JP2002114741A - 新規化合物f−16053a - Google Patents
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- Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)
- Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
Abstract
レルギー・冠状動脈再狭窄などの諸病に対する医薬とし
ての効果が期待できる、スフィンゴ脂質の分解系に作用
する酵素であるスフィンゴシンキナーゼの阻害活性を有
する新規化合物を提供する。 【解決手段】糸状菌の一種であるステレウム・オクラセ
オフラバム SANK19400株の培養物より採取し
た、式Iの化合物またはその塩。
Description
ナーゼ阻害活性を有する新規化合物、該化合物生産菌の
培養物より該化合物を採取することを特徴とする該化合
物の製造方法、該化合物の生産菌、該化合物を有効成分
として含有する医薬、該化合物を有効成分として含有す
る抗動脈硬化剤、該化合物を有効成分として含有する抗
糖尿病剤、該化合物を有効成分として含有する抗血栓
剤、該化合物を有効成分として含有する抗炎症剤、該化
合物を有効成分として含有する免疫抑制剤、該化合物を
有効成分として含有する制癌剤、該化合物を有効成分と
して含有する癌転移抑制剤、該化合物を有効成分として
含有する抗アレルギー剤、該化合物を有効成分として含
有する経皮的冠動脈形成術(PTCA)後の再狭窄等の
予防剤若しくは治療剤等に関する。
質及びコレステロールとならぶ細胞膜の主要な構成成分
の一つと考えられてきたが、その代謝産物の生理活性に
ついては最近までほとんど知られていなかった。近年、
セラミドなどのさまざまなスフィンゴ脂質の代謝産物に
アポトーシスの誘導や細胞増殖刺激作用などの生理活性
が知られる様になり、スフィンゴ脂質の代謝酵素が生理
的反応や種々の病態の原因に密接に関連する可能性が示
唆されるようになった(Hannun,Y.A.and
Obeid,L.M.,TIBS,20,73(19
95)参照)。
主要な構成成分であるスフィンゴミエリンを中心とし
て、その生合成に働くもの、分解に働くもの、さらにガ
ングリオシドなどの糖脂質の合成、分解に働くものな
ど、さまざまな酵素が知られている。スフィンゴシンキ
ナーゼは、スフィンゴ脂質の分解系に作用する酵素であ
り、スフィンゴシンをリン酸化し、スフィンゴシン−1
−リン酸を生成させる酵素である。該酵素の基質である
スフィンゴシンや生成物であるスフィンゴシン−1−リ
ン酸についても、最近多くの生理活性が報告されるよう
になった。
ナーゼC(protein kinase C:以下、
「PKC」という。)を阻害することが知られており、
PKCの活性化剤であるホルボールエステルの作用を多
くの細胞系で打ち消すことが明らかになっている。例え
ば、ホルボールエステルにより引き起こされた血小板凝
集や、好中球の活性化、白血病細胞の分化などがスフィ
ンゴシンにより抑制される(Hannun,Y.A.a
nd Corinne,M.L.,Biochim.B
iophys.Acta,1154,223(199
3)参照)。
路に対して作用することも知られている(Hannu
n,Y.A.and Corinne,M.L.,Bi
ochim.Biophys.Acta,1154,2
23(1993)参照)。これらの情報伝達経路は癌の
進展、免疫、炎症、脂質糖代謝、血液凝固などの反応に
密接に関連することが知られている。
網膜芽腫遺伝子産物(retinoblastoma
gene product)を介する細胞増殖抑制経路
を、スフィンゴシンが活性化することが知られている。
該作用はPKC阻害作用に依存しておらず、網膜芽腫遺
伝子産物を脱リン酸化して活性化し、細胞を細胞周期の
G0/G1期に留めることにより、白血病細胞の増殖を抑
制する(Hannun,Y.A.and Corinn
e M.L.,Biochim.Biophys.Ac
ta,1154,223(1993)参照)。
が細胞増殖作用を示すことが知られており(Yacob
s,L.S. and Kester,M.,Am.
J.Physiol.,265,C740(1993)
参照)、線維芽細胞と同様の作用機作による細胞増殖の
調節が示唆されている。
細胞に対する増殖刺激作用が知られれている。血小板増
殖因子(platelet−derived grow
thfactor:以下「PDGF」という。)や血清
の線維芽細胞増殖刺激作用は、セカンドメッセンジャー
としてのスフィンゴシン−1−リン酸の作用を介したも
のであることが最近明らかになった(Olivera,
A.and Spiegel,S.Nature,36
5,557(1993):Spiegel,S.,et
al.,Breast Cancer Res.Tr
eatment,31,337(1994)参照)。該
作用もPKCの阻害作用には依存していないものと考え
られている。
ト血小板中に多く含まれ、トロンビンやコラーゲン刺激
による血小板活性化の際に血小板外に放出され、血小板
の凝集反応をさらに活性化することが最近になって明ら
かとなった(Yatomi,Y.,et al.,Bl
ood,86,193(1995)参照)。
ホスホリパーゼDの活性化、細胞内カルシウムイオンプ
ールからのカルシウムイオン放出の促進(Spiege
l,S.,et al.,Breast Cancer
Res.Treatment,31,337(199
4)参照)、血管平滑筋細胞の遊走制御(Bornfe
ldt,K.E.,et al.,J.Cell Bi
ol.130,193(1995)参照)、癌細胞の細
胞運動とファゴキネシス(phagokinesis)
の抑制(Hannun,Y.A.and Corinn
e,M.L.,Biochim.Biophys.Ac
ta,1154,223(1993)参照)、心筋細胞
におけるカリウムイオン電位の上昇作用(Bunema
nn,M.,et al.,EMBO J.,15,5
527(1995)参照)等へ関与していることが知ら
れている。
ン−1−リン酸に対するレセプターの存在が明らかとな
り、上記のスフィンゴシン−1−リン酸の有する作用の
いくつかは、このレセプターを介して作用することが明
らかになりつつある。さらに該レセプターを介してスフ
ィンゴシン−1−リン酸は、血管新生に関与する可能性
も指摘されている(Lee,M.J.,et al.,
Science,279,1552(1998):Le
e,M.J.,et al.,Cell,99,301
(1999)参照)。
ゴシン−1−リン酸は様々な生理作用を有しており、細
胞レベルでスフィンゴシン及び/又はスフィンゴシン−
1−リン酸量を調節する物質には、様々な病態において
有用な薬理作用を有することが期待される。
殖と遊走を刺激することを介して血管病変の進展に重要
な役割を果たすと考えられている(Ross,R.,e
tal.,Science,248,1009(199
0)参照)が、そのシグナル伝達経路においてスフィン
ゴシン−1−リン酸はカンドメッセンジャーとして働く
と考えられている(Olivera,A.and Sp
iegel,S.Nature,365,557(19
93):Spiegel,S.,et al.,Bre
ast Cancer Res.Treatment,
31,337(1994)参照)。そのシグナル伝達経
路を遮断する物質は、高脂血症における動脈硬化症、糖
尿病性血管障害、経皮的冠動脈形成術(以下「PTC
A」という)後の再狭窄等の予防または治療に有用と考
えられる。
板活性化作用を有することが報告されている(Yato
mi,Y.,et al.,86,193(1995)
参照)ことから、その生成を妨げる物質は、心疾患など
血栓形成を原因とする様々な疾患の予防又は治療に有用
と考えられる。
スフェラーゼに対する微生物由来の阻害剤 ISP−1
がスフィンゴシンによく似た構造を持ち、しかも強力な
免疫抑制作用を持つことが報告された(Sasaki,
S.,et al.,J.Antibiot.47,4
20(1994):Miyake,Y.,et a
l.,Biochem.Biophys.Res.Co
mm.211,396(1995)参照)。スフィンゴ
シンもセリンパルミトイルトランスフェラーゼのダウン
レギュレーション作用を有すること(Hannun,
Y.A.and Corinne,M.L.,Bioc
him.Biophys.Acta,1154,223
(1993)参照)、及び、ISP−1の細胞障害性T
細胞に対するアポトーシス誘導作用をスフィンゴシン又
はスフィンゴシン−1−リン酸がブロックすること(M
iyake,Y.,et al.,Biochem.B
iophys.Res.Comm.,211,396
(1995)参照)から、スフィンゴシンキナーゼの阻
害剤が免疫抑制剤になる可能性も示唆される。
−1−リン酸は各種癌細胞に対して、その増殖や遊走に
作用することが報告されている(Spiegel,
S.,et al.,Breast Cancer R
es.Treatment,31,337(1994)
参照)。スフィンゴシンキナーゼの阻害剤が制癌及び/
又は癌転移の阻止に働く可能性も示唆される。
ンEのシグナル伝達にスフィンゴシンキナーゼが関与す
ることが明らかになりつつある。最近、マスト細胞上に
あるIgEのFcフラグメントに対するレセプターを介
する細胞内カルシウムイオン濃度([Ca2+])の上昇
に、スフィンゴシンキナーゼの活性化が関与することが
報告された(Choi,O.H.,et al.,Na
ture,380,634(1996)参照)。スフィ
ンゴシンキナーゼの阻害剤が抗アレルギー作用を発揮す
る可能性も示唆される。
し特異的な阻害活性を有する化合物は、抗動脈硬化剤、
抗糖尿病剤、抗血栓剤、抗炎症剤、免疫抑制剤、制癌
剤、癌転移抑制剤、抗アレルギー剤、経皮的冠動脈形成
術(PTCA)後の再狭窄等の予防剤又は治療剤として
有望である。
ザイムが存在することが明らかになりつつある。ラット
のスフィンゴシンキナーゼ1が精製され(Oliver
a,A.,et al.,J.Biol.Chem.,
273,12576(1998)参照)、マウスのスフ
ィンゴシンキナーゼ1(Kohama,T.,eta
l.,J.Biol.Chem.,273,23722
(1998)参照)及びスフィンゴシンキナーゼ2(L
iu,H.,et al.,J.Biol.Che
m.,275,19513(2000)参照)がクロー
ニングされた。しかし、スフィンゴシン及びスフィンゴ
シン−1−リン酸の関与が確認又は推測されている、上
述の病態とスフィンゴシンキナーゼの各アイソザイムと
の関係はほとんど解明されておらず、該酵素の各アイソ
ザイム選択的阻害剤及び非選択的阻害剤を見出すことが
望まれている。
ては、スフィンゴシンの構造類似物質であるジヒドロス
フィンゴシンやジメチルスフィンゴシン等が知られてい
る(Bornfeldt,K.E.,et al.,
J.Cell Biol.,130,193(199
5):Spiegel,S. et al.,Brea
st Cancer Res.Treatment,3
1,337(1994)参照)が、スフィンゴシンキナ
ーゼのアイソザイム選択性については明らかではない。
ゴシンキナーゼに対して特異的な阻害活性を有する新規
化合物を鋭意探索した結果、微生物培養物中に新規化合
物を見出し、該化合物がスフィンゴシンキナーゼ1及び
2に対し阻害活性を有することを確認し、本発明を完成
した。
(I)
性状を有する化合物又はその塩: 1)性状:淡黄色油状物質 2)溶解性:酢酸エチル、クロロホルムなどの非極性溶
媒に可溶 3)分子式:C23H34O5 4)分子量:390 (高分解能FAB−MS法による観測値はm/z 38
9.2299(M−H) -、計算値は389.227
0) 5)赤外吸収スペクトル:νmax(薄膜法、cm-1) 3450,2930,2860,1730,1170,
1100 6)1H−核磁気共鳴スペクトル:(重クロロホルム
中:単位はppm:内部標準はテトラメチルシラン) 9.5(1H,s),6.8(1H,s),6.4(1
H,s),5.8(1H,d,J=6.5Hz),5.
7(1H,d,J=6.5Hz),2.6(1H,t,
J=13.0Hz),2.5(1H,dd,J=13.
0,4.0Hz),2.4(1H,m),2.3(2
H,t−like,J=7.5,1.5Hz),2.2
(2H,m),1.7(4H,m),1.6(3H,b
r,s),1.3(8H,m),1.1(3H,d,J
=6.5Hz),0.9(3H,t,J=6.5H
z). 7)13C−核磁気共鳴スペクトル:(重クロロホルム
中:単位はppm:内部標準はテトラメチルシラン) 208.7(s),194.0(d),173.5
(s),147.9(s),139.9(t),13
2.8(s),125.5(d),80.5(s),7
1.5(d),55.7(d),45.0(t),4
0.7(d),39.6(d),34.7(t),3
1.7(t),30.4(t),29.2(t),2
9.0(t),24.8(t),22.6(t),1
9.5(q),19.1(q),14.1(q). 8)高速液体クロマトグラフィー カラム :Senshu Pak PEGASIL O
DS(直径4.6mm×長さ150mm:センシュー科
学(株)製) 溶 媒:アセトニトリル:水=3:1 流 速:1ml/分 検 出:UV 210nm 保持時間:11.5分、 (3)ステレウム(Stereum)属に属する、
(1)又は(2)に記載の化合物の生産菌を培養し、該
培養物より(1)又は(2)に記載の化合物を採取する
ことを特徴とする、(1)又は(2)に記載の化合物の
製造方法、(4)ステレウム(Stereum)属に属
する、(1)又は(2)に記載の化合物の生産菌が、ス
テレウム・オクラセオフラヴァム(Stereum o
chraceoflavum) SANK19400
(FERM BP−7244)株である、(3)記載の
製造方法、(5)(1)又は(2)に記載の化合物を有
効成分として含有する医薬、(6)(1)又は(2)に
記載の化合物を有効成分として含有する抗動脈硬化剤、
(7)(1)又は(2)に記載の化合物を有効成分とし
て含有する抗糖尿病剤、(8)(1)又は(2)に記載
の化合物を有効成分として含有する抗血栓剤、(9)
(1)又は(2)に記載の化合物を有効成分として含有
する抗炎症剤、(10)(1)又は(2)に記載の化合
物を有効成分として含有する免疫抑制剤、(11)請求
項1又は2に記載の化合物を有効成分として含有する制
癌剤、(12)(1)又は(2)に記載の化合物を有効
成分として含有する癌転移抑制剤、(13)(1)又は
(2)に記載の化合物を有効成分として含有する抗アレ
ルギー剤、(14)(1)若しくは(2)に記載の化合
物を有効成分として含有する、経皮的冠動脈形成術(P
TCA)後の再狭窄等の予防剤又は治療剤、及び、(1
5)ステレウム・オクラセオフラヴァム(Stereu
m ochraceoflavum) SANK194
00(FERM BP−7280)株、に関する。
記載の化合物をF−16053Aという。
る。本発明においては、これら異性体が全て単一の式で
表される。本発明はこれらの異性体及びこれらの異性体
の混合物をもすべて含むものである。
ことができる。そのような塩は、医薬用途、獣医学用
途、及びそれ以外の用途(例えば、合成中間体等)のい
ずれにも使用することができる。そのような塩として
は、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、
のようなアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム
塩、のようなアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、鉄
塩、亜鉛塩、銅塩、ニッケル塩、コバルト塩等の金属
塩;アンモニウム塩のような無機塩、t−オクチルアミ
ン塩、ジベンジルアミン塩、モルホリン塩、グルコサミ
ン塩、フェニルグリシンアルキルエステル塩、エチレン
ジアミン塩、N−メチルグルカミン塩、グアニジン塩、
ジエチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ジシクロヘキ
シルアミン塩、N.N’−ジベンジルエチレンジアミン
塩、クロロプロカイン塩、プロカイン塩、ジエタノール
アミン塩、N−ベンジル−フェネチルアミン塩、ピペラ
ジン塩、テトラメチルアンモニア塩、トリス(ヒドロキ
シメチル)アミノメタン塩のような有機塩等のアミン
塩;弗化水素酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、沃化水素酸
塩のようなハロゲン化水素酸塩、硝酸塩、過塩素酸塩、
硫酸塩、燐酸塩等の無機塩類;メタンスルホン酸塩、ト
リフルオロメタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩の
ような低級アルカンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸
塩、p−トルエンスルホン酸塩のようなアリールスルホ
ン酸塩、酢酸、りんご酸、フマール酸塩、コハク酸塩、
クエン酸塩、蓚酸塩、マレイン酸塩等の有機酸塩;及
び、グリシン塩、リジン塩、アルギニン塩、オリニチン
塩、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩のようなアミノ
酸塩等を挙げることができ、好適には薬理学的に許容さ
れる塩、すなわち、ナトリウム塩、塩酸塩である。
16053Aに変換される化合物、いわゆるプロドラッ
グもすべて含むものである。
物としては、特に限定されるものではないが、例えば、
ステレウム(Stereum)属に属する糸状菌等を挙
げることができ、好適にはステレウム・オクラセオフラ
バム(Stereum ochraceoflavu
m)であり、より好適にはステレウム・オクラセオフラ
バム SANK19400株(以下、単に「SANK1
9400株」という。)である。SANK19400株
は、1998年8月茨城県つくば市において採集した子
実体の担子胞子より分離された。
め、以下に示す寒天培地上で培養を行った。ポテトデキ
ストロース寒天(Potato Dextrose A
gar:以下、「PDA」という。)培地;ニッスイ
ポテトデキストロース寒天培地(日水製薬(株)製)3
9gを蒸留水1Lに溶解し、121℃にて15分間滅菌
し、プレートを作製した。
寒天20gを蒸留水1Lに溶解し、121℃にて15分
間滅菌し、プレートを作製した。色調の表示は「メチュ
ーン・ハンドブック・オブ・カラー」(Korneru
p,A. and Wanscher,J. H. :
“Methuen handbook of col
our(3rd. edition)”,Erye M
ethuen,London,(1978))に従っ
た。
性状は次の通りである。
養で7乃至12mmである。菌そうの縁の部分は立ち上
がり、鋸歯状である。菌そうは羊毛状、白色乃至イエロ
イッシュホワイト(4A2)である。裏面はブラウン
(6E6)である。MEA上での生長は、23℃、2週
間の培養で12乃至14mmである。菌そうの縁の部分
は埋没し全縁である。菌そうは短軟毛状、白色である。
裏面の培地の色は変化しない。気菌糸は幅1.5乃至6
μm、薄壁乃至やや厚壁である。においはなし。分生子
はなし。かすがい連結は少なく、隔壁あたり1個又は2
つ以上形成し、幅の広い菌糸だけに観察される。
形成しないので、その同定には子実体が必要である。そ
こで、分離に供試した子実体の乾燥標本の菌学的性状を
観察した。その乾燥標本の菌学的性状は次の通りであ
る。
2.7mm以下で厚さ0.2mm以下、しばしば横に連
なる。表面は粗剛毛乃至粗長毛、白色である。縁は長縁
毛である。子実層の面は平滑、グレイッシュオレンジ
(5B3)乃至グレイッシュブラウン(5E3)であ
る。毛被と肉の間に下皮はない。担子胞子は5.0乃至
7.1μm×2.2乃至2.8μm、長楕円形乃至円筒
形、平滑、無色、アミロイドである。担子器は22乃至
30μm×4.5乃至5.5μm、細長い棍棒状、4つ
の小柄を有し、基部にかすがい連結はない。骨格シスチ
ジアは幅4.5乃至8.5μm、厚壁、先端は円形また
は小さい突起を有する。鋭角シスチジアは14乃至28
μm×2.5乃至4μm、無色、薄壁である。菌糸は二
菌糸型である。原菌糸は幅1.5乃至3μm、薄壁乃至
厚壁、隔壁にかすがい連結はない。骨格菌糸は3乃至
5.5μm、厚壁、しばしば二次隔壁を有する。アカン
トフィシスや偽アカントフィシスはない。
リス(Chamuris,G. P.: Infrag
eneric taxa in Stereum,an
dkeys to North American s
pecies. Mycotaxon,22,105
(1985))やユング(Jung,H. S.: W
ood−rotting Aphyllophoral
es of the southern Appala
chian spruce−fir forest,B
ibl. Mycol.,119,114(198
7))の、ステレウム・オクラセオフラバムの菌学的性
状に関する記載に一致した。よって、SANK1940
0株をステレウム・オクラセオフラバムと同定した。
ム・オクラセオフラバム SANK19400株とし
て、平成12年7月26日付けで日本国茨城県つくば市
東1−1−3の通商産業省工業技術院生命工学工業技術
研究所に国際寄託され、受託番号FERM BP−72
44を付与された。
たは人工的な操作(例えば、紫外線照射、放射線照射、
化学薬品処理等)により、変異を起こしやすく、本発明
のSANK19400株も同様である。SANK194
00株はその全ての変異株を包含する。また、これらの
変異株の中には、遺伝的方法、たとえば組み換え、形質
導入、形質転換等によりえられたものも含有される。即
ち、F−16053Aを生産するSANK19400
株、それらの変異株およびそれらと明確に区別されない
菌株は全てSANK19400株に包含される。
る該化合物の生産菌を培養し、次いでその培養物から該
化合物を採取することにより得ることができる。
培地としては、炭素源、窒素源、無機イオン、微量金
属、微量栄養因子等の栄養源を適宜含有する培地であれ
ば、合成培地及び天然培地の何れをも使用することがで
きる。
ュークロース、澱粉、グリセリン、水飴、糖蜜、大豆油
等を挙げることができる。培地に含有せしめる炭素源の
量は、1乃至30重量%である。
スチープリカー、生イースト、ジャガイモ、硫酸アンモ
ニウム、硝酸ナトリウム等を挙げることができる。培地
に含有せしめる窒素源の量は、0.1乃至10重量%で
ある。
の無機塩類、金属、無機及び有機の微量栄養因子等を培
地に添加してもよい。
は、一般に微生物の二次代謝物を生産する方法であれば
特に限定されないが、例えば、液体振とう培養法等を挙
げることができる。
乃至24℃であり、好適には23℃である。
したときのF−16053Aの生産は、通常7乃至9日
で最高値に達する。
養物、培養ろ液、培養上清及び/又は菌体より採取する
ことができる。培養物に、該培養物と等容の、水と混和
する溶媒を添加し攪拌することにより、F−16053
Aが該溶媒中に抽出される。そのような水と混和する溶
媒としては、例えば、アセトン、アセトニトリル、含水
アセトン、含水アセトニトリル等を挙げることができ
る。該抽出物を珪藻土等をろ過操作助剤とするろ過操作
又は遠心分離操作に供することにより、固形分をろ別
し、抽出液を得ることができる。該抽出液を粗画分と
し、F−16053Aの物理化学的性状を利用して該化
合物を精製することができる。
と混和する溶媒を留去した後、pH3程度の酸性条件下
で水と混和しない溶媒で抽出する。そのような水と混和
しない溶媒としては、例えば、n−ブタノール、メチル
エチルケトン、酢酸エチル、クロロホルム、塩化エチレ
ン、塩化メチレン、それら2つ以上の混合溶媒等を挙げ
ることができる。
マトグラフィーに供する。F−16053Aを吸着剤に
吸着させた後、F−16053Aを溶出して回収する
か、又は、夾雑物を吸着剤に吸着させ、非吸着画分中に
F−16053Aを回収することができる。そのような
吸着剤としては、例えば、活性炭、アンバーライトXA
D−2、アンバーライトXAD−4(以上、ローム・ア
ンド・ハース社製)、ダイヤイオンHP−10、ダイヤ
イオンHP−20、ダイヤイオンCHP−20P、ダイ
ヤイオンHP−50(以上、三菱化学(株)製)等を挙
げることができる。吸着クロマトグラフィーに使用する
移動層としては、例えば、含水メタノール、含水アセト
ン水、含水n−ブタノール水等を挙げることができる。
含有画分を、さらに、シリカゲル、フロリジル、コスモ
シールナ140C18−OPN(カライテスク社製)等
の担体を用いた吸着カラムクロマトグラフィー、セファ
デックスLH−20(ファルマシア社製)等の担体を用
いた分配カラムクロマトグラフィー、セファデックスG
−25(ファルマシア社製)等を用いたゲルろ過クロマ
トグラフィー、順相カラム又はSenshu Pak
PEGASIL ODS(センシュー科学(株)製)等
の逆相カラムを用いた高速液体クロマトグラフィー(h
igh performance liquid ch
romatography:以下、「HPLC」とい
う。)等に供することにより、該化合物を単離すること
ができる。これらの精製手段は、単独で又は2つ以上を
組み合わせて使用することができ、必要に応じて一つの
精製手段を2回以上繰り返してもよい。
の抽出、精製、単離工程における、該化合物の挙動は、
以下に記載する1)又は2)の方法により追跡すること
ができる。1)HPLC分析による方法HPLCの分析
条件としては、特に限定されるものではないが、例え
ば、次のような条件を挙げることができる: カラム :Senshu Pak PEGASIL O
DS(直径4.6mm×長さ150mm:センシュー科
学(株)製) 溶 媒:アセトニトリル:水=3:1 流 速:1ml/分 検 出:UV 210nm 保持時間:11.5分。 2)スフィンゴシンキナーゼ阻害活性測定による方法 スフィンゴシンキナーゼ阻害活性は、例えば、以下に記
載する方法に従って確認することができる(Schro
epfer,J. R. et al.,J.Bio
l. Chem.,245,3084(1970)参
照)。
ノシン三リン酸(adenosine−3’−mono
phosphate:以下、「ATP」という。)、塩
化マグネシウム、エチレンジアミン四酢酸(ethyl
enediamine tetraacetate:以
下、「EDTA」という。)、メルカプトエタノールを
含むリン酸カリウム緩衝液(pH7.4)、被検検体、
及びプロピレングリコールに溶解した標識基質を混合
し、酵素反応を行う。
は、スフィンゴシンキナーゼ活性を有する組織又は細胞
であれば特に限定されず、動物組織、動物細胞等を挙げ
ることができる。この場合、動物種にも特に限定はな
い。
血管組織等が挙げられ、好適にはウイスターイマミチ系
雄性ラット肝臓であり、より好適には該肝臓の細胞質可
溶性画分である。
る正常細胞及び株化した細胞の双方が使用でき、好適に
はラット胎児胸部大動脈由来平滑筋細胞株A7r5(A
TCC株番号:CRL−1444)である。
きる。その場合も該組換え体の動物源に限定はないが、
好適にはヒト、マウスである。例えば、マウス由来スフ
ィンゴシンキナーゼ1(Kohama,T.,et a
l.,J.Biol.Chem.,273,23722
(1998)参照)又はマウス由来スフィンゴシンキナ
ーゼ2(Liu,H.,et al.,J.Biol.
Chem.,275,19513(2000)参照)の
cDNA又は構造遺伝子を含む組換えDNAベクターを
導入し該酵素を細胞に発現させ、該細胞の細胞質を回収
することにより、酵素溶液として使用することができ
る。該組換え体を発現させる細胞としては、特に限定さ
れるものではないが、例えば、ヒト胎児腎臓由来細胞で
あるHEK293細胞(ATCC番号:CRL−157
3)等を挙げることができる。また、該組換え体の発現
に用いるベクターとしては、動物細胞にトランスフェク
ションすることができ、且つ該ベクターに挿入された外
来配列によってコードされた蛋白質を発現させることが
できるものであれば特に限定されるものではないが、好
適にはトランスフェクションされた細胞を選抜するのに
適したマーカー遺伝子配列を含むベクターであり、その
ようなベクターとして、例えば、ネオマオシン耐性遺伝
子配列を含むpCR3.1(インヴィトロジェン社製)
等を挙げることができる。培地にG418(シグマ社
製)を添加することにより、ネオマイシン耐性遺伝子を
保有する細胞を選抜することができる。
は、組織抽出液、細胞破砕液、細胞分画により得られる
画分等の粗酵素標品、及び、精製工程を経ることにより
得られる部分精製標品若しくは均一標品のいずれであっ
てもよい。精製工程としては、通常蛋白質の精製に使用
される方法であれば特に限定されないが、例えば、カル
モジュリンがスフィンゴシンキナーゼと結合する性質
(Olivera,A.,et al.,J.Bio
l.Chem.,273,12576(1998)参
照)を利用したアフィニティ・クロマトグラフィー等を
挙げることができる。
はないが、好適には[3−3H]−D−エリスロ−スフ
ィンゴシン(NEN社製)である。
0℃乃至37℃であり、好適には37℃である。
は、5分乃至60分であり、好適には20分である。
アンモニア水の添加により行なうことが好ましい。
液を脂溶性溶媒を用いて抽出することによりアルカリ性
条件下で水難溶性の基質D−エリスロ−スフィンゴシン
を有機相に移した後、水相に回収される生成物D−エリ
スロ−スフィンゴシン−1−リン酸を定量することによ
り、該酵素活性を算出することができる。好適な基質で
ある[3−3H]−D−エリスロ−スフィンゴシンを用
いた場合、スフィンゴシンキナーゼ活性は、脂溶性溶媒
で抽出した後の水相に回収される[3−3H]−D−エ
リスロ−スフィンゴシン−1−リン酸の放射能及び基質
の比放射能から算出することができる。脂溶性溶媒とし
ては、スフィンゴシンキナーゼ反応生成物が溶解し得る
溶媒であれば特に限定されないが、例えば、クロロホル
ム、クロロホルムとメタノールの混合溶媒等が挙げら
れ、好適にはクロロホルム:メタノール=2:1(容積
/容積)である。
阻害率(A)は、被検体非存在下におけるスフィンゴシ
ンキナーゼ活性(B)及び被検体存在下におけるスフィ
ンゴシンキナーゼ活性(C)から、次に示す式により算
出することができる。 A=(B−C)÷B また、スフィンゴシンキナーゼの活性測定には、32P−
ATPを用いるオリヴェラらの方法(Olivera,
A. and Spiegel,S.,Nature,
365,557(1993)参照)を適用してもよい。
本発明の化合物を動脈硬化症、糖尿病、血栓症、炎症性
疾患、自己免疫疾患、癌の進展や転移、経皮的冠動脈形
成術(PTCA)後の再狭窄の予防剤又は治療剤として
用いる場合、種々の形態で投与され得るが、疾患の種
類、疾患の程度、患者の年齢、患者の性別度等に応じて
適宜選択することができる。例えば、錠剤、カプセル
剤、散剤、顆粒剤、シロップ剤は経口投与され、注射剤
は単独で若しくはブドウ糖、アミノ酸等の通常の補液と
混合して静脈内投与されるか、又は単独で筋肉内投与、
皮下投与、皮内投与、腹腔内投与され、坐剤は直腸内投
与される。これらの製剤は、常法に従い、賦形剤、結合
剤、崩壊剤、滑沢剤、矯味矯臭剤、溶解補助剤、懸濁
剤、コーティング剤等、医薬の製剤分野において通常使
用しうる公知の補助剤を用いて製剤化することができ
る。
該分野で公知のものを広く使用できる。そのような担体
としては、例えば、乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブド
ウ糖、尿素、澱粉、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セ
ルロース、ケイ酸等の賦形剤;水、エタノール、プロパ
ノール、単シロップ、ブドウ糖液、澱粉液、ゼラチン溶
液、カルボキシメチルセルロース、セラック、メチルセ
ルロース、リン酸カリウム、ポリビニルピロリドン等の
結合剤;乾燥澱粉、アルギン酸ナトリウム、寒天末、ラ
ミナラン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ポ
リオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ラウリ
ル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、澱
粉、乳糖等の崩壊剤、白糖、ステアリン、カカオバタ
ー、水素添加油等の崩壊抑制剤;第4級アンモニウム塩
基、ラウリル硫酸ナトリウム等の吸収促進剤;グリセリ
ン、澱粉等の保湿剤;澱粉、乳糖、カオリン、ベントナ
イト、コロイド状ケイ酸等の吸着剤;精製タルク、ステ
アリン酸塩、硼酸末、ポリエチレングリコール等の潤沢
剤等を挙げることができる。また、錠剤は必要に応じ通
常の剤皮を施した錠剤、例えば、糖衣錠、ゼラチン被包
錠、腸溶被錠、フィルムコーティング錠、二重錠、多層
錠等とすることができる。
該分野で公知のものを広く使用できる。そのような担体
としては、例えば、ブドウ糖、乳糖、カカオバター、澱
粉、硬化植物油、カオリン、タルク等の賦形剤;アラビ
アゴム末、トラガント末、ゼラチン、エタノール等の結
合剤;ラミナラン寒天等の崩壊剤等を挙げることができ
る。
該分野で公知のものを広く使用できる。そのような担体
としては、例えば、ポリエチレングリコール、カカオバ
ター、高級アルコール、高級アルコールのエステル類、
ゼラチン、半合成グリセリド等を挙げることができる。
び懸濁剤は殺菌され、且つ血液と等張であることが好ま
しい。これら液剤、乳剤および懸濁剤の形態に成形する
には、希釈剤として当該分野で公知のものを広く使用で
き、例えば、水、エタノール、プロピレングリコール、
エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシ化イ
ソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタ
ン脂肪酸エステル類等を挙げることができる。なお、こ
の場合、血液との等張性を保つのに十分な量の食塩、ブ
ドウ糖、グリセリン等を医薬製剤中に含有せしめてもよ
く、また通常の溶解補助剤、緩衝剤、無痛化剤等を添加
してもよい。
料、風味剤、甘味剤、他の医薬等を含有せしめてもよ
い。
53Aの量は、特に限定されるものではないが、通常1
乃至70重量%であり、好適には1乃至30重量%であ
る。
齢、体重、投与形態、剤形等に依存するが、通常成人に
対して1日あたり、上限500乃至1000mg、下限
が10乃至50mgであり、好適な範囲は50乃至50
0mgである。
る医薬の投与回数は、投与形態、剤形等に依存するが、
数日に1回、1日1回、又は1日数回である。
発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限
定されるものではない。 実施例1.F−16053Aの製造 1)生産菌の培養 表1に示す組成を有する培養培地80mlを入れた、5
00ml容の三角フラスコを121℃にて15分間滅菌
した後、室温まで冷却し、SANK19400株を無菌
的に接種し、23℃、210rpmの条件下で7日間培
養を行なった。 表1.培養培地の組成 ―――――――――――――――――――――――――――――― マルトース 20g グルコース 10g ポリペプトン 2g イースト・エキストラクト 0.8g リン酸二水素カリウム 0.5g 硫酸マグネシウム・七水和物 1g 塩化第二鉄・六水和物 0.01g 硫酸亜鉛・七水和物 0.002g 塩化カルシウム 0.055g 消泡剤 CB−422 (日本油脂(株)社製) 0.2mg イオン交換水で1000mlとした。 ―――――――――――――――――――――――――――――― 2)化合物の単離 1)で得られた培養物1.2Lを遠心分離し、菌体と培
養上清とに分離した。菌体に80%アセトン水1Lを加
え、3時間室温にて抽出した。固形物をろ過した後、ろ
液中のアセトンを減圧留去した。得られた水溶液0.5
LをpH3に調整し、酢酸エチル0.5Lを加えて3回
抽出した。得られた酢酸エチル画分2Lに飽和食塩水1
Lを加えて洗浄した後、無水硫酸ナトリウムを用いて脱
水し、減圧濃縮して褐色油状物質4.3gを得た。これ
を少量の40%アセトニトリル水に溶解し、予め水で平
衡化した500mlのダイヤイオンHP−20カラム
(三菱化学(株)製)に付し、2乃至3カラム容量の水
及び40%アセトニトリル溶液で該カラムを洗浄した
後、5カラム容量の70%アセトニトリル水で溶出し
た。溶出液中のアセトニトリルを減圧留去した後凍結乾
燥し、黄色油状物質950mgを得た。これを少量の3
0%アセトニトリル溶液に溶解し、同じ溶媒で予め平衡
化した150ml容のコスモシール140C18−OP
N(ナカライテスク社製)カラムに付した。該カラムを
2乃至3カラム容量の30%アセトニトリル水及び60
%アセトニトリル水で洗浄した後、5カラム容量の70
%アセトニトリル水で溶出した。溶出液中のアセトニト
リルを減圧留去した後凍結乾燥し、黄色油状物質614
mgを得た。このうち290mgを少量の80%アセト
ニトリル水に溶解し、このうち20mg相当量を、予め
アセトニトリル:水=3:1の溶液で平衡化したHPL
Cカラム(Senshu Pak PEGASIL O
DS:直径20mm×長さ250mm:センシュー科学
(株)製)に付し、同じ溶媒で9ml/minの流速で
展開した。波長210nmの吸収を検出し、保持時間約
40分に溶出されるピーク画分を分取した。このHPL
C分画を20回行い、得られたピーク画分を合併し、ア
セトニトリルを減圧留去した。残った水を凍結乾燥し、
F−16053Aを120mg得た。 試験例1.スフィンゴシンキナーゼ阻害活性の測定 1)酵素溶液の調製 マウス由来スフィンゴシンキナーゼ1cDNA(Koh
ama,T.,etal.,J.Biol.Che
m.,273,23722(1998)参照)及びマウ
ス由来スフィンゴシンキナーゼ2cDNA(Liu,
H.,et al.,J.Biol.Chem.,27
5,19513(2000)参照)を、それぞれ別個
に、発現ベクターpCR3.1(インヴィトロジェン社
製)へ組込み、リポフェクタミン・プラス(ライフテク
ノロジー社製)を用い、ヒト胎児腎由来のHEK293
細胞(ATCC番号:CRL−1573)にトランスフ
ェクションした。すなわち、1ウェルあたり6×105
個のHEK293細胞を、組織培養用ポリリジンコート
6ウェルプレート(上記キットに含まれる。)中で、3
7℃にて24時間培養した後、1μgの組換えベクター
をトランスフェクションした。37℃にて1日間培養し
た後、培地にG418(シグマ社製)を終濃度100乃
至400μg/mlとなるよう添加し、さらに2週間培
養することによりネオマイシン耐性細胞を選択的に増殖
させた。得られた細胞を、セルスクレーパーを用いてウ
ェルから剥がし、緩衝液1(20%グリセロール、1m
M β―メルカプトエタノール、1mM EDTA、1
mM バナジン酸ナトリウム、15mM 弗化ナトリウ
ム、0.5mM 4−デオキシピリドキシン、10μg
/mlロイペプチン、10μg/ml アプロチニン、
1mM フェニルメタンスルホン酸、0.1Mリン酸カ
リウム緩衝液(pH7.4))に懸濁して回収した。5
回の凍結融解を繰り返した後、3,000×G、10分
間遠心分離した。上清を回収し、105,000×G、
30分間遠心分離し、得られた上清を酵素溶液とした。 2)酵素阻害活性の測定 スフィンゴシンキナーゼ阻害活性の測定は、1)で得ら
れたスフィンゴシンキナーゼ1又は2の酵素溶液、及
び、[3−3H]−D−エリスロ−スフィンゴシン(N
EN社製)を基質として用い、シュレーファーらの方法
(Schroepfer,J. R. et al.,
J.Biol.Chem.,245,3084(197
0)参照)に従って行なった。
0.5μg/mlの酵素溶液100μl、緩衝液2(1
0mM ATP、20mM 塩化マグネシウム、1mM
EDTA、1mM β−メルカプトエタノール、0.
1M リン酸カリウム緩衝液、1mM バナジン酸ナト
リウム、15mM 弗化ナトリウム、0.5mM デオ
キシピリドキシン、1mM フェニルメタンスルホン酸
(pH7.4))100μl、実施例1で得られたF−
16053A溶液10μl、及び、プロピレングリコー
ルに溶解した[3−3H]−D−エリスロ−スフィンゴ
シン10μlを混合し、37℃にて20分保温した。濃
アンモニア水50μlを加えることにより反応を停止さ
せた。
はアルカリ性条件下では水難溶性であるのに対し、生成
物であるD−エリスロ−スフィンゴシン−1−リン酸は
水可溶性なので、該生成物を回収するために反応終了液
の水溶性成分を回収した。すなわち、反応終了液にクロ
ロホルム:メタノール=2:1(容積/容積)750μ
lを加えて該反応液を抽出し、水層を回収した。得られ
た水層を96穴プレート(ルーマプレート:パッカード
社製)に1ウェルあたり70μl注ぎ、室温にて一晩放
置することにより乾燥させた後、96穴プレート用液体
シンチレーションカウンター(トップカウント:パッカ
ード社製)を用いて各ウェルの放射能を測定した。各ウ
ェルの放射能及び基質の比放射能より、スフィンゴシン
キナーゼ活性を算出した。
ナーゼ活性阻害率(A)は、該化合物非存在下における
スフィンゴシンキナーゼ活性(B)及び該化合物存在下
におけるスフィンゴシンキナーゼ活性(C)から、次に
示す式により算出した。 A=(B−C)÷B このような方法で測定し算出した、マウス由来の組換え
体スフィンゴシンキナーゼ−1及び2の活性に対するF
−16053Aの50%阻害濃度を表2に示した。 表2.F−16053Aのスフィンゴシンキナーゼ阻害活性 ―――――――――――――――――――――――――――――――― アイソザイム 50%阻害濃度(μg/ml) ―――――――――――――――――――――――――――――――― スフィンゴシンキナーゼ1 5.1 スフィンゴシンキナーゼ2 10.9 ―――――――――――――――――――――――――――――――― 表2に示した通り、F−16053Aはスフィンゴシン
キナーゼ1及び2に対し、ほぼ同等の阻害活性を示し
た。 製剤例1.カプセル剤 F−16053A 100mg 乳糖 100mg トウモロコシ澱粉 148.8mg ステアリン酸マグネシウム 1.2mg ――――――――――――――――――――――――――――― 全量 350mg 上記処方の粉末を混合し、60メッシュのふるいを通し
た後、得られた粉末をゼラチンカプセルに入れ、カプセ
ル剤とする。
れたスフィンゴシンキナーゼ阻害活性を有し、動脈硬化
症、糖尿病、血栓症、炎症性疾患、自己免疫疾患、癌の
進展又は転移、経皮的冠動脈形成術(PTCA)後の再
狭窄の予防又は治療等に有用である。
Claims (15)
- 【請求項1】下記式(I) 【化1】 で表される化合物又はその塩。
- 【請求項2】下記の物理化学的性状を有する化合物又は
その塩: 1)性状:淡黄色油状物質 2)溶解性:酢酸エチル、クロロホルムなどの非極性溶
媒に可溶 3)分子式:C23H34O5 4)分子量:390(高分解能FAB−MS法による観
測値はm/z 389.2299(M−H) -、計算値
は389.2270) 5)赤外吸収スペクトル:νmax(薄膜法、cm-1) 3450,2930,2860,1730,1170,
1100 6)1H−核磁気共鳴スペクトル:(重クロロホルム
中:単位はppm:内部標準はテトラメチルシラン) 9.5(1H,s),6.8(1H,s),6.4(1
H,s),5.8(1H,d,J=6.5Hz),5.
7(1H,d,J=6.5Hz),2.6(1H,t,
J=13.0Hz),2.5(1H,dd,J=13.
0,4.0Hz),2.4(1H,m),2.3(2
H,t−like,J=7.5,1.5Hz),2.2
(2H,m),1.7(4H,m),1.6(3H,b
r,s),1.3(8H,m),1.1(3H,d,J
=6.5Hz),0.9(3H,t,J=6.5H
z). 7)13C−核磁気共鳴スペクトル:(重クロロホルム
中:単位はppm:内部標準はテトラメチルシラン) 208.7(s),194.0(d),173.5
(s),147.9(s),139.9(t),13
2.8(s),125.5(d),80.5(s),7
1.5(d),55.7(d),45.0(t),4
0.7(d),39.6(d),34.7(t),3
1.7(t),30.4(t),29.2(t),2
9.0(t),24.8(t),22.6(t),1
9.5(q),19.1(q),14.1(q). 8)高速液体クロマトグラフィー カラム :Senshu Pak PEGASIL O
DS(直径4.6mm×長さ150mm:センシュー科
学(株)製) 溶 媒:アセトニトリル:水=3:1 流 速:1ml/分 検 出:UV 210nm 保持時間:11.5分 - 【請求項3】ステレウム(Stereum)属に属す
る、請求項1又は2記載の化合物の生産菌を培養し、該
培養物より請求項1又は2記載の化合物を採取すること
を特徴とする、請求項1又は2記載の化合物の製造方
法。 - 【請求項4】ステレウム(Stereum)属に属す
る、請求項1又は2記載の化合物の生産菌が、ステレウ
ム・オクラセオフラヴァム(Stereum ochr
aceoflavum) SANK19400(FER
M BP−7244)株である、請求項3記載の製造方
法。 - 【請求項5】請求項1又は2に記載の化合物を有効成分
として含有する医薬。 - 【請求項6】請求項1又は2に記載の化合物を有効成分
として含有する抗動脈硬化剤。 - 【請求項7】請求項1又は2に記載の化合物を有効成分
として含有する抗糖尿病剤。 - 【請求項8】請求項1又は2に記載の化合物を有効成分
として含有する抗血栓剤。 - 【請求項9】請求項1又は2に記載の化合物を有効成分
として含有する抗炎症剤。 - 【請求項10】請求項1又は2に記載の化合物を有効成
分として含有する免疫抑制剤。 - 【請求項11】請求項1又は2に記載の化合物を有効成
分として含有する制癌剤。 - 【請求項12】請求項1又は2に記載の化合物を有効成
分として含有する癌転移抑制剤。 - 【請求項13】請求項1又は2に記載の化合物を有効成
分として含有する抗アレルギー剤。 - 【請求項14】請求項1若しくは2に記載の化合物を有
効成分として含有する、経皮的冠動脈形成術(PTC
A)後の再狭窄等の予防剤又は治療剤。 - 【請求項15】ステレウム・オクラセオフラヴァム(S
tereum ochraceoflavum) SA
NK19400(FERM BP−7244)株。
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Cited By (1)
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EP1845971A1 (en) * | 2005-01-21 | 2007-10-24 | Medvet Science Pty. Ltd. | A method of treating cellular damage |
-
2000
- 2000-10-11 JP JP2000310561A patent/JP2002114741A/ja active Pending
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EP1845971A1 (en) * | 2005-01-21 | 2007-10-24 | Medvet Science Pty. Ltd. | A method of treating cellular damage |
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