JP2002128712A - エチリデンテトラシクロドデセンの連続蒸留精製方法 - Google Patents
エチリデンテトラシクロドデセンの連続蒸留精製方法Info
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Abstract
TCD)留分を蒸留して、EdTCDを収率良くしかも
高純度で得ることができる簡便な精製方法を提供する。 【解決手段】 シクロペンタジエンおよび/またはジシ
クロペンタジエンと、5−エチリデン−2−ノルボルネ
ン(EBH)とを加熱混合して得られる反応液を蒸留し
て粗EdTCD留分を得た後、上記留分を蒸留精製塔に
供給し、蒸留精製塔から得られる精製EdTCD留分中
のEBHの量が1%未満になるような条件を選んで連続
蒸留することを特徴とするEdTCDの連続蒸留精製方
法。
Description
クロドデセン(以下、EdTCDという)の連続蒸留精
製方法に関するものである。
油性などを有するポリマーとしてシクロオレフィン
(コ)ポリマーは注目されており、その原料として1,
4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,
8,8a−オクタヒドロナフタレン(以下、テトラシク
ロドデセンまたはTCDという)に代表される環状オレ
フィンは有用である。これらの環状オレフィンは有機金
属錯体触媒を用いて重合されるが、その重合方法は大別
して2つを挙げることができる。その一つは上記環状オ
レフィンのオレフィン部位における単独重合、または低
級α−オレフィンとの共重合をチグラー触媒やメタロセ
ン触媒を用いて行う方法である。他の一つはカルベン型
錯体を使用したメタセシス重合による方法である。
ジエン(以下、CPDという)、ジシクロペンタジエン
(以下、DCPDという)またはこれらの混合物、ノル
ボルネンおよびエチレンを加熱混合することによりTC
Dとノルボルネンを含む反応混合液を得て、ノルボルネ
ンを未反応のCPDおよびDCPDと共に回収し、循環
使用する方法が代表的なものである。このようにノルボ
ルネンを回収して循環・再使用するTCDの製造方法
は、特開平3−128333号公報、特開平6−943
7号公報、特開平6−72909号公報等に開示されて
いる。これらの方法においては、第1段の蒸留により粗
TCD留分を得た後、これをさらに第2段の蒸留塔に供
給し、その塔頂から高純度TCDを得ている。ただし、
これらの公報にはEdTCDの精製方法については何ら
記載されていない。またEdTCDの製造方法に関して
は、特開昭47−31970号、特開昭47−3197
1号および特開昭63−203635号の各公報に開示
されているが、生成物を蒸留精製できると記載されてい
るのみであり、蒸留における滞留時間などの条件につい
ては何ら記載されていない。
受け、CPDと5−エチリデン−2−ノルボルネン(以
下、EBHという)に分解される可能性がある。また、
分解により一旦生成したCPDは、それ自体ディールス
−アルダー反応によりまたは熱重合により三量体以上の
高重合体を生成したり、あるいは粗EdTCD留分中の
EdTCDとディールス−アルダー反応により同じく高
重合体を生成する可能性がある。このように分解生成物
のみならず高重合体もEdTCD留分の純度を低下させ
る。特にCPD自体の重合体が生成して精製EdTCD
留分に混入しやすい。これらの反応が実際に生起する割
合は、蒸留塔内における滞留時間が長い場合に高くなる
傾向がある。しかしながら滞留時間を短くすると、蒸留
において重要な精製度が低下するため好ましくない。
て生起し得るEdTCD純度に影響する反応はかなり複
雑である。また蒸留塔の塔頂から精製EdTCD留分を
抜き取るので、分解軽質分のみならず沸点の近似する高
沸点生成分も精製EdTCD留分を汚染する可能性があ
る。したがって高純度のEdTCDを蒸留で得ようとす
る場合には、上記分解および生成反応の条件・時間等を
全て正確に把握し、その上で最も収率良くしかも高純度
でEdTCDが得られるように蒸留条件等を定めるとい
う煩雑な操作が必要となる。なお、粗EdTCD留分の
精製蒸留塔の塔頂から軽質分を抜き取り、塔中部から目
的物のEdTCDを抜き取る、いわゆる中抜きと称する
方法を採用することもできるが、粗EdTCD留分中の
EdTCDは純度が高いので蒸留効率が低く、したがっ
て装置が過大になるなどの理由により上記の場合には実
用的でない。
dTCD留分の蒸留において、EdTCDを収率良くし
かも高純度で得ることができる簡便な精製方法を提供す
ることにある。
Dおよび/またはDCPDと、下記式〔I〕で示される
EBHとを加熱混合して得られる反応液を蒸留して、下
記式〔II〕で示されるEdTCDを含む粗EdTCD留
分を得た後、上記留分を蒸留精製塔に供給し、蒸留精製
塔から得られる精製EdTCD留分中に含まれるEBH
の量が1%未満になるように、塔底において圧力10k
Pa以下、温度150〜250℃および滞留時間20分
以下の条件で連続的に蒸留を行うことにより、CPD三
量体の含有量が5,000ppm未満であり、純度が9
5%以上の精製EdTCDを抜き出すことを特徴とする
EdTCDの連続蒸留精製方法に関するものである。
発明において使用するEBHは、ブタジエンとCPDと
のディールス−アルダー反応付加体である5−ビニル−
2−ノルボルネンのオレフィンを、強塩基により内部オ
レフィンに異性化する方法によって工業的に製造されて
いる。本発明においては、このようにして製造したEB
Hを使用することが好ましい。
めDCPDを熱分解蒸留したものを用いることができる
が、本発明における通常の反応条件下においてDCPD
はCPDに分解し、また工業的にDCPDの入手は容易
であることから、DCPDを原料として使用することが
できる。またCPDとDCPDとを適宜に混合して原料
にすることができる。CPDおよび/またはDCPD
と、EBHとを原料に用いて、以下に述べる条件により
EdTCDを製造する。
を一部または全部使用したときはDCPDに換算する)
のモル比は0.1〜20であり、好ましくは0.5〜1
7、より好ましくは1〜15である。上記モル比が下限
値よりも低い場合には、重質分などの副生成物が多く生
成する。上限値よりも高い場合には、効率的にEdTC
Dの合成を行うことができない。
しくは120〜280℃、より好ましくは140〜27
0℃である。反応温度が下限値よりも低い場合には、D
CPDを使用したときにCPDへの解離が少なく、その
ために効率的なEdTCDの製造が不可能になる。また
上限値よりも高い場合には、重質分が多くなったり、E
dTCDの分解反応が生じるため好ましくない。
常圧〜8MPa、より好ましくは常圧〜5MPaであ
る。
連続式においても1分〜24時間、好ましくは10分〜
12時間、より好ましくは15分〜2時間である。滞留
時間が下限値よりも短いときは、効率的なEdTCDの
製造が不可能である。また上限値よりも長い場合には、
重質分が多くなったり、EdTCDの分解反応が生じる
ため好ましくない。
トンフロー型のいずれの反応器も使用することができ
る。ピストンフロー型反応器の市販品としては、ノリタ
ケカンパニー(株)製「スタティックミキサー」、住友重
機械工業(株)製「スルザーミキサー」、櫻製作所(株)製
「スケヤミキサー」などが挙げられる。反応器は1段で
もよく、2段以上の多段の構造とすることもできる。完
全混合型反応器やピストンフロー型反応器は、直列また
は並列で組み合わせて使用することができる。
して使用することができる。ベンゼン、トルエン、キシ
レンのほか、環境や人体に対する安全性等が高い点およ
び溶解度が高い点から分枝脂肪族炭化水素または脂環族
炭化水素が好ましく使用される。具体的にはシクロペン
タン、シクロヘキサン、エチルシクロペンタン、ジメチ
ルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン、n−ヘキサ
ン、n−ヘプタン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘ
キサン、3−エチルペンタン、2,3−ジメチルペンタ
ン、3,3−ジメチルペンタン、n−オクタン、メチル
ヘプタン、ジメチルヘキサン、2,2,3−トリメチル
ペンタン、2,2,4−トリメチルペンタン、アルキレ
ートガソリン、n−デカンなどである。ここでいうアル
キレートガソリンとは、硫酸ジルコニア、硫酸、フッ化
水素などの(超)強酸を触媒にしてイソブタンをブテン
でアルキル化したものであり、アルキル化生成物のうち
トリメチルペンタンを主成分とする留分である。
低い圧力で実質的に気相の存在しない条件が達成され、
その結果、目的物であるEdTCDの収率を向上させる
ことが可能である。これらの炭化水素溶媒とEBHとの
重量比は任意であるが、モル比として(循環使用するE
BHと新たに供給するEBHとの合計)/炭化水素溶媒
=0.1〜10の範囲にすることが好ましい。
TCDよりも低い沸点の未反応原料その他の成分を常法
により蒸留で除去し、粗EdTCD留分を得る。なお、
適宜に多段蒸留を用いることもできる。本発明の方法に
おいては、EdTCDを効率よく高純度で得るため、上
記のように、目的物であるEdTCDよりも低い沸点の
成分をあらかじめ蒸留などで実質的に除去して粗EdT
CD留分を得ておくことが必要である。粗EdTCD留
分中のEdTCD純度は50%以上、好ましくは60%
以上である。
粗EdTCD留分を供給し、精製EdTCD留分を連続
的に抜き取り、塔底から重質分を抜き取る連続蒸留方法
を採用する。上記EdTCDの蒸留精製に際しては、蒸
留精製塔から得られる精製EdTCD留分中に含まれる
EBHの量が1%未満となるような条件を選択する。E
BHの量が1%を超えるような蒸留条件下では、他の分
解反応やCPDの関与する高重合体生成反応もまた抑制
することができず、結局、高純度のEdTCDを収率良
く得ることが困難になる。すなわち、目的物として留出
する精製EdTCD留分中のEBHを1%未満に規制す
ることにより、EdTCDの熱分解反応や分解生成物で
あるCPDの反応が結果的に抑制され、その結果、粗E
dTCD留分から高純度のEdTCDを収率良く得るこ
とができる。
は、以下の通りである。まず蒸留の圧力は蒸留塔の塔底
において10kPa以下である。10kPaを超えると
蒸留温度が高くなり、EdTCDの分解を促進するので
好ましくない。蒸留温度は、蒸留塔の塔底において15
0〜250℃であり、好ましくは160〜230℃、よ
り好ましくは170〜200℃である。これより高い蒸
留温度はEdTCDの分解を促進するので好ましくな
い。一方、低い温度では蒸留精製が不十分となり好まし
くない。
る。蒸留温度にもよるが、長い滞留時間ではEdTCD
の分解その他の反応が促進される。なおここでいう滞留
時間とは、蒸留塔内の液滞留量と、塔底からの抜き出し
流量によって決定されるものである。例えば液滞留量が
1トンであり、抜き出し流量が60トン/時間であれ
ば、滞留時間は1分である。したがって、蒸留塔内の液
滞留量が変動すると滞留時間が変化することがあるの
で、液滞留量を制御することが重要である。そのために
蒸留塔内の液滞留部に液面測定手段を設け、液滞留量が
常に一定レベルにあるように制御する。通常は液面計に
より液高さを一定に保持する。滞留時間が20分を超え
ると、EdTCDの熱分解が起こりやすくなるので好ま
しくない。なお通常は、10秒以上の滞留時間が必要で
ある。
好ましくは2〜50段、より好ましくは2〜30段であ
る。段数が低いと分離効率が低下し、また過剰な段数を
用いると蒸留装置が過大となるため好ましくない。蒸留
における還流比(=還流量/留出量)は0.1〜50で
ある。好ましくは0.5〜20、より好ましくは1〜1
0である。還流比が0.1未満であると分離効率が低下
し、過剰な還流比では加熱のためのエネルギーが多大と
なるため好ましくない。
中のCPD三量体の量は5,000ppm未満である。
CPD三量体は主として下記式〔III〕および〔IV〕に
示す2種類の異性体からなるものである。
有害であるため、含有量を5,000ppm未満に制限
する。
TCDよりも高沸点の成分を抜き取る。上記のようにし
て、粗EdTCD留分から高純度のEdTCDを収率良
く得ることができる。例えば、本発明の方法によれば、
精製EdTCD留分として純度95%以上、好ましくは
97%以上のEdTCDを得ることができる。
得るために、前段階として以下のような一連の操作を行
うことができる。すなわち、先ず反応液を、CPDおよ
び/またはDCPDの不純物に由来するイソプレンおよ
びピペリレンを分離する工程に導く。ここでは常圧〜5
00kPa程度の圧力で、塔頂よりCPD、イソプレン
およびピペリレンを抜き出す。このためには蒸留塔を使
用してもよく、あるいはフラッシュを行うだけでもよ
い。分離したCPDは原料として再利用することもでき
る。塔底から得られる液を次の蒸留塔へ送り、EBHの
蒸留分離・回収を行う。蒸留は1kPa〜常圧で運転を
行い、塔頂よりEBHを抜き出す。またCPD類を抜き
出す任意の前工程がない場合には、塔頂よりCPD、イ
ソプレンおよびピペリレンと共にEBHを抜き出す。ま
たは塔頂よりCPD、イソプレンおよびピペリレンを抜
き出し、塔中部よりEBHを抜き出してもよい。ここで
分離したEBHは原料として再利用することができる。
塔底から得られる液を次の蒸留塔へ送り、圧力100P
a〜100kPaにおいて、塔頂からDCPDおよび/
またはDCPD由来のメチルテトラヒドロインデンを分
離する。この塔底から得られる液を粗EdTCD留分と
する。粗EdTCD留分を得るためのいずれの蒸留塔
も、分離効率を向上させるために、各種充填物を充填し
たり、還流を行うことができる。理論段数については各
蒸留塔において1〜100段であり、好ましくは2〜5
0段、より好ましくは3〜30段である。還流比は各蒸
留塔の分離状態を確認して決定されるものであるが、1
〜50が適当である。
に、EBHとDCPDとの混合物(モル比:EBH/D
CPD=8)1,000kgを導入し、この混合物を2
00℃で2時間加熱しながら撹拌した。反応終了後、常
温で容器を開放し、EdTCDおよびCPD三量体を含
む混合反応液を得た。
第1蒸留塔に送り、塔底における条件を圧力10kPa
および温度120℃として蒸留を行い、CPD、未反応
EBHおよびDCPDを塔頂から35kg/hの流量で完全
に除去した。塔底から得られた粗EdTCDの液を分析
した結果、CPD、EBHおよびDCPDは含まれてお
らず、EdTCDの含有量は87%であった。
2蒸留塔へ送り、塔底における条件を圧力2kPaおよ
び温度200℃とし還流比3で蒸留を行い、塔頂から流
量12kg/hで純度99.1%のEdTCDを得た。塔頂
留分は分解生成物であるEBHを87ppm含むが、C
PD三量体を含んでいないことを確認した。塔底からは
CPD三量体を含む混合液を流量3kg/hで得た。なお第
2蒸留塔には液面計を設けて液滞留部の液面高さを一定
に保持し、液滞留量を0.1kgに保持したので、滞留
時間は2分であった。
5kgとし、塔底圧力を11kPa、温度を255℃と
する以外は実施例と同様に行った。滞留時間は35分で
あった。第2蒸留塔で留出したEdTCDは純度が9
2.7%であり、また分解生成物であるEBHを3.0
%含有しており、分解反応その他の反応の進行が認めら
れた。またCPDの三量体も1.2%含まれていた。
においては、蒸留塔中の滞留時間等を規定して、目的物
として留出する精製EdTCD留分中のEBHを1%未
満に規制することにより、EdTCDの熱分解反応や分
解生成物としてのCPDの反応を結果的に抑制して、粗
EdTCD留分から高純度なEdTCDを収率良く得る
ことができる。
Claims (1)
- 【請求項1】 シクロペンタジエンおよび/またはジシ
クロペンタジエンと、下記式〔I〕で示される5−エチ
リデン−2−ノルボルネンとを加熱混合して得られる反
応液を蒸留して、下記式〔II〕で示されるエチリデンテ
トラシクロドデセンを含む粗エチリデンテトラシクロド
デセン留分を得た後、該留分を蒸留精製塔に供給し、蒸
留精製塔から得られる精製エチリデンテトラシクロドデ
セン留分中に含まれる5−エチリデン−2−ノルボルネ
ンの量が1%未満になるように、塔底において圧力10
kPa以下、温度150〜250℃および滞留時間20
分以下の条件で連続的に蒸留を行うことにより、シクロ
ペンタジエン三量体の含有量が5,000ppm未満で
あり、純度が95%以上の精製エチリデンテトラシクロ
ドデセンを抜き出すことを特徴とするエチリデンテトラ
シクロドデセンの連続蒸留精製方法。 【化1】
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000322081A JP2002128712A (ja) | 2000-10-23 | 2000-10-23 | エチリデンテトラシクロドデセンの連続蒸留精製方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000322081A JP2002128712A (ja) | 2000-10-23 | 2000-10-23 | エチリデンテトラシクロドデセンの連続蒸留精製方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002128712A true JP2002128712A (ja) | 2002-05-09 |
Family
ID=18800013
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000322081A Pending JP2002128712A (ja) | 2000-10-23 | 2000-10-23 | エチリデンテトラシクロドデセンの連続蒸留精製方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2002128712A (ja) |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH03122196A (ja) * | 1989-10-06 | 1991-05-24 | Soda Koryo Kk | 2―エチリデン―1,4―5,8―ジメタノ―1,2,3,4,4a,5,8,8a―オクタヒドロナフタレンを含有する香料組成物 |
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-
2000
- 2000-10-23 JP JP2000322081A patent/JP2002128712A/ja active Pending
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