JP2005528434A - セマフォリン様タンパク質およびその使用方法 - Google Patents

セマフォリン様タンパク質およびその使用方法 Download PDF

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Abstract

本発明のタンパク質は、細胞活性およびその血管の誘引能の調節に用いられるファミリーである。該タンパク質は、血管形成の阻害、細胞遊走の阻害およびアクチンフィラメント形成の阻害に用いられる。これに関連し、これらのタンパク質は、癌のごとき増殖性疾患の診断および治療に用いられる。

Description

発明の詳細な説明
(技術分野)
本発明は、細胞、組織、器官または生物における生化学的応答または生理学的応答を刺激することに関連づけられる抗血管形成的性質を有するセマフォリン様の新規ポリペプチド、およびこれらをコードする核酸に関する。より詳細には、本発明の新規なポリペプチドは新規な遺伝子の遺伝子産物であるか、またはその特定の生物学的に活性なフラグメントもしくは誘導体である。使用方法には、診断アッセイ法および予後アッセイ法、ならびに抗血管形成的治療法が包含され、これには、様々な腎臓癌(renal cancers)、神経膠芽細胞腫(glioblastoma)および様々な膵臓癌(pancreatic cancers)を処置する方法が含まれるが、これらに限定されない。
(発明の背景)
発達時において、種々の細胞表面分子は、細胞の遊走、増殖、分化およびアポトーシスの各プロセスのために不可欠な、細胞と細胞外マトリクスとの相互作用を調節している(Shima, D.T. and C. Mailhos、2000、Curr Opin Genet Dev., 10:536-42)。これらの空間的および時間的に協調した相互作用は、始原細胞が適切な環境で確実に分化するためには不可欠である。これに関して、セマフォリンファミリーのタンパク質は中枢神経系(CNS)の発達の際には重要かつ決定的な役割を果たしている。セマフォリンは、当初、神経系において、軸索誘導分子として特徴づけられており(Kolodkin, A.L., 1998, Prog Brain Res., 117:115-32)、これは、ノックアウトマウスでのいくつかの研究から支持される知見である(Behar, et al., 1996, Nature, 383:525-528;Taniguchi, et al., 1997, Neuron, 19:519-530)。セマフォリンはまた、心臓および骨格の発達(Behar, et al., 1996, Nature, 383:525-528)、免疫応答(Hall, et al., 1996, Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 93:11780-5)、血管形成の調節(Miao, et al., 1999, J Cell Biol., 146:233-242)、ならびに腫瘍の成長および転移(Christensen, et al., 1998, Cancer Res., 58:1238-44)にも関わっている。これらのセマフォリンは、8つの異なるクラスに分類される分泌型糖タンパク質および膜貫通糖型タンパク質の(25個を超える遺伝子の)大きなファミリーを構成している(Kolodkin, A.L., 1998, Prog Brain Res., 117:115-32)。これらのセマフォリンは、約500アミノ酸の細胞外Semaドメインを有し、その後には、17個の非常に保存されたシステイン残基を含有する短い膜貫通ドメインが続く。最近の研究では、Sema 3Aが、様々な肺癌において頻繁に不活性化される腫瘍抑制遺伝子(TSG)として同定されている(Tomizawa, et al., 2001, Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 98:13954-9)。非常に広範囲に研究されているセマフォリンの中で、Sema 3Bは、軸索に対する反発因子として作用し、内皮細胞の遊走を阻害することも示されている。この観察結果は、誘導分子(Sema 3A)と血管形成因子(VEGF)とのバランスにより、神経始原細胞の遊走、アポトーシスおよび増殖が、共有される受容体を介して調節され得るという仮説に繋がる(Miao, et al., 1999, J Cell Biol., 146:233-242)。
セマフォリン6A-1は膜貫通型のセマフォリンであり、その発現は胚の神経系の発達における機能を示唆している(Xu, et al., 2000, J. Neuroscie., 20:2638-2648)。ネズミのSema 6A-1オルソログもまた単離されており(Xu, et al., 2000, J. Neuroscie., 20:2638-48)、その可溶性エクトドメインが交感神経ニューロンおよび後根神経節成長円錐崩壊を生じさせることが報告されていた。Klostermannらは、Sema 6A-1のシグナル伝達を、Ena/VASPのごとき細胞骨格エレメント結合タンパク質に間接的に関係づけ、それにより、逆行性シグナル伝達および細胞骨格再配置におけるその役割を示唆された(Klostermann, et al., 2000, J Biol Chem., 275:39647-53)。さらなる研究(Klostermann, et al., 2000, J Biol Chem., 275:39647-53)では、Sema 6A-1が、運動性、成長および接着に関連した細胞部位にフィラメント合成装置を標的化する際に重要なエレメントとして機能することが示唆された。
最近の研究では、セマフォリンが、プレキシンとの複合体を形成することによりシグナル伝達をするNP-1と相互作用することが示されている(Kolodkin, A.L., 1998, Prog Brain Res., 117:115-32)。受容体複合体で同時に発現する特異的なプレキシンに依存して、細胞は反発または引き寄せのいずれかを示し得る(Chen, et al., 1997, Neuron, 19:547-559)。以前の研究では、NP-1が内皮細胞表面で発現し、そしてまた、いくつかの腫瘍細胞(乳房および前立腺)では明らかに過剰発現する(Soker, S., 2001, J Biochem Cell Biol., 33:433-7)。セマフォリン/コラプシンに対するNP-1の結合は軸索の運動性を阻害するが、VEGF165への結合は内皮細胞区画における走化性を増強した(Soker, S., 2001, J Biochem Cell Biol., 33:433-7)。プレキシンは、細胞外の事象を細胞質のシグナル伝達カスケードに変換する、すべてのニューロンにおける不可欠なセマフォリン受容体成分である。プレキシンに基づくシグナル伝達機能のために必須のリガンド結合性の共受容体としてニューロピリン類を要求するクラス3セマフォリンを除くプレキシン受容体に対して、多数のセマフォリンは直接的に結合する(Liu, B.P. and S.M. Strittmatter, 2001, Curr Opin Cell Biol., 13:619-26)。
研究により、rhoファミリーのGTPaseがセマフォリンのシグナル伝達に関連づけられている(Rohm, et al., 2000, FEBS Lett., 486:68-72)。セマフォリンにより誘導される成長円錐崩壊では、f-アクチン再組織化およびエンドサイトーシスの両方が利用される。小さいGTPaseはアクチン動力学のよく知られた調節因子であり、ストレス線維形成、フォーカルアドヒージョンアセンブリー、および細胞遊走にも関与している(Sanders, et al., 1999, Science, 283:2083-2085)。協調した遊走は、収縮状態と非収縮状態との間での切り換えを可能にする、rhoに対するracの作用によって制御される。同様に、内皮細胞においてVEGFにより誘導される遊走は、細胞の収縮状態および非収縮状態の厳密な調節が要求される血管形成の不可欠な構成要素である。最近の研究では、アクチンの組織化および動力学を調節することによって内皮細胞の収縮力を調節する、VEGFR2の下流側の主要なシグナル伝達経路が同定されている(Rousseau, et al., 2000, J Biol. Chem., 275:10661-19672)。NP-1が2つの異なるリガンドに結合することにより、運動性が示差的に影響されることが研究により示されている。これらの研究のすべてにより、内皮細胞と神経細胞間で類似した発達における役割分担が明らかとなった。
本発明は、新規セマフォリン様ヌクレオチドおよびポリペプチド、ならびに腎臓癌腫および神経膠芽細胞腫を含むが、これらに限定されない様々な癌の処置における、抗血管形成剤としてのそれらの治療的使用に関する。
(発明の要約)
本発明は、細胞遊走、血管形成およびアクチンフィラメント形成を阻害したタンパク質および核酸の発見に基づいている。従って、本発明は、細胞または身体組織における血管形成、細胞運動性およびアクチンフィラメント形成を調節(すなわち、抑制、阻害または促進)する方法を特徴とする。
細胞遊走、血管形成またはアクチンフィラメント形成は、NOVXポリペプチド(例えば、配列番号14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54または56)またはNOVX核酸(例えば、配列番号13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53または55)を含有する組成物を細胞または組織に接触または導入することによって阻害される。あるいは、該組成物は、NOVXポリペプチドまたはNOVX核酸に対して少なくとも95%の配列同一性を有するポリペプチドまたは核酸を含有する。本発明はまた、細胞遊走/血管形成に関連した障害に罹患している対象、または細胞遊走/血管形成に関連した障害を発症する危険性がある対象を同定し、その対象にNOVXポリペプチドまたはNOVX核酸を投与することによって、対象における細胞遊走/血管形成に関連した障害の症状を抑制または軽減する方法を特徴とする。
これらの細胞または組織は、インビボ、インビトロまたはエクスビボで接触させられる。細胞または組織は正常型または癌性である。細胞は、内皮細胞、上皮細胞、神経細胞または間葉細胞である。例えば、細胞は、神経芽細胞腫(neuroblastoma)細胞、腎臓癌腫(renal carcinoma)細胞、線維肉腫(fibrosarcoma)細胞、横紋筋肉腫(rhabdosarcoma)細胞または膵臓癌細胞である。組織は、例えば、内皮組織、上皮組織、ニューロン組織または間葉組織である。内皮組織には、例えば、静脈、動脈および微小血管系が含まれる。上皮組織には、例えば、腎臓組織、膵臓組織および腎組織が含まれる。ニューロン組織には、例えば、神経膠組織が含まれる。
対象は哺乳動物、例えば、ヒト、霊長類、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタである。対象は、細胞遊走/血管形成に関連した障害に罹患しているか、または細胞遊走/血管形成に関連した障害を発症する危険性がある。細胞遊走/血管形成に関連した障害には、例えば、神経芽細胞腫、腎臓癌腫、線維肉腫、横紋筋肉腫および膵臓癌のごとき癌、創傷治癒、または組織再生が含まれる。細胞遊走/血管形成に関連した障害に罹患している対象、または細胞遊走/血管形成に関連した障害を発症する危険性がある対象は、当該分野で知られている様々な方法によって、例えば、組織の全体的な検査または腫瘍の検出によって同定される。
本発明はさらにキメラタンパク質を提供する。キメラタンパク質は第1および第2のポリペプチドを含む。第1のポリペプチドには、NOVXポリペプチドが含まれ、これには、配列番号14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54または56が含まれる。第2のポリペプチドは免疫グロブリン分子の一部である。免疫グロブリン分子の一部には、例えば、免疫グロブリン分子のeFc領域が含まれる。例えば、キメラタンパク質は配列番号50または配列番号54を含む。
(発明の詳細な記載)
本発明は、新規セマフォリンヌクレオチド、およびそれによりコードされるポリペプチドを提供する。本発明には、新規核酸配列、そのコードされるポリペプチド、抗体および他の関連した化合物、ならびに抗血管形成化合物としてのそれらの使用が含まれる。該配列はまとめて、本明細書中では「NOVX核酸」または「NOVXポリヌクレオチド」として示され、対応するコードされるポリペプチドは「NOVXポリペプチド」または「NOVXタンパク質」として示される。別途示されない限り、「NOVX」は、本明細書中に開示される新規な配列のいずれかを示すことが意図される。表1には、NOVX核酸およびそのコードされるポリペプチドのまとめが示される。
表1.配列および対応する配列番号
本発明のタンパク質は、細胞遊走、アクチンフィラメント形成および血管形成を調節(すなわち、阻害または促進)することにおいて有用である。
細胞遊走、アクチンフィラメント形成または血管形成は、細胞または組織をNOVXポリペプチドまたはNOVX核酸と接触させることによって阻害される。あるいは、細胞または組織は、NOVXポリペプチドまたはNOVX核酸の発現または活性を増大させる化合物と接触させられる。一方、細胞遊走、アクチンフィラメント形成は、細胞または組織を、NOVXポリペプチドまたはNOVX核酸の発現または活性を阻害する化合物と接触させることによって促進される。NOVXポリペプチドまたはNOVX核酸の発現を阻害する化合物には、例えば、NOVX特異的抗体またはそのフラグメントが含まれる。
NOVXポリペプチドまたはNOVX核酸は全長である。あるいは、NOVXポリペプチドまたはNOVX核酸は全長よりも短く(すなわち、フラグメントであり)、しかし、全長ポリペプチドの生物学的活性(例えば、細胞遊走阻害、抗血管形成性)を保持している。場合により、NOVXポリペプチドまたはNOVX核酸またはそのフラグメントは、NOVXポリペプチドまたはNOVX核酸の半減期を増大させる化合物に(例えば、共有結合的に)結合する。インビボでのポリペプチドの半減期を増大させる様々な化合物が当該分野では知られており、これらには、例えば、免疫グロブリン分子のFc部分が含まれる。
細胞または組織は、インビボで、またはエクスビボで、またはインビトロで接触させられる。あるいは、細胞または組織は間接的に(例えば、全身的に)接触させられる。
細胞または組織は正常、すなわち、非悪性である。あるいは、細胞または組織は癌性、すなわち、悪性である。細胞または組織は化合物と直接的に接触させられる。細胞は、細胞遊走またはアクチンフィラメント形成を調節することが所望される任意の細胞である。細胞は、内皮細胞、上皮細胞、神経細胞または間葉細胞である。内皮細胞は、例えば、微小血管内皮細胞または臍帯静脈内皮細胞である。上皮細胞は、例えば、腎細胞または膵臓細胞である。神経細胞は、神経膠細胞、軸索細胞または樹状細胞である。癌細胞は、例えば、神経芽細胞腫細胞、腎臓癌腫細胞、線維肉腫細胞、横紋筋肉腫細胞または膵臓癌細胞である。
組織は、血管形成の調節が所望される任意の組織である。組織は、内皮組織(例えば、静脈、動脈または微小血管系)、上皮組織(例えば、腎臓、膵臓組織または腎臓組織)、ニューロン組織(例えば、神経膠組織、軸索組織または樹状組織)、または間葉組織である。
細胞遊走は、当該分野で知られている様々な方法により測定される。例えば、細胞遊走は、走化性因子を使用して膜の下部表面に上部表面から細胞を引き寄せて測定される。遊走する細胞の数が、細胞の遊走する能力の変化を測定するために使用される。細胞遊走はまた、後根神経節における成長円錐崩壊をアッセイすることによって測定される。成長円錐崩壊は、蛍光顕微鏡を用いて後根神経節を調べることによって測定される。
血管形成は、当該分野で知られている様々な方法により測定される。例えば、血管形成は、マトリゲル(Matrigel)プラグを使用してインビボで測定される。癌細胞株(例えば、786-0細胞)含有または非含有マトリゲルプラグがヌードマウスの体内に置かれる。一定期間後、プラグが取り出され、微小血管系が含まれるかどうかを確認するために検査される。あるいは、血管形成は、ヌードマウスに神経膠芽細胞腫を移植することによって測定される。その場合、本発明のタンパク質の存在下または非存在下での増大した脈管形成について腫瘍をモニターする。
アクチンフィラメント形成は、当該分野で知られている様々な方法によって、例えば、顕微鏡観察によって測定される。
処置方法
本発明は、細胞遊走および/または血管形成の調節に関連した障害の危険性を有する(またはそのような障害を受けやすい)対象における症状を処置または軽減する予防的方法および治療的方法の両方を提供する。NOVXポリペプチドまたはNOVX核酸を用いて、対象における細胞遊走または血管形成を阻害する。あるいは、NOVXポリペプチドまたはNOVX核酸の阻害剤を用いて、細胞遊走および血管形成を促進させる。
細胞遊走および血管形成に関連づけられる様々な障害が、NOVXポリペプチド、NOVX核酸またはその阻害剤を対象に投与することによって処置される。対象は、ヒト、マウスまたはラットのごとき哺乳動物である。投与は局所的または全身的のいずれかである。
細胞遊走および/または血管形成の阻害が所望される障害には、例えば、神経芽細胞腫、腎臓癌腫、線維肉腫、横紋筋肉腫および膵臓癌のごとき癌が含まれるが、これらに限定されない。細胞遊走および/または血管形成の促進が所望される障害には、例えば、創傷治癒、組織再生、特に神経組織再生、および、巨核球を含むある種の免疫細胞の管外遊出を含む細胞運動性を伴う免疫機能を促進することが含まれる。
処置の有効性は、細胞遊走または血管形成に関連づけられる特定の障害を診断または処置するための任意の既知の方法に関連して決定される。そのような障害の1つ以上の症状の軽減は、化合物により、臨床的利益がもたらされていることを示す。細胞遊走および血管形成に関連した障害の症状には、均衡の喪失、体重減少、ゆっくりした話し方、黄疸、疲労、痛み、血尿、貧血、または膨張した骨が含まれる。
本明細書中に記載される方法は、本明細書中に記載されるような細胞遊走/血管形成に関連した障害の1つ以上の症状の重篤度の低下またはそのような症状の軽減をもたらす。細胞遊走/血管形成に関連した障害は、典型的には、医師によって、標準的な方法論を使用して診断および/またはモニターされる。
NOVX核酸およびポリペプチド
本発明の一つの態様は、NOVXポリペプチドまたはそれらの生物学的に活性な部分をコードする単離核酸分子に関する。また、本発明は、NOVXをコードする核酸(例えば、NOVXのmRNA)を同定するためのハイブリダーゼーションプローブとしての使用に十分な核酸フラグメント、およびNOVX核酸分子の増幅および/または変異用のPCRプライマーとしての使用のためのフラグメントを含む。本明細書において使用する用語「核酸分子」とは、DNA分子(例えば、cDNAまたはゲノムDNA)、RNA分子(例えば、mRNA)、ヌクレオチド類似体を用いて生成されたDNA類似体またはRNA類似体、およびそれらの誘導体、フラグメントおよび相同体を含むことを意図する。核酸分子は一本鎖でも二本鎖であり得るが、好ましくは二本鎖DNAである。
NOVX核酸は成熟NOVXポリペプチドをコードし得る。本明細書において使用するように、本発明に開示するポリペプチドまたはタンパク質の「成熟」型とは、天然に存在するポリペプチド、または前駆体、またはプロタンパク質の産物である。天然に存在するポリペプチド、前駆体またはプロタンパク質は、限定されない例として、対応する遺伝子によりコードされる全長遺伝子産物を含む。これに代えて、本明細書に説明するORFによりコードするポリペプチド、前駆体またはプロタンパク質として定義し得る。産物の「成熟」型は、限定されない例として、遺伝子産物を生じる細胞(例えば、宿主細胞)内で起こり得る一つまたはそれ以上の天然に存在するプロセシングステップの結果として生じる。ポリペプチドまたはタンパク質の「成熟」型を導くそのようなプロセシングステップの例として、ORFの開始コドンによりコードされるN末端メチオニン残基の切断、またはシグナルペプチドまたはリーダー配列のタンパク質分解的切断を挙げる。従って、残基1がN末端メチオニンである1〜Nの残基を有する前駆ポリペプチドまたはタンパク質から生じる成熟型は、N末端メチオニン除去後に残存する残基2〜Nを有する。これに代えて、残基1〜残基MからN末端シグナル配列を切断する、残基1〜Nを有する前駆ポリペプチドまたはタンパク質より生じる成熟型は、残存する残基M+1〜残基Nからの残基を有する。さらに本明細書において使用するように、ポリペプチドまたはタンパク質の「成熟」型はタンパク質分解による切断事象以外の翻訳後の工程により生じ得る。そのようなさらに別な方法は、限定されない例として、グリコシル化、ミリストイル化、またはリン酸化を含む。一般に、成熟ポリペプチドまたはタンパク質を、これらの方法のただ一つ、またはそれらのいずれかの組合せの操作によりもたらし得る。
本明細書において使用する用語「プローブ」は、好ましくは少なくとも約10ヌクレオチド(nt)から約100ntの間、または特定の使用によっては約、例えば6000ntもの長さである可変的長さの核酸配列を指す。プローブを、同一、類似、または相補的な核酸配列の検出に使用し得る。より長いプローブを天然または組換え供給源から一般的に得る。より長いプローブは、特異性が高くより短い長さのオリゴマーのプローブよりハイブリダイズするのが遅い。プローブは、一本鎖または二本鎖でもよく、そしてPCR、メンブレン−ベースのハイブリダイゼーション技術、またはELISA様技術において特異性を有するようにデザインされ得る。
本明細書において使用する用語「単離」核酸分子は、核酸の天然供給源に存在する他の核酸分子から分離された核酸である。好ましくは、「単離」核酸は、核酸が由来する生物のゲノムDNA中で核酸に天然に隣接する配列(即ち核酸の5'末端および3'末端に位置する配列)を有しない。例えば、種々の実施形態において、単離NOVX核酸分子は、核酸が由来する細胞/組織(例えば、脳、心臓、肝臓、脾臓等)のゲノムDNA中の核酸分子に天然に隣接する約5kb、4kb、3kb、2kb、1kb、0.5kb、0.1kb以下、またはそれ未満のヌクレオチド配列を含有し得る。さらに、cDNA分子のような「単離」核酸分子は、他の細胞性物質、培地、または化学的前駆物質または他の化学物質を実質的に含まなくてもよい。
本発明の核酸分子、例えば、配列番号13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53または55のヌクレオチド配列を有する核酸分子、またはこのヌクレオチド配列の相補物を、標準的分子生物学の技術および本明細書に示す配列情報を用いて単離し得る。配列番号13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53または55の核酸配列の全てまたは一部をハイブリダイゼーションプローブとして用いて、標準的ハイブリダイゼーション技術およびクローニング技術(例えば、Sambrook, et al., (eds.), MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL 2nd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1989; および Ausubel, et al., (eds.), CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY, John Wiley & Sons, New York, NY, 1993に記載されるように)を用いてNOVX分子を単離し得る。
本発明の核酸は、鋳型としてcDNA、mRNA、またはこれに代えてゲノムDNAを使用して標準的PCR増幅技術にしたがって適切なオリゴヌクレオチドプライマーで増幅し得る。そのように増幅した核酸を、適切なベクターにクローニングし、DNA配列分析により特徴づけ得る。さらに、NOVXヌクレオチド配列に対応するオリゴヌクレオチドを、標準合成技術、例えば自動DNA合成装置の使用、により調製し得る。
本明細書において使用する用語「オリゴヌクレオチド」は、一連の連結するヌクレオチド残基を指す。短いオリゴヌクレオチド配列は、ゲノム配列またはcDNA配列に基づき得るし、またはそれらからデザインし得る。そして短いオリゴヌクレオチド配列を使用して、特定の細胞または組織の同一、類似、または相補的DNAまたはRNAの存在を増幅し、確認し、または明らかにする。オリゴヌクレオチドは、長さ約10nt、50nt、または100nt、好ましくは長さ約15nt〜30ntの核酸配列を含む。本発明の一つの実施形態では、長さ100nt未満の核酸分子を含むオリゴヌクレオチドは、配列番号13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53または55の少なくとも6個の連続したヌクレオチド、またはそれらの相補物をさらに含む。オリゴヌクレオチドを、化学的に合成し、プローブとして使用し得る。
もう一つの実施形態では、本発明の単離核酸分子は、配列番号13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53または55に示すヌクレオチド配列、またはこのヌクレオチド配列の一部(例えば、NOVXポリペプチドの生物学的に活性な部分をコードするプローブ、プライマー、またはフラグメントとして使用し得るフラグメント)の相補物である核酸分子を含む。配列番号13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53または55を示すヌクレオチド配列に相補的である核酸分子は、配列番号13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53または55を示すヌクレオチド配列に十分に相補的であるものであり、配列番号13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53または55を示すヌクレオチド配列と殆どミスマッチなしでまたは全くミスマッチ無しで水素結合し得る。そのため核酸分子は安定な二本鎖を形成する。
本明細書において使用する用語「相補的」は、核酸分子のヌクレオチド単位間のWatson-CrickまたはHoogsteen塩基対形成を指し、用語「結合」は、2個のポリペプチドまたは化合物、または関連するポリペプチドまたは化合物またはそれらの組合せ間の物理的相互作用または化学的相互作用を意味する。結合は、イオン、非イオン、ファン・デル・ワールス、疎水性相互作用等を含む。物理的相互作用は直接的または間接的であり得る。間接的相互作用は、他のポリペプチドまたは化合物の作用を介したまたはこれに因るものであり得る。直接的結合は、他のポリペプチドまたは化合物の作用を介したまたはこれに因り起こるのではなく、代わりに他の実質的な化学的仲介物無しで起こる相互作用を指す。
本明細書で提供する「フラグメント」は、核酸の場合特異的ハイブリダイゼーションを可能にするのに十分な長さ、アミノ酸の場合にはエピトープの特異的認識に十分な長さである、少なくとも6個の(連続した)核酸または少なくとも4個の(連続した)アミノ酸の配列として定義され、そして全長より短いほとんどの或る一部である。フラグメントは、選択した核酸またはアミノ酸配列の任意の連続した部分から由来するものであり得る。
全長NOVXのクローンを、ATG翻訳開始コドンおよびインフレームの停止コドンを含有するとして同定する。ATG開始コドンを欠く任意の開示するNOVXヌクレオチド配列は、それ故にれぞれのNOVXポリペプチドの切断(truncated)型C末端フラグメントをコードし、対応する全長cDNAが開示する配列の5'方向へ伸長することを要求する。インフレームの停止コドンを欠く任意の開示するNOVXヌクレオチド配列は、同様にそれぞれのNOVXポリペプチドの切断型N末端フラグメントをコードし、対応する全長cDNAが開示する配列の3'方向へ伸長することを要求する。
誘導体は、もとの化合物から直接、修飾によりまたは部分的置換によるいずれかで生成した核酸配列またはアミノ酸配列である。類似体は、もとの化合物に類似しているが同一ではない構造を有する核酸配列またはアミノ酸配列であり、例えば、それらは特定の成分または側鎖に関して天然化合物と異なっている。類似体は、合成であり得るし異なる進化起源を由来とし得るし、野生型と比較して類似または反対の代謝活性を有し得る。相同体は、異なる種を由来とする特定の遺伝子の核酸配列またはアミノ酸配列である。
誘導体および類似体は全長または全長以外であり得る。本発明の核酸またはタンパク質の誘導体または類似体は、同一サイズの核酸またはアミノ酸配列に亘って、または当該分野において公知のコンピューター相同性プログラムによりアラインメントしたアラインメント配列と比較した際、種々の実施形態において、少なくとも約70%、80%、または95%の同一性(好ましくは、80〜95%の同一性)で本発明の核酸またはタンパク質に実質的に相同である領域を含む分子、またはそれらのコードする核酸が本発明のタンパク質をコードする配列の相補物に厳密、中等度に厳密、または低い厳密度の条件下でハイブリダイズ可能である分子を含むが、これらに限定されない。例えば、Ausubel, et al., CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY, John Wiley & Sons, New York, NY, 1993および以下を参照されたい。
「相同な核酸配列」または「相同なアミノ酸配列」またはそれらの変異体は、上述のようにヌクレオチドレベルまたはアミノ酸レベルでの相同性を特徴とする配列を指す。相同なヌクレオチド配列は、NOVXポリペプチドのアイソフォームをコードするこれらの配列を含む。アイソフォームを、例えばRNAの選択的スプライシングの結果として同じ生物の異なる組織において発現し得る。これに代えて、アイソフォームを、異なる遺伝子によりコードし得る。本発明では、相同なヌクレオチド配列は、ヒト以外の種のNOVXポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含み、脊椎動物を含むが脊椎動物に限定されない。よって例えば、カエル、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、および他の生物を含む。相同なヌクレオチド配列はまた、本明細書に示すヌクレオチド配列の天然に存在する対立遺伝子変異体および突然変異体を含むが、これらに限定しない。しかしながら、相同なヌクレオチド配列は、ヒトNOVXタンパク質をコードする正確なヌクレオチド配列を含まない。相同な核酸配列は、配列番号13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53または55の保存的アミノ酸置換(下記参照)をコードする核酸配列ならびにNOVXの生物活性を有するポリペプチドを含む。NOVXタンパク質の種々の生物学的活性を、以下に説明する。
NOVXポリペプチドは、NOVX核酸のオープンリーディングフレーム(「ORF」)によりコードされる。ORFは、ポリペプチドに潜在的に翻訳し得るヌクレオチドに対応する。ORFを含む一連の核酸を、停止コドンにより中断しない。全長タンパク質をコードする配列を表すORFは、ATG「開始」コドンで始まり、3種の「停止」コドン即ちTAA、TAGまたはTGAの一つで終わる。本発明の目的のため、ORFは、開始コドン、停止コドン、またはその両方があってもなくてもよい、コード化配列の任意の部分であり得る。ORFを真正の細胞性タンパク質をコードする良好な候補として考えるために、最小限の要件、例えば、50個のアミノ酸またはそれ以上をコードする一連のDNA、がしばしば定められる。
ヒトNOVX遺伝子のクローニングから決定するヌクレオチド配列は、他の細胞タイプ、例えば他の組織由来のNOVX相同体、ならびに他の脊椎動物由来のNOVX相同体を同定および/またはクローニングする際の使用のためにデザインするプローブおよびプライマーの作成を可能にする。プローブ/プライマーは、実質的に精製されたオリゴヌクレオチドを典型的に含む。オリゴヌクレオチドは、配列番号13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53または55の少なくとも約12、25、50、100、150、200、250、300、350または400個の連続したセンス鎖のヌクレオチド配列;または配列番号13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53または55のアンチセンス鎖ヌクレオチド配列;または配列番号13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53または55の天然に存在する変異体に厳密な条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列の領域を典型的に含む。
ヒトNOVXヌクレオチド配列に基づくプローブを、同じタンパク質または相同タンパク質をコードする転写体またはゲノム配列を検出するのに使用し得る。種々の実施形態において、プローブは検出可能な標識がつけられており、例えば、標識は放射性同位元素、蛍光化合物、酵素、または酵素のコファクターであり得る。かかるプローブは、対象由来の細胞試料中のあるNOVXコード化核酸のレベルを測定することによるように、あるNOVXタンパク質を誤って発現している細胞または組織を同定するための診断試験キットの一部として使用し得る、例えば、NOVXのmRNAを検出するかまたはゲノムNOVX遺伝子が変異または欠失をしたか否かを測定する。
「NOVXポリペプチドの生物学的に活性な部分を有するポリペプチド」は、特定の生物学的分析において測定するような成熟型を含み、本発明のポリペプチドの活性に類似な、しかし必ずしも同一ではない活性を用量依存性の有無を問わず発揮するポリペプチドを指す。「NOVXの生物学的に活性な部分」をコードする核酸フラグメントを、あるNOVXの生物活性(NOVXタンパク質の生物活性を以下に説明する)を有するポリペプチドをコードする配列番号13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53または55の一部を単離し、NOVXタンパク質のコードする部分を発現し(例えば、インビトロ組換え発現により)、NOVXのコードする部分の活性を評価するすることにより調製し得る。
NOVX核酸およびポリペプチド変異体
本発明はさらに、遺伝子コードの縮重により配列番号13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53または55に示すヌクレオチド配列と異なっており、従って配列番号13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53または55に示すヌクレオチド配列によりコードするのと同じNOVXタンパク質をコードする核酸分子を包含する。もう一つの実施形態では、本発明の単離核酸分子は、配列番号14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54または56に示すアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするヌクレオチド配列を有する。
配列番号13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53または55に示すヒトNOVXヌクレオチド配列に加えて、NOVXポリペプチドのアミノ酸配列に変化をもたらすDNA配列の多型が、集団(例えばヒトの集団)中に存在し得ることを当業者は理解する。NOVX遺伝子のかかる遺伝子多型は、天然の対立遺伝子変異に因り集団の中の個体間に存在し得る。本明細書において使用する用語「遺伝子」および「組換え遺伝子」は、NOVXタンパク質、好ましくは脊椎動物のNOVXタンパク質をコードするオープンリーディングフレーム(ORF)を含む核酸分子を指す。かかる天然の対立遺伝子変異は、NOVX遺伝子のヌクレオチド配列中に1〜5%の変異を典型的にもたらす。天然の対立遺伝子変異の結果でありNOVXポリペプチドの機能活性を変化しない任意のおよび全てのかかるヌクレオチド変異およびそこで得られるNOVXポリペプチド中のアミノ酸多型は、本発明の範囲内にあるものとする。
さらに、他の種由来のNOVXタンパク質をコードする核酸分子、および従ってヒト配列番号13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53または55とは異なるヌクレオチド配列を有する核酸分子は、本発明の範囲内にあるものとする。本発明のNOVXcDNAの天然の対立遺伝子変異体および相同体に対応する核酸分子は、厳密なハイブリダイゼーション条件下で標準的なハイブリダイゼーション技術に従うハイブリダイゼーションプローブとしてヒトcDNAまたはその一部を用いて、本明細書に開示するヒトNOVX核酸との相同性に基づいて単離し得る。
従って、もう一つの実施形態では、本発明の単離核酸分子は少なくとも6ヌクレオチド長であり、配列番号13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53または55のヌクレオチド配列を含む核酸分子に厳密な条件下でハイブリダイズする。もう一つの実施形態では、核酸は少なくとも10、25、50、100、250、500、750、1000、1500、2000またはそれ以上のヌクレオチド長である。なおもう一つの実施形態では、本発明の単離核酸分子はコード化領域にハイブリダイズする。本明細書において用いる用語「厳密な条件下でハイブリダイズする」は、お互いに少なくとも約65%相同なヌクレオチド配列がお互いに典型的にハイブリダイズしたままであるハイブリダイゼーション条件および洗滌条件を記載することを意図する。
相同体(即ち、ヒト以外の生物種由来のNOVXタンパク質をコードする核酸)または他の関連配列(例えばパラログ)を、核酸のハイブリダイゼーションおよびクローニングの当該分野において周知の方法を用いて特定のヒト配列の全部または一部をプローブとし、低度、中度、または高度に厳密なハイブリダイゼーションにより得られる。
本明細書において使用する用語「厳密なハイブリダイゼーション条件」は、プローブ、プライマーまたはオリゴヌクレオチドが標的配列にハイブリダイズするが他の配列にはハイブリダイズしない条件を指す。厳密な条件は配列依存性であり、異なる環境で差がある。より長い配列は、より短い配列よりもより高温で特異的にハイブリダイズする。一般的に、厳密な条件を、一定のイオン強度およびpHにおいて、特定の配列の融解温度(Tm)より約5℃低いように選択する。Tmは、標的配列と相補的なプローブの50%が平衡時に標的配列にハイブリダイズする温度(規定のイオン強度、pHおよび核酸濃度下で)である。標的配列はTmにおいて一般的に過剰に存在するので、プローブの50%を平衡時に占める。典型的に、厳密な条件はpH7.0〜8.3で塩濃度が約1.0Mナトリウムイオン未満、典型的には約0.01〜1.0Mナトリウムイオン(または他の塩)であり、温度は短いプローブ、プライマーまたはオリゴヌクレオチド(例えば、10nt〜50nt)に対して少なくとも約30℃であり、より長いプローブ、プライマーおよびオリゴヌクレオチドに対して少なくとも約60℃である。厳密な条件を、フォルムアミドのような不安定化剤の添加によっても達成し得る。
厳密な条件は当業者に公知であり、Ausubel, et al., (eds.), CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY, John Wiley & Sons, N.Y. (1989), 6.3.1-6.3.6.に見出すことができる。好ましくは、条件は、互いに少なくとも65%、70%、75%、85%、90%、95%、98%、または99%相同な配列が互いに典型的にハイブリダイズしたままであるようなものである。厳密なハイブリダイゼーションの限定されない例は、6×SSC、50mM Tris−HCl(pH7.5)、1mM EDTA、0.02%PVP、0.02%Ficoll、0.02%BSAおよび500mg/mlの変性サケ精子DNAを含む高塩緩衝液中65℃でハイブリダイゼーションを行い、引き次いで0.2×SSC、0.01%BSA中50℃で1回またはそれ以上洗滌する。配列番号13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53または55の配列に厳密な条件下でハイブリダイズする本発明の単離核酸分子は、天然に存在する核酸分子に対応する。本明細書において使用する用語「天然に存在する」核酸分子は、天然に(例えば、天然のタンパク質をコードする)存在する核酸配列を有するRNA分子またはDNA分子を指す。
第2の実施形態では、配列番号13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53または55のヌクレオチド配列を含む核酸分子、またはそれらのフラグメント、類似体または誘導体と中度に厳密な条件下でハイブリダイズする核酸配列を提供する。中度に厳密なハイブリダイゼーション条件の限定されない例は、6×SSC、5×Reinhardtの溶液、0.5%SDSおよび100mg/mlの変性サケ精子DNA中55℃でハイブリダイゼーションを行い、引き次いで1×SSC、0.1%SDS中37℃で1回またはそれ以上洗滌することである。使用され得る他の中度に厳密な条件は当該分野内で周知である。例えば、Ausubel, et al. (eds.), 1993, CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY, John Wiley & Sons, NY, および Krieger, 1990; GENE TRANSFER AND EXPRESSION, A LABORATORY MANUAL, Stockton Press, NY.を参照されたい。
第3の実施形態では、配列番号13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53または55のヌクレオチド配列を含む核酸分子、またはそれらのフラグメント、類似体または誘導体と低度に厳密な条件下でハイブリダイズする核酸配列を提供する。低度に厳密なハイブリダイゼーション条件の限定されない例は、35%フォルムアミド、5×SSC、50mM Tris−HCl(pH7.5)、5mM EDTA、0.02%PVP、0.02%Ficoll、0.2%BSA、100mg/mlの変性サケ精子DNA、10%(wt/vol)硫酸デキストラン中40℃でハイブリダイゼーションを行い、引き次いで2×SSC、25mM Tris−HCl(pH7.4)、5mM EDTA、および0.1%SDS中50℃で1回またはそれ以上洗滌することである。使用し得る他の低度に厳密な条件(例えば種間ハイブリダイゼーションに使用する)は当該分野において周知である。例えば、Ausubel, et al. (eds.), 1993, CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY, John Wiley & Sons, NY, and Kriegler, 1990; GENE TRANSFER AND EXPRESSION, A LABORATORY MANUAL, Stockton Press, NY.;Shilo and Weinberg, 1981. Proc Natl Acad Sci USA 78: 6789-6792を参照されたい。
保存的変異
集団中に存在し得るNOVX配列の天然に存在する対立遺伝子変異に加えて、配列番号13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53または55のヌクレオチド配列中に変異により変換を導入することができ、それによってNOVXタンパク質の機能活性を変えること無しに、コードするNOVXタンパク質のアミノ酸配列の変化を導くことができることを当業者はさらに理解する。例えば、「非必須」アミノ酸残基でアミノ酸置換に導くヌクレオチド置換を、配列番号13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53または55の配列中で行い得る。「非必須」アミノ酸残基は、NOVXタンパク質の野生型の配列をそれらの生物活性を変化させることなく変えることのできる残基であるが、一方で「必須」アミノ酸残基をそのような生物活性に必要とする。例えば、本発明のNOVXタンパク質中で保存するアミノ酸残基を、特に変換に耐えられないと予想する。保存的置換が行われ得るアミノ酸は当該分野内で周知である。
本発明のもう一つの態様は、活性に必須でないアミノ酸残基中に変化を含有するNOVXタンパク質をコードする核酸分子に関する。かかるNOVXタンパク質は、配列番号13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53または55とアミノ酸配列において異なっているが、生物活性を依然保持している。一つの実施形態では、単離核酸分子はタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含み、ここでタンパク質は、配列番号14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54または56のアミノ酸配列と少なくとも約50%相同であるアミノ酸配列を含む。好ましくは、核酸分子によりコードするタンパク質は、配列番号14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54または56に少なくとも約60%相同であり;より好ましくは、核酸分子によりコードするタンパク質は、配列番号14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54または56に少なくとも約70%相同であり;さらに好ましくは、配列番号14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54または56に少なくとも約80%相同であり;それよりさらにより好ましくは、配列番号14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54または56に少なくとも約90%相同であり;最も好ましくは、配列番号14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54または56に少なくとも約95%相同である。
配列番号14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54または56のタンパク質に相同なあるNOVXタンパク質をコードする単離核酸分子を、1個またはそれ以上のアミノ酸の置換、付加または欠失をコードするタンパク質内に導入するように配列番号13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53または55のヌクレオチド配列の中に1個またはそれ以上のヌクレオチドの置換、付加または欠失を導入することにより創成し得る。
突然変異を、配列番号13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53または55の中に、部位特異的変異誘発およびPCR仲介性突然変異誘発のような、標準的技術により導入し得る。好ましくは、保存的アミノ酸置換を、予想する1個またはそれ以上の非必須アミノ酸残基において行う。「保存的アミノ酸置換」は、類似の側鎖を有するアミノ酸残基で置き換えるアミノ酸残基中の一つである。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは当該分野内で定義されている。これらのファミリーは、塩基性側鎖をもつアミノ酸(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖をもつアミノ酸(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、電荷のない側鎖をもつアミノ酸(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、無極性側鎖をもつアミノ酸(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、ベータ位側鎖をもつアミノ酸(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)、ならびに芳香族側鎖をもつアミノ酸(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を含む。従って、NOVXタンパク質中に予想する非必須アミノ酸残基を、同じ側鎖ファミリーの別のアミノ酸残基で置換する。これに代えて、もう一つの実施形態では、突然変異を、飽和突然変異誘発のように、あるNOVXコード化配列の全部または一部に沿って無作為に導入し得るし、得られた突然変異体をNOVXの生物学的活性についてスクリーニングして活性を保持する変異体を同定し得る。配列番号13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53または55の突然変異誘発に引き続いて、コードされたタンパク質を当該分野において公知の任意の組換え技術で発現し、タンパク質の活性を測定し得る。
アミノ酸ファミリーの関連性を、側鎖の相互作用に基づいても決定し得る。置換したアミノ酸は、十分に保存された「強い」残基または十分に保存された「弱い」残基であり得る。保存したアミノ酸残基の「強い」群は、次の群のいずれか一つであり得る:STA、NEQK、NHQK、NDEQ、QHRK、MILV、MILF、HY、FYWであり、ここでアミノ酸の一文字表記は、互いに置換し得るアミノ酸でグル−プ分けする。同様に、保存した残基の「弱い」群は、次のいずれか一つであり得る:CSA、ATV、SAG、STNK、STPA、SGND、SNDEQK、NDEQHK、NEQHRK、HFYであり、ここでそれぞれの群の文字はアミノ酸の一文字表記を表す。
一つの実施形態では、変異NOVXタンパク質を、(i)他のNOVXタンパク質、他の細胞表面タンパク質またはそれらの生物学的活性部位と相互作用するタンパク質:タンパク質を形成する活性、(ii)変異NOVXタンパク質とあるNOVXリガンド間の複合体形成、または(iii)細胞内標的タンパク質またはそれらの生物学的活性部位に結合する変異NOVXタンパク質の活性についてアッセイし得る;(例えば、アビジンタンパク質)。
なおもう一つの実施形態では、変異NOVXタンパク質を、特定の生物学的機能を調節する活性(例えば、インスリン分泌の調節)についてアッセイし得る。
妨害性RNA
本発明の1の態様において、NOVX遺伝子発現をRNA妨害により弱めることができる。当該分野においてよく知られた1のアプローチは、短い妨害性RNA(siRNA)により媒介される遺伝子サイレント化であり、該アプローチにおいて、NOVX遺伝子転写物の少なくとも19ないし25ヌクレオチドの長さのセグメントに対して相補的であり、5’非翻訳(UT)領域、ORF、または3’UT領域を含む、特異的な2本鎖NOVX由来のsiRNAヌクレオチド配列により、NOVX遺伝子発現産物が標的とされる。例えば、PCT出願WO00/44895、WO99/32619、WO01/75164、WO01/92513、WO01/29058、WO01/89304、WO02/16620、およびWO02/29858参照(それぞれを参照により本明細書に一体化させる)。標的化される遺伝子はNOVX遺伝子であってもよく、あるいはNOVX遺伝子の上流または下流モジュレーターであってもよい。NOVX遺伝子の上流または下流モジュレーターの非限定的な例は、例えば、NOVX遺伝子プロモーターに結合する転写因子NOVXポリペプチドと相互作用するキナーゼまたはホスファターゼ、ならびにNOVX調節経路に含まれるポリペプチドである。
本発明の方法によれば、妨害性RNAを用いてNOVX遺伝子発現がサイレント化される。本発明のNOVXポリヌクレオチドはsiRNAポリヌクレオチドを包含する。NOVXポリヌクレオチド配列を用いて、例えば、ショウジョウバエ抽出物(これに限らない)のごとき無細胞系でNOVXポリヌクレオチド配列をプロセッシングすることにより、あるいは組み換え型2本鎖NOVX RNAの転写により、あるいはNOVX配列に相同的なヌクレオチド配列を合成することにより、かかるNOVX siRNAを得ることができる。例えば、Tuschul, Zamire, Lehmann, Bartel and Sharp (1999), Genes & Dev. 13: 3191-3197参照(参照により本発明系に一体化させる)。合成する場合、典型的な0.2マイクロモラースケールのRNA合成により約1ミリグラムのsiRNAが得られ、それは24ウェルの組織培養プレートフォーマットを用いる1000回のトランスフェクション実験に十分なものである。
最も効率的なサイレント化は、一般的には、2ヌクレオチドの3’オーバーハングを有するように対合された21ヌクレオチドのセンス鎖および21ヌクレオチドのアンチセンス鎖を含むsiRNA2本鎖を用いて観察される。2ヌクレオチドの3’オーバーハングの配列は、siRNAの標的認識の特異性にさらなる小さな貢献をする。特異性に対する貢献は最初に対合した塩基に隣接した未対合ヌクレオチドに局在化される。1の実施形態において、3’オーバーハング中のヌクレオチドはリブヌクレオチドである。別の実施形態において、3’オーバーハング中のヌクレオチドはデオキシリボヌクレオチドである。3’オーバーハング中の2’−デオキシリボヌクレオチドを用いることはリボヌクレオチドの使用として有効であるが、デオキシリボヌクレオチドはしばしば合成費用が安く、よりヌクレアーゼ耐性である可能性が最も高い。
本発明の企図される組み換え型発現ベクターは、両方の鎖の発現(DNA分子の転写による)を可能にするような様式でNOVX配列に作動可能に連結された近接調節配列を含む発現ベクター中に組み込まれたNOVX DNA分子を含む。NOVX mRNAに対してアンチセンスであるRNA分子は第1のプロモーター(例えば、クローン化DNAの3’プロモーター配列)により転写され、NOVX mRNAに対してセンス鎖であるRNA分子が第2のプロモーター(クローン化DNAの5’プロモーター配列)により転写される。センスおよびアンチセンス鎖はインビボでハイブリダイゼーションして、NOVX遺伝子のサイレント化のためのsiRNA構築物を生じる。別法として、2つの構築物を用いて、siRNA構築物のセンスおよびアンチセンス鎖を作成することもできる。結局、クローン化DNAは第2の構造を有する構築物をコードするものであり得、単一の転写物は、標的遺伝子(複数も可)由来のセンスおよび相補的アンチセンス配列を有するものである。この実施形態の一例において、ヘアピンRNAi産物は標的遺伝子のすべてまたは一部に対して相同的である。もう1つの例において、ヘアピンRNAi産物はsiRNAである。NOVX配列に近接した調節配列は、それらの発現が独立してモジュレーションされ、あるいは時間的または位置的にモジュレーションされうるならば、同一であってもよく、異なっていてもよい。
特別な実施形態において、例えば、より小型の核RNA(snRNA)U6またはヒトRNase P RNA H1に由来するRNApol III転写ユニットを含むベクター中にNOVX遺伝子鋳型を組み込むことにより、siRNAは細胞内で転写される。ベクター系の1例はGeneSuppressor(商標)RNA Interference kit (Imgenexから市販されている)である。U6およびH1プロモーターはpol IIIプロモーターのタイプIIIクラスのメンバーである。U6様プロモーターの+1ヌクレオチドは常にグアノシンであるが、H1プロモーターの+1はアデノシンである。これらのプロモーターのターミネーションシグナルは5個の連続したチミジンにより定義される。典型的には、転写物を2つ目のウリジンの後ろで開裂させる。この位置での開裂は、発現されたsiRNA中に3’UUオーバーハングを生じさせ、それは合成siRNAの3’オーバーハングと類似である。長さ400ヌクレオチド未満の配列をこれらのプロモーターにより転写させることができ、それゆえ、それらは約21ヌクレオチドのsiRNAを例えば約50ヌクレオチドのRNAステムループ転写物中に発現させることに理想的に適したものである。
長時間の発現ノックダウンが必要な場合に、siRNAベクターは合成siRNAよりも有利であると考えられる。siRNA発現ベクターでトランスフェクションされた細胞は安定で、長時間のmRNA阻害をこうむるであろう。対照的に、外来性合成siRNAでトランスフェクションされた細胞は、典型的には7日以内あるいは10ラウンドの細胞分裂の間にmRNAサプレッションから回復する。siRNA発現ベクターの長時間の遺伝子サイレント化能は遺伝子治療への適用を可能にしうる。
一般的には、siRNAは、DICERと呼ばれるATP依存性リボヌクレアーゼにより、より長いdsRNAから切断される。DICERは2本鎖RNA特異的エンドヌクレアーゼのRNaseIIIファミリーのメンバーである。siRNAは細胞蛋白とともに集合してエンドヌクレアーゼ複合体となる。ショウジョウバエにおけるインビトロでの研究は、siRNA/蛋白複合体(siRNP)がその後DIECRとは異なるエンドリボヌクレアーゼを含むRNA誘導サイレンス化複合体(RISC)と呼ばれる第2の酵素複合体に転移されることを示唆している。RISCはsiRNA鎖によりコードされる配列を用いて相補的配列のmRNAを見つけて破壊する。かくしてsiRNAはガイドとして作用し、2本のsiRNA鎖の一方に相補的なmRNAのみを開裂するようにリボヌクレアーゼを制限する。
siRNAにより標的化されるべきNOVX mRNA領域は、一般的には、スタートコドンの50ないし100ヌクレオチド下流から開始する所望NOVX配列から選択される。別法として、5’または3’UTRおよびスタートコドン付近の領域を用いることができるが、一般的には避けられる。なぜならこれらは調節蛋白結合部位において豊富だからである。UTR結合蛋白および/または翻訳開始複合体はsiRNPまたはRISCエンドヌクレアーゼ複合体の結合を妨害しうる。選択されたsiRNA配列に関する最初のBLAST相同性サーチを利用可能なヌクレオチド配列ライブラリーに対して行って、ただ1つの遺伝子が標的化されることを確実にする。siRNA2本鎖による標的認識特異性は、siRNAの対合領域に存在する単一の点突然変異が標的mRNAの分解を妨げるに十分であることを示す。Elbashir et al. 2001 EMBO J. 20(23):6877-88参照。それゆえ、所望遺伝子を標的化する場合、SNP、多型、対立遺伝子変種または種特異的変化をうまく考慮すべきである。
1の実施形態において、完全なNOVX siRNA実験は正しい負の対照を用いるものである。一般的には、負の対照siRNAはNOVX siRNAと同じヌクレオチド組成を有するが、ゲノムに対して有意な配列相同性を欠いている。典型的には、NOVX siRNAのヌクレオチド配列をスクランブルし、相同性検索を行って、それが他のいすれの遺伝子とも相同性を欠いていることを確認する。
2つの独立したNOVX siRNA2本鎖を用いて標的NOVX遺伝子をノックダウンすることができる。このことはサイレント化効果の特異性を制御することを助ける。さらに、等しい濃度の異なるNOVX siRNA2本鎖、例えば、NOVX遺伝子またはポリペプチドのレギュレーターに関するNOVX siRNAおよびsiRNAを用いることにより、2つの独立した遺伝子の発現を同時にノックダウンすることができる。siRNA結合蛋白の利用可能性は標的mRNAアクセス可能性よりも限定的であると考えられる。
典型的には、標的化されたNOVX領域は、19個(N19)の残基のスペーサー領域により分けられた2個のアデニン(AA)および2個のチミジン(TT)である(例えば、AA(N19)TT)。望ましいスペーサー領域は約30〜70%、より好ましくは約50%のG/C−含量を有する。配列AA(N19)TTが標的配列中に存在しない場合、別の標的領域はAA(N21)であろう。NOVXセンスsiRNAの配列は(N19)TTまたはN21にそれぞれ対応する。後者の場合、かかる配列が本質的にNOVXポリヌクレオチド中に存在しないならば、センスsiRNAの3’末端のTTへの変換を行うことができる。この配列変換の論理的解釈は、センスおよびアンチセンス3’オーバーハングの配列組成に関して対称な2本鎖を生じさせることである。対称な3’オーバーハングは、センスおよびアンチセンス標的RNA−開裂siRNPの適切な等しい割合でsiRNPが形成されることを確実ならしめることを助けることができる。例えば、Elbashir, Lendeckel and Tuschl (2001). Genes & Dev. 15: 188-200参照(参照により本明細書に一体化させる)。siRNA2本鎖のセンス配列のオーバーハングの修飾が標的化されたmRNAの認識に影響するとは考えられない。なぜならアンチセンスsiRNA鎖は標的認識をガイドするからである。
別法として、NOVX標的mRNAが適当なAA(N21)配列を含まない場合、配列NA(N21)をサーチしてもよい。さらに、センス鎖およびアンチセンス鎖の配列を5’(N19)TTとして合成してもよい。なぜならアンチセンスsiRNAの3’側の大部分のヌクレオチドの配列は特異性に貢献しないからである。アンチセンスまたはリボザイム法とは違って、標的mRNAの2次構造はサイレンス化に強く影響するとは考えられない。Harborth, et al. (2001) J. Cell Science 114: 4557-4565参照(参照により本明細書に一体化させる)。
標準的な核酸トランスフェクション法、例えば、OLIGOFECTAMINE Reagent(Invitrogenから市販されている)を用いてNOVX siRNA2本鎖のトランスフェクションを行うことができる。一般的には、NOVX遺伝子サイレンシングに関するアッセイをトランスフェクションから約2日後に行う。トランスフェクション試薬の不存在下において、NOVX遺伝子サイレント化は観察されず、野生型およびサイレント化NOVX表現型の比較分析が可能であった。特別な実施形態において、24ウェルプレートの1つのウェルには通常約0.84μgのsiRNA2本鎖で十分である。典型的には、細胞を前日に撒き、約50%集密になったところでトランスフェクションする。細胞培地および培養条件の選択は等業者が通常行うことであり、細胞タイプの選択により変更されるであろう。トランスフェクションの効率は細胞タイプのみならず細胞の継代数および集密度に依存する。siRNA−リポソーム複合体の形成時間および方法(例えば、倒置かボルテックスか)も重要である。低いトランスフェクション効率はNOVXサイレント化の不成功の最大の原因である。使用する新たな細胞系に関してトランスフェクション効率を注意深く調べることが必要である。好ましい細胞は哺乳動物由来であり、より好ましくはラットまたはマウスのごときげっ歯類由来であり、最も好ましくはヒト由来である。治療的処置に使用する場合、好ましくは細胞は自己由来のものであるが、非−自己由来の細胞ソースも本発明の範囲内とされる。
対照実験に関し、0.84μgの1本鎖センスNOVX siRNAのトランスフェクションはNOVXサイレント化に影響せず、0.84μgのアンチセンス siRNAは、0.84μgの2本鎖siRNAと比較すると弱いサイレント化効果を有する。対照実験はさらに野生型およびサイレント化NOVX表現型の比較分析を可能にする。トランスフェクション効率を制御するために、典型的には通常蛋白の標的化を行う。例えば、ラミンA/Cの標的化あるいはCMVにより駆動されるEGFP発現プラスミド(例えば、Clontechから市販されている)のトランスフェクションを行う。上例において、イムノフルオレッセンス、ウェスタンブロット、ノーザンブロットあるいは蛋白発現または遺伝子発現に関する他の類似のアッセイのごとき方法により、細胞中のラミンA/Cノックダウンのフラグメントを翌日に行う。ラミンA/Cモノクローナル抗体をSanta Cruz Biotechnologyから得た。
細胞中の標的化NOVXポリヌクレオチドの豊富さおよび半減期(またはターンオーバー)にもよるが、1〜3日後あるいはその後にノックダウン表現型が明らかにされうる。NOVXノックダウン表現型が観察されない場合には、トランスフェクションされたsiRNA2本鎖により標的mRNA(NOVXまたはNOVX上流または下流遺伝子)が効果的に破壊されたかどうかを分析することが望ましいかもしれない。トランスフェクションから2日後、全RNAを調製し、標的特異的プライマーを用いて逆転写し、少なくとも1つのエキソン−エキソンジャンクションを変換するプライマーペアーを用いてPCR増幅を行ってプレ−mRNAの増幅を制御する。非標的化mRNAのRT/PCRも対照として必要である。mRNAの効果的な枯渇であるが検出できない標的蛋白の減少は、安定なNOVX蛋白の大きなリザーバーが細胞中に存在することを示しうる。標的蛋白が最終的に枯渇して表現型が明らかにされうるに至るには、十分に長いインターバルでの複数回のトランスフェクションが必要であるかもしれない。複数回のトランスフェクション工程が必要な場合、トランスフェクションから2〜3日後に細胞を分ける。分けた直後に細胞をトランスフェクションしてもよい。
本発明の治療方法は、増加あるいは逸脱したNOVX発現または活性を補正するための治療としてNOVX siRNA構築物を投与することを企図する。上記のごとく、NOVXリボポリヌクレオチドを得て、siRNAフラグメントにプロセッシングするか、あるいはNOVX siRNAを合成する。上記のごとく、既知の核酸トランスフェクション法を用いてNOVX siRNAを細胞または組織に投与する。NOVX遺伝子に特異的なNOVX siRNAはNOVX転写産物を減少またはノックダウンし、そのことはNOVXポリペプチド生成を減少させ、細胞または組織中のNOVXポリペプチド活性を低下させる。
また本発明は、個体におけるNOVX蛋白の存在に関連する疾病または症状の治療方法を包含し、該方法は、分解されるべき蛋白のmRNA(該蛋白をコードするmRNA)を標的化するRNAi構築物を個体に投与することを特徴とする。特別なRNAi構築物はsiRNAまたはsiRNAにプロセッシングされる2本鎖遺伝子転写物を含む。治療により、標的蛋白が産生されなくなるか、あるいは治療を行わない場合よりも産生の程度が低下する。
NOVX遺伝子機能が既知表現型と相関関係を有しない場合、健康個体由来の細胞または組織の対照試料により、NOVX発現レベルを決定するためのリファレンス標準が提供される。説明したアッセイ、例えば、RT−PCR、ノーザンブロッティング、ELISA等を用いて発現レベルを検出する。疾病状態にある哺乳動物、好ましくはヒト対象から細胞または組織の試料を採取する。細胞または組織中への核酸のトランスフェクションに関して説明した方法によりNOVX siRNAを細胞または組織に投与することによってこれらの細胞または組織を処理し、説明したアッセイを用いて対象試料中のNOVXポリペプチドまたはポリヌクレオチド発現の変化を観察し、対照試料のものと比較する。このNOVX遺伝子ノックダウン法は、治療対象試料中のNOVXマイナス(NOVX)表現型を決定するための迅速法を提供する。かくして、治療対象試料中において観察されたNOVX表現型は、治療中の疾病状態の経過観察のためのマーカーとして役立つ。
特別な実施形態において、NOVX siRNAを治療に用いる。NOVX siRNAの生成および使用方法は等業者に知られている。方法の例を以下に示す。
RNAの生成
RNA発現ベクターにおける転写のごとき既知方法を用いてNOVXのセンスRNA(ssRNA)およびアンチセンス(asRNA)を得る。最初の実験において、センスおよびアンチセンスRNAはそれぞれ約500塩基の長さである。得られたssRNAおよびasRNA(0.5μM)を20mMのNaClを含有する10mM Tris−HCl(pH7.5)中で95℃にて1分間加熱し、次いで、冷却し、室温で12ないし16時間アニーリングさせる。RNAを沈殿させ、溶解バッファー(下記)中に再懸濁させる。アニーリングをモニターするために、TBEバッファー中の2%アガロースゲル中でRNAを電気泳動させ、臭化エチジウムで染色する。例えば、Sambrook et al., Molecular Cloning. Cold Spring Harbor Laboratory Press, Plainview, N.Y.(1989)参照。
溶解物の調製
製造者(Ambion)の指示に従って未処理ウサギ網状赤血球溶解物を集める。dsRNAを溶解物中30℃で10分間インキュベーションし、次いで、mRNAを添加する。その後、NOVX mRNAを添加し、さらに60分インキュベーションを続ける。2本鎖RNAとmRNAとのモル比は約200:1である。NOVX mRNAを放射性標識し(既知方法を用いて)、その安定性をゲル電気泳動によりモニターする。
同じ条件で平行して行う実験において、32P−ATPを用いて2本鎖RNAを内部で放射性標識する。2XプロテイナーゼKバッファーにより反応を停止させ、すでに記載されているようにして(Tuschl et al., Genes Dev., 13: 3191-3197)脱蛋白する。適当なRNA標準を用いて15%または18%ポリアクリルアミド配列決定用ゲル中での電気泳動により生成物を分析する。ゲルを放射活性についてモニターすることにより、2本鎖RNAからの10ないし25ヌクレオチドのRNAの自然な生成を調べることができる。
約21〜23bpの2本鎖RNAのバンドを溶出する。これらの21〜23量体NOVX転写抑制の有効性を、各アッセイにつき50ナノモラーの2本鎖21〜23量体を用いて上記と同じウサギ網状赤血球を用いてインビトロにてアッセイする。次いで、これらの21〜23量体の配列を標準的な核酸配列決定法を用いて決定する。
RNAの調製
上で決定された配列に基づいて、Expedite RNA phosphoramidites and thymidine phosphoramidite(Proligo, Germany)21を用いてヌクレオチドのRNAを化学合成する。合成オリゴヌクレオチドを脱保護し、ゲル精製(Elbashir, Lendeckel, & Tuschl, Genes & Dev. 15, 188-200 (2001))し、次いで、Sep-Pak C18 cartridge(Waters, Milford, Mass., USA)で精製(Tuschl, et al., Biochemistry, 32:11658-11668 (1993))する。
これらのRNA(20μM)1本鎖をアニーリングバッファー中、90℃で1分間インキュベーションし、次いで、37℃で1時間インキュベーションする。
細胞培養
NOVXを規則的に発現させるための当該分野において知られた細胞培養を、標準的条件を用いて行う。トランスフェクションの24時間前に、約80%集密において、細胞をトリプシン処理し、抗生物質不含の新鮮培地で1:5に希釈(1〜3x10個/ml)し、24ウェルプレートに移す(500ml/ウェル)。市販リポフェクションキットを用いてトランスフェクションを行い、陽性および陰性対照を付して標準的方法を用いてNOVX発現をモニターする。陽性対照は本来的にNOVXを発現する細胞であり、陰性対照はNOVXを発現しない細胞である。オーバーハング3’を有する塩基対合した21および22ヌクレオチドのsiRNAは、溶解物および細胞培養において、効果的な配列特異的mRNA分解を媒介する。異なる濃度のsiRNAを用いる。哺乳動物細胞培養の場合のインビトロでのサプレッションに効果的な濃度は25nMないし100nMの最終濃度である。このことは、慣用的なアンチセンスまたはリボザイム遺伝子標的化実験に用いる濃度よりも数オーダー低い濃度のsiRNAが有効であることを示す。
上記方法は、NOVX siRNA配列の推論およびかかるsiRNAのイオンビトロサプレッションへの使用の両方のための方法を提供する。よく知られたインビボトランスフェクションまたは遺伝子治療トランスフェクション法を用い、同じsiRNAを用いてインビボサプレッションを行ってもよい。
アンチセンス核酸
本発明のもう一つの態様は、配列番号13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53または55のヌクレオチド配列を含む核酸分子、またはそれらのフラグメント、相同体または誘導体、とハイブリダイズ可能なまたは相補的な単離アンチセンス核酸分子に関する。「アンチセンス」核酸は、タンパク質をコードする「センス」核酸に相補的な(例えば、二本鎖cDNA分子のコード化鎖に相補的な、またはmRNA配列に相補的な)ヌクレオチド配列を含む。特別な態様では、少なくとも約10、25、50、100、250、または500のヌクレオチドまたは全NOVXコード化鎖に相補的な配列、またはそれらの一部のみにを含むアンチセンス核酸分子を提供する。配列番号14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54または56のあるNOVXタンパク質のフラグメント、相同体、誘導体および類似体をコードする核酸分子、または配列番号13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53または55のあるNOVX核酸配列に相補的なアンチセンス核酸を加えて提供する。
一つの実施形態では、アンチセンス核酸分子は、あるNOVXタンパク質をコードするヌクレオチド配列のコード化鎖の「コード化領域」に対するアンチセンスである。用語「コード化領域」は、アミノ酸残基に翻訳するコドンを含むヌクレオチド配列の領域を指す。もう一つの実施形態では、アンチセンス核酸分子は、NOVXタンパク質をコードするヌクレオチド配列のコード化鎖の「非コード化領域」に対するアンチセンスである。用語「非コード化領域」は、アミノ酸に翻訳しないコード化領域に隣接する5'配列および3'配列を指す(即ち、5'非翻訳領域および3'非翻訳領域とも呼ぶ)。
本明細書に開示するNOVXタンパク質をコードするコード化鎖の配列を与えると、本発明のアンチセンス核酸をWatsonとCrickまたはHoogsteenの塩基対の規則にしたがってデザインし得る。アンチセンス核酸分子は、NOVXのmRNAの全コード化領域と相補的であり得るが、さらに好ましくは、NOVXのmRNAのコード化または非コード化領域の一部のみに対するアンチセンスであるオリゴヌクレオチドである。例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、NOVXのmRNAの翻訳開始部位を囲む領域に相補的であり得る。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えば、長さ約5、10、15、20、25、30、35、40、45または50ヌクレオチドであり得る。本発明のアンチセンス核酸を、当該分野において公知の手順を用いる化学合成または酵素ライゲーション反応を用いて構築し得る。例えば、アンチセンス核酸(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド)は、天然に存在するヌクレオチドまたは分子の生物学的安定性を増加またはアンチセンス核酸とセンス核酸の間で形成する二本鎖の物理的安定性を増加するようデザインした様々に修飾したヌクレオチドを用いて、化学合成し得る(例えば、ホスホロチオエート誘導体およびアクリジンで置換したヌクレオチドを使用しうる)。
アンチセンス核酸を作成に使用し得る修飾ヌクレオチドの例として以下のものを挙げる:5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−クロロウラシル、5−ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4−アセチルシトシン、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウリジン、5−(カルボキシヒドロキシメチル)ウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、ベータ−D−ガラクトシルクエノシン、イノシン、N6−イソペンテニルアデニン、1−メチルグアニン、1−メチルイノシン、2,2−ジメチルグアニン、2−メチルアデニン、2−メチルグアニン、5−メトキシウラシル、3−メチルシトシン、5−メチルシトシン、N6−アデニン、7−メチルグアニン、5−メチルアミノメチルウラシル、5−メトキシアミノメチル−2−チオウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、ベータ−D−マンノシルクエオシン、5’−メトキシカルボキシメチルウラシル、2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデニン、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、ワイブトキソシン、プソイドウラシル、クエオシン、2−チオシトシン、5−メチル−2−チオウラシル、5−メチルウラシル、ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル−5−オキシ酢酸、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、5−メチル−2−チオウラシル、3−(3−アミノ−3−N−2−カルボキシプロピル)ウラシル、(acp3)w、および2、6−ジアミノプリン。これに代えて、アンチセンス核酸を、核酸がアンチセンスの配向(即ち、挿入した核酸から転写したRNAが、興味ある標的核酸に対するアンチセンスの配向であり、以下の小節でさらに説明する)においてサブクローニングする発現ベクターを使用して生物学的に生産し得る。
本発明のアンチセンス核酸分子を、それらがあるNOVXタンパク質をコードする細胞性mRNAおよび/またはゲノムDNAとハイブリダイズまたは結合し、それにより(例えば、転写および/または翻訳を阻害することにより)タンパク質発現を阻害するように典型的に対象に投与するか、または組織で作成する。ハイブリダイゼーションは、安定な二本鎖を形成する従来のヌクレオチドの相補性によるものでもあり得る。または、例えば、DNA二本鎖に結合するアンチセンス核酸の場合には、二本鎖の大溝での特異的相互作用を介するものであり得る。本発明のアンチセンス核酸分子の投与経路の例として、組織部位への直接の注射を挙げる。これに代えて、アンチセンス核酸分子を、選択した細胞標的へ修飾しそこで全身性に投与し得る。例えば、全身性投与のために、アンチセンス分子を、選択した細胞表面上に発現する受容体または抗原に特異的に結合するように(例えば、ペプチドにアンチセンス核酸分子を連結させることまたは細胞表面受容体または抗原に結合する抗体により)修飾し得る。アンチセンス核酸分子をまた、本明細書に説明するベクターを用いて細胞に送達し得る。十分な核酸分子を送達するために、アンチセンス核酸分子を強力なpolIIプロモーターまたはpolIIIプロモーターの調節下に置くベクター構造が好ましい。
なおもう一つの実施形態では、本発明のアンチセンス核酸分子は、α−アノマー核酸分子である。α−アノマー核酸分子は、相補的RNAと特異的二本鎖ハイブリッドを形成し、これは通常のβユニットとは反対で鎖が互いに並行に走行する。例えば、Gaultier, et al., 1987. Nucl. Acids Res. 15: 6625-6641を参照されたい。アンチセンス核酸分子はまた、2'−o−メチルリボヌクレオチド(例えば、Inoue, et al. 1987. Nucl. Acids Res. 15: 6131-6148を参照)またはキメラRNA−DNA類似体(例えば、Inoue, et al., 1987. FEBS Lett. 215: 327-330を参照)を含み得る。
リボザイムおよびPNA部分
核酸の修飾は、非限定的な例として、修飾した塩基、および糖リン酸主鎖を修飾または誘導した核酸を挙げる。これらの修飾を少なくとも部分的に行い、例えば対象への治療応用において核酸へ結合するアンチセンスとして使用し得るように修飾した核酸の化学的安定性を増強する。
1の実施形態では、本発明のアンチセンス核酸はリボザイムである。リボザイムは、それらが相補的領域を有するmRNAのような一本鎖核酸を切断する能力のあるリボヌクレアーゼ活性を有する触媒活性RNA分子である。従って、リボザイム(例えば、Haselhoff and Gerlach 1988. Nature 334: 585-591に記載されているようなハンマーヘッドリボザイム)を使用して、NOVXのmRNA転写物を触媒的に切断し、それによりNOVXのmRNAの翻訳を阻害し得る。NOVXをコードする核酸に対する特異性を有するリボゾームは、本明細書に開示するあるNOVXcDNAのヌクレオチド配列(即ち、配列番号13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53または55)に基づいてデザインし得る。例えば、その中で活性部位のヌクレオチド配列がNOVXをコードするmRNA中で切断し得るヌクレオチド配列に相補的であるTetrahymenaL−19IVS RNAの誘導体を構築し得る。例えば、Cech, et al.の米国特許第4,987,071号およびCech, et al.の米国特許第5,116,742号を参照されたい。NOVX mRNAをまた、RNA分子のプールから特異的リボヌクレアーゼ活性を有する触媒RNAを選択するのに使用し得る。例えば、Bartel et al., (1993) Science 261:1411-1418を参照されたい。
一方、NOVX遺伝子発現は、NOVX核酸の調節領域(例えば、NOVXプロモーターおよび/またはエンハンサー)に相補的なヌクレオチド配列を標的とすることで阻害し、標的細胞中のNOVX遺伝子の転写を阻止するトリプルヘリカル構造を形成し得る。例えば、Helene, 1991. Anticancer Drug Des. 6: 569-84; Helene, et al. 1992. Ann. N.Y. Acad. Sci. 660: 27-36; Maher, 1992. Bioassays 14: 807-15を参照されたい。
種々の実施形態において、NOVX核酸を塩基部分、糖部分、またはリン酸骨格部分において修飾し、例えば、分子の安定性、ハイブリダイゼーションまたは溶解度を改善し得る。例えば、核酸のデオキシリボースリン酸骨格を修飾して、ペプチド核酸を生成し得る。例えば、Hyrup, et al., 1996. Bioorg Med Chem 4: 5-23を参照されたい。本明細書において使用する用語「ペプチド核酸」または「PNA」は、デオキシリボースリン酸骨格を擬似ペプチド骨格で置換し、4個の核酸塩基のみを保持する核酸模倣体(例えばDNA模倣体)を指す。PNAの中性骨格は、低イオン強度の条件下でDNAおよびRNAへの特異的ハイブリダイゼーションを可能にすることを示す。PNAオリゴマーの合成を、Hyrup, et al., 1996. supra; Perry-O'Keefe, et al., 1996. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93: 14670-14675に記載されているように、標準固相ペプチド合成プロトコールを用いて実施し得る。
NOVXのPNAを治療的応用および診断的応用に使用し得る。例えば、PNAを、例えば転写または翻訳停止を誘導することまたは複製を阻害することにより、遺伝子発現の配列特異的調整のためのアンチセンスまたは抗原薬剤として使用し得る。NOVXのPNAはまた、例えば、遺伝子中の単塩基対変異の分析(例えば、PCR固定を指示するPNA;他の酵素、例えば、Sヌクレアーゼ、との組合せで使用し得る人工的制限酵素として(Hyrup, et al., 1996.supraを参照);またはDNA配列およびハイブリダイゼーションのプローブまたはプライマーとして(Hyrup, et al., 1996, supra; Perry-O'Keefe, et al., 1996. supraを参照))にも使用し得る。
もう一つの実施形態では、NOVXのPNAを修飾して、例えば、PNAに親油性なまたは他の補助的な基をPNAに結合することにより、PNA−DNAキメラの生成により、またはリポソームまたは当該分野において公知の他の薬剤送達技術の使用によりそれらの安定性または細胞への取り込みを増強し得る。例えば、PNAとDNAの有益な性質を結合し得るNOVXのPNA−DNAキメラを生成し得る。かかるキメラは、DNA認識酵素(例えば、RNase HおよびDNAポリメラーゼ)がDNA部分と相互作用し、一方でPNA部分が結合高親和性および結合高特異性を提供することを可能にする。PNA−DNAキメラは、塩基結合、ヌクレオチド塩基間の結合数および配向について選択した適当な長さのリンカーを使用して結合し得る(Hyrup, et al., 1996. supraを参照)。PNA−DNAキメラの合成を、Hyrup, et al., 1996. supra および Finn, et al., 1996. Nucl Acids Res 24: 3357-3363に記載のように実施し得る。例えば、DNA鎖を、標準ホスホラミダイトカップリング化学反応を使用して固相支持体上で合成し得る。そして修飾したヌクレオシド類似体、例えば、5'-(4-メトキシトリチル)アミノ-5'-デオキシチミジンホスホラミダイトをPNAとDNAの5'末端間で使用し得る。例えば、Mag, et al., 1989. Nucl Acid Res 17: 5973-5988を参照されたい。次いで、PNAモノマーを段階的にカップリングし、5'PNAセグメントおよび3'DNAセグメントを有するキメラ分子を生成する。例えば、Finn, et al., 1996. supraを参照されたい。これに代えて、キメラ分子を5'DNAセグメントおよび3'PNAセグメントで合成することもできる。例えば、Petersen, et al., 1975. Bioorg. Med. Chem. Lett. 5: 1119-11124を参照されたい。
他の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、ペプチドのような添付群(例えば、インビボにおいて宿主細胞レセプターを標的とするため)、または細胞膜(例えば、Letsinger, et al., 1989. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 86: 6553-6556; Lemaitre, et al., 1987. Proc. Natl. Acad. Sci. 84: 648-652; PCT公開番号WO88/09810を参照)または血液脳関門(例えば、PCT公開番号WO89/10134を参照)を横切る輸送を促進する薬剤を含み得る。加えて、オリゴヌクレオチドを、ハイブリダイゼーション誘発性切断剤(例えば、Krol, et al., 1988. BioTechniques 6:958-976を参照)または挿入剤(例えば、Zon, 1988. Pharm. Res. 5: 539-549を参照)で修飾し得る。この目的のために、オリゴヌクレオチドを、例えば、ペプチド、ハイブリダイゼーション誘発性架橋剤、輸送剤、ハイブリダイゼーション誘発性切断剤等と複合し得る。
NOVXポリペプチド
本発明に従うポリペプチドは、配列が配列番号14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54または56において提供するNOVXポリペプチドのアミノ酸配列を含有するポリペプチドを含む。本発明はまた、その任意の残基が、配列番号14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54または56に示す対応する残基から変換し得る一方で、そのNOVX活性および生理機能を保持するタンパク質、またはそれらの機能的フラグメントを依然コードする変異タンパク質または変種タンパク質を含む。
一般に、NOVX様機能を保持するあるNOVX変異体は、配列中の特定部位の残基を他のアミノ酸で置換する任意の変異体を含み、親タンパク質の2個の残基間にもう一残基または複数残基を挿入する可能性ならびに親配列から1個またはそれ以上の残基を欠失する可能性をさらに含む。任意のアミノ酸の置換、挿入または欠失を本発明に包含する。好ましい状況では、置換は上で定義した保存的置換である。
本発明の一つの態様は、単離NOVXタンパク質およびそれらの生物活性部分、またはそれらの誘導体、フラグメント、類似体、または相同体に関する。また、抗NOVX抗体産生用の免疫源としての使用に適当なポリペプチドフラグメントも提供し得る。一つの実施形態では、細胞または組織供給源から標準タンパク質精製技術を使用する適当な精製スキームにより天然のNOVXタンパク質を単離し得る。もう一つの実施形態では、NOVXタンパク質を、組換えDNA技術により生産する。組換え発現に代えて、あるNOVXタンパク質またはポリペプチドを、標準ペプチド合成技術を使用して化学的に合成し得る。
「単離」または「精製」ポリペプチドまたはタンパク質またはそれらの生物活性部分は、NOVXタンパク質の由来する細胞供給源または組織供給源の細胞性物質または他の混入タンパク質を実質的に含まず、または化学的に合成したと際化学的前駆体または他の化学物質を実質的に含まない。「細胞性物質が実質的に含まれていない」という用語は、タンパク質を単離または組換え的に生産した元の細胞の細胞成分からタンパク質を分離したNOVXタンパク質の標本を含む。一つの実施形態では、「細胞原料が実質的に含まれていない」という用語は、約30%(乾燥重量比)未満の非NOVXタンパク質(ここでは「混入タンパク質」とも言う)、さらに好ましくは約20%未満の非NOVXタンパク質、なおさらに好ましくは約10%未満の非NOVXタンパク質、そして最も好ましくは約5%未満の非NOVXタンパク質を有するNOVXタンパク質の標本を含む。NOVXタンパク質またはそれらの生物活性部分を組換え的に生産する際には、それはまた、好ましくは培地を実質的に含まず、即ち、培地はNOVXタンパク質標本の容積の約20%未満、さらに好ましくは約10%未満、そして最も好ましくは5%未満を表す。
「化学的前駆体または他の化学物質を実質的に含まない」という用語は、NOVXタンパク質の標本を含み、ここでタンパク質を、タンパク質の合成に関与する化学的前駆体または他の化学物質から分離する。一つの実施形態では、「化学的前駆体または他の化学物質を実質的に含まない」という用語は、約30%未満(乾燥重量比)の化学的前駆体または非NOVX化学物質、さらに好ましくは約20%未満の化学的前駆体または非NOVX化学物質、なおさらに好ましくは約10%未満の化学的前駆体または非NOVX化学物質、および最も好ましくは約5%未満の化学的前駆体または非NOVX化学物質を有するNOVXタンパク質の標本を含む。
NOVXタンパク質の生物学的に活性な部分は、全長NOVXタンパク質より少ないアミノ酸を含有しNOVXタンパク質の少なくとも一つの活性を示すNOVXタンパク質のアミノ酸配列(例えば、配列番号14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54または56に十分相同なアミノ酸配列またはNOVXタンパク質のアミノ酸配列に示されるアミノ酸配列)に由来するアミノ酸配列を含むペプチドを含む。典型的に、生物学的に活性な部分は、NOVXタンパク質の少なくとも一つの活性を有するドメインまたはモチーフを含む。あるNOVXタンパク質の生物学的に活性な部分は、例えば10、25、50、100またはそれ以上のアミノ酸残基の長さのポリペプチドであり得る。
さらに、タンパク質の他の領域が欠失した他の生物学的に活性な部分を、組換え技術で調製しそして天然のNOVXタンパク質の機能活性の一つまたはそれ以上について評価し得る。
一つの実施形態では、NOVXタンパク質は、配列番号14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54または56に示すアミノ酸配列を有する。他の実施形態では、NOVXタンパク質は、配列番号14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54または56に実質的に相同であり、配列番号14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54または56のタンパク質の機能活性を保持するが、なお以下に詳述するように天然の対立遺伝子の変異体または変異に因りアミノ酸配列を異にする。従って、もう一つの実施形態では、NOVXタンパク質は、配列番号14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54または56のアミノ酸配列と少なくとも約45%相同なアミノ酸配列を含み、配列番号14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54または56のNOVXタンパク質の機能活性を保持するタンパク質である。
2個またはそれ以上の配列間の相同性の測定
2個のアミノ酸配列または2個の核酸の相同性の割合を測定するために、配列を至適な比較目的でアラインメント(例えば、ギャップを、2番目のアミノ酸または核酸配列と至適なアラインメントになるように第1のアミノ酸配列または核酸配列の中に入れ得る)。対応するアミノ酸部位または核酸部位におけるアミノ酸残基またはヌクレオチドを次いで比較する。第1の配列の部位を、第2の配列の対応する部位と同じアミノ酸残基またはヌクレオチドにより占めると、両分子はその部位において相同である(即ち、本明細書において使用するように、アミノ酸または核酸の「相同性」はアミノ酸または核酸の「同一性」と同等である)。
核酸配列の相同性を、2個の配列間の同一性の程度として測定し得る。相同性は、GCGプログラムパッケージに提供されるGAPソフトウエアのような、当該分野において公知のコンピュータープログラムを使用して測定し得る。Needleman and Wunsch, 1970. J Mol Biol 48: 443-453を参照されたい。以下のセッティング:GAP生成ペナルティー5.0またはGAP伸長ペナルティー0.3で、GCG GAPソフトウエアを使用して、上述の類似核酸配列のコード化領域は、配列番号13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53または55に示すDNA配列のCDS(コード化)部分と好ましくは少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%の同一性の程度を示す。
用語「配列同一性」は、2個のポリヌクレオチドまたはポリペプチドの配列が比較の特定領域に亘って残基毎に同一である程度を指す。用語「配列同一性の百分率」を、比較の領域に亘って至適にアラインメントした2個の配列を比較し、一致部位の数を求め同一の核酸塩基(例えば、核酸の場合には、A、T、C、G、U、またはI)が両方の配列中に存在する部位数を測定して、一致部位の数を比較領域の部位の総数(即ち、ウインドウサイズ)で除し、商を100倍して、配列同一性の百分率を得ることにより計算しうる。本明細書において使用する用語「実質的同一性」は、ポリヌクレオチド配列の特性を意味する。ここでポリヌクレオチドは、比較領域に亘って標準配列と比較して少なくとも80%の配列同一性、好ましくは少なくとも85%の配列同一性、およびしばしば90〜95%の配列同一性、さらに通常には少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含む。
キメラタンパク質または融合タンパク質
本発明はまた、NOVXキメラタンパク質または融合タンパク質を提供する。本明細書において使用するように、あるNOVX「キメラタンパク質」または「融合タンパク質」は、非NOVXポリペプチドに作動し得るように連結したあるNOVXポリペプチドを含む。「NOVXポリペプチド」は、配列番号14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54または56のあるNOVXタンパク質に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドを指す一方で、「非NOVXポリペプチド」は、NOVXタンパク質と実質的に相同でないタンパク質に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチド、例えば、NOVXタンパク質と異なり同一または異なる生物由来であるタンパク質を指す。あるNOVX融合タンパク質内では、NOVXポリペプチドはあるNOVXタンパク質の全部または一部に対応し得る。一つの実施形態では、あるNOVX融合タンパク質はあるNOVXタンパク質の少なくとも一つの生物学的に活性な部分を含む。もう一つの実施形態では、あるNOVX融合タンパク質は、あるNOVXタンパク質の少なくとも二つの生物学的に活性な部分を含む。なおもう一つの実施形態では、あるNOVX融合タンパク質は、あるNOVXタンパク質の少なくとも三つの生物学的に活性な部分を含む。融合タンパク質内では、用語「作動し得るように連結した」は、NOVXポリペプチドおよび非NOVXポリペプチドがお互いにインフレームで融合していることを示すものとする。非NOVXポリペプチドを、NOVXポリペプチドのN末端またはC末端に融合し得る。
一つの実施形態では、融合タンパク質は、GST−NOVX融合タンパク質である。ここでNOVX配列がGST(グルタチオンS転移酵素)のC末端に融合する。そのような融合タンパク質は、組換えNOVXポリペプチドの精製を容易にし得る。
もう一つの実施形態では、融合タンパク質は、そのN末端に異種のシグナル配列を含有するあるNOVXタンパク質である。特定の宿主細胞(例えば、哺乳動物の宿主細胞)において、NOVXの発現および/または分泌を異種シグナル配列の使用を介して増強し得る。
なおもう一つの実施形態では、融合タンパク質は、NOVX−免疫グロブリン融合タンパク質である。ここでNOVX配列は、免疫グロブリンタンパク質ファミリーのメンバー由来の配列と融合している。この実施形態の1つの態様において、免疫グロブリン融合タンパク質は、免疫グロブリンのFc部分である。該Fc部分はNOVXのN末端またはC末端に融合している。特定の実施形態において、該融合タンパク質は、例えば、配列番号50および54である。本発明のNOVX−免疫グロブリン融合タンパク質を、医薬組成物中に組み入れ、対象に投与し、細胞上でのNOVXリガンドとあるNOVXタンパク質との相互作用を阻害し、それによりインビボでのNOVX仲介性の情報伝達を抑制し得る。NOVX−免疫グロブリン融合タンパク質を使用して、あるNOVXと同種のリガンドの生物学的利用性に影響を及ぼし得る。NOVXリガンド/NOVX相互作用の阻害は、増殖および分化障害の処置ならびに細胞生存を調整(例えば増強または阻害)のために治療上有用であり得る。さらに、本発明のNOVX−免疫グロブリン融合タンパク質を使用して、対象中で抗NOVX抗体を生産し、NOVXリガンドを精製し、そしてスクリーニングアッセイにおいて、NOVXのあるNOVXリガンドとの相互作用を阻害する分子を同定し得る。
本発明のNOVXキメラタンパク質または融合タンパク質を、標準組換えDNA技術により生産し得る。例えば、異なるポリペプチド配列をコードするDNAフラグメントを、例えば、連結のための平滑末端化または互い違い末端を用いること、適切な末端を提供するための制限酵素による切断、適切に粘着末端の充填、望ましくない結合を防止するためのアルカリホスファターゼ処理、および酵素的結合などの従来の方法にしたがってインフレームで一緒に連結する。もう一つの実施形態では、融合遺伝子を、自動DNA合成機を含む従来の技術により合成し得る。これに代えて、遺伝子フラグメントのPCR増幅を、2個の連続する遺伝子フラグメント間で相補的なオーバーハングを生じるアンカープライマーを用いて行い、それらを引き続いてアニールし、再増幅して、キメラ遺伝子配列を生成し得る(例えば、Ausubel, et al. (eds.) CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY, John Wiley & Sons, 1992を参照)。さらに、融合部分を既にコードする多くの発現ベクター(例えば、GSTポリペプチド)が市販されている。NOVXをコードする核酸を、融合部分がNOVXタンパク質にインフレームで結合するように、そのような発現ベクターの中にクローン化することができる。
NOVXアゴニストおよびアンタゴニスト
本発明はまた、NOVXアゴニスト(即ち、ミメティクス)またはNOVXアンタゴニストのいずれかとして機能するNOVXタンパク質の変異体を含む。NOVXタンパク質の変異体は、突然変異(例えば、NOVXタンパク質の点突然変異または切断)により生成し得る。NOVXタンパク質のアゴニストは、天然に存在する形のNOVXタンパク質と実質的に同一な生物学的諸活性またはそのサブセットを保持する。NOVXタンパク質のアゴニストは、例えば、NOVXタンパク質を含む、細胞の情報伝達カスケードの下流または上流メンバーに拮抗的に結合することにより、天然に存在する形のNOVXタンパク質の一つまたはそれ以上の活性を阻害し得る。従って、特異的な生物学的作用を、限定された機能を有する変異体での処置により発揮することができる。一つの実施形態では、天然に存在する形のタンパク質の生物学的活性のサブセットを有する変異体による対象の処置は、天然に存在する形のNOVXタンパク質による処置と比べて対象における副作用がより少ない。
NOVXアゴニスト(即ちミメティック)またはNOVXアンタゴニストのどちらかとして機能するNOVXタンパク質の変異体は、NOVXタンパク質の突然変異体(例えば切断突然変異体)の組換えライブラリーをNOVXタンパク質アゴニストまたはアンタゴニスト活性についてスクリーニングすることにより同定し得る。一つの実施形態では、NOVX変異体の変化に富むライブラリーを、核酸レベルでの組換え(コンビナトリアル)変異誘発によって生成し、そして変化に富む遺伝子ライブラリーによりコードする。NOVX変異体の変化に富むライブラリーは、例えば、潜在的NOVX配列の縮重したセットが個別のポリペプチドとして発現可能であるように、合成オリゴヌクレオチドの混合物を遺伝子配列に酵素的に連結することにより、またはこれに代えて、その中にNOVX配列のセットを含有するさらに大きい融合タンパク質(例えば、ファージディスプレー用に)のセットとして、生成し得る。縮重したオリゴヌクレオチド配列から潜在的NOVX変異体のライブラリーを使用して生成し得る種々の方法がある。縮重遺伝子配列の化学合成を自動DNA合成機により行い、次いで、合成遺伝子を適切な発現ベクター内に連結し得る。遺伝子の縮重セットの使用は、潜在的NOVX配列の所望のセットをコードする配列の全ての、一つの混合物の提供を可能にする。縮重オリゴヌクレオチドを合成する方法は当該分野内において周知である。例えば、Narang, 1983. Tetrahedron 39: 3; Itakura, et al., 1984. Annu. Rev. Biochem. 53: 323; Itakura, et al., 1984. Science 198: 1056; Ike, et al., 1983. Nucl. Acids Res. 11: 477を参照されたい。
ポリペプチドライブラリー
加えて、NOVXタンパク質コード化配列のフラグメントライブラリーを用いて、NOVXタンパク質の変異体のスクリーニングおよびそれに続く選択のためにNOVXフラグメントの変化に富む集団を生成し得る。一つの実施形態では、コード化配列フラグメントのライブラリーを、あるNOVXコード化配列の二本鎖PCR断片を、ニッキングが分子あたりたった約1回生じる条件でヌクレアーゼ処置し、二本鎖DNAを変性させ、DNAを異なるニッキング産物由来のセンス/アンチセンス対を含み得る二本鎖DNAを形成し、Sヌクレアーゼの処理で再生成した二重らせんから単鎖部分を除去し、そして得られたフラグメントライブラリーを発現ベクターに連結することにより、生成し得る。この方法によって、NOVXタンパク質の種々のサイズのN末端または内部フラグメントをコードする発現ライブラリーを誘導し得る。
点突然変異または切断により作成した組換え(コンビナトリアル)ライブラリーの遺伝子産物をスクリーニングする、および選択した性質を有する遺伝子産物のためにcDNAライブラリーをスクリーニングする種々の技術は、当該分野において公知である。かかる技術は、NOVXタンパク質の組換え(コンビナトリアル)突然変異誘発により生成した遺伝子ライブラリーの迅速なスクリーニングに適用可能である。大きな遺伝子ライブラリーをスクリーニングするハイスループット分析に適用可能な最も広く使用する技術は、遺伝子ライブラリーを複製可能な発現ベクターにクローニングし、得られたベクターライブラリーで適切な細胞を形質転換すること、そして、所望の活性の検出がその生産物を検出する遺伝子をコードするベクターの単離を容易する条件で、組換え(コンビナトリアル)遺伝子を発現することを典型的に含む。ライブラリー中の機能的変異の頻度を増大する新しい技術である繰り返しアンサンブル変異誘発(REM)をスクリーニングアッセイと組み合わせて使用して、NOVX変異体を同定し得る。例えば、Arkin and Yourvan, 1992. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 7811-7815; Delgrave, et al., 1993. Protein Engineering 6:327-331を参照されたい。
抗NOVX抗体
NOVXタンパク質、またはNOVXタンパク質のフラグメントに対する抗体は本発明に含まれる。本明細書において使用する用語「抗体」は、免疫グロブリン分子および免疫グロブリン(Ig)分子の免疫学的に活性な部分、即ち、抗原に特異的に結合する(と免疫学的に反応する)抗原結合部位を含有する分子を指す。かかる抗体としては、ポリクローナル、モノクローナル、キメラ、単鎖、Fab、Fab' およびF(ab')2フラグメントならびにFab発現ライブラリーが挙げるが、これらに限定しない。一般に、ヒトから得る抗体分子は、IgG、IgM、IgA、IgEおよびIgDのクラスのいずれかに関し、これらは分子中に存在するH鎖の性質によりお互いに異なる。特定のクラスは、IgG1、IgG2およびその他のような、サブクラスを同様に有する。さらに、ヒトにおいて、L鎖は、k鎖またはλ鎖であり得る。本明細書における抗体への参照は、ヒト抗体種の全てのそのようなクラス、サブクラスおよびタイプへの参照を含む。
抗原として使用することを意図した本発明の単離タンパク質、またはその部分またはフラグメントを免疫源として使用しポリクローナルおよびモノクローナル抗体調製の標準的技術を使用し、抗原に免疫特異的に結合する抗体を生成し得る。全長のタンパク質を使用し得るが、またはこれに代えて、本発明は、免疫源として使用するための抗原の抗原性ペプチドフラグメントを提供する。抗原性ペプチドフラグメントは、配列番号14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54または56に示すアミノ酸配列のような全長タンパク質のアミノ酸配列の少なくとも6個のアミノ酸残基を含み、そしてペプチドに対して育成した抗体が、エピトープを含有する全長タンパク質または任意のフラグメントと特異的な免疫複合体を形成するようそのエピトープを包含する。好ましくは、抗原性ペプチドは、少なくとも10個のアミノ酸残基、または少なくとも15個のアミノ酸残基、または少なくとも20個のアミノ酸残基、または少なくとも30個のアミノ酸残基を含む。抗原性ペプチドにより包含する好ましいエピトープは、表面に局在するタンパク質領域であり;これらは通常親水性領域である。
本発明の特定の実施形態において、抗原性ペプチドにより包含される少なくとも一つのエピトープは、タンパク質の表面に局在するNOVX領域、例えば、親水性領域である。ヒトNOVXタンパク質配列の疎水性分析は、NOVXポリペプチドのどの領域が特に親水性であり、したがって抗体生産を目標とするために有用な表面残基をコードする可能性が高いかを示す。抗体生産を目標とするための手段として、親水性および疎水性領域を示すハイドロパシープロットを、例えば、どちらもフーリエ変換を用いるかまたは用いないで、Kyte DoolittleまたはHopp Woods方法を含む当該分野において周知の任意の方法で生成し得る。例えば、Hopp and Woods, 1981, Proc. Nat. Acad. Sci. USA 78: 3824-3828; Kyte and Doolittle 1982, J. Mol. Biol. 157: 105-142(いずれも全体的な出典明示により本明細書の一部とする)を参照されたい。抗原性タンパク質またはその誘導体、フラグメント、類似体または相同体内の一つまたはそれ以上のドメインに特異的である、抗体はまた、本明細書において提供する。
用語「エピトープ」には、免疫グロブリンまたはT細胞受容体に特異的に結合し得る全てのタンパク質決定基(部位)が含まれる。エピトープ様決定基(部位)は、通常、化学的に活性な分子(例えば、アミノ酸もしくは糖側鎖など)表面群を含み、通常、特定の三次元的構造特性、に加えて特定電荷特性を示す。あるNOVXポリペプチドまたはそれらのフラグメントは、少なくとも1つの抗原エピトープを持つ。アッセイ(例えば、当業者には既知のラジオリガンド結合アッセイまたは類似のアッセイ)によって測定されるような、平衡結合定数Kが、1μM、好ましくは100nM、より好ましくは10nM、もっとも好ましくは100pM〜約1pMである場合、本発明の抗NOVX抗体は、抗原NOVXに特異的に結合するという。
本発明のタンパク質、またはその誘導体、フラグメント、類似体、相同体、またはオーソログを、これらのタンパク質成分に免疫特異的に結合する抗体の生成において免疫源として利用することができる。
当該分野内において公知の種々の方法を、本発明のタンパク質、またはその誘導体、フラグメント、類似体、相同体、またはオーソログ、に対するポリクローナルまたはモノクローナル抗体の生産に使用し得る(例えば、Antibodies: A Laboratory Manual, Harlow E, and Lane D, 1988, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NYを出典明示により本明細書の一部とする)を参照されたい。これらの抗体の幾つかについて以下に考察する。
ポリクローナル抗体
ポリクローナル抗体の生産には、種々の適当な宿主動物(例えばウサギ、ヤギ、マウス、または他の哺乳動物)を、天然タンパク質、その合成変異体、または前述の誘導体を1回またはそれ以上注射して免疫を行い得る。適切な免疫原性製剤としては、例えば、天然に存在する免疫原性タンパク質、免疫原性タンパク質を代表する化学的に合成したポリペプチド、または組換え的に発現した免疫原性タンパク質を挙げ得る。さらに、タンパク質を、免疫する哺乳動物において免疫原性であることが知られている第2のタンパク質と複合体を形成してもよい。かかる免疫原性タンパク質の例としては、キーホールリンペットヘモシニアン、血清アルブミン、ウシサイログロブリンおよび大豆トリプシン阻害剤が挙げられるが、これらに限定されない。製剤はさらにアジュバントを含有し得る。免疫応答を増大するために使用する種々のアジュバントとしては、フロイントの(完全および不完全)アジュバント、鉱物ゲル(例えば水酸化アルミニウム)、界面活性剤(例えばリゾレシチン、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、オイルエマルジョン、ジニトロフェノール等)、カルメット-ゲラン杆菌およびコリネバクテリウム-パルヴムのようなヒトに使用可能なアジュバント、または類似の免疫促進剤が挙げられるが、これらに限定されない。使用し得るアジュバントのさらに別な例としては、MPL−TDMアジュバント(モノホスホリルリピドA、合成ジコリノミコール酸トレハロース)を挙げ得る。
免疫原性タンパク質に対するポリクローナル抗体を、哺乳動物から(例えば、血液から)単離して、免疫血清中の主としてIgG画分を提供するプロテインAまたはプロテインGを用いるアフィニティークロマトグラフィーのような、公知の技術を用いてさらに精製し得る。引き続いて、またはこれに代えて、求める免疫グロブリンの標的である特異的抗原、またはそのエピトープ、をカラム上に固相化して、イムノアフィニティークロマトグラフィーにより免疫特異的抗体を精製し得る。免疫グロブリンの精製を、例えば、D. Wilkinson (The Scientist, published by The Scientist, Inc., Philadelphia PA, Vol. 14, No. 8 (April 17, 2000), pp. 25-28)により考察する。
モノクローナル抗体
本明細書において使用する用語「モノクローナル抗体」(MAb)または「モノクローナル抗体組成物」は、特徴的なL鎖遺伝子産物および特徴的なH鎖遺伝子産物より成る抗体分子の1分子種のみを含有する抗体分子の集団を指す。特に、モノクローナル抗体の相補性決定領域(CDR)は、集団の全ての分子において同一である。従って、MAbは、それに対する特徴的な結合活性を特徴とする抗原の特定のエピトープと免疫反応する能力がある抗原結合部位を含有する。
モノクローナル抗体を、Kohler and Milstein, Nature, 256:495 (1975)により記載するような、ハイブリドーマ方法を用いて調製し得る。ハイブリドーマ方法では、マウス、ハムスター、または他の適切な宿主動物を典型的に免疫化剤で免疫することにより、免疫化剤に特異的に結合する抗体を生産するかまたは生産する能力のあるリンパ球を誘発する。これに代えて、リンパ球をインビトロで免疫することができる。
免疫化剤としては典型的に、タンパク質抗原、それらのフラグメントまたはその融合タンパク質が挙げられる。一般的に、ヒト由来の細胞を所望するならば、末梢血リンパ球を使用し、またはヒト以外の哺乳動物源を所望するならば、脾臓細胞またはリンパ節細胞を使用するかのいずれかである。次いで、リンパ球を、ポリエチレングリコールのような適当な融合剤を用いて不死化細胞株と融合し、ハイブリドーマ細胞を生成する(Goding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, Academic Press, (1986) pp. 59-103)。不死化細胞株は通常、形質転換した哺乳動物細胞、特にげっ歯類、ウシまたはヒト由来の骨髄腫細胞である。通常、ラットまたはマウスの骨髄腫細胞株を使用し得る。ハイブリドーマ細胞を、融合していない不死化細胞の増殖または生存を阻害する一つまたはそれ以上の物質を好ましくは含有する適切な培地中で培養し得る。例えば、親細胞が、酵素ヒポキサンチン・グアニン・ホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRTまたはHPRT)を欠くならば、ハイブリドーマ用の培地は典型的に、その物質がHGPRT欠失細胞の増殖を阻止する、ヒポキサンチン、アミノプテリンおよびチミジンを含む(“HAT培地”)。
好ましい不死化細胞株は、効率的に融合し、選択した抗体生産細胞による抗体の高レベル発現を支持し、そしてHAT培地のような培地に感受性のあるものである。さらに好ましい不死化細胞株は、例えば、Salk Institute Cell Distribution Center, San Diego, Californiaおよびthe American Type Culture Collection, Manassas, Virginiaから入手し得るマウス骨髄腫細胞株である。ヒト骨髄腫およびマウス−ヒトヘテロ骨髄腫細胞株はまた、ヒトモノクローナル抗体の生産用に記載する(Kozbor, J. Immunol., 133:3001 (1984); Brodeur et al., Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications, Marcel Dekker, Inc., New York, (1987) pp. 51-63)。
ハイブリドーマが培養する培地を次いで、抗原に対するモノクローナル抗体の存在についてアッセイし得る。好ましくは、ハイブリドーマ細胞によって生産したモノクローナル抗体の結合特異性を、免疫沈降によりまたはラジオイムノアッセイ(RIA)または酵素結合免疫吸着検査法(ELISA)のような、インビトロ結合アッセイによって測定する。そのような技術またはアッセイは当該分野において公知である。モノクローナル抗体の結合親和性を、例えば、Munson and Pollard, Anal. Biochem., 107:220 (1980)のScatchard分析により測定し得る。標的抗原に対して高度の特異性および高い結合親和性を有する抗体を同定することは、モノクローナル抗体の治療的応用において特に重要な目的である。
所望のハイブリドーマ細胞を同定した後、クローンを限界希釈法でサブクローン化して、標準方法で増殖し得る(Goding,1986)。この目的のための適当な培地としては、例えば、ダルベッコ変法イーグル培地(Dulbecco's Modified Eagle's Medium)およびRPMI−1640培地を挙げ得る。これに代えて、ハイブリドーマ細胞を哺乳動物中で腹水としてインビボで増殖し得る。
サブクローンにより分泌したモノクローナル抗体を、培地または腹水から、例えば、プロテイン−Aセファローズ、ハイドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、またはアフィニティークロマトグラフィーのような従来の免疫グロブリン精製手順により単離または精製し得る。
モノクローナル抗体をまた、米国特許第4,816,567号に記載するような組換えDNA方法により作り得る。本発明のモノクローナル抗体をコードするDNAを、従来の手順を使用して(例えば、マウス抗体のH鎖およびL鎖をコードする遺伝子に特異的に結合する能力のある、オリゴヌクレオチドプローブを使用することにより)容易に単離し配列決定し得る。本発明のハイブリドーマ細胞はそのようなDNAの好ましい供給源として役立つ。一旦単離すれば、DNAを発現ベクター中に配置し、それを次いでサルのCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、またはそうしなければ免疫グロブリンタンパク質を産生しない骨髄腫細胞のような宿主細胞中に形質移入して、組換え宿主細胞中でモノクローナル抗体の合成を取得し得る。DNAをまた、例えば相同なマウスの配列の代わりにヒトのH鎖およびL鎖の通常ドメインに対するコード化配列を置換することにより(米国特許第4,816,567号; Morrison, Nature 368, 812-13 (1994))、または非免疫グロブリンペプチドに対するコード化配列の全部または一部を免疫グロブリンのコード化配列に共有結合することにより、修飾し得る。そのような非免疫グロブリンポリペプチドを、本発明の抗体の通常ドメインに対して置換することができるか、または本発明の抗体の一つの抗原結合部位の可変ドメインに対して置換して、キメラ2価抗体を創成することができる。
ヒト化抗体
本発明のタンパク質抗原に対する抗体はさらに、ヒト化抗体またはヒト抗体を含む。これらの抗体は、投与した免疫グロブリンに対してヒトによる免疫応答を惹き起こすことなくヒトに投与するのに適している。抗体のヒト化型は、主としてヒト免疫グロブリンの配列より成って、非ヒト免疫グロブリン由来の最小限の配列を含有する、キメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖、またはそれらのフラグメント(Fv、Fab、Fab'、F(ab')または抗体の他の抗原結合サブ配列)である。ヒト化は、Winterまたは共同研究者(Jones et al., Nature, 321:522-525 (1986); Riechmann et al., Nature, 332:323-327 (1988); Verhoeyen et al., Science, 239:1534-1536 (1988))の方法にしたがって、げっ歯類のCDRまたはCDR配列をヒト抗体の対応する配列で置換することにより、実施し得る。(また、米国特許第5,225,539号を参照)場合によっては、ヒト免疫グロブリンのFvフレーム枠の残基を対応する非ヒト残基により置換し得る。ヒト化抗体はまた、レシピエント抗体またはCDRまたはフレーム枠配列にも見出さない残基を含み得る。一般に、ヒト化抗体は少なくとも一つ、また典型的には二つの可変ドメインの実質的に全てを含む。ここでCDR領域の全てまたは実質的に全てが非ヒト免疫グロブリンのCDR領域に対応し、そしてフレーム枠領域の全てまたは実質的に全てがヒト免疫グロブリンのコンセンサス配列のものである。ヒト化抗体は至適にはまた、免疫グロブリンの通常領域(Fc)、典型的にはヒト免疫グロブリンのものの少なくとも一部を含む(Jones et al., 1986; Riechmann et al., 1988; および Presta, Curr. Op. Struct. Biol., 2:593-596 (1992))。
ヒト抗体
完全なヒト抗体は、CDRを含むL鎖およびH鎖の全配列がヒトの遺伝子より生じる、抗体分子に本質的に関する。かかる抗体は本明細書では、「ヒト抗体」または「完全なヒト抗体」と呼称する。ヒトモノクローナル抗体を、トリオーマ技術;ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozbor, et al., 1983 Immunol Today 4: 72を参照)およびEBVハイブリドーマ技術により調製し、ヒトモノクローナル抗体を生産し得る(Cole, et al., 1985 In: MONOCLONAL ANTIBODIES AND CANCER THERAPY, Alan R. Liss, Inc., pp. 77-96を参照)。ヒト化モノクローナル抗体を、本発明の実施に利用し得て、そしてヒトハイブリドーマを用いて(Cote, et al., 1983. Proc Natl Acad Sci USA 80: 2026-2030を参照)またはヒトB細胞をインビトロでEpstein Barrウイルスにより形質転換することによって(Cole, et al., 1985 In: MONOCLONAL ANTIBODIES AND CANCER THERAPY, Alan R. Liss, Inc., pp. 77-96を参照)生産し得る。
加えて、ヒト抗体はまた、ファージディスプレイライブラリー(Hoogenboom and Winter, J. Mol. Biol., 227:381 (1991); Marks et al., J. Mol. Biol., 222:581 (1991))を含むさらに別な技術を用いて生産し得る。同様に、ヒト抗体を、ヒト免疫グロブリンの遺伝子座をトランスジェニック動物、例えば、マウスに導入することによって作り得る。ここで内在性免疫グロブリン遺伝子を部分的にまたは完全に不活化する。チャレンジによって、遺伝子再配列、アセンブリー、および抗体レパトリ−を含む全ての面でヒトにおいて見られるのと非常に良く似たヒト抗体生産を観察する。このアプローチは、例えば、米国特許第5,545,807号; 5,545,806号; 5,569,825号; 5,625,126号; 5,633,425号; 5,661,016号、ならびに Marks et al. (Bio/Technology 10, 779-783 (1992))、Lonberg et al. (Nature 368 856-859 (1994))、Morrison ( Nature 368, 812-13 (1994))、Fishwild et al,( Nature Biotechnology 14, 845-51 (1996))、Neuberger (Nature Biotechnology 14, 826 (1996))、 Lonberg and Huszar (Intern. Rev. Immunol. 13 65-93 (1995))に記載されている。
ヒト抗体を、抗原によるチャレンジに応答して動物の内在性抗体ではなく完全なヒト抗体を生産するように修飾したトランスジェニック非ヒト動物を用いて、付加的に生産し得る(PCT公開番号WO94/02602を参照)。非ヒト宿主中の免疫グロブリンH鎖およびL鎖をコードする内在性遺伝子を無能にし、そしてヒト免疫グロブリンのH鎖およびL鎖をコードする活性遺伝子座を宿主のゲノムの中に挿入する。ヒトの遺伝子を、例えば、必要なヒトDNAセグメントを含有する酵母の人工染色体を用いて組み入れ得る。全ての所望の修飾を提供する動物は次いで、修飾の全相補物より少ない相補物を含有する中間トランスジェニック動物を交雑育種することにより子孫として得られる。そのような非ヒト動物の好ましい実施形態はマウスであり、PCT公開番号WO96/33735およびWO96/34096号に開示されているようにXenomouse[登録商標]と呼称する。この動物は、完全なヒト免疫グロブリンを分泌する、B細胞を生産する。抗体は、興味のある免疫原で免疫後、動物から、例えば、ポリクローナル抗体の標本として、直接得ることも、またはこれに代えて、モノクローナル抗体を生産するハイブリドーマのような、動物由来の不死化B細胞から得ることもできる。これに加えて、ヒトの可変領域を持つ免疫グロブリンをコードする遺伝子を回収し、発現して、抗体を直接得ることもでき、またはさらに修飾して、例えば、単鎖Fv分子のような抗体の類似体を得ることができる。
内在性免疫グロブリンのH鎖の発現を欠失する、マウスとして例証した、非ヒト宿主を生産する方法の実施例は、米国特許第5,939,598号、に開示されている。それは、遺伝子座の再配列を阻止するためにそして再配列した免疫グロブリンH鎖の遺伝子座の転写物生成を阻止するために、胚性幹細胞中の少なくとも一つの内在性H鎖の遺伝子座からJセグメントを欠失させ、この欠失は選択マーカーをコードする遺伝子を含有するターゲティングベクターによりもたらされ、そして体細胞または胚細胞が選択マーカーをコードする遺伝子を含有するトランスジェニックマウスを胚性幹細胞から生産することを含む方法により得られる。
ヒト抗体のような興味のある抗体を生産する方法は、米国特許第5,916,771号、に開示されている。それは、H鎖をコードするヌクレオチド配列を含有する発現ベクターを一つの培養哺乳動物宿主細胞に導入すること、L鎖をコードするヌクレオチド配列を含有する発現ベクターをさらに別な哺乳動物宿主細胞に導入すること、および2個の細胞を融合してハイブリッド細胞を生成することを含む。ハイブリッド細胞は、H鎖およびL鎖を含有する抗体を発現する。
この手順のさらなる改良において、免疫原上の臨床的に関係のあるエピトープを同定する方法、および関係のあるエピトープに高親和性で免疫特異的に結合する抗体を選択する相関的方法が、PCT公開番号WO99/53049に開示されている。
abフラグメントおよび単鎖抗体
本発明にしたがって、技術を、本発明の抗原タンパク質に特異的な単鎖抗体の生産に適合することができる(例えば米国特許第4,946,778号を参照)。加えて、方法を、Fab発現ライブラリーの構築に適合し(例えば、Huse, et al., 1989 Science 246: 1275-1281、を参照)、タンパク質またはその誘導体、フラグメント、類似体または相同体に対して所望の特異性を有するモノクローナルFabフラグメントの迅速かつ効果的な同定を可能し得る。タンパク質抗原に対するイディオタイプを含有する抗体フラグメントを、当該分野において公知の技術により生産し得て、それは、(i)抗体分子のペプシン消化により生産するF(ab')2フラグメント;(ii)F(ab')2フラグメントのジスルフィド架橋を還元して得られるFabフラグメント;(iii)抗体分子をパパインおよび還元剤で処置して生成するFabフラグメント;ならびに(iv)Fフラグメントを含むが、これらに限定されない。
二重特異性抗体
二重特異性抗体は、少なくとも二つの異なる抗原に結合特異性を有するモノクローナル抗体、好ましくはヒトのまたはヒト化の抗体である。本明細書においては、結合特異性の一つは本発明の抗原タンパク質に対するものである。2番目の結合標的は、任意の他の抗原であって、有利に細胞表面タンパク質または受容体または受容体サブユニットである。
二重特異性抗体の作成方法は当該分野において公知である。伝統的に、二重特異性抗体の組換え生産は、2個のH鎖が異なる特異性を有する2個の免疫グロブリンH鎖/L鎖対の共発現に基づく(Milstein and Cuello, Nature, 305:537-539 (1983))。免疫グロブリンH鎖およびL鎖のランダムな組合せのため、これらのハイブリドーマ(クアドローマ)は10種の異なる抗体分子の潜在的混合物を生産し、そのうちの一つだけが正しい2重特異性構造を有する。正しい分子の精製は通常、アフィニティークロマトグラフィーにより行う。類似の方法が、1993年5月に公開されたWO93/08829およびTraunecker et al., EMBO J., 10:3655-3659 (1991)に開示されている。
所望の結合特異性を持つ抗体の可変ドメイン(抗体−抗原結合部位)を、免疫グロブリンの通常ドメイン配列に融合し得る。融合は、好ましくは、ヒンジ、CH2およびCH3領域の少なくとも一部を含む免疫グロブリンH鎖の通常ドメインと共にある。少なくとも融合の一つの中に存在するL鎖結合に必要な部位を含有する第1のH鎖通常領域(CH1)を有することが好ましい。免疫グロブリンH鎖の融合をコードするDNA、および所望ならば、免疫グロブリンL鎖を別々の発現ベクター中に挿入し適当な宿主生物中に形質移入する。二重特異性抗体のさらなる詳細については、例えば、Suresh et al., Methods in Enzymology, 121:210 (1986)を参照されたい。
WO96/27011に記載されたもう一つのアプローチによれば、一対の抗体分子間の境界面を改変して、組換え細胞培地から回収するヘテロダイマーの百分率を最大にし得る。好ましい境界面は、抗体の通常ドメインのCH3領域の少なくとも一部を含む。この方法では、第1の抗体分子の境界面の一つまたはそれ以上の小さなアミノ酸側鎖を、より大きな側鎖(例えばチロシンまたはトリプトファン)で置換する。大きな側鎖(複数を含む)と同一または類似のサイズの代償的な「空隙」を、大きなアミノ酸側鎖をより小さなもの(例えばアラニンまたはスレオニン)で置換することにより第2の抗体分子の境界面に生成する。これは、ホモダイマーのような他の望ましくない最終産物以上にヘテロダイマーの収量を増加する機構を提供する。
二重特異性抗体を、抗体の全長または抗体フラグメント(例えばF(ab')二重特異性抗体)として調製することができる。抗体フラグメントから二重特異性抗体を生成する技術は文献に記載されている。例えば、二重特異性抗体フラグメントを、化学的結合を用いて調製することができる。Brennan et al., Science 229:81 (1985)は、完全な抗体をタンパク質分解酵素で切断してF(ab')フラグメントを生成する手順を記載する。これらのフラグメントをジチオール錯化剤の亜ヒ酸ナトリウムの存在下で還元して、隣接するジチオールを安定化させて、分子間ジスルフィド形成を阻止する。次いで、生成したFab'フラグメントをチオニトロ安息香酸(TNB)誘導体に変換する。次いで、Fab'−TNBの一つをメルカプトエチルアミンとの還元によりFab'−チオールに再変換し、そして等量の他のFab'−TNB誘導体と混合して、二重特異性抗体を生成する。生成した二重特異性抗体を酵素の選択的固定化剤として使用し得る。
これに加えて、Fab'フラグメントを大腸菌から直接回収して、化学的にカップリングして、二重特異性抗体を生成し得る。Shalaby et al., J. Exp. Med. 175:217-225 (1992)は、完全にヒト化した二重特異性抗体のF(ab')分子の生産を記載している。それぞれのFab'フラグメントを大腸菌から別々に分泌し、インビトロで指向性化学カップリングに供して、二重特異性抗体を形成した。従って形成した二重特異性抗体を、ErbB2受容体を過剰発現する細胞および正常ヒトT細胞に結合することができ、ならびにヒト乳腺腫瘍標的に対するヒト細胞障害性リンパ球の溶解活性を誘発することができた。
組換え細胞培地から直接二重特異性抗体を作成し単離する種々の技術をまた記載する。例えば、二重特異性抗体をロイシンジッパーを用いて生産する。Kostelny et al., J. Immunol. 148(5):1547-1553 (1992)。Fosタンパク質およびJunタンパク質由来のロイシンジッパーを遺伝子融合により二つの異なる抗体のFab'部分に結合した。抗体のホモダイマーをヒンジ領域において還元して、モノマーを形成し、次いで再酸化して、抗体のヘテロダイマーを形成した。この方法をまた、抗体のホモダイマーの生産に利用することができる。Hollinger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:6444-6448 (1993)により記載されている「diabody」技術は、二重特異性抗体フラグメント作成のさらに別の機構を提供する。フラグメントは、リンカーによりL鎖可変領域(V)に連結したH鎖可変領域(V)を含むが、リンカーが短いため同じ鎖の上の2個のドメイン間での対形成を可能にしない。したがって、一つのフラグメントのVおよびVドメインは強制的にもう一つのフラグメントの相補的なVおよびVドメインと対を形成し、それにより二つの抗原結合部位を形成する。単鎖Fv(sFv)のダイマーの使用による二重特異性抗体フラグメント作成のもう一つの戦略がまた報告されている。Gruber et al., J. Immunol. 152:5368 (1994)を参照されたい。
3価以上の結合価をもつ抗体も考得る。例えば、3重特異性抗体を調製し得る。例えば、Tutt et al., J. Immunol. 147:60 (1991)。
典型的な二重特異性抗体は、少なくとも一つが本発明のタンパク質抗原に由来する二つの異なるエピトープに結合し得る。これに代えて、免疫グロブリン分子の抗−抗原アームを、白血球上でT細胞受容体分子(例えば、CD2、CD3、CD28またはB7)またはFcγRI(CD64)、FcγRII(CD32)およびFcγRIII(CD16)のような、IgGに対するFc受容体(Fcγ)のような誘発性分子に結合するアームと組み合わせて、特定の抗原を発現する細胞に対する細胞性防御機構に焦点を当て得る。二重特異性抗体をまた使用して、特定の抗原を発現している細胞に細胞障害性物質を指向し得る。これらの抗体は、抗原結合アームおよび細胞障害性薬剤またはEOTUBE、DPTA、DOTAまたはTETAのような放射性核種キレート化剤と結合するアームを所有する。興味のあるもう一つの二重特異性抗体は、本明細書に説明するタンパク質抗原と結合して、さらに組織因子(TF)と結合する。
ヘテロ複合抗体
ヘテロ複合抗体はまた本発明の範囲内にある。ヘテロ複合抗体は、共有結合で結合した二つの抗体より成る。そのような抗体は、例えば、好ましくない細胞に免疫系の細胞を標的化するため(米国特許第4,676,980号)、およびHIV感染の処置のため(WO91/00360;WO92/200373;EP03089)に提案されている。これらの抗体を、架橋剤を伴うものを含むタンパク質合成化学の既知の方法を用いてインビトロで調製し得ると考えられている。例えば、ジスルフィド交換反応を使用してまたはチオエーテル結合を形成することより、イムノトキシンを構築することができる。この目的のために適当な試薬の例としては、イミノチオレートおよびメチル−4−メルカプトブチルイミデートならびに、例えば、米国特許第4,676,980号に開示されているものを挙げ得る。
エフェクター機能工学
例えば、がんの処置における抗体の有効性を増強するために、本発明の抗体をエフェクター機能に関して修飾することが望ましい。例えば、システイン残基(複数を含む)をFc領域に導入し、それによりこの領域における鎖間ジスルフィド結合形成を可能にし得る。かくして生成したホモダイマーの抗体は、改善した内部移行能および/または増強した補体仲介性細胞殺害ならびに抗体依存性細胞障害作用(ADCC)を有し得る。Caron et al., J. Exp Med., 176: 1191-1195 (1992) および Shopes, J. Immunol., 148: 2918-2922 (1992)を参照されたい。増強した抗腫瘍活性を持つホモダイマー抗体はまた、Wolff et al. Cancer Research, 53: 2560-2565 (1993)に記載されているように、ヘテロ2機能性架橋剤を用いて調製し得る。これに代えて、2重のFc領域を有して、それにより増強した補体依存性細胞溶解およびADCC能を有する抗体を工学操作することができる。Stevenson et al., Anti-Cancer Drug Design, 3: 219-230 (1989)を参照されたい。
免疫複合体
本発明はまた、化学療法剤、毒素(例えば、細菌、真菌、植物、または動物起源の酵素的に活性な毒素、またはそれらのフラグメント)または放射性同位体(即ち、放射性複合体)のような細胞毒性物質と複合した抗体を含む免疫複合体に関する。
そのような免疫複合体の生成に有用な化学療法剤を上述する。使用できる酵素的に活性な毒素およびそれらのフラグメントとしては、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合性活性フラグメント、内毒素A鎖(Pseudomonas aeruginosa由来)、リシンA鎖、アビリンA鎖、モデシンA鎖、アルファサルシン、Aleurites fordii(シナアブラギリ)タンパク質、ディアンティンタンパク質、Phytolaca americanaタンパク質(PAPI、PAPIIおよびPAP−S)、momoridica char抗a(ツルレイシ)阻害剤、クルシン、クロチン、sapaonaria officinalisc阻害剤、ゲロニン、ミトゲリン、リストリクトシン、フェノマイシン、エノマイシンおよびトリコテセンが挙げられる。種々の放射性核種を放射性複合抗体の生産に利用できる。例として、212Bi、131I、131In、90Yおよび186Reを挙げ得る。
抗体と細胞障害性薬剤との複合体を、N−サクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオール)プロピオネート(SPDP)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの2機能性誘導体(ジメチルアジピイミデートHCLのような)、活性エステル(ジサクシンイミジルスベレートのような)、アルデヒド(グルタルアルデヒドのような)、ビスアジド誘導体(ビス−(p−アジドベンゾイル)−ヘキサンジアミンのような)、ビスジアゾニウム誘導体(ビス−(p−ジアゾニウムベンゾイル)−エチレンジアミンのような)、ジイソシアネート(トリエン2、6−ジイソシアネートのような)、およびビス活性フッ素化合物(1,5−ジフルオロ2,4−ジニトロベンゼンのような)のような種々の2機能性タンパク質カップリング剤を用いて作る。例えば、リシン免疫毒素を、Vitetta et al., Science, 238: 1098 (1987)に記載のように調製することができる。炭素14で標識した1−イソチオシアナートベンジル−3−メチルジエチレントリアミンペンタ酢酸(MX−DTPA)は、放射性ヌクレオチドを抗体に結合するための典型的なキレート化剤である。WO94/11026を参照されたい。
もう一つの実施形態では、抗体を、腫瘍をプレターゲティンブのための「受容体」(ストレプトアビジンのような)に結合することができて、そこでは抗体−受容体複合体を患者に投与し、引き続いて未結合の複合体を除去剤を用いて血液循環から除去し、次いで今度は細胞障害性薬剤に複合した「リガンド」(例えばアビジン)を投与する。
イムノリポソーム
本明細書で開示される抗体をまた、イムノリポソームとして処方することができる。抗体を含有するリポソームリポソームは、Epstein et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82: 3688 (1985); Hwang et al., Proc. Natl Acad. Sci. USA, 77: 4030 (1980); ならびに米国特許第4,485,045号および第4,544,545号に記載されているような、当該分野において公知の方法で調製する。増大した循環時間を持つリポソームリポソームは、米国特許第5,013,556号に開示されている。
特に有用なリポソームリポソームを、ホスファチジルコリン、コレステロールおよびPEG誘導体化ホスファチジルエタノールアミン(PEG−PE)を含む脂質組成物を用いて逆相蒸発法により生成し得る。リポソームリポソームを定められた孔径のフィルターを通して押し出して、所望の直径のリポソームリポソームを得る。本発明の抗体のFab'フラグメントを、Martin et al ., J. Biol. Chem., 257: 286-288 (1982)に記載されるように、ジスルフィド交換反応を介してリポソームリポソームに結合し得る。化学療法剤(ドキソルビシンのような)を任意にリポソーム内に含有する。Gabizon et al., J. National cancer Inst., 81(19): 1484 (1989)を参照されたい。
本発明のタンパク質に対して指向した抗体の診断応用
1実施形態では、所望の特異性を保有する抗体のスクリーニングのための方法は限定しないが、酵素結合免疫吸着分析(ELISA)および他の当業者既知免疫学的介在技法を含む。具体的実施形態では、NOVXタンパク質の特定のドメインに特異的である抗体の選択は、そのようなドメインを保有するNOVXタンパク質のフラグメントに結合するハイブリドーマの生成によって容易化される。かくして、NOVXタンパク質内の所望のドメイン、その誘導体、フラグメント、類似体、または相同物に特異的で合える抗体をまたここに提供する。
本発明のNOVXタンパク質に対して指向化された抗体を、NOVXタンパク質の局在化及び/または定量に関する当業界内既知方法で使用し得る(例えば適当な生理学的サンプル内のNOVXタンパク質のレベルの測定における使用のため、診断方法における使用のため、タンパク質の画像化における使用のためなど)。所定の実施形態では、NOVXタンパク質、その誘導体、フラグメント、類似体または相同物に特異的な抗体であって、抗体由来抗原結合ドメインを含むものは、薬理学的活性化合物として利用する(以後「治療剤」と称する)。
本発明のNOVXタンパク質に対して特異的な抗体を(例えばモノクローナルまたはポリクローナル抗体)、イムノアフィニティークロマトグラフィーまたは免疫沈降のような標準的な技術により、NOVXポリペプチドを単離するために使用し得る。NOVXポリペプチドへの抗体を、細胞由来の天然タンパク質および宿主細胞で発現する組換え的に生産したNOVX抗原の精製を容易にし得る。さらに、そのような抗NOVX抗体を使用して、抗原性NOVXタンパク質の存在量または発現パターンを評価するために抗原性NOVXタンパク質(例えば、細胞溶解物または細胞上清中の)を検出することができる。NOVXタンパク質に対して指向した抗体を診断的に使用して、例えば、与えられた処置法の有効性を測定するために臨床検査の手順の一環として組織中のタンパク質レベルをモニターすることができる。抗体を検出可能な物質にカップリング(即ち物理的に連結)することにより、検出を促進し得る。検出可能な物質の例としては、種々の酵素、配合群、蛍光物質、発光物質、生物発光物質および放射性物質を挙げる。適当な酵素の例としては、西洋わさびペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼおよびアセチルコリンエステラーゼを挙げ得る;適当な配合群の例としては、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンを挙げ得る;適当な蛍光物質の例としては、ウンベリフェロン、フルオレッセイン、フルオレッセインイソチオシアナート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレッセイン、塩化ダンシルまたはフィコエリスリンを挙げ得る;発光物質の例としては、ルミノールを挙げ得る;生物発光物質の例としてはルシフェラーゼ、ルシフェリンおよびエクオリンを挙うるし、適当な放射性物質の例としては、125I、131I、35SまたはHを挙げ得る。
抗体治療法
ポリクローナル、モノクローナル、ヒト化および完全なヒト抗体を含む本発明の抗体を治療薬として使用し得る。そのような薬剤を一般的に、対象の疾患または病変の治療または予防に使用する。抗体製剤、好ましくはその標的抗原に対して高い特異性および高い親和性を有するものを対象に投与して、一般的に標的への結合に因る効果を有する。そのような効果は、与えた抗体分子と問題とする標的抗原との間の相互作用の特異的性質に依存する2種類のうちの一つである。第1の場合では、抗体の投与は、標的の本来結合する内在性リガンドとの結合を阻止または阻害し得る。この場合には、抗体は標的に結合して、リガンドがエフェクター分子として作用する、天然に存在するリガンドの結合部位をマスクする。かくして、受容体はリガンドが役割を担う情報伝達経路を仲介する。
これに代えて、作用は、抗体が標的分子上のエフェクター結合部位への結合により生理的結果を誘発するものであり得る。この場合には、疾患または病変においては存在しないかまたは欠陥のあり得る内在性リガンドを有する受容体である標的を、代替のエフェクターリガンドとしての抗体と結合して、受容体に基づく情報伝達事象を受容体により開始する。
本発明の抗体の治療的に有効な量は一般的に、治療目的を達成するのに必要とされる量に関する。上述のように、これは、特定の場合には標的の機能を阻害し、そして他の場合には生理的応答を促進する抗体およびその標的抗原との間の結合相互作用であり得る。投与に必要な量はさらに、特定の抗原に対する抗体の結合親和性に依存するし、そしてまた投与した抗体が投与した対象の自由体積から除去し得る速度に依存する。本発明の抗体または抗体フラグメントの治療的に有効な投与量の通常の範囲は、限定されない例として、約0.1mg/kg体重〜約50mg/kg体重であり得る。通常の投与回数は、例えば、1日2回から1週1回の範囲であり得る。
抗体の医薬組成物
本発明のタンパク質に特異的に結合する抗体、ならびに本明細書に開示するスクリーニングアッセイにより同定する他の分子を、医薬組成物の形で種々の障害の処置のために投与し得る。そのような組成物の調製に関与する原理および考慮事項、ならびに成分の選択の指針は、例えば、The Science And Practice Of Pharmacy 19th ed. (Alfonso R. Gennaro, et al., editors) Mack Pub. Co., Easton, Pa. : 1995、Drug Absorption Enhancement : Concepts, Possibilities, Limitations, And Trends, Harwood Academic Publishers, Langhorne, Pa., 1994、および Peptide And Protein Drug Delivery (Advances In Parenteral Sciences, Vol. 4), 1991, M. Dekker, New Yorkに提供されている。
抗原タンパク質が細胞内にあり、完全な抗体を阻害剤として使用するならば、内部移行性抗体が好ましい。しかしながら、リポソームを使用して、抗体または抗体フラグメントを細胞内に送達し得る。抗体フラグメントを使用する場合には、標的タンパク質の結合ドメインに特異的に結合する最も小さな阻害フラグメントが好ましい。例えば、抗体の可変領域の配列に基づいて、標的タンパク質の配列に結合する能力を保持するペプチド分子をデザインし得る。そのようなペプチドを、化学的および/または組換えDNA技術により合成し得る。例えば、Marasco et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90: 7889-7893 (1993)を参照されたい。本明細書における処方はまた、処置する特定の適応のために必要なニつ以上の活性化合物、好ましくはお互いに悪影響を及ぼし合わない相補的活性を持つものを含有し得る。これに代えて、またはこれに加えて、組成物は、その機能を増強する薬剤、例えば、細胞障害性薬剤、サイトカイン、化学療法剤、または増殖阻害剤を含有していてもよい。そのような分子は好都合には、意図する目的にとって効果的な量で組み合わされて存在する。
活性成分を、例えば、コアセルベーション技術または界面重合により調製したマイクロカプセル中で、例えば、ハイドロキシメチルセルローズまたはゼラチン−マイクロカプセルおよびポリ−(メチルメタクリレート)マイクロカプセル中で、それぞれ、コロイド状薬送達システム(例えば、リポソーム、アルブミン小球体、ミクロエマルジョン、ナノ粒子およびナノカプセル)中に、またはマクロエマルジョン中に閉じ込め得る。
インビボ投与に使用する製剤は無菌でなければならない。このことを、無菌ろ過膜によるろ過により容易に達成する。
徐放性製剤を調製することができる。徐放性製剤の適当な例としては、抗体を含有する固相の疎水性ポリマーの半透過性マトリックスが挙げられ、そのマトリックスは、例えば、フィルムまたはマイクロカプセルのような造形品の形をしている。徐放性マトリックスの例としては、ポリエステル、ハイドロゲル(例えば、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)、またはポリ(ビニルアルコール)、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号)、L−グルタミン酸およびγエチル−Lグルタミン酸エステルの共重合体、非分解性エチレン−ビニルアセテート、LUPRON DEPOT[登録商標](乳酸−グリコール酸共重合体および酢酸リュープロリドより成る注射用マイクロスフェア)のような分解性乳酸−グリコール酸共重合体が挙げられる。酢酸エチレンビニルおよび乳酸−グリコール酸のようなポリマーは100日間に亘って分子を放出することができるが一方、特定のヒドロゲルはより短期間でタンパク質を放出する。
ELISAアッセイ
アナライトのタンパク質を検出する薬剤は、アナライトのタンパク質に結合する能力のある抗体、好ましくは検出可能な標識を持つ抗体である。抗体は、ポリクローナルでもよく、またはさらに好ましくはモノクローナルであり得る。完全な抗体またはそのフラグメント(例えば、FabまたはF(ab)2)を使うことができる。用語「標識」とは、プローブまたは抗体に関して、プローブまたは抗体に検出可能な物質をカップリングする(即ち、物理的に連結する)ことによるプローブまたは抗体の直接標識、ならびに直接に標識するもう一つの薬剤との反応性によるプローブまたは抗体の間接標識を包含するものとする。間接標識の例としては、蛍光標識した第2抗体を用いた第1抗体の検出および蛍光標識ストレプトアビジンで検出できるようにDNAプローブをビオチンで末端標識することが挙げられる。用語「生物学的試料」とは、対象から単離した組織、細胞および生物学的流体、ならびに対象内に存在する組織、細胞および流体を含むものとする。それ故に、用語「生物学的試料」の範囲には血液および血清、血漿、またはリンパ液を含む血液のフラクションまたは成分を含み得る。即ち、本発明の検出法を使用して、生物学的試料中のアナライトのmRNA、タンパク質またはゲノムDNAをインビトロならびにインビボで検出することができる。例えば、アナライトのmRNAの検出のためのインビトロ技術としては、ノーザンハイブリダイゼーションおよびインサイツハイブリダイゼーションを挙げ得る。アナライトのタンパク質のインビトロ検出技術としては、酵素結合免疫吸着検査法(ELISA)、ウエスタンブロット、免疫沈降および免疫蛍光を挙げ得る。アナライトのDNAのインビトロ検出技術としては、サザンハイブリダイゼーションを挙げ得る。イムノアッセイを実施する手順は、例えば、「ELISA: Theory and Practice: Methods in Molecular Biology」, Vol. 42, J. R. Crowther (Ed.) Human Press, Totowa, NJ, 1995、「Immunoassay」, E. Diamandis and T. Christopoulus, Academic Press, Inc., San Diego, CA, 1996、および「Practice and Thory of Enzyme Immunoassays」, P. Tijssen, Elsevier Science Publishers, Amsterdam, 1985に記載されている。さらに、アナライトのタンパク質のインビボ検出のための技術は、標識化した抗アナライトタンパク質抗体を対象に導入することを含む。例えば、対象中での存在または局在が標準的な造影技法で検出できる放射性マーカーで、抗体を標識し得る。
NOVX組換え発現ベクターおよび宿主細胞
本発明のもう一つの態様は、NOVXタンパク質またはその誘導体、フラグメント、類似体または相同体をコードする核酸を含有するベクター、好ましくは発現ベクターに関する。本明細書において使用する用語「ベクター」とは、それに結合しているもう一つの核酸を運搬する能力のある核酸分子を指す。ベクターの一つのタイプは「プラスミド」であり、これは、さらに別なDNAセグメントが結合した環状の二重鎖DNAループを指す。ベクターのもう一つのタイプはウイルスベクターであり、ここではさらに別なDNAセグメントをウイルスゲノムの中に結合し得る。特定のベクターは、それらを導入した宿主細胞中で自律増幅することができる(例えば、細菌の複製起点を持つ細菌のベクターおよび哺乳動物のエピゾームベクター)。他のベクター(例えば、哺乳動物の非エピゾームベクター)は、宿主細胞中への導入に際し宿主細胞のゲノム中に組み込まれて、それにより宿主ゲノムと一緒に複製し得る。さらに、特定のベクターは、それらが作動し得るように連結した遺伝子の発現を指示する能力がある。そのようなベクターを、本明細書において「発現ベクター」と呼称する。一般に、組換えDNA技術において有用な発現ベクターはしばしばプラスミドの形をしている。プラスミドはベクターの最も通常に使用する形態であるので、本明細書においては、「プラスミド」および「ベクター」は互換的に使用し得る。しかしながら、本発明は、同等の機能を有するウイルスベクター(例えば、複製能を欠いたレトロウイルス、アデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルス)のような他の形の発現ベクターを含むこととする。
本発明の組換え発現ベクターは、宿主細胞中における核酸の発現に適した形での本発明の核酸を含み、これは組換え発現ウイルスを、発現に使用する宿主細胞に基づいて選択した発現すべき核酸配列に作動し得るように連結した一つまたはそれ以上の調節配列を含むことを意味する。組換え発現ベクター内において、「作動し得るように連結した」とは、興味のある核酸配列が核酸配列の発現を可能にする様式で(例えばインビトロ転写/翻訳システムでまたはベクターを宿主細胞に導入する場合には宿主細胞中で)調節配列に結合していることを意味するものとする。
用語「調節配列」とは、プロモーター、エンハンサーおよび他の発現制御要素(例えば、ポリアデニル化シグナル)を含むものとする。そのような調節配列は、例えば、Goeddel, GENE EXPRESSION TECHNOLOGY: METHODS IN ENZYMOLOGY 185, Academic Press, San Diego, Calif. (1990)に記載されている。調節配列としては、多くのタイプの宿主細胞中でヌクレオチド配列の構成的発現を指示するものおよび特定の宿主細胞中でのみヌクレオチド配列の発現を指示するもの(例えば、組織特異的調節配列)を挙げ得る。発現ベクターのデザインが、形質転換する宿主細胞の選択、所望のタンパク質の発現レベル等のような要因に依存し得ることを当業者は理解する。本発明の発現ベクターを宿主細胞に導入して、それにより本明細書に説明するように核酸によりコードする融合タンパク質またはペプチドを含むタンパク質またはペプチド(例えば、NOVXタンパク質、NOVXタンパク質の突然変異型、融合タンパク質等)を生産し得る。
本発明の組換え発現ベクターを、原核のまたは真核の細胞中におけるNOVXタンパク質発現用にデザインし得る。例えば、NOVXタンパク質を、Escherichia coliのような細菌細胞、昆虫細胞(バキュロウイルス発現ベクターを使用して)、酵母細胞または哺乳動物細胞中で発現し得る。適当な宿主細胞は、Goeddel, GENE EXPRESSION TECHNOLOGY: METHODS IN ENZYMOLOGY 185, Academic Press, San Diego, Calif. (1990)においてさらに考察されている。これに代えて、組換え発現ベクターを、例えば、T7プロモーター調節配列およびT7ポリメラーゼを用いてインビトロで転写して、翻訳し得る。
真核細胞中におけるタンパク質の発現は最もしばしば、Escherichia coli中で融合タンパク質または非融合タンパク質のどちらかの発現を指示する構成的または誘導性プロモーターを含有するベクターを用いて行われる。融合ベクターは、その中にコードしたタンパク質に多数のアミノ酸を、通常には組換えタンパク質のアミノ末端に付加する。そのような融合ベクターは典型的に三つの目的に役立つ:(i)組換えタンパク質の発現を増大するため;(ii)組換えタンパク質の溶解性を増加するため;および(iii)アフィニティークロマトグラフィーにおけるリガンドとして作用することにより組換えタンパク質の精製を助けるため。しばしば、融合発現ベクターにおいて、タンパク質分解による切断部位を融合部分および組換えタンパク質の接合部に導入して、融合部分から組換えタンパク質の分離に引き続いて融合タンパク質の精製を可能にする。そのような酵素、およびそれらと同種の認識配列としては、Factor Xa、トロンビンおよびエンテロキナーゼを挙げ得る。典型的な融合発現ベクターとしては、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)、マルトースE結合タンパク質、またはプロテインAをそれぞれ標的組換えタンパク質に融合させるpGEX(Pharmacia Biotech Inc; Smith and Johnson, 1988. Gene 67: 31-40)、pMAL (New England Biolabs, Beverly, Mass.)およびpRIT5 (Pharmacia, Piscataway, N.J.) を挙げ得る。
適当な誘導性非融合E. coli発現ベクターの例としては、pTrc(Amrann et al., (1988) Gene 69:301-315)およびpET11d (Studier et al., GENE EXPRESSION TECHNOLOGY: METHODS IN ENZYMOLOGY 185, Academic Press, San Diego, Calif. (1990) 60-89)を挙げ得る。
E. coliにおけるタンパク質発現を最大にする一つの戦略は、組換えタンパク質をタンパク質分解的に切断する能力を障害した宿主細胞中でタンパク質を発現することである。Gottesman, GENE EXPRESSION TECHNOLOGY: METHODS IN ENZYMOLOGY 185, Academic Press, San Diego, Calif. (1990) 119-128を参照されたい。もう一つの戦略は、それぞれのアミノ酸に対する個別のコドンをE. coliで優先的に使用するものとなるように、発現ベクターに挿入する核酸の核酸配列を変更することである(例えば、Wada, et al., 1992. Nucl. Acids Res. 20: 2111-2118を参照)。本発明の核酸配列のそのような変更は標準的DNA合成技法により行い得る。
もう一つの実施形態では、NOVX発現ベクターは酵母の発現ベクターである。酵母のSaccharomyces cerivisae中の発現ベクターの例としては、pYepSec1 (Baldari, et al., 1987. EMBO J. 6: 229-234)、pMFa(Kurjan and Herskowitz, 1982. Cell 30: 933-943)、pJRY88 (Schultz et al., 1987. Gene 54: 113-123)、pYES2(Invitrogen Corporation, San Diego, Calif.)、およびpicZ(InVitrogen Corp, San Diego, Calif.)を挙げ得る。
これに代えて、NOVXをバキュロウイルス発現ベクターを用いて昆虫細胞中で発現し得る。培養昆虫細胞(例えば、SF9細胞)中でのタンパク質発現に利用可能なバキュロウイルスベクターとしては、pAcシリーズ(Smith, et al., 1983. Mol. Cell. Biol. 3: 2156-2165) およびpVLシリーズ(Lucklow and Summers, 1989. Virology 170: 31-39)を挙げ得る。
なおもう一つの実施形態では、本発明の核酸を、哺乳動物の発現ベクターを用いて哺乳動物細胞中で発現し得る。哺乳動物の発現ベクターの例としては、pCDM8(Seed, 1987. Nature 329: 840)およびpMT2PC(Kaufman, et al., 1987. EMBO J. 6: 187-195)を挙げ得る。哺乳動物細胞中で使用するときには、発現ベクターの制御機能はしばしば、ウイルスの調節要素により提供される。例えば、普通に使用するプロモーターは、ポリオーマ、アデノウイルス2、サイトメガロウイルスおよびシミアンウイルス40に由来する。原核のおよび真核の細胞両方にとって適当な他の発現系については、例えば、Chapters 16 and 17 of Sambrook, et al., MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL. 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1989を参照されたい。
もう一つの実施形態では、組換え哺乳動物表現ベクターは、特定の細胞タイプ中で優先的に核酸の発現を指示する能力がある(例えば、組織特異的調節要素を核酸を発現するために使用する)。組織特異的調節要素は当該分野において公知である。適当な組織特異的プロモータの非限定的な例としては、アルブミンプロモーター(肝臓特異的;Pinkert, et al., 1987. Genes Dev. 1: 268-277)、リンパ系特異的プロモーター(Calame and Eaton, 1988. Adv. Immunol. 43: 235-275)、特にT細胞受容体(Winoto and Baltimore, 1989. EMBO J. 8: 729-733)および免疫グロブリン (Banerji, et al., 1983. Cell 33: 729-740; Queen and Baltimore, 1983. Cell 33: 741-748)のプロモーター、ニューロン特異的プロモーター(例えば、ニューロフィラメントプロモーター; Byrne and Ruddle, 1989. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86: 5473-5477)、膵臓特異的プロモーター(Edlund, et al., 1985. Science 230: 912-916)、ならびに乳腺特異的プロモーター(例えば、乳漿;米国特許第4,873,316号及びヨーロッパ出願公開第264,166号)を挙得る。例えば、マウスのhoxプロモーター(Kessel and Gruss, 1990. Science 249: 374-379)およびα−フェトプロテインプロモーター(Campes and Tilghman, 1989. Genes Dev. 3: 537-546)の発生的に調節されるプロモーターも包含する。
本発明はさらに、発現ベクターの中にアンチセンスの配向でクローン化した本発明のDNA分子を含む組換え発現ベクターを提供する。即ち、DNA分子は、NOVX mRNAに対してアンチセンスであるRNA分子の発現(DNA分子の転写による)を可能にするような様式で、調節配列に機能し得るように結合する。種々の細胞タイプ中のアンチセンスRNA分子の連続的発現を指示するアンチセンスの配向にクローン化した核酸に機能し得るように結合した調節配列、例えば、ウイルスのプロモーターおよび/またはエンハンサーを選択することができるか、またはアンチセンスRNAの組織特異的または細胞タイプ特異的な構成的発現を指示する調節配列を選択することができる。アンチセンス発現ベクターは、ベクターを導入した細胞タイプにより活性を決定する高効率調節領域の制御下で、アンチセンス核酸を生産する組換えプラスミド、ファージミドまたは弱毒化ウイルスの形であり得る。アンチセンス遺伝子を用いた遺伝子発現の調節の考察については、例えば、Weintraub, et al., 「Antisense RNA as a molecular tool for genetic analysis」 Reviews-Trends in Genetics, Vol. 1(1) 1986を参照されたい。
本発明のもう一つの態様は、本発明の組換え発現ベクターを導入する宿主細胞に関する。用語「宿主細胞」および「組換え宿主細胞」を、本明細書においては互換的に使用する。そのような用語は、特定の対象の細胞のみならずそのような細胞の子孫または潜在的子孫をまた指すことを理解する。突然変異または環境の影響により後の世代に特定の修飾が生じるかもしれないため、そのような子孫は、実際には親細胞と同一ではないかもしれないが、本明細書において使用する用語の範囲内になお含まれる。
宿主細胞は任意の原核細胞または真核細胞であり得る。例えば、NOVXタンパク質を、E. coliのような細菌細胞、昆虫細胞、酵母または哺乳動物細胞(チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)またはCOS細胞)のような細菌の細胞中で発現することができる。他の適当な宿主細胞は当業者に周知である。
ベクターDNAを、従来の形質転換または形質移入技術により原核細胞または真核の細胞の中に導入することができる。本明細書において使用する用語「形質転換」および「形質移入」とは、リン酸カルシウムまたは塩化カルシウム共沈、DEAE−デキストラン仲介性形質移入、リポフェクション、またはエレクトロポレーションを含む外来の核酸(例えばDNA)を宿主細胞に導入するために当該分野で認める種々の技術を指すものとする。宿主細胞を形質転換しまたは形質移入するための適当な方法は、MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL. 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1989)および他の実験室マニュアルに見出すことができる。
哺乳動物細胞の安定的な形質移入については、使用される発現ベクターおよび形質移入の技法に依存して、細胞のごく小数のフラクションが外来性DNAをそのゲノムの中に組み込み得る。これらの組み込み体を同定し選択するために、選択可能なマーカー(例えば、抗生物質に対する抵抗性)が一般的に、興味のある遺伝子と一緒に宿主細胞に導入される。種々の選択可能なマーカーとしては、G418,ハイグロマイシンおよびメトトレキセートのような薬剤に抵抗性を与えるものが挙げられる。選択可能なマーカーをコードする核酸を、NOVXをコードするものと同一のベクター上で宿主細胞に導入することができか、または別のベクター上で導入することもできる。導入された核酸で安定に形質移入された細胞は、薬剤選択により同定されることができる(例えば、選択可能なマーカーを組み込んでいる細胞は生き残る一方で、他の細胞は死ぬ)。
培地中の原核細胞または真核細胞のような本発明の宿主細胞を用いて、NOVXタンパク質を生産する(即ち、発現する)ことができる。したがって、本発明は、本発明の宿主細胞を用いるNOVXタンパク質の生産方法をさらに提供する。一つの実施形態では、その方法は、本発明の宿主細胞(その中にNOVXタンパク質をコードする組換え発現ベクターを導入する)を、NOVXタンパク質を生産するような適当な培地中で培養することを含む。もう一つの実施形態では、その方法は、培地または宿主細胞からNOVXタンパク質を単離することをさらに含む。
トランスジェニックNOVX動物
本発明の宿主細胞をまた使用して、非ヒトトランスジェニック動物を生産し得る。例えば、一つの実施形態では、本発明の宿主細胞は、その中にNOVXタンパク質コード化配列を導入する受精卵母細胞または胚性幹細胞である。次いで、そのような宿主細胞を使用して、その中で外来性のNOVX配列をゲノムの中に導入する非ヒトトランスジェニック動物、またはその中で内在性のNOVX配列を変更する相同な組換え動物を創成することができる。そのような動物は、NOVXタンパク質の機能および/または活性の研究にならびにNOVXタンパク質活性のモジュレーターの同定および/または評価に有用である。本明細書において使用する「トランスジェニック動物」とは、その中で動物の一つまたはそれ以上の細胞が導入遺伝子を含む非ヒト動物、好ましくは哺乳動物、さらに好ましくはラットまたはマウスのようなげっ歯類である。トランスジェニック動物の他の例としては、ヒト以外の霊長類、ヒツジ、イヌ、ウシ、ヤギ、ニワトリ、両棲類等を挙げ得る。導入遺伝子は、それからトランスジェニック動物が発生する細胞のゲノムの中に取り込まれ、そして成熟動物のゲノム内に残存して、それによりトランスジェニック動物の一つまたはそれ以上の細胞タイプまたは組織中におけるコード化遺伝子産物の発現を指令する外来性DNAである。本明細書において使用する「相同の組換え動物」とは、その中で内在性NOVX遺伝子が内在性遺伝子および、動物の細胞、例えば、動物の胚細胞の中に動物の発生前に導入された外来性DNA分子との間で相同組換えにより変更した非ヒト動物、好ましくは哺乳類、さらに好ましくはマウスである。
本発明のトランスジェニック動物は、NOVXをコードする核酸を受精卵母細胞の雄性前核の中に(例えば、マイクロインジェクション、レトロウイルス感染により)導入して、卵母細胞を偽妊娠雌性仮親動物の体内で発生することを可能にすることにより、創成することができる。配列番号13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53または55のヒトNOVXcDNA配列を、非ヒト動物のゲノム内に導入遺伝子として導入することができる。これに代えて、マウスNOVX遺伝子のようなヒトNOVX遺伝子の非ヒト相同体を、ヒトNOVXのcDNAとのハイブリダイゼーション(上にさらに詳述)に基づいて単離して、導入遺伝子として使用し得る。イントロン配列およびポリアデニル化シグナルもまた、導入遺伝子の発現効率を増加するために導入遺伝子中に含み得る。組織特異的調節配列をNOVX導入遺伝子に機能し得るように結合して、特定の細胞にNOVXタンパク質の発現を指示し得る。胚の操作およびマイクロインジェクションによる、トランスジェニック動物、特にマウスのような動物の作成方法は当該分野において従来的となってきており、例えば、米国特許第4,736,866号; 4,870,009号; および4,873,191号;ならびにHogan, 1986. In: MANIPULATING THE MOUSE EMBRYO, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.に記載されている。類似の方法を他のトランスジェニック動物の生産に用い得る。初代トランスジェニック動物を、ゲノム内のNOVX導入遺伝子の存在および/または動物の組織または細胞中におけるNOVX mRNAの発現に基づいて、同定し得る。次いで、初代トランスジェニック動物を、導入遺伝子を保持する追加的動物の繁殖に使用し得る。さらに、NOVXタンパク質をコードする導入遺伝子を保持するトランスジェニック動物を使用して、他の導入遺伝子を保持するさらに別なトランスジェニック動物を繁殖し得る。
相同の組換え動物を創成するために、その中に欠失、付加または置換を導入していて、それによりNOVX遺伝子を変化させる例えば機能的に破壊するあるNOVX遺伝子の少なくとも一部を含有するベクターを調製する。NOVX遺伝子は、ヒト遺伝子(例えば配列番号13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53または55のcDNA)であり得るが、さらに好ましくはヒトNOVX遺伝子の非ヒト相同体である。例えば、配列番号13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53または55のヒトNOVX遺伝子のマウス相同体を使用して、マウスゲノム中の内在性NOVX遺伝子を変更するのに適する相同組換えベクターを構築することができる。一つの実施形態では、ベクターを、相同組換えにより、内在性遺伝子を機能的に破壊する(即ち、もはや機能的なタンパク質をコードしない;「ノックアウト」ベクターとも呼称する)ようにデザインする。
これに代えて、ベクターは、相同組換えにより内在性NOVX遺伝子を変異するかまたは他のように変更するが、依然機能性タンパク質をコードする(例えば、上流の調節領域を変更してそれにより内在性NOVXタンパク質の発現を変更する)ようにデザインし得る。相同組換えベクターでは、NOVX遺伝子の変更したタンパク質は、NOVX遺伝子のさらに別な核酸により5'末端または3'末端に隣接して、ベクターにより保持する外来性NOVX遺伝子および胚性幹細胞中の内在性NOVX遺伝子の間で相同組換えが起こることを可能にする。さらに別な隣接NOVX核酸は、内在性遺伝子と成功裏に相同組換えが起きるように十分な長さを持つ。典型的には、数キロ塩基の隣接DNA(5'末端および3'末端の両方とも)をベクターに含み得る。相同組換えベクターの記載については、例えば、Thomas, et al., 1987. Cell 51: 503を参照されたい。次いで、ベクターを胚性幹細胞株に(例えば、エレクトロポレーションにより)導入し、そしてその中で導入したNOVX遺伝子を内在性NOVX遺伝子と相同的に組み換えた細胞を選択する。例えば、Li, et al., 1992. Cell 69: 915を参照されたい。
次いで、選択した細胞を動物(例えば、マウス)の胚盤胞の中に注入して、凝集キメラを形成する。例えば、Bradley, 1987. In: TERATOCARCINOMAS AND EMBRYONIC STEM CELLS: A PRACTICAL APPROACH, Robertson, ed. IRL, Oxford, pp. 113-152を参照されたい。次いで、キメラ胚を適当な偽妊娠雌性仮親動物に植え込んで、胚を満期出産する。生殖細胞内に相同組換えしたDNAを保持している子孫を用いて、その中で動物の全ての細胞が、導入遺伝子の生殖系列を介した伝達により相同組換えDNAを含有する動物を繁殖させることができる。相同組換えベクターおよび相同組換え動物を構築する方法は、Bradley, 1991. Curr. Opin. Biotechnol. 2: 823-829; PCT国際公開第: WO90/11354号;WO91/01140号;WO92/0968号;およびWO93/04169号にさらに記載される。
もう一つの実施形態では、導入遺伝子の調節発現を可能にする選択したシステムを含有する非ヒトトランスジェニック動物を生産し得る。そのようなシステムの一つの例は、バクテリオファージP1のcre/loxPリコンビナーゼシステムである。cre/loxPリコンビナーゼシステムの記載については、例えば、Lakso, et al., 1992. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 6232-6236を参照されたい。リコンビナーゼシステムのもう一つの例は、Saccharomyces cerevisiaeのFLPリコンビナーゼシステムである。O'Gorman, et al., 1991. Science 251:1351-1355を参照されたい。もしcre/loxPリコンビナーゼシステムを用いて導入遺伝子の発現を調節するならば、Creリコンビナーゼおよび選択したタンパク質の両方をコードする導入遺伝子を含有する動物が必要となる。そのような動物は、例えば、一つは選択したタンパク質をコードする導入遺伝子を含有し、他はリコンビナーゼをコードする導入遺伝子を含有する二つのトランスジェニック動物を交配させることによる「ダブル」トランスジェニック動物の構築により提供し得る。
本明細書に説明した非ヒトトランスジェニック動物のクローンはまた、Wilmut, et al., 1997. Nature 385: 810-813に記載された方法にしたがって生産することができる。略述すれば、トランスジェニック動物から細胞(例えば体細胞)を単離し、誘導して、増殖サイクルから抜け出てG期に入ることができる。次いで、静止細胞を、例えば、電気パルスの使用により静止細胞を単離したのと同じ種類の動物由来の脱核した卵母細胞と融合することができる。次いで、再構成した卵母細胞を、それを桑実胚または胚盤胞にまで発生させて、次いで擬妊娠雌性仮親動物に導入するように培養する。この雌性仮親動物から生まれた子孫は、細胞(例えば体細胞)を単離する動物のクローンである。
医薬組成物
本発明のNOVX核酸分子、NOVXタンパク質、抗−NOVX抗体(本明細書では「活性化合物」ともいう)、ならびにそれらの誘導体、フラグメント、類似体および相同体を投与に適する医薬組成物の中に組込み得る。典型的に、そのような組成物は核酸分子、タンパク質または抗体およびおよび医薬的に許容され得る担体を含む。本明細書において使用する「医薬的に許容され得る担体」とは、医薬品投与に適合する任意のおよび全ての溶媒、分散媒、コーティング剤、抗菌および抗かび剤、等張および吸収遅延剤等を含むことを意図する。適当な担体は、この分野で標準的な参照テキストであるRemingtonの薬剤学の最新版(出典明示により本明細書の一部とする)に記載されている。そのような担体または賦形剤の好ましい例としては、水、食塩水、フィンガー溶液、ブドウ糖溶液および5%ヒト血清アルブミンを挙げるが、それらに限定しない。リポソームおよび油脂のような非水溶性ビークルもまた使用する。薬学的に活性な物質のためのそのような媒体および薬剤は当該分野において周知である。任意の従来の媒体または薬剤が活性化合物に適合しない限りでなければ、組成物内のそれらの使用を意図する。補助的な活性化合物をまた、組成物の中に組込み得る。
本発明の医薬組成物を、その意図する投与経路に適合するように処方する。投与経路の例としては、非経口の、例えば、静脈の、皮内の、皮下の、経口の(例えば、吸入)、経皮の(即ち局所の)、経粘膜のおよび直腸の投与を挙げ得る。非経口の、皮内のまたは皮下の応用に使用する溶液または懸濁液としては、以下の成分を挙げることができる:注射用水のような無菌賦形剤、食塩水溶液、油脂、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒;ベンジルアルコールまたはメチルパラベンのような抗菌剤;アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウムのような抗酸化剤;エチレンジアミン四酢酸(EDTA)のようなキレート化剤;酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩のような緩衝剤、ならびに塩化ナトリウムまたはブドウ糖のような等張性を調整する薬剤。塩酸または水酸化ナトリウムのような酸または塩基を用いてpHを調整することができる。非経口性製剤を、ガラスまたはプラスチックで作るアンプル、使い捨て注射器、または多回使用バイアルの中に封入し得る。
注射用に適する医薬組成物としては、無菌水溶液(水溶性である場合)または分散液および無菌注射用の溶液または分散液の必要に応じて調合する製剤用の無菌粉末を挙げ得る。静脈投与のためには、適当な担体としては、生理食塩水、静菌性水、Cremophor EL[登録商標] (BASF, Parsippany, N.J.)またはリン酸緩衝食塩水(PBS)を挙げ得る。全ての場合において、組成物は無菌でなければならず、容易に注射できる程度に流動性であるべきである。それは製造および保管の条件下で安定でなければならず、そして細菌および真菌のような微生物の汚染作用に対して保護されなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセリン、プロピレングリコールおよび液性ポリエチレングリコール等)ならびにそれらの適当な混合液を含有する溶媒または分散媒体であり得る。適切な流動性を、例えば、レシチンのようなコーティングの使用により、分散液の場合には必要な粒子径の維持により、および界面活性剤の使用により、保持し得る。微生物作用の保護は、種々の抗菌および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサール等、により達成される。多くの場合に、組成物中に、等張性薬剤、例えば、砂糖、マニトールのようなポリアルコール、ソルビトール、塩化ナトリウムを含むことが好ましい。注射用組成剤の吸収の延長は、組成物中に吸収を遅延する薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを含むことによりもたらせ得る。
無菌注射用溶液を、適切な溶媒の中に一つまたは上で列挙した成分の組合せと共に必要な量で活性化合物(例えば、あるNOVXタンパク質または抗NOVX抗体)を組み込み、ついでろ過滅菌を行なうことにより調製することができる。一般的に、分散液は、基本的な分散媒体および上で列挙したものから必要な他の成分を含有する無菌ビークルの中に活性化合物を組み込むことにより調製することができる。無菌注射用溶液の調製のための無菌粉末の場合には、調製方法は、活性成分の粉末プラス前もって無菌ろ過されたその溶液からの任意のさらに別の望ましい成分の粉末を生成する真空乾燥および凍結乾燥である。
一般的に、経口の組成物は、不活性賦形剤または食用の担体を含む。それらをゼラチンカプセル中に封入するかまたは錠剤に打錠することができる。経口治療投与の目的には、活性化合物を添加物と共に組込んで錠剤、トローチまたはカプセルの形状で使用することができる。経口の組成物をまた、うがい薬としての使用のために液体担体を用いて調製し得るが、そこでは液体担体中の化合物を経口的に塗布し、さっと取り除いて、吐き出すか飲み込む。薬学的に適合する結合剤、おおび/またはアジュバント材料を組成物の一部として含み得る。錠剤、丸剤、カプセル、トローチ等は任意の以下の成分または同様な性質を持つ化合物を含有し得る:微結晶セルロース、トラガカントゴムまたはゼラチンのような結合剤;デンプンまたは乳糖のような添加剤、アルギン酸、プリモゲルまたはコーンスターチのような崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムまたはステロートのような滑沢剤;コロイド状二酸化ケイ素のような滑り剤;ショ糖またはサッカリンのような甘味剤;またはハッカ、サルチル酸メチル、オレンジ香料のような着香剤。
吸入による投与のためには、化合物を、適当な噴射剤、例えば二酸化炭素のようなガスを含有する加圧容器またはディスペンザー、またはネブライザーからエアゾールスプレイの形式で送達し得る。
全身的投与はまた、経粘液または経皮手段により得る。経粘液または経皮投与のためには、透過すべきバリアーに適切な浸透剤を処方に使用する。そのような浸透剤は当該分野において一般的に公知であり、そして、例えば、経粘液投与のためには、洗剤、胆汁酸塩、フシジン酸誘導体を挙げ得る。経粘液投与は鼻腔スプレーまたは坐剤の使用により達成され得る。経皮投与のためには、活性化合物は、当該分野において一般的に公知であるように、軟膏、軟膏剤、ゲルまたはクリームの中に処方される。
化合物をまた、直腸送達のために坐薬(例えば、ココアバターおよび他のグリセリドのような従来の坐剤用基材と共に)または保持浣腸剤の形式で調製し得る。
一つの実施形態において、活性化合物を、インプラントおよびマイクロカプセル化送達システムを含む制御放出製剤のように、化合物を身体からの迅速な排泄から防止する担体と共に調製する。酢酸エチレンビニル、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステルおよびポリ酢酸のような、生物分解性で生体適合性のポリマーを使用し得る。そのような製剤を調製する方法は当業者に明らかである。材料はまた、Alza CorporationおよびNova Pharmaceuticals, Inc.から市販で入手可能である。リポソームの懸濁液(モノクローナル抗体を持つ感染した細胞からウイルス抗体に至って標的化したリポソームを含む)をまた、医薬的に許容され得る担体として使用することができる。これらを、例えば米国特許第4,522,811号に記載のように、当業者に公知の方法に従い調製し得る。
投与の容易さおよび投与量の均一性のために、経口性または非経口性の組成物を単位投与剤型で処方することが特に有益である。本明細書で使用する単位投与剤型とは、処置する対象に対して単一の投与量として適する物理学的に分離した単位を指し;それぞれの単位は、必要な薬学的な担体と一緒に望ましい治療効果を生じるように計算した予め決められた量の活性化合物を含有する。本発明の単位投与剤型の規格は、活性化合物の特異な特色および達成するべき特別な治療効果、ならびにそのような活性化合物を個体の処置のために配合する当該分野に固有の制限により指示されかつ直接に依存する。
本発明の核酸分子をベクターの中に挿入して遺伝子治療ベクターとして使用することができる。遺伝子治療ベクターを、例えば、静脈注射、局所投与により(例えば、米国特許第5,328,470号を参照)または走触性注射(例えば、Chen, et al., 1994. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91: 3054-3057を参照)により送達し得る。遺伝子治療ベクターの医薬製剤は、許容される賦形剤の中に遺伝子治療ベクターを含むか、またはその中に遺伝子治療ベクターを埋め込んだ持続性マトリックスを含み得る。これに代えて、完全な遺伝子治療ベクターを組換え細胞、例えばレテロウイルスベクターから無傷で生産し得る場合には、医薬製剤は遺伝子送達システムを生産する一つまたはそれ以上の細胞を含み得る。
医薬製剤を、投与指示書と共に、容器、パックまたはディスペンサーの中に含み得る。
疾患および障害
増加したレベル(疾患または障害に罹患していない対象と比べて)または生物学的活性を特徴とする疾患および障害を、活性に拮抗する(即ち、低下するかまたは阻害する)治療薬で処置し得る。活性に拮抗する治療薬を、治療的様式または予防的様式で投与し得る。利用し得る治療薬としては、(i)前述のペプチド、またはその類似体、誘導体、フラグメントまたは相同体;(ii)前述のペプチドに対する抗体;(iii)前述のペプチドをコードする核酸;(iv)アンチセンス核酸および前述のペプチドの内在的機能を相同組換えにより「ノックアウト」するのに使用する「機能障害性」である核酸(即ち、前述のペプチドに対するコード化配列のコード化配列内への異種挿入に因る)の投与(例えば、Capecchi, 1989. Science 244: 1288-1292を参照);または(v)前述のペプチドおよびその結合相手との相互作用を変化するモジュレータ(即ち、本発明のさらに別なペプチドのミメティックまたは本発明のペプチドに特異的な抗体を含む阻害剤、アゴニスト、アンタゴニスト)を挙げ得るが、これらに限定しない。
減少したレベル(疾患または障害に罹患していない対象と比べて)または生物学的活性を特徴とする疾患および障害を、活性を増加する(即ち、アゴニストである)治療薬で処置し得る。活性を上方制御する治療薬を、治療的様式または予防的様式で投与し得る。利用し得る治療薬としては、前述のペプチド、またはその類似体、誘導体、フラグメント、または相同体;またはバイオアベイラビリティーを増加するアゴニストを挙げ得るが、これらに限定しない。
増加または減少したレベルを、患者の組織試料(例えば、生検組織から)を得て、インビトロでRNAまたはペプチドのレベル、発現したペプチド(または前述のペプチドのmRNA)の構造および/または活性をアッセイすることにより、ペプチドおよび/またはRNAを定量することにより容易に検出し得る。当該分野内で周知の方法としては、イムノアッセイ(例えば、ウエスタンブロット分析、免疫沈降とそれに引き続くドデシル硫酸ナトリウム(SDS)ポリアクリルアミドゲル電気泳動、免疫細胞化学、等)および/またはmRNA発現を検出するためのハイブリダイゼーションアッセイ(例えば、ノーザンアッセイ、ドットブロット、インシツハイブリダイゼーション、等)を挙げ得るが、これらに限定しない。
予防的方法
一つの態様では、異常なNOVX発現または少なくともあるNOVX活性を調整する薬剤を対象に投与することにより、本発明は、異常なNOVXの発現または活性に関連した疾患または異常を、対象において予防する方法を提供する。異常なNOVXの発現または活性が原因または一因となって生じる疾患のリスクを有する対象を、例えば、本明細書で説明するように診断的アッセイまたは予後的アッセイのいずれかまたはそれらの組合せによって同定し得る。疾患または障害を予防し、または、これに代えて、その進行を遅らせるようにNOVX異常に特徴的な症状の出現に先立って予防的薬剤の投与を行い得る。NOVX異常のタイプに依存して、例えば、あるNOVXアゴニストまたはNOVXアンタゴニストである薬剤を対象の処置に使用し得る。適切な薬剤を、本明細書で説明するスクリーニング法に基づいて決定することができる。本発明の予防的方法をさらに以下のサブセクションで考察する。
治療的方法
本発明のもう一つの態様は、治療目的のためにNOVXの発現または活性を調整する方法に関する。本発明の調整方法は、細胞を細胞に関連するNOVXタンパク質活性の一つまたはそれ以上の活性を調整する薬剤と接触することを含む。NOVXタンパク質活性を調整する薬剤は、核酸またはタンパク質、あるNOVXタンパク質の天然に存在する同属のリガンド、ペプチド、あるNOVXペプチドミメティック、または低分子のような本明細書に説明する薬剤であり得る。一つの実施形態では、薬剤は一つまたはそれ以上のNOVXタンパク質活性を促進する。そのような促進的薬剤の例としては、活性なNOVXタンパク質および細胞中に導入したNOVXをコードする核酸分子を挙げ得る。もう一つの実施形態では、薬剤は一つまたはそれ以上のNOVXタンパク質活性を阻害する。そのような阻害的薬剤の例としては、アンチセンスNOVX核酸分子および抗−NOVX抗体を挙げ得る。これらの調整方法は、インビトロで(例えば、細胞を薬剤と共に培養することにより)または、これに代えて、インビボで(例えば、薬剤を対象に投与することにより)実施し得る。このように、本発明はあるNOVXタンパク質または核酸分子の異常な発現または活性を特徴とする疾患または障害に罹患した個体を処置する方法を提供する。一つの実施形態では、その方法は、薬剤(例えば、本明細書で説明するスクリーニングアッセイで同定した薬剤)またはNOVXの発現または活性を調整する(例えば、上方制御または下方制御する)薬剤の組合せを投与することを伴う。もう一つの実施形態では、その方法は減少または異常なNOVXの発現または活性を補償するための治療としてあるNOVXタンパク質または核酸分子を投与することを伴う。
NOVXが異常に下方制御されているかおよび/または増加したNOVX活性が有益な効果を有すると思われる状況では、NOVX活性を促進することが望ましい。そのような状況の一つの例は、対象が異常な細胞増殖および/または分化(例えば、がんまたは免疫関連疾患)を特徴とする障害を有する場合である。そのような状況のもう一つの例は、対象が妊娠性疾患(例えば、子癇前症)を有する場合である。
治療薬の生物学的効果の測定
本発明の種々の実施形態において、適切なインビトロまたはインビボアッセイを実施して、特定の治療薬の効果およびその投与を罹患している組織の処置に適応があるか否かを決定する。
種々の特定の実施形態において、患者の障害に関与する代表的なタイプ(複数を含む)の細胞についてインビトロアッセイを実施して、投与した治療薬が細胞タイプに所望の効果を発揮するかどうかを測定し得る。治療に使用する化合物を、ヒト対象での試験に先立って、ラット、マウス、ニワトリ、ウシ、サル、ウサギ等を限定することなく含む適切な動物モデルシステムで試験し得る。同様に、インビボ試験でも、ヒト対象への投与に先立って、当該分野において公知の動物モデルシステムのいずれかを使用し得る。
本発明の組成物の予防的使用および治療的使用
本発明のNOVX核酸およびタンパク質は、種々の障害に関連する潜在的で予防的応用および治療的応用に有用である。障害としては、限定しないが、例えば、前記の疾病、障害および状態を含み、特に、表Aに要約するようなNOVXタンパク質の相同物と関連した疾病、障害および状態を含む。
例として、本発明のNOVXタンパク質をコードするcDNAは、遺伝子治療に有用であり得、そしてタンパク質は、それを必要とする対象に投与する際に有用であり得る。非限定的な例として、本発明の組成物は、本明細書に挙げられたものを含むが、それらに限定されない疾病、障害、状態およびそれに類似するものに罹患する対象の処置のための効験を有するであろう。
NOVXタンパク質をコードする新規核酸、および本発明のNOVXタンパク質の両方、またはそれらのフラグメントはまた、核酸またはタンパク質の存在または量を評価する診断的応用にも有用であり得る。さらなる使用は、抗細菌分子(即ち、或るペプチドは抗細菌的性質を有することが見出されている)としてであるかもしれない。これらの物質は、治療的または診断的方法に使用するための本発明の新規物質に免疫特異的に結合する抗体の作成にさらに有用である。
本発明を、以下の実施例でさらに記載し、これらはクレームに記載の発明の範囲を限定しない。
(実施例1)
NOV2クローンが分析された。そのヌクレオチド配列およびコードされるポリペプチド配列が表2Aに示される。






CG51896-11(配列番号50)およびCG51896-13(配列番号54)の説明
CG51896-11ポリペプチドは5'末端または3'末端のいずれかでFc領域に付加された。得られた変種を適切な発現ベクターにクローン化した。同様に、CG51896-13核酸およびタンパク質が(核酸配列における1〜705およびタンパク質配列における1〜235に及ぶ)5'末端においてFcに付加された。核酸およびポリペプチド中のFc領域は下記に(強調されて)示される:
Fcで標識されたCG51896-13の核酸配列:
Fcで標識されたCG51896-13のタンパク質配列:
上記タンパク質配列のClustalW比較により、表2Bに示される下記の配列アラインメントが得られる。
NOV2aタンパク質のさらなる分析により、表2Cに示される下記の特性が得られた。
特許および特許公報中に公開された配列を含む特許データベース、Geneseqデータベースに対するNOV2aタンパク質の検索により、表2Dに示されるいくつかの相同タンパク質が得られた。
公開配列データベースのBLAST検索において、NOV2aタンパク質は、表2EにおけるBLASTPデータに示されるタンパク質に対する相同性を有することが見出された。
PFam分析により、NOV2aタンパク質は、表2Fに示されるドメインを含有することが予測される。
(実施例2)
様々な細胞および組織におけるクローンの定量的発現分析
様々なクローンの量的発現が、様々な正常および病理学由来の細胞、細胞株および組織から得られたRNAサンプルを含有するマイクロタイタープレートを使用し、また、リアルタイム定量的PCR(RTQ PCR)を使用して評価された。RTQ PCRはApplied Biosystems ABI PRISM(登録商標)7700またはABI PRISM(登録商標)7900 HT Sequence Detection Systemで行われた。様々なサンプル収集物がプレートに集められ、これらは、パネル1(正常な組織および癌細胞株を含む)、パネル2(正常組織起源および癌組織起源の組織に由来するサンプルを含む)、パネル3(癌細胞株を含む)、パネル4(炎症状態に関連づけられる正常な組織および細胞から得られた細胞および細胞株を含む)、パネル5D/5I(代謝性疾患に重点が置かれたヒト組織およびヒト細胞株を含む)、AI包括的パネル(自己炎症性疾患から得られた正常な組織およびサンプルを含む)、パネルCNSD.01(正常な脳および疾患脳から得られたサンプルを含む)、CNS神経変性パネル(正常な脳およびアルツハイマー病疾患脳から得られたサンプルを含む)と呼ばれる。
すべてのサンプルから得られたRNAの完全性は、指針としての28Sおよび18SのリボソームRNA染色強度比(2:1〜2.5:1の28s:18s)、また、分解産物を示すと考えられる低分子量RNAの非存在を使用したアガロースゲル電気泳動の目視評価により、品質について管理される。サンプルは、1つだけのエキソンの領域全体を増幅するために設計されたプローブおよびプライマーの組を使用して逆転写酵素の非存在下で操作されるRTQ PCR反応によってゲノムDNAの混入に対して管理される。
最初に、RNAサンプルは、構成的に発現している遺伝子(例えば、β-アクチンおよびGAPDH)などの参照核酸に対して正規化された。正規化されたRNA(5ul)がcDNAに変換され、One Step RT-PCR Master Mix Reagents(Applied Biosystems;カタログ番号4309169)および遺伝子特異的プライマーを製造者の説明書に従って使用するRTQ-PCRによって分析された。
他の場合には、非正規化RNAサンプルが、Superscript II(Invitrogen Corporation;カタログ番号18064-147)およびランダムヘキサマーを製造者の説明書に従って使用して一本鎖cDNA(sscDNA)に変換された。10μgまでの総RNAを含有する反応は20μlの容量で実施され、反応液は42℃で60分間インキュベーションされた。この反応は最終容量100μlにおいて50μgの全RNAまで増やすことができる。その後、sscDNAサンプルは、製造者の説明書に従って、1X TaqMan(登録商標)Universal Masterミックス(Applied Biosystems;カタログ番号4324020)を使用して以前に記載されたように参照核酸に対して正規化される。
プローブおよびプライマーは、標的配列を入力として使用してApplied Biosystems Primer Express Softwareパッケージ(バージョンI、Apple Computer's Macintosh Power PC用)または類似するアルゴリズムに従ってそれぞれのアッセイのために設計された。初期設定の設定値が反応条件のために使用され、下記のパラメーターが、プライマーを選択する前に設定された:プライマー濃度=250nM、プライマー融解温度(Tm)範囲=58℃〜60℃、プライマー至適Tm=59℃、最大プライマー差=2℃、プローブは5'のGを有しない、プローブのTmはプライマーのTmよりも10℃高くなければならない、アンプリコンサイズ=75bp〜100bp。選択されたプローブおよびプライマー(下記参照)をSynthegen(Houston、TX、米国)によって合成した。プローブは、非結合の色素を除去するためにHPLCによって2回精製され、また、レポーター色素および消光剤色素がプローブの5'末端および3'末端にそれぞれ結合していることを確認するために質量分析法によって評価された。それらの最終濃度は下記の通りであった:順方向プライマーおよび逆方向プライマー、それぞれ900nM;プローブ、200nM。
PCR条件:RNAサンプルを用いて操作する際、それぞれの組織およびそれぞれの細胞株から得られた正規化RNAが96ウェルPCRプレートまたは384ウェルPCRプレート(Applied Biosystems)のいずれかの各ウェルにスポットされた。PCRカクテルには、1つの遺伝子だけに特異的なプローブおよびプライマーの1組、または、多重化されたプローブおよびプライマーの2つの組(標的クローンに対して特異的な1つの組、および標的クローンと多重化された別の遺伝子特異的な組)のいずれかが含まれた。PCR反応は、TaqMan(登録商標)ワンステップRT-PCR Master Mix (Applied Biosystems、カタログ番号4313803)を、製品使用説明書に従って用いて設定した。逆転写は48℃で30分間行われ、その後、増幅/PCRサイクルは下記のように行われた:95℃で10分、次いで、95℃で15秒、60℃で1分からなる40サイクル。結果は、対数スケールを使用してCT値(所与サンプルが蛍光の閾値レベルを超えるサイクル)として記録され、所与サンプルと最低CT値のサンプルとのRNA濃度差が2のデルタCT乗として表された。その場合、相対的な発現割合が、このRNA差の逆数を取り、100を乗ずることによって得られる。CT値が28未満である発現は高発現であると見なされ、28〜32の間のCT値は中程度であると見なされ、32〜35の間のCT値は低発現であると見なされる。CT値が35を超える相対的発現はすべて、有意な発現であるとは見なされない。
sscDNAサンプルを用いて操作されるとき、正規化されたsscDNAを、RNAサンプルについて以前に記載したように使用した。1または2セットのプローブおよびプライマーを含むPCR反応を、1×TaqMan(登録商標)Universal Master mix(Applied Biosystems;カタログ番号4324020)を、製品使用説明書に従って用いて、上述の通り設定した。PCR増幅を以下のように実施した:95℃で10分、次いで、95℃で15秒、60℃で1分からなる40サイクル。結果は上述のように分析、処理された。
パネル1、パネル1.1、パネル1.2およびパネル1.3D
パネル1、パネル1.1、パネル1.2およびパネル1.3Dに対するプレートには、2つの対照ウェル(ゲノムDNA対照および化学対照)と、様々なサンプルから得られたcDNAを含有する94個のウェルとが含まれる。これらのパネルにおけるサンプルは2つのクラスに分けられる:培養された細胞株に由来するサンプルおよび初代の正常組織に由来するサンプル。細胞株は以下の種類の癌に由来する:肺癌、乳癌、メラノーマ、結腸癌、前立腺癌、CNS癌、扁平上皮癌、卵巣癌、肝臓癌、腎臓癌、胃癌および膵臓癌。これらのパネルで使用された細胞株は、培養細胞株の保存機関である、American Type Culture Collection(ATCC)から広く入手することができ、ATCCにより推奨される条件を使用して培養された。これらのパネルについて見出される正常な組織は、1体の成体または胎児から得られたすべての主要な器官系に由来するサンプルから構成される。これらのサンプルは以下の器官に由来する:成体骨格筋、胎児骨格筋、成体心臓、胎児心臓、成体腎臓、胎児腎臓、成体肝臓、胎児肝臓、成体肺、胎児肺、脳の様々な領域、脾臓、骨髄、リンパ節、膵臓、唾液腺、下垂体、副腎、脊髄、胸腺、胃、小腸、結腸、膀胱、気管、乳房、卵巣、子宮、胎盤、前立腺、精巣および脂肪。
パネル1、パネル1.1、パネル1.2およびパネル1.3Dに対する結果では、下記の略号が使用される:
ca.=癌腫、
*=転移から確立されたもの、
met=転移、
s cell var=小細胞変種、
non-s=non-sm=非小、
squam=扁平上皮の
pl. eff=pl efflusion=胸水
glio=神経膠腫、
astro=星状細胞腫、および
neuro=神経芽細胞腫。
一般スクリーニングパネルv1.4、v1.5、v1.6および1.7
パネル1.4、パネル1.5、パネル1.6およびパネル1.7に対するプレートには、2つの対照ウェル(ゲノムDNA対照および化学対照)と、様々なサンプルから得られたcDNAを含有する88個〜94個のウェルとが含まれる。パネル1.4、パネル1.5、パネル1.6およびパネル1.7におけるサンプルは2つのクラスに分けられる:培養細胞株に由来するサンプルおよび初代の正常組織に由来するサンプル。細胞株は以下の種類の癌に由来する:肺癌、乳癌、メラノーマ、結腸癌、前立腺癌、CNS癌、扁平上皮癌、卵巣癌、肝臓癌、腎臓癌、胃癌および膵臓癌。パネル1.4、パネル1.5、パネル1.6およびパネル1.7で使用された細胞株は、培養細胞株の保存機関であるAmerican Type Culture Collection(ATCC)から広く入手することができ、ATCCにより推奨される条件を使用して培養された。パネル1.4、パネル1.5、パネル1.6およびパネル1.7について見出される正常な組織は、2体〜5体の異なる成体または胎児から得られたすべての主要な器官系に由来するサンプルのプールから構成される。これらのサンプルは以下の器官に由来する:成体骨格筋、胎児骨格筋、成体心臓、胎児心臓、成体腎臓、胎児腎臓、成体肝臓、胎児肝臓、成体肺、胎児肺、脳の様々な領域、脾臓、骨髄、リンパ節、膵臓、唾液腺、下垂体、副腎、脊髄、胸腺、胃、小腸、結腸、膀胱、気管、乳房、卵巣、子宮、胎盤、前立腺、精巣および脂肪。略号は、パネル1、パネル1.1、パネル1.2およびパネル1.3Dについて記載された通りである。
パネル2D、パネル2.2、パネル2.3およびパネル2.4
パネル2D、パネル2.2、パネル2.3およびパネル2.4に対するプレートは、一般には、2つの対照ウェルと、National Cancer Institute’s Cooperative Human Tissue Network(CHTN)またはthe National Disease Research Initiative(NDRI)と密接な協力関係を持つ医師により入手したか、あるいはArdaisまたはClinomicsから得たヒト組織から単離した、RNAまたはcDNAからなる94の試験サンプルが含まれる。組織はヒト悪性腫瘍に由来しており、示された場合、多くの悪性組織は、腫瘍にすぐ隣接する非癌性組織から得られた「対応縁部」を有する。これらは、下記の結果では、正常隣接組織と呼ばれ、「NAT」として示される。腫瘍組織および「対応縁部」は、2名の独立した病理学者によって(外科病理学者およびさらにNDRI/CHTN/Ardais/Clinomicsの病理学者によって)評価される。悪性腫瘍を有しない組織(正常な組織)から得られた非対応RNAサンプルもまた、ArdaisまたはClinomicsから得られた。この分析により、腫瘍分化進行度の全体的な組織病理学的評価がもたらされる。さらに、ほとんどのサンプルには、患者の臨床的段階に関する情報を提供する最初の外科病理学記録が含まれる。これら対応縁部は外科手術域を取り囲む(すなわち、最も近くに隣接する)組織(表RRでは正常隣接細胞という語から「NAT」と表す)から採取される。さらに、RNAサンプルおよびcDNAサンプルが、高齢者または突然死の死者(事故など)に対して行われた検死に由来する様々なヒト組織から得られた。これらの組織は、疾患を有しないことが確認され、また、様々な市販元から、例えば、Clontech(Palo Alto、CA)、Research GeneticsおよびInvitrogenから購入された。
HASSパネルv1.0
HASSパネルv1.0プレートは、93個のcDNAプレートおよび2個の対照から構成される。具体的には、これらのサンプルのうちの81個が、血清飢餓、アシドーシスおよび酸素欠乏に種々の期間さらされていた培養ヒト癌細胞株、ならびにこれらの処置に対する対照に由来し、3個のサンプルがヒト初代細胞であり、9個のサンプルが悪性の脳癌(4つの髄芽細胞腫および5つの神経膠芽細胞腫)であり、2個が対照である。ヒト癌細胞株はATCC(American Type Culture Collection)から得られ、以下の組織群に含まれる:乳癌、前立腺癌、膀胱癌腫、膵臓癌およびCNS癌の細胞株。これらの癌細胞はすべて、標準的な推奨される条件のもとで培養される。使用された処置(血清飢餓、アシドーシスおよび酸素欠乏)は科学文献に以前に記載されている。初代ヒト細胞が、Clonetics(Walkersville、MD)から得られ、Cloneticsより推奨される培地および条件で成長させられた。悪性脳癌サンプルが共同研究(Henry Ford Cancer Center)の一環として得られ、これは、CuraGenがサンプルを受け取る前に病理学者によって評価されている。標準的な手順を用いてRNAをこれらのサンプルから調製した。ゲノム対照および化学対照ウェルについては既に記載した。
パネル3D、パネル3.1およびパネル3.2
パネル3D、パネル3.1およびパネル3.2のプレートは、94個のcDNAサンプルおよび2個の対照サンプルから構成される。具体的には、これらのサンプルのうちの92個が培養ヒト癌細胞株に由来し、2個のサンプルがヒト初代小脳組織であり、2個が対照である。ヒト細胞株は、一般には、ATCC(American Type Culture Collection)、NCIまたはドイツ腫瘍細胞バンクから得られ、以下の組織群に含まれる:舌の扁平上皮癌、乳癌、前立腺癌、メラノーマ、類表皮癌、肉腫、膀胱癌腫、膵臓癌、腎臓癌、白血病/リンパ腫、卵巣/子宮/子宮頸部癌、胃癌、結腸癌、肺癌およびCNS癌の細胞株。さらに、小脳の2つの独立したサンプルが存在する。これらの細胞はすべてが、標準的な推奨される条件のもとで培養され、RNAが、標準的な手法を使用して抽出される。3D、3.1、3.2、1、1.1、1.2、1.3D、1.4、1.5および1.6の各パネルにおける細胞株は、科学文献において使用される非常に一般的な細胞株である。
パネル4D、パネル4Rおよびパネル4.1D
パネル4はサンプルを96ウェルプレート(2個の対照ウェル、94個の試験サンプル)に含み、これらは、炎症状態に関連づけられる様々なヒト細胞株またはヒト組織から単離されたRNA(パネル4R)またはcDNA(パネル4D/パネル4.1D)から構成される。対照の正常組織から得られた総RNA、例えば、結腸および肺から得られた総RNA(Stratagene、La Jolla、CA)、ならびに胸腺および腎臓から得られた総RNA(Clontech)などが用いられた。肝硬変患者からの肝臓組織から得られた総RNA、および狼瘡患者からの腎臓から得られた総RNAがBioChain(Biochain Institute, Inc.、Hayward、CA)から得られた。クローン病および潰瘍性大腸炎を有すると診断された患者からRNAを調製するための小腸組織がNational Disease Research Interchange(NDRI)(Philadelphia、PA)から得られた。
星状細胞、肺繊維芽細胞、皮膚繊維芽細胞、冠状動脈平滑筋細胞、小気道上皮、気管支上皮、微小血管表皮内皮細胞、微小血管肺内皮細胞、ヒト肺大動脈内皮細胞、ヒト臍帯静脈内皮細胞がすべて、Clonetics(Walkersville、MD)から購入され、Cloneticsによりこれらの細胞タイプのために供給される培地において成長させられた。これらの初代細胞タイプは、示されたように、6時間および/または12時間〜14時間、様々なサイトカインまたはサイトカインの組合せで活性化された。下記のサイトカインが使用された:IL-1β(約1ng/ml〜5ng/mlで)、TNFα(約5ng/ml〜10ng/mlで)、IFNγ(約20ng/ml〜50ng/mlで)、IL-4(約5ng/ml〜10ng/mlで)、IL-9(約5ng/ml〜10ng/mlで)、IL-13(約5ng/ml〜10ng/mlで)。内皮細胞には、0.1%の血清を含有するCloneticsからの基礎培地における培養によって様々な時間飢餓処理に供されるものもあった。
単核細胞は、Ficollを使用してCuraGen Corporationの従業員の血液から調製された。LAK細胞は、DMEM、5%FCS(Hyclone)、100μM非必須アミノ酸(Gibco/Life Technologies、Rockville、MD)、1mMピルビン酸ナトリウム(Gibco)、メルカプトエタノール(5.5x10-5M)(Gibco)および10mMのHepes(Gibco)ならびにインターロイキン2において4日間〜6日間、培養することによってこれらの細胞から調製された。その後、細胞は、10ng/ml〜20ng/mlのPMAおよび1μg/ml〜2μg/mlのイオノマイシン、5ng/ml〜10ng/mlでのIL-12、20ng/ml〜50ng/mlでのIFNγおよび5ng/ml〜10ng/mlでのIL-18のいずれかで6時間にわたって活性化された。場合により、単核細胞は、約5μg/mlでのPHA(フィトヘマグルチニン)またはPWM(ポークウィードマイトジェン)とともに、DMEM、5%FCS(Hyclone)、100μM非必須アミノ酸(Gibco)、1mMピルビン酸ナトリウム(Gibco)、メルカプトエタノール(5.5x10-5M)(Gibco)および10mMのHepes(Gibco)において4日間〜5日間、培養された。サンプルは、RNA調製のために、24時間、48時間および72時間で採取された。MLR(混合リンパ球反応)サンプルは、2名の献血者から血液を採取し、Ficollを使用して単核細胞を単離し、そして、単離された単核細胞を、DMEM、5%FCS(Hyclone)、100μM非必須アミノ酸(Gibco)、1mMピルビン酸ナトリウム(Gibco)、メルカプトエタノール(5.5x10-5M)(Gibco)および10mMのHepes(Gibco)において約2x106細胞/mlの最終濃度で、1:1で混合することによって得られた。MLRは培養され、サンプルがRNA調製のために1日〜7日の範囲の様々な時点で採取された。
単球が、CD14 Miltenyi Beads、ポジティブVS選択カラムおよびVario Magnetを製造者の説明書に従って使用して単核細胞から単離された。単球を、DMEM、5%ウシ胎児血清(FCS)(Hyclone、Logan、UT)、100μM非必須アミノ酸(Gibco)、1mMピルビン酸ナトリウム(Gibco)、メルカプトエタノール(5.5x10-5M)(Gibco)および10mMのHepes(Gibco)、50ng/mlのGMCSFおよび5ng/mlのIL-4において5日間〜7日間培養することによって樹状細胞に分化させた。マクロファージが、単球を、DMEM、5%FCS(Hyclone)、100μM非必須アミノ酸(Gibco)、1mMピルビン酸ナトリウム(Gibco)、メルカプトエタノール(5.5x10-5M)(Gibco)、10mMのHepes(Gibco)および10%のABヒト血清または約50ng/mlでのMCSFにおいて5日間〜7日間にわたって培養することによって調製された。単球、マクロファージおよび樹状細胞は、6時間および12時間〜14時間、100ng/mlでのリポ多糖(LPS)で刺激された。樹状細胞はまた、6時間および12時間〜14時間、10μg/mlでの抗CD40モノクローナル抗体(Pharmingen)で刺激された。
CD4リンパ球、CD8リンパ球およびNK細胞もまた、CD4、CD8およびCD56のMiltenyiビーズ、陽性VS選択カラムおよびVario Magnetを製造者の説明書に従って使用して単核細胞から単離された。CD45RAおよびCD45ROのCD4リンパ球が、CD8、CD56、CD14およびCD14のMiltenyiビーズおよび陽性選択を使用してCD8細胞、CD56細胞、CD14細胞およびCD19細胞の単核細胞を枯渇することによって単離された。その後、CD45ROビーズを使用して、CD45RO CD4リンパ球が単離され、残った細胞はCD45RA CD4リンパ球であった。CD45RA CD4リンパ球、CD45RO CD4リンパ球およびCD8リンパ球を、DMEM、5%FCS(Hyclone)、100μM非必須アミノ酸(Gibco)、1mMピルビン酸ナトリウム(Gibco)、メルカプトエタノール(5.5x10-5M)(Gibco)および10mMのHepes(Gibco)に入れ、PBSにおける0.5μg/mlの抗CD28(Pharmingen)および3ug/mlの抗CD3(OKT3、ATCC)で一晩コーティングされたFalcon 6ウェル組織培養プレートに106細胞/mlでプレーティングした。6時間後および24時間後、細胞をRNA調製のために集めた。時間的に活性化されたCD8リンパ球を調製するために、本発明者らは、単離されたCD8リンパ球を、抗CD28および抗CD3でコーティングされたプレートで4日間にわたって活性化して、細胞を集め、その後、細胞を、DMEM、5%FCS(Hyclone)、100μM非必須アミノ酸(Gibco)、1mMピルビン酸ナトリウム(Gibco)、メルカプトエタノール(5.5x10-5M)(Gibco)および10mMのHepes(Gibco)ならびにIL-2において拡大培養した。拡大培養されたCD8細胞は、その後、抗CD3および抗CD28を結合させたプレートで4日間、再び活性化され、以前のように拡大培養された。RNAを、2回目の活性化の6時間後および24時間後に、そして、4日間の2回目の拡大培養の後で単離した。単離されたNK細胞は、DMEM、5%FCS(Hyclone)、100μM非必須アミノ酸(Gibco)、1mMピルビン酸ナトリウム(Gibco)、メルカプトエタノール(5.5x10-5M)(Gibco)および10mMのHepes(Gibco)ならびにIL-2において4日間〜6日間にわたって培養され、その後、RNAが調製された。
B細胞を得るために、扁桃をNDRIから入手した。扁桃を滅菌した解剖用鋏で細かく切断した後、篩にかけた。その後、扁桃細胞を遠心分離して、DMEM、5%FCS(Hyclone)、100μM非必須アミノ酸(Gibco)、1mMピルビン酸ナトリウム(Gibco)、メルカプトエタノール(5.5x10-5M)(Gibco)および10mMのHepes(Gibco)に106細胞/mlで再懸濁した。細胞を活性化するために、本発明者らは、5μg/mlでのPWMまたは約10μg/mlでの抗CD40(Pharmingen)および5ng/ml〜10ng/mlのIL-4を使用した。RNA調製のために、細胞を24時間、48時間および72時間で集めた。
初代および二次的なTh1/Th2細胞およびTr1細胞を調製するために、6ウェルのFalconプレートを10μg/mlの抗CD28(Parmingen)および2μg/mlのOKT3(ATCC)で一晩コーティングし、その後、PBSで2回洗浄した。臍帯血CD4リンパ球(Poietic Systems、German Town、MD)を、DMEM、5%FCS(Hyclone)、100μM非必須アミノ酸(Gibco)、1mMピルビン酸ナトリウム(Gibco)、メルカプトエタノール(5.5x10-5M)(Gibco)、10mMのHepes(Gibco)およびIL-2(4ng/ml)中で105〜106細胞/mlで培養した。IL-12(5ng/ml)および抗IL-4(1μg/ml)が、Th1に誘導するために使用され、一方、IL-4(5ng/ml)および抗INFγ(1μg/ml)が、Th2に誘導するために使用され、5ng/mlでのIL-10が、Tr1に誘導するために使用された。4日後〜5日後、活性化されたTh1リンパ球、Th2リンパ球およびTr1リンパ球はDMEMで1回洗浄され、そして、4日間〜7日間、DMEM、5%FCS(Hyclone)、100μM非必須アミノ酸(Gibco)、1mMピルビン酸ナトリウム(Gibco)、メルカプトエタノール(5.5x10-5M)(Gibco)、10mMのHepes(Gibco)およびIL-2(1ng/ml)において拡大培養された。この後、活性化されたTh1リンパ球、Th2リンパ球およびTr1リンパ球は、上述の通りではあるが、アポトーシスを防止するために抗CD95L(1μg/ml)の添加を伴って、抗CD28/OKT3およびサイトカインで5日間、再び刺激された。4日後〜5日後、Th1リンパ球、Th2リンパ球およびTr1リンパ球は洗浄され、その後、IL-2とともに4日間〜7日間、再び拡大培養された。活性化されたTh1リンパ球およびTh2リンパ球は、最大で3サイクルにわたってこのように維持された。抗CD3 mAbおよび抗CD28 mAbを結合させたプレートを用いた2回目および3回目の活性化の後の6時間後および24時間後、そして、インターロイキン2における2回目および3回目の拡大培養に入った4日後に、RNAを初代および二次的なTh1、Th2およびTr1から調製した。
以下の白血球細胞株をATCCから得た:Ramos、EOL-1、KU-812。EOL細胞は、5x105細胞/mlで8日間にわたり0.1mMのdbcAMPにおいて培養し、培地を3日毎に交換し、細胞濃度を5x105細胞/mlに調製することによってさらに分化させた。これらの細胞の培養のために、本発明者らは、5%FCS(Hyclone)、100μM非必須アミノ酸(Gibco)、1mMピルビン酸ナトリウム(Gibco)、メルカプトエタノール(5.5x10-5M)(Gibco)、10mMのHepes(Gibco)を添加して、(ATCCにより推奨されるような)DMEMまたはRPMIを使用した。RNAを、休止細胞、または、10ng/mlでのPMAおよび1μg/mlでのイオノマイシンで6時間および14時間にわたって活性化された細胞のいずれかから調製した。ケラチノサイト株CCD106および気道上皮腫瘍株NCI-H292もまたATCCから得た。両者は、DMEM、5%FCS(Hyclone)、100μM非必須アミノ酸(Gibco)、1mMピルビン酸ナトリウム(Gibco)、メルカプトエタノール(5.5x10-5M)(Gibco)および10mMのHepes(Gibco)において培養された。CCD1106細胞は、約5ng/mlのTNFαおよび1ng/mlのIL-1βで6時間および14時間にわたり活性化され、一方、NCI-H292細胞は、以下のサイトカイン:5ng/ml IL-4、5ng/ml IL-9、5ng/ml IL-13および25ng/ml IFNγで、6および14時間活性化された。
これらの細胞株および血液細胞の場合、RNAは、Trizol(Gibco BRL)を使用して約107細胞/mlを溶解することによって調製された。簡単に記載すると、1/10容量のブロモクロロプロパン(Molecular Research Corporation)をRNAサンプルに加え、激しく撹拌して、室温で10分後、チューブをSorvall SS34ローターにおいて14,000rpmで遠心分離した。水相を取り出し、15mlのFalconチューブに入れた。等容量のイソプロパノールを加えて、-20℃で一晩置いた。沈殿したRNAを、Sorvall SS34ローターにおいて15分間、9,000rpmで遠心分離し、70%エタノールで洗浄した。ペレットを300μlのRNAse非含有水に再溶解し、35μlの緩衝液(Promega)、5μlのDTT、7μlのRNAsinおよび8μlのDNAseを加えた。チューブを37℃で30分間インキュベーションして、混入しているゲノムDNAを除き、フェノールクロロホルムで1回抽出して、1/10容量の3M酢酸ナトリウムおよび2容量の100%エタノールを用いて再び沈殿させた。RNAを遠心分離し、RNAse非含有水に入れた。RNAは-80℃で保存された。
表3A、表3Bおよび表3Cに記載のプライマー−プローブの組(Ag2772、Ag88およびAg6309)を使用して遺伝子CG51896-04の発現を評価した。RTQ-PCR処理の結果が、表3D、表3E、表3F、表3G、表3H、表3I、表3J、表3Kおよび表Lに示される。
表3A.プローブ名Ag2772
表3B.プローブ名Ag88
表3C.プローブ名Ag6309
表3D.CNS神経変性v1.0
表3E.一般スクリーニングパネルv1.5
表3F.HASSパネルv1.0
表3G.パネル1
表3H.パネル1.3D
表3I.パネル2D
表3J.パネル3D
表3K.パネル4D
表3L.一般オンコロジースクリーニングパネルv2.4
CNS神経変性v1.0の要約:Ag2772/Ag6309 このパネルにより、この遺伝子の発現は、無関係な個体群の脳において低いレベルにあることが確認される。
一般スクリーニングパネルv1.5の要約:Ag6309 この遺伝子の最高発現が脊髄において検出される(CT=29.4)。この遺伝子の中程度の発現が、小脳扁桃(扁桃)、海馬、黒質、視床、小脳、大脳皮質および脊髄を含む調べられた中枢神経系のすべての領域において主に認められる。この遺伝子はセマフォリン6Aタンパク質(Sema6A)をコードする。Sema6Aは、視床皮質ニューロンで発現し、その軸索が正しく突き出るために要求されることが示されている(Leighton PA, Mitchell KJ, Goodrich LV, Lu X, Pinson K, Scherz P, Skarnes WC, Tessier-Lavigne M, 2001, Nature, 410(6825):174-9)。従って、この遺伝子産物の治療的調節は、アルツハイマー病、パーキンソン病、てんかん、多発性硬化症、統合失調症およびうつ病などの中枢神経系の障害を処置することにおいて有用であり得る。
この遺伝子の低い発現もまた、脳、卵巣、メラノーマおよび腎臓の癌に由来する多数の癌細胞株において認められる。従って、この遺伝子またはこの遺伝子によりコードされるSema6Aタンパク質の、小分子または抗体の使用による治療的調節は、これらの癌の処置において、特に、これらの癌細胞系統の遊走を阻害することにおいて有用であり得る。
HASSパネルv1.0の要約:Ag2772 この遺伝子の最高発現が脳癌(487髄性)サンプルにおいて認められる(CT=27.3)。この遺伝子の高〜中程度の発現が、髄芽細胞腫および神経膠腫の脳癌サンプルならびに前立腺癌(LuCAP)細胞株において認められる。この遺伝子の発現は、酸性および低酸素の環境のもとではLnCAP細胞においてダウンレギュレーションされる。さらに、この遺伝子の低い発現もまたMCF7細胞において認められる。従って、この遺伝子またはそのタンパク質産物の治療的調節は、脳癌、前立腺癌および乳癌の処置において有用であり得る。
パネル1の要約:Ag88 この遺伝子の最高発現が小脳において認められる(CT=24.5)。この遺伝子の高発現が、調べられた中枢神経系のすべての領域において主に認められる。この遺伝子のさらなる議論についてはパネル1.5を参照のこと。
この遺伝子の高〜中程度の発現がまた、膵臓、甲状腺、副腎、下垂体、骨格筋、心臓、肝臓および胃腸管を含む、代謝/内分泌機能を有する組織において認められる。従って、この遺伝子の活性の治療的調節は、内分泌/代謝に関連する疾患、例えば、肥満および糖尿病などの処置において有用であり得る。
この遺伝子の高〜中程度の発現がまた、メラノーマ、卵巣、腎臓、結腸、肝臓および脳癌に由来する多数の癌細胞株において認められる。従って、この遺伝子またはそのタンパク質産物の治療的調節はこれらの癌の処置において有用であり得る。
パネル1.3Dの要約:Ag2772 この遺伝子の最高発現が胎児の骨格筋において認められる(CT=27.4)。興味深いことに、この遺伝子は、成体の骨格筋(CT=31.5)と比較した場合、胎児においてはるかにより大きいレベルで発現している(CT=27.4)。この観察結果は、この遺伝子の発現が、成体の骨格筋から胎児の骨格筋を区別するために使用され得ることを示唆している。さらに、胎児組織におけるこの遺伝子の相対的な過剰発現により、そのタンパク質産物が胎児における筋肉の成長または発達を増強し、成体における再生能力においてもまた作用し得ることが示唆される。従って、この遺伝子によりコードされるタンパク質の治療的調節は、筋肉に関連する疾患の処置において有用であり得る。
いくつかの発現パターンが、パネル1において認められたパターンと相関する(例えば、癌細胞株)。
パネル2Dの要約:Ag2772/Ag88 異なるプローブ−プライマーの組を用いた2つの実験は優れた一致を示し、この遺伝子の最高発現が肝臓癌(ODO4310)サンプルにおいて認められる(CT=25〜28)。この遺伝子は、このパネルでは広範囲の発現を示しており、高〜中程度の発現が、胃、卵巣、膀胱、結腸、肝臓、肺、転移メラノーマ、腎臓、子宮、甲状腺および乳房から得られた正常サンプルおよび癌サンプルにおいて認められる。興味深いことに、この遺伝子の発現は、転移メラノーマ、胃癌、肝臓癌および腎臓癌ではアップレギュレーションされている。従って、この遺伝子の発現は、転移メラノーマ、胃癌、肝臓癌および腎臓癌の存在を検出するためのマーカーとして使用することができ、さらに、この遺伝子またはそのタンパク質産物の治療的調節はこれらの癌の処置において有用であり得る。
パネル3Dの要約:Ag88 この遺伝子の最高発現が腎臓癌細胞株において検出される(CT=30)。この遺伝子の中程度の発現がまた、脳癌、肺癌、結腸癌、胃癌、腎臓癌および骨癌に由来する多数の癌細胞株において認められる。従って、この遺伝子またはそのタンパク質産物の治療的調節はこれらの癌の処置において有用であり得る。
パネル4Dの要約:Ag2772/Ag88 異なるプローブ−プライマーの組を用いた2つの実験は優れた一致を示し、この遺伝子の非常に大きい発現が結腸および胸腺において認められる(CT=27〜30)。この遺伝子は、このパネルではほとんどのサンプルにおいて中程度〜低い発現を示す。この遺伝子の発現は、活性化された気管支および小気道上皮、好塩基球、肝硬変および狼瘡腎臓ではアップレギュレーションされている。従って、この遺伝子またはそのタンパク質産物の治療的調節は、喘息、アレルギー、慢性閉塞性肺疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、肝硬変および紅斑性狼瘡の処置において有用であり得る。
一般オンコロジースクリーニングパネルv2.4の要約:Ag6309/Ag88 この遺伝子の非常に大きい発現が肺癌サンプルにおいて認められる(CT=27〜34.7)。この遺伝子の中程度〜低い発現が、肺、結腸、転移メラノーマ、前立腺および腎臓から得られた正常サンプルおよび癌サンプルにおいて認められる。この遺伝子の発現は、腎臓癌、転移メラノーマおよび肺癌ではアップレギュレーションされており、このことは、パネル2Dで認められた発現と一致している。この遺伝子のさらなる議論についてはパネル2Dを参照のこと。
(実施例3)
NOVX核酸配列における単一ヌクレオチド多型の同定
変種配列もまた本出願では含まれる。変種配列は単一ヌクレオチド多型(SNP)を含み得る。SNPは、場合により、SNPを含有するヌクレオチド配列がcDNAとして生じることを示すために「cSNP」として示され得る。SNPはいくつかの方法で生じ得る。例えば、SNPは、1つのヌクレオチドが多型位置において別のヌクレオチドに置換されたためであり得る。そのような置換はトランジションまたはトランスバージョンのいずれかであり得る。SNPはまた、基準となる対立遺伝子に対して、ヌクレオチドの欠失またはヌクレオチドの挿入から生じ得る。この場合、多型部位は、1つの対立遺伝子が別の対立遺伝子における特定のヌクレオチドに関してギャップを有する部位である。遺伝子内に存在するSNPは、そのSNPの位置において遺伝子によりコードされるアミノ酸の変化を生じさせる場合がある。遺伝子内のSNPはまた、SNPを含むコドンが遺伝暗号の冗長性の結果として同じアミノ酸をコードするとき、サイレントになり得る。遺伝子の領域の外側に存在するSNP、または遺伝子内のイントロンに存在するSNPは、タンパク質のアミノ酸配列の変化を何ら生じさせないが、発現パターンの変化した調節をもたらす場合がある。例には、時間的発現、生理学的応答調節、細胞タイプ発現調節、発現の強さ、および転写メッセージの安定性の変化が含まれる。
エキソン連結プロセスにより得られるSeqCallingアセンブリーが、下記の判断基準を使用して選択および伸張された。最初の配列または伸張された配列のすべてまたは一部に対する同一性が98%である領域を有するゲノムクローンを、BLASTN検索によって関連配列を用いてヒトゲノムデータベースを調べ、同定した。得られたゲノムクローンは、この同一性により、これらのクローンがこれらのSeqCallingアセンブリーに対するゲノム遺伝子座を含有することが示されたので、さらなる分析のために選択された。これらの配列は、推定されるコード領域について、ならびに、知られているDNA配列およびタンパク質配列に対する類似性について分析された。これらの分析のために使用されたプログラムには、Grail、Genscan、BLAST、HMMER、FASTA、Hybrid、および他の関連するプログラムが含まれる。
選択されたSeqCallingアセンブリーはこれらの領域に位置するため、いくつかのさらなるゲノム領域もまた同定され得る。そのようなSeqCalling配列は、相同性またはエキソン予測によって定義される領域と重複している場合がある。それらもまた、フラグメントの存在位置が、最初の予測された配列に含まれていた相同性またはエキソン予測により同定されるゲノム領域の近くに存在していたので含まれ得る。そのようにして同定された配列は手作業により組み立てられ、その後、CuraGen CorporationのヒトSeqCallingデータベースから得られた1つ以上のさらなる配列を使用して伸張され得る。含めるために好適なSeqCallingフラグメントが、CuraTools(商標)プログラムSeqExtendによって、または、分析されたゲノムクローンの適切な領域にマッピングしてSeqCallingフラグメントを同定することによって同定された。
上記の手順によって定義される領域は、本明細書中に開示されている最終的な配列を得るために、その後、手作業により統合され、そして、例えば、最初のフラグメントにおける間違って呼ばれた塩基から、または、予測されたエキソン接合、EST存在位置、および配列類似性を有する領域の間での不一致から生じていると考えられる明らかな矛盾について補正された。必要な場合には、SeqCallingアセンブリーおよびゲノムクローンを同定および分析するためのプロセスが、全長配列を得るために繰り返された(Alderborn, et al., Determination of Single Nucleotide Polymorphisms by Real-time Pyrophosphate DNA Sequencing, Genome Research, 10(8) 1249-1265, 2000)。様々な変種が個々に報告されているが、変種のすべてまたは選択されたサブセットの任意の組合せもまた、本発明の意図されるNOVX実施形態として含まれる。
CG51896-04の9個の多型変種が同定されており、表4に示される。
表4:CG51896-04に対するSNP変種
(実施例4)
CG51896-02、CG51896-11およびCG51896-13の分子クローニング
CG51896-02のオープンリーディングフレームは、セマフォリン6Aの、626アミノ酸長の細胞外ドメインをコードする。オリゴヌクレオチドプライマーが、CG51896-02をコードするORFを表すDNAセグメントをPCR増幅するために設計された。さらなるサブクローニング目的のために、順方向プライマーはBamHI制限部位を含み、一方、逆方向プライマーは、イン・フレームにてXhoI制限部位を含有する。
CG51896-11のオープンリーディングフレームは、セマフォリン6Aの、649アミノ酸長の細胞外ドメインをコードする。オリゴヌクレオチドプライマーが、CG51896-11をコードするORFを表すDNAセグメントをPCR増幅するために設計された。さらなるサブクローニング目的のために、順方向プライマーはSalI制限部位を含み、一方、逆方向プライマーは、イン・フレームにてBamHI制限部位を含有する。
CG51896-13のオープンリーディングフレームは、セマフォリン6Aの、878アミノ酸長の細胞外ドメインをコードする。オリゴヌクレオチドプライマーが、CG51896-13をコードするORFを表すDNAセグメントをPCR増幅するために設計された。さらなるサブクローニング目的のために、順方向プライマーはBamHI制限部位を含み、一方、逆方向プライマーは、イン・フレームにてXhoI制限部位を含有する。
CG51896-02、CG51896-11、CG51896-13のそれぞれに対する特異的なプライマーを使用するPCR反応液が、50μlの体積において、ヒト精巣、ヒト乳房、ヒト骨格筋および胎児脳に由来するcDNAサンプルの等しい割合を含有する合計で5ngのcDNAテンプレート、それぞれ1μMのSem6A FORWプライマーおよびSem6A FL-REVプライマー、5マイクロモルのdNTPs(Clontech Laboratories、Palo Alto、CA)、および1μlの50xAdvantage-HF 2ポリメラーゼ(Clontech Laboratories、Palo Alto、CA)を使用してセットアップされた。約1kbpの大きい増幅産物がアガロースゲルから単離され、pCR2.1ベクター(Invitrogen、Carlsbad、CA)に連結された。クローン化された挿入物が、ベクター特異的なM13 フォワード(-40)プライマーおよびM13 リバースプライマーを使用して配列決定され、CG51896-02、CG51896-11またはCG51896-13をコードするオープンリーディングフレームとして確認された。
(実施例5)
CG51896-02の発現
大腸菌E281株におけるCG51896-02の発現
CG51896-02配列を含有する1.8kbのBamHI-XhoIフラグメントを、BamHI-XhoI消化されたpET32a(Invitrogen)にサブクローン化して、プラスミド1954を作製した。得られたプラスミド1954を、標準的な形質転換プロトコルを使用して大腸菌に形質転換した。細胞ペレットおよび上清をIPTGによる誘導の2時間後に集め、抗HIS抗体を使用するウエスタンブロット(還元条件)によってCG51896-02の発現について調べた。
ヒト胚腎臓293細胞におけるCG51896-02の発現
CG51896-02配列を含有する1.8kbのBamHI-XhoIフラグメントを、BamHI-XhoI消化されたpCEP4/Secにサブクローン化して、プラスミド169を作製した。得られたプラスミド169を、製造者の説明書(Gibco/BRL)に従って、LipofectaminePlus試薬を使用して293細胞にトランスフェクションした。細胞ペレットおよび上清をトランスフェクションの72時間後に集め、抗V5抗体を使用するウエスタンブロット(還元条件)によってCG51896-02の発現について調べた。CG51896-02は、293細胞により分泌される約95kDaのタンパク質として発現する。
安定なCHO-K1細胞におけるCG51896-02の発現
CG51896-02配列を含有する1.8kbのBamHI-XhoIフラグメントを、BamHI-XhoI消化されたpEE14.4Secにサブクローン化して、プラスミド1610を作製した。得られたプラスミド1610を、製造者の説明書(Invitrogen/Gibco)に従って、LipofectaminePlus試薬を使用してCHO-K1細胞にトランスフェクションした。安定なクローンを、メチオニンスルホキシミンに対する抵抗性に基づいて選択した。選択されたクローンの発現レベルおよび分泌レベルを、HRPコンジュゲート化V5抗体を使用するウエスタンブロット分析によって評価した。(V5エピトープは、pEE14.4Secベクターにおいて、Cterで目的とする遺伝子に融合される)。CG51896-02は、CHO細胞により分泌される約98kDaのタンパク質として発現する。
(実施例6)
CG51896-11の発現
安定なCHO-K1細胞におけるCG51896-11の発現
CG51896-11配列を含有する1.9kbのSalI-BamHIフラグメントを、BamHI-XhoI消化されたpEE14.4Secにサブクローン化して、プラスミド2797を作製した。得られたプラスミド2797を、製造者の説明書(Invitrogen/Gibco)に従って、LipofectaminePlus試薬を使用してCHO-K1細胞にトランスフェクションした。安定なクローンを、メチオニンスルホキシミンに対する抵抗性に基づいて選択した。選択されたクローンの発現レベルおよび分泌レベルを、HRPコンジュゲート化V5抗体を使用するウエスタンブロット分析によって評価した。(V5エピトープは、pEE14.4Secベクターにおいて、Cterで目的とする遺伝子に融合される)。CG51896-11は、CHO細胞により分泌される116kDaのタンパク質として発現する。
ヒト胚腎臓293細胞におけるCG51896-11の発現
CG51896-11配列を含有する1.9kbのSalI-BamHIフラグメントを、BamHI-XhoI消化されたpCEP4/Secにサブクローン化して、プラスミド2282を作製した。得られたプラスミド2282を、製造者の説明書(Gibco/BRL)に従って、LipofectaminePlus試薬を使用して293細胞にトランスフェクションした。細胞ペレットおよび上清をトランスフェクションの72時間後に集め、抗V5抗体を使用するウエスタンブロット(還元条件)によってCG51896-11の発現について調べた。CG51896-11は、293細胞により分泌される100kDaのタンパク質として発現する。
(実施例7)
ヒト胚腎臓293細胞におけるCG51896-13の発現
CG51896-13配列を含有する2.6kbのBamHI-XhoIフラグメントを、BamHI-XhoI消化されたpCEP4/Secにサブクローン化して、プラスミド3128を作製した。得られたプラスミド3128を、製造者の説明書(Gibco/BRL)に従って、LipofectaminePlus試薬を使用して293細胞にトランスフェクションした。細胞ペレットおよび上清をトランスフェクションの72時間後に集め、抗V5抗体を使用するウエスタンブロット(還元条件)によってCG51896-13の発現について調べた。CG51896-13は、293細胞により分泌される130kDaのタンパク質として発現する。
(実施例8)
関連する経路
PathCalling(商標)技術:アクセション番号CG51896-02の配列は、ツーハイブリッド法によるcDNAライブラリーの実験室でのスクリーニングによって得られた。全長のcDNA配列または配列の一部または両方のいずれかを含むcDNAフラグメントが配列決定された。インシリコ予測は、CuraGen Corporation社所有の配列データベースまたは公開されているヒト配列データベースにおいて得ることができる配列に基づいており、全長DNA配列またはその特定部分のいずれかをもたらした。
cDNAライブラリーは、種々の提供者から得られた、多数の組織タイプ、正常状態および疾患状態、生理学的状態、ならびに発達状態を表す様々なヒトサンプルに由来した。サンプルは、組織全体、一次細胞、または組織培養された一次細胞もしくは細胞株として得られた。細胞および細胞株は、遺伝子発現を調節する生物学的薬剤または化学的薬剤で、例えば、増殖因子、ケモカインまたはステロイドで処理されている場合がある。そのようにして得られたcDNAは、その後、適切なツーハイブリッドベクター(Gal4活性化ドメイン(Gal4-AD)融合体)に一方向的にクローン化された。そのようなcDNAライブラリー(ならびに、Clontech(Palo Alto、CA)から得られる市販のcDNAライブラリー)は、その後、大腸菌から、(米国特許第6,057,101号および同第6,083,693号(これらはその全体が参考として本明細書中に組み込まれる)に開示される)CuraGen Corporation社所有の酵母株に移された。
ヒト配列のCuraGen Corporation社所有ライブラリーのGal4結合ドメイン(Gal4-BD)融合体を使用して、多数のGal4-AD融合cDNAライブラリーがスクリーニングされ、これにより、Gal4-AD融合体が個々のcDNAをそのそれぞれにおいて含有する酵母ハイブリッド二倍体の選択がもたらされた。各サンプルが、cDNA挿入体の境界における非特異的なプライマーを使用するポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用して増幅された。そのようなPCR産物が配列決定され、配列トレースが手作業により評価され、適する場合には修正のために編集された。すべてのサンプルから得られたcDNA配列が、公開されているヒト配列を場合により含んで、それぞれのアセンブリーについてコンセンサス配列を生じさせるためにバイオインフォマティクスプログラムを使用してまとめられた。それぞれのアセンブリーがCuraGen Corporation社のデータベースに含められる。様々な配列が、別の構成要素との同一性の程度が50bpにわたって少なくとも95%であったとき、アセンブリーのための構成要素として含められた。それぞれのアセンブリーは遺伝子またはその一部分を表しており、また、変種に関する情報、例えば、スプライス形態、単一ヌクレオチド多型(SNP)、挿入、欠失および他の配列変化などを含む。
物理的クローン:このスクリーニング法により得られるcDNAフラグメントは、オープンリーディングフレーム全体を含むとき、cDNAライブラリーを作製するために使用されるpACT2プラスミド(Clontech)に組換えDNAとしてクローン化される。組換えプラスミドは宿主に挿入され、そして、CuraGen Corporation社所有酵母のN106'株およびYULH株(米国特許第6,057,101号および同第6,083,693号)の両方を接合することによりスクリーニング手順のときに作製された酵母ハイブリッド二倍体によって選択される。
相互作用するタンパク質対がCuraGen's PathCalling(商標)Protein Interaction Databaseに加えられる。このデータベースは、病理学的に関連づけられるシグナル変換経路におけるそれらの相互作用および/または存在のためによる新規な医薬用薬物標的の発見を可能にする。タンパク質相互作用は、続いて、二元のタンパク質相互作用、タンパク質複合体形成、ならびに完全な細胞シグナル伝達経路を可視化する手段を提供するGeneScape(商標)に含まれるバイオインフォマティクスツールを使用して分析される。具体的には、図1および図2に示されるように、これらの配列は、タンパク質のCG51896-01(セマフォリン6A)、VWF(フォンビルブランド因子)、NCK2、HIP-55およびARGBP2aの各タンパク質をコードする一方で、相互作用することが見出されていたが、また、タンパク質複合体の形成を生じさせることができるか、または、疾患病理学に生理学的に関連する細胞シグナルを伝えるために形成される一連の複合体を構成する場合がある。特異的な相互作用(これにより、特異的な複合体が構成される)もまた、組換えタンパク質療法もしくは抗体療法、小分子薬物、または遺伝子治療法を使用することによる治療的介入のために有用であり得る。
様々なタンパク質相互作用が、PathCalling(商標)データベースを調べることによって同定される一方で、様々なタンパク質相互作用を、発現、機能、生化学および表現型に関する情報を得るためにインビトロおよびインビボでスクリーニングすることができる。様々なアッセイを単独または組合せで使用することができ、そのようなアッセイには、下記の様々な技術が含まれるが、それらに限定されない:RTQ-PCR、組換えタンパク質のトランスフェクション、免疫共沈降および質量分析法、FRET、アフィニティークロマトグラフィー、免疫組織化学もしくは免疫細胞化学、遺伝子CHIPハイブリダイゼーション、アンチセンス(すなわち、ノックダウン、ノックアップ)、GeneCalling実験、および/または生化学的アッセイ(リン酸化、脱リン酸化、プロテアーゼ他)。
マトリックス接合 PathCallingマトリックス接合アッセイのための半数体細胞が、選択的な液体培地を使用して384ウェルプレートにおいて個々に成長させられる。1日〜2日後、接合が富栄養培地において完全に行われる。得られた二倍体細胞が、その後、選択的な液体培地を使用して選択される。二倍体細胞の光学密度(O.D.)が、測定するための分光光度計を使用して測定され、その後、細胞はBeta-galアッセイのために新しいプレートに移される。このアッセイは、試験されている2つのタンパク質の間に相互作用が存在するかどうかを明らかにするために行われる。Beta-galアッセイは下記のように行われる:
1.30マイクロリットル(μl)の二倍体細胞が、GenMate96ウェルピペットを使用して新しいプレート(384ウェルの平底プレート)に移される。
2.β-gal緩衝液が、(1枚の384ウェルプレートあたり)、7.1mlのSigma水、7.5mlの4X Z緩衝液、0.3mlの20%IGEPAL、30mgのCPRG、75μlのリチケース(10,000U/ml)を使用して作製される。3.30μlのβ-gal緩衝液が、マルチドロップ384を使用して、工程1で作製されたプレートの各ウェルに加えられる。
3.プレートを30℃のインキュベーターに24時間入れる。
4.24時間のインキュベーション期間の後、各プレートを660nmおよび580nmの波長においてBio-Tekプレートリーダーで読み取る。
5.デルタOD(660-580)が、陽性の相互作用(黄色から赤色への色の変化)を明らかにするためにを目視検査と一緒に使用される。
図1に示されるように、PathCallingデータは、CG51896-01の細胞外ドメインがフォンビルブランド因子(VWF)(血液凝固系において抗血友病因子キャリアおよび血小板−血管壁媒介因子の両方として機能する糖タンパク質)と相互作用することを示している。表5には、この新規な相互作用を検出するために7回の独立した実験において使用されたおとりおよび餌食のアミノ酸配列がまとめられている。Lianらは、糖タンパク質Ibαがフォンビルブランド因子含有基質表面での内皮細胞の遊走を媒介すること、および、この遊走活性がTNFα処理の内皮細胞では一層大きくなっていることを示している(Lian, et al., Exp Cell Res, 1999, 252(1):114-22)。CG51896-01は、TNFαで処理されたときにはアップレギュレーションされるので、遊走活性の増大を媒介し得る。
図2に示されるように、PathCallingデータは、CG51896-01の細胞質ドメインが、HIP-55(SH3アクチン結合タンパク質)、および、c-Abl経路に存在する2つのSH3含有タンパク質(NCK2およびARGBP2a)と相互作用することを示している。表6には、スクリーニングおよびマトリックス1x1アッセイにおける細胞内相互作用を検出するために使用されたドメインがまとめられている。検出された陽性相互作用の数、および酵母ツーハイブリッド融合タンパク質に関して両方の方向でのそれらの検出により、CG51896-01と2つのSH3含有タンパク質との間における新規な相互作用の発見が確認される。NCK2は、受容体チロシンキナーゼと会合し、フォーカルアドヒージョンキナーゼと相互作用し、かつ、細胞の運動性を調節するSH2/SH3アダプタータンパク質である。NCK2はまた、c-Ablを活性化し、Ablの形質転換活性を調節する。ARGBP2aはArg/Abl相互作用タンパク質であり、Ablファミリーのキナーゼを細胞骨格に連結することにより、細胞接着、細胞骨格組織化および増殖因子シグナル伝達を調節するアダプタータンパク質のファミリーに属する。CG51896-01の別のおとりはまた、2つのc-Abl相互作用タンパク質(ABI-1およびABI-2)と相互作用することを示していた。これらの2つのタンパク質は、アクチン組織化および細胞運動性を調節し、かつ、c-Ablの形質転換活性を調節するSH3含有タンパク質である。これらの相互作用は、CG51896-01の細胞内シグナル伝達経路が、細胞遊走を調節するためにc-Abl経路を伴い得ることを明らかにしている。
表5.酵母ツーハイブリッドによる細胞外相互作用の情報
表6.細胞内スクリーニングおよびマトリックスアッセイの結果のまとめ
(実施例9)
遊走および侵入
CG51896-02は多数の組織で発現していた。最も大きい発現レベルが、脈管形成した組織および正常な脳において見出された。CG51896-02のmRNA発現プロフィル(実施例2)は、腎臓および肺の腫瘍組織において、ならびにHUVECにおいて、また、腎臓の明細胞癌(RCC)細胞株の大部分において上昇していたという点で際立っていた。CG51896-02はまた、多数のメラノーマ細胞株において上昇している。これらの観測結果から、CG51896-02が内皮細胞の様々なプロセスおよび潜在的には腫瘍の血管新生において役割を果たしていることが示唆された。内皮細胞の遊走は血管形成カスケードにおける重要なプロセスの1つである。従って、遊走プロセスに対するCG51896-02ポリペプチドの役割が下記のように試験された。
遊走アッセイ
セマフォリンタンパク質のCG51896-02およびCG51896-11が細胞遊走に影響を及ぼすかどうかを明らかにするために、様々な細胞株が、様々な処置に対する応答での細胞運動性についてスクリーニングされた。試験された細胞株には、HUVEC(ヒト臍帯静脈内皮細胞)、HMVEC-d(ヒト微小血管内皮細胞)、U87MG(神経芽細胞腫)、786-0(腎臓癌腫、上皮性)、HT1080(線維肉腫)、SJCRH30(横紋筋肉腫)、SK-N-SH(神経芽細胞腫)およびCAKI-2(腎臓癌腫)が含まれる。24ウェルの透明ウェル(BD Biosciences、Bedford、MA)遊走チャンバー(8μmの細孔サイズ)が使用された。簡単に記載すると、0.1%のBSAを含有する無血清培地(HUVECについては培地200、HMVEC-dについては培地131、および癌細胞株についてはDMEM高グルコース/1%ペニシリン/ストレプトマイシン/10%FBS)における4x104個の細胞が上部チャンバー内のウェルに加えられた(300μl)。チャンバーは、37℃で1時間、10μg/mlでのI型コラーゲンでプレコーティングされた。下部チャンバーは走化性因子(10ng/mlのVEGFが補充された1%FBS)で満たされた。1ng/ml〜100ng/mlの範囲にある様々な濃度でCG51896-02またはCG51896-11が上部チャンバーに加えられ、細胞が37℃で遊走させられた。インキュベーション後、メンブランの上部表面上の細胞(非遊走細胞)が綿棒で掻き取られた。メンブランの下部側の細胞(遊走細胞)が、30分間、70%エタノールでの0.2%クリスタルバイオレット色素(Fisher Scientific、Springfield、NJ)で染色された。その後、細胞をPBS(pH7.4)中で脱染色し、メンブランを室温で風乾させた。遊走細胞が、Zeiss Axiovert 100倒立型顕微鏡を使用して計数された。フィルターあたり3つの独立した領域が計数され、遊走細胞の平均数が計算された。アミノ酸配列「GRGDSP」を有するRGD対照ペプチド(Invitrogen;カタログ番号12135-018)が内皮細胞株に対する陽性対照として使用され、(細胞株に依存して、VEGFの存在下または非存在下で)0.5%〜2%の範囲でのウシ胎児血清(FBS)が癌細胞株に対する陽性対照として使用された。無血清培地(SFM)が陰性対照として使用された。
結果および結論
内皮細胞の遊走は血管形成カスケードにおける重要なプロセスの1つであり、従って、遊走の阻害は、CG51896-02ポリペプチドが新しい血管の成長を阻害し、従って、抗血管形成治療のための理想的な候補であることを示している。下記に詳述される結果から、神経膠芽細胞腫および腎臓癌に対する治療剤としてのCG51896-02ポリペプチドの使用が提案される。
可溶性のセマフォリンは、内皮細胞のVEGF誘導される遊走を用量依存的な様式で著しく阻害した。このような遊走阻害はヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)ならびに微小血管内皮細胞(HMVEC-d)において認められた。50ng/mlの濃度のセマフォリンはHUVEC細胞およびHMVEC-d細胞の遊走の約60%の阻害をもたらした(図3)。これらの結果から、セマフォリンの細胞外ドメインが内皮細胞のVEGF媒介による遊走を特異的に阻害することが明らかにされる。さらに、CG51896-02はまた、ヒト腎臓癌腫細胞株(786-0)、横紋筋肉腫細胞株(SJCRH30)、ならびに神経芽細胞腫細胞株(SK-N-SH、U87MG)およびCaki-2細胞株の遊走を阻害した(図4〜図8)。新規なスプライス変種CG51896-11の活性は、SK-N-SH神経芽細胞腫細胞株を使用したとき、CG51896-02変種に対する基準となった。図9は、CG51896-11(新規なスプライス変種)が、CG51896-02変種に匹敵し得る活性を伴って用量依存的な様式で腫瘍細胞の遊走を阻害したことを明らかにしている。図10〜図13はさらに、CG51896-11が、線維肉腫、腎臓癌腫、内皮細胞株および神経芽細胞腫細胞株における遊走を阻害したことを明らかにしている。さらに、CG51896-11はPanc-1細胞株の遊走を阻害した。このことから、膵臓癌におけるこのタンパク質の抗血管形成的な役割が示唆される(図14)。
表7には、遊走の阻害に関して様々な細胞株に対するCG51896-02またはCG51896-11の作用のまとめが示される。
表7 CG51896-02およびCG51896-11による遊走阻害
− 遊走阻害が認められなかった
+ 遊走阻害が認められた
N/A 実験が行われなかった
侵入アッセイ
マトリゲル被覆侵入挿入物(Becton, Dickinson)が400μlのPBS緩衝液で再水和され、室温で1時間インキュベーションされた。細胞を、0.1%BSAを含有する10mlの基礎培地(DMEM基礎培地+2.5%FBS、GIBCO-BRL)(希釈剤)に懸濁し、1000RPMで5分間、遠心分離した。細胞を希釈剤に再懸濁し、計数して、希釈剤で6X104細胞/mlまたは1x105細胞/mlに希釈した。CG51896-02の10Xストック液を含有する馴化培地の0.02mlが、適切な密度での0.18mlの細胞とともにマイクロチューブに加えられた。サンプルは四連で分析された。0.2mlの細胞懸濁物が、精製されたタンパク質と一緒にそれぞれの挿入物の内部に入れられ(180μlのアッセイ培地での40,000個の細胞+20μlの10X濃度の精製タンパク質)、20時間インキュベーションされた。VEGF(10ng/ml)(R & D Systems)が内皮細胞に対する陽性の対照運動性因子として作用した。非特異的な侵入を明らかにするために、0.1%のBSAを含有する基礎培地が下部チャンバーに加えられた。必要な増殖因子のすべてを含有する完全培地が陽性対照として使用された。20時間のインキュベーション期間の後、細胞が、綿棒を使用して挿入物の上部側から除かれた。フィルターの裏面に接着している細胞が、室温で30分間、70%エタノールでの0.2%クリスタルバイオレットで染色され、蒸留水で洗浄された。接着(侵入)細胞が顕微鏡下で計数された。3つのランダムな異なる視野が選ばれ、その領域に遊走した細胞の数が計数された。CG51896-02は用量依存的な様式で786-0細胞の侵入に影響を及ぼした(図15)。
(実施例10)
セマフォリンは細胞骨格再組織化を阻害する
遊走アッセイ(実施例9)で得られた結果から、CG51896-02ポリペプチドが内皮細胞株および786-0 RCC腫瘍細胞株の両方の遊走に影響を及ぼしたことは明らかである。文献からは、遊走中の細胞は遊走時にその細胞骨格を再組織化することが知られている。従って、アクチン細胞骨格再組織化に対するCG51896-02の影響が、遊走の阻害に対する生化学的機構を示すために調べられた。
ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)が、Mioaら(Miao, et al., J Cell Biol., 146:233-42、1999)に記載される手順を使用してFアクチンの組織化を調べるために固定された。簡単に記載すると、4x104個の細胞が、10μg/mlでのフィブロネクチンでプレコーティングされた8チャンバーのNuncガラス製スライド(Fisher Scientific、Springfield、NJ)に播種され、37℃で一晩の血清飢餓に供された。細胞は、30分間、VEGF165の存在下または非存在下、0.1ug/mlから10μg/mlまでの範囲にある様々な濃度のCG51896-02で処理された。VEGF+サイトカラシンD(アクチンフィラメントおよび収縮ミクロフィラメントの強力な阻害剤として作用する菌類代謝産物)が陰性対照として使用された。細胞を、加温された無血清培地で洗浄し、3.7%パラホルムアルデヒドで固定し、0.1%Triton-X100で透過処理した。PBS(pH7.4)で3回洗浄した後、細胞を、室温で30分間、熱不活性化BSA(1%)でブロッキングした。細胞のアクチン細胞骨格をローダミンファロイジン(Molecular Plobe、Eugene、OR)で染色し、Sytoxグリーン核染色(Molecular Plobe、Eugene、OR)で対比染色した。染色後、細胞をPBS(pH7.4)で洗浄し、フルオロマウント(Fisher Scientific、Springfield、NJ)を使用して固定した。サンプルを、Kodakカメラを備えるZeiss Axiovert 100顕微鏡で調べた。デジタル画像を取り込み、Photoshop 5.5プログラムを使用して分析した。
結果および結論
図16は、刺激されていない対照の内皮細胞(A)におけるフィラメント状アクチンが、VEGFで刺激された細胞(B)と比較して、より少ないことを示している。CG51896-02で処理された細胞におけるアクチンストレスファイバーの形成は、刺激がない場合、刺激されていない細胞に匹敵した(データは示されず)。10ng/mlでのVEGFはアクチンフィラメントの形成の増大を刺激し、特に、細胞を横切る横のフィラメント束の数を増大させ(写真B)、これに対して、VEGF+サイトカラシンDはこのプロセスを効果的に阻害した(D)。しかしながら、CG51896-02(10μg/ml)の存在下(写真D)では、アクチンフィラメントの縮退が顕著であった。
これらの結果は、CG51896-02がアクチンフィラメントの形成を阻害し、また、細胞骨格再組織化における役割を有することを示している。ABI-1、ABI-2、NCK2、DAB2およびArgBP1のタンパク質(これらはCG51896-02と相互作用することが示されている;実施例8、pathcallingデータ)は、アクチン細胞骨格組織化および遊走に関与することに留意することもまた重要である。
(実施例11)
セマフォリンはSrcチロシンキナーゼ(Src)およびフォーカルアドヒージョンキナーゼ(FAK)のリン酸化を阻害する
シグナル伝達経路におけるCG51896-02タンパク質の役割を理解するために、受容体活性化が、ホスホチロシンの取り込みを測定することによって調べられた。コンフルエンスな内皮細胞を0.1%FBS中での一晩の飢餓処理に供し、1μg/mlまたは10μg/mlのCG51896-02で30分間にわたって前処理し、その後、細胞を10ng/mlでの組換えVEGF165で刺激した。その後、コンフルエンスな内皮細胞をトリプシン処理し、10μg/mlでのフィブロネクチンでコーティングされた10cm2のペトリ皿に置床した。無血清培地における100万個の細胞を、プレコーティングされたプレートに、10μg/mlでのVEGFの存在下で30分間、可溶性CG51896-02の各濃度と一緒に接種した。細胞はVEGF165で10分間刺激され、その後、集められた。対照として、100万個の細胞が無血清培地で懸濁状態に保たれ、VEGF165で10分間刺激され、その後、集められた。非接着細胞を除き、付着した細胞を、溶解緩衝液(10mM Tris(pH7.4)、150mM NaCl、1%Triton X-100、0.5%NP-40、これには、プロテアーゼ阻害剤のカクテル(Roche Molecular Biochemicals、Indianapolis、IN)が、1mMのオルトバナジン酸ナトリウムおよび1mMのNaFと一緒に補充された)を用いてプレート上で可溶化した。細胞を4℃で30分間溶解した。溶解物を、12,000xgで20分間、4℃で遠心分離した。同じ細胞数に対応する上清が下記抗体のいずれかとの免疫沈降に供された:p-Src(これはSrcキナーゼに対して特異的である;Calbiochem、San Diego、California)、p-Src-TYR-416(Calbiochem)、p-FAK(これはフォーカルアドヒージョンキナーゼに対して特異的である;Santa Cruz Biotechnology、California)、p-FAK-Tyr-397(これはリン酸化チロシン347に対して特異的である;Santa Cruz Biotechnology)、p-FAK-Tyr-861(これはリン酸化チロシン861に対して特異的である;Santa Cruz Biotechnology)。免疫沈降は、事前に清澄化された溶解物を、適切な抗体(上記参照)が加えられているプロテインA Sepharoseビーズ(Amersham Pharmacia、Piscataway、NJ)に加えることによって行われた。絶えず混合しながら4℃で2時間インキュベーションした後、Sepharoseに結合した免疫複合体を溶解緩衝液で4回洗浄し、その後、還元性のサンプル緩衝液中で煮沸して、SDS-PAGEおよび免疫ブロッティングによって分析した。
全細胞抽出物または免疫沈降タンパク質(VEGF受容体)をSDS-PAGE(4〜20%)ゲルによって分離し、ニトロセルロースメンブランに転写し、0.1%Tween-20を含有するPBS(pH7.4)における5%脱脂粉乳でブロッキングした。その後、メンブランを適切な一次抗体とインキュベーションした(室温で1時間または4℃で一晩)。免疫反応性のバンドが、ペルオキシダーゼとコンジュゲート化された二次抗体およびECLウエスタンブロット検出システム(Amersham)によって可視化された。
結果および結論:
図17Aは、(上記に記載されたように)フィブロネクチンに接着した細胞から調製された細胞溶解物のウエスタンブロットであり、レーンは、左から右に、未処理の溶解物、VEGF処理後の溶解物、CG51896-02による溶解物、そして、VEGFおよびCG51896-02の両方による溶解物を含有する。これらの結果から、VEGFは、SrcY416のチロシンリン酸化によりアッセイされたとき、Srcの活性化を刺激し、これに対して、CG51896-02(100ng/ml)による細胞の処理はSrcY416リン酸化の著しい減少をもたらすことが明らかにされる(A、上段パネル)。Srcタンパク質の総濃度は、panSrc抗体によって測定されたとき、これらの条件のもとでは変化しないままであった(A、下段パネル)。これらの結果は、CG51896-02がVEGF媒介のSrc活性化を阻止することを示唆している。
さらに、別の実験(図17B)では、VEGFがpFAK397およびpFAK861のリン酸化の顕著な増大を生じさせたことが示された(B、上段パネルおよび中段パネル)。対照的に、SemaECD(100ng/ml)による処理はFAKリン酸化の顕著な減少を生じさせた。FAKリン酸化に対するこの阻害作用は、上記で認められたSrcリン酸化の阻害の結果である。これらの作用は、Srcにより媒介されるFAKリン酸化を阻害するPP2(2μM)と匹敵していた。そのうえ、FAKタンパク質の総量はこれらの条件のもとでは変化しないままであった(B、下段パネル)。上記のデータは、CG51896-02がSrcおよびFAKの両方のVEGF媒介によるリン酸化を阻害することを示している。
(実施例12)
CG51896-02およびプレキシンA1の免疫共沈降
受容体の二量体化または複合体形成は受容体活性化の尺度であり、二成分での相互作用を示すことが多い。CG51896-02応答細胞が血清飢餓に供され、CG51896-02で10分間にわたって刺激された。細胞を、PBS、100μMオルトバナジン酸ナトリウムで1回洗浄した。全細胞溶解物を、RIPA緩衝液[50mM Tris(pH7.4)、50mM NaCl、1.0%Triton X-100、5mM EDTA、10mMピロリン酸ナトリウム、50mMフッ化ナトリウム、1mMオルトバナジン酸ナトリウム、1mMフェニルメチルスルホニルフルオリド、ロイペプチン(10μg/mL)、ペプスタチン(10μg/mL)およびアプロチニン(1μg/mL)]における可溶化、超音波処理、および氷上での30分間のインキュベーションによって調製した。溶解物を14,000rpmでの10分間の遠心分離によって清澄化した。等量の総タンパク質を含有する溶解物を抗受容体抗体と2時間インキュベーションした。次いで、プロテインG Sepharoseの1:1スラリーの100μLを2時間加えた。免疫複合体をRIPA緩衝液で3回洗浄した。非変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)サンプル緩衝液を加え、サンプルを、煮沸することなく4〜15%ポリアクリルアミドゲルで分画化した。
Immobilon Pメンブランへの電気泳動転写の後、フィルターをTTBS(20mM Tris(pH7.4)、150mM NaCl、0.05%Tween 20)、3%脱脂乳でブロッキングした。その後、メンブランを、TTBS、1%BSAにおいて、抗受容体血清(1:1000)または抗ホスホチロシン(1:1000)と1時間〜2時間インキュベーションして、TTBSで4回洗浄した。結合した抗体を、西洋ワサビペルオキシダーゼにコンジュゲート化された抗ウサギ抗体(1:10,000)または抗マウス抗体(1:10,000)(Amersham、Arlington Heights、IL)と30分間インキュベーションし、続いて、TTBSで4回洗浄することによって検出した。増強化学発光(Amersham)を製造者のプロトコルに従って行った。
結果および結論
免疫共沈降実験により、CG51896-02およびプレキシンA1が互いに相互作用することが明らかにされる。CG51896-02はV5-Hisエピトープを伴って合成され、プレキシンA1はc-mycエピトープを有する。図18のパネルAにおいて、CG51896-02およびプレキシンA1の両方の同時トランスフェクションは、c-myc抗体による免疫沈降およびV5-his抗体による免疫ブロッティングが行われたとき、CG51896-02の検出をもたらす。複合体の可視化により、CG51896-02とプレキシンA1との間での相互作用が明らかにされる。図18のパネルBは、免疫沈降が抗V5-his抗体を用いて行われ、c-myc抗体で免疫ブロッティングされたときの結果を明らかにしている。図18のパネルCは、関連性のない抗体を示し、陰性対照である。2つの異なる免疫沈降から得られた結果は、CG51896-02がプレキシンA1と物理的に相互作用することを明瞭に明らかにしている。
(実施例13)
メンブランに結合したCG51896-02タンパク質のフローサイトメトリーによる定量
FACS分析が、セマフォリンに応答するものとして以前に同定された細胞株(表7、実施例9)に対する外因性CG51896-02の結合を定量するために行われた。分析は2つの細胞株(U87-MG(神経芽細胞腫)および786-0(腎臓癌腫))について行われた。細胞を、Verseneまたは細胞スクレイパーを使用して培養ディッシュから取り出した。細胞をPBS緩衝液で洗浄し、10%ヤギ血清を含有するFACS結合緩衝液において氷上で1時間ブロッキングした。ブロッキング後、細胞を遠心分離し、FACS結合緩衝液に再懸濁した。それぞれの結合反応のために、少なくとも100,000個の細胞が使用された。細胞を、氷上で1時間、0.1μg/mL〜60μg/mLの範囲の様々な濃度でCG51896-02またはCG51896-11(3'末端で標識されたFc)とインキュベーションした(表8)。インキュベーション期間の後、細胞をFACS結合緩衝液で洗浄し、抗体(対照:V5His mAbまたはヒトFc特異的抗体、Jackson Immunochemical)と4℃で1時間インキュベーションした。洗浄工程の後、細胞を、フィコエルトレイン蛍光基にコンジュゲート化された二次抗体と1時間インキュベーションした。インキュベーションが終了したとき、細胞をFACS結合緩衝液で洗浄し、1%パラホルムアルデヒドにおいて固定し、FACS Caliburを使用して分析した。表8には、結果がまとめられており、786-0およびU87-MGの両方の細胞株が濃度依存的な様式でCG51896-02またはCG51896-16と結合することが示されている。
表8 CG51896の2つのイソ型の細胞表面結合のまとめ
この場合に使用されたはCG51896-11は3'末端でFcに標識された。
(実施例14)
抗CG51896-02ポリクローナル抗体および抗CG51896-11ポリクローナル抗体の作製
ヒトCG51896-02またはCG51896-11に対する、ペプチドに基づく抗体が、キャリアKLH分子にコンジュゲート化された後の15アミノ酸〜18アミノ酸のペプチドを使用することによって作製された。このコンジュゲート化ペプチドが、標準的なプロトコルを使用して免疫化された。コンジュゲート化ペプチドによる2回の追加免疫注射が施された後に、ウサギからの最後の採血が行われた。生じたポリクローナル抗体を、プロテインAアフィニティーカラムを使用して血清から精製した。精製されたポリクローナル抗体が、インビトロスクリーニング、FACS染色および免疫ブロットで使用された。
1)N27-N40:VGHK PGRNTTQRHRC(配列番号9)
2)I327-I340:CRFKE QKSPDSTWTP(配列番号10)
3)S562-S578:CNDISTPLPDN EMSYNTVYG(配列番号11)
4)C624-C640:CSHNHQ DKKGVIRESY(配列番号12)
図19は、N40血清、I340血清およびC640血清の混合物が、10μg/mlの濃度でコーティングされたCG51896-02、CG51896-11およびCG51896-12を阻止したことを示している(ELISAにより読み取られる)。ポリクローナルS578は、図20Aおよび図20Bにより示されるように、スプライス変種CG51896-11(およびCG51896-12)に対して特異的であった。
(実施例15)
成長円錐崩壊
CG51896-02タンパク質が、後根神経節について7日目の外植されたニワトリ胚(E7)に対する成長円錐崩壊活性についてアッセイされた。簡単に記載すると、外植片をニワトリの胚から切開し、ラミニンでプレコーティングされた8ウェルチャンバースライドにおいて神経増殖因子(NGF)補充の培養培地でインキュベーションした。翌日、精製されたCG51896-02タンパク質を外植培養物に加えた。1時間のインキュベーションの後、外植片を、室温で30分間、4%パラホルムアルデヒドにおいて固定した。その後、外植片をPBSで洗浄し、室温で1時間、PBSにおける3U/mlのローダミンファロイジン(Molecular Probes、Eugene、OR)で染色した。成長円錐を蛍光顕微鏡で可視化し、正常であるか、または崩壊しているかのいずれかとしてスコア化した。崩壊した成長円錐の割合が、培養された外植片に添加された精製タンパク質の濃度に対してプロットされた。
対照のE7外植片は成長円錐の存在を示す。しかしながら、CG51896-02の存在下では、成長円錐の数の著しい減少が認められる(図21)。図22は、CG51896-02が約50nMのIC50値で成長円錐崩壊を誘導できることを示している。
(実施例16)
CG51896-02に対する受容体の脱オーファン化(予言的実施例)
セマフォリン6Aの細胞外ドメインが腫瘍細胞の遊走および血管形成を阻害する機構を明らかにするために、応答体および非応答体の細胞株を、インビトロ分析後の結合およびFACS分析によって同定した。CG51896-02が細胞遊走を阻害し、血管形成を阻止し、かつ、抗腫瘍形成作用を発揮する機構は、セマフォリン6Aが特異的な細胞表面受容体に結合すること、および、その後のおそらくは細胞遊走における受容体機能の阻害によるためであり得る。あるいは、セマフォリン6Aの細胞外ドメインは、通常の場合には遊走するために細胞にシグナル伝達するリガンドと結合し、そのリガンドを封鎖することができる。発現分析が、Sema6A-ECDが、内因性セマフォリンのシグナル伝達を打ち消すことによって、または、未だ特定されていない細胞表面受容体に結合することによってその作用を発揮しているかどうかを明らかにするために行われた。
発現データの分析
Sema6A-ECDが内因性セマフォリンのシグナル伝達に対する優勢な負の作用を発揮しているならば、ECDの阻害作用に応答する細胞は、セマフォリンのシグナル伝達に関与する細胞表面タンパク質を発現している可能性がある。対照的に、ECDに応答しない細胞は非常に重要な分子を失っている。発現データが、失われている分子を同定するために行われる。ミクロアレイおよびRTQ-PCRの両方のデータがこの分析では使用される。この経路におけるシグナル伝達タンパク質の完全なリストが表9に示される。シグナル伝達タンパク質の集中した調査と併せて、すべての細胞表面タンパク質の示差的な発現の分析が、推定される新規な結合パートナーを同定するために行われるべきである。
細胞株の選択
細胞アッセイ(遊走の阻害、実施例9)の結果に基づいて、セマフォリン6A ECDに対して正の応答および負の応答を示す細胞株のリストがまとめられている(表10)。総RNAが発現分析のためにこれらの細胞株から調製される。
酵母ツーハイブリッド分析
酵母ツーハイブリッドアッセイが、セマフォリン6A ECDと、セマフォリンのシグナル伝達に関与する既知の表面受容体との間で設計される。応答体細胞におけるセマフォリン経路の受容体およびリガンドの発現パターンに基づいて、シグナル伝達タンパク質の細胞外ドメインがcDNAライブラリーからクローン化され、実験で使用される。さらに、応答細胞から調製された特注ライブラリーをスクリーニングすることにより、新規な結合性パートナーを同定することができる。最後に、スクリーニングから得られる相互作用因子がマトリックスアッセイに投入されて、相互作用が確認され、その特異性が決定され、経路が拡張される。マトリックスアッセイが、特異性および機能の疑問に取り組むためのゲノム法により同定されたリガンド/受容体ファミリーの他のメンバーを含むように設計される。
受容体の相同性調査
受容体についての調査は、様々なリガンド−受容体対が異なるファミリーに組織化され、その結果、あるファミリーに属するリガンドが、別のファミリーのメンバーである受容体と相互作用するという一般的な観測結果に基づいて始めなければならない。そのような組織化は、受容体−リガンド結合表面の三次元立体配座が保存され、だが、遺伝子自体は進化時に多様化している場合があることを示唆している。
上記の発現分析により同定された推定される受容体は、それらが何らかの知られている受容体ファミリーに属するかどうかを明らかにするために分析される。文献データおよび発現データから得られる情報は、このタンパク質に関連する疾患原理を満たす潜在的なファミリーを同定するためにそれぞれの受容体ファミリーのメンバーに付け加えられる。そのような厳しい制限の適用により、探索空間が大きく減少し、かつ、ツーハイブリッド実験およびノックダウン実験による受容体タンパク質のサブセットの詳細な分析および特徴づけが可能になる。
架橋および免疫沈降
応答体および非応答体の細胞株を同定した後、標的細胞の細胞表面、またはタンパク質が、その後の結合研究のためにビオチンまたは蛍光基で標識される。最初の結合研究が切断可能なリンカーまたは非架橋リンカーによって追跡され、架橋された複合体が、標的特異的な抗体を使用して取り出される。応答体細胞株だけにおいて損なわれる特異的な複合体が、非標識CG51896-02との競合によって、CG51896-02に対して特異的な受容体としてさらに確認される。競合的置換が観測される場合、結合性および特異性が確認される。応答体細胞株が、LC/MSシステムによって、または従来のN末端配列決定によって同定される。
発現クローニング
発現クローニングにより、クローン化された受容体が、機能的応答を誘発するその能力に基づいてスクリーニングされる。発現クローニング技術では、mRNAまたはcDNAのいずれかを、通常の場合には標的受容体を発現しない細胞に導入することが要求される。十分な時間を転写および翻訳のために与えた後、トランスフェクションされた細胞が、受容体の性質または機能的特徴について試験される。機能的分析には、非応答体細胞株における受容体の存在により誘導されるリガンド結合または生物学的応答が含まれ得る。RNAまたはcDNAの導入が所望の機能をもたらすことが明らかにされた後、そのクローンが得られ、配列が決定される。最初に、高品質のポリ(A)RNAが、機能的受容体を含有することが知られている細胞から単離される。その後、この物質はいくつかのプールに分けられ、それぞれのプールが機能的応答について試験される。
同時沈殿および質量分析法
発現タグ化タンパク質(エントリー点)の免疫沈降、それに続く、質量分析法(IP/MS)によるエントリー点との複合体化タンパク質の同定に基づく方法は広範囲に適用することができ、そのような方法により、低い親和性および一時的な相互作用が測定され、また、複雑な非二成分相互作用が測定され、また、すべての細胞区画の内部における相互作用が捕捉され、また、関連する細胞環境における相互作用が測定される。
目的とする遺伝子(おとり)が、FLAGまたはHISなどのタグ配列にN末端またはC末端のいずれかで融合されて、哺乳物発現ベクターにクローン化される。関連する細胞株におけるタグ化タンパク質のトランスフェクションおよび発現の後、細胞は、負のタンパク質−タンパク質相互作用を妨害することなく細胞を可溶化するために、非イオン性界面活性剤の存在下などの穏和な条件のもとで溶解される。続いて、おとりタンパク質が、例えば、抗FLAG抗体結合ビーズまたは抗HIS抗体結合ビーズを使用するアフィニティー精製によって捕捉され、複合体が、潜在的な非特異的相互作用因子を除くために洗浄される。おとりタンパク質の性質および分析されている分子間相互作用の強さに依存して、1組の溶解条件、免疫共沈降条件および洗浄条件が、典型的には、真の生理学的相互作用因子について濃縮するためにこの段階で利用される。ビーズからの免疫複合体の溶出が、典型的には、おとりタンパク質およびその相互作用因子を特異的に遊離させる溶出試薬を使用して行われるか、あるいは、回収を増大させることができ、しかし、通常の場合には、非特異的に結合したタンパク質の存在をも増大させる、より一般的な試薬(例えば、低いpHまたは界面活性剤など)を用いて行われる。免疫捕捉の成功を評価するために、複合体が銀染色と組み合わせられたSDS-PAGEによって最初に分析されて、免疫複合体の複雑性および各構成要素の存在量が明らかにされる。
免疫複合体に捕捉されたタンパク質が質量分析法により同定される。2つの方法が、免疫沈降物の複雑性を減少させるために使用される:SDS-PAGE電気泳動、それに続くゲルバンドのタンパク質分解的消化、または、得られたペプチド画分の2Dクロマトグラフィー。SDS-PAGE法の場合、免疫複合体がゲルで泳動され、染色後、バンドが切り出され、トリプシンを使用して消化される。得られるペプチド混合物が、その後、液体クロマトグラフィー−エレクトロスプレイイオン化−イオントラップ質量分析法(LC/ESI/IT/MS)を使用して分析される。ペプチド混合物から得られる分子量およびアミノ酸配列の情報が、その後、注釈付きのデータベースと比較することによって免疫複合体タンパク質を同定するために使用される。この目的のために利用される検索エンジンにはMASCOT(Matrix Technologies)がある。2Dクロマトグラフィー分画法の場合、免疫複合体が、トリプシンを使用して溶液中で消化され、2本の直列接続されたクロマトグラフィーカラム(例えば、強カチオン交換−逆相)を使用して分離される。直列接続されたカラムからの溶出物がESI/IT/MSシステムに導かれる。分子量および配列の情報が、その後、タンパク質を同定するために使用される。
(実施例17)
無胸腺ヌードマウス(N-208)でのマトリゲルプラグ786-0腎臓癌腫により誘導される血管形成におけるCG51896-02の影響
無胸腺マウスモデルにおけるマトリゲルプラグアッセイでのCG51896-02ポリペプチドの作用が、増殖因子により媒介される血管形成応答の定量可能な計測を最適化するために行われた。
この研究の具体的な目標は、マトリゲルプラグアッセイでの786-0腎臓癌腫細胞により誘導される血管形成に対するCG51896-02の影響を評価することであった。786-0(2x106個/ml)を含有するストック用マトリゲル調製物が50mlの滅菌培養チューブにおいて作製された。ストック溶液から、マウスあたり0.5mlの懸濁物が無菌条件下で皮下に注射された。対照群には、等体積のマトリゲル+ビヒクル単独が与えられた。8週齢のメス無胸腺ヌードマウス(nu/nu)がこの研究では使用された。各群は5匹のマウスを有した。実験計画が表11に示される。
表11:無胸腺ヌードマウスにおける786-0腎臓癌腫により誘導される血管形成に対するCG51896-02についての実験計画
7日目の最後に、マウスはケタミンおよびキシラジンの混合物で麻酔され、マトリゲルプラグが、顕微手術装置を使用して慎重に取り出された。ゲルを透過照射下で写真撮影した。その後、パラフィン包埋切片作製のために、ゲルの一部分が、一晩、緩衝化10%ホルムアルデヒド(Sigma Chemicals)において固定化され、処理された。切片を3つの異なるレベルで切断し、H/Eで染色した。ゲルの別の一部分を液体窒素で急速冷凍して、10μmの切片を調製した。凍結切片は、フィコエリトリンとコンジュゲート化されたマウスCD31抗原に対するラットモノクローナル抗体を用いた免疫細胞化学染色のために使用された。DAPI染色が、Matrilgelプラグに浸潤している有核細胞を同定するために使用された。H+E染色スライドは、内皮で裏打ちされた明確な毛細管の形成について評価された。抗CD31-PE染色スライドは、適切なフィルターを使用して蛍光顕微鏡で観察された。画像が、Metamorphソフトウエアプログラムを使用してデジタル画像として取り込まれた。同じ領域が、CD31-PEおよびDAPIでの染色からの画像を取得するために赤色フィルターおよびUVフィルターのもとで写真撮影された。微小血管密度が、Wildら(Wild, et al., 2000, Microvasc. Res., 59(3):368-376)により発表された方法によって測定された。DAPI画像が、血管の位置を突き止めるためにそれぞれのCD31-PE画像と重ね合わせられた
結果および結論
マトリゲルプラグの肉眼的形態学は、無胸腺ヌードマウスにおける786-0腎臓癌腫により誘導される血管形成の阻害がCG51896-02の存在下で認められることを示している(図23)。10mg/kgのCG51896-02で処理されたE群から得られたマトリゲルの組織学(図23、E)は、領域の大部分には脈管構造が全くないことを示しており、このことは、本発明のポリペプチドが抗血管形成性であり、腎臓癌に対する治療剤として使用され得ることを示している。
図24は、マトリゲルプラグのCD31染色から、CG51896-02とともに投与されたとき、786-0による血管新生のインビボでの阻害が明らかにされることを示している。DAPI(青色)染色は、浸潤している有核細胞を示している。赤色の染色はCD31陽性の内皮細胞に対応する。これらの結果はさらに、3つの用量レベル(1mg/kg、5mg/kg、10mg/kg)のすべてにおいて、血管の著しい減少が認められたことを示していた。さらに、用量応答が処置群の間には存在するようである。
形態計測解析から得られたデータが図25、図26および図27にまとめられている。図25には、それぞれの群から得られた血管の相対的な長さが示される。対照群と比較したとき、786-0癌細胞を含有するゲルは総血管長の27倍の増大を示した(0.81対21.94)。CG51896-02で処置されたマウスは総血管長の顕著な阻害を示した。CG51896-02は、1.0mg/kgでは、陽性の対照と比較したとき、血管長を62.76%減少させた。より大きい用量では血管長をさらに減少させた。最大の作用が10.0mg/kgの用量で認められた(71.85%の阻害)。
図26におけるデータは、個々の群におけるかなりの血管形成性応答(節の数)を示している。対照群(マトリゲル単独)は単位面積あたり1.96個の節の平均数を示した。786-0細胞をゲルに含ませると、血管新生が刺激された。節の数が62.58個に増大した(31.92倍の増大)。CG51896-02がマウスに投与されたとき、癌細胞により誘導される脈管形成が著しく阻害された。1.0mg/kgおよび5.0mg/kgの用量では、陽性対照と比較したとき、節の数の70.3%および70.7%の減少がそれぞれ認められた。10mg/kgの用量において、最大の阻害が認められた(86.63%)。
図27におけるデータは血管末端の相対的な数を示している。対照ゲル(ゲル単独)は13.86個の血管末端の平均数を有していた。786-0細胞は血管末端の数を17.67倍増大させた(244.92)。CG51896-02による処置は血管末端の数を著しく減少させた。1.0mg/kgの用量では、血管末端は85.46に減少し、5.0mg/kgの用量では、70.92個の血管末端が視野あたり認められた。試験された最高濃度では、43.14個の血管末端が認められた。これは、陽性の対照群と比較したとき、血管形成の約87.33%の阻害に対応する。血管末端の阻害は3つの処置群のすべてにおいて統計学的に有意であった。
無胸腺ヌードマウスでのマトリゲルプラグ786-0腎臓癌腫により誘導される血管形成におけるCG51896-11タンパク質(配列番号50)(新規なスプライス変種)の影響により、インビボでの血管新生の阻害、CD31-PE染色および形態計測解析において、CG51896-02に対する匹敵し得る結果が明らかにされた(データは示されず)。従って、マトリゲルプラグでの786-0腎臓癌腫により誘導される血管形成の結果により、CG51896-02ポリペプチドおよびCG51896-11ポリペプチドの抗血管形成的性質ならびに腎臓癌に対する治療剤としてのそれらの使用が明らかにされる。
(実施例18)
無胸腺ヌードマウス(N-207)でのマトリゲルプラグVEGF/bFGFにより誘導される血管形成におけるCG51896-02の影響
増殖因子を含有するマトリゲル調製のプロトコル、および無胸腺マウスに対する投与は実施例17に記載される通りであった。表12には、従った研究計画が記載される。CD31抗体による免疫細胞化学染色、DAPI染色およびH/E染色が、実施例17に記載された通りに行われた。
表12:無胸腺ヌードマウスでのマトリゲルプラグVEGF/bFGFにより誘導される血管形成における実験計画
結果および結論
VEGF/bFGFは、明確な脈管形成領域から明らかにされるように著しい血管形成を誘導した。プラグの肉眼的形態学は、CG51896-02処置(1mg/kg、5mg/kg、10mg/kg)により、VEGF/bFGF誘導の血管形成が阻害されたことを示している(図28)。
CD31染色では、より大きいレベルのCD31染色を示す陽性対照と比較したとき、試験された3つの用量レベル(1mg/kg、5mg/kg、10mg/kg、図29)のすべてで、血管の著しい減少が、まばらな内皮細胞を伴って明らかにされた。
図30には、それぞれの群から得られた血管の相対的な長さが示される。対照群と比較して、VEGF/bFGF含有ゲルは総血管長の16.7倍の増大を示した(0.79対13.18)。CG51896-02で処置されたマウスは総血管長の顕著な減少を示した。例えば、CG51896-02の1.0mg/kgでの注射は、陽性対照(VEGF/bFGF処置)と比較したとき、血管長を85%減少させた。より大きい用量では、血管長をさらに減少させた。最大の作用が5.0mg/kgの用量で認められた(96%の阻害)。
図31におけるデータは、血管形成性の応答(節の数)が個々の群において匹敵し得ることを示している。対照群は単位面積あたり1.11個の節の平均数を示した。VEGF/bFGFをゲルに含ませると、節形成における30倍の増大(33.56)によって明らかにされるように、血管新生が刺激された。CG51896-02がマウスに投与されたとき、VEGF/bFGFにより誘導される脈管形成が著しく弱められた。1.0mg/kgの用量では、節の数の87%の減少が認められた。用量を5.0mg/kgまたは10mg/kgに増大すると、節の数の約96.5%のさらなる減少が認められた。
図32におけるデータは血管末端の相対的な数を示している。対照ゲル(群A)は12.34個の血管末端の平均数を有していた。VEGF/bFGFは血管末端の数を10.3倍増大させた(127.3)。血管末端の数は、マウスがCG51896-02ポリペプチドで処置されたとき、著しく減少した。1.0mg/kgの用量では、血管末端は18.72に減少し、5.0mg/kgの用量では、118.2個の血管末端が視野あたり認められた。試験された最高濃度では、わずかに13.26個の血管末端が認められただけであった。これは、VEGF/bFGFで処置された陽性対照群(B)と比較したとき、血管形成の約99.2%の阻害に対応する。血管末端の阻害は3つの処置群のすべてにおいて統計学的に有意であった。
(実施例19)
ヌードマウス(N-223)における異種移植片として成長させられたU87MGヒト神経膠腫株に対するCG51896-02の効力評価
無胸腺マウスの皮下に移植されたヒトU87MG神経膠芽細胞腫が腫瘍モデルとして選択された。これらの腫瘍は、増大した組織脈管化、ならびにアンギオポエチン-1およびアンギオポエチン-2の増大した発現によって特徴づけられる(Audero, E., et al., 2001, Arterioscler Thromb Vasc Biol 21, 536-41)。
CG51896-02(これは本研究ではGU1と呼ばれる)が3つの服薬レベルで試験された:1mg/kg、5mg/kgおよび10mg/kgが、14日間連続して1日に2回(BIDx14)、腹腔内(i.p.)に投与された。カルムスチン(神経膠芽細胞腫を処置するために使用される標準的な化学療法剤)が15mg/kgのi.p.での単独療法として試験された。3つの用量が1日おきに1日に1回(QODx3)与えられた。15mg/kgのカルムスチンおよび5mg/kgのGU1の処置が混合療法のために使用された。
方法
メス無胸腺ヌードマウス(nu/nu、Charles River)は研究の1日目において13週齢〜14週齢であった。ヒトU87MG神経膠芽細胞腫が無胸腺ヌードマウスにおいて維持された。腫瘍断片(1mm3)がそれぞれの試験マウスの右脇腹に皮下移植された。腫瘍は1週間に2回モニターされ、その後、腫瘍が60mg〜100mgのサイズに近づくにつれて毎日モニターされた。研究の1日目に、動物は、62.5mg〜126.0mgの腫瘍サイズおよび70.0mg〜71.4mgの群平均腫瘍サイズを有する10匹のマウスからなる6群に分けられた。腫瘍重量は、1mgが1mm3の腫瘍体積に等しいという仮定を用いて推定された。体積は、下記の式を使用して計算された:
腫瘍体積(mm3)=(w2 x l)/2
(式中、w=U87MG腫瘍の幅(mm)およびl=U87MG腫瘍の長さ(mm))。
薬物
凍結GU1投薬溶液およびGUIビヒクルがCuraGenから得られ、使用されるまで-20℃で保存された。各バイアルには、2回分の用量について十分な投薬溶液が含有された。解凍された溶液は、投薬間は4℃で保存され、2回目の投薬後に廃棄された。
処置
GU1(CG51896-02)に対するビヒクルは、50mMのNaClを含有する20mM Tris-HCl(pH7.4)であった。カルムスチン(BCNU、1,3-ビス(2-クロロエチル)-1-ニトロソウレア、Bristol Laboratories)は無水エタノールに溶解され、4℃で保存された。それぞれの投薬日に、エタノール溶液の一部が滅菌水で10倍に希釈され、その後、5%デキストロース水(D5W)で適切な投薬濃度に希釈された。
マウスは、それぞれが10匹のマウスを含有する6群に分けられ、表13におけるプロトコルに従って処置された。対照群1のマウスには、GU1ビヒクルが1日目〜14日目に1日に2回(BIDx14)i.p.投与された。群2には、カルムスチンが、1日目から始まり3日毎に1日に1回(QODx3)、15mg/kgでi.p.投与された。群3および群4には、GU1が、BIDx14で、1mg/kgおよび5mg/kgでそれぞれi.p.投与された。群5には、群2および群4の両方に施された処置からなるGU1−カルムスチンの混合療法が与えられた。群6には、GU1が、b.i.d.x14で、10mg/kgでi.p.投与された。0.2mL/20g体重の投薬体積が各動物の体重に対して決められた。
表13.研究計画
終点
処置の効力が、対照群と比較して処置群における終点までのメジアン時間(TTE)の増大として定義される腫瘍成長遅延(TGD)から決定された。各動物は、その新生物が所定の終点サイズ(1.5g)に達したときに安楽死させられた。TTE値は、研究終点体積を超える最初の観測結果と、終点体積に達成する直前の3回の連続した観測結果とからなるlog変換された腫瘍成長データ組の線形回帰に基づいて、それぞれの群における各動物について計算された。TTEは下記の式から計算される:
y1 = mx1 + b (1)
x2 = (y2 b)/m (2)
(式中:
y1 = 縦軸、log10(腫瘍体積、mm3
x1 = 観測日
y2 = log10(終点体積、mm3
x2 = 横軸=TTE(日数)
b = 切片
m = 傾き)。
この場合、腫瘍体積の誤差は日数の誤差よりも実質的に大きく、また、近似された回帰線からの腫瘍体積のずれは類似しているという仮定が用いられている。終点に達しない動物には、研究の最終日に等しいTTE値が与えられる。TR(処置関連)死またはNTRM(処置に関連しない転移)死として分類される動物には、死亡日に等しいTTE値が与えられる。NTR(処置に関連しない)死として分類される動物はTTEの計算から除外される。各群のメジアンTTEは、処置の効力を決定するための基礎である。腫瘍成長遅延(TGD)が、日数で表されたとき、処置群に対するメジアンTTEと対照群のメジアンTTEとの差として:
(3) TGD = T C
または、対照群のメジアンTTEの百分率として:
(4) %TCD = (T C)/C = x 100
計算され、この場合、
T = 処置群に対するメジアンTTE、
C = 対照群1に対するメジアンTTE
である。
処置により、動物における腫瘍の部分的な後退(PR)または完全な後退(CR)が生じることがある。PR応答では、腫瘍重量は、研究の経過期間中の3回の連続した測定について、1日目のその重量の50%以下であるが、0mgよりも大きい。CR応答では、研究の経過期間中の3回の連続した測定について測定可能な腫瘍塊が認められない。研究の終了時にCR応答(3回の連続した測定について測定可能な腫瘍塊を有しない)を有するとして分類された動物はさらに、長期の腫瘍非保持生存体(LTTFS)として分類される。
毒性
動物は、1日目〜5日目に毎日、その後、研究が完了するまで1週間2回、体重が測定された。マウスは、何らかの有害な薬物関連副作用の明白な症候について頻繁に調べられた。マウスにおける癌薬物について許容され得る毒性は、試験期間中における20%未満の群平均体重減少、および10匹の処置された動物における1匹以下の毒性死としてNCIによって定義されている。
統計学的解析およびグラフによる解析
ログランク(logrank)検定が、ビヒクル処置対照群に対する処置群のメジアンTTEの違いを分析するために用いられた。ログランク検定では、NTR死として記録された動物を除くすべての動物に対するデータが分析される。統計学による両側解析がP=0.05で行われた。結果は、0.01≦P<0.05で有意であると見なされ、P<0.01で非常に有意であると見なされた。群メジアン腫瘍成長曲線では、メジアン腫瘍体積が時間の関数として示される。動物が、腫瘍サイズ、処置関連死または処置非関連の死のために研究から外れたとき、その動物について記録された最後の腫瘍体積は、その後の時点でのメジアン体積を計算するために使用されたデータに含められた。カプラン−マイヤープロットが、時間に対して研究での残存動物の割合を示すために作製された。カプラン−マイヤープロットでは、ログランク検定と同じデータ組が使用される。
結果
U87MG-e11研究が表13におけるプロトコルに従って行われた。65日間の研究では、十分に確立された(約71mg)U87MG神経膠芽細胞腫を1日目に保有する10匹の無胸腺ヌードマウスからなる6群が利用された。研究の16日目に、群あたり3匹の動物が組織サンプリングのために安楽死させられた。処置結果は、各群における残る7匹のマウスに基づいている。表14には、比較されている群に対するメジアンTTE値の処置応答のまとめが示される。図33には、すべての処置群における個々のマウスについてのTTE値の散布図が示される。ログランク検定が、処置群対ビヒクル処置対照群に対するメジアンTTEにおける何らかの増大の有意性を明らかにするために使用された。
表14:処置応答のまとめ
群1のマウスには、GU1ビヒクルが1日目〜14日目に1日に2回(BIDx14)i.p.投与された。
7匹のビヒクル処置マウスのすべてにおける腫瘍は1.5gの終点重量に成長し、これは23.0日のメジアンTTEをもたらした(表14)。65日間の生存体が存在しないことは、群あたりゼロの十分でない腫瘍生着の潜在的なバックグラウンドレベルを示している。対照マウスに対するメジアン腫瘍成長曲線が図34の上段パネルに含まれる。時間に対する研究での残存対照動物の割合が図34の下段パネルにカプラン−マイヤープロットで示される。
腹腔内カルムスチンに対するU87MG異種移植片の応答
群2のマウスには、カルムスチンが15mg/kgでi.p.投与された。カルムスチンは、1日目から始まって3日毎に1日に1回(QODx3)投与された。1匹の処置関連死が記録された。群2のマウスでは、26.3日のメジアンTTEが達成された。これは、対照マウスに対して、有意でない3.3日のT-Cおよび14%の腫瘍成長遅延(TGD)に対応する(P>0.05)。65日目のメジアン腫瘍負荷量は0mgであった(n=1匹のマウス)。この処置は1匹の長期の腫瘍非保持生存体(LTTFS)をもたらした。群2に対するメジアン腫瘍成長曲線およびカプラン−マイヤー曲線は、群1に対する曲線と比較した場合、わずかに右側に移動している(図34)。
腹腔内CG51896-02(GU1)に対するU87MG異種移植片の応答
GU1が、群3、群4および群6に対して、それぞれ、1mg/kg、5mg/kgおよび10mg/kgで、b.i.dx14でi.p.投与された。1匹の処置非関連(NTR)死が群3において記録された。群3のマウスに対するメジアンTTEは22.0日であった。このTTE値は、ビヒクルで処置された群1のマウスのTTE値よりも低く、しかしながら、低下は有意ではない(P>0.05)。後退応答は記録されなかった。群4に対するメジアンTTEは、ビヒクルで処置された群1のマウスのメジアンTTEと同一であった(23.0日)。65日目のメジアン腫瘍負荷量は0mgであった(n=1)。1匹の65日生存体における処置応答は、腫瘍が最終日に初めて触診できないほどになったので、PR応答として分類された。群6では、32.6日のメジアンTTEが達成された。これは9.6日のT-Cおよび42%のTGDに対応する。10mg/kgのGU1での処置はこの研究では最も有効であった一方で、群6のメジアンTTEは、ビヒクルで処置された群1のマウスのメジアンTTEよりも著しく大きくなかった(P=0.0576)。65日目のメジアン腫瘍負荷量は0mgであった(n=3)。1匹のPR応答および2匹のLTTFSが記録された。群3、群4および群6に対するメジアン腫瘍成長曲線およびカプラン−マイヤー曲線は、7つの腫瘍のうちの4つが32日以内に1.5gの終点重量に達したので、後退応答を反映していない(図33および図34)。
GU1−カルムスチンの混合治療に対するU87MG異種移植片の応答
群5は、5mg/kgでのGU1(i.p.、b.i.d.x14)および15mg/kgでのカルムスチン(i.p.、qodx3)からなる混合療法を受けた。群5に対するメジアンTTEは26.8日であった。これは、対照マウスに対して3.6日のT-Cおよび17%のTGDに対応する(P>0.05)。後退応答は全く認められなかった。群5に対するメジアン腫瘍成長曲線およびカプラン−マイヤー曲線を(対応する単独療法を受けた)群2および群4に対する曲線と比較した場合、抗腫瘍効力の増強は何ら明らかにされない(図34)。
結論
本研究では、CG51896-02が、ヒトU87MG神経膠芽細胞腫を有する無胸腺マウスにおいて評価された。7匹の対照マウスのすべてにおける腫瘍は、類似する速度で1.5gの終点重量に成長し、23日のメジアンTTEをもたらした。図1に示されるように、どの処置群でも腫瘍の大部分が、ビヒクルで処置された腫瘍のTTE値に類似するTTE値で終点に達した。従って、試験療法はどれも、メジアンTTEの統計学的に有意な増大をもたらさなかった。GU1の最高用量は最大のTGD(42%)をもたらし、これはほぼ有意であった(P=0.0576)。終点に達しなかった腫瘍の数は、何らかの処置効力の証拠を提供した。カルムスチンの単独療法は1匹のLTTFSをもたらし、5mg/kgのGU1は1匹のPR応答をもたらし(65日目の腫瘍重量が0mgである)、10mg/kgのGU1は1匹のPRおよび2匹のLTFFSをもたらした。15mg/kgのカルムスチンおよび5mg/kgのGU1を用いた混合療法は後退応答をもたらさなかった。このことは、このGU1治療法とアルキル化剤処置との間には正の相互作用がないことを示している。
まとめると、10mg/kgの用量のGU1(CG51896-02)は、0mgのメジアン腫瘍重量を伴って3匹の65日生存体をもたらした。このことは、10mg/kgにおいて、CG51896-02は、神経膠芽細胞腫の後退を誘導し得る効果的なタンパク質治療剤として使用され得ることを示唆している。
他の実施形態
様々な特定の実施形態が本明細書中に詳しく開示されているが、これは、例示目的のために例として行われているにすぎず、従って、下記の添付された請求項の範囲に関して限定であることを意図しない。特に、様々な置換、変化および改変が、請求項によって定義されるような本発明の精神および範囲から逸脱することなく本発明に対してなされ得ることが本発明者らによって意図される。核酸出発物質、目的とするクローン、またはタンパク質送達方法の選択は、本明細書中に記載された実施形態の知識を有する当業者にとっては日常的な事項であると考えられる。様々な他の局面、利点および改変が下記の請求項の範囲に含まれると見なされる。示された請求項により、本明細書中に開示された発明が表される。請求項に記載されていない他の発明もまた意図される。出願人は、そのような発明を後の請求項において続ける権利を留保する。
図1は、CG51896-01(セマフォリン6A)の細胞外ドメインとのタンパク質のパスコーリング(Pathcalling)相互作用を示す概略図である。 図2は、CG51896-10の細胞質ドメインとのタンパク質のパスコーリング相互作用を示す概略図である。 図3は、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)およびヒト微小血管内皮細胞(HMCEC-d)の遊走に対するCG51896-02の影響を示すグラフである。 図4は、786-0細胞(腎臓癌腫)の遊走に対するCG51896-02の影響を示す棒グラフである。 図5は、SJCRH30細胞(横紋筋肉腫)の遊走に対するCG51896-02の影響を示す棒グラフである。 図6は、SK-N-SH細胞(神経芽細胞腫)の遊走に対するCG51896-02の影響を示す棒グラフである。 図7は、U87-MG細胞(神経芽細胞腫)の遊走に対するCG51896-02の影響を示す棒グラフである。 図8は、CAKI-2細胞(腎臓癌腫)の遊走に対するCG51896-02の影響を示す棒グラフである。 図9は、SK-N-SH細胞(神経芽細胞腫)の遊走に対するCG51896-11の影響を示す棒グラフである。 図10は、HT1080細胞(線維肉腫)の遊走に対するCG51896-11の影響を示す棒グラフである。 図11は、U87-MG細胞(神経芽細胞腫)の遊走に対するCG51896-11の影響を示す棒グラフである。 図12は、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)の遊走に対するCG51896-11の影響を示す棒グラフである。 図13は、CAKI-2細胞(腎臓癌腫)の遊走に対するCG51896-11の影響を示す棒グラフである。 図14は、Panc-1細胞(腎臓癌腫)の遊走に対するCG51896-11の影響を示す棒グラフである。 図15は、786-0細胞(腎臓癌腫)の侵入に対するCG51896-02の影響を示す棒グラフである。 図16は、アクチン細胞骨格に対するCG51896-02の影響を示すヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)の一連の光学顕微鏡写真である。図16Aは未刺激細胞を示す。図16Bは、VEGF(10ng/ml)で処理された細胞を示す。図16Cは、VEGF+CG51896-02(セマフォリン6A細胞外ドメイン)で処理された細胞を示す。図16Dは、VEGF+サイトカラシンD(アクチンフィラメントの阻害剤)を示す。 図17は、VEGFで刺激されたSrcリン酸化およびFAKリン酸化に対するCG51896-02の影響を示すウエスタンブロットである。 図18は、CG51896-02およびプレキシンA1の免疫共沈降を示すウエスタンブロットである。 図19は、CG51896-02、CG51896-11およびCG51896-12に対するポリクローナル抗体(N-40、I340およびC640)の影響を示す棒グラフである。 図20Aは、CG51896-02に対するポリクローナル抗体(S578)の影響を示す棒グラフである。図20Bは、CG51896-11およびCG51896-12に対するポリクローナル抗体(S578)の影響を示す棒グラフである。 図21は、成長円錐崩壊に対するCG51896-02の影響を示す顕微鏡写真である。 図22は、CG51896-02の存在下での成長円錐崩壊の定量的分析を示す棒グラフである。 図23は、無胸腺ヌードマウスにおけるマトリゲルプラグでの786-0により誘導される血管形成に対するCG51896-02の影響を示す顕微鏡写真である(肉眼的形態学)。 図24は、CG51896-02投与後のマトリゲルプラグ(786-0により誘導される血管形成)のCD31染色を示す顕微鏡写真である。 図25は、CG51896-02投与後の血管長さの相対的な数を示す形態計測解析を示す棒グラフである(786-0により誘導される血管形成)。 図26は、CG51896-02投与後の節の相対的な数を示す形態計測解析を示す棒グラフである(786-0により誘導される血管形成)。 図27は、CG51896-02投与後の血管末端の相対的な数を示す形態計測解析を示す棒グラフである(786-0により誘導される血管形成)。 図28は、無胸腺ヌードマウスにおけるマトリゲルプラグでのVEGF/bFGFにより誘導される血管形成に対するCG51896-02の影響を示す顕微鏡写真である(肉眼的形態学)。 図29は、CG51896-02投与後のマトリゲルプラグ(VEGF/bFGFにより誘導される血管形成)のCD31染色を示す顕微鏡写真である。 図30は、CG51896-02投与後の血管長さの相対的な数を示す形態計測解析を示す棒グラフである(VEGF/bFGFにより誘導される血管形成)。 図31は、CG51896-02投与後の節の相対的な数を示す形態計測解析を示す棒グラフである(VEGF/bFGFにより誘導される血管形成)。 図32は、CG51896-02投与後の血管末端の相対的な数を示す形態計測解析を示す棒グラフである(VEGF/bFGFにより誘導される血管形成)。 図33は、ヌードマウス体内での異種移植片として成長させられたU87MGヒト神経膠腫系統に対するCG51896-02の効力評価のためのすべての処置群における個々のマウスについて終点を示す散布図である。 図34は、ヌードマウス体内での異種移植片として成長させられたU87MGヒト神経膠腫系統に対するCG51896-02の効力評価を示すグラフである。上段パネルは各処置群に対するメジアン腫瘍成長曲線を示す。下段パネルは各処置群に対するカプラン・マイヤープロットを示す。

Claims (56)

  1. 細胞を、配列番号14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54または56に対して少なくとも95%の配列同一性を有するポリペプチドを含む組成物と接触させることを含む、細胞遊走の阻害方法。
  2. 細胞をインビボ、インビトロまたはエクスビボにて接触させる、請求項1の方法。
  3. 細胞が、内皮細胞、上皮細胞、神経細胞または間葉細胞からなる群より選択される、請求項1の方法。
  4. 内皮細胞が、微小血管内皮細胞または臍帯静脈内皮細胞である、請求項3の方法。
  5. 上皮細胞が、腎細胞または膵細胞である、請求項3の方法。
  6. 神経細胞が、膠細胞、軸索細胞、および樹状細胞からなる群より選択される、請求項3の方法。
  7. 細胞が癌細胞である、請求項1の方法。
  8. 癌細胞が、神経芽細胞腫、腎臓癌腫細胞、線維肉腫細胞、横紋筋肉腫細胞または膵臓癌細胞である、請求項7の方法。
  9. 配列番号13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53または55に対して少なくとも95%の配列同一性を有する核酸を含む組成物を細胞に導入することを含む、細胞遊走の阻害方法。
  10. 核酸がインビボ、インビトロまたはエクスビボにて導入される、請求項9の方法。
  11. 細胞が、内皮細胞、上皮細胞、神経細胞または間葉細胞からなる群より選択される、請求項9の方法。
  12. 内皮細胞が、微小血管内皮細胞または臍帯静脈内皮細胞である、請求項11の方法。
  13. 上皮細胞が、腎細胞または膵細胞である、請求項11の方法。
  14. 神経細胞が、膠細胞、軸索細胞、および樹状細胞からなる群より選択される、請求項11の方法。
  15. 細胞が癌細胞である、請求項9の方法。
  16. 癌細胞が、神経芽細胞腫、腎臓癌腫細胞、線維肉腫細胞、横紋筋肉腫細胞または膵臓癌細胞である、請求項15の方法。
  17. 組織を、配列番号14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54または56に対して少なくとも95%の配列同一性を有するポリペプチドを含む組成物と接触させることを含む、組織の血管形成の阻害方法。
  18. 組織が、内皮組織、上皮組織、神経組織または間葉組織からなる群より選択される、請求項17の方法。
  19. 内皮組織が、静脈組織、動脈組織または微小血管系である、請求項18の方法。
  20. 上皮組織が、腎臓組織、膵組織または腎組織である、請求項18の方法。
  21. 神経組織が、神経膠組織である、請求項18の方法。
  22. 組織が腫瘍である、請求項17の方法。
  23. 腫瘍が癌性である、請求項22の方法。
  24. 癌が、神経芽細胞腫、腎臓癌腫、線維肉腫、横紋筋肉腫または膵臓癌である、請求項23の方法。
  25. 配列番号13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53または55に対して少なくとも95%の配列同一性を有する核酸を含む組成物を細胞に導入することを含む、組織の血管形成の阻害方法。
  26. 核酸がインビボ、インビトロまたはエクスビボにて導入される、請求項25の方法。
  27. 組織が、内皮組織、上皮組織、神経組織または間葉組織からなる群より選択される、請求項25の方法。
  28. 内皮組織が、静脈組織、動脈組織または微小血管系である、請求項27の方法。
  29. 上皮組織が、腎臓組織、膵組織または腎組織である、請求項27の方法。
  30. 神経組織が、神経膠組織である、請求項27の方法。
  31. 組織が腫瘍である、請求項25の方法。
  32. 腫瘍が癌性である、請求項31の方法。
  33. 癌が、神経芽細胞腫、腎臓癌腫、線維肉腫、横紋筋肉腫または膵臓癌である、請求項32の方法。
  34. 細胞を、配列番号14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54または56に対して少なくとも95%の配列同一性を有するポリペプチドを含む組成物と接触させることによる、細胞におけるアクチンフィラメント形成の阻害方法。
  35. 細胞をインビボ、インビトロまたはエクスビボにて接触させる、請求項34の方法。
  36. 細胞が、内皮細胞、上皮細胞、神経細胞または間葉細胞からなる群より選択される、請求項34の方法。
  37. 内皮細胞が、微小血管内皮細胞または臍帯静脈内皮細胞である、請求項36の方法。
  38. 上皮細胞が、腎細胞または膵細胞である、請求項36の方法。
  39. 神経細胞が、膠細胞、軸索細胞、および樹状細胞からなる群より選択される、請求項36の方法。
  40. 細胞が癌細胞である、請求項34の方法。
  41. 癌細胞が、神経芽細胞腫、腎臓癌腫細胞、線維肉腫細胞、横紋筋肉腫細胞または膵臓癌細胞である、請求項40の方法。
  42. 配列番号13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53または55に対して少なくとも95%の配列同一性を有する核酸を含む組成物を細胞に導入することを含む、アクチンフィラメント形成の阻害方法。
  43. 核酸がインビボ、インビトロまたはエクスビボにて導入される、請求項42の方法。
  44. 細胞が、内皮細胞、上皮細胞、神経細胞または間葉細胞からなる群より選択される、請求項42の方法。
  45. 内皮細胞が、微小血管内皮細胞または臍帯静脈内皮細胞である、請求項44の方法。
  46. 上皮細胞が、腎細胞または膵細胞である、請求項44の方法。
  47. 神経細胞が、膠細胞、軸索細胞、および樹状細胞からなる群より選択される、請求項44の方法。
  48. 細胞が癌細胞である、請求項42の方法。
  49. 癌細胞が、神経芽細胞腫、腎臓癌腫細胞、線維肉腫細胞、横紋筋肉腫細胞または膵臓癌細胞である、請求項48の方法。
  50. 血管形成関連障害の症状を抑制または軽減する方法であって、配列番号14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54または56に対して少なくとも95%の配列同一性を有するポリペプチドを含む組成物を対象に投与することを含む方法。
  51. 血管形成関連障害が癌である、請求項50の方法。
  52. 癌が膵臓癌、腎臓癌または神経芽細胞腫である、請求項51の方法。
  53. NOVXポリペプチドおよび第2のポリペプチドを含むキメラタンパク質。
  54. 第2のポリペプチドが少なくとも免疫グロブリン分子の一部である、請求項53のキメラタンパク質。
  55. 第2のポリペプチドが免疫グロブリン分子のFc領域を含む、請求項53のキメラタンパク質。
  56. 配列番号50または54を含む組成物。

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