JP2012092998A - ライニング構造体及びその施工方法、並びにライニング建築物の構築方法 - Google Patents

ライニング構造体及びその施工方法、並びにライニング建築物の構築方法 Download PDF

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Hiroyuki Sunayama
寛之 砂山
Toru Yamagishi
徹 山岸
Teppei Uchimura
徹平 内村
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Abstract

【課題】ライニング構造体における白華現象を抑えることが可能なライニング構造体およびその施工方法を提供する。
【解決手段】鉄皮1と、鉄皮1に固定されるスタッド2と、鉄皮1に積層されるライニング層3Aとを備えるとともに、前記ライニング層3Aにはカリウムイオン捕獲物質が含まれるライニング構造体であり、前記ライニング層3Aは、前記鉄皮1に積層され、密度0.2〜1.7g/cmの断熱層10と、当該断熱層10に積層され、密度2.0〜6.0g/cmの耐火層11とを備えるとともに、前記耐火層11に前記カリウムイオン捕獲物質が含まれる。
【選択図】図3

Description

本発明は、加熱炉、均熱炉、焼却炉等の工業炉、高温流体が流通する配管、ダクト等の煙道、あるいは炉や配管を収容する建築物の壁面等に使用されるライニング構造体及びその施工方法に関する。また、本発明は、ライニング建築物の構築方法に関する。
加熱炉、均熱炉、焼却炉等の工業炉、炉に連結する配管のように高温ガスが流通する配管、ダクト等の煙道、あるいは炉や配管を収容する建築物の壁面等では、外表面を鉄皮で構成し、その内側を耐熱性材料でライニングするのが一般的である(例えば、特許文献1参照)。
例えば、図1は、配管のライニングに使用される円筒状のライニング構造体を示す断面図であるが、内周面に所定間隔でスタッド2と呼ばれる補強材が突設された円筒状の鉄皮1の内面に、スタッド2が隠れるようにライニング層3が形成されている。このようなライニング構造体を製造するには、先ず、スタッド2が突設された円筒状の鉄皮1を垂直に立て、ライニング層3の厚さに相当する外径を有する円筒状の型枠を鉄皮1の内側に同心状に設置する。次いで、鉄皮1と型枠との間に、耐火骨材やセメントを水に混練した混練物を流し込み、硬化させた後、型枠を取り外すことでライニング層3を形成する。
そして、炉設備の施工では、このライニング構造体同士を連結して所定形状の配管を形作り、炉の排気口に接続した後、炉を稼動させて高温のガスを配管全体に流通させてライニング層3を乾燥している。こうした乾燥によりライニング層3に含まれる水分が完全に除去される。
特開平7−190636号公報
しかしながら、最近では炉設備の大型化に伴い配管も長くなっており、それに伴ってライニング層を乾燥するまでの期間が長くなる傾向にある。また、海外での施工増加に伴い、例えば国内で製造したライニング構造体を海外に輸送し、現地で組立てる機会も増えている。このようなライニング構造体の保管期間の長期化は、場合によっては30日以上も経過することがあり、ライニング層3の表面に、一般に「白華現象」と称されている、地肌とは色の異なる斑点が生成したり、斑点部分が剥離している状態が多く見られるようになってきている。
今後とも設備の大型化や海外での施工が増加し、それに伴う白華現象の抑制は今後益々重要な課題になることが予測されるため、本発明ではライニング層における白華現象を抑えることを目的とする。
本発明者らは、白華現象について検討したところ、混練物が内包する水分が蒸発する際に、水分が表面に移行するのに伴って、骨材やセメントから溶出したカリウムイオンが移行して空気と接触して、炭酸カリウムとなって析出すること、あるいはセメント成分が炭酸カルシウムとなって析出すること、または、水酸化アルミニウムの析出を促進することが原因であることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、上記目的を達成するために下記のライニング構造体及びその施工方法、並びにライニング建築物の構築方法を提供する。
(1)鉄皮と、
鉄皮に固定されるスタッドと、
鉄皮に積層されるライニング層とを備えるとともに、
ライニング層にはカリウムイオン捕獲物質が含まれることを特徴とするライニング構造体。
(2)ライニング層が、鉄皮に積層され、密度0.2〜1.7g/cmの断熱層と、断熱層に積層され、密度2.0〜6.0g/cmの耐火層とを備えるとともに、
耐火層にはカリウムイオン捕獲物質が含まれることを特徴とする上記(1)記載のライニング構造体。
(3)鉄皮と、
鉄皮に固定されるスタッドと、
鉄皮に積層されるライニング層とを備えるとともに、
ライニング層の表面にカリウムイオン捕獲物質が他の部分よりも多く存在していることを特徴とするライニング構造体。
(4)ライニング層が、鉄皮に積層され、密度0.2〜1.7g/cmの断熱層と、断熱層に積層され、密度2.0〜6.0g/cmの耐火層とを備えるとともに、
耐火層の表面にカリウムイオン捕獲物質が他の部分よりも多く存在していることを特徴とする上記(3)記載のライニング構造体。
(5)カリウムイオンを捕獲する物質は、クラウンエーテルであることを特徴とする上記(1)〜(4)の何れか1項に記載のライニング構造体。
(6)鉄皮の内面にライニング層を積層してなるライニング構造体の施工方法であって、
鉄皮にスタッドを固定する鉄皮準備工程と、
スタッドを固定した鉄皮の表面に、骨材、カリウムイオン捕獲物質及びセメントを含むライニング層を形成するライニング層形成工程と、
を含むことを特徴とするライニング構造体の施工方法。
(7)ライニング層形成工程が、
スタッドを固定した鉄皮の内側に型枠を設置する工程と、
鉄皮と型枠との間に、骨材、カリウムイオン捕獲物質、セメント及び水を含む混練物を流し込んで硬化させる工程と、
を含むことを特徴とする上記(6)記載のライニング構造体の施工方法。
(8)ライニング層形成工程が、
スタッドを固定した鉄皮の内側に第1の型枠を設置する工程と、
鉄皮と第1の型枠との間に、軽量骨材、セメント及び水を含む断熱層用混練物を流し込んで硬化させ、断熱層を形成する工程と、
断熱層の内側に、第2の型枠を設置する工程と、
断熱層と第2の型枠との間に、耐火骨材、カリウムイオン捕獲物質、セメント及び水を含む耐火層用混練物を流し込んで硬化させ、耐火層を形成する工程と、
を含むことを特徴とする上記(6)記載のライニング構造体の施工方法。
(9)ライニング層形成工程が、
スタッドを固定した平板状の鉄皮を囲むように型枠を設置する工程と、
型枠内に、骨材、カリウムイオン捕獲物質、セメント及び水を含む混練物を流し込んで硬化させる工程と、
を含むことを特徴とする上記(6)記載のライニング構造体の施工方法。
(10)ライニング層形成工程が、
スタッドを固定した鉄皮に、骨材、カリウムイオン捕獲物質、セメント及び水を含む混練物を吹き付けて硬化させる工程であることを特徴とする上記(6)記載のライニング構造体の施工方法。
(11)鉄皮の内面にライニング層を積層してなるライニング構造体の施工方法であって、
鉄皮にスタッドを固定する鉄皮準備工程と、
スタッドを固定した鉄皮の表面に、骨材及びセメントを含むライニング層を形成するライニング層形成工程と、
ライニング層の表面にカリウムイオン捕獲物質を他の部分よりも多く存在させる表面処理工程と、
を含むことを特徴とするライニング構造体の施工方法。
(12)ライニング層形成工程において骨材及びセメントを含む混練物を硬化させ、かつ、
表面処理工程において硬化物にカリウムイオン捕獲物質を含む溶液を塗布または吹き付けることを特徴とする上記(11)記載のライニング構造体の施工方法。
(13)上記(1)〜(5)の何れか1項に記載のライニング構造体を組み立ててライニング建築物を構築する構築方法において、
ライニング構造体を30日以上所定の場所に保管する工程を含むことを特徴とするライニング建築物の構築方法。
本発明では、カリウムイオン捕獲物質を、ライニング層を形成する混練物に内添、もしくは混練物が硬化した後に塗布することにより、ライニング層の表面で混練物中のカリウムイオンが空気と接触することがなくなり、白華現象の発生を抑えることができる。
1層構造のライニング層を有するライニング構造体の例を示す断面図である。 図1に示すライニング構造体の施工方法を説明するための図である。 2層構造のライニング層を有するライニング構造体の例を示す断面図である。 図3に示すライニング構造体の施工方法を説明するための図である。 平板状のライニング構造体の施工方法を説明するための図である。
以下、本発明に関して図面を参照して詳細に説明する。
図1は、円筒状で、1層構造のライニング層を有するライニング構造体の例を示す断面図である。図示されるように、スタッド2が固定された鉄皮1の、スタット2が突出している側(以下「内側」)に、ライニング層3が形成されている。尚、鉄皮1は、安価なことから鉄製が好ましいが、鉄を含む合金や他の金属であってもよい。
このようなライニング構造体を施工するには、図2(図1のA部分の拡大図)に示すように、スタッド2が固定された円筒状の鉄皮1を、平面状の土台に垂直(図の例では紙面手前側)に配置し、スタッド2の突出長Hよりも内側に、型枠10を同心状に設置する。そして、鉄皮1と型枠10との間に、ライニング層3の形成材料を含む混練物3aを流し込み、硬化させる。すなわち、鉄皮にスタッドを固定する鉄皮準備工程と、スタッドを固定した鉄皮の表面に、骨材、カリウムイオン捕獲物質及びセメントを含むライニング層を形成するライニング層形成工程とを含んでいればよい。
混練物3aは、骨材やセメントを主成分とし、更にカリウムイオン捕獲物質を添加して水と混練したものである。
骨材は、バーミキュライト、パーライト、中空シリカなどの多孔質軽量骨材、シャモット、セルベン、珪石、シンターアルミナ、耐火レンガ粉砕物といった軽量骨材や、炭化珪素、アルミナ質骨材、ムライト質骨材、アンダリューサイトやバン土頁岩などのシリカ・アルミナ質骨材、シリカ質骨材といった耐火骨材が挙げられる。
骨材の粒径は、期待される効果が得られるのであれば特に制限はないが、例えば、0.1〜6.5mm、好ましくは0.5〜4mmの粗粒とすることができ、0.15〜1.18mmの中粒、150μm未満の微粒とすることもでき、こうした粗粒、中粒、微粒を組み合わせてもよい。
尚、混練物3aにおける骨材、セメント及び水の配合比率は、制限されるものはないが、骨材70〜90質量部、セメント10〜30質量部、水5〜200質量部が適当である。
また、骨材とは別に、必要に応じて粒径0.01〜20μm、好ましくは0.07〜10μmのアルミナ超微粉末、シリカ超微粉末、珪石粉、珪藻土、粘土といった無機超微粉末を添加してもよい。無機超微粉末により、ライニング層を更に緻密にすることができる。無機超微粉末の配合量は、骨材およびセメントの合計100質量部に対してそれぞれ0.01〜0.10質量部であればよい。
セメントは、結合材として機能するものであれば特に制限されないが、例えば、ポルドラントセメント、白色セメント、フライアッシュセメント、シリカセメント、アルミナセメント等の水硬性セメント等を挙げることができる。本発明においては、耐熱性の高いアルミナセメントを好適に使用できる。ここで、アルミナセメントとは、CaO・Alを主成分とするセメントで、例えば、Al比率が40質量%以上、好ましくは50質量%以上であればよい。
混練物3aにおいて、骨材やセメントからカリウムイオンが水中に溶出し、酸素と結合して白華現象の原因となる水酸化カリウムになるため、本発明では、カリウムイオン捕獲物質を混練物に添加する。カリウムイオン捕獲物質は、セメントの硬化状態に影響を与えることなく、カリウムイオンを捕獲できれば制限はなく、カリウムイオンを包摂したり、カリウムイオンと配位結合する物質を使用すればよい。さらに、こういったカリウムイオン捕獲物質は、カリウムイオンのみを選択的に捕獲する物質が好ましく、カルシウムイオンを包摂したり、カルシウムイオンと配位結合しないことがさらに好ましい。このような選択的にカリウムイオンを捕獲する物質としては、クラウンエーテルやエチレンジアミン四酢酸(EDTA)が好適である。尚、クラウンエーテルの中では、環の径がカリウムイオンのイオン径に近いものが好ましく、18−クラウン−6−エーテルが特に好ましいといえる。また、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)についても多くの種類があるが、上述したようにカリウムイオンのみを選択的に捕獲するエチレンジアミン四酢酸(EDTA)が特に好ましいといえる。
カリウムイオン捕獲物質の添加量は、骨材やセメントからのカリウムイオンの溶け出し量によるが、実用上は骨材とセメントの合計量100質量部に対しカリウムイオン捕獲物質の質量換算値(固形分換算値)で0.001〜5質量部が適当である。5質量部を超えて過剰に添加しても白華現象を抑える効果に変わりはなく、0.001質量部よりも少ないと白華現象を抑えることができなくなる。カリウムイオン捕獲物質の添加量は、好ましくは骨材とセメントの合計量100質量部に対しカリウムイオン捕獲物質の質量換算値(固形分換算値)で0.05〜3質量部、より好ましくは骨材とセメントの合計量100質量部に対しカリウムイオン捕獲物質の質量換算値(固形分換算値)で0.1〜1質量部である。
尚、混練物3aは粘土を含有する場合も多く、その場合は粘土からのカリウムの溶出も加わるため、骨材、セメント及び粘土の合計100質量部に対し、骨材及びセメントに対する上記添加量と同様にする。
さらに、後述するように、混練物3aに含まれるカリウムの量を制限してもよい。
更に、混練物3aには、必要に応じて、例えば、ナフタレンスルホン酸系、燐酸塩系、カルボン酸系、アクリル酸系、リグニンスルホン酸系、ポリアルコール系等の有機物及び塩類等といった分散剤や、例えば、ポリカルボン酸塩等といった硬化遅延剤、金属アルミニウム、オキシカルボン酸塩、有機繊維等といった乾燥爆裂防止剤等を添加してもよい。こうした分散剤や硬化遅延剤、乾燥爆裂防止剤の配合量は、骨材およびセメントの合計100質量部に対してそれぞれ0.01〜0.10質量部であればよい。
スタッドを固定した鉄皮の表面に、上記の混練物を含むライニング層を形成するライニング層形成工程としては、特に制限はなく、流し込み施工や吹き付け施工といった公知の手段を採用すればよい。具体的には、スタッドを固定した鉄皮の内側に型枠を設置する工程と、鉄皮と型枠との間に、骨材、カリウムイオン捕獲物質、セメント及び水を含む混練物を流し込んで硬化させる工程とを含んでいればよく、また、スタッドを固定した鉄皮の内側に第1の型枠を設置する工程と、鉄皮と第1の型枠との間に、軽量骨材、セメント及び水を含む断熱層用混練物を流し込んで硬化させ、断熱層を形成する工程と、断熱層の内側に、第2の型枠を設置する工程と、断熱層と第2の型枠との間に、耐火骨材、カリウムイオン捕獲物質、セメント及び水を含む耐火層用混練物を流し込んで硬化させ、耐火層を形成する工程とを含んでいてもよく、さらにまた、スタッドを固定した平板状の鉄皮を囲むように型枠を設置する工程と、型枠内に、骨材、カリウムイオン捕獲物質、セメント及び水を含む混練物を流し込んで硬化させる工程とを含んでいてもよく、スタッドを固定した鉄皮に、骨材、カリウムイオン捕獲物質、セメント及び水を含む混練物を吹き付けて硬化させる工程とを含んでいてもよい。
上記の混練物を流し込む方法には制限はないが、バイブレーター等の振動を与えることなく重力によるセルフフローで型枠内に流し込む方法、ポンプ圧送により流し込む方法等が挙げられる。セルフフローの施工方法によれば、バイブレーター等の設備が不要でありコストが削減できる。また、ポンプ施工を併用することにより、施工効率は向上し、施工時間の短縮と作業者の削減が可能となる。
そして、混練物3aを硬化させ、型枠10を取り外すことにより、図1に示すライニング構造が得られる。本発明によれば、骨材やセメント、更には粘土等から溶出するカリウムイオンがカリウムイオン捕獲物質で捕獲され、ライニング層3の表面に移行したとしても空気と接することがなくなり、白華現象を起こすことがない。
上記では、混練物3aにカリウムイオン捕獲物質を添加(内添)した場合を説明したが、カリウムイオン捕獲物質を含まない混練物を鉄皮1と型枠10の間に流し込み、硬化後に型枠10を取り外し、硬化物にカリウムイオン捕獲物質を塗工しても同様の効果が得られる。すなわち、鉄皮にスタッドを固定する鉄皮準備工程と、スタッドを固定した鉄皮の表面に、骨材及びセメントを含むライニング層を形成するライニング層形成工程と、ライニング層の表面にカリウムイオン捕獲物質を他の部分よりも多く存在させる表面処理工程とを含んでいてもよい。表面処理工程として、カリウムイオン捕獲物質を塗工する場合には、カリウムイオン捕獲物質を含有する溶液を噴霧するのが簡便である。
炉設備の施工では、このライニング構造体同士を連結して所定形状の配管を形作り、炉の排気口に接続した後、炉を稼動させて高温のガスを配管全体に流通させてライニング層3を乾燥している。こうした乾燥によりライニング層3に含まれる水分が完全に除去される。そのため、混練物3aが硬化しても、硬化物中には水分が残っており、残った水分により白華現象が発生する。そこで、混練物3aが硬化した後、硬化物にカリウムイオン捕獲物質を含有する溶液を噴霧するなどして硬化物の内部に前記溶液を浸透させることにより、硬化物の表層にカリウムイオン捕獲物質が存在するようになり、白華現象を抑えることができる。しかも、カリウムイオン捕獲物質の使用量は、混練物3aに内添する場合よりも少なくて済む。
また、上記では、1層構造のライニング構造体の施工方法について説明したが、2層構造のライニング構造体を施工するには以下のように行う。なお、2層以上の多層構造であっても構わない。但し、この場合、最も外側(鉄皮から最も離れた層)に位置するライニング層にカリウムイオン捕獲物質が含まれればよい。
図3は、図1に従って示す図であるが、断熱層10と耐火層11との2層構造のライニング層3Aを有する。近年では、耐熱性の更なる向上の要求が強く、また、軽量化も要求されるようになってきており、図示されるような2層構造のライニング層3Aを施したライニング構造体も普及している。断熱層10は、シリカ中空粒子等の軽量骨材を含むため軽量であり、また骨材内部の空気層による断熱作用を有する。一方、耐火層11は、侵食性のある高温流体に直接接するため、耐食性に優れた炭化珪素や、耐熱性に優れたアルミナ、シリカ等の耐火骨材を含む。尚、断熱層10の密度は、耐火層11の密度より小さければ特に制限はないが、例えば0.2〜1.7g/cmであればよい。また、耐火層11の密度は、断熱層の密度より大きければ特に制限はないが、例えば2.0〜6.0g/cmであればよい。断熱層10の密度が小さくなるほど、空気層が増えるのでその分断熱性が向上する。
施工は、先ず図4(図3のB部分の拡大図)の(a)に示すように、スタッド2を突設した鉄皮1の内側に、例えばスタッド2の中程の厚さに相当する外径を有する円筒状の第1の型枠40を設置し、鉄皮1と第1の型枠40との間に、軽量骨材やセメントを水に混練した混練物10aを流し込み、硬化させた後、第1の型枠40を取り外すことにより、(b)に示すように断熱層10が形成される。
断熱層10を形成する混練物10aに制限はないが、例えば、軽量骨材70〜80質量部、セメント20〜30質量部、水5〜200質量部を混練した混練物を使用できる。また、軽量骨材の他に、必要に応じて耐火骨材を含んでいてもよい。その場合、配合量は、軽量骨材60〜70質量部、耐火骨材1〜10質量部、セメント20〜30質量部、水5〜200質量部とすることができる、また、水の添加量を好ましくは10〜200質量部、より好ましくは15〜200質量部、特に好ましくは30〜200質量部とすることもできる。
次いで、(c)に示すように、断熱層10の内側に、スタッド2が隠れるような外径を有する円筒状の第2の型枠41を設置し、断熱層10と第2の型枠41との間に、耐火骨材やセメントとともに上記のカリウムイオン捕獲物質を添加し、水に混練した混練物11aを流し込み、硬化させた後、第2の型枠41を取り外して耐火層11を形成する。混練物11aにおいても、カリウムイオン捕獲物質の添加量は同様である。
また、耐火層11を形成する際に、カリウムイオン捕獲物質を含まない混練物11aを流し込み、混練物11aが硬化した後に第2の型枠41を取り外し、カリウムイオン捕獲物質を噴霧等により塗工してもよい。また、断熱層10の表面に、混練物11aを吹き付けて硬化させて耐火層を形成してもよい。
耐火層11を形成する混練物11aに制限はないが、カリウムイオン捕獲物質以外の組成としては、例えば、耐火骨材80〜90質量部、セメント10〜20質量部、水5〜200質量部を混練した混練物を使用でき、好ましくは、耐火骨材80〜90質量部、セメント10〜20質量部、無機超微粉末1〜10質量部、水5〜200質量部を混練した混練物を使用できる。また、耐火骨材の他に、必要に応じて軽量骨材を含んでいてもよい。その場合、配合量は、耐火骨材70〜80質量部、軽量骨材1〜10質量部、セメント20〜30質量部、水5〜200質量部を混練した混練物を使用できる。ここで、水の添加量を好ましくは5〜30質量部、より好ましくは5〜20質量部、特に好ましくは5〜25質量部とすることもできる。
上記したライニング構造体は何れも円筒体を呈しているが、図5に示すように平板のライニング構造体とすることもできる。ここでは、一層構造のライニング層を有するライニング構造体を示すが、スタッド2が突設された平板の鉄皮1の周囲に型枠50を配置し、型枠内にライニング層を形成する、カリウムイオン捕獲物質を添加した混練物3aを流し込み、硬化させた後に型枠50を取り外せばよい。また、カリウムイオン捕獲物質を含まない混練物を流し込み、硬化後にカリウムイオン捕獲物質を噴霧等により塗工してもよい。
また、白華現象の原因となるカリウムイオンを混練物の構成材料から取り除いてもよい。即ち、カリウムイオンの発生源である骨材(軽量骨材、耐火骨材)やセメント、粘土からカリウムを除去すればよい。
最も簡便な方法は、骨材やセメント、粘土を水洗いしてから用いる方法である。また、カリウムイオンが溶出しやすいように、温水を用いてもよい。特に粘土は、カリウム含有量が多いため水簸処理したものを使用する。
また、骨材については、加熱して表面をガラス化してもよく、コロイダルシリカやアルミナゾル、水ガラス等の無機バインダーで表面をコーティングし、カリウムイオンが溶出しないようにしてもよい。
また、セメントについては、カリウムイオンの少ないセメントを用いる。
カリウムイオンを除去する方法は上記に限らず可能であるが、何れの場合も、混練物におけるカリウムイオン濃度が1×10−2モル/g以下になるように処理することが好ましい。このようなカリウムイオン濃度にすることで、白華現象を起こすことがなくなる。また、カリウムイオン濃度は、より好ましくは0.8×10−2モル/g以下、さらに好ましくは0.7×10−2モル/g以下、さらにより好ましくは0.5×10−2モル/g以下である。
上述したライニング構造体を1ユニットとして複数のライニング構造体を組み立ててライニング建築物を構築してもよい。こうした構築方法において、ライニング構造体を30日以上所定の場所に保管してもよい。また、組み立てたライニング建築物は所定期間(例えば30日以上)放置されたのち、高温のガスを流通させてライニング層を乾燥させてもよい。
以下に試験例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれにより何ら制限されるものではない。
カリウムイオンの濃度と、白華現象の発生との関係を調べた。即ち、骨材とセメントとを水に混練して混練物とする際に、混練物中のカリウムイオン濃度が表1になるように調整し、型枠に入れて恒温恒湿容器にて18時間静置して硬化させ、試験体を作製した。そして、二酸化炭素雰囲気に置かれた恒温槽(50℃)に試験体を浸漬して白華現象が起こるのを促進させ、白華現象が起こるまでの時間を計測した。結果を表1に併記するが、カリウムイオンが白華現象に関与しており、イオン濃度が高いほど白華現象が早期に起こっていることがわかる。また、カリウムイオン濃度が1×10−2モル/g以下であれば、白華現象の発生を実用上問題のない期間抑えることができる。
1 鉄皮
2 スタッド
3、3A ライニング層
10 断熱層
11 耐火層

Claims (13)

  1. 鉄皮と、
    鉄皮に固定されるスタッドと、
    鉄皮に積層されるライニング層とを備えるとともに、
    ライニング層にはカリウムイオン捕獲物質が含まれることを特徴とするライニング構造体。
  2. ライニング層が、鉄皮に積層され、密度0.2〜1.7g/cmの断熱層と、断熱層に積層され、密度2.0〜6.0g/cmの耐火層とを備えるとともに、
    耐火層にはカリウムイオン捕獲物質が含まれることを特徴とする請求項1記載のライニング構造体。
  3. 鉄皮と、
    鉄皮に固定されるスタッドと、
    鉄皮に積層されるライニング層とを備えるとともに、
    ライニング層の表面にカリウムイオン捕獲物質が他の部分よりも多く存在していることを特徴とするライニング構造体。
  4. ライニング層が、鉄皮に積層され、密度0.2〜1.7g/cmの断熱層と、断熱層に積層され、密度2.0〜6.0g/cmの耐火層とを備えるとともに、
    耐火層の表面にカリウムイオン捕獲物質が他の部分よりも多く存在していることを特徴とする請求項3記載のライニング構造体。
  5. カリウムイオンを捕獲する物質は、クラウンエーテルであることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のライニング構造体。
  6. 鉄皮の内面にライニング層を積層してなるライニング構造体の施工方法であって、
    鉄皮にスタッドを固定する鉄皮準備工程と、
    スタッドを固定した鉄皮の表面に、骨材、カリウムイオン捕獲物質及びセメントを含むライニング層を形成するライニング層形成工程と、
    を含むことを特徴とするライニング構造体の施工方法。
  7. ライニング層形成工程が、
    スタッドを固定した鉄皮の内側に型枠を設置する工程と、
    鉄皮と型枠との間に、骨材、カリウムイオン捕獲物質、セメント及び水を含む混練物を流し込んで硬化させる工程と、
    を含むことを特徴とする請求項6記載のライニング構造体の施工方法。
  8. ライニング層形成工程が、
    スタッドを固定した鉄皮の内側に第1の型枠を設置する工程と、
    鉄皮と第1の型枠との間に、軽量骨材、セメント及び水を含む断熱層用混練物を流し込んで硬化させ、断熱層を形成する工程と、
    断熱層の内側に、第2の型枠を設置する工程と、
    断熱層と第2の型枠との間に、耐火骨材、カリウムイオン捕獲物質、セメント及び水を含む耐火層用混練物を流し込んで硬化させ、耐火層を形成する工程と、
    を含むことを特徴とする請求項6記載のライニング構造体の施工方法。
  9. ライニング層形成工程が、
    スタッドを固定した平板状の鉄皮を囲むように型枠を設置する工程と、
    型枠内に、骨材、カリウムイオン捕獲物質、セメント及び水を含む混練物を流し込んで硬化させる工程と、
    を含むことを特徴とする請求項6記載のライニング構造体の施工方法。
  10. ライニング層形成工程が、
    スタッドを固定した鉄皮に、骨材、カリウムイオン捕獲物質、セメント及び水を含む混練物を吹き付けて硬化させる工程であることを特徴とする請求項6記載のライニング構造体の施工方法。
  11. 鉄皮の内面にライニング層を積層してなるライニング構造体の施工方法であって、
    鉄皮にスタッドを固定する鉄皮準備工程と、
    スタッドを固定した鉄皮の表面に、骨材及びセメントを含むライニング層を形成するライニング層形成工程と、
    ライニング層の表面にカリウムイオン捕獲物質を他の部分よりも多く存在させる表面処理工程と、
    を含むことを特徴とするライニング構造体の施工方法。
  12. ライニング層形成工程において骨材及びセメントを含む混練物を硬化させ、かつ、
    表面処理工程において硬化物にカリウムイオン捕獲物質を含む溶液を塗布または吹き付けることを特徴とする請求項11記載のライニング構造体の施工方法。
  13. 請求項1〜5の何れか1項に記載のライニング構造体を組み立ててライニング建築物を構築する構築方法において、
    ライニング構造体を30日以上所定の場所に保管する工程を含むことを特徴とするライニング建築物の構築方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014214881A (ja) * 2013-04-22 2014-11-17 新日鉄住金エンジニアリング株式会社 炉構造体、並びに、その構築方法及び解体方法
JP2015152540A (ja) * 2014-02-18 2015-08-24 株式会社東芝 燃焼炉
JP2016197500A (ja) * 2015-04-02 2016-11-24 トヨタ紡織株式会社 燃料電池用冷却液、燃料電池の冷却システム、及び燃料電池用冷却液の濾過装置
JP2017203541A (ja) * 2016-05-13 2017-11-16 黒崎播磨株式会社 断熱材及びその施工方法

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