JP2002128759A - 4−[(r)−1’−ホルミルエチル]アゼチジン−2−オン誘導体 - Google Patents

4−[(r)−1’−ホルミルエチル]アゼチジン−2−オン誘導体

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JP2002128759A
JP2002128759A JP2001328632A JP2001328632A JP2002128759A JP 2002128759 A JP2002128759 A JP 2002128759A JP 2001328632 A JP2001328632 A JP 2001328632A JP 2001328632 A JP2001328632 A JP 2001328632A JP 2002128759 A JP2002128759 A JP 2002128759A
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JP2001328632A
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Takao Saito
隆夫 斉藤
Kazuhiko Matsumura
和彦 松村
Yasushi Kato
靖 加藤
Noboru Sayo
昇 佐用
Hidenori Kumobayashi
秀徳 雲林
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Takasago International Corp
Original Assignee
Takasago International Corp
Takasago Perfumery Industry Co
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    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 抗生物質カルバペネム類の重要な中間体であ
る一般式(II)で表される光学活性化合物 【化1】 (式中、Rは水素原子または水酸基保護基を示し、R
は、水素原子または、アミノ保護基を示す)へ容易に
導ける化合物を提供すること。 【解決手段】ホスフィン化合物を配位子とする遷移金属
化合物−ホスフィン錯体を触媒としてオレフィン化合物
ホルミル化することによって得られる、 一般式(I) 【化2】 (式中Rは水素原子または水酸基保護基を示す)で表
される化合物を提供する。このものを酸化することによ
り容易に化合物(II)に導くことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はホスフィン化合物に
関し、更に詳しくはロジウム等の遷移金属と組み合わせ
ることによって、不斉ヒドロホルミル化反応における有
用な触媒として利用できるホスフィン化合物および当該
化合物と遷移金属を使用する光学活性アルデヒドの製造
方法、さらにそれを用いた抗生物質中間体の製造法なら
びにその中間体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、有機合成反応に利用できる遷移金
属錯体、例えば不斉水素化反応、不斉ヒドロシリル化反
応、不斉ヒドロホルミル化反応等に触媒として用いられ
る錯体について数多くの報告が成されている。 中で
も、ロジウム、ルテニウム等の遷移金属に、光学活性な
第3級ホスフィンを配位させた錯体は、不斉合成反応の
触媒として優れた性能を有するものが多く、この触媒の
性能を更に高めるために、特殊な構造のホスフィン化合
物がこれまでに開発されてきた(日本化学会編、化学総
説32「有機金属の化学」、237−238頁、昭和5
7年)。
【0003】その中でも、遷移金属−ホスフィン錯体を
用いる不斉ヒドロホルミル化反応に注目してみると例え
ば以下のような技術が知られている。J.Org.Che
m.,46,4422(1981)には、光学活性な2,3
−O−ジイソプロピリデン−2,3−ジヒドロキシ−1,
4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン(以下DIO
Pという)を配位子とするロジウム錯体を用いる反応
が、また、Bull.Chem.Soc.Jpn.,52,2
605(1979)には光学活性な二座ホスフィン(D
IOP等)を配位子とするロジウム錯体を用いる反応
が、更に、Tetrahedron Asymmetr
y,10、693(1990)にはDIOP等を配位子
とするロジウム錯体を用いるアセトアミドアクリル酸メ
チルの不斉ヒドロホルミル化反応等が知られている。
【0004】一方、光学活性な第3級ホスファイトを配
位子とする錯体としては、Tetrahedron A
symmetry,3,583(1992)に光学活性な
ビナフチル骨格を有するビス(トリアリ−ルホスファイ
ト)が記載されており、このものを配位子とするロジウ
ム錯体を用いた酢酸ビニルの不斉ヒドロホルミル化反応
が知られている。
【0005】ところで、近年活発に開発が成されている
カルバペネム系抗菌剤の重要な中間体である下記式(I
I)
【化2】 (式中、R1は水素原子または水酸基保護基を示し、R2
は水素原子またはアミノ保護基を示す) で表される4−[(R)−1'−カルボキシエチル]ア
ゼチジン−2−オン誘導体の製法の開発も活発に行われ
ている。従来のカルバペネム類において1位に置換基を
持たないものは、高濃度では化学的に不安定であり、腎
デヒドロペプチタ−ゼにより容易に代謝されるという欠
点を有する。しかし1位にβ配置のアルキル基を導入す
ると腎デヒドロペプチタ−ゼに対する安定性が増し、腎
デヒドロペプチタ−ゼ阻害剤を併用することなく単独使
用が可能となることが知られている。この化合物(II)
の合成法としては多くの報告があるが特に一般式(II
I)
【化3】 (式中R1およびR2は前記と同様の意味を表わす) で表される4−アセトキシアゼチジン−2−オン誘導体
の4位に、種々の求核剤により増炭反応を行う方法が知
られている。また、式(II)で表される化合物の合成法
としてほかに知られているものは一般式(IV)
【化4】 (式中、R1およびRは前記と同様の意味を表わす) で表される化合物をリチウムジイソプロピルアミド等の
塩基を用いてアルキル化する方法、一般式(V)
【化5】 (式中、R1およびR2は前記と同様の意味を有し、R10
はアルキル基、カルボキシル基またはアルコキシカルボ
ニル基を示す) で表される化合物のエキソメチレン基を接触的に還元す
るかあるいは特定の触媒により不斉還元する方法等が挙
げられる。しかし上記の方法で得られる一般式(II)の
化合物は、ほとんどの場合、その立体異性体すなわちα
体、β体が特定の割合で混合した化合物として得られ
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、不斉ヒ
ドロホルミル化反応の触媒としてより高い性能を有する
触媒を提供するために、特殊なホスフィン化合物が多数
開発されているが、対象とする基質や反応によっては選
択性、不斉収率等の面で充分に満足できない場合があ
り、従来の触媒に比べてより高い位置選択性、不斉収率
を与える新しいホスフィン化合物の開発および遷移金属
−ホスフィン錯体が望まれていた。
【0007】また、優れた抗菌剤として知られているカ
ルバペネム類の中間体として利用価値の高いβ−配置の
メチル基を有する化合物(II)あるいはこれの前駆体の
効率的な製造方法が望まれていた。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するべく鋭意研究を重ねた結果、光学活性なビフェ
ノ−ル類、あるいはビナフト−ル類を骨格とするホスフ
ィン化合物を配位子とする遷移金属錯体が、従来公知の
遷移金属−光学活性ホスフィン錯体に比べて不斉ヒドロ
ホルミル化反応における不斉収率および位置選択率にお
いて著しく優っていることを見出した。
【0009】また、この触媒を用いることによって簡便
に様々な光学活性アルデヒド類を合成でき、またこれを
利用することによって抗生物質であるカルバペネム類の
重要な中間体である化合物(II)へ容易に導ける化合物
を合成することができることを見出し本発明を完成し
た。
【0010】従って本発明の目的は、下記一般式(1)
【化6】 (式中、R4、R4'は同一または異なって、水素原子、
低級アルキル基、低級アルコキシ基を示し、R3
3'、R9およびR9'はそれぞれ同一または異なって、
水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロゲ
ン原子を示すか、またはR3とR4、R3'とR4'でそれぞ
れ環を形成してもよい。 R5、R6は同一または異なっ
て、低級アルキル、ハロゲンまたは低級アルコキシで置
換されてもよいフェニル基を示し、R7、R8は同一また
は異なって、低級アルキル、低級アルコキシまたはハロ
ゲンで置換されてもよいフェニル基を示すか、R7とR8
で2価の炭化水素基を形成してもよい) で表されるホスフィン化合物、あるいは下記一般式
(2)
【化7】 (式中、R14、R14'は同一または異なって、水素原
子、低級アルキル基または低級アルコキシ基を示し、R
13、R13'、R19およびR19'はそれぞれ同一または異な
って、水素原子、低級アルキル基または低級アルコキシ
基またはハロゲン原子を示す。R15、R16は同一または
異なって、低級アルキル、ハロゲン原子もしくは低級ア
ルコキシで置換されていてもよいフェニル基を示し、R
17およびR18は同一または異なって、低級アルキル、低
級アルコキシ、ハロゲンで置換されていてもよいフェニ
ル基を示すか、R17と、R18で2価の炭化水素基を形成
してもよい) で表されるホスフィン化合物およびこれらのホスフィン
化合物を配位子とする遷移金属−ホスフィン錯体を提供
するものである。
【0011】また、本発明の別の目的は、これらのホス
フィン化合物とロジウム等の遷移金属との錯体、あるい
はホスフィン化合物および遷移金属化合物の両者を触媒
とする下記一般式(3) Q1−CH=CH−Q2 [式中、Q1は水素原子または低級アルキル基を示し、
2は低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロゲン原
子、低級アルキルカルボニルオキシ基、シアノ基、カル
ボキシル基、低級アルキルカルボニル基、低級アルコキ
シカルボニル基、フタルイミド基、アセチルアミノ基、
ベンゾイルアミノ基、モノ低級アルキルアミノ基、ジ低
級アルキルアミノ基、ベンゾイル基;低級アルキル、低
級アルコキシ、ハロゲンで置換されていてもよいフェニ
ル基;低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲンで置換
されていてもよいナフチル基を示すか、または下記一般
式(4)で示される基、
【化8】 (式中、R1は水素原子または水酸基保護基を示す) を示すか、またはQ1とQ2で下記式(5)
【化9】 (式中、nは1あるいは2を示す) で示される環を形成してもよい]で表されるオレフィン
類をヒドロホルミル化することを特徴とする光学活性ア
ルデヒド類の製造方法を提供するものである。
【0012】更に、本発明の他の目的は、上記のヒドロ
ホルミル化反応を用いて製造される下記一般式(I)
【化10】 (式中、R1は前記と同様の意味を有する) で表される4−[(R)−1'−ホルミルエチル]アゼ
チジン−2−オン誘導体を提供するものである。
【0013】本明細書中において、低級アルキル基とは
メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブ
チル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−
ブチル基等を意味し、ハロゲン原子とは塩素原子、臭
素原子、ヨウ素原子、フッ素原子を意味し、低級アルコ
キシ基とはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イ
ソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec
−ブトキシ基、tert− ブトキシ基等を意味する。
【0014】また、本明細書中において、2価の炭化水
素基とはビフェニル基、置換基を有したビフェニル基、
ビナフチル基、置換基を有したビナフチル基、ビアンス
リル基、置換基を有したビアンスリル基、ビフェナンス
リル基、置換基を有したビフェナンスリル基のようなビ
アリ−レン基、またはエチレン基、トリメチレン基、テ
トラメチレン基、ペンタメチレン基、1,4−ジメチル
テトラメチレン基、1,3−ブタジエニレン基、1,4−
ジメチル−1,3−ブタジエニレン基のような直鎖ある
いは分枝の、飽和あるいは不飽和の炭素数2〜6のアル
キレン基を意味する。
【0015】本発明のホスフィン化合物(1)は、例え
ば次の反応式によって示される方法により製造される。
【化11】 (式中、Tfはトリフルオロメタンスルホニル基を示
す)
【0016】すなわち、Tetrahedron Le
tt., 31, 6321〜6324、(1990)に準
じた方法で、1,1'−ビ−2−ナフトールにトリフルオ
ロメタンスルホン酸無水物を反応させ、2,2'−ビス
(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)−1,1'−ビ
ナフチルとなし、これにパラジウム錯体触媒の存在下、
ホスフィンオキシドを反応させることにより、2−ジフ
ェニルホスフィニル−2'−トリフルオロメタンスルホ
ニルオキシ−1,1'−ビナフチルとし、ついでこれをト
リエチルアミンの存在下トリクロロシランで還元した後
に加水分解して、2−ジフェニルホスフィノ−2'−ヒ
ドロキシ−1,1'−ビナフチルとし、更にこれに別途合
成したクロロホスファイトをトリエチルアミンの存在下
反応させれば、本発明のホスフィン化合物(1)が得ら
れる。
【0017】このようにして得られる本発明のホスフィ
ン化合物(1)としては、例えば以下の表1または表2
に記載されているようなものが挙げられる。
【0018】
【表1】
【0019】
【表2】
【0020】なお、本発明のホスフィン化合物(1)の
骨格には光学活性体及びラセミ体が存在するが、本発明
はこれらの化合物のいずれも含むものである。
【0021】得られた本発明のホスフィン化合物(1)
は、遷移金属と組み合わせて、本発明ホスフィン化合物
(1)を配位子とする錯体を調製することができる。遷
移金属の例としては、ロジウム、ルテニウム、イリジウ
ム、白金等が挙げられるが、ロジウムが好ましい。以
下、ロジウムを例にとり、本発明ホスフィン化合物
(1)を配位子とする錯体(以下、「ロジウム−光学活
性ホスフィン錯体」という)について説明する。
【0022】ロジウム−光学活性ホスフィン錯体の形成
のために錯体前駆体として用いられるロジウム化合物と
しては、例えば、 RhCl3、RhBr3、RhI3、R
23、Rh(OAc)3(以下、アセチル基をAcと
略す)、[Rh(O271522、Rh(acac)
3(以下アセチルアセトナ−トをacacと略す)、R
4(CO)12、Rh6(CO)16、[Rh(COD)C
l]2 (以下、1,5−シクロオクタジエンをCODと
略す)、[Rh(COD)Br]2、[Rh(COD)
I]2、[Rh(COD)OAc]2、[Rh(COD)
OCOC(CH 332、[Rh(NBD)Cl]2
(以下、ノルボルナジエンをNBDと略す)、[Rh
(NBD)Br]2、[Rh(NBD)I]2、[Rh
(NBD)OAc]2、[Rh(NBD)OCOC(C
332、Rh(COD)(acac)、Rh(NB
D)(acac)、
【0023】Rh(CO)2(acac)、[Rh(C
O)2Cl]2、[Rh(CO)2Br] 2、[Rh(C
O)2I]2、Rh(CO)2(Cp)(以下、1,3−シ
クロペンタジエンをCPと略す)、Rh(CO)2(t
mCp)(以下、1,2,3,4−テトラメチル−1,3−
シクロペンタジエンをtmCpと略す)、[Rh(C
O)(tmCp)2]、Rh(C242(acac)、
[Rh(C242Cl]2、[Rh(C242
r]2、[Rh(C242I]2、[Rh(C24
2(tmCp)]、RhCl(PPh33(以下、フェ
ニル基をPhと略す)、RhBr(PPh33、RhI
(PPh33、RhH(CO)(PPh33、RhH
(PPh33
【0024】RhH(P(i−Pr)33(以下、イソ
プロピル基をi−Prと略す)、RhHCl2(PP
32、RhHCl2(AsPh32、RhHCl2(S
bPh3 2、RhH2Cl(PPh32、RhH2Br
(PPh32、RhH2I(PPh32、Rh(OA
c)(CO)(PCp32、Rh(OCOPh)(C
O)(PCp32、Rh(ClO4)(CO)(PC
32、Rh(Cl)(CO)(PCp32、Rh(C
l)(CO)(PBu32、Rh(Cl)(CO)(P
Ph 32、Rh(I)(CO)(PCp32、[RhH
{P(O−i−Pr)32 2、Rh(C572)(C
24)、
【0025】[Rh(COD)2]BF4、[Rh(CO
D)(CH3CN)2]BF4、[Rh(COD)(Ph2
PC48PPh3)]BF4、[Rh(C78)(Ph2
PC510PPh2)]BF4、[Rh(C78)[PP
2(o−C64OCH322]BF4、[Rh(CO
D)(PPh32]PF6、Rh(COD)(AsP
32]ClO4、[Rh(NBD)(PPh32]C
lO4、[RhH2(PPh32(AcCH3)(C25
OH)]ClO4、[RhH2(PPh32(CH3
N)2]ClO4、[RhH2(PPh32(C25
H)2]ClO4、[RhCl2(n-51(C
34)]2、Rh(Cp)(PPh32、[Rh(t
mCp)(CH3CN)3](PF62、Rh2Cl2(n
-C354、Rh(n-C3 53 等が挙げられる。
【0026】これらロジウム化合物と本発明ホスフィン
化合物(1)とを適当な溶媒中で混ぜ合わせることによ
り本発明のロジウム−ホスフィン錯体が得られる。 こ
こで用いられる溶媒としては、トルエン、ベンゼン、ヘ
キサン、ヘプタン、イソオクタン、デカン等の炭化水素
類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテ
ル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類 メ
タノール、エタノール等の低級アルコール類、酢酸エチ
ル等のエステル類、塩化メチレン等が挙げられるが、ト
ルエン、塩化メチレンが好ましい。 なお、本発明のロ
ジウム−ホスフィン錯体は、通常錯体中にRh原子が1
個の単核錯体であるがRh原子が2個以上の複核錯体の
場合もある。
【0027】以上、ロジウムに関してだけ述べたがルテ
ニウム、イリジウム、白金に関しても同様の方法で対応
する遷移金属−ホスフィン錯体が得られる。
【0028】以上のようにして得られた遷移金属−ホス
フィン錯体をヒドロホルミル化反応の反応系に触媒とし
て加えることによって光学活性アルデヒドを製造するこ
とができる。また、本発明のホスフィン化合物(1)の
存在下、オレフィン類を遷移金属化合物を用いてヒドロ
ホルミル化することよっても光学活性アルデヒドを製造
することができる。
【0029】つまり、上記のように予め調製した遷移金
属−ホスフィン錯体を用いた場合も、またこれを用いず
に、遷移金属化合物および本発明のホスフィン化合物の
両者を反応溶媒中で混合し、ヒドロホルミル化反応を行
った場合でも、遷移金属−ホスフィン錯体を経由して反
応が進行し、両方法ともに光学活性なアルデヒドを与え
るものである。
【0030】このことは以下のような事実により明らか
である。例えば、Rh(CO)2(acac)と本発明
のホスフィン化合物(phosと略す)とを1当量づつ
塩化メチレン等の溶媒中で反応させると、2個のCO
(一酸化炭素)とホスフィン化合物が配位子交換を起こ
し、Rh(acac)(phos)型の錯体が生成す
る。 この錯体を単離して31P−NMR を測定すると、
2つのシグナルを示す。 また、Rh(CO)2(aca
c)を1当量とphosを2.5当量を同様に溶媒中で
処理して31P−NMR を測定すると、先の錯体の2つ
のシグナルのほかにphos自体の2つのシグナルが見
られる。
【0031】一方、ヒドロホルミル化反応条件下(Rh
(CO)2(acac)1当量、phos 2.5当量;
ただし一酸化炭素および水素の添加前)における31P−
NMR も上記と同様に錯体のシグナルとphosのシ
グナルを示すことから、反応系中では必ずRh(aca
c)(phos)を経由して反応が進行する。
【0032】このことから、遷移金属とホスフィン錯体
(1)を別途系中に加えた場合でも遷移金属−ホスフィ
ン錯体が形成されることが理解される。
【0033】上記の遷移金属−ホスフィン錯体によりヒ
ドロホルミル化されるオレフィン類としては、例えば以
下のようなものが挙げられるが、これらに限られるもの
ではない。
【0034】塩化ビニル、臭化ビニル、ヨウ化ビニル、
1−プロペン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセ
ン、3,3−ジメチル−1−ブテン、N−ビニルフタル
イミド、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、吉草酸ビニ
ル、アクリロニトリル、アクリル酸、アクリル酸メチ
ル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸
t−ブチル、メチルビニルエ−テル、エチルビニルエ−
テル、ブチルビニルエ−テル、t−ブチルビニルエ−テ
ル、3−ブテン−2−オン、1−ブテン−3−オン、1
−ヘプテン−3−オン、4,4−ジメチル−1−ペンテ
ン−3−オン、1−フェニル−2−プロペン−1−オ
ン、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルベンズアミ
ド、
【0035】メチルビニルアミン、エチルビニルアミ
ン、ブチルビニルアミン、ジメチルビニルアミン、ジエ
チルビニルアミン、ジブチルビニルアミン、スチレン、
クロロスチレン、ブロモスチレン、メチルスチレン、4
−t−ブチルスチレン、4−イソブチルスチレン、メト
キシスチレン、エトキシスチレン、ビニルナフタレン、
2−メトキシ−6−ビニルナフタレン、1−クロロ−1
−プロペン、1−ブロモ−1−プロペン、2−ブテン、
2−ペンテン、2−ヘキセン、2−ヘプテン、
【0036】酢酸1−プロペニル、シアン化1−プロペ
ニル、クロトン酸、クロトン酸メチル、クロトン酸ブチ
ル、メチル1−プロペニルエ−テル、3−ペンテン−2
−オン、2−オクテン−4−オン、N−2−ペンテニル
アセトアミド、メチル2−プロペニルアミン、ブチル2
−プロペニルアミン、ジメチル2−プロペニルアミン、
ジブチル2−プロペニルアミン、4−(2−プロペニ
ル)クロロベンゼン、4−(2−プロペニル)トルエ
ン、4−(2−プロペニル)ブチルベンゼン、(1'R,
3S,4R)−3−(1'−(Pro−1)オキシ)エチ
ル−4−ビニルアゼチジン−2−オン、インデン、1,
2−ジヒドロナフタレン。
【0037】ここで、Pro−1とは前記一般式(4)
で表される式中のR1を表し、R1としては、水素原子、
またはトリメチルシリル、トリエチルシリル、イソプロ
ピルジメチルシリル、tert−ブチルジメチルシリ
ル、(トリフェニルメチル)ジメチルシリル、tert
−ブチルジフェニルシリル、メチルジイソプロピルシリ
ル、メチルジ−tert−ブチルシリル、トリベンジル
シリル、トリ(p−トリル)シリル、トリイソプロピル
シリル、トリフェニルシリルの様な置換シリル基、
【0038】ホルミル、ベンゾイルホルミル、アセチ
ル、クロロアセチル、ジクロロアセチル、トリクロロア
セチル、トリフルオロアセチル、メトキシアセチル、フ
ェノキシアセチル、p−クロロフェノキシアセチル、ベ
ンゾイル、ベンジルオキシカルボニル、エトキシカルボ
ニルの様なアシル基、ベンジル、ベンズヒドリル、トリ
フェニルメチル基の様なアラルキル基、などの水酸基保
護基を挙げることができるが、その中でも水素原子、ト
リメチルシリル、tert−ブチルジメチルシリル、ベ
ンジルオキシカルボニル、エトキシカルボニル、アセチ
ル、ベンジル、ベンズヒドリル、トリフェニルメチルが
好ましい。
【0039】本発明のヒドロホルミル化方法は、本発明
ホスフィン化合物およびロジウム、ルテニウム、イリジ
ウム、白金のなかから選ばれる金属の化合物を別々に触
媒として反応系に加えるか、あるいはロジウム、ルテニ
ウム、イリジウム、白金のなかから選ばれる金属の化合
物と本発明ホスフィン化合物とから形成される本発明の
遷移金属−ホスフィン錯体を触媒として反応系に加える
ことによって実施される。
【0040】反応系の触媒の濃度は、液相1リットルあ
たり金属化合物においては金属原子として、0.000
1〜1000mg、好ましくは、0.001〜100m
gの範囲に相当する量で使用され、またホスフィンにお
いては金属原子のモル数の1〜5倍、好ましくは2〜4
倍の量で使用される。
【0041】本発明のヒドロホルミル化方法は、反応溶
媒を用いることなく実施できるが、通常は反応溶媒の存
在下に反応を行わせるのがよい。 反応溶媒としては、
反応に悪影響を及ぼさないものであれば、いずれも用い
ることができ、特に炭化水素類が好ましく、具体的には
ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、ノナ
ン、デカン、シクロヘキサン、シクロペンタン、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン、メシチレン等を挙げることが
できる。
【0042】このほか、ジイソプロピルエ−テル、ジブ
チルエ−テル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタ
ン、ジエチレングリコ−ルジメチルエ−テル等のエ−テ
ル類、ジイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン、
アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸エチ
ル、酪酸ブチル、安息香酸ブチル等のエステル類、メタ
ノ−ル、エタノ−ル、ブタノ−ル、tert−ブタノ−
ル等のアルコ−ル類等を用いることができる。これらの
溶媒は単独あるいは2種以上混合して用いることができ
る。
【0043】一般に、ヒドロホルミル化反応では、触媒
活性を高めるために、反応系内に水を共存させる方法が
好まれるが、本発明においても反応時に水を共存させる
ことができる。 水の添加量に特に制限はないが、極端
に少量では効果が薄く、極端に多量に用いても効果は頭
打ちとなる。通常、水の添加量は、基質オレフィン類に
対して重量比で、0.001〜1000倍を添加すれば
反応速度が増大する場合がある。
【0044】本発明の方法では、触媒の活性や位置選択
性および立体選択性を改良する目的で、水以外にも種々
の添加物を添加することができる。このような添加物と
してトリエチルホスフィンオキシド、トリフェニルホス
フィンオキシド、トリブチルホスフィンオキシド、トリ
エチルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリフ
ェニルホスファイト等の燐化合物、酢酸、プロピオン
酸、ピバリン酸等のカルボン酸類等が挙げられる。
【0045】本発明のヒドロホルミル化反応を実施する
ときの反応条件として、通常、反応温度は−20℃〜2
50℃、更に好ましくは10〜150℃の範囲がよい。
反応温度は、生成するアルデヒドの熱安定性の面からは
低いほうがよく、反応速度の面からは高いほうが望まし
い。 反応圧力は5〜200kg/cm2、更に好ましく
は20〜150kg/cm2の範囲で行う。 また、原料
の一酸化炭素および水素の混合モル比は、通常10〜
0.1の範囲であり、更に好ましくは4〜0.2の範囲で
ある。
【0046】一酸化炭素と水素の混合比が、このような
割合を保持しているかぎり、反応に不活性なほかのガス
で希釈することができる。希釈ガスとしては、メタン、
窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素等を単独乃至は
複数で用いる。
【0047】また、更に本発明のヒドロホルミル化方法
を用いて有利に製造することができる化合物としては、
下記一般式(I)
【化12】 (式中R1は前記と同様の意味を有する) で表される4−[(R)−1'−ホルミルエチル]アゼ
チジン−2−オン誘導体が挙げられる。
【0048】この化合物は下記一般式(6)
【化13】 (式中R1は前記と同様の意味を有する) で表される化合物を出発原料とし、本発明のヒドロホル
ミル化方法を用いることによって高い不斉収率、位置選
択性で得ることができるものである。
【0049】出発原料である一般式(6)で表される化
合物は、例えばLiebig Ann. Chem., 53
9〜560(1974)に記載の方法で得られる。
【0050】すなわち、次式(VI)
【化14】 (式中、R1は前記と同様の意味を表わす) で表される4−アセトキシアゼチジン−2−オン誘導体
に、アセトン−水、メタノ−ル、水−メタノ−ルなどの
可溶性溶媒中、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、p−
トルエンスルフィン酸ナトリウムあるいはこれに対応す
るカリウム塩、リチウム塩を反応させて次の一般式(VI
I)
【化15】 (式中、R1は前記と同様の意味を示し、Arはハロゲ
ン原子あるいは低級アルキル基などで置換されてもよい
フェニル基を示す) で表される化合物に誘導した後、J. Chem. So
c. Chem. Commn., 1980, 736〜73
8に記載の方法に従って、有機ビニル化合物、例えば塩
化ビニルマグネシウム、臭化ビニルマグネシウム、ヨウ
化ビニルマグネシウム、ジビニルマグネシウム、ビニル
リチウム、塩化ビニル亜鉛、ジビニル亜鉛などのビニル
化剤を反応させることによって容易に得ることができ
る。
【0051】そして、このようにして得られた化合物
(6)に、本発明の遷移金属−ホスフィン錯体を、ある
いは本発明ホスフィンと遷移金属化合物の両者を触媒と
するヒドロホルミル化反応を行うことにより、一般式
(I)の化合物が得られる。
【0052】なお、ここで用いられる本発明ホスフィン
化合物の骨格となる部分の絶対配置は(R)配置であ
り、さらに対応するホスファイト側は、この部分が軸不
斉型ジオ−ルから誘導される場合は、このものの絶対配
置が(S)配置であることが、生成する一般式(7)の
化合物における1'−ホルミル基の絶対配置が(R)配
置すなわちβ体を効率よく得るために必須な条件とな
る。
【0053】そして、この様にして得られた化合物
(6)に、本発明のヒドロホルミル化反応を行うことに
より得られる一般式(I)の化合物は、通常の酸化、例
えばジョ−ンズ(Jones) 酸化等により酸化することに
よって、容易にホルミル基をカルボキシル基にすること
ができ、酸化された化合物(II)はカルバペネム系抗生
物質の重要な中間体となる。
【0054】本発明によれば、種々の化合物の二重結合
を立体特異的にアルデヒド基に変換することが可能とな
る。このように、本発明のヒドロホルミル化反応は、医
薬、農薬、香料等、あるいはその中間体として用いられ
る光学活性アルデヒドを高い不斉収率で容易に合成でき
るので、化学合成上大きな意義のあるものである。
【0055】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を詳細に説明す
るが、本発明はこれらによりなんら制約されるものでは
ない。
【0056】なお、実施例中の物理化学的性質の測定に
当っては、次の機器を用いた。 核磁気共鳴スペクトル(NMR):EX−270(日本
電子製)、AM−400(ブルッカ−社製) 内部標準物質 1H;テトラメチルシラン 外部標準物質 31P;85%リン酸 光学純度:GC−15Aガスクロマトグラフィ−(島津
製作所製)カラム;キラルキャピラリ−カラムCHRO
MPACK β−236M 化学純度:日立−263−30ガスクロマトグラフィ−
(日立製作所製) 旋光度:DIP−360(日本分光工業社製)
【0057】実 施 例 1 (S)−3,3'−ジクロロ−2,2',4,4'−テトラメ
チル−6−ジフェニルホスフィノビフェニル−6'−イ
ルオキシ((R)−1,1'−ビナフタレン−2,2'−ジ
イルジオキシ)ホスフィンおよび(R)−3,3'−ジク
ロロ−2,2',4,4'−テトラメチル−6−ジフェニル
ホスフィノビフェニル−6'−イルオキシ((R)−1,
1'−ビナフタレン−2,2'−ジイルジオキシ)ホスフ
ィンの製造:
【0058】(1)(±)−3,3'−ジクロロ−2,
2',4,4'−テトラメチルビフェニル−6,6'−ジオ−
ル(以下、「化合物A」とする)の製造:フラスコの中
に4−クロロ−3,5−キシレノ−ル 10.1g(70.
0mmol)と塩化鉄6水和物 37.8g(140mm
ol)を加え、80℃で16時間反応させた。 反応終
了後、反応混合物を1N−塩酸 300mlで処理した
後に、ジクロロメタン 250mlで3回抽出した。 得
られた有機層を、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液500
mlおよび飽和食塩水 500mlで洗浄した後、濃縮
してヘキサン/クロロホルムで再結晶することによって
表記化合物Aを3.32g得た。 収率30%。
【0059】融 点 : 231−233℃1 H−NMR(CDCl3) δ:2.05(s,6H),
2.41(s,6H),4.57(s,2H),6.84(s,
2H)
【0060】(2)(±)−3,3'−ジクロロ−2,
2',4,4'−テトラメチル−6,6'−ビス(トリフルオ
ロメタンスルホニルオキシ)ビフェニル(以下、「化合
物B」とする)の製造:アルゴン気流下、フラスコの中
に(1)で得られた化合物A 6.22g(20.0mo
l)、2,6−ルチジン 4.72g(44.0mmol)
および4−ジメチルアミノピリジン 732mg(6.0
0mmol)をジクロロメタン30mlに溶解し、この
溶液にトリフルオロメタンスルホン酸無水物 12.4g
(44.0mmol)を0℃にて加え、そのまま1時間
反応させた。 反応終了後、溶媒を留去し、カラムクロ
マトグラフィ−(ヘキサン/クロロホルム=1:1)で
精製することによって表記化合物Bを10.9g得た。
収率95%。
【0061】融 点 : 90−91℃1 H−NMR(CDCl3) δ:2.14(s,6H),
2.50(s,6H),7.17(s,2H)
【0062】(3)(±)−3,3'−ジクロロ−2,
2',4,4'−テトラメチル−6−ジフェニルホスフィニ
ル−6'−トリフルオロメタンスルホニルオキシビフェ
ニル(以下、「化合物C」とする)の製造:アルゴン気
流下、フラスコの中に(2)で得られた化合物B 11.
44g(19.9mmol)、ジフェニルホスフィンオ
キシド 8.05g(39.8mmol)をジメチルスル
ホキシド 980mlに溶解し、この溶液に1,3−ビス
(ジフェニルホスフィノ)プロパン 821mg(1.9
9mmol)およびジイソプロピルアミン 15.3ml
を20分間で加えた後、90℃で60時間攪拌した。
【0063】反応終了後、反応混合物に水 120ml
を加え、エ−テル 250mlで2回抽出した。 得られ
た有機層を水 200ml、1N−塩酸 200ml、飽
和炭酸水素ナトリウム水溶液 200ml、飽和食塩水
200mlの順で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し
た。 乾燥後、カラムクロマトグラフィ−(ヘキサン/
酢酸エチル=1:1)で精製することによって表記化合
物Cを7.77g得た。収率62%。
【0064】融 点 : 159−160℃31 P−NMR(CDCl3)δ:27.75
【0065】(4)(±)−3,3'−ジクロロ−2,
2',4,4'−テトラメチル−6−ジフェニルホスフィノ
−6'−ヒドロキシビフェニル(以下、「化合物D」と
する)の製造:フラスコの中に、上記(3)で得られた
化合物C 7.32g(11.7mmol)とトリエチル
アミン 47.2g(467mmol)をキシレン400
mlに溶解し、この溶液にトリクロロシラン63.3g
(467mmol)を0℃で滴下した。 続いて反応溶
液を120℃で35時間攪拌した。 更に、この溶液に
飽和水酸化ナトリウム水溶液 200mlを0℃で注意
深く滴下した後に、60℃で2時間攪拌した。 反応終
了後、反応混合物をトルエン 150mlで2回抽出
し、得られた有機層を水 400ml、飽和食塩水 30
0mlで2回の順で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し
た。
【0066】乾燥後、溶媒を留去し7.46gの残渣を
得た。 続いてフラスコ中に、この残渣7.46gをテト
ラヒドロフラン 130mlに溶解した溶液を加え、水
酸化リチウム1水和物 5.87g(140mmol)の
44ml水溶液を加え、30℃で15時間攪拌した。
反応終了後、反応混合物に1N−塩酸200mlを加
え、エ−テル200mlで2回抽出した。 得られた有
機層を水300ml、飽和食塩水250mlで洗浄し、
硫酸マグネシウムで乾燥した。 乾燥後、溶媒を留去
し、カラムクロマトグラフィ−(ヘキサン/酢酸エチル
=12:1〜3:1)で精製することにより表記化合物
Dを5.05g得た。収率90%(化合物Cより)。
【0067】融 点 : 71−79℃31 P−NMR(CDCl3)δ:−13.37
【0068】(5)(R)−1,1'−ビナフタレン−
2,2'−ジイルジオキシクロロホスフィン(以下、「化
合物E」とする)および(S)−1,1'−ビナフタレン
−2,2'−ジイルジオキシクロロホスフィン(以下、
「化合物F」とする)の製造:アルゴン気流下、50m
lの還流器を付けたフラスコに(R)−1,1'−ビ−2
−ナフト−ル 4.94g(17.3mmol)と三塩化
リン 104g(757mmol)を加え、17時間加
熱還流したのち、室温に戻し未反応の三塩化リンは減圧
下に留去して残渣を得た。 続いてこの残渣を、減圧
下、2回トルエン 50mlと共沸蒸留を行い、残渣を
ベンゼンに溶解し、減圧下で凍結乾燥を行うことによっ
て白色固体である表記化合物Eを5.56g得た。 収率
92%。
【0069】31 P−NMR(CDCl3)δ:178.8 同様にして、化合物Fを定量的に得た。
【0070】(6)(S)−3,3'−ジクロロ−2,
2',4,4'−テトラメチル−6−ジフェニルホスフィノ
ビフェニル−6'−イルオキシ((R)−1,1'−ビナ
フタレン−2,2'−ジイルジオキシ)ホスフィン(以
下、(S,R)−biphemphosと略す)および
(R)−3,3'−ジクロロ−2,2',4,4'−テトラメ
チル−6−ジフェニルホスフィノビフェニル−6'−イ
ルオキシ((R)−1,1'−ビナフタレン−2,2'−ジ
イルジオキシ)ホスフィン(以下、(R,R)−bip
hemphosと略す)の製造:
【0071】フラスコに化合物D 756mg(1.58
mmol)および化合物E 1336mg(3.81mm
ol)をトルエン40mlに溶解し、この中に0℃にて
トリエチルアミン386mg(3.81mmol)を加
え、室温で42時間攪拌した後に50mlの水を加えて
反応を停止させた。 エ−テル 50mlで分液後得られ
た有機層を水 80mlで2回、飽和食塩水 80mlで
1回洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒
を留去し粗生成物を得た。 このものをカラムクロマト
グラフィ−(ヘキサン/ジクロロメタン=20:1〜
3:1)で精製して(S,R)−biphemphos
を395mg(収率32%)と(R,R)−biphe
mphosを259mg(収率21%)を得た。
【0072】・(S,R)−biphemphos 融 点 : 155−162℃ 旋光度 : [α]D 25 = −281°(C 1.0,トルエン)31 P−NMR(トルエン−d8)δ: −13.4(d,Jp−p=35.14Hz),146.7
(d) 薄層クロマトグラフィ− : Rf 0.47 ( ヘキサン/ジクロロメタン=1:1)
【0073】・(R,R)−biphemphos 融 点 : 153−159℃ 旋光度 : [α]D 22=−252°(C 1.0,トルエン)31 P−NMR(トルエン−d8)δ: −12.6(d,Jp−p=12.2Hz),145.8
(d) 薄層クロマトグラフィ−: Rf 0.42 (ヘキサン/ジクロロメタン=1:1)
【0074】実 施 例 2 実施例1と同様にして、異性体である(R)−3,3'−
ジクロロ−2,2',4,4'−テトラメチル−6−ジフェ
ニルホスフィノビフェニル−6'−イルオキシ((S)
−1,1'−ビナフタレン−2,2'−ジイルジオキシ)ホ
スフィン(以下、(R,S)−biphemphosと
略す)および(S)−3,3'−ジクロロ−2,2',4,
4'−テトラメチル−6−ジフェニルホスフィノビフェ
ニル−6'−イルオキシ((S)−1,1'−ビナフタレ
ン−2,2'−ジイルジオキシ)ホスフィン(以下、
(S,S)−biphemphosと略す)を得た。
【0075】・(R,S)−biphemphos 融 点 : 153−158℃ 旋光度 : [α]D 21=273°(C 1.0,トルエン)31 P−NMR(トルエン−d8)δ: −13.3(d,Jp−p=36.6Hz),146.8
(d) 薄層クロマトグラフィ−: Rf 0.47 ( ヘキサン/ジクロロメタン=1:1)
【0076】・(S,S)−biphemphos 融 点 : 147−151℃ 旋光度 : [α]D 21=253°(C 1.0,トルエン)31 P−NMR(トルエン−d8)δ: −12.6(d,Jp−p=13.8Hz),145.8
(d) 薄層クロマトグラフィ−: Rf 0.42 ( ヘキサン/ジクロロメタン=1:1)
【0077】実 施 例 3 (R)−2−ジフェニルホスフィノ−1,1'−ビフェニ
ル−2'−イルオキシ((R)−1,1'−ビナフタレン
−2,2'−ジイルジオキシ)ホスフィンおよび(S)−
2−ジフェニルホスフィノ−1,1'−ビフェニル−2'
−イルオキシ((R)−1,1'−ビナフタレン−2,2'
−ジイルジオキシ)ホスフィンの製造:
【0078】(1)2,2'−ビス(トリフルオロメタン
スルホニルオキシ)ビフェニル(以下、「化合物B'」
とする)の製造: 実施例1(2)と同様にして、表記化合物B'を得た。
収率96%。 融 点 : 33−34℃ 薄層クロマトグラフィ−: Rf 0.67 (ヘキサン/酢酸エチル=7:3)
【0079】(2)2−ジフェニルホスフィニル−2'
−トリフルオロメタンスルホニルオキシビフェニル(以
下、「化合物C'」とする)の製造: 実施例1(3)と同様にして、表記化合物C'を得た。
収率79%。 融 点 : 123−124℃31 P−NMR(CDCl3)δ: 27.7819 F−NMR(CDCl3)δ: −6.05
【0080】(3)2−ジフェニルホスフィノ−2'−
ヒドロキシビフェニル(以下、「化合物D'」とする)
の製造 実施例1(4)と同様にして、表記化合物D'を収率6
0%で得た。 融 点 : 122−123℃31 P−NMR(CDCl3)δ: −12.01
【0081】(4)(R)−2−ジフェニルホスフィノ
−1,1'−ビフェニル−2'−イルオキシ((R)−1,
1'−ビナフタレン−2,2'−ジイルジオキシ)ホスフ
ィンおよび(S)−2−ジフェニルホスフィノ−1,1'
−ビフェニル−2'−イルオキシ((R)−1,1'−ビ
ナフタレン−2,2'−ジイルジオキシ)ホスフィンの製
造:実施例1(6)と同様にして、(R)−2−ジフェ
ニルホスフィノ−1,1'−ビフェニル−2'−イルオキ
シ((R)−1,1'−ビナフタレン−2,2'−ジイルジ
オキシ)ホスフィン(以下、(R,R)−H−biph
emphosとする)および(S)−2−ジフェニルホ
スフィノ−1,1'−ビフェニル−2'−イルオキシ
((R)−1,1'−ビナフタレン−2,2'−ジイルジオ
キシ)ホスフィン(以下、(S,R)−H−biphe
mphosとする)の混合物(S,R)−H−biph
emphos/(R,R)−H−biphemphos
=55:45)を871mg得た。 収率62%。
【0082】混合物の融点: 150−156℃ 混合物の旋光度: [α]D 22 =324°(C 1.0,トルエン)
【0083】・(S,R)−H−biphemphos31 P−NMR(トルエン−d8)δ: −11.9(d,Jp−p=35.1Hz),146.77
(d) ・(R,R)−H−biphemphos31 P−NMR(トルエン−d8)δ: −11.5(d,Jp−p=21.4Hz),146.81
(d)
【0084】実 施 例 4 (R)−2−ジフェニルホスフィノ−5,5',6,6',
7,7',8,8'−オクタヒドロ−1,1'−ビナフタレン
−2'−イルオキシ−((S)−1,1'−ビナフタレン
−2,2'−ジイルジオキシ)ホスフィンの合成:(1)
(R)−5,5',6,6',7,7',8,8'−オクタヒドロ
−1,1'−ビ−2−ナフト−ルの合成:200mlのオ
−トクレ−ブに(R)−2,2'−ジヒドロキシ−1,1'
−ビナフチル 3.00g(10.5mmol)、二酸化
白金 360mgおよび酢酸 75mlとを加え、水素圧
3atm、5℃で18時間攪拌した後、水素圧10at
m、18℃で7日間攪拌し、酢酸エチルを加えセライト
にて濾過した。 得られた濾液に水を加えて分液し、得
られた有機層を飽和重曹水にて2回洗浄し分液した後、
有機層を硫酸マグネシウムにて乾燥後、減圧下溶媒を留
去し標題化合物を3.03g得た。 収率98%、光学純
度99%ee以上。
【0085】(2)(R)−2,2'−ビス(トリフルオ
ロメタンスルホニルオキシ)−5,5',6,6',7,7',
8,8'−オクタヒドロ−1,1'−ビナフチルの合成:5
0mlの4つ口フラスコに塩化メチレン 26ml、
(R)−5,5',6,6',7,7',8,8'−オクタヒドロ
−1,1'−ビ−2−ナフト−ル5.15g(17.4mm
ol)、2,6−トルイジン 5.58g(52.2mmo
l)および4−ジメチルアミノピリジン 0.955g
(7.83mmol)を溶解し、この溶液中に0℃にて
トリフルオロメタンスルホン酸無水物 14.7g(5
2.2mmol)を加える。 そして、室温で23時間攪
拌し反応を終了した。
【0086】反応終了後、溶媒を留去し、残渣を塩化メ
チレンを展開溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラ
フィ−で精製し、(R)−2,2'−ビス(トリフルオロ
メタンスルホニルオキシ)−5,5',6,6',7,7',8,
8'−オクタヒドロ−1,1'−ビナフチルを9.36g得
た。 収率100%。
【0087】(3)(R)−2−ジフェニルホスフィニ
ル−2'−トリフルオロメタン スルホニルオキシ−5,5',6,6',7,7',8,8'−オ
クタヒドロ−1,1' −ビナフチルの合成 50mlのフラスコに、アルゴン気流下で上記(2)で
調製した(R)−2,2'−ビス(トリフルオロメタンス
ルホニルオキシ)−5,5',6,6',7,7',8,8'−オ
クタヒドロ−1,1'−ビナフチル 2.68g(4.98
mmol)とジフェニルホスフィンオキシド 1.99g
(9.82mmol)をジメチルスルホキシド20ml
に溶解し、この溶液中に酢酸パラジウム 110mg
(0.491mmol), エチルジイソプロピルアミン
5.1mlと蟻酸ナトリウム 33mg(0.491mm
ol)を加えて、室温で20分攪拌した。
【0088】次に、溶液を90℃で19時間攪拌した後
室温に戻し、エ−テル 250mlと水 150mlを加
えて攪拌し分液した。 分液後、有機層を125mlの
水で4回洗浄し、次に5%の希塩酸 125mlで2
回、50mlの水で2回、飽和炭酸水素ナトリウム水溶
液 125mlで1回、最後に、飽和食塩水 125ml
で洗浄した。 得られた有機層を無水硫酸マグネシウム
で乾燥し、溶媒を留去した後、残渣をトルエン/アセト
ニトリル=3/1混合液(溶媒比、以下同様)を展開溶
媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィ−により精
製することにより、標題化合物を1.37g得た。 収率
83%。
【0089】(4)(R)−2−ジフェニルホスフィノ
−2'−ヒドロキシ−5,5',6,6',7,7',8,8'−オ
クタヒドロ−1,1'−ビナフチルの合成:50mlの4
つ口フラスコに(R)−2−ジフェニルホスフィニル−
2'−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−5,5',
6,6',7,7',8,8'−オクタヒドロ−1,1'−ビナフ
チル 318.7mg(0.664mmol)をキシレン
22mlに溶解させ、この中にトリエチルアミン 1.2
1g(12mmol)とトリクロロシラン 1.62g
(12mmol)を加えた。 この混合液を120℃で
17時間攪拌した。 反応液の温度を室温まで戻した
後、35%の水酸化ナトリウム 4.4mlを注意深く加
え、更に2時間攪拌した後分液した。
【0090】分液後、有機層を30mlの飽和食塩水で
2回洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒
を減圧下留去することによって粗生成物を得た。 この
粗生成物をテトラヒドロフラン 7mlに溶解し、この
中に、水酸化リチウム 335mg(7.98mmol)
を2.4mlの水に溶かした水溶液を加え、室温で15
時間攪拌した。 エ−テル 50mlと5%希塩酸 15
mlを加えて分液し、有機層を2回水で洗浄してから無
水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去した後、残渣
をヘキサン/酢酸エチル=5/1の混合液を展開溶媒と
するシリカゲルカラムクロマトグラフィ−で精製するこ
とにより標題化合物 105.4mgを得た。 収率51
%。
【0091】(5)(S)−1,1'−ビナフタレン−
2,2'−ジイルジオキシクロロホスフィンの合成:アル
ゴン気流下、50mlのフラスコに(S)−1,1'−2
−ビナフト−ル4.94g(17.3mmol)と三塩化
リン11.3g(830mmol)を加え、4時間加熱
還流した後、室温に戻し、未反応の三塩化リンを減圧下
に留去して白色結晶の表記化合物5.56gを得た。 収
率92%。
【0092】(6)(R)−2−ジフェニルホスフィノ
−5,5',6,6',7,7',8,8'−オクタヒドロ−1,
1'−ビナフタレン−2'−イルオキシ−((S)−1,
1'−ビナフタレン−2,2'−ジイルジオキシ)ホスフ
ィンの合成:100mlのフラスコに(R)−2−ジフ
ェニルホスフィノ−2'−ヒドロキシ−5,5',6,6',
7,7',8,8'−オクタヒドロ−1,1'−ビナフチル
0.294g(0.946mmol)と(S)−1,1−
ビナフタレン−2,2'−ジイルジオキシクロロホスフィ
ン 662mg(1.89mmol)を取り、エ−テル3
0mlで溶解した。 この中に0℃にてトリエチルアミ
ン191mg(1.89mmol)を加え、室温で15
時間攪拌した後、20mlの水を加えて反応を停止させ
た。
【0093】分液後、得られた有機層を無水硫酸マグネ
シウムで乾燥し、溶媒を留去し粗生成物を得た。 この
ものを、ヘキサン/ジクロロメタン=1/1の混合液を
展開溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィ−で
精製して(R)−2−ジフェニルホスフィノ−5,5',
6,6',7,7',8,8'−オクタヒドロ−1,1'−ビナフ
タレン−2'−イルオキシ−((S)−1,1'−ビナフ
タレン−2,2'−ジイルジオキシ)ホスフィン(以下、
(R),(S)−OcH−BINAPHOSという)を
白色結晶として719.4mg得た。 収率98%。
【0094】31P−NMR(CDCl3)δ: −15.0(d,J=42.7Hz),146.8(d,J=
42.7Hz)31 P−NMR(トルエン−d8)δ: 50.4(dd,Jp−p=87.0Hz,JRh−p=1
74.0Hz),160.2(dd,JRh−p=328.
1Hz)
【0095】実 施 例 5 (R)−2−ジフェニルホスフィノ−5,5',6,6',
7,7',8,8'−オクタヒドロ−1,1'−ビナフタレン
−2'−イルオキシ−((S)−5,5',6,6',7,7',
8,8'−オクタヒドロ−1,1'−ビナフタレン−2,2'
−ジイルジオキシ)ホスフィンの合成:(1)(S)−
5,5',6,6',7,7',8,8'−オクタヒドロ−1,1'
−ビナフタレン−2,2'−ジイルジオキシクロロホスフ
ィンの合成:アルゴン気流下、50mlのフラスコに
(S)−5,5',6,6',7,7',8,8'−オクタヒドロ
−1,1'−ビ−2−ナフト−ル 5.12g(17.3m
mol)と三塩化リン 11.3g(830mmol)を
加え、4時間加熱還流した後、室温に戻し、未反応の三
塩化リンを減圧下に留去して白色結晶の表記化合物 5.
7gを得た。 収率92%。
【0096】(2)(R)−2−ジフェニルホスフィノ
−5,5',6,6',7,7',8,8'−オクタヒドロ−1,
1'−ビナフタレン−2'−イルオキシ−((S)−5,
5',6,6',7,7',8,8'−オクタヒドロ−1,1'−ビ
ナフタレン−2,2'−ジイルジオキシ)ホスフィンの合
成:実施例1(6)において(S)−1,1−ビナフタ
レン−2,2'−ジイルジオキシクロロホスフィンを
(S)−5,5',6,6',7,7',8,8'−オクタヒドロ
−1,1'−ビナフタレン−2,2'−ジイルジオキシクロ
ロホスフィンに変えた以外は実施例1(6)と同様に操
作して標題化合物(以下、(R),(S)−(OcH)2
−BINAPHOSという)を収率91%で得た。31 P−NMR(CDCl3)δ: −14.7(d,J=39.7Hz),138.3(d,J=
39.7Hz)
【0097】実 施 例 6 (R)−2−ジフェニルホスフィノ−1,1'−ビナフタ
レン−2'−イルオキシ((S)−1,1'−ビナフタレ
ン−2,2'−ジイルジオキシ)ホスフィンの合成:
(1)(R)−2,2'−ビス(トリフルオロメタンスル
ホニルオキシ)−1,1'−ビナフチルの合成:実施例4
(2)において、(R)−5,5',6,6',7,7',8,8
−オクタヒドロ−1,1'−ビ−2−ナフト−ルの代わり
に(R)−1,1'−ビ−2−ナフト−ルを用いた以外は
実施例4(2)と同様に操作して9.56gの標題化合
物を得た。 収率100%。
【0098】(2)(R)−2−ジフェニルホスフィニ
ル−2'−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−1,
1'−ビナフチルの合成:実施例4(3)において、
(R)−2,2'−ビス(トリフルオロメタンスルホニル
オキシ)−5,5',6,6',7,7',8,8'−オクタヒド
ロ−1,1'−ビナフチルの代わりに(R)−2,2'−ビ
ス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)−1,1'−
ビナフチルを用いた以外は実施例4(3)と同様に操作
して標題化合物を2.51g得た。 収率83%。
【0099】(3)(R)−2−ジフェニルホスフィノ
−2'−ヒドロキシ−1,1'−ビナフチルの合成:実施
例4(4)において(R)−2−ジフェニルホスフィニ
ル−2'−ヒドロキシ−5,5',6,6',7,7',8,8'−
オクタヒドロ−1,1'−ビナフチルの代わりに(R)−
2−ジフェニルホスフィニル−2'−ヒドロキシ−1,
1'−ビナフチルを用いた以外は実施例4(4)と同様
に操作して標題化合物を153mg得た。 収率51
%。
【0100】(4)(R)−2−ジフェニルホスフィノ
−1,1'−ビナフタレン−2'−イルオキシ−((S)
−1,1'−ビナフタレン−2,2'−ジイルジオキシ)ホ
スフィンの合成:実施例4(6)において、(R)−2
−ジフェニルホスフィノ−2'−ヒドロキシ−5,5',
6,6',7,7',8,8'−オクタヒドロ−1,1'−ビナフ
チルの代わりに(R)−2−ジフェニルホスフィノ−
2'−ヒドロキシ−1,1'−ビナフチルを用いた以外は
実施例4(6)と同様に操作して標題化合物(以下、
(R,S)−BINAPHOSという)を712mg得
た。 収率98%。
【0101】実 施 例 7 (R)−2−ジフェニルホスフィノ−1,1'−ビナフタ
レン−2'−イルオキシ−((S)−10,10'−ビフ
ェナンスレン−9,9'−ジイルジオキシ)ホスフィンの
合成:(1)(S)−10,10'−ビフェナンスレン−
9,9'−ジイルジオキシクロロホスフィンの合成:実施
例4(5)において、(S)−1,1'−ビ−2−ナフト
−ルに代えて、(S)−10,10'−ビ−9−フェナン
スロ−ルを用いた以外は実施例4(4)と同様に操作し
て標題化合物を1.05g得た。 収率90%。
【0102】(2)(R)−2−ジフェニルホスフィノ
−1,1'−ビナフタレン−2'−イルオキシ−((S)
−10,10'−ビフェナンスレン−9,9'−ジイルジオ
キシ)ホスフィンの合成:実施例4(6)において、
(S)−1,1−ビナフタレン−2,2'−ジイルジオキ
シクロロホスフィンの代わりに(S)−10,10'−ビ
フェナンスレン−9,9'−ジイルジオキシクロロホスフ
ィンを用いた以外は実施例4(6)と同様に操作して標
題化合物を726mg得た。 収率95%。31 P−NMR(C66)δ: 148.05(d,J=21.4Hz),−13.34(d,
J=21.4Hz)
【0103】実 施 例 8 Rh(acac)[(S,R)−biphempho
s]の製造:20mlのシュレンク管の中に実施例1の
(S,R)−biphemphos39.7mg(0.0
5mmol)とRh(acac)2(CO)2 12.8m
g(0.05mmol)を入れてベンゼン5mlで溶解
する。 反応液を室温で5分攪拌した後に、減圧下溶媒
を留去してRh(acac)[(S,R)−biphe
mphos]を黄色固体として得た。 収率100%。
【0104】実 施 例 9 Rh(acac)[(R,R)−biphempho
s]の製造:実施例8の(S,R)−biphemph
osの代わりに(R,R)−biphemphosを用
いた以外は実施例8と同様に操作してRh(acac)
[(R,R)−biphemphos]を100%の収
率で得た。
【0105】実 施 例 10 Rh(acac)[(S,R)−H−biphemph
os]の製造:実施例8の(S,R)−biphemp
hosの代わりに(±,R)−H−biphempho
sを用いた以外は実施例8と同様に操作してRh(ac
ac)[(S,R)−H−biphemphos]を1
00%の収率で得た。
【0106】実 施 例 11 Rh(acac)[(R,S)−OcH−BINAPH
OS]の製造:実施例8の(S,R)−biphemp
hosの代わりに(R,S)−OcHBINAPHOS
を用いた以外は実施例8と同様に操作してRh(aca
c)[(R,S)−OcH−BINAPHOS]を10
0%の収率で得た。
【0107】実 施 例 12 Rh(acac)[(S,R)−OcH−BINAPH
OS]の製造:実施例8の(S,R)−biphemp
hosの代わりに(S,R)−OcHBINAPHOS
を用いた以外は実施例8と同様に操作してRh(aca
c)[(S,R)−OcH−BINAPHOS]を10
0%の収率で得た。
【0108】実 施 例 13 Rh(acac)[(R,S)−(OcH)2−BINA
PHOS]の製造:実施例8の(S,R)−biphe
mphosの代わりに(R,S)−(OcH)2−BIN
APHOSを用いた以外は実施例8と同様に操作してR
h(acac)[(R,S)−(OcH)2−BINAP
HOS]を100%の収率で得た。
【0109】実 施 例 14〜25 実施例3〜13と同様にして表3および表4のようなホ
スフィン化合物および錯体を得た。
【0110】
【表3】
【0111】
【表4】
【0112】実 施 例 26 (S)−(+)−2−フェニルプロパナ−ルの製造法:
50mlのオ−トクレ−ブに(S,R)−biphem
phos 38.7mg(0.0488mmol)、Rh
(acac)(CO)2 3.1mg(0.012mmo
l)およびスチレン 1250mg(12.0mmol)
のベンゼン 2.4ml溶液を加え、50atmの水素と
50atmの一酸化炭素を加えて60℃で42時間攪拌
した。
【0113】生成物の転化率および生成比は1H−NM
R(内部標準物質:ジフェニルメタン)にて測定した。
光学純度は、生成した光学活性アルデヒドをジョ−ン
ズ酸化によりカルボン酸にした後にガスクロマトグラフ
ィ−により測定した。その結果、スチレンの転化率は1
00%で、2−フェニルプロパナ−ル/3−フェニルプ
ロパナ−ル=9:1であった。 2−フェニルプロパナ
−ルの不斉収率は94%e.eであり、このものは
(S)−(+)−2−フェニルプロパナ−ルであった。
【0114】実 施 例 27〜33 実施例26に準じて、ヒドロホルミル化反応を行ない、
表5の結果を得た。
【0115】
【化16】
【0116】
【表5】
【0117】実 施 例 34 2−アセトキシプロパナ−ルの製造法:50mlのオ−
トクレ−ブに酢酸ビニル 761mg(8.84mmo
l)、Rh(acac)((R,S)−OcH−BIN
APHOS) 8.6mg(0.00884mmol)、
ベンゼン 8.3mlを加え、水素圧50atmに一酸化
炭素を50atm加え、60℃で44時間攪拌した。
この結果、酢酸ビニルの転化率は72%であった。 本
反応で生成した化合物は、2−アセトキシプロパナ−ル
88.6%と3−アセトキシプロパナ−ル11.4%の混
合物であった。 2−アセトキシプロパナ−ルの不斉収
率は90%e.e.であった。
【0118】実 施 例 35〜39 オレフィン類と配位子であるホスフィン化合物を代えた
以外は実施例33と同様に操作して以下の表6に示す光
学活性アルデヒドを得た。
【0119】
【化17】
【0120】
【表6】
【0121】実 施 例 40 (R)−2−[(3S,4R)−3−[(R)−1−t
−ブチルジメチルシリルオキシエチル]−2−オキソア
ゼチジン−4−イル]プロパナ−ルの製造:Rh(ac
ac)[(R,S)−BINAPHOS] 9.3mg
(0.01mmol)、(R,S)−BINAPHOS
8mg(0.01mmol)および(1R,3S,4R)
−ビニルアゼチジン−2−オン 510mg(2mmo
l)を100mlのオ−トクレ−ブにとり、窒素で充分
に容器内を置換した後に、トルエン5mlを加えた。
これに二酸化炭素50kg/cm2を加圧し、次いで水
素を総圧力が100kg/cm2になるように加圧し
た。 この後、油浴にて60℃に加熱し、激しく攪拌し
ながら48時間反応せしめた。
【0122】室温まで放置した後、過剰の一酸化炭素と
水素を排出し、トルエンを減圧にて留去し、シリカゲル
カラムクロマトグラフィ−を用いて精製することにより
(R)−2−[(3S,4R)−3−[(R)−1−t
−ブチルジメチルシリルオキシエチル]−2−オキソア
ゼチジン−4−イル]プロパナ−ルと(S)−2−
[(3S,4R)−3−[(R)−1−t−ブチルジメ
チルシリルオキシエチル]−2−オキソアゼチジン−4
−イル]プロパナ−ルの94/6混合物 513mgを
得た。 収率90%。
【0123】2(R)/2(S)の比は1H−NMRに
よってアルデヒドプロトンの積分比により決定した。
さらにジョ−ンズ酸化し、対応するカルボン酸へと導い
た混合物をHPLC(Inertsil ODS−2、溶離液:ア
セトニトリル−H2O 6/4、pH=2.3(リン
酸))にて標品と比較して決定した。
【0124】(2(R)体)1 H−NMR(400MHz,CDCl3)δ: 0.07(s,3H),0.08(s,3H),0.88(s,
9H),1.22(d,J=7.3Hz,3H),1.24
(d,J=6.3Hz,3H), 2.68(m,1H),3.
94(dd,J=5.4,2.4Hz,1H),4.20(m,
1H),5.98(s,1H),9.81(d,J=1.1H
z,1H)
【0125】実 施 例 41〜47 触媒を表7に示す様に代えた以外は実施例40と同様の
処理を行った。 この結果を表7に示す。
【0126】
【表7】 実 施 例 48〜50 溶媒を表8に示すように代えた以外は実施例40と同様
の処理を行った。 この結果を表8に示す。
【0127】
【表8】
【0128】
【発明の効果】本発明のホスフィン化合物と遷移金属化
合物、あるいは本発明のホスフィン化合物と遷移金属化
合物の遷移金属−ホスフィン錯体をヒドロホルミル化反
応の触媒として用いることにより高位置選択的かつ高立
体選択的に光学活性なアルデヒド類を得ることができ
る。 以 上
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加藤 靖 神奈川県平塚市西八幡1−4−11 高砂香 料工業株式会社ファインケミカル研究所内 (72)発明者 佐用 昇 神奈川県平塚市西八幡1−4−11 高砂香 料工業株式会社ファインケミカル研究所内 (72)発明者 雲林 秀徳 神奈川県平塚市西八幡1−4−11 高砂香 料工業株式会社ファインケミカル研究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I) 【化1】 (式中、Rは水素原子または水酸基保護基を示す) で表される4−[(R)−1’−ホルミルエチル]アゼチ
    ジン−2−オン誘導体。
JP2001328632A 1993-03-12 2001-10-26 4−[(r)−1’−ホルミルエチル]アゼチジン−2−オン誘導体 Pending JP2002128759A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112794796A (zh) * 2020-06-30 2021-05-14 中海油天津化工研究设计院有限公司 一种二异丁烯氢甲酰化制备异壬醛的方法
CN115135631A (zh) * 2020-03-19 2022-09-30 帝人株式会社 多环芳烃化合物、其晶体及其制造方法
CN115135631B (zh) * 2020-03-19 2024-06-04 帝人株式会社 多环芳烃化合物、其晶体及其制造方法

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