JP2004217992A - 電縫鋼管およびその製造方法 - Google Patents

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Tatsuya Okui
達也 奥井
Koichi Kuroda
浩一 黒田
Tokiaki Nagamichi
常昭 長道
Fumio Okumura
史生 奥村
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Nippon Steel Corp
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

【課題】2次加工の際に異方性、表層部割れが見られず、製造に際して、曲がりがなく、真直性にすぐれた電縫鋼管とその製造方法を提供する。
【解決手段】C:0.0002〜0.5 %、Si:0.003 〜3.0 %、Mn:0.003 〜3.0 %、Al:0.002 〜2.0 %、P:0.003 〜0.15%、S:0.03%以下、N:0.01%以下を含有し、残部はFeおよび不純物の鋼組成を有する母材鋼管をAe点以上1300℃以下に加熱し、該母材鋼管の周方向温度分布をほぼ均一化した後に絞り圧延を行う際、圧延完了温度を(Ae点−50℃) 以上とし、圧延完了温度を開始温度よりも50℃以上低くする絞り圧延を行い、さらに圧延後2秒以内に冷却を開始して、(Ae点−70℃) までは5℃/s以上20℃/s以下で冷却し、その後、(Ae点−150 ℃) までは1.0 ℃/s以上20℃/s以下で冷却する。
その母材の平均結晶粒径が40μm 以下で、45μm 以上の粗粒を含まず、表面層の平均結晶粒径が母材の平均結晶粒径の2/3 以下である。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、優れた機械的性質を有する電縫鋼管とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
鋼材には強度のみでなく、延性・靱性が高いことが必要で、強度と延性・靱性とのバランスがよい鋼材が要望されている。また、2次加工性に優れた鋼管の要望も高く、ハイドロフォーム等の加工では様々な方向に加工されることから、どの方向にも等方的に変形可能な組織を有する材料が望まれていた。特に、加工時の表層部割れ等の改善が望まれていた。
【0003】
従来にあっても、結晶粒の微細粒化は強度、延性・靱性を共に向上させうる数少ない手段として知られており、いくつかの提案がなされている。
特開2000−94009 号公報にはAc変態点〜400 ℃に加熱または均熱した後、累積縮径率20%以上の絞り圧延を行い、引き続き冷却速度1.5 ℃/s 以上で常温まで急冷することにより結晶粒粗大化を抑制する技術が開示されている。
【0004】
また特開2001−162305号公報には、400 ℃〜(Ar変態点+50℃) 未満で、圧下率が30%以上になる絞り圧延を施し、圧延終了後0.5 秒以内に30℃/s 以上の冷却速度で冷却するという鋼管の製造方法が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2000−94009 号公報
【特許文献2】特開2001−162305号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1の開示する技術では細かい粒の中に一部大きな粒径のものが混ざる組織(混粒組織)となる問題があった。
【0007】
また、特許文献2の開示する従来技術では冷却速度が速すぎて、冷却時に管材の曲がりが発生し、真直性に劣るという問題があった。
ここに、本発明の課題は、2次加工の際に異方性がみられず、表層部割れが生じない電縫鋼管とその製造方法を提供することである。
【0008】
さらに本発明の課題は、製造に際して、曲がりがなく、真直性にすぐれた電縫鋼管とその製造方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる課題を解決すべく種々検討を重ね、上述のような従来技術の問題が、混粒組織が生成されることによるものとの着想を得て、そのような混粒組織を排除する製造条件を見出し、さらに表面層のみを細粒化することで2次加工時の外表面からの割れの問題を改善できることを知った。
【0010】
すなわち、従来技術では、絞り圧延終了温度が低いため、混粒組織となる場合があったのである。そこで、本発明では紋り圧延終了温度を(Ae変態点−50℃) 以上とするとともに、更に圧延後2秒以内に冷却を開始して、圧延後、(Ae点−70℃) までは5℃/s 以上20℃/s 以下で冷却し、その後、(Ae点−150 ℃) までは1.0 ℃/s 以上20℃/s 以下で冷却することにより表面層のみ細粒化し、母材は均一粒となるという知見を得た。
【0011】
絞り圧延終了温度が(Ae点−50℃) 未満の場合には、絞り圧延の途中でオーステナイト相から変態して生じるフェライト相が多くなる。変態後に加工を受けたフェライトは粗大化し、オーステナイト域で加工を受けた後に変態するフェライトは細粒化するため、絞り圧延の途中で生成するフェライト相が多いほど、最終製品で混粒組織が組織全体に占める割合が大きくなる。一方、絞り圧延終了温度が1000℃を超えると絞り加工による結晶粒微細化効果が減少し、最終製品の結晶粒が粗大化する。
【0012】
最終製品で混粒組織になると、地中埋設配管等として湿潤環境下または腐食環境下においては粒径差により局部電池が生じ、耐腐食性が劣化する。
このように、絞り圧延終了温度を(Ae点−50℃) 以上とすることにより、絞り圧延途中で生成、粗大化するフェライト相を少なくし、最終製品での混粒組織の割合を小さくすることができる。加えて、細粒組織の割合を大きくすることができるため、耐腐食性を向上できることを見い出した。
【0013】
また、絞り圧延後2秒以内に冷却を開始し、圧延後、(Ae点−70℃) までは5℃/s 以上20℃/s 以下で冷却し、その後、(Ae点−150 ℃) までは1.0 ℃/s 以上20℃/s 以下で冷却することにより、表面層のみ急激な温度低下が図れ、表面層のみ均一な組織でかつ細粒化が図れることを見いだした。表面層を細粒とすることで2次加工時に外表面の割れが発生しにくくなるのである。
【0014】
ここに、本発明は次の通りである。
(1)質量%で、
C:0.0002〜0.5 %、Si:0.003 〜3.0 %、Mn:0.003 〜3.0 %、
Al:0.002 〜2.0 %、P:0.003 〜0.15%、S:0.03%以下、N:0.01%以下を含有し、
残部はFeおよび不純物
から成る鋼組成を有し、その母材の平均結晶粒径が40μm 以下で、45μm 以上の粗粒を含まず、表面層の平均結晶粒径が母材の平均結晶粒径の2/3 以下であることを特徴とする電縫鋼管。
【0015】
(2)前記鋼組成が、質量%で、さらに
下記第1群ないし第4群のうちの1種または2種以上を含む上記(1) 記載の電縫鋼管。
【0016】
第1群:B:0.0002 〜0.01 %、
第2群:Ti、Nb、VおよびZrのうちの1種以上を合計で0.005 〜1.0 %、
第3群:Cr、Mo、CuおよびNiの1種以上を合計で0.005 〜3.0 %、
第4群:Ca: 0.0001〜0.005 %およびREM(希土類元素):0.0001〜0.20%のうちの1種以上。
【0017】
(3)上記(1) または(2) 記載の鋼組成を有する母材鋼管をAe点以上1300℃以下に加熱し、該母材鋼管の周方向温度分布をほぼ均一化した後に絞り圧延を行うこと、圧延完了温度を(Ae点−50℃) 以上とすること、そして絞り圧延終了後、2秒以内に冷却を開始して(Ae点−70℃) までは5℃/s以上20℃/s以下で冷却し、その後、(Ae点−150 ℃) までは1.0 ℃/s以上20℃/s以下で冷却することを行うことを特徴とする電縫鋼管の製造方法。
【0018】
(4)圧延完了温度を開始温度よりも50℃以上低くする絞り圧延を行うことを特徴とする上記(3) 記載の電縫鋼管の製造方法。
【0019】
【発明の実施の形態】
ここに、本発明における上述の鋼組成およびその製造条件の限定理由を説明する。なお、鋼組成を規定する「%」は特にことわりがない限り、「質量%」である。
【0020】
C: 0.0002 0.5
Cは、0.0002%未満では、結晶粒が極端に粗大化し、高い成形性を安定して得られず、鋼管の成形時に割れや表面肌荒れが生じ易くなる。また、めっき付着性も低下する。更に、C含有量を0.0002%未満に低下させるには、特殊な製鋼技術を必要とするのでコストも嵩む。含有量が0.5 %を超えると、強度が上昇し過ぎて延性や熱間加工性が低下するとともに、溶接接合部に欠陥が発生し易くなって溶接状況が安定しなくなり、電縫溶接部の耐溝状腐食性を劣化させる。そこで、本発明では、C含有量は0.0002%以上0.5 %以下と限定し、好ましくは0.01%以上0.3 %以下であり、より好ましくは0.03%以上0.25%以下である。さらに0.03%以上0.20%以下にすることにより、圧延温度の適正範囲の拡大が可能となる。
【0021】
Si 0.003 3.0
Siは、加工性を損なうことなく、鋼の強度を向上させる作用を有する。更に、フェライト相の生成を促進して、フェライト量を増加させる作用もある。こうした効果を発揮させるためには、少なくとも0.003 %を含有させる必要がある。
【0022】
また、含有されることにより脱酸元素として作用するが、めっきの合金層発達抑制の効果があり、3.0 %以下添加する。好ましくは、0.15%以上、0.25%以下が有効である。なお、含有量が3.0 %を超えると延性を劣化させる等の悪影響を生じる。
【0023】
Mn 0.003 3.0
Mnは、Sによる鋼の熱間脆性を防止する作用を有する。更に、鋼を固溶強化する作用もある。こうした効果を発揮させるためには、少なくとも0.003 %含有させる必要がある。しかし、含有量が3.0 %を超えると、溶接性や延性を劣化させるとともに、非金属介在物であるMnS の周辺部が溶解し易いことから、このMnS が溝状腐食の起点となり、耐溝状腐食性が劣化する。そこで、本発明では、Mn含有量は0.003 %以上3.0 %以下と限定する。
【0024】
なお、強度および伸びをそれぞれ調和させるという観点から、Mn含有量の下限値は0.05%であることが、また上限値は2.0 %であることが、それぞれ好ましく、より好ましくは0.20%以上0.60%以下である。
【0025】
Al 0.002 2.0
Alも、0.002 %以上含有されることにより脱酸元素として作用するが、Al含有量が2.0 %を超えると、介在物量が増加して鋼の清浄度を低下させるとともに耐食性の低下を招く。そこで、本発明では、Al含有量は0.002 %以上2.0 %以下と限定する。好ましくは、0.015 %以上1.0 %以下であり、より好ましくは0.015 %以上0.03%以下である。
【0026】
P: 0.003 0.15 %以下
Pは、不可避な不純物であって、結晶粒界に偏析して靱性および耐溝状腐食性をともに劣化させることから、その含有量は少ないほうが望ましい。しかし、Pの極端な低減には相応のコスト上昇を伴うことから、本発明ではP含有量を0.003 〜0.15%以下とする。好ましくは0.04%以下であり、より好ましくは0.02%以下である。
【0027】
S: 0.03 %以下
Sは、不可避な不純物であって、硫化物を生成して鋼の清浄度および耐溝状腐食性をともに劣化させることから、その含有量は少ないほうが望ましい。しかし、Sの極端な低減には相応のコスト上昇を伴うことから、本発明ではS含有量の上限値を0.03%とするのが好ましく、より好ましくは0.01%以下である。
【0028】
N: 0.01 %以下
Nは、鋼の強化元素であるとともに不可避的な不純物である。不純物として通常含有される量は0.005 %程度であるものの、0.01%までの含有は特に弊害もなく許容される。そこで、本発明では、N含有量は0.01%以下と限定するのが好ましく、より好ましくは0.004 %以下である。
【0029】
これらの元素が本発明にかかる電縫鋼管の基本成分であるが、この基本成分にさらに以下に述べる元素の少なくとも1つを任意添加元素として含有させることにより、より一層優れた耐溝状腐食性とその他の特性とを兼ね備えた電縫鋼管を得ることができる。そこで、以下、これらの任意添加元素についても説明する。
【0030】
本発明において、前記鋼組成は、さらに、下記第1群ないし第4群のうちの1種以上を含むものであってもよい。
第1群:B:0.0002 〜0.01%、
第2群:Ti、Nb、VおよびZrのうちの1種以上を合計で0.005 〜1.0 %、
第3群:Cr、Mo、CuおよびNiの1種以上を合計で0.005 〜3.0 % 、
第4群:Ca: 0.0001〜0.005 %、およびREM(希土類元素):0.0001〜0.2 %のうちの1種以上のいずれかの元素。
【0031】
B: 0.0002 0.01
Bには鋼の焼入れ性を高める作用があるので、冷却過程でフェライト相の結晶粒径を制御する際に活用してもよい。B含有量が0.0002%未満ではその効果が得難い。しかし、B含有量が0.01%を超えると、溶接性と靱性とがともに劣化する。そこで、Bを添加する場合には、その含有量は0.01%以下と限定することが望ましい。
【0032】
Ti Nb 、Vおよび Zr のうちの1種以上を合計で 0.005 1.0
Ti、Nb、VおよびZrには鋼に含有される固溶C、固溶Nおよび固溶Sを析出物として固定して無害化する作用があり、特に延性や深絞り性をそれほど損なうことなく鋼の強度を高める作用を有する。したがって、鋼の深絞り性を高めるためにTi、Nb、V及びZrおよびを1種以上含有させてもよいが、その合計含有量が0.005 %未満ではかかる効果が得難く、一方、これらの含有量が合計で1.0 %を超えると上記効果は飽和するとともに逆に延性や深絞り性が低下する。そこで、Nb、V、ZrおよびTiの1種以上を添加する場合には、それらの含有量は合計で1.0 %以下と限定することが望ましい。下限は特に規定されないが、好ましくは少なくとも1種以上で合計0.005 %以上であることが好ましい。
【0033】
Cr Mo Cu および Ni の1種以上を合計で 0.005 3.0
Cr、Mo、CuおよびNiには焼入れ性を向上させる作用があるので、冷却過程でのフェライト相や残部相の結晶粒径や面積割合を制御するのが容易になる。上記焼入れ性を高めることに加えて、Cuには耐食性を高める作用もある。このため、前述した目的でCr、Mo、CuおよびNiの1種以上を合計で0.005 〜3.0 %含有させてもよい。これらの含有量が合計で3.0 %を超えると上記効果は飽和するとともに逆に延性が低下する。そこで、Cr、Mo、CuおよびNiの1種以上を添加する場合には、それらの含有量は合計で3.0 %以下と限定することが望ましい。
【0034】
下限については特に規定されないが、これらのうちの少なくとも1種以上の含有量が合計で0.005 %未満ではその焼入れ効果が得難いため、好ましくはその下限は、合計量で0.005 %とするのがよい。
【0035】
Ca: 0.0001 0.005 %、および REM( 希土類元素 ):0.0001 0.20
CaおよびREM には介在物の形状を調整して冷間加工性を改善する作用があるので、冷間加工性を高める目的で含有させてもよいが、Ca、REM ともにその含有量が0.0001%未満ではその効果が得難い。一方、Caを0.005 %を超えて、あるいはREM を0.20%超えて含有させてもその効果は飽和し、コストが嵩むばかりである。したがって、Ca、REM の1種以上を添加する場合には、Caの含有量は0.0001〜0.005 %、REM の含有量は0.0001〜0.20%とするのがよい。
【0036】
本発明にかかる電縫鋼管は、上述の鋼組成を有するとともに、その母材の平均結晶粒径が40μm 以下である。特に本発明の場合、結晶粒に45μm 以上の粗粒を含まず、全体として均一粒径となる。これにより2次加工の際の異方性が解消される。
【0037】
さらに本発明によれば、表面層の平均結晶粒径は母材の平均結晶粒径の2/3 以下であるが、この場合の「表面層」とは、外表面から0.1mm 厚の表面層のことであり、その領域における平均結晶粒径を云う。かかる「表面層」における結晶粒径は、通常25μm 以下であり、好ましくは20μm 以下である。かくして、本発明によれば、加工時の表層割れが効果的に防止できる。
【0038】
次に、本発明にかかる電縫鋼管の製造工程について説明する。
図1は、本発明において使用できる電縫鋼管の製造工程の一例を示す。本発明は必ずしもかかる工程にだけ制限されるものではなく、すでに慣用的に用いられている製造工程を適宜採用することでさらに実用性のある電縫鋼管を製造することができる。
【0039】
すなわち、本発明によれば、帯鋼に、連続的に加熱、成形、電縫溶接、再加熱、絞り圧延および切断等の各種を行うことによって、熱間仕上げまたは温間仕上げによって成形される。各工程はすでによく知られているところであり、本発明においても、本発明の特徴とする点を除いて、そのような工程をそのまま用いることができる。
【0040】
帯鋼2は、電縫鋼管9の製管素材であって、その組成は、成品である電縫鋼管9に要求される性能に応じて適宜設定される。
帯鋼2はアンコイラー1から払い出され、加熱炉3に挿入して加熱される。加熱は成形および誘導加熱溶接装置4によって後に行われる電縫溶接時に、溶接エッジとその近傍の母材部との間に不可避的に生じる温度差を可及的に抑制して熱影響硬化組織の発生を防止し、組織を均一化するために行われる。
【0041】
鋼の加熱温度は、400 ℃未満であると、帯鋼の成形時の変形抵抗が大きくなり、成形ロールコーナ部からの噛み出しによるロール疵が発生し易くなる。また、Ae変態点未満であると、加熱後の帯鋼の組織が均一なオーステナイト粒にならず、後に行う絞り圧延の際に局部的な相変態が発生し、最終製品の組織粒径が不均一となり、溶接部近傍の熱影響部で組織および粒径の顕著な不均一が生じ易い。この場合、溶接速度を低下させるとともに、後に行う再加熱処理の時間を長くし、さらに絞り圧延前の母管をAe変態点以上に昇温することで組織の不均一を防止することができるが、生産性が低下する。また、加熱温度が1300℃以上になると、母材加熱温度が高温のため、高温での固相接合の際に突き合わせ端面における表面スケールを完全に除去することが難しく、接合部へのスケール噛み込みなどの溶接欠陥が発生、接合強度が母材部よりも劣り易くなり、熱効率的にもロスが大きい。このため、帯鋼の加熱温度を400 ℃以上、望ましくはAe変態点以上、1300℃以下にて実施することが望ましい。
【0042】
帯鋼2は、上記加熱を施した後、成形および誘導加熱溶接装置4に設けられた複数の成形ロールによって、連続的にオープン管に成形される。
このオープン管は、誘導加熱コイルにより、両エッジ部を融点まで局部的に加熱される。
【0043】
両エッジを融点まで局部的に加熱されたオープン管は、成形および誘導加熱溶接装置に設けられたスクイズロールによって、溶融圧接溶接される。
内外面の溶融ビードは、固定切削バイトまたは、回転バイトなどで切削、除去される。
【0044】
ビード除去後、溶接部と、周方向の温度差を均一化するとともに、後に行われる絞り圧延における圧延温度を調整することを目的として、管再加熱装置5により、加熱昇温または均熱される。
【0045】
上記加熱後、絞り圧延装置6により絞り圧延後、冷却装置7により冷却し、所定の外径に仕上げる。
本発明では、絞り圧延終了温度を(Ae点−50℃) 以上とする。絞り圧延終了温度が(Ae点−50℃) 未満の場合には、絞り圧延の途中でオーステナイト相から変態して生じるフェライト相が多くなる。変態後に加工を受けたフェライトは粗大化し、オーステナイト域で加工を受けた後に変態するフェライトは細粒化するため、絞り圧延の途中で生成するフェライト相が多いほど、最終製品で混粒組織が組織全体に占める割合が大きくなる。最終製品で混粒組織になると、地中埋設配管等として湿潤環境下または腐食環境下においては粒径差により局部電池が生じ、耐腐食性が劣化する。一方、絞り圧延終了温度が1000℃を超えると絞り加工による結晶粒微細化効果が減少し、最終製品の結晶粒が粗大化する。
【0046】
このように、紋り圧延終了温度を、(Ae点−50℃) 以上とすることにより、絞り圧延途中で生成、粗大化するフェライト相を少なくし、最終製品での混粒組織の割合を小さくすることができる。加えて、細粒組織の割合を大きくすることができるため、耐腐食性を向上できる。
【0047】
一方、絞り圧延開始温度が、その終了温度よりも50℃以上高くないと、電縫溶接により一旦オーステナイト粒が粗大化した溶接部とその周辺母材部との組織差が完全には解消されないために結晶粒径に差を生じ、最終製品の組織が粗粒と細粒との混粒組織となる場合がある。絞り圧延の開始温度はこの圧延終了温度よりも50℃以上高くするのが好ましい。
【0048】
また合計の断面積減少率の50%以上を、Ae点+200 ℃〜Ae点の温度領域で圧延するのが望ましい。また、紋り圧延の開始温度と終了温度の温度差の上限は特に規定する必要はないが、開始温度の上限値は1300℃以下とすることが望ましい。これは、帯鋼の加熱温度と同じく、開始温度が1300℃を超えるとオーステナイト粒が粗大化し、絞り圧延による強加工を行っても最終製品の結晶粒が粗大化し、充分な強度が得られなくなると共に、鋼管の表面のスケールが発生し易くなり、絞り圧延後の管表面性状の悪化を招く恐れがあるからである。
【0049】
絞り圧延終了後、2秒以内に冷却を開始し、5〜20℃/sで冷却する。好ましくは、同じく圧延後、(Ae点−70℃) までは5℃/s 以上20℃/s 以下で冷却し、その後、(Ae点−150 ℃) までは1.0 ℃/s 以上20℃/s 以下で冷却することにより、表面層のみ急激な温度低下が図れ、表面層のみ細粒化が図れる。冷却速度が1.0 ℃/s 未満では結晶粒の粗大化が抑制できず、また冷却速度が20℃/s を超えると管材軸方向の反り、曲がりが大きくなり、真直性に劣る問題がある。
【0050】
圧延終了後に2秒以内に冷却を開始するが、この冷却開始時間が遅れると、結晶粒の粗大化が始まり、細粒が得られない。また圧延後、(Ae点−70℃) までは特に速い速度で冷却することで歪の抜けを防止することができる。しかし、冷却速度が20℃/s を超えると、軸方向に曲がりが発生し、真直性が劣るので、好ましくない。
【0051】
次いで管切断装置8により切断され、電縫鋼管9となり、クーリングベットに搬送されて、変態が完全に完了するまで放冷される。
かくして、本発明によれば母材の粒径は40μm 以下となり、45μm 以上の粗粒は含まれない。表面層の細粒部分は、管外面側表層部厚さ0.1mm 以上であることが望ましい。厚さ0.1mm 未満であると、2次加工時の外表面の割れ防止効果が十分に得られない。なお、厚さ0.1mm 以上に余り深くしてもその効果は飽和するので、0.1mm あれば十分である。
【0052】
【実施例】
図1に示す製造工程を用い、絞り圧延終了温度および冷却速度を表1に示すように変更して電縫鋼管を製造した。
【0053】
幅365mm 、厚さ3.7mm の帯鋼2を帯鋼加熱炉3により過熱し、成形および誘導加熱溶接装置4により成形および電縫溶接を行って、外径が114.3mm の鋼管とし、この鋼管を管再加熱炉5により連続的に再加熱した後、3ロールタイプのストレッチレデューサ(絞り圧延機)6により、合計縮径率が57.5%の絞り圧延を行い、さらに管切断装置7により所定の管長に切断することにより、外径48.6mmおよび肉厚3.31mmの電縫鋼管8とした。
【0054】
そしてこれらの電縫鋼管の結晶粒径、管の曲がりを調査した結果について表2にまとめて示す。
表2の結晶粒径は鋼管長手方向に垂直な断面について、光学顕微鏡(メーカー:ニコン、製品番号:OPTI PHOTO)を用いて、500 倍の5視野について結晶粒の円相当径を求め、平均径を求めた。但し、母材部で細粒と粗粒が入り交じっている場合は、それぞれ分けて測定した。
【0055】
表2の結果からは次のような点が分かる。
冷却速度の遅いNo.27 では結晶粒が粗大化した。
絞り圧延後の温度の低いNo.28 〜No.30 では母材部で混粒組織となった。
【0056】
絞り圧延後の温度の高いNo.31 では表面層の結晶粒が粗大化した。
絞り圧延終了後、冷却開始時間が遅れたNo.32 でも同じく表面層の結晶粒が粗大化した。
【0057】
本発明例であるNo.1〜No.26 については母材が均一粒から成りかつ表面層の細粒化が図れ、良好であった。なお、No.24 ではAe点よりも低温で圧延を終了したが良好であった。
【0058】
次に、試験No.1、24、27、31、32の電縫鋼管を用いて、管を外径の4倍の内側半径90°に曲げる試験を実施した。No.27 、31、32では外表面に割れが生じた。表面層における結晶粒が細かいNo.1、24では割れは認められなかった。
【0059】
【表1】
Figure 2004217992
【0060】
【表2】
Figure 2004217992
【0061】
【発明の効果】
本発明により、母材部では微細で均一な結晶粒径が得られ、かつ表面層のみさらに細粒化することができ、強度−延性バランスに優れ、また2次加工で表面が割れにくいと言う優れた効果が得られる。さらに表面層の細粒化によりめっき付着性が上がること、また耐食性も向上するという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施する電縫鋼管の製造工程図である。
【符号の説明】
1:アンコイラー
2:帯鋼
3:加熱炉
4:成形および誘導加熱溶接装置
5:管再加熱炉
6:絞り圧延機
7:冷却装置
8:管切断装置
9:電縫鋼管

Claims (4)

  1. 質量%で、
    C:0.0002〜0.5 %、Si:0.003 〜3.0 %、Mn:0.003 〜3.0 %、
    Al:0.002 〜2.0 %、P:0.003 〜0.15%、S:0.03%以下、N:0.01%以下、
    残部Feおよび不純物
    から成る鋼組成を有し、その母材の平均結晶粒径が40μm 以下で、45μm 以上の粗粒を含まず、表面層の平均結晶粒径が母材の平均結晶粒径の2/3 以下であることを特徴とする電縫鋼管。
  2. 前記鋼組成が、質量%で、さらに
    下記第1群ないし第4群のうちの1種または2種以上を含む請求項1記載の電縫鋼管。
    第1群:B:0.0002 〜0.01 %、
    第2群:Ti、Nb、VおよびZrのうちの1種以上を合計で0.005 〜1.0 %、
    第3群:Cr、Mo、CuおよびNiの1種以上を合計で0.005 〜3.0 %、
    第4群:Ca: 0.0001〜0.005 %およびREM(希土類元素):0.0001〜0.20%のうちの1種以上。
  3. 請求項1または2記載の鋼組成を有する母材鋼管をAe点以上1300℃以下に加熱し、該母材鋼管の周方向温度分布をほぼ均一化した後に絞り圧延を行うこと、圧延完了温度を(Ae点−50℃) 以上とすること、そして絞り圧延終了後、2秒以内に冷却を開始して(Ae点−70℃) までは5℃/s以上20℃/s以下で冷却し、その後、(Ae点−150 ℃) までは1.0 ℃/s以上20℃/s以下で冷却することを行うことを特徴とする電縫鋼管の製造方法。
  4. 圧延完了温度を開始温度よりも50℃以上低くする絞り圧延を行うことを特徴とする請求項3記載の電縫鋼管の製造方法。
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