JP2002129363A - アルミニウム又はアルミニウム合金の梨地処理液、及び梨地処理方法 - Google Patents

アルミニウム又はアルミニウム合金の梨地処理液、及び梨地処理方法

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JP2002129363A
JP2002129363A JP2000320197A JP2000320197A JP2002129363A JP 2002129363 A JP2002129363 A JP 2002129363A JP 2000320197 A JP2000320197 A JP 2000320197A JP 2000320197 A JP2000320197 A JP 2000320197A JP 2002129363 A JP2002129363 A JP 2002129363A
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acid
aluminum alloy
boron
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Yoshio Kume
淑夫 久米
Akifumi Kajima
顕史 鹿島
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CHEMICOAT KK
Chemicoat and Co Ltd
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ARU TECHNO KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 コストが低廉で、緻密、かつ、綺麗な梨地面
が得られるアルミニウム合金の梨地処理技術を提供する
ことである。 【解決手段】 ホウ素化合物と、硝酸イオン及び/又は
亜硝酸イオンを供給する物質と、アルカリ性を呈する物
質とを含む梨地処理液を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルミニウム又は
アルミニウム合金(以下、単に、アルミニウム合金と略
す。)の梨地処理技術に関する。
【発明が解決しようとする課題】アルミニウム合金は、
軽く、かつ、鋳造加工が容易な為、家庭用品を始めとし
て種々な場面で使用されている。ところで、アルミニウ
ム合金は、その素地が銀白色の美しい金属であるもの
の、鉄などに比べると傷が付き易い。この為、圧延加工
時や成形加工時に生じるロール跡、ダイス跡を消す目的
でエッチングを行い、表面を梨地処理することが行われ
ている。又、艶消しが望まれる場合にも、梨地処理する
ことが行われている。上記アルミニウム合金の梨地処理
方法としては、ショットブラスト法、電解法、化学薬品
による方法がある。ショットブラスト法は、物理的作用
により梨地面を得る方法である。この方法は、コストが
高く付くこと、又、製品の肉厚が薄い場合、製品がショ
ットの衝撃により変形して不良品となる恐れがある等の
問題がある。電解法は、短時間で梨地面を得ることが出
来る。しかし、電解設備が必要であり、かつ、コストも
高い。化学薬品による方法は、フッ化物を含む酸性の薬
液を用いる方法と、苛性アルカリを含むアルカリ性の薬
液を用いる方法とに大別できる。酸性の薬液を用いる方
法は、常温で梨地面を得ることが出来る。しかし、薬液
がフッ化物を含む為、薬液槽や製品を支持するハンガー
等に耐フッ酸性の高価な素材を用いる必要がある。更
に、廃液処理も厄介である。アルカリ性の薬液を用いる
方法は、フッ化物を含まない為、ステンレス等の汎用素
材を使用でき、酸性の薬液を用いる場合に比べて低コス
トであり、かつ、実施が手軽である。しかし、得られる
梨地面が良好ではない。又、硝酸イオンや亜硝酸イオン
を含む苛性アルカリ液も提案されている。この処理液
は、比較的良好な梨地面が得られるものの、フッ化物を
含む酸性の薬液を用いた場合に比べると、表面の凹凸が
粗大な為、金属光沢が残り、緻密で均一な白色梨地面が
得られない。従って、本発明が解決しようとする課題
は、コストが低廉で、緻密、かつ、綺麗な梨地面が得ら
れるアルミニウム合金の梨地処理技術を提供することで
ある。
【課題を解決するための手段】前記の課題は、ホウ素化
合物と、硝酸イオン及び/又は亜硝酸イオンを供給する
物質と、アルカリ性を呈する物質とを含むことを特徴と
するアルミニウム又はアルミニウム合金の梨地処理液に
よって解決される。本発明で用いるホウ素化合物として
は、例えばホウ素の水素化物(例えば、(BH)x で表
される水素化硼素)、ホウ素の酸化物(例えば、酸化硼
素)、ホウ素の窒化物(例えば、窒化硼素)、ホウ素の
ハロゲン化物(例えば、三塩化硼素、三沃化硼素な
ど)、オルトホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸、二ホウ
酸、過ホウ酸などのホウ酸、前記ホウ酸の塩が挙げられ
る。中でも、ホウ酸やホウ酸塩が好ましいホウ素化合物
として挙げられる。このホウ素化合物は、梨地処理液中
における濃度が0.5〜10wt%(特に望ましくは2
wt%以上。5wt%以下。)であるのが好ましい。す
なわち、ホウ素化合物の量が少なくなり過ぎると、緻密
で綺麗な梨地面が得られ難い。逆に、ホウ素化合物の量
が多くなり過ぎた場合、それに応じた効果の向上が認め
られないばかりか、コストアップとなり、又、処理時の
温度が低下すると、液中におけるホウ素化合物の溶解度
が低下し、これが析出して製品の表面に付着する等の恐
れがあるからによる。硝酸イオン及び/又は亜硝酸イオ
ンを供給する物質としては、硝酸、硝酸ナトリウム、硝
酸カリウムと言ったアルカリ金属、アルカリ土類金属、
亜鉛などの硝酸塩、亜硝酸、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸
カリウムと言ったアルカリ金属、アルカリ土類金属、亜
鉛などの亜硝酸塩が挙げられる。この硝酸イオン及び/
又は亜硝酸イオンは、梨地処理液中におけるこれらの合
計イオン濃度が2〜12wt%(特に望ましくは4wt
%以上。10wt%以下。)であるのが好ましい。すな
わち、これらのイオン濃度が低すぎると、緻密で綺麗な
梨地面が得られ難い。逆に、イオン濃度が高くなり過ぎ
た場合、過剰反応により表面状態が粗大となり、良好な
梨地表面が得られない恐れがある。本発明の梨地処理液
は、アルカリ性を呈する物質を含む。例えば、水酸化ナ
トリウムや水酸化カリウム等のアルカリ性物質を含む。
その量は、好ましくは、梨地処理液のpHが12〜14
(特に望ましくは13.0以上。14.0以下。)とな
る量である。そして、上記した梨地処理液を用いること
によって、緻密、かつ、綺麗な梨地面を有するアルミニ
ウム合金の製品が得られる。しかも、このような梨地面
を得る為のコストは低廉である。本発明は、基本的に
は、上記梨地処理液を使用すれば良い。しかし、上記梨
地処理液を使用するだけでなく、この梨地処理液中にお
いて5m/分以下(特に、3m/分以下。)の接触速度
でアルミニウム合金の製品を走行(ここで、走行とは相
対的なもので、アルミニウム合金の製品を走行させるだ
けでなく、梨地処理液を流動させるようにしても良
い。)させる方法が提案される。すなわち、このように
させることによって、より緻密で綺麗な梨地面を有する
アルミニウム合金の製品が得られる。つまり、接触速度
が高くなり過ぎると、エッチングが促進され、光沢面と
なる恐れがあるからである。
【発明の実施の形態】本発明になるアルミニウム合金の
梨地処理液は、ホウ素化合物と、硝酸イオン及び/又は
亜硝酸イオンを供給する物質と、アルカリ性を呈する物
質とを含む。ホウ素化合物としては、例えばホウ素の水
素化物(例えば、(BH)x で表される水素化硼素)、
ホウ素の酸化物(例えば、酸化硼素)、ホウ素の窒化物
(例えば、窒化硼素)、ホウ素のハロゲン化物(例え
ば、三塩化硼素、三沃化硼素など)、オルトホウ酸、メ
タホウ酸、四ホウ酸、二ホウ酸、過ホウ酸などのホウ
酸、前記ホウ酸の塩が挙げられる。中でも、ホウ酸やホ
ウ酸塩が好ましいホウ素化合物である。ホウ素化合物の
量は、梨地処理液中における濃度が0.5〜10wt%
(特に望ましくは2wt%以上。5wt%以下。)であ
る。硝酸イオン及び/又は亜硝酸イオンを供給する物質
としては、硝酸、硝酸ナトリウム、硝酸カリウムと言っ
たアルカリ金属、アルカリ土類金属、亜鉛などの硝酸
塩、亜硝酸、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウムと言っ
たアルカリ金属、アルカリ土類金属、亜鉛などの亜硝酸
塩が挙げられる。硝酸イオン及び/又は亜硝酸イオン
は、梨地処理液中におけるこれらの合計イオン濃度が2
〜12wt%(特に望ましくは4wt%以上。10wt
%以下。)である。本発明の梨地処理液は、アルカリ性
を呈する物質を含む。例えば、水酸化ナトリウムや水酸
化カリウム等のアルカリ性物質を含む。その量は、好ま
しくは、梨地処理液のpHが12〜14(特に望ましく
は13.0以上。14.0以下。)となる量である。
尚、処理に際して発生するスマットを除去する為、必要
に応じて、ヘキソン酸及び/又はヘキソン酸塩を含有さ
せても良い。本発明になるアルミニウム合金の梨地処理
方法は、上記した梨地処理液を用いる梨地処理方法であ
る。特に、上記梨地処理液を使用するだけでなく、この
梨地処理液中において5m/分以下(特に、3m/分以
下。)の接触速度でアルミニウム合金の製品を走行させ
る方法である。以下、更に詳しく説明する。
【実施例1】苛性ソーダの4%水溶液を用意し、これに
オルトホウ酸及び硝酸ナトリウムを添加した。この梨地
処理液におけるオルトホウ酸の濃度は2wt%、硝酸ナ
トリウムの濃度は10wt%、pHは13.4であっ
た。そして、素材目が残っているアルミニウム材(Al
1050 H24)を脱脂剤(ケミコートNo15
5)で脱脂し、油脂、ゴミ等を除去した後、上記梨地処
理液中に4分間浸漬した。この浸漬時におけるアルミニ
ウム材の梨地処理液との接触速度は1m/分とした。
【実施例2】実施例1の「オルトホウ酸(2wt%)、
硝酸ナトリウム(10wt%)」を、「グロン酸(5w
t%)、メタホウ酸(1wt%)、亜硝酸ナトリウム
(10wt%)、pH13.2」とした以外は、実施例
1と同様に行った。
【実施例3】実施例1の「オルトホウ酸(2wt%)、
硝酸ナトリウム(10wt%)」を、「グロン酸(3w
t%)、ホウ酸ナトリウム(2wt%)、硝酸ナトリウ
ム(7wt%)、pH13.2」とした以外は、実施例
1と同様に行った。
【実施例4】実施例1の「オルトホウ酸(2wt%)、
硝酸ナトリウム(10wt%)」を、「グロン酸ナトリ
ウム(2wt%)、ホウ酸カリウム(5wt%)、亜硝
酸ナトリウム(7wt%)、pH13.1」とした以外
は、実施例1と同様に行った。
【実施例5】実施例1の「オルトホウ酸(2wt%)、
硝酸ナトリウム(10wt%)」を、「マンノン酸(4
wt%)、ホウ酸マグネシウム(5wt%)、硝酸カリ
ウム(2wt%)、亜硝酸ナトリウム(2wt%)、p
H13.4」とした以外は、実施例1と同様に行った。
【実施例6】実施例1の「オルトホウ酸(2wt%)、
硝酸ナトリウム(10wt%)」を、「マンノン酸ナト
リウム(1wt%)、ホウ酸エチル(5wt%)、硝酸
ナトリウム(5wt%)、亜硝酸ナトリウム(5wt
%)、pH13.3」とした以外は、実施例1と同様に
行った。
【実施例7】実施例1の「オルトホウ酸(2wt%)、
硝酸ナトリウム(10wt%)」を、「グルコン酸(5
wt%)、次ホウ酸カリウム(8wt%)、硝酸カリウ
ム(7wt%)、亜硝酸ナトリウム(7wt%)、pH
13.2」とした以外は、実施例1と同様に行った。
【実施例8】実施例1の「オルトホウ酸(2wt%)、
硝酸ナトリウム(10wt%)」を、「グルコン酸ナト
リウム(5wt%)、過ホウ酸ナトリウム(9wt
%)、硝酸カリウム(10wt%)、亜硝酸ナトリウム
(10wt%)、pH13.2」とした以外は、実施例
1と同様に行った。
【比較例1】実施例1の「オルトホウ酸(2wt%)、
硝酸ナトリウム(10wt%)」を、「硝酸ナトリウム
(10wt%)」とした以外は、実施例1と同様に行っ
た。
【比較例2】実施例1の「オルトホウ酸(2wt%)、
硝酸ナトリウム(10wt%)」を、「亜硝酸ナトリウ
ム(10wt%)」とした以外は、実施例1と同様に行
った。
【比較例3】実施例1の「オルトホウ酸(2wt%)、
硝酸ナトリウム(10wt%)」を、「グロン酸(3w
t%)、硝酸ナトリウム(7wt%)」とした以外は、
実施例1と同様に行った。
【比較例4】実施例1の「オルトホウ酸(2wt%)、
硝酸ナトリウム(10wt%)」を、「マンノン酸(3
wt%)、亜硝酸ナトリウム(7wt%)」とした以外
は、実施例1と同様に行った。
【比較例5】実施例1の「オルトホウ酸(2wt%)、
硝酸ナトリウム(10wt%)」を、「グルコン酸(3
wt%)、ホウ酸ナトリウム(5wt%)」とした以外
は、実施例1と同様に行った。
【比較例6】実施例1の「オルトホウ酸(2wt%)、
硝酸ナトリウム(10wt%)」を、「グルコン酸(4
wt%)、硝酸カリウム(5wt%)、亜硝酸ナトリウ
ム(5wt%)」とした以外は、実施例1と同様に行っ
た。
【特性】上記各例で得た製品を水洗した後、20%硝酸
でスマット除去を行った。そして、水洗、純水洗して乾
燥した後、表面(梨地面)のピッティング状態、素材目
の除去性、梨地面の均一状態、梨地の白色度合いを調べ
たので、その結果を表−1に示す。 表−1 ピッティング 素材目の除去性 梨地面均一状態 梨地白色度合い 実施例1 ○ ○ ◎ ◎ 実施例2 ◎ ○ ◎ ○ 実施例3 ○ ○ ◎ ◎ 実施例4 ◎ ◎ ◎ ○ 実施例5 ○ ○ ◎ ◎ 実施例6 ◎ ◎ ◎ ◎ 実施例7 ◎ ◎ ◎ ◎ 実施例8 ◎ ◎ ◎ ◎ 比較例1 × × × × 比較例2 × × × × 比較例3 × × × × 比較例4 × × × × 比較例5 × × × × 比較例6 △ △ × × * ◎ ○ △ ×の4段階で表示
【発明の効果】金属光沢が無く、緻密で、均一な白色梨
地面が低廉なコストで得られる。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年10月20日(2000.10.
20)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 アルミニウム又はアルミニウム合金
の梨地処理液、及び梨地処理方法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルミニウム又は
アルミニウム合金(以下、単に、アルミニウム合金と略
す。)の梨地処理技術に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】アルミニウム合金は、
軽く、かつ、鋳造加工が容易な為、家庭用品を始めとし
て種々な場面で使用されている。ところで、アルミニウ
ム合金は、その素地が銀白色の美しい金属であるもの
の、鉄などに比べると傷が付き易い。この為、圧延加工
時や成形加工時に生じるロール跡、ダイス跡を消す目的
でエッチングを行い、表面を梨地処理することが行われ
ている。又、艶消しが望まれる場合にも、梨地処理する
ことが行われている。
【0003】上記アルミニウム合金の梨地処理方法とし
ては、ショットブラスト法、電解法、化学薬品による方
法がある。
【0004】ショットブラスト法は、物理的作用により
梨地面を得る方法である。この方法は、コストが高く付
くこと、又、製品の肉厚が薄い場合、製品がショットの
衝撃により変形して不良品となる恐れがある等の問題が
ある。
【0005】電解法は、短時間で梨地面を得ることが出
来る。しかし、電解設備が必要であり、かつ、コストも
高い。
【0006】化学薬品による方法は、フッ化物を含む酸
性の薬液を用いる方法と、苛性アルカリを含むアルカリ
性の薬液を用いる方法とに大別できる。
【0007】酸性の薬液を用いる方法は、常温で梨地面
を得ることが出来る。しかし、薬液がフッ化物を含む
為、薬液槽や製品を支持するハンガー等に耐フッ酸性の
高価な素材を用いる必要がある。更に、廃液処理も厄介
である。
【0008】アルカリ性の薬液を用いる方法は、フッ化
物を含まない為、ステンレス等の汎用素材を使用でき、
酸性の薬液を用いる場合に比べて低コストであり、か
つ、実施が手軽である。しかし、得られる梨地面が良好
ではない。
【0009】又、硝酸イオンや亜硝酸イオンを含む苛性
アルカリ液も提案されている。この処理液は、比較的良
好な梨地面が得られるものの、フッ化物を含む酸性の薬
液を用いた場合に比べると、表面の凹凸が粗大な為、金
属光沢が残り、緻密で均一な白色梨地面が得られない。
【0010】従って、本発明が解決しようとする課題
は、コストが低廉で、緻密、かつ、綺麗な梨地面が得ら
れるアルミニウム合金の梨地処理技術を提供することで
ある。
【課題を解決するための手段】前記の課題は、ホウ素化
合物と、硝酸イオン及び/又は亜硝酸イオンを供給する
物質と、アルカリ性を呈する物質とを含むことを特徴と
するアルミニウム又はアルミニウム合金の梨地処理液に
よって解決される。
【0011】本発明で用いるホウ素化合物としては、例
えばホウ素の水素化物(例えば、(BH)x で表される
水素化硼素)、ホウ素の酸化物(例えば、酸化硼素)、
ホウ素の窒化物(例えば、窒化硼素)、ホウ素のハロゲ
ン化物(例えば、三塩化硼素、三沃化硼素など)、オル
トホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸、二ホウ酸、過ホウ酸
などのホウ酸、前記ホウ酸の塩が挙げられる。中でも、
ホウ酸やホウ酸塩が好ましいホウ素化合物として挙げら
れる。
【0012】このホウ素化合物は、梨地処理液中におけ
る濃度が0.5〜10wt%(特に望ましくは2wt%
以上。5wt%以下。)であるのが好ましい。すなわ
ち、ホウ素化合物の量が少なくなり過ぎると、緻密で綺
麗な梨地面が得られ難い。逆に、ホウ素化合物の量が多
くなり過ぎた場合、それに応じた効果の向上が認められ
ないばかりか、コストアップとなり、又、処理時の温度
が低下すると、液中におけるホウ素化合物の溶解度が低
下し、これが析出して製品の表面に付着する等の恐れが
あるからによる。
【0013】硝酸イオン及び/又は亜硝酸イオンを供給
する物質としては、硝酸、硝酸ナトリウム、硝酸カリウ
ムと言ったアルカリ金属、アルカリ土類金属、亜鉛など
の硝酸塩、亜硝酸、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム
と言ったアルカリ金属、アルカリ土類金属、亜鉛などの
亜硝酸塩が挙げられる。
【0014】この硝酸イオン及び/又は亜硝酸イオン
は、梨地処理液中におけるこれらの合計イオン濃度が2
〜12wt%(特に望ましくは4wt%以上。10wt
%以下。)であるのが好ましい。すなわち、これらのイ
オン濃度が低すぎると、緻密で綺麗な梨地面が得られ難
い。逆に、イオン濃度が高くなり過ぎた場合、過剰反応
により表面状態が粗大となり、良好な梨地表面が得られ
ない恐れがある。本発明の梨地処理液は、アルカリ性を
呈する物質を含む。例えば、水酸化ナトリウムや水酸化
カリウム等のアルカリ性物質を含む。その量は、好まし
くは、梨地処理液のpHが12〜14(特に望ましくは
13.0以上。14.0以下。)となる量である。
【0015】そして、上記した梨地処理液を用いること
によって、緻密、かつ、綺麗な梨地面を有するアルミニ
ウム合金の製品が得られる。しかも、このような梨地面
を得る為のコストは低廉である。
【0016】本発明は、基本的には、上記梨地処理液を
使用すれば良い。
【0017】しかし、上記梨地処理液を使用するだけで
なく、この梨地処理液中において5m/分以下(特に、
3m/分以下。)の接触速度でアルミニウム合金の製品
を走行(ここで、走行とは相対的なもので、アルミニウ
ム合金の製品を走行させるだけでなく、梨地処理液を流
動させるようにしても良い。)させる方法が提案され
る。
【0018】すなわち、このようにさせることによっ
て、より緻密で綺麗な梨地面を有するアルミニウム合金
の製品が得られる。つまり、接触速度が高くなり過ぎる
と、エッチングが促進され、光沢面となる恐れがあるか
らである。
【発明の実施の形態】本発明になるアルミニウム合金の
梨地処理液は、ホウ素化合物と、硝酸イオン及び/又は
亜硝酸イオンを供給する物質と、アルカリ性を呈する物
質とを含む。ホウ素化合物としては、例えばホウ素の水
素化物(例えば、(BH)x で表される水素化硼素)、
ホウ素の酸化物(例えば、酸化硼素)、ホウ素の窒化物
(例えば、窒化硼素)、ホウ素のハロゲン化物(例え
ば、三塩化硼素、三沃化硼素など)、オルトホウ酸、メ
タホウ酸、四ホウ酸、二ホウ酸、過ホウ酸などのホウ
酸、前記ホウ酸の塩が挙げられる。中でも、ホウ酸やホ
ウ酸塩が好ましいホウ素化合物である。ホウ素化合物の
量は、梨地処理液中における濃度が0.5〜10wt%
(特に望ましくは2wt%以上。5wt%以下。)であ
る。硝酸イオン及び/又は亜硝酸イオンを供給する物質
としては、硝酸、硝酸ナトリウム、硝酸カリウムと言っ
たアルカリ金属、アルカリ土類金属、亜鉛などの硝酸
塩、亜硝酸、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウムと言っ
たアルカリ金属、アルカリ土類金属、亜鉛などの亜硝酸
塩が挙げられる。硝酸イオン及び/又は亜硝酸イオン
は、梨地処理液中におけるこれらの合計イオン濃度が2
〜12wt%(特に望ましくは4wt%以上。10wt
%以下。)である。本発明の梨地処理液は、アルカリ性
を呈する物質を含む。例えば、水酸化ナトリウムや水酸
化カリウム等のアルカリ性物質を含む。その量は、好ま
しくは、梨地処理液のpHが12〜14(特に望ましく
は13.0以上。14.0以下。)となる量である。
【0019】尚、処理に際して発生するスマットを除去
する為、必要に応じて、ヘキソン酸及び/又はヘキソン
酸塩を含有させても良い。
【0020】本発明になるアルミニウム合金の梨地処理
方法は、上記した梨地処理液を用いる梨地処理方法であ
る。特に、上記梨地処理液を使用するだけでなく、この
梨地処理液中において5m/分以下(特に、3m/分以
下。)の接触速度でアルミニウム合金の製品を走行させ
る方法である。
【0021】以下、更に詳しく説明する。
【実施例1】苛性ソーダの4%水溶液を用意し、これに
オルトホウ酸及び硝酸ナトリウムを添加した。
【0022】この梨地処理液におけるオルトホウ酸の濃
度は2wt%、硝酸ナトリウムの濃度は10wt%、p
Hは13.4であった。
【0023】そして、素材目が残っているアルミニウム
材(Al 1050 H24)を脱脂剤(ケミコートN
o155)で脱脂し、油脂、ゴミ等を除去した後、上記
梨地処理液中に4分間浸漬した。この浸漬時におけるア
ルミニウム材の梨地処理液との接触速度は1m/分とし
た。
【実施例2】実施例1の「オルトホウ酸(2wt%)、
硝酸ナトリウム(10wt%)」を、「グロン酸(5w
t%)、メタホウ酸(1wt%)、亜硝酸ナトリウム
(10wt%)、pH13.2」とした以外は、実施例
1と同様に行った。
【実施例3】実施例1の「オルトホウ酸(2wt%)、
硝酸ナトリウム(10wt%)」を、「グロン酸(3w
t%)、ホウ酸ナトリウム(2wt%)、硝酸ナトリウ
ム(7wt%)、pH13.2」とした以外は、実施例
1と同様に行った。
【実施例4】実施例1の「オルトホウ酸(2wt%)、
硝酸ナトリウム(10wt%)」を、「グロン酸ナトリ
ウム(2wt%)、ホウ酸カリウム(5wt%)、亜硝
酸ナトリウム(7wt%)、pH13.1」とした以外
は、実施例1と同様に行った。
【実施例5】実施例1の「オルトホウ酸(2wt%)、
硝酸ナトリウム(10wt%)」を、「マンノン酸(4
wt%)、ホウ酸マグネシウム(5wt%)、硝酸カリ
ウム(2wt%)、亜硝酸ナトリウム(2wt%)、p
H13.4」とした以外は、実施例1と同様に行った。
【実施例6】実施例1の「オルトホウ酸(2wt%)、
硝酸ナトリウム(10wt%)」を、「マンノン酸ナト
リウム(1wt%)、ホウ酸エチル(5wt%)、硝酸
ナトリウム(5wt%)、亜硝酸ナトリウム(5wt
%)、pH13.3」とした以外は、実施例1と同様に
行った。
【実施例7】実施例1の「オルトホウ酸(2wt%)、
硝酸ナトリウム(10wt%)」を、「グルコン酸(5
wt%)、次ホウ酸カリウム(8wt%)、硝酸カリウ
ム(7wt%)、亜硝酸ナトリウム(7wt%)、pH
13.2」とした以外は、実施例1と同様に行った。
【実施例8】実施例1の「オルトホウ酸(2wt%)、
硝酸ナトリウム(10wt%)」を、「グルコン酸ナト
リウム(5wt%)、過ホウ酸ナトリウム(9wt
%)、硝酸カリウム(10wt%)、亜硝酸ナトリウム
(10wt%)、pH13.2」とした以外は、実施例
1と同様に行った。
【比較例1】実施例1の「オルトホウ酸(2wt%)、
硝酸ナトリウム(10wt%)」を、「硝酸ナトリウム
(10wt%)」とした以外は、実施例1と同様に行っ
た。
【比較例2】実施例1の「オルトホウ酸(2wt%)、
硝酸ナトリウム(10wt%)」を、「亜硝酸ナトリウ
ム(10wt%)」とした以外は、実施例1と同様に行
った。
【比較例3】実施例1の「オルトホウ酸(2wt%)、
硝酸ナトリウム(10wt%)」を、「グロン酸(3w
t%)、硝酸ナトリウム(7wt%)」とした以外は、
実施例1と同様に行った。
【比較例4】実施例1の「オルトホウ酸(2wt%)、
硝酸ナトリウム(10wt%)」を、「マンノン酸(3
wt%)、亜硝酸ナトリウム(7wt%)」とした以外
は、実施例1と同様に行った。
【比較例5】実施例1の「オルトホウ酸(2wt%)、
硝酸ナトリウム(10wt%)」を、「グルコン酸(3
wt%)、ホウ酸ナトリウム(5wt%)」とした以外
は、実施例1と同様に行った。
【比較例6】実施例1の「オルトホウ酸(2wt%)、
硝酸ナトリウム(10wt%)」を、「グルコン酸(4
wt%)、硝酸カリウム(5wt%)、亜硝酸ナトリウ
ム(5wt%)」とした以外は、実施例1と同様に行っ
た。
【特性】上記各例で得た製品を水洗した後、20%硝酸
でスマット除去を行った。そして、水洗、純水洗して乾
燥した後、表面(梨地面)のピッティング状態、素材目
の除去性、梨地面の均一状態、梨地の白色度合いを調べ
たので、その結果を表−1に示す。
【0024】 表−1 ピッティング 素材目の除去性 梨地面均一状態 梨地白色度合い 実施例1 ○ ○ ◎ ◎ 実施例2 ◎ ○ ◎ ○ 実施例3 ○ ○ ◎ ◎ 実施例4 ◎ ◎ ◎ ○ 実施例5 ○ ○ ◎ ◎ 実施例6 ◎ ◎ ◎ ◎ 実施例7 ◎ ◎ ◎ ◎ 実施例8 ◎ ◎ ◎ ◎ 比較例1 × × × × 比較例2 × × × × 比較例3 × × × × 比較例4 × × × × 比較例5 × × × × 比較例6 △ △ × × * ◎ ○ △ ×の4段階で表示
【発明の効果】金属光沢が無く、緻密で、均一な白色梨
地面が低廉なコストで得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鹿島 顕史 千葉県浦安市北栄4−15−10 株式会社ケ ミコート内 Fターム(参考) 4K057 WA05 WB05 WE02 WE11 WE22 WE30 WG03 WG06 WG08 WM18

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ホウ素化合物と、 硝酸イオン及び/又は亜硝酸イオンを供給する物質と、 アルカリ性を呈する物質とを含むことを特徴とするアル
    ミニウム又はアルミニウム合金の梨地処理液。
  2. 【請求項2】 ホウ素化合物の濃度が0.5〜10wt
    %であることを特徴とする請求項1のアルミニウム又は
    アルミニウム合金の梨地処理液。
  3. 【請求項3】 硝酸イオン及び/又は亜硝酸イオンの濃
    度が2〜12wt%であることを特徴とする請求項1の
    アルミニウム又はアルミニウム合金の梨地処理液。
  4. 【請求項4】 pHが12〜14であることを特徴とす
    る請求項1のアルミニウム又はアルミニウム合金の梨地
    処理液。
  5. 【請求項5】 請求項1〜請求項4いずれかのアルミニ
    ウム又はアルミニウム合金の梨地処理液を用いてアルミ
    ニウム又はアルミニウム合金の製品の表面を梨地処理す
    る方法であって、 前記梨地処理液中において5m/分以下の接触速度で前
    記製品を走行させることを特徴とする梨地処理方法。
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