JP2002115254A - のり面の緑化構造とこの緑化構造に使用する緑化ポットの製造方法 - Google Patents

のり面の緑化構造とこの緑化構造に使用する緑化ポットの製造方法

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JP2002115254A
JP2002115254A JP2000309761A JP2000309761A JP2002115254A JP 2002115254 A JP2002115254 A JP 2002115254A JP 2000309761 A JP2000309761 A JP 2000309761A JP 2000309761 A JP2000309761 A JP 2000309761A JP 2002115254 A JP2002115254 A JP 2002115254A
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greening
slope
pot
paper tube
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Tozaburo Imamura
藤三郎 今村
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I M KOGYO KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単かつ能率よくのり面に固定できるように
しながら、安価に多量生産する。植物の生育状態に対し
て理想的なタイミングで腐食させて、のり面に植え付け
した植物を理想的な環境で生育させる。 【解決手段】 のり面の緑化構造は、紙管6で製作して
なる緑化ポット1を、のり面8に固定している。この緑
化ポット1は、油を含浸してなる紙管6の下端を、のり
面8の傾斜角度(α)に沿うように斜切したものであ
る。さらに、のり面の緑化構造に使用する緑化ポットの
製造方法は、紙管6に油を含浸する油含浸工程と、油の
含浸された紙管6を斜切して底面を傾斜面とする切断工
程とで、のり面8の傾斜面に固定される緑化ポットを製
造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、緑化ポットを使用
しているのり面の緑化構造と、この緑化構造に使用され
る緑化ポットの製造方法に関し、とくに、表土の少ない
岩盤質や硬土質ののり面の緑化構造と緑化ポットに関す
る。
【0002】
【従来の技術】切り開かれた岩盤が表出したのり面は、
経時的な風化を防止すると共に、美観を向上させる目的
で表面に草を植生させている。ところが、岩盤質ののり
面は、表土が少ないので、植物を繁殖させるのが極めて
難しい。この種ののり面に植生する工法として、のり面
にネットを張設して種子混合の厚層基材を吹き付ける工
法が提案されている(特公昭39−18516号公報、
特開昭49−130005号公報)。
【0003】しかしながら、これ等の工法は、施工後の
雨で厚層基材が流失しないように施工するのが難しく、
施工後、種子が発芽する前に大雨が降ると、ほとんどの
厚層基材がのり面から流失し、流失土の処理と再施工に
著しく手間がかかる欠点があった。さらに、この工法で
は、のり面に草を植生できても、木を植生できない。そ
れは、厚層基材と一緒に木の種子を吹き付けると、のり
面に衝突する衝撃で種子が著しく損傷を受けるからであ
る。さらに、草の種子は1〜数週間と極めて短期間に発
芽するが、木の種子は発芽するまでに数カ月もかかるこ
ともあって、この工法では、到底のり面に効率よく木を
植生できない。例えば、西洋芝や牧草は、季節により多
少変化するが、約7日で発芽するのに対し、ネズミモ
チ、シャリンバイ等の木は、発芽するのに3カ月〜5カ
月を要する。さらに、ウバメガシなどは11月に採種、
貯蔵して翌年の3月の適期に播種しても、根の伸長が先
行し双子葉の出現に長い日数を要する。
【0004】この弊害を防止する工法として、ネットに
代わって、不織布等のマット内に種子、土砂、肥料、土
質安定剤等を混入する工法も提案されている(実開昭5
0−121506号公報)。しかしながら、この工法
は、のり面全体に厚いマットを張設する為、材料が著し
く高価になり、しかも厚いマットをのり面に固定するの
に手間が掛かり、施工単価が著しく高価になる欠点があ
る。さらに、この工法も、のり面に草は植生できても木
を植生することはできない。
【0005】さらに、この工法を改良する植生法とし
て、厚層基材、種子、保水剤等を充填した袋体とネット
とをのり面に固定する工法(特公昭57−55851号
公報、特開昭52−51708号公報)、並びに本発明
者が開発した固形肥料を帯状マットでのり面に取り付
け、この上をネットで覆う工法(特公昭61−2209
6号公報)が開発されている。
【0006】これらの工法は、のり面全体に隙間なく袋
やマットを固定しないので、施工単価を安くでき、しか
もマットで厚層基材の流失が防止できるので、現在、急
勾配の岩のり面の植生に多用されている。ところが、こ
れらの工法も、のり面の厚層基材に長期間にわたって充
分な量の水分が保水できず、夏場の日照りが強いとき等
は、厚層基材を吹き付けた後、散水して厚層基材に給水
する必要があった。この為、施工時期によっては、施工
後の管理に手間がかかることもあり、又、乾燥に弱い種
子が植生し難い欠点があった。厚層基材の保水性は、マ
ットを厚くすると共に、これの張設面積を広くし、又袋
体の個数を増加すればよいが、そうすると施工単価が著
しく高騰する欠点があった。
【0007】本発明者は、この欠点を解消するために、
植生用のポットを使用する植生工法を開発した(特開平
10−114947号公報)。この植生工法は、紙パル
プを箱形に成形したポットを使用する。ポットは上方を
開口している箱形に成形している。ポットは、木を植え
付けてのり面に固定される。ポットは、のり面に張った
ネットに引っかけて固定される。さらにポットの上に厚
層基材を塗布して、ポットを確実に固定すると共に、厚
層基材に肥料や草の種等を添加している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ポットを使用する工法
は、苗木をポットの内部で生育させるので、苗木をより
好ましい環境で生育できる。それは、ポット内に、苗木
の生育に好ましい培養土や肥料等を充填して、これに苗
木を植え付けできるからである。さらに、ポットには、
保水性と通水性に優れた培養土を充填するので、植え付
けした後、長い期間にわたって雨が降らないときにも、
木が枯渇するのを有効に防止できる特長もある。さら
に、紙製のポットは、苗木が大きく生育して、木の根が
ポットから外部まで生育する状態になったときに、ポッ
トを腐食させることによって、より理想的な環境で生育
できる。全く腐食しないポットを使用すると、木が小さ
いときにはよく生育するが、木が大きくなって、根がポ
ットの内部で密に集合するようになると、木の生育が悪
くなってしまう。このため、ポットは、木が所定の大き
さになとる腐食して根の生育を阻害しないようにするの
が理想である。
【0009】のり面に使用される腐食性のポットは開発
されている。たとえば、特開平7−129283号公報
には、厚手の段ボール紙や分解腐食性のプラスチックを
筒状に成形したポットが記載される。さらに、特開平9
−209366号公報には、竹筒、厚手の段ボール紙や
分解腐食性のプラスチックを筒状に成形したポットが記
載される。これ等の公報に記載されるポットは、竹筒や
紙筒を使用するので、木が生育するときに腐食させて、
木の根を自由に成長できる特長がある。
【0010】しかしながら、本発明者が実際に行った実
験によると、これ等のポットは、腐食させるタイミング
を、木の根の生育状態に理想的なタイミングとするのが
極めて難しい。木が充分に生育していない状態でポット
が腐食してしまうと、木の根をポットで充分に保護でき
なくなって、苗木の生育が悪くなってしまう。とくに、
長い期間に雨が降らないときに木が枯渇してしまう弊害
がある。反対に木が大きく生育した状態で、ポットが腐
食できないと、ポットが根の生育を悪くして木の成長を
阻害する弊害がある。
【0011】紙製のポットは、種々の形状に成形できる
特長はあるが、腐食する期間が速すぎるので、苗木が充
分に生育しない状態で腐食してしまう。反対に竹筒は木
が相当に大きく生育しても腐食せず、腐食が遅すぎて木
の生育を阻害する欠点がある。
【0012】本発明者は、この弊害を解消することを目
的として、図1に示すように、紙筒2に油を含浸させて
耐久性を向上する緑化ポット1を開発した。この緑化ポ
ット1は、含浸する油によって腐食させる期間を理想的
なタイミングに調整できる特長がある。ただ、この緑化
ポット1は、のり面8に固定するためには、図に示すよ
うに、植付穴9を掘削して設ける必要があるので、植付
穴9を設けるのに手間がかかる欠点があった。
【0013】本発明者は、さらにこの欠点を解消するこ
とを目的に、のり面に直接に緑化ポットを固定する構造
を開発した。この緑化ポットは、下端を斜切してのり面
に沿わせると共に、上部をU曲したアンカーをのり面に
打ち込んで鉛直に固定される。この構造は、アンカーを
打ち込んでのり面に簡単に固定できる。この緑化ポット
は、紙管を斜切して製造できる。紙管は種々の用途に使
用されるので、安価に多量生産されている。ただ、紙管
は直角には切断できるが、斜切するのが極めて難しい性
質がある。たとえば、紙管を鋸で斜切すると、鋸がスム
ーズに往復運動できなくなってしまう。このため、紙管
は低コストに多量生産されているが、これを斜切できな
いので、傾斜しているのり面に直接に固定できる形状に
加工できない。
【0014】本発明者は、さらに種々の実験を繰り返し
た結果、紙管を直接に斜切するのではなく、これに油を
含浸させる状態で斜切することによって、極めて能率よ
く切断できることを見いだした。油を含浸してなる緑化
ポットは、油によって腐食期間が延長される。このた
め、紙管に含浸される油は、紙管を能率よく斜切できる
ことに加えて、緑化ポットの寿命を理想的な状態に延長
できる両方の効果がある。したがって、本発明の大切な
目的は、のり面に簡単かつ能率よく固定できると共に、
安価に多量生産でき、さらに、植物の生育状態に対して
理想的なタイミングで腐食させて、のり面に植え付けし
た植物を理想的な環境で生育できるのり面の緑化構造と
この緑化構造に使用する緑化ポットの製造方法を提供す
ることにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明ののり面の緑化構
造は、紙管6で製作してなる緑化ポット1を、のり面8
に固定している。この緑化ポット1は、油を含浸してな
る紙管6の下端を、のり面8の傾斜角度(α)に沿うよ
うに斜切したものである。
【0016】さらに、本発明ののり面の緑化構造に使用
する緑化ポットの製造方法は、のり面8の傾斜面に固定
されて、のり面8を緑化する緑化構造に使用される緑化
ポットの製造方法を改良したものである。本発明の緑化
ポットの製造方法は、紙管6に油を含浸する油含浸工程
と、油の含浸された紙管6を斜切して底面を傾斜面とす
る切断工程とからなる。
【0017】紙管6に含浸する油には、植物油を使用す
ることができる。植物油は、植物の根が忌避することが
なく根を良く生育できる特長がある。さらに、紙管6に
は、使用済みのテンプラ油を含浸することができる。使
用済みのテンプラ油を使用する方法は、廃棄するテンプ
ラ油を有効に再利用できる特長がある。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図面に基
づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明
の技術思想を具体化するためののり面の緑化構造とこの
緑化構造に使用する緑化ポットの製造方法を例示するも
のであって、本発明は緑化構造と緑化ポットの製造方法
を下記のものに特定しない。
【0019】さらに、この明細書は、特許請求の範囲を
理解し易いように、実施例に示される部材に対応する番
号を、「特許請求の範囲の欄」、および「課題を解決す
るための手段の欄」に示される部材に付記している。た
だ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に
特定するものでは決してない。
【0020】図2に示す緑化構造は、のり面8に緑化ポ
ット1を固定している。緑化ポット1は、図3と図4に
示すように、下端を斜切して、傾斜しているのり面8に
鉛直ないしはほぼ鉛直に固定している。この緑化ポット
1は、アンカー5でのり面8に固定される。アンカー5
は金属ロッドで、上端をU曲して緑化ポット1を引っか
ける形状とし、下端を尖鋭に尖らせてのり面8にスムー
ズに打ち込みできる形状としている。緑化ポット1は複
数のアンカー5でのり面8に固定される。
【0021】緑化ポット1は、円筒状の紙筒2で製作さ
れる。紙筒2は、原料に古紙パルプを使用して製作し
て、古紙を有効に再利用できる。また、原料コストを低
減できる特長もある。ただ、必ずしも古紙パルプを使用
する必要はなく、原料パルプには腐食する全てのパルプ
を使用できる。紙筒2には、直径を20〜70cm、好
ましくは30〜50cmとするものを使用する。
【0022】紙筒2は、所定の長さの筒状として製作さ
れる。1本の紙管6を、図5の鎖線で示すように切断し
て2つの緑化ポット1を製作できる。底面の傾斜角度
(θ)は、緑化ポット1をのり面8に鉛直ないしはほぼ
鉛直に固定できるように、のり面8の傾斜角度(α)に
ほぼ等しくする。緑化ポット1底面の傾斜角度(θ)を
のり面8の傾斜角度(α)に等しくすると、緑化ポット
1はのり面8に鉛直に固定される。ただ、緑化ポットの
底面は、必ずしものり面の傾斜角に同じにする必要はな
い。それは、緑化ポットが多少傾斜する姿勢でのり面に
固定しても、植物を充分に生育できるからである。緑化
ポットは、たとえば、鉛直方向に対して30度程度傾斜
する姿勢でのり面に固定することができる。したがっ
て、本明細書において、緑化ポットをほぼ鉛直にのり面
に固定するとは、緑化ポットが鉛直に対して30度より
も小さい角度で傾斜する状態を意味するものとする。
【0023】緑化ポット1は、紙管6を斜切して製作さ
れる。紙管6は、そのままの状態では切断できない。紙
管6は、簡単かつ容易に、しかも能率よく速やかに切断
するために、切断する前工程で油を含浸させる。さら
に、紙管6は、そのままの状態でのり面8に固定する
と、短期間で腐食してしまうので、耐久性を増加する目
的からも油を含浸させる。紙管6に含浸される油は、紙
管6を能率よく斜切させると共に、腐食に対する耐久性
を向上させる両方の効果を実現する。
【0024】紙管6に油を含浸させるには、紙管6を油
に浸漬する。油に浸漬された紙製の紙管6は、繊維の隙
間に油が浸透し、あるいは繊維自体にも油が浸透する。
紙管6は、油に全体あるいは一部を浸漬して、全体に、
あるいは一部を残して油を含浸させる。油に一部を浸漬
する紙管は、油が浸透して全体に油を含浸させることが
できる。ただ、紙管は、必ずしも全体に油を含浸する必
要はない。たとえば、切断部分にのみ油を含浸させるこ
ともできる。
【0025】紙管は、油に浸漬しないで、表面に油をス
プレーして含浸させることもできる。スプレーして表面
に付着された油は、次第に紙管の内部に浸透して全体に
拡散される。この方法は、多量の紙管に能率よく油を含
浸できる。また、油のスプレー量を変更して、油の含浸
量を調整することもできる。紙管に多量の油を含浸させ
て、能率よく切断して腐食期間を長くし、あるいは紙管
に含浸する油を少なくして、比較的短期間で腐食させる
こともできる。紙管を腐食させる期間は、紙管に植え付
けする木の種類に最適な期間とする。根の成育が遅い木
を植え付ける紙管は、油の含浸量を多くして、紙管が腐
食する期間を長くする。反対に根の成育が速い木は、紙
管に含浸させる油量を少なくして、紙管が腐食する期間
を短くする。
【0026】紙管に含浸させる油量は、スプレー量で調
整し、あるいは、油に浸漬する時間で調整する。紙管を
油に浸漬する時間を長くすると、紙管の油含浸量は多く
なる。反対に紙管の浸漬時間を短くすると、油含浸量は
少なくなる。さらに、紙管を浸漬する油の温度を調整し
て、含浸量を調整することもできる。油温を高くする
と、油は粘度が低くなって紙製の紙管に速やかに浸透さ
れる。このように、温度の高い油は、紙管の浸漬時間を
短くして、充分に含浸できる。さらに、油を溶媒で希釈
して、紙管の含浸量を調整することもできる。溶媒で希
釈された油は、含浸させた後に溶媒を気化、乾燥させる
ことにより、油の含浸量を少なくできる。
【0027】さらに、油の含浸量は、油の粘度によって
も変化し、高粘度の油は含浸させるのに時間がかかる。
紙管に含浸させる油は、植物乾性油、植物半乾性油、植
物不乾性油、海産動物油、陸産動物油や油脂で、これ等
を単独であるいは複数種を混合して使用する。植物乾性
油として、あまに油、大豆油、醤油油が使用できる。植
物半乾性油として、コーン油、ごま油、なたね油、ぬか
油等が使用できる。植物不乾性油として、ひまし油、落
花生油、オリーブ油、つばき油等が使用できる。海産動
物油として、いわし油、にしん油、さんま油、ながす鯨
油等が使用できる。さらに、陸産動物油として、豚脂、
牛脂、バター脂等が使用できる。油脂はパーム油ややし
油等の植物脂、牛脂や豚脂等の動物脂が使用できる。
【0028】常温で液状の油は、加温しないで紙管を浸
漬し、あるいは紙管の表面にスプレーする。常温で粘度
が高い油、あるいは液状でない油は、加温して液状とし
て紙管を浸漬し、あるいはスプレーして紙製紙管に含浸
させる。加温した油に浸漬し、あるいはスプレーする紙
管は、油をよりスムーズに含浸できる。
【0029】紙管に含浸させる油は、使用済みのテンプ
ラ油が最適である。それは、廃棄するテンプラ油を有効
に再利用することによって、処理コストを著しく低減
し、しかも植物の根との相性が良く、油が根の成育を阻
害しないからである。さらに、使用済みのテンプラ油
は、加温しないで紙管に速やかに含浸できる特長もあ
る。ただ、本発明の紙管は、含浸させる油をテンプラ油
に特定するものではなく、前述の全ての油を含浸させる
こともできる。
【0030】油を含浸させた紙管6は、図5に示すよう
に、途中を鋸等で斜切してふたつに分離して緑化ポット
1とする。油を含浸させている紙管6は、鋸で速やかに
切断される。とくに、切断する鋸との摩擦抵抗が大きく
なることなく、スムーズにしかも迅速に切断される。鋸
の動きが重くならないのは、含浸された油が摩擦抵抗が
大きくなるのを阻止すると共に、紙繊維が分散するのを
阻止するからである。
【0031】下端を斜切した紙筒2は、そのままの状態
で、緑化ポット1としてのり面8に固定され、あるい
は、底材3で底を閉塞する構造としてのり面8に固定さ
れる。底を閉塞する緑化ポット1は、図6と図7の断面
図に示すように、底材3を固定するために、紙筒2の底
部に複数のロッド4を貫通させて、ロッド4の両端をポ
ット1の表面に沿って折曲して抜けないように固定す
る。図6の緑化ポット1は、3本のロッド4を紙筒2に
貫通させて固定している。底材3は、ロッド4を埋設す
るように、紙筒2の内側に充填して硬化させる。底材3
は、たとえばゼオライトとバーク肥料に水を添加してペ
ースト状とし、これを水平台の上に載せている紙筒2の
底に充填してロッド4を埋設して硬化させる。紙筒2の
底材3には、稲藁や麻等も使用できる。これ等の底材3
は、ロッド4で支持されて、内部に充填される培地が漏
れるのを防止する。
【0032】以上の緑化ポット1は、以下の工程で製造
され、のり面8に固定されて、のり面8に木を成育させ
る。 切断していない紙管6を油に浸漬し、あるいは油を
スプレーして油を含浸させる。油は紙管6の表面から内
部に浸透して全体に拡散される。したがって、紙管6を
油に浸漬し、あるいはスプレーして時間が経過すると、
内部まで全体に油が含浸される。 油を浸透させた紙管6を鋸で切断し、下端を所定の
傾斜角度(θ)となるように切断して緑化ポット1とす
る。 その後、緑化ポット1の下端に底材3を固定して底
を閉塞する。ただ、緑化ポット1は、底材を固定しない
状態でのり面8に固定することもできる。 図2に示すように、所定の間隔で複数の緑化ポット
1を固定する。緑化ポット1は、アンカー5でのり面8
に固定される。
【0033】 緑化ポット1に肥料を混合している培
養土10を充填して、苗木7を植え付けする。その後、
散水する。
【0034】以上の工法は、緑化ポット1をのり面8に
固定した後、培養土10を充填して苗木7を植え付けし
ている。ただ、緑化ポットは、培養土を充填して苗木を
植え付けた状態で、のり面に固定することもできる。
【0035】さらに、図8に示すように、緑化ポット1
を固定する前工程でネット12を固定することもでき
る。ネット12は、のり面8上のゴミ、浮土、浮石等を
除去した後、凹凸状ののり面8の前面に沿って固定され
る。ネット12は、これがのり面8に沿って固定される
ように、例えば、長さを50cmとする止釘13を、1
00m当りに20本程打ち込み、更に長さを20cm
とする止釘13を、のり面8の状態に合わせて、100
につき200〜300本程打ち込んで固定する。
【0036】のり面8に張設するネット12には、上に
吹き付けられた厚層基材11の降雨による流失を防止す
ると共に、落石防止とのり面8の保護を兼用するよう
に、所要の強度を有すると共に耐候性を有するもの、例
えば網目が10〜50mmである金網が使用される。
【0037】ネット12を張設し、さらにこのネット1
2の上に緑化ポット1を固定して苗木7等の植物を植え
付けた後、ネット12と緑化ポット1の表面全体に、厚
層基材11を吹き付けることもできる。厚層基材11
は、例えば、土砂、草花の種子、肥料、ピートモス、バ
ーク、土壌改良剤、パルプ、稲藁等を混合したものを使
用し、これを例えば、1〜10cm、好ましくは、3〜
8cmの厚さに吹き付ける。表面に吹き付けられる厚層
基材11は、緑化ポット1を被覆して、緑化ポット1を
より確実にのり面8に固定できる。
【0038】以上の工程で、のり面8に緑化ポット1が
固定されると、緑化ポット1に植え付けられた苗木7等
の植物は次第に成長し、根を緑化ポット1からのり面8
に伸ばして成長してのり面8に活着される。木がのり面
8に活着するまでは、緑化ポット1に充填している培養
土10で木を生育させる。木がのり面8に活着すると、
のり面8の水分で生育するので、冠水の必要はない。木
がのり面8に活着するまで、いいかえると、緑化ポット
1で生育される間は、緑化ポット1内の培養土10が過
乾燥状態になるとよくない。このため、たとえば、15
日以上雨が降らないときには、緑化ポット1に冠水す
る。統計からすれば、関西地方では、15日以上連続し
て雨から降らないのは、1年に2〜3回である。この状
態になると、緑化ポット1が過乾燥となるので、人工的
に冠水して木を生育させる。木がのり面8に活着した後
は、木はのり面8で生育される。この状態になる緑化ポ
ット1は、必要なくなるので、紙筒2が腐食化して土に
還元して消失される。
【0039】
【発明の効果】本発明ののり面の緑化構造とこの緑化構
造に使用する緑化ポットの製造方法は、のり面に簡単か
つ能率よく固定できると共に、安価に多量生産でき、し
かも、植物の生育状態に対して理想的なタイミングで腐
食させて、のり面に植え付けした植物を理想的な環境で
生育できる特長がある。それは、本発明の緑化構造が、
油を含浸してなる紙管の下端を、のり面の傾斜角度に沿
うように斜切して製作してなる緑化ポットをのり面に固
定しており、また、本発明の緑化ポットの製造方法が、
紙管に油を含浸する油含浸工程と、油の含浸された紙管
を斜切して底面を傾斜面とする切断工程で緑化ポットを
製造しているからである。
【0040】本発明は、紙管を直接に斜切するのではな
く、油を含浸させる状態で斜切することによって、従来
の技術では極めて難かった紙管の斜切加工を、簡単かつ
容易に実現したものである。このため、本発明は、安価
に多量生産されている紙管を能率よく斜切して、傾斜し
ているのり面に直接に固定できる形状の緑化ポットを安
価に多量生産できる。さらに、油を含浸させた緑化ポッ
トは、油によって腐食期間が延長されるので、植物の生
育状態に対して理想的なタイミングで腐食させて、のり
面に植え付けした植物を理想的な環境で生育できる特長
も実現できる。すなわち、本発明は、紙管に油を含浸さ
れることによって、紙管を能率よく斜切できることに加
えて、緑化ポットの寿命を理想的な状態に延長できる両
方の効果が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明者が先に開発した緑化ポットを使用して
のり面を緑化する構造を示す概略断面図
【図2】本発明の実施例ののり面の緑化構造を示す概略
断面図
【図3】図2に示すのり面の緑化構造に使用する緑化ポ
ットの断面図
【図4】図3に示す緑化ポットの平面図
【図5】紙管を切断して2つの緑化ポットを製作する状
態を示す側面図
【図6】緑化ポットの他の一例を示す断面図
【図7】図6に示す緑化ポットのA−A線断面図
【図8】本発明の他の実施例ののり面の緑化構造を示す
概略断面図
【符号の説明】
1…緑化ポット 2…紙筒 3…底材 4…ロッド 5…アンカー 6…紙管 7…苗木 8…のり面 9…植付穴 10…培養土 11…厚層基材 12…ネット 13…止釘

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 のり面(8)に紙管(6)で製作してなる緑化
    ポット(1)を固定しており、この緑化ポット(1)は、油を
    含浸してなる紙管(6)の下端を、のり面(8)の傾斜角度
    (α)に沿うように斜切したものであるのり面の緑化構
    造。
  2. 【請求項2】 油が植物油である請求項1に記載される
    のり面の緑化構造。
  3. 【請求項3】 植物油が使用済みのテンプラ油である請
    求項2に記載されるのり面の緑化構造。
  4. 【請求項4】 のり面(8)の傾斜面に固定されてのり面
    (8)を緑化する緑化構造に使用される緑化ポットの製造
    方法であって、 紙管(6)に油を含浸する油含浸工程と、油の含浸された
    紙管(6)を斜切して底面を傾斜面とする切断工程とから
    なるのり面の緑化構造に使用される緑化ポットの製造方
    法。
  5. 【請求項5】 油が植物油である請求項4に記載される
    緑化構造に使用される緑化ポットの製造方法。
  6. 【請求項6】 植物油が使用済みのテンプラ油である請
    求項5に記載される緑化構造に使用される緑化ポットの
    製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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