JP2002112784A - 抗リン脂質抗体症候群治療用t細胞レセプター可変領域 - Google Patents

抗リン脂質抗体症候群治療用t細胞レセプター可変領域

Info

Publication number
JP2002112784A
JP2002112784A JP2000306677A JP2000306677A JP2002112784A JP 2002112784 A JP2002112784 A JP 2002112784A JP 2000306677 A JP2000306677 A JP 2000306677A JP 2000306677 A JP2000306677 A JP 2000306677A JP 2002112784 A JP2002112784 A JP 2002112784A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
peptide
amino acid
cells
acid sequence
reactive
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000306677A
Other languages
English (en)
Inventor
Yutaka Kawakami
裕 河上
Masataka Kuwana
正隆 桑名
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Keio University
Original Assignee
Keio University
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Keio University filed Critical Keio University
Priority to JP2000306677A priority Critical patent/JP2002112784A/ja
Publication of JP2002112784A publication Critical patent/JP2002112784A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 抗リン脂質抗体症候群(APS)の原因物質
である抗リン脂質抗体の産生を誘導するβ2グリコプロ
テインI(β2GPI)反応性T細胞に対する免疫反応を
誘発するペプチドや、かかるペプチドを有効成分とする
APS治療予防剤等を提供すること。 【解決手段】 末梢血をβ2GPIで刺激し、β2GPI
反応性T細胞株を樹立し、それらのTCR部分の遺伝子
解析を行う。β2GPI反応性T細胞のTCRβ鎖には
高頻度にVβ7やVβ8が用いられていること、β2
PI反応性T細胞のTCRβ鎖のCDR3には特定のア
ミノ酸モチーフが存在すること、複数のAPS患者から
CDR3領域に全く同一のアミノ酸配列をもつTCRβ
鎖が存在することから、このCDR3領域のアミノ酸配
列を含むペプチドを用いて、β2GPI反応性T細胞に
対する免疫反応を誘発する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、抗リン脂質抗体症
候群(anti-phospholipid syndrome;APS)の治療等
に有用なT細胞レセプター(T cell receptor;TC
R)の可変領域を含むペプチド、詳しくはAPSの原因
物質である抗リン脂質抗体の産生を誘導するベータ2グ
リコプロテインI(β2-glycoprotein I;β2GPI)反
応性T細胞に対する免疫反応を誘発するペプチドや、か
かるペプチド等を有効成分とするAPS治療予防剤など
に関する。
【0002】
【従来の技術】APSは、繰り返す脳梗塞、肺塞栓症、
下肢深部静脈血栓症などの動静脈血栓症、習慣性流産を
呈する疾患で、血液中にリン脂質と結合する血漿蛋白に
対する抗体(抗リン脂質抗体)が検出される。抗リン脂
質抗体の主要な標的はβ2GPIであり、抗リン脂質抗
体がβ2GPIの持つ凝固抑制活性を阻害することによ
り過凝固状態となり血栓症や流産が誘導されることが知
られている(ArthritisRhem 39, 1444-1454, 1996)。
【0003】APSを診断する方法としては、抗リン脂
質抗体を検出・測定する方法を挙げることができ、これ
らの方法は多数提案されている(特開2000−973
1号公報、特開平11−295312号公報、特開平1
0−282096号公報、特開平10−132821号
公報、特開平08−114597号公報、特開平07−
103981号公報、特開平07−103980号公
報、特開平06−331628号公報、特開平06−8
8823号公報、特開平05−60755号公報等)。
しかし、APSの治療には抗血小板薬、抗凝固薬、免疫
抑制薬が用いられているが、いずれもコントロールを用
いた臨床試験での有効性は証明されておらず、また、抗
血小板薬や抗凝固薬による治療法には重篤な出血の危険
性があり、副腎皮質ステロイドをはじめとした免疫抑制
薬では易感染症性や動脈硬化、骨粗しょう症促進などの
副作用があり、臨床上大きな問題になっている。この問
題点を解決するためには、抗リン脂質抗体の産生を選択
的に抑制する治療法が必要となっており、米国特許第
5,874,409号には、抗リン脂質抗体エピトープ
のアナログを用いた抗リン脂質抗体産生抑制によるAP
Sの治療法が開示されている。
【0004】他方、T細胞の抗原認識を担う膜表面のT
CRには、α鎖・β鎖から成るへテロ二量体とγ鎖・δ
鎖から成るへテロ二量体の二種類が同定されている。T
CR遺伝子は免疫グロブリン遺伝子と同様に、可変領域
(V:variable)、多様性領域(D:diversity)、結
合領域(J:joining)、定常領域(C:constant)の
各領域から成り、これらのアミノ酸配列はT細胞ごとに
異なっていることから、TCRは抗原認識分子であると
同時に個々のT細胞の目印にもなっている。このTCR
の多様性は後天的なTCR遺伝子の再構成によって生み
だされており、TCRβ,δ鎖はV−D−Jを、TCR
α,γ鎖はV−Jを再構成することが知られている。
【0005】T細胞の初期分化は、B細胞と同様にTC
Rのα鎖及びβ鎖遺伝子の再構成と密接に関わってい
る。TCRβ鎖遺伝子の再構成はDN−T細胞(double
negative:CD4--)の段階で開始され、β鎖遺伝
子の再構成に成功した細胞はβ鎖タンパク質と代替α鎖
(preTα)の複合体、つまりプレTCRを細胞表面
に発現する。そして、CD4及びCD8分子の発現が誘
導され、DP−T細胞(double positive:CD4
++)へと移行し、DPとなったT細胞は、次にTCR
のα鎖遺伝子の再構成に成功した細胞のみが、TCRを
表面に発現できることが知られている。
【0006】上記TCRβ鎖には、染色体DNAには少
なくとも24のVβ、2つのDβ、14のJβ、2つの
Cβ遺伝子が存在し、Vβ中に2つの可変領域(CDR
1、CDR2)が存在することも知られている。これら
遺伝子の中からVβ、Dβ、Jβ、Cβが各1つずつ選
ばれて結合し、TCRβ鎖をコードするDNAが構成さ
れている。この際、Vβ−Dβ−Jβ遺伝子の結合部に
はランダムな塩基の挿入や欠失が起こり、無限に近い多
様性が生みだされている。このVβ−Dβ−Jβ遺伝子
の結合部位は、CDR3(相補性決定領域3:third co
mplementaritydetermining region)、結合部(junctio
nal)領域、又はN−D−N領域と呼ばれ、TCRの中
で最も多型性に富む部分であることから、あるTCRは
細菌やウイルスなどの外来抗原を認識するが、別のTC
Rは自己抗原であるβ2GPIを認識することができ
る。従来、多発性硬化症、重症筋無力症などの自己免疫
疾患では病因的なT細胞のTCRには共通した構造(モ
チーフ)が存在することが示されており(Nat Med 2, 1
109-1115, 1996)、APS患者においても抗リン脂質抗
体産生を誘導するβ2GPI反応性T細胞が共通した構
造を持ったTCR鎖を用いている可能性がある。
【0007】また、特定のT細胞がメディエイトする慢
性関節リウマチ等の疾患を予防若しくは抑制する方法と
して、TCRの可変領域由来のペプチドや、該ペプチド
を含んでなるワクチン(例えば、米国特許第5,61
2,035号、米国特許第5,837,246号、米国
特許第5,861,164号、米国特許第5,985,
552号、米国特許第6,007,815号など)や、
TCRの可変領域をコードするDNAをレシピエントの
中に導入することにより、炎症性T応答を特異的に阻害
する方法(例えば、米国特許第5,939,400号な
ど)等が知られている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】現在までに、APS患
者に有効性が証明されている治療法は知られておらず、
他に治療法がないために血栓症の予防を目的として抗血
小板薬、抗凝固薬、免疫抑制薬などの治療法が行われて
いるのが現状である。ただし、抗血小板薬や抗凝固薬に
よる治療では重篤な出血の危険性があり、また副腎皮質
ステロイドをはじめとした免疫抑制薬では易感染症性や
動脈硬化促進などの副作用があり、臨床上大きな問題に
なっている。本発明の課題は、副作用のないAPSの治
療・予防剤として有用なペプチド、すなわちAPSの原
因物質である抗リン脂質抗体の産生を誘導するβ2GP
I反応性T細胞に対する免疫反応を誘発するペプチド
や、かかるペプチドを有効成分とするAPS治療予防剤
等を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意研究し、抗リン脂質抗体産生を誘
導している病因的なβ2GPI反応性T細胞に共通して
用いられているTCR部分を分子レベルで同定すれば、
それらTCRはβ2GPI反応性T細胞を特徴付ける目
印となり、ワクチン等の手法を用いて上記β2GPI反
応性T細胞のTCRに対する特異的免疫応答を誘導すれ
ば、β2GPI反応性T細胞を選択的に除去して抗リン
脂質抗体産生を抑制することができるのではないかと考
え、APS患者におけるβ2GPI反応性T細胞株の樹
立とそれらのTCR部分の遺伝子解析を行い、APS患
者における抗リン脂質抗体産生を誘導するβ2GPI反
応性T細胞のTCRβ鎖には高頻度にVβ7が用いられ
ており、数少ないがVβ7が検出されなかった例ではV
β8遺伝子という可変領域遺伝子が用いられているこ
と、β2GPI反応性T細胞のTCRβ鎖のCDR3に
は特定のアミノ酸モチーフが存在すること、特に複数の
APS患者からCDR3領域に全く同一のアミノ酸配列
をもつTCRβ鎖が存在することを見い出し、また、T
CRβ鎖の可変領域Vβ7又はVβ8陽性のT細胞を除
去することにより、抗リン脂質抗体産生がほぼ完全に抑
制されることを確認し、本発明を完成するに至った。
【0010】すなわち本発明は、抗リン脂質抗体産生を
誘導するベータ2グリコプロテインI(β2GPI)反
応性T細胞に対する免疫反応を誘発するペプチドであっ
て、β2GPI反応性T細胞の表面に存在するT細胞レ
セプター(TCR)のアミノ酸配列を有することを特徴
とする実質的に純粋な単鎖ペプチド(請求項1)や、β
2GPI反応性T細胞に対する免疫反応を誘発するペプ
チドが、TCRのCDR3のアミノ酸配列を含むペプチ
ドであることを特徴とする請求項1記載の実質的に純粋
な単鎖ペプチド(請求項2)や、TCRのCDR3が、
TCRβ鎖のCDR3であることを特徴とする請求項2
記載の実質的に純粋な単鎖ペプチド(請求項3)や、T
CRβ鎖のCDR3が、TCRVβ7のCDR3である
ことを特徴とする請求項3記載の実質的に純粋な単鎖ペ
プチド(請求項4)や、TCRVβ7のCDR3のアミ
ノ酸配列が、Thr-Gly-Xaa-Xaa-Asn (Xaa は任意のアミ
ノ酸を表す。)を含むアミノ酸配列であることを特徴と
する請求項4記載の実質的に純粋な単鎖ペプチド(請求
項5)や、Thr-Gly-Xaa-Xaa-Asn を含むアミノ酸配列
が、Thr-Gly-Ala-Ser-Asn を含むアミノ酸配列であるこ
とを特徴とする請求項5記載の実質的に純粋な単鎖ペプ
チド(請求項6)や、Thr-Gly-Ala-Ser-Asn を含むアミ
ノ酸配列が、Ser-His-Asp-Thr-Gly-Ala-Ser-Asn-Tyr-Gl
y-Tyr-Thr を含むアミノ酸配列であることを特徴とする
請求項6記載の実質的に純粋な単鎖ペプチド(請求項
7)や、TCRβ鎖のCDR3が、TCRVβ8のCD
R3であることを特徴とする請求項3記載の実質的に純
粋な単鎖ペプチド(請求項8)や、TCRVβ8のCD
R3のアミノ酸配列が、Pro- Xaa-Ala-Xaa-Xaa-Asp/Glu
-Xaa-Gln-Tyr (Xaa は任意のアミノ酸を表す。)を含
むアミノ酸配列であることを特徴とする請求項8記載の
実質的に純粋な単鎖ペプチド(請求項9)に関する。
【0011】また本発明は、請求項1〜9のいずれか記
載のペプチドをコードするDNA又はその相補的配列
(請求項10)や、請求項1〜9のいずれか記載のペプ
チドと、マーカータンパク質及び/又はペプチドタグと
を結合させた融合ペプチド(請求項11)や、請求項1
〜9のいずれか記載のペプチドに特異的に結合する抗体
(請求項12)や、抗体がモノクローナル抗体であるこ
とを特徴とする請求項12記載の抗体(請求項13)
や、請求項12又は13記載の抗体が特異的に結合する
組換えペプチド(請求項14)や、請求項1〜9のいず
れか記載のペプチドをコードするDNAが組み込まれた
ことを特徴とする発現ベクター(請求項15)や、請求
項1〜9のいずれか記載のペプチドを発現することがで
きる発現系を含んでなる細胞(請求項16)や、請求項
1〜9のいずれか記載のペプチドをコードする遺伝子機
能が染色体上で欠損したことを特徴とする非ヒト動物
(請求項17)や、請求項1〜9のいずれか記載のペプ
チドを過剰発現することを特徴とする非ヒト動物(請求
項18)や、非ヒト動物が、マウス又はラットであるこ
とを特徴とする請求項17又は18記載の非ヒト動物
(請求項19)に関する。
【0012】さらに本発明は、被検物質と、β2GPI
と、Vβ7及び/又はVβ8をもつTCRを有するβ2
GPI反応性T細胞とを用い、該T細胞における抗リン
脂質抗体産生誘導活性を測定・評価することを特徴とす
る抗リン脂質抗体産生誘導活性抑制又は促進物質のスク
リーニング方法(請求項20)や、請求項17〜19の
いずれか記載の非ヒト動物に被検物質を投与し、該非ヒ
ト動物の血中における抗リン脂質抗体産生量を測定・評
価することを特徴とする抗リン脂質抗体産生誘導活性抑
制又は促進物質のスクリーニング方法(請求項21)
や、請求項20又は21記載のスクリーニング方法によ
り得られる抗リン脂質抗体産生誘導活性抑制物質(請求
項22)や、請求項1〜9のいずれか記載のペプチドを
有効成分とすることを特徴とする抗リン脂質抗体症候群
治療予防剤(請求項23)や、請求項1〜9のいずれか
記載のペプチドとアジュバンドとを有効成分とすること
を特徴とする抗リン脂質抗体症候群治療予防剤(請求項
24)や、請求項12又は13記載の抗体を有効成分と
することを特徴とする抗リン脂質抗体症候群治療予防剤
(請求項25)や、請求項15記載の発現ベクターを有
効成分とすることを特徴とする抗リン脂質抗体症候群治
療予防剤(請求項26)や、請求項16記載の細胞を有
効成分とすることを特徴とする抗リン脂質抗体症候群治
療予防剤(請求項27)や、請求項1〜9のいずれか記
載のペプチドを抗原として提示することができる樹状細
胞を有効成分とすることを特徴とする抗リン脂質抗体症
候群治療予防剤(請求項28)や、TCRVβ7又はT
CRVβ8の可変領域(CDR1,CDR2)のアミノ
酸配列を含むペプチドを有効成分とすることを特徴とす
る抗リン脂質抗体症候群治療予防剤(請求項29)に関
する。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の対象となるペプチドとし
ては、抗リン脂質抗体産生を誘導するβ2GPI反応性
T細胞に対する免疫反応を誘発するペプチドであって、
β2GPI反応性T細胞の表面に存在するTCRのアミ
ノ酸配列を有する実質的に純粋な単鎖ペプチドであれば
特に制限されるものではなく、ここで、β2GPI反応
性T細胞とは、β2GPIを特異的に認識するTCRを
その膜表面に有するT細胞をいい、かかるβ2GPI反
応性T細胞は、例えば末梢血T細胞をインターロイキン
2(IL−2)存在下でβ2GPIのリコンビナント蛋
白と自己の抗原提示細胞(末梢血単核球、EBウイルス
でトランスフォームしたB細胞など)で複数回刺激する
ことによって、β2GPI反応性T細胞株として樹立す
ることにより、当業者であれば過度の実験なしで、容易
に得ることができる。
【0014】上記抗リン脂質抗体産生を誘導するβ2
PI反応性T細胞に対する免疫反応を誘発するペプチド
としては、TCRのCDR3のアミノ酸配列を含むペプ
チド、好ましくはTCRβ鎖のCDR3のアミノ酸配列
を含むペプチド、より好ましくは、例えば配列表の配列
番号8〜14のいずれかに示されるアミノ酸配列からな
るペプチド若しくはその一部からなるペプチド、又はそ
れらペプチドのアミノ酸配列において、1若しくは数個
のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配
列からなり、かつ免疫誘導活性を有するペプチド等の、
TCRVβ7やTCRVβ8のCDR3のアミノ酸配列
を含むペプチドを挙げることができる。上記TCRVβ
7のCDR3のアミノ酸配列を含むペプチドとしては、
Thr-Gly-Xaa-Xaa-Asn(配列番号15、なお Xaa は任意
のアミノ酸を表す。以下同じ。)を含むアミノ酸配列、
好ましくは Thr-Gly-Ala-Ser-Asn(配列番号16)を含
むアミノ酸配列、より好ましくは Ser-His-Asp-Thr-Gly
-Ala-Ser-Asn-Tyr-Gly-Tyr-Thr(配列番号18)を含む
アミノ酸配列からなるペプチドを具体的に挙げることが
でき、Ser-His-Asp-Thr-Gly-Ala-Ser-Asn-Tyr-Gly-Tyr-
Thr で示されるアミノ酸配列からなるペプチドや、TC
RVβ7.2のC末端に上記CDR3のアミノ酸配列が
結合したペプチドをより具体的に例示することができ
る。また、上記TCRVβ8のCDR3のアミノ酸配列
を含むペプチドとしては、Pro-Xaa-Ala-Xaa-Xaa-Asp/Gl
u-Xaa-Gln-Tyr(配列番号19)を含むアミノ酸配列を
含むアミノ酸配列からなるペプチドを具体的に挙げるこ
とができ、TCRVβ8.1やTCRVβ8.2のC末
端に上記CDR3のアミノ酸配列が結合したペプチドを
より具体的に例示することができる。
【0015】本発明の対象となるDNA又はその相補的
配列としては、例えば配列番号1〜7のいずれかに示さ
れる塩基配列からなるDNAの全部又はその一部であ
る、上記本発明のペプチドをコードするDNAであれば
特に制限されるものではないが、配列番号17に示され
る塩基配列又はその相補的配列を含むDNAを好適に例
示することができる。例えば、上記本発明のペプチドを
コードするcDNAは、前記β2GPI反応性T細胞株
から得られたmRNAを用いて一本鎖cDNAを合成
し、既知のTCRのVβ1〜24の塩基配列に相補的な
26種類のプライマーと、共通するCβ領域のプライマ
ーとを用いて各Vβごとにポリメラーゼ連鎖反応(PC
R)を行うことによってTCRのDNAを増幅し、得ら
れた各PCR産物をアガロースゲル電気泳動後のデンシ
トメトリーにより解析し、末梢血T細胞に比べてβ2
PI反応性T細胞株で増加したVβを、β2GPI反応
性T細胞により用いられているTCRβ鎖の候補とし、
候補としたこれらVβのPCR産物を一本鎖DNAとし
て一本鎖コンフォメーション多型性(single-strand co
nformation polymorphisms:SSCP)の解析を行い、
β2GPI反応性T細胞株においてオリゴクローナルな
増加を示したDNAとして得ることができる。また、本
発明のDNA又はその相補的配列は、上記本発明のペプ
チドのアミノ酸配列情報から常法により合成することも
できる。本発明のペプチドをコードするDNA又はRN
Aのアンチセンス鎖の全部又は一部は、APSの診断用
プローブとして利用することができる。
【0016】本発明の融合ペプチドとしては、本発明の
ペプチドとマーカータンパク質及び/又はペプチドタグ
とが結合しているものであればどのようなものでもよ
く、マーカータンパク質としては、従来知られているマ
ーカータンパク質であれば特に制限されるものではな
く、例えば、アルカリフォスファターゼ、抗体のFc領
域、HRP、GFPなどを具体的に挙げることができ、
また本発明におけるペプチドタグとしては、Mycタ
グ、Hisタグ、FLAGタグ、GSTタグなどの従来
知られているペプチドタグを具体的に例示することがで
きる。かかる融合ペプチドは常法により作製することが
でき、Ni−NTAとHisタグの親和性を利用した本
発明のペプチドの精製や、T細胞誘導活性を有するタン
パク質の検出や、本発明のペプチドに対する抗体の定量
に有用であり、また当該分野の研究用試薬としても有用
である。
【0017】本発明の前記タンパク質やペプチドに特異
的に結合する抗体としては、モノクローナル抗体、ポリ
クローナル抗体、キメラ抗体、一本鎖抗体、ヒト化抗体
等の免疫特異的な抗体を具体的に挙げることができ、こ
れらは上記本発明のペプチド又はその一部を抗原として
用いて常法により作製することができるが、その中でも
モノクローナル抗体がその特異性の点で好ましく、特に
前記TCRβ鎖のCDR3のアミノ酸配列を特異的に認
識するモノクローナル抗体がより好ましい。かかるモノ
クローナル抗体等の抗体は、例えば、APSの予防治療
ばかりでなく、APSの発症機構を明らかにする上で有
用である。
【0018】また、本発明の抗体は、慣用のプロトコー
ルを用いて、動物(好ましくはヒト以外)に本発明のペ
プチドあるいは本発明のペプチドと担体(シュレッパ
ー)との結合物を投与することにより産生され、例えば
モノクローナル抗体の調製には、連続細胞系の培養物に
より産生される抗体をもたらす、ハイブリドーマ法(Na
ture 256, 495-497, 1975)、トリオーマ法、ヒトB細
胞ハイブリドーマ法(Immunology Today 4, 72, 1983)
及びEBV−ハイブリドーマ法(MONOCLONAL ANTIBODIE
S AND CANCER THERAPY, pp.77-96, Alan R.Liss, Inc.,
1985)など任意の方法を用いることができる。
【0019】本発明の上記本発明のペプチドに対する一
本鎖抗体をつくるために、一本鎖抗体の調製法(米国特
許第4,946,778号)を適用することができる。また、ヒ
ト化抗体を発現させるために、トランスジェニックマウ
ス又は他の哺乳動物等を利用したり、上記抗体を用い
て、その本発明のペプチドを発現するクローンを単離・
同定したり、アフィニティークロマトグラフィーでその
ポリペプチドを精製することもできる。また、本発明に
は、これら抗体が特異的に結合する組換えペプチドも包
含される。
【0020】本発明はまた、上記本発明のペプチドをコ
ードするDNAが組み込まれた発現ベクターや、本発明
のペプチドを発現することができる発現系を含んでなる
細胞に関する。かかる発現ベクターや発現系としては、
上記本発明のペプチドを宿主細胞内で発現させることが
できるベクターや発現系であればどのようなものでもよ
く、染色体、エピソーム及びウイルスに由来するベクタ
ーや発現系、例えば、細菌プラスミド由来、酵母プラス
ミド由来、SV40のようなパポバウイルス、ワクシニ
アウイルス、アデノウイルス、鶏痘ウイルス、仮性狂犬
病ウイルス、レトロウイルス由来のベクター、バクテリ
オファージ由来、トランスポゾン由来及びこれらの組合
せに由来するベクター、例えば、コスミドやファージミ
ドのようなプラスミドとバクテリオファージの遺伝的要
素に由来するものを挙げることができる。これらベクタ
ーや発現系は発現を起こさせるだけでなく発現を調節す
る制御配列を含んでいてもよい。
【0021】そして、上記宿主細胞としては、大腸菌、
ストレプトミセス、枯草菌、ストレプトコッカス、スタ
フィロコッカス等の細菌原核細胞や、酵母、アスペルギ
ルス等の真菌細胞や、ドロソフィラS2、スポドプテラ
Sf9等の昆虫細胞や、L細胞、CHO細胞、COS細
胞、HeLa細胞、C127細胞、BALB/c3T3
細胞(ジヒドロ葉酸レダクターゼやチミジンキナーゼな
どを欠損した変異株を含む)、BHK21細胞、HEK
293細胞、Bowes悪性黒色腫細胞等の動物細胞
や、植物細胞等を挙げることができる。これらの細胞の
中でも、HLA発現能を有する宿主細胞が好ましく、か
かる宿主細胞としては、元来HLA発現能を有する細胞
の他、元来HLA発現能を有さない細胞にHLAcDN
Aをトランスフェクションした細胞を挙げることがで
き、これらHLA発現能を有する宿主細胞の場合、本発
明のペプチドが細胞表面に提示され、免疫応答を誘発す
ることができる。
【0022】また、本発明のペプチドをコードする遺伝
子の宿主細胞への導入は、Davisら(BASIC METHODS IN
MOLECULAR BIOLOGY, 1986)及びSambrookら(MOLECULAR
CLONING: A LABORATORY MANUAL, 2nd Ed., Cold Sprin
g Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.
Y., 1989)などの多くの標準的な実験室マニュアルに記
載される方法、例えば、リン酸カルシウムトランスフェ
クション、DEAE−デキストラン媒介トランスフェク
ション、トランスベクション(transvection)、マイクロ
インジェクション、カチオン性脂質媒介トランスフェク
ション、エレクトロポレーション、形質導入、スクレー
プローディング (scrape loading)、弾丸導入(ballisti
c introduction)、感染等により行うことができる。
【0023】上記本発明のペプチドをコードするDNA
が組み込まれた発現ベクターや上記発現系を含んでなる
細胞は、APSの治療予防薬として適用しうる可能性が
あり、また、上記発現系を含んでなる細胞を用いると、
本発明のペプチドを製造することができ、かかる細胞の
培養物から本発明のペプチドを回収し精製するには、硫
酸アンモニウム又はエタノール沈殿、酸抽出、アニオン
又はカチオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロー
スクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフ
ィー、アフィニティークロマトグラフィー、ハイドロキ
シアパタイトクロマトグラフィーおよびレクチンクロマ
トグラフィーを含めた公知の方法、好ましくは、高速液
体クロマトグラフィーが用いられる。特に、アフィニテ
ィークロマトグラフィーに用いるカラムとしては、例え
ば、本発明のペプチドに対する抗体を結合させたカラム
や、上記本発明のペプチドに通常のペプチドタグを付加
した場合は、このペプチドタグに親和性のある物質を結
合したカラムを用いることにより、本発明のペプチドを
得ることができる。
【0024】本発明において、上記本発明のペプチドを
コードする遺伝子機能が染色体上で欠損した非ヒト動物
とは、染色体上の本発明のペプチドをコードする遺伝子
の一部若しくは全部が破壊・欠損・置換等の遺伝子変異
により不活性化され、本発明のペプチドを発現する機能
を失なった非ヒト動物をいい、また、本発明のペプチド
を過剰発現する非ヒト動物とは、野生型非ヒト動物に比
べてかかる本発明のペプチドを大量に産生する非ヒト動
物をいう。そして、本発明における非ヒト動物として
は、マウス、ラット等の齧歯目動物などの非ヒト動物を
具体的に挙げることができるが、これらに限定されるも
のではない。
【0025】ところで、メンデルの法則に従い出生して
くるホモ接合体非ヒト動物には、本発明のペプチド欠損
型又は過剰発現型とその同腹の野生型とが含まれ、これ
らホモ接合体非ヒト動物における欠損型又は過剰発現型
とその同腹の野生型を同時に用いることによって個体レ
ベルで正確な比較実験をすることができることから、野
生型の非ヒト動物、すなわち本発明のペプチドをコード
する遺伝子機能が染色体上で欠損又は過剰発現する非ヒ
ト動物と同種の動物、さらには同腹の動物を、例えば下
記に記載する本発明のスクリーニングに際して併用する
ことが好ましい。かかる本発明のペプチドをコードする
遺伝子機能が染色体上で欠損又は過剰発現する非ヒト動
物の作製方法を、本発明のペプチドのノックアウトマウ
スやトランスジェニックマウスを例にとって以下説明す
る。
【0026】例えば、本発明のペプチドをコードする遺
伝子機能が染色体上で欠損したマウス、すなわち本発明
のペプチドノックアウトマウスは、マウス遺伝子ライブ
ラリーからPCR等の方法により得られた遺伝子断片を
用いて、本発明のペプチドをコードする遺伝子をスクリ
ーニングし、スクリーニングされた本発明のペプチドを
コードする遺伝子をウイルスベクター等を用いてサブク
ローンし、DNAシーケンシングにより特定する。この
クローンの本発明のペプチドをコードする遺伝子の全部
又は一部をpMC1ネオ遺伝子カセット等に置換し、
3′末端側にジフテリアトキシンAフラグメント(DT
−A)遺伝子や単純ヘルペスウイルスのチミジンキナー
ゼ(HSV−tk)遺伝子等の遺伝子を導入することに
よって、ターゲッティングベクターを作製する。
【0027】この作製されたターゲティングベクターを
線状化し、エレクトロポレーション(電気穿孔)法等に
よってES細胞に導入し、相同的組換えを行い、その相
同的組換え体の中から、G418やガンシクロビア(G
ANC)等の抗生物質により相同的組換えを起こしたE
S細胞を選択する。また、この選択されたES細胞が目
的とする組換え体かどうかをサザンブロット法等により
確認することが好ましい。その確認されたES細胞のク
ローンをマウスの胚盤胞中にマイクロインジェクション
し、かかる胚盤胞を仮親のマウスに戻し、キメラマウス
を作製する。このキメラマウスを野生型のマウスとイン
タークロスさせると、ヘテロ接合体マウスを得ることが
でき、また、このヘテロ接合体マウスをインタークロス
させることによって、本発明の本発明のペプチドノック
アウトマウスを作製することができる。また、本発明の
ペプチドノックアウトマウスが生起しているかどうかを
確認する方法としては、例えば、上記の方法により得ら
れたマウスからRNAを単離してノーザンブロット法等
により調べたり、またこのマウスの発現をウエスタンブ
ロット法等により調べる方法がある。
【0028】本発明のペプチドのトランスジェニックマ
ウスは、本発明のペプチドをコードするcDNAにチキ
ンβ−アクチン、マウスニューロフィラメント、SV4
0等のプロモーター、及びラビットβ−グロビン、SV
40等のポリA又はイントロンを融合させて導入遺伝子
を構築し、該導入遺伝子をマウス受精卵の前核にマイク
ロインジェクションし、得られた卵細胞を培養した後、
仮親のマウスの輸卵管に移植し、その後被移植動物を飼
育し、産まれた仔マウスから前記cDNAを有する仔マ
ウスを選択することによりかかるトランスジェニックマ
ウスを創製することができる。また、cDNAを有する
仔マウスの選択は、マウスの尻尾等より粗DNAを抽出
し、導入した本発明のペプチドをコードする遺伝子をプ
ローブとするドットハイブリダイゼーション法や、特異
的プライマーを用いたPCR法等により行うことができ
る。
【0029】また、上記本発明のペプチドをコードする
DNA、本発明のペプチド、本発明のペプチドとマーカ
ータンパク質及び/又はペプチドタグとを結合させた融
合ペプチド、本発明のペプチドに対する抗体、本発明の
ペプチドをコードするDNAが組み込まれた発現ベクタ
ー、本発明のペプチドを発現することができる発現系を
含んでなる細胞等は、APSの予防や治療に有用に用い
ることができるばかりでなく、β2GPI反応性T細胞
の誘導等免疫応答のメカニズムの解明にも使用すること
ができる。
【0030】本発明の抗リン脂質抗体産生誘導活性抑制
又は促進物質のスクリーニング方法としては、被検物質
と、β2GPIと、Vβ7及び/又はVβ8をもつTC
Rを有するβ2GPI反応性T細胞とを用い、該T細胞
における抗リン脂質抗体産生誘導活性を測定・評価する
方法を挙げることができ、例えば、被検物質の存在下に
β2GPIを用いて末梢血中の上記β2GPI反応性T細
胞をインビトロで刺激し、該末梢血中の抗リン脂質抗体
産生量を測定し、対照としての被検物質非存在下におけ
る場合と比較することにより抗リン脂質抗体産生誘導活
性抑制又は促進物質をスクリーニングすることができ
る。上記Vβ7及び/又はVβ8をもつTCRを有する
β2GPI反応性T細胞としては、Vβ7.1若しくは
Vβ7.2及び/又はVβ8.1若しくはVβ8.2を
もつTCRを有するβ2GPI反応性T細胞が好まし
い。また、例えば被検物質がβ2GPIのアンタゴニス
トの場合、かかる被検物質は抗リン脂質抗体産生誘導活
性抑制物質としてAPSの治療予防剤として用いること
ができる可能性がある。また、他の態様の本発明の抗リ
ン脂質抗体産生誘導活性抑制又は促進物質のスクリーニ
ング方法としては、前記ノックアウトマウスやトランス
ジェニックマウス等の非ヒト動物に被検物質を投与し、
該非ヒト動物の血中における抗リン脂質抗体産生量を測
定・評価する方法を挙げることができる。例えば、被検
物質を投与したトランスジェニックマウスの血中におけ
る抗リン脂質抗体産生量が対照に比べて有意に低下した
ときは、かかる被検物質は抗リン脂質抗体産生誘導活性
抑制物質としてAPSの治療予防剤として用いることが
できる可能性がある。
【0031】本発明の抗リン脂質抗体症候群治療予防剤
としては、本発明のペプチドを有効成分とするワクチン
や、本発明のペプチドとアジュバンドとを有効成分とす
るワクチンを挙げることができ、上記本発明のペプチド
は担体との結合物とすることもできる。これらの治療予
防剤には、通常の製薬上の賦形剤を含んでいてもよく、
体内に静注等により投与されることにより、かかる本発
明のペプチドに対する抗体の産生が促され、かかる抗体
によりβ2GPI反応性T細胞による抗リン脂質抗体産
生誘導が抑制される。これらのことから明らかなよう
に、本発明の前記抗体も抗体ワクチンとして、本発明の
抗リン脂質抗体症候群治療予防剤として有用である。
【0032】本発明の他の態様の抗リン脂質抗体症候群
治療予防剤としては、本発明のペプチドをコードするD
NAが組み込まれた発現ベクターや、本発明のペプチド
を発現することができる発現系を含んでなる細胞を有効
成分とするDNAワクチンや細胞ワクチンを例示するこ
とができる。これらワクチンは、生体内で本発明のペプ
チドを産生することができることから、上記ワクチンと
同様に、生体内に本発明のペプチドに対する抗体の産生
を促し、かかる抗体によりβ2GPI反応性T細胞によ
る抗リン脂質抗体産生誘導を抑制することができる。ま
た、本発明の他の態様の抗リン脂質抗体症候群治療予防
剤としては、本発明のペプチドを抗原として提示するこ
とができる樹状細胞を有効成分とする樹状細胞ワクチン
を挙げることができる。かかる樹状細胞ワクチンは、樹
状細胞を本発明のペプチドで刺激することにより調製す
ることができ、該樹状細胞表面に提示されたMHCII結
合抗原によりT細胞が誘発され、その結果本発明のペプ
チドに特異的な抗体産生が促されることになる。この本
発明のペプチドの強力な抗原提示細胞である樹状細胞は
生体内投与により免疫誘導を行うことができる他、養子
免疫療法においても有効に用いることができる。さら
に、本発明の他の態様の抗リン脂質抗体症候群治療予防
剤としては、CDR3を含まないTCRVβ7、好まし
くはTCRVβ7.1やTCRVβ7.2、及びCDR
3を含まないTCRVβ8、好ましくはTCRVβ8.
1やTCRVβ8.2の可変領域(CDR1,CDR
2)のアミノ酸配列を含むペプチドを挙げることがで
き、これらのペプチドを用いると、TCRVβ7陽性T
細胞やTCRVβ8陽性T細胞に対する免疫反応が誘発
され、その結果これらのペプチドに特異的な抗体産生が
促されることになる。TCRVβ7.1、TCRVβ
7.2、TCRVβ8.1及びTCRVβ8.2のアミ
ノ酸配列を図1に示す。なお、これらVβ7(7.1、
7.2)及びVβ8(8.1、8.2)の塩基配列はい
ずれもすでにGenBankに登録されているが、ゲノムの塩
基配列(アクセッション番号:U66059、L36092)あるい
は何らかのT細胞株のTCRのmRNAの塩基配列(ア
クセッション番号:X57728、AJ403831など)として登録
されているため、個々のVβセグメントとしてのアクセ
ッション番号は付されていない。
【0033】
【実施例】以下に、実施例を挙げてこの発明を更に具体
的に説明するが、この発明の技術的範囲はこれらの実施
例に限定されるものではない。なお、対象として、これ
までに血栓症又は流産を繰り返していたAPS患者5例
(P1〜P5の全例が抗リン脂質抗体陽性であり、末梢
血中にβ2GPIと反応するT細胞を有する)及び健常
人コントロール3例(D1〜D3の全例が抗リン脂質抗
体陰性)を用いた。
【0034】(β2GPI反応性T細胞のTCRの同
定)末梢血単核球分画から分離した末梢血T細胞を、イ
ンターロイキン2の存在下において、大腸菌で発現させ
たリコンビナントβ2GPI(10μg/ml)及び自
己抗原提示細胞(末梢血単核球)で1週間おきに2回刺
激することにより、β2GPI反応性T細胞株を樹立し
た。このβ2GPI反応性T細胞株(2×10 6個)から
グアニジン−塩化セシウム超遠心法により全RNAを抽
出し、2μgの全RNAをテンプレイトとして、oligo
(dT)プライマーと逆転写酵素AMV Reverse Transcriptas
e(Takara社製)を用いて一本鎖cDNAを合成した。
【0035】文献(Biotechniques 13, 248, 1992)記
載の方法に従って、TCRのVβ1〜24の塩基配列に
相補的な26種類のプライマーと、共通するCβ領域の
プライマーのセット(サワディー社製)とを用いて各V
βごとにPCRを行うことによってTCRのDNAを増
幅した。なお、PCRの反応条件は、反応酵素にEx−
Taq(Takara)を使用し、熱変性94℃で30秒間、
アニーリング65℃で30秒間、伸長反応72℃で1分
間というサイクルで32サイクル行った。得られた各P
CR産物はアガロースゲル電気泳動後のデンシトメトリ
ーにより解析し、末梢血T細胞に比べてβ2GPI反応
性T細胞株で増加したVβを、β2GPI反応性T細胞
により用いられているTCRβ鎖の候補とした。候補と
したこれらVβのPCR産物2μlにホルムアミド溶液
(95%のホルムアミド、20mMのEDTA)を48
μl加え、100℃で5分間熱処理することにより一本
鎖DNAを調製し、一本鎖コンフォメーション多型性
(single-strand conformationpolymorphisms:SSC
P)の解析を行った。
【0036】上記β2GPI反応性T細胞株のSSCP
解析の結果を表1に示す。この結果からもわかるよう
に、APS患者及び健常人全例においてβ2GPI反応
性T細胞のTCRβ鎖が得られた。得られたβ2GPI
反応性T細胞のTCRβ鎖には各種Vβが用いられてい
ることがわかった。その中で、Vβ7は8例中6例(A
PS患者4例、健常人2例)に、Vβ8は8例中4例
(APS患者2例、健常人2例)に高頻度で検出されて
いた。今回検討した全例においてVβ7、Vβ8のいず
れかがβ2GPI反応性T細胞に用いられていたことか
ら、Vβ7やVβ8をβ2GPI反応性T細胞に用いら
れる主要なVβセグメントと考えた。
【0037】
【表1】
【0038】上記SSCP解析の結果、β2GPI反応
性T細胞株においてオリゴクローナルに増殖したVβ
7、Vβ8を有するTCRβ鎖をコードするDNAを、
SSCP解析後のゲルから回収し、それらの塩基配列を
DNAシークエンサー(Applied Biosystems社製)によ
り決定した。Vβ7陽性の6つのTCR(P2、P3、
P4、P5、D2)及びVβ8陽性の3つのTCR(P
5、D1、D2)の塩基配列を、それぞれ配列番号1
(P2)、配列番号2(P3)、配列番号3(P3〜
5)、配列番号4(D2)、配列番号5(P5)、配列
番号6(D1)及び配列番号7(D2)に示す。また、
それらTCRの塩基配列から予測されるアミノ酸配列を
表2並びに配列番号8(P2)、配列番号9(P3)、
配列番号10(P3〜5)、配列番号11(D2)、配
列番号12(P5)、配列番号13(D1)及び配列番
号14(D2)に示す。
【0039】
【表2】
【0040】TCRβ鎖の塩基配列はNCBI(Nation
al Center for Biotechnology Information;http://ww
w.ncbi.nlm.nih.gov/)のサイトでホモロジー検索を行
い、相同性のある既知の遺伝子及びアミノ酸配列を検索
した。この結果、いずれのTCRβ鎖の塩基配列やアミ
ノ酸配列に一致する配列はGenBankに登録されていなか
った。次にVβ、Jβ及びCβ遺伝子セグメントを既知
の配列から調べてみた。この結果、Vβ7陽性TCRに
おいては、Vβ遺伝子としてはVβ7.1又はVβ7.
2が、Jβ遺伝子としてはJβ1.1、Jβ1.2又は
Jβ1.6が、Cβ遺伝子としてはCβ1が用いられて
いたが、Vβ8陽性TCRにおいては、Vβ遺伝子とし
てはVβ8.1/Vβ8.2(塩基配列を決定した部分
ではいずれのVβ遺伝子かは鑑別が不可能)が、Jβ遺
伝子としてはJβ2.3又はJβ2.7が、Cβ遺伝子
としてはCβ2が用いられていた。
【0041】また、全てのVβ7陽性TCRβ鎖のCD
R3のアミノ酸配列では、Thr-Gly-Xaa-Xaa-Asn(配列
番号15)若しくは類似したモチーフが確認できた。こ
のCDR3のアミノ酸数(CDR3長)は健常人由来の
D2を除いては全て12〜13個であった。注目すべき
ことに、3人のAPS患者(P3、P4、P5)から全
く同一のアミノ酸配列を持つTCRβ鎖が検出された。
一方、Vβ8陽性TCRβ鎖のCDR3のアミノ酸配列
ではPro- Xaa-Ala-Xaa-Xaa-Asp/Glu-Xaa-Gln-Tyr (配
列番号19)という配列が見られ、かかるアミノ酸配列
も9〜10個と共通していた。以上のことから、β2
PI反応性T細胞には限られたCDR3のモチーフを有
するVβ7又はVβ8陽性のTCRβ鎖が用いられてい
ることがわかった。
【0042】次に、SSCP法により得られたTCRβ
鎖がβ2GPI反応性T細胞由来であることを確認する
ために、APS患者2例(P4、P2)から樹立された
β2GPI反応性T細胞株から限界希釈法によりβ2GP
Iと反応する単一のT細胞集団(β2GPI反応性T細
胞クローン)を計3株樹立し、この樹立したβ2GPI
反応性T細胞クローンのTCRβ鎖を、前記と同様に各
Vβのプライマーを用いたRT−PCR法により検出
し、DNAシークエンサーを用いて塩基配列を決定し
た。β2GPI反応性T細胞クローンの塩基配列から推
測されるアミノ酸配列を表3に示す。この結果から、P
4から樹立した2つのクローン(P1−2、P1−7)
のTCRβ鎖の塩基配列はCDR3の塩基配列も含め
て、APS患者3例(P3、P4、P5)に共通して見
い出された塩基配列と一致していた。また、P2から樹
立したクローン(P3−3)の塩基配列及びアミノ酸配
列は、同じ患者からSSCP法で検出されたVβ7陽性
のTCRβ鎖のものと一致していた。これらのことか
ら、これらTCRβ鎖はβ2GPI由来の抗原ペプチド
を認識することが認められた。
【0043】
【表3】
【0044】(TCRVβ7又はVβ8陽性T細胞除去
によるin vitroでの抗リン脂質抗体産生に及ぼす影響の
検討)本発明者らはこれまで、APS患者の末梢血単核
球をリコンビナントβ2GPI存在下で培養すると上清
中に抗リン脂質抗体が産生されることを報告している
(Arthritis Rheum 43, 65-75, 2000)。この反応は抗
原刺激により活性化されたβ2GPI反応性T細胞がB
細胞を刺激して抗リン脂質抗体産生を誘導することか
ら、APS患者3例(P1、P3、P4)において、β
2GPI反応性T細胞に用いられているTCRVβ7、
Vβ8陽性T細胞を除去することで、抗リン脂質抗体の
産生が抑制されるかどうかをin vitroで調べてみた。A
PS患者3例(P1、P3、P4)から得られた末梢血
単核球を、RPMI1640培地中でヒトTCRVβ7
又はVβ8に対するマウス由来モノクローナル抗体、抗
Vβ7抗体(Immunotech社製)又は抗Vβ8抗体(Immu
notech社製)と室温で30分間反応させ、さらに微細鉄
粒子結合抗マウスIgG抗体(Dynal社製)と室温で3
0分間反応させた。反応後、鉄粒子が結合したT細胞を
磁気装置(Promega社製)により除去し、Vβ7又はV
β8陽性T細胞を除去した末梢血単核球[Vβ7
(−)、Vβ8(−)]を調製した。また、コントロー
ルとしてβ2GPI反応性T細胞に用いられていないV
β2陽性T細胞を、ヒトTCRVβ2に対するマウス由
来モノクローナル抗体、抗Vβ2抗体(Immunotech社
製)を用いて除去し、Vβ2陽性T細胞を除去した末梢
血単核球[Vβ2(−)]を調製した。
【0045】末梢血単核球及び各TCRVβ鎖を発現す
るT細胞(Vβ2,7,8陽性T細胞)を除去した末梢
血単核球を、10μg/mlのリコンビナントβ2GP
Iを含有したRPMI1640培地により37℃で10
日間培養し、上清中に産生された抗リン脂質抗体をEL
ISAキット(ヤマサ社製)を用いて測定した。結果を
図2に示す。この結果から、β2GPI反応性T細胞に
Vβ7が用いられていたAPS患者2例(P3、P4)
ではVβ7陽性T細胞の除去により抗リン脂質抗体産生
はほぼ完全に抑制された。一方、β2GPI反応性T細
胞においてVβ8が用いられていたAPS患者P1で
は、Vβ7陽性T細胞除去による抗リン脂質抗体産生抑
制は見られなかったが、Vβ8陽性T細胞除去により抗
リン脂質抗体産生が抑制された。
【0046】以上のことから、β2GPI反応性T細胞
のTCRβ鎖には高頻度にVβ7が用いられており、V
β7が検出されなかった例ではVβ8が用いられていた
ことや、β2GPI反応性T細胞のTCRβ鎖のCDR
3には特定のアミノ酸モチーフが検出されたことや、V
β7又はVβ8陽性T細胞の除去によりAPS患者末梢
血単核球からの抗リン脂質抗体産生が抑制されることが
わかった。したがって、β2GPI反応性T細胞のTC
Rβ鎖には非常に限定された構造が存在し、それらTC
Rβ鎖を標的(目印)としてβ2GPI反応性T細胞を
除去すれば抗リン脂質抗体産生の抑制を介したAPSの
新たな治療法になり得ると考えられる。
【0047】
【発明の効果】本発明によると、副作用のないAPSの
治療・予防剤として有用なペプチド、すなわちAPSの
原因物質である抗リン脂質抗体の産生を誘導するβ2
PI反応性T細胞に対する免疫反応を誘発するペプチド
や、かかるペプチドを有効成分とするAPS治療予防剤
等を提供することができる。
【0048】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> KEIO UNIVERSITY <120> A variable region of Tcell receptor for the treatment of anti-phospholipid syndrome <130> 000000087 <140> <141> <160> 19 <170> PatentIn Ver. 2.1 <210> 1 <211> 309 <212> DNA <213> Homo sapiens <400> 1 cctgaatgcc ccaacagctc tctcttaaac cttcacctac acgccctgca gccagaagac 60 tcagccctgt atctctgcgc cagcagccaa ttttggacag ggaggaacgg cggctacacc 120 ttcggttcgg ggaccaggtt aaccgttgtg gaggacctga acaaggtgtt cccacccgag 180 gtcgctgtgt ttgagccatc agaagcagag atctcccaca cccaaaaggc cacactggtg 240 tgcctggcca caggtatctt ccctgaccac gtggagctga gctggtgggt gaatgggaag 300 gaggtgcac 309 <210> 2 <211> 312 <212> DNA <213> Homo sapiens <400> 2 cctgaatgcc ccaacagctc tctcttaaac cttcacctac acgccctgca gccagaagac 60 tcagccctgt atctctgcgc cagcagccaa gctggacgga caggaggtga tcagccccag 120 cattttggtg atgggactcg actctccatc ctagaggacc tgaacaaggt gttcccaccc 180 gaggtcgctg tgtttgagcc atcagaagca gagatctccc acacccaaaa ggccacactg 240 gtgtgcctgg ccacaggtat cttccctgac cacgtggagc tgagctggtg ggtgaatggg 300 aaggaggtgc ac 312 <210> 3 <211> 309 <212> DNA <213> Homo sapiens <400> 3 cctgaatgcc ccaacagctc tcacttattc cttcacctac acaccctgca gccagaagac 60 tcggccctgt atctctgtgc cagcagccat gacacagggg cctctaacta tggctacacc 120 ttcggttcgg ggaccaggtt aaccgttgta gaggacctga acaaggtgtt cccacccgag 180 gtcgctgtgt ttgagccatc agaagcagag atctcccaca cccaaaaggc cacactggtg 240 tgcctggcca caggtatctt ccctgaccac gtggagctga gctggtgggt gaatgggaag 300 gaggtgcac 309 <210> 4 <211> 321 <212> DNA <213> Homo sapiens <400> 4 cctgaatgcc ccaacagctc tcacttattc cttcacctac acaccctgca gccagaagac 60 tcggccctgt atctctgtgc cagcagccaa gatctggaga cagggggctc aaactataat 120 tcacccctcc actttgggaa tgggaccagg ctcactgtga cagaggacct gaacaaggtg 180 ttcccacccg aggtcgctgt gtttgagcca tcagaagcag agatctccca cacccaaaag 240 gccacactgg tgtgcctggc cacaggtatc ttccctgacc acgtggagct gagctggtgg 300 gtgaatggga aggaggtgca c 321 <210> 5 <211> 402 <212> DNA <213> Homo sapiens <400> 5 tggtacagac agaccatgat gcggggactg gagttgctca tttactttaa caacaacgtt 60 ccgatagatg attcagggat gcccgaggat cgattctcag ctaagatgcc taatgcatca 120 ttctccactc tgaagatcca gccctcagaa cccagggact cagctgtgta cttctgtgcc 180 agcaggccca gcgcgggggc agatacgcag tattttggcc caggcacccg gctgacagtg 240 ctcgaggacc tgaaaaacgt gttcccaccc gaggtcgctg tgtttgagcc atcagaagca 300 gagatctccc acacccaaaa ggccacactg gtgtgcctgg ccacaggctt ctaccccgac 360 cacgtggagc tgagctggtg ggtgaatggg aaggaggtgc ac 402 <210> 6 <211> 399 <212> DNA <213> Homo sapiens <400> 6 tggtacagac agaccatgat gcggggactg gagttgctca tttactttaa caacaacgtt 60 ccgatagatg attcagggat gcccgaggat cgattctcag ctaagatgcc taatgcatca 120 ttctccactc tgaagatcca gccctcagaa cccagggact cagctgtgta cttctgtgcc 180 agcagtcccc gggccgacta cgagcagtac ttcgggccgg gcaccaggct cacggtcaca 240 gaggacctga aaaacgtgtt cccacccgag gtcgctgtgt ttgagccatc agaagcagag 300 atctcccaca cccaaaaggc cacactggtg tgcctggcca caggcttcta ccccgaccac 360 gtggagctga gctggtgggt gaatgggaag gaggtgcac 399 <210> 7 <211> 402 <212> DNA <213> Homo sapiens <400> 7 tggtacagac agaccatgat gcggggactg gagttgctca tttactttaa caacaacgtt 60 ccgatagatg attcagggat gcccgaggat cgattctcag ctaagatgcc taatgcatca 120 ttctccactc tgaagatcca gccctcagaa cccagggact cagctgtgta cttctgtgcc 180 agcgggccca gcgcgggggc agatacgcag tattttggcc caggcacccg gctgacagtg 240 ctcgaggacc tgaaaaacgt gttcccaccc gaggtcgctg tgtttgagcc atcagaagca 300 gagatctccc acacccaaaa ggccacactg gtgtgcctgg ccacaggctt ctaccccgac 360 cacgtggagc tgagctggtg ggtgaatggg aaggaggtgc ac 402 <210> 8 <211> 103 <212> PRT <213> Homo sapiens <400> 8 Pro Glu Cys Pro Asn Ser Ser Leu Leu Asn Leu His Leu His Ala Leu 1 5 10 15 Gln Pro Glu Asp Ser Ala Leu Tyr Leu Cys Ala Ser Ser Gln Phe Trp 20 25 30 Thr Gly Arg Asn Gly Gly Tyr Thr Phe Gly Ser Gly Thr Arg Leu Thr 35 40 45 Val Val Glu Asp Leu Asn Lys Val Phe Pro Pro Glu Val Ala Val Phe 50 55 60 Glu Pro Ser Glu Ala Glu Ile Ser His Thr Gln Lys Ala Thr Leu Val 65 70 75 80 Cys Leu Ala Thr Gly Ile Phe Pro Asp His Val Glu Leu Ser Trp Trp 85 90 95 Val Asn Gly Lys Glu Val His 100 <210> 9 <211> 104 <212> PRT <213> Homo sapiens <400> 9 Pro Glu Cys Pro Asn Ser Ser Leu Leu Asn Leu His Leu His Ala Leu 1 5 10 15 Gln Pro Glu Asp Ser Ala Leu Tyr Leu Cys Ala Ser Ser Gln Ala Gly 20 25 30 Arg Thr Gly Gly Asp Gln Pro Gln His Phe Gly Asp Gly Thr Arg Leu 35 40 45 Ser Ile Leu Glu Asp Leu Asn Lys Val Phe Pro Pro Glu Val Ala Val 50 55 60 Phe Glu Pro Ser Glu Ala Glu Ile Ser His Thr Gln Lys Ala Thr Leu 65 70 75 80 Val Cys Leu Ala Thr Gly Ile Phe Pro Asp His Val Glu Leu Ser Trp 85 90 95 Trp Val Asn Gly Lys Glu Val His 100 <210> 10 <211> 103 <212> PRT <213> Homo sapiens <400> 10 Pro Glu Cys Pro Asn Ser Ser His Leu Phe Leu His Leu His Thr Leu 1 5 10 15 Gln Pro Glu Asp Ser Ala Leu Tyr Leu Cys Ala Ser Ser His Asp Thr 20 25 30 Gly Ala Ser Asn Tyr Gly Tyr Thr Phe Gly Ser Gly Thr Arg Leu Thr 35 40 45 Val Val Glu Asp Leu Asn Lys Val Phe Pro Pro Glu Val Ala Val Phe 50 55 60 Glu Pro Ser Glu Ala Glu Ile Ser His Thr Gln Lys Ala Thr Leu Val 65 70 75 80 Cys Leu Ala Thr Gly Ile Phe Pro Asp His Val Glu Leu Ser Trp Trp 85 90 95 Val Asn Gly Lys Glu Val His 100 <210> 11 <211> 107 <212> PRT <213> Homo sapiens <400> 11 Pro Glu Cys Pro Asn Ser Ser His Leu Phe Leu His Leu His Thr Leu 1 5 10 15 Gln Pro Glu Asp Ser Ala Leu Tyr Leu Cys Ala Ser Ser Gln Asp Leu 20 25 30 Glu Thr Gly Gly Ser Asn Tyr Asn Ser Pro Leu His Phe Gly Asn Gly 35 40 45 Thr Arg Leu Thr Val Thr Glu Asp Leu Asn Lys Val Phe Pro Pro Glu 50 55 60 Val Ala Val Phe Glu Pro Ser Glu Ala Glu Ile Ser His Thr Gln Lys 65 70 75 80 Ala Thr Leu Val Cys Leu Ala Thr Gly Ile Phe Pro Asp His Val Glu 85 90 95 Leu Ser Trp Trp Val Asn Gly Lys Glu Val His 100 105 <210> 12 <211> 134 <212> PRT <213> Homo sapiens <400> 12 Trp Tyr Arg Gln Thr Met Met Arg Gly Leu Glu Leu Leu Ile Tyr Phe 1 5 10 15 Asn Asn Asn Val Pro Ile Asp Asp Ser Gly Met Pro Glu Asp Arg Phe 20 25 30 Ser Ala Lys Met Pro Asn Ala Ser Phe Ser Thr Leu Lys Ile Gln Pro 35 40 45 Ser Glu Pro Arg Asp Ser Ala Val Tyr Phe Cys Ala Ser Arg Pro Ser 50 55 60 Ala Gly Ala Asp Thr Gln Tyr Phe Gly Pro Gly Thr Arg Leu Thr Val 65 70 75 80 Leu Glu Asp Leu Lys Asn Val Phe Pro Pro Glu Val Ala Val Phe Glu 85 90 95 Pro Ser Glu Ala Glu Ile Ser His Thr Gln Lys Ala Thr Leu Val Cys 100 105 110 Leu Ala Thr Gly Phe Tyr Pro Asp His Val Glu Leu Ser Trp Trp Val 115 120 125 Asn Gly Lys Glu Val His 130 <210> 13 <211> 133 <212> PRT <213> Homo sapiens <400> 13 Trp Tyr Arg Gln Thr Met Met Arg Gly Leu Glu Leu Leu Ile Tyr Phe 1 5 10 15 Asn Asn Asn Val Pro Ile Asp Asp Ser Gly Met Pro Glu Asp Arg Phe 20 25 30 Ser Ala Lys Met Pro Asn Ala Ser Phe Ser Thr Leu Lys Ile Gln Pro 35 40 45 Ser Glu Pro Arg Asp Ser Ala Val Tyr Phe Cys Ala Ser Ser Pro Arg 50 55 60 Ala Asp Tyr Glu Gln Tyr Phe Gly Pro Gly Thr Arg Leu Thr Val Thr 65 70 75 80 Glu Asp Leu Lys Asn Val Phe Pro Pro Glu Val Ala Val Phe Glu Pro 85 90 95 Ser Glu Ala Glu Ile Ser His Thr Gln Lys Ala Thr Leu Val Cys Leu 100 105 110 Ala Thr Gly Phe Tyr Pro Asp His Val Glu Leu Ser Trp Trp Val Asn 115 120 125 Gly Lys Glu Val His 130 <210> 14 <211> 134 <212> PRT <213> Homo sapiens <400> 14 Trp Tyr Arg Gln Thr Met Met Arg Gly Leu Glu Leu Leu Ile Tyr Phe 1 5 10 15 Asn Asn Asn Val Pro Ile Asp Asp Ser Gly Met Pro Glu Asp Arg Phe 20 25 30 Ser Ala Lys Met Pro Asn Ala Ser Phe Ser Thr Leu Lys Ile Gln Pro 35 40 45 Ser Glu Pro Arg Asp Ser Ala Val Tyr Phe Cys Ala Ser Gly Pro Ser 50 55 60 Ala Gly Ala Asp Thr Gln Tyr Phe Gly Pro Gly Thr Arg Leu Thr Val 65 70 75 80 Leu Glu Asp Leu Lys Asn Val Phe Pro Pro Glu Val Ala Val Phe Glu 85 90 95 Pro Ser Glu Ala Glu Ile Ser His Thr Gln Lys Ala Thr Leu Val Cys 100 105 110 Leu Ala Thr Gly Phe Tyr Pro Asp His Val Glu Leu Ser Trp Trp Val 115 120 125 Asn Gly Lys Glu Val His 130 <210> 15 <211> 5 <212> PRT <213> Homo sapiens <400> 15 Thr Gly Xaa Xaa Asn 1 5 <210> 16 <211> 5 <212> PRT <213> Homo sapiens <400> 16 Thr Gly Ala Ser Asn 1 5 <210> 17 <211> 36 <212> DNA <213> Homo sapiens <400> 17 agccatgaca caggggcctc taactatggc tacacc 36 <210> 18 <211> 12 <212> PRT <213> Homo sapiens <400> 18 Ser His Asp Thr Gly Ala Ser Asn Tyr Gly Tyr Thr 1 5 10 <210> 19 <211> 9 <212> PRT <213> Homo sapiens <400> 19 Pro Xaa Ala Xaa Xaa Xaa Xaa Gln Tyr 1 5
【図面の簡単な説明】
【図1】TCRVβ7(7.1、7.2)及びVβ8
(8.1、8.2)のアミノ酸配列を示す図である。
【図2】Vβ7及びVβ8陽性T細胞除去のin vitroで
の抗リン脂質抗体産生の抑制効果を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 39/395 A61K 48/00 4C085 45/00 A61P 9/00 4C087 48/00 15/06 4H045 A61P 9/00 43/00 15/06 C07K 14/705 43/00 16/28 C07K 14/705 19/00 16/28 C12N 1/15 19/00 1/19 C12N 1/15 1/21 1/19 G01N 33/15 Z 1/21 33/50 Z 5/10 33/53 D G01N 33/15 33/577 B 33/50 C12P 21/02 C 33/53 21/08 33/577 C12R 1:91) // C12P 21/02 (C12P 21/02 C 21/08 C12R 1:91) (C12N 5/10 (C12P 21/08 C12R 1:91) C12R 1:91) (C12P 21/02 C12N 15/00 ZNAA C12R 1:91) A61K 37/02 (C12P 21/08 C12N 5/00 A C12R 1:91) B C12R 1:91) Fターム(参考) 2G045 AA29 AA40 CA18 CA25 CB17 DA13 DA36 DA77 FB03 4B024 AA01 AA11 BA44 BA63 CA04 DA02 EA04 GA14 HA01 4B064 AG01 AG20 AG27 CA10 CA19 CA20 CC24 DA01 DA13 4B065 AA91X AA93Y AB01 BA02 BA03 CA24 CA25 CA44 CA46 4C084 AA02 AA13 AA16 BA01 BA16 BA17 BA18 BA21 NA14 ZA362 ZA812 ZC412 4C085 AA13 AA14 4C087 AA01 AA02 BC83 CA12 NA14 ZA36 ZA81 ZC41 4H045 AA10 AA11 BA10 BA41 CA42 DA50 DA76 EA20 EA50 FA74

Claims (29)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 抗リン脂質抗体産生を誘導するベータ2
    グリコプロテインI(β2GPI)反応性T細胞に対す
    る免疫反応を誘発するペプチドであって、β2GPI反
    応性T細胞の表面に存在するT細胞レセプター(TC
    R)のアミノ酸配列を有することを特徴とする実質的に
    純粋な単鎖ペプチド。
  2. 【請求項2】 β2GPI反応性T細胞に対する免疫反
    応を誘発するペプチドが、TCRのCDR3のアミノ酸
    配列を含むペプチドであることを特徴とする請求項1記
    載の実質的に純粋な単鎖ペプチド。
  3. 【請求項3】 TCRのCDR3が、TCRβ鎖のCD
    R3であることを特徴とする請求項2記載の実質的に純
    粋な単鎖ペプチド。
  4. 【請求項4】 TCRβ鎖のCDR3が、TCRVβ7
    のCDR3であることを特徴とする請求項3記載の実質
    的に純粋な単鎖ペプチド。
  5. 【請求項5】 TCRVβ7のCDR3のアミノ酸配列
    が、Thr-Gly-Xaa-Xaa-Asn (Xaa は任意のアミノ酸を表
    す。)を含むアミノ酸配列であることを特徴とする請求
    項4記載の実質的に純粋な単鎖ペプチド。
  6. 【請求項6】 Thr-Gly-Xaa-Xaa-Asn を含むアミノ酸配
    列が、Thr-Gly-Ala-Ser-Asn を含むアミノ酸配列である
    ことを特徴とする請求項5記載の実質的に純粋な単鎖ペ
    プチド。
  7. 【請求項7】 Thr-Gly-Ala-Ser-Asn を含むアミノ酸配
    列が、Ser-His-Asp-Thr-Gly-Ala-Ser-Asn-Tyr-Gly-Tyr-
    Thr を含むアミノ酸配列であることを特徴とする請求項
    6記載の実質的に純粋な単鎖ペプチド。
  8. 【請求項8】 TCRβ鎖のCDR3が、TCRVβ8
    のCDR3であることを特徴とする請求項3記載の実質
    的に純粋な単鎖ペプチド。
  9. 【請求項9】 TCRVβ8のCDR3のアミノ酸配列
    が、Pro- Xaa-Ala-Xaa-Xaa-Asp/Glu-Xaa-Gln-Tyr (Xaa
    は任意のアミノ酸を表す。)を含むアミノ酸配列であ
    ることを特徴とする請求項8記載の実質的に純粋な単鎖
    ペプチド。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9のいずれか記載のペプチ
    ドをコードするDNA又はその相補的配列。
  11. 【請求項11】 請求項1〜9のいずれか記載のペプチ
    ドと、マーカータンパク質及び/又はペプチドタグとを
    結合させた融合ペプチド。
  12. 【請求項12】 請求項1〜9のいずれか記載のペプチ
    ドに特異的に結合する抗体。
  13. 【請求項13】 抗体がモノクローナル抗体であること
    を特徴とする請求項12記載の抗体。
  14. 【請求項14】 請求項12又は13記載の抗体が特異
    的に結合する組換えペプチド。
  15. 【請求項15】 請求項1〜9のいずれか記載のペプチ
    ドをコードするDNAが組み込まれたことを特徴とする
    発現ベクター。
  16. 【請求項16】 請求項1〜9のいずれか記載のペプチ
    ドを発現することができる発現系を含んでなる細胞。
  17. 【請求項17】 請求項1〜9のいずれか記載のペプチ
    ドをコードする遺伝子機能が染色体上で欠損したことを
    特徴とする非ヒト動物。
  18. 【請求項18】 請求項1〜9のいずれか記載のペプチ
    ドを過剰発現することを特徴とする非ヒト動物。
  19. 【請求項19】 非ヒト動物が、マウス又はラットであ
    ることを特徴とする請求項17又は18記載の非ヒト動
    物。
  20. 【請求項20】 被検物質と、β2GPIと、Vβ7及
    び/又はVβ8をもつTCRを有するβ2GPI反応性
    T細胞とを用い、該T細胞における抗リン脂質抗体産生
    誘導活性を測定・評価することを特徴とする抗リン脂質
    抗体産生誘導活性抑制又は促進物質のスクリーニング方
    法。
  21. 【請求項21】 請求項17〜19のいずれか記載の非
    ヒト動物に被検物質を投与し、該非ヒト動物の血中にお
    ける抗リン脂質抗体産生量を測定・評価することを特徴
    とする抗リン脂質抗体産生誘導活性抑制又は促進物質の
    スクリーニング方法。
  22. 【請求項22】 請求項20又は21記載のスクリーニ
    ング方法により得られる抗リン脂質抗体産生誘導活性抑
    制物質。
  23. 【請求項23】 請求項1〜9のいずれか記載のペプチ
    ドを有効成分とすることを特徴とする抗リン脂質抗体症
    候群治療予防剤。
  24. 【請求項24】 請求項1〜9のいずれか記載のペプチ
    ドとアジュバンドとを有効成分とすることを特徴とする
    抗リン脂質抗体症候群治療予防剤。
  25. 【請求項25】 請求項12又は13記載の抗体を有効
    成分とすることを特徴とする抗リン脂質抗体症候群治療
    予防剤。
  26. 【請求項26】 請求項15記載の発現ベクターを有効
    成分とすることを特徴とする抗リン脂質抗体症候群治療
    予防剤。
  27. 【請求項27】 請求項16記載の細胞を有効成分とす
    ることを特徴とする抗リン脂質抗体症候群治療予防剤。
  28. 【請求項28】 請求項1〜9のいずれか記載のペプチ
    ドを抗原として提示することができる樹状細胞を有効成
    分とすることを特徴とする抗リン脂質抗体症候群治療予
    防剤。
  29. 【請求項29】 TCRVβ7又はTCRVβ8の可変
    領域(CDR1,CDR2)のアミノ酸配列を含むペプ
    チドを有効成分とすることを特徴とする抗リン脂質抗体
    症候群治療予防剤。
JP2000306677A 2000-10-05 2000-10-05 抗リン脂質抗体症候群治療用t細胞レセプター可変領域 Pending JP2002112784A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000306677A JP2002112784A (ja) 2000-10-05 2000-10-05 抗リン脂質抗体症候群治療用t細胞レセプター可変領域

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000306677A JP2002112784A (ja) 2000-10-05 2000-10-05 抗リン脂質抗体症候群治療用t細胞レセプター可変領域

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002112784A true JP2002112784A (ja) 2002-04-16

Family

ID=18787325

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000306677A Pending JP2002112784A (ja) 2000-10-05 2000-10-05 抗リン脂質抗体症候群治療用t細胞レセプター可変領域

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002112784A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114716547A (zh) * 2022-05-18 2022-07-08 珠海丽禾医疗诊断产品有限公司 一种包括抗原结合结构域的结合蛋白及其生产方法和应用

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114716547A (zh) * 2022-05-18 2022-07-08 珠海丽禾医疗诊断产品有限公司 一种包括抗原结合结构域的结合蛋白及其生产方法和应用
CN114716547B (zh) * 2022-05-18 2023-11-21 珠海丽禾医疗诊断产品有限公司 一种包括抗原结合结构域的结合蛋白及其生产方法和应用

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5711711B2 (ja) 腫瘍において示差的に発現される遺伝子産物およびこの使用
US20030211517A1 (en) Gp354 nucleic acids and polypeptides
JP2002538218A (ja) 新規な使用方法
Fagerberg et al. T‐cell‐epitope mapping of the idiotypic monoclonal IgG heavy and light chains in multiple myeloma
CA2621992C (en) Manipulation of regulatory t cell and dc function by targeting neuritin gene using antibodies, agonists and antagonists
KR20070085342A (ko) vWFA 및/또는 ANT_IG 도메인 보유 단백질
JPH10511936A (ja) ヒトソマトスタチン様受容体
EP2298799B1 (en) A gene encoding a multidrug resistance human p-glycoprotein homologue on chromosome 7p15-21 and uses thereof
US6171857B1 (en) Leucine zipper protein, KARP-1 and methods of regulating DNA dependent protein kinase activity
WO2002020560A1 (fr) Nouvel antigene de type cancer-testis humain et gene de ce dernier
KR20020026530A (ko) T-세포 수용체 γ알터네이트 리딩 프레임단백질(TARP) 및 그 용도
US20030165495A1 (en) Nucleic acids and polypeptides
JP2002112784A (ja) 抗リン脂質抗体症候群治療用t細胞レセプター可変領域
JP2004041174A (ja) 免疫グロブリン遺伝子スーパーファミリーのメンバーpigrl−1
AU2001270058B2 (en) GP354 nucleic acids and polypeptides
AU2001272982B2 (en) GP286 nucleic acids and polypeptides
JP4224395B2 (ja) PanCAM核酸およびポリペプチド
JP2002223765A (ja) ヒト悪性黒色腫抗原
AU2001270058A2 (en) GP354 nucleic acids and polypeptides
AU2001270058A1 (en) GP354 nucleic acids and polypeptides
JP2005528434A (ja) セマフォリン様タンパク質およびその使用方法
JP2005500049A (ja) 有機化合物
AU2001272982A1 (en) GP286 nucleic acids and polypeptides
US20040018977A1 (en) Semaphorin-like proteins and methods of using same
US20190240327A9 (en) Manipulation of regulatory t cell and dc function by targeting neuritin gene using antibodies, agonists and antagonists