JP2002115012A - 加工性の優れた溶接鋼管の製造方法および溶接鋼管 - Google Patents

加工性の優れた溶接鋼管の製造方法および溶接鋼管

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JP2002115012A JP2000306765A JP2000306765A JP2002115012A JP 2002115012 A JP2002115012 A JP 2002115012A JP 2000306765 A JP2000306765 A JP 2000306765A JP 2000306765 A JP2000306765 A JP 2000306765A JP 2002115012 A JP2002115012 A JP 2002115012A
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Hiroshi Hasegawa
泰士 長谷川
Yasuhiro Shinohara
康浩 篠原
Hitoshi Asahi
均 朝日
Naoki Yoshinaga
直樹 吉永
Nobuhiro Fujita
展弘 藤田
Manabu Takahashi
学 高橋
Masahiro Ogami
正浩 大神
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶接部を含めて材質的に均一で加工性の良好
な溶接鋼管を提供する。 【解決手段】 管軸方向に溶接して製造した溶接鋼管
を、溶接後熱影響部を含む溶接部に、該材料のAc3変
態点以上の温度に1秒以上保持して逆変態させ、続いて
冷却することで溶接部の組織を、溶接ままに対して再結
晶組織とする焼準し、あるいは固溶化熱処理などの再熱
処理を施し、しかる後に鋼管を500℃以上の高温で、
張力負荷状態で縮径変形させる事を特徴とする、加工性
の優れた溶接鋼管の製造方法。素材として平均r値が
1.0以上、n値が0.2以上の鋼板を用いることがで
き、縮径圧延条件としては圧延終了温度をAc3変態点
以下とし、断面積減少率を40%以上とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、成型あるいは引き
抜きなどの加工性の優れた機械構造用鋼管およびその製
造方法に関する。本発明は特に自動車用部品などに用い
られる材料に適する。
【0002】
【従来の技術】機械構造用鋼管は、その形状に起因する
軽量化が可能な強度部材として、例えば自動車部品など
に多く使用されており、鋼管そのものの形状から、2次
加工メーカーにて冷間あるいは熱間での加工を加えて部
品とすることが多い。しかし、加工に用いる鋼管は加工
性が良好で、自由度の高い変形能を有し、同時に成型性
が高く、局部的な塑性変形にも断裂することのない変形
追従能が高いことが要求される。しかし、に従来の構造
用鋼管はその製造方法が溶接鋼管であねために塑性変形
が加わっており、塑性降伏した後の見かけの耐力が比較
的高く、降伏耐力と引張り強さの比、いわゆる降伏比の
極めて高い場合が殆どで、そのために均一変形代がほと
んどない、極めて加工性の悪い鋼管が多かった。特に高
強度を必要とする部材ではこの傾向が強い。
【0003】近年、例えば自動車部材を極力軽量化し、
同時に製造コストを低減する動きが活発であり、静水圧
塑性変形による鋼管の複雑な成型工程が、一般名称とし
てハイドロフォームなどとして注目されており、特開平
10−175026号公報に当該技術に関する開示があ
る。これらの複雑かつ局部的な大変形を伴う加工あるい
は複数回加えられる鋼管の塑性加工に対して、上記の理
由から十分な塑性変形能を有する鋼管は現在、殆ど供給
できない状況にある。
【0004】こうした溶接鋼管の加工性向上には、鋼管
自体が有する塑性変形能を高めることが重要であり、特
に最近のハイドロフォームなどの厳しい塑性変形能要求
に応える技術の開発が望まれている。ここで塑性変形能
とは、具体的には材料の冷間加工性に対する指標であ
り、さらに詳しくは、例えば鋼管肉厚の局部減少のしに
くさの指標であるn値もしくは鋼管長手方向の材料伸縮
性を表す材料特性であるr値、特に鋼管軸方向のr値を
意味する。これらn値(以降加工硬化指数を意味する)
とL方向r値(通常冷延鋼板などで定義される平均r値
のうち、圧延方向のr値であるr0と同義)を同時に高
めることが重要であることを本発明者らは研究の結果明
らかにした。
【0005】しかし、溶接鋼管に限って議論する場合、
特に溶接部は鋼管軸方向に平行に存在し、鋼管断面に占
める面積率こそ小さいものの、母材とは異なる溶接組織
を有していることから、母材特性をいかに制御しても、
局部的に性能の劣る部位を有する不均質材料を提供する
ことしかできない。管体全体をオーステナイト化温度ま
で再加熱して、再度組織を制御することが唯一の対処方
法となるが、溶接鋼管の有する高生産性あるいは低コス
ト構造が失われてしまう。さらに、溶接部のみを選択的
に熱処理する、いわゆるシーム熱処理技術の適用も有効
ではあるが、HAZの中間温度域に加熱された部位は依
然として不均質な材質特性を有し、また特にr値につい
ては、この熱処理によって各結晶の方位がランダム化す
るために殆ど失われてしまうといった欠点があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上述した従来
技術が有する課題、すなわち良好な加工性を有する機械
構造用溶接鋼管の溶接部における材質的不均一を工業的
製造方法において解決する手段としての製造方法あるい
は材質的不均一のない鋼管を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、溶接部に沿っ
て加工性の見地から不均一な鋼管材質を均一化するため
の製造方法と、材質的に均一な鋼管を提供する。すなわ
ち、本発明の要旨は次のとおりである。 (1)管軸方向に溶接して製造した溶接鋼管を、溶接後
熱影響部を含む溶接部に、該鋼管素材のAc3変態点以
上の温度に1秒以上保持して逆変態させ、引続き冷却し
て該溶接部の組織を、溶接ままに対して再結晶組織とす
る再熱処理を施し、その後、該鋼管を500℃以上の温
度で張力負荷状態で縮径変形させることを特徴とする加
工性の優れた溶接鋼管の製造方法。 (2)前記再熱処理が焼準または固溶化熱処理、或いは
それに準ずる再熱処理であることを特徴とする(1)記
載の加工性の優れた溶接鋼管の製造方法。 (3)上記(1)または(2)に記載の製造方法におい
て、溶接鋼管素材となる鋼板に、平均r値が1.0以上
を有する高r値鋼板を用いることを特徴とする加工性の
優れた溶接鋼管の製造方法。 (4)上記(1)または(2)に記載の製造方法におい
て、溶接鋼管素材となる鋼板に、n値が0.2以上を有
する高n値鋼板を用いることを特徴とする加工性の優れ
た溶接鋼管の製造方法。 (5)上記(1)または(2)に記載の製造方法におい
て、溶接鋼管素材となる鋼板に、平均r値が1.0以
上、n値が0.2以上を有する高r値、高n値鋼板を用
いることを特徴とする加工性の優れた溶接鋼管の製造方
法。 (6)上記(1)〜(5)のいずれかの項に記載の製造
方法において、張力負荷状態での縮径変形を終了する温
度を該鋼管素材のAc1変態点以下とすることを特徴と
する加工性の優れた溶接鋼管の製造方法。 (7)上記(1)〜(5)のいずれかの項に記載の製造
方法において、張力負荷状態での縮径変形を終了する温
度を該鋼管材料のAc1変態点以上、Ac3点以下の2相
域とすることを特徴とする加工性の優れた溶接鋼管の製
造方法。 (8)上記(1)〜(7)のいずれかの項に記載の製造
方法において、張力負荷状態での縮径変形の開始温度と
終了温度の差が、100℃以上、250℃以下であるこ
とを特徴とする加工性の優れた溶接鋼管の製造方法。 (9)上記(1)または(2)に記載の製造方法におい
て、張力負荷状態での縮径変形の量が、変形前の鋼管の
断面積と縮径後の鋼管断面積の比で、40%以上である
ことを特徴とする加工性の優れた溶接鋼管の製造方法。 (10)上記(1)または(2)に記載の製造方法にお
いて、溶接部再熱処理によって得られた溶接部の金属組
織の有効平均結晶粒径と、母材の有効平均結晶粒径の比
が、張力負荷状態での縮径変形後に、(溶接部結晶粒
径)/(母材結晶粒径)の値で0.6以下であることを
特徴とする、加工性の優れた溶接鋼管の製造方法。 (11)上記(1)〜(10)のいずれかの項に記載の
各製造方法により製造し、それぞれ所望の機械的、金属
組織学的性質を有し、かつ、一様伸びが室温での引張り
試験において10%以上、かつ全伸びが40%以上であ
ることを特徴とする加工性の優れた溶接鋼管。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明は、溶接鋼管の管軸方向溶
接線に沿って生ずる材質的不均一部位を、造管溶接直後
に実施するシーム熱処理で予め不均一組織部位を減少さ
せることと、それに引き続く、鋼管特有の縮径圧延を併
用することで、鋼管溶接線に沿った組織的不均一を完全
に解消し、同時に縮径圧延の条件を適当に選定すること
によってなし得る、鋼管管軸方向(以降L方向と称す
る)のr値向上およびn値低下防止が根幹を成す。すな
わち、電縫溶接、TIG,MIG,SAWなどのアーク
溶接をAr雰囲気ないしは炭酸ガス雰囲気下で実施する
造管溶接、さらには高温高速圧接である鍛接、加えてレ
ーザー、電子ビーム溶接などの高エネルギー密度溶接に
よって、或はそれらの複合技術により造管溶接した鋼管
の、管軸方向に平行な溶接線に、造管溶接直後に、溶接
後の冷却前あるいは溶接後一旦冷却して再加熱によって
溶接線近傍のみに、鋼管の有するAc3変態点以上に1
秒以上加熱保持して逆変態を促し、直ちに放冷などの方
法で冷却して組織を制御する溶接部シーム熱処理をまず
施す。従来の技術ではこのようなシーム熱処理を施した
鋼管をさらに再加熱して縮径圧延をすることは殆ど例が
ない。その理由、縮径圧延では鋼管の再加熱温度が通常
Ac3点以上であって、鋼管の塑性変形を容易にし、同
時に再加熱による逆変態が管体全体を熱処理する役目を
併せ持っているからである。しかし、本発明で適用する
縮径圧延の目的は鋼管の形状を必要な仕様に揃えるのみ
ならず、張力が負荷された状態で縮径する事による結晶
の方位回転を生じせしめ、これによってL方向r値を高
め、また高温への再加熱によって、鋼管成型時の塑性変
形で一旦喪失した素材鋼板のn値を回復せしめることに
ある。従って、通常は併用することのないシーム熱処理
と、本発明に特有のL方向r値向上とn値回復のための
鋼管縮径圧延を併用することが本発明の効果を初めて発
現させることとなる。通常の縮径圧延ではn値、r値の
同時向上は意図しないためその圧延条件に留意すること
はないが、特に通常の方法で縮径圧延を実施するにおい
て、その終了温度を少なくとも鋼管のAc3変態点以下
とし、2相域で圧延することでL方向r値向上とn値低
下防止の度合いを制御することが可能であり、さらには
材料強度の要求仕様に応じて縮径圧延終了温度をAc1
変態点以下とすることは、さらに結晶方位のランダム化
を防止し、L方向への集合組織発達を促す上で必須であ
る。また、この縮径圧延終了温度は500℃以上でない
と造管歪みの十分な除去ができず、かつ結晶回転そのも
のが妨げられてしまうため、縮径圧延終了温度は500
℃以上でなければならない。しかも、上記のように圧延
温度が比較的低くなる場合は、圧延中の温度低下が大き
い場合に圧延自体の歪み蓄積が大きく、結晶回転にもま
た、n値回復にも悪影響を与えるため、この時の温度低
下を250℃以下としなければならない。しかし、多段
ロールを用いる高速圧延である鋼管縮径圧延ではロール
接触に起因する抜熱が大きく、工業的には温度低下防止
は困難である。そこで、本発明においては工業的実用性
を考慮して縮径圧延時の温度低下を100〜250℃の
範囲内と定めた。
【0009】なお、縮径圧延は溶接線を含めて材料の結
晶方位回転とn値回復を同時に達成する工程であるか
ら、これら動的再結晶に属する組織変化を迅速に誘起す
るため、その縮径加工率は鋼管断面積比において、圧延
前後で40%以上であることが必要である。本発明にお
いては、平均r値が1.0以上である鋼板を素材として
用いることで、結晶回転により鋼管のL方向のr値向上
せしめることが可能となることも、本発明者らの詳細な
研究によって明らかとなっている。また、鋼管用素材と
して一様伸びの大きい素材を使用することも本発明の効
果の発現に大きく寄与する。この場合、素材鋼板のn値
は0.2以上でないと縮径圧延後の回復によっても本発
明の意図する効果は発現できない。同様に、素材鋼板の
平均r値が1.0以上で、同時にn値が0.2以上であ
る鋼板を用いれば、本発明の効果をさらに容易に発現で
きるようになる。
【0010】また、特にシーム熱処理を施した溶接線近
傍は、熱処理時の逆変態で一旦γ化するものの、その保
持時間が比較的短いために母材に比較して細粒組織とな
る。このシーム熱処理が不完全であれば、その後の結晶
回転が不十分となり、また同時に急速冷却に起因する歪
み導入によってn値回復が母材程度まで進行しない。従
って、シーム熱処理の目的を考慮するとき、その結晶粒
径を指標として、十分に熱処理できたかどうかを判断す
ることが可能であり、有効結晶粒径で溶接部と母材部に
おいて比をとった場合に、(溶接部結晶粒径)/(母材
結晶粒径)の値で0.6以下であることが判断の指標と
して十分であることを実験的に確認した。故に本発明に
おいては縮径圧延後に、鋼管の造管溶接部位と少なくと
も溶接線から10mm離れた母材部における有効結晶粒径
(ここでは機械的特性を支配する大傾角粒界に囲まれた
結晶粒の円相当直径、焼き入れ組織ではブロック粒径、
フェライト組織ではフェライト粒径など)の比が0.6
以下とならなければならない。
【0011】上述した製造方法を用いて製造した鋼管
は、室温において鋼管ままで引張り試験を実施した場合
の応力歪み線図上において、一様伸びが10%以上で、
かつ40%以上の全伸びを有する加工性の優れた鋼管と
なりうる。
【0012】
【実施例】熱間圧延あるいは冷間圧延にて製造した、引
張り強度約350〜700MPaの鋼板を、複数の圧延ス
タンドを有する成型圧延機、例えば電縫鋼管成型機ある
いは鍛接鋼管成型機、さらにはベンディングロール成型
機ないしはUO鋼管成型機によって塑性加工して鋼管溶
接用母管となし、これを電縫溶接、TIG,MIG,S
AW、レーザー溶接、電子ビーム溶接などを用いて溶接
鋼管とした。溶接を終了した鋼管においては、Ac3
態点以上の温度に1秒以上保持するシーム熱処理を施
し、管軸方向溶接線に沿った溶接組織を改善した。さら
に、それらシーム熱処理後の鋼管を、鋼管のAc1変態
点以上の温度にガス炉あるいは電気抵抗炉を用いる炉で
の加熱ないしは高周波誘導加熱によって再加熱し、これ
を圧延終了温度が圧延開始温度以下で、かつ500℃以
上、Ac3変態点以下となるように、また同時に圧延時
の温度低下は100℃以上で250℃以下であるような
圧延条件を選定し、種々の縮径率で熱間あるいは温間圧
延し、最終的に加工性に優れた鋼管試験体とした。得ら
れた鋼管試験体は機械的特性および組織的特性を調査し
た。
【0013】表1には溶接鋼管の素材鋼板の特性として
の平均r値、n値と鋼管のシームノルマ保持時間、シー
ムノルマ最高到達温度(鋼管溶接部外表面を放射温度計
にて測定)、縮径圧延時の圧延開始温度と終了温度およ
び圧延時の低下温度、さらには得られた鋼管の断面積減
少率と鋼管管体引張り試験時のL方向r値、n値をそれ
ぞれ測定した結果を同時に示した。鋼板用素材として予
め平均r値とn値の高い材料を適用する場合、鋼管のL
方向r値あるいはn値が高くなる傾向にあり、また縮径
圧延条件を本発明の範囲内に限定し、同時にシーム熱処
理を併用することで、縮径圧延後の鋼管の一様伸び、全
伸びはいずれも高いが、さらに組織的にも有効結晶粒径
で(溶接部結晶粒径)/(母材結晶粒径)の値が0.6
以下となっているため、溶接線近傍の加工性も良好に保
たれたことがその一因である。
【0014】図1は、本発明の根幹を成す溶接部組織に
シーム熱処理と縮径圧延を併用した場合の組織改善効果
を表す図である。縮径圧延で組織は母材共々改善される
が、その始祖の組織であるシーム熱処理条件は重要であ
り、特にAc3変態点以上に加熱された部位の最高温度
保持時間の長短が組織改善効果を決定する。ここでは、
その保持時間に対する組織改善効果を溶接部の有効結晶
粒径と母材部の有効結晶粒径比で示してあるが、最高加
熱温度保持時間が1秒以上である場合、目標とする有効
結晶粒径比は0.6以下となる。また、図2にはシーム
熱処理後に実施する縮径圧延の終了温度と、この圧延で
生じる鋼管の集合組織の配向度合いをL方向のr値で代
表して示した。目標とするL方向のr値1.2以上を安
定して得るためには圧延終了温度が500℃以上であ
り、かつ供試鋼管のAc3変態点が870℃であること
を考慮すると、同時に圧延終了温度はAc3変態点以下
でなければならないことが明らかである。なお、図1の
本発明方法に適用した鋼管用素材の平均r値は1.15
であった。また、その他の圧延条件およびシーム熱処理
条件は全て本発明方法の範囲内であった。さらに、図3
には、溶接部を含めた鋼管のL方向r値の縮径圧延にお
ける断面積減少率との関係を示してある。素材鋼板とし
て平均r値1.21の冷延焼鈍鋼板を用いた。縮径圧延
時の断面積減少率は40%以上であれば目標とするL方
向r値1.2以上が安定して、鋼管の至る所で得られ
る。
【0015】比較のために、本発明の鋼管製造方法以外
の方法で製造した鋼管の特性を表2に示した。表2に示
す鋼管のうち、No.23はシームノルマ保持時間が1
秒未満であったため、溶接部組織改善が十分でなく、一
様伸びが不十分となった例、No.24はシーム熱処理
温度が低すぎて、Ac1変態点(当該鋼管では722
℃)以下となったため、実質的にシーム熱処理が成され
ず、溶接部組織改善ができずに一様伸びが低下した例、
No.25は縮径圧延終了温度がAc3変態点(当該鋼
管では865℃)以上となったため、縮径圧延後の鋼管
L方向r値が高められず、一様伸びが低下した例、N
o.26は圧延終了温度が500℃以下となったため、
圧延による歪みが大量に残留し、n値は回復せず、一様
伸びが低下した例、No.27は縮径圧延時の温度低下
が250℃以上となったため、L方向r値、n値ともに
低く、一様伸び、全伸びの何れもが低下した例、No.
28は縮径圧延率が低く、集合組織の結晶方位回転が十
分でなく、鋼管L方向r値が高められず、一様伸びが低
下した例、No.29は造管後の溶接部シーム熱処理を
施さず、かつNo.28と同様の縮径圧延条件であり、
素材鋼管に平均r値の高い材料を適用したにもかかわら
ず一様伸びが低下した例、No.30は、素材にn値の
高い材料を適用したにもかかわらず、縮径圧延を実施し
なかったために、鋼管L方向r値が低く、かつ造管時の
歪み蓄積が解消されないためにn値が低下した例であ
る。
【0016】
【表1】
【0017】
【表2】
【0018】
【発明の効果】本発明は、加工性の優れた溶接鋼管を工
業的に製造する方法及び該製造方法を用いて製造した鋼
管の提供、例えば、自動車用部品あるいは他の塑性加工
を必要とする機械部品の供給が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】鋼管の溶接部組織にシーム熱処理と縮径圧延を
併用した場合の組織改善効果を現す図。
【図2】シーム熱処理後に実施する縮径圧延の終了温度
と、鋼管L方向のr値の関係を示す図。
【図3】溶接部を含めた鋼管のL方向r値の縮径圧延に
おける断面積減少率との関係を示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // B21D 26/02 B21D 26/02 C B23K 101:06 B23K 101:06 (72)発明者 朝日 均 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内 (72)発明者 吉永 直樹 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内 (72)発明者 藤田 展弘 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内 (72)発明者 高橋 学 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内 (72)発明者 大神 正浩 山口県光市大字島田3434番地 新日本製鐵 株式会社光製鐵所内 Fターム(参考) 3H111 AA01 BA03 BA34 CB14 DA26 DB19 EA09 EA12 4K032 BA03 CC01 CC02 CC03 4K042 AA06 AA24 BA05 DA03 DC02 DC03

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 管軸方向に溶接して製造した溶接鋼管
    を、溶接後熱影響部を含む溶接部に、該鋼管素材のAc
    3変態点以上の温度に1秒以上保持して逆変態させ、引
    続き冷却して該溶接部の組織を、溶接ままに対して再結
    晶組織とする再熱処理を施し、その後該鋼管を500℃
    以上の温度で張力負荷状態で縮径変形させることを特徴
    とする加工性の優れた溶接鋼管の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記再熱処理が焼準または固溶化熱処
    理、或いはそれに準ずる再熱処理であることを特徴とす
    る請求項1記載の加工性の優れた溶接鋼管の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の製造方法にお
    いて、溶接鋼管素材となる鋼板に、平均r値が1.0以
    上を有する高r値鋼板を用いることを特徴とする加工性
    の優れた溶接鋼管の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1または2に記載の製造方法にお
    いて、溶接鋼管素材となる鋼板に、n値が0.2以上を
    有する、高n値鋼板を用いることを特徴とする加工性の
    優れた溶接鋼管の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1または2に記載の製造方法にお
    いて、溶接鋼管素材となる鋼板に、平均r値が1.0以
    上、n値が0.2以上を有する高r値、高n値鋼板を用
    いることを特徴とする加工性の優れた溶接鋼管の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかの項に記載の製
    造方法において、張力負荷状態での縮径変形を終了する
    温度を該鋼管素材のAc1変態点以下とすることを特徴
    とする加工性の優れた溶接鋼管の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜5のいずれかの項に記載の製
    造方法において、張力負荷状態での縮径変形を終了する
    温度を該鋼管材料のAc1変態点以上、Ac3点以下の2
    相域とすることを特徴とする加工性の優れた溶接鋼管の
    製造方法。
  8. 【請求項8】 上記請求項1〜7のいずれかの項に記載
    の製造方法において、張力負荷状態での縮径変形の開始
    温度と終了温度の差が、100℃以上、250℃以下で
    あることを特徴とする加工性の優れた溶接鋼管の製造方
    法。
  9. 【請求項9】 請求項1または2に記載の製造方法にお
    いて、張力負荷状態での縮径変形の量が、変形前の鋼管
    の断面積と縮径後の鋼管断面積の比で、40%以上であ
    ることを特徴とする加工性の優れた溶接鋼管の製造方
    法。
  10. 【請求項10】 請求項1または2に記載の製造方法に
    おいて、溶接部再熱処理によって得られた溶接部の金属
    組織の有効平均結晶粒径と、母材の有効平均結晶粒径の
    比が、張力負荷状態での縮径変形後に、(溶接部結晶粒
    径)/(母材結晶粒径)の値で0.6以下であることを
    特徴とする加工性の優れた溶接鋼管の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項1〜10のいずれかの項に記載
    の各製造方法により製造し、それぞれ所望の機械的、金
    属組織学的性質を有し、かつ一様伸びが室温での引張り
    試験において10%以上、かつ全伸びが40%以上であ
    ることを特徴とする加工性の優れた溶接鋼管。
JP2000306765A 2000-10-05 2000-10-05 加工性の優れた溶接鋼管の製造方法および溶接鋼管 Withdrawn JP2002115012A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013234348A (ja) * 2012-05-08 2013-11-21 Jfe Steel Corp 耐疲労特性に優れた自動車部品用電縫溶接鋼管およびその製造方法
CN113102853A (zh) * 2021-03-26 2021-07-13 冰加优享科技(东莞)有限公司 一种制冰机的蒸发器制造工艺及模具

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