JP2002114673A - 抗悪性腫瘍剤 - Google Patents
抗悪性腫瘍剤Info
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- JP2002114673A JP2002114673A JP2000303823A JP2000303823A JP2002114673A JP 2002114673 A JP2002114673 A JP 2002114673A JP 2000303823 A JP2000303823 A JP 2000303823A JP 2000303823 A JP2000303823 A JP 2000303823A JP 2002114673 A JP2002114673 A JP 2002114673A
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- agent
- pancreatic
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Abstract
(57)【要約】 (修正有)
【課題】 癌(悪性腫瘍)、特に、早期発見が困難で、
悪性度の高い、難治性癌の一つである膵癌に対うる抗悪
性腫瘍剤の提供。 【解決手段】 トラネキサム酸、そのエステル又はそれ
らの塩を有効成分とする抗悪性腫瘍剤。本剤は癌細胞に
対するプラスミノージェンアクチベーター作用を抑制す
ることにより抗悪性腫瘍効果を奏する。
悪性度の高い、難治性癌の一つである膵癌に対うる抗悪
性腫瘍剤の提供。 【解決手段】 トラネキサム酸、そのエステル又はそれ
らの塩を有効成分とする抗悪性腫瘍剤。本剤は癌細胞に
対するプラスミノージェンアクチベーター作用を抑制す
ることにより抗悪性腫瘍効果を奏する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は抗悪性腫瘍剤に関す
る。
る。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、
癌(悪性腫瘍)の化学療法剤として種々の薬剤が開発さ
れ、実用化されている。しかし、一部の癌を除いては化
学療法剤により十分治療できないのが現状であり、さら
に新たな抗悪性腫瘍剤の開発が望まれている。特に、難
治性癌の一つである膵癌については、その早期発見の困
難さやその悪性度の高さから、膵癌に対する抗悪性腫瘍
剤が待望されている。
癌(悪性腫瘍)の化学療法剤として種々の薬剤が開発さ
れ、実用化されている。しかし、一部の癌を除いては化
学療法剤により十分治療できないのが現状であり、さら
に新たな抗悪性腫瘍剤の開発が望まれている。特に、難
治性癌の一つである膵癌については、その早期発見の困
難さやその悪性度の高さから、膵癌に対する抗悪性腫瘍
剤が待望されている。
【0003】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者は種々の
化合物の抗悪性腫瘍作用を検討してきたところ、全く意
外にも抗プラスミン剤として広く使用されているトラネ
キサム酸、そのエステル又はそれらの塩に優れた抗悪性
腫瘍作用、特に膵癌に対する抗悪性腫瘍作用を有するこ
とを見出し、本発明を完成するに至った。
化合物の抗悪性腫瘍作用を検討してきたところ、全く意
外にも抗プラスミン剤として広く使用されているトラネ
キサム酸、そのエステル又はそれらの塩に優れた抗悪性
腫瘍作用、特に膵癌に対する抗悪性腫瘍作用を有するこ
とを見出し、本発明を完成するに至った。
【0004】すなわち、本発明はトラネキサム酸、その
エステル又はそれらの塩を有効成分とする抗悪性腫瘍剤
を提供するものである。
エステル又はそれらの塩を有効成分とする抗悪性腫瘍剤
を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明抗悪性腫瘍剤の有効成分で
あるトラネキサム酸は、化学名トランス−4−アミノメ
チルシクロヘキサンカルボン酸であり、その抗プラスミ
ン作用に基づき、止血剤、及びアレルギーや炎症症状の
改善剤として広く使用されている。また、トラネキサム
酸のエステルである塩酸セトラキサート〔化学名:トラ
ンス−3−〔4−(4−アミノメチルシクロヘキサンカ
ルボニルオキシ)フェニル〕プロピオン酸一塩酸塩〕
は、消化性潰瘍治療剤として広く知用されている。抗凝
固剤の癌の転移抑制は知られているが、しかし、当該ト
ラネキサム酸やそのエステルが癌細胞に対して抗悪性腫
瘍作用があるか否かは全く知られていなかった。
あるトラネキサム酸は、化学名トランス−4−アミノメ
チルシクロヘキサンカルボン酸であり、その抗プラスミ
ン作用に基づき、止血剤、及びアレルギーや炎症症状の
改善剤として広く使用されている。また、トラネキサム
酸のエステルである塩酸セトラキサート〔化学名:トラ
ンス−3−〔4−(4−アミノメチルシクロヘキサンカ
ルボニルオキシ)フェニル〕プロピオン酸一塩酸塩〕
は、消化性潰瘍治療剤として広く知用されている。抗凝
固剤の癌の転移抑制は知られているが、しかし、当該ト
ラネキサム酸やそのエステルが癌細胞に対して抗悪性腫
瘍作用があるか否かは全く知られていなかった。
【0006】トラネキサム酸のエステルとしては、アル
キルエステル、芳香族エステルが挙げられる。ここで、
エステル残基としてのアルキル基としては炭素数1〜1
6のアルキル基が挙げられる。エステル残基としての芳
香族基としては、アルキル、ハロゲン、カルボキシ、カ
ルボキシアルキル等が置換していてもよいフェニル基が
挙げられる。このエステル残基のうち、カルボシキアル
キルフェニル基、特にカルボキシエチルフェニル基が好
ましい。トラネキサム酸の塩としては、塩酸塩、硫酸塩
等が挙げられる。また、本発明においてはトラネキサム
酸、そのエステル又はそれらの塩の水和物、溶媒和物も
使用できる。
キルエステル、芳香族エステルが挙げられる。ここで、
エステル残基としてのアルキル基としては炭素数1〜1
6のアルキル基が挙げられる。エステル残基としての芳
香族基としては、アルキル、ハロゲン、カルボキシ、カ
ルボキシアルキル等が置換していてもよいフェニル基が
挙げられる。このエステル残基のうち、カルボシキアル
キルフェニル基、特にカルボキシエチルフェニル基が好
ましい。トラネキサム酸の塩としては、塩酸塩、硫酸塩
等が挙げられる。また、本発明においてはトラネキサム
酸、そのエステル又はそれらの塩の水和物、溶媒和物も
使用できる。
【0007】トラネキサム酸、そのエステル又はそれら
の塩(以下、トラネキサム酸類ということがある)は、
後記実施例に示すように、ヒト悪性腫瘍の中でも最も予
後不良な難治性癌の一つである膵臓癌モデルに対して有
効であることから、ヒトを含む動物における膵臓癌だけ
でなく、胆のう癌、肺癌、胃癌、大腸癌、直腸癌、子宮
癌、皮膚癌、白血病などの治療に有用である。一方、ト
ラネキサム酸類は前記の如く、抗プラスミン剤や消化性
潰瘍治療薬として広く使用されており、安全性の高い薬
物である。トラネキサム酸類が癌の治療に用いることが
できる理由として、発明者は生体内のプラスミノージェ
ンアクチベーター(Plasminogen Activator、以下PA
という)の作用に影響を与えていると考えている。PA
による癌細胞増殖シグナル等が、トラネキサム酸類によ
り抑制され、引いては抗悪性腫瘍効果を奏する。つま
り、癌細胞に対するPAの作用を抑制すれば抗悪性腫瘍
効果を奏する医薬が創製できる。
の塩(以下、トラネキサム酸類ということがある)は、
後記実施例に示すように、ヒト悪性腫瘍の中でも最も予
後不良な難治性癌の一つである膵臓癌モデルに対して有
効であることから、ヒトを含む動物における膵臓癌だけ
でなく、胆のう癌、肺癌、胃癌、大腸癌、直腸癌、子宮
癌、皮膚癌、白血病などの治療に有用である。一方、ト
ラネキサム酸類は前記の如く、抗プラスミン剤や消化性
潰瘍治療薬として広く使用されており、安全性の高い薬
物である。トラネキサム酸類が癌の治療に用いることが
できる理由として、発明者は生体内のプラスミノージェ
ンアクチベーター(Plasminogen Activator、以下PA
という)の作用に影響を与えていると考えている。PA
による癌細胞増殖シグナル等が、トラネキサム酸類によ
り抑制され、引いては抗悪性腫瘍効果を奏する。つま
り、癌細胞に対するPAの作用を抑制すれば抗悪性腫瘍
効果を奏する医薬が創製できる。
【0008】本発明の抗悪性腫瘍剤にはトラネキサム酸
類に加えて他の抗悪性腫瘍剤、例えば、塩酸イリノテカ
ン等のカンプトテシン誘導体、ドセタキセル水和物、パ
クリタキセル等のタキサン誘導体、イホスファミド、塩
酸ナイトロジェンマスタード−N−オキシド、塩酸ニム
スチン、カルボコン、シクロホスファミド、ダカルバジ
ン、チオテパ、ブスルファン、ミトブロニトール、メル
ファラン、ラニムスチン、リン酸エストラムスチンナト
リウム、6−メルカプトプリンリボシド、エノシタビ
ン、カルモフール、シタラビン、シタラビンオクホスフ
ァート、テガフール、テガフール・ウラシル、ドキシフ
ルリジン、ヒドロキシカルバミド、フルオロウラシル、
メトトレキサート、メルカプトプリン、アクチノマイシ
ンD、塩酸アクラルビシン、塩酸イダルビシン、塩酸エ
ピルビシン、塩酸ダウノルビシン、塩酸ドキソルビシ
ン、塩酸ピラルビシン、塩酸ブレオマイシン、ジノスタ
チンスチマラマー、ネオカルチノスタチン、マイトマイ
シンC、硫酸ブレオマイシン、硫酸ペプロマイシン、エ
トポシド、硫酸ビンクリスチン、硫酸ビンデシン、硫酸
ビンブラスチン、シスプラチン等を挙げることができ
る。これらを配合又は併用してもよい。
類に加えて他の抗悪性腫瘍剤、例えば、塩酸イリノテカ
ン等のカンプトテシン誘導体、ドセタキセル水和物、パ
クリタキセル等のタキサン誘導体、イホスファミド、塩
酸ナイトロジェンマスタード−N−オキシド、塩酸ニム
スチン、カルボコン、シクロホスファミド、ダカルバジ
ン、チオテパ、ブスルファン、ミトブロニトール、メル
ファラン、ラニムスチン、リン酸エストラムスチンナト
リウム、6−メルカプトプリンリボシド、エノシタビ
ン、カルモフール、シタラビン、シタラビンオクホスフ
ァート、テガフール、テガフール・ウラシル、ドキシフ
ルリジン、ヒドロキシカルバミド、フルオロウラシル、
メトトレキサート、メルカプトプリン、アクチノマイシ
ンD、塩酸アクラルビシン、塩酸イダルビシン、塩酸エ
ピルビシン、塩酸ダウノルビシン、塩酸ドキソルビシ
ン、塩酸ピラルビシン、塩酸ブレオマイシン、ジノスタ
チンスチマラマー、ネオカルチノスタチン、マイトマイ
シンC、硫酸ブレオマイシン、硫酸ペプロマイシン、エ
トポシド、硫酸ビンクリスチン、硫酸ビンデシン、硫酸
ビンブラスチン、シスプラチン等を挙げることができ
る。これらを配合又は併用してもよい。
【0009】本発明抗悪性腫瘍剤の投与形態は特に制限
されず、経口的・非経口的に投与することができる。本
発明抗悪性腫瘍剤は、有効成分であるトラネキサム酸類
をそのまま用いてもよいが、トラネキサム酸類と製薬学
的に許容しうる製剤用添加物とを含む医薬組成物の形態
で提供されることが好ましい。製薬学的に許容しうる添
加物としては、例えば賦形剤、崩壊剤、崩壊補助剤、結
合剤、滑沢剤、コーティング剤、色素、希釈剤、基剤、
溶解剤、溶解補助剤、等張化剤、pH調整剤、安定化剤、
噴射剤及び粘着剤等を用いることができる。経口投与に
適する製剤の例としては、例えば、錠剤、カプセル剤、
散剤、細粒剤、顆粒剤、液剤又はシロップ剤等を挙げる
ことができる。非経口投与に適する製剤としては、例え
ば、注射剤、点滴剤、坐剤、吸入剤又は貼付剤等を挙げ
ることができる。
されず、経口的・非経口的に投与することができる。本
発明抗悪性腫瘍剤は、有効成分であるトラネキサム酸類
をそのまま用いてもよいが、トラネキサム酸類と製薬学
的に許容しうる製剤用添加物とを含む医薬組成物の形態
で提供されることが好ましい。製薬学的に許容しうる添
加物としては、例えば賦形剤、崩壊剤、崩壊補助剤、結
合剤、滑沢剤、コーティング剤、色素、希釈剤、基剤、
溶解剤、溶解補助剤、等張化剤、pH調整剤、安定化剤、
噴射剤及び粘着剤等を用いることができる。経口投与に
適する製剤の例としては、例えば、錠剤、カプセル剤、
散剤、細粒剤、顆粒剤、液剤又はシロップ剤等を挙げる
ことができる。非経口投与に適する製剤としては、例え
ば、注射剤、点滴剤、坐剤、吸入剤又は貼付剤等を挙げ
ることができる。
【0010】本発明抗悪性腫瘍剤の投与量は特に限定さ
れず、治療の目的、癌の種類、患者の年齢や症状、投与
経路などの種々の条件に応じて適宜の投与量を選択する
ことが可能である。一般的には、経口投与の場合に成人
一日当たり100〜5000mg程度、好ましくは、60
0〜4000mg程度である。また、注射の場合、成人一
日当たり20〜1500mg、好ましくは150〜100
0mgである。これらの一日投与量は2〜4回に分けて投
与されてもよい。
れず、治療の目的、癌の種類、患者の年齢や症状、投与
経路などの種々の条件に応じて適宜の投与量を選択する
ことが可能である。一般的には、経口投与の場合に成人
一日当たり100〜5000mg程度、好ましくは、60
0〜4000mg程度である。また、注射の場合、成人一
日当たり20〜1500mg、好ましくは150〜100
0mgである。これらの一日投与量は2〜4回に分けて投
与されてもよい。
【0011】
【実施例】次に実施例を挙げて本発明を詳細に説明する
が、本発明はこれら実施例に何ら制限されるものではな
い。
が、本発明はこれら実施例に何ら制限されるものではな
い。
【0012】実施例1 (1)方法 癌モデルとして、N−ニトロソビス(2−オキソプロピ
ル)アミン(以下、「BOP」と称す)投与により、短
期間で膵臓癌を誘発できるハムスター短期膵臓癌モデル
を用いた。このモデルにおける膵管病変は、膵管上皮の
過形成に始まり、異型性過形成、膵管内癌を経て浸潤性
の膵管癌に至るもので、その組織型のみならずK−ra
s及びp53遺伝子変異の点においてもヒト浸潤性膵管
癌に類似しており、膵管癌の発生、増殖、進展過程を研
究するための極めて有用な実験モデルである。
ル)アミン(以下、「BOP」と称す)投与により、短
期間で膵臓癌を誘発できるハムスター短期膵臓癌モデル
を用いた。このモデルにおける膵管病変は、膵管上皮の
過形成に始まり、異型性過形成、膵管内癌を経て浸潤性
の膵管癌に至るもので、その組織型のみならずK−ra
s及びp53遺伝子変異の点においてもヒト浸潤性膵管
癌に類似しており、膵管癌の発生、増殖、進展過程を研
究するための極めて有用な実験モデルである。
【0013】実験プロトコールを図1に示す。動物は8
週齢、体重約100gの雌性シリアンゴールデンハムス
ターを使用した。餌と水は自由摂取とし、基礎食はオリ
エンタルMF(オリエンタル酵母(株))、コリン欠乏
食としてLombardi CD diet(Dyets Inc.,)を使用した。
週齢、体重約100gの雌性シリアンゴールデンハムス
ターを使用した。餌と水は自由摂取とし、基礎食はオリ
エンタルMF(オリエンタル酵母(株))、コリン欠乏
食としてLombardi CD diet(Dyets Inc.,)を使用した。
【0014】イニシェーションとして体重kg当たり50
mgのBOPを皮下投与した。BOP投与11日後より4
日間は餌をコリン欠乏食に替え、体重kg当たり500mg
のDL−メチオニンを連日腹腔内投与した後、再び餌を
基礎食に戻すとともに体重kg当たり800mgのL−メチ
オニンを1回腹腔内投与し、さらにその2日後に体重kg
当たり20mgのBOPを皮下投与した。このコリン欠乏
食、DL−メチオニン、L−メチオニン及びBOP投与
からなる一連の操作をaugmentation pressureと称し、
本操作を実験開始後11日目と26日目より2回行っ
た。トラネキサム酸は、実験開始後50日目より投与し
た。第1群は、基礎食のみで全実験期間飼育した群、第
2群はトラネキサム酸を0.1%の濃度で基礎食に混じ
て投与した群とした。動物は、実験開始88日後にエー
テル麻酔下で腹部大動脈からの放血により安楽死させ
た。膵臓は、摘出・秤量した後、濾紙上に伸展し10%
中性緩衝ホルマリン液で固定し、脾葉、胃葉、十二指腸
葉の各葉に分けて標本を作製した。組織はパラフィン包
埋後薄切し、組織学的検索のためヘマトキシリン・エオ
ジン染色、細胞増殖活性の指標としてPCNA染色を行
った。PCNA染色はEPOS抗PCNAモノクローナ
ル抗体(DAKO JAPA京都)を用い、DAB発色
を行った。対比核染色としてマイヤー・ヘマトキシリン
による核染色を行った。膵管病変は、過形成、異型過形
成及び癌に分類し、それぞれの病変の個数を計測し、そ
れぞれの膵管病変中のPCNA標識率(病変が300細
胞以下で構成されている場合は全細胞、それ以上の場合
は病変の辺縁から中心領域にかけて任意の2又は3部位
を選択し、それぞれ100個の細胞を対象)を算出し
た。
mgのBOPを皮下投与した。BOP投与11日後より4
日間は餌をコリン欠乏食に替え、体重kg当たり500mg
のDL−メチオニンを連日腹腔内投与した後、再び餌を
基礎食に戻すとともに体重kg当たり800mgのL−メチ
オニンを1回腹腔内投与し、さらにその2日後に体重kg
当たり20mgのBOPを皮下投与した。このコリン欠乏
食、DL−メチオニン、L−メチオニン及びBOP投与
からなる一連の操作をaugmentation pressureと称し、
本操作を実験開始後11日目と26日目より2回行っ
た。トラネキサム酸は、実験開始後50日目より投与し
た。第1群は、基礎食のみで全実験期間飼育した群、第
2群はトラネキサム酸を0.1%の濃度で基礎食に混じ
て投与した群とした。動物は、実験開始88日後にエー
テル麻酔下で腹部大動脈からの放血により安楽死させ
た。膵臓は、摘出・秤量した後、濾紙上に伸展し10%
中性緩衝ホルマリン液で固定し、脾葉、胃葉、十二指腸
葉の各葉に分けて標本を作製した。組織はパラフィン包
埋後薄切し、組織学的検索のためヘマトキシリン・エオ
ジン染色、細胞増殖活性の指標としてPCNA染色を行
った。PCNA染色はEPOS抗PCNAモノクローナ
ル抗体(DAKO JAPA京都)を用い、DAB発色
を行った。対比核染色としてマイヤー・ヘマトキシリン
による核染色を行った。膵管病変は、過形成、異型過形
成及び癌に分類し、それぞれの病変の個数を計測し、そ
れぞれの膵管病変中のPCNA標識率(病変が300細
胞以下で構成されている場合は全細胞、それ以上の場合
は病変の辺縁から中心領域にかけて任意の2又は3部位
を選択し、それぞれ100個の細胞を対象)を算出し
た。
【0015】(2)結果 1)実験期間中、コントロール群とトラネキサム酸投与
群で、体重、膵臓重量、摂餌量及び摂水量に有意な差は
なかった。ハムスター1匹当たりの1日のトラネキサム
酸摂取量は、9.4mgでありこれはヒト(体重60kg)
の1日当たり摂取量として3gのトラネキサム酸に相当
するものであった。 2)トラネキサム酸投与による膵癌発生の抑制 膵管病変の発生率及び病変数を表1に示す。本実験にお
いて認められた膵病変はいずれも膵管由来のものであ
り、膵管上皮の過形成、異型過形成及び膵管癌に分類し
た。膵管病変の発生率に関しては、過形成と異型過形成
の発生率はコントロール群とトラネキサム酸投与群間に
有意な差はなかった。一方、膵管癌の発生率はコントロ
ール群の59%に比してトラネキサム酸投与群では22
%と有意な低下を認めた。また、膵管病変の1個体当た
りの発生数に関しては、過形成及び異型過形成にコント
ロール群とトラネキサム酸投与群間に有意な差はみられ
なかった。膵管癌はコントロール群の0.88±0.7
8個に比してトラネキサム酸投与群では0.27±0.
57個と有意な低下が見られた。
群で、体重、膵臓重量、摂餌量及び摂水量に有意な差は
なかった。ハムスター1匹当たりの1日のトラネキサム
酸摂取量は、9.4mgでありこれはヒト(体重60kg)
の1日当たり摂取量として3gのトラネキサム酸に相当
するものであった。 2)トラネキサム酸投与による膵癌発生の抑制 膵管病変の発生率及び病変数を表1に示す。本実験にお
いて認められた膵病変はいずれも膵管由来のものであ
り、膵管上皮の過形成、異型過形成及び膵管癌に分類し
た。膵管病変の発生率に関しては、過形成と異型過形成
の発生率はコントロール群とトラネキサム酸投与群間に
有意な差はなかった。一方、膵管癌の発生率はコントロ
ール群の59%に比してトラネキサム酸投与群では22
%と有意な低下を認めた。また、膵管病変の1個体当た
りの発生数に関しては、過形成及び異型過形成にコント
ロール群とトラネキサム酸投与群間に有意な差はみられ
なかった。膵管癌はコントロール群の0.88±0.7
8個に比してトラネキサム酸投与群では0.27±0.
57個と有意な低下が見られた。
【0016】
【表1】
【0017】3)トラネキサム酸投与による膵炎の抑制 膵管病変のない膵組織では、膵管癌促進圧力操作による
ものと考えられる腺房細胞の脱落、脂肪化、浸出性変化
のみられる動物があったが、トラネキサム酸投与による
差異は見られなかった。膵管病変部周囲では炎症性反応
にトラネキサム酸投与群はコントロール群に比べ炎症細
胞浸潤の程度及びうっ血が軽減していた。
ものと考えられる腺房細胞の脱落、脂肪化、浸出性変化
のみられる動物があったが、トラネキサム酸投与による
差異は見られなかった。膵管病変部周囲では炎症性反応
にトラネキサム酸投与群はコントロール群に比べ炎症細
胞浸潤の程度及びうっ血が軽減していた。
【0018】
【発明の効果】本発明の抗悪性腫瘍剤は、安全性が極め
て高く、従来の抗悪性腫瘍剤に比べて副作用が飛躍的に
軽減された医薬である。
て高く、従来の抗悪性腫瘍剤に比べて副作用が飛躍的に
軽減された医薬である。
【図1】実施例1の実験プロトコールを示す図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 トラネキサム酸、そのエステル又はそれ
らの塩を有効成分とする抗悪性腫瘍剤。 - 【請求項2】 抗悪性腫瘍剤が、膵癌治療剤である請求
項1記載の抗悪性腫瘍剤。 - 【請求項3】 トラネキサム酸、そのエステル又はそれ
らの塩により癌細胞に対するプラスミノージェンアクチ
ベーターによる作用に影響を与え、抗悪性腫瘍効果を奏
させる方法。 - 【請求項4】 癌細胞に対するプラスミノージェンアク
チベーター作用を抑制することにより抗悪性腫瘍効果を
奏する医薬。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000303823A JP2002114673A (ja) | 2000-10-03 | 2000-10-03 | 抗悪性腫瘍剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000303823A JP2002114673A (ja) | 2000-10-03 | 2000-10-03 | 抗悪性腫瘍剤 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002114673A true JP2002114673A (ja) | 2002-04-16 |
Family
ID=18784970
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000303823A Pending JP2002114673A (ja) | 2000-10-03 | 2000-10-03 | 抗悪性腫瘍剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2002114673A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013237666A (ja) * | 2012-04-16 | 2013-11-28 | Daiichi Sankyo Healthcare Co Ltd | 過労又は慢性疲労に伴う疾患の治療及び/又は予防剤 |
-
2000
- 2000-10-03 JP JP2000303823A patent/JP2002114673A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013237666A (ja) * | 2012-04-16 | 2013-11-28 | Daiichi Sankyo Healthcare Co Ltd | 過労又は慢性疲労に伴う疾患の治療及び/又は予防剤 |
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