JP2002115587A - 内燃機関の燃料噴射制御装置 - Google Patents
内燃機関の燃料噴射制御装置Info
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- JP2002115587A JP2002115587A JP2000305207A JP2000305207A JP2002115587A JP 2002115587 A JP2002115587 A JP 2002115587A JP 2000305207 A JP2000305207 A JP 2000305207A JP 2000305207 A JP2000305207 A JP 2000305207A JP 2002115587 A JP2002115587 A JP 2002115587A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 始動時や始動直後においても精度良く燃料供
給量制御が可能な内燃機関の燃料噴射制御装置を提供す
る。 【解決手段】 インジェクタ27から内燃機関1のシリ
ンダ10内の燃焼室14へと流入する燃料の動的挙動を
モデル化した燃料挙動モデルを利用してインジェクタ2
7による燃料供給量Fi(k)を制御する内燃機関の燃
料噴射制御装置において、内燃機関始動時の燃料挙動モ
デルとして付着燃料量Fw(k)、筒内流入燃料量Fc
(k)の計算に際して付着燃料からの蒸発を考慮せず、
付着燃料の形成のみを考慮するモデルを用いる。
給量制御が可能な内燃機関の燃料噴射制御装置を提供す
る。 【解決手段】 インジェクタ27から内燃機関1のシリ
ンダ10内の燃焼室14へと流入する燃料の動的挙動を
モデル化した燃料挙動モデルを利用してインジェクタ2
7による燃料供給量Fi(k)を制御する内燃機関の燃
料噴射制御装置において、内燃機関始動時の燃料挙動モ
デルとして付着燃料量Fw(k)、筒内流入燃料量Fc
(k)の計算に際して付着燃料からの蒸発を考慮せず、
付着燃料の形成のみを考慮するモデルを用いる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は内燃機関の燃料噴射
制御装置に関し、特に、燃料の動的挙動をモデル化した
燃料挙動モデルを用いて燃料噴射装置による燃料供給量
を制御する内燃機関の燃料噴射制御装置に関する。
制御装置に関し、特に、燃料の動的挙動をモデル化した
燃料挙動モデルを用いて燃料噴射装置による燃料供給量
を制御する内燃機関の燃料噴射制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】内燃機関の燃料供給量を運転条件に応じ
て制御する装置として、吸気系における燃料挙動を記述
する数式モデルを設定し、運転条件や燃料条件から設定
した数式モデルを演算することで燃料挙動をシミュレー
トすることにより必要な燃料供給量を求めて燃料噴射装
置を制御する燃料挙動モデルによる制御技術が知られて
いる。
て制御する装置として、吸気系における燃料挙動を記述
する数式モデルを設定し、運転条件や燃料条件から設定
した数式モデルを演算することで燃料挙動をシミュレー
トすることにより必要な燃料供給量を求めて燃料噴射装
置を制御する燃料挙動モデルによる制御技術が知られて
いる。
【0003】しかし、内燃機関の始動時から始動直後に
おいては吸気系に付着している燃料が定常時に比べて少
ないため、定常時を基準として設定された燃料挙動モデ
ルでは燃料挙動、特に壁面等への付着、蒸発の現象を正
確に予測することができない。そこで、付着、蒸発の関
係が安定するまでの間は燃料挙動モデルを用いた制御を
禁止して気筒内への要求噴射量を補正することなく燃料
噴射装置からの噴射量とする技術が特開平8−7462
1号公報等に開示されている。
おいては吸気系に付着している燃料が定常時に比べて少
ないため、定常時を基準として設定された燃料挙動モデ
ルでは燃料挙動、特に壁面等への付着、蒸発の現象を正
確に予測することができない。そこで、付着、蒸発の関
係が安定するまでの間は燃料挙動モデルを用いた制御を
禁止して気筒内への要求噴射量を補正することなく燃料
噴射装置からの噴射量とする技術が特開平8−7462
1号公報等に開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うに補正を全く行わないとすると、空燃比制御の精度を
確保することは困難になる。特に始動直後は壁面に付着
する燃料の量が壁面付着分から蒸発する燃料よりも多い
ため、予想より燃料がリーン状態となってエミッション
やドライバビリティーの悪化を招くおそれがある。
うに補正を全く行わないとすると、空燃比制御の精度を
確保することは困難になる。特に始動直後は壁面に付着
する燃料の量が壁面付着分から蒸発する燃料よりも多い
ため、予想より燃料がリーン状態となってエミッション
やドライバビリティーの悪化を招くおそれがある。
【0005】そこで本発明は、始動時や始動直後におい
ても精度良く燃料供給量制御が可能な内燃機関の燃料噴
射制御装置を提供することを課題とする。
ても精度良く燃料供給量制御が可能な内燃機関の燃料噴
射制御装置を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
本発明に係る内燃機関の燃料噴射制御装置は、燃料噴射
装置から内燃機関の気筒気筒へと流入する燃料の動的挙
動をモデル化した燃料挙動モデルを利用して燃料噴射装
置による燃料供給量を制御する制御部を備える内燃機関
の燃料噴射制御装置において、この制御部は内燃機関始
動時の燃料挙動モデルとして付着燃料からの蒸発を考慮
せず、付着燃料の形成のみを考慮するモデルを用いるこ
とを特徴とする。
本発明に係る内燃機関の燃料噴射制御装置は、燃料噴射
装置から内燃機関の気筒気筒へと流入する燃料の動的挙
動をモデル化した燃料挙動モデルを利用して燃料噴射装
置による燃料供給量を制御する制御部を備える内燃機関
の燃料噴射制御装置において、この制御部は内燃機関始
動時の燃料挙動モデルとして付着燃料からの蒸発を考慮
せず、付着燃料の形成のみを考慮するモデルを用いるこ
とを特徴とする。
【0007】本発明者らは内燃機関の始動時(始動直後
を含む)においては壁面等への燃料付着は形成過程であ
って、付着した燃料から気化して気筒内へと流入する量
は極僅かであることに着目し、付着燃料からの蒸発を考
慮せず、付着燃料の形成のみを考慮する簡易化したモデ
ルを新たに設定した。本発明は、この新しい燃料挙動モ
デルに関する。このように始動時について定常時と異な
るモデルを用いることで、始動時の燃料挙動をより精度
良く推定するとともに、始動時から始動後の燃料挙動予
測の連続性を確保することができ、燃料供給量の制御性
が向上する。
を含む)においては壁面等への燃料付着は形成過程であ
って、付着した燃料から気化して気筒内へと流入する量
は極僅かであることに着目し、付着燃料からの蒸発を考
慮せず、付着燃料の形成のみを考慮する簡易化したモデ
ルを新たに設定した。本発明は、この新しい燃料挙動モ
デルに関する。このように始動時について定常時と異な
るモデルを用いることで、始動時の燃料挙動をより精度
良く推定するとともに、始動時から始動後の燃料挙動予
測の連続性を確保することができ、燃料供給量の制御性
が向上する。
【0008】この内燃機関始動時の燃料挙動モデルにお
いては、噴射燃料のうち気筒内に流入する気相分のみが
燃焼に寄与するモデルであることが好ましい。これによ
り、噴射燃料のうち気筒内に流入するが燃焼には寄与し
ない液滴分を考慮することができるので、始動時の付着
燃料の形成をより精度良く模擬でき、始動後の燃料挙動
モデルに切り替える時点での燃料挙動予測の連続性が高
まる。
いては、噴射燃料のうち気筒内に流入する気相分のみが
燃焼に寄与するモデルであることが好ましい。これによ
り、噴射燃料のうち気筒内に流入するが燃焼には寄与し
ない液滴分を考慮することができるので、始動時の付着
燃料の形成をより精度良く模擬でき、始動後の燃料挙動
モデルに切り替える時点での燃料挙動予測の連続性が高
まる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して本発明
の好適な実施の形態について詳細に説明する。説明の理
解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に
対しては可能な限り同一の参照番号を附し、重複する説
明は省略する。
の好適な実施の形態について詳細に説明する。説明の理
解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に
対しては可能な限り同一の参照番号を附し、重複する説
明は省略する。
【0010】図1は、本発明に係る内燃機関の燃料噴射
量制御装置の実施形態をこれを適用した内燃機関ととも
に示す構成図である。
量制御装置の実施形態をこれを適用した内燃機関ととも
に示す構成図である。
【0011】火花点火式のガソリン多気筒内燃機関(以
下、単に内燃機関と称する)1には吸気管2と排気管3
とが接続されている。吸気管2には吸入空気の温度を検
出する吸気温センサ22と、吸入空気量を検出するエア
フローメータ23と、アクセルペダル4の操作に連動す
るスロットル弁24が配置されるとともにこのスロット
ル弁24の開度を検出するスロットル開度センサ25が
配置されている。また、吸気管2のサージタンク20に
は、吸気管2の圧力を検出するための吸気圧センサ26
が配置されている。さらに、内燃機関1の各気筒に接続
される吸気ポート21には電磁駆動式のインジェクタ
(燃料噴射装置)27が設けられており、このインジェ
クタ27には燃料タンク5から燃料であるガソリンが供
給される。図示の内燃機関1は、各気筒ごとに独立して
インジェクタ27が配置されているマルチポイントイン
ジェクションシステムである。
下、単に内燃機関と称する)1には吸気管2と排気管3
とが接続されている。吸気管2には吸入空気の温度を検
出する吸気温センサ22と、吸入空気量を検出するエア
フローメータ23と、アクセルペダル4の操作に連動す
るスロットル弁24が配置されるとともにこのスロット
ル弁24の開度を検出するスロットル開度センサ25が
配置されている。また、吸気管2のサージタンク20に
は、吸気管2の圧力を検出するための吸気圧センサ26
が配置されている。さらに、内燃機関1の各気筒に接続
される吸気ポート21には電磁駆動式のインジェクタ
(燃料噴射装置)27が設けられており、このインジェ
クタ27には燃料タンク5から燃料であるガソリンが供
給される。図示の内燃機関1は、各気筒ごとに独立して
インジェクタ27が配置されているマルチポイントイン
ジェクションシステムである。
【0012】内燃機関1の各気筒を構成するシリンダ1
0内には図の上下方向に往復動するピストン11が設け
られ、このピストン11はコンロッド12を介して図示
していないクランク軸に連結されている。ピストン11
の上方には、シリンダ10とシリンダヘッド13とによ
って区画された燃焼室14が形成されている。この燃焼
室14の上部には点火プラグ20が配置されるととも
に、開閉可能な吸気バルブ16と排気バルブ17を介し
てそれぞれ吸気管2と排気管3に接続されている。
0内には図の上下方向に往復動するピストン11が設け
られ、このピストン11はコンロッド12を介して図示
していないクランク軸に連結されている。ピストン11
の上方には、シリンダ10とシリンダヘッド13とによ
って区画された燃焼室14が形成されている。この燃焼
室14の上部には点火プラグ20が配置されるととも
に、開閉可能な吸気バルブ16と排気バルブ17を介し
てそれぞれ吸気管2と排気管3に接続されている。
【0013】そして、排気管3には、排気ガス中の酸素
濃度に応じた所定の電気信号を出力する空燃比センサ3
1が配置されている。
濃度に応じた所定の電気信号を出力する空燃比センサ3
1が配置されている。
【0014】内燃機関1を制御するエンジンECU6
(本発明に係る内燃機関の燃料噴射制御装置を含む)
は、マイクロコンピュータを中心に構成されており、上
述した各センサ(吸気温センサ22、エアフローメータ
23、スロットル開度センサ25、吸気圧センサ26、
空燃比センサ31)や車速センサ60、クランクポジシ
ョンセンサ61の各出力信号が入力されるとともに、点
火プラグ15、インジェクタ27の動作を制御するもの
である。
(本発明に係る内燃機関の燃料噴射制御装置を含む)
は、マイクロコンピュータを中心に構成されており、上
述した各センサ(吸気温センサ22、エアフローメータ
23、スロットル開度センサ25、吸気圧センサ26、
空燃比センサ31)や車速センサ60、クランクポジシ
ョンセンサ61の各出力信号が入力されるとともに、点
火プラグ15、インジェクタ27の動作を制御するもの
である。
【0015】本発明に係る内燃機関の燃料噴射制御装置
において使用される燃料挙動モデルを説明する前に、従
来から用いられてきた燃料挙動モデルについて図2を参
照して説明する。図2は、インジェクタ27近傍(吸気
ポート21付近)における燃料挙動のシミュレーション
モデルを示す模式図である。以下の説明では、コンピュ
ータによる数値化処理を考慮して時刻を表すカウンタ値
を「k」で表す。
において使用される燃料挙動モデルを説明する前に、従
来から用いられてきた燃料挙動モデルについて図2を参
照して説明する。図2は、インジェクタ27近傍(吸気
ポート21付近)における燃料挙動のシミュレーション
モデルを示す模式図である。以下の説明では、コンピュ
ータによる数値化処理を考慮して時刻を表すカウンタ値
を「k」で表す。
【0016】図2において、Fi(k)は、時刻kにお
いてインジェクタ27から噴射される燃料量(インジェ
クタ噴射量)を、Fw(k)は、時刻kにおいて吸気ポ
ート21の壁面や吸気バルブ16の吸気ポート21側表
面(以下、吸気ポート21の壁面等と呼ぶ)に付着して
いる燃料量(壁面付着燃料量)を、Fc(k)は、時刻
kにおいて気筒内(シリンダ10内の燃焼室14内)へ
と流入する燃料量(筒内流入燃料量)をそれぞれ示して
いる。ここで、時刻kにおけるインジェクタ噴射量Fi
(k)のうち、吸気ポート21の壁面等に付着する割合
(壁面付着率)をR(k)とし、時刻kにおいて壁面付
着燃料量Fw(k)のうち、気化せずに吸気ポート21
の壁面等に残留する割合(壁面残留率)をP(k)とす
ると、以下の式(1)、(2)が成立する。これらの式
は、C.F.アキノの式として一般に知られている。
いてインジェクタ27から噴射される燃料量(インジェ
クタ噴射量)を、Fw(k)は、時刻kにおいて吸気ポ
ート21の壁面や吸気バルブ16の吸気ポート21側表
面(以下、吸気ポート21の壁面等と呼ぶ)に付着して
いる燃料量(壁面付着燃料量)を、Fc(k)は、時刻
kにおいて気筒内(シリンダ10内の燃焼室14内)へ
と流入する燃料量(筒内流入燃料量)をそれぞれ示して
いる。ここで、時刻kにおけるインジェクタ噴射量Fi
(k)のうち、吸気ポート21の壁面等に付着する割合
(壁面付着率)をR(k)とし、時刻kにおいて壁面付
着燃料量Fw(k)のうち、気化せずに吸気ポート21
の壁面等に残留する割合(壁面残留率)をP(k)とす
ると、以下の式(1)、(2)が成立する。これらの式
は、C.F.アキノの式として一般に知られている。
【数1】 一方、目標空燃比(混合比A/F)λでの燃焼を実現す
る場合に時刻kにおいて実際に筒内に流入させるべき目
標筒内流入燃料量Fcr(k)は、吸気流量をQ(k)
とすると、
る場合に時刻kにおいて実際に筒内に流入させるべき目
標筒内流入燃料量Fcr(k)は、吸気流量をQ(k)
とすると、
【数2】 で表せる。(1)〜(3)式より前記の筒内流入燃料量
Fc(k)をこの目標筒内流入燃料量Fcr(k)に一
致させるためには、インジェクタ27の噴射量Fi
(k)を
Fc(k)をこの目標筒内流入燃料量Fcr(k)に一
致させるためには、インジェクタ27の噴射量Fi
(k)を
【数3】 となるように制御すればよいことがわかる。
【0017】すなわち、筒内流入燃料量Fi(k)を制
御して、空燃比を適正に制御するためには、(1)式に
よって算出される壁面付着燃料量Fw(k)を正確に算
出するとともに、各パラメータP(k)、R(k)を適
切な値に設定する必要がある。
御して、空燃比を適正に制御するためには、(1)式に
よって算出される壁面付着燃料量Fw(k)を正確に算
出するとともに、各パラメータP(k)、R(k)を適
切な値に設定する必要がある。
【0018】機関始動時および始動直後においては、壁
面への燃料付着が形成過程に有るため、その付着、蒸発
過程は準定常状態にあるとはいえず、従来の(4)式を
用いた制御方法では、その形成過程を正確に模擬するこ
とができない。この問題点を解決するため、本発明にお
いて使用される燃料挙動モデルは、始動時には新たに設
定した燃料挙動モデルを用いる。
面への燃料付着が形成過程に有るため、その付着、蒸発
過程は準定常状態にあるとはいえず、従来の(4)式を
用いた制御方法では、その形成過程を正確に模擬するこ
とができない。この問題点を解決するため、本発明にお
いて使用される燃料挙動モデルは、始動時には新たに設
定した燃料挙動モデルを用いる。
【0019】以下、図3を参照して本発明における始動
時(始動直後を含む)の燃料挙動モデルを説明する。図
3は、吸気ポート21付近における始動時の燃料挙動の
シミュレーションモデルを示す模式図である。
時(始動直後を含む)の燃料挙動モデルを説明する。図
3は、吸気ポート21付近における始動時の燃料挙動の
シミュレーションモデルを示す模式図である。
【0020】この始動時の燃料挙動モデルにおいては、
付着燃料の形成過程にあっては、付着燃料からの蒸発は
起こらず、噴射された燃料の一部(液滴分の一部)が付
着燃料の形成に寄与し、気相分のみが筒内へ流入して燃
焼に寄与するものとして取り扱っている。
付着燃料の形成過程にあっては、付着燃料からの蒸発は
起こらず、噴射された燃料の一部(液滴分の一部)が付
着燃料の形成に寄与し、気相分のみが筒内へ流入して燃
焼に寄与するものとして取り扱っている。
【0021】すなわち、時刻kにおけるインジェクタ噴
射量Fi(k)のうち、吸気ポート21の壁面等に付着
する割合(壁面付着率)については、図2のモデルと同
様にR(k)を用いる(ただし、パラメータR(k)の
値自体は始動時であることを考慮して設定された値を用
いる)。一方、付着燃料からの蒸発はないものとして取
り扱うから、時刻kにおける壁面付着燃料量Fw(k)
のうち、気化せずに吸気ポート21の壁面等に残留する
割合である壁面残留率P(k)を1として取り扱うこと
になる。
射量Fi(k)のうち、吸気ポート21の壁面等に付着
する割合(壁面付着率)については、図2のモデルと同
様にR(k)を用いる(ただし、パラメータR(k)の
値自体は始動時であることを考慮して設定された値を用
いる)。一方、付着燃料からの蒸発はないものとして取
り扱うから、時刻kにおける壁面付着燃料量Fw(k)
のうち、気化せずに吸気ポート21の壁面等に残留する
割合である壁面残留率P(k)を1として取り扱うこと
になる。
【0022】さらに、時刻kにおけるインジェクタ噴射
量Fi(k)のうち、吸気ポート21の壁面等に付着し
なかった全ての燃料が筒内に流入して燃焼に寄与すると
考えるのではなく、その一部のみが燃焼に寄与するもの
と考える。これは、機関始動時においては、シリンダ1
0温度が低いため、燃焼室14内に液滴のままで流入し
た燃料が燃焼に寄与せず、そのまま排気管3側へと送ら
れる挙動を模擬するためのものである。つまり、時刻k
におけるインジェクタ噴射量Fi(k)のうち、吸気ポ
ート21の壁面等に付着した燃料を含む液滴等の液相分
の割合をR’(k)とすると、気相分の割合は(1−
R’(k))で表せる。このように表すと、(1)、
(2)式に対応する機関始動時の燃料挙動モデルは、以
下の(5)、(6)式で表せる。
量Fi(k)のうち、吸気ポート21の壁面等に付着し
なかった全ての燃料が筒内に流入して燃焼に寄与すると
考えるのではなく、その一部のみが燃焼に寄与するもの
と考える。これは、機関始動時においては、シリンダ1
0温度が低いため、燃焼室14内に液滴のままで流入し
た燃料が燃焼に寄与せず、そのまま排気管3側へと送ら
れる挙動を模擬するためのものである。つまり、時刻k
におけるインジェクタ噴射量Fi(k)のうち、吸気ポ
ート21の壁面等に付着した燃料を含む液滴等の液相分
の割合をR’(k)とすると、気相分の割合は(1−
R’(k))で表せる。このように表すと、(1)、
(2)式に対応する機関始動時の燃料挙動モデルは、以
下の(5)、(6)式で表せる。
【数4】 ここで、R'(k)≧R(k)が成立する。
【0023】(3)式と(5)、(6)式より機関始動
時に前記の筒内流入燃料量Fc(k)を目標筒内流入燃
料量Fcr(k)に一致させるためには、インジェクタ
27の噴射量Fi(k)を
時に前記の筒内流入燃料量Fc(k)を目標筒内流入燃
料量Fcr(k)に一致させるためには、インジェクタ
27の噴射量Fi(k)を
【数5】 となるように制御すればよい。
【0024】図4は本発明に係る内燃機関の燃料噴射装
置による燃料噴射制御の制御フローを示したフローチャ
ートである。この制御はエンジンECU6によって実施
されるものであり、車両のイグニッションキーがオンに
されてから、所定のタイミングで繰り返し実行される。
このタイムサイクルを時刻kで表す(つまり、時刻kで
本制御フローを実行し、次に実行されるときの時刻がk
+1となる)。
置による燃料噴射制御の制御フローを示したフローチャ
ートである。この制御はエンジンECU6によって実施
されるものであり、車両のイグニッションキーがオンに
されてから、所定のタイミングで繰り返し実行される。
このタイムサイクルを時刻kで表す(つまり、時刻kで
本制御フローを実行し、次に実行されるときの時刻がk
+1となる)。
【0025】まず、ステップS1において、エンジンE
CU6は、機関運転条件を設定する。これは、車速セン
サ60から得られた車速、クランクポジションセンサ6
1から得られたエンジン回転数等を基にして設定空燃比
を決定することになる。そして、ステップS2において
は、吸気温センサ22、エアフローメータ23、吸気圧
センサ26、スロットル開度センサ25の出力から吸入
空気量を算出することで、(4)式に基づいて筒内流入
燃料量の目標値Fcr(k)を設定する。
CU6は、機関運転条件を設定する。これは、車速セン
サ60から得られた車速、クランクポジションセンサ6
1から得られたエンジン回転数等を基にして設定空燃比
を決定することになる。そして、ステップS2において
は、吸気温センサ22、エアフローメータ23、吸気圧
センサ26、スロットル開度センサ25の出力から吸入
空気量を算出することで、(4)式に基づいて筒内流入
燃料量の目標値Fcr(k)を設定する。
【0026】ステップS3では、機関始動後、定常状態
に達しているか否かを判定する。この判定は、エンジン
回転数が一定程度に達したか否か、供給空気量が定常に
達したか否か、始動から所定の時間が経過したか否か、
あるいは、エンジン冷却水温が所定の温度以上となった
か否か等により判定を行う。また、モデル演算結果とし
ての付着量の変化が、一定範囲内で安定化したか否かで
判定するようにしてもよい。
に達しているか否かを判定する。この判定は、エンジン
回転数が一定程度に達したか否か、供給空気量が定常に
達したか否か、始動から所定の時間が経過したか否か、
あるいは、エンジン冷却水温が所定の温度以上となった
か否か等により判定を行う。また、モデル演算結果とし
ての付着量の変化が、一定範囲内で安定化したか否かで
判定するようにしてもよい。
【0027】ステップS3において、未だ定常状態に達
していないと判定された場合は、燃料挙動モデルとして
図3に示される始動時モデルを選択し、ステップS4へ
と移行して、(5)、(6)式におけるパラメータR
(k)、R’(k)の設定を行う。これらのパラメータ
は実験等により求めた値をエンジンECU6内に機関運
転条件に対するマップ形式で保持しておき、機関運転条
件に対応させて読み出すことで設定すればよい。
していないと判定された場合は、燃料挙動モデルとして
図3に示される始動時モデルを選択し、ステップS4へ
と移行して、(5)、(6)式におけるパラメータR
(k)、R’(k)の設定を行う。これらのパラメータ
は実験等により求めた値をエンジンECU6内に機関運
転条件に対するマップ形式で保持しておき、機関運転条
件に対応させて読み出すことで設定すればよい。
【0028】ステップS5では、こうして読み出したパ
ラメータを基にして(5)〜(7)式により壁面付着量
Fw(k)とインジェクタ噴射量Fi(k)を更新す
る。そして、続くステップS6では、求めたインジェク
タ噴射量Fi(k)となるようインジェクタ27を制御
して吸気ポート21内へと燃料を噴射する。これによ
り、所望の量の燃料が燃焼室14内へと導かれる。
ラメータを基にして(5)〜(7)式により壁面付着量
Fw(k)とインジェクタ噴射量Fi(k)を更新す
る。そして、続くステップS6では、求めたインジェク
タ噴射量Fi(k)となるようインジェクタ27を制御
して吸気ポート21内へと燃料を噴射する。これによ
り、所望の量の燃料が燃焼室14内へと導かれる。
【0029】一方、ステップS3で定常状態に達したと
判定された場合には、燃料挙動モデルとして図2に示さ
れる通常モデルを選択し、ステップS7へと移行して、
(1)、(2)式におけるパラメータP(k)、R
(k)の設定を行う。これらのパラメータは始動時モデ
ルの場合と同様に実験等により求めた値をエンジンEC
U6内に機関運転条件に対するマップ形式で保持してお
き、機関運転条件に対応させて読み出すことで設定すれ
ばよい。
判定された場合には、燃料挙動モデルとして図2に示さ
れる通常モデルを選択し、ステップS7へと移行して、
(1)、(2)式におけるパラメータP(k)、R
(k)の設定を行う。これらのパラメータは始動時モデ
ルの場合と同様に実験等により求めた値をエンジンEC
U6内に機関運転条件に対するマップ形式で保持してお
き、機関運転条件に対応させて読み出すことで設定すれ
ばよい。
【0030】ステップS8では、こうして読み出したパ
ラメータを基にして(1)〜(3)式により壁面付着量
Fw(k)とインジェクタ噴射量Fi(k)を更新す
る。そして、続くステップS6では、求めたインジェク
タ噴射量Fi(k)となるようインジェクタ27を制御
して吸気ポート21内へと燃料を噴射する。これによ
り、所望の量の燃料が燃焼室14内へと導かれる。
ラメータを基にして(1)〜(3)式により壁面付着量
Fw(k)とインジェクタ噴射量Fi(k)を更新す
る。そして、続くステップS6では、求めたインジェク
タ噴射量Fi(k)となるようインジェクタ27を制御
して吸気ポート21内へと燃料を噴射する。これによ
り、所望の量の燃料が燃焼室14内へと導かれる。
【0031】なお、空燃比センサ31の出力信号を基に
して制御結果と目標値との偏差が大きい場合には、それ
ぞれのパラメータを修正するパラメータ学習を行うこと
が好ましい。
して制御結果と目標値との偏差が大きい場合には、それ
ぞれのパラメータを修正するパラメータ学習を行うこと
が好ましい。
【0032】このようにすると、付着燃料の形成につい
て連続した計算が行われるので、始動時モデルから通常
モデルに切り替えた場合における不連続性を低減するこ
とができ、始動時についても空燃比制御を行うことによ
り、その制御性が向上する。その結果、エミッションや
ドライバビリティーが向上する効果もある。
て連続した計算が行われるので、始動時モデルから通常
モデルに切り替えた場合における不連続性を低減するこ
とができ、始動時についても空燃比制御を行うことによ
り、その制御性が向上する。その結果、エミッションや
ドライバビリティーが向上する効果もある。
【0033】本発明で用いることのできる燃料挙動モデ
ルは必ずしも上述したモデルに限られるものではない。
例えば、燃料の付着位置を弁表面と吸気ポートの壁面表
面とに分けるなどさらに細分割してもよいし、気筒内に
おける付着を考慮したモデルであってもよい。これらの
モデルを用いた場合でも始動時に付着燃料の形成のみを
考慮することができ、それは本発明の技術的範囲に包含
される。
ルは必ずしも上述したモデルに限られるものではない。
例えば、燃料の付着位置を弁表面と吸気ポートの壁面表
面とに分けるなどさらに細分割してもよいし、気筒内に
おける付着を考慮したモデルであってもよい。これらの
モデルを用いた場合でも始動時に付着燃料の形成のみを
考慮することができ、それは本発明の技術的範囲に包含
される。
【0034】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、機
関始動時においては、付着燃料からの蒸発を考慮せず、
その形成のみを考慮した通常時とは別のモデルを用いる
ことで付着燃料の形成を精度良く模擬することができ、
その結果、燃料噴射装置による燃料供給量および空燃比
の制御性を向上させることができ、エミッションやドラ
イバビリティーの向上も図れる。
関始動時においては、付着燃料からの蒸発を考慮せず、
その形成のみを考慮した通常時とは別のモデルを用いる
ことで付着燃料の形成を精度良く模擬することができ、
その結果、燃料噴射装置による燃料供給量および空燃比
の制御性を向上させることができ、エミッションやドラ
イバビリティーの向上も図れる。
【図1】本発明に係る燃料噴射装置とこれを適用した内
燃機関を示す概略構成図である。
燃機関を示す概略構成図である。
【図2】通常時の燃料挙動モデルを説明する図である。
【図3】始動時の燃料挙動モデルを説明する図である。
【図4】本発明に係る燃料噴射制御を説明するフローチ
ャートである。
ャートである。
1…内燃機関、2…吸気管、3…排気管、4…アクセル
ペダル、5…燃料タンク、6…エンジンECU、14…
燃焼室、21…吸気ポート、27…インジェクタ。
ペダル、5…燃料タンク、6…エンジンECU、14…
燃焼室、21…吸気ポート、27…インジェクタ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3G084 BA13 CA01 CA02 DA04 DA10 EB01 FA02 FA07 FA10 FA11 FA26 FA33 FA38 3G301 HA01 HA06 JA03 JA21 KA01 LB02 MA01 MA11 NA09 NC02 ND21 ND45 NE23 PA02Z PA07Z PA10Z PA11Z PB10Z PD02Z PE02Z PE03Z PF01Z
Claims (2)
- 【請求項1】 燃料噴射装置から内燃機関の気筒へと流
入する燃料の動的挙動をモデル化した燃料挙動モデルを
利用して燃料噴射装置による燃料供給量を制御する制御
部を備える内燃機関の燃料噴射制御装置において、 前記制御部は内燃機関始動時の燃料挙動モデルとして付
着燃料からの蒸発を考慮せず、付着燃料の形成のみを考
慮するモデルを用いる内燃機関の燃料噴射制御装置。 - 【請求項2】 前記内燃機関始動時の燃料挙動モデル
は、噴射燃料のうち気筒内に流入する気相分のみが燃焼
に寄与するモデルである請求項1記載の内燃機関の燃料
噴射制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000305207A JP2002115587A (ja) | 2000-10-04 | 2000-10-04 | 内燃機関の燃料噴射制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000305207A JP2002115587A (ja) | 2000-10-04 | 2000-10-04 | 内燃機関の燃料噴射制御装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002115587A true JP2002115587A (ja) | 2002-04-19 |
Family
ID=18786109
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000305207A Pending JP2002115587A (ja) | 2000-10-04 | 2000-10-04 | 内燃機関の燃料噴射制御装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2002115587A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007327407A (ja) * | 2006-06-07 | 2007-12-20 | Toyota Motor Corp | 内燃機関の燃料噴射制御装置、及び方法 |
-
2000
- 2000-10-04 JP JP2000305207A patent/JP2002115587A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007327407A (ja) * | 2006-06-07 | 2007-12-20 | Toyota Motor Corp | 内燃機関の燃料噴射制御装置、及び方法 |
JP4654983B2 (ja) * | 2006-06-07 | 2011-03-23 | トヨタ自動車株式会社 | 内燃機関の燃料噴射制御装置、及び方法 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20060516 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20060517 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20060926 |