JP2002118046A - 露光装置およびマイクロデバイスの製造方法 - Google Patents

露光装置およびマイクロデバイスの製造方法

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JP2002118046A
JP2002118046A JP2000306005A JP2000306005A JP2002118046A JP 2002118046 A JP2002118046 A JP 2002118046A JP 2000306005 A JP2000306005 A JP 2000306005A JP 2000306005 A JP2000306005 A JP 2000306005A JP 2002118046 A JP2002118046 A JP 2002118046A
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Tadashi Nagayama
匡 長山
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Original Assignee
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  • Exposure And Positioning Against Photoresist Photosensitive Materials (AREA)
  • Exposure Of Semiconductors, Excluding Electron Or Ion Beam Exposure (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 温度変動などに起因する基準マーク板の変形
を良好に抑えて、高精度な同時ベースライン計測を行う
ことのできる露光装置。 【解決手段】 マスク(M)のパターン像を感光性基板
(W)上に形成するための投影光学系(PL)と、感光
性基板を保持して移動するための基板ステージ(WS
T)とを備えた露光装置。基板ステージに取り付けられ
て、第1基準マーク(FM1)および第2基準マーク
(FM2)を有する基準板(FMP)と、第1基準マー
クを検出するための第1検出系(11)と、投影光学系
を介して第2基準マークを検出するための第2検出系
(12a,12b)とを備えている。基準板は、0.1
ppm/°C以下の線膨張係数を有する材料で形成され
ている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、露光装置およびマ
イクロデバイスの製造方法に関し、特に半導体素子、撮
像素子、液晶表示素子、薄膜磁気ヘッド等のマイクロデ
バイスをリソグラフィー工程で製造するための露光装置
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、いわゆるオフ・アクシス・アライ
メント系(投影光学系の外側に配置された位置検出系)
を備えた露光装置では、特開昭53−56975号公
報、特開昭56−134737号公報等に開示されてい
るように、ウェハのような感光性基板を保持して二次元
的に移動する基板ステージ上に、基準となるマーク板が
設けられている。そして、この基準マーク板を用いて、
オフ・アクシス・アライメント系と投影光学系との間の
距離、いわゆるベースライン量を管理していた。
【0003】特開昭53−56975号公報等に開示さ
れた従来技術では、後に詳述するように、オフ・アクシ
ス・アライメント系の検出中心点とマスクマークの投影
光学系による投影点との間の位置関係(ベースライン
量)の計測に際して、ウェハステージを移動させ、レー
ザ干渉計でウェハステージの移動量を求めている。この
ため、ウェハステージの移動精度の誤差、レーザ干渉計
のレーザビーム光路の空気ゆらぎ等の必然的に避けるこ
とのできない要因によって、ベースライン計測の精度向
上には自ずと限界があった。
【0004】また、TTL(スルーザレンズ)方式のア
ライメント系の検出領域内に基準マークを位置決めする
ためのウェハステージの移動と、オフ・アクシス・アラ
イメント系の検出中心点に基準マークを位置決めするた
めのウェハステージの移動とが必要であり、ベースライ
ン計測の処理速度を高めることにも自ずと限界があっ
た。そこで、本出願人は、たとえば特開平5−2131
4号公報において、1つの基準マーク板上に形成された
第1基準マークおよび第2基準マークを、オフ・アクシ
ス・アライメント系およびTTL方式のマスクアライメ
ント系で同時に検出してベースライン計測を行う技術を
開示している。
【0005】すなわち、特開平5−21314号公報に
開示された従来技術では、オフ・アクシス・アライメン
ト系の検出中心点とアライメントすべき第1基準マー
ク、およびTTL方式のマスクアライメント系を介して
マスクマークとアライメントすべき第2基準マークを形
成した基準マーク板をウェハステージ上に設けている。
そして、ベースライン計測時には、オフ・アクシス・ア
ライメント系の検出中心点と第1基準マークとの位置ず
れ量を求めると同時に、ウェハステージを静止させた状
態でマスクマークと第2基準マークとの位置ずれ量を求
める。
【0006】また、露光装置では、投影光学系の最終的
な光学性能の調整のために、レジスト像の良否を確認す
る必要がある。そして、レジスト像の良否を判定するた
めには、レジストを塗布したウェハにパターンを焼き付
けて現像処理を行い、さらに電子顕微鏡によりレジスト
像を観察するという、非常に煩わしさが伴う工程が必要
であった。一方、近年のシミュレーション技術の進歩に
より、マスクパターンの空間像の強度分布に基づいて、
実際の露光で形成されるレジスト像の良否をある程度高
い精度で予想することができるようになった。また、空
間像の強度分布の測定は非常に簡単であるため、投影露
光装置に搭載可能な強度分布測定装置への要求が高まっ
ていた。
【0007】そこで、本出願人は、特開平9−2377
54号公報、特開平9−237755号公報、特開平9
−293677号公報等において、投影光学系を介して
形成されるマスクパターンの空間像の強度分布を随時検
出する機能を備えた露光装置を開示している。すなわ
ち、これらの公報に開示された露光装置では、ウェハス
テージ上に設けられたステージ基準板に形成されたナイ
フエッジパターンとマスクパターンの空間像とを所定の
方向に沿って相対移動させることにより、マスクパター
ンの空間像の強度分布を検出する。
【0008】また、従来、露光装置に好適な面位置検出
装置として、本出願人による特開昭56−42205号
公報に開示された斜め入射型の面位置検出装置が知られ
ている。この面位置検出装置では、投影光学系によって
マスクパターンが転写される位置に配置されたウェハに
対して、斜め方向から検出光を照射する。さらに具体的
には、ウェハの表面を被検面として、この被検面にスリ
ット状のパターンをその長手方向が入射面(入射光と反
射光とで張る平面)と垂直になるように投射する。そし
て、その反射光を集光することによりパターン像を光電
変換素子からなる検出手段の検出面上に再結像させ、検
出面上のパターン像の形成位置を検出する。
【0009】この面位置検出装置の構成では、被検面と
なるウェハ表面が上下方向に変位する(投影光学系の光
軸に沿って変位する)と、その上下方向の変位に対応し
て検出手段に入射するスリット反射光がその幅方向(短
手方向)に横ずれすることを利用し、その横ずれ量に基
づいてウェハ表面の上下位置を検出する。こうして、検
出結果に基づいて、ウェハ表面が投影光学系の合焦基準
位置(投影像面)に一致しているか否か、すなわち投影
光学系によって投影されるマスクパターン面の共役面に
一致しているか否かが判定される。
【0010】また、本出願人による特開平6−9704
5号公報には、上述の斜め入射型の面位置検出装置に関
する改良例として、被検面の広い領域で位置検出が可能
な面位置検出装置すなわち二次元多点AF(オートフォ
ーカス)系が開示されている。この二次元多点AF系
は、第1面に形成された所定パターンの像を被検面であ
るウェハ表面に投射する投射光学系と、被検面で反射さ
れた光束を集光して所定パターンの像を受光スリットの
形成された第2面上に形成する集光光学系とを備えてい
る。そして、第1面と被検面とが投射光学系に関してシ
ャインプルーフの条件を満足し、且つ被検面と第2面と
が集光光学系に関してシャインプルーフの条件を満足す
るように構成されている。
【0011】また、この二次元多点AF系では、投射光
学系および集光光学系がそれぞれ両側テレセントリック
に構成されており、第1面上の各点と被検面上の各共役
点とが面内全域で同倍率となり、且つ被検面の各点と第
2面上の各共役点とが面内全域で同倍率となることが保
証されている。これらの構成により、第2面上に形成さ
れる所定パターンの像と受光スリットとを相対的に走査
させ、光変調信号を同期検波する光電顕微鏡の原理に基
づく検出方式により、被検面の検出領域の全体に亘って
同じ検出精度が得られる。
【0012】なお、本出願人による特開2000−21
711号公報には、ウェハステージ上においてウェハの
露光面とほぼ同じ高さ位置に平面基準板を設け、この平
面基準板を利用して二次元多点AF系のキャリブレーシ
ョン(校正)を行う技術が開示されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、特開平
5−21314号公報に開示された従来技術では、ウェ
ハステージ上に設けられた基準マーク板に形成された2
つの基準マークを、オフ・アクシス・アライメント系お
よびTTL方式のマスクアライメント系で同時に検出す
ることにより、いわゆる同時ベースライン計測を行って
いる。この場合、基準マーク板の寸法が、ひいては2つ
の基準マークの間隔が温度変動などに起因して変化する
と、ベースラインの計測精度が低下してしまう。
【0014】一方、特開平9−237754号公報等に
開示された従来技術では、ウェハステージ上に設けられ
たステージ基準板に形成されたナイフエッジパターンと
マスクパターンの空間像とを相対移動させることによ
り、マスクパターンの空間像の強度分布を検出してい
る。また、特開2000−21711号公報に開示され
た従来技術では、ウェハステージ上に設けられた平面基
準板を利用して、二次元多点AF系のキャリブレーショ
ンを行っている。従来、空間像の強度分布の検出に際し
て用いられるステージ基準板と、二次元多点AF系のキ
ャリブレーションに際して用いられる平面基準板とは別
体に構成されていた。
【0015】本発明は、前述の課題に鑑みてなされたも
のであり、温度変動などに起因する基準マーク板の変形
を良好に抑えて、高精度な同時ベースライン計測を行う
ことのできる露光装置を提供することを目的とする。ま
た、基板ステージ上に設けられた単一の基準平面板を用
いて空間像の強度分布の検出および二次元多点AF系の
キャリブレーションを行うことができ、ひいては装置の
小型化を図ることのできる露光装置を提供することを目
的とする。さらに、本発明の露光装置を用いて、良好な
露光条件のもとで良好なマイクロデバイスを製造するこ
とのできる、マイクロデバイスの製造方法を提供するこ
とを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明の第1発明では、マスクのパターン像を感光
性基板上に形成するための投影光学系と、前記感光性基
板を保持して移動するための基板ステージとを備えた露
光装置において、前記基板ステージに取り付けられて、
第1基準マークおよび第2基準マークを有する基準板
と、前記第1基準マークを検出するための第1検出系
と、前記投影光学系を介して前記第2基準マークを検出
するための第2検出系とを備え、前記基準板は、0.1
ppm/°C以下の線膨張係数を有する材料で形成され
ていることを特徴とする露光装置を提供する。
【0017】第1発明の好ましい態様によれば、前記基
準板は、前記第1基準マークおよび前記第2基準マーク
の形成された中央部と、該中央部よりも実質的に小さい
厚さを有する周辺部とを有し、前記基準板は、前記周辺
部を介して前記基板ステージに締結されている。また、
前記第1基準マークおよび前記第2基準マークの形成さ
れた前記基準板の表面は、He−Neレーザー光の波長
をλとするとき、3λ以下のPV値(peak to valley v
alue)を有する面精度で形成されていることが好まし
い。
【0018】本発明の第2発明では、マスクのパターン
像を感光性基板上に形成するための投影光学系と、前記
感光性基板を保持して移動するための基板ステージとを
備えた露光装置において、前記基板ステージに取り付け
られて、所定パターンが形成されたパターン領域と反射
領域とを有する基準板と、前記投影光学系および前記パ
ターン領域を介した光束を検出するための第1検出系
と、前記反射領域に斜め方向から光束を投射し、前記反
射領域で反射された光束に基づいて前記反射領域の面位
置を検出するための第2検出系とを備え、前記基準板の
反射領域は、He−Neレーザー光の波長をλとすると
き、λ/20以下のPV値(peak to valley value)を
有する面精度で形成されていることを特徴とする露光装
置を提供する。
【0019】第2発明の好ましい態様によれば、前記反
射領域は、前記パターン領域を包囲するように形成され
ている。また、前記反射領域は、反射層と、該反射層の
上に形成された保護層とを有することが好ましい。この
場合、前記保護層の厚さは、前記反射層の厚さの10%
以下であることが好ましい。
【0020】本発明の第3発明では、第1発明または第
2発明の露光装置を用いて前記マスクのパターンを前記
感光性基板上に露光する露光工程と、該露光工程により
露光された前記感光性基板を現像する現像工程とを含む
ことを特徴とするマイクロデバイスの製造方法を提供す
る。
【0021】
【発明の実施の形態】まず、非同時ベースライン計測の
原理を説明し、次いで同時ベースライン計測の原理につ
いて説明する。図1は、従来技術にしたがう非同時ベー
スライン計測の原理を模式的に示す図である。図1にお
いて、照明系の主コンデンサーレンズICLを介して均
一照明されるマスクMは、マスクステージMSTに保持
されている。ベースライン計測に際して、マスクステー
ジMSTは、マスクMの中心CCが投影光学系PLの光
軸AXと合致するように位置決めされる。
【0022】一方、ウェハ(図1では不図示)を保持す
るためのウェハステージWST上には、ウェハ表面に形
成されたアライメントマークすなわちウェハマークと同
等の基準マークFMが設けられている。ウェハステージ
WSTは、基準マークFMが投影光学系PLの投影視野
内の所定位置にくるように位置決めされる。この状態
で、マスクMの上方に設けられたTTL(スルーザレン
ズ)方式のアライメント系DDAによって、マスクMに
形成されたアライメントマークすなわちマスクマークM
Mと基準マークFMとが同時に検出される。
【0023】マスクマークMMとマスクMの中心CCと
の距離Laは、設計上予め定まった値である。したがっ
て、投影光学系PLの像面側(ウェハ側)におけるマス
クマークMMの投影点と中心CCの投影点との距離は、
La/mとなる。ここで、mはウェハ側からマスク側を
見たときの投影光学系PLの倍率であり、投影倍率が1
/5倍の縮小投影光学系の場合はm=5である。
【0024】また、投影光学系PLの外側(投影視野
外)には、オフ・アクシス方式のウェハアライメント系
OWAが設けられている。ウェハアライメント系OWA
の光軸は、投影像面(投影光学系PLの像面:ウェハ面
または基準マークFMの面)側では投影光学系PLの光
軸AXと平行である。そして、ウェハアライメント系O
WAの内部には、ウェハマークまたは基準マークFMを
位置検出する際の基準となる視標マークTMがガラス板
に設けられている。すなわち、視標マークTMは、投影
像面であるウェハ面または基準マークFMの面と光学的
にほぼ共役に配置されている。
【0025】ベースライン量BLは、図1に示すよう
に、マスクマークMMと基準マークFMとがアライメン
ト(光学的に位置合わせ)されたときのウェハステージ
WSTの位置X1と、指標マークTMと基準マークFM
とがアライメントされたときのウェハステージWSTの
位置X2とをレーザ干渉計等で計測し、2つの位置の差
(X1−X2)を計算することにより求められる。ベー
スライン量BLは、その後にウェハマークをウェハアラ
イメント系OWAで位置検出して投影光学系PLの投影
視野内の所定位置に位置決めするときの基準量となるも
のである。
【0026】すなわち、ウェハ上のある露光領域の中心
と対応するウェハマークとの間隔をXPとし、ウェハマ
ークと指標マークTMとが合致したときのウェハステー
ジWSTの位置をX3とすると、ウェハ上のある露光領
域の中心とマスクMの中心CCとをアライメントするに
は、位置X3とベースライン量BLと間隔XPとに依存
する量だけウェハステージWSTを移動させればよい。
このように、オフ・アクシス方式のウェハアライメント
系OWAを用いてウェハマークを位置検出した後、ウェ
ハステージWSTを所定量だけ移動させるだけで、マス
クMのパターンをウェハ上の露光領域に対して正確に重
ね合わせて露光することができる。実際には、ウェハ上
に多数の露光パターンが焼き付けられているので、各パ
ターン毎に計測してベースライン量分移動させるのでは
なく、複数の露光パターン上にあるアライメントマーク
を計測し、ウェハ全体の位置ずれ回転を求め、ベースラ
イン量分差し引いた投影光学系光軸下で焼き付けをステ
ップ・アンド・リピートで行う。
【0027】前述したように、上述の従来技術では、オ
フ・アクシス方式のアライメント系OWAの検出中心点
(指標マークTMの中心)と、マスクマークMMの投影
光学系PLによる投影点との間の位置関係(ベースライ
ン量BL)の計測に際して、ウェハステージWSTを移
動させ、レーザ干渉計でウェハステージWSTの移動量
を求めている。このため、ウェハステージWSTの移動
精度の誤差、レーザ干渉計のレーザビーム光路の空気ゆ
らぎ等の必然的に避けることのできない要因によって、
ベースライン計測の精度向上には自ずと限界があった。
【0028】また、TTL方式のアライメント系DDA
の検出領域内に基準マークFMを位置決めするためのウ
ェハステージWSTの移動と、オフ・アクシス・アライ
メント系OWAの検出中心点に基準マークFMを位置決
めするためのウェハステージWSTの移動とが必要であ
り、ベースライン計測の処理速度を高めることにも自ず
と限界があった。
【0029】そこで、前述したように、本出願人は、特
開平5−21314号公報において、1つの基準マーク
板上に形成された第1基準マークおよび第2基準マーク
を、オフ・アクシス・アライメント系およびTTL方式
のマスクアライメント系で同時に検出して同時ベースラ
イン計測を行う技術を開示している。図2は、図1に対
応する図であって、本発明において用いられる同時ベー
スライン計測の原理を模式的に示す図である。図2にお
いて、オフ・アクシス・アライメント系OWAの検出中
心点とアライメントすべき第1基準マークFM1、およ
びTTL方式のマスクアライメント系DDAを介してマ
スクマークMMとアライメントすべき第2基準マークF
M2を形成した基準マーク板FMPが、ウェハステージ
WST上に設けられている。
【0030】そして、同時ベースライン計測時には、オ
フ・アクシス・アライメント系OWAの検出中心点と第
1基準マークFM1との位置ずれ量ΔD1を求めると同
時に、ウェハステージWSTを静止させた状態でマスク
マークMMと第2基準マークFM2との位置ずれ量ΔD
2を求める。なお、基準マーク板FMP上において、第
1基準マークFM1と第2基準マークFM2との間隔B
L0は、ベースライン量BLの設計値とほぼ同じ値に設
定されている。こうして、ウェハステージWSTを静止
させた状態で同時に計測した2つの位置ずれ量ΔD1お
よびΔD2と、既定値である間隔BL0との基づいて、
ベースライン量BLを高精度に計測することができる。
【0031】本発明の第1発明では、第1基準マークお
よび第2基準マークを有する基準板すなわち基準マーク
板が、基板ステージ(上述のウェハステージに対応)に
取り付けられている。ここで、第1基準マークは、上述
したオフ・アクシス・アライメント系のような第1検出
系によって検出される。また、第2基準マークは、上述
したTTL方式のマスクアライメント系のような第2検
出系により、投影光学系を介して検出される。具体的に
は、第1検出系としてのオフ・アクシス・アライメント
系が第1基準マークを検出している基準マーク板の静止
状態において、第2検出系としてのマスクアライメント
系は、マスクに形成されたマスクマークを検出するとと
もに、投影光学系を介して第2基準マークを検出する。
【0032】そして、基準マーク板は、0.1ppm/
°C以下の線膨張係数を有する材料、すなわち低膨張ガ
ラスや低膨張セラミックスのような低膨張材で形成され
ている。したがって、ある程度の範囲に亘って温度変動
が起こっても、基準マーク板の寸法が変化しにくく、ひ
いては第1基準マークと第2基準マークとの間隔が変化
しにくく、ベースラインの計測を高精度に行うことがで
きる。換言すると、第1発明では、温度変動などに起因
する基準マーク板の変形を良好に抑えて、高精度な同時
ベースライン計測を行うことができる。
【0033】また、第1発明では、基準マーク板は、第
1基準マークおよび第2基準マークの形成された中央部
と、この中央部よりも実質的に小さい厚さを有する周辺
部とを有する。そして、基準マーク板は、周辺部を介し
て基板ステージに締結されている。このように、中央部
よりも実質的に小さい厚さを有する周辺部を介して基板
ステージに基準マーク板を締結する構成により、締結に
伴って発生する応力が中央部に影響を及ぼしにくくな
る。その結果、中央部が変形しにくくなり、ひいては第
1基準マークと第2基準マークとの間隔が変化しにくく
なり、ベースラインの計測を高精度に行うことができ
る。
【0034】また、本発明の第2発明では、ナイフエッ
ジパターンのような所定パターンが形成されたパターン
領域と反射領域とを有する基準板すなわち基準平面板
が、基板ステージに取り付けられている。さらに、空間
像検出系のような第1検出系と、二次元多点AF系のよ
うな第2検出系とを備えている。ここで、第1検出系
は、投影光学系およびパターン領域を介して検出した光
束に基づいて、投影光学系による空間像の強度分布を検
出する。また、第2検出系は、反射領域に斜め方向から
光束を投射し、この反射領域で反射された光束に基づい
て、反射領域の面位置を検出する。
【0035】そして、基準平面板の反射領域は、He−
Neレーザー光の波長をλ(=633nm)とすると
き、λ/20以下のPV値(peak to valley value)を
有する面精度で形成されている。こうして、第2発明で
は、従来のステージ基準板と平面基準板とを単一の基準
平面板に一体化しているので、基板ステージ上に設けら
れた単一の基準平面板を用いて空間像の強度分布の検出
および二次元多点AF系のキャリブレーションを行うこ
とができ、ひいては装置の小型化を図ることができる。
【0036】なお、従来のステージ基準板と平面基準板
とを単一の基準平面板に一体化して装置の小型化を図る
場合、ナイフエッジパターンの良好なパターンニング
と、二次元多点AF系のキャリブレーション用の反射領
域における高い平坦度の確保との両立が困難である。第
2発明では、小さなパターン領域を包囲するように反射
領域を形成している。そして、この反射領域を、たとえ
ばAl(アルミニウム)からなる反射層と、この反射層
の上に形成されたSiO2からなる保護層とで構成して
いる。
【0037】この構成により、従来技術にしたがうCr
(クロム)からなる反射層に比して反射層の膜応力の発
生を小さく抑えるとともに、膜応力による反射層の面変
化を保護層の作用によって良好に抑え、反射領域の面精
度を高く形成することができる。その結果、第2発明で
は、良好にパターンニング(形成)されたナイフエッジ
パターンと平坦度の高い反射領域とを有する基準平面板
を用いて、空間像の強度分布の検出および二次元多点A
F系のキャリブレーションを高精度に行うことができ
る。
【0038】本発明の実施形態を、添付図面に基づいて
説明する。図3は、本発明の実施形態にかかる露光装置
の構成を概略的に示す図であって、露光装置に搭載され
たオフ・アクシス・アライメント系(FIA系)とマス
クアライメント系とでベースライン計測をしている状態
を示している。図3において、感光性基板であるウェハ
Wの法線方向に沿ってZ軸を、ウェハ面内において図3
の紙面に平行な方向にY軸を、ウェハ面内において図3
の紙面に垂直な方向にX軸をそれぞれ設定している。
【0039】図3の露光装置は、露光光(照明光)を供
給するための光源1として、たとえば248nm(Kr
F)または193nm(ArF)の波長の光を供給する
エキシマレーザー光源を備えている。光源1から射出さ
れたほぼ平行光束は、ビーム整形光学系(ビームエキス
パンダー)2を介して所定断面の光束に整形された後、
干渉性低減部3に入射する。干渉性低減部3は、被照射
面であるマスクM上(ひいてはウェハW上)での干渉パ
ターンの発生を低減する機能を有する。干渉性低減部3
の詳細については、たとえば特開昭59−226317
号公報に開示されている。
【0040】干渉性低減部3からの光束は、第1フライ
アイレンズ4を介して、その後側焦点面に多数の光源を
形成する。これらの多数の光源からの光は、振動ミラー
5で偏向された後、リレー光学系6を介して第2フライ
アイレンズ7を重畳的に照明する。ここで、振動ミラー
5は、X軸周りに回動する折り曲げミラーであって、被
照射面での干渉パターンの発生を低減する機能を有す
る。こうして、第2フライアイレンズ7の後側焦点面に
は、多数の光源からなる二次光源が形成される。この二
次光源からの光束は、その近傍に配置された開口絞り8
により制限された後、コンデンサー光学系9を介して、
下側面に所定のパターンが形成されたマスクMを重畳的
に均一照明する。
【0041】マスクMのパターンを透過した光束は、投
影光学系PLを介して、感光性基板であるウェハW上に
マスクパターンの像を形成する。マスクMは、マスクホ
ルダ(不図示)を介して、マスクステージMSTに載置
されている。なお、マスクステージMSTは、主制御系
(不図示)からの指令に基づき、マスクステージ制御部
(不図示)によって駆動される。このとき、マスクステ
ージMSTの移動は、マスク干渉計(不図示)とマスク
ステージMSTに設けられた移動鏡(不図示)とにより
計測される。
【0042】一方、ウェハWは、ウェハステージWST
上のウェハホルダWHに真空チャックされている。ウェ
ハステージWSTは、主制御系(不図示)からの指令に
基づき、ウェハステージ制御部(不図示)によって駆動
される。このとき、ウェハステージWSTの移動は、ウ
ェハ干渉計WIFとウェハステージWSTに設けられた
移動鏡WMRとにより計測される。こうして、ウェハス
テージWSTは、X方向の移動機能、Y方向の移動機
能、Z方向の移動機能、Z軸周りの回転機能、X軸周り
のチルト機能、およびY軸周りのチルト機能を有し、ウ
ェハ干渉計WIFとウェハステージ制御部とによりナノ
オーダで位置制御される。
【0043】なお、ウェハステージWST上には、ウェ
ハWの露光面とほぼ同じ高さ位置に表面を有する基準マ
ーク板FMPが設けられている。図4は、ウェハステー
ジ上に設けられた基準マーク板の表面の構成を示す図で
ある。図4に示すように、基準マーク板FMPの表面に
は、たとえばクロム膜からなる反射部(図中斜線で示
す)が全体的に形成され、この反射部中に1つの第1基
準マークFM1と一対の第2基準マークFM2aおよび
FM2bとが形成されている。
【0044】第1基準マークFM1は、ウェハWに形成
されたアライメントマークすなわちウェハマーク(不図
示)と同等の基準マークであって、所定のピッチで縦横
に間隔を隔てて形成された複数の矩形状の微小反射部か
ら構成されている。一方、第2基準マークFM2aおよ
びFM2bは、後述するようにマスクMに形成されたア
ライメントマークすなわちマスクマークMM(図6参
照)と重ねて検出される基準マークであって、二重四角
形状に配置された8つのスリット状の微小反射部から構
成されている。上述の第1基準マークFM1および第2
基準マークFM2aおよびFM2bを構成する微小反射
部は、クロム膜からなる残しパターンである。
【0045】そして、一対の第2基準マークFM2aお
よびFM2bは、X方向に沿って配置されている。ま
た、X方向に沿った一対の第2基準マークFM2aの中
心点とFM2bの中心点との中間点と、第1基準マーク
FM1の中心点とがY方向に沿って配置されている。さ
らに、一対の第2基準マークFM2aおよびFM2bの
中心点と第1基準マークFM1の中心点とのY方向に沿
った距離は、ベースライン量の設計値と同じ値に設定さ
れている。なお、基準マーク板FMPのさらに詳細な構
成については、後述する。
【0046】また、図3の露光装置は、基準マーク板F
MP上に形成された第1基準マークFM1またはウェハ
Wに形成されたウェハマークを検出するための検出系と
して、オフ・アクシス・アライメント系すなわちFIA
(Field Image Alignment)系11を備えている。図5
は、図3の露光装置に搭載されたFIA系の構成を概略
的に示す図である。図5を参照すると、FIA系11
は、波長帯域幅の広い照明光を供給するための光源50
を備えている。光源50として、たとえばハロゲンラン
プのような光源を使用することができる。光源50から
の照明光は、図示を省略したリレー光学系を介して、た
とえば光ファイバーのようなライトガイド51に入射
し、その内部を伝搬する。ライトガイド51の射出端か
ら射出された照明光は、たとえば円形の開口部を有する
照明開口絞り52を介して制限された後、コンデンサー
レンズ53に入射する。
【0047】コンデンサーレンズ53を介した光は、照
明視野絞り(不図示)を介して照明リレーレンズ54に
入射する。照明リレーレンズ54を介した光は、ハーフ
プリズム55を透過した後、第1対物レンズ56に入射
する。第1対物レンズ56を介した光は、反射プリズム
57の反射面で図中下方に反射された後、基準マーク板
FMP上に形成された第1基準マークFM1(またはウ
ェハW上に形成されたウェハマーク)を落射照明する。
照明された第1基準マークFM1(またはウェハマー
ク)からの反射光(回折光を含む)は、反射プリズム5
7および第1対物レンズ56を介して、ハーフプリズム
55に入射する。
【0048】ハーフプリズム55で図中上方に反射され
た光は、第2対物レンズ58を介して、指標板59上に
第1基準マークFM1の像(またはウェハマークの像)
を形成する。第1基準マークFM1の像(またはウェハ
マークの像)からの光は、リレーレンズ系60およびそ
の光路中において照明開口絞り52と光学的にほぼ共役
な位置に配置された結像開口絞り61を介して、XY分
岐ハーフプリズム62に入射する。そして、XY分岐ハ
ーフプリズム62で反射された光はY方向用CCD63
に、XY分岐ハーフプリズム62を透過した光はX方向
用CCD64に入射する。
【0049】こうして、Y方向用CCD63およびX方
向用CCD64の撮像面には、第1基準マーク像(また
はウェハマーク像)が指標板59の指標パターン像とと
もに形成される。Y方向用CCD63およびX方向用C
CD64からの出力信号は、信号処理系65に供給され
る。信号処理系65では、信号処理(波形処理)により
第1基準マークFM1(またはウェハマーク)の位置情
報が得られる。そして、得られた第1基準マークFM1
(またはウェハマーク)の位置情報に基づいて、ベース
ラインの計測(またはウェハWのXY平面に沿ったアラ
イメント)を行うことができる。特に、ベースライン計
測時には、第1基準マークFM1の位置情報として、指
標パターン像の中心点すなわちFIA系11の検出中心
点に対する第1基準マークFM1の位置ずれΔD1が得
られる。
【0050】さらに、図3の露光装置は、マスクM上に
形成されたマスクマークMMを検出するとともに、投影
光学系PLを介して基準マーク板FMP上に形成された
第2基準マークFM2aおよびFM2bを検出するため
の検出系として、一対のTTL方式のマスクアライメン
ト系12aおよび12bを備えている。なお、一対のマ
スクアライメント系12aおよび12bは、互いに同じ
構成を有し、YZ平面に関して対称に配置されている。
【0051】図6は、図3の露光装置に搭載されたマス
クアライメント系の構成を概略的に示す図である。ま
た、図7は、マスクに形成されたマスクマークの構成を
概略的に示す図である。図7に示すように、マスクMの
パターン領域PAの外側において、一対の十字型のマス
クマークMMaおよびMMbがX方向に沿って形成され
ている。なお、一対のマスクマークMMaおよびMMb
は、十字型のマーク部が光を遮光するように構成され
た、いわゆる残しパターンである。
【0052】マスクアライメント系12aおよび12b
の使用に際して、図1のビーム整形光学系2と干渉性低
減部3との間の光路中に切り換えミラー(脱着ミラー:
不図示)が挿入位置決めされ、光源1からの露光光がマ
スクアライメント系12aおよび12bの光路へ導かれ
る。以下、図1において手前に配置された(+X側に配
置された)一方のマスクアライメント系12aに着目し
て、その構成を説明する。
【0053】切り換えミラーを介してマスクアライメン
ト系12aの光路へ導かれた光源1からの光は、図示を
省略したリレー光学系を介して、たとえば光ファイバー
のようなライトガイド71に入射し、その内部を伝搬す
る。ライトガイド71の射出端から射出された照明光
は、たとえば円形の開口部を有する照明開口絞り(不図
示)を介して制限された後、コンデンサーレンズ72に
入射する。コンデンサーレンズ72を介した光は、マス
クMのパターン面と光学的に共役に配置された照明視野
絞り73を介して、照明リレーレンズ74に入射する。
【0054】照明リレーレンズ74を介した光は、ハー
フミラー75を透過した後、第1対物レンズ76に入射
する。第1対物レンズ76を介した光は、アフォーカル
レンズ77を介して、抜き差しミラー78に入射する。
抜き差しミラー78で図中下方に反射された光は、マス
クM上に形成されたマスクマークMMaを落射照明す
る。なお、抜き差しミラー78は、マスクアライメント
系12の使用に際して光路中に挿入される脱着ミラーで
あって、露光中にはマスクアライメント系12aの光路
から退避するように構成されている。
【0055】マスクMを透過した光は、投影光学系PL
を介して、基準マーク板FMP上に形成された一方の第
2基準マークFMaを照明する。ここで、マスクアライ
メント系12aの照明光は露光光と同じ波長を有する。
したがって、第2基準マークFMaの上には、対応する
マスクマークMMaの像が重なって形成される。すなわ
ち、マスクマークMMaの像により、対応する第2基準
マークFMaの照明が行われる。
【0056】照明された第2基準マークFMaからの反
射光は、投影光学系PLおよびマスクMを介して、抜き
差しミラー78に入射する。抜き差しミラー78で反射
された光は、アフォーカルレンズ77および第1対物レ
ンズ76を介して、ハーフミラー75に入射する。ハー
フミラー75で反射された光は、アフォーカル系79を
介してハーフミラー80に入射する。ハーフミラー80
を透過した光は、結像レンズ81を介して低倍モニター
用CCD82に入射する。低倍モニター用CCD82の
出力は、図示を省略したモニターに供給される。
【0057】一方、ハーフミラー80で反射された光
は、第2対物レンズ83を介して、XY分岐ハーフミラ
ー84に入射する。そして、XY分岐ハーフミラー84
を透過した光はX方向一次元アレイセンサ85に、XY
分岐ハーフミラー84で反射された光はY方向一次元ア
レイセンサ86に入射する。こうして、低倍モニター用
CCD82、X方向一次元アレイセンサ85およびY方
向一次元アレイセンサ86の撮像面には、マスクマーク
MMaと第2基準マーク像FM2aとの合成像が形成さ
れる。
【0058】なお、一般的に、投影光学系PLのマスク
側のテレセントリシティが完全ではないため、マスクの
厚さが変わるとデフォーカスが生じ各撮像面に形成され
るマスクマークと基準マーク像FM2aに微妙な位置ず
れが発生してしまう。このようなことが起こる理由は、
基準マーク側のテレセントリシティは投影光学系光軸に
平行であるが、マスクマーク側の光軸は平行ではない。
よって、基準マークからの反射光束とマスクマークから
の反射光束とは角度が異なるためである。ピント位置検
出方法として、マスクマーク像のコントラストが最も良
くなるような位置を探して行う方法、またマークのエッ
ジの倒れが最も少ない位置を探す方法がある。これら
は、撮像したマーク像を画像処理することにより容易に
実現できる。この場合、アフォーカルレンズ77を光軸
方向に沿って微動させフォーカスを合わせることによ
り、マスクの厚さが変化しても前記相対位置ずれが発生
せず良好な位置ずれ量検出をすることができる。こうし
て、一方のマスクアライメント系12aによりマスクマ
ークMMaおよび第2基準マーク像FM2aが検出さ
れ、他方のマスクアライメント系12bによりマスクマ
ークMMbおよび第2基準マーク像FM2bが検出され
る。
【0059】そして、ベースライン計測に先立って、一
対のマスクマークMMaおよびMMbの位置情報に基づ
いて、マスクMの中心が投影光学系PLの光軸AXと合
致するようにマスクステージMSTを微動させる。この
とき、低倍モニター用CCD82を介してモニターに表
示された画像に基づいて、マスクMを投影光学系PLに
対して粗精度でプリアライメントする。次いで、X方向
一次元アレイセンサ85およびY方向一次元アレイセン
サ86を介して得られた一対のマスクマークMMaおよ
びMMbの位置情報に基づいて、マスクMを投影光学系
PLに対して細精度でファイナルアライメントする。
【0060】次いで、FIA系11の検出中心点と第1
基準マークFM1との位置ずれ量ΔD1を求めた状態か
らウェハステージWSTを移動させることなく静止させ
た状態で、X方向一次元アレイセンサ85およびY方向
一次元アレイセンサ86の出力信号に基づいて、マスク
マークMMaと第2基準マークFM2aとの位置ずれ量
ΔD2aおよびマスクマークMMbと第2基準マークF
M2bとの位置ずれ量ΔD2bを求める。すなわち、検
出系としてのFIA系11が第1基準マークFM1を検
出している基準マーク板FMPの静止状態において、検
出系としてのマスクアライメント系12aおよび12b
は、マスクMに形成されたマスクマークMMaおよびM
Mbをそれぞれ検出するとともに、投影光学系PLを介
して第2基準マークFM2aおよびFM2bをそれぞれ
検出する。
【0061】ここで、前述したように、基準マーク板F
MP上において、一対の第2基準マークFM2aおよび
FM2bの中心点と第1基準マークFM1の中心点との
Y方向に沿った距離BL0は、ベースライン量BLの設
計値と同じ値に設定されている。こうして、ウェハステ
ージWSTを静止させた状態で同時に計測した位置ずれ
量ΔD1、ΔD2aおよびΔD2bと、既定値である間
隔BL0との基づいて、ベースライン量BLが高精度に
計測される。
【0062】本実施形態では、基準マーク板FMPが、
0.1ppm/°C以下の線膨張係数を有する材料、す
なわち低膨張ガラスや低膨張セラミックスのような低膨
張材で形成されている。具体的には、たとえば、低熱膨
張ガラスとして、チタン珪酸ガラス(例えば米国ニュー
ヨーク州コーニング市のコーニングインコーポレイテッ
ド(Corning Incorporated)から入手可能なULE(商
標))、同じくコーニングインコーポレイテッドから入
手可能なゼロデュア(商標)、神奈川県相模原市の株式
会社オハラから入手可能なクリアセラム Z(CLIARCERA
M Z)(商標)等が挙げられる。ここで、ULEの熱膨張
係数は+0.05ppm/Kであり、ゼロデュアの熱膨
張係数は−0.03ppm/Kであり、クリアセラムZ
の熱膨張係数は0.08ppm/Kである。
【0063】したがって、本実施形態では、ある程度の
範囲に亘って温度変動が起こっても、基準マーク板FM
Pの寸法が変化しにくく、ひいては一対の第2基準マー
クFM2aおよびFM2bの中心点と第1基準マークF
M1の中心点とのY方向に沿った距離BL0が変化しに
くく、ベースラインの計測を高精度に行うことができ
る。換言すると、本実施形態では、温度変動などに起因
する基準マーク板FMPの変形を良好に抑えて、高精度
な同時ベースライン計測を行うことができる。
【0064】図8は、基準マーク板の全体的な形状およ
び基準マーク板のウェハステージへの取付け態様を示す
図であって、(a)は平面図を、(b)は(a)の線A
−Aに沿った断面図を示している。図8に示すように、
基準マーク板FMPは、第1基準マークFM1および第
2基準マークFM2(FM2a,FM2b)の形成され
た中央部80と、この中央部80よりも実質的に小さい
厚さを有する周辺部81とを有する。周辺部81には、
基準マーク板FMPの表面に沿って外側へ突出する複数
の突出部82が設けられている。そして、基準マーク板
FMPは、周辺部81の突出部82を介して、たとえば
ビス83のような締結手段によりウェハステージWST
に取り付けられている。
【0065】このように、本実施形態では、中央部80
よりも実質的に小さい厚さを有する周辺部81を介して
ウェハステージWSTに基準マーク板FMPを締結する
構成により、締結に伴って発生する応力が中央部80に
影響を及ぼしにくくなる。その結果、中央部80が変形
しにくくなり、ひいては第1基準マークFM1と第2基
準マークFM2との間隔、すなわち一対の第2基準マー
クFM2aおよびFM2bの中心点と第1基準マークF
M1の中心点とのY方向に沿った距離BL0が変化しに
くくなり、ベースラインの計測を高精度に行うことがで
きる。本実施形態では、Y方向に沿った方向にベースラ
イン量が発生しているが、XY平面内のどの方向にどれ
だけ離れていても構わない。
【0066】また、従来、基準マーク板は、ウェハステ
ージに取り付けられた台座に対して接着剤を介して固着
されていた。本実施形態では、従来技術とは異なり、接
着剤を用いることなく基準マーク板FMPをウェハステ
ージWSTに取り付けているので、温度変動による接着
剤の比較的大きな変形の悪影響を回避することができ
る。さらに、接着剤を用いていないので、レーザー光の
照射による有害ガス(たとえばレンズ表面を曇らせてそ
の光透過率の低下を招くような有害ガス)の発生を回避
することができる。
【0067】さらに、本実施形態では、第1基準マーク
FM1および第2基準マークFM2の検出精度を高く確
保するために、これらのマークが形成された基準マーク
板FMPの表面が高い平坦度を有することが好ましい。
具体的には、基準マーク板FMPの表面は、面精度の通
常計測光であるHe−Neレーザー光の波長をλ(=6
33nm)とするとき、3λ以下のPV値(peak to va
lley value)を有する面精度で形成されていることが好
ましい。
【0068】なお、上述の説明では、通常の反射率(た
とえば15%〜30%)を有する通常マスクを想定し
て、第2基準マークFM2を残しパターンで形成してい
る。しかしながら、たとえば反射率が0%〜15%程度
の低反射マスクや、ハーフトーンマスクを用いる場合に
は、第2基準マークFM2の二重四角形状のマーク部を
非反射部として構成し、いわゆる抜きパターンで形成す
ることが好ましい。もちろん、通常マスクを用いる場合
であっても、必要に応じて、第2基準マークFM2を抜
きパターンで形成することもできる。
【0069】図9は、図3に対応する図であって、露光
装置に搭載された斜入射方式の二次元多点AF系のキャ
リブレーションおよび投影光学系による空間像の強度分
布の検出を行っている状態を示している。図9に示すよ
うに、ウェハステージWST上には、ウェハWの露光面
とほぼ同じ高さ位置に表面を有する基準平面板SPが設
けられている。図10は、ウェハステージ上に設けられ
た基準平面板の構成を示す図である。なお、基準平面板
SPは、二次元多点AF系のキャリブレーションのため
の平面基準板と、投影光学系による空間像の強度分布の
検出のためのステージ基準板とを一体化した単一の基準
板である。
【0070】基準平面板SPは、図10(a)に示すよ
うに、たとえば切り欠き円形状の石英ガラス板110か
らなり、その表面には円形状の小さなパターン領域11
1と、このパターン領域111を包囲するように配置さ
れた矩形状の反射領域112とが形成されている。パタ
ーン領域111のほぼ全体は、たとえばクロム膜からな
る反射部(遮光部)111aによって形成され、この反
射部111aの中心に正方形状の光透過部111bが形
成されている。あるいは、反射部111aの中央部に、
X方向に沿って細長く延びた矩形状の第1光透過部11
1cおよびY方向に沿って細長く延びた矩形状の第2光
透過部111dが形成されている。
【0071】ここで、正方形状の光透過部111b、あ
るいは矩形状の第1光透過部111cおよび第2光透過
部111dは、いわゆるナイフエッジパターンを構成し
ている。以下、パターン領域111には正方形状の光透
過部111bが形成されているものとして説明する。一
方、反射領域112は、図10(b)に示すように、た
とえばAl(アルミニウム)からなる反射層112a
と、この反射層112aの上に形成されたSiO2から
なる保護層112bとから構成されている。ここで、反
射層112aは約950オングストロームの厚さを有
し、保護層112bは約50オングストロームの厚さを
有する。また、反射領域112のY方向に沿った両側に
は、一対の回転調整マーク113aおよび113bが形
成されている。
【0072】ところで、基準平面板SPは複数の板バネ
によって台座(不図示)に取り付けられ、この台座は複
数の板バネによってウェハステージWSTに取り付けら
れている。このとき、上述の一対の回転調整マーク11
3aおよび113bを用いることにより、パターン領域
111に形成された正方形状の光透過部111bの隣接
する2つの辺(エッジ)がそれぞれX方向およびY方向
に合致するように(あるいはパターン領域111に形成
された矩形状の第1光透過部111cの長手方向および
第2光透過部111dの長手方向がそれぞれX方向およ
びY方向に合致するように)、基準平面板SPがウェハ
ステージWSTに取り付けられる。
【0073】また、図3の露光装置は、投影光学系PL
の光軸AXの方向すなわちZ方向に沿ったウェハWの面
位置を検出するための検出系として、いわゆる斜入射方
式の二次元多点AF系(オートフォーカス系)13を備
えている。この二次元多点AF系13は、検出光として
波長幅の広い白色光を供給するための光源として、たと
えばハロゲンランプ(不図示)を備えている。光源から
の照明光はリレー光学系(不図示)を介して、ライトガ
イド90に入射する。ライトガイド90の内部を伝搬し
た光は、コンデンサーレンズ91を介してほぼ平行光束
に変換された後、偏向プリズム92に入射する。
【0074】偏向プリズム92は、コンデンサーレンズ
91からのほぼ平行光束を、屈折作用により偏向させ
る。また、偏向プリズム92の射出側には、X方向に延
びる細長い透過部とX方向に延びる細長い遮光部とが一
定のピッチで交互に設けられた透過型格子パターンが形
成されている。偏向プリズム92の透過型格子パターン
を透過した光は、投影光学系PLの光軸AXに平行な光
軸に沿って配置された投射用集光レンズ93に入射す
る。投射用集光レンズ93を介した光束は、ミラー94
および投射用対物レンズ95を介して、所要の入射角で
基準平面板SPまたはウェハWに達する。
【0075】すなわち、二次元多点AF系13のキャリ
ブレーション時には、検出光が基準平面板SPへ入射す
る。また、二次元多点AF系13の計測時には、検出光
がウェハWの表面へ入射する。こうして、基準平面板S
Pのパターン領域111上および反射領域112上(ま
たはウェハWの露光面)には、二次元スリット投影パタ
ーンとしての格子パターンの一次像が形成される。基準
平面板SPの表面(またはウェハWの露光面)で反射さ
れた光は、受光用対物レンズ96および振動ミラー97
を介して、受光用集光レンズ98に入射する。
【0076】受光用集光レンズ98を介した光は、上述
の偏向プリズム92と同様の構成を有するアオリ補正プ
リズム99に入射する。こうして、アオリ補正プリズム
99の入射面には、格子パターンの二次像が形成され
る。なお、アオリ補正プリズム99の入射面には、遮光
手段としての二次元受光スリットが設けられている。ア
オリ補正プリズム99の射出面から射出された光は、一
対のレンズで構成されるリレー光学系100に入射す
る。リレー光学系100を介した光は、アオリ補正プリ
ズム99の入射面上に形成された格子パターンの二次像
と受光スリットの開口部との共役像を、受光部101の
受光面上に形成する。
【0077】受光部101の受光面には、受光スリット
の複数の開口部に光学的に対応するように、二次元受光
センサとしての複数のシリコン・フォト・ダイオードが
設けられている。なお、基準平面板SPの表面が投影光
学系PLの像面と一致する状態において、格子パターン
が形成された偏向プリズム92の射出面と基準平面板S
Pの表面、および二次元受光スリットの形成されたアオ
リ補正プリズム99の入射面と基準平面板SPの表面と
がシャインプルーフの条件を満たした共役関係になって
いる。ここで、基準平面板SP(またはウェハW)が投
影光学系PLの光軸AXに沿ってZ方向に上下移動する
と、アオリ補正プリズム99の入射面上に形成される格
子パターンの二次像は、基準平面板SP(またはウェハ
W)の上下移動に対応してパターンのピッチ方向に横ず
れを起こす。
【0078】こうして、光電顕微鏡の原理により、格子
パターンの二次像の横ずれ量を光電検出し、光電検出し
た横ずれ量に基づいて投影光学系PLの光軸AXに沿っ
た基準平面板SP(またはウェハW)の面位置を検出す
る。また、二次元多点オートフォーカス方式にしたがっ
て投影光学系PLの光軸AXに沿った基準平面板SP
(またはウェハW)の面位置を二次元的に検出する。そ
して、たとえば後述する空間像検出系14を用いて基準
平面板SPの表面と投影光学系PLの像面とを一致さ
せ、この状態において得られる受光部101の出力に基
づいて、二次元多点AF系13のキャリブレーションが
行われる。
【0079】また、二次元多点AF系13の計測時に
は、キャリブレーション後の受光部101の出力に基づ
いて、ウェハステージWSTをZ方向に移動させたり、
X軸周りおよびY軸周りにチルトさせることにより、投
影光学系PLのフォーカス方向にウェハWの面位置を二
次元的にアライメントすることができる。なお、光電顕
微鏡の原理の詳細については、例えば特開昭56−42
205号公報に開示されている。また、二次元多点オー
トフォーカス方式の詳細については、例えば特開平6−
97045号公報に開示されている。
【0080】また、図3の露光装置は、投影光学系PL
による空間像の強度分布を検出するための検出系とし
て、いわゆる空間像検出系14を備えている。図3を参
照すると、空間像検出系14では、投影光学系PLを介
して形成された空間像からの光または空間像に向かう光
が、基準平面板SPのパターン領域111に形成された
正方形状の光透過部111bを通過し、受光用第1リレ
ーレンズ102に入射する。受光用第1リレーレンズ1
02を介した光は、ミラー103で反射された後、受光
用第2リレーレンズ104を介してライトガイド105
の入射端に入射する。
【0081】ライトガイド105の射出端から射出され
た光は、ミラー106で反射された後、送光用第1リレ
ーレンズ107を介してウェハステージWSTの外部に
導き出される。ウェハステージWSTの外部に導き出さ
れた光は、送光用第2リレーレンズ108を介して、た
とえばフォトマルのような受光センサ109によって受
光される。受光センサ109の出力は、不図示の処理系
の入力に接続されている。こうして、ウェハステージW
STを、ひいては光透過部111bをX方向およびY方
向に沿って移動させて得られる受光センサ109の出力
に基づいて、投影光学系PLによる空間像の強度分布が
計測される。
【0082】本実施形態では、石英ガラス板110から
なる基準平面板SPの表面にクロム(Cr)を蒸着し、
たとえば電子ビーム露光技術を利用して、光透過部11
1b(あるいは光透過部111cおよび111d)をパ
ターンニングする。次いで、レジストを塗布して、リフ
トアップ露光を行う。こうして、基準平面板SPの表面
には、小さな円形状(たとえば直径4.5mm以下)の
パターン領域111が形成される。そして、パターン領
域111の周囲には、アルミニウムからなる反射層11
2aとSiO2からなる保護層112bとが蒸着され
る。
【0083】以上のように、本実施形態では、従来技術
と同様に、クロム膜をパターンニングすることにより、
光透過部111b(あるいは光透過部111cおよび1
11d)を形成しているので、ナイフエッジパターンの
良好なパターンニングが可能である。また、クロム膜の
場合、形成後の膜応力により膜収縮が起こって面精度が
悪化するという不都合があるが、本実施形態ではクロム
膜からなるパターン領域111の大きさを非常に小さく
設定しているので、パターン領域111の反射部111
aの面精度を高く形成することが可能である。
【0084】一方、二次元多点AF系13の基準反射面
の大部分を構成する反射領域112については、上述し
たように、アルミニウムからなる比較的厚い反射層11
2aの上に、SiO2からなる比較的薄い保護層112
bを形成している。この構成により、クロムからなる従
来の反射層に比してアルミニウムからなる反射層112
a反射層の膜応力の発生を小さく抑えるとともに、膜応
力による反射層112aの面変化を保護層112bの作
用によって良好に抑え、反射領域112の面精度を高く
形成することが可能である。また、クロム、アルミニウ
ム、Siの代わりに、Ti、W、Fe、Ni、Cu、M
o、Ag、Pt、Au、Ir、Bなどの物質、およびこ
れらの物質の酸化物あるいは窒化物も使用することが可
能である。また、本実施形態のクロム領域は、何ヶ所が
あっても構わない。
【0085】具体的には、基準平面板SPの反射領域1
12を、面精度の通常計測光であるHe−Neレーザー
光の波長をλ(=633nm)とするとき、λ/20以
下のPV値(peak to valley value)を有する面精度で
形成することが可能である。また、非常に小さく設定さ
れたパターン領域111の反射部111aも、反射領域
112と同等の面精度で形成することが可能である。
【0086】したがって、本実施形態では、ウェハステ
ージWST上に設けられた単一の基準平面板SPを用い
て空間像の強度分布の検出および二次元多点AF系のキ
ャリブレーションを行うことができ、ひいては装置の小
型化を図ることができる。また、良好にパターンニング
(形成)されたナイフエッジパターン(光透過部111
bあるいは光透過部111cおよび111d)と平坦度
の高い反射領域112とを有する基準平面板SPを用い
て、空間像の強度分布の検出および二次元多点AF系の
キャリブレーションを高精度に行うことができる。
【0087】本実施形態では、照明系によってマスクを
照明し(照明工程)、投影光学系を用いてマスクに形成
された転写用のパターンを感光性基板に露光する(露光
工程)ことにより、マイクロデバイス(半導体素子、撮
像素子、液晶表示素子、薄膜磁気ヘッド等)を製造する
ことができる。以下、図3および図9に示す本実施形態
の露光装置を用いて感光性基板としてのウェハ等に所定
の回路パターンを形成することによって、マイクロデバ
イスとしての半導体デバイスを得る際の手法の一例につ
き図11のフローチャートを参照して説明する。
【0088】先ず、図11のステップ301において、
1ロットのウェハ上に金属膜が蒸着される。次のステッ
プ302において、そのlロットのウェハ上の金属膜上
にフォトレジストが塗布される。その後、ステップ30
3において、図3および図9に示す露光装置を用いて、
マスク上のパターンの像がその投影光学系(投影光学モ
ジュール)を介して、その1ロットのウェハ上の各ショ
ット領域に順次露光転写される。その後、ステップ30
4において、その1ロットのウェハ上のフォトレジスト
の現像が行われた後、ステップ305において、その1
ロットのウェハ上でレジストパターンをマスクとしてエ
ッチングを行うことによって、マスク上のパターンに対
応する回路パターンが、各ウェハ上の各ショット領域に
形成される。その後、更に上のレイヤの回路パターンの
形成等を行うことによって、半導体素子等のデバイスが
製造される。上述の半導体デバイス製造方法によれば、
極めて微細な回路パターンを有する半導体デバイスをス
ループット良く得ることができる。
【0089】また、図3および図9に示す露光装置で
は、プレート(ガラス基板)上に所定のパターン(回路
パターン、電極パターン等)を形成することによって、
マイクロデバイスとしての液晶表示素子を得ることもで
きる。以下、図12のフローチャートを参照して、この
ときの手法の一例につき説明する。図12において、パ
ターン形成工程401では、各実施形態の露光装置を用
いてマスクのパターンを感光性基板(レジストが塗布さ
れたガラス基板等)に転写露光する、所謂光リソグラフ
ィー工程が実行される。この光リソグラフィー工程によ
って、感光性基板上には多数の電極等を含む所定パター
ンが形成される。その後、露光された基板は、現像工
程、エッチング工程、レチクル剥離工程等の各工程を経
ることによって、基板上に所定のパターンが形成され、
次のカラーフィルター形成工程402へ移行する。
【0090】次に、カラーフィルター形成工程402で
は、R(Red)、G(Green)、B(Blue)に対応した3
つのドットの組がマトリックス状に多数配列されたり、
またはR、G、Bの3本のストライプのフィルターの組
を複数水平走査線方向に配列したカラーフィルターを形
成する。そして、カラーフィルター形成工程402の後
に、セル組み立て工程403が実行される。セル組み立
て工程403では、パターン形成工程401にて得られ
た所定パターンを有する基板、およびカラーフィルター
形成工程402にて得られたカラーフィルター等を用い
て液晶パネル(液晶セル)を組み立てる。セル組み立て
工程403では、例えば、パターン形成工程401にて
得られた所定パターンを有する基板とカラーフィルター
形成工程402にて得られたカラーフィルターとの間に
液晶を注入して、液晶パネル(液晶セル)を製造する。
【0091】その後、モジュール組み立て工程404に
て、組み立てられた液晶パネル(液晶セル)の表示動作
を行わせる電気回路、バックライト等の各部品を取り付
けて液晶表示素子として完成させる。上述の液晶表示素
子の製造方法によれば、極めて微細な回路パターンを有
する液晶表示素子をスループット良く得ることができ
る。
【0092】なお、上述の実施形態では、エキシマレー
ザー光源を備えた露光装置に本発明を適用しているが、
これに限定されることなく、たとえば超高圧水銀ランプ
のような他の光源を有する露光装置に本発明を適用する
こともできる。また、スキャン型(走査型)の露光装置
にももちろん適用できる。
【0093】
【発明の効果】以上説明したように、本発明では、第1
基準マークおよび第2基準マークを有する基準マーク板
が基板ステージに取り付けられ、この基準マーク板は低
膨張ガラスや低膨張セラミックスのような低膨張材で形
成されている。したがって、ある程度の範囲に亘って温
度変動が起こっても、基準マーク板の寸法が変化しにく
く、ひいては第1基準マークと第2基準マークとの間隔
が変化しにくく、ベースラインの計測を高精度に行うこ
とができる。すなわち、温度変動などに起因する基準マ
ーク板の変形を良好に抑えて、高精度な同時ベースライ
ン計測を行うことができる。
【0094】また、本発明では、ナイフエッジパターン
のような所定パターンが形成されたパターン領域と反射
領域とを有する基準平面板が基板ステージに取り付けら
れ、この基準平面板の反射領域は高い面精度で形成され
ている。具体的には、小さなパターン領域を包囲するよ
うに反射領域を形成し、この反射領域をアルミニウムか
らなる反射層とSiO2からなる保護層とで構成してい
る。この構成により、反射層の膜応力の発生を小さく抑
えるとともに、膜応力による反射層の面変化を保護層の
作用によって良好に抑え、反射領域の面精度を高く形成
することが可能になる。
【0095】こうして、本発明では、従来のステージ基
準板と平面基準板とを単一の基準平面板に一体化してい
るので、基板ステージ上に設けられた単一の基準平面板
を用いて空間像の強度分布の検出および二次元多点AF
系のキャリブレーションを行うことができ、ひいては装
置の小型化を図ることができる。また、良好にパターン
ニング(形成)されたナイフエッジパターンと平坦度の
高い反射領域とを有する基準平面板を用いて、空間像の
強度分布の検出および二次元多点AF系のキャリブレー
ションを高精度に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来技術にしたがう非同時ベースライン計測の
原理を模式的に示す図である。
【図2】図1に対応する図であって、本発明において用
いられる同時ベースライン計測の原理を模式的に示す図
である。
【図3】本発明の実施形態にかかる露光装置の構成を概
略的に示す図であって、露光装置に搭載されたオフ・ア
クシス・アライメント系(FIA系)とマスクアライメ
ント系とでベースライン計測をしている状態を示してい
る。
【図4】ウェハステージ上に設けられた基準マーク板の
表面の構成を示す図である。
【図5】図3の露光装置に搭載されたFIA系の構成を
概略的に示す図である。
【図6】図3の露光装置に搭載されたマスクアライメン
ト系の構成を概略的に示す図である。
【図7】マスクに形成されたマスクマークの構成を概略
的に示す図である。
【図8】基準マーク板の全体的な形状および基準マーク
板のウェハステージへの取付け態様を示す図であって、
(a)は平面図を、(b)は(a)の線A−Aに沿った
断面図を示している。
【図9】図3に対応する図であって、露光装置に搭載さ
れた斜入射方式の二次元多点AF系のキャリブレーショ
ンおよび投影光学系による空間像の強度分布の検出を行
っている状態を示している。
【図10】ウェハステージ上に設けられた基準平面板の
構成を示す図である。
【図11】マイクロデバイスとしての半導体デバイスを
得る際の手法のフローチャートである。
【図12】マイクロデバイスとしての液晶表示素子を得
る際の手法のフローチャートである。
【符号の説明】
1 光源 2 ビーム整形光学系 3 干渉性低減部 4,7 フライアイレンズ 5 振動ミラー 6 リレー光学系 8 開口絞り 9 コンデンサー光学系 11 FIA系 12 マスクアライメント系 13 二次元多点AF系 14 空間像検出系 FMP 基準マーク板 SP 基準平面板 M マスク MST マスクステージ PL 投影光学系 W ウェハ WST ウェハステージ

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マスクのパターン像を感光性基板上に形
    成するための投影光学系と、前記感光性基板を保持して
    移動するための基板ステージとを備えた露光装置におい
    て、 前記基板ステージに取り付けられて、第1基準マークお
    よび第2基準マークを有する基準板と、 前記第1基準マークを検出するための第1検出系と、 前記投影光学系を介して前記第2基準マークを検出する
    ための第2検出系とを備え、 前記基準板は、0.1ppm/°C以下の線膨張係数を
    有する材料で形成されていることを特徴とする露光装
    置。
  2. 【請求項2】 前記基準板は、前記第1基準マークおよ
    び前記第2基準マークの形成された中央部と、該中央部
    よりも実質的に小さい厚さを有する周辺部とを有し、 前記基準板は、前記周辺部を介して前記基板ステージに
    締結されていることを特徴とする請求項1に記載の露光
    装置。
  3. 【請求項3】 前記第1基準マークおよび前記第2基準
    マークの形成された前記基準板の表面は、He−Neレ
    ーザー光の波長をλとするとき、3λ以下のPV値(pe
    ak to valley value)を有する面精度で形成されている
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の露光装置。
  4. 【請求項4】 マスクのパターン像を感光性基板上に形
    成するための投影光学系と、前記感光性基板を保持して
    移動するための基板ステージとを備えた露光装置におい
    て、 前記基板ステージに取り付けられて、所定パターンが形
    成されたパターン領域と反射領域とを有する基準板と、 前記投影光学系および前記パターン領域を介した光束を
    検出するための第1検出系と、 前記反射領域に斜め方向から光束を投射し、前記反射領
    域で反射された光束に基づいて前記反射領域の面位置を
    検出するための第2検出系とを備え、 前記基準板の反射領域は、He−Neレーザー光の波長
    をλとするとき、λ/20以下のPV値(peak to vall
    ey value)を有する面精度で形成されていることを特徴
    とする露光装置。
  5. 【請求項5】 前記反射領域は、前記パターン領域を包
    囲するように形成されていることを特徴とする請求項4
    に記載の露光装置。
  6. 【請求項6】 前記反射領域は、反射層と、該反射層の
    上に形成された保護層とを有することを特徴とする請求
    項4または5に記載の露光装置。
  7. 【請求項7】 前記保護層の厚さは、前記反射層の厚さ
    の10%以下であることを特徴とする請求項6に記載の
    露光装置。
  8. 【請求項8】 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の
    露光装置を用いて前記マスクのパターンを前記感光性基
    板上に露光する露光工程と、該露光工程により露光され
    た前記感光性基板を現像する現像工程とを含むことを特
    徴とするマイクロデバイスの製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009239310A (ja) * 2009-07-14 2009-10-15 Integrated Solutions:Kk 露光装置
JP2016224308A (ja) * 2015-06-01 2016-12-28 キヤノン株式会社 アライメント方法、露光装置、および物品の製造方法

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