JP2002118330A - 半導体発光素子 - Google Patents

半導体発光素子

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JP2002118330A
JP2002118330A JP2000311904A JP2000311904A JP2002118330A JP 2002118330 A JP2002118330 A JP 2002118330A JP 2000311904 A JP2000311904 A JP 2000311904A JP 2000311904 A JP2000311904 A JP 2000311904A JP 2002118330 A JP2002118330 A JP 2002118330A
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Akihiro Ito
彰浩 伊藤
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Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 六方晶系のZnO 系材料を用いて環境に配慮し
た、緑色から紫外の広い領域光の半導体発光素子を得
る。 【解決手段】 活性層101が少なくともZn元素とO 元
素を含み、かつ、活性層101がさらにS,Se,Te のうち
少なくとも1種以上の元素を含み、クラッド層102、
103の少なくとも1つがZn元素とO 元素を含み、か
つ、活性層101、クラッド層102、103の結晶系
が六方晶系である。六方晶ZnO は、励起子結合エネルギ
ーが大きいため、室温においても高密度の励起子が存在
するので高い発光効率が見込める。発光層は、六方晶Zn
O を主体にした六方晶Zn(Ox )(X=S,Se,Te)の組成である
ので、同様に、高い発光効率が見込める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体発光素子に
関し、特に、II−VI族化合物半導体を用いた半導体発光
素子に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、半導体発光素子は例えば、II−VI
族化合物半導体を用いて構成される。近年、青色から紫
外領域の発光素子として、GaN 系が実用化されてきてい
る。最近、バンドギャップエネルギーがGaN に近く、励
起子の結合エネルギーが極めて大きい六方晶のZnO が、
青色から紫外領域のより高効率のレーザーダイオードを
実現できる可能性のある材料として注目されてきている
(「特許第2996928号」)。
【0003】ZnO のバンドギャップエネルギーは、3.2e
V である。発光素子として利用する場合、必要な発光波
長を得るため、バンドギャップを大きく、または、小さ
くするバンドギャップ制御技術が必要となる。このエネ
ルギーバンドギャップ制御技術として、ZnO にMgO やCd
O を固溶させ、MgZnO としてワイドギャップ化し、CdZn
O としてナローギャップ化する方法が開示されている
(桜井他, 第58回応用物理学会学術講演会講演予稿
集, pp281(1997) )。
【0004】先願発明例1(「特許第2996928
号」)の「光半導体素子及びその製法方法」は、ZnO か
らなる薄膜を発光層とし、この薄膜に存在する粒界を共
振器とし、室温での励起子によるレーザー発振を可能に
する。本構成により、Nd:YAG1/3 波長レーザー光を励起
光とし、3.15〜3.2eV の領域の発光波長においてレーザ
ー発振する例が示されている。
【0005】先願発明例2(「特開平9−16250
0」)の「半導体発光素子」は、Zn,Mg,Cd,Hg,Beのうち
少なくとも1種の元素と、Se,S,Te,O のうち少なくとも
1種の元素とからなるII−VI族化合物半導体を用いた半
導体発光素子において、活性層の格子定数が基板の格子
定数とほぼ一致している半導体発光素子を開示してい
る。
【0006】先願発明例3(「特開平11−15033
7」)の「半導体発光素子及び光装置」は、Zn,Mg,Cd,B
e,Mn,Hg のうち少なくとも1種の元素と、O,S,Se,Te の
うち少なくとも1種の元素とからなるII−VI族化合物半
導体よりそれぞれなる第1導電型クラッド層、活性層、
第2導電型クラッド層を有する半導体発光素子におい
て、活性層が少なくともO 元素を含むII−VI族化合物半
導体からなる。このII−VI族化合物半導体材料にO 元素
を添加することにより、活性層のワイドギャップ化と基
板との格子整合を両立させる。基板としては、GaAs,In
P,GaPとSiC を用いる例が挙げられている。
【0007】先願発明例4(「特許第2564024
号」)の「化合物半導体発光素子」は、基板上に形成さ
れた複数のエピタキシャル成長層で構成される化合物半
導体発光素子において、基板がZnS であり、この基板上
にZnS1-x Ox 緩衝層を介して形成されたZnO 上に、Ga
1-y Iny N 層を堆積した構成からなる化合物半導体発光
素子である。本先願発明例4は、InGaN と格子整合性の
よいZnO をエピタキシャル成長時の下地材料として用い
る方法を開示している。また、MBE 法によるこれらの素
子の作製方法も開示されている。
【0008】先願発明例5(「特許第2593960
号」)の「化合物半導体発光素子とその製造方法」は、
基板上に形成された複数のエピタキシャル成長層で構成
される化合物半導体発光素子において、基板がZnS,ZnSe
であり、この基板上にZnS1-x O x 又はZnS1-xSex からな
る緩衝層を介して形成されたZnO 上に、Ga1-y Iny N 層
又はAl1-y Iny N 層からなる発光層を堆積した構成から
なる化合物半導体発光素子が開示されている。また、MB
E 法によるこれらの素子の作製方法も開示されている。
なお、InGaN ,AlInNと基板との格子整合を良好にするた
め、緩衝層を設ける。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のZnCdSeなどのII−VI族化合物半導体を活性層に用い
た半導体発光素子は、基板と活性層との格子不整合によ
り発光強度が低下し、かつ、転移密度が増大し素子の劣
化をまねくという問題点を伴う。
【0010】また上記従来のワイドギャップ化の方法
は、可視光の発光を得るためにCd元素を利用するので、
環境上好ましくない。一方、従来のZnCdSeなどのII−VI
族化合物半導体を活性層に用いた半導体発光素子の、活
性層のワイドギャップ化と基板との格子整合を両立させ
る方法として、II−VI族化合物半導体材料にO 元素を添
加することにより、バンドギャップと格子定数を広く変
化させる方法が開示されている(「特開平9−1625
00」、「特開平11−150337」)。
【0011】これらの従来例で具体的にあげられている
材料は、クラッド層としてZnMgSSe,ZnBeSSe,ZnBeSe,ZnB
eS が示され, 活性層としてZnSSe,ZnSe,ZnSが示されて
いる。基板として主に立方晶系のジンクブレンド構造Ga
As,InP,GaP,ZnSe が挙げられている。
【0012】これらの方法は、従来の立方晶系のII−VI
族化合物半導体を用いた半導体発光素子の改良には適用
できるが、六方晶系のZnO 系を利用する発光素子に直接
には適用できない。
【0013】本発明は、励起子の結合エネルギーが極め
て大きいため高効率が望める六方晶系のZnO 系材料を用
いて環境に配慮した、緑色から紫外の広い領域光の半導
体発光素子を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
め、請求項1記載の半導体発光素子は、II−VI族化合物
半導体を用いた活性層及び該II−VI族化合物半導体を用
いた1つ又は2つのクラッド層を有する半導体発光素子
において、活性層が少なくともZn元素とO 元素を含み、
かつ、活性層がさらにS,Se,Te のうち少なくとも1種以
上の元素を含み、クラッド層の少なくとも1つがZn元素
とO 元素を含み、かつ、活性層、クラッド層の結晶系が
六方晶系であることを特徴としている。
【0015】請求項2記載の発明は、請求項1に記載の
の半導体発光素子において、クラッド層のうち少なくと
も1つ又は活性層がMg,Mn のうち少なくとも1種の元素
を含むことを特徴とする。
【0016】請求項3記載の発明は、請求項1または2
に記載の半導体発光素子において、クラッド層の1つ以
上又は活性層がN 元素を含むことを特徴とする。
【0017】請求項4記載の発明は、請求項1から3の
いずれかに記載の半導体発光素子において、活性層及び
クラッド層がAl2O3 基板上に設けられていることを特徴
とする。
【0018】請求項5記載の発明は、請求項1から3の
いずれかに記載の半導体発光素子において、活性層及び
クラッド層が六方晶構造をもち、格子定数が a=2.7〜5.
2 Åである基板上に設けられていることを特徴とする。
【0019】請求項6記載の発明は、請求項5に記載の
半導体発光素子において、基板が、ZnO,SiC のいずれか
であることを特徴とする。
【0020】請求項7記載の発明は、請求項1から6の
いずれかに記載の半導体発光素子において、基板とクラ
ッド層の間に格子の不整合を緩和する緩衝層を設けたこ
とを特徴とする。
【0021】請求項8記載の発明は、請求項7に記載の
半導体発光素子において、緩衝層がZn元素とO,S,Se,Te
のいずれか1種以上の元素化合物から成ることを特徴と
する。
【0022】
【発明の実施の形態】次に添付図面を参照して本発明に
よる半導体発光素子の実施の形態を詳細に説明する。図
1から図8を参照すると本発明の半導体発光素子の一実
施形態が示されている。
【0023】(構成例1)II−VI族化合物半導体を用い
た活性層及びII−VI族化合物半導体を用いた1つ又は2
つのクラッド層を有する半導体発光素子において、前記
活性層が少なくともZn元素とO 元素を含み、かつ、S,S
e,Te のうち少なくとも1種以上の元素を含み、該クラ
ッド層の少なくとも1つがZn元素とO 元素を含み、か
つ、該活性層、このクラッド層の結晶系が六方晶系であ
る。
【0024】六方晶ZnO は、励起子結合エネルギーが大
きいため室温においても高密度の励起子が存在するので
高い発光効率が見込める(前掲「特許第2996928
号」)。本発明の発光層は、六方晶ZnO を主体にした六
方晶Zn(OX) (X=S,Se,Te)の組成であるので、同様に、高
い発光効率が見込める。
【0025】本発明の半導体発光素子は、活性層、クラ
ッド層を有するすべての半導体レーザー素子及び発光ダ
イオード素子に関わる。構成例をあげれば、シングルヘ
テロ接合型、ダブルヘテロ接合型、分離閉じ込めヘテロ
接合(SCH) 型、多重量子井戸構造型があげられるがこれ
らに限定するものではない。
【0026】ダブルヘテロ接合型で、図1に本発明の基
本構成を示す。活性層101の材料として例をあげれ
ば、六方晶のZn(OS),Zn(OSe),Zn(OTe),Zn(OSSe),Zn(OSe
Te),Zn(OSTe)などがあげられる。
【0027】n型クラッド層102の材料として例をあ
げれば、六方晶のZnO,Zn(OS),Zn(OSe),Zn(OTe),Zn(OSS
e),Zn(OSeTe),Zn(OSTe)などがあげられる。
【0028】p型クラッド層103とn型クラッド層1
02の間に電圧を印加し、p型クラッド層103とn型
クラッド層102の間に設ける活性層101に正孔と電
子が注入・閉じ込められ発光が起こる。発光した光は、
活性層に閉じ込められ導波される。半導体レーザー素子
の場合は、さらに端面反射等による光共振器構造をとる
ことによりこの導波光が増幅される。このため、n型ク
ラッド層102のバンドギャップは活性層101のバン
ドギャップより大きくする必要がある。さらに、p型ク
ラッド層103の屈折率は活性層101の屈折率より小
さくする必要がある。この条件を便宜上以下ではレーザ
ー層構成の条件と呼ぶ。
【0029】なお、便宜上以下ではSCH 型及び量子井戸
構造型半導体レーザー素子のウェル層を活性層と呼び、
バリア層、ガイド層、クラッド層をクラッド層と呼ぶ。
ZnOとZnS,ZnSe,ZnTe との混晶である六方晶系のZnO 系
材料で、上記レーザー層構成の条件を満足させる活性層
とクラッド層の構成を検討する。ZnをII族元素とする六
方晶系II−VI族化合物半導体の格子定数、バンドギャッ
プ、屈折率の値を表1に示す。さらに、図3に示すよう
に、これらの化合物半導体の混晶の前記物性を把握する
ため、各化合物半導体の物性値のプロット間を直線で結
んでいる。各II−VI族化合物半導体の間の物性は、これ
らのII−VI族化合物半導体の混晶により得られる。これ
らの検討により、格子整合が得られ、上記条件を満たす
可能性のある材料の組み合わせ例として、以下のような
ものがあげられる。
【0030】 Zn(OTe) (活性層)−Zn(OSe)(クラッド層) 、 Zn(OSTe)(活性層)−Zn(OSSe)( クラッド層) 、 Zn(OSeTe) (活性層)−Zn(OSeTe)(クラッド層) :活性
層のTe含有量がクラッド層のTe含有量より多い。
【0031】歪量子井戸構造型発光層を形成する場合
は、活性層の格子が破壊されない程度まで格子定数の不
整合が許容されるので、材料の組み合わせの選択範囲は
さらに広まる。
【0032】
【表1】
【0033】(構成例2)上記クラッド層のうち少なく
とも1つ又は活性層がMg,Mn のうち少なくとも1種の元
素を含むことを特徴とする構成例1の半導体発光素子Zn
O は、Mgを添加することにより、エピタキシャル膜の六
方晶系Mgx Zn1-x O がx=0 〜0.36の範囲で得られる。Mg
の添加量の増加とともにバンドギャップが3.2 〜4.0eV
に増加する(桜井他、第58回応用物理学会学術講演会
講演予稿集、pp281(1997) )。また、Mgの添加量の増加
とともに屈折率が減少する。ZnO はMnを添加することに
より、高配向膜の六方晶系Mny Zn1-y O がy=0 〜0.35の
範囲で得られる。Mgの添加量の増加とともにバンドギャ
ップが3.2 〜3.75eVに増加する(T.Fukumura et al.,App
l. Phys. Lett.,3366(1999)) 。
【0034】よって、本構成例2の具体例をあげれば、
六方晶系の(MgZn)O, (MgZn)(OS), (MgZn)(OSe), (MgZn)
(OTe), (MgZn)(OSSe), (MgZn)(OSeTe), (MgZn)(OSTe),
(MnZn)O, (MnZn)(OS), (MnZn)(OSe), (MnZn)(OTe), (Mn
Zn)(OSSe), (MnZn)(OSeTe),(MnZn)(OSTe), などがあげ
られる。
【0035】これらの多元系の膜を本発明のクラッド
層、活性層に使用すれば、レーザー層構成の材料の組み
合わせの選択範囲が広くなる。よって、本動作例の膜
は、複雑なレーザー層構成の量子井戸構造型半導体レー
ザー素子などに使用するのに適している。
【0036】量子井戸構造型半導体レーザー素子の場合
は、下記である必要がある。 バンドギャップが、クラッド層>ガイド層>ウェル層 屈折率が、 クラッド層<ガイド層<ウェル層 格子定数が、 クラッド層=ガイド層(=or≠)ウェル層 格子定数がガイド層≠ウェル層の場合は、歪量子井戸構
造型半導体レーザー素子の場合である。
【0037】本発明の多元系の材料での構成例を示す。 (MgZn)(OSe) クラッド層−(MgZn)(OSe) ガイド層−Zn(OTe) ウェル層 (MgZn)(OSe) クラッド層−(MgZn)(OSe) ガイド層−Zn(OSe) ウェル層 (MgZn)(OSe) クラッド層−Zn(OSe) ガイド層−Zn(OTe) ウェル層 (MnZn)(OSe) クラッド層−(MnZn)(OSe) ガイド層−Zn(OTe) ウェル層 (MnZn)(OSe) クラッド層−(MnZn)(OSe) ガイド層−Zn(OSe) ウェル層 (MnZn)(OSe) クラッド層−Zn(OSe) ガイド層−Zn(OTe) ウェル層
【0038】このように、上記クラッド層と活性層にM
g,Mn の元素を含めば、材料の物性値の制御がより容易
になり、複雑な高性能発光素子の作製が可能になる。
【0039】(構成例3)上記構成例1または2におい
て、さらに、クラッド層の1つ以上又は活性層がN 元素
を含む。
【0040】ノンドープZnO は、酸素空孔が存在するた
めn型伝導を示す。さらにB,Al,Ga,In,Si,F をドナーと
してドーピングすることによりn型の伝導性を制御する
ことができる。
【0041】p型のZnO を得るため、Li,Ag,Cuをアクセ
プターとしてドーピングする方法が試みられているが実
現されていない。近年、ZnO にN + インプランテーショ
ンを行う方法やCVD 法によるZnO 膜の成長時NH3 ガスを
添加する方法によりN をドーピングすることによりp型
のZnO が実現されてきている(K.Yano et al.,Jpn. J.Ap
pl.Phys.,L1453(1997)) 。上記ドーピング手法を利用す
れば、n型クラッド層及びp型クラッド層が作製でき
る。
【0042】(構成例4)上記の構成例1、2、3のい
ずれかにおいて、さらに、活性層及びクラッド層がα-A
l2O3基板上に設けられている。
【0043】α-Al2O3(サファイア)の(0001)面の原子
配置が六方晶の(0001)面の原子配置と整合するため、α
-Al2O3(サファイア)の(0001)面はa 軸が2.75Åの六方
晶系基板と同等の役割をはたす。
【0044】この例として、MgO 緩衝層を介することに
α-Al2O3(サファイア)の(0001)面上でZnO をエピタキ
シャル成長させた報告がある(T.Yao, et al., Appl. Ph
ys.Lett., 559(2000)) 。
【0045】(0001)鏡面研磨α-Al2O3(サファイア)
は、上記のようにZnO 系のエピタキシャル成長用の基板
として使用可能であり、比較的安価に入手できることか
ら、本発明の素子の基板として適している。
【0046】(構成例5)上記構成例1、2、3のいず
れかにおいて、さらに、活性層及びクラッド層が六方晶
構造をもち格子定数a=2.7 〜5.2 Åである基板上に設け
られている。
【0047】上記の[表1]に示したように、本構成例
5の活性層材料の格子定数の範囲は、a=3.2 〜4.7 Åで
ある。一方、前述のように格子不整合が18%であるα-A
l2O3(サファイア)の(0001)面上でのZnO のエピタキシ
ャル成長が可能であることからも判るとおり、本構成例
5で使用できる基板の格子定数は、a=2.7 〜5.2 Åの範
囲内である。
【0048】(構成例6)上記構成例5において、さら
に、基板が、ZnO,SiC のいずれかであるとする。構成例
5の条件を満たす基板の具体的材料として、ZnO (六方
晶ウルツアイト構造 a=3.24Å) 、α-SiC(六方晶ウル
ツアイト構造 a=3.08Å) があげられる。
【0049】(構成例7)上記の構成例1から6のいず
れかにおいて、さらに、基板204とクラッド層の間に
格子の不整合を緩和する緩衝層を設ける。
【0050】上記基板材料と活性層201及びクラッド
層の格子不整合を緩和するため、基板204の格子定数
と活性層201及びクラッド層の格子定数の間の格子定
数をもつ緩衝層205を基板とクラッド層の間に設ける
場合がある。ダブルヘテロ接合型で図2に本構成例の基
本構成を示す。
【0051】(構成例8)上記構成例7において、さら
に、緩衝層205がZn元素とO,S,Se,Te のいずれか1種
以上の元素からなる化合物からなる。
【0052】例として、六方晶系のZnO,Zn(OS),Zn(OS
e),Zn(OTe),Zn(OSSe),Zn(OSeTe),Zn(OSTe),Zn(SSe),Zn
(SeTe),Zn(STe) などがあげられる。さらには、基板2
04からクラッド層202、203に向かって、これら
の緩衝層205の組成を傾斜させて設ける場合もある。
【0053】(実施例1)(0001) 鏡面研磨α-Al2O
3((株)信光社 製)(六方晶換算では2.75Å相当)
を有機洗浄を行ったのち、H2SO4:H3PO4=3:1 を中160 ℃
でエッチングを行う。この基板をMBE 装置に設置する。
1 ×10-8Paの背圧下、基板温度400 ℃に保つ。
【0054】Zn溶融セルからZnを分子線強度 1×10-4Pa
で、Se溶融セルからSeを分子線強度2×10-5Paで、O2
ス導入ラインからO 分子線強度 1×10-6Paで、この成長
過程により膜厚50nmでZn(OSe) の緩衝層をエピタキシャ
ル成長させる。この緩衝層205は、六方晶であり格子
定数a=3.3 Åである。
【0055】Zn溶融セルからZnを分子線強度 1×10-4Pa
で、Se溶融セルからSeを分子線強度8×10-5Paで、O2
ス導入ラインからO 分子線強度 1×10-6Paで、Al(CH3)3
導入ラインからAlを分子線強度 1×10-7Paで導入する。
この成長過程により膜厚500nm でZn(OSe): Al のn型ク
ラッド層をエピタキシャル成長させる。このn型クラッ
ド層は、六方晶であり格子定数a=3.4 Åである。
【0056】次に、Znを分子線強度 1×10-4Paで、Te溶
融セルからTeを分子線強度 8×10-5Paで、O 分子線強度
1×10-6Paで、Al(CH3)3導入ラインからAlを分子線強度
1×10-7Paで導入する。この成長過程により膜厚400nm
でZn(OTe): Al のn 型活性層をエピタキシャル成長させ
る。このn 型活性層は、六方晶であり格子定数a=3.4Å
である。
【0057】次に、Znを分子線強度 1×10-4Paで、Seを
分子線強度 8×10-5Paで、O 分子線強度 1×10-6Paで、
NH3 導入ラインからN を分子線強度 1×10-6Paで、H2
入ラインからH を 1×10-5Paで導入する。この成長過程
により膜厚400nm でZn(OSe):Nのp型クラッド層をエピ
タキシャル成長させる。このp型クラッド層は、六方晶
であり格子定数 a=3.4Åである。
【0058】次に、Znを分子線強度 1×10-4Paで、Seを
分子線強度 8×10-5Paで、NH3 導入ラインからN を分子
線強度 1×10-5Paで、H2導入ラインからH を 1×10-5Pa
で導入する。この成長過程で膜厚200nm でZnSe: N のp
型コンタクト層をエピタキシャル成長させる。
【0059】次にレーザー素子加工プロセスを行う。試
料をプラズマCVD 装置にセットし、膜厚200nm でSiO2
を積層する。BHF エッチング工程により、このSiO2膜に
幅10μm のストライプ状の溝を形成するとともに、この
幅10μm のストライプ状の溝を中心に幅100 μm のSiO2
膜を残す。この試料にレジスト塗布を行った後、このSi
O2膜のストライプ状の溝に整合し、レジストの溝を形成
する。
【0060】次に、試料を蒸着器にセットし、Pd/Pt/Au
膜を順次積層しp-電極膜を形成する。リフトオフ法によ
り、幅10μm のp型電極を形成する。次に、試料をドラ
イエッチング装置にセットし、Cl2 ガスを用いて、SiO2
膜のストライプの溝を中心に幅100 μm のストライプを
残しn型クラッド層と活性層の界面から100nm の深さま
でエッチングする。試料にレジスト塗布を行った後、ド
ライエッチングしたn型クラッド層表面に幅40μm のス
トライプ状の溝を形成する。試料を蒸着装置にセット
し、In膜を蒸着したのち、リフトオフ法により、幅40μ
m のn型電極を形成する。
【0061】フォトリソグラフィーを含むドライエッチ
ング法により共振器長500 μm の素子を形成する。上記
工程により、室温付近での発光波長415nm のダブルヘテ
ロ接合型半導体レーザー素子を作製する。図4にこの素
子の断面を示す。
【0062】(0001)鏡面研磨α-Al2O3基板と上記発光層
の間の格子定数をもつZn(OSe) の緩衝層305を用いて
いるため品質の良いエピタキシャル成長クラッド層を得
ることができる。さらに、O-Se,O-Te 間の組成比を調整
することによりZn(OTe) 活性層301とZn(OSe) クラッ
ド層302、303間の格子整合を得ることができるた
め、ワイドギャップで良質のエピタキシャル成長発光層
が得られ、高効率で高信頼性の短波長の半導体レーザー
素子を得ることができる。
【0063】(実施例2)(0001)鏡面研磨α-Al2O3を有
機洗浄を行ったのち、H2SO4:H3PO4=3:1 を中160℃でエ
ッチングを行う。この基板を横型石英反応菅CVD 装置に
設置する。 1×10 -4Paに排気後、基板温度500 ℃に保
つ。以下の全プロセス中の圧力は133Pa とする。
【0064】Mg(C5H7O2)2(bisacetylacetonatomagnesiu
m)((株)トリケミカル研究所製)を60sccm相当、Zn(C
H3)2を120sccm 、Se(CH3)2を80sccm、H2O を20sccm、H2
を200sccm 、Al(CH3)3を5sccm 導入する。Mg(C5H7O2)2
は、前述200sccm のH2をキャリアガスとして導入する。
このとき、H2O は試料近傍のノズルから導入する。この
成長過程により膜厚400nm の(MgZn)(OSe): Al のn型ク
ラッド層をエピタキシャル成長させる。このn型クラッ
ド層は、六方晶であり格子定数a=3.3 Åである。
【0065】次に、Zn(CH3)2を120sccm 、Se(CH3)2を10
0sccm 、H2O を10sccm、H2を200sccm 、Al(CH3)3を5scc
m 導入する。同様に、H2O は試料近傍のノズルから導入
する。この成長過程により膜厚400nm でZn(OSe): Al の
n型活性層をエピタキシャル成長させる。このn型活性
層は、六方晶であり格子定数a=3.3 Åである。
【0066】次に、Mg(C5H7O2)2 (bisacetylacetonatom
agnesium) を60sccm相当、Zn(CH3)2を120sccm 、Se(C
H3)2を80sccm、H2O を20sccm、H2を200sccm (キャリア
ガスを兼ねる)、NH3 を50sccm導入する。同様に、H2O
は試料近傍のノズルから導入する。この成長過程により
膜厚400nm で(MgZn)(OSe): Nのp型クラッド層をエピタ
キシャル成長させる。このp型クラッド層は、六方晶で
あり格子定数a=3.3 Åである。
【0067】次に、Zn(CH3)2を120sccm 、Se(CH3)2を12
0sccm 、H2を200sccm 、NH3 を50sccmを5sccm 導入す
る。この成長過程で膜厚200nm でZnSe: N のp型コンタ
クト層をエピタキシャル成長させる。
【0068】次に、実施例1と同様の加工プロセスを行
い、室温付近での発光波長400nm のダブルヘテロ接合型
半導体レーザー素子を作製する。図5にこの素子の断面
を示す。
【0069】発光層と格子定数の近いα-Al2O3を基板と
して用いているため、さらに、Mg-Zn,O-Se間の組成比を
調整することによりZn(OSe) 活性層と(MgZn)(OSe) クラ
ッド層間の格子整合を得ることができた。このため、ワ
イドギャップで良質のエピタキシャル成長発光層が得ら
れ、高効率で高信頼性の短波長の半導体レーザー素子を
得ることができる。
【0070】(実施例3)(0001) 鏡面研磨単結晶ZnO
基板(Litton Airtron社製)(六方晶a=3.25Å)を有機
洗浄した後、希HCl でライトエッチングを行う。この基
板をMBE 装置に設置する。 1×10-8Paの背圧下、基板温
度400 ℃に保つ。
【0071】当初、Zn溶融セルからZnを分子線強度 1×
10-4Paで、O2ガス導入ラインからO分子線強度 1×10-4P
aで導入する。成長時間の経過とともに、O 分子線強度
1×10-6Paまで減少させ、同時にSe溶融セルからSeを分
子線強度を0 Paから 8×10-5Paまで増加させる。この成
長過程により全膜厚50nmで格子定数a=3.25Åの六方晶Zn
O から格子定数a=3.6 Åの六方晶Zn(OSe) まで連続的に
変化する組成傾斜緩衝層をエピタキシャル成長させる。
【0072】Zn溶融セルからZnを分子線強度 1×10-4Pa
で、Mg(C5H7O2)2(bisacetylacetonatomagnesium)導入ラ
インからMg分子線強度 2×10-5Paで、Se溶融セルからSe
を分子線強度 8×10-5Paで、O2ガス導入ラインからO 分
子線強度 1×10-6Paで、Al(CH3)3導入ラインからAlを分
子線強度 1×10-7Paで導入する。この成長過程により膜
厚500nm で(MgZn)(OSe): Al のn型クラッド層をエピタ
キシャル成長させる。このn型クラッド層は、六方晶で
あり格子定数a=3.6 Åである。
【0073】次に、Znを分子線強度 1×10-4Paで、Te溶
融セルからTeを分子線強度 1×10-4Paで、O 分子線強度
1×10-6Paで、Al(CH3)3導入ラインからAlを分子線強度
1×10-7Paで導入する。この成長過程により膜厚400nm
でZn(OTe): Al のn 型活性層をエピタキシャル成長させ
る。このn型活性層は、六方晶であり格子定数a=3.6Å
である。
【0074】次に、Znを分子線強度 1×10-4Paで、Mg(C
5H7O2)2(bisacetylacetonatomagnesium)導入ラインから
Mg分子線強度 2×10-5Paで、Seを分子線強度 1×10-4Pa
で、O 分子線強度 1×10-6Paで、NH3 導入ラインからN
を分子線強度 1×10-6Paで、H2導入ラインからH を 1×
10-5Paで導入する。この成長過程により膜厚400nm で(M
gZn)(OSe): Nのp型クラッド層をエピタキシャル成長さ
せる。このp型クラッド層は、六方晶であり格子定数 a
=3.6Åである。
【0075】次に、Znを分子線強度 1×10-4Paで、Seを
分子線強度 1×10-4Paで、NH3 導入ラインからN を分子
線強度 1×10-5Paで、H2導入ラインからH を 1×10-5Pa
で導入する。この成長過程で膜厚200nm でZnSe: N のp
型コンタクト層をエピタキシャル成長させる。
【0076】次に、実施例1と同様の加工プロセスを行
い、室温付近での発光波長440nm のダブルヘテロ接合型
半導体レーザー素子を作製する。図6にこの素子の断面
を示す。
【0077】発光層と格子定数の近いZnO 単結晶を基板
として用い、この基板と上記発光層の間の格子定数をも
つZn(OSe) の組成傾斜緩衝層を用いているため、さら
に、O-Se,O-Te 間の組成比を調整することによりZn(OT
e) 活性層と(MgZn)(OSe) クラッド層間の格子整合を得
ることができた。このため、ワイドギャップで良質のエ
ピタキシャル成長発光層が得られ、高効率で高信頼性の
短波長の半導体レーザー素子を得ることができる。
【0078】(実施例4)(0001)鏡面研磨α-SiC単結晶
(CREE社製)(六方晶a=3.08Å)を有機洗浄を行ったの
ち、希HCl でライトエッチングを行う。この基板を横型
石英反応菅CVD 装置に設置する。
【0079】次に、実施例2と同様のエピタキシャル成
長膜作製及び加工プロセスを行い、発光波長400nm のダ
ブルヘテロ接合型半導体レーザー素子を作製する。図7
にこの素子の断面を示す。
【0080】発光層と格子定数の近いα-SiCを基板とし
て用いているため、さらに、Mg-Zn,O-Se間の組成比を
調整することによりZn(OSe) 活性層と(MgZn)(OSe) クラ
ッド層間の格子整合を得ることができた。このため、ワ
イドギャップで良質のエピタキシャル成長発光層が得ら
れ、高効率で高信頼性の短波長の半導体レーザー素子を
得ることができる。
【0081】(実施例5)(0001) 鏡面研磨単結晶ZnO
基板(Litton Airtron社製)(六方晶a=3.25Å)を有機
洗浄した後、希HCl でライトエッチングを行う。この基
板をMBE 装置に設置する。 1×10-8Paの背圧下、基板温
度400 ℃に保つ。Zn溶融セルからZnを分子線強度 1×10
-4Paで、Mg(C5H7O2)2(bisacetylacetomagnesium)導入ラ
インからMg分子線強度8 ×10-5Paで、Se溶融セルからSe
を分子線強度 2×10-5Paで、O2ガス導入ラインからO 分
子線強度 2×10-6Paで、Al(CH3)3導入ラインからAlを分
子線強度 1×10-7Paで導入する。この成長過程により膜
厚200nm で(MgZn)(OSe):Alのn型クラッド層をエピタキ
シャル成長させる。このn型クラッド層はバンドギャッ
プ3.4eV で、六方晶であり格子定数a=3.25Åである。
【0082】Zn溶融セルからZnを分子線強度 1×10-4Pa
で、Mg(C5H7O2)2(bisacetylacetonatomagnesium)導入ラ
インからMg分子線強度 2×10-4Paで、Se溶融セルからSe
を分子線強度 1×10-5Paで、O2ガス導入ラインからO 分
子線強度 2×10-6Paで、Al(CH3)3導入ラインからAlを分
子線強度 1×10-7Paで導入する。この成長過程により膜
厚100nm で(MgZn)(OSe):Alのn型ガイド層をエピタキシ
ャル成長させる。このn型ガイド層は、バンドギャップ
3.2eV 、六方晶であり格子定数a=3.25Åである。
【0083】Znを分子線強度 1×10-4Paで、Seを分子線
強度 1×10-4Paで、O 分子線強度 1×10-6Paで導入す
る。この成長過程により膜厚5nm でZn(OSe) のノンドー
プウェル層をエピタキシャル成長させる。このウェル層
は、バンドギャップ2.9eV 、六方晶であり格子定数 a=
3.6Åである。
【0084】Zn溶融セルからZnを分子線強度 1×10-4Pa
で、Mg(C5H7O2)2(bisacetylacetonatomagnesium)導入ラ
インからMg分子線強度 2×10-4Paで、Se溶融セルからSe
を分子線強度 1×10-5Paで、O2ガス導入ラインからO 分
子線強度 2×10-6Paで導入する。この成長過程により膜
厚5nm で(MgZn)(OSe) のノンドープバリア層をエピタキ
シャル成長させる。このバリア層は、バンドギャップ3.
2eV 、六方晶であり格子定数a=3.3 Åである。
【0085】このウェル層とバリア層の作製を繰り返
し、4層のウェル層と3層のバリア層の歪量子井戸構造
発光層を形成する。
【0086】Zn溶融セルからZnを分子線強度 1×10-4Pa
で、Mg(C5H7O2)2(bisacetylacetonatomagnesium)導入ラ
インからMg分子線強度 2×10-4Paで、Se溶融セルからSe
を分子線強度 1×10-5Paで、O2ガス導入ラインからO 分
子線強度 2×10-6Paで、NH3導入ラインからN を分子線
強度 5×10-6Paで、H2導入ラインからH を 2×10-5Paで
導入する。この成長過程により膜厚100nm で(MgZn)(OS
e):N のp型ガイド層をエピタキシャル成長させる。こ
のp型ガイド層は、バンドギャップ3.2eV 、六方晶であ
り格子定数a=3.25Åである。
【0087】Zn溶融セルからZnを分子線強度 1×10-4Pa
で、Mg(C5H7O2)2(bisacetylacetonatomagnesium)導入ラ
インからMg分子線強度 8×10-5Paで、Se溶融セルからSe
を分子線強度 2×10-5Paで、O2ガス導入ラインからO 分
子線強度 2×10-6Paで、NH3導入ラインからN を分子線
強度 5×10-6Paで、H2導入ラインからH を 1×10-5Paで
導入する。この成長過程により膜厚200nm で(MgZn)(OS
e):N のp型クラッド層をエピタキシャル成長させる。
このp型クラッド層はバンドギャップ3.4eV で、六方晶
であり格子定数a=3.3 Åである。
【0088】次に、Znを分子線強度 1×10-4Paで、Seを
分子線強度 1×10-4Paで、NH3 導入ラインからN を分子
線強度 1×10-5Paで、H2導入ラインからH を 1×10-5Pa
で導入する。この成長過程で膜厚200nm でZnSe: N のp
型コンタクト層をエピタキシャル成長させる。
【0089】次に、実施例1と同様の加工プロセスを行
い、室温付近での発光波長410nm の歪量子井戸構造半導
体レーザー素子を作製する。図8は、この素子の断面を
示す。ZnO 単結晶を基板として用いているため、高品質
の(MgZn)(OSe):Alのn型クラッド層をエピタキシャル成
長させることができるので、高品質なn型ガイド層、歪
量子井戸構造発光層、p型クラッド層を得ることができ
る。また、Mg-Zn-O-Se及びZn-O-Se 間の組成比を調整す
ることにより、制御性良くn型ガイド層、歪量子井戸構
造、p型ガイド層の層構成を設定できる。
【0090】この発明では、II−VI族化合物半導体材料
にO 元素を添加することにより、活性層のワイドギャッ
プ化と基板との格子整合を両立させる方法を開示してい
る。活性層の結晶構造は、従来のII−VI族化合物半導体
の活性層のようにジンクブレンド構造を前提にしてお
り、基板として、GaAs,InP,GaP,ZnSe が挙げられてい
る。よって、高効率で低しきい値電流で高信頼性の短波
長の半導体レーザー素子を得ることができる。
【0091】
【発明の効果】以上の説明より明らかなように、請求項
1の発明の半導体発光素子では、六方晶ZnO は、励起子
結合エネルギーが大きいため、室温においても高密度の
励起子が存在するので高い発光効率が見込める。本発明
の発光層は、六方晶ZnO を主体にした六方晶Zn(Ox )(X=
S,Se,Te)の組成であるので、同様に、高い発光効率が見
込める。
【0092】さらに、上記発光層は多元系の混晶なので
組成を変化させることにより、発光層の格子定数、バン
ドバンドギャップ、屈折率を広い範囲で制御し、広範な
材料の選択・組み合わせ、広い発光波長の選択が可能に
なる。発光層が活性層−クラッド層の構成をとる場合
は、活性層−クラッド層−基板間の格子整合性を向上さ
せることができる。このため、界面欠陥が少なく、かつ
高品質のエピタキシャル成長層が得られ、より高い発光
効率と高い信頼性の半導体発光素子が実現できる。
【0093】また、発光層が量子井戸構造をとる場合
は、ウェル層、バリア層の格子が破壊されない程度まで
格子の不整合が許容される。このため、より広範な材料
の選択・組み合わせや、より広い発光波長の選択が可能
になり、より低いしきい値電流やより広い変調帯域など
の優れた特性をもつ半導体発光素子が実現できる。
【0094】さらに、Cd,Be などの環境への影響の大き
い材料を用いず、環境への汚染の少ない材料で半導体発
光素子を作製できる。
【0095】請求項2記載の発明は、クラッド層と活性
層にMg,Mn のうち少なくとも1種の元素を含むので、ク
ラッド層のバンドギャップを広げ、屈折率を小さくでき
る。また、材料が多元系となるので、より広範囲に発光
層の格子定数、バンドバンドギャップ、屈折率を広い範
囲で制御したり、より広い発光波長の選択が可能にな
り、より高性能で高信頼性の半導体発光素子を作製でき
る。
【0096】請求項3記載の発明は、p型クラッド層が
N 元素を含むことにより、請求項1の作用効果をもつ半
導体発光素子が実現できる。
【0097】請求項4記載の発明は、本発光素子が、量
産可能で比較的安価なAl2O3 基板を用いているので、エ
ピタキシャル成長したクラッド層を得ることができ、請
求項1から3の作用効果をもつ半導体発光素子が実現で
きる。
【0098】請求項5記載の発明は、六方晶構造をもち
格子定数a=2.7 〜5.2 Åである基板を用いているので、
エピタキシャル成長したクラッド層を得ることができ、
請求項1から3の作用効果をもつ半導体発光素子が実現
できる。
【0099】請求項6記載の発明は、請求項5の条件を
満たし、入手可能な六方晶構造ZnO,SiC を基板に用いて
いるので、エピタキシャル成長したクラッド層を得るこ
とができ、請求項1から3の作用効果をもつ半導体発光
素子が実現できる。
【0100】請求項7記載の発明は、基板とクラッド層
の間に格子の不整合を緩和する緩衝層を設けているの
で、より高品質のエピタキシャル成長層が得られ、か
つ、各層間の界面欠陥が少なくなるので、より高効率で
高信頼性な請求項1から3の作用効果をもつ半導体発光
素子が実現できる。
【0101】請求項8記載の発明は、発光部と同一又は
類似の元素と同一結晶構造からなる、Zn(X1)、Zn(X
1X2)、(X1,X2=O,S,Se,Te) 緩衝層を設けているので、請
求項7の効果に加え、基板−発光部間の電気的、機械的
接合が良好になり、より高効率で高信頼性な請求項1か
ら3の作用効果をもつ半導体発光素子が実現できる。
【0102】さらに、3元以上の元素からなるZn(X
1X2)、(X1,X2=O,S,Se,Te) の組成の緩衝層の場合に厚さ
方向でX1とX2での比率を連続的に変えた組成傾斜層が実
現可能になるので、これらの効果がさらに高まり、より
高効率で高信頼性な請求項1から3の作用効果をもつ半
導体発光素子が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の半導体発光素子の実施形態の基本構成
例を示す図である。
【図2】ダブルヘテロ接合型の基本構成を示す図であ
る。
【図3】各化合物半導体の物性値のプロット間を直線で
結び、化合物半導体の混晶の物性を把握するための図で
ある。
【図4】実施例1の発光波長415nm のダブルヘテロ接合
型半導体レーザー素子の断面を示す図である。
【図5】実施例2の発光波長400nm のダブルヘテロ接合
型半導体レーザー素子の断面を示す図である。
【図6】実施例3の発光波長400nm のダブルヘテロ接合
型半導体レーザー素子の断面を示す図である。
【図7】実施例4のエピタキシャル成長膜作製及び加工
プロセスによる発光波長400nmのダブルヘテロ接合型半
導体レーザー素子の断面を示す図である。
【図8】実施例5の発光波長410nm の歪量子井戸構造半
導体レーザー素子を示す素子断面図である。
【符号の説明】
101、201 活性層 102、202 n型クラッド層 103、203 p型クラッド層 204 基板 205 緩衝層 301、501 n型Zn(OTe)活性層 302 n型Zn(OSe):Alクラッド層 303 p型Zn(OSe):Nクラッド層 304、404 Al2O3基板 305 Zn(OSe)緩衝層 306、406、506、606 p型ZnSe:Nコ
ンタクト層 307、407、507、607、807 p型電極縁
膜 308、408、508、608 SiO2絶縁膜 309、409、509、609、809 n型電極 401、601 n型Zn(OSe)活性層 402、502、602、802 n型(MgZn)
(OSe):Alクラッド層 403、503、603、803 p型(MgZn)
(OSe):Nクラッド層 504、804 ZnO基板 505 Zn(OSe)組成傾斜緩衝層 604 SiC基板 801 歪量子井戸構造層 802 n型(MgZn)(OSe);Alクラッド層 803 p型(MgZn)(OSe):Nクラッド層 806 p型ZnSe:Nコンタクト層 808 SiO2絶縁膜 811 Zn(OSe)ウェル層 821 (MgZn)(OSe)バリア層 831 n型(MgZn)(OSe)ガイド層 841 p型(MgZn)(OSe)ガイド層

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 II−VI族化合物半導体を用いた活性層及
    び該II−VI族化合物半導体を用いた1つ又は2つのクラ
    ッド層を有する半導体発光素子において、 前記活性層が少なくともZn元素とO 元素を含み、かつ、
    前記活性層がさらにS,Se,Te のうち少なくとも1種以上
    の元素を含み、 前記クラッド層の少なくとも1つがZn元素とO 元素を含
    み、かつ、前記活性層、前記クラッド層の結晶系が六方
    晶系であること、 を特徴とする半導体発光素子。
  2. 【請求項2】 前記クラッド層のうち少なくとも1つ又
    は前記活性層がMg,Mn のうち少なくとも1種の元素を含
    むことを特徴とする請求項1記載の半導体発光素子。
  3. 【請求項3】 前記クラッド層の1つ以上又は前記活性
    層がN 元素を含むことを特徴とする請求項1または2に
    記載の半導体発光素子。
  4. 【請求項4】 前記活性層及び前記クラッド層がAl2O3
    基板上に設けられていることを特徴とする請求項1から
    3のいずれかに記載の半導体発光素子。
  5. 【請求項5】 前記活性層及び前記クラッド層が六方晶
    構造をもち、格子定数が a=2.7〜5.2 Åである基板上に
    設けられていることを特徴とする請求項1から3のいず
    れかに記載の半導体発光素子。
  6. 【請求項6】 前記基板が、ZnO,SiC のいずれかである
    ことを特徴とする請求項5に記載の半導体発光素子。
  7. 【請求項7】 前記基板と前記クラッド層の間に格子の
    不整合を緩和する緩衝層を設けたことを特徴とする請求
    項1から6のいずれかに記載の半導体発光素子。
  8. 【請求項8】 前記緩衝層がZn元素とO,S,Se,Te のいず
    れか1種以上の元素化合物から成ることを特徴とする請
    求項7に記載の半導体発光素子。
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