JP2002130400A - 伝動ベルトの駆動装置 - Google Patents

伝動ベルトの駆動装置

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JP2002130400A
JP2002130400A JP2000329840A JP2000329840A JP2002130400A JP 2002130400 A JP2002130400 A JP 2002130400A JP 2000329840 A JP2000329840 A JP 2000329840A JP 2000329840 A JP2000329840 A JP 2000329840A JP 2002130400 A JP2002130400 A JP 2002130400A
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belt
rib
pulley
rubber layer
transmission belt
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JP2000329840A
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Yukitoshi Kanai
幸利 金井
Makoto Sakashita
誠 坂下
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Mitsuboshi Belting Ltd
Original Assignee
Mitsuboshi Belting Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 特にクランクプーリの角加速度の大きい場合
において発生しやすいベルトスリップ音を抑制し、また
A/Cにスイッチを入れた瞬間に発生するベルトスリッ
プ音を抑制した伝動ベルトの駆動装置を提供することを
目的とする。 【解決手段】 心線3を埋設した接着ゴム層2と、この
接着ゴム層2の内側に位置し、1つ以上のリブ部6を形
成する圧縮ゴム層5とで構成されたVリブドベルト1
と、該ベルトのリブ部6と係合するリブ溝部11をもっ
たプーリ10とを組み合わせた伝動ベルトの駆動装置で
あり、圧縮ゴム層5に、tanδピーク温度が−45〜
−15°Cのアルキル化クロロスルフォン化ポリエチレ
ンを使用し、前記アルキル化クロロスルフォン化ポリエ
チレン100重量部に対して、少なくともパラ系アラミ
ド繊維を含む短繊維を5〜20重量部含有させ、そして
ベルトのリブ部6をプーリのリブ溝部11に係合する際
に、局部的に大きな応力を該リブ部の底部に集中させ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は自動車等に用いられ
る伝動ベルトの駆動装置に関し、特にクランクプーリの
回転時の角加速度が大きい自動車用エンジンとこれに装
着した伝動ベルトとの組み合わせたもので、角加速度が
大きき時に発生しやすいリブドベルトとプーリ間のスリ
ップ音等を抑制した伝動ベルトの駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、省エネルギー化、コンパクト化の
社会的要請を背景に、自動車のエンジンルーム内の雰囲
気温度は従来に比べて上昇してきている。これに伴い、
そこに使用される伝動ベルトに対する耐熱性の要求が高
くなっている。そこで、この種の伝動ベルトとして、耐
熱性に優れたクロロスルホン化ポリエチレン系のものを
使用することが検討されている。しかし、この種のゴム
材は、耐久性、低温特性(耐寒性)の面で問題があり、
その改良が望まれている。
【0003】このため、特許第2614547号では、
クロロスルホン化ポリエチレン分子の主鎖にアルキル基
を導入して結晶化度を低減させるようにしたアルキル化
クロロスルホン化ポリエチレン(以下、ACSMとい
う。)を伝動ベルトの圧縮ゴムとして用いることが記載
されている。すなわち、このものは、上記ACSMの塩
素含有量を15〜35重量%、硫黄含有量を0.5〜
2.5重量%とすることにより、伝動ベルトの低温特性
の向上を図るものである。
【0004】また、特許第2983894号では、クロ
ロスルホン化ポリエチレン分子の主鎖にアルキル基を導
入して結晶化度を低減させるようにしたACSMを、伝
動ベルトの圧縮ゴムとして用いることが記載されてい
る。ここでは、ACSMの温度100°C、振動数10
Hzでのtanδ(損失正接)が0.08〜0.15の
範囲内とし、クラックの発生の抑制を図っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ACS
Mを用いた伝動ベルトの場合、自動車用エンジンの補機
であるエアコンプレッサー(以下、A/Cという。)、
発電機、ウーターポンプを駆動させるVリブドベルトと
して使用した場合、このA/Cのスイッチを入れた瞬間
に、スリップによる発音が発生したり、また自動車用エ
ンジンのクランクプーリの回転時の角加速度が大きくな
ったとき、Vリブドベルトがクランクプーリとの間でス
リップが起り、「キュー、キュー」と言った鳴き音が発
生することがあった。
【0006】通常、A/Cは、自動車内の室温が高い場
合には、そのスイッチは切られており、ベルトとA/C
は連動しておらず、ベルトのみが高速で空回りしてい
る。そのため、自動車内の室温の上昇により、A/Cの
スイッチを入れた瞬間、ベルトとA/Cが連動を開始す
るが、その時、ベルトには急激な負荷がかかり、この負
荷のためにベルトは一瞬スリップを起こして、発音する
ことがわかった。また、スリップによる発音は、自動車
用エンジンのクランクプーリの回転時に角加速度が大き
くなったときにも、同様な原理でベルトとクランクプー
リ間で発生していた。
【0007】一般にベルト張力が高ければ、このように
急激に負荷が掛かっても、スリップすることが少なくて
発音の問題も少ないが、前述のように、A/C用のVリ
ブドベルトは、使用していないときでも、ベルトのみが
高速で空回りしている。このため、ベルトの摩耗や心線
の伸び等でベルトの張力が徐々に低下していき、このA
/Cのスイッチを入れた瞬間に発生するスリップも起こ
りやすく、それによる発音の問題も顕著になる。また、
自動車用エンジンのクランクプーリが回転時に角加速度
が大きくなった場合も同じことが言える。
【0008】先にあげた特許第2614547号では、
専らベルトゴムの低温特性の向上を図ったものであり、
また、特許第2983894号では、前述のように使用
中のクラック発生の抑制を図っており、このベルトの発
音問題について対策がされていない。
【0009】また、特開平7−151191号公報で
は、圧縮ゴム層内にパラ系アラミド繊維を添加し、ベル
トの発音防止を図ったベルトが開示されているが、これ
はベルト張力が高い場合に発生するベルトの摩擦によ
る、所謂こすれ音に対する発音防止を図ったものであ
り、A/C用のVリブドベルトのように、張力が低くな
った場合の、急激な負荷によるスリップに起因する発音
とは、その対象が異なるものである。
【0010】そこで、本発明はこのような問題を解決す
るものであり、特にクランクプーリの角加速度の大きい
場合において発生しやすいベルトスリップ音を抑制し、
またA/Cにスイッチを入れた瞬間に発生するベルトス
リップ音を抑制した伝動ベルトの駆動装置を提供するこ
とを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】即ち、本願請求項1記載
の発明は、ベルト長手方向に沿う心線を埋設した接着ゴ
ム層と、この接着ゴム層の内側に位置し、少なくとも1
つ以上のリブ部を形成する圧縮ゴム層とで構成された伝
動ベルトと、該ベルトのリブ部と係合するリブ溝部をも
ったプーリとを組み合わせた伝動ベルトの駆動装置にお
いて、前記伝動ベルトの圧縮ゴム層に、tanδピーク
温度が−45〜−15°Cのアルキル化クロロスルフォ
ン化ポリエチレンを使用し、前記アルキル化クロロスル
フォン化ポリエチレン100重量部に対して、少なくと
もパラ系アラミド繊維を含む短繊維を5〜20重量部含
有させ、そしてベルトのリブ部をプーリのリブ溝部に係
合する際に、局部的に大きな応力を該リブ部の底部に集
中させるようにした伝動ベルトの駆動装置にある。
【0012】この駆動装置では、少なくとも3つの要件
の1としてtanδピーク温度が−45〜−15°Cの
ACSMを使用すること、その2としてACSM100
重量部に対して、少なくともパラ系アラミド繊維を含む
短繊維を5〜20重量部含有させること、そしてその3
としてベルトのリブ部をプーリのリブ溝部に係合する際
に、局部的に大きな応力を該リブ部の底部に集中させる
ようにしたことによって、特にクランクプーリの角加速
度の大きい場合において発生しやすいベルトスリップ音
を抑制し、またA/Cにスイッチを入れた瞬間のベルト
スリップ音による発音を抑制できることを見出したもの
である。
【0013】本願請求項2記載の発明は、ベルトのリブ
部間のピッチPがプーリのリブ溝部間のピッチWとした
とき、0<│P−W│≦0.06Wの関係式を満足する
伝動ベルトの駆動装置にあり、局部的に大きな応力が該
リブ部の底部に集中させるようにし、クランクプーリの
角加速度の大きい場合において発生しやすいベルトスリ
ップ音を抑制する。
【0014】本願請求項3記載の発明は、パラ系アラミ
ド繊維と他の短繊維との割合が1:0.4〜3である伝
動ベルトの駆動装置にある。
【0015】本願請求項4記載の発明は、クランクプー
リの角加速度が1,500〜6,000ラジアン/秒2
である自動車エンジンの補記駆動に使用される伝動ベル
トの駆動装置にあり、上記Vリブドベルトをこのような
角加速度の大きな自動車用エンジンに装着すると、ベル
トの瞬時の滑りが抑制される効果が顕著になる。
【0016】ここで、tanδは加硫ゴムの動的性質試
験(JIS K6394)等によって測定されるもの
で、ゴム組成物に加えられる機械的エネルギーの熱とし
ての散逸され易さ、換言すればゴム組成物に加えられる
機械的エネルギーの貯蔵され難さを表わすものである。
したがって、このtanδの最大値、即ち変曲点の温
度、本発明でいうところのtanδピーク温度は、ゴム
組成物の特性の大きく変わる点を表し、その温度は、ゴ
ムのガラス転移温度Tgと相関関係がある。
【0017】一般に、ゴムの粘弾性はゴム製品の性能に
大きな影響を与え、粘弾性に最も影響を与えるのはゴム
のガラス転移温度Tgである。このガラス転移温度Tg
を境にゴムは弾性率、誘電率、熱膨張等の特性値が急激
に変化する。このガラス転移温度Tg以下の温度では、
主鎖セグメントの運動は凍結され、架橋ゴムはガラス状
となり弾性を失う。したがって、このガラス転移温度T
g、即ち、tanδピーク温度の低いものほど、低温で
使用できるゴムであるといえる。
【0018】このACSMのtanδピーク温度は、可
塑剤としてセバケート系オイル、ポリエーテル系オイ
ル、アジペート系オイルのうちのいずれか一つ以上を添
加することで、ACSMのtanδピーク温度を−45
〜−15°C、好ましくは−35〜−20°Cの範囲内
とすることができる。ここで、可塑剤の添加量がACS
M100重量部に対して5重量部よりも少ない場合は、
tanδピーク温度がほとんど下がらない。一方、30
重量部よりも多くなると、可塑性(粘性)が高くなり、
取り扱いが困難となる。
【0019】tanδピーク温度が−45°C未満のも
のは、圧縮ゴム層を形成するACSMが結晶化している
ことを示す。これら可塑剤はACSMのtanδピーク
温度を−45〜−15°C、好ましくは−35〜−20
°Cの範囲内に調整できる一手段であり、本発明はAC
SMのtanδピーク温度を−45〜−15°C、好ま
しくは−35〜−20°Cの範囲内に調整できるもので
あれば、これら可塑剤に限定されるものでなく、他の配
合剤であっても良い。
【0020】ACSM100重量部に対してパラ系アラ
ミド繊維を含む短繊維を5〜20重量部、好ましくは8
〜15重量部添加することで、パラ系アラミド繊維がリ
ブ側面から突出し、その先端がフィブリル化するため、
ベルトの発音防止が可能となる。ここで、パラ系アラミ
ド繊維を含む短繊維の添加量が5重量部未満であると、
短繊維のリブ側面よりの突出量が少なすぎ、ベルトの耐
久性には問題ないが、発音防止の面で十分な効果を発揮
することができない。また、前記短繊維の添加量が15
重量部よりも多い場合は、発音防止の面では効果がある
が、パラ系アラミド繊維の剛性が高すぎるため、短繊維
とACSMの界面で剥離が発生し、リブにおける早期亀
裂発生につながる。
【0021】パラ系アラミド繊維と他の短繊維との割合
を1:0.4〜3とすることで、適度のパラ系アラミド
繊維が突出し、発音防止の面で効果がある。ここで、パ
ラ系アラミド繊維1に対して他の短繊維が0.4未満の
場合は、パラ系アラミド繊維の剛性が高すぎるため、A
CSMの屈曲性が悪くなる。また、パラ系アラミド繊維
1に対して他の短繊維が3を越える場合は、突出してフ
ィブリル化するパラ系短繊維が少なく発音防止の面での
十分な効果を発揮することができない。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しつつ本発明を
説明する。図1は本発明の一実施形態に係る自動車のA
/C用のVリブドベルトを示す。図1に示すVリブドベ
ルト1は、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポ
リエチレンナフタレート(PEN)のようなポリエステ
ル繊維、アラミド繊維、ガラス繊維等を素材とする高強
度で低伸度のコードよりなる心線3を接着ゴム層2中に
埋設し、その下側に弾性体層である圧縮ゴム層5を有し
ている。この圧縮ゴム層5にはベルト長手方向にのびる
断面略三角形の複数のリブ部6とベルト表面に付着した
ゴム付帆布4が設けられている。
【0023】圧縮ゴム層5には、塩素含有量15〜35
重量%、好ましくは25〜32重量%で、かつ硫黄含有
量が0.5〜2.5重量%の範囲になるようなACSM
のゴム組成物が用いられる。
【0024】ACSMのアルキル側鎖が塩素と同様にポ
リエチレンの結晶を阻害する役割を果たすため、ポリエ
チレンの結晶を残すことなく塩素含有量を35質量%以
下にすることができる。その結果、低温領域では塩素間
の凝集力が弱まり耐低温性が向上する。また、高温領域
においても塩素より不活性なアルキル側鎖の存在によっ
て反応性が低くなり、耐熱性が向上する。塩素含有量は
15〜35重量%が必要であり、35質量%を越えると
耐寒性、耐熱性が十分でない。一方、15質量%未満で
は耐油性及び機械的な強度が十分でない。また、耐油
性、耐熱性、耐寒性のバランスをとるためには、好まし
い含有量は25〜32重量%である。
【0025】ここで使用する受酸体は特に限定されない
が、酸化マグネシウム−酸化アルミニウム固溶体が好ま
しく、その具体例として協和化学工業(株)製のKW−
2000、KW−2100等がある。
【0026】この受酸体の添加量はACSM100重量
部に対して1〜50重量部、好ましくは4〜20重量部
であり、この場合酸化マグネシウム−酸化アルミニウム
固溶体が1重量部未満では、架橋中に発生する塩化水素
を充分に除去することができないため、ACSMの架橋
点が少なくなって所定の加硫物が得られず、耐熱性に欠
けて早期にクラックの発生しやすいベルトになる。一
方、50重量部を越えるとムーニー粘度が著しく高くな
り加工仕上げの問題が生じる。
【0027】この酸化マグネシウム−酸化アルミニウム
固溶体をそのまま混練時に添加してもさしつかえない
が、分散性を改善するために前もってステアリン酸ソー
ダ等のアニオン系界面活性剤やシランカップリング剤等
により処理して使用することも可能である。
【0028】前記ACSMゴム組成物は、通常用いられ
るカーボンブラック、可塑剤、老化防止剤、加工助剤、
粘着剤、加硫促進剤、有機又は無機の短繊維等と共に使
用することができる。これら各成分を混合する方法とし
ては特に制限はなく、例えばバンバリーミキサー、ニー
ダー等を用い、適宜公知の手段、方法によって混練する
ことができる。
【0029】ここで、可塑剤としてセバケート系オイ
ル、ポリエーテル系オイル、アジペート系オイルのうち
のいずれか一つ以上を使用することが好ましい。これに
よって低温特性を一層向上させることができる。そし
て、この可塑剤を、ACSM100重量部に対して5〜
30重量部添加して、ACSMのtanδピーク温度が
−45〜−15°Cの範囲内となるように調整する。な
お、tanδピーク温度が−45°C未満では、圧縮ゴ
ム層5を形成するACSMが結晶化してしまう。また、
可塑剤は、ACSMのtanδピーク温度を−45〜−
15°Cの範囲内に調整できる一手段であり、本発明
は、ACSMのtanδピーク温度を−45〜−15°
Cの範囲内に調整できるものであれば、これら可塑剤に
限定されるものでない。
【0030】リブ部6内には、トワロン、ケブラー(商
品名)等のパラ系アラミド繊維糸単独、あるいはこのパ
ラ系アラミド繊維糸とナイロン、ビニロン、ポリエステ
ル等のモノフィラメントからなる合成繊維糸あるいは
綿、パルプなどの天然繊維糸との混合糸で、これら繊維
糸の2〜6mm長さに切られた短繊維7が、圧縮ゴム層
5の100重量部に対して、5〜20重量部、好ましく
は8〜15重量部添加され、ベルト横方向に配向されて
埋設されている。なお、パラ系アラミド繊維1に対し
て、他の短繊維が0.4〜5の割合となるように混合す
ることが好ましい。このパラ系アラミド繊維は、その正
式名はポリパラフェニレンテレフタルアミドで、モノフ
ィラメントは、長さが2〜6mm、径が9〜18μmで
ある。
【0031】圧縮ゴム層5のゴム100重量部に対し、
このパラ系アラミド繊維を含む短繊維のゴム層中への埋
設量が5重量部未満の場合は短繊維のV形リブ側面から
の突出量が少なすぎ、ベルトの耐久性には問題ないが、
発音防止の面で十分な効果を発揮することができない。
一方、前記短繊維の埋設量が20重量部を越えると同じ
く発音防止の面では効果はあるが、パラ系アラミド繊維
の剛性が高すぎるため、短繊維とゴムの界面で剥離が発
生し、これがリブ部6における早期亀裂発生につなが
る。
【0032】このリブ部6は研磨成形により形成される
ことが好ましく、この短繊維入りの圧縮ゴム層5に対し
て、グラインダー表面に80〜200メッシュのダイヤ
モンドが装着された乾式のグラインダーホイールを用い
て、Vリブ形状の研磨成形作業が実行される。
【0033】前記乾式のグラインダーを用いて研磨する
ことにより、リブ部6の側面より突出したパラ系アラミ
ド繊維の一部はフィブリル化8した状態を呈している。
このパラ系アラミド繊維にあって顕著に派生するフィブ
リル化8とは、リブ部6の側面より突出した短繊維のフ
ィラメントが、長さ方向に裂かれて、細分化された状態
をいい、このフィブリル化した突出部分の長さは0.5
mm以下で、かつフィブリル化8部分の太さは、リブ部
6内に埋設されたフィラメントの太さの1/2〜1/8
で、フィラメントのフィブリル化8部分の少なくともそ
の一部はカール状態にある。
【0034】心線3にはPETやPENのようなポリエ
ステル繊維、アラミド繊維、ガラス繊維等を使用するこ
とができる。これら心線3は、ゴムとの接着性を改善す
る目的で接着処理が施される。このような接着処理とし
ては繊維をレゾルシン−ホルマリン−ラテックス(RF
L液)に浸漬後、加熱乾燥して表面に均一に接着層を形
成するのが一般的である。しかし、これに限ることなく
エポキシ又はイソシアネート化合物で前処理を行なった
後に、RFL液で処理する方法等もある。
【0035】また、接着ゴム層2には耐熱性を有し、そ
して心線3と良好に接着するクロロプレンゴム組成物、
水素添加率80%以上の水素化ニトリルゴム等が用いら
れる。これはACSMの主鎖がポリエチレンであって、
ポリマーとして凝集エネルギーが小さくて、十分な接着
力を得るのが困難なためである。
【0036】以上のようにして構成されているVリブド
ベルト1は、圧縮ゴム層5に用いているACSMゴム組
成物が、低温雰囲気下でも塩素含有量の制限された範囲
によって塩素の凝集エネルギーを低く押さえることがで
きるためにゴムの硬化を防ぐことができ、また、低温特
性に優れた可塑剤を添加するため、ベルトの耐寒性を向
上させる。さらに、リブ部6の側面からフィブリル化し
たパラ系アラミド繊維が突出しているため、接触面積が
大きくなり、摩擦係数が高くなる。そのため、高速で空
回りし、ベルト張力が低下しているベルトに対して急に
負荷をかけた場合であっても、スリップが発生すること
が少ない。したがって、スリップによる発音の防止効果
を向上させることができる。
【0037】なお、本発明に係る伝動ベルトを、前述し
てきたようなクランクプーリの角加速度が1,500〜
6,000ラジアン/秒2であるクランクプーリの角加
速度が大きな自動車エンジンの補記駆動に使用すると、
ベルトの瞬時の滑りが抑制され、そのスリップ音が抑制
させる効果が顕著になる。また、ベルト張力が低下した
場合で、急激な負荷をかけるような使用においても、ス
リップ音が抑制させる。
【0038】図2には、Vリブドベルト1がプーリ10
に係合した駆動装置の一部を示す断面図であるが、ベル
トのリブ部6はプーリのリブ溝部11に係合する際に、
局部的に大きな応力が該リブ部の底部12に集中させる
ように圧縮係合している。具体的には、リブ部6間のピ
ッチPとプーリ10のリブ溝11部間のピッチWとは、
0<│P−W│≦0.06Wの関係式を満足している。
この場合、ピッチPがピッチWより大きい場合でもよ
く、逆にピッチPがピッチWより小さい場合であっても
よい。尚、│P−W│値が0.06Wを越えると、リブ
部6の底部12に応力が集中し過ぎて、ここから摩耗が
促進されて亀裂が発生しやすくなる。
【0039】本実施例の場合、Vリブドベルト1のリブ
部6のピッチPがプーリ10のリブ溝11のピッチWに
一致せず、リブ部6がプーリ10のリブ溝11に押圧係
合しているために、図3に示す有限要素法による解析の
結果からも明らかなように、リブ部6の底部12に大き
な応力が集中し、リブ部6が局部的にプーリと強く係合
し、かつ応力集中部分が心線のピッチラインLと近いこ
とから、ベルトの瞬時の滑りが抑制されることを示して
いる。
【0040】一方、図4に示す有限要素法による解析の
結果では、リブ部のピッチPとプーリのリブ溝のピッチ
Wが一致するために、リブ部6はプーリのリブ溝11に
スムーズに嵌合するために、側壁には均一な圧力がかか
り、本発明の駆動装置は従来に比べて、ベルトの瞬時の
滑りを抑制しにくいことが判る。
【0041】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるも
のではない。
【0042】(実施例1〜4,比較例1)実施例1〜
4,比較例1として、可塑剤をポリエーテル系オイルと
し、添加量をACSM100重量部に対して15重量部
一定として、圧縮ゴム層中の短繊維の構成を、またリブ
部のピッチPを変えた場合のエンジン回転数と発音限界
張力の関係を調べた。ここで、使用した駆動装置のプー
リは、クランクプーリ(外径130mm)、A/C用プ
ーリ(外径110mm)、発電機用プーリ(外径60m
m)、テンションプーリ(外径110mm)であり、プ
ーリのリブ溝のピッチWはいずれも3.56mmであっ
た。また、最初のベルト張力を50kgf/14.16
mm幅に調整した。
【0043】Vリブドベルトは、ポリエステル繊維のロ
ープからなる心線が接着ゴム層内に埋設され、その上側
にゴム付綿帆布を1プライ積層され、他方接着ゴム層の
下側には圧縮ゴム層があって4個のリブ部がベルト長手
方向に有している。得られたVリブドベルトはRMA規
格による長さ1,100mmのK型4リブドベルトであ
り、リブ高さ2.0mm、ベルト厚さ4.3mm、リブ
角度40°、そしてリブピッチ(3.45mm、3.3
5mm、3.56mm)の3種であった。
【0044】圧縮ゴム層及び接着ゴム層は、それぞれ表
1及び表2に示すゴム組成物からなる。また、圧縮ゴム
層中の短繊維は表3に示す構成にそれぞれ調整し、それ
ぞれ、バンバリーミキサーで混練後、カレンダーロール
で圧延したものを用いた。圧縮ゴム層には短繊維が含ま
れベルト巾方向に配向している。なお、本実施例に係る
ベルトは、通常の方法で製造したものであり、まずフラ
ットな円筒モールドに1プライのゴム付綿帆布を巻いた
後、接着ゴム層を巻き付けて、心線をスピニングし、圧
縮ゴム層を設置した後、圧縮ゴム層の上に加硫用ジャケ
ットを挿入する。次いで、成形モールドを加硫缶内に入
れ、150°C×30分で加硫した後、筒状の加硫スリ
ーブをモールドから取り出し、該スリーブの圧縮ゴム層
をグラインダーによってリブに成形し、成形体から個々
のベルトに切断する工程からなっている。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】通常、Vリブドベルトに使用した場合、ベ
ルトの発音が発生した時のエンジンの回転数を知ること
は困難である。そこで、本実施例では、クランクプー
リ、A/C用プーリ、発電機用プーリ、テンションプー
リに所定のベルト張力でベルトを装着する。そして、一
定回転数でエンジンを作動させておき、A/Cを始動回
転させる。この時のベルト張力を変化させながら、A/
Cを始動回転させたときにスリップにより鳴き音が発生
したときのベルト張力を測定した。この張力を発音限界
張力とした。この発音限界張力が低いベルトほど、低張
力でも鳴き音が発生しにくいベルトであると言える。こ
こでは、エンジン回転数を4500rpm及び5000
rpmの時の鳴き限界ベルト張力について測定した。発
音限界張力の測定結果について表3に併記する。
【0048】
【表3】
【0049】表3より、発音限界張力は、リブ側面でフ
ィブリル化するパラ系アラミド繊維を添加した方が、フ
ィブリル化しないメタ系アラミド繊維を添加した場合に
比べて低くなる。即ち、低張力でも鳴き音が発生しにく
くなることがわかる。
【0050】次に、リブピッチ(3.45mm、3.3
5mm、3.56mm)の各ベルトを実車発音試験機
(クランクプーリ:外径130mm、A/C用プーリ:
外径110mm、発電機用プーリ:外径60mm、テン
ションプーリ:外径110mm)にて、アイドリングで
ベルト発音が発生する発音限界張力を測定した。その結
果を表4に示す。
【0051】この実車発音試験機のクランクプーリの角
加速度は2000ラジアン/秒2でり、最初のベルト張
力を50kgf/14.16mm幅に調整し、ベルト張
力を段階的に低下させながらクランクプーリとベルト間
の鳴き音であるスリップ音を聴覚により観察し、回転を
停止した後、その時のベルト張力である発音限界張力を
張力計で測定した。その結果を表4に示す。尚、角加速
度の測定では、非接触レーザードップラー計を用い、レ
ーザー光を実機エンジンのクランクプーリに照射させ、
ドップラー効果により周波数を受け取り、その周波数を
角速度に返還してデータ取りを行い、角速度と時間のグ
ラフから角速度の最も厳しいところで、その傾きを読み
取り、この傾きを角加速度にした。
【0052】
【表4】
【0053】この結果より、実施例では、発音限界張力
が低くて、ベルト発音に余裕があることが判る。
【0054】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、圧縮ゴム
層にACSM組成物を用い、この組成物中にパラ系アラ
ミド繊維を含む短繊維を添加するとともに、tanδピ
ーク温度を−45〜−15°Cの温度範囲内とすること
で、低温特性、伝達性能に優れた伝動ベルトができ、且
つベルトのリブ部をプーリのリブ溝部に係合する際に、
局部的に大きな応力を該リブ部の底部に集中させるよう
にしたことによって、発音限界張力が低下してベルト発
音に対して余裕が生じ、またベルト張力が低下している
状態で急激に負荷をかけた場合であっても、スリップに
よる発音を抑制するベルトの発音防止効果の優れた伝動
ベルトの駆動装置を得ることができ、特にクランクプー
リの回転時における角加速度の大きい場合において発生
しやすいベルトスリップ音を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るVリブドベルトの部分斜視図であ
る。
【図2】Vリブドベルトがプーリに係合した状態を示す
断面図である。
【図3】本発明に係るVリブドベルトをプーリに係合し
た場合におけるリブ部の応力分布の状態を有限要素法解
析により得た図ある。
【図4】従来のVリブドベルトがプーリに係合した場合
におけるリブ部の応力分布の状態を有限要素法解析によ
り得た図ある。
【符号の説明】 1 Vリブドベルト 2 接着ゴム層 3 心線 4 ゴム付帆布 5 圧縮ゴム層 6 ベルトのリブ部 7 短繊維 10 プーリ 11 プーリのリブ溝部

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ベルト長手方向に沿う心線を埋設した接
    着ゴム層と、この接着ゴム層の内側に位置し、少なくと
    も1つ以上のリブ部を形成する圧縮ゴム層とで構成され
    た伝動ベルトと、該ベルトのリブ部と係合するリブ溝部
    をもったプーリとを組み合わせた伝動ベルトの駆動装置
    において、 前記伝動ベルトの圧縮ゴム層に、tanδピーク温度が
    −45〜−15°Cのアルキル化クロロスルフォン化ポ
    リエチレンを使用し、前記アルキル化クロロスルフォン
    化ポリエチレン100重量部に対して、少なくともパラ
    系アラミド繊維を含む短繊維を5〜20重量部含有さ
    せ、そしてベルトのリブ部をプーリのリブ溝部に係合す
    る際に、局部的に大きな応力を該リブ部の底部に集中さ
    せるようにしたことを特徴とする伝動ベルトの駆動装
    置。
  2. 【請求項2】 ベルトのリブ部間のピッチPがプーリの
    リブ溝部間のピッチWとしたとき、0<│P−W│≦
    0.06Wの関係式を満足する請求項1記載の伝動ベル
    トの駆動装置。
  3. 【請求項3】 パラ系アラミド繊維と他の短繊維との割
    合が、1:0.4〜3である請求項1または2記載の伝
    動ベルトの駆動装置。
  4. 【請求項4】 クランクプーリの角加速度が1,500
    〜6,000ラジアン/秒2である自動車エンジンの補
    記駆動に使用される請求項1〜3いずれかに記載の伝動
    ベルトの駆動装置。
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