固定させ、前記
断熱材の内側に不定形耐火物を流し込み、コテ塗りまた
は吹き付け固定させたことを特徴とする。
【0011】
【作用】本発明に係る請求項1の発明によれば、後打ち
の座金付き溶接ピンを使用して断熱材及び不定形耐火物
を保持することができ、その施工が簡易となる。
【0012】請求項2の発明によれば、断熱材の厚さと
略同一または若干短い長さの座金付き溶接ピンを使用す
ることで、断熱材と鋼材との遊びがなくなり、両者はし
っかりした固定となる。
【0013】請求項3の発明によれば、何れの座金付き
溶接ピンも後付け固定であり、断熱材の穴明け加工や各
種の溶接などが省けるため、その施工が簡易となる。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の鋼製煙突ライニング構造
は、断熱材と不定形耐火物とを複合させて施工する場合
に、後打ちの座金付き溶接ピンを使用して断熱材及び不
定形耐火物を保持することにより、鋼材に先に溶接され
た溶接ピン及び溶接ピンに溶接された金網を使用しない
で、高耐熱性及び高断熱性を兼ね備えた鋼製煙突ライニ
ング構造が作製でき、その施工が簡易となる。
【0015】しかも、従来は不定形耐火物を保持するた
めに、溶接金網を用いると、溶接金網の熱膨張により、
加熱中に不定形耐火物に亀裂が発生するが、本発明で
は、不定形耐火物に亀裂が発生しにくい構造となる。ま
た、断熱材の厚さと略同一または若干短い長さの座金付
き溶接ピンを使用することによって、断熱材と鋼材との
遊びをなくし、両者はしっかりと強固に固定できる。
【0016】上記断熱材としては、ボード状、フェルト
状のロックウール若しくはガラスウール、珪酸カルシウ
ム、パーライト板など使用する溶接ピンを事前に下穴を
明けることなく、無理なくスムースに貫通させることが
できる硬さ(デュロメータ硬さタイプC 100以下
(SRIS日本ゴム協会規格0101)、JIS K6
253)の低熱伝導率(λ=0.06W/m・K以下)
の断熱材を使用する。
【0017】不定形耐火物は、水と混練し、水硬性によ
って強度を発生する耐火物であり、適当に粒度を調整し
た耐火骨材を用い、水硬性材料としてアルミナセメント
を配して使用現場で水と混練し、流し込み、コテ塗りま
たは吹き付けなどによって施工できるものである。好ま
しくは、水硬性としてアルミナセメントを配し、軽量耐
火骨材として耐火軽量シャモット、バーミキュライト、
珪藻土、粉砕耐火レンガなどが含まれて、密度が400
〜1500kg/m3(110℃乾燥後)程度、650
℃×4時間での残存焼成収縮率が1%以内の耐熱性を有
する耐火断熱用軽量キャスタブルがよい。また、断熱材
と不定形耐火物の厚みの設定は、排気ガス温度と煙突周
囲条件とにより決定される。
【0018】上記構成の断熱材及び不定形耐火物を施工
するには、先ず、断熱材の厚さと略同一または若干短い
長さの後付けの座金付き溶接ピンを使用し、断熱材を貫
通するように鋼材に止め付けて固定する。この場合、溶
接ピンは最低4本/m2とする。ここで、溶接ピンの数
が4本/m2未満であると、断熱材の重量を支えること
ができず、断熱材が脱落する可能性がある。
【0019】次に、不定形耐火物のかぶり厚さ(溶接ピ
ンの座金部分を覆う不定形耐火物の厚さ(図1のa))
が最低10mmとなるような長さの後付けの座金付き溶
接ピンを使用し、断熱材を貫通させるように座金付き溶
接ピンを最低9本/m2の条件で止め付ける。溶接ピン
の数が9本/m2未満であると、断熱材の重量を支える
ことができず、断熱材が脱落する可能性がある。
【0020】ここで使用する座金付き溶接ピンとして
は、ピンの径が2mm以上で、その座金部分の面積が5
〜25cm2のものが好ましく、座金部分の形状は、円
形、楕円形、正方形、長方形、三角形など任意なものが
使用できる。ピンの径が2mm未満であると、不定形耐
火物を流し込むときにピンが曲がる可能性がある。座金
部分の面積が5cm2未満では、不定形耐火物を保持す
る面積が小さく、図5(ア)に示すように不定形耐火物
が脱落することがある。座金部分の面積が25cm2
こえると、図5(イ)に示すように座金部分を覆ってい
る不定形耐火物が脱落することがある。また、かぶり厚
さが10mm未満であると、図5(ウ)に示すように同
様に座金部分を覆っている不定形耐火物が脱落すること
がある。
【0021】以下、本発明の実施形態を図面を参照して
説明する。図1は、本発明の鋼製煙突ライニング構造を
示す説明用断面図、図2は、従来例を示す説明用断面
図、図3は、比較例を示す説明用断面図、図4は、内面
加熱試験を行う試験装置の概要図、図5は、使用する座
金による不定形耐火物の脱落例を示す説明図である。
【0022】図1に示す本発明の鋼製煙突ライニング構
造1は、鉄製鋼材からなる角形の煙突2の内面にライニ
ング加工を施した説明用断面図であり、一片が幅950
mm×高さ1250mm、厚さ6mmの鉄製鋼材3を複
数用いて角形の煙突2が構成されている。
【0023】この鉄製鋼材3の内側に、厚さ50mm、
密度200kg/m3からなる断熱材の例としてロック
ウール4を鉄製鋼材3に接し、座金5を有する長さ50
mmの溶接ピン6をロックウール4を貫通するように後
付け固定させる。この場合、溶接ピン6の数は、7本/
2としている。その後、長さ85mm、座金7が直径
30mmの溶接ピン8を溶接ガンを使用して前記ロック
ウール4を貫通するように鉄製鋼材3に、溶接ピン8の
数を36本/m2として後付け固定させた後、組成が、
Al2330%、SiO240%、Fe234%を主材
とし、比重が800kg/m3の不定形耐火物9を流し
込んで厚さ70mmに固定させてライニング構造1を構
成する。
【0024】このようにして作製した本発明の煙突ライ
ニング構造のものと、次の構成の従来例及び比較例との
施工性の比較と、図4に示す試験装置10にセットし、
不定形耐火物に生ずる亀裂発生状況を測定し比較した。
試験装置10は、架台11に設置させたベンチュリーバ
ーナー12に、減圧弁13を備えるLPガスボンベ14
からLPガスを導き、試験体Tの内部を加熱する。試験
体Tには、排気口15を有する蓋16を被せ、内部に熱
電対17を配し、これに記録計18が設けられている。
【0025】図2に示す従来例の構造20は、次のよう
な構成になっている。つまり、本発明と同様に一片が幅
950mm×高さ1250mm、厚さ6mmの鉄製鋼材
3からなる角形の煙突2の内面に、外径8mm、長さ8
5mmの溶接ピン21を、9本/m2で溶接したもの
に、既に溶接ピン21の通る穴を明けてある厚さ50m
m、密度200kg/m3からなるロックウール4を鉄
製鋼材3に取り付けて、溶接ピン21の先端に線径3m
m、網目寸法50mmの溶接金網22を溶接した後、本
発明と同様な組成、Al2330%、SiO240%、
Fe234%を主材とし、比重が800kg/m3の不
定形耐火物9を流し込んで厚さ70mmに固定させてラ
イニング構造20を構成する。
【0026】図3に示す比較例の構造25は、次のよう
な構成になっている。その構成は、本発明と同様に一片
が幅950mm×高さ1250mm、厚さ6mmの鉄製
鋼材3からなる角形の煙突2の内面に、外径8mm、長
さ85mmの溶接ピン26を36本/m2で溶接し、既
に溶接ピン26の通る穴を明けてある厚さ50mm、密
度200kg/m3からなるロックウール4を鉄製鋼材
3に取り付けた後、溶接ピン26の先端に略U字状に折
り曲げた鋼材27を溶接で固定する。その後、同様な組
成、Al2330%、SiO240%、Fe234%を
主材とし、比重が800kg/m3の不定形耐火物9を
流し込んで厚さ70mmに固定させてライニング構造2
5を構成する。
【0027】上記試験装置10において、実施例(後打
ち溶接ピン工法と称する)、従来例(溶接金網工法と称
する)及び比較例(Y型溶接ピン工法と称する)の各試
験体Tを鋼材サイズ950mm幅×1250mm高さに
定め、各試験体Tの中心温度650°×4時間保持、1
0時間以上放冷を1サイクルとして、10サイクル繰り
返す内面加熱試験を行い、各試験体Tの亀裂発生状況を
観察し比較した。その結果を表1に示す。この表1に
は、各例の施工性も併せて比較してある。
【表1】 この表1から実施例の施工性は、従来例及び比較例に比
べ、良好であること。また、その内面加熱試験では、従
来例は、100mm幅の亀甲状亀裂が生まれたが、実施
例及び比較例は、ヘアーラック数本が発生し、亀裂発生
がないことが確認できた。その結果、実施例と比較例が
従来例より優れているが、施工性の点を勘案すると、総
合点では、実施例が優れていることが判明した。
【0028】
【発明の効果】本発明は、上記構成であるから、次のよ
うな効果がある。 請求項1の発明によれば、後打ちの座金付き溶接ピ
ンを使用して断熱材及び不定形耐火物を保持することが
でき、従来例のように先に溶接された溶接ピンが障害に
なることがなく、簡易に高耐熱性及び高断熱性を兼ね備
えた鋼製煙突ライニング構造のものが作製できる。さら
に、従来例のように溶接金網を使用しないため、溶接金
網の熱膨張による不定形耐火物に亀裂が発生することが
ない。 請求項2の発明によれば、断熱材の厚さと略同一ま
たは若干短い長さの座金付き溶接ピンを使用することに
よって、この断熱材と鋼材との遊びがなくなり、両者は
しっかりと強固に固定できる。 請求項3の発明によれば、何れの座金付き溶接ピン
も後付け固定であり、従来例のように溶接ピンを所定の
位置への事前溶接が不要となり、断熱材の穴明け加工や
溶接ピンへの溶接などが省け、その施工性に優れる工法
となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の鋼製煙突ライニング構造を示す説明用
断面図。
【図2】従来例の説明用断面図。
【図3】比較例を示す説明用断面図。
【図4】内面加熱試験を行う試験装置の概要図。
【図5】使用する座金による不定形耐火物の脱落例を示
す説明図であり、図5(ア)は座金部分が小面積の場合
の脱落例を示し、図5(イ)は座金が大面積の場合の脱
落例を示し、図5(ウ)はかぶり厚さによる脱落例を示
す説明図である。
【符号の説明】
1 鋼製煙突ライニング 2 鋼製
煙突 3 鋼材 4 ロッ
クウール 7 座金 6,8 座金
付き溶接ピン 9 不定形耐火物
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F27D 1/16 F27D 1/16 P (72)発明者 澤口 直哉 静岡県浜松市新都田1−8−1 ニチアス 株式会社浜松研究所内 Fターム(参考) 3K070 BA04 BA12 BA24 BA30 4K051 AA00 AB00 GA01 GA05 KA03 KA09 LA01 LC01

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼製煙突の内側に該鋼材に接して設けら
    れた断熱材と、前記断熱材より座金が内側に突出して該
    鋼材に取り付けられた座金付き溶接ピンと、 前記断熱材に接して設けられた不定形耐火物とからなる
    ことを特徴とする鋼製煙突ライニング構造。
  2. 【請求項2】 断熱材は、該断熱材の厚さと略同一また
    は若干短い長さの座金付き溶接ピンにより後付け固定さ
    れていることを特徴とする請求項1記載の鋼製煙突ライ
    ニング構造。
  3. 【請求項3】 鋼製煙突の鋼材の内側に断熱材を取り付
    け、 前記断熱材を座金付き溶接ピンを使用して断熱材を貫通
    するように後付け固定させ、 その後、前記断熱材より長い長さの別の座金付き溶接ピ
    ンを使用して断熱材を貫通するように後付け固定させ、 前記断熱材の内側に不定形耐火物を流し込み、コテ塗り
    または吹き付け固定させたことを特徴とする鋼製煙突ラ
    イニングの施工方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101435456B1 (ko) 2013-06-27 2014-08-28 조용환 고단열 및 소음저감 조립식 연도

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