JP2002126539A - 水素化処理用触媒の製造方法 - Google Patents

水素化処理用触媒の製造方法

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JP2002126539A
JP2002126539A JP2000318631A JP2000318631A JP2002126539A JP 2002126539 A JP2002126539 A JP 2002126539A JP 2000318631 A JP2000318631 A JP 2000318631A JP 2000318631 A JP2000318631 A JP 2000318631A JP 2002126539 A JP2002126539 A JP 2002126539A
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gel
catalyst
inorganic oxide
active metal
organic solvent
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JP2000318631A
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Naoki Ito
直樹 伊藤
Takao Hashimoto
孝雄 橋本
Takeshi Isoda
武志 礒田
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Tonen General Sekiyu KK
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Tonen General Sekiyu KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 炭化水素油の水素化処理用触媒の製造方
法であって、触媒全成分の同時沈殿による高活性触媒の
一段階合成方法の利点を生かしつつ経済性に優れた二段
階合成方法と同等または同等以下のコストで可能な高活
性水素化処理用触媒の製造方法を提供する。 【解決手段】 耐火性無機酸化物担体上に活性金属成
分を担持させた水素化処理用触媒を製造する方法におい
て、(a)該担体成分の前駆体であって有機溶媒含有率
が1重量%以上の膨潤無機酸化物ゲルを周期表第6A族
金属および第8族金属の化合物の少なくとも一種の活性
成分と接触させる工程と、(b)工程(a)にて得られ
た活性成分を担持させた膨潤無機酸化物ゲルを乾燥、成
形および焼成処理に供する工程とを含む水素化処理用触
媒の製造方法。前記水素化処理用触媒の製造において、
活性金属成分の担持工程で用いられる担体成分前駆体で
あって有機溶媒含有率が1重量%以上の膨潤無機酸化物
ゲル。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、炭化水素油の水素
化処理用触媒の製造方法に関するものであり、さらに詳
しくは、有機溶媒をその構造内に含有する耐火性無機酸
化物担体の前駆体ゾルまたはゲル(本明細書において
「膨潤無機酸化物ゲル」という。)に水素化活性金属成
分を担持させて得られる炭化水素油の水素化処理用触媒
の製造方法に関するものである。
【0002】また、本発明は、水素化処理用触媒の耐火
性無機酸化物担体の製造に用いられる担体成分前駆体で
ある膨潤無機酸化物ゲルに関するものである。本発明に
よれば、特に炭化水素油の水素化精製、水素化脱硫、水
素化脱窒素、水素化脱芳香族、水素化異性化、水素化分
解、水素化脱蝋および水素化脱金属等の炭化水素油と水
素との接触による反応を対象とする水素化処理に適する
高活性固体触媒の製造方法が提供される。
【0003】
【従来の技術】従来から、炭化水素油の水素化処理方法
としては、耐火性無機酸化物担体を製造した後、これに
水素化活性金属成分を担持させる二段階の製造工程によ
り得られる種々の水素化処理用触媒の製造方法が開発さ
れている。耐火性無機酸化物担体としては、例えば、ア
ルミナ、シリカ−アルミナ、マグネシア、ジルコニア等
が用いられ、また、水素化活性金属成分としては周期表
第6A族元素および同表第8族元素から選択されるモリ
ブデン、タングステン、コバルト、ニッケル等、特に、
周期表第6A族元素と同表第8族元素との組合せ、例え
ば、モリブデン−コバルト、モリブデン−ニッケル、モ
リブデン−コバルト−ニッケル等の多種の金属活性成分
の組合せが好適とされている。
【0004】このような水素化処理用触媒が具備すべき
基本的な性能は、反応活性が高く、かつ活性維持能が優
れていることにあるが、そのためには活性金属成分の活
性点を高分散化させることが必要であり、それには比表
面積が大きく細孔容積も大きいことが触媒の不可欠な物
性として要求される。従って、高活性触媒を実現するた
めには、先ず、高比表面積および高細孔容積の担体を提
供し、活性金属成分の担持の際には、該担体の高比表面
積および高細孔容積等を維持させると共に多量の活性金
属を高度に分散担持させなければならない。しかしなが
ら、従来、開発されてきた二段階製造方法では活性金属
成分を溶液中で固体の担体に吸着または沈殿させるの
で、活性金属成分と担体との結合が弱く、吸着または沈
殿の時点から乾燥が完了するまでの間に活性金属成分が
移動しやすく高分散させることが困難であるという問題
があった。また、担体調製後に活性金属成分の担体への
固定化を行なうため、担体の細孔容積以上には活性金属
成分を含有させられないことから活性金属成分の含有量
をさらに増加させることにも限界があった。
【0005】一方、特開平3−275142号公報によ
り、このような二段階合成方法の限界を超えるべく、担
体および活性金属成分の原料として有機金属化合物を用
い、活性金属の一部または全部を添加後に加水分解その
他の方法で全触媒成分を同時沈殿および共沈させること
により一段階合成で高分散・高活性の水素化処理用触媒
が製造できることを提案した。これらの製造方法によれ
ば、活性金属の担体ゲル上へのアンカーリングにより活
性成分が高分散され、結果として二段階製造方法により
得られる水素化処理用触媒に比較して高活性の水素化処
理用触媒を製造することが可能となった。
【0006】しかし、種々の検討から該製造方法には次
の改良すべき事項のあることがわかってきた。すなわ
ち、 1)担体成分と活性金属成分の沈殿形成を同時に行なう
ため、活性金属成分の一部が担体内部に埋め込まれてし
まい有効に活用されない点、 2)担体成分および活性金属成分の原料として用いる有
機金属化合物は商業触媒の原料としては高価すぎる点、 3)担体成分と活性金属成分を同時沈殿させても場合に
よってアンカーリングが充分でなく乾燥焼成時に金属の
凝集が起こる点 等の問題があり、本発明者らは、触媒製造の工業化を進
めるためには前記一段階合成方法をさらに改良し、高活
性であり、かつ経済性にも優れた水素化処理用触媒の製
造方法の開発が極めて重要であることを認識した。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の課題
は、前記一段階合成方法の利点を生かしつつ、前記二段
階合成方法と同等または同等以下のコストにて活性金属
成分の高度分散化を達成した高活性水素化処理用触媒の
製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
前記の水素化処理用触媒の開発状況に鑑み、さらに鋭意
研究を重ねた結果、一定量以上の有機溶媒をその構造内
に含む膨潤無機酸化物ゲルが高い活性金属吸着力を有す
ることに着目し、このゲルを活性金属溶液と接触させて
活性金属を担持させることにより、高価な有機金属化合
物を使用することなく、また、活性金属の担体内部への
埋め込みを起こすことなく活性金属を担体表面にアンカ
ーリングし、前記共沈法と同等以上の高い活性金属成分
の分散性が得られることを見いだし、これらの知見に基
づいて本発明の完成に到達した。
【0009】すなわち、本発明は、耐火性無機酸化物担
体上に活性金属成分を担持させた水素化処理用触媒を製
造する方法において、次の工程(a)および(b): (a)該担体成分の前駆体であって、有機溶媒含有率が
1重量%以上の膨潤無機酸化物ゲルを周期表第6A族金
属の化合物および同表第8族金属の化合物からなる群よ
り選択される少なくとも一種の活性金属成分と接触させ
る工程。 (b)工程(a)にて得られた活性金属成分を担持させ
た膨潤無機酸化物ゲルを乾燥、成形および焼成処理に供
する工程。 を含むことを特徴とする炭化水素油の水素化処理用触媒
の製造方法に関するものである。
【0010】また、本発明によれば、耐火性無機酸化物
担体上に活性金属成分を担持させた水素化処理用触媒の
製造において、活性金属担持工程で用いられる担体成分
前駆体であって、1重量%以上の有機溶媒を含有するこ
とを特徴とする膨潤無機酸化物ゲルを提供するものであ
る。
【0011】本発明は、上記の水素化処理用触媒の製造
方法およびそれに用いる膨潤無機酸化物ゲルに関するも
のであるが、好ましい実施の態様として次に示すものを
挙げることができる。 (1) 前記膨潤無機酸化物ゲルが、無機酸化物ゲル形
成化合物および/または乾燥無機酸化物ゲルから有機溶
媒の存在下で調製された担体成分の前駆体であることを
特徴とする水素化処理用触媒の製造方法。 (2) 前記膨潤無機酸化物ゲルの有機溶媒含有率が5
重量%〜100重量%であることを特徴とする水素化処
理用触媒の製造方法。 (3) 前記膨潤無機酸化物ゲルが、(i) アルミナ、(i
i)シリカ−アルミナあるいは (iii)アルミナおよび/ま
たはシリカと第三成分との混合物からなる有機溶媒含有
ゲルであることを特徴とする水素化処理用触媒の製造方
法。 (4) 前記第三成分が、酸化リン、マグネシア、酸化
カルシウム、ボリア、ジルコニア、チタニア、トリア、
セリアおよびハフニアからなる無機酸化物からなる群よ
り選択される少なくとも一種の無機酸化物であることを
特徴とする水素化処理用触媒の製造方法。 (5) 前記膨潤無機酸化物ゲルが、該ゲルの焼成重量
を基準としてシリカを2重量%〜40重量%含有する有
機溶媒含有シリカ−アルミナゲルであることを特徴とす
る水素化処理用触媒の製造方法。
【0012】(6) 前記有機溶媒が、少なくとも1つ
のヒドロキシル基を有する有機化合物であることを特徴
とする水素化処理用触媒の製造方法。 (7) 前記有機溶媒が、少なくとも2つ以上のヒドロ
キシル基を有する有機化合物であることを特徴とする水
素化処理用触媒の製造方法。 (8) 前記有機溶媒が、エチレングリコール、ジエチ
レングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレ
ングリコール、ヘキシレングリコール、1,4−ブタン
ジオールからなる群より選択される少なくとも一種の2
価アルコールであることを特徴とする水素化処理用触媒
の製造方法。
【0013】(9) 前記活性金属成分が、モリブデ
ン、タングステン、コバルト、ニッケル、パラジウムお
よび白金からなる群より選択される少なくとも一種の活
性成分であることを特徴とする水素化処理用触媒の製造
方法。 (10) 前記活性金属成分が、モリブデン−コバルト、
モリブデン−コバルト−ニッケルまたはモリブデン−ニ
ッケルの組合せであることを特徴とする水素化処理用触
媒の製造方法。 (11) 前記活性金属成分の含有量が、前記水素化処理
用触媒全重量基準で酸化物としてモリブデン5重量%〜
30%重量%、コバルト0.2重量%〜12重量%およ
びニッケル0.2重量%〜10重量%であることを特徴
とする水素化処理用触媒の製造方法。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明に係る水素化処理用触媒の製造方法の基本
的な特異点は、担体成分としての耐火性無機酸化物に転
化可能な前駆体である無機酸化物ゲルの構造内に一定量
以上の有機溶媒を含有させておき、このゲルを活性金属
溶液と接触させることにより、担体成分と活性金属成分
との同時沈殿または共沈によることなく、担体成分の前
駆体である前記無機酸化物ゲル上に活性金属成分をアン
カーリングさせることができ、担体成分上に活性金属成
分の高度の分散固定化を達成し得たものである。
【0015】本発明の核心は、構造内に一定量以上の特
定の有機溶媒を含む膨潤無機酸化物ゲルが高い活性金属
吸着性を示すことに着目した点にあり、このような条件
を満たす膨潤無機酸化物ゲルを形成させることにより、
このゲルに活性金属成分溶液を接触させ、適度な熟成ま
たは混練その他の処理を行なうことにより活性金属が高
分散された高活性触媒が製造できる点にある。
【0016】このような技術思想のもとに本発明の水素
化処理用触媒の製造方法は、(a)構造内に一定量以上
の特定の有機溶媒を含む膨潤無機酸化物ゲルに活性金属
成分を担持させる工程、(b)工程(a)で得られた活
性金属成分を担持させた膨潤無機酸化物ゲルを乾燥、成
形および焼成処理に供する工程の2つの工程を含む。
【0017】まず、工程(a)において用いる膨潤無機
酸化物ゲルおよびその製造方法について説明し、次に、
活性金属成分の担持方法について説明する。本明細書に
おいて、「膨潤無機酸化物ゲル」とは、沈殿反応、ゲル
化反応、加水分解反応等により生成する沈殿ゲル、水和
物ゲル(ヒドロゲル)等およびこれらの組合せであっ
て、その構造内に有機溶媒を取り込んだ無機酸化物ゲル
である。すなわち、膨潤無機酸化物ゲルは、無機酸化物
ゲルの構造内に有機溶媒を取り込むことにより形成され
たものであり、後記の特定条件下での有機溶媒含有率の
測定方法により特定されるものである。
【0018】本発明の水素化処理用触媒の製造方法にと
って好適な膨潤無機酸化物ゲルは、有機溶媒含有率が1
重量%以上のものであり、さらに好ましくは、5重量%
以上、特に、5重量%〜100重量%のものである。該
有機溶媒含有率は、後記(第20頁)の「有機溶媒含有
率の測定方法」により求められるものであり、有機溶媒
含有量を焼成後担体重量基準で表わしたものである。
【0019】本発明の水素化処理用触媒の製造方法にお
いて用いられる膨潤無機酸化物ゲルとしては、(i) アル
ミナ (ii)シリカ−アルミナ (iii) アルミナおよび/
またはシリカと第三成分との混合物の (i)、(ii)または
(iii) の有機溶媒含有ゲルを挙げることができる。第三
成分ゲルは、酸化リン、マグネシア、ボリア、チタニ
ア、ジルコニア、セリア、ハフニア、トリア等のゲルで
ある。これらの無機酸化物ゲルの組成は、所望の反応に
より任意に選択することができるが、脱硫率の向上と活
性金属成分の固定化の観点からシリカ−アルミナゲルが
好適であり、焼成処理後の焼成重量を基準としてシリカ
を2重量%〜40重量%、さらに好ましくは3重量%〜
20重量%含有するものである。
【0020】前記有機溶媒としては、少なくとも一つの
ヒドロキシル基を有する有機化合物を用いることができ
る。好ましくは、2つ以上のヒドロキシル基を有する有
機化合物、例えば、2価アルコールおよび3価以上の多
価アルコール等を挙げることができる。さらに好ましい
有機溶媒として、エチレングリコール、ジエチレングリ
コール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコ
ール、ヘキシレングリコールおよび1,4−ブタンジオ
ールからなる群より選択される化合物を挙げることがで
きる。
【0021】前記膨潤無機酸化物ゲルの製造において用
いられる無機酸化物ゲル形成化合物は、無機酸化物ゲル
に転化可能な化合物であれば特に限定されるものではな
く、それぞれの担体成分の無機化合物および有機化合物
を任意に選択して用いることができる。また、乾燥ゾル
またはゲルとして市販されている無機酸化物ゾルまたは
ゲルを用いることもできる。その場合には後述の第五の
製造方法として示すように乾燥ゾルまたはゲルを有機溶
媒を含有する溶液中へ分散し再凝集させることによりそ
の構造内に有機溶媒を取り込ませることにより膨潤無機
酸化物ゲルを調製することができる。また、膨潤無機酸
化物が提供された場合には、当然のことながら、そのま
ま工程(a)の金属担持工程に供することができる。
【0022】ゲル形成化合物を以下に例示すると、アル
ミナについては、例えば、硝酸アルミニウム[Al(NO3)3
9H2O]、硫酸アルミニウム[Al2(SO4)3,Al2(SO4)3・18H
2O]、 塩化アルミニウム(AlCl3, AlCl3・6H2O)、ポリ塩化
アルミニウム[Al2(OH)nCl6-n)m,(1<n<5, m<10)]、 アン
モニウムミョウバン[(NH4)Al(SO4)2・12H2O]、アルミン酸
ナトリウム(NaAlO2)、 アルミン酸カリウム(KAlO2)、アル
ミニウムアルコキシド[Al(OR)3](R:炭素数1〜10の
アルキル基、例えば、メチル基、エチル基、イソプロポ
キシド基、t−ブトキシド基等)]、水酸化アルミニウム
[Al(OH)3]、金属アルミニウム(Al)等を挙げることができ
る。特に、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化
アルミニウム、アンモニウムミョウバン等が好ましい。
【0023】また、シリカについては、例えば、四塩化
ケイ素(SiCl4)、ケイ酸エステル[Si(OR)4](Rは炭素数
1〜5のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、プ
ロピル基、ブチル基)、ケイ酸ナトリウム[Na2O・XSiO2
YH2O](X=1〜4)、水ガラス、無水ケイ酸の微粒子を
コロイド溶液としたコロイダルシリカ(SiO2・XH2O)、無水
シリカ(SiO2)等を挙げることができる。特に好ましいケ
イ素化合物は、ケイ酸ナトリウム、コロイダルシリカお
よびエトキシシラン等のケイ酸エステル等である。
【0024】次に、第三成分ゲルのゲル形成化合物につ
いて説明する。酸化リンに関してはピロリン酸、メタリ
ン酸、五塩化リン、十酸化四リン酸、トリアルキルリン
酸エステル、ジアルキルリン酸エステル等を挙げること
ができ、また、リン成分は、リンモリブデン酸アンモニ
ウム等を用いることにより活性金属成分と共に触媒中に
加入させることもできる。
【0025】マグネシアに関しては、例えば、炭酸マグ
ネシウム(MgCO3, MgCO3・3H2O)、硝酸マグネシウム[Mg(NO
3)2・6H2O]、塩化マグネシウム(MgCl2・6H2O)、 硝酸マグネ
シウム(MgSO4・7H2O)、 水酸化マグネシウム[Mg(OH)2]、マ
グネシウムメトキシド[Mg(OCH3)2]、マグネシウムエトキ
シド[Mg(OC2H5)2]等を挙げることができ、酸化カルシウ
ムについては、例えば、塩化カルシウム、カルシウムメ
トキシド(Ca(OCH3)2等を用いることができる。
【0026】ボリアについては、例えば、ホウ酸(H3B
O3)、ホウ酸アンモニウム(NH4B5O3・4H2O)、 ホウ酸ナトリ
ウム(Na2B4O7・1OH2O)、ホウ酸メトキシド等のホウ素アル
コキシド等を挙げることができる。
【0027】また、チタニアについては、例えば、塩化
チタン(TiCl3,TiCl4)、硫酸チタン(Ti2(SO4)3)、 臭化チ
タン(TiBr4)、オルトチタン酸(H4TiO4)、 メタチタン酸(H
2TiO 3)、 チタンエトキシド、チタンイソプロポキシド等
のチタンアルコキシド等を挙げることができる。
【0028】ジルコニアについては、例えば、二塩化酸
化ジルコニウム(ZrCl2O・8H2O)、水酸化ジルコニル[ZrO(O
H)2]、 硫酸ジルコニル[ZrO(SO4)]、 炭酸ジルコニル[ZrO
(CO3)]、 硝酸ジルコニル[ZrO(NO3)2]、リン酸ジルコニル
[ZrO(HPO4)2]、 四塩化ジルコニウム(ZrCl4)、ケイ酸ジル
コニウム(ZrSiO4)、 ジルコニウムエトキシド[Zr(OC2H 5)
4)、 ジルコニウムn-プロポキシド[Zr(n-OC3H7)4]、 ジル
コニウムsec−ブトキシド[Zr(sec-C4H9)4] 等を挙げ
ることができる。また、セリア、ハフニア、トリア等に
ついても、それぞれ、硝酸塩、塩化物、硫酸塩、アルコ
キシドその他可溶性塩を任意に選択し使用することがで
きる。
【0029】膨潤無機酸化物ゲルの製造方法としては前
記の製造原料ゲル形成化合物を用いる種々の方法を利用
することができるが、本発明の製造方法に適した膨潤無
機酸化物ゲルを調製するには反応帯域に有機溶媒を存在
させることが肝要である。
【0030】例えば、第一の方法としては、酸性塩また
は塩基性塩を有機溶媒に溶解させて得られた溶液を中和
する方法を挙げることができる。具体的には硝酸塩、硫
酸塩の溶液に中和剤としてアンモニア水等を攪拌しなが
ら添加するかまたはアルカリ金属塩、アンモニウム塩の
溶液に中和剤として塩酸等を加えて中和することにより
酸性塩または塩基性塩を水酸化物に変換する。さらに具
体的には硝酸アルミニウム水溶液およびテトラアルコキ
シシランを含むヘキシレングリコールと水を含む溶液に
アンモニア水を添加し、アルミナおよびシリカのヒドロ
ゲルを生成させる方法を挙げることができる。また、ケ
イ酸ナトリウム水溶液とアルミン酸ナトリウム水溶液に
有機溶媒を添加し塩酸等の酸性物質を加えてpHを調整
することによりアルミナおよびシリカのヒドロゲルを調
製してもよい。
【0031】第二の方法は、中和時の中和剤の濃度を均
一に保ち、沈殿を均一に行なわせる方法であり、例え
ば、硝酸アルミニウムと有機溶媒を含む溶液に尿素を溶
解させた後加熱し、中和剤を徐々に分解してアンモニア
を発生させ、金属塩を徐々に中和してヒドロゲルに転化
させる方法を挙げることができる。
【0032】また、第三の方法は、酸性塩または塩基性
塩の二種以上の化合物を同時に中和する方法であり、例
えば、硝酸アルミニウム水溶液と水ガラス水溶液との混
合液にアンモニア水を添加しアルミナヒドロゲルとシリ
カヒドロゲルの共沈ヒドロゲルスラリーを得ることがで
きる。この場合、有機溶媒を添加するかまたはアルミニ
ウム化合物またはケイ素化合物のいずれかをアルコキシ
ド等の有機塩とすることが要求される。
【0033】さらに、第四の方法によれば、加水分解性
有機化合物溶液に水を添加することにより加水分解を起
こさせヒドロゲルスラリーを生成させることができる。
例えば、テトラエトキシシランのアルコール溶液に水を
添加し加水分解反応を起こさせ、シリカヒドロゲルを調
製することができる。また、二成分以上の化合物、例え
ば、アルミニウム化合物およびケイ素化合物の有機溶媒
を含む均一溶液に水を添加し、加水分解反応によりアル
ミナおよびシリカのヒドロゲルを共沈させることができ
る。
【0034】第五の方法は、市販の無機酸化物ゾルまた
はゲルを有機溶媒・水混合溶液に分散させ、アルカリ添
加、加熱による溶媒除去その他の方法で再凝集・ゲル化
させることによりゲル構造内に有機溶媒を取り込ませる
方法である。この方法において充分に有機溶媒を取り込
ませるためには最初の段階で乾燥ゲルを溶液中に十分に
分散させることが重要であり、分散性のよいゾルまたは
ゲルの選択とそれに合った溶液系の選択が求められる。
【0035】前記の各方法で合成された膨潤無機酸化物
ゲルは、50℃〜120℃の温度で1時間〜2日間程度
熟成することが好ましい。この熟成処理により有機溶媒
がより強固にゲル構造内に取り込まれ、同時に焼成後の
細孔分布がそろったものとなる。この熟成工程は活性金
属の担持後に行なうことにより後に述べる活性金属吸着
処理と兼ねることもできる。
【0036】前記方法にて調製された膨潤無機酸化物ゲ
ルは、そのまま工程(a)で活性金属を担持することが
できるが、ゲルの製造に使用した化合物の種類によって
は洗浄することが好ましい。例えば、アルカリ金属イオ
ン、硫酸イオン等を含有する化合物を使用する場合に
は、生成した膨潤無機酸化物ゲルを洗浄し触媒活性を低
下させるアルカリ金属イオン、硫酸イオン等を除去する
ことが好ましい。具体的には、生成した膨潤無機酸化物
ゲルを濾過し、得られたゲルケーキに洗浄剤溶液(例え
ば、炭酸アンモニウム水溶液等)を添加し、攪拌した後
濾過することにより、前記不純物を除去することができ
る。
【0037】次に、工程(a)の活性金属成分の担持工
程について説明する。以下に示す通り、工程(a)は膨
潤無機酸化物ゲルと活性金属成分を接触させることによ
り活性金属を該ゲル上に担持させる工程であり、工程
(b)がそれに続く乾燥、成形、焼成処理からなる工程
である。
【0038】工程(a):膨潤無機酸化物ゲルへの活性
金属成分の担持工程。 工程(b):工程(a)にて得られた活性金属を担持さ
せた膨潤無機酸化物ゲルの乾燥、成形、焼成処理および
硫化・窒化・炭化等の活性化処理工程。
【0039】工程(a)では具体的には有機溶媒または
有機溶媒・水混合溶液中で有機溶媒含有率が1重量%以
上の膨潤無機酸化物ゲルと溶液中に溶解した活性金属成
分を接触させて固定化する。前に述べたようにその構造
中に特定の有機溶媒を取り込んだ膨潤無機酸化物ゲルは
それ自身ですでに充分な活性金属吸着力を持つが、さら
にその吸着を促進するため、加熱熟成・pH調整等の活
性金属吸着処理を行なってもよい。
【0040】また、工程(a)で用いる溶液は活性金属
化合物に充分な溶解性を与えるものであれば水、有機溶
媒またはその混合溶液のいずれも採用することができ
る。従って、膨潤無機酸化物ゲルの調製の際に用いた溶
液をそのまま用いてもよいし、膨潤無機酸化物ゲルを濾
別した場合にはそのウエットケーキを溶液中に再投入し
てもよい。膨潤無機酸化物ゲルと活性金属溶液ははじめ
から混合してもよいし、膨潤無機酸化物ゲルを投入・混
合したあとさらに活性金属溶液を添加してもよく、混合
操作等は任意に選択することができる。溶液量も活性金
属化合物に充分な溶解性を与える範囲であればよく、溶
液量が少ない場合には混練機、ニーダー等で、多い場合
には通常の反応容器やホモジナイザー等を用いて混合す
ることができる。活性金属成分を添加する温度は膨潤無
機酸化物ゲルの性状と活性金属成分との組合せから常温
〜120℃の間で任意に選択することができるが、後で
述べる吸着処理の温度と同一の温度に設定し、これらの
処理を同一の装置で連続的に行なうこともできる。
【0041】工程(a)において用いられる有機溶媒
は、少なくとも一つのヒドロキシル基を有する有機化合
物を用いることができる。好ましくは、2つ以上のヒド
ロキシル基を有する有機化合物、例えば、2価アルコー
ルおよび3価以上の多価アルコール等を挙げることがで
きる。さらに好ましい有機溶媒は、エチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、
ポリエチレングリコール、ヘキシレングリコールおよび
1,4−ブタンジオールからなる群より選択される化合
物等である。
【0042】また、工程(a)において用いられる活性
金属成分としては、水素化活性を有する金属酸化物、金
属硫化物、金属窒化物、金属炭化物等に転化可能な塩お
よび錯体であり、周期表第6A族金属の化合物および同
表第8族金属の化合物からなる群より選択される少なく
とも一種の金属化合物を挙げることができる。具体例と
しては、クロム、モリブデン、タングステン等の第6A
族金属塩、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジ
ウム、パラジウム、インジウム、オスミウム、イリジウ
ム、白金等の第8族金属塩、例えば、硝酸塩、塩化物、
オキシ塩化物、金属の酸のアンモニウム塩等の無機塩の
ほか酢酸塩、シュウ酸塩等の有機酸塩等を挙げることが
できる。金属の酸のアンモニウム塩としては、例えばモ
リブデンまたはタングステンの酸のアンモニウム塩、パ
ラモリブデン酸アンモニウム、タングステン酸アンモニ
ウム、リンモリブデン酸アンモニウム、リンタングステ
ン酸アンモニウム等を例示することができる。また、有
機金属化合物、例えば、アルコキシド、アセチルアセト
ネート等も使用することができる。
【0043】炭化水素油の水素化処理用触媒としては周
期表第6A族および第8族に属する各々の金属の化合物
の組合せが好適であり、第6A族金属のモリブデン、タ
ングステンおよびクロムからなる群より選択される少な
くとも一種の金属の化合物と同表第8族金属の鉄、コバ
ルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、
オスミニウム、イリジウムおよび白金等からなる群より
選択される少なくとも一種の金属の化合物を使用するこ
とができる。さらに具体的には、モリブデン−コバル
ト、モリブデン−ニッケル、タングステン−ニッケル、
モリブデン−コバルト−ニッケル、タングステン−コバ
ルト−ニッケル等の組合せを挙げることができ、これら
の金属の化合物としてリンモリブデン酸、硝酸ニッケ
ル、硝酸コバルト等を用いることが好ましい。
【0044】また、水素化活性成分として第1B族金属
の銅、第2B族金属の亜鉛、カドミウム、第4B族金属
のスズ、第5B族元素のリン、第7A族金属のマンガ
ン、レニウム等の化合物も用いることができ、前記第6
A族金属または第8族金属に代えるかまたは併用するこ
とができる。
【0045】活性金属成分の添加量としては、焼成後の
酸化物換算で触媒全重量を基準として第6A族金属成分
5重量%〜30重量%、好ましくは12重量%〜27重
量%であり、第8族金属成分0.5重量%〜15重量
%、好ましくは3重量%〜12重量%である。また、前
記第1B族金属成分については0.1重量%〜2重量
%、第2B族金属成分については0.1重量%〜2重量
%、第5B族金属成分0.1重量%〜4重量%、第7A
族金属成分0.1重量%〜2重量%の範囲で各活性金属
成分を用いることができる。
【0046】工程(a)における活性金属の吸着をより
強固なものにするため、加熱処理、pH調整等の処理を
行なうこともできる。加熱温度としては50℃〜120
℃であり、特に70℃〜95℃に制御することが好まし
い。さらに、該加熱温度においてpH5〜10、特にp
H5.5〜9.5に制御することが好ましく、15分間
以上同条件下で保持することにより、膨潤無機酸化物ゲ
ルスラリーを調製することができる。pH調整をする場
合には、pHが5未満では効果が少なく、一方、pH1
0を超えると活性金属の凝集と膨潤無機酸化物ゲルの再
溶解のおそれがある。この工程は密閉した容器中や還流
下で行なってもよいし、開放系で溶媒を蒸発させながら
行ない後に述べる乾燥工程の一部としてもよい。
【0047】工程(b)においては活性金属を担持した
膨潤無機酸化物ゲルの乾燥、成形、焼成および必要な活
性化処理を行なう。工程(a)で得られた活性金属担持
膨潤無機酸化物ゲルを加熱、常圧または真空濾過、沈降
分離、遠心分離、減圧乾燥等に供することより溶媒を除
去し、触媒前駆体の含水溶剤量を調整した後、成形、乾
燥および焼成に供され水素化処理用触媒を得る。具体的
には、打状成型、押出成形、転動造粒等により成形す
る。触媒の形状としては、円柱状、タブレット状、球状
その他断面四ツ葉状等の異形状のいずれでもよいが、反
応塔内の充填密度を制御できる形状およびサイズを選定
すればよい。触媒成形体のサイズは、直径として平均
0.5mm〜20mmのものが充填密度の増加と圧力損失の
抑制の観点から好ましい。
【0048】次いで触媒成形体は、風乾、熱風乾燥、加
熱乾燥、凍結乾燥等の方法で乾燥し、さらに焼成する。
焼成は、目的に応じて酸化、還元、不活性、硫化、窒
化、炭化、水蒸気雰囲気下で温度150℃〜700℃で
1時間〜20時間加熱保持することにより行われる。
【0049】また、硫化処理の方法として、焼成した触
媒を硫黄化合物または含硫炭化水素油と接触させること
により行なわれ、通常、反応塔内での予備硫化として温
度150℃〜500℃、圧力(全圧)0.1MPa 〜3.
5MPa、液空間速度0.01 hr-1 〜20hr-1、水素ガス
流量30リットル/リットル 〜2000リットル/リットル の条件を採用
することもできる。
【0050】活性金属の窒化処理はアンモニアとの反応
により、また、炭化処理は炭素との反応により行なうこ
とができる。このような活性化処理により、特に触媒の
脱硫活性等の反応活性および機械的強度等の物性をさら
に向上させることができる。
【0051】前記製造方法により製造される水素化処理
用触媒は、無機酸化物担体、特にシリカ−アルミナ担体
上に周期表第6A族元素としてモリブデンを酸化物とし
て5重量%〜30重量%および同表第8族元素のコバル
トおよび/またはニッケルを酸化物としてそれぞれ0.
5重量%〜10重量%含有したものであり、高度に分散
したものである。また、触媒の比表面積100m2/g〜5
00m2/g、好ましくは150m2/g〜400m2/g、全細孔
容積0.2ml/g〜1.5ml/g、好ましくは0.4ml/g〜
1.0ml/g、平均細孔径5Å〜500Å、好ましくは2
0Å〜100Åであり、炭化水素油の水素化処理用触
媒、特に、軽油留分の深度脱硫用触媒として良好な触媒
である。
【0052】次に、本発明の製造方法により得られる水
素化処理用触媒を用いる炭化水素油の水素化処理方法に
ついて説明する。炭化水素油としては、特に限定される
ものではなく、例えば、石油原油の常圧蒸留留出油、常
圧蒸留残渣油、減圧蒸留留出油、減圧蒸留残渣油、分解
軽油、ラフィネート、脱アスファルト油、脱蝋油、スラ
ックワックス、フィッシャートロプシュワックスまたは
これらの混合油等のほか、タールサンド油、シュールオ
イル、石炭液化油または合成炭化水素油等を挙げること
ができる。特に、難脱硫硫黄化合物および窒素化合物の
除去の必要な減圧軽油、分解軽油および直留軽油等を用
いることができる。
【0053】減圧軽油は、常圧蒸留残渣油をさらに減圧
蒸留して得られ、約370℃〜約610℃の範囲の沸点
を有する留出油であり、硫黄分、窒素分および金属分を
相当量(例えば、硫黄分2重量%、窒素分800重量p
pm)含有するものもある。硫黄分としては、たとえば
4−メチルジベンゾチオフェン、4,6−ジメチルジベ
ンゾチオフェン等の硫黄化合物が含有され、窒素分とし
てはピリジン類、アミン類、アミド類等の塩基性窒素化
合物や、ピロール類等の弱塩基性窒素化合物が含有さ
れ、金属分としてはニッケル、バナジウム、鉄等が含有
される。本発明の製造方法により得られた触媒は、この
ような減圧軽油の脱硫および脱窒素を最も効率よく行う
ことができる。
【0054】また、分解軽油としては、残渣油をコーカ
ーおよびビスブレーカー等で熱分解して得られる約20
0℃以上の沸点を有する軽油留分、接触分解装置から得
られるライトサイクルガスオイル(LCGO)およびヘ
ビーサイクルガスオイル(HCGO)等を挙げることが
できる。
【0055】常圧蒸留留出油としては、前記軽油留分の
ほかに直留ライトナフサ、直留ヘビーナフサ、灯油留分
も用いることができる。さらに、接触分解ナフサ、熱分
解ナフサ、水蒸気分解ナフサ等の接触分解装置をはじめ
各種分解装置からのガソリン成分その他燃料油成分とし
て用いられる約250℃以下の沸点を有する軽質留分等
も水素化処理の原料油とすることができる。
【0056】水素化処理の反応条件は、特に限定される
ものではなく、炭化水素油の種類、目標とする脱硫率お
よび脱窒素率等により選択することができる。すなわ
ち、反応温度;150℃〜500℃、好ましくは200
℃〜450℃、反応圧力;0.1MPa 〜35MPa 、水素
含有ガスレイト;30リットル/リットル 〜2000リットル/リットル
および液空間速度;0.01V/H/V 〜20V/H/V 、好ま
しくは0.05V/H/V 〜10V/H/V の条件を採用するこ
とができる。例えば、反応温度300℃〜400℃、反
応圧力1MPa 〜10MPa 、水素含有ガスレイト150 リ
ットル/リットル〜300リットル/リットル、および液空間速度0.5V
/H/V 〜1.5V/H/V の条件を包含するものが好まし
い。また、水素含有ガスとしては、水素濃度が60%〜
100%の範囲のものを用いることができる。
【0057】本発明の製造方法により得られた水素化処
理用触媒は、水素化精製活性、水素化脱硫活性、水素化
脱窒素活性、水素化脱芳香族活性、水添異性化活性、水
素化分解活性、水素化脱蝋活性および水素化脱金属活性
等ならびにそれらの活性維持能が高いために活性劣化が
比較的早く過酷度の高い反応条件下、特に、低反応圧に
おいても長期にわたり高い脱硫率等を達成することがで
きる。
【0058】炭化水素油の水素化処理を行うにあたり、
触媒は、固定床、流動床、沸騰床または移動床のいずれ
の形式でも使用することができるが、装置面または操作
上から、通常、固定床を採用することが好ましい。ま
た、二基以上の複数基の反応塔を結合して水素化処理を
行なうことにより、高度の脱硫率等を達成することがで
きる。特に、炭化水素油が重質油である場合には、多段
反応塔を使用するのが好ましい。さらには、水素含有ガ
スと原料油が反応器内で同一方向に流れるコカレント方
式、水素含有ガスと原料油が対向流で流れるカウンター
カレント方式等のいずれの方式でも使用することができ
る。
【0059】
【実施例】次に実施例および比較例により本発明を具体
的に説明する。もっとも本発明は実施例等により何ら制
限されるものではない。なお、実施例等における「%」
はことわりのない限り重量%を示す。また、実施例およ
び比較例において用いた反応試薬剤等および無機酸化物
ゲルの有機溶媒含有率の測定方法は下記の通りである。
【0060】 (1)反応試剤等 アルミニウムイソプロポキシド Al(i-OC3H7)3 硝酸アルミニウム Al(NO3)3・9H2O 硫酸アルミニウム Al2(SO4)3・16H20 塩化アルミニウム AlCl3・6H2O アンモニウムミョウバン NH4Al(SO4)2・12H2O テトラエトキシシラン Si(OC2H5)4 水ガラス(日本工業規格(JIS)3号) SiO2=27.0%, Na20=8.1% トリエトキシボロン B(OC2H5)3 12−モリブド1−リン酸 H3(PMo12O40)・6H20 7−モリブデン酸アンモニウム (NH4)6Mo7O24・H2O 硝酸コバルト Co(NO3)2・6H2O 硝酸ニッケル Ni(NO3)2・6H2O シリカアルミナ乾燥ゲル粉末 (Condea社製 Siral20D) SiO2/Al2O3=20/80
【0061】溶液A:テトラエトキシシラン12.4g
およびヘキシレングリコール684.4gを室温で混
合。 溶液B:硝酸アルミニウム213.8gを純水175.
3gに室温で溶解。 溶液C:12−モリブド1−リン酸14.0g、硝酸コ
バルト14.6gおよび硝酸ニッケル2.4gをヘキシ
レングリコール165.4g中に投入し、室温で17時
間攪拌後に80℃で1時間攪拌し完全に溶解。 溶液D:12−モリブド1−リン酸5.89g、硝酸コ
バルト6.14gおよび硝酸ニッケル0.99gをヘキ
シレングリコール69.6g中に投入し、室温で17時
間攪拌後に80℃で1時間攪拌し完全に溶解。 溶液E:硫酸アルミニウム179.5gを純水175.
3gに室温で溶解。 溶液F:アンモニウムミョウバン258.1gを純水1
800gに35℃で溶解。 溶液G:水ガラス12.9gを純水170gに溶かした
ものをヘキシレングリコール684.4gと混合。
【0062】溶液H:12−モリブド1−リン酸5.8
9g、硝酸コバルト6.14gおよび硝酸ニッケル0.
99gをイソプロピルアルコール69.6g中に投入
し、室温で17時間攪拌後に80℃で1時間攪拌し完全
に溶解。 溶液I:硝酸アルミニウム240.1gを純水175.
3gに室温で溶解。 溶液J:塩化アルミニウム137.6gを純水175.
3gに室温で溶解。 溶液K:12−モリブド1−リン酸5.89g、硝酸コ
バルト6.14gおよび硝酸ニッケル0.99gをジエ
チレングリコール69.6g中に投入し、室温で17時
間攪拌後に80℃で1時間攪拌し完全に溶解。
【0063】(2)有機溶媒含有率の測定方法 有機溶媒含有率は下記の式により算出した。 有機溶媒含有率= X×(100/Z)×((100/(100-Y)) X:120℃で17時間乾燥後の無機酸化物ゲルの炭素
含有率(重量%) 試料を空気中において120℃で17時間乾燥し、続い
て乾燥後の試料を5mg程度はかりとり、Thermo Quest
社の有機微量元素分析装置 EA1108 の全自動モードで炭
素含有量の測定を行なった。測定は3回行ない、3回の
平均値を測定値とした。この方法により試料をダイナミ
ック閃光燃焼方法により完全に燃焼させ試料中の炭素を
CO2 に完全に変換した。続いてガスクロマトカラムを
通した後、TCD(熱伝導度検出器)でCO2を定量し
た。 Y:120℃で17時間乾燥後の無機酸化物ゲルの65
0℃5時間焼成後の灼熱減量(重量%)試料を空気中に
おいて120℃で17時間乾燥し、続いて乾燥後の試料
を空気中において650℃で5時間焼成し、灼熱減量を
測定した。 Z:合成に用いた有機溶媒の(平均)炭素含有率(重量
%) 上記の式により有機溶媒含有率の値は有機溶媒含有量を
焼成後担体重量基準で表わしたものである。
【0064】実施例1(SMUS−1) 溶液Aに対し、室温で添加期間を通じてpHが5.5〜
6.5に保たれ、添加終了時にpH6.0になるように
1時間かけて溶液Bおよびアンモニア水を添加し、添加
後も引き続き2時間攪拌してシリカ−アルミナゲルスラ
リーを調製した。ゲルスラリー中のゲルを取り出し前記
有機溶媒含有率の測定方法に従って分析したところ有機
溶媒含有率が80.2%であった。
【0065】次に、ゲルスラリーに攪拌しながら室温で
溶液Cを1時間かけて添加し、添加終了後さらに1時間
攪拌を続けた。得られたスラリーに室温で攪拌しながら
アンモニア水を添加しpH7.5に調整し、その後さら
に1時間攪拌を続けた後、90℃で17時間熟成させ
た。熟成後真空濾過によりゲルのみを取り出し、110
℃で17時間乾燥後に650℃で5時間焼成することに
より水素化処理用触媒SMUS−1を得た。SMUS−
1の化学組成は、Al2O3:58.1%、SiO2:7.2%、 MoO3:2
5.0%、 CoO:7.5%、 NiO:1.2%、P2O5:1.0%であっ
た。
【0066】実施例2(SMUS−2) ヘキシレングリコール342.3gと純水87.7gを
混合し、室温でよく攪拌しながらこれにシリカアルミナ
乾燥ゲル粉末(Condea 社製 Siral 20D SiO2/Al 203=20/8
0)34.6gを凝集しないように少しずつ添加し、添加
し終えた後も1時間攪拌を続けて半透明な溶液を得た。
この溶液を室温でよく攪拌しながらアンモニア水をpH
9.0になるように滴下してゲル化させ、その後1時間
攪拌を続けてシリカ−アルミナゲルスラリーを調製し
た。ゲルを取り出し有機溶媒含有率を測定したところ1
0.9%であった。
【0067】次に、ゲルスラリーに攪拌しながら室温で
溶液Dを1時間かけて添加し、添加終了後さらに1時間
攪拌を続けた。得られたスラリーに室温で攪拌しながら
アンモニア水を添加しpH7.5に調製し、その後さら
に1時間攪拌を続けた後、90℃で17時間熟成させ
た。熟成後真空濾過によりゲルのみを取り出し、110
℃で17時間乾燥後に650℃で5時間焼成することに
より水素化処理用触媒SMUS−2を得た。SMUS−
1の化学組成は、Al2O3:52.2%、 SiO2:13.1%、MoO3:2
5.0%、 CoO:7.5%、 NiO:1.2%、P2O5:1.0%であっ
た。
【0068】実施例3(SMUS−3) アルミニウムイソプロポキシド116.4gとヘキシレ
ングリコール684.4gを混合し、80℃で4時間攪
拌した後、テトラエトキシシラン12.4gを投入し、
さらに80℃で3時間攪拌した。80℃でこの溶液に純
水175.3mlを1ml/分の速度で滴下し加水分解
しシリカ−アルミナゲルスラリーを調製した。ゲルを取
り出し有機溶媒含有率を測定したところ12.6%であ
った。
【0069】次に、ゲルスラリーに攪拌しながら80℃
で溶液Cを1時間かけて添加し、添加終了後さらに1時
間攪拌を続けた。得られたゲルスラリーを90℃で88
時間保持して熟成させた後、真空濾過によりゲルのみを
取り出し、110℃で17時間乾燥後に650℃で5時
間焼成することにより水素化処理用触媒SMUS−3を
得た。SMUS−3の化学組成は、Al2O3:58.1%、Si
O2:7.2%、 MoO3:25.0%、 CoO:7.5%、 NiO:1.2%、P2
O5:1.0%であった。
【0070】実施例4(SMUS−4) 純水686gにヘキシレングリコール343gを加えて
得られた混合液を70℃に加熱し、これに水酸化ナトリ
ウム水溶液を添加し、pH12のアルカリ水を調製し
た。次に、このアルカリ水に硫酸アルミニウム水溶液
(硫酸アルミニウム177.6g、純水243.4g)
を加えた後、水酸化ナトリウム水溶液または硝酸水溶液
でpHを8.4〜8.8に調整し、70℃で0.5時間
熟成した。これにより、アルミナ水和物の沈殿(ゲル)
を含む水溶液が得られた。この水溶液にケイ酸ナトリウ
ム水溶液(3号水ガラス18.0g、純水72.0g)
を加え、必要に応じて硝酸水溶液を加えpHを約9と
し、70℃で0.5時間熟成した。これによりアルミナ
水和物の表面にシリカ水和物が沈着した沈殿粒子を含む
スラリー液が得られた。このスラリー液を濾過し、濾別
したケーキは濾過した後の濾液のナトリウム濃度が5p
pm以下になるまで炭酸アンモニウム水溶液で洗浄しウ
エットケーキとした。
【0071】ヘキシレングリコール684.5gと純水
175.4gを混合し、これを室温でよく攪拌しながら
上記ウエットケーキに添加し、添加し終えた後も1時間
攪拌を続けた。次に、室温でよく攪拌しながらアンモニ
ア水をpH9.0になるように滴下し、その後1時間攪
拌を続けてシリカ−アルミナゲルスラリーを調製した。
ゲルを取り出し有機溶媒含有率を測定したところ11.
0%であった。
【0072】次に、ゲルスラリーに攪拌しながら室温で
溶液Cを1時間かけて添加し、添加終了後さらに1時間
攪拌を続けた。得られたスラリーに室温で攪拌しながら
アンモニア水を添加しpH7.5に調整し、その後さら
に1時間攪拌を続けた後、90℃で17時間熟成させ
た。熟成後真空濾過によりゲルのみを取り出し、110
℃で17時間乾燥後に650℃で5時間焼成することに
より水素化処理用触媒SMUS−4を得た。SMUS−
4の化学組成は、Al2O3:58.1%、SiO2:7.2%、 MoO3:2
5.0%、 CoO:7.5%、 NiO:1.2%、P2O5:1.0%であっ
た。
【0073】実施例5(SMUS−5) 溶液Aに室温で添加期間を通じてpH5.5〜6.5に
保たれ、また、添加終了時にpH6.0になるように1
時間かけて溶液Eおよびアンモニア水を添加し、添加後
も引き続き2時間攪拌してゲルスラリーを調製した。こ
のスラリー液を真空濾過した後、濾紙上で純水で洗浄し
てウエットケーキとした。
【0074】ヘキシレングリコール684.5gと水1
75.4gを混合し、これを室温でよく攪拌しながら上
記ウエットケーキを添加し、添加し終えた後も1時間攪
拌を続けた。次に、室温でよく攪拌しながらアンモニア
水をpH9.0になるように滴下し、その後1時間攪拌
を続けてシリカ−アルミナゲルスラリーを調製した。ゲ
ルを取り出し有機溶媒含有率を測定したところ52.1
%であった。
【0075】次に、該ゲルスラリーに攪拌しながら室温
で溶液Cを1時間かけて添加し、添加終了後さらに1時
間攪拌を続けた。得られたスラリーに室温で攪拌しなが
らアンモニア水を添加しpH7.5に調整し、その後さ
らに1時間攪拌を続けた後、90℃で17時間熟成させ
た。熟成後真空濾過によりゲルのみを取り出し、110
℃で17時間乾燥後に650℃で5時間焼成することに
より水素化処理用触媒SMUS−5を得た。SMUS−
5の化学組成は、Al2O3:58.1%、SiO2:7.2%、MoO3:25.
0%、 CoO:7.5%、 NiO:1.2%、P2O5:1.0%であった。
【0076】実施例6(SMUS−6) 溶液Eの代わりに溶液Jを用い、焼成温度を650℃か
ら700℃に昇温したこと以外すべて実施例5と同様に
して水素化処理用触媒SMUS−6を得た。実施例5と
同様にして採取したゲルの有機溶媒含有率は45.7%
であった。また、水素化処理用触媒SMUS−6の化学
組成は、Al2O3:58.1%、SiO2:7.2%、 MoO3:25.0%、 C
oO:7.5%、 NiO:1.2%、P2O5:1.0%であった。
【0077】実施例7(SMUS−7) 溶液Eの代わりに溶液Fを用い、焼成温度を650℃か
ら600℃に降温させたこと以外すべて実施例5と同様
にして水素化触媒SMUS−7を得た。実施例5と同様
にしてゲルを採取し、その有機溶媒含有率を測定したと
ころ76.2%であった。また、水素化処理用触媒SM
US−7の化学組成は、Al2O3:58.1%、SiO2:7.2%、 M
oO3:25.0%、 CoO:7.5%、 NiO:1.2%、P2O5:1.0%であ
った。
【0078】実施例8(SMUS−8) 溶液Eの代わりに溶液Bを、また溶液Aの代わりに溶液
Gを用いたこと以外すべて実施例5と同様にして水素化
処理用触媒SMUS−8を得た。実施例5と同様にして
採取したゲルの有機溶媒含有率は58.6%であった。
また、水素化処理用触媒SMUS−8の化学組成は、Al
2O3:58.1%、 SiO2:7.2%、MoO3:25.0%、 CoO:7.5%、
NiO:1.2%、P2O5:1.0%であった。
【0079】実施例9(SMUS−9) アルミニウムイソプロポキシド116.4gを124.
2gに増量し、テトラエトキシシラン12.4gの代わ
りにトリエトキシボロン3.42gを用いたこと以外す
べて実施例3と同様にして水素化処理用触媒SMUS−
9を得た。実施例3と同様にして採取したボリア−アル
ミナゲルの有機溶媒含有率は13.1%であった。ま
た、水素化処理用触媒SMUS−9の化学組成は、B
2O3:3.3%、 Al2O3:62.0%、 MoO3:25.0%、 CoO:7.5
%、 NiO:1.2%であった。
【0080】実施例10(SMUS−10) エチレングリコール342.3gと純水87.7gを混
合し、これを室温でよく攪拌しながらシリカアルミナ乾
燥ゲル粉末(Condea 社製 Siral 20D SiO2/Al2O3=20/8
0)34.6gを凝集しないように少しずつ添加し、添
加し終えた後も1時間攪拌を続けて半透明な溶液を得
た。ゲルの有機溶媒含有率は9.7%であった。
【0081】次に、ゲルスラリーに攪拌しながら室温で
溶液Dを1時間かけて添加し、添加終了後さらに1時間
攪拌を続けた。得られたスラリーを90℃で17時間熟
成させた後、ロータリーエバポレータで110℃で3時
間半溶媒を除去した。110℃で17時間乾燥後に65
0℃で5時間焼成することにより水素化処理用触媒SM
US−10を得た。SMUS−10の化学組成は、Al2O
3:52.2%、SiO2:13.1%、 MoO3:25.0%、 CoO:7.5%、
NiO:1.2%、P2O5:1.0%であった。
【0082】実施例11(SMUS−11) シリカアルミナ乾燥ゲル粉末(Condea 社製 Siral 20D
SiO2/Al2O3=20/80)34.6gにヘキシレングリコール
17.3gおよび純水17.3gを加え、ニーダーで9
0℃に加熱しながら1時間混練した。得られた混練物か
らゲルを採取し、有機溶媒含有率を測定したところ1
0.0%であった。混練物にさらに溶液Dを加えて90
℃で1時間混練した後押し出し、650℃で5時間焼成
することにより水素化処理用触媒SMUS−11を得
た。SMUS−11の化学組成は、 Al2O3:52.2%、SiO
2:13.1%、 MoO3:25.0%、 CoO:7.5%、 NiO:1.2%、P2
O5:1.0%であった。
【0083】実施例12(SMUS−12) シリカアルミナ乾燥ゲル粉末(Condea 社製 Siral 20D
SiO2/Al2O3=20/80)34.6gにジエチレングリコール
17.3gおよび純水17.3gを加え、ニーダーで9
0℃に加熱しながら1時間混練した。混練物から採取し
たゲルの有機溶媒含有率は11.0%であった。さらに
溶液Kを加えて90℃で1時間混練した後、押し出し、
650℃で5時間焼成することにより水素化処理用触媒
SMUS−12を得た。SMUS−12の化学組成は、
Al2O3:52.2%、 SiO2:13.1%、 MoO3:25.0%、 CoO:7.5
%、 NiO:1.2%、P2O5:1.0%であった。
【0084】実施例13(SMUS−13) 溶液Aに室温で添加期間を通じてpHが5.5〜6.5
に保たれ、また、添加終了時にpH6.0になるように
1時間かけて溶液Bおよびアンモニア水を添加し、添加
後も引き続き2時間攪拌してゲルスラリーを調製した。
得られたゲルスラリー液から採取したゲルの有機溶媒含
有率は78.7%であった。このスラリー液を真空濾過
してゲルウエットケーキとした。
【0085】次に、上記ウエットケーキに溶液Cを加
え、ニーダーで90℃に加熱しながら1時間混練した後
押し出し、650℃で5時間焼成することにより水素化
処理用触媒SMUS−13を得た。SMUS−13の化
学組成は、Al2O3:58.1%、SiO2:7.2%、 MoO3:25.0%、
CoO:7.5%、 NiO:1.2%、P2O5:1.0%であった。
【0086】実施例14(SMUS−14) ヘキシレングリコール342.3gと純水87.7gを
混合し、これを室温でよく攪拌しながらアルミナ乾燥ゲ
ル粉末(Condea 社製 Disperal P2)22.5gを凝集し
ないように少しずつ添加し、添加し終えた後も1時間攪
拌を続けて半透明な溶液を得た。この溶液を室温でよく
攪拌しながらアンモニア水をpH9.0になるように滴
下してゲル化させ、その後1時間攪拌を続けてアルミナ
ゲルスラリーを調製した。ここでゲルスラリーから採取
したゲルの有機溶媒含有率は12.6%であった。
【0087】次に、上記ゲルスラリーに攪拌しながら室
温で溶液Dを1時間かけて添加し、添加終了後さらに1
時間攪拌を続けた。得られたスラリーに室温で攪拌しな
がらアンモニア水を添加しpH7.5に調整し、その後
さらに1時間攪拌を続けた後、90℃で17時間熟成さ
せた。熟成後真空濾過によりゲルのみを取り出し、11
0℃で17時間乾燥後に650℃で5時間焼成すること
により水素化処理用触媒SMUS−14を得た。SMU
S−14の化学組成は、Al2O3:65.3%、 MoO3:25.0%、
CoO:7.5%、 NiO:1.2%、P2O5:1.0%であった。
【0088】実施例15(SMUS−15) ヘキシレングリコール684.4gに室温で添加期間を
通じてpHが5.5〜6.5に保たれ、また、添加終了
時にpH6.0になるように1時間かけて溶液Iおよび
アンモニア水を添加し、添加後も引き続き2時間攪拌し
てアルミナゲルスラリーを調製した。ゲルスラリーから
採取したゲルの有機溶媒含有率は80.2%であった。
【0089】次に、上記ゲルスラリーに攪拌しながら室
温で溶液Cを1時間かけて添加し、添加終了後さらに1
時間攪拌を続けた。得られたスラリーに室温で攪拌しな
がらアンモニア水を添加しpH7.5に調整し、その後
さらに1時間攪拌を続けた後、90℃で17時間熟成さ
せた。熟成後真空濾過によりゲルのみを取り出し、11
0℃で17時間乾燥後に650℃で5時間焼成すること
により水素化処理用触媒SMUS−15を得た。SMU
S−15の化学組成は、Al2O3:65.3%、 MoO3:25.0%、
CoO:7.5%、 NiO:1.2%、P2O5:1.0%であった。
【0090】実施例16(SMUS−16) ヘキシレングリコールを342.3gの代わりに43.
0g、純水を87.7gの代わりに387.0gを用い
たこと以外にはすべて実施例2と同様にして水素化処理
用触媒SMUS−16を得た。SMUS−16の化学組
成は、 Al2O3:52.2%、 SiO2:13.1%、 MoO3:25.0%、
CoO:7.5%、 NiO:1.2%、P2O5:1.0%であった。またこ
の触媒の合成途中に抜き出したシリカ−アルミナゲルの
有機溶媒含有率は5.8%であった。
【0091】実施例17(SMUS−17) ヘキシレングリコールを342.3gの代わりに10.
7g、純水を87.7gの代わりに204.3gを用い
たこと以外にはすべて実施例2と同様にして水素化処理
用触媒SMUS−17を得た。SMUS−17の化学組
成は、 Al2O3:52.2%、SiO2:13.1%、 MoO3:25.0%、 C
oO:7.5%、 NiO:1.2%、P2O5:1.0%であった。またこの
触媒の合成途中に抜き出したシリカ−アルミナゲルの有
機溶媒含有率は4.0%であった。
【0092】比較例1(水素化処理用触媒a) 純水430.0gによく攪拌しながらシリカアルミナ乾
燥ゲル粉末(Condea 社製 Siral 20D SiO2/Al2O3=20/8
0)34.6gを凝集しないように少しずつ添加し、添
加し終えた後も1時間攪拌を続けて半透明な溶液を得
た。この溶液を室温でよく攪拌しながらアンモニア水を
pH9.0になるように滴下してゲル化させ、その後1
時間攪拌を続けてゲルスラリーを調製した。採取したゲ
ルの有機溶媒含有率は0%であった。
【0093】次に、上記ゲルスラリーに攪拌しながら室
温で溶液Dを1時間かけて添加し、添加終了後さらに1
時間攪拌を続けた。得られたスラリーに室温で攪拌しな
がらアンモニア水を添加しpH7.5に調整し、その後
さらに1時間攪拌を続けた後、90℃で17時間熟成さ
せた。熟成後真空濾過によりゲルのみを取り出し、11
0℃で17時間乾燥後に650℃で5時間焼成すること
により水素化処理用触媒aを得た。水素化処理用触媒a
の化学組成は、 Al2O3:52.2 %、SiO2:13.1%、MoO3:25.
0 %、CoO:7.5 、NiO:1.2 %、P2O5:1.0%であった。
【0094】比較例2(水素化処理用触媒b) 純水686gを70℃に加熱し、これに水酸化ナトリウ
ム水溶液を添加し、pH12のアルカリ水を調製した。
次に、このアルカリ水に硫酸アルミニウム水溶液(硫酸
アルミニウム177.6g、純水243.4g)を加え
た後、水酸化ナトリウム水溶液または硝酸水溶液でpH
を8.4〜8.8に調整し、70℃で0.5時間熟成し
た。これにより、アルミナ水和物の沈殿(ゲル)を含む
水溶液が得られた。この水溶液にケイ酸ナトリウム水溶
液(3号水ガラス13.0g、純水72.0g)を加
え、必要に応じて硝酸水溶液を加えpHを約9とし、7
0℃で0.5時間熟成した。これによりアルミナ水和物
の表面にシリカ水和物が沈着した沈殿粒子を含むスラリ
ー液が得られた。このスラリー液を濾過し、濾別したケ
ーキは濾過した後の濾液のナトリウム濃度が5ppm以
下になるまで炭酸アンモニウム水溶液で洗浄し無機酸化
物ウエットケーキとした。
【0095】ヘキシレングリコール684.5gと純水
175.4gを混合し、これを室温でよく攪拌しながら
上記ウエットケーキに添加し、添加し終えた後も1時間
攪拌を続けてゲルスラリーを調製した。ゲルを採取し、
有機溶媒含有率を測定したところ0%であった。
【0096】次に、上記ゲルスラリーに攪拌しながら室
温で溶液Cを1時間かけて添加し、添加終了後さらに1
時間攪拌を続けた。得られたスラリーに室温で攪拌しな
がらアンモニア水を添加しpH7.5に調整し、その後
さらに1時間攪拌を続けた後、90℃で17時間熟成さ
せた。熟成後真空濾過によりゲルのみを取り出し、11
0℃で17時間乾燥後に650℃で5時間焼成すること
により水素化処理用触媒bを得た。水素化処理用触媒b
の化学組成は、Al2O3:58.1%、SiO2:7.2%、 MoO3:25.0
%、 CoO:7.5%、 NiO:1.2%、P2O5:1.0%であった。
【0097】比較例3(水素化処理用触媒c) 二段階合成法の従来法で製造された市販の脱硫触媒を触
媒cとした。水素化処理用触媒cの化学組成は、Al2O3:
70.3%、SiO2:4.8%、 MoO3:19.9%、 CoO:5.0%であっ
た。
【0098】触媒活性評価 前記実施例および比較例で得られた各触媒について以下
の方法で水素化処理による評価試験を行なった。評価結
果を表1にまとめて記す。 (1)触媒成形 次の方法で成形し、触媒活性評価を行なった。まず、φ
20mm錠剤成形器を用いて2トン/cm2 で圧粉成形
し、圧粉体を得た。圧粉体をアルミナ製乳鉢で粉砕し、
500μmのふるいでふるい分けして通過し、250μ
mのふるいでふるい分けして残留したものを触媒活性評
価に供した。
【0099】(2)中東系軽質軽油(LGO−D)によ
る脱硫(HDS)活性評価 試験油性状、反応装置および反応条件を表2に示す。操
作は次の手順で行なった。4.6gの触媒を反応器に充
填した後、5% H2S/H2ガスを200cc/分の流量で
反応器に流し、以下の温度プログラムで硫化した。室温
から30分かけて200℃まで昇温し、同温度で30分
間保持した後、さらに340℃まで30分かけて昇温
し、同温度で2時間保持した。その後、30分間で20
0℃に降温した。硫化後、170℃になった時点でLG
O−Dを導入し、25cc程度流した。導入完了後、反
応圧力に昇圧し、その後30分かけて320℃まで昇温
し水素化脱硫反応(HDS)を行なった。
【0100】LGO−D導入後70時間後のプロダクト
中の硫黄濃度を測定しHDS活性を求めた。HDS活性
は以下の式により算出した。 (HDS活性)=(触媒重量あたりの液空間速度)×
[1/S0.5-1/So0.5] 上記式中のSはプロダクト中の硫黄濃度、Soは原料油中
の硫黄濃度を示す。さらに下式により水素化処理用触媒
cを基準とした相対活性を算出した。 相対活性=100×(HDS活性)/(触媒cのHDS
活性) 表1に各触媒の相対活性をまとめたものを示す。
【0101】
【表1】
【0102】
【表2】
【0103】
【発明の効果】以上説明したように、特定の有機溶媒を
含有する膨潤無機酸化ゲルを用いることにより、活性金
属成分が強固に担持され、かつ、分散性が高く、炭化水
素油の脱硫および脱窒素反応において高活性および高活
性維持能を有する水素化処理用触媒の製造方法を提供す
ることができる。また、本発明の水素化処理用触媒の製
造方法は、低コストの原材料で広範囲の反応試剤の使用
が可能となったため触媒の商業的生産にとっても極めて
有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 礒田 武志 埼玉県入間郡大井町西鶴ヶ岡一丁目3番1 号 東燃ゼネラル石油株式会社総合研究所 内 Fターム(参考) 4G069 AA03 AA08 BA03B BA21A BA38 BC57A BC59B BC65A BC67B BC68B BC69A BD07B CC02 DA06 EA01Y FB06 FB30 FB57 4H029 CA00 DA00

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 耐火性無機酸化物担体上に活性金属
    成分を担持させた水素化処理用触媒を製造する方法にお
    いて、次の工程(a)および(b): (a)該担体成分の前駆体であって、有機溶媒含有率が
    1重量%以上の膨潤無機酸化物ゲルを周期表第6A族金
    属の化合物および同表第8族金属の化合物からなる群よ
    り選択される少なくとも一種の活性金属成分と接触させ
    る工程。 (b)工程(a)にて得られた活性金属成分を担持させ
    た膨潤無機酸化物ゲルを乾燥、成形および焼成処理に供
    する工程。 を含むことを特徴とする炭化水素油の水素化処理用触媒
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 耐火性無機酸化物担体上に活性金属
    成分を担持させた水素化処理用触媒の製造において、活
    性金属成分の担持工程で用いられる担体成分前駆体であ
    って、1重量%以上の有機溶媒を含有することを特徴と
    する膨潤無機酸化物ゲル。
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