JP2002129237A - 高磁束密度一方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

高磁束密度一方向性電磁鋼板の製造方法

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喜史 大畑
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知二 熊野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高磁束密度一方向性電磁鋼鈑を製造する方法
を提供する。 【解決手段】 Alを含有する一方向性電磁鋼板のスラ
ブを加熱後熱間圧延し、この熱延板を焼鈍し、若しくは
焼鈍せず、1回乃至中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延
の後、脱炭焼鈍を行い、焼鈍分離剤を塗布し、仕上げ焼
鈍を施す一方向性電磁鋼板の製造方法で、脱炭焼鈍後に
窒化処理を行い、更に仕上焼鈍工程までにもう一度焼鈍
を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主にトランス等の
鉄芯として使用される高磁束密度一方向性電磁鋼板の製
造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一方向性電磁鋼板は、主にトランス等の
電気機器の鉄心材料として使用されており、励磁特性、
鉄損特性等の磁気特性に優れていることが要求される。
励磁特性を表す指標としては通常、磁場の強さ800A
/mにおける磁束密度B8 が使用される。また、鉄損特
性を表す指標としては、周波数50Hzで1.7テスラ
(T)まで磁化した際の1kg当りの鉄損W17/50 を使
用している。磁束密度は、鉄損特性の最大支配因子であ
り、一般に磁束密度が高いほど鉄損特性が良好である。
【0003】この一方向性電磁鋼板は、最終仕上げ焼鈍
工程で二次再結晶を発現させ、鋼板面に{110}、圧
延方向に<001>軸を持ったいわゆるゴス組織を発達
させることにより製造されている。良好な磁気特性を得
るためには、磁化容易軸である<001>を圧延方向に
高度に揃えることが必要である。このような高磁束密度
一方向性電磁鋼板の製造技術として代表的なものに特公
昭40−15644号公報及び特公昭51−13469
号公報記載の方法がある。前者においては主なインヒビ
ターとしてMnS及びAlNを、後者ではMnS,Mn
Se,Sb等を用いている。これらの技術においては、
インヒビターとして機能する析出物の大きさ、形態及び
分散状態を適正に制御することが必要であり、AlN,
MnS等のインヒビター機能を持つ析出物を、熱延に先
立つスラブ加熱時に一旦完全固溶させた後、最終冷延ま
でに析出させる方法が取られている。
【0004】そのスラブ加熱の際に、例えば、二次再結
晶に必要な量のMnSを完全固溶させるためには、約1
400℃の温度が必要となる。これらは、普通鋼のスラ
ブ加熱温度に比べて200℃以上も高く、この高温スラ
ブ加熱処理では、 1)方向性電磁鋼専用の高温スラブ加熱炉が必要。 2)加熱炉のエネルギー原単位が高い。
【0005】3)溶融スケール量が増大し、いわゆるノ
ロかき出しが必要。 4)発生したノロにより、加熱炉内温度制御が困難。 など、操業上、メンテナンス上の悪影響が大きい。この
ような問題を回避するためにはスラブ加熱温度を普通鋼
並に下げればよいわけであるが、このことは同時にイン
ヒビターとして有効なMnSの量を少なくするか或いは
全く用いないことを意味し、必然的に安定に二次再結晶
を実現させることが困難となる。つまり、スラブ加熱温
度を低温化しつつ、安定に二次再結晶させるためには、
スラブ加熱温度の低温化に伴って不足したインヒビター
強度を何らかの形で強化する必要がある。
【0006】このようなインヒビターとして、硫化物以
外には、窒化物、酸化物及び粒界析出元素等が考えら
れ、公知の技術として例えば次のようなものが挙げられ
る。特開昭50−161412号公報ではAs,Bi,
Sn,Sb等の粒界偏析元素を鋼中に含有することによ
り、スラブ加熱温度を1050〜1350℃の範囲にす
る方法が開示され、特開昭52−24116号公報では
Alの他、Zr,Ti,B,Nb,Ta,V,Cr,M
o等の窒化物生成元素を含有することによりスラブ加熱
温度を1100〜1260℃の範囲にする方法を開示し
ている。また、特開昭57−158322号公報ではM
n含有量を下げ、Mn/Sの比率を2.5以下にするこ
とにより低温スラブ加熱化を行い、更にCuの添加によ
り二次再結晶を安定化する技術を開示している。
【0007】これらインヒビターの補強と組み合わせ
て、金属組織の側から改良を加えた技術も開示された。
すなわち特開昭57−89433号公報ではMnに加え
S,Se,Sb,Bi,Pb,Sn,B等の元素を加
え、これにスラブ柱状晶率と二次冷延圧下率を組み合わ
せることにより、1100〜1250℃の低温スラブ加
熱化を実現している。更に、特開昭59−190324
号公報ではS或いはSeに加え、Al及びBと窒素を主
体としたインヒビターを構成し、これに冷延後の一次再
結晶焼鈍時にパルス焼鈍を施すことにより二次再結晶を
安定化する技術を公開している。
【0008】このように、方向性電磁鋼板製造における
スラブ加熱の低温化実現には、これまで多大な努力が続
けられてきている。更に、特開昭59−56522号公
報においてはMnを0.08〜0.45%、Sを0.0
08%以下にすることにより、スラブ加熱温度を普通鋼
並みに低温化する技術が開示された。この方法により高
温スラブ加熱時に生ずるスラブ結晶粒粗大化に起因する
製品の線状二次再結晶不良発生の問題が解消された。
【0009】これまで、本発明者らは、前述の特開昭5
9−56522号公報の技術に立脚した低温スラブ加熱
技術工業化のために、1)特開平2−182866号公
報に代表される最終仕上げ焼鈍前の一次再結晶の平均粒
径制御と、2)特開昭62−40315号公報に代表さ
れる脱炭焼鈍後、最終仕上げ焼鈍の二次再結晶開始まで
に窒化処理を施すことを柱とする技術を確立してきた。
【0010】一方、仕上焼鈍時の二次再結晶挙動に関す
る研究の結果、従来からの高温スラブ加熱プロセスにお
いて高磁束密度を実現するために、仕上焼鈍中表層部か
ら粒成長させる(例えば、鉄と鋼p.S428,第66
年(1980),鉄と鋼p.2033,第70年(19
84)等)ことが公知である。後工程での窒化を前提と
した低温スラブ加熱プロセスにおいては、長らく、例え
ば特開平8−176666号公報に見られる如く、一次
再結晶後に、結晶粒径が板厚方向均一となるよう制御す
ることが重要と考えられてきたが、特開平9−2560
52号公報で、前述の高温スラブ加熱プロセスにおける
仕上焼鈍中二次再結晶挙動を適用する考えが示された。
しかしながら、特開平9−256052号公報では、板
厚方向の結晶粒径分布を如何に実現させるかに関する具
体的な方法は開示されていなかった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、脱炭
焼鈍後に窒化処理を施すことを前提とした一方向性電磁
鋼板製造プロセスにおいて、極めて高い磁束密度をより
安定して得ることの出来る製造方法を提案することにあ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は上述した課題を
解決するためになされたもので、その要旨とするところ
は下記(1)〜(3)に示すとおりである。 (1)Alを含有する一方向性電磁鋼板のスラブを加熱
後熱間圧延し、この熱延板を焼鈍し、若しくは焼鈍せ
ず、1回乃至中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延の後、
脱炭焼鈍を行い、焼鈍分離剤を塗布し、仕上げ焼鈍を施
す一方向性電磁鋼板の製造方法において、スラブ成分が
質量%で、C:0.025〜0.10%、Si:2.2
〜4.0%、酸可溶性Al:0.006〜0.100
%、N:0.013%以下を含有し、脱炭焼鈍後に窒化
処理を行い、更に仕上焼鈍工程までにもう一度焼鈍を行
うことを特徴とする高磁束密度一方向性電磁鋼板の製造
方法。 (2)前記窒化処理後に連続して、鋼板を750℃以上
で1秒以上滞在させることを特徴とする(1)記載の高
磁束密度一方向電磁鋼板の製造方法。 (3)前記仕上焼鈍処理前の板厚中心層平均粒径が板厚
表面層平均粒径よりも15%以上大きいことを特徴とす
る(1)または(2)記載の高磁束密度一方向性電磁鋼
板の製造方法。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明者らは、窒化処理を前提と
する低温スラブ加熱プロセスにおいて、結晶粒径の板厚
方向分布を制御することで、従来の高温スラブ加熱プロ
セスにおいても高磁束密度を得るために仕上焼鈍中に粒
径分布を実現せしめるとの着想のもと、新たな技術開発
に取り組んだ。
【0014】窒化処理を前提とする低温スラブ加熱プロ
セスにおいて、仕上焼鈍中二次再結晶に寄与するインヒ
ビターは、窒化直後に板の最表層に局在している窒素が
二次再結晶開始までに仕上焼鈍昇温中に板内で拡散する
ことで均一に形成されるが、それまでの板厚方向に不均
一なインヒビター状態をむしろ積極的に活用するとの視
点より、種々実験を繰り返した。
【0015】即ち、本発明は、その狙いとするところ
は、本質的に特開平9−256052号公報で開示され
たものと同じであるものの、手段として、これまで顧み
られることのなかった、インヒビターが板厚方向不均一
となっている状態を活用することに着目し、窒化後仕上
焼鈍までに更に焼鈍を施すという全く新らしい発想から
構成されている。
【0016】以下、実験に基づいて本発明の内容を説明
する。質量%で、C:0.06%、Si:3.3%、M
n:0.13%、S:0.007%、Al:0.027
%、N:0.0075%、及び、Sn:0.05%を含
有し、残部はFe及び不可避的不純物からなるスラブを
作成した。1150℃で加熱した後熱間圧延を行い、
2.3mmの熱延板とした。次いで、1120℃に20
秒保持後直ちに900℃に保持して急冷する熱延板焼鈍
を施した後酸洗し、0.285mmに冷間圧延した。こ
れに、830℃の温度で150秒間保持する脱炭焼鈍を
施した(焼鈍1)。その後、水素、窒素、アンモニアの
混合ガス中で700℃120秒間保持する窒化焼鈍を行
い、窒化後の鋼板の全窒素量を250ppm前後に調整
した後、更に、一部を除いて残りの試料には650℃〜
900℃の温度でそれぞれ50秒間保持する焼鈍を施し
た(焼鈍2)。次いで、MgO,TiO2 を主成分とす
る焼鈍分離剤を塗布し1200℃まで15℃/時の昇温
速度で加熱し、その後1200℃で20時間の仕上げ焼
鈍を行った。この板を歪取り焼鈍した後、コロイダルシ
リカとリン酸アルミニウムを主成分とする張力コーティ
ング処理を行い、磁気特性を測定した。また、焼鈍2の
後の結晶粒径を、画像処理装置を用いて板厚最表面から
表面層1/5層までと中心部1/2層に分けて測定し
た。これらの結果を表1に示す。
【0017】
【表1】
【0018】この実験によって、窒化後仕上焼鈍までの
間に焼鈍を施すことで、板厚方向粒径分布制御が実現可
能なことを見出したのである。但し、この際の粒径分布
はインヒビターの板厚方向不均一性を反映して、表面層
が小さく中心層が大きいものであり、高温スラブ加熱プ
ロセスにおける好ましい板厚方向粒径分布とは逆行する
ものであった。それにも関わらず、表1の如く良好な磁
気特性を持つ成品が得られたのは、以下の理由によるも
のと考えている。
【0019】即ち、表面層:小、中心層:大の粒径分布
を持った焼鈍板は、仕上焼鈍中、窒化により導入された
窒素が拡散することで、インヒビター強度が板厚方向に
均一化される。この状態をHillertの粒成長式
(Acta Met.13(1965)227)に当て
はめて考えると、結晶粒径が小さい表面層が中心層に比
べて粒成長の駆動力大きく、更に脱窒によるインヒビタ
ー弱体化が表層から起こることも手伝って、表面層から
粒成長することが期待される。これにより、結果的に高
温スラブ加熱で高磁束密度を得るとされる仕上焼鈍中の
表層部粒成長と同様の板厚方向粒径分布が実現されてい
ると予想したのである。
【0020】そこで、上記の実験で焼鈍2を850℃で
実施した焼鈍板について、仕上焼鈍途中10℃刻みで引
出す実験を行い、サンプルをマクロ酸洗し、目視判定し
たところ、二次再結晶温度は1070℃であった。その
直前の温度(1060℃)で引出したサンプルについ
て、先ほどの実験の仕上焼鈍前に行ったのと同じ手順で
結晶粒径を測定したところ、表2に示す通り、表面層に
粗大粒の形成が認められ、先に挙げた本発明者らの仮説
の正しさが証明され、窒化を前提とした低温スラブ加熱
プロセスにおいて窒化後インヒビター強度の板厚方向分
布を活用した新たな一方向性電磁鋼板製造プロセスを見
出すに至ったのである。
【0021】
【表2】
【0022】本発明において、磁気特性が良好となる板
厚方向の粒径分布は、特開平8−176666号公報に
おいて良好になるとされる板厚分布と大きく異なってい
る。この理由は定かではないが、窒化によって導入され
た窒素が鋼中拡散される前の焼鈍で、平均結晶粒径が大
きくなっていることが観察されており、粒成長時インヒ
ビターの強弱の違いによるものと考えられる。
【0023】次に本発明におけるスラブの成分範囲の限
定理由について述べる。Cは、0.025%より少ない
と一次再結晶集合組織が適切でなくなり、0.10%を
超えると脱炭が困難になり工業生産に適していない。S
iは、2.2%より少ないと良好な鉄損が得られず、
4.0%を超えると冷延が極めて困難となり工業生産に
適していない。
【0024】Alは、Nと結合してAlNを形成し、主
に二次インヒビターとして機能する。このAlNは、窒
化前に形成されるものと窒化後に形成されるものがあ
り、この両方のAlN量確保のために、Alは酸可溶性
Al(以下、Alとは酸可溶性Alを指す。)として鋼
中に0.006〜0.100%必要である。この範囲を
外れると、低い場合は、二次インヒビターとしての働き
が不充分な為良好なGoss方位を持った二次再結晶粒
を安定的に得られず、高い場合には、後工程の必要窒化
量が増大し、被膜に甚大なダメージを与える。
【0025】Nは、溶製時に0.013%を越えるとブ
リスターと呼ばれる“鋼板のふくれ”が発生するので
0.013%以下とした。なお、インヒビター形成成分
としては上記したAl,Nの他、Mn,Cu,S,S
e,B,Sn,Sb,P,Cr,Mo,Cd,Ge,T
e及びBiなども有利に適合し、また、Niは一次,二
次インヒビターとしての析出物の均一分散に著しい効果
があるので、それぞれ少量併せて含有させることもでき
る。ここに上記成分の好適添加範囲はそれぞれ、Mn:
0.02〜0.8%、Cu:0.02〜0.2%、S:
0.002〜0.04%、Se:0.002〜0.06
%、B:0.0005〜0.0060%、Sn,Sb,
P及びCr:0.02〜0.30%、Cu,Mo,C
d:0.008〜0.3%、Ge,Te及びBi:0.
005〜0.1%、そしてNi:0.03〜0.30%
であり、これらの各元素についても、単独使用及び複合
使用いずれもが可能である。
【0026】次に本発明における製造工程の限定理由に
ついて述べる。本発明の方法では、第一に、公知のイン
ゴット鋳造法もしくは連続鋳造法により初期の厚みが1
50mmから300mmの範囲、好ましくは200mm
から250mmの範囲のスラブを製造する。この代わり
に、スラブは初期の厚みが約30mmから70mmの範
囲のいわゆる薄いスラブであってもよく、この場合は、
熱延鋼帯を製造する際、中間厚みに粗加工をする必要が
ないとの利点がある。形状を確保するため、鋳込みスラ
ブに分塊圧延を施しても何ら問題ない。
【0027】冷間圧延における最終冷延率が75%未満
であると一次再結晶集合組織中のGoss方位粒の方位
集積度が得難いため高磁束密度が確保し難く、95%を
超えると一次再結晶集合組織中Goss方位粒数が極端
に少なくなるため二次再結晶が不安定になる。最終冷間
圧延は常温で実施してもよく、タンデム冷延機を用いて
生産性良く圧延してもよいが、少なくとも1パスを10
0〜300℃の温度範囲に1分以上保つと一次再結晶集
合組織が改善され磁気特性が極めて良好になる。
【0028】脱炭焼鈍後二次再結晶開始前に鋼板に窒化
処理を施すことは本発明では必須である。その方法は、
脱炭焼鈍後にストリップを走行させた状態下でアンモニ
アを含んだ雰囲気で窒化させる方法が好ましい。仕上げ
焼鈍時の焼鈍分離剤に窒化物(窒化クロム,窒化マンガ
ン等)を混合させる方法もあるが、その場合、窒化で導
入した窒素が拡散する以前に脱炭焼鈍以上の温度で焼鈍
し、板厚方向結晶粒径差を持たせることが困難となる。
この窒化時の増窒素量は、0.0010%未満では二次
再結晶が不安定となる。また、この増窒化量が0.02
5%を超えると地鉄が露出した一次皮膜欠陥が多発する
ので、好ましくは、0.003〜0.025%である。
但し、グラス皮膜のない製品製造に、本発明を適用する
場合には、この上限値規制はその限りではない。
【0029】また、窒化後二次再結晶開始前に鋼板を焼
鈍することが本発明のキーポイントである。その方法
は、窒化で導入した窒素が拡散するよりも充分速く昇温
出来る点から、連続ラインでの焼鈍が好ましい。窒化
後、別の工程を、若しくは再度同一工程を、通板しても
良いが、窒化焼鈍に引き続いて降温することなく焼鈍す
ると、増工程を伴わないので、製造コストの面から更に
好ましい。
【0030】
【実施例】〈実施例1〉質量%で、C:0.04%、S
i:2.5%、Al:0.025%、N:0.005
%、Mn:0.05%、S:0.01%、Sn:0.0
3%を含有し、残部はFe及び不可避的不純物からなる
成分のスラブを、1250℃で加熱した後熱間圧延を行
い、2.5mmの熱延板とした。次いで、1120℃に
20秒保持後直ちに900℃に保持して急冷する熱延板
焼鈍を施した後酸洗し、0.345mmに冷間圧延し
た。これに、810〜850℃の温度で150秒間保持
する脱炭焼鈍を施した(焼鈍1)。その後、水素、窒
素、アンモニアの混合ガス中で700℃120秒間保持
する窒化焼鈍を行い、窒化後の鋼板の全窒素量を250
ppm前後に調整した後、更に、一部を除いて残りの試
料には650℃〜900℃の温度でそれぞれ60秒間保
持する焼鈍を施した(焼鈍2)。次いで、MgO,Ti
2 を主成分とする焼鈍分離剤を塗布し1200℃まで
15℃/時の昇温速度で加熱し、その後1200℃で2
0時間の仕上げ焼鈍を行った。この板を歪取り焼鈍した
後、コロイダルシリカとリン酸アルミニウムを主成分と
する張力コーティング処理を行い、磁気特性を測定し
た。また、焼鈍2の後の結晶粒径を、画像処理装置を用
いて板厚最表面から表面層1/5層までと中心部1/2
層に分けて測定した。これらの結果を表3に、図示した
ものを図1に示す。
【0031】
【表3】
【0032】
【発明の効果】本発明の製造方法を適用することによ
り、一方向性電磁鋼板の窒化を前提とした低温スラブ加
熱製法において、高磁束密度を持った成品を安定に生産
することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】仕上焼鈍前鋼板の表面層平均粒径と中心層平均
粒径の関係による磁気特性の変化を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤井 宣憲 福岡県北九州市戸畑区飛幡町1−1 新日 本製鐵株式会社八幡製鐵所内 Fターム(参考) 4K033 AA02 FA12 HA01 HA03 JA04 LA01 PA00 TA01 5E041 AA02 AA19 BC01 CA02 HB05 HB07 HB11 NN01 NN06 NN18

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Alを含有する一方向性電磁鋼板のスラ
    ブを加熱後熱間圧延し、この熱延板を焼鈍し、若しくは
    焼鈍せず、1回乃至中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延
    の後、脱炭焼鈍を行い、焼鈍分離剤を塗布し、仕上げ焼
    鈍を施す一方向性電磁鋼板の製造方法において、スラブ
    成分が質量%で、 C:0.025〜0.10%、 Si:2.2〜4.0%、 酸可溶性Al:0.006〜0.100%、 N:0.013%以下 を含有し、脱炭焼鈍後に窒化処理を行い、更に仕上焼鈍
    工程までにもう一度焼鈍を行うことを特徴とする高磁束
    密度一方向性電磁鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記窒化処理後に連続して、鋼板を75
    0℃以上で1秒以上滞在させることを特徴とする請求項
    1記載の高磁束密度一方向電磁鋼板製造方法。
  3. 【請求項3】 前記仕上焼鈍処理前の板厚中心層平均粒
    径が板厚表面層平均粒径よりも15%以上大きいことを
    特徴とする請求項1または2記載の高磁束密度一方向性
    電磁鋼板製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP5031934B2 (ja) * 2010-03-17 2012-09-26 新日本製鐵株式会社 方向性電磁鋼板の製造方法

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JP5031934B2 (ja) * 2010-03-17 2012-09-26 新日本製鐵株式会社 方向性電磁鋼板の製造方法

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