JP2002126903A - 旋削加工方法および旋削加工装置 - Google Patents

旋削加工方法および旋削加工装置

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JP2002126903A
JP2002126903A JP2000318483A JP2000318483A JP2002126903A JP 2002126903 A JP2002126903 A JP 2002126903A JP 2000318483 A JP2000318483 A JP 2000318483A JP 2000318483 A JP2000318483 A JP 2000318483A JP 2002126903 A JP2002126903 A JP 2002126903A
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Hiroshi Chiba
博司 千葉
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 鉱物油、植物油のいずれの切削油剤をも用い
ない、完全無給油の切削加工を実現して、高品位な加工
を行うと共に、工具寿命を改善し、後洗浄の簡易化を実
現することができる旋削加工方法と旋削加工装置を得る
ことである。 【解決手段】 切削工具ホルダー2に、切削工具1の刃
先に向けて気体を噴出するノズル4を設け、該ノズル4
に供給される気体を摂氏零度以下の低温に温度調節され
た湿潤な空気としていることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、旋削方式による金
属、セラミックス、樹脂材料などを切削する加工方法お
よび加工装置に係わるもので、特に、電子機器用メモリ
ディスク表面、スキャナーミラー基準面、電子写真機用
現像スリーブ、感光ドラム円筒部などの、高精度な鏡面
品位を要求される旋削加工方法および旋削加工装置に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来において、電子機器用メモリディス
ク表面や、スキャナーミラー表面などの平面は、例えば
図面の図5に示されるように、良好な表面粗さ、および
平面度を得るために、ワークWを高精度な回転軸105
に取付けて高速回転させ、ダイヤモンド工具のようなバ
イト101によって表面が旋削されて加工されている。
【0003】また、電子写真機用現像スリーブや感光ド
ラムなど円筒部を高精度に仕上げる場合には、図6に示
されるように、ワークWの両端部を回転軸105とワー
ク芯押し具とに取付けて高速回転させ、ダイヤモンド工
具などのバイト101によって円筒面が旋削されて加工
されている。
【0004】このような旋削方式による切削加工におい
ては、従来では、バイトと呼ばれる切削工具とワークが
加工に伴って発熱するのを防止するために、鉱物油など
のオイルミストを刃先周辺に供給し、切削工具とワーク
の接触による摩擦発熱を低減するようにしている。上記
鉱物油などを供給しない場合には、発熱によって加工面
の焼け、工具の寿命低下などの問題が生じる恐れがさら
にある。
【0005】また、精密な仕上面が要求される精密切削
においては、工具材料には高硬度な単結晶ダイヤモンド
を鋭利に仕上げたものを用いるが、ダイヤモンドの性質
上、切削加工に伴う発熱により摩耗が急速に進行するこ
とが知られている。
【0006】一般に、切削加工に伴う発熱は、ワークの
硬度が高いほど、また、切込み、送り速度などの切削加
工条件が厳しいほど、大きくなることが知られている。
【0007】そこで、上記したように従来の切削作業に
おいては、鉱物油などのオイルミストを工具の刃先周辺
に供給しながら加工していたが、切削装置周辺に鉱物油
が飛散して、作業環境を著しく劣化させている。さら
に、ワーク周辺に鉱物油が付着することによって、排出
した切り屑が鉱物油の付着したワークに付着し易く、仕
上げ面のキズなどの品質不良の大きな原因にもなってい
る。また、切削加工終了後に、付着した鉱物油を除去す
るために有機溶剤による洗浄を行っていたが、洗浄廃液
による環境問題などが近年大いに叫ばれるようになって
きている。
【0008】以上、述べたように、切削加工中、鉱物油
を使用することは、環境問題および品質問題の上から、
大きな障害となってきており、早急に鉱物油を用いない
切削加工方法を見出す必要が生じてきている。
【0009】今年、「1997年度精密工学会秋季大会
学術講演会講演論文集167」などに述べられているよ
うに、乾燥空気や低温空気などを切削加工点に供給する
方法が提案されてきており、従来の切削作業の或る種の
ものには大きな効果が上がっている。全くの無給油で
は、工具とワークの潤滑作用が不十分な場合には数ml
/Hの極微少量の植物油を気体と共に供給する方法など
も提案されている。極微少量の植物油を用いる理由は、
植物油は人体に無害であり、また、極微少量であるため
に、洗浄も容易で環境負荷が小さい、ことなどである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような従来例では極微少量とは云えども切削油剤を使用
するために、洗浄工程を皆無にすることは不可能であ
り、また、長期に亙り切削作業を行うと、切削加工装置
に油が付着し、植物油であるが故に腐敗して作業環境を
劣化させるなどの問題点が見られる。
【0011】従って、本発明の目的は、このような従来
における問題を解決するために、鉱物油、植物油のいず
れの切削油剤をも用いない、完全無給油の切削加工を実
現して、高品位な加工を行うと共に、工具寿命を改善
し、後洗浄の簡易化を実現することができる旋削加工方
法および旋削加工装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明の旋削加工方法は、切削工具ホルダーに、
切削工具の刃先に向けて気体を噴出するノズルを設け、
該ノズルに供給される気体を摂氏零度以下の低温に温度
調節された湿潤な空気としていることを特徴とする。
【0013】また、本発明の旋削加工方法は、前記切削
工具が露点以下に温度調節されていることを特徴とす
る。
【0014】さらに、本発明の旋削加工方法は、切削工
具ホルダーに切削工具を冷却する手段を設け、該切削工
具を、摂氏零度以下の湿潤な気体よりも低い温度に冷却
しつつ、気体を切削工具の刃先に向けて噴出するように
供給するノズルを有することを特徴とする。
【0015】さらにまた、本発明の旋削加工方法は、前
記切削工具を冷却する手段がペルチェ素子であり、該ペ
ルチェ素子を介して前記ホルダーに前記切削工具が取付
けられていることを特徴とする。
【0016】本発明の旋削加工装置は、切削工具を保持
する切削工具ホルダー、摂氏零度以下の低温に温度調節
された湿潤な空気を前記切削工具の刃先に向けて噴出す
るように設けられているノズルを有することを特徴とす
る。
【0017】また、本発明の旋削加工装置は、前記切削
工具の工具シャンクを冷却するために前記ホルダーにペ
ルチェ素子が設けられていることを特徴とする。
【0018】本発明のその他の目的や特徴および利点
は、添付図面に示される本発明の旋削加工方法の実施形
態についての以下の詳細な説明から明らかである。
【0019】
【発明の実施の形態】図1乃至図4は、本発明の旋削加
工方法を実施するための旋削加工装置の幾つかの実施例
を図示、説明するための概要図で、図1は端面旋削方式
における実施例1の概要図、図2は円筒面旋削方式にお
ける実施例2の概要図で、図3は端面旋削方式における
実施例3の概要図、図4は円筒面旋削方式における実施
例4の概要図である。
【0020】(実施例1)図1に示されるように、本発
明の端面旋削方式の旋削加工装置は、被加工物であるワ
ークWを旋削加工するダイヤモンドバイトのようなバイ
ト1、このようなダイヤモンドバイトなどのバイト1を
支持するバイトホルダー2、このバイトホルダー2を支
持する刃物台3、バイト1に圧縮気体を供給するノズル
4、ワークWを支持するワーク回転軸5、削り屑を集塵
する集塵ダクト9、刃物台3を往復移動可能に案内する
刃物台送りスライド10から概略構成されており、これ
ら主要部分が図示されている。
【0021】なお、このような旋削加工装置において
は、高品位な仕上面性状が得られるように、刃物台3、
ワーク回転軸5、刃物台送りスライド10などに静圧空
気軸受が用いられている。また、ワークWは真空チャッ
クによってワーク回転軸5に取付けられている。さらに
また、ワークWの保持には真空チャックの他に、ワーク
Wの形状や要求精度などに応じてコレットチャックや3
爪チャックなどを用いることもできる。
【0022】バイト1は、シャンクと呼ばれる軸部が刃
物台3上のバイトホルダー2に取付けられて支持されて
いる。ワークWの端面部を加工する際に、刃物台3は、
ワーク回転軸5の回転中心方向(図中A方向)に送られ
て、ワークWの端面を切削する。このときに、バイトホ
ルダー2上に取付けられたノズル4からバイト1の刃先
に向って圧縮空気が噴射される。圧縮空気には、例え
ば、圧力2kg/cm2(19.6133×10-4
a)、流量1リットル/s、温度−5℃の空気が用いら
れる。また、噴射方向は、ワーク回転軸5から外周に向
けた放射方向として、切削により生成する切屑をワーク
外周側に飛散させるようにしている。バイト1の近傍の
ワーク外周側には、飛散した切屑を回収するために集塵
ダクト9が設けられており、この集塵ダクト9にホース
12を介して集塵機などの集塵装置が接続されている。
【0023】このような冷却用の気体は、水蒸気を含ん
だ空気などの気体を、露点以下に温度調節されたバイト
などの切削工具に吹付けて、切削工具の刃先を冷却する
ことによって切削点における冷却、潤滑作用を積極的に
行うものであり、低温空気の冷却作用に加えて、気体に
含まれる水分による切削点での潤滑作用を利用したもの
である。また、このような作用において、水蒸気を含ん
だ空気などの気体を、露点以下に温度調節された切削工
具に吹付け、切削工具の刃先を冷却することによって刃
先を結露させることにより切削点における冷却、潤滑作
用を積極的に行うものであり、気体が低温の工具刃先に
達した瞬間に、気体に含まれる水蒸気が切削工具の刃先
において結露し、切削加工に伴う熱を除去する作用を生
じる。切削工具の表面温度を零度以下になるように温度
調節すれば、結露した水分は「霜」となり、切削加工点
では固体である霜から気体である水蒸気へと相変化を伴
うので、昇華熱を利用できるために冷却効果が著しく向
上される。このために、僅かな水分でも油剤使用時以上
の冷却効果を得ることができる。また、潤滑作用をもた
らした水分は加工直後には昇華するためにワーク表面に
は残存せず、ワークおよび旋削加工装置の腐食の問題も
発生することが何など全くない。
【0024】本実施例では、以下の加工条件で実際に旋
削加工を行った。
【0025】ワーク材質:鏡面切削用アルミニウム合金 ワーク寸法:外径φ50mm、厚さ10mm バイト材質:単結晶ダイヤモンド コーナー半径:5mm ワーク回転数:4800rpm(70s-1) 切込み量:50μm/pass バイト送り速度:1.4mm/s(=0.02mm/r
ev)
【0026】本例を、従来の切削方法であるオイルミス
ト供給方式と比較評価した実験結果を表1に示す。
【0027】 表 1 従来切削法 公知の冷風切削法 本発明1.2 鉱物油 乾燥空気 湿潤空気 (オイルミスト)(−30℃、10%以下)(−5℃、80%) 主分力(N) 0.065 0.062 0.062 背分力(N) 0.13 0.12 0.11 表面粗さ 0.04 0.04 0.03 Rmax(μm) 工具寿命*(個)7000 9000 11000 工具寿命*はφ50ワークの加工個数で表した。
【0028】乾燥空気を噴出、供給する公知の冷風切削
法でも、鉱物油をオイルミストにして噴射する従来切削
法に比べて、工具寿命が20%強ほど向上されている。
さらに、本発明では表面粗さが改善され、工具寿命も従
来切削法に比べて50%程度改善されている。
【0029】(実施例2)図2に示されるように、本発
明の円筒面旋削方式の旋削加工装置は、ワークWの支持
方法以外は基本的には上記実施例1のものとほぼ同じ構
成をなしており、被加工物であるワークWを旋削加工す
るダイヤモンドバイトのようなバイト1、このようなダ
イヤモンドバイトなどのバイト1を支持するバイトホル
ダー2、バイトホルダー2を支持する刃物台3、バイト
1に圧縮気体を供給するノズル4、ワークWを回転する
ワーク回転軸5、ワークWを両端で支持するワーク保持
具6aとワーク回転軸6b、ワーク保持具6bのワーク
芯押し具7、削り屑を集塵する集塵ダクト9、刃物台3
を往復移動可能に案内する刃物台送りスライド10から
概略構成されており、これら主要部分が図示されてい
る。
【0030】このような旋削加工装置において、ワーク
円筒面の旋削加工の加工条件は以下の通りである。
【0031】ワーク材質:アルミニウム合金 JIS−
A6063材 ワーク寸法:外径φ30mm、全長:250mm、肉厚
0.8mm バイト材質:単結晶ダイヤモンド コーナー半径:5mm ワーク回転数:3000rpm(50s-1) 切込み量:20μm/pass バイト送り速度:1.0mm/s(=0.02mm/r
ev)
【0032】高品位な仕上面性状が得られるように、切
削加工装置のワーク回転軸5、ワーク芯押し具7の回転
部、刃物台送りスライド10などには静圧空気軸受が用
いられている。また、ワークWは両端部をワーク保持具
6a、6bによってワーク回転軸5、ワーク芯押し具7
に取付けられている。さらにまた、ワーク保持具6a、
6bには真空チャックの他に、ワークWの形状や要求精
度などに応じてコレットチャックや3爪チャックなどを
適宜に用いることもできる。
【0033】バイト1は、シャンクと呼ばれる軸部が刃
物台3上のバイトホルダー2に取付けられて支持されて
いる。ワークWの円筒面部を加工する際に、刃物台3は
ワーク回転軸5の回転中心軸線方向に沿って平行に送ら
れて、ワークWの円筒外周面部を切削する。この時に、
バイトホルダー2上に取付けられたノズル4からバイト
1の刃先に向って圧縮空気が噴射される。圧縮空気に
は、例えば圧力2kg/cm2(19.6133×10
-4Pa)、流量1リットル/s、温度−20℃の空気が
用いられる。また、噴射方向は、ワーク回転軸5の回転
中心軸線方向(図中A方向)と平行な方向とし、切削に
より生成する切屑をワークWの外周側に飛散させるよう
にしている。バイト1の近傍のワーク外周側には飛散し
た切屑を回収するために集塵ダクト9が設けられてお
り、この集塵ダクト9にホース12を介して集塵装置な
どの集塵機が接続されている。
【0034】本例を、従来の切削方法であるオイルミス
ト供給方式と比較評価した実験結果を表2に示す。
【0035】 表 2 従来切削法 公知の冷風切削法 本発明1.2 鉱物油 乾燥空気 湿潤空気 (オイルミスト)(−30℃、10%以下)(−20℃、80%) 主分力(N) 0.045 0.042 0.037 背分力(N) 0.07 0.06 0.05 表面粗さ 0.07 0.06 0.05 Rmax(μm) 工具寿命* 5000 7000 8000 (個) *寿命はφ30(全長250)のワークの外径加工個数で表した。
【0036】乾燥空気を噴出、供給する公知の冷風切削
法でも、鉱物油をオイルミストにして噴射する従来切削
法に比べて工具寿命が40%強向上されている。さら
に、本発明では表面粗さが改善され、工具寿命も従来切
削法に比べて60%程度改善されている。
【0037】(実施例3)図3に示されるように、本発
明の端面旋削方式の旋削加工方法は、先の実施例1の冷
却および潤滑効果をさらに高めるべく構成されたもので
ある。
【0038】図示されるように、本発明の端面旋削方式
の旋削加工装置は、基本的な構成が上述の実施例1と同
一構成をなしており、被加工物であるワークWを旋削加
工するダイヤモンドバイトのようなバイト1、このよう
なダイヤモンドバイトなどのバイト1を支持するバイト
ホルダー2、バイトホルダー2を支持する刃物台3、バ
イトに圧縮気体を供給するノズル4、ワークWを支持す
るワーク回転軸5、切削工具であるバイト1の刃先を冷
却するようにバイトホルダー2上に設けられたペルチェ
素子8、削り屑を集塵する集塵ダクト9、刃物台3を往
復移動可能に案内する刃物台送りスライド10から概略
構成されており、これら主要部分が図示されている。
【0039】このような旋削加工装置において、ワーク
端面の旋削加工の加工条件は以下の通りである。
【0040】ワーク材質:アルミニウム合金 JIS−
A6063材 ワーク寸法:外径φ30mm、全長:250mm、肉厚
0.8mm バイト材質:単結晶ダイヤモンド コーナー半径:5mm ワーク回転数:3000rpm(50s-1) 切込み量:20μm/pass バイト送り速度:1.0mm/s(=0.02mm/r
ev)
【0041】高品位な仕上面性状が得られるように、刃
物台3、切削加工装置のワーク回転軸5、刃物台送りス
ライド10などには静圧空気軸受を用いることができ
る。また、ワークWは真空チャックによってワーク回転
軸5に取付けられている。さらにまた、ワークWの保持
には真空チャックの他に、ワーク形状や要求精度などに
応じてコレットチャックや3爪チャックなどを用いるこ
ともできる。
【0042】バイト1は、シャンクと呼ばれる軸部が刃
物台3上のバイトホルダー2にペルチェ素子8を介して
取付けられている。ペルチェ素子8に電圧を印加する
と、バイト1のシャンクは冷却され、シャンク先端に取
付けられた単結晶ダイヤモンドで形成されたバイト1の
刃先も冷却される。ペルチェ素子8は印可する電圧によ
り冷却温度を自在に制御することができる。本実施例で
は、刃先温度が−10℃になるように印加電圧を設定し
ている。
【0043】ワークWを加工する際には、ワーク取付
後、高速でワーク回転軸5を回転させて、外周側から工
具であるバイト1を回転中心軸線方向(図中A方向)に
送り、ワークWの端面を切削する。このときに、バイト
ホルダー2上に取付けられたノズル4からバイト1の刃
先に向って圧縮空気が噴射される。
【0044】最初に、圧縮空気には、例えば圧力2kg
/cm2(19.6133×10-4Pa)、流量1リッ
トル/s、温度−5℃の空気が用いられる。また、冷
却、潤滑効果の差異を見るために噴射空気の湿度を変化
させ、通常のオイルミスト供給法と比較した。噴射方向
は、ワーク回転軸5から外周側に向けた放射方向とし、
切削により生成する切屑をワーク外周側に飛散させるよ
うにしている。バイト1の近傍のワーク外周側には飛散
した切屑を回収するために集塵ダクト9が設けられてお
り、この集塵ダクト9にホース12を介して集塵機など
の集塵装置が接続されている。
【0045】以上の構成で切削加工を行った場合に、切
削油剤を用いた従来の方法との切削性能を比較した実験
結果を表3に示す。
【0046】 表 3 従来切削法 公知の冷風切削法 本発明3.4 鉱物油 乾燥空気 湿潤空気 湿潤空気 (オイルミスト)(−30℃、10%以下)(−5℃、(−5℃、 40%) 80%) 主分力(N) 0.065 0.062 0.062 0.061 背分力(N) 0.13 0.12 0.11 0.11 表面粗さ 0.04 0.04 0.03 0.03 Rmax(μm) 工具寿命* 7000 9000 12000 14000 (個) *寿命はφ50のワークの加工個数で表した。
【0047】噴射空気の湿度を変化させて加工を行った
ところ、湿度が高いほど切削抵抗は低減し、表面粗さも
良くなった。さらに、φ50のワークの端面の加工個数
で工具寿命を評価した結果、湿度80%まで高めたとこ
ろ、鉱物油供給時に比べて約2倍まで向上した。噴射空
気に含まれる水分が多いほど低温の工具表面で結露する
水分が多くなり、結露した水分が切削加工点での冷却に
寄与するためと考えられる。
【0048】(実施例4)図4に示されるように、本発
明の円筒面旋削方式の旋削加工装置は、基本的な構成は
実施例2と同様であり、バイトホルダー2にバイト1を
冷却するペルチェ素子8を付加した点は実施例3と同様
の構成をなしており、被加工物であるワークWの外周円
筒面を旋削加工するものである。本例の旋削加工装置
は、被加工物であるワークWを旋削加工するダイヤモン
ドバイトのようなバイト1、このようなダイヤモンドバ
イトなどのバイト1を支持するバイトホルダー2、バイ
トホルダー2を支持する刃物台3、バイト1に圧縮気体
を供給するノズル4、削り屑を集塵する集塵ダクト9、
ワークを回転するワーク回転軸5、ワークを両端部にお
いて支持するワーク保持具6a、6b、切削工具である
バイト1の刃先を冷却するようにバイトホルダー2上に
設けられたペルチェ素子8、削り屑を集塵する集塵ダク
ト9、刃物台3を往復移動可能に案内する刃物台送りス
ライド10から概略構成されており、これら主要部分が
図示されている。
【0049】加工結果としては、バイト冷却なしの実施
例2と切削抵抗、表面粗さはほぼ同など、工具寿命は1
0%程度向上することが明らかである。
【0050】上記の実施例3、4を実施例1、2と比較
する。
【0051】実施例3、4のように、工具表面を氷点下
に冷却した場合に、切削加工点では氷化した水分が昇華
するのに必要な熱量を、切削により生じた熱量から授受
されるために、非常に大きな冷却効果が得られるものと
見られる。工具温度を低く設定すれば、結露する水分は
当然に多くなるが、過剰に結露させると、加工後のワー
ク表面、およびワーク周辺に液化した水分が残留してワ
ーク表面、切削加工装置を腐食させる恐れがある。さら
に、工具表面を過剰に冷却すると、刃先位置がシャンク
の熱収縮により変位し、切込み量が変化することも考え
られる。以上の事項を考慮して切削加工点の冷却方法お
よび条件は以下のようにすることが望ましい。噴射する
気体が同一の場合、工具を冷却した方が表面粗さ、工具
寿命の改善効果が大きい。切削加工によって発生した熱
により、結露した水分が完全に気化するようにする。熱
収縮による切込み量変動が加工公差以内であるようにす
る。
【0052】以上に説明したように、本発明の旋削加工
方法および旋削加工装置によれば、切削油剤を全く用い
ずに、良好な仕上げ面粗さを得ると同時に、工具寿命も
大幅に向上することができ、乾燥した切削屑が生じるた
めに、切屑の排出処理が容易になり、これによって刃
先、ワークへの切屑の付着が原因と見られる仕上げ面の
キズ不良を大幅に低減することができる。さらに、従来
多大な設備、費用、工数を費やしていた後洗浄工程を大
幅に簡素化することができ、洗浄廃液による環境負荷の
低減も達成することができると共に、バイトを冷却する
場合には、特に品質面での改善効果が大きく、また水分
を含んだ冷風を噴射する場合には、従来の加工装置への
機構付加が容易であるという効果がある。
【0053】
【発明の効果】本発明の請求項1記載の旋削加工方法
は、切削工具ホルダーに、切削工具の刃先に向けて気体
を噴出するノズルを設け、該ノズルに供給される気体を
摂氏零度以下の低温に温度調節された湿潤な空気として
いるので、切削油剤を何など全く用いずに、良好な仕上
げ面粗さを得ることができると共に、工具寿命も大幅に
向上することができ、切屑の排出処理が容易になり、こ
れによって、刃先やワークへの切屑の付着が原因と見ら
れる仕上げ面のキズ不良を大幅に低減することができ、
多大な設備、費用、工数を費やしていた後洗浄工程を大
幅に簡素化することができる。
【0054】本発明の請求項2記載の旋削加工方法は、
前記切削工具が露点以下に温度調節されるので、刃先を
好適に冷却することができ、良好な表面粗さを得ること
ができる。
【0055】本発明の請求項3記載の旋削加工方法は、
切削工具ホルダーに切削工具を冷却する手段を設け、該
切削工具を、摂氏零度以下の湿潤な気体よりも低い温度
に冷却しつつ、気体を切削工具の刃先に向けて噴出する
ように供給するノズルを有するので、切削工具の刃先を
良好に冷却でき、かつ切屑を好適に処理することができ
る。
【0056】本発明の請求項4記載の旋削加工方法は、
前記切削工具を冷却する手段がペルチェ素子であり、該
ペルチェ素子を介して前記ホルダーに前記切削工具が取
付けられているので、切削工具をホルダーを介して良好
に冷却することができる。
【0057】本発明の請求項5記載の旋削加工装置は、
切削工具を保持する切削工具ホルダー、摂氏零度以下の
低温に温度調節された湿潤な空気を前記切削工具の刃先
に向けて噴出するように設けられているノズルを有する
ので、切削工具の刃先を湿潤空気によって良好に冷却す
ることができ、切屑を良好に処理することができる。
【0058】本発明の請求項6記載の旋削加工装置は、
前記切削工具の工具シャンクを冷却するために前記ホル
ダーにペルチェ素子が設けられているので、ホルダーを
介して切削工具を良好に冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1における端面旋削の旋削加工
方法を説明するための概要図である。
【図2】本発明の実施例2における円筒面旋削の旋削加
工方法を説明するための概要図である。
【図3】本発明の実施例3における端面旋削の旋削加工
方法を説明するための概要図である。
【図4】本発明の実施例4における円筒面旋削の旋削加
工方法を説明するための概要図である。
【図5】従来の端面旋削の旋削加工方法を説明するため
の概要図である。
【図6】従来の円筒面旋削の旋削加工方法を説明するた
めの概要図である。
【符号の説明】
1 バイト 2 バイトホルダー 3 刃物台 4 ノズル 5 ワーク回転軸 6a ワーク保持具 6b ワーク保持具 7 ワーク芯押し台 8 ペルチェ素子 9 集塵ダクト 10 刃物台送りスライド 12 ホース

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 切削工具ホルダーに、切削工具の刃先に
    向けて気体を噴出するノズルを設け、該ノズルに供給さ
    れる気体を摂氏零度以下の低温に温度調節された湿潤な
    空気としていることを特徴とする旋削加工方法。
  2. 【請求項2】 前記切削工具が露点以下に温度調節され
    ていることを特徴とする請求項1記載の旋削加工方法。
  3. 【請求項3】 切削工具ホルダーに切削工具を冷却する
    手段を設け、該切削工具を、摂氏零度以下の湿潤な気体
    よりも低い温度に冷却しつつ、気体を切削工具の刃先に
    向けて噴出するように供給するノズルを有することを特
    徴とする旋削加工方法。
  4. 【請求項4】 前記切削工具を冷却する手段がペルチェ
    素子であり、該ペルチェ素子を介して前記ホルダーに前
    記切削工具が取付けられていることを特徴とする請求項
    3記載の旋削加工方法。
  5. 【請求項5】 切削工具を保持する切削工具ホルダー、
    摂氏零度以下の低温に温度調節された湿潤な空気を前記
    切削工具の刃先に向けて噴出するように設けられている
    ノズルを有することを特徴とする旋削加工装置。
  6. 【請求項6】 前記切削工具の工具シャンクを冷却する
    ために前記ホルダーにペルチェ素子が設けられているこ
    とを特徴とする請求項5記載の旋削加工装置。
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