JP2005535294A - 治療ポリペプチド、それをコードする核酸、および使用方法 - Google Patents

治療ポリペプチド、それをコードする核酸、および使用方法 Download PDF

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Abstract

新規ポリペプチドをコードする核酸、これらの核酸配列によりコードされるポリペプチド、および該ポリペプチドに免疫特異的に結合する抗体、ならびに該新規ポリペプチド、ポリヌクレオチド、または該ポリペプチドに特異的な抗体の誘導体、変種、変異体、またはフラグメントをここに開示する。ベクター、ホスト細胞、抗体ならびにポリペプチドおよびポリヌクレオチドを得るための組み換え法、またはそれらの使用方法も含まれる。さらに本発明は、これらの新規ヒト核酸および蛋白のいずれかが関与する疾病の診断、治療、および予防のための治療的、診断的および研究的方法も開示する。

Description

発明の詳細な説明
(技術分野)
本発明は、細胞、組織、器官または生物の生化学的または生理学的応答の刺激に関する特性を有する新規ポリペプチド、およびそれをコードする核酸に関する。より具体的には、新規ポリペプチドは、新規遺伝子の遺伝子産物であり、またはその特異的生物学的活性フラグメントまたは誘導体である。使用の方法は、診断および予後アッセイ手法並びに広範な病理学的状態を処置する方法を包含する。
(背景技術)
腎臓癌
腎細胞癌(RCCまたは腎臓癌)は、腎臓に生じる最も一般的な原発性癌であり、成人における全原発性腎臓新生物のうち85%以上を占める。腎盂の移行細胞癌は、次に最も一般的であり、全原発性腎臓新生物のうち約8%を占める。悪性腎臓新生物は、原発性または転移性の腫瘍となりうる。腎細胞癌は、通常40歳から60歳の成人で生じ、男性における発生率は女性の2倍である。腎細胞癌は、全ての癌の2〜3%であり、全ての癌死亡者の2%である。2002年にアメリカ合衆国において、約31,000人が腎臓癌と診断され、最終的にその40%が該疾病によって死亡するとされる。
腎細胞癌は、主に60歳〜90歳で発生し、40歳男性の進行中の腎細胞癌の生涯リスクは1.27%であり、この疾病での死亡リスクは0.51%である。腎細胞癌の発生率は、1975年から1995年までに、女性(白人女性で3.1%;黒人女性で4.3%)および男性(白人男性で2.3%;黒人男性で3.9%)のいずれにおいても着実に増加し、その死亡率も同様であった。1950年より、RCCの発生率は126%増加するとともに、RCCによる年間死亡率は37%増加した。
腎臓癌はしばしば、広がる(転移する)まで、診断されないままであるか、誤って診断される。結果として、15〜25%の腎臓癌患者は診断時に転移性疾患を有する。腎細胞癌の患者の3分の1が、原発性腫瘍の診断時に遠隔転移を有する。100年以上の間、外科手術は腎細胞癌の一次治療であった。歴史的に、腎臓癌は多くの化学療法薬に耐性があり、腎臓癌に使用される従来の化学療法薬への反応率は10%以下であることが証明されている。既存の治療法では疾病の発病率または重症度を減少させることに成功していないことから、腎臓癌の十分な治療は未だ満たされていない医学的ニーズである。従って、腎臓癌を順調に治療することのできる治療法は、罹患率および死亡率を減少させるのに有益な効果を有し、侵襲的外科処置、免疫および化学療法、ならびに付帯する補助サービスに関連した数百億ドルの保健医療制度を潜在的に減少させる。
炎症
喘息(asthma)は、マスト細胞、好酸球、Tリンパ球を含む多くの細胞が関与する気管の慢性の炎症性疾患である。患者では、この炎症によって喘鳴、咳、息切れ、および胸苦しさが頻発する。これらの症状は、自発的または治療のいずれかで元に戻りうる可変的な気道狭窄に関連する。アメリカ合衆国において1982年から1992年までに、喘息の罹患率は1000人につき34.7から49.4人へと、約42%増加したことをThe Centers for Disease Controlは示している。5〜34歳について、その割合は、1000人につき34.6から52.6人へと、約52%増加した。これと同じ期間に、喘息による入院数および1年の死亡数も増加した。1980年から1993年に、0〜24歳の人のうち3850人が死亡し、年間の年齢別喘息死亡率は、118%増加した。これと同じ期間に、0〜24歳の喘息での年間入院率は28%増加した。
喘息を引きおこし、悪化させるとされる危険因子における変化は、近年の喘息罹患率の増加の原因である。重度の喘息の症状を有する子供および成人では、比較的軽度の症状の者よりも肺の機能が低下している。既存の治療法では疾病の発病率または重症度を減少させることに成功していないことから、喘息の十分な治療は未だ満たされていない医学的ニーズである。従って、喘息を順調に治療することのできる治療法は、罹患率を減少させるのに有益な効果を有する。
真核細胞は、通常の条件下では細胞の維持および増殖を達成するために精妙にバランスを受けている、生化学的および生理学的方法を特色とする。そのような細胞が脊椎動物のような多細胞生物、またはさらに特別には哺乳動物のような生物の構成要素であるとき、生化学的および生理学的方法の調節には精緻な情報伝達経路を伴う。しばしば、そのような情報伝達経路は、細胞外の情報伝達タンパク質、情報伝達タンパク質に結合する細胞性受容体、および細胞内に局在する情報伝達構成要素に関与する。
情報伝達タンパク質は、内分泌性エフェクター、パラクリンエフェクターまたはオートクリンエフェクターに分類され得る。内分泌性エフェクターは特定の器官により循環系中に分泌される情報伝達分子であり、これは次いで遠隔の標的器官または標的組織へと輸送される。標的細胞は内分泌性エフェクターの受容体を含み、内分泌性エフェクターが結合すると情報伝達カスケードが誘導される。パラクリンエフェクターには、互いに近傍にある分泌細胞と受容細胞、例えば同じ組織または器官内の2つの異なるクラスの細胞が関与する。あるクラスの細胞がパラクリンエフェクターを分泌し、これが次いで、例えば細胞外液を介する拡散により、第2のクラスの細胞に到達する。第2のクラスの細胞はパラクリンエフェクターに対する受容体を含有しており、エフェクターの結合は情報伝達カスケードを誘導し、これが対応する生化学的または生理学的作用を誘起する。オートクリンエフェクターは、オートクリンエフェクターを分泌する同じタイプの細胞が受容体をも含有していること以外は、パラクリンエフェクターと高度の類似性を有している。かくして、オートクリンエフェクターは、同じ細胞上でまた同じ近接する細胞上で受容体に結合する。次いで、結合過程は特色的な生化学的または生理学的作用をひき起こす。
情報伝達過程は細胞および組織に対し、これらに限定されない例として、細胞または組織の増殖の誘導、成長または増殖の抑制、細胞または組織の分化または成熟の誘導、および細胞または組織の分化または成熟の抑制を含む多様な影響をひき起こし得る。
多くの病理学的状態には、重要なエフェクタータンパク質の発現の調節不全が関与している。特定のクラスの病態においては、調節不全は、タンパク質エフェクターの合成および分泌の縮減または抑制レベルとして現れる。病理の他の種類では、非調節は、タンパク質エフェクターの合成および分泌の増加または上方調節レベルとして明示される。臨床現場において、対象が興味のあるタンパク質エフェクターレベルの増加または過多によりもたらされる異常に罹患していることを疑うことがある。それ故に、そのような対象由来の生物学的試料中の興味のあるタンパク質エフェクターのレベルをアッセイし、そしてそのレベルを非病態的状態に特色的なものと比較する必要がある。また、製造の産物としてタンパク質エフェクターを提供する必要性がある。その必要のある対象にエフェクターを投与することは、病理学的状態の処置に有用である。よって、興味あるタンパク質エフェクターの縮減または抑制レベルによってもたらされる病理学的状態の処置の方法のための必要性がある。加えて、興味の対象となるタンパク質エフェクターの増加または上方調節レベルによってもたらされる病理学的状態の処置の方法の必要性がある。さらに、興味の対象となるタンパク質エフェクターの増大または上方調節されたレベルにより引き起こされる病理学的状態の治療方法に対する必要性がある。
それゆえ、かかる対象からの生物学的試料中の興味の対象である蛋白エフェクターのレベルをアッセイし、このレベルを病理学的状態にないことを特徴とするレベルと比較する必要がある。特に、抗原に免疫特異的に結合する抗体を用いることに基づくかかるアッセイに対する必要性がある。さらに、病理学的状態が上昇したあるいは過剰なエフェクターのレベルから生じる場合において、エフェクターに免疫特異的に結合する抗体の使用に基づいて蛋白エフェクターの活性を阻害する必要がある。よって、製造結果物としての抗体に対する必要性がある。さらに、抗体を対象に投与することに基づく、興味の対象である蛋白の上昇したあるいは過剰なレベルにより生じる病理学的状態の治療方法に対する必要性もある。
(発明の要約)
本発明は、配列番号2nからなる群より選択されるアミノ酸配列の成熟型から選択されるアミノ酸配列を含む単離ポリペプチドの発見に一部基づき、ここでnは、1と12の間の整数である。新規核酸及びポリペプチドは、NOVXまたはNOV1、NOV2、NOV3などとして本明細書中にて言及する。これらの核酸及びポリペプチド並びにその誘導体、相同物、類似体およびフラグメントは、以後集合的に「NOVX」核酸またはポリペプチド配列として命名する。
発明は、配列番号2nからなる群より選択されるアミノ酸配列の成熟型の変異体に一部基づき、ここでnは、1と12の間の整数であり、ここで成熟型の任意のアミノ酸は、異なるアミノ酸に変化している。ただし、成熟型の配列中の15%を超えないアミノ酸残基はそのように変化している。他の実施形態では、発明は、配列番号2nからなる群より選択されるアミノ酸配列を含み、ここでnは、1と12の間である。他の実施形態では、発明はまた、配列番号2nからなる群より選択されるアミノ酸配列の変異体を含み、ここでnは、1と12の間の整数であり、ここで選択された配列中に特定される任意のアミノ酸は、異なるアミノ酸に変化している。ただし、配列中の15%を超えないアミノ酸残基が、そのように変化している。発明はまた、配列番号2nからなる群から選択されるアミノ酸配列の成熟型のいずれかのフラグメント、またはこの群から選択される任意の他のアミノ酸配列に関係し、ここでnは1と12の間の整数である。発明は、残基の15%までが変化しているこれらの群からのフラグメントを含む。
他の実施形態では、発明は、配列番号2nからなる群より選択される配列の天然に存在する対立遺伝子変異体であるポリペプチドを含み、ここで、nは1と12の間の整数である。これらの対立遺伝子変異体は、配列番号2n−1からなる群より選択される核酸配列からの単一ヌクレオチドによって異なる核酸配列の翻訳物である、アミノ酸配列を含み、ここでnは1と12の間である。変異体ポリペプチドは、選択された配列で任意のアミノ酸が変化している場合、変化して保存置換を提供する。
他の実施形態では、発明は、配列番号2nからなる群より選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチド、ここでnは1と12の間の整数であり、および薬学的許容可能担体に関係する医薬組成物を含む。他の実施形態では、発明は、1または2以上の容器中にこの医薬組成物を含む、キットに関係する。
他の実施形態では、発明は、ヒト疾患に随伴する症候群を処置する医薬の製造における治療剤の用途を含み、該疾患は、配列番号2nからなる群より選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドと連関する病理から選択され、ここでnは、1と12の間での整数であり、ここで当該治療剤は、この群から選択されるポリペプチドである。
他の実施形態では、発明は、配列番号2nからなる群より選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドの存在または量を決定する方法を含み、ここでnは1と12の間の整数であり、該方法は、試料を提供すること;試料を、ポリペプチドに免疫特異的に結合する抗体に導入すること;およびポリペプチドに結合した抗体の存在または量を決定し、それによって試料中のポリペプチドの存在または量を決定することに関係する。
別の実施形態では、発明は、第一の哺乳動物対象において、配列番号2nからなる群より選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドの変化したレベルと連関する疾患の存在または素因を決定する方法を含み、ここでnは1と12の間の整数であり、該方法は、第一の哺乳動物対象からの試料中のポリペプチドの発現のレベルを測定すること;およびこの試料中の該ポリペプチドの量を、該疾患を有しない、または素因がないと知られる第二の哺乳動物対象からの対照試料中に存在する該ポリペプチドの量と比較することに関係し、ここで該対照試料と比較した場合の、該第一の対象のポリペプチドの発現レベルの変化は、該疾患の存在または素因を指摘する。
他の実施形態では、発明は、配列番号2nからなる群より選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドに結合する薬剤を同定する方法に関係し、ここでnは1と12の間の整数であり、該方法は、該薬剤へ該ポリペプチドを導入すること;および該薬剤が該ポリペプチドに結合するか否か決定することを含む。該薬剤は、細胞性レセプターまたは下流エフェクターでありうる。
他の実施形態では、発明は、病理の処置における使用のための潜在的治療薬剤を同定する方法に関係し、ここで該病理は、配列番号2nからなる群より選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドの異常発現または異常生理学的相互作用に関し、ここでnは1と12の間の整数であり、該方法は、発明のポリペプチドを発現するおよび該ポリペプチドに帰すべき特性または機能を有する細胞を提供する;該細胞を、候補物質を含む組成物と接触する;および物質がポリペプチドに帰すべき特性または機能を変化させるか決定する;それによってもし物質の存在下観察される変化が、細胞を物質のない組成物と接触させたときに観察されないならば、該物質は、潜在的治療的剤として同定される。
他の実施形態では、発明は、配列番号2nからなる群より選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドに連関する病理の活性または潜在または素因のモジュレーターについてのスクリーニング方法に関係し、ここでnは1と12の間の整数であり、該方法は、発明のポリペプチドと連関する病理の増加リスクのある試験動物へ試験化合物を投与すること、ここで該試験動物は、発明のポリペプチドを組み換え的に発現し;試験化合物を投与後の、試験動物におけるポリペプチドの活性を測定すること;および試験動物のタンパク質の活性を、ポリペプチドを投与してない対照動物のポリペプチドの活性と比較すること、ここで試験動物におけるポリペプチドの活性の、対照動物に対する変化は、発明のポリペプチドと連関する病理の潜在または素因のモジュレーターであることを指摘する。組み換え体試験動物は、野生型試験動物に対する増加レベルの、タンパク質トランスジーンまたはプロモーターの制御下のトランスジーンを発現しうる。
他の実施形態では、発明は、配列番号2nからなる群より選択されるアミノ酸配列のポリペプチドの活性を調節する方法に関し、ここでnは1と12の間の整数であり、該方法はポリペプチドの活性を調節するために十分な量の、ポリペプチドに結合する化合物と、該ポリペプチドを発現する細胞試料を導入することを含む。
他の実施形態では、発明は、配列番号2nからなる群より選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドと連関する病理を処置または予防する方法に関係し、ここでnは1と12の間の整数であり、該方法は、そのような処置または予防が、該対象の病理を処置または予防するため十分の量で望まれる対象に、ポリペプチドを投与することを含む。対象はヒトを包含しうる。
他の実施形態では、発明は、哺乳動物の病理学的状態を処置する方法に関係し、該方法は、該病理学的状態を緩和するのに十分量のポリペプチドを哺乳動物に投与することを含み、ここで該ポリペプチドは、配列番号2nからなる群より選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドに少なくとも95%同一のアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはその生物学的活性フラグメントであり、ここでnは、1と12の間の整数である。
他の実施形態では、発明は、配列番号2nに与えるアミノ酸配列の成熟型からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする核酸配列を含む単離核酸分子、ここでnは1と12の間の整数である;配列番号2nからなる群より選択されるアミノ酸配列の成熟型の変異体、ここでnは1と12の間の整数であり、ここで選択された配列の成熟型中の任意のアミノ酸は、異なるアミノ酸に変化されている。ただし成熟型の配列中の15%を超えないアミノ酸残基はそのように変化している;配列番号2nからなる群より選択されるアミノ酸配列、ここでnは1と12の間の整数である;配列番号2nからなる群より選択されるアミノ酸配列の変異体、ここでnは1と12の間の整数であり、ここに選択された配列中に特定される任意のアミノ酸は異なるアミノ酸に変化される。ただし配列中の15%を超えないアミノ酸残基は、そのように変化している;配列番号2nからなる群より選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドの少なくとも一部をコードする核酸フラグメント、ここでnは1と12の間の整数であり、またはポリペプチドの任意の変異体であり、ここで選択の配列の任意のアミノ酸は、異なるアミノ酸に変化される。ただし、配列中の10%を超えないアミノ酸残基は、そのように変化される;および核酸分子のいずれかの相補物に関係する。
他の実施形態では、発明は、配列番号2nに与えるアミノ酸配列の成熟型からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸配列を有する単離核酸分子を含み、ここでnは1と12の間の整数であり、ここで核酸分子は、天然に存在する対立遺伝子核酸変異体のヌクレオチド配列を含む。
他の実施形態では、発明は、配列番号2nに与えるアミノ酸配列の成熟型からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする核酸配列を含む単離核酸分子に関係し、ここでnは1と12の間の整数であり、それは変異体ポリペプチドをコードし、ここで該変異体ポリペプチドは、天然存在ポリペプチド変異体のポリペプチド配列を有する。
他の実施形態では、発明は、配列番号2nに与えるアミノ酸配列の成熟型からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸配列を有する単離核酸分子を含み、ここでnは1と12の間の整数であり、ここで核酸分子は、配列番号2n−1からなる群より選択される核酸配列と単一ヌクレオチドによって相違し、ここでnは1と12の間の整数である。
他の実施形態では、発明は、配列番号2nに与えるアミノ酸配列の成熟型からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸配列を有する単離核酸分子を含み、ここでnは1と12の間の整数であり、ここで核酸分子は、配列番号2n−1からなる群より選択されるヌクレオチド配列からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含み、ここでnは1と12の間の整数であり;ここでヌクレオチド配列中の1または2以上のヌクレオチドが配列番号2n−1からなる群より選択される、ここでnは1と12の間の整数である、ヌクレオチド配列が、選択された配列からなる群より選択されるものから、異なるヌクレオチドに変化している。ただし15%を超えないヌクレオチドがそのように変化する;配列番号2n−1からなる群より選択される配列の核酸フラグメント、ここでnは1と12の間の整数である;およびここでヌクレオチド配列中の1または2以上のヌクレオチドが、配列番号2n−1からなる群より選択される、ここでnは1と12の間の整数である、核酸フラグメントが、選択配列からなる群より選択されるものから、異なるヌクレオチドに変化している。ただし15%を超えないヌクレオチドがそのように変化する。
他の実施形態では、発明は、配列番号2nに与えるアミノ酸配列の成熟型からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸配列を有する単離核酸分子を含み、ここでnは1と12の間の整数であり、ここで該核酸は、配列番号2n−1からなる群より選択されるヌクレオチド配列またはヌクレオチド配列の相補物に、厳密(ストリンジェント)条件下でハイブリダイズし、ここでnは1と12の間の整数である。
他の実施形態では、発明は、配列番号2nに与えるアミノ酸配列の成熟型からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を有する単離核酸分子を含み、ここでnは1と12の間の整数であり、ここで核酸分子はヌクレオチド配列を有し、ここに選択されたヌクレオチド配列のコーディング配列中に特定される任意のヌクレオチドは、選択配列からなる群より選択されるものから、異なるヌクレオチド(ただし、選択されたコーディング配列中の、15%を超えないヌクレオチドは、そのように変化されている)、第一のポリヌクレオチドの相補物である単離された第二のポリヌクレオチド、またはそれらいずれかのフラグメントに変化される。
他の実施形態では、発明は、配列番号2に与えるアミノ酸配列の成熟型からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸配列を有する核酸分子を含むベクターを含み、ここでnは1と12の間の整数である。このベクターは核酸分子に作動可能に連結されるプロモーターを有することができる。このベクターは、細胞内に位置することができる。
別の実施形態では、発明は、配列番号2nに与えるアミノ酸配列の成熟型からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸配列を有する核酸分子の存在または量を決定する方法に関係し、ここでnは1と12の間の整数であり、該方法は、試料を提供すること;試料を、核酸分子に結合するプローブに導入すること;および核酸分子に結合したプローブの存在または量を決定し、それによって試料中の核酸分子の存在または量を決定することを含む。核酸分子の存在または量を細胞または組織型のためのマーカーとして使用する。細胞型は、がんであってもよい。
別の実施形態では、発明は、第一の哺乳動物対象において、配列番号2nに与えるアミノ酸配列の成熟型からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸配列を有する核酸分子の変化レベルと連関する疾患の存在または素因を決定する方法に関し、ここでnは1と12の間の整数であり、該方法は、第一の哺乳動物対象からの試料中の核酸の量を測定すること;および工程(a)の試料中の核酸の量を、疾患を有しないまたは素因がないと知られる第二の哺乳動物対象からの対照試料中に存在する核酸の量を比較することを含み;ここで対照試料と比較した場合の、第一の対象中に存在する核酸のレベルの変化は、疾患の存在または素因を指摘する。
本発明は、さらに、NOVXポリペプチドに免疫特異的に結合する抗体を提供する。NOVX抗体は、モノクローナル、ヒト化、もしくは完全なヒト抗体であってよい。好ましくは、抗体は、それに対するNOVXポリペプチドの結合に関して1x10−9M未満の解離定数を有する。より好ましくは、NOVX抗体はNOVXポリペプチドの活性を中和するものである。
さらなる態様において、本発明は、NOVXポリペプチドに関連したヒトの疾病に関連した症候群の処置にための医薬の製造における治療薬の使用を提供する。好ましくは、治療薬はNOVX抗体である。好ましくは、該治療薬は、NOVX抗体である。
よりさらなる態様において、本発明は、患者に、疾患を治療または予防するのに十分な量のNOVX抗体を投与することによる、NOVX関連疾患の治療または予防方法、哺乳類における病理状態を治療方法、およびポリペプチドに関連した病理の治療または予防方法を提供する。
特に規定されない限り、本明細書で使用する全ての技術的および科学的用語は本発明が属する技術分野に通常の技能を有する業者により普通に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で説明されるものと類似または同等の方法および材料を本発明の実施または試験に使用することができるが、適当な方法および材料を以下に記載する。本明細書で言及される全ての刊行物、特許申請、特許、および他の参考文献は全体的な出典明示により本明細書の一部とする。抵触がある場合には本明細書が、定義を含め優先する。加えて、材料、方法および実施例は例示的なものであって限定することを意図しない。
本発明の他の特性および利点は以下の発明の開示および請求項より明らかであろう。
(発明の詳細な記載)
HAVcr-1(A型肝炎ウイルス細胞受容体1)は、腎臓の再生に関与する推定接着タンパク質である。HAVcr-1タンパク質は、新規の6システイン イムノグロブリン様ドメインおよびムチンドメインを有する1型膜タンパク質である。Ichimuraらは、最初にこの分子を同定し、その発現が正常な腎臓では低く、虚血後の腎臓で急激に増加することから腎臓傷害分子1(KIM-1)と名付けた(J Biol Chem. 1998 Feb 13;273(7):4135-42.)。Feigelstockは、KIM-1がA型肝炎ウイルス受容体のヒトオーソログであることを示した(J Virol. 1998 Aug;72(8):6621-8.)。多発性嚢胞腎において、KIM-1の発現は上皮細胞の部分的な脱分化と強く相関する(Kuehn EW. Am J Physiol Renal Physiol 2002 Dec;283(6):F1326-36)。KIM-1の可溶性ドメインの分散は、脱分化した再生する腎細胞を拡散させる活性機構を構成するとされる(Bailly V. J Biol Chem 2002 Oct 18;277(42):39739-48)。
HAVcr-1タンパク質は、腎臓、結腸および乳房の腫瘍細胞による分散と細胞の侵入を誘導することが示されたP型「Trefoil」ドメインと相同性を有する(Prest SJ. FASEB J. 2002 Feb 12)。Trefoilは、細胞を上皮細胞における固定関連アポトーシスであるアノイキスに対して耐性にすることによって、抗アポトーシス性の機構を介して働きうる(Chen YH. Biochem Biophys Res Commun. 2000 Aug 11;274(3):576-82.)。
HAVcr-1タンパク質に対するモノクローナル抗体は、移動を阻害し、腎臓ガン細胞のアポトーシスを誘導する。HAVcr-1遺伝子は腫瘍において高度に誘導されるようであることから、HAVcr-1タンパク質も毒素をコンジュゲートしたモノクローナル抗体の標的となりうる。
HAVcr-1のマウスオーソログであるTim1は、Genbankに寄託され、気道過敏性の進行を制御する主要なT細胞調節の遺伝子座であるTaprとして同定された(McIntire JJ. Nat Immunol. 2001 Dec;2(12):1109-16.)。ヒトHAVcr-1遺伝子も、喘息に関連した第5番染色体の一部(Tapr)に位置する。Tim1は、T細胞によって発現され、おそらく抗原提示細胞上の未知のリガンドと相互作用する(Wills-Karp M. Nature Immunology 2, 1095 - 1096; McIntire JJ. Nature Immunology 2, 1109 - 1116)。
HAVcr-1タンパク質に対する抗体は、T細胞アネルギーを引き起こす部分的活性化シグナルを送るか、あるいはT細胞がTh2細胞に分化するのを妨げるアンタゴニストとして、またはT細胞の分化を引き起こすアゴニストとして働くであろう。Th2エフェクターを阻害することで、T細胞の機能は喘息、狼瘡および気腫に関連した炎症は減少するであろう。
本発明は、新規ヌクレオチドおよびそれによりコードされたポリペプチドを提供する。本発明は、新規核酸配列、それらのコードされたポリペプチド、抗体、および他の関連化合物を含む。本明細書において、配列を「NOVX核酸」または「NOVXポリヌクレオチド」と総称し、対応するコードされたポリペプチドを「NOVXポリペプチド」または「NOVXタンパク質」と称する。別段の記述がない限り、「NOVX」は本明細書に開示される任意の新規配列を指すことを意味する。表AにNOVX核酸およびそれらのコードされたポリペプチドの要約を示す。
表A:配列および対応する配列番号
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表AはNOVXポリペプチドの既知のタンパク質ファミリーとの相同性を示す。従って、表1の第1欄で特定されるNOVXに対応する本発明に従う核酸およりポリヌクレオチド、抗体および関連化合物は、例えば、表Aの第5欄に特定される既知タンパク質ファミリーに関連する病変および疾患に関係する治療的応用および診断的応用において有用である。
ポリヌクレオチド、ポリペプチド配列、および相同性データ
NOV1:
NOV1クローンを分析し、ヌクレオチドおよびそれにコードされるポリペプチド配列を表1Aに示す。
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上述のタンパク質配列のClustalW比較により、表1Bに示す以下の配列アラインメントが得られる。
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NOV1aタンパク質のさらなる解析により、表1Cに示す以下の特性が得られた。
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特許および特許公報中に公開された配列を含むGeneseqデータベース、特許データベースに対するNOV1aタンパク質の検索によって、表1Dに示すいくつかの相同タンパク質が得られた。
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公開配列データベースのBLAST検索では、NOV1aタンパク質は表1EのBLASTPデータに示されるタンパク質と相同性を有することが判明した。
Figure 2005535294
PFam解析によって、NOV1aタンパク質は表1Fに示すドメインを含むことが予測される。
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全長ヒト腎臓損傷関連分子は最近クローン化され、WO97/44460に記載されており、参照によりその全体が組み込まれる。
表 1G. 関連する変種の簡単な記載
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NOV2:
NOV2クローンを分析し、ヌクレオチドおよびそれにコードされるポリペプチド配列を表2Aに示す。
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上述のタンパク質配列の配列比較により、表2Bに示す以下の配列関係が得られる。
Figure 2005535294
NOV2aタンパク質のさらなる解析により、表2Cに示す以下の特性が得られた。
Figure 2005535294
Figure 2005535294
Figure 2005535294
特許および特許公報中に公開された配列を含むGeneseqデータベース、特許データベースに対するNOV2aタンパク質の検索によって、表2Dに示すいくつかの相同タンパク質が得られた。
Figure 2005535294
公開配列データベースのBLAST検索では、NOV2aタンパク質は表2EのBLASTPデータに示されるタンパク質と相同性を有することが判明した。
Figure 2005535294
PFam解析によって、NOV2aタンパク質は表2Fに示すドメインを含むことが予測される。
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NOVX核酸およびそれらのコードされたポリペプチドは種々の応用および状況において有用である。本発明に従う種々のNOVX核酸およびポリペプチドは、前記タンパク質とのドメインおよび配列関連性の存在に従うタンパク質ファミリーの新規メンバーとして有用である。加えて、NOVX核酸およびポリペプチドを用いて、NOVXポリペプチドが属するファミリーのメンバーであるタンパク質を同定し得る。
表Aの第5欄で特定されるタンパク質ファミリーの他の既知のメンバーと一致して、本発明のNOVXポリペプチドは、そのようなタンパク質ファミリーの他のメンバーに相同性を示し、そしてそれらを特徴とするドメインを含有する。
NOVX核酸およびポリペプチドを、NOVXの活性または機能を阻害または促進する分子をスクリーニングするのに使用し得る。特に、本発明に従う核酸およびポリペプチドは、表Aに掲げたタンパク質ファミリーと関連する疾患を調整または阻害する低分子の同定用の標的として使用され得る。
NOVX核酸およびポリペプチドはまた、特定の細胞タイプを検出にも有用である。NOVXそれぞれに対する発現分析の詳細を実施例7に示す。従って、本発明に従うNOVX核酸、ポリペプチド、抗体および関連化合物は、正常組織対疾患組織、例えば、種々のがん、において異なる発現を有する種々の疾患の検出における診断的応用および治療的応用を有する。
本発明に従うNOVX核酸およびポリペプチドのさらに別の利用法が本明細書に開示される。
NOVXクローン
NOVX核酸およびそれらのコードされたポリペプチドは、種々の応用および状況において有用である。本発明に従う種々のNOVX核酸およびポリペプチドは、上記該タンパク質と関連するドメインおよび配列の存在に従うタンパク質ファミリーの新規メンバーとして有用である。加えて、NOVX核酸およびポリペプチドを、NOVXポリペプチドが所属するファミリーのメンバーであるタンパク質を同定するために使用し得る。
NOVX遺伝子およびそれらの対応するコードされたタンパク質は、例えば、タンパク質治療または遺伝子治療により、医学的状態を予防、処置または緩和するのに有用である。病態を、試料中の新規タンパク質の量を測定または新規遺伝子中の変異の存在を測定することにより診断し得る。NOVX遺伝子が最も高発現する組織に基づいて、それぞれのNOVX遺伝子に対する特異的な使用を説明する。使用は、種々の疾患および障害を診断または処置するための産物を開発することを含む。
本発明のNOVX核酸およびタンパク質は、潜在的な診断応用および治療応用、および研究ツールとして有用である。これらは、特異的または選択的核酸、またはタンパク質、診断マーカーおよび/または予後マーカーとして役立つことを含む。ここで核酸またはタンパク質の存在または量、ならびに以下のような潜在的な治療応用を評価する:(i)タンパク質治療薬、(ii)低分子薬の標的、(iii)抗体の標的(治療的、診断的、薬のターゲティング/細胞毒性抗体)、(iv)遺伝子治療(遺伝子デリバリー/遺伝子手術)に有用な核酸、および(v)インビトロおよびインビボでの組織再生を促進する組成物、(vi)生物学的防衛兵器。
一つの特定の実施形態では、本発明は、(a) 配列番号2n(nは1〜12の整数である)からなる群から選択されるアミノ酸配列を持つ成熟型;(b) 配列番号2n(nは1〜12の整数である)からなる群から選択されるアミノ酸配列を持つ成熟型の変異体、但し、成熟型中の任意のアミノ酸は、成熟型の配列中のアミノ酸残基の15%以下が変更を受けるという条件で異なるアミノ酸に変更されている;(c) 配列番号2n(nは1〜12の整数である)からなる群から選択されるアミノ酸配列;(d) 配列番号2n(nは1〜12の整数である)からなる群から選択されるアミノ酸配列を持つ変異体、但し、選択された配列で特定される任意のアミノ酸は、配列中のアミノ酸残基の15%以下が変更を受けるという条件で異なるアミノ酸に変更されている;および(e)(a)ないし(d)のいずれかのフラグメント、からなる群から選択したアミノ酸配列を含有する単離ポリペプチドを含む。
もう一つの特別な実施形態では、本発明は、(a) 配列番号2n(nは1〜12の整数である)を与えられたアミノ酸配列を持つ成熟型;(b)配列番号2n(nは1〜12の整数である)からなる群から選択されるアミノ酸配列を持つ成熟型の変異体であり、選択された配列の成熟型中の任意のアミノ酸が、成熟型の配列中のアミノ酸残基の15%以下が変更を受けるという条件で異なるアミノ酸に変更されている、変異体;(c) 配列番号2n(nは1〜12の整数である)からなる群から選択されるアミノ酸配列;(d) 配列番号2n(nは1〜12の整数である)からなる群から選択されるアミノ酸配列の変異体であり、選択された配列中の特定されるアミノ酸が、配列中のアミノ酸残基の15%以下が変更を受けるという条件で異なるアミノ酸に変更されている、変異体;および(e) 配列番号2n(nは1〜12の整数である)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドの少なくとも一部分、または選択された配列の任意のアミノ酸が、配列においてアミノ酸残基の10%未満が変更を受けるという条件で異なるアミノ酸に変更されている、ポリペプチドの任意の変異体をコードする核酸のフラグメント;および(f) 核酸分子のいずれかの相補的分子、からなる群より選択したアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸配列を含む単離核酸分子を含む。
なおもう一つの特別な実施形態では、本発明は単離核酸分子を含む。ここで該核酸分子は、(a) 配列番号2n−1(nは1〜12の整数である)からなる群から選択されるヌクレオチド配列;(b) 配列番号2n−1(nは1〜12の整数である)からなる群から選択されるヌクレオチド配列中で一つまたはそれ以上のヌクレオチドが、選択された配列からなる群から選択されるものから、ヌクレオチドの15%以下が変更を受けるという条件で異なるヌクレオチドに変更されているヌクレオチド配列;(c) 配列番号2n−1(nは1〜12の整数である)からなる群から選択される配列を持つ核酸フラグメント;および(d) 配列番号2n−1(nは1〜12の整数である)からなる群から選択されるヌクレオチド配列中で一つまたはそれ以上のヌクレオチドが、選択された配列からなる群から選択されるものから、ヌクレオチドの15%以下が変更を受けるという条件で異なるヌクレオチドに変更されている核酸フラグメント、からなる群より選択したヌクレオチド配列を含む。
NOVX核酸およびポリペプチド
本発明の一つの態様は、NOVXポリペプチドまたはそれらの生物学的に活性な部分をコードする単離核酸分子に関する。また、本発明は、NOVXをコードする核酸(例えば、NOVXのmRNA)を同定するためのハイブリダーゼーションプローブとしての使用に十分な核酸フラグメント、およびNOVX核酸分子の増幅および/または変異用のPCRプライマーとしての使用のためのフラグメントを含む。本明細書において使用する用語「核酸分子」とは、DNA分子(例えば、cDNAまたはゲノムDNA)、RNA分子(例えば、mRNA)、ヌクレオチド類似体を用いて生成されたDNA類似体またはRNA類似体、およびそれらの誘導体、フラグメントおよび相同体を含むことを意図する。核酸分子は一本鎖でも二本鎖であり得るが、好ましくは二本鎖DNAである。
NOVX核酸は成熟NOVXポリペプチドをコードし得る。本明細書において使用するように、本発明に開示するポリペプチドまたはタンパク質の「成熟」型とは、天然に存在するポリペプチド、または前駆体、またはプロタンパク質の産物である。天然に存在するポリペプチド、前駆体またはプロタンパク質は、限定されない例として、対応する遺伝子によりコードされる全長遺伝子産物を含む。これに代えて、本明細書に説明するORFによりコードするポリペプチド、前駆体またはプロタンパク質として定義し得る。産物の「成熟」型は、限定されない例として、遺伝子産物を生じる細胞(例えば、宿主細胞)内で起こり得る一つまたはそれ以上の天然に存在するプロセシングステップの結果として生じる。ポリペプチドまたはタンパク質の「成熟」型を導くそのようなプロセシングステップの例として、ORFの開始コドンによりコードされるN末端メチオニン残基の切断、またはシグナルペプチドまたはリーダー配列のタンパク質分解的切断を挙げる。従って、残基1がN末端メチオニンである1〜Nの残基を有する前駆ポリペプチドまたはタンパク質から生じる成熟型は、N末端メチオニン除去後に残存する残基2〜Nを有する。これに代えて、残基1〜残基MからN末端シグナル配列を切断する、残基1〜Nを有する前駆ポリペプチドまたはタンパク質より生じる成熟型は、残存する残基M+1〜残基Nからの残基を有する。さらに本明細書において使用するように、ポリペプチドまたはタンパク質の「成熟」型はタンパク質分解による切断事象以外の翻訳後の工程により生じ得る。そのようなさらに別な方法は、限定されない例として、グリコシル化、ミリストイル化、またはリン酸化を含む。一般に、成熟ポリペプチドまたはタンパク質を、これらの方法のただ一つ、またはそれらのいずれかの組合せの操作によりもたらし得る。
本明細書において使用する用語「プローブ」は、好ましくは少なくとも約10ヌクレオチド(nt)から約100ntの間、または特定の使用によっては約、例えば6000ntもの長さである可変的長さの核酸配列を指す。プローブを、同一、類似、または相補的な核酸配列の検出に使用し得る。より長いプローブを天然または組換え供給源から一般的に得る。より長いプローブは、特異性が高くより短い長さのオリゴマーのプローブよりハイブリダイズするのが遅い。プローブは、一本鎖または二本鎖でもよく、そしてPCR、メンブレン−ベースのハイブリダイゼーション技術、またはELISA様技術において特異性を有するようにデザインされ得る。
本明細書において使用する用語「単離」核酸分子は、核酸の天然供給源に存在する他の核酸分子から分離された核酸である。好ましくは、「単離」核酸は、核酸が由来する生物のゲノムDNA中で核酸に天然に隣接する配列(即ち核酸の5'末端および3'末端に位置する配列)を有しない。例えば、種々の実施形態において、単離NOVX核酸分子は、核酸が由来する細胞/組織(例えば、脳、心臓、肝臓、脾臓等)のゲノムDNA中の核酸分子に天然に隣接する約5kb、4kb、3kb、2kb、1kb、0.5kb、0.1kb以下、またはそれ未満のヌクレオチド配列を含有し得る。さらに、cDNA分子のような「単離」核酸分子は、他の細胞性物質、培地、または化学的前駆物質または他の化学物質を実質的に含まなくてもよい。
本発明の核酸分子、例えば、配列番号2n−1(nは1〜12の整数である)のヌクレオチド配列を有する核酸分子、またはこのヌクレオチド配列の相補物を、標準的分子生物学の技術および本明細書に示す配列情報を用いて単離し得る。配列番号2n−1(nは1〜12の整数である)の核酸配列の全てまたは一部をハイブリダイゼーションプローブとして用いて、標準的ハイブリダイゼーション技術およびクローニング技術(例えば、Sambrook, et al., (eds.), MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL 2nd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1989; および Ausubel, et al., (eds.), CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY, John Wiley & Sons, New York, NY, 1993に記載されるように)を用いてNOVX分子を単離し得る。
本発明の核酸は、鋳型としてcDNA、mRNA、またはこれに代えてゲノムDNAを使用して標準的PCR増幅技術にしたがって適切なオリゴヌクレオチドプライマーで増幅し得る。そのように増幅した核酸を、適切なベクターにクローニングし、DNA配列分析により特徴づけ得る。さらに、NOVXヌクレオチド配列に対応するオリゴヌクレオチドを、標準合成技術、例えば自動DNA合成装置の使用、により調製し得る。
本明細書において使用する用語「オリゴヌクレオチド」は、一連の連結するヌクレオチド残基を指す。短いオリゴヌクレオチド配列は、ゲノム配列またはcDNA配列に基づき得るし、またはそれらからデザインし得る。そして短いオリゴヌクレオチド配列を使用して、特定の細胞または組織の同一、類似、または相補的DNAまたはRNAの存在を増幅し、確認し、または明らかにする。オリゴヌクレオチドは、長さ約10nt、50nt、または100nt、好ましくは長さ約15nt〜30ntの核酸配列を含む。本発明の一つの実施形態では、長さ100nt未満の核酸分子を含むオリゴヌクレオチドは、配列番号2n−1(nは1〜12の整数である)の少なくとも6個の連続したヌクレオチド、またはそれらの相補物をさらに含む。オリゴヌクレオチドを、化学的に合成し、プローブとして使用し得る。
もう一つの実施形態では、本発明の単離核酸分子は、配列番号2n−1(nは1〜12の整数である)に示すヌクレオチド配列、またはこのヌクレオチド配列の一部(例えば、NOVXポリペプチドの生物学的に活性な部分をコードするプローブ、プライマー、またはフラグメントとして使用し得るフラグメント)の相補物である核酸分子を含む。配列番号2n−1(nは1〜12の整数である)を示すヌクレオチド配列に相補的である核酸分子は、配列番号2n−1(nは1〜12の整数である)を示すヌクレオチド配列に十分に相補的であるものであり、配列番号2n−1(nは1〜12の整数である)を示すヌクレオチド配列と殆どミスマッチなしでまたは全くミスマッチ無しで水素結合し得る。そのため核酸分子は安定な二本鎖を形成する。
本明細書において使用する用語「相補的」は、核酸分子のヌクレオチド単位間のWatson-CrickまたはHoogsteen塩基対形成を指し、用語「結合」は、2個のポリペプチドまたは化合物、または関連するポリペプチドまたは化合物またはそれらの組合せ間の物理的相互作用または化学的相互作用を意味する。結合は、イオン、非イオン、ファン・デル・ワールス、疎水性相互作用等を含む。物理的相互作用は直接的または間接的であり得る。間接的相互作用は、他のポリペプチドまたは化合物の作用を介したまたはこれに因るものであり得る。直接的結合は、他のポリペプチドまたは化合物の作用を介したまたはこれに因り起こるのではなく、代わりに他の実質的な化学的仲介物無しで起こる相互作用を指す。
本明細書で提供する「フラグメント」は、核酸の場合特異的ハイブリダイゼーションを可能にするのに十分な長さ、アミノ酸の場合にはエピトープの特異的認識に十分な長さである、少なくとも6個の(連続した)核酸または少なくとも4個の(連続した)アミノ酸の配列として定義され、そして全長より短いほとんどの或る一部である。フラグメントは、選択した核酸またはアミノ酸配列の任意の連続した部分から由来するものであり得る。
全長NOVXのクローンを、ATG翻訳開始コドンおよびインフレームの停止コドンを含有するとして同定する。ATG開始コドンを欠く任意の開示するNOVXヌクレオチド配列は、それ故にれぞれのNOVXポリペプチドの切断(truncated)型C末端フラグメントをコードし、対応する全長cDNAが開示する配列の5'方向へ伸長することを要求する。インフレームの停止コドンを欠く任意の開示するNOVXヌクレオチド配列は、同様にそれぞれのNOVXポリペプチドの切断型N末端フラグメントをコードし、対応する全長cDNAが開示する配列の3'方向へ伸長することを要求する。
誘導体は、もとの化合物から直接、修飾によりまたは部分的置換によるいずれかで生成した核酸配列またはアミノ酸配列である。類似体は、もとの化合物に類似しているが同一ではない構造を有する核酸配列またはアミノ酸配列であり、例えば、それらは特定の成分または側鎖に関して天然化合物と異なっている。類似体は、合成であり得るし異なる進化起源を由来とし得るし、野生型と比較して類似または反対の代謝活性を有し得る。相同体は、異なる種を由来とする特定の遺伝子の核酸配列またはアミノ酸配列である。
誘導体および類似体は全長または全長以外であり得る。本発明の核酸またはタンパク質の誘導体または類似体は、同一サイズの核酸またはアミノ酸配列に亘って、または当該分野において公知のコンピューター相同性プログラムによりアラインメントしたアラインメント配列と比較した際、種々の実施形態において、少なくとも約70%、80%、または95%の同一性(好ましくは、80〜95%の同一性)で本発明の核酸またはタンパク質に実質的に相同である領域を含む分子、またはそれらのコードする核酸が本発明のタンパク質をコードする配列の相補物に厳密、中等度に厳密、または低い厳密度の条件下でハイブリダイズ可能である分子を含むが、これらに限定されない。例えば、Ausubel, et al., CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY, John Wiley & Sons, New York, NY, 1993および以下を参照されたい。
「相同な核酸配列」または「相同なアミノ酸配列」またはそれらの変異体は、上述のようにヌクレオチドレベルまたはアミノ酸レベルでの相同性を特徴とする配列を指す。相同なヌクレオチド配列は、NOVXポリペプチドのアイソフォームをコードするこれらの配列を含む。アイソフォームを、例えばRNAの選択的スプライシングの結果として同じ生物の異なる組織において発現し得る。これに代えて、アイソフォームを、異なる遺伝子によりコードし得る。本発明では、相同なヌクレオチド配列は、ヒト以外の種のNOVXポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含み、脊椎動物を含むが脊椎動物に限定されない。よって例えば、カエル、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、および他の生物を含む。相同なヌクレオチド配列はまた、本明細書に示すヌクレオチド配列の天然に存在する対立遺伝子変異体および突然変異体を含むが、これらに限定しない。しかしながら、相同なヌクレオチド配列は、ヒトNOVXタンパク質をコードする正確なヌクレオチド配列を含まない。相同な核酸配列は、配列番号2n−1(nは1〜12の整数である)の保存的アミノ酸置換(下記参照)をコードする核酸配列ならびにNOVXの生物活性を有するポリペプチドを含む。NOVXタンパク質の種々の生物学的活性を、以下に説明する。
NOVXポリペプチドは、NOVX核酸のオープンリーディングフレーム(「ORF」)によりコードされる。ORFは、ポリペプチドに潜在的に翻訳し得るヌクレオチドに対応する。ORFを含む一連の核酸を、停止コドンにより中断しない。全長タンパク質をコードする配列を表すORFは、ATG「開始」コドンで始まり、3種の「停止」コドン即ちTAA、TAGまたはTGAの一つで終わる。本発明の目的のため、ORFは、開始コドン、停止コドン、またはその両方があってもなくてもよい、コード化配列の任意の部分であり得る。ORFを真正の細胞性タンパク質をコードする良好な候補として考えるために、最小限の要件、例えば、50個のアミノ酸またはそれ以上をコードする一連のDNA、がしばしば定められる。
ヒトNOVX遺伝子のクローニングから決定するヌクレオチド配列は、他の細胞タイプ、例えば他の組織由来のNOVX相同体、ならびに他の脊椎動物由来のNOVX相同体を同定および/またはクローニングする際の使用のためにデザインするプローブおよびプライマーの作成を可能にする。プローブ/プライマーは、実質的に精製されたオリゴヌクレオチドを典型的に含む。オリゴヌクレオチドは、配列番号2n−1(nは1〜12の整数である)の少なくとも約12、25、50、100、150、200、250、300、350または400個の連続したセンス鎖のヌクレオチド配列;または配列番号2n−1(nは1〜12の整数である)のアンチセンス鎖ヌクレオチド配列;または配列番号2n−1(nは1〜12の整数である)の天然に存在する変異体に厳密な条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列の領域を典型的に含む。
ヒトNOVXヌクレオチド配列に基づくプローブを、同じタンパク質または相同タンパク質をコードする転写体またはゲノム配列を検出するのに使用し得る。種々の実施形態において、プローブは検出可能な標識がつけられており、例えば、標識は放射性同位元素、蛍光化合物、酵素、または酵素のコファクターであり得る。かかるプローブは、対象由来の細胞試料中のあるNOVXコード化核酸のレベルを測定することによるように、あるNOVXタンパク質を誤って発現している細胞または組織を同定するための診断試験キットの一部として使用し得る、例えば、NOVXのmRNAを検出するかまたはゲノムNOVX遺伝子が変異または欠失をしたか否かを測定する。
「NOVXポリペプチドの生物学的に活性な部分を有するポリペプチド」は、特定の生物学的分析において測定するような成熟型を含み、本発明のポリペプチドの活性に類似な、しかし必ずしも同一ではない活性を用量依存性の有無を問わず発揮するポリペプチドを指す。「NOVXの生物学的に活性な部分」をコードする核酸フラグメントを、あるNOVXの生物活性(NOVXタンパク質の生物活性を以下に説明する)を有するポリペプチドをコードする配列番号2n−1(nは1〜12の整数である)の一部を単離し、NOVXタンパク質のコードする部分を発現し(例えば、インビトロ組換え発現により)、NOVXのコードする部分の活性を評価するすることにより調製し得る。
NOVX核酸およびポリペプチド変異体
本発明はさらに、遺伝子コードの縮重により配列番号2n−1(nは1〜12の整数である)に示すヌクレオチド配列と異なっており、従って配列番号2n−1(nは1〜12の整数である)に示すヌクレオチド配列によりコードするのと同じNOVXタンパク質をコードする核酸分子を包含する。もう一つの実施形態では、本発明の単離核酸分子は、配列番号2n(nは1〜12の整数である)に示すアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするヌクレオチド配列を有する。
配列番号2n−1(nは1〜12の整数である)に示すヒトNOVXヌクレオチド配列に加えて、NOVXポリペプチドのアミノ酸配列に変化をもたらすDNA配列の多型が、集団(例えばヒトの集団)中に存在し得ることを当業者は理解する。NOVX遺伝子のかかる遺伝子多型は、天然の対立遺伝子変異に因り集団の中の個体間に存在し得る。本明細書において使用する用語「遺伝子」および「組換え遺伝子」は、NOVXタンパク質、好ましくは脊椎動物のNOVXタンパク質をコードするオープンリーディングフレーム(ORF)を含む核酸分子を指す。かかる天然の対立遺伝子変異は、NOVX遺伝子のヌクレオチド配列中に1〜5%の変異を典型的にもたらす。天然の対立遺伝子変異の結果でありNOVXポリペプチドの機能活性を変化しない任意のおよび全てのかかるヌクレオチド変異およびそこで得られるNOVXポリペプチド中のアミノ酸多型は、本発明の範囲内にあるものとする。
さらに、他の種由来のNOVXタンパク質をコードする核酸分子、および従ってヒト配列番号2n−1(nは1〜12の整数である)とは異なるヌクレオチド配列を有する核酸分子は、本発明の範囲内にあるものとする。本発明のNOVXcDNAの天然の対立遺伝子変異体および相同体に対応する核酸分子は、厳密なハイブリダイゼーション条件下で標準的なハイブリダイゼーション技術に従うハイブリダイゼーションプローブとしてヒトcDNAまたはその一部を用いて、本明細書に開示するヒトNOVX核酸との相同性に基づいて単離し得る。
従って、もう一つの実施形態では、本発明の単離核酸分子は少なくとも6ヌクレオチド長であり、配列番号2n−1(nは1〜12の整数である)のヌクレオチド配列を含む核酸分子に厳密な条件下でハイブリダイズする。もう一つの実施形態では、核酸は少なくとも10、25、50、100、250、500、750、1000、1500、2000またはそれ以上のヌクレオチド長である。なおもう一つの実施形態では、本発明の単離核酸分子はコード化領域にハイブリダイズする。本明細書において用いる用語「厳密な条件下でハイブリダイズする」は、お互いに少なくとも約65%相同なヌクレオチド配列がお互いに典型的にハイブリダイズしたままであるハイブリダイゼーション条件および洗滌条件を記載することを意図する。
相同体(即ち、ヒト以外の生物種由来のNOVXタンパク質をコードする核酸)または他の関連配列(例えばパラログ)を、核酸のハイブリダイゼーションおよびクローニングの当該分野において周知の方法を用いて特定のヒト配列の全部または一部をプローブとし、低度、中度、または高度に厳密なハイブリダイゼーションにより得られる。
本明細書において使用する用語「厳密なハイブリダイゼーション条件」は、プローブ、プライマーまたはオリゴヌクレオチドが標的配列にハイブリダイズするが他の配列にはハイブリダイズしない条件を指す。厳密な条件は配列依存性であり、異なる環境で差がある。より長い配列は、より短い配列よりもより高温で特異的にハイブリダイズする。一般的に、厳密な条件を、一定のイオン強度およびpHにおいて、特定の配列の融解温度(Tm)より約5℃低いように選択する。Tmは、標的配列と相補的なプローブの50%が平衡時に標的配列にハイブリダイズする温度(規定のイオン強度、pHおよび核酸濃度下で)である。標的配列はTmにおいて一般的に過剰に存在するので、プローブの50%を平衡時に占める。典型的に、厳密な条件はpH7.0〜8.3で塩濃度が約1.0Mナトリウムイオン未満、典型的には約0.01〜1.0Mナトリウムイオン(または他の塩)であり、温度は短いプローブ、プライマーまたはオリゴヌクレオチド(例えば、10nt〜50nt)に対して少なくとも約30℃であり、より長いプローブ、プライマーおよびオリゴヌクレオチドに対して少なくとも約60℃である。厳密な条件を、フォルムアミドのような不安定化剤の添加によっても達成し得る。
厳密な条件は当業者に公知であり、Ausubel, et al., (eds.), CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY, John Wiley & Sons, N.Y. (1989), 6.3.1-6.3.6.に見出すことができる。好ましくは、条件は、互いに少なくとも65%、70%、75%、85%、90%、95%、98%、または99%相同な配列が互いに典型的にハイブリダイズしたままであるようなものである。厳密なハイブリダイゼーションの限定されない例は、6×SSC、50mM Tris−HCl(pH7.5)、1mM EDTA、0.02%PVP、0.02%Ficoll、0.02%BSAおよび500mg/mlの変性サケ精子DNAを含む高塩緩衝液中65℃でハイブリダイゼーションを行い、引き次いで0.2×SSC、0.01%BSA中50℃で1回またはそれ以上洗滌する。配列番号2n−1(nは1〜12の整数である)の配列に厳密な条件下でハイブリダイズする本発明の単離核酸分子は、天然に存在する核酸分子に対応する。本明細書において使用する用語「天然に存在する」核酸分子は、天然に(例えば、天然のタンパク質をコードする)存在する核酸配列を有するRNA分子またはDNA分子を指す。
第2の実施形態では、配列番号2n−1(nは1〜12の整数である)のヌクレオチド配列を含む核酸分子、またはそれらのフラグメント、類似体または誘導体と中度に厳密な条件下でハイブリダイズする核酸配列を提供する。中度に厳密なハイブリダイゼーション条件の限定されない例は、6×SSC、5×Reinhardtの溶液、0.5%SDSおよび100mg/mlの変性サケ精子DNA中55℃でハイブリダイゼーションを行い、引き次いで1×SSC、0.1%SDS中37℃で1回またはそれ以上洗滌することである。使用され得る他の中度に厳密な条件は当該分野内で周知である。例えば、Ausubel, et al. (eds.), 1993, CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY, John Wiley & Sons, NY, および Krieger, 1990; GENE TRANSFER AND EXPRESSION, A LABORATORY MANUAL, Stockton Press, NY.を参照されたい。
第3の実施形態では、配列番号2n−1(nは1〜12の整数である)のヌクレオチド配列を含む核酸分子、またはそれらのフラグメント、類似体または誘導体と低度に厳密な条件下でハイブリダイズする核酸配列を提供する。低度に厳密なハイブリダイゼーション条件の限定されない例は、35%フォルムアミド、5×SSC、50mM Tris−HCl(pH7.5)、5mM EDTA、0.02%PVP、0.02%Ficoll、0.2%BSA、100mg/mlの変性サケ精子DNA、10%(wt/vol)硫酸デキストラン中40℃でハイブリダイゼーションを行い、引き次いで2×SSC、25mM Tris−HCl(pH7.4)、5mM EDTA、および0.1%SDS中50℃で1回またはそれ以上洗滌することである。使用し得る他の低度に厳密な条件(例えば種間ハイブリダイゼーションに使用する)は当該分野において周知である。例えば、Ausubel, et al. (eds.), 1993, CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY, John Wiley & Sons, NY, and Kriegler, 1990; GENE TRANSFER AND EXPRESSION, A LABORATORY MANUAL, Stockton Press, NY.;Shilo and Weinberg, 1981. Proc Natl Acad Sci USA 78: 6789-6792を参照されたい。
保存的変異
集団中に存在し得るNOVX配列の天然に存在する対立遺伝子変異に加えて、配列番号2n−1(nは1〜12の整数である)のヌクレオチド配列中に変異により変換を導入することができ、それによってNOVXタンパク質の機能活性を変えること無しに、コードするNOVXタンパク質のアミノ酸配列の変化を導くことができることを当業者はさらに理解する。例えば、「非必須」アミノ酸残基でアミノ酸置換に導くヌクレオチド置換を、配列番号2n−1(nは1〜12の整数である)の配列中で行い得る。「非必須」アミノ酸残基は、NOVXタンパク質の野生型の配列をそれらの生物活性を変化させることなく変えることのできる残基であるが、一方で「必須」アミノ酸残基をそのような生物活性に必要とする。例えば、本発明のNOVXタンパク質中で保存するアミノ酸残基を、特に変換に耐えられないと予想する。保存的置換が行われ得るアミノ酸は当該分野内で周知である。
本発明のもう一つの態様は、活性に必須でないアミノ酸残基中に変化を含有するNOVXタンパク質をコードする核酸分子に関する。かかるNOVXタンパク質は、配列番号2n−1(nは1〜12の整数である)とアミノ酸配列において異なっているが、生物活性を依然保持している。一つの実施形態では、単離核酸分子はタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含み、ここでタンパク質は、配列番号2n(nは1〜12の整数である)のアミノ酸配列と少なくとも約50%相同であるアミノ酸配列を含む。好ましくは、核酸分子によりコードするタンパク質は、配列番号2n(nは1〜12の整数である)に少なくとも約60%相同であり;より好ましくは、核酸分子によりコードするタンパク質は、配列番号2n(nは1〜12の整数である)に少なくとも約70%相同であり;さらに好ましくは、配列番号2n(nは1〜12の整数である)に少なくとも約80%相同であり;それよりさらにより好ましくは、配列番号2n(nは1〜12の整数である)に少なくとも約90%相同であり;最も好ましくは、配列番号2n(nは1〜12の整数である)に少なくとも約95%相同である。
配列番号2n(nは1〜12の整数である)のタンパク質に相同なあるNOVXタンパク質をコードする単離核酸分子を、1個またはそれ以上のアミノ酸の置換、付加または欠失をコードするタンパク質内に導入するように配列番号2n−1(nは1〜12の整数である)のヌクレオチド配列の中に1個またはそれ以上のヌクレオチドの置換、付加または欠失を導入することにより創成し得る。
突然変異を、配列番号2n−1(nは1〜12の整数である)の中に、部位特異的変異誘発およびPCR仲介性突然変異誘発のような、標準的技術により導入し得る。好ましくは、保存的アミノ酸置換を、予想する1個またはそれ以上の非必須アミノ酸残基において行う。「保存的アミノ酸置換」は、類似の側鎖を有するアミノ酸残基で置き換えるアミノ酸残基中の一つである。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは当該分野内で定義されている。これらのファミリーは、塩基性側鎖をもつアミノ酸(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖をもつアミノ酸(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、電荷のない側鎖をもつアミノ酸(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、無極性側鎖をもつアミノ酸(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、ベータ位側鎖をもつアミノ酸(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)、ならびに芳香族側鎖をもつアミノ酸(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を含む。従って、NOVXタンパク質中に予想する非必須アミノ酸残基を、同じ側鎖ファミリーの別のアミノ酸残基で置換する。これに代えて、もう一つの実施形態では、突然変異を、飽和突然変異誘発のように、あるNOVXコード化配列の全部または一部に沿って無作為に導入し得るし、得られた突然変異体をNOVXの生物学的活性についてスクリーニングして活性を保持する変異体を同定し得る。配列番号2n−1(nは1〜12の整数である)の突然変異誘発に引き続いて、コードされたタンパク質を当該分野において公知の任意の組換え技術で発現し、タンパク質の活性を測定し得る。
アミノ酸ファミリーの関連性を、側鎖の相互作用に基づいても決定し得る。置換したアミノ酸は、十分に保存された「強い」残基または十分に保存された「弱い」残基であり得る。保存したアミノ酸残基の「強い」群は、次の群のいずれか一つであり得る:STA、NEQK、NHQK、NDEQ、QHRK、MILV、MILF、HY、FYWであり、ここでアミノ酸の一文字表記は、互いに置換し得るアミノ酸でグル−プ分けする。同様に、保存した残基の「弱い」群は、次のいずれか一つであり得る:CSA、ATV、SAG、STNK、STPA、SGND、SNDEQK、NDEQHK、NEQHRK、HFYであり、ここでそれぞれの群の文字はアミノ酸の一文字表記を表す。
一つの実施形態では、変異NOVXタンパク質を、(i)他のNOVXタンパク質、他の細胞表面タンパク質またはそれらの生物学的活性部位と相互作用するタンパク質:タンパク質を形成する活性、(ii)変異NOVXタンパク質とあるNOVXリガンド間の複合体形成、または(iii)細胞内標的タンパク質またはそれらの生物学的活性部位に結合する変異NOVXタンパク質の活性についてアッセイし得る;(例えば、アビジンタンパク質)。
なおもう一つの実施形態では、変異NOVXタンパク質を、特定の生物学的機能を調節する活性(例えば、インスリン分泌の調節)についてアッセイし得る。
妨害性RNA
本発明の1の態様において、NOVX遺伝子発現をRNA妨害により弱めることができる。当該分野においてよく知られた1のアプローチは、短い妨害性RNA(siRNA)により媒介される遺伝子サイレント化であり、該アプローチにおいて、NOVX遺伝子転写物の少なくとも19ないし25ヌクレオチドの長さのセグメントに対して相補的であり、5’非翻訳(UT)領域、ORF、または3’UT領域を含む、特異的な2本鎖NOVX由来のsiRNAヌクレオチド配列により、NOVX遺伝子発現産物が標的とされる。例えば、PCT出願WO00/44895、WO99/32619、WO01/75164、WO01/92513、WO01/29058、WO01/89304、WO02/16620、およびWO02/29858参照(それぞれを参照により本明細書に一体化させる)。標的化される遺伝子はNOVX遺伝子であってもよく、あるいはNOVX遺伝子の上流または下流モジュレーターであってもよい。NOVX遺伝子の上流または下流モジュレーターの非限定的な例は、例えば、NOVX遺伝子プロモーターに結合する転写因子NOVXポリペプチドと相互作用するキナーゼまたはホスファターゼ、ならびにNOVX調節経路に含まれるポリペプチドである。
本発明の方法によれば、妨害性RNAを用いてNOVX遺伝子発現がサイレント化される。本発明のNOVXポリヌクレオチドはsiRNAポリヌクレオチドを包含する。NOVXポリヌクレオチド配列を用いて、例えば、ショウジョウバエ抽出物(これに限らない)のごとき無細胞系でNOVXポリヌクレオチド配列をプロセッシングすることにより、あるいは組み換え型2本鎖NOVX RNAの転写により、あるいはNOVA配列に相同的なヌクレオチド配列を合成することにより、かかるNOVX siRNAを得ることができる。例えば、Tuschul, Zamire, Lehmann, Bartel and Sharp (1999), Genes & Dev. 13: 3191-3197参照(参照により本発明系に一体化させる)。合成する場合、典型的な0.2マイクロモラースケールのRNA合成により約1ミリグラムのsiRNAが得られ、それは12ウェルの組織培養プレートフォーマットを用いる1000回のトランスフェクション実験に十分なものである。
最も効率的なサイレント化は、一般的には、2ヌクレオチドの3’オーバーハングを有するように対合された21ヌクレオチドのセンス鎖および21ヌクレオチドのアンチセンス鎖を含むsiRNA2本鎖を用いて観察される。2ヌクレオチドの3’オーバーハングの配列は、siRNAの標的認識の特異性にさらなる小さな貢献をする。特異性に対する貢献は最初に対合した塩基に隣接した未対合ヌクレオチドに局在化される。1の実施形態において、3’オーバーハング中のヌクレオチドはリブヌクレオチドである。別の実施形態において、3’オーバーハング中のヌクレオチドはデオキシリボヌクレオチドである。3’オーバーハング中の2’−デオキシリボヌクレオチドを用いることはリボヌクレオチドの使用として有効であるが、デオキシリボヌクレオチドはしばしば合成費用が安く、よりヌクレアーゼ耐性である可能性が最も高い。
本発明の企図される組み換え型発現ベクターは、両方の鎖の発現(DNA分子の転写による)を可能にするような様式でNOVX配列に作動可能に連結された近接調節配列を含む発現ベクター中に組み込まれたNOVX DNA分子を含む。NOVX mRNAに対してアンチセンスであるRNA分子は第1のプロモーター(例えば、クローン化DNAの3’プロモーター配列)により転写され、NOVX mRNAに対してセンス鎖であるRNA分子が第2のプロモーター(クローン化DNAの5’プロモーター配列)により転写される。センスおよびアンチセンス鎖はインビボでハイブリダイゼーションして、NOVX遺伝子のサイレント化のためのsiRNA構築物を生じる。別法として、2つの構築物を用いて、siRNA構築物のセンスおよびアンチセンス鎖を作成することもできる。結局、クローン化DNAは第2の構造を有する構築物をコードするものであり得、単一の転写物は、標的遺伝子(複数も可)由来のセンスおよび相補的アンチセンス配列を有するものである。この実施形態の一例において、ヘアピンRNAi産物は標的遺伝子のすべてまたは一部に対して相同的である。もう1つの例において、ヘアピンRNAi産物はsiRNAである。NOVX配列に近接した調節配列は、それらの発現が独立してモジュレーションされ、あるいは時間的または位置的にモジュレーションされうるならば、同一であってもよく、異なっていてもよい。
特別な実施形態において、例えば、より小型の核RNA(snRNA)U6またはヒトRNase P RNA H1に由来するRNApol III転写ユニットを含むベクター中にNOVX遺伝子鋳型を組み込むことにより、siRNAは細胞内で転写される。ベクター系の1例はGeneSuppressor(商標)RNA Interference kit (Imgenexから市販されている)である。U6およびH1プロモーターはpol IIIプロモーターのタイプIIIクラスのメンバーである。U6様プロモーターの+1ヌクレオチドは常にグアノシンであるが、H1プロモーターの+1はアデノシンである。これらのプロモーターのターミネーションシグナルは5個の連続したチミジンにより定義される。典型的には、転写物を2つ目のウリジンの後ろで開裂させる。この位置での開裂は、発現されたsiRNA中に3’UUオーバーハングを生じさせ、それは合成siRNAの3’オーバーハングと類似である。長さ400ヌクレオチド未満の配列をこれらのプロモーターにより転写させることができ、それゆえ、それらは約21ヌクレオチドのsiRNAを例えば約50ヌクレオチドのRNAステムループ転写物中に発現させることに理想的に適したものである。
長時間の発現ノックダウンが必要な場合に、siRNAベクターは合成siRNAよりも有利であると考えられる。siRNA発現ベクターでトランスフェクションされた細胞は安定で、長時間のmRNA阻害をこうむるであろう。対照的に、外来性合成siRNAでトランスフェクションされた細胞は、典型的には7日以内あるいは10ラウンドの細胞分裂の間にmRNAサプレッションから回復する。siRNA発現ベクターの長時間の遺伝子サイレント化能は遺伝子治療への適用を可能にしうる。
一般的には、siRNAは、DICERと呼ばれるATP依存性リボヌクレアーゼにより、より長いdsRNAから切断される。DICERは2本鎖RNA特異的エンドヌクレアーゼのRNaseIIIファミリーのメンバーである。siRNAは細胞蛋白とともに集合してエンドヌクレアーゼ複合体となる。ショウジョウバエにおけるインビトロでの研究は、siRNA/蛋白複合体(siRNP)がその後DIECRとは異なるエンドリボヌクレアーゼを含むRNA誘導サイレンス化複合体(RISC)と呼ばれる第2の酵素複合体に転移されることを示唆している。RISCはsiRNA鎖によりコードされる配列を用いて相補的配列のmRNAを見つけて破壊する。かくしてsiRNAはガイドとして作用し、2本のsiRNA鎖の一方に相補的なmRNAのみを開裂するようにリボヌクレアーゼを制限する。
siRNAにより標的化されるべきNOVX mRNA領域は、一般的には、スタートコドンの50ないし100ヌクレオチド下流から開始する所望NOVX配列から選択される。別法として、5’または3’UTRおよびスタートコドン付近の領域を用いることができるが、一般的には避けられる。なぜならこれらは調節蛋白結合部位において豊富だからである。UTR結合蛋白および/または翻訳開始複合体はsiRNPまたはRISCエンドヌクレアーゼ複合体の結合を妨害しうる。選択されたsiRNA配列に関する最初のBLAST相同性サーチを利用可能なヌクレオチド配列ライブラリーに対して行って、ただ1つの遺伝子が標的化されることを確実にする。siRNA2本鎖による標的認識特異性は、siRNAの対合領域に存在する単一の点突然変異が標的mRNAの分解を妨げるに十分であることを示す。Elbashir et al. 2001 EMBO J. 20(23):6877-88参照。それゆえ、所望遺伝子を標的化する場合、SNP、多型、対立遺伝子変種または種特異的変化をうまく考慮すべきである。
1の実施形態において、完全なNOVX siRNA実験は正しい負の対照を用いるものである。一般的には、負の対照siRNAはNOVX siRNAと同じヌクレオチド組成を有するが、ゲノムに対して有意な配列相同性を欠いている。典型的には、NOVX siRNAのヌクレオチド配列をスクランブルし、相同性検索を行って、それが他のいすれの遺伝子とも相同性を欠いていることを確認する。
2つの独立したNOVX siRNA2本鎖を用いて標的NOVX遺伝子をノックダウンすることができる。このことはサイレント化効果の特異性を制御することを助ける。さらに、等しい濃度の異なるNOVX siRNA2本鎖、例えば、NOVX遺伝子またはポリペプチドのレギュレーターに関するNOVX siRNAおよびsiRNAを用いることにより、2つの独立した遺伝子の発現を同時にノックダウンすることができる。siRNA結合蛋白の利用可能性は標的mRNAアクセス可能性よりも限定的であると考えられる。
典型的には、標的化されたNOVX領域は、19個(N19)の残基のスペーサー領域により分けられた2個のアデニン(AA)および2個のチミジン(TT)である(例えば、AA(N19)TT)。望ましいスペーサー領域は約30〜70%、より好ましくは約50%のG/C−含量を有する。配列AA(N19)TTが標的配列中に存在しない場合、別の標的領域はAA(N21)であろう。NOVXセンスsiRNAの配列は(N19)TTまたはN21にそれぞれ対応する。後者の場合、かかる配列が本質的にNOVXポリヌクレオチド中に存在しないならば、センスsiRNAの3’末端のTTへの変換を行うことができる。この配列変換の論理的解釈は、センスおよびアンチセンス3’オーバーハングの配列組成に関して対称な2本鎖を生じさせることである。対称な3’オーバーハングは、センスおよびアンチセンス標的RNA−開裂siRNPの適切な等しい割合でsiRNPが形成されることを確実ならしめることを助けることができる。例えば、Elbashir, Lendeckel and Tuschl (2001). Genes & Dev. 15: 188-200参照(参照により本明細書に一体化させる)。siRNA2本鎖のセンス配列のオーバーハングの修飾が標的化されたmRNAの認識に影響するとは考えられない。なぜならアンチセンスsiRNA鎖は標的認識をガイドするからである。
別法として、NOVX標的mRNAが適当なAA(N21)配列を含まない場合、配列NA(N21)をサーチしてもよい。さらに、センス鎖およびアンチセンス鎖の配列を5’(N19)TTとして合成してもよい。なぜならアンチセンスsiRNAの3’側の大部分のヌクレオチドの配列は特異性に貢献しないからである。アンチセンスまたはリボザイム法とは違って、標的mRNAの2次構造はサイレンス化に強く影響するとは考えられない。Harborth, et al. (2001) J. Cell Science 114: 4557-4565参照(参照により本明細書に一体化させる)。
標準的な核酸トランスフェクション法、例えば、OLIGOFECTAMINE Reagent(Invitrogenから市販されている)を用いてNOVX siRNA2本鎖のトランスフェクションを行うことができる。一般的には、NOVX遺伝子サイレンシングに関するアッセイをトランスフェクションから約2日後に行う。トランスフェクション試薬の不存在下において、NOVX遺伝子サイレント化は観察されず、野生型およびサイレント化NOVX表現型の比較分析が可能であった。特別な実施形態において、24ウェルプレートの1つのウェルには通常約0.84μgのsiRNA2本鎖で十分である。典型的には、細胞を前日に撒き、約50%集密になったところでトランスフェクションする。細胞培地および培養条件の選択は等業者が通常行うことであり、細胞タイプの選択により変更されるであろう。トランスフェクションの効率は細胞タイプのみならず細胞の継代数および集密度に依存する。siRNA−リポソーム複合体の形成時間および方法(例えば、倒置かボルテックスか)も重要である。低いトランスフェクション効率はNOVXサイレント化の不成功の最大の原因である。使用する新たな細胞系に関してトランスフェクション効率を注意深く調べることが必要である。好ましい細胞は哺乳動物由来であり、より好ましくはラットまたはマウスのごときげっ歯類由来であり、最も好ましくはヒト由来である。治療的処置に使用する場合、好ましくは細胞は自己由来のものであるが、非−自己由来の細胞ソースも本発明の範囲内とされる。
対照実験に関し、0.84μgの1本鎖センスNOVX siRNAのトランスフェクションはNOVXサイレント化に影響せず、0.84μgのアンチセンス siRNAは、0.84μgの2本鎖siRNAと比較すると弱いサイレント化効果を有する。対照実験はさらに野生型およびサイレント化NOVX表現型の比較分析を可能にする。トランスフェクション効率を制御するために、典型的には通常蛋白の標的化を行う。例えば、ラミンA/Cの標的化あるいはCMVにより駆動されるEGFP発現プラスミド(例えば、Clontechから市販されている)のトランスフェクションを行う。上例において、イムノフルオレッセンス、ウェスタンブロット、ノーザンブロットあるいは蛋白発現または遺伝子発現に関する他の類似のアッセイのごとき方法により、細胞中のラミンA/Cノックダウンのフラグメントを翌日に行う。ラミンA/Cモノクローナル抗体をSanta Cruz Biotechnologyから得た。
細胞中の標的化NOVXポリヌクレオチドの豊富さおよび半減期(またはターンオーバー)にもよるが、1〜3日後あるいはその後にノックダウン表現型が明らかにされうる。NOVXノックダウン表現型が観察されない場合には、トランスフェクションされたsiRNA2本鎖により標的mRNA(NOVXまたはNOVX上流または下流遺伝子)が効果的に破壊されたかどうかを分析することが望ましいかもしれない。トランスフェクションから2日後、全RNAを調製し、標的特異的プライマーを用いて逆転写し、少なくとも1つのエキソン−エキソンジャンクションを変換するプライマーペアーを用いてPCR増幅を行ってプレ−mRNAの増幅を制御する。非標的化mRNAのRT/PCRも対照として必要である。mRNAの効果的な枯渇であるが検出できない標的蛋白の減少は、安定なNOVX蛋白の大きなリザーバーが細胞中に存在することを示しうる。標的蛋白が最終的に枯渇して表現型が明らかにされうるに至るには、十分に長いインターバルでの複数回のトランスフェクションが必要であるかもしれない。複数回のトランスフェクション工程が必要な場合、トランスフェクションから2〜3日後に細胞を分ける。分けた直後に細胞をトランスフェクションしてもよい。
本発明の治療方法は、増加あるいは逸脱したNOVX発現または活性を補正するための治療としてNOVX siRNA構築物を投与することを企図する。上記のごとく、NOVXリボポリヌクレオチドを得て、siRNAフラグメントにプロセッシングするか、あるいはNIVX siRNAを合成する。上記のごとく、既知の核酸トランスフェクション法を用いてNOVX siRNAを細胞または組織に投与する。NOVX遺伝子に特異的なNOVX siRNAはNOVX転写産物を減少またはノックダウンし、そのことはNOVXポリペプチド生成を減少させ、細胞または組織中のNOVXポリペプチド活性を低下させる。
また本発明は、個体におけるNOVX蛋白の存在に関連する疾病または症状の治療方法を包含し、該方法は、分解されるべき蛋白のmRNA(該蛋白をコードするmRNA)を標的化するRNAi構築物を個体に投与することを特徴とする。特別なRNAi構築物はsiRNAまたはsiRNAにプロセッシングされる2本鎖遺伝子転写物を含む。治療により、標的蛋白が産生されなくなるか、あるいは治療を行わない場合よりも産生の程度が低下する。
NOVX遺伝子機能が既知表現型と相関関係を有しない場合、健康個体由来の細胞または組織の対照試料により、NOVX発現レベルを決定するためのリファレンス標準が提供される。説明したアッセイ、例えば、RT−PCR、ノーザンブロッティング、ELISA等を用いて発現レベルを検出する。疾病状態にある哺乳動物、好ましくはヒト対象から細胞または組織の試料を採取する。細胞または組織中への核酸のトランスフェクションに関して説明した方法によりNOVX siRNAを細胞または組織に投与することによってこれらの細胞または組織を処理し、説明したアッセイを用いて対象試料中のNOVXポリペプチドまたはポリヌクレオチド発現の変化を観察し、対照試料のものと比較する。このNOVX遺伝子ノックダウン法は、治療対象試料中のNOVXマイナス(NOVX)表現型を決定するための迅速法を提供する。かくして、治療対象試料中において観察されたNOVX表現型は、治療中の疾病状態の経過観察のためのマーカーとして役立つ。
特別な実施形態において、NOVX siRNAを治療に用いる。NOVX siRNAの生成および使用方法は等業者に知られている。方法の例を以下に示す。
RNAの生成
RNA発現ベクターにおける転写のごとき既知方法を用いてNOVXのセンスRNA(ssRNA)およびアンチセンス(asRNA)を得る。最初の実験において、センスおよびアンチセンスRNAはそれぞれ約500塩基の長さである。得られたssRNAおよびasRNA(0.5μM)を20mMのNaClを含有する10mM Tris−HCl(pH7.5)中で95℃にて1分間加熱し、次いで、冷却し、室温で12ないし16時間アニーリングさせる。RNAを沈殿させ、溶解バッファー(下記)中に再懸濁させる。アニーリングをモニターするために、TBEバッファー中の2%アガロースゲル中でRNAを電気泳動させ、臭化エチジウムで染色する。例えば、Sambrook et al., Molecular Cloning. Cold Spring Harbor Laboratory Press, Plainview, N.Y.(1989)参照。
溶解物の調製
製造者(Ambion)の指示に従って未処理ウサギ網状赤血球溶解物を集める。dsRNAを溶解物中30℃で10分間インキュベーションし、次いで、mRNAを添加する。その後、NOVX mRNAを添加し、さらに60分インキュベーションを続ける。2本鎖RNAとmRNAとのモル比は約200:1である。NOVX mRNAを放射性標識し(既知方法を用いて)、その安定性をゲル電気泳動によりモニターする。
同じ条件で平行して行う実験において、32P−ATPを用いて2本鎖RNAを内部で放射性標識する。2XプロテイナーゼKバッファーにより反応を停止させ、すでに記載されているようにして(Tuschl et al., Genes Dev., 13: 3191-3197)脱蛋白する。適当なRNA標準を用いて15%または18%ポリアクリルアミド配列決定用ゲル中での電気泳動により生成物を分析する。ゲルを放射活性についてモニターすることにより、2本鎖RNAからの10ないし25ヌクレオチドのRNAの自然な生成を調べることができる。
約21〜23bpの2本鎖RNAのバンドを溶出する。これらの21〜23量体NOVX転写抑制の有効性を、各アッセイにつき50ナノモラーの2本鎖21〜23量体を用いて上記と同じウサギ網状赤血球を用いてインビトロにてアッセイする。次いで、これらの21〜23量体の配列を標準的な核酸配列決定法を用いて決定する。
RNAの調製
上で決定された配列に基づいて、Expedite RNA phosphoramidites and thymidine phosphoramidite(Proligo, Germany)21を用いてヌクレオチドのRNAを化学合成する。合成オリゴヌクレオチドを脱保護し、ゲル精製(Elbashir, Lendeckel, & Tuschl, Genes & Dev. 15, 188-200 (2001))し、次いで、Sep-Pak C18 cartridge(Waters, Milford, Mass., USA)で精製(Tuschl, et al., Biochemistry, 32:11658-11668 (1993))する。
これらのRNA(20μM)1本鎖をアニーリングバッファー中、90℃で1分間インキュベーションし、次いで、37℃で1時間インキュベーションする。
細胞培養
NOVXを規則的に発現させるための当該分野において知られた細胞培養を、標準的条件を用いて行う。トランスフェクションの24時間前に、約80%集密において、細胞をトリプシン処理し、抗生物質不含の新鮮培地で1:5に希釈(1〜3x10個/ml)し、24ウェルプレートに移す(500ml/ウェル)。市販リポフェクションキットを用いてトランスフェクションを行い、陽性および陰性対照を付して標準的方法を用いてNOVX発現をモニターする。陽性対照は本来的にNOVXを発現する細胞であり、陰性対照はNOVXを発現しない細胞である。オーバーハング3’を有する塩基対合した21および22ヌクレオチドのsiRNAは、溶解物および細胞培養において、効果的な配列特異的mRNA分解を媒介する。異なる濃度のsiRNAを用いる。哺乳動物細胞培養の場合のインビトロでのサプレッションに効果的な濃度は25nMないし100nMの最終濃度である。このことは、慣用的なアンチセンスまたはリボザイム遺伝子標的化実験に用いる濃度よりも数オーダー低い濃度のsiRNAが有効であることを示す。
上記方法は、NOVX siRNA配列の推論およびかかるsiRNAのイオンビトロサプレッションへの使用の両方のための方法を提供する。よく知られたインビボトランスフェクションまたは遺伝子治療トランスフェクション法を用い、同じsiRNAを用いてインビボサプレッションを行ってもよい。
アンチセンス核酸
本発明のもう一つの態様は、配列番号2n−1(nは1〜12の整数である)のヌクレオチド配列を含む核酸分子、またはそれらのフラグメント、相同体または誘導体、とハイブリダイズ可能なまたは相補的な単離アンチセンス核酸分子に関する。「アンチセンス」核酸は、タンパク質をコードする「センス」核酸に相補的な(例えば、二本鎖cDNA分子のコード化鎖に相補的な、またはmRNA配列に相補的な)ヌクレオチド配列を含む。特別な態様では、少なくとも約10、25、50、100、250、または500のヌクレオチドまたは全NOVXコード化鎖に相補的な配列、またはそれらの一部のみにを含むアンチセンス核酸分子を提供する。配列番号2n(nは1〜12の整数である)のあるNOVXタンパク質のフラグメント、相同体、誘導体および類似体をコードする核酸分子、または配列番号2n−1(nは1〜12の整数である)のあるNOVX核酸配列に相補的なアンチセンス核酸を加えて提供する。
一つの実施形態では、アンチセンス核酸分子は、あるNOVXタンパク質をコードするヌクレオチド配列のコード化鎖の「コード化領域」に対するアンチセンスである。用語「コード化領域」は、アミノ酸残基に翻訳するコドンを含むヌクレオチド配列の領域を指す。もう一つの実施形態では、アンチセンス核酸分子は、NOVXタンパク質をコードするヌクレオチド配列のコード化鎖の「非コード化領域」に対するアンチセンスである。用語「非コード化領域」は、アミノ酸に翻訳しないコード化領域に隣接する5'配列および3'配列を指す(即ち、5'非翻訳領域および3'非翻訳領域とも呼ぶ)。
本明細書に開示するNOVXタンパク質をコードするコード化鎖の配列を与えると、本発明のアンチセンス核酸をWatsonとCrickまたはHoogsteenの塩基対の規則にしたがってデザインし得る。アンチセンス核酸分子は、NOVXのmRNAの全コード化領域と相補的であり得るが、さらに好ましくは、NOVXのmRNAのコード化または非コード化領域の一部のみに対するアンチセンスであるオリゴヌクレオチドである。例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、NOVXのmRNAの翻訳開始部位を囲む領域に相補的であり得る。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えば、長さ約5、10、15、20、25、30、35、40、45または50ヌクレオチドであり得る。本発明のアンチセンス核酸を、当該分野において公知の手順を用いる化学合成または酵素ライゲーション反応を用いて構築し得る。例えば、アンチセンス核酸(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド)は、天然に存在するヌクレオチドまたは分子の生物学的安定性を増加またはアンチセンス核酸とセンス核酸の間で形成する二本鎖の物理的安定性を増加するようデザインした様々に修飾したヌクレオチドを用いて、化学合成し得る(例えば、ホスホロチオエート誘導体およびアクリジンで置換したヌクレオチドを使用しうる)。
アンチセンス核酸を作成に使用し得る修飾ヌクレオチドの例として以下のものを挙げる:5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−クロロウラシル、5−ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4−アセチルシトシン、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウリジン、5−(カルボキシヒドロキシメチル)ウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、ベータ−D−ガラクトシルクエノシン、イノシン、N6−イソペンテニルアデニン、1−メチルグアニン、1−メチルイノシン、2,2−ジメチルグアニン、2−メチルアデニン、2−メチルグアニン、5−メトキシウラシル、3−メチルシトシン、5−メチルシトシン、N6−アデニン、7−メチルグアニン、5−メチルアミノメチルウラシル、5−メトキシアミノメチル−2−チオウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、ベータ−D−マンノシルクエオシン、5’−メトキシカルボキシメチルウラシル、2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデニン、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、ワイブトキソシン、プソイドウラシル、クエオシン、2−チオシトシン、5−メチル−2−チオウラシル、5−メチルウラシル、ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル−5−オキシ酢酸、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、5−メチル−2−チオウラシル、3−(3−アミノ−3−N−2−カルボキシプロピル)ウラシル、(acp3)w、および2、6−ジアミノプリン。これに代えて、アンチセンス核酸を、核酸がアンチセンスの配向(即ち、挿入した核酸から転写したRNAが、興味ある標的核酸に対するアンチセンスの配向であり、以下の小節でさらに説明する)においてサブクローニングする発現ベクターを使用して生物学的に生産し得る。
本発明のアンチセンス核酸分子を、それらがあるNOVXタンパク質をコードする細胞性mRNAおよび/またはゲノムDNAとハイブリダイズまたは結合し、それにより(例えば、転写および/または翻訳を阻害することにより)タンパク質発現を阻害するように典型的に対象に投与するか、または組織で作成する。ハイブリダイゼーションは、安定な二本鎖を形成する従来のヌクレオチドの相補性によるものでもあり得る。または、例えば、DNA二本鎖に結合するアンチセンス核酸の場合には、二本鎖の大溝での特異的相互作用を介するものであり得る。本発明のアンチセンス核酸分子の投与経路の例として、組織部位への直接の注射を挙げる。これに代えて、アンチセンス核酸分子を、選択した細胞標的へ修飾しそこで全身性に投与し得る。例えば、全身性投与のために、アンチセンス分子を、選択した細胞表面上に発現する受容体または抗原に特異的に結合するように(例えば、ペプチドにアンチセンス核酸分子を連結させることまたは細胞表面受容体または抗原に結合する抗体により)修飾し得る。アンチセンス核酸分子をまた、本明細書に説明するベクターを用いて細胞に送達し得る。十分な核酸分子を送達するために、アンチセンス核酸分子を強力なpolIIプロモーターまたはpolIIIプロモーターの調節下に置くベクター構造が好ましい。
なおもう一つの実施形態では、本発明のアンチセンス核酸分子は、α−アノマー核酸分子である。α−アノマー核酸分子は、相補的RNAと特異的二本鎖ハイブリッドを形成し、これは通常のβユニットとは反対で鎖が互いに並行に走行する。例えば、Gaultier, et al., 1987. Nucl. Acids Res. 15: 6625-6641を参照されたい。アンチセンス核酸分子はまた、2'−o−メチルリボヌクレオチド(例えば、Inoue, et al. 1987. Nucl. Acids Res. 15: 6131-6148を参照)またはキメラRNA−DNA類似体(例えば、Inoue, et al., 1987. FEBS Lett. 215: 327-330を参照)を含み得る。
リボザイムおよびPNA部分
核酸の修飾は、非限定的な例として、修飾した塩基、および糖リン酸主鎖を修飾または誘導した核酸を挙げる。これらの修飾を少なくとも部分的に行い、例えば対象への治療応用において核酸へ結合するアンチセンスとして使用し得るように修飾した核酸の化学的安定性を増強する。
1の実施形態では、本発明のアンチセンス核酸はリボザイムである。リボザイムは、それらが相補的領域を有するmRNAのような一本鎖核酸を切断する能力のあるリボヌクレアーゼ活性を有する触媒活性RNA分子である。従って、リボザイム(例えば、Haselhoff and Gerlach 1988. Nature 334: 585-591に記載されているようなハンマーヘッドリボザイム)を使用して、NOVXのmRNA転写物を触媒的に切断し、それによりNOVXのmRNAの翻訳を阻害し得る。NOVXをコードする核酸に対する特異性を有するリボゾームは、本明細書に開示するあるNOVXcDNAのヌクレオチド配列(即ち、配列番号2n−1(nは1〜12の整数である))に基づいてデザインし得る。例えば、その中で活性部位のヌクレオチド配列がNOVXをコードするmRNA中で切断し得るヌクレオチド配列に相補的であるTetrahymenaL−19IVS RNAの誘導体を構築し得る。例えば、Cech, et al.の米国特許第4,987,071号およびCech, et al.の米国特許第5,116,742号を参照されたい。NOVX mRNAをまた、RNA分子のプールから特異的リボヌクレアーゼ活性を有する触媒RNAを選択するのに使用し得る。例えば、Bartel et al., (1993) Science 261:1411-1418を参照されたい。
一方、NOVX遺伝子発現は、NOVX核酸の調節領域(例えば、NOVXプロモーターおよび/またはエンハンサー)に相補的なヌクレオチド配列を標的とすることで阻害し、標的細胞中のNOVX遺伝子の転写を阻止するトリプルヘリカル構造を形成し得る。例えば、Helene, 1991. Anticancer Drug Des. 6: 569-84; Helene, et al. 1992. Ann. N.Y. Acad. Sci. 660: 27-36; Maher, 1992. Bioassays 14: 807-15を参照されたい。
種々の実施形態において、NOVX核酸を塩基部分、糖部分、またはリン酸骨格部分において修飾し、例えば、分子の安定性、ハイブリダイゼーションまたは溶解度を改善し得る。例えば、核酸のデオキシリボースリン酸骨格を修飾して、ペプチド核酸を生成し得る。例えば、Hyrup, et al., 1996. Bioorg Med Chem 4: 5-23を参照されたい。本明細書において使用する用語「ペプチド核酸」または「PNA」は、デオキシリボースリン酸骨格を擬似ペプチド骨格で置換し、4個の核酸塩基のみを保持する核酸模倣体(例えばDNA模倣体)を指す。PNAの中性骨格は、低イオン強度の条件下でDNAおよびRNAへの特異的ハイブリダイゼーションを可能にすることを示す。PNAオリゴマーの合成を、Hyrup, et al., 1996. supra; Perry-O'Keefe, et al., 1996. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93: 14670-14675に記載されているように、標準固相ペプチド合成プロトコールを用いて実施し得る。
NOVXのPNAを治療的応用および診断的応用に使用し得る。例えば、PNAを、例えば転写または翻訳停止を誘導することまたは複製を阻害することにより、遺伝子発現の配列特異的調整のためのアンチセンスまたは抗原薬剤として使用し得る。NOVXのPNAはまた、例えば、遺伝子中の単塩基対変異の分析(例えば、PCR固定を指示するPNA;他の酵素、例えば、Sヌクレアーゼ、との組合せで使用し得る人工的制限酵素として(Hyrup, et al., 1996.supraを参照);またはDNA配列およびハイブリダイゼーションのプローブまたはプライマーとして(Hyrup, et al., 1996, supra; Perry-O'Keefe, et al., 1996. supraを参照))にも使用し得る。
もう一つの実施形態では、NOVXのPNAを修飾して、例えば、PNAに親油性なまたは他の補助的な基をPNAに結合することにより、PNA−DNAキメラの生成により、またはリポソームまたは当該分野において公知の他の薬剤送達技術の使用によりそれらの安定性または細胞への取り込みを増強し得る。例えば、PNAとDNAの有益な性質を結合し得るNOVXのPNA−DNAキメラを生成し得る。かかるキメラは、DNA認識酵素(例えば、RNase HおよびDNAポリメラーゼ)がDNA部分と相互作用し、一方でPNA部分が結合高親和性および結合高特異性を提供することを可能にする。PNA−DNAキメラは、塩基結合、ヌクレオチド塩基間の結合数および配向について選択した適当な長さのリンカーを使用して結合し得る(Hyrup, et al., 1996. supraを参照)。PNA−DNAキメラの合成を、Hyrup, et al., 1996. supra および Finn, et al., 1996. Nucl Acids Res 24: 3357-3363に記載のように実施し得る。例えば、DNA鎖を、標準ホスホラミダイトカップリング化学反応を使用して固相支持体上で合成し得る。そして修飾したヌクレオシド類似体、例えば、5'-(4-メトキシトリチル)アミノ-5'-デオキシチミジンホスホラミダイトをPNAとDNAの5'末端間で使用し得る。例えば、Mag, et al., 1989. Nucl Acid Res 17: 5973-5988を参照されたい。次いで、PNAモノマーを段階的にカップリングし、5'PNAセグメントおよび3'DNAセグメントを有するキメラ分子を生成する。例えば、Finn, et al., 1996. supraを参照されたい。これに代えて、キメラ分子を5'DNAセグメントおよび3'PNAセグメントで合成することもできる。例えば、Petersen, et al., 1975. Bioorg. Med. Chem. Lett. 5: 1119-11124を参照されたい。
他の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、ペプチドのような添付群(例えば、インビボにおいて宿主細胞レセプターを標的とするため)、または細胞膜(例えば、Letsinger, et al., 1989. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 86: 6553-6556; Lemaitre, et al., 1987. Proc. Natl. Acad. Sci. 84: 648-652; PCT公開番号WO88/09810を参照)または血液脳関門(例えば、PCT公開番号WO89/10134を参照)を横切る輸送を促進する薬剤を含み得る。加えて、オリゴヌクレオチドを、ハイブリダイゼーション誘発性切断剤(例えば、Krol, et al., 1988. BioTechniques 6:958-976を参照)または挿入剤(例えば、Zon, 1988. Pharm. Res. 5: 539-549を参照)で修飾し得る。この目的のために、オリゴヌクレオチドを、例えば、ペプチド、ハイブリダイゼーション誘発性架橋剤、輸送剤、ハイブリダイゼーション誘発性切断剤等と複合し得る。
NOVXポリペプチド
本発明に従うポリペプチドは、配列が配列番号2n(nは1〜12の整数である)において提供するNOVXポリペプチドのアミノ酸配列を含有するポリペプチドを含む。本発明はまた、その任意の残基が、配列番号2n(nは1〜12の整数である)に示す対応する残基から変換し得る一方で、そのNOVX活性および生理機能を保持するタンパク質、またはそれらの機能的フラグメントを依然コードする変異タンパク質または変種タンパク質を含む。
一般に、NOVX様機能を保持するあるNOVX変異体は、配列中の特定部位の残基を他のアミノ酸で置換する任意の変異体を含み、親タンパク質の2個の残基間にもう一残基または複数残基を挿入する可能性ならびに親配列から1個またはそれ以上の残基を欠失する可能性をさらに含む。任意のアミノ酸の置換、挿入または欠失を本発明に包含する。好ましい状況では、置換は上で定義した保存的置換である。
本発明の一つの態様は、単離NOVXタンパク質およびそれらの生物活性部分、またはそれらの誘導体、フラグメント、類似体、または相同体に関する。また、抗NOVX抗体産生用の免疫源としての使用に適当なポリペプチドフラグメントも提供し得る。一つの実施形態では、細胞または組織供給源から標準タンパク質精製技術を使用する適当な精製スキームにより天然のNOVXタンパク質を単離し得る。もう一つの実施形態では、NOVXタンパク質を、組換えDNA技術により生産する。組換え発現に代えて、あるNOVXタンパク質またはポリペプチドを、標準ペプチド合成技術を使用して化学的に合成し得る。
「単離」または「精製」ポリペプチドまたはタンパク質またはそれらの生物活性部分は、NOVXタンパク質の由来する細胞供給源または組織供給源の細胞性物質または他の混入タンパク質を実質的に含まず、または化学的に合成したと際化学的前駆体または他の化学物質を実質的に含まない。「細胞性物質が実質的に含まれていない」という用語は、タンパク質を単離または組換え的に生産した元の細胞の細胞成分からタンパク質を分離したNOVXタンパク質の標本を含む。一つの実施形態では、「細胞原料が実質的に含まれていない」という用語は、約30%(乾燥重量比)未満の非NOVXタンパク質(ここでは「混入タンパク質」とも言う)、さらに好ましくは約20%未満の非NOVXタンパク質、なおさらに好ましくは約10%未満の非NOVXタンパク質、そして最も好ましくは約5%未満の非NOVXタンパク質を有するNOVXタンパク質の標本を含む。NOVXタンパク質またはそれらの生物活性部分を組換え的に生産する際には、それはまた、好ましくは培地を実質的に含まず、即ち、培地はNOVXタンパク質標本の容積の約20%未満、さらに好ましくは約10%未満、そして最も好ましくは5%未満を表す。
「化学的前駆体または他の化学物質を実質的に含まない」という用語は、NOVXタンパク質の標本を含み、ここでタンパク質を、タンパク質の合成に関与する化学的前駆体または他の化学物質から分離する。一つの実施形態では、「化学的前駆体または他の化学物質を実質的に含まない」という用語は、約30%未満(乾燥重量比)の化学的前駆体または非NOVX化学物質、さらに好ましくは約20%未満の化学的前駆体または非NOVX化学物質、なおさらに好ましくは約10%未満の化学的前駆体または非NOVX化学物質、および最も好ましくは約5%未満の化学的前駆体または非NOVX化学物質を有するNOVXタンパク質の標本を含む。
NOVXタンパク質の生物学的に活性な部分は、全長NOVXタンパク質より少ないアミノ酸を含有しNOVXタンパク質の少なくとも一つの活性を示すNOVXタンパク質のアミノ酸配列(例えば、配列番号2n(ここで、nは1〜12の整数である)に十分相同なアミノ酸配列またはNOVXタンパク質のアミノ酸配列に示されるアミノ酸配列)に由来するアミノ酸配列を含むペプチドを含む。典型的に、生物学的に活性な部分は、NOVXタンパク質の少なくとも一つの活性を有するドメインまたはモチーフを含む。あるNOVXタンパク質の生物学的に活性な部分は、例えば10、25、50、100またはそれ以上のアミノ酸残基の長さのポリペプチドであり得る。
さらに、タンパク質の他の領域が欠失した他の生物学的に活性な部分を、組換え技術で調製しそして天然のNOVXタンパク質の機能活性の一つまたはそれ以上について評価し得る。
一つの実施形態では、NOVXタンパク質は、配列番号2n(ここで、nは1〜12の整数である)に示すアミノ酸配列を有する。他の実施形態では、NOVXタンパク質は、配列番号2n(ここで、nは1〜12の整数である)に実質的に相同であり、配列番号2n(ここで、nは1〜12の整数である)のタンパク質の機能活性を保持するが、なお以下に詳述するように天然の対立遺伝子の変異体または変異に因りアミノ酸配列を異にする。従って、もう一つの実施形態では、NOVXタンパク質は、配列番号2n(ここで、nは1〜12の整数である)のアミノ酸配列と少なくとも約45%相同なアミノ酸配列を含み、配列番号2n(ここで、nは1〜12の整数である)のNOVXタンパク質の機能活性を保持するタンパク質である。
2個またはそれ以上の配列間の相同性の測定
2個のアミノ酸配列または2個の核酸の相同性の割合を測定するために、配列を至適な比較目的でアラインメント(例えば、ギャップを、2番目のアミノ酸または核酸配列と至適なアラインメントになるように第1のアミノ酸配列または核酸配列の中に入れ得る)。対応するアミノ酸部位または核酸部位におけるアミノ酸残基またはヌクレオチドを次いで比較する。第1の配列の部位を、第2の配列の対応する部位と同じアミノ酸残基またはヌクレオチドにより占めると、両分子はその部位において相同である(即ち、本明細書において使用するように、アミノ酸または核酸の「相同性」はアミノ酸または核酸の「同一性」と同等である)。
核酸配列の相同性を、2個の配列間の同一性の程度として測定し得る。相同性は、GCGプログラムパッケージに提供されるGAPソフトウエアのような、当該分野において公知のコンピュータープログラムを使用して測定し得る。Needleman and Wunsch, 1970. J Mol Biol 48: 443-453を参照されたい。以下のセッティング:GAP生成ペナルティー5.0またはGAP伸長ペナルティー0.3で、GCG GAPソフトウエアを使用して、上述の類似核酸配列のコード化領域は、配列番号2n−1(ここで、nは1〜12の整数である)に示すDNA配列のCDS(コード化)部分と好ましくは少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%の同一性の程度を示す。
用語「配列同一性」は、2個のポリヌクレオチドまたはポリペプチドの配列が比較の特定領域に亘って残基毎に同一である程度を指す。用語「配列同一性の百分率」を、比較の領域に亘って至適にアラインメントした2個の配列を比較し、一致部位の数を求め同一の核酸塩基(例えば、核酸の場合には、A、T、C、G、U、またはI)が両方の配列中に存在する部位数を測定して、一致部位の数を比較領域の部位の総数(即ち、ウインドウサイズ)で除し、商を100倍して、配列同一性の百分率を得ることにより計算しうる。本明細書において使用する用語「実質的同一性」は、ポリヌクレオチド配列の特性を意味する。ここでポリヌクレオチドは、比較領域に亘って標準配列と比較して少なくとも80%の配列同一性、好ましくは少なくとも85%の配列同一性、およびしばしば90〜95%の配列同一性、さらに通常には少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含む。
キメラタンパク質または融合タンパク質
本発明はまた、NOVXキメラタンパク質または融合タンパク質を提供する。本明細書において使用するように、あるNOVX「キメラタンパク質」または「融合タンパク質」は、非NOVXポリペプチドに作動し得るように連結したあるNOVXポリペプチドを含む。「NOVXポリペプチド」は、配列番号2n(ここで、nは1〜12の整数である)のあるNOVXタンパク質に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドを指す一方で、「非NOVXポリペプチド」は、NOVXタンパク質と実質的に相同でないタンパク質に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチド、例えば、NOVXタンパク質と異なり同一または異なる生物由来であるタンパク質を指す。あるNOVX融合タンパク質内では、NOVXポリペプチドはあるNOVXタンパク質の全部または一部に対応し得る。一つの実施形態では、あるNOVX融合タンパク質はあるNOVXタンパク質の少なくとも一つの生物学的に活性な部分を含む。もう一つの実施形態では、あるNOVX融合タンパク質は、あるNOVXタンパク質の少なくとも二つの生物学的に活性な部分を含む。なおもう一つの実施形態では、あるNOVX融合タンパク質は、あるNOVXタンパク質の少なくとも三つの生物学的に活性な部分を含む。融合タンパク質内では、用語「作動し得るように連結した」は、NOVXポリペプチドおよび非NOVXポリペプチドがお互いにインフレームで融合していることを示すものとする。非NOVXポリペプチドを、NOVXポリペプチドのN末端またはC末端に融合し得る。
一つの実施形態では、融合タンパク質は、GST−NOVX融合タンパク質である。ここでNOVX配列がGST(グルタチオンS転移酵素)のC末端に融合する。そのような融合タンパク質は、組換えNOVXポリペプチドの精製を容易にし得る。
もう一つの実施形態では、融合タンパク質は、そのN末端に異種のシグナル配列を含有するあるNOVXタンパク質である。特定の宿主細胞(例えば、哺乳動物の宿主細胞)において、NOVXの発現および/または分泌を異種シグナル配列の使用を介して増強し得る。
なおもう一つの実施形態では、融合タンパク質は、NOVX−免疫グロブリン融合タンパク質である。ここでNOVX配列は、免疫グロブリンタンパク質ファミリーのメンバー由来の配列と融合している。本発明のNOVX−免疫グロブリン融合タンパク質を、医薬組成物中に組み入れ、対象に投与し、細胞上でのNOVXリガンドとあるNOVXタンパク質との相互作用を阻害し、それによりインビボでのNOVX仲介性の情報伝達を抑制し得る。NOVX−免疫グロブリン融合タンパク質を使用して、あるNOVXと同種のリガンドの生物学的利用性に影響を及ぼし得る。NOVXリガンド/NOVX相互作用の阻害は、増殖および分化障害の処置ならびに細胞生存を調整(例えば増強または阻害)のために治療上有用であり得る。さらに、本発明のNOVX−免疫グロブリン融合タンパク質を使用して、対象中で抗NOVX抗体を生産し、NOVXリガンドを精製し、そしてスクリーニングアッセイにおいて、NOVXのあるNOVXリガンドとの相互作用を阻害する分子を同定し得る。
本発明のNOVXキメラタンパク質または融合タンパク質を、標準組換えDNA技術により生産し得る。例えば、異なるポリペプチド配列をコードするDNAフラグメントを、例えば、連結のための平滑末端化または互い違い末端を用いること、適切な末端を提供するための制限酵素による切断、適切に粘着末端の充填、望ましくない結合を防止するためのアルカリホスファターゼ処理、および酵素的結合などの従来の方法にしたがってインフレームで一緒に連結する。もう一つの実施形態では、融合遺伝子を、自動DNA合成機を含む従来の技術により合成し得る。これに代えて、遺伝子フラグメントのPCR増幅を、2個の連続する遺伝子フラグメント間で相補的なオーバーハングを生じるアンカープライマーを用いて行い、それらを引き続いてアニールし、再増幅して、キメラ遺伝子配列を生成し得る(例えば、Ausubel, et al. (eds.) CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY, John Wiley & Sons, 1992を参照)。さらに、融合部分を既にコードする多くの発現ベクター(例えば、GSTポリペプチド)が市販されている。NOVXをコードする核酸を、融合部分がNOVXタンパク質にインフレームで結合するように、そのような発現ベクターの中にクローン化することができる。
NOVXアゴニストおよびアンタゴニスト
本発明はまた、NOVXアゴニスト(即ち、ミメティクス)またはNOVXアンタゴニストのいずれかとして機能するNOVXタンパク質の変異体を含む。NOVXタンパク質の変異体は、突然変異(例えば、NOVXタンパク質の点突然変異または切断)により生成し得る。NOVXタンパク質のアゴニストは、天然に存在する形のNOVXタンパク質と実質的に同一な生物学的諸活性またはそのサブセットを保持する。NOVXタンパク質のアゴニストは、例えば、NOVXタンパク質を含む、細胞の情報伝達カスケードの下流または上流メンバーに拮抗的に結合することにより、天然に存在する形のNOVXタンパク質の一つまたはそれ以上の活性を阻害し得る。従って、特異的な生物学的作用を、限定された機能を有する変異体での処置により発揮することができる。一つの実施形態では、天然に存在する形のタンパク質の生物学的活性のサブセットを有する変異体による対象の処置は、天然に存在する形のNOVXタンパク質による処置と比べて対象における副作用がより少ない。
NOVXアゴニスト(即ちミメティック)またはNOVXアンタゴニストのどちらかとして機能するNOVXタンパク質の変異体は、NOVXタンパク質の突然変異体(例えば切断突然変異体)の組換えライブラリーをNOVXタンパク質アゴニストまたはアンタゴニスト活性についてスクリーニングすることにより同定し得る。一つの実施形態では、NOVX変異体の変化に富むライブラリーを、核酸レベルでの組換え(コンビナトリアル)変異誘発によって生成し、そして変化に富む遺伝子ライブラリーによりコードする。NOVX変異体の変化に富むライブラリーは、例えば、潜在的NOVX配列の縮重したセットが個別のポリペプチドとして発現可能であるように、合成オリゴヌクレオチドの混合物を遺伝子配列に酵素的に連結することにより、またはこれに代えて、その中にNOVX配列のセットを含有するさらに大きい融合タンパク質(例えば、ファージディスプレー用に)のセットとして、生成し得る。縮重したオリゴヌクレオチド配列から潜在的NOVX変異体のライブラリーを使用して生成し得る種々の方法がある。縮重遺伝子配列の化学合成を自動DNA合成機により行い、次いで、合成遺伝子を適切な発現ベクター内に連結し得る。遺伝子の縮重セットの使用は、潜在的NOVX配列の所望のセットをコードする配列の全ての、一つの混合物の提供を可能にする。縮重オリゴヌクレオチドを合成する方法は当該分野内において周知である。例えば、Narang, 1983. Tetrahedron 39: 3; Itakura, et al., 1984. Annu. Rev. Biochem. 53: 323; Itakura, et al., 1984. Science 198: 1056; Ike, et al., 1983. Nucl. Acids Res. 11: 477を参照されたい。
ポリペプチドライブラリー
加えて、NOVXタンパク質コード化配列のフラグメントライブラリーを用いて、NOVXタンパク質の変異体のスクリーニングおよびそれに続く選択のためにNOVXフラグメントの変化に富む集団を生成し得る。一つの実施形態では、コード化配列フラグメントのライブラリーを、あるNOVXコード化配列の二本鎖PCR断片を、ニッキングが分子あたりたった約1回生じる条件でヌクレアーゼ処置し、二本鎖DNAを変性させ、DNAを異なるニッキング産物由来のセンス/アンチセンス対を含み得る二本鎖DNAを形成し、Sヌクレアーゼの処理で再生成した二重らせんから単鎖部分を除去し、そして得られたフラグメントライブラリーを発現ベクターに連結することにより、生成し得る。この方法によって、NOVXタンパク質の種々のサイズのN末端または内部フラグメントをコードする発現ライブラリーを誘導し得る。
点突然変異または切断により作成した組換え(コンビナトリアル)ライブラリーの遺伝子産物をスクリーニングする、および選択した性質を有する遺伝子産物のためにcDNAライブラリーをスクリーニングする種々の技術は、当該分野において公知である。かかる技術は、NOVXタンパク質の組換え(コンビナトリアル)突然変異誘発により生成した遺伝子ライブラリーの迅速なスクリーニングに適用可能である。大きな遺伝子ライブラリーをスクリーニングするハイスループット分析に適用可能な最も広く使用する技術は、遺伝子ライブラリーを複製可能な発現ベクターにクローニングし、得られたベクターライブラリーで適切な細胞を形質転換すること、そして、所望の活性の検出がその生産物を検出する遺伝子をコードするベクターの単離を容易する条件で、組換え(コンビナトリアル)遺伝子を発現することを典型的に含む。ライブラリー中の機能的変異の頻度を増大する新しい技術である繰り返しアンサンブル変異誘発(REM)をスクリーニングアッセイと組み合わせて使用して、NOVX変異体を同定し得る。例えば、Arkin and Yourvan, 1992. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 7811-7815; Delgrave, et al., 1993. Protein Engineering 6:327-331を参照されたい。
抗NOVX抗体
NOVXタンパク質、またはNOVXタンパク質のフラグメントに対する抗体は本発明に含まれる。本明細書において使用する用語「抗体」は、免疫グロブリン分子および免疫グロブリン(Ig)分子の免疫学的に活性な部分、即ち、抗原に特異的に結合する(と免疫学的に反応する)抗原結合部位を含有する分子を指す。かかる抗体としては、ポリクローナル、モノクローナル、キメラ、単鎖、Fab、Fab' およびF(ab')2フラグメントならびにFab発現ライブラリーが挙げるが、これらに限定しない。一般に、ヒトから得る抗体分子は、IgG、IgM、IgA、IgEおよびIgDのクラスのいずれかに関し、これらは分子中に存在するH鎖の性質によりお互いに異なる。特定のクラスは、IgG1、IgG2およびその他のような、サブクラスを同様に有する。さらに、ヒトにおいて、L鎖は、k鎖またはλ鎖であり得る。本明細書における抗体への参照は、ヒト抗体種の全てのそのようなクラス、サブクラスおよびタイプへの参照を含む。
抗原として使用することを意図した本発明の単離タンパク質、またはその部分またはフラグメントを免疫源として使用しポリクローナルおよびモノクローナル抗体調製の標準的技術を使用し、抗原に免疫特異的に結合する抗体を生成し得る。全長のタンパク質を使用し得るが、またはこれに代えて、本発明は、免疫源として使用するための抗原の抗原性ペプチドフラグメントを提供する。抗原性ペプチドフラグメントは、配列番号2n(ここで、nは1〜12の整数である)に示すアミノ酸配列のような全長タンパク質のアミノ酸配列の少なくとも6個のアミノ酸残基を含み、そしてペプチドに対して育成した抗体が、エピトープを含有する全長タンパク質または任意のフラグメントと特異的な免疫複合体を形成するようそのエピトープを包含する。好ましくは、抗原性ペプチドは、少なくとも10個のアミノ酸残基、または少なくとも15個のアミノ酸残基、または少なくとも20個のアミノ酸残基、または少なくとも30個のアミノ酸残基を含む。抗原性ペプチドにより包含する好ましいエピトープは、表面に局在するタンパク質領域であり;これらは通常親水性領域である。
本発明の特定の実施形態において、抗原性ペプチドにより包含される少なくとも一つのエピトープは、タンパク質の表面に局在するNOVX領域、例えば、親水性領域である。ヒトNOVXタンパク質配列の疎水性分析は、NOVXポリペプチドのどの領域が特に親水性であり、したがって抗体生産を目標とするために有用な表面残基をコードする可能性が高いかを示す。抗体生産を目標とするための手段として、親水性および疎水性領域を示すハイドロパシープロットを、例えば、どちらもフーリエ変換を用いるかまたは用いないで、Kyte DoolittleまたはHopp Woods方法を含む当該分野において周知の任意の方法で生成し得る。例えば、Hopp and Woods, 1981, Proc. Nat. Acad. Sci. USA 78: 3824-3828; Kyte and Doolittle 1982, J. Mol. Biol. 157: 105-142(いずれも全体的な出典明示により本明細書の一部とする)を参照されたい。抗原性タンパク質またはその誘導体、フラグメント、類似体または相同体内の一つまたはそれ以上のドメインに特異的である、抗体はまた、本明細書において提供する。
用語「エピトープ」には、免疫グロブリンまたはT細胞受容体に特異的に結合し得る全てのタンパク質決定基(部位)が含まれる。エピトープ様決定基(部位)は、通常、化学的に活性な分子(例えば、アミノ酸もしくは糖側鎖など)表面群を含み、通常、特定の三次元的構造特性、に加えて特定電荷特性を示す。あるNOVXポリペプチドまたはそれらのフラグメントは、少なくとも1つの抗原エピトープを持つ。アッセイ(例えば、当業者には既知のラジオリガンド結合アッセイまたは類似のアッセイ)によって測定されるような、平衡結合定数Kが、1μM、好ましくは100nM、より好ましくは10nM、もっとも好ましくは100pM〜約1pMである場合、本発明の抗NOVX抗体は、抗原NOVXに特異的に結合するという。
本発明のタンパク質、またはその誘導体、フラグメント、類似体、相同体、またはオーソログを、これらのタンパク質成分に免疫特異的に結合する抗体の生成において免疫源として利用することができる。
当該分野内において公知の種々の方法を、本発明のタンパク質、またはその誘導体、フラグメント、類似体、相同体、またはオーソログ、に対するポリクローナルまたはモノクローナル抗体の生産に使用し得る(例えば、Antibodies: A Laboratory Manual, Harlow E, and Lane D, 1988, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NYを出典明示により本明細書の一部とする)を参照されたい。これらの抗体の幾つかについて以下に考察する。
ポリクローナル抗体
ポリクローナル抗体の生産には、種々の適当な宿主動物(例えばウサギ、ヤギ、マウス、または他の哺乳動物)を、天然タンパク質、その合成変異体、または前述の誘導体を1回またはそれ以上注射して免疫を行い得る。適切な免疫原性製剤としては、例えば、天然に存在する免疫原性タンパク質、免疫原性タンパク質を代表する化学的に合成したポリペプチド、または組換え的に発現した免疫原性タンパク質を挙げ得る。さらに、タンパク質を、免疫する哺乳動物において免疫原性であることが知られている第2のタンパク質と複合体を形成してもよい。かかる免疫原性タンパク質の例としては、キーホールリンペットヘモシニアン、血清アルブミン、ウシサイログロブリンおよび大豆トリプシン阻害剤が挙げられるが、これらに限定されない。製剤はさらにアジュバントを含有し得る。免疫応答を増大するために使用する種々のアジュバントとしては、フロイントの(完全および不完全)アジュバント、鉱物ゲル(例えば水酸化アルミニウム)、界面活性剤(例えばリゾレシチン、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、オイルエマルジョン、ジニトロフェノール等)、カルメット-ゲラン杆菌およびコリネバクテリウム-パルヴムのようなヒトに使用可能なアジュバント、または類似の免疫促進剤が挙げられるが、これらに限定されない。使用し得るアジュバントのさらに別な例としては、MPL−TDMアジュバント(モノホスホリルリピドA、合成ジコリノミコール酸トレハロース)を挙げ得る。
免疫原性タンパク質に対するポリクローナル抗体を、哺乳動物から(例えば、血液から)単離して、免疫血清中の主としてIgG画分を提供するプロテインAまたはプロテインGを用いるアフィニティークロマトグラフィーのような、公知の技術を用いてさらに精製し得る。引き続いて、またはこれに代えて、求める免疫グロブリンの標的である特異的抗原、またはそのエピトープ、をカラム上に固相化して、イムノアフィニティークロマトグラフィーにより免疫特異的抗体を精製し得る。免疫グロブリンの精製を、例えば、D. Wilkinson (The Scientist, published by The Scientist, Inc., Philadelphia PA, Vol. 14, No. 8 (April 17, 2000), pp. 25-28)により考察する。
モノクローナル抗体
本明細書において使用する用語「モノクローナル抗体」(MAb)または「モノクローナル抗体組成物」は、特徴的なL鎖遺伝子産物および特徴的なH鎖遺伝子産物より成る抗体分子の1分子種のみを含有する抗体分子の集団を指す。特に、モノクローナル抗体の相補性決定領域(CDR)は、集団の全ての分子において同一である。従って、MAbは、それに対する特徴的な結合活性を特徴とする抗原の特定のエピトープと免疫反応する能力がある抗原結合部位を含有する。
モノクローナル抗体を、Kohler and Milstein, Nature, 256:495 (1975)により記載するような、ハイブリドーマ方法を用いて調製し得る。ハイブリドーマ方法では、マウス、ハムスター、または他の適切な宿主動物を典型的に免疫化剤で免疫することにより、免疫化剤に特異的に結合する抗体を生産するかまたは生産する能力のあるリンパ球を誘発する。これに代えて、リンパ球をインビトロで免疫することができる。
免疫化剤としては典型的に、タンパク質抗原、それらのフラグメントまたはその融合タンパク質が挙げられる。一般的に、ヒト由来の細胞を所望するならば、末梢血リンパ球を使用し、またはヒト以外の哺乳動物源を所望するならば、脾臓細胞またはリンパ節細胞を使用するかのいずれかである。次いで、リンパ球を、ポリエチレングリコールのような適当な融合剤を用いて不死化細胞株と融合し、ハイブリドーマ細胞を生成する(Goding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, Academic Press, (1986) pp. 59-103)。不死化細胞株は通常、形質転換した哺乳動物細胞、特にげっ歯類、ウシまたはヒト由来の骨髄腫細胞である。通常、ラットまたはマウスの骨髄腫細胞株を使用し得る。ハイブリドーマ細胞を、融合していない不死化細胞の増殖または生存を阻害する一つまたはそれ以上の物質を好ましくは含有する適切な培地中で培養し得る。例えば、親細胞が、酵素ヒポキサンチン・グアニン・ホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRTまたはHPRT)を欠くならば、ハイブリドーマ用の培地は典型的に、その物質がHGPRT欠失細胞の増殖を阻止する、ヒポキサンチン、アミノプテリンおよびチミジンを含む(“HAT培地”)。
好ましい不死化細胞株は、効率的に融合し、選択した抗体生産細胞による抗体の高レベル発現を支持し、そしてHAT培地のような培地に感受性のあるものである。さらに好ましい不死化細胞株は、例えば、Salk Institute Cell Distribution Center, San Diego, Californiaおよびthe American Type Culture Collection, Manassas, Virginiaから入手し得るマウス骨髄腫細胞株である。ヒト骨髄腫およびマウス−ヒトヘテロ骨髄腫細胞株はまた、ヒトモノクローナル抗体の生産用に記載する(Kozbor, J. Immunol., 133:3001 (1984); Brodeur et al., Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications, Marcel Dekker, Inc., New York, (1987) pp. 51-63)。
ハイブリドーマが培養する培地を次いで、抗原に対するモノクローナル抗体の存在についてアッセイし得る。好ましくは、ハイブリドーマ細胞によって生産したモノクローナル抗体の結合特異性を、免疫沈降によりまたはラジオイムノアッセイ(RIA)または酵素結合免疫吸着検査法(ELISA)のような、インビトロ結合アッセイによって測定する。そのような技術またはアッセイは当該分野において公知である。モノクローナル抗体の結合親和性を、例えば、Munson and Pollard, Anal. Biochem., 107:220 (1980)のScatchard分析により測定し得る。標的抗原に対して高度の特異性および高い結合親和性を有する抗体を同定することは、モノクローナル抗体の治療的応用において特に重要な目的である。
所望のハイブリドーマ細胞を同定した後、クローンを限界希釈法でサブクローン化して、標準方法で増殖し得る(Goding,1986)。この目的のための適当な培地としては、例えば、ダルベッコ変法イーグル培地(Dulbecco's Modified Eagle's Medium)およびRPMI−1640培地を挙げ得る。これに代えて、ハイブリドーマ細胞を哺乳動物中で腹水としてインビボで増殖し得る。
サブクローンにより分泌したモノクローナル抗体を、培地または腹水から、例えば、プロテイン−Aセファローズ、ハイドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、またはアフィニティークロマトグラフィーのような従来の免疫グロブリン精製手順により単離または精製し得る。
モノクローナル抗体をまた、米国特許第4,816,567号に記載するような組換えDNA方法により作り得る。本発明のモノクローナル抗体をコードするDNAを、従来の手順を使用して(例えば、マウス抗体のH鎖およびL鎖をコードする遺伝子に特異的に結合する能力のある、オリゴヌクレオチドプローブを使用することにより)容易に単離し配列決定し得る。本発明のハイブリドーマ細胞はそのようなDNAの好ましい供給源として役立つ。一旦単離すれば、DNAを発現ベクター中に配置し、それを次いでサルのCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、またはそうしなければ免疫グロブリンタンパク質を産生しない骨髄腫細胞のような宿主細胞中に形質移入して、組換え宿主細胞中でモノクローナル抗体の合成を取得し得る。DNAをまた、例えば相同なマウスの配列の代わりにヒトのH鎖およびL鎖の通常ドメインに対するコード化配列を置換することにより(米国特許第4,816,567号; Morrison, Nature 368, 812-13 (1994))、または非免疫グロブリンペプチドに対するコード化配列の全部または一部を免疫グロブリンのコード化配列に共有結合することにより、修飾し得る。そのような非免疫グロブリンポリペプチドを、本発明の抗体の通常ドメインに対して置換することができるか、または本発明の抗体の一つの抗原結合部位の可変ドメインに対して置換して、キメラ2価抗体を創成することができる。
ヒト化抗体
本発明のタンパク質抗原に対する抗体はさらに、ヒト化抗体またはヒト抗体を含む。これらの抗体は、投与した免疫グロブリンに対してヒトによる免疫応答を惹き起こすことなくヒトに投与するのに適している。抗体のヒト化型は、主としてヒト免疫グロブリンの配列より成って、非ヒト免疫グロブリン由来の最小限の配列を含有する、キメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖、またはそれらのフラグメント(Fv、Fab、Fab'、F(ab')または抗体の他の抗原結合サブ配列)である。ヒト化は、Winterまたは共同研究者(Jones et al., Nature, 321:522-525 (1986); Riechmann et al., Nature, 332:323-327 (1988); Verhoeyen et al., Science, 239:1534-1536 (1988))の方法にしたがって、げっ歯類のCDRまたはCDR配列をヒト抗体の対応する配列で置換することにより、実施し得る。(また、米国特許第5,225,539号を参照)場合によっては、ヒト免疫グロブリンのFvフレーム枠の残基を対応する非ヒト残基により置換し得る。ヒト化抗体はまた、レシピエント抗体またはCDRまたはフレーム枠配列にも見出さない残基を含み得る。一般に、ヒト化抗体は少なくとも一つ、また典型的には二つの可変ドメインの実質的に全てを含む。ここでCDR領域の全てまたは実質的に全てが非ヒト免疫グロブリンのCDR領域に対応し、そしてフレーム枠領域の全てまたは実質的に全てがヒト免疫グロブリンのコンセンサス配列のものである。ヒト化抗体は至適にはまた、免疫グロブリンの通常領域(Fc)、典型的にはヒト免疫グロブリンのものの少なくとも一部を含む(Jones et al., 1986; Riechmann et al., 1988; および Presta, Curr. Op. Struct. Biol., 2:593-596 (1992))。
ヒト抗体
完全なヒト抗体は、CDRを含むL鎖およびH鎖の全配列がヒトの遺伝子より生じる、抗体分子に本質的に関する。かかる抗体は本明細書では、「ヒト抗体」または「完全なヒト抗体」と呼称する。ヒトモノクローナル抗体を、トリオーマ技術;ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozbor, et al., 1983 Immunol Today 4: 72を参照)およびEBVハイブリドーマ技術により調製し、ヒトモノクローナル抗体を生産し得る(Cole, et al., 1985 In: MONOCLONAL ANTIBODIES AND CANCER THERAPY, Alan R. Liss, Inc., pp. 77-96を参照)。ヒト化モノクローナル抗体を、本発明の実施に利用し得て、そしてヒトハイブリドーマを用いて(Cote, et al., 1983. Proc Natl Acad Sci USA 80: 2026-2030を参照)またはヒトB細胞をインビトロでEpstein Barrウイルスにより形質転換することによって(Cole, et al., 1985 In: MONOCLONAL ANTIBODIES AND CANCER THERAPY, Alan R. Liss, Inc., pp. 77-96を参照)生産し得る。
加えて、ヒト抗体はまた、ファージディスプレイライブラリー(Hoogenboom and Winter, J. Mol. Biol., 227:381 (1991); Marks et al., J. Mol. Biol., 222:581 (1991))を含むさらに別な技術を用いて生産し得る。同様に、ヒト抗体を、ヒト免疫グロブリンの遺伝子座をトランスジェニック動物、例えば、マウスに導入することによって作り得る。ここで内在性免疫グロブリン遺伝子を部分的にまたは完全に不活化する。チャレンジによって、遺伝子再配列、アセンブリー、および抗体レパトリ−を含む全ての面でヒトにおいて見られるのと非常に良く似たヒト抗体生産を観察する。このアプローチは、例えば、米国特許第5,545,807号; 5,545,806号; 5,569,825号; 5,625,126号; 5,633,425号; 5,661,016号、ならびに Marks et al. (Bio/Technology 10, 779-783 (1992))、Lonberg et al. (Nature 368 856-859 (1994))、Morrison ( Nature 368, 812-13 (1994))、Fishwild et al,( Nature Biotechnology 14, 845-51 (1996))、Neuberger (Nature Biotechnology 14, 826 (1996))、 Lonberg and Huszar (Intern. Rev. Immunol. 13 65-93 (1995))に記載されている。
ヒト抗体を、抗原によるチャレンジに応答して動物の内在性抗体ではなく完全なヒト抗体を生産するように修飾したトランスジェニック非ヒト動物を用いて、付加的に生産し得る(PCT公開番号WO94/02602を参照)。非ヒト宿主中の免疫グロブリンH鎖およびL鎖をコードする内在性遺伝子を無能にし、そしてヒト免疫グロブリンのH鎖およびL鎖をコードする活性遺伝子座を宿主のゲノムの中に挿入する。ヒトの遺伝子を、例えば、必要なヒトDNAセグメントを含有する酵母の人工染色体を用いて組み入れ得る。全ての所望の修飾を提供する動物は次いで、修飾の全相補物より少ない相補物を含有する中間トランスジェニック動物を交雑育種することにより子孫として得られる。そのような非ヒト動物の好ましい実施形態はマウスであり、PCT公開番号WO96/33735およびWO96/34096号に開示されているようにXenomouse[登録商標]と呼称する。この動物は、完全なヒト免疫グロブリンを分泌する、B細胞を生産する。抗体は、興味のある免疫原で免疫後、動物から、例えば、ポリクローナル抗体の標本として、直接得ることも、またはこれに代えて、モノクローナル抗体を生産するハイブリドーマのような、動物由来の不死化B細胞から得ることもできる。これに加えて、ヒトの可変領域を持つ免疫グロブリンをコードする遺伝子を回収し、発現して、抗体を直接得ることもでき、またはさらに修飾して、例えば、単鎖Fv分子のような抗体の類似体を得ることができる。
内在性免疫グロブリンのH鎖の発現を欠失する、マウスとして例証した、非ヒト宿主を生産する方法の実施例は、米国特許第5,939,598号、に開示されている。それは、遺伝子座の再配列を阻止するためにそして再配列した免疫グロブリンH鎖の遺伝子座の転写物生成を阻止するために、胚性幹細胞中の少なくとも一つの内在性H鎖の遺伝子座からJセグメントを欠失させ、この欠失は選択マーカーをコードする遺伝子を含有するターゲティングベクターによりもたらされ、そして体細胞または胚細胞が選択マーカーをコードする遺伝子を含有するトランスジェニックマウスを胚性幹細胞から生産することを含む方法により得られる。
ヒト抗体のような興味のある抗体を生産する方法は、米国特許第5,916,771号、に開示されている。それは、H鎖をコードするヌクレオチド配列を含有する発現ベクターを一つの培養哺乳動物宿主細胞に導入すること、L鎖をコードするヌクレオチド配列を含有する発現ベクターをさらに別な哺乳動物宿主細胞に導入すること、および2個の細胞を融合してハイブリッド細胞を生成することを含む。ハイブリッド細胞は、H鎖およびL鎖を含有する抗体を発現する。
この手順のさらなる改良において、免疫原上の臨床的に関係のあるエピトープを同定する方法、および関係のあるエピトープに高親和性で免疫特異的に結合する抗体を選択する相関的方法が、PCT公開番号WO99/53049に開示されている。
abフラグメントおよび単鎖抗体
本発明にしたがって、技術を、本発明の抗原タンパク質に特異的な単鎖抗体の生産に適合することができる(例えば米国特許第4,946,778号を参照)。加えて、方法を、Fab発現ライブラリーの構築に適合し(例えば、Huse, et al., 1989 Science 246: 1275-1281、を参照)、タンパク質またはその誘導体、フラグメント、類似体または相同体に対して所望の特異性を有するモノクローナルFabフラグメントの迅速かつ効果的な同定を可能し得る。タンパク質抗原に対するイディオタイプを含有する抗体フラグメントを、当該分野において公知の技術により生産し得て、それは、(i)抗体分子のペプシン消化により生産するF(ab')2フラグメント;(ii)F(ab')2フラグメントのジスルフィド架橋を還元して得られるFabフラグメント;(iii)抗体分子をパパインおよび還元剤で処置して生成するFabフラグメント;ならびに(iv)Fフラグメントを含むが、これらに限定されない。
二重特異性抗体
二重特異性抗体は、少なくとも二つの異なる抗原に結合特異性を有するモノクローナル抗体、好ましくはヒトのまたはヒト化の抗体である。本明細書においては、結合特異性の一つは本発明の抗原タンパク質に対するものである。2番目の結合標的は、任意の他の抗原であって、有利に細胞表面タンパク質または受容体または受容体サブユニットである。
二重特異性抗体の作成方法は当該分野において公知である。伝統的に、二重特異性抗体の組換え生産は、2個のH鎖が異なる特異性を有する2個の免疫グロブリンH鎖/L鎖対の共発現に基づく(Milstein and Cuello, Nature, 305:537-539 (1983))。免疫グロブリンH鎖およびL鎖のランダムな組合せのため、これらのハイブリドーマ(クアドローマ)は10種の異なる抗体分子の潜在的混合物を生産し、そのうちの一つだけが正しい2重特異性構造を有する。正しい分子の精製は通常、アフィニティークロマトグラフィーにより行う。類似の方法が、1993年5月に公開されたWO93/08829およびTraunecker et al., EMBO J., 10:3655-3659 (1991)に開示されている。
所望の結合特異性を持つ抗体の可変ドメイン(抗体−抗原結合部位)を、免疫グロブリンの通常ドメイン配列に融合し得る。融合は、好ましくは、ヒンジ、CH2およびCH3領域の少なくとも一部を含む免疫グロブリンH鎖の通常ドメインと共にある。少なくとも融合の一つの中に存在するL鎖結合に必要な部位を含有する第1のH鎖通常領域(CH1)を有することが好ましい。免疫グロブリンH鎖の融合をコードするDNA、および所望ならば、免疫グロブリンL鎖を別々の発現ベクター中に挿入し適当な宿主生物中に形質移入する。二重特異性抗体のさらなる詳細については、例えば、Suresh et al., Methods in Enzymology, 121:210 (1986)を参照されたい。
WO96/27011に記載されたもう一つのアプローチによれば、一対の抗体分子間の境界面を改変して、組換え細胞培地から回収するヘテロダイマーの百分率を最大にし得る。好ましい境界面は、抗体の通常ドメインのCH3領域の少なくとも一部を含む。この方法では、第1の抗体分子の境界面の一つまたはそれ以上の小さなアミノ酸側鎖を、より大きな側鎖(例えばチロシンまたはトリプトファン)で置換する。大きな側鎖(複数を含む)と同一または類似のサイズの代償的な「空隙」を、大きなアミノ酸側鎖をより小さなもの(例えばアラニンまたはスレオニン)で置換することにより第2の抗体分子の境界面に生成する。これは、ホモダイマーのような他の望ましくない最終産物以上にヘテロダイマーの収量を増加する機構を提供する。
二重特異性抗体を、抗体の全長または抗体フラグメント(例えばF(ab')二重特異性抗体)として調製することができる。抗体フラグメントから二重特異性抗体を生成する技術は文献に記載されている。例えば、二重特異性抗体フラグメントを、化学的結合を用いて調製することができる。Brennan et al., Science 229:81 (1985)は、完全な抗体をタンパク質分解酵素で切断してF(ab')フラグメントを生成する手順を記載する。これらのフラグメントをジチオール錯化剤の亜ヒ酸ナトリウムの存在下で還元して、隣接するジチオールを安定化させて、分子間ジスルフィド形成を阻止する。次いで、生成したFab'フラグメントをチオニトロ安息香酸(TNB)誘導体に変換する。次いで、Fab'−TNBの一つをメルカプトエチルアミンとの還元によりFab'−チオールに再変換し、そして等量の他のFab'−TNB誘導体と混合して、二重特異性抗体を生成する。生成した二重特異性抗体を酵素の選択的固定化剤として使用し得る。
これに加えて、Fab'フラグメントを大腸菌から直接回収して、化学的にカップリングして、二重特異性抗体を生成し得る。Shalaby et al., J. Exp. Med. 175:217-225 (1992)は、完全にヒト化した二重特異性抗体のF(ab')分子の生産を記載している。それぞれのFab'フラグメントを大腸菌から別々に分泌し、インビトロで指向性化学カップリングに供して、二重特異性抗体を形成した。従って形成した二重特異性抗体を、ErbB2受容体を過剰発現する細胞および正常ヒトT細胞に結合することができ、ならびにヒト乳腺腫瘍標的に対するヒト細胞障害性リンパ球の溶解活性を誘発することができた。
組換え細胞培地から直接二重特異性抗体を作成し単離する種々の技術をまた記載する。例えば、二重特異性抗体をロイシンジッパーを用いて生産する。Kostelny et al., J. Immunol. 148(5):1547-1553 (1992)。Fosタンパク質およびJunタンパク質由来のロイシンジッパーを遺伝子融合により二つの異なる抗体のFab'部分に結合した。抗体のホモダイマーをヒンジ領域において還元して、モノマーを形成し、次いで再酸化して、抗体のヘテロダイマーを形成した。この方法をまた、抗体のホモダイマーの生産に利用することができる。Hollinger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:6444-6448 (1993)により記載されている「diabody」技術は、二重特異性抗体フラグメント作成のさらに別の機構を提供する。フラグメントは、リンカーによりL鎖可変領域(V)に連結したH鎖可変領域(V)を含むが、リンカーが短いため同じ鎖の上の2個のドメイン間での対形成を可能にしない。したがって、一つのフラグメントのVおよびVドメインは強制的にもう一つのフラグメントの相補的なVおよびVドメインと対を形成し、それにより二つの抗原結合部位を形成する。単鎖Fv(sFv)のダイマーの使用による二重特異性抗体フラグメント作成のもう一つの戦略がまた報告されている。Gruber et al., J. Immunol. 152:5368 (1994)を参照されたい。
3価以上の結合価をもつ抗体も考得る。例えば、3重特異性抗体を調製し得る。例えば、Tutt et al., J. Immunol. 147:60 (1991)。
典型的な二重特異性抗体は、少なくとも一つが本発明のタンパク質抗原に由来する二つの異なるエピトープに結合し得る。これに代えて、免疫グロブリン分子の抗−抗原アームを、白血球上でT細胞受容体分子(例えば、CD2、CD3、CD28またはB7)またはFcγRI(CD64)、FcγRII(CD32)およびFcγRIII(CD16)のような、IgGに対するFc受容体(Fcγ)のような誘発性分子に結合するアームと組み合わせて、特定の抗原を発現する細胞に対する細胞性防御機構に焦点を当て得る。二重特異性抗体をまた使用して、特定の抗原を発現している細胞に細胞障害性物質を指向し得る。これらの抗体は、抗原結合アームおよび細胞障害性薬剤またはEOTUBE、DPTA、DOTAまたはTETAのような放射性核種キレート化剤と結合するアームを所有する。興味のあるもう一つの二重特異性抗体は、本明細書に説明するタンパク質抗原と結合して、さらに組織因子(TF)と結合する。
ヘテロ複合抗体
ヘテロ複合抗体はまた本発明の範囲内にある。ヘテロ複合抗体は、共有結合で結合した二つの抗体より成る。そのような抗体は、例えば、好ましくない細胞に免疫系の細胞を標的化するため(米国特許第4,676,980号)、およびHIV感染の処置のため(WO91/00360;WO92/200373;EP03089)に提案されている。これらの抗体を、架橋剤を伴うものを含むタンパク質合成化学の既知の方法を用いてインビトロで調製し得ると考えられている。例えば、ジスルフィド交換反応を使用してまたはチオエーテル結合を形成することより、イムノトキシンを構築することができる。この目的のために適当な試薬の例としては、イミノチオレートおよびメチル−4−メルカプトブチルイミデートならびに、例えば、米国特許第4,676,980号に開示されているものを挙げ得る。
エフェクター機能工学
例えば、がんの処置における抗体の有効性を増強するために、本発明の抗体をエフェクター機能に関して修飾することが望ましい。例えば、システイン残基(複数を含む)をFc領域に導入し、それによりこの領域における鎖間ジスルフィド結合形成を可能にし得る。かくして生成したホモダイマーの抗体は、改善した内部移行能および/または増強した補体仲介性細胞殺害ならびに抗体依存性細胞障害作用(ADCC)を有し得る。Caron et al., J. Exp Med., 176: 1191-1195 (1992) および Shopes, J. Immunol., 148: 2918-2922 (1992)を参照されたい。増強した抗腫瘍活性を持つホモダイマー抗体はまた、Wolff et al. Cancer Research, 53: 2560-2565 (1993)に記載されているように、ヘテロ2機能性架橋剤を用いて調製し得る。これに代えて、2重のFc領域を有して、それにより増強した補体依存性細胞溶解およびADCC能を有する抗体を工学操作することができる。Stevenson et al., Anti-Cancer Drug Design, 3: 219-230 (1989)を参照されたい。
免疫複合体
本発明はまた、化学療法剤、毒素(例えば、細菌、真菌、植物、または動物起源の酵素的に活性な毒素、またはそれらのフラグメント)または放射性同位体(即ち、放射性複合体)のような細胞毒性物質と複合した抗体を含む免疫複合体に関する。
そのような免疫複合体の生成に有用な化学療法剤を上述する。使用できる酵素的に活性な毒素およびそれらのフラグメントとしては、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合性活性フラグメント、内毒素A鎖(Pseudomonas aeruginosa由来)、リシンA鎖、アビリンA鎖、モデシンA鎖、アルファサルシン、Aleurites fordii(シナアブラギリ)タンパク質、ディアンティンタンパク質、Phytolaca americanaタンパク質(PAPI、PAPIIおよびPAP−S)、momoridica charantia(ツルレイシ)阻害剤、クルシン、クロチン、sapaonaria officinalisc阻害剤、ゲロニン、ミトゲリン、リストリクトシン、フェノマイシン、エノマイシンおよびトリコテセンが挙げられる。種々の放射性核種を放射性複合抗体の生産に利用できる。例として、212Bi、131I、131In、90Yおよび186Reを挙げ得る。
抗体と細胞障害性薬剤との複合体を、N−サクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオール)プロピオネート(SPDP)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの2機能性誘導体(ジメチルアジピイミデートHCLのような)、活性エステル(ジサクシンイミジルスベレートのような)、アルデヒド(グルタルアルデヒドのような)、ビスアジド誘導体(ビス−(p−アジドベンゾイル)−ヘキサンジアミンのような)、ビスジアゾニウム誘導体(ビス−(p−ジアゾニウムベンゾイル)−エチレンジアミンのような)、ジイソシアネート(トリエン2、6−ジイソシアネートのような)、およびビス活性フッ素化合物(1,5−ジフルオロ2,4−ジニトロベンゼンのような)のような種々の2機能性タンパク質カップリング剤を用いて作る。例えば、リシン免疫毒素を、Vitetta et al., Science, 238: 1098 (1987)に記載のように調製することができる。炭素14で標識した1−イソチオシアナートベンジル−3−メチルジエチレントリアミンペンタ酢酸(MX−DTPA)は、放射性ヌクレオチドを抗体に結合するための典型的なキレート化剤である。WO94/11026を参照されたい。
もう一つの実施形態では、抗体を、腫瘍をプレターゲティンブのための「受容体」(ストレプトアビジンのような)に結合することができて、そこでは抗体−受容体複合体を患者に投与し、引き続いて未結合の複合体を除去剤を用いて血液循環から除去し、次いで今度は細胞障害性薬剤に複合した「リガンド」(例えばアビジン)を投与する。
イムノリポソーム
本明細書で開示される抗体をまた、イムノリポソームとして処方することができる。抗体を含有するリポソームリポソームは、Epstein et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82: 3688 (1985); Hwang et al., Proc. Natl Acad. Sci. USA, 77: 4030 (1980); ならびに米国特許第4,485,045号および第4,544,545号に記載されているような、当該分野において公知の方法で調製する。増大した循環時間を持つリポソームリポソームは、米国特許第5,013,556号に開示されている。
特に有用なリポソームリポソームを、ホスファチジルコリン、コレステロールおよびPEG誘導体化ホスファチジルエタノールアミン(PEG−PE)を含む脂質組成物を用いて逆相蒸発法により生成し得る。リポソームリポソームを定められた孔径のフィルターを通して押し出して、所望の直径のリポソームリポソームを得る。本発明の抗体のFab'フラグメントを、Martin et al ., J. Biol. Chem., 257: 286-288 (1982)に記載されるように、ジスルフィド交換反応を介してリポソームリポソームに結合し得る。化学療法剤(ドキソルビシンのような)を任意にリポソーム内に含有する。Gabizon et al., J. National cancer Inst., 81(19): 1484 (1989)を参照されたい。
本発明のタンパク質に対して指向した抗体の診断応用
1実施形態では、所望の特異性を保有する抗体のスクリーニングのための方法は限定しないが、酵素結合免疫吸着分析(ELISA)および他の当業者既知免疫学的介在技法を含む。具体的実施形態では、NOVXタンパク質の特定のドメインに特異的である抗体の選択は、そのようなドメインを保有するNOVXタンパク質のフラグメントに結合するハイブリドーマの生成によって容易化される。かくして、NOVXタンパク質内の所望のドメイン、その誘導体、フラグメント、類似体、または相同物に特異的で合える抗体をまたここに提供する。
本発明のNOVXタンパク質に対して指向化された抗体を、NOVXタンパク質の局在化及び/または定量に関する当業界内既知方法で使用し得る(例えば適当な生理学的サンプル内のNOVXタンパク質のレベルの測定における使用のため、診断方法における使用のため、タンパク質の画像化における使用のためなど)。所定の実施形態では、NOVXタンパク質、その誘導体、フラグメント、類似体または相同物に特異的な抗体であって、抗体由来抗原結合ドメインを含むものは、薬理学的活性化合物として利用する(以後「治療剤」と称する)。
本発明のNOVXタンパク質に対して特異的な抗体を(例えばモノクローナルまたはポリクローナル抗体)、イムノアフィニティークロマトグラフィーまたは免疫沈降のような標準的な技術により、NOVXポリペプチドを単離するために使用し得る。NOVXポリペプチドへの抗体を、細胞由来の天然タンパク質および宿主細胞で発現する組換え的に生産したNOVX抗原の精製を容易にし得る。さらに、そのような抗NOVX抗体を使用して、抗原性NOVXタンパク質の存在量または発現パターンを評価するために抗原性NOVXタンパク質(例えば、細胞溶解物または細胞上清中の)を検出することができる。NOVXタンパク質に対して指向した抗体を診断的に使用して、例えば、与えられた処置法の有効性を測定するために臨床検査の手順の一環として組織中のタンパク質レベルをモニターすることができる。抗体を検出可能な物質にカップリング(即ち物理的に連結)することにより、検出を促進し得る。検出可能な物質の例としては、種々の酵素、配合群、蛍光物質、発光物質、生物発光物質および放射性物質を挙げる。適当な酵素の例としては、西洋わさびペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼおよびアセチルコリンエステラーゼを挙げ得る;適当な配合群の例としては、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンを挙げ得る;適当な蛍光物質の例としては、ウンベリフェロン、フルオレッセイン、フルオレッセインイソチオシアナート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレッセイン、塩化ダンシルまたはフィコエリスリンを挙げ得る;発光物質の例としては、ルミノールを挙げ得る;生物発光物質の例としてはルシフェラーゼ、ルシフェリンおよびエクオリンを挙うるし、適当な放射性物質の例としては、125I、131I、35SまたはHを挙げ得る。
抗体治療法
ポリクローナル、モノクローナル、ヒト化および完全なヒト抗体を含む本発明の抗体を治療薬として使用し得る。そのような薬剤を一般的に、対象の疾患または病変の治療または予防に使用する。抗体製剤、好ましくはその標的抗原に対して高い特異性および高い親和性を有するものを対象に投与して、一般的に標的への結合に因る効果を有する。そのような効果は、与えた抗体分子と問題とする標的抗原との間の相互作用の特異的性質に依存する2種類のうちの一つである。第1の場合では、抗体の投与は、標的の本来結合する内在性リガンドとの結合を阻止または阻害し得る。この場合には、抗体は標的に結合して、リガンドがエフェクター分子として作用する、天然に存在するリガンドの結合部位をマスクする。かくして、受容体はリガンドが役割を担う情報伝達経路を仲介する。
これに代えて、作用は、抗体が標的分子上のエフェクター結合部位への結合により生理的結果を誘発するものであり得る。この場合には、疾患または病変においては存在しないかまたは欠陥のあり得る内在性リガンドを有する受容体である標的を、代替のエフェクターリガンドとしての抗体と結合して、受容体に基づく情報伝達事象を受容体により開始する。
本発明の抗体の治療的に有効な量は一般的に、治療目的を達成するのに必要とされる量に関する。上述のように、これは、特定の場合には標的の機能を阻害し、そして他の場合には生理的応答を促進する抗体およびその標的抗原との間の結合相互作用であり得る。投与に必要な量はさらに、特定の抗原に対する抗体の結合親和性に依存するし、そしてまた投与した抗体が投与した対象の自由体積から除去し得る速度に依存する。本発明の抗体または抗体フラグメントの治療的に有効な投与量の通常の範囲は、限定されない例として、約0.1mg/kg体重〜約50mg/kg体重であり得る。通常の投与回数は、例えば、1日2回から1週1回の範囲であり得る。
抗体の医薬組成物
本発明のタンパク質に特異的に結合する抗体、ならびに本明細書に開示するスクリーニングアッセイにより同定する他の分子を、医薬組成物の形で種々の障害の処置のために投与し得る。そのような組成物の調製に関与する原理および考慮事項、ならびに成分の選択の指針は、例えば、The Science And Practice Of Pharmacy 19th ed. (Alfonso R. Gennaro, et al., editors) Mack Pub. Co., Easton, Pa. : 1995、Drug Absorption Enhancement : Concepts, Possibilities, Limitations, And Trends, Harwood Academic Publishers, Langhorne, Pa., 1994、および Peptide And Protein Drug Delivery (Advances In Parenteral Sciences, Vol. 4), 1991, M. Dekker, New Yorkに提供されている。
抗原タンパク質が細胞内にあり、完全な抗体を阻害剤として使用するならば、内部移行性抗体が好ましい。しかしながら、リポソームを使用して、抗体または抗体フラグメントを細胞内に送達し得る。抗体フラグメントを使用する場合には、標的タンパク質の結合ドメインに特異的に結合する最も小さな阻害フラグメントが好ましい。例えば、抗体の可変領域の配列に基づいて、標的タンパク質の配列に結合する能力を保持するペプチド分子をデザインし得る。そのようなペプチドを、化学的および/または組換えDNA技術により合成し得る。例えば、Marasco et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90: 7889-7893 (1993)を参照されたい。本明細書における処方はまた、処置する特定の適応のために必要なニつ以上の活性化合物、好ましくはお互いに悪影響を及ぼし合わない相補的活性を持つものを含有し得る。これに代えて、またはこれに加えて、組成物は、その機能を増強する薬剤、例えば、細胞障害性薬剤、サイトカイン、化学療法剤、または増殖阻害剤を含有していてもよい。そのような分子は好都合には、意図する目的にとって効果的な量で組み合わされて存在する。
活性成分を、例えば、コアセルベーション技術または界面重合により調製したマイクロカプセル中で、例えば、ハイドロキシメチルセルローズまたはゼラチン−マイクロカプセルおよびポリ−(メチルメタクリレート)マイクロカプセル中で、それぞれ、コロイド状薬送達システム(例えば、リポソーム、アルブミン小球体、ミクロエマルジョン、ナノ粒子およびナノカプセル)中に、またはマクロエマルジョン中に閉じ込め得る。
インビボ投与に使用する製剤は無菌でなければならない。このことを、無菌ろ過膜によるろ過により容易に達成する。
徐放性製剤を調製することができる。徐放性製剤の適当な例としては、抗体を含有する固相の疎水性ポリマーの半透過性マトリックスが挙げられ、そのマトリックスは、例えば、フィルムまたはマイクロカプセルのような造形品の形をしている。徐放性マトリックスの例としては、ポリエステル、ハイドロゲル(例えば、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)、またはポリ(ビニルアルコール)、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号)、L−グルタミン酸およびγエチル−Lグルタミン酸エステルの共重合体、非分解性エチレン−ビニルアセテート、LUPRON DEPOT[登録商標](乳酸−グリコール酸共重合体および酢酸リュープロリドより成る注射用マイクロスフェア)のような分解性乳酸−グリコール酸共重合体が挙げられる。酢酸エチレンビニルおよび乳酸−グリコール酸のようなポリマーは100日間に亘って分子を放出することができるが一方、特定のヒドロゲルはより短期間でタンパク質を放出する。
ELISAアッセイ
アナライトのタンパク質を検出する薬剤は、アナライトのタンパク質に結合する能力のある抗体、好ましくは検出可能な標識を持つ抗体である。抗体は、ポリクローナルでもよく、またはさらに好ましくはモノクローナルであり得る。完全な抗体またはそのフラグメント(例えば、FabまたはF(ab)2)を使うことができる。用語「標識」とは、プローブまたは抗体に関して、プローブまたは抗体に検出可能な物質をカップリングする(即ち、物理的に連結する)ことによるプローブまたは抗体の直接標識、ならびに直接に標識するもう一つの薬剤との反応性によるプローブまたは抗体の間接標識を包含するものとする。間接標識の例としては、蛍光標識した第2抗体を用いた第1抗体の検出および蛍光標識ストレプトアビジンで検出できるようにDNAプローブをビオチンで末端標識することが挙げられる。用語「生物学的試料」とは、対象から単離した組織、細胞および生物学的流体、ならびに対象内に存在する組織、細胞および流体を含むものとする。それ故に、用語「生物学的試料」の範囲には血液および血清、血漿、またはリンパ液を含む血液のフラクションまたは成分を含み得る。即ち、本発明の検出法を使用して、生物学的試料中のアナライトのmRNA、タンパク質またはゲノムDNAをインビトロならびにインビボで検出することができる。例えば、アナライトのmRNAの検出のためのインビトロ技術としては、ノーザンハイブリダイゼーションおよびインサイツハイブリダイゼーションを挙げ得る。アナライトのタンパク質のインビトロ検出技術としては、酵素結合免疫吸着検査法(ELISA)、ウエスタンブロット、免疫沈降および免疫蛍光を挙げ得る。アナライトのDNAのインビトロ検出技術としては、サザンハイブリダイゼーションを挙げ得る。イムノアッセイを実施する手順は、例えば、「ELISA: Theory and Practice: Methods in Molecular Biology」, Vol. 42, J. R. Crowther (Ed.) Human Press, Totowa, NJ, 1995、「Immunoassay」, E. Diamandis and T. Christopoulus, Academic Press, Inc., San Diego, CA, 1996、および「Practice and Thory of Enzyme Immunoassays」, P. Tijssen, Elsevier Science Publishers, Amsterdam, 1985に記載されている。さらに、アナライトのタンパク質のインビボ検出のための技術は、標識化した抗アナライトタンパク質抗体を対象に導入することを含む。例えば、対象中での存在または局在が標準的な造影技法で検出できる放射性マーカーで、抗体を標識し得る。
NOVX組換え発現ベクターおよび宿主細胞
本発明のもう一つの態様は、NOVXタンパク質またはその誘導体、フラグメント、類似体または相同体をコードする核酸を含有するベクター、好ましくは発現ベクターに関する。本明細書において使用する用語「ベクター」とは、それに結合しているもう一つの核酸を運搬する能力のある核酸分子を指す。ベクターの一つのタイプは「プラスミド」であり、これは、さらに別なDNAセグメントが結合した環状の二重鎖DNAループを指す。ベクターのもう一つのタイプはウイルスベクターであり、ここではさらに別なDNAセグメントをウイルスゲノムの中に結合し得る。特定のベクターは、それらを導入した宿主細胞中で自律増幅することができる(例えば、細菌の複製起点を持つ細菌のベクターおよび哺乳動物のエピゾームベクター)。他のベクター(例えば、哺乳動物の非エピゾームベクター)は、宿主細胞中への導入に際し宿主細胞のゲノム中に組み込まれて、それにより宿主ゲノムと一緒に複製し得る。さらに、特定のベクターは、それらが作動し得るように連結した遺伝子の発現を指示する能力がある。そのようなベクターを、本明細書において「発現ベクター」と呼称する。一般に、組換えDNA技術において有用な発現ベクターはしばしばプラスミドの形をしている。プラスミドはベクターの最も通常に使用する形態であるので、本明細書においては、「プラスミド」および「ベクター」は互換的に使用し得る。しかしながら、本発明は、同等の機能を有するウイルスベクター(例えば、複製能を欠いたレトロウイルス、アデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルス)のような他の形の発現ベクターを含むこととする。
本発明の組換え発現ベクターは、宿主細胞中における核酸の発現に適した形での本発明の核酸を含み、これは組換え発現ウイルスを、発現に使用する宿主細胞に基づいて選択した発現すべき核酸配列に作動し得るように連結した一つまたはそれ以上の調節配列を含むことを意味する。組換え発現ベクター内において、「作動し得るように連結した」とは、興味のある核酸配列が核酸配列の発現を可能にする様式で(例えばインビトロ転写/翻訳システムでまたはベクターを宿主細胞に導入する場合には宿主細胞中で)調節配列に結合していることを意味するものとする。
用語「調節配列」とは、プロモーター、エンハンサーおよび他の発現制御要素(例えば、ポリアデニル化シグナル)を含むものとする。そのような調節配列は、例えば、Goeddel, GENE EXPRESSION TECHNOLOGY: METHODS IN ENZYMOLOGY 185, Academic Press, San Diego, Calif. (1990)に記載されている。調節配列としては、多くのタイプの宿主細胞中でヌクレオチド配列の構成的発現を指示するものおよび特定の宿主細胞中でのみヌクレオチド配列の発現を指示するもの(例えば、組織特異的調節配列)を挙げ得る。発現ベクターのデザインが、形質転換する宿主細胞の選択、所望のタンパク質の発現レベル等のような要因に依存し得ることを当業者は理解する。本発明の発現ベクターを宿主細胞に導入して、それにより本明細書に説明するように核酸によりコードする融合タンパク質またはペプチドを含むタンパク質またはペプチド(例えば、NOVXタンパク質、NOVXタンパク質の突然変異型、融合タンパク質等)を生産し得る。
本発明の組換え発現ベクターを、原核のまたは真核の細胞中におけるNOVXタンパク質発現用にデザインし得る。例えば、NOVXタンパク質を、Escherichia coliのような細菌細胞、昆虫細胞(バキュロウイルス発現ベクターを使用して)、酵母細胞または哺乳動物細胞中で発現し得る。適当な宿主細胞は、Goeddel, GENE EXPRESSION TECHNOLOGY: METHODS IN ENZYMOLOGY 185, Academic Press, San Diego, Calif. (1990)においてさらに考察されている。これに代えて、組換え発現ベクターを、例えば、T7プロモーター調節配列およびT7ポリメラーゼを用いてインビトロで転写して、翻訳し得る。
真核細胞中におけるタンパク質の発現は最もしばしば、Escherichia coli中で融合タンパク質または非融合タンパク質のどちらかの発現を指示する構成的または誘導性プロモーターを含有するベクターを用いて行われる。融合ベクターは、その中にコードしたタンパク質に多数のアミノ酸を、通常には組換えタンパク質のアミノ末端に付加する。そのような融合ベクターは典型的に三つの目的に役立つ:(i)組換えタンパク質の発現を増大するため;(ii)組換えタンパク質の溶解性を増加するため;および(iii)アフィニティークロマトグラフィーにおけるリガンドとして作用することにより組換えタンパク質の精製を助けるため。しばしば、融合発現ベクターにおいて、タンパク質分解による切断部位を融合部分および組換えタンパク質の接合部に導入して、融合部分から組換えタンパク質の分離に引き続いて融合タンパク質の精製を可能にする。そのような酵素、およびそれらと同種の認識配列としては、Factor Xa、トロンビンおよびエンテロキナーゼを挙げ得る。典型的な融合発現ベクターとしては、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)、マルトースE結合タンパク質、またはプロテインAをそれぞれ標的組換えタンパク質に融合させるpGEX(Pharmacia Biotech Inc; Smith and Johnson, 1988. Gene 67: 31-40)、pMAL (New England Biolabs, Beverly, Mass.)およびpRIT5 (Pharmacia, Piscataway, N.J.) を挙げ得る。
適当な誘導性非融合E. coli発現ベクターの例としては、pTrc(Amrann et al., (1988) Gene 69:301-315)およびpET11d (Studier et al., GENE EXPRESSION TECHNOLOGY: METHODS IN ENZYMOLOGY 185, Academic Press, San Diego, Calif. (1990) 60-89)を挙げ得る。
E. coliにおけるタンパク質発現を最大にする一つの戦略は、組換えタンパク質をタンパク質分解的に切断する能力を障害した宿主細胞中でタンパク質を発現することである。Gottesman, GENE EXPRESSION TECHNOLOGY: METHODS IN ENZYMOLOGY 185, Academic Press, San Diego, Calif. (1990) 119-128を参照されたい。もう一つの戦略は、それぞれのアミノ酸に対する個別のコドンをE. coliで優先的に使用するものとなるように、発現ベクターに挿入する核酸の核酸配列を変更することである(例えば、Wada, et al., 1992. Nucl. Acids Res. 20: 2111-2118を参照)。本発明の核酸配列のそのような変更は標準的DNA合成技法により行い得る。
もう一つの実施形態では、NOVX発現ベクターは酵母の発現ベクターである。酵母のSaccharomyces cerivisae中の発現ベクターの例としては、pYepSec1 (Baldari, et al., 1987. EMBO J. 6: 229-234)、pMFa(Kurjan and Herskowitz, 1982. Cell 30: 933-943)、pJRY88 (Schultz et al., 1987. Gene 54: 113-123)、pYES2(Invitrogen Corporation, San Diego, Calif.)、およびpicZ(InVitrogen Corp, San Diego, Calif.)を挙げ得る。
これに代えて、NOVXをバキュロウイルス発現ベクターを用いて昆虫細胞中で発現し得る。培養昆虫細胞(例えば、SF9細胞)中でのタンパク質発現に利用可能なバキュロウイルスベクターとしては、pAcシリーズ(Smith, et al., 1983. Mol. Cell. Biol. 3: 2156-2165) およびpVLシリーズ(Lucklow and Summers, 1989. Virology 170: 31-39)を挙げ得る。
なおもう一つの実施形態では、本発明の核酸を、哺乳動物の発現ベクターを用いて哺乳動物細胞中で発現し得る。哺乳動物の発現ベクターの例としては、pCDM8(Seed, 1987. Nature 329: 840)およびpMT2PC(Kaufman, et al., 1987. EMBO J. 6: 187-195)を挙げ得る。哺乳動物細胞中で使用するときには、発現ベクターの制御機能はしばしば、ウイルスの調節要素により提供される。例えば、普通に使用するプロモーターは、ポリオーマ、アデノウイルス2、サイトメガロウイルスおよびシミアンウイルス40に由来する。原核のおよび真核の細胞両方にとって適当な他の発現系については、例えば、Chapters 16 and 17 of Sambrook, et al., MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL. 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1989を参照されたい。
もう一つの実施形態では、組換え哺乳動物表現ベクターは、特定の細胞タイプ中で優先的に核酸の発現を指示する能力がある(例えば、組織特異的調節要素を核酸を発現するために使用する)。組織特異的調節要素は当該分野において公知である。適当な組織特異的プロモータの非限定的な例としては、アルブミンプロモーター(肝臓特異的;Pinkert, et al., 1987. Genes Dev. 1: 268-277)、リンパ系特異的プロモーター(Calame and Eaton, 1988. Adv. Immunol. 43: 235-275)、特にT細胞受容体(Winoto and Baltimore, 1989. EMBO J. 8: 729-733)および免疫グロブリン (Banerji, et al., 1983. Cell 33: 729-740; Queen and Baltimore, 1983. Cell 33: 741-748)のプロモーター、ニューロン特異的プロモーター(例えば、ニューロフィラメントプロモーター; Byrne and Ruddle, 1989. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86: 5473-5477)、膵臓特異的プロモーター(Edlund, et al., 1985. Science 230: 912-916)、ならびに乳腺特異的プロモーター(例えば、乳漿;米国特許第4,873,316号及びヨーロッパ出願公開第264,166号)を挙得る。例えば、マウスのhoxプロモーター(Kessel and Gruss, 1990. Science 249: 374-379)およびα−フェトプロテインプロモーター(Campes and Tilghman, 1989. Genes Dev. 3: 537-546)の発生的に調節されるプロモーターも包含する。
本発明はさらに、発現ベクターの中にアンチセンスの配向でクローン化した本発明のDNA分子を含む組換え発現ベクターを提供する。即ち、DNA分子は、NOVX mRNAに対してアンチセンスであるRNA分子の発現(DNA分子の転写による)を可能にするような様式で、調節配列に機能し得るように結合する。種々の細胞タイプ中のアンチセンスRNA分子の連続的発現を指示するアンチセンスの配向にクローン化した核酸に機能し得るように結合した調節配列、例えば、ウイルスのプロモーターおよび/またはエンハンサーを選択することができるか、またはアンチセンスRNAの組織特異的または細胞タイプ特異的な構成的発現を指示する調節配列を選択することができる。アンチセンス発現ベクターは、ベクターを導入した細胞タイプにより活性を決定する高効率調節領域の制御下で、アンチセンス核酸を生産する組換えプラスミド、ファージミドまたは弱毒化ウイルスの形であり得る。アンチセンス遺伝子を用いた遺伝子発現の調節の考察については、例えば、Weintraub, et al., 「Antisense RNA as a molecular tool for genetic analysis」 Reviews-Trends in Genetics, Vol. 1(1) 1986を参照されたい。
本発明のもう一つの態様は、本発明の組換え発現ベクターを導入する宿主細胞に関する。用語「宿主細胞」および「組換え宿主細胞」を、本明細書においては互換的に使用する。そのような用語は、特定の対象の細胞のみならずそのような細胞の子孫または潜在的子孫をまた指すことを理解する。突然変異または環境の影響により後の世代に特定の修飾が生じるかもしれないため、そのような子孫は、実際には親細胞と同一ではないかもしれないが、本明細書において使用する用語の範囲内になお含まれる。
宿主細胞は任意の原核細胞または真核細胞であり得る。例えば、NOVXタンパク質を、E. coliのような細菌細胞、昆虫細胞、酵母または哺乳動物細胞(チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)またはCOS細胞)のような細菌の細胞中で発現することができる。他の適当な宿主細胞は当業者に周知である。
ベクターDNAを、従来の形質転換または形質移入技術により原核細胞または真核の細胞の中に導入することができる。本明細書において使用する用語「形質転換」および「形質移入」とは、リン酸カルシウムまたは塩化カルシウム共沈、DEAE−デキストラン仲介性形質移入、リポフェクション、またはエレクトロポレーションを含む外来の核酸(例えばDNA)を宿主細胞に導入するために当該分野で認める種々の技術を指すものとする。宿主細胞を形質転換しまたは形質移入するための適当な方法は、MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL. 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1989)および他の実験室マニュアルに見出すことができる。
哺乳動物細胞の安定的な形質移入については、使用される発現ベクターおよび形質移入の技法に依存して、細胞のごく小数のフラクションが外来性DNAをそのゲノムの中に組み込み得る。これらの組み込み体を同定し選択するために、選択可能なマーカー(例えば、抗生物質に対する抵抗性)が一般的に、興味のある遺伝子と一緒に宿主細胞に導入される。種々の選択可能なマーカーとしては、G418,ハイグロマイシンおよびメトトレキセートのような薬剤に抵抗性を与えるものが挙げられる。選択可能なマーカーをコードする核酸を、NOVXをコードするものと同一のベクター上で宿主細胞に導入することができか、または別のベクター上で導入することもできる。導入された核酸で安定に形質移入された細胞は、薬剤選択により同定されることができる(例えば、選択可能なマーカーを組み込んでいる細胞は生き残る一方で、他の細胞は死ぬ)。
培地中の原核細胞または真核細胞のような本発明の宿主細胞を用いて、NOVXタンパク質を生産する(即ち、発現する)ことができる。したがって、本発明は、本発明の宿主細胞を用いるNOVXタンパク質の生産方法をさらに提供する。一つの実施形態では、その方法は、本発明の宿主細胞(その中にNOVXタンパク質をコードする組換え発現ベクターを導入する)を、NOVXタンパク質を生産するような適当な培地中で培養することを含む。もう一つの実施形態では、その方法は、培地または宿主細胞からNOVXタンパク質を単離することをさらに含む。
トランスジェニックNOVX動物
本発明の宿主細胞をまた使用して、非ヒトトランスジェニック動物を生産し得る。例えば、一つの実施形態では、本発明の宿主細胞は、その中にNOVXタンパク質コード化配列を導入する受精卵母細胞または胚性幹細胞である。次いで、そのような宿主細胞を使用して、その中で外来性のNOVX配列をゲノムの中に導入する非ヒトトランスジェニック動物、またはその中で内在性のNOVX配列を変更する相同な組換え動物を創成することができる。そのような動物は、NOVXタンパク質の機能および/または活性の研究にならびにNOVXタンパク質活性のモジュレーターの同定および/または評価に有用である。本明細書において使用する「トランスジェニック動物」とは、その中で動物の一つまたはそれ以上の細胞が導入遺伝子を含む非ヒト動物、好ましくは哺乳動物、さらに好ましくはラットまたはマウスのようなげっ歯類である。トランスジェニック動物の他の例としては、ヒト以外の霊長類、ヒツジ、イヌ、ウシ、ヤギ、ニワトリ、両棲類等を挙げ得る。導入遺伝子は、それからトランスジェニック動物が発生する細胞のゲノムの中に取り込まれ、そして成熟動物のゲノム内に残存して、それによりトランスジェニック動物の一つまたはそれ以上の細胞タイプまたは組織中におけるコード化遺伝子産物の発現を指令する外来性DNAである。本明細書において使用する「相同の組換え動物」とは、その中で内在性NOVX遺伝子が内在性遺伝子および、動物の細胞、例えば、動物の胚細胞の中に動物の発生前に導入された外来性DNA分子との間で相同組換えにより変更した非ヒト動物、好ましくは哺乳類、さらに好ましくはマウスである。
本発明のトランスジェニック動物は、NOVXをコードする核酸を受精卵母細胞の雄性前核の中に(例えば、マイクロインジェクション、レトロウイルス感染により)導入して、卵母細胞を偽妊娠雌性仮親動物の体内で発生することを可能にすることにより、創成することができる。配列番号2n−1(ここで、nは1〜12の整数である)のヒトNOVXcDNA配列を、非ヒト動物のゲノム内に導入遺伝子として導入することができる。これに代えて、マウスNOVX遺伝子のようなヒトNOVX遺伝子の非ヒト相同体を、ヒトNOVXのcDNAとのハイブリダイゼーション(上にさらに詳述)に基づいて単離して、導入遺伝子として使用し得る。イントロン配列およびポリアデニル化シグナルもまた、導入遺伝子の発現効率を増加するために導入遺伝子中に含み得る。組織特異的調節配列をNOVX導入遺伝子に機能し得るように結合して、特定の細胞にNOVXタンパク質の発現を指示し得る。胚の操作およびマイクロインジェクションによる、トランスジェニック動物、特にマウスのような動物の作成方法は当該分野において従来的となってきており、例えば、米国特許第4,736,866号; 4,870,009号; および4,873,191号;ならびにHogan, 1986. In: MANIPULATING THE MOUSE EMBRYO, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.に記載されている。類似の方法を他のトランスジェニック動物の生産に用い得る。初代トランスジェニック動物を、ゲノム内のNOVX導入遺伝子の存在および/または動物の組織または細胞中におけるNOVX mRNAの発現に基づいて、同定し得る。次いで、初代トランスジェニック動物を、導入遺伝子を保持する追加的動物の繁殖に使用し得る。さらに、NOVXタンパク質をコードする導入遺伝子を保持するトランスジェニック動物を使用して、他の導入遺伝子を保持するさらに別なトランスジェニック動物を繁殖し得る。
相同の組換え動物を創成するために、その中に欠失、付加または置換を導入していて、それによりNOVX遺伝子を変化させる例えば機能的に破壊するあるNOVX遺伝子の少なくとも一部を含有するベクターを調製する。NOVX遺伝子は、ヒト遺伝子(例えば配列番号2n−1(ここで、nは1〜12の整数である)のcDNA)であり得るが、さらに好ましくはヒトNOVX遺伝子の非ヒト相同体である。例えば、配列番号2n−1(ここで、nは1〜12の整数である)のヒトNOVX遺伝子のマウス相同体を使用して、マウスゲノム中の内在性NOVX遺伝子を変更するのに適する相同組換えベクターを構築することができる。一つの実施形態では、ベクターを、相同組換えにより、内在性遺伝子を機能的に破壊する(即ち、もはや機能的なタンパク質をコードしない;「ノックアウト」ベクターとも呼称する)ようにデザインする。
これに代えて、ベクターは、相同組換えにより内在性NOVX遺伝子を変異するかまたは他のように変更するが、依然機能性タンパク質をコードする(例えば、上流の調節領域を変更してそれにより内在性NOVXタンパク質の発現を変更する)ようにデザインし得る。相同組換えベクターでは、NOVX遺伝子の変更したタンパク質は、NOVX遺伝子のさらに別な核酸により5'末端または3'末端に隣接して、ベクターにより保持する外来性NOVX遺伝子および胚性幹細胞中の内在性NOVX遺伝子の間で相同組換えが起こることを可能にする。さらに別な隣接NOVX核酸は、内在性遺伝子と成功裏に相同組換えが起きるように十分な長さを持つ。典型的には、数キロ塩基の隣接DNA(5'末端および3'末端の両方とも)をベクターに含み得る。相同組換えベクターの記載については、例えば、Thomas, et al., 1987. Cell 51: 503を参照されたい。次いで、ベクターを胚性幹細胞株に(例えば、エレクトロポレーションにより)導入し、そしてその中で導入したNOVX遺伝子を内在性NOVX遺伝子と相同的に組み換えた細胞を選択する。例えば、Li, et al., 1992. Cell 69: 915を参照されたい。
次いで、選択した細胞を動物(例えば、マウス)の胚盤胞の中に注入して、凝集キメラを形成する。例えば、Bradley, 1987. In: TERATOCARCINOMAS AND EMBRYONIC STEM CELLS: A PRACTICAL APPROACH, Robertson, ed. IRL, Oxford, pp. 113-152を参照されたい。次いで、キメラ胚を適当な偽妊娠雌性仮親動物に植え込んで、胚を満期出産する。生殖細胞内に相同組換えしたDNAを保持している子孫を用いて、その中で動物の全ての細胞が、導入遺伝子の生殖系列を介した伝達により相同組換えDNAを含有する動物を繁殖させることができる。相同組換えベクターおよび相同組換え動物を構築する方法は、Bradley, 1991. Curr. Opin. Biotechnol. 2: 823-829; PCT国際公開第: WO90/11354号;WO91/01140号;WO92/0968号;およびWO93/04169号にさらに記載される。
もう一つの実施形態では、導入遺伝子の調節発現を可能にする選択したシステムを含有する非ヒトトランスジェニック動物を生産し得る。そのようなシステムの一つの例は、バクテリオファージP1のcre/loxPリコンビナーゼシステムである。cre/loxPリコンビナーゼシステムの記載については、例えば、Lakso, et al., 1992. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 6232-6236を参照されたい。リコンビナーゼシステムのもう一つの例は、Saccharomyces cerevisiaeのFLPリコンビナーゼシステムである。O'Gorman, et al., 1991. Science 251:1351-1355を参照されたい。もしcre/loxPリコンビナーゼシステムを用いて導入遺伝子の発現を調節するならば、Creリコンビナーゼおよび選択したタンパク質の両方をコードする導入遺伝子を含有する動物が必要となる。そのような動物は、例えば、一つは選択したタンパク質をコードする導入遺伝子を含有し、他はリコンビナーゼをコードする導入遺伝子を含有する二つのトランスジェニック動物を交配させることによる「ダブル」トランスジェニック動物の構築により提供し得る。
本明細書に説明した非ヒトトランスジェニック動物のクローンはまた、Wilmut, et al., 1997. Nature 385: 810-813に記載された方法にしたがって生産することができる。略述すれば、トランスジェニック動物から細胞(例えば体細胞)を単離し、誘導して、増殖サイクルから抜け出てG期に入ることができる。次いで、静止細胞を、例えば、電気パルスの使用により静止細胞を単離したのと同じ種類の動物由来の脱核した卵母細胞と融合することができる。次いで、再構成した卵母細胞を、それを桑実胚または胚盤胞にまで発生させて、次いで擬妊娠雌性仮親動物に導入するように培養する。この雌性仮親動物から生まれた子孫は、細胞(例えば体細胞)を単離する動物のクローンである。
医薬組成物
本発明のNOVX核酸分子、NOVXタンパク質、抗−NOVX抗体(本明細書では「活性化合物」ともいう)、ならびにそれらの誘導体、フラグメント、類似体および相同体を投与に適する医薬組成物の中に組込み得る。典型的に、そのような組成物は核酸分子、タンパク質または抗体およびおよび医薬的に許容され得る担体を含む。本明細書において使用する「医薬的に許容され得る担体」とは、医薬品投与に適合する任意のおよび全ての溶媒、分散媒、コーティング剤、抗菌および抗かび剤、等張および吸収遅延剤等を含むことを意図する。適当な担体は、この分野で標準的な参照テキストであるRemingtonの薬剤学の最新版(出典明示により本明細書の一部とする)に記載されている。そのような担体または賦形剤の好ましい例としては、水、食塩水、フィンガー溶液、ブドウ糖溶液および5%ヒト血清アルブミンを挙げるが、それらに限定しない。リポソームおよび油脂のような非水溶性ビークルもまた使用する。薬学的に活性な物質のためのそのような媒体および薬剤は当該分野において周知である。任意の従来の媒体または薬剤が活性化合物に適合しない限りでなければ、組成物内のそれらの使用を意図する。補助的な活性化合物をまた、組成物の中に組込み得る。
本発明の医薬組成物を、その意図する投与経路に適合するように処方する。投与経路の例としては、非経口の、例えば、静脈の、皮内の、皮下の、経口の(例えば、吸入)、経皮の(即ち局所の)、経粘膜のおよび直腸の投与を挙げ得る。非経口の、皮内のまたは皮下の応用に使用する溶液または懸濁液としては、以下の成分を挙げることができる:注射用水のような無菌賦形剤、食塩水溶液、油脂、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒;ベンジルアルコールまたはメチルパラベンのような抗菌剤;アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウムのような抗酸化剤;エチレンジアミン四酢酸(EDTA)のようなキレート化剤;酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩のような緩衝剤、ならびに塩化ナトリウムまたはブドウ糖のような等張性を調整する薬剤。塩酸または水酸化ナトリウムのような酸または塩基を用いてpHを調整することができる。非経口性製剤を、ガラスまたはプラスチックで作るアンプル、使い捨て注射器、または多回使用バイアルの中に封入し得る。
注射用に適する医薬組成物としては、無菌水溶液(水溶性である場合)または分散液および無菌注射用の溶液または分散液の必要に応じて調合する製剤用の無菌粉末を挙げ得る。静脈投与のためには、適当な担体としては、生理食塩水、静菌性水、Cremophor EL[登録商標] (BASF, Parsippany, N.J.)またはリン酸緩衝食塩水(PBS)を挙げ得る。全ての場合において、組成物は無菌でなければならず、容易に注射できる程度に流動性であるべきである。それは製造および保管の条件下で安定でなければならず、そして細菌および真菌のような微生物の汚染作用に対して保護されなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセリン、プロピレングリコールおよび液性ポリエチレングリコール等)ならびにそれらの適当な混合液を含有する溶媒または分散媒体であり得る。適切な流動性を、例えば、レシチンのようなコーティングの使用により、分散液の場合には必要な粒子径の維持により、および界面活性剤の使用により、保持し得る。微生物作用の保護は、種々の抗菌および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサール等、により達成される。多くの場合に、組成物中に、等張性薬剤、例えば、砂糖、マニトールのようなポリアルコール、ソルビトール、塩化ナトリウムを含むことが好ましい。注射用組成剤の吸収の延長は、組成物中に吸収を遅延する薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを含むことによりもたらせ得る。
無菌注射用溶液を、適切な溶媒の中に一つまたは上で列挙した成分の組合せと共に必要な量で活性化合物(例えば、あるNOVXタンパク質または抗NOVX抗体)を組み込み、ついでろ過滅菌を行なうことにより調製することができる。一般的に、分散液は、基本的な分散媒体および上で列挙したものから必要な他の成分を含有する無菌ビークルの中に活性化合物を組み込むことにより調製することができる。無菌注射用溶液の調製のための無菌粉末の場合には、調製方法は、活性成分の粉末プラス前もって無菌ろ過されたその溶液からの任意のさらに別の望ましい成分の粉末を生成する真空乾燥および凍結乾燥である。
一般的に、経口の組成物は、不活性賦形剤または食用の担体を含む。それらをゼラチンカプセル中に封入するかまたは錠剤に打錠することができる。経口治療投与の目的には、活性化合物を添加物と共に組込んで錠剤、トローチまたはカプセルの形状で使用することができる。経口の組成物をまた、うがい薬としての使用のために液体担体を用いて調製し得るが、そこでは液体担体中の化合物を経口的に塗布し、さっと取り除いて、吐き出すか飲み込む。薬学的に適合する結合剤、おおび/またはアジュバント材料を組成物の一部として含み得る。錠剤、丸剤、カプセル、トローチ等は任意の以下の成分または同様な性質を持つ化合物を含有し得る:微結晶セルロース、トラガカントゴムまたはゼラチンのような結合剤;デンプンまたは乳糖のような添加剤、アルギン酸、プリモゲルまたはコーンスターチのような崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムまたはステロートのような滑沢剤;コロイド状二酸化ケイ素のような滑り剤;ショ糖またはサッカリンのような甘味剤;またはハッカ、サルチル酸メチル、オレンジ香料のような着香剤。
吸入による投与のためには、化合物を、適当な噴射剤、例えば二酸化炭素のようなガスを含有する加圧容器またはディスペンザー、またはネブライザーからエアゾールスプレイの形式で送達し得る。
全身的投与はまた、経粘液または経皮手段により得る。経粘液または経皮投与のためには、透過すべきバリアーに適切な浸透剤を処方に使用する。そのような浸透剤は当該分野において一般的に公知であり、そして、例えば、経粘液投与のためには、洗剤、胆汁酸塩、フシジン酸誘導体を挙げ得る。経粘液投与は鼻腔スプレーまたは坐剤の使用により達成され得る。経皮投与のためには、活性化合物は、当該分野において一般的に公知であるように、軟膏、軟膏剤、ゲルまたはクリームの中に処方される。
化合物をまた、直腸送達のために坐薬(例えば、ココアバターおよび他のグリセリドのような従来の坐剤用基材と共に)または保持浣腸剤の形式で調製し得る。
一つの実施形態において、活性化合物を、インプラントおよびマイクロカプセル化送達システムを含む制御放出製剤のように、化合物を身体からの迅速な排泄から防止する担体と共に調製する。酢酸エチレンビニル、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステルおよびポリ酢酸のような、生物分解性で生体適合性のポリマーを使用し得る。そのような製剤を調製する方法は当業者に明らかである。材料はまた、Alza CorporationおよびNova Pharmaceuticals, Inc.から市販で入手可能である。リポソームの懸濁液(モノクローナル抗体を持つ感染した細胞からウイルス抗体に至って標的化したリポソームを含む)をまた、医薬的に許容され得る担体として使用することができる。これらを、例えば米国特許第4,522,811号に記載のように、当業者に公知の方法に従い調製し得る。
投与の容易さおよび投与量の均一性のために、経口性または非経口性の組成物を単位投与剤型で処方することが特に有益である。本明細書で使用する単位投与剤型とは、処置する対象に対して単一の投与量として適する物理学的に分離した単位を指し;それぞれの単位は、必要な薬学的な担体と一緒に望ましい治療効果を生じるように計算した予め決められた量の活性化合物を含有する。本発明の単位投与剤型の規格は、活性化合物の特異な特色および達成するべき特別な治療効果、ならびにそのような活性化合物を個体の処置のために配合する当該分野に固有の制限により指示されかつ直接に依存する。
本発明の核酸分子をベクターの中に挿入して遺伝子治療ベクターとして使用することができる。遺伝子治療ベクターを、例えば、静脈注射、局所投与により(例えば、米国特許第5,328,470号を参照)または走触性注射(例えば、Chen, et al., 1994. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91: 3054-3057を参照)により送達し得る。遺伝子治療ベクターの医薬製剤は、許容される賦形剤の中に遺伝子治療ベクターを含むか、またはその中に遺伝子治療ベクターを埋め込んだ持続性マトリックスを含み得る。これに代えて、完全な遺伝子治療ベクターを組換え細胞、例えばレテロウイルスベクターから無傷で生産し得る場合には、医薬製剤は遺伝子送達システムを生産する一つまたはそれ以上の細胞を含み得る。
医薬製剤を、投与指示書と共に、容器、パックまたはディスペンサーの中に含み得る。
スクリーニングおよび検出の方法
以下に詳述するように、本発明の単離核酸分子を使用して、NOVXタンパク質を発現し(例えば、遺伝子治療応用において宿主細胞中で組換え発現ベクターを介して)、NOVX mRNA(例えば、生物学的試料中の)またはNOVX遺伝子中の遺伝的欠損を検出し、そしてNOVX活性を調整することができる。加えて、NOVXタンパク質を用いて、NOVXタンパク質の活性または発現を調整する薬または化合物をスクリーニングし、ならびにNOVXタンパク質の不十分なまたは過剰な生産、またはNOVXの野生型タンパク質と比較して低下または異常な活性を有するNOVXタンパク質型の生産を特徴とする疾患(例えば;糖尿病(インスリン放出を調節する);肥満(脂質に結合し輸送する);肥満に関連した代謝障害、代謝的シンドロームXならびに慢性障害および種々のがんに随伴する食欲不振および消耗性障害、ならびに感染性疾患(抗微生物活性を有する)および種々の異脂肪血症を処置し得る。加えて、本発明の抗NOVX抗体を使用して、NOVXタンパク質を検出しかつ単離し、そしてNOVX活性を調整し得る。なおさらなる態様では、本発明を方法で使用して、食欲、栄養の吸収および代謝基質の処分を正および負の両方の様式で影響させることができる。
本発明はさらに、本明細書に説明するスクリーニングアッセイで同定する新規な薬剤および上述の処置のためのそれらの使用に関する。
スクリーニングアッセイ
本発明は、モジュレーター、即ち、NOVXタンパク質に結合するか、または、例えばNOVXタンパク質の発現またはNOVXタンパク質の活性に促進的または阻害的作用を有する候補または試験化合物または薬剤(例えば、ペプチド、ペプチドミメティクス、低分子または他の薬)を同定する方法(本明細書では「スクリーニングアッセイ」とも呼称する)を提供する。本発明はまた、本明細書に説明するスクリーニングアッセイにおいて同定した化合物を含む。
一つの実施形態では、本発明は、膜結合型のあるNOVXタンパク質またはポリペプチドまたはその生物学的に活性な部分に結合するかまたは活性を調整する候補または試験化合物をスクリーニングするためのアッセイを提供する。本発明の試験化合物を、生物学的ライブラリー;空間的にアドレス参照可能な並列の固相または液相ライブラリー;デコンボリューションを必要とする合成的ライブラリー方法;「1ビーズ1化合物」ライブラリー方法;およびアフィニティークロマトグラフィー選択を使用する合成ライブラリー方法:を含む、当該分野において周知のコンビナトリアルライブラリーにおける数多くのアプローチのいずれを用いても得られる。生物学的ライブラリーのアプローチはペプチドライブラリーに限定される一方で、他の4種のアプローチはペプチド、非ペプチドオリゴマーまたは化合物の低分子ライブラリーに適用可能である。例えば、Lam, 1997. Anticancer Drug Design 12: 145を参照されたい。
本明細書において使用する「低分子」とは、約5kD未満の、最も好ましくは約4kD未満の分子量を有する組成物を指す。低分子は、例えば、核酸、ペプチド、ポリペプチド、ペプチドミメティクス、炭水化物、脂質または他の有機のまたは無機の分子であり得る。化学的および/または、真菌、細菌、または藻類の抽出物のような、生物学的混合物は当該分野において公知であり、本発明の任意のアッセイを用いてスクリーニングすることができる。
分子ライブラリー合成方法の例を、例えば、DeWitt, et al., 1993. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 90: 6909、Erb, et al., 1994. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 91: 11422、Zuckermann, et al., 1994. J. Med. Chem. 37: 2678、Cho, et al., 1993. Science 261: 1303; Carrell, et al., 1994. Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 33: 2059、Carell, et al., 1994. Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 33: 2061、およびGallop, et al., 1994. J. Med. Chem. 37: 1233における当該分野に見出し得る。
化合物のライブラリーを、溶液中で(例えば、Houghten, 1992. Biotechniques 13: 412-421)、またはビーズ上で(Lam, 1991. Nature 354: 82-84)、チップ上で(Fodor, 1993. Nature 364: 555-556)、バクテリア(Ladner, 米国特許第5,223,409号)、胞子 (Ladner, 米国特許第5,233,409号)、プラスミド (Cull, et al., 1992. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 1865-1869)上でまたはファージ上で(Scott and Smith, 1990. Science 249: 386-390; Devlin, 1990. Science 249: 404-406、Cwirla, et al., 1990. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 87: 6378-6382、Felici, 1991. J. Mol. Biol. 222: 301-310、Ladner, 米国特許第5,233,409号)で提供し得る。
ある実施形態では、アッセイは細胞に基づくアッセイであり、そこでは膜結合型のNOVXタンパク質またはその生物学的に活性な部分を細胞表面に発現する細胞を試験化合物と接触させ、そして試験化合物があるNOVXタンパク質に結合する能力を測定する。細胞は、例えば、哺乳動物由来または酵母細胞であり得る。試験化合物がNOVXタンパク質に結合する能力を測定することは、例えば、試験化合物を放射性同位元素または酵素標識とカップリングして、NOVXタンパク質またはその生物学的に活性な部分への試験化合物の結合を、複合物中の標識化合物を検出することにより測定できるようにする。例えば、試験化合物を、125I、35S、14CまたはHで直接的にまたは間接的に標識し、そして放射性同位元素を放射線放射の直接計数またはシンチレーション計数により検出する。これに代えて、試験化合物を、例えば、西洋わさびペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、またはルシフェラーゼにより酵素的に標識し、そして適切な基質の生産物への変換の測定により酵素標識を検出する。ある実施形態では、アッセイは、膜結合型のNOVXタンパク質またはその生物学的に活性な部分を細胞表面に発現する細胞を、NOVXに結合する既知の化合物と接触して、アッセイ混合物を形成して、アッセイ混合物を試験化合物と接触し、そして試験化合物があるNOVXタンパク質と相互作用する能力を測定することを含むが、そこでは試験化合物があるNOVXタンパク質と相互作用する能力を測定することは、試験化合物がNOVXタンパク質またはその生物学的に活性な部分に、既知化合物と比較して優先的に結合する能力を測定することを含む。
もう一つの実施形態では、アッセイは細胞に基づくアッセイであり、膜結合型のNOVXタンパク質またはその生物学的に活性な部分を細胞表面に発現する細胞を試験化合物と接触し、そして試験化合物がNOVXタンパク質またはその生物学的に活性な部分の活性を調整する(例えば促進または阻害する)能力を測定することを含む。試験化合物がNOVXまたはその生物学的に活性な部分の活性を調整する活性を測定することは、例えば、NOVXタンパク質があるNOVXの標的分子と結合するかまたは相互作用をする能力を測定することにより達成し得る。本明細書において使用する「標的分子」とは、自然界であるNOVXタンパク質が結合または相互作用する分子、例えば、あるNOVXと相互作用するタンパク質を発現する細胞表面の分子、2番目の細胞表面の分子、細胞外の環境中の分子、細胞膜の内側表面と会合している分子または細胞質の分子である。NOVXの標的分子は、非NOVX分子または本発明のあるNOVXタンパク質またはポリペプチドであり得る。一つの実施形態では、あるNOVXの標的分子は、細胞外のシグナル(例えば、膜結合NOVX分子への化合物の結合により発生するシグナル)を細胞膜を通してかつ細胞内への伝達を促進する情報伝達経路の成分である。標的は、例えば、触媒活性を有する2番目の細胞内タンパク質または下流のシグナル分子とNOVXとの会合を促進するタンパク質であり得る。
NOVXタンパク質をあるNOVXの標的分子と結合するかまたは相互作用をする能力を測定することは、直接的な結合を測定する上述の方法の一つにより達成し得る。一つの実施形態では、NOVXタンパク質があるNOVXの標的分子と結合または相互作用する能力を測定することは、標的分子の活性を測定することにより達成することができる。例えば、標的分子の活性を、標的の細胞性第二のメッセンジャー(即ち、細胞内Ca2+、ジアシルグリセロール、IP等)の誘導を検出すること、適切な基質に対する標的の触媒/酵素活性を検出すること、受容体遺伝子(検出可能なマーカー、例えば、ルシフェラーゼ、をコードする核酸に機能し得るように結合したNOVX応答性調節要素を含む)の誘導を検出すること、または細胞応答、例えば、細胞の生存、細胞の分化、または細胞の増殖、を検出することにより測定し得る。
なおもう一つの実施形態では、本発明のアッセイは無細胞アッセイであって、あるNOVXタンパク質またはその生物学的に活性な部分を試験化合物と接触し、そして試験化合物がNOVXタンパク質またはその生物学的に活性な部分と結合する能力を測定することを含む。NOVXタンパク質への試験化合物の結合を、上述のように、直接的または間接的のどちらかで測定することができる。一つのそのような実施形態では、アッセイは、NOVXタンパク質またはその生物学的に活性な部分をNOVXと結合する既知の化合物と接触して、アッセイ混合物を形成すること、アッセイ混合物を試験化合物と接触すること、および試験化合物があるNOVXタンパク質と相互作用する能力を測定することを含むが、そこでは試験化合物があるNOVXタンパク質と相互作用する能力を測定することは、試験化合物がNOVXタンパク質またはその生物学的に活性な部分に既知化合物と比較して優先的に結合する能力を測定することを含む。
なおもう一つの実施形態では、アッセイは、NOVXタンパク質またはその生物学的に活性なタンパク質を試験化合物と接触し、そして試験化合物がNOVXタンパク質またはその生物学的に活性なタンパク質の活性を調整する(例えば促進または阻害する)能力を測定することを含む無細胞アッセイである。NOVXの活性を調整する試験化合物の能力を測定することは、例えば、NOVXタンパク質があるNOVXの標的分子に結合する活性を直接な結合を測定するために上述した方法の一つにより達成することができる。さらに別の実施形態では、試験化合物がNOVXタンパク質の活性を調節する能力を測定することは、NOVXタンパク質がさらにあるNOVXの標的分子を調整する能力を測定することにより達成することができる。例えば、適切な基質に対する標的分子の触媒/酵素活性を上述のように測定することができる。
なおもう一つの実施形態では、無細胞アッセイは、NOVXタンパク質またはその生物学的に活性な部分をNOVXタンパク質と結合する既知の化合物と接触して、アッセイ混合物を形成すること、アッセイ混合物を試験化合物と接触すること、そして試験化合物がNOVXタンパク質と相互作用する能力を測定することを含むが、そこでは試験化合物があるNOVXタンパク質と相互作用する能力を測定することは、NOVXタンパク質があるNOVXの標的分子に優先的に結合するかまたはその活性を調整する能力を測定することを含む。
本発明の無細胞アッセイは、可溶性型または膜結合型のNOVXタンパク質の両方に使用することができる。膜結合型のNOVXタンパク質を含む無細胞アッセイの場合には、膜結合型のNOVXタンパク質を溶液中に維持するように、可溶化剤を利用するのが望ましい。そのような可溶化剤の例としては、n−オクチルグルコシド、n−ドデシルグルコシド、n−ドデシルマルトシド、オクタノイル−N−メチルグルカミド、デカノイル−N−メチルグルカミド、Triton[登録商標]X-100、Triton[登録商標]X-114、Thesit[登録商標]、イソトリデシポリ(エチレングリコールエーテル)のような非イオン性界面活性剤、N−ドデシル−N,N−ジメチル−アンモニオ−1−プロパンスルホネート、3−(3−クロルアミドプロピル)ジメチルアミニオール−1−プロパンスルホネート(CHAPS)、または3−(3−クロルアミドプロピル)ジメチルアミニオール−2ヒドロキシ−1−プロパンスルホネート(CHAPSO)を挙げ得る。
本発明の上記のアッセイ法の二つ以上の実施形態において、NOVXタンパク質またはその標的分子を固相化して、一つまたは両方のタンパク質の非複合型から複合型の分離を容易にし、ならびにアッセイの自動化に適合することができる。試験化合物のNOVXタンパク質への結合、または候補化合物存在下および非存在下でのNOVXタンパク質と標的分子との相互作用は、反応物質を含有するのに適する任意の容器において達成することができる。そのような容器の例としては、マイクロタイタープレート、試験管、およびマイクロ遠心チューブを挙げ得る。一つの実施形態では、一つまたは両方のタンパク質をマトリックスに結合することを可能にするドメインを付加する融合タンパク質を提供し得る。例えば、GST−NOVX融合タンパク質またはGST−標的融合タンパク質をグルタチオンセファローズビーズ(Sigma Chemical, St. Louis, MO)またはグルタチオンで誘導体化したマイクロタイタープレート上に吸着し、これを次いで試験化合物、または試験化合物および非吸着標的タンパク質またはNOVXタンパク質のどちらかと結合し、そして混合物を複合体形成を促進する条件下で(例えば、塩およびpHに関して生理的な条件で)インキュベートする。インキュベーション後、ビーズまたはマイクロタイタープレート穴を洗滌して、非結合成分を全て除去し、ビーズの場合にはマトリックスを固定化し、複合体を例えば上述のように、直接的にまたは間接的に測定する。これに代えて、複合体をマトリックスから解離し、そしてNOVXタンパク質の結合または活性レベルを標準的技術を用いて測定することもできる。
マトリックス上にタンパク質を固定化する他の技術をまた、本発明のスクリーニングアッセイに使用し得る。例えば、NOVXタンパク質またはその標的分子のいずれかをビオチンおよびストレプトアビジンの結合を利用して固定化することができる。ビオチニル化NOVXタンパク質または標的分子をビオチン−NHS(N−ヒドロキシ−サクシンイミド)から当該分野内で周知の技術(例えば、ビオチニル化キット、Pierce Chemicals, Rockford, Ill.)を用いて調製して、ストレプトアビジンをコーティングした96穴プレート(Pierce Chemical)の穴に固定化することができる。これに代えて、NOVXタンパク質または標的分子と反応性であるが、NOVXタンパク質のその標的タンパク質への結合を妨害しない抗体をプレートの穴に誘導体化して、非結合標的またはNOVXタンパク質を抗体との結合により穴に捕捉することができる。そのような複合体を検出する方法としては、GST−固定化複合体について上述したものに加えて、NOVXタンパク質または標的分子と反応する抗体を用いる複合体の免疫検出、ならびにNOVXタンパク質または標的分子に関連した酵素活性を検出することに依存する酵素結合アッセイを挙げ得る。
もう一つの実施形態では、NOVXタンパク質発現のモジュレータを、細胞を候補化合物と接触し、細胞中のNOVX mRNAまたはタンパク質の発現を測定する方法で同定する。候補化合物の存在下でのNOVX mRNAまたはタンパク質の発現レベルを、候補化合物の非存在下でのNOVX mRNAまたはタンパク質の発現レベルと比較する。次いで、候補化合物を、この比較に基づいてNOVX mRNAまたはタンパク質のモジュレータとして同定し得る。例えば、NOVX mRNAまたはタンパク質の発現を候補化合物の存在下での方がその非存在下でよりも多い(即ち統計的に有意に多い)ときには、候補化合物を、NOVX mRNAまたはタンパク質発現の促進剤として同定する。これに代えて、NOVX mRNAまたはタンパク質の発現が候補化合物の存在下での方がその非存在下でよりも少ない(即ち統計的に有意に少ない)ときには、候補化合物を、NOVX mRNAまたはタンパク質発現の阻害剤として同定する。細胞中のNOVX mRNAまたはタンパク質の発現のレベルを、NOVX mRNAまたはタンパク質を検出するために本明細書で説明する方法により測定することができる。
本発明のなおもう一つの態様では、NOVXタンパク質は2ハイブリッドアッセイまたは3ハイブリッドアッセイ(例えば米国特許第5,283,317号、Zervos, et al., 1993. Cell 72: 223-232、Madura, et al., 1993. J. Biol. Chem. 268: 12046-12054、Bartel, et al., 1993. Biotechniques 14: 920-924、Iwabuchi, et al., 1993. Oncogene 8: 1693-1696、および Brent 第WO94/10300号を参照)おける「ベイトタンパク質」として使用して、NOVXと結合または相互作用をしてNOVX活性を調整する他のタンパク質(「NOVX結合タンパク質」または「NOVX−bp」)を同定し得る。そのようなNOVX結合タンパク質はまた、例えば、NOVX経路の上流または下流の要素としてNOVXタンパク質によるシグナルの増幅にも関与する。
2ハイブリッドシステムは、分離可能なDNA結合および活性化ドメインより成る殆どの転写因子のモジュール構成的性質に基づく。略述すれば、アッセイには2つの異なるDNA構築物を利用する。1つの構築物においては、NOVXをコードする遺伝子を既知の転写因子(例えば、GAL−4)のDNA結合ドメインをコードする遺伝子に融合する。他の構築物においては、未同定のタンパク質(「プレイ」または「試料」)をコードするDNA配列ライブラリー由来のDNAを、既知の転写因子の活性化ドメインをコードする遺伝子に融合する。もし「ベイト」および「プレイ」タンパク質がインビボで相互作用してNOVX依存性複合体を形成することができれば、転写因子のDNA結合および活性化ドメインを近くに引き寄せ得る。この近接は、転写因子に応答性の転写調節部位に機能し得るように結合したレポーター遺伝子(例えば、LacZ)の転写を可能にする。レポーター遺伝子の発現を検出し、機能的転写因子を含有する細胞コロニーを単離し、そしてこれを用いてNOVXと相互作用するタンパク質をコードするクローン化遺伝子を得ることができる。
本発明はさらに前述のスクリーニングアッセイにより同定する新規薬剤および本明細書に説明する処置へのその使用に関する。
検出アッセイ
本明細書で同定するcDNAの一部またはフラグメント(および対応する完全な遺伝子配列)をポリヌクレオチド試薬として種々の方式で使用することができる。例として、限定は無しに、これらの配列を:(i)染色体上にそれぞれの遺伝子をマップし;かくして遺伝的疾患に関連した遺伝子領域を位置決定する;(ii)微量の生物学的試料から個体を同定する(組織タイピング);および(iii)生物学的試料の法医学的同定を助けるために用い得る。これらの応用の幾つかを以下のサブセクションで説明する。
染色体マッピング
一旦遺伝子の配列(または配列の一部)を単離すれば、この配列を用いて、染色体上の遺伝子の位置をマップすることができる。この方法を染色体マッピングと呼ぶ。したがって、配列番号2n−1(ここで、nは1〜12の整数である)であるNOVX配列の一部またはフラグメント、またはそれらのフラグメントまたは誘導体を用いて、染色体上のNOVX遺伝子の位置をそれぞれマップし得る。染色体へのNOVX配列のマッピングは、これらの配列を疾患に関連する遺伝子と相関づける重要な第一歩である。
略述すれば、NOVX遺伝子を、NOVX配列からPCRプライマー(好ましくは15−25bp長)を調製することにより染色体にマップし得る。NOVX配列のコンピューター分析を使用して、そのため増幅プロセスを複雑にする、ゲノムDNA中の二つ以上のエキソンに亘らないプライマーを迅速に選択し得る。次いで、これらのプライマーを、個別のヒト染色体を含有する体細胞ハイブリッドのPCRスクリーニングに使用し得る。NOVX配列に対応するヒト遺伝子を含有するそれらのハイブリッドのが、増幅したフラグメントを生成する。
体細胞ハイブリッドは、異なる哺乳動物由来の体細胞(例えば、ヒトおよびマウスの細胞)を融合することにより調製する。ヒトおよびマウスの細胞のハイブリッドが増殖し、分裂するうちに、それらはヒト染色体をランダムな順序で徐々に欠失するが、マウスの染色体を保持する。特定の酵素を欠くためマウス細胞は増殖できないが、ヒト細胞は増殖できる培地を用いることにより、必要とする酵素をコードする遺伝子を含有する一つのヒト染色体を保持する。種々の培地を使用することにより、ハイブリッド細胞株のパネルを樹立し得る。パネル中のそれぞれの細胞株は、単一のヒト染色体または少数のヒト染色体、および完全なセットのマウス染色体を含有し、個別の遺伝子を特定のヒト染色体に容易にマップすることを可能にする。例えば、D'Eustachio, et al., 1983. Science 220: 919-924を参照されたい。ヒト染色体のフラグメントのみを含有する体細胞ハイブリッドをまた、転座および欠失を持つヒト染色体を用いることにより生産し得る。
体細胞ハイブリッドのPCRマッピングは、特定の配列を特定の染色体に対応付ける迅速な手順である。単一のサーマルサイクラーを用いて、1日に3個以上の配列を対応付けることが可能である。NOVX配列を用いてオリゴヌクレオチドプライマーをデザインすることにより、特定の染色体由来のフラグメントのパネルを用いて細かな局在部位の特定化を達成し得る。
分裂中期の染色体スプレッドへのDNA配列の蛍光インシツハイブリダイゼーション(FISH)をさらに用いて、正確な染色体上の位置を1ステップで提供し得る。染色体スプレッドを、コルセミドのような紡錘体を破壊する化学物質により細胞分裂を分裂中期でブロックされている細胞を用いて作成し得る。染色体を短時間トリプシンで処理し、次いでギムザ染色し得る。明暗のバンドのパターンがそれぞれの染色体上に出現し、それにより染色体を個別に同定し得る。FISH技術を500または600塩基と短いDNA配列で使用し得る。しかしながら、1000塩基より大きなクローンは、簡単な検出に十分なシグナル強度で特定の染色体上の位置に結合する可能性がより高い。好ましくは1000塩基、そしてさらに好ましくは2000塩基が合理的な時間に良好な結果を得るのに十分である。この技術の総説については、Verma, et al., HUMAN CHROMOSOMES: A MANUAL OF BASIC TECHNIQUES (Pergamon Press, New York 1988を参照されたい。
染色体マッピング用の試薬を個別に使用して、単一の染色体またはその染色体上の単一の部位を標識すること、または試薬のパネルを複数の部位および/または複数の染色体を標識するために使用し得る。遺伝子の非コード化領域に対応する試薬が実際には、マッピングの目的には好ましい。コード化領域を遺伝子ファミリー内で保存する可能性がより高く、かくして染色体マッピングの間に交叉ハイブリダイゼーションのチャンスが増大する。
一旦配列を正確な染色体上の位置にマッピングすると、染色体上の配列の物理的な位置を遺伝子マップのデータと関連づけ得る。そのようなデータを、例えば、in McKusick, Mendelian Inheritance in Man (Hopkins University Welch Medical Libraryを通してオンラインで入手可能)に見出す。同じ染色体部位にマッピングした遺伝子と疾患との間の関係を、次いで、例えば、Egelおよび, et al., 1987. Nature, 325: 783-787に記載する関連分析(物理的に隣接している遺伝子の同時遺伝)により同定し得る。
さらに、NOVX遺伝子に関連した疾患に罹患している個体と罹患していない個体の間のDNA配列の差を測定し得る。もし変異を罹患している個体のいくらかまたは全部で観察するが、罹患していない個体のいずれでも観察しないならば、変異は特定の疾患の原因剤である可能性が高い。罹患した個体と罹患していない個体の比較は一般的に、まず染色体スプレッドから視認可能な欠失または転座のような染色体の目に見える構造変化、またはそのDNA配列に基づくPCRの使用で検出可能な構造変化の探索を伴う。最後に、数人の個体由来の遺伝子の完全なシークエンシングを行って、変異の存在を確認し、そして変異を多型性と区別し得る。
組織タイピング
本発明のNOVX配列をまた使用して、微量な生物学的試料から個体を同定し得る。この技術では、個体のゲノムDNAを一つまたはそれ以上の制限酵素で消化して、サザンブロット上でプローブ結合し、同定用のユニークなバンドを生成する。本発明の配列は、RFLP(制限断片長多型、米国特許第5,272,057号に記載)のさらに別なDNAマーカーとして有用である。
さらに、本発明の配列を使用して、個体のゲノムの選択した部分の実際の塩基ごとのDNA配列を測定するさらに別な技術を提供し得る。かくして、本明細書に説明したNOVX配列を用いて、配列の5'末端および3'末端から二つののPCRプライマーを調製し得る。次いで、これらのプライマーを用いて、個体のDNAを増幅し、引き続いてこれをシークエンシングし得る。
それぞれの個体は、対立遺伝子の違いによるそのようなDNAの特徴的セットを有するため、この様式で調製した個体由来の対応するDNA配列のパネルは、特徴的個体の同定を提供し得る。本発明の配列を使用して、個体および組織由来のそのような同定配列を得ることができる。本発明のNOVX配列は、ヒトゲノムの部分を特徴的に表現する。対立遺伝子の変異は、これらの配列のコード化領域中にある程度起こり、そして非コード化領域中にはより大きな程度で起こる。個別のヒト間の対立遺伝子の変異は、500塩基に約1個の頻度で起こるとみつもられる。対立遺伝子変異の多くは、制限断片長多型(RFLP)を含む単一ヌクレオチド多型(SNP)に因る。
本明細書に説明する配列のそれぞれを、個体由来のDNAを同定の目的で比較し得る標準として、ある程度、使用し得る。非コード化領域にはより多くの遺伝子多型が起こるため、個体を識別するにはより少ない配列が必要である。非コード化配列は、それぞれが100塩基の非コード化増幅配列を生じる多分10〜1000個のプライマーのパネルにより個体の明白な同定を無理なく提供し得る。もし配列番号2n−1(ここで、nは1〜12の整数である)の配列のような予想するコード化配列を使用すれば、明白な個体の同定のためのさらに適切なプライマーの数は500〜2000である。
予測医学
本発明はまた、診断アッセイ、予後アッセイ、薬理ゲノミクス、および臨床試験のモニタリングを予後的(予測的)目的で使用し、それにより個体を予防的に処置する、予測医学の分野に関する。したがって、本発明の1つの態様は、NOVXタンパク質および/または核酸の発現ならびにNOVX活性を生物学的試料(例えば、血液、血清、細胞、組織)との関連で測定して、それにより個体が異常なNOVXの発現または活性に関連した疾患または障害に罹患しているか、または障害を発症するリスクを有しているか否かを測定するための診断アッセイに関する。障害としては、代謝障害、糖尿病、肥満、感染性疾患、食欲不振、がん関連悪液質、がん、神経変性障害、アルツハイマー病、パーキンソン病、免疫障害、および造血障害、ならびに種々の異脂肪血症、肥満に伴う代謝障害、代謝性シンドロームXならびに慢性疾患および種々のがんに関連した消耗性疾患を挙げ得る。本発明はまた、個体がNOVXタンパク質、核酸の発現または活性に関連した障害を発症するリスクを有しているか否かを測定するための予後的(予測的)アッセイを提供する。例えば、あるNOVX遺伝子の突然変異を生物学的試料中でアッセイし得る。そのようなアッセイを、予後的または予測的目的に使用し、それによりNOVXタンパク質、核酸の発現または生物学的活性を特徴とするかまたはこれと関連する障害の発生に先立って個体を予防的に処置し得る。
本発明のもう一つの態様は、個体におけるNOVXタンパク質、核酸発現または活性を測定し、それによりその個体にとって適切な治療的または予防的な薬剤を選択する方法(本明細書では「薬理ゲノミクス」と呼称する)を提供する。薬理ゲノミクスは、個体の遺伝子型に基づいた個体の治療的または予防的処置のための薬剤(例えば薬)の選択を可能にする(例えば、個体の遺伝子型を検査して、個体が特定の薬剤に応答する能力を測定する)。
本発明のなおもう一つの態様は、薬剤(例えば、薬、化合物)が臨床試験においてNOVXの発現または活性に与える影響をモニタリングすることに関する。
これらおよび他の薬剤については以下のセクションで詳細に説明する。
診断的アッセイ
生物学的試料中におけるNOVXの存在または非存在を検出する例示的な方法は、被験対象から生物学的試料を得ること、および生物学的試料をNOVXタンパク質またはNOVXタンパク質をコードする核酸(例えば、mRNA、ゲノムDNA)を検出する能力のある化合物または薬剤と接触し、NOVXの存在が生物学的試料中で検出できるようにすることを伴う。NOVX mRNAまたはゲノムDNAの検出用の薬剤は、NOVX mRNAまたはゲノムDNAとハイブリダイズする能力のある標識核酸プローブである。核酸プローブは、例えば、配列番号2n−1(ここで、nは1〜12の整数である)の核酸のような全長NOVX核酸、または少なくとも15、30、50、100、250または500ヌクレオチド長でそして厳密な条件下でNOVX mRNAまたはゲノムDNAに特異的にハイブリダイズするのに十分なオリゴヌクレオチドの一部である。本発明の診断的アッセイにおいて使用するための他の適当なプローブを本明細書で説明する。
NOVXタンパク質検出用の薬剤は、NOVXタンパク質に結合する能力のある抗体、好ましくは検出可能な標識を持つ抗体である。抗体は、ポリクローナル、またはさらに好ましくはモノクローナルであり得る。インタクトな抗体、またはそのフラグメント(例えば、FabまたはF(ab'))を使用し得る。プローブまたは抗体に関する用語「標識」とは、検出可能な物質をプローブまたは抗体にカップリングする(即ち物理的に連結する)ことによりプローブまたは抗体を直接的に標識すること、ならびに直接標識したもう一つの試薬との反応性によりプローブまたは抗体を間接的に標識することを包含する。間接的な標識の例としては、蛍光標識した第2抗体を用いた第1抗体の検出、および蛍光標識したストレブトアビジンで検出し得るように、ビオチンでDNAプローブを末端標識することを挙げ得る。用語「生物学的試料」とは、対象から単離した組織、細胞および生物学的流体、ならびに対象内に存在する組織、細胞および流体を含む。即ち、本発明の検出法を使用して、インビトロおよびインビボで生物学的試料中のNOVX mRNA、タンパク質、またはゲノムDNAを検出し得る。例えば、NOVX mRNAの検出のためのインビトロ技術としては、ノーザンハイブリダイゼーションおよびインシツハイブリダイゼーションを挙げ得る。NOVXタンパク質を検出するためのインビトロ技術としては、酵素結合免疫測定法(ELISA)、ウエスタンブロット、免疫沈降、および免疫蛍光を挙げ得る。NOVXゲノムDNAを検出するためのインビトロ技術としては、サザンハイブリダイゼーションを挙げ得る。さらに、NOVXタンパク質を検出するためのインビボ技術は、対象中へ標識抗NOVX抗体を導入することを含む。例えば、抗体を、対象中のその存在および位置を標準的な造影技術で検出し得る放射活性マーカーで標識することができる。
一つの実施形態では、生物学的試料は被験対象由来のタンパク質分子を含有する。これ代えて、生物学的試料は、被験対象由来のmRNA分子または被験対象由来のゲノムDNA分子を含有し得る。好ましい生物学的試料は、対象より従来の手段で単離した末梢血白血球試料である。
もう一つの実施形態では、方法は、対照対象から対照の生物学的試料を得ること、対照試料をNOVXタンパク質、mRNAまたはゲノムDNAを検出する能力のある化合物または薬剤と、NOVXタンパク質、mRNAまたはゲノムDNAの存在を生物学的試料中で検出するように接触すること、および対照試料中のNOVXタンパク質、mRNAまたはゲノムDNAの存在を試験試料中のNOVXタンパク質、mRNAまたはゲノムDNAと比較することをさらに伴う。
本発明はまた、生物学的試料中のNOVXの存在を検出するキットを包含する。例えば、キットは:生物学的試料中のNOVXタンパク質またはmRNAを検出する能力のある標識化合物または薬剤;試料中のNOVXの量を測定する手段;および試料中のNOVXの量を標準と比較する手段を含み得る。化合物および薬剤を適当な容器中に包装し得る。キットは、NOVXタンパク質または核酸を検出するキットの使用のための使用説明書をさらに含み得る。
予後アッセイ
さらに、本明細書に説明する診断方法を利用して、異常NOVXの発現または活性に関連した疾患または障害を有するかまたは発症するリスクにある対象を同定し得る。例えば、先行の診断アッセイおよび以下のアッセイのような、本明細書で説明するアッセイを利用して、NOVXタンパク質、核酸の発現または活性に関連した障害を有するかまたは発症するリスクにある対象を同定し得る。これに代えて、予後アッセイを利用して、疾患または障害を有するかまたは発症するリスクにある対象を同定し得る。かくして、本発明は、試験試料を対象から得て、そして異常なNOVXタンパク質または核酸(例えば、mRNA、ゲノムDNA)を検出する異常なNOVXの発現または活性に関連した疾患または障害を同定する方法を提供し、そこではNOVXタンパク質または核酸の存在は、異常なNOVXの発現または活性に関連した疾患または障害を有するかまたは発症するリスクにある対象に対する診断になる。本明細書において使用する「試験試料」とは、興味のある対象から得られる生物学的試料を指す。例えば、試験試料は生物学的流体(例えば血清)、細胞試料、または組織であり得る。
さらに、本明細書に説明する予後アッセイを使用して、異常なNOVXの発現または活性に関連した疾患または障害を処置するために、対象に薬剤(例えばアゴニスト、アンタゴニスト、ペプチドミメティック、タンパク質、ペプチド、核酸、低分子、または他の医薬候補物)を投与することができるか否かを決定し得る。例えば、そのような方法を使用して、対象の疾患を薬剤により有効に処置するか否かを決定し得る。かくして、本発明は、試験試料を得て、NOVXタンパク質または核酸を検出する異常なNOVXの発現または活性に関連した障害を薬剤により対象を有効に処置し得るか否かを決定する方法を提供する(例えば、そこではNOVXタンパク質または核酸の存在は、異常なNOVXの発現または活性に関連した障害を処置するために薬剤を投与され得る対象に対する診断になる)。
本発明の方法をまた使用してあるNOVX遺伝子中の遺伝的損傷を検出し、それにより損傷のある遺伝子を有する対象が異常な細胞増殖および/または分化を特徴とする障害のリスクにあるか否かを決定し得る。種々の実施形態において、これらの方法は、対象由来の細胞試料中において、あるNOVXタンパク質をコードする遺伝子の完全性に影響を及ぼす少なくとも一つの変更、またはNOVX遺伝子の誤発現を特徴とする遺伝的損傷の存在または不在の検出を含む。例えば、そのような遺伝的損傷を、(i)あるNOVX遺伝子からの一つまたはそれ以上のヌクレオチドの欠失;(ii)あるNOVX遺伝子への一つまたはそれ以上のヌクレオチドの付加;(iii)あるNOVX遺伝子の一つまたはそれ以上のヌクレオチドの置換、(iv)あるNOVX遺伝子の染色体上の移動、(v)あるNOVX遺伝子のmRNA転写物レベルの変化、(vi)ゲノムDNAのメチル化パターンのようなあるNOVX遺伝子の異常修飾、(vii)あるNOVX遺伝子のmRNA転写物の非野生型スプライシングパターンの存在、(viii)あるNOVXタンパク質の非野生型レベル、(ix)あるNOVX遺伝子の対立遺伝子欠失、および(x)あるNOVXタンパク質の不適切な翻訳後修飾の少なくとも一つの存在の確認により検出し得る。本明細書に説明するあるNOVX遺伝子の損傷を検出するために使用し得る当該分野において公知の多数のアッセイ技術が存在する。好ましい生物学的試料は、対象から従来の手段で単離した末梢血白血球試料である。しかしながら、例えば、頬粘膜細胞を含む有核細胞を含有する任意の生物学的試料を使用し得る。
特定の実施形態では、損傷の検出は、アンカーPCRまたはRACE PCRのようなポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(例えば米国特許第4,683,195号および第4,683,202号を参照)におけるかまたはこれに代えて、連結連鎖反応(LCR)(例えば、Landegran, et al., 1988. Science 241: 1077-1080、およびNakazawa, et al., 1994. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91: 360-364を参照)におけるプローブ/プライマーの使用を伴うが、後者はNOVX遺伝子中の点突然変異検出に特に有用であり得る(Abravaya, et al., 1995. Nucl. Acids Res. 23: 675-682を参照)。この方法は、患者から細胞試料を集め、試料の細胞から核酸(例えば、ゲノム、mRNAまたは両方)を単離し、NOVX遺伝子(もし存在するならば)のハイブリダイゼーションおよび増幅が起きるような条件下で、あるNOVX遺伝子と特異的にハイブリダイズする一つまたはそれ以上のプライマーと核酸試料を接触し、そして増幅産物の存在または不在を検出し、または増幅産物のサイズを検出し、そして対照試料と長さを比較するステップを含み得る。PCRおよび/またはLCRは、本明細書に説明する変異の検出に使用する任意の技術と一緒に予備的増幅ステップとして使用するのが望ましい。
さらに別な増幅法としては:自己保持配列複製(Guatelli, et al., 1990. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87: 1874-1878を参照)、転写増幅システム(Kwoh, et al., 1989. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86: 1173-1177を参照); Qβレプリカーゼ(Lizardi, et al, 1988. BioTechnology 6: 1197を参照)、または任意の他の核酸増幅法に引き続いて当業者に周知の技術を用いる増幅分子の検出を挙げ得る。これらの検出スキームは、核酸分子がごく少数で存在するならば、そのような分子の検出に特に有用である。
さらに別の実施形態では、試料細胞由来のあるNOVX遺伝子中の変異を、制限酵素切断パターンの変化により同定し得る。例えば、試料および対照のDNAを単離し、増幅し(任意に)、一つまたはそれ以上の制限エンドヌクレアーゼで処理し、そしてフラグメントのサイズをゲル電気泳動で測定して比較する。試料と対照のDNA間のフラグメントサイズの差は試料DNA中の変異を示す。さらに、配列特異的リボザイム(例えば、米国特許第5,493,531号を参照)を使用して、リボザイム切断部位の発生または消失により特異的な変異の存在を評価し得る。
他の実施形態では、NOVX中の遺伝的突然変異は、試料および対照の核酸、例えば、DNAまたはRNAを数百または数千個のオリゴヌクレオチドプローブを含有する高密度アレイにハイブリダイズすることにより同定することができる。例えば、Cronin, et al., 1996. Human Mutation 7: 244-255、Kozal, et al., 1996. Nat. Med. 2: 753-759を参照されたい。例えば、NOVX中の遺伝的変異を、上述のCronin, et al.に記載するように光を発生するDNAプローブを含有する2次元アレイ中で同定し得る。略述すれば、プローブの1番目のハイブリダイゼーションアレイを用いて、試料と対照中の長い一続きのDNAをスキャンして、一連の重なり合うプローブの線形アレイを作成することにより配列間の塩基変化を同定し得る。このステップは点突然変異の同定を可能にする。これに、検出した全ての変異体または突然変異に相補的なさらに小さな特別のプローブアレイを用いることにより特定の変異の特徴化を可能にする2番目のハイブリダイゼーションを行う。それぞれの変異アレイは、一つは野生型遺伝子に相補的で、他は突然変異遺伝子に相補的な並行なプローブのセットから成る。
なおもう一つの実施形態において、当該分野において公知の種々のシークエンシング反応のいずれかを使用してNOVX遺伝子を直接にシークエンシングして、試料のNOVXの配列を対応する野生型(対照)配列と比較することにより変異を検出し得る。シークエンシング反応の例としては、Maxim and Gilbert, 1977. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 74: 560またはSanger, 1977. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 74: 5463により開発された技術に基づくものを挙げ得る。質量分析によるシークエンシング(例えば、PCT国際公開第WO94/16101号; Cohen, et al., 1996. Adv. Chromatography 36: 127-162およびGriffin, et al., 1993. Appl. Biochem. Biotechnol. 38: 147-159を参照)を含む種々の自動化シークエンシング方法のいずれも診断アッセイの実施に際して利用され得ることをまた考え得る(例えば、Naeve, et al., 1995. Biotechniques 19: 448を参照)。
NOVX遺伝子中の変異を検出する他の方法としては、切断剤からの保護を用いてRNA/RNAまたはRNA/DNAヘテロ二重鎖中のミスマッチ塩基を検出する方法を挙げ得る。例えば、Myers, et al., 1985. Science 230: 1242を参照されたい。一般に、「ミスマッチ切断」の当該分野の技術は、野生型NOVX配列を含有する(標識した)RNAまたはDNAを、組織試料より得る潜在的突然変異体のRNAまたはDNAとハイブリダイズすることにより形成したヘテロ二重鎖を提供することから始まる。二重鎖を、対照および試料の鎖の間の塩基のミスマッチのために存在する二重鎖の単鎖領域を切断する薬剤で処理する。例えば、RNA/DNA二重鎖をRNaseで処理し、DNA/DNAハイブリッドはSヌクレアーゼで処置し、ミスマッチ領域を酵素的に処理し得る。他の実施形態では、ミスマッチ領域を消化するために、DNA/DNAまたはRNA/DNAの二重鎖のどちらかをヒドロキシルアミンまたは四酸化オスミウムおよびピペリジンで処理し得る。ミスマッチ領域の処理の後、得られた材料を次いで変性ポリアクリルアミドゲル上でサイズにより分離して変異の部位を決定する。例えば、Cotton, et al., 1988. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85: 4397、Saleeba, et al., 1992. Methods Enzymol. 217: 286-295を参照されたい。一つの実施形態では、対照のDNAまたはRNAを検出用に標識し得る。
なおもう一つの実施形態では、ミスマッチ切断反応は、細胞の試料より得られたNOVXcDNA中で点突然変異を検出しマッピングするために、規定したシステム中で二重鎖DNA中のミスマッチ塩基対を認識する一つまたはそれ以上のタンパク質(いわゆる「DNAミスマッチ修復」酵素)を使用する。例えば、E. coliのmutY酵素はG/AミスマッチのAを切断し、そしてHeLa細胞からのチミジンDNAグリコシダーゼはG/TミスマッチのTを切断する。例えば、Hsu, et al., 1994. Carcinogenesis 15: 1657-1662を参照されたい。例示的な実施形態によれば、あるNOVX配列、例えば、野生型NOVX配列に基づくプローブを、試験細胞(複数を含む)由来のcDNAまたは他のDNA産物とハイブリダイズする。この二重鎖をDNAミスマッチ修復酵素で処理して、切断生産物をもしあれば電気泳動のプロトコール等から検出し得る。例えば、米国特許第5,459,039号を参照されたい。
他の実施形態では、電気泳動上の移動度の変化を用いて、NOVX遺伝子の突然変異を同定する。例えば、単鎖コンフォーメーション多型(SSCP)を使用して、突然変異体および野生型核酸の間の電気泳動移動度の差を検出し得る。例えば、Orita, et al., 1989. Proc. Natl. Acad. Sci. USA: 86: 2766、Cotton, 1993. Mutat. Res. 285: 125-144、Hayashi, 1992. Genet. Anal. Tech. Appl. 9: 73-79を参照されたい。試料および対照のNOVX核酸の単鎖DNAフラグメントを変性し、復元することを可能にする。単鎖核酸の二次構造は配列により異なり、電気泳動上の移動度のそこで得る変化はたとえ1個の塩基変化の検出をも可能にする。DNAフラグメントを標識プローブで標識または検出し得る。アッセイの感度を、2次構造が配列変化により感受性であるRNA(DNAよりもむしろ)を使用することにより増大し得る。一つの実施形態では、主題の方法は、ヘテロ二重らせん分析を利用して、電気泳動の移動度の変化に基づいて二重らせんへテロ二重鎖分子を分離する。例えば、Keen, et al., 1991. Trends Genet. 7: 5を参照されたい。
なおもう一つの実施形態では、ある勾配の変性剤を含有するポリアクリルアミドゲル中での突然変異体または野生型フラグメントの移動を、変性濃度勾配ゲル電気泳動(DGGE)を用いてアッセイする。例えば、Myers, et al., 1985. Nature 313: 495を参照されたい。DGGEを分析法として使用する際、DNAを修飾し、例えば、凡そ40bpの高融点GC富化DNAのGCクランプをPCRで付加することにより、それが完全に変性しないことを保証する。さらなる実施形態では、変性勾配に代えて温度勾配を使用して、対照および試料のDNAの移動度の差を同定する。例えば、Rosenbaum and Reissner, 1987. Biophys. Chem. 265: 12753を参照されたい。
点突然変異を検出するための他の技術の例として、選択的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション、選択的増幅、または選択的プライマー伸長を挙げ得るが、これらに限定しない。例えば、既知の変異を中央に置いたオリゴヌクレオチドプライマーを調製し、次いで完全なマッチが見られる場合にのみハイブリダイゼーションを認める条件下で、標的DNAとハイブリダイズする。例えば、Saiki, et al., 1986. Nature 324: 163、Saiki, et al., 1989. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86: 6230を参照されたい。オリゴヌクレオチドをハイブリダイズ用膜に付着して、標識した標的DNAとハイブリダイズする際、そのような対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドは、PCR増幅した標的DNAまたはある数の異なる突然変異体とハイブリダイズする。
これに代えて、選択的PCR増幅に基づく対立遺伝子特異的増幅技術を本発明と一緒に使用し得る。特異的増幅のためのプライマーとして使用するオリゴヌクレオチドは、興味のある変異を分子の中央で(増幅がディファレンシャルハイブリダイゼーションに依存するように;例えば、Gibbs, et al., 1989. Nucl. Acids Res. 17: 2437-2448を参照)または適切な条件下で、ミスマッチがポリメラーゼ伸長を阻止または低減できる(例えば、Prossner, 1993. Tibtech. 11: 238を参照)一つのプライマーの3'最末端において保持していてもよい。加えて、切断に基づく検出を創成するために、変異の領域に新規制限部位を導入するのが望ましい。例えば、Gasparini, et al., 1992. Mol. Cell プローブs 6: 1を参照されたい。特定の実施形態では、増幅はまた、増幅のためのTaqリガーゼを使用して実施され得ることを予想する。例えば、Barany, 1991. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88: 189を参照されたい。このような場合には、5'末端配列の3'末端に完全なマッチがある場合にのみ連結が起こり、増幅の存在または不在を調べることにより特定の部位における既知の変異の存在を検出することを可能にする。
本明細書に説明する方法を、例えば、本明細書に説明する少なくとも1つのプローブ核酸または抗体試薬を含むプレパック診断キットを利用することにより実施し得る。これを、例えば、臨床の場においてNOVX遺伝子の関与する疾患または疾病の症状を示すかまたは家族歴のある患者を診断するのに簡便に使用し得る。
さらに、NOVXを発現する任意の細胞タイプまたは組織、好ましくは末梢血白血球を本明細書に説明した予後アッセイに利用し得る。しかしながら、例えば、頬粘膜細胞の有核細胞を含む任意の生物学的試料を使用し得る。
薬理ゲノミクス
本明細書に説明したスクリーニングアッセイにより同定するようなNOVX活性(例えば、NOVX遺伝子発現)に促進的または阻害的効果を有する薬剤またはモジュレータを個体に投与し、障害を(予防的にまたは治療的に)処置することができる。障害としては、限定しないが、例えば、前記の疾病、障害および状態を含み、特に、表Aに要約するようなNOVXタンパク質の相同物と関連した疾病、障害および状態を含む。そのような処置と一緒に、個体の薬理ゲノミクス(即ち、個体の遺伝子型および外来性化合物または薬に対するその個体の応答との間の関係の研究)を考慮し得る。治療薬の代謝の差は、薬理学的に活性な薬の用量と血中濃度の関係を変えることにより、重症の毒性または治療の失敗をもたらし得る。かくして、個体の薬理ゲノミクスは、個体の遺伝子型の考慮に基づく予防的または治療的処置ための有効な薬剤(例えば薬)の選択を許容する。そのような薬理ゲノミクスをさらに用いて、適切な投与量および治療方法を決定し得る。したがって、個体のNOVXタンパク質の活性、NOVX核酸の発現、またはNOVX遺伝子の変異の含量を測定し、それにより個体の治療的処置または予防的処置に適切な薬剤(複数を含む)を選択し得る。
薬理ゲノミクスは、罹患した人における変化した薬剤分布および異常な作用に因る薬への応答における臨床的に有意な遺伝的変異を取り扱う。例えば、Eichelbaum, 1996. Clin. Exp. Pharmacol. Physiol., 23: 983-985; Linder, 1997. Clin. Chem., 43: 254-266を参照されたい。一般に、二つのタイプの薬理遺伝学的異常を区別し得る。薬が身体に作用する方式を変える単一の因子として伝達する遺伝的異常(変化した薬剤作用)または身体が薬に作用する方式を変える単一因子として伝達する遺伝的異常(変化した薬物代謝)がある。これらの薬理遺伝学的異常は、稀な欠陥または多型性のどちらかとして生じ得る。例えば、グルコース−6−リン酸脱水素酵素(G6PD)欠乏症は、よくみられる遺伝性酵素異常症であり、そこでは主な臨床的合併症は、酸化剤の薬(抗マラリア剤、スルホンアミド剤、鎮痛剤、ニトロフラン類)摂取後またはソラマメ摂食後の溶血である。
例示的実施形態として、薬の代謝酵素の活性は、薬の作用の強度および持続の両者の主たる決定因子である。薬の代謝酵素の遺伝的多型性(例えば、N−アセチルトランスフェラーゼ2(NAT2)ならびにチトクローム妊娠帯前駆タンパク質酵素のCYP2D6およびCYP2C19)の発見は、なぜ或る患者は標準かつ安全用量の薬物摂取後に期待した薬の効果を得られないかまたは過大な薬の応答および重篤な毒性を示すのかについての説明を提供する。これらの多型性を、人口集団で高代謝群(EM)および低代謝群(PM)の2つの表現型で表現する。PMの存在比率は異なる集団間で異なる。例えば、CYP2D6をコードする遺伝子は高度に多型性で、そして幾つかの変異が、機能的なCYP2D6の不在をもたらすPMを同定する。CYP2D6およびCYP2C19の低代謝群は、標準的な用量の投与を受けた際、極めて頻繁に過剰な薬の応答および副作用を経験する。代謝物が活性な治療成分であるならば、CYP2D6が生成する代謝物モルヒネにより仲介するコデインの鎮痛作用について実証するように、PMは治療応答を示さない。それと全く正反対なのが、標準の用量に応答しないいわゆる超高速代謝群である。最近、超高速代謝群の分子的根拠をCYP2D6遺伝子増幅に因ると確認する。
従って、個体のNOVXタンパク質の活性、NOVX核酸の発現、またはNOVX遺伝子の変異含量を測定し、それにより個体の治療的処置または予防的処置のために適切な薬剤(複数を含む)を選択し得る。加えて、薬理遺伝学的研究を用いて、薬の代謝酵素をコードする遺伝子多型の対立遺伝子の遺伝子型決定を、個体の薬の応答性の表現型の同定に応用し得る。この知識を投与量および薬の選択に応用する際、本明細書で説明する例示的スクリーニングアッセイの一つにより同定したモジュレータのようなNOVXモジュレータで対象を処置する際に、有害作用または治療失敗を避け、かくして治療的または予防的効率を増強し得る。
臨床試験の作用モニタリング
NOVXの発現または活性(例えば、異常な細胞増殖および/または分化を調整する活性)に対する薬剤(例えば、薬、化合物)の影響をモニタリングすることは、基礎的な薬のスクリーニングに応用できるだけでなく、また臨床試験にも応用できる。例えば、本明細書に説明したようにスクリーニングアッセイにより、NOVX遺伝子発現、タンパク質レベルを増加し、またはNOVX活性を上方調節すると決定した薬剤の有効性を、低下したNOVX遺伝子発現、タンパク質レベル、または下方制御されたNOVX活性を示す対象の臨床試験でモニターし得る。これに代えて、NOVX遺伝子発現、タンパク質レベルを減少し、またはNOVX活性を下方調節すると決定した薬剤の有効性を、増加したNOVX遺伝子発現、タンパク質レベル、または上方制御したNOVX活性を示す対象の臨床試験でモニターし得る。そのような臨床試験において、NOVX、および、好ましくは、例えば、細胞増殖または免疫障害に関係する他の遺伝子の発現または活性を、特定の細胞の免疫応答性の「読み出し」またはマーカーとして使用し得る。
限定しない例として、NOVX活性(例えば、本明細書で説明するスクリーニングアッセイで同定する)を調整する薬剤(例えば、化合物、薬または低分子)を用いた処置により細胞中で調整するNOVXを含む遺伝子を同定し得る。従って、細胞増殖障害に対する薬剤の効果を、例えば、臨床試験において検討するために、細胞を単離してRNAを調製し、そして障害に関連すると思うNOVXおよび他の遺伝子の発現レベルを分析し得る。遺伝子発現レベル(即ち、遺伝子発現パターン)を、本明細書に説明するようにノーザンブロット分析またはRT−PCRにより、またはこれに代えて本明細書で説明する方法の一つにより生産したタンパク質の量を測定することにより、またはNOVXまたは他の遺伝子の活性レベルを測定することにより、定量することができる。この様式においては、遺伝子発現パターンは、薬剤に対する細胞の生理学的応答を示すマーカーとしての役割を果たす。したがって、薬剤による個体の処置の前および処置中の種々の時点で、この応答状態を測定し得る。
一つの実施形態において、本発明は、薬剤(例えば、アゴニスト、アンタゴニスト、タンパク質、ペプチド、ペプチドミメティック、核酸、低分子、または本明細書で説明するスクリーニングアッセイで同定した他の薬候補物)で対象を処置することの有効性をモニターする方法を提供し、その方法は、(i)薬剤投与前に対象から投与前試料を得て、(ii)投与前試料中のNOVXタンパク質、mRNA、またはゲノムDNAの発現レベルを検出し、(iii)対象から一つまたはそれ以上の投与後の試料を得て、(iv)投与後の試料中のNOVXタンパク質、mRNA、またはゲノムDNAの発現または活性レベルを検出し、(v)投与前の試料中のNOVXタンパク質、mRNA、またはゲノムDNAの発現または活性レベルを投与後のひとつまたは複数の試料中のNOVXタンパク質、mRNA、またはゲノムDNAと比較し、そして(vi)それにしたがって対象への薬剤の投与を変更するステップを含む。例えば、NOVXの発現または活性を検出したより高レベルに増加するためには、即ち、薬剤の有効性を増加するためには、薬剤の増加した投与が望ましい。これに代えて、NOVXの発現または活性を検出したより低レベルに減少する、即ち、薬剤の有効性を減少するためには、薬剤の減少した投与が望ましい。
処置方法
本発明は、異常なNOVXの発現または活性に関連した疾患のリスクにある(感受性)かまたは疾患を有する対象を処置する予防的方法および治療的方法の両方を提供する。障害としては、限定しないが、例えば、前記の疾病、障害および状態を含み、特に、表Aに要約するようなNOVXタンパク質の相同物と関連した疾病、障害および状態を含む。
これらの処置法を以下にさらに詳細に考察する。
疾患および障害
増加したレベル(疾患または障害に罹患していない対象と比べて)または生物学的活性を特徴とする疾患および障害を、活性に拮抗する(即ち、低下するかまたは阻害する)治療薬で処置し得る。活性に拮抗する治療薬を、治療的様式または予防的様式で投与し得る。利用し得る治療薬としては、(i)前述のペプチド、またはその類似体、誘導体、フラグメントまたは相同体;(ii)前述のペプチドに対する抗体;(iii)前述のペプチドをコードする核酸;(iv)アンチセンス核酸および前述のペプチドの内在的機能を相同組換えにより「ノックアウト」するのに使用する「機能障害性」である核酸(即ち、前述のペプチドに対するコード化配列のコード化配列内への異種挿入に因る)の投与(例えば、Capecchi, 1989. Science 244: 1288-1292を参照);または(v)前述のペプチドおよびその結合相手との相互作用を変化するモジュレータ(即ち、本発明のさらに別なペプチドのミメティックまたは本発明のペプチドに特異的な抗体を含む阻害剤、アゴニスト、アンタゴニスト)を挙げ得るが、これらに限定しない。
減少したレベル(疾患または障害に罹患していない対象と比べて)または生物学的活性を特徴とする疾患および障害を、活性を増加する(即ち、アゴニストである)治療薬で処置し得る。活性を上方制御する治療薬を、治療的様式または予防的様式で投与し得る。利用し得る治療薬としては、前述のペプチド、またはその類似体、誘導体、フラグメント、または相同体;またはバイオアベイラビリティーを増加するアゴニストを挙げ得るが、これらに限定しない。
増加または減少したレベルを、患者の組織試料(例えば、生検組織から)を得て、インビトロでRNAまたはペプチドのレベル、発現したペプチド(または前述のペプチドのmRNA)の構造および/または活性をアッセイすることにより、ペプチドおよび/またはRNAを定量することにより容易に検出し得る。当該分野内で周知の方法としては、イムノアッセイ(例えば、ウエスタンブロット分析、免疫沈降とそれに引き続くドデシル硫酸ナトリウム(SDS)ポリアクリルアミドゲル電気泳動、免疫細胞化学、等)および/またはmRNA発現を検出するためのハイブリダイゼーションアッセイ(例えば、ノーザンアッセイ、ドットブロット、インシツハイブリダイゼーション、等)を挙げ得るが、これらに限定しない。
予防的方法
一つの態様では、異常なNOVX発現または少なくともあるNOVX活性を調整する薬剤を対象に投与することにより、本発明は、異常なNOVXの発現または活性に関連した疾患または異常を、対象において予防する方法を提供する。異常なNOVXの発現または活性が原因または一因となって生じる疾患のリスクを有する対象を、例えば、本明細書で説明するように診断的アッセイまたは予後的アッセイのいずれかまたはそれらの組合せによって同定し得る。疾患または障害を予防し、または、これに代えて、その進行を遅らせるようにNOVX異常に特徴的な症状の出現に先立って予防的薬剤の投与を行い得る。NOVX異常のタイプに依存して、例えば、あるNOVXアゴニストまたはNOVXアンタゴニストである薬剤を対象の処置に使用し得る。適切な薬剤を、本明細書で説明するスクリーニング法に基づいて決定することができる。本発明の予防的方法をさらに以下のサブセクションで考察する。
治療的方法
本発明のもう一つの態様は、治療目的のためにNOVXの発現または活性を調整する方法に関する。本発明の調整方法は、細胞を細胞に関連するNOVXタンパク質活性の一つまたはそれ以上の活性を調整する薬剤と接触することを含む。NOVXタンパク質活性を調整する薬剤は、核酸またはタンパク質、あるNOVXタンパク質の天然に存在する同属のリガンド、ペプチド、あるNOVXペプチドミメティック、または低分子のような本明細書に説明する薬剤であり得る。一つの実施形態では、薬剤は一つまたはそれ以上のNOVXタンパク質活性を促進する。そのような促進的薬剤の例としては、活性なNOVXタンパク質および細胞中に導入したNOVXをコードする核酸分子を挙げ得る。もう一つの実施形態では、薬剤は一つまたはそれ以上のNOVXタンパク質活性を阻害する。そのような阻害的薬剤の例としては、アンチセンスNOVX核酸分子および抗−NOVX抗体を挙げ得る。これらの調整方法は、インビトロで(例えば、細胞を薬剤と共に培養することにより)または、これに代えて、インビボで(例えば、薬剤を対象に投与することにより)実施し得る。このように、本発明はあるNOVXタンパク質または核酸分子の異常な発現または活性を特徴とする疾患または障害に罹患した個体を処置する方法を提供する。一つの実施形態では、その方法は、薬剤(例えば、本明細書で説明するスクリーニングアッセイで同定した薬剤)またはNOVXの発現または活性を調整する(例えば、上方制御または下方制御する)薬剤の組合せを投与することを伴う。もう一つの実施形態では、その方法は減少または異常なNOVXの発現または活性を補償するための治療としてあるNOVXタンパク質または核酸分子を投与することを伴う。
NOVXが異常に下方制御されているかおよび/または増加したNOVX活性が有益な効果を有すると思われる状況では、NOVX活性を促進することが望ましい。そのような状況の一つの例は、対象が異常な細胞増殖および/または分化(例えば、がんまたは免疫関連疾患)を特徴とする障害を有する場合である。そのような状況のもう一つの例は、対象が妊娠性疾患(例えば、子癇前症)を有する場合である。
治療薬の生物学的効果の測定
本発明の種々の実施形態において、適切なインビトロまたはインビボアッセイを実施して、特定の治療薬の効果およびその投与を罹患している組織の処置に適応があるか否かを決定する。
種々の特定の実施形態において、患者の障害に関与する代表的なタイプ(複数を含む)の細胞についてインビトロアッセイを実施して、投与した治療薬が細胞タイプに所望の効果を発揮するかどうかを測定し得る。治療に使用する化合物を、ヒト対象での試験に先立って、ラット、マウス、ニワトリ、ウシ、サル、ウサギ等を限定することなく含む適切な動物モデルシステムで試験し得る。同様に、インビボ試験でも、ヒト対象への投与に先立って、当該分野において公知の動物モデルシステムのいずれかを使用し得る。
本発明の組成物の予防的使用および治療的使用
本発明のNOVX核酸およびタンパク質は、種々の障害に関連する潜在的で予防的応用および治療的応用に有用である。障害としては、限定しないが、例えば、前記の疾病、障害および状態を含み、特に、表Aに要約するようなNOVXタンパク質の相同物と関連した疾病、障害および状態を含む。
例として、本発明のNOVXタンパク質をコードするcDNAは、遺伝子治療に有用であり得、そしてタンパク質は、それを必要とする対象に投与する際に有用であり得る。非限定的な例として、本発明の組成物は、本明細書に挙げられたものを含むが、それらに限定されない疾病、障害、状態およびそれに類似するものに罹患する対象の処置のための効験を有するであろう。
NOVXタンパク質をコードする新規核酸、および本発明のNOVXタンパク質の両方、またはそれらのフラグメントはまた、核酸またはタンパク質の存在または量を評価する診断的応用にも有用であり得る。さらなる使用は、抗細菌分子(即ち、或るペプチドは抗細菌的性質を有することが見出されている)としてであるかもしれない。これらの物質は、治療的または診断的方法に使用するための本発明の新規物質に免疫特異的に結合する抗体の作成にさらに有用である。
本発明を、以下の実施例でさらに記載し、これらはクレームに記載の発明の範囲を限定しない。
(実施例1)CG57008の分子クローニング
CG57008(配列番号4)のオープンリーディングフレームは、最初の20残基に相当する推定N末端シグナル配列を含む、359個のアミノ酸長の、I型膜貫通タンパク質をコードしている。推定膜貫通ドメインは、残基287で始まる。
成熟CG57008のクローニング
成熟型のCG57008(NOV1)をコードするORFに相当するDNAセグメントをPCR増幅するために、オリゴヌクレオチドプライマーを設計した。さらなるサブクローニングの目的で、インフレームで、正プライマーはBamHI制限部位を含み、逆プライマーはXhoI制限部位を含む。プライマーの配列を以下に示す:
HAVcr-1 FORW:
GGATCCTCTGTAAAGGTTGGTGGAGAGGCAGGTCC (配列番号25)、
HAVcr-1 FL-REV:
CTCGAGGTCCGTGGCATAAAGACTATTCTCAATG (配列番号26)。
PCR反応は、50μリットル容量中、ヒト精巣、ヒト乳房、ヒト骨格筋および胎児脳由来の等量のcDNAサンプル部分を含む総量5ngのDNA鋳型、各1マイクロMの、HAVcr-1FORWおよびHAVcr-1REVプライマー、5マイクロモルのdNTP(Clontech Laboratories, Palo Alto CA)および1マイクロリットルの50×Advantage-HF2ポリメラーゼ(Clontech Laboratories, Palo Alto CA)を用いて始めた。以下の反応条件を用いた:
a) 96oC 3分
b) 96oC 30秒変性
c) 70oC 30秒、プライマーアニーリング。この温度を1℃/サイクルで徐々に低下させた。
d) 72oC 2分伸長。
ステップb〜dを10回反復
e) 96oC 30秒変性
f) 60oC 30秒アニーリング
g) 72oC 2分伸長
ステップe〜gを25回反復
h) 72oC 5分最終伸長
アガロースゲルから約1kbpの大きな増幅産物を単離し、pCR2.1ベクター(Invitrogen, Carlsbad, CA)に連結した。クローニングしたインサートを、ベクター特異的、M13正(-40)およびM13逆プライマーを用いて配列決定し、成熟型のCG57008をコードするオープンリーディングフレームとして確認した。クローンを、pCR2.1-CG57008-03-S843_15Bと呼ぶ。
表35 pCR2.1-CG57008-03-S843_15B中のインサートのヌクレオチド配列
Figure 2005535294
表36 pCR2.1-CG57008-03-S843_15B中のインサートによってコードされるタンパク質のポリペプチドプチド配列
Figure 2005535294
(実施例2)CG57008の細胞外ドメインのクローニング
CG57008(NOV1)の細胞外ドメインの成熟型をコードするORFに相当するDNAセグメントをPCR増幅するために、オリゴヌクレオチドプライマーを設計した。さらなるサブクローニングの目的で、インフレームで、正プライマーはBamHI制限部位を含み、逆プライマーはXhoI制限部位を含む。プライマーの配列を以下に示す:
HAVcr-1 FORW:
GGATCCTCTGTAAAGGTTGGTGGAGAGGCAGGTCC (配列番号29)、
HAVcr-1 可溶性REV:
CTCGAGCAGTAGACTATGTTCTAGGAACAGTTGAG (配列番号30)。
PCR反応は、50μリットル容量中、ヒト精巣、ヒト乳房、ヒト骨格筋および胎児脳由来の等量のcDNAサンプル部分を含む総量5ngのDNA鋳型、各1μMの、HAVcr-1FORWおよびHAVcr-1可溶性REVプライマー、5マイクロモルのdNTP(Clontech Laboratories, Palo Alto CA)および1マイクロリットルの50×Advantage-HF2ポリメラーゼ(Clontech Laboratories, Palo Alto CA)を用いて始めた。以下の反応条件を用いた:
a) 96oC 3分
b) 96oC 30秒変性
c) 70oC 30秒、プライマーアニーリング。この温度を1℃/サイクルで徐々に低下させた
d) 72oC 2分伸長
ステップb〜dを10回反復
e) 96oC 30秒変性
f) 60oC 30秒アニーリング
g) 72oC 2分伸長
ステップe〜gを25回反復
h) 72oC 5分最終伸長
アガロースゲルから約750bpの大きな増幅産物を単離し、pCR2.1ベクター(Invitrogen, Carlsbad, CA)に連結した。クローニングしたインサートを、ベクター特異的、M13正(-40)およびM13逆プライマーを用いて配列決定し、CG57008の細胞外ドメインの成熟型をコードするオープンリーディングフレームとして確認した。クローンを、pCR2.1-CG57008-02-S841_13Aと呼ぶ。
表3 pCR2.1-CG57008-02-S841_13A中のインサートのヌクレオチド配列
Figure 2005535294
表4 pCR2.1-CG57008-02-S841_13A中のインサートによってコードされるタンパク質のポリペプチド配列
Figure 2005535294

(実施例3)インサート細胞におけるCG57008-02の発現
CG57008-02 (NOV1c)配列を含む、0.79 kbのBamHI-XhoI断片を、バキュロウイルス発現ベクター、pMelV5His (CuraGen Corporation)にサブクローニングしてプラスミド646を得た。pBlueBacバキュロウイルス発現系(Invitrogen Corporation)を用い、製造業者の推奨にしたがって、発現研究を実施した。感染の48時間後に、抗V5抗体(Invitrogen)を用いるウェスタンブロットによって培養上清を分析した。
(実施例4)ヒト胚性腎293細胞におけるCG57008-02の発現
CG57008-02 (NOV1c)配列を含む0.79 kbのBamHI-XhoI断片を、BamHI-XhoI消化したpCEP4/Secにサブクローニングして、プラスミド754を得た。得られたプラスミド754を、リポフェクタミンプラス試薬を用い、製造業者の説明書にしたがって(Gibco/BRL)、293細胞にトランスフェクトした。トランスフェクションの72時間後に細胞ペレットおよび上清を回収し、抗V5抗体を用いるウェスタンブロット(還元条件)によってCG57008-02発現について調べた。
(実施例5)ヒト胚性腎293細胞におけるCG57008-02の発現
pCR2.1-CG57008-02-S841_13A(実施例2参照)から、インサートをpEE14.4Sec哺乳類発現ベクターにサブクローニングした。ベクターは、メチオニンスルホキシイミンの存在下で安定クローンの選抜を可能にするグルタミン合成選択マーカーを保持する。選抜後、安定クローンを株化した。2つの独立したクローンにおけるCG57008-02発現および分泌を、ウェスタンブロット解析によって実証した。
(実施例6)NOVX核酸配列における単一ヌクレオチド多型の同定
変異体配列も本願に含まれる。変異体配列は、単一ヌクレオチド多型(SNP)を含み得る。SNPは、SNPを含むヌクレオチド配列がcDNAとして起こることを示すために「cSNP」と呼ばれる場合もある。SNPはいくつかの方法で生じ得る。例えば、SNPは多型部位での、1つのヌクレオチドの別のものとの置換によるものであり得る。かかる置換はトランジションまたはトランスバーションのいずれかであり得る。SNPはまた、参照対立遺伝子と比べた、ヌクレオチドの欠失またはヌクレオチドの挿入からも生じ得る。この場合、多型部位とは、一対立遺伝子が別の対立遺伝子の特定のヌクレオチドに対してギャップを有する部位である。遺伝子内に生じるSNPは、SNPの位置の遺伝子によってコードされるアミノ酸の変更をもたらし得る。遺伝子内SNPはまた、SNPを含むコドンが同一のアミノ酸をコードする場合には、遺伝暗号の縮重性の結果としてサイレントでもあり得る。遺伝子領域の外側に生じる、または遺伝子内のイントロン中のSNPは、タンパク質のどのアミノ酸配列にも変化をもたらさないが、発現パターンの調節の変更をもたらし得る。例としては、時間的発現、生理学的応答調節、細胞種発現調節、発現強度、および転写されたメッセージの安定性の変更が挙げられる。
エキソン結合プロセスによって得られたSeqCallingアセンブリーを、以下の基準を用いて選択し、伸長させた。最初の配列または伸長させた配列の全てまたは部分に対し98%の同一性を持つ領域を有するゲノムクローンを、ヒトゲノムデータベースをクエリーするのに適切な配列を用いてBLASTN検索によって同定した。この同一性がこれらのクローンがこれらSeqCallingアセンブリーのゲノム座位を含むことを示すことから、得られたゲノムクローンをさらなる解析のために選択した。これらの配列は推定コード領域ならびに既知DNAおよびタンパク質配列との類似性に関して解析した。これらの解析に用いたプログラムとしては、Grail、Genscan、BLAST、HMMER、FASTA、Hybridおよびその他の適切なプログラムが挙げられる。
さらなるゲノム領域を、選択したSeqCallingアセンブリーがそれらの領域にマッピングするということでいくつか同定しておいてもよい。かかるSeqCalling配列は、相同性またはエキソン予測により規定される領域と重複していてもよい。また、断片の位置が、類似性または当初の予測配列に含まれていたエキソン予測により同定されるゲノム領域の近傍にあったという理由でこれらを含めてもよい。このように同定された配列を手作業でアセンブルし、次いでCuraGen社のヒトSeqCallingデータベースから得られる1以上のさらなる配列を用いて伸長しておいてもよい。含めるのに適したSeqCalling断片を、CuraTools(商標)プログラムSeqExtendにより、または解析したゲノムクローンの適当な領域へマッピングするSeqCalling断片の同定により同定した。
次いで、本明細書に開示された最終配列を導くため、前述の手順により規定される領域を手作業で統合し、例えば、元の断片中でミスコールされた塩基から、または予測されるエキソン結合部、EST位置と配列類似性領域との間の矛盾から生じ得た明らかな不一致を訂正した。必要であれば、SeqCallingアセンブリーおよびゲノムクローンを同定および解析するプロセスを繰り返して全長配列を導いた(Alderborn et al., Determination of Single nucleotide Polymorphisms by Real-time Pyrophosphate DNA Sequencing. Genome Research. 10(8) 1249-1265,2000)。
変異体は個々に報告されるが、変異体の全てまたは選択サブセットのいずれの組み合わせも本発明の考慮されるNOVXの実施形態として含まれる。
CG57008-02のSNPデータ
CG57008-02の4種の多型変異体を同定し、以下に示す。
表B
Figure 2005535294
(実施例7)種々の細胞および組織におけるCG57008-02の量的発現解析
種々のクローンの量的発現を、リアルタイム定量PCR(RTQ PCR)を用い、種々の正常および病理由来細胞、細胞株および組織由来のRNAサンプルを含むマイクロタイタープレートを用いて評価した。RTQ PCRはApplied Biosystems ABI PRISM(登録商標)7700またはABI PRISM(登録商標)7900 HT 配列 Detection Systemで実施した。サンプルの種々の収集物をプレート上でアセンブルし、パネル1(正常組織および癌細胞株を含む)、パネル2(正常および癌供給源組織に由来するサンプルを含む)、パネル3(癌細胞株を含む)、パネル4(正常組織由来の細胞および細胞株ならびに炎症症状と関連している細胞を含む)、パネル5D/5I(代謝病(metabolic disease)に重点をおいたヒト組織および細胞株を含む)、AI 包括的 パネル(正常組織および自己炎症性疾患(autoinflammatory diseases)由来のサンプルを含む)、パネルCNSD.01(正常脳および患部脳由来のサンプルを含む)およびCNS 神経変性 パネル(正常脳およびアルツハイマー病(Alzheimer's disease)の脳由来のサンプルを含む)と称した。
全サンプル由来のRNAの完全性は、28Sおよび18SリボソームRNA染色強度比をガイド(2:1〜2.5:1 28s:18s)として用いるアガロースゲル電気泳動図の視覚的評価によって質に関して、および分解産物を示唆するであろう低分子量RNAの不在に関して制御する。サンプルは単一エキソンの長さにわたって増幅するよう設計したプローブおよびプライマーセットを用いる、逆転写酵素の不在下でのRTQ PCR反応実施によってゲノムDNA混入に対して制御する。
最初に、このRNAサンプルを常時発現遺伝子(例えば、β-アクチンおよびGAPDH)などの参照核酸に対して標準化した。標準化したRNA(5μl)をcDNAへ変換し、ワンステップRT-PCR Master Mix試薬(Applied Biosystems;カタログ番号4309169)および遺伝子特異的プライマーを、製品説明書に従って用いるRTQ-PCRにより解析した。
他の場合には、標準化していないRNAサンプルを、Superscript II(Invitrogen社;カタログ番号18064-147)およびランダム・ヘキサマーを、製品説明書に従って用いて一本鎖cDNA(sscDNA)へ変換した。全RNAを最大10ug含む反応を、20μlの容量で実施し、42℃で60分間インキュベートした。この反応は最終容量100μlにおいて50μgの全RNAまでスケールアップすることができる。次いで、sscDNAサンプルを1×TaqMan(登録商標)Universal Master mix (Applied Biosystems;カタログ番号4324020)を、製品説明書に従って用いて先に記載した参照核酸に対して標準化した。
プローブおよびプライマーを、Applied BiosystemsのPrimer Expressソフトウェアパッケージ(アップルコンピューターのマッキントッシュパワーPCのバージョンI)または標的配列をインプットとして用いる類似のアルゴリズムに従って各アッセイ用に設計した。デフォルト設定を反応条件に用い、以下のパラメーターを設定し、その後、プライマーを選択した:プライマー濃度=250nM、プライマー融解温度(Tm)範囲=58〜60℃、プライマーの最適Tm=59℃、最大プライマー差=2℃、プローブは5'Gを含まない、プローブTmはプライマーTmより10℃高くなくてはならない、アンプリコンサイズは75bp〜100bp。選択したプローブおよびプライマー(以下参照)をSynthegen(Houston, TX, USA)によって合成した。プローブをHPLCで2回精製して、結合していない色素を除去し、質量分析によって評価して、レポーターおよびクエンチャー色素のプローブの5'および3'末端それぞれとの結合を確認した。最終濃度は、正方向および逆方向プライマーは各900nM、プローブは200nMとした。
PCR条件:RNAサンプルを扱う場合には、各組織および各細胞株由来の標準化RNAを96ウェルまたは384ウェルPCRプレート(Applied Biosystems)のいずれかの各ウェルにスポットした。PCRカクテルは単一の遺伝子特異的プローブおよびプライマーセット、または2つのマルチプレックス化したプローブおよびプライマーセット(標的クローンに特異的なセットおよび標的プローブについてマルチプレックス化した別の遺伝子特異的セット)のいずれかを含んでいた。PCR反応は、TaqMan(登録商標)ワンステップRT-PCR Master Mix (Applied Biosystems、カタログ番号4313803)を、製品説明書に従って用いて設定した。48℃で30分間の逆転写、次いで、以下の増幅/PCRサイクル:95℃10分間、その後95℃15秒、60℃で1分間の40サイクルを実施した。結果は、所与のサンプルとΔCT力について2で表される最低のCT値を持つサンプル間のRNA濃度に差に関して、ログスケールを用いてCT値(所与のサンプルが蛍光の閾値を通過するサイクル)として記録した。次いで、相対発現パーセントを、このRNA差異の逆数をとり、100を掛けることによって得る。
sscDNAサンプルを扱う場合には、標準化したsscDNAを、RNAサンプルについて先に記載した通りに用いた。1または2セットのプローブおよびプライマーを含むPCR反応を、1×TaqMan(登録商標)Universal Master mix(Applied Biosystems;カタログ番号4324020)を、製品説明書に従って用いて、前述の通り設定した。PCR増幅は以下のように実施した:95℃で10分、次いで95℃で15秒、60℃で1分の40サイクル。結果は前述のように解析し、処理した。
パネル1、1.1、1.2、および1.3D
パネル1、1.1、1.2および1.3Dのプレートには、2つの対照ウェル(ゲノムDNA対照および化学対照)および種々のサンプル由来のcDNAを含む94のウェルが含まれる。これらのパネルのサンプルは、2つのクラス:培養細胞株由来のサンプルおよび一次正常組織由来のサンプルに分類される。細胞株は以下の種類の癌:肺癌(lung cancer)、乳癌(breast cancer)、メラノーマ(melanoma)、結腸癌(colon cancer)、前立腺癌(prostate cancer)、CNS癌(CNS cancer)、扁平上皮癌(squamous cell carcinomas)、卵巣癌(ovarian cancer)、肝臓癌(liver cancer)、腎臓癌(renal cancer)、胃癌(gastric cancer)および膵臓癌(pancreatic cancer)に由来する。これらのパネルで用いた細胞株は、培養細胞株の宝庫であるAmerican Type Culture Collection(ATCC) を通じて広く入手可能であり、ATCCの推奨する条件を用いて培養した。これらのパネルに見られる正常組織は、単一の成人個体または胎児のすべての主要器官系に由来するサンプルからなる。これらのサンプルは以下の器官:成人骨格筋、胎児骨格筋、成人心臓、胎児心臓、成人腎臓、胎児腎臓、成人肝臓、胎児肝臓、成人肺、胎児肺、脳の種々の領域、脾臓、骨髄、リンパ節、膵臓、唾液腺、下垂体、副腎、脊髄、胸腺、胃、小腸、結腸、膀胱、気管、乳房、卵巣、子宮、胎盤、前立腺、精巣および脂肪に由来する。
パネル1、1.1、1.2および1.3Dの結果では、以下の略語が用いられる:
ca.=癌腫、
*=転移により確立されたもの、
met=転移、
s cell var=小細胞変異体、
non-s=non-sm=非小、
squam=扁平上皮の、
pl. eff= pl effusion=胸水、
glio=神経膠腫、
astro=アストロサイト腫、および
neuro=神経芽細胞腫。
一般 スクリーニング パネル v1.4、v1.5、v1.6およびv1.7
パネル1.4、1.5、1.6および1.7のプレートには、2つの対照ウェル(ゲノムDNA対照および化学対照)および種々のサンプル由来のcDNAを含む88〜94のウェルが含まれる。パネル1.4、1.5、1.6および1.7のサンプルは、2つのクラス:培養細胞株由来のサンプルおよび一次正常組織由来のサンプルに分類される。細胞株は以下の種類の癌:肺癌、乳癌、メラノーマ、結腸癌、前立腺癌、CNS癌、扁平上皮癌、卵巣癌、肝臓癌、腎臓癌、胃癌および膵臓癌に由来する。パネル1.4、1.5、1.6および1.7で用いる細胞株は、培養細胞株の宝庫であるAmerican Type Culture Collection (ATCC) を通じて広く入手可能であり、ATCCの推奨する条件を用いて培養した。パネル1.4、1.5、1.6および1.7に見られる正常組織は、2〜5つの異なる成人個体または胎児のすべての主要器官系に由来するサンプルのプールからなる。これらのサンプルは以下の器官:成人骨格筋、胎児骨格筋、成人心臓、胎児心臓、成人腎臓、胎児腎臓、成人肝臓、胎児肝臓、成人肺、胎児肺、脳の種々の領域、脾臓、骨髄、リンパ節、膵臓、唾液腺、下垂体、副腎、脊髄、胸腺、胃、小腸、結腸、膀胱、気管、乳房、卵巣、子宮、胎盤、前立腺、精巣および脂肪に由来する。略語はパネル1、1.1、1.2、および1.3Dについて記載した通りである。
パネル2D、2.2、2.3および2.4
パネル2D、2.2、2.3および2.4のプレートには、概ね2つの対照ウェルおよび米国国立癌研究所(the National Cancer Institute)のCooperative Human Tissue Network (CHTN)またはNational Disease Research Initiative (NDRI)と密接な協力関係を持つ医師により入手したか、あるいはArdaisまたはClinomicsから得たヒト組織から単離した、RNAまたはcDNAからなる94の試験サンプルが含まれる。これらの組織はヒト悪性腫瘍に由来し、示される場合には、多くの悪性組織が腫瘍とまさに隣接した非癌性組織から得られた「対応縁部」を含む。これらを正常な隣接組織と称し、下記の結果では「NAT」と示す。腫瘍組織および「対応縁部」は2人の別な病理学者によって(外科病理学者およびさらにNDRI/CHTN/Ardais/Clinomicsの病理学者によって)評価されている。悪性腫瘍のない組織(正常組織)由来の非対応RNAサンプルもArdaisまたはClinomicsより入手した。この分析により腫瘍の分化の程度に関する全体的な組織病理学的評価が提供される。さらに、ほとんどのサンプルが患者の臨床段階に関する情報を提供する最初の外科病理学報告書を包含する。これら対応縁部は外科手術域を取り囲む(すなわち、最も近くに隣接する)組織(表RRでは正常隣接細胞という語から「NAT」と表す)から採取されている。さらに、RNAおよびcDNAサンプルを高齢者または急死した被害者(事故など)に行なわれた検死解剖より得た種々のヒト組織から得た。これらの組織は病気にかかっていないと確認され、Clontech(Palo Alto, CA)、Research Genetics、およびInvitrogenなどの種々の商業ソースから購入した。
HASSパネルv 1.0
HASSパネルv 1.0プレートは93のcDNAサンプルおよび2つの対照からなる。詳しくは、これらのサンプルのうち81が、血清飢餓、アシドーシスおよび無酸素に異なる期間付された培養ヒト癌細胞株、ならびにこれらの処置の対照に由来し、3サンプルがヒト一次細胞、9サンプルが悪性脳癌(malignant brain cancer)(4つの髄芽細胞腫(medulloblastomas)および5つの膠芽細胞腫(glioblastomas))、ならびに2が対照である。ヒト癌細胞株はATCC(American Type Culture Collection)より入手し、以下の組織群:乳癌、前立腺癌、膀胱癌腫(bladder carcinomas)、膵臓癌およびCNS癌細胞株に分類される。これらの癌細胞はすべて標準の推奨される条件下で培養する。用いた処置(血清飢餓、アシドーシスおよび無酸素)はこれまでに科学論文で公開されている。ヒト一次細胞はClonetics(Walkersville, MD)より入手し、Cloneticsの推奨する培地および条件で増殖させた。悪性脳癌サンプルは共同研究(Henry Ford Cancer Center)の一環として入手し、CuraGenがサンプルを受け取る前に病理学者によって評価されている。標準的な手順を用いてRNAをこれらのサンプルから調製した。ゲノム対照および化学対照ウェルについては既に記載した。
ARDAISパネルV1.0
ARDAISパネルv1.0のプレートには、概ね2つの対照ウェルおよびArdais社と密接な協力関係を持つ医師により入手したヒト組織から単離したRNAからなる22の試験サンプルが含まれる。組織はヒト肺悪性腫瘍(human lung malignacies)(肺腺癌(lung adenocarcinoma)または肺扁平上皮癌(lung squamous cell carcinomas))に由来し、示される場合には、多くの悪性サンプルは腫瘍とまさに隣接した非癌性肺組織から得られる「対応縁部」を含む。これら対応縁部は以下の結果では外科手術域を取り囲む(すなわち、最も近くに隣接する)組織(正常隣接細胞という語から「NAT」と呼ばれる)から採取されている。腫瘍組織および「対応縁部」は独立した病理学者によって(外科病理学者およびさらにArdaisの病理学者によって)評価されている。肺由来の非対応悪性および非悪性のRNAサンプルもArdaisより入手した。Ardaisからのさらなる情報により腫瘍分化の程度および段階に関する全体的な組織病理学的評価が提供される。さらに、ほとんどのサンプルが患者の臨床段階に関する情報を提供する最初の外科病理学報告書を包含する。
ARDAIS前立腺/腎臓/肺v1.0
ARDAIS前立腺/腎臓および肺1.0のプレートには、それぞれ、概ね2つの対照ウェルおよびArdais社と密接な協力関係を持つ医師により入手したヒト組織から単離したRNAからなる68の試験サンプルが含まれる。組織はヒト前立腺、腎臓または肺悪性腫瘍(human prostate malignacies)に由来し、示される場合には、多くの悪性サンプルは腫瘍とまさに隣接した非癌性前立腺、腎臓または肺組織から得られる「対応縁部」を含む。これら対応縁部は以下の結果では外科手術域を取り囲む(すなわち、最も近くに隣接する)組織(正常隣接細胞という語から「NAT」と呼ばれる)から採取されている。腫瘍組織および「対応縁部」は独立した病理学者によって(外科病理学者およびさらにArdaisの病理学者によって)評価されている。非対応悪性および非悪性前立腺、腎臓または肺サンプルのRNAもArdaisより入手した。Ardaisからのさらなる情報により腫瘍分化の程度および段階に関する全体的な組織病理学的評価が提供される。さらに、ほとんどのサンプルが患者の臨床段階に関する情報を提供する最初の外科病理学報告書を包含する。
パネル3D、3.1および3.2
パネル3D、3.1、および 3.2のプレートは、94のcDNAサンプルおよび2つの対照サンプルからなる。詳しくは、これらのサンプルのうち92が培養ヒト癌細胞株に由来し、2サンプルがヒト一次小脳組織に由来し2が対照である。ヒト細胞株は概ねATCC(American Type Culture Collection)、NCIまたはドイツ腫瘍細胞バンク(German tumor cell bank)より入手し、以下の組織群:舌の扁平上皮癌、乳癌、前立腺癌、メラノーマ、類表皮癌腫(epidermoid carcinomas)、肉腫(sarcomas)、膀胱癌腫、膵臓癌、腎臓癌、白血病(leukemias)/リンパ腫(lymphomas)、卵巣/子宮(uterine)/子宮頸癌(cervical cancer)、胃癌、結腸癌、肺癌およびCNS癌細胞株に分けられる。さらに、2つの独立した小脳のサンプルがある。これらの細胞はすべて標準の推奨された条件下で培養し、標準的な手順を用いてRNAを抽出した。パネル3D、3.1、3.2、1、1.1、1.2、1.3D、1.4、1.5および1.6の細胞株は科学文献で用いられる最も一般的な細胞株である。
パネル4D、4R、および4.1D
パネル4は96ウェルプレート(対照ウェル2、試験サンプル94)に、炎症症状に関連する種々のヒト細胞株または組織から単離したRNA(パネル4R)またはcDNA(パネル4D/4.1D)からなるサンプルを含む。結腸および肺(Stratagene, La Jolla, CA)ならびに胸腺および腎臓(Clontech)などの対照正常組織由来の全RNAを用いた。肝硬変(cirrhosis)患者より得た肝臓組織および狼瘡(lupus)患者より得た腎臓由来の全RNAは、BioChain(Biochain Institute, Inc. , Hayward, CA)より入手した。クローン病(Crohn's disease)および潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis)であると診断された患者由来のRNA調製用の腸組織はNational Disease Research Interchange (NDRI) (Philadelphia, PA)より入手した。
アストロサイト、肺繊維芽細胞、皮膚繊維芽細胞、冠状動脈平滑筋細胞、細気管支上皮、気管支上皮、皮膚微小血管内皮細胞、肺微小血管内皮細胞、ヒト肺大動脈内皮細胞、ヒト臍静脈内皮細胞はすべてClonetics(Walkersville, MD)より購入し、これらの細胞種用にCloneticsが提供する培地で増殖させた。これらの一次細胞種は示したように、種々のサイトカインまたはサイトカインの組み合わせを用いて6および/または12〜14時間活性化した。以下のサイトカインを用いた;約1〜5ng/mlのIL-1β、約5〜10ng/mlのTNFα、約20〜50ng/mlのIFNγ、約5〜10ng/mlのIL-4、約5〜10ng/mlのIL-9、約5〜10ng/mlのIL-13。内皮細胞は0.1%血清を含むCloneticsの基本培地での培養によって種々の期間飢餓とすることもあった。
単核球を、Ficollを用いてCuraGen社の社員の血液から調製した。LAK細胞を、これらの細胞からDMEM 5%FCS(Hyclone)、100μM非必須アミノ酸 (Gibco/Life Technologies, Rockville, MD)、1mMピルビン酸ナトリウム(Gibco)、メルカプトエタノール5.5×10-5M(Gibco)、および10mM Hepes(Gibco)およびインターロイキン2で4〜6日培養することによって調製した。次いで、細胞を、10〜20ng/ml PMAおよび1〜2μg/ml イオノマイシン、5〜10ng/mlのIL-12、20〜50ng/mlのIFNγおよび5〜10ng/mlのIL-18で6時間活性化させた。場合によっては、単核球をDMEM 5% FCS (Hyclone)、100μM非必須アミノ酸(Gibco)、1mMピルビン酸ナトリウム(Gibco)、メルカプトエタノール5.5×10-5M(Gibco)、および約5μg/mlのPHA(フィトヘムアグルチニン)またはPWM(ポークウィードマイトジェン)を含む10mM Hepes(Gibco)で4〜5日間培養した。サンプルはRNA調製用に24、48および72時間で採取した。MLR(混合リンパ球反応)サンプルは二人のドナーより血液を採取し、Ficollを用いて単核球を単離し、単離した単核球をDMEM 5% FCS (Hyclone)、100μM非必須アミノ酸(Gibco)、1mMピルビン酸ナトリウム(Gibco)、メルカプトエタノール(5.5×10-5M)(Gibco)、および10mM Hepes (Gibco)に約2×106細胞/mlの最終濃度で1:1混合することで得た。MLRを培養し、サンプルをRNA調製用に1〜7日間の範囲の種々の時点で採取した。
単球は、CD 14 Miltenyiビーズ、ポジティブVS選択カラムおよびVario Magnetを、製品説明書に従って用いて単核球から単離した。単球はDMEM 5%ウシ胎児血清(FCS)(Hyclone, Logan, UT)、100μM非必須アミノ酸(Gibco)、1mMピルビン酸ナトリウム(Gibco)、メルカプトエタノール5.5×10-5M(Gibco)、および10mM Hepes(Gibco)、50ng/ml GMCSFおよび5ng/ml IL-4で5〜7日間培養することによって樹状細胞へ分化した。マクロファージはDMEM 5%FCS(Hyclone)、100μM非必須アミノ酸(Gibco)、1mMピルビン酸ナトリウム(Gibco)、メルカプトエタノール5.5×10-5M(Gibco)、10mM Hepes(Gibco)および10%AB型ヒト血清または約50ng/mlのMCSFで単球を5〜7日間培養することによって調製した。単球、マクロファージおよび樹状細胞はまた、100ng/mlのリポ多糖(LPS)で6および12〜14時間刺激した。樹状細胞はまた10μg/mlの抗CD40モノクローナル抗体(Pharmingen)で6および12〜14時間刺激した。
CD4リンパ球、CD8リンパ球およびNK細胞も、CD4、CD8およびCD56 Miltenyiビーズ、ポジティブVS選択カラムならびにVario Magnetを、製品説明書に従って用いて単核球から単離した。CD45RAおよびCD45RO CD4リンパ球はCD8、CD56、CD14およびCD19 Miltenyiビーズおよびポジティブ選抜を用いてCD8、CD56、CD14およびCD19細胞の単核球を枯渇させることによって単離した。次いでCD45ROビーズを用いてCD45RO CD4リンパ球を、CD45RA CD4リンパ球である残存する細胞とともに単離した。CD45RA CD4、CD45RO CD4およびCD8リンパ球を、DMEM 5%FCS(Hyclone)、100μM非必須アミノ酸(Gibco)、1mMピルビン酸ナトリウム(Gibco)、メルカプトエタノール5.5x10-5(Gibco)、および10mM Hepes(Gibco)に入れ、PBS中0.5μg/ml抗CD28(Pharmingen)および3ug/ml抗CD3(OKT3, ATCC)で一晩コーティングしておいたFalcon6ウェル組織培養プレートの上に106個細胞/mlでプレーティングした。6時間後及び24時間後に、RNA調製のためこの細胞を回収した。慢性的に活性化したCD8リンパ球を調製するため、本発明者らは単離したCD8リンパ球を4日間、抗CD28および抗CD3コーティングプレート上で活性化し、次いで細胞を回収し、これらをDMEM 5%FCS(Hyclone)、100μM非必須アミノ酸(Gibco)、1mMピルビン酸ナトリウム(Gibco)、メルカプトエタノール5.5×10-5M(Gibco)、および10mM Hepes(Gibco)、およびIL-2で拡大した。次いで、拡大したCD8細胞を再び、抗CD3および抗CD28が結合したプレートで4日間活性化させ、前と同様に拡大した。第2の活性化の6および24時間後に、ならびに第2の拡大培養の4日後にRNAを単離した。単離したNK細胞はDMEM 5%FCS(Hyclone)、100μM非必須アミノ酸(Gibco)、1mMピルビン酸ナトリウム(Gibco)、メルカプトエタノール5.5×10-5M(Gibco)、および10mM Hepes(Gibco)およびIL-2で4〜6日間培養し、その後RNAを調製した。
B細胞を得るために、扁桃をNDRIより入手した。扁桃を滅菌した解剖用鋏で細かく切断した後、篩にかけた。次いで扁桃細胞を沈降させ、DMEM 5%FCS(Hyclone)、100μM非必須アミノ酸(Gibco)、1mMピルビン酸ナトリウム(Gibco)、メルカプトエタノール5.5×10-5M(Gibco)、および10mM Hepes(Gibco)で、106個細胞/mlに再懸濁した。細胞を活性化させるため、本発明者らは5μg/mlのPWMまたは約10μg/mlの抗CD40(Pharmingen)ならびに5〜10ng/mlのIL-4を用いた。RNA調製用に24、48および72時間で細胞を回収した。
一次および二次Th1/Th2およびTr1細胞を調製するため、6ウェルFalconプレートを10μg/ml 抗CD28(Pharmingen)および2μg/ml OKT3(ATCC)で一晩コーティングし、次いでPBSで2回洗浄した。臍帯血CD4リンパ球(Poietic Systems, German Town, MD)をDMEM 5%FCS(Hyclone)、100μM非必須アミノ酸(Gibco)、1mMピルビン酸ナトリウム(Gibco)、メルカプトエタノール5.5×10-5M(Gibco)、10mM Hepes(Gibco)およびIL-2(4ng/ml)で105〜106個細胞/mlで培養した。IL-12(5ng/ml)および抗IL4(1μg/ml)をTh1向けるために用い、他方IL-4(5ng/ml)および抗IFNγ(1μg/ml)をTh2へ向けるために用い、5ng/mlのIL-10をTr1へ向けるために用いた。4〜5日後、活性化したTh1、Th2およびTr1リンパ球をDMEMで一度洗浄し、DMEM 5%FCS(Hyclone)、100μM非必須アミノ酸(Gibco)、1mMピルビン酸ナトリウム(Gibco)、メルカプトエタノール5.5×10-5M(Gibco)、10mM Hepes(Gibco)およびIL-2 (1ng/ml)で4〜7日間拡大した。この後、活性化したTh1、Th2およびTr1リンパ球を前述の通りではあるが、アポトーシスを防ぐため抗CD95L(1μg/ml)を添加して抗CD28/OKT3およびサイトカインで5日間再刺激した。4〜5日後、Th1、Th2およびTr1リンパ球を洗浄し、次いで再びIL-2 で4〜7日間拡大した。活性化したTh1およびTh2リンパ球をこのように最大3サイクル間維持した。抗CD3および抗CD28 mAbsが結合したプレートでの第2および第3の活性化、ならびにインターロイキン2での第2および第3の拡大培養への4日間の6および24時間後、RNAを一次および二次Th1、Th2およびTr1より調製した。
以下の白血球細胞株:Ramos、EOL-1、KU-812はATCCより入手した。EOL細胞は、さらに0.1mM dbcAMPで5×105個細胞/mlにて、3日毎に培地を交換し、細胞濃度を5×105個細胞/mlに調整しながら、8日間培養して分化させた。これらの細胞の培養には、本発明者らはDMEMまたはRPMI(ATCCの推奨するもの)を5% FCS(Hyclone)、100μM非必須アミノ酸(Gibco)、1mMピルビン酸ナトリウム(Gibco)、メルカプトエタノール5.5×10-5M(Gibco)、10mM Hepes(Gibco)を添加して用いた。RNAは休止細胞または10ng/mlのPMAおよび1μg/mlのイオノマイシンで6および14時間活性化させた細胞のいずれかから調製した。ケラチノサイト株CCD106および気道上皮腫瘍(airway epithelial tumor)株NCI-H292もATCCより入手した。双方ともDMEM 5%FCS(Hyclone)、100μM非必須アミノ酸(Gibco)、1mMピルビン酸ナトリウム(Gibco)、メルカプトエタノール5.5×10-5M(Gibco)、および10mM Hepes(Gibco)で培養した。CCD1106細胞は約5ng/ml TNFαおよび1ng/ml IL-1βで6および14時間活性化させ、NCI-H292細胞は以下のサイトカイン:5ng/ml IL-4、5ng/ml IL-9、5ng/ml IL-13および25ng/ml IFNγで6および14時間活性化させた。
これらの細胞株および血液細胞については、RNAはトリゾール(Gibco BRL)を用いて約107個細胞/mlに溶解させることによって調製した。簡単に説明すると、1/10容量のブロモクロロプロパン(Molecular Research Corporation)をRNAサンプルへ加え、ボルテックス処理をして室温にて10分後、チューブをSorvall SS34 ローターで14,000rpmで回転させた。水相を回収し、15ml Falcon Tubeの中に入れた。等量のイソプロパノールを加え、-20℃で一晩静置した。沈殿したRNAをSorvall SS34ローターで9,000rpmで15分間沈降させ、70%エタノールで洗浄した。ペレットを300μlのRNアーゼを含まない水に再び溶解し、35μlのバッファー(Promega)、5μl DTT、7μl RNAsinおよび8μlのDNアーゼを加えた。このチューブを37℃で30分間インキュベートして混入しているゲノムDNAを除去し、フェノールクロロホルムで1回抽出し、1/10容量の3M酢酸ナトリウムおよび2容量の100%エタノールで再び沈殿させた。RNAを沈降させ、RNアーゼを含まない水に入れた。RNAは-80℃で保存した。
AI 包括的 パネル v1.0
AI 包括的 パネル v1.0のプレートには2つの対照ウェルならびに、Backus HospitalおよびClinomics(Frederick, MD)より入手した外科および検死解剖ヒト組織から単離したcDNAからなる89の試験サンプルが含まれる。全RNAはCuraGenの施設内のBackus Hospitalより得た組織サンプルから抽出した。他の組織由来の全RNAはClinomicsより入手した。
滑液、滑膜、骨および軟骨をはじめとする関節組織は、Backus Hospitalで人工膝関節または人工股関節置換術を受けている患者より得た。単離したRNAが確実に最適な品質のものであり、かつ、退化しないように組織サンプルは液体窒素中で直ちに急速凍結させた。骨関節症(osteoarthritis)および慢性関節リウマチ(rheumatoid arthritis)の関節組織のさらなるサンプルをClinomicsより入手した。正常な対照組織はClinomicsより提供されたもので、外傷被害者の検死解剖の際に入手した。
乾癬(psoriatic)組織および隣接した対応組織の外科試料はClinomicsより全RNAとして提供された。25〜47歳の間の2名の男性および2名の女性患者を選択した。サンプルを単離する時に処方薬を服用していた患者はいなかった。
潰瘍性大腸炎およびクローン病の患者より得た患部結腸の外科試料および隣接する対応組織をClinomicsより入手した。41〜69歳の間の3名の女性および3名の男性クローン病患者より得た腸管組織を用いた。2名の患者は薬を処方されていなかったが、他の者はデキサメタゾン、フェノバルビタール、またはタイレノールを服用していた。潰瘍性大腸炎組織は3名の男性および4名の女性患者より得た。患者のうち4名はレヴィッド(lebvid)を、そして2名はフェノバルビタールを服用していた。
疾病のない、または肺気腫(emphysema)、喘息(asthma)またはCOPDを患う外傷被害者より得た検死解剖肺組織由来の全RNAをClinomicsより購入した。40〜70歳の範囲の肺気腫患者は全員が喫煙者であり、この年齢範囲はタバコが関連している肺気腫の患者に主眼を置き、かつ、α-1抗トリプシン欠乏症の患者を避けるよう選択した。喘息患者は36〜75歳にわたり、COPDも有するおそれのある患者を避けるため喫煙者を除外した。COPD患者は35〜80歳にわたり、喫煙者と非喫煙者の双方が含まれていた。ほとんどの患者がコルチコステロイドおよび気管支拡張薬を服用していた。
AI 包括的 パネル v1.0パネルで組織の同定に用いた標識では、以下の略語が用いられている:
AI=自己免疫
Syn=滑液の
Normal=明白な疾病なし
Rep22/Rep20=個々の患者
RA=慢性関節リウマチ
Backus=Backus病院提供
OA=骨関節症
(SS) (BA) (MF)=個々の患者
Adj=隣接組織
Match control=隣接組織
- M=男性
- F=女性
COPD=慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease)
AI.05軟骨肉腫
AI.05軟骨肉腫プレートは、血清飢餓およびMMP(1、3および13)合成を誘導することが知られているサイトカイン(例えば、IL1β)での処理に付されたSW1353細胞からなる。これらの処理としては以下が挙げられる:IL-1β(10ng/ml)、IL-1β+TNF-α(50ng/ml)、IL-1β+オンコスタチン(50ng/ml)およびPMA(100ng/ml)。SW1353細胞はATCC(American Type Culture Collection)から入手し、すべて、標準的な推奨条件下で培養した。SW1353細胞は、6ウェルプレートに3×105個細胞/ml(DMEM培地-10%FBS)でプレーティングした。処理は3連で、6時間および18時間行った。MMP1、3および13産生の解析のため、およびRNA抽出のために上清を回収した。RNAはこれらのサンプルから標準的な手順を用いて調製した。
パネル5Dおよび5I
パネル5Dおよび5Iのプレートには2つの対照ウェルならびに代謝病に重点を置いてヒト組織および細胞株から単離した種々のcDNAが含まれる。代謝組織は妊娠糖尿病(Gestational Diabetes)研究に加わっている患者より得た。細胞はヒト間葉幹細胞由来の脂肪細胞の分化における様々の段階の間で得た。ヒト膵島も得た。
妊娠糖尿病研究では、被検者は慣例の(選択性の)帝王切開をうけている妊娠糖尿病であるか、そうでない、若い(18〜40歳)かまたは健常な女性である。乳児出産後の外科的切開が修復される/閉じられる際、各外科レベルの終了処理中に産科医が露出した代謝組織の小サンプル(1cc未満)を摘出した。生検材料を摘出の時間から5分以内に滅菌した生理食塩水ですすぎ、水分を吸い取って急速凍結した。次いで組織を液体窒素で瞬間凍結し、滅菌したネジ蓋式のチューブに個別に保存し、発送用またはCuraGen社が回収するようにドライアイス上で維持した。注目する代謝組織としては、子宮壁(平滑筋)、内臓脂肪、骨格筋(直筋)および皮下脂肪が挙げられる。患者の概要は以下の通り:
患者2:糖尿病のラテンアメリカ人、過体重、インスリンを常用していない
患者7〜9:糖尿病でない白人で肥満(BMI>30)
患者10:糖尿病のラテンアメリカ人、過体重、インスリンを常用
患者11:糖尿病でないアフリカ系アメリカ人で過体重
患者12:糖尿病のラテンアメリカ人、インスリンを常用
脂肪細胞の分化を、2つの複製しかないドナー3Uを除き、3連でOsirus(Clonetics/BioWhittakerの一部門)から得たドナー前駆細胞内で誘導した。Cloneticsの科学者らはCuraGenのためにMark F. Pittengerら、Multilineage Potential of Adult Human mesenchymal Stem Cells Science Apr 2 1999: 143-147に見られる公開プロトコールに基づいて、ヒト間葉幹細胞(HuMSC)を単離し、増殖させ、分化させた。CloneticsはmRNA単離および二本鎖cDNA生成に好適なトリゾール溶解物または凍結ペレットを提供した。各ドナーの概要は以下の通り:
ドナー2および3U: 間葉幹細胞、未分化の脂肪
ドナー2および3AM:脂肪、分化途中の脂肪
ドナー2および3AD:脂肪、分化した脂肪
ヒト細胞株は概ねATCC(American Type Culture Collection)、NCIまたはドイツ腫瘍細胞バンク(German tumor cell bank)より入手し、以下の組織群:腎臓近位尿細管、子宮平滑筋細胞、小腸、肝臓HepG2癌細胞、心臓一次間質細胞、および副腎皮質腺腫細胞に分類される。これらの細胞はすべて標準の推奨された条件下で培養し、標準的な手順を用いてRNAを抽出した。すべてのサンプルはCuraGenで処理して一本鎖cDNAを得た。
パネル51はこれまでに記載したすべてのサンプルを含み、マイアミ医科大学(University of Miami School of Medicine)の糖尿病研究所(Diabetes Research Institute)から得た58歳の女性患者の膵島をさらに加えた。島組織は外部ソースで全RNAに処理され、パネル51に加えるためCuraGenに届けられた。
5Dおよび51パネルで組織の同定に用いた標識では、以下の略語が用いられている:
GO脂肪=大網脂肪
SK=骨格筋
UT=子宮
PL=胎盤
AD=分化した脂肪
AM=分化途中の脂肪
U=未分化の幹細胞
ヒト代謝RTQ-PCRパネル
ヒト代謝RTQ-PCRパネルのプレートには、2つの対照ウェル(ゲノムDNA対照および化学対照)ならびに211の代謝病に重点を置いてヒト組織および細胞株から単離したcDNAが含まれる。このパネルは、肥満症および/または糖尿病の病因および病気の発生において役割を果たすと考えられる遺伝子の組織および細胞発現プロフィールを確立するのに、および他の方法に由来するかかる遺伝子の発現の差を確認するのに有用である。代謝組織は、CureGen妊娠糖尿病研究に登録されている患者から、およびII型糖尿病の剖検組織および年齢、性別および人種が対応する対照患者から得た。以下のもののうち1以上を用いて患者の特性決定を行った:肥満度指数[BMI=wt(kg)/ht(m2)]、血清グルコース、HgbA1c。このパネルに用いた細胞株は、培養細胞株の宝庫であるAmerican Type Culture Collection(ATCC)を通じて広く入手可能である。ヒト膵島由来のRNAも入手した。
妊娠糖尿病研究では、被検者は慣例の(選択性の)帝王切開をうけている妊娠糖尿病であるか、そうでない、若い(18〜40歳)かまたは健常な女性である。乳児出産後の外科的切開が修復される/閉じられる際、各外科レベルの終了処理中に産科医が露出した代謝組織の小サンプル(1cc未満)を摘出した。生検材料を、滅菌した生理食塩水ですすぎ、水分を吸い取り、次いで、液体窒素で瞬間凍結し、滅菌したネジ蓋式のチューブに個別に保存し、発送用またはCuraGen社が回収するようにドライアイス上で維持した。注目する代謝組織としては、子宮壁(平滑筋)、内臓脂肪、骨格筋(直筋)および皮下脂肪が挙げられる。患者の概要は以下の通り:
患者7-糖尿病でない白人で肥満
患者8-糖尿病でない白人で肥満
患者12-糖尿病の白人、BMIは未知、インスリンを常用
患者13-糖尿病の白人、過体重、インスリンは常用していない
患者15-糖尿病の白人、肥満、インスリンは常用していない
患者17-糖尿病の白人、正常体重、インスリンは常用していない
患者18-糖尿病のラテンアメリカ人、肥満、インスリンは常用していない
患者19-糖尿病でない白人、正常体重
患者20-糖尿病の白人、過体重、インスリンを常用
患者21-糖尿病でない白人で過体重
患者22-糖尿病の白人、正常体重、インスリンを常用
患者23-糖尿病でない白人で過体重
患者25-糖尿病の白人、正常体重、インスリンは常用していない
患者26-糖尿病の白人、肥満、インスリンを常用
患者27-糖尿病の白人、肥満、インスリンを常用
全RNAは、12人のII型糖尿病患者および12人の対応する対照患者の、視床下部、肝臓、膵臓、小腸、腰筋、横隔膜筋、内臓脂肪および皮下脂肪を含めた代謝組織から単離した。糖尿病と非糖尿病は、年齢、性別、民族性および可能であればBMIについて対応させた。
このパネルにはまた、マイアミ医科大学の糖尿病研究所から得た、22歳の男性患者(BMIが35)の膵島が含まれる。膵島組織は、CuraGenで全RNAに処理された。
このパネルに用いた細胞株は、培養細胞株の宝庫であるAmerican Type Culture Collection(ATCC)を通じて広く入手可能であり、外部施設で培養した。RNAは、CuraGenプロトコールにしたがってCuraGenで抽出した。次いで、すべてのサンプルをCuraGenで処理して一本鎖cDNAを得た。
ヒト代謝パネルで組織を同定するのに用いた標識では、以下の略語が用いられている:
PI=胎盤
Go=大網
SK=骨格筋
Ut=子宮
CC=白人
HI=ラテンアメリカ人
AA=アフリカ系アメリカ人
AS=アジア人
Diab=II型糖尿病
Norm=非糖尿病
Onerwt=過体重;中BMI
Obese=高BMI
Low BM=20〜25
Med BM=26〜30
Hi BMI=30より高い
M=男性
#=患者識別子
Vis.=内臓
SubO=皮下
パネル CNSD 01
パネル CNSD 01のプレートには、2つの対照ウェルおよびハーバード脳組織資源センター(Harvard Brain Tissue Resource Center)より得た検死解剖ヒト脳組織から単離したcDNAからなる94の試験サンプルが含まれる。脳は死後4〜24時間にドナーの頭蓋冠から摘出され、神経解剖学者によって区分化され、液体窒素蒸気中で-80℃にて凍結されている。すべての脳は神経病理学者によって区分化されて調べられ、明確に関連している神経病理学について診断が確認されている。
疾病診断は患者の記録から取られている。パネルには以下の診断:アルツハイマー病、パーキンソン病(Parkinson's diseas)、ハンチントン舞踏病(Huntington's disease)、進行性核上麻痺(Progressive Supernuclear Palsy)、鬱病(Depression)の各々からの2つの脳、および「正常対照」が含まれる。これらの脳の各々の中には、以下の領域が示されている:帯状回、側頭極、淡蒼球、黒質、ブロードマン領野4(一次運動帯)、ブロードマン領野7(頭頂皮質)、ブロードマン領野9(前前頭皮質)、およびブロードマン領野17(後頭皮質)。すべての患者ですべての脳の領域が示されるわけではなく、例えば、ハンチントン舞踏病は一つには淡蒼球での神経変性を特徴とするので、ハンチントン舞踏病と確認された患者からこの領域を得ることは不可能である。同様にパーキンソン病は黒質の変性を特徴とし、この領域を得るのが一層困難となる。正常な対照脳は神経病理学に関して調べられ、神経変性に一致する病理がないと判明したものである。
CNSパネルで組織の同定に用いた標識では、以下の略語が用いられている:
PSP=進行性核上麻痺
Sub Nigra=黒質
Glob Palladus=淡蒼球
Temp Pole=側頭極
Cing Gyr=帯状回
BA 4= ブロードマン領野4
パネル CNS 神経変性 V1.0
パネルCNS 神経変性 V1. 0のプレートには、2つの対照ウェルならびにハーバード脳組織資源センター(Harvard Brain Tissue Resource Center)(McLean Hospital)およびヒト脳・脊髄液資源センター(Human Brain and Spinal Fluid Resource Center)(VA Greater Los Angeles Healthcare System)から入手した検死解剖ヒト脳組織から単離したcDNAからなる47の試験サンプルが含まれる。脳は死後4〜24時間にドナーの頭蓋冠から摘出され、神経解剖学者によって区分化され、液体窒素蒸気中で-80℃で凍結されている。すべての脳は神経病理学者によって区分化され、調べられ、明確に関連する神経病理学について診断が確認されている。
疾病診断は患者の記録から取られている。このパネルには6つのアルツハイマー病(AD)患者由来の脳、および8つの死亡前に痴呆の徴候を示さなかった「正常対照」由来の脳が含まれる。8つの正常対照脳は2種類:痴呆およびアルツハイマー病のような病理のない対照(対照)および痴呆はないが重篤なアルツハイマー病のような病理の徴候のある対照、(詳しくは、0〜3段階のレベル3と評価される老人斑量;0=斑の徴候なし、3=重篤なAD老人斑量)に分けられる。これらの脳の各々の中には、以下の領域が示されている:海馬、側頭皮質(ブロードマン領野21)、頭頂皮質(ブロードマン領野7)、および後頭皮質(ブロードマン領野17)。これらの領域はADにおけるすべての段階の神経変性を包含するよう選択した。海馬はADにおいて初期ならびに重篤な神経損失領域である;側頭皮質はADにおいて海馬の後に神経変性を示すと知られている;頭頂皮質はこの疾病の最終段階で中程度の神経細胞死を示す;後頭皮質はADで残される、従ってAD患者内で「対照」領域として役割を果たす。すべての患者ですべての脳領域が示されているわけではない。
CNS 神経変性 V1.0パネルで組織の同定に用いた標識では、以下の略語が用いられている:
AD=アルツハイマー病脳;検死解剖に際し患者は痴呆であり、ADのような病理を示した
Control=対照脳;神経病理学を示さない痴呆でない患者
Control(Path)=対照脳;痴呆でないが重篤なADのような病理を示す患者
SupTemporal Ctx=上側頭皮質
InfTemporal Ctx=下側頭皮質
パネル CNS 神経変性 V2.0
パネルCNS 神経変性 V1. 0のプレートには、2つの対照ウェルならびにハーバード脳組織資源センター(Harvard Brain Tissue Resource Center)(McLean Hospital)およびヒト脳・脊髄液資源センター(Human Brain and Spinal Fluid Resource Center)(VA Greater Los Angeles Healthcare System)から入手した検死解剖ヒト脳組織から単離したcDNAからなる47の試験サンプルが含まれる。脳は死後4〜24時間にドナーの頭蓋冠から摘出され、神経解剖学者によって区分化され、液体窒素蒸気中で-80℃で凍結されている。すべての脳は神経病理学者によって区分化され、調べられ、明確に関連する神経病理学について診断が確認されている。
疾病診断は患者の記録から取られている。このパネルには16のアルツハイマー病(AD)患者由来の脳、および29の死亡前に痴呆の徴候を示さなかった「正常対照」由来の脳が含まれる。29の正常対照脳は2種類:14の痴呆およびアルツハイマー病のような病理のない対照(対照)および15の痴呆はないが重篤なアルツハイマー病のような病理の徴候のある対照、(詳しくは、0〜3段階のレベル3と評価される老人斑量;0=斑の徴候なし、3=重篤なAD老人斑量)に分けられる。ハーバード脳組織資源センターから入手したすべてのサンプルについては側頭皮質(ブロードマン領野21)由来の組織を選択し、ヒト脳・脊髄液資源センターから入手した2サンプル(サンプル1および2)からは下および上側頭皮質を用い、パネルの各サンプルは、一個体の患者の下および上側頭皮質のプールに相当する。側頭皮質は、疾病の中間段階でのニューロンの喪失を示すために選択した。アルツハイマー病の初期に影響を受ける領域(例えば、海馬または嗅内皮質)を選択すると、脆弱なニューロンが失われた後の遺伝子発現の検討してしまい、実際の神経変性プロセスに関与している遺伝子を見失ってしまう可能性がある。
CNS 神経変性 V2.0パネルで組織の同定に用いた標識では、以下の略語が用いられている:
AD=アルツハイマー病脳;検死解剖に際し患者は痴呆であり、ADのような病理を示した
Control=対照脳;神経病理学を示さない痴呆でない患者
AH3=対照脳;痴呆でないが重篤なADのような病理を示す患者
Inf & Sup Temp Ctx プール =所与の一個体の下および上側頭皮質のプール
A. CG57008-02:HAVcr-1
遺伝子CG57008-02の発現を、プライマー-プローブセットAg821を使用して評価し、表5に記載した。RTQ-PCR実施の結果を、表6〜17に示す。
表5 プローブ名Ag821
Figure 2005535294
表6 AI 包括的パネル v1.0
Figure 2005535294
Figure 2005535294
表7 Ardais パネル1.1
Figure 2005535294
表8 Ardais パネル v.1.0
Figure 2005535294
表9 CNS 神経変性 v1.0
Figure 2005535294
表10 一般 スクリーニング パネル v1.6
Figure 2005535294
Figure 2005535294
表11 HASS パネル v1.0
Figure 2005535294
Figure 2005535294
表12 パネル 1.2
Figure 2005535294
Figure 2005535294
表13 パネル 3D
Figure 2005535294
Figure 2005535294
表14 パネル 4D
Figure 2005535294
Figure 2005535294
表15 パネル5 膵島
Figure 2005535294
表16 一般 オンコロジースクリーニング パネル v2.4
Figure 2005535294
表17 Ardais 腎臓 1.0
Figure 2005535294
AI 包括的パネル v1.0まとめ:この転写物の発現が、中〜低レベルで広範囲に、また正常肺における発現(CT=34〜37)と比較すると、肺気腫患者由来の肺組織において(CT=31)より高い発現が検出される。
Ardais パネル 1.1まとめ:Ag821 この遺伝子の最高発現が、肺癌サンプルで見られる(CT=27.4)。この発現はArdais パネルv1.0に見られる発現と一致している。肺癌におけるこの遺伝子のさらなる考察についてはそのパネルを参照。
Ardais パネル v1.0まとめ:Ag821 この遺伝子の最高発現が肺癌サンプルで見られる(CT=29.2)。さらに、対応する正常組織サンプルと比較すると、この遺伝子の一貫した過剰発現が、肺癌で見られる。したがって、この遺伝子の発現は、このパネルで肺癌サンプルと他のサンプル間を区別するために、また肺癌のマーカーとして使用できる可能性がある。さらに、この遺伝子または遺伝子産物の発現または機能の治療的調節は、肺癌の処置で有用であり得る。
CNS 神経変性 v1.0まとめ:Ag821 この実験ではCG93088-01遺伝子の発現が、独立した個体群の脳において低レベルで確認される。痴呆ではない対照と比較すると、この遺伝子はアルツハイマー病患者の側頭皮質においてアップレギュレートされていると思われる。したがって、この遺伝子または遺伝子産物の発現または機能の治療的調節は、アルツハイマー病の進行を遅らせるか、または止めることができる。
一般 スクリーニング パネル v1.6まとめ:Ag821 この遺伝子は腎臓癌細胞株により高度かつ特異的に発現され、このことは、この遺伝子産物が効果的な腎臓癌マーカーとなり得ることを示唆する。高レベルの発現がまた、単一結腸癌細胞株、卵巣癌細胞株および肺癌細胞株でも見られる。したがって、この遺伝子の発現または機能の調節は、腎臓癌の処置で有用であり得る。
HASS パネル v1.0まとめ:Ag821 検出可能なレベルの発現は、腎臓由来のサンプルに限定され、他のパネルにおける発現と一致する。
パネル 1.2まとめ:Ag821 このパネルにおける発現は、パネル1.6と一致している。この遺伝子の考察については、このパネルを参照。
パネル 3Dまとめ:Ag821 この遺伝子の発現は腎臓、胃、肺、膵臓、膀胱、骨髄腫および結腸癌由来の細胞株に限定されている。
パネル 4Dまとめ:Ag821 同一のプローブ-プライマーセットを用いる2実験の結果は極めて一致している。この転写物は、胸腺およびループス腎臓において高度に発現されるが(CT=27〜28)、対照腎臓組織または正常結腸ではそうではない。また、休止一次Th1およびTh2細胞においても誘導されるが、未処理T細胞および慢性的に活性化されているT細胞では低レベルで発現される。休止一次T細胞RNAは培養T細胞由来であり、臍帯血から精製し、IL-12(Th1培養液)またはIL-4(Th2培養液)いずれかの存在下でCD3およびCD28モノクローナル抗体で刺激する。これらの培養液はまだTh1またはTh2経路にまだ関係づけられていない多数のT細胞(Th0細胞)を含有している。したがって、Th2エフェクターT細胞機能を阻害するヒト化モノクローナル抗体は、喘息、狼瘡および肺気腫に伴う炎症を低減するであろう。
パネル 5 膵島まとめ:Ag281 検出可能なレベルの発現は、腎臓由来のサンプルに限定されており(CT=26)、他のパネルと一致している。
一般 オンコロジー スクリーニング パネルv2.4まとめ:Ag821 この遺伝子の極めて高いレベルの発現が、腎臓癌で見られる(CT=24〜25)。さらに、この遺伝子は、対応する正常隣接組織よりも腎臓癌中でより高度に発現される。したがって、この遺伝子の発現は、この癌のマーカーとして使用できる可能性がある。さらに、この遺伝子産物の発現または機能の治療的調節は、腎臓癌の処置で有用であり得る。
Ardais 腎臓 1.0:Ag821 この遺伝子の最高発現が腎臓癌サンプルで見られる。さらに、この遺伝子は一貫して、対応する正常隣接組織よりも腎臓癌でより高いレベルで発現され、従前のパネルと一致する。したがって、この遺伝子の発現はこの癌のマーカーとして使用できる可能性がある。さらに、この遺伝子産物の発現または機能の治療的調節は、腎臓癌の処置で有用であり得る。
B. CG5137-01:ネフリン
遺伝子CG51373-01の発現を、プライマー-プローブセットAg271bを使用して評価し、表18に記載した。RTQ-PCR実施の結果を、表19および表20に示す。
表18 プローブ名Ag271b
Figure 2005535294
表19 パネル 2.2
Figure 2005535294
Figure 2005535294
表20 パネル 4.1D
Figure 2005535294
Figure 2005535294
パネル 2.2まとめ:Ag271b この遺伝子は、正常隣接組織と比較すると、腎臓癌、メラノーマおよび結腸癌でかなり過剰に発現される。したがって、この遺伝子の発現は、このパネルでこれらのサンプルと他のサンプルを区別するために、およびこれらの癌のマーカーとして使用できる可能性がある。さらに、CG51373-01を標的とする治療薬は、これらの腫瘍で、腫瘍細胞の移動または浸潤の程度、および腫瘍転移を制限または阻止することが期待される。
パネル 4.1Dまとめ:Ag271b パネル4.1Dでは、免疫グロビンドメイン含有膜タンパク質の細胞外ドメインをコードするCG51373-01遺伝子は、以下に示す休止およびサイトカイン活性化細胞および組織において発現される:HUVEC、肺微小血管内皮細胞、細気管支上皮、冠状動脈平滑筋細胞、アストロサイト、肺繊維芽細胞、皮膚繊維芽細胞。このCG51373-01遺伝子産物は、Igドメイン含有タンパク質の機能に拮抗する治療用抗体の標的として有用であり得る。かかる抗体は、多発性硬化症、慢性閉塞性肺疾患、喘息、肺気腫、関節リウマチ、または乾癬のような炎症性疾患および自己免疫疾患を患う患者の症候を軽減または消失させることができる。
(実施例8)関連経路
PathCalling(商標)技術:受託番号CG57008-02の配列は、ツーハイブリッド・アプローチによるcDNAライブラリーの実験室スクリーニングから導いた。全長DNA配列、または配列の一部のいずれか、あるいはその双方をカバーするcDNA断片を配列決定した。インシリコ予測はCuraGen社の特許配列データベースまたは公開されているヒト配列データベースで入手可能な配列に基づいたものであり、全長DNA配列またはそのある一部のいずれかが提供された。
cDNAライブラリーは、種々のドナー由来の複数の組織種、正常状態および病的状態、生理的状態、ならびに発達段階に相当する種々のヒトサンプルに由来する。サンプルは、全組織、一次細胞または組織培養した一次細胞または細胞株として得た。細胞および細胞株は、遺伝子発現を調節する生物因子または化学薬品、例えば、成長因子、ケモカインまたはステロイドで処理しておいてもよい。次いで、このような由来のcDNAを適当なツーハイブリッド・ベクター(Gal4活性化ドメイン(Gal4-AD)融合物)へ一定方向にクローニングした。次いで、かかるcDNAライブラリーならびにClontech(Palo Alto, CA)より市販されているcDNAライブラリーを、大腸菌(E.coli)からCuraGen社特許酵母株(その全文を出典明示により本明細書の一部とする、米国特許第6,057,101号および6,083,693号に開示)へ移した。
CuraGen社特許ヒト配列ライブラリーのGal4結合ドメイン(Gal4-BD)融合物を用いて、複数のGal4-AD融合物cDNAライブラリーをスクリーニングし、その結果、その各々でGal4-AD融合物が個々のcDNAを含む酵母ハイブリッド二倍体を選択した。各サンプルをcDNA挿入境界で非特異的プライマーを用いるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて増幅した。かかるPCR産物を配列決定し、配列トレースは手作業で評価し、必要に応じて修正のために編集した。すべてのサンプルからのcDNA配列を、時には公開ヒト配列を含めて、ともにアセンブルし、バイオインフォマティックプログラムを用いて各アセンブリーの共通配列を得た。各アセンブリーはCuraGen社のデータベースに含まれている。配列は別の構成要素との同一性の程度が50bpにわたって少なくとも95%である場合、アセンブリーの構成要素として含めた。各アセンブリーは遺伝子またはその一部に相当し、スプライシング型一塩基多型(SNP)、挿入、欠失およびその他の配列変異体などの変異体に関する情報を含む。
物理的クローン:全オープンリーディングフレームをカバーする、スクリーニング手順により得たcDNA断片を、組み換えDNAとしてpACT2プラスミド(Clontech)にクローニングしてcDNAライブラリーを作製する。この組換えプラスミドを宿主へ挿入し、CuraGen社特許酵母株N106'およびYULH(米国特許第6,057,101号および第6,083,693号)の双方の接合によってスクリーニング手順の間に生じた酵母ハイブリッド二倍体によって選択する。
相互作用タンパク質対を、CuraGenのPathCalling(商標)タンパク質相互作用データベースに加える。このデータベースにより、それらの相互作用および/または病理学的に関連のあるシグナル伝達経路における存在に基づいて新規薬剤標的の発見が可能となる。次いで、バイナリータンパク質相互作用、タンパク質複合体形成、ならびに完全細胞性シグナル伝達経路を可視化する手段を提供する、GeneScape(商標)内のバイオインフォマティックツールを用いてタンパク質相互作用を解析する。具体的には、図1に示すように、タンパク質CG57008-02(HAVcR-1)(NOV1c)、CG51373(NEPH1)(NOV2)、LOC15546およびCOL1A1タンパク質をコードする配列は相互作用するとわかり、タンパク質複合体の形成をもたらすことができ、または細胞性シグナルを伝播するために形成する、疾病病理と生理学的に関連のある、一連の複合体を構成し得る。特定の複合体を構成する特定の相互作用はまた、組換えタンパク質または抗体療法、小分子薬または遺伝子治療アプローチの使用による治療的介入にとって有用であり得る。
PathCalling(商標)データベースのマイニングによって同定されるタンパク質相互作用を、in vitroおよびin vivoでスクリーニングして発現情報、機能情報、生化学的情報および表現型情報を提供することができる。アッセイは単独で用いても、限定されるものではないが以下の技術、RTQ-PCR、組換えタンパク質のトランスフェクション、免疫共沈降および質量分析、FRET、アフィニティークロマトグラフィー、免疫組織化学または免疫細胞化学、遺伝子CHIPハイブリダイゼーション、アンチセンス(すなわち、ノックダウン、ノックアップ)、GeneCalling実験、および/または生化学アッセイ(リン酸化、脱リン酸化、プロテアーゼ等)をはじめとするものと組合せて用いてもよい。
図1に示すように、PathCallingデータは、CG57008-02(HAVcr-1)によりコードされるタンパク質のムチンドメインは、CG51373、ネフリン類似I(NEPH1)、構造的細胞接着分子と相互作用することを示す。表21は、3つの独立した実験でこの新規の相互作用を検出するために使用されたbaitおよびpreyのアミノ酸配列をまとめている。この相互作用は、CG51373がCG57008-02タンパク質の膜結合誘引物質として働き、調節されていないシグナル伝達事象が腎臓の腫瘍形成を促進することを示唆する。RTQ-PCRパネル2の発現データ(表16および19を参照)は、双方の遺伝子は正常隣接組織と比較すると腎臓癌で過剰発現されていることを示し、このことはこの新規の相互作用をさらに支持する。
哺乳類細胞では、ムチンは高度にO-グリコシル化されているが、この相互作用は酵母ツーハイブリッドシステムを用いて発見されたので、このムチンドメインはO-グリコシル化されるとは思われない。したがって、ムチンは腫瘍中で異常にグリコシル化されることが知られているため、この発見は病的状態で起こる相互作用のみを反映することができる。図1はまた、CG57008-02が、LOC155465、器官発達において化学誘引物質として働き、いくつかの腫瘍(PMID:9790916)でアップレギュレートされている分泌タンパク質と相互作用すること、およびCOL1A1、細胞外マトリックスタンパク質が関係している可能性があることを示す。これらの相互作用は、新規CG57008-02およびCG51372の相互作用についてのより強力な支持および状況を提供する。
この新規の相互作用はまた、CG57008-02とCG51373の間の相互作用を阻害すれば、喘息をもたらす末梢フィードバック免疫応答を防げることを示唆する。加えて、RTQ-PCRパネル4.1D(表20参照)は、サイトカイン活性化肺繊維芽細胞におけるCG51373の高レベルな発現を示す。
この相互作用を阻害するための抗体の使用は、腎臓癌および喘息の処置で有用であり得る。
表21. 酵母ツーハイブリッド相互作用情報
Figure 2005535294
PathCalling1×1マトリックスアッセイによるドメイン分析
表22.マトリックス1×1アッセイで試験したCG57008およびCG51373の断片
Figure 2005535294
表23.マトリックス1×1アッセイで検出された相互作用
Figure 2005535294
表22は相互作用に関して試験したCG57008およびCG51373の組合せおよび変異体のすべてを示す。これらの相互作用は、酵母ツーハイブリッド融合タンパク質に関して双方向で試験した。CG51373-07のアミノ酸番号付けでは、最初のメチオニンをアミノ酸番号1とする。表23はマトリックス1×1アッセイで検出されたすべての相互作用を示す。検出された陽性相互作用の数およの酵母ツーハイブリッド融合タンパク質に関して双方向におけるその検出により、CG57008、HAVcr-1、変異体およびCG51373、ネフリン1変異体の間の新規の相互作用、具体的には、HAVcr-1のムチンドメインとネフリン1のPKDドメインの間の相互作用が確認される。
(実施例9)CG57008と結合する抗体の調製
抗体を作製する技術は当技術分野で公知であり、例えば「Antibodies, a Laboratory Manual」 Eds Harlow and Lane, Cold Spring Harbor publisherに記載されている。ウサギおよびマウスの双方がポリクローナル抗体の作製に適しており、マウスはまた、モノクローナル抗体の作製にも適している。ヒト免疫グロブリン遺伝子がマウス免疫グロブリンと置換されているマウスを用いて、完全なヒトモノクローナル抗体を作製することができる。これらの抗体は優れた製薬上の特徴を有し、治療効果を失わせる抗体に向けられた免疫応答はわずかであるか、なく、動物モデルにおいて腫瘍を根絶することが示されている(Yang XD, et al., Cancer Res, 59(6):1236-43(1999))。
ヒトモノクローナル抗体の作製
CG57008-02に対する完全ヒトIgG2およびIgG4モノクローナル抗体(mAb)は、先にYang, et al., Cancer Res, 59(6):1236-43(1999)に記載されたように、マウス抗体産生に欠陥があり、ヒト重鎖およびκ軽鎖遺伝子座由来のメガベースサイズの断片にヒト抗体遺伝子レパートリーの大多数を含むよう設計された、ヒト抗体産生ゼノマウス系統から作製した。抗体の特異性はELISAによって調べた。
抗原および抗体の作製:CG57008-02の細胞外ドメインをバキュロウイルス発現ベクター、pMelV5His(CuraGen Corporation)へサブクローニングし、pBlueBacバキュロウイルス発現システム(Invitrogen Corporation)を用いて発現試験を行い、ウエスタンブロット解析で確認した。その配列は以下に示すポリペプチドをコードする:
Figure 2005535294
このポリペプチドを用いて抗体を作製した。
エピトープビンニングおよびBIAcoreアフィニティー測定
材料
・MxhIgG−コンジュゲート・ビーズ(光への曝露を制限する)
・洗浄バッファー(PBS,Tween20{0.05%})
・ブロッキングバッファー
・96ウェルマイクロタイターフィルタープレート(Milipore#MADVN6550)
・mxhIgG-PE
方法
1. 未知の一次抗体に連結するためのビーズを調製する(遮光)。各未知の上清に対し個別の試験管を使用する。以下の式を用いて必要な上清の容積を計算する:(n+10)×50μl(ただしn=プレート上のサンプル総数)。濃度が既知の場合は0.5μg/mlで使用する。ビーズストックを軽くボルテックス処理する。上清中のビーズをウェル当たり2500個の各ビーズまたは0.5×105/mlの濃度に希釈する。
2. 暗所、室温、シェーカーで一晩インキュベートするか、または0.5μg/mlの既知濃度の場合は2時間インキュベートする。
3. ウェルあたり200μlの洗浄バッファーを加えてフィルタープレートをあらかじめ湿らせる。吸引する。
4. 50μlの各ビーズをフィルタープレートの各ウェルに加える。100μl/ウェルの洗浄バッファーを加えて一度洗浄し、吸引する。
5. フィルタープレートに50μl/ウェルの抗原および対照を加える。蓋をして暗所、シェーカーで1時間インキュベートする。
6. 3回洗浄する。
7. 50μl/ウェルの未知二次抗体を加える。一次抗体に用いたものと同じ希釈(または既知ならばその濃度)を用いる。暗所、室温、シェーカーで2時間インキュベートする。
8. 3回洗浄する。
9. 50μl/ウェルの1:500希釈ビオチニル化mxhIgGを加える。暗所、室温、シェーカーで1時間インキュベートする。
10. Luminex100およびXYPベースのスイッチを入れる。Luminexソフトウエアを開いて「ウォーミングアップ」操作を開始する。シース液容器が十分な容積であり、廃液容器に十分なスペースがあり一杯にならないことを確認する。
11. Luminexソフトウエアで、「新規セッション」ボタンをクリックする。「設定」ウィンドウが表示される。「サンプル数」以外の規定の設定はすべて正しい。
12. このフィールドにサンプル数を入力する。
13. 「ビーズセット」タブをクリックし、アッセイに使用したビーズの指定数を入力する。
14. 3回洗浄する。
15. 50μl/ウェルの1:1000のストレプトアビジン-PEを加える。暗所、室温でシェーカーで15分間インキュベートする。
16. Luminex100上で洗浄サイクルを2回行う。
17. 3回洗浄する。
18. 各ウェルを80μlのブロッキングバッファーに再懸濁する。注意深くピペッティングして数回上下させ、ビーズを再懸濁する。
19. Luminexベース上にプレートを置いて読み取る。スクリーン上で位置A1に光が当たるようにしてスタートをクリックする。最後のサンプルを読み取った後、洗浄サイクルを2回、浸漬サイクルを1回行う。Luminexソフトウエアを閉じる。次いでLuminex100の上部と下部のスイッチを切る。キャップを緩めてシース液リザーバー中の圧力を下げる。
BIAcore測定
当技術分野で公知の方法、例えば「Validation parameters for a novel biosensor assay which simultaneously measures serum concentrations of a humanized monoclonalantibody and detects induced antibodies」、R. Wong, D. Mytych, S.Jacobs, R.Bordens, S.Swanson, Journal of Immunological Methods, 209(1997)1-15を用いてBIAcore測定を行った。
表24は8つの異なるビンに属する、作製されたモノクローナル抗体を示す。
表24
Figure 2005535294
(実施例10)CG57008-02に対するモノクローナル抗体の特異性
ELISAプロトコール
溶液調製:コーティングバッファー(0.1M 炭酸塩、pH9.5)、8.4g NaHCO3、3.56g Na2CO3、pHを9.5とし、蒸留水を加えて1Lとする。
アッセイ希釈液:Pharmingen #26411E
プロトコール:
1)96ウェル高タンパク質結合ELISAプレート(Corning Costar #3590)を、コーティングバッファーで希釈した濃度5μg/mLのCG57008-02タンパク質50μlを用い、4℃で一晩インキュベートしてコーティングする。
2)翌日、ウェルを200〜300μlのPBS中0.5%TWEEN-20で5回洗浄する。
3)200μlのアッセイ希釈液を用いて、プレートを室温で少なくとも1時間ブロッキングする。
4)CR014抗体を、アッセイ希釈液中で最終濃度7、15、31.3、62.5、125、250、500および1000ng/mlとなるよう希釈する。V5含有ペプチドをELISAの陽性対照として検出するために、抗-V5-HRP抗体を1:1000希釈で用いた。
5)ステップ2のようにプレートを洗浄する。
6)各抗体希釈液50μlを適切なウェルに加え、室温で少なくとも2時間インキュベートする。
7)ステップ2のようにプレートを洗浄する。
8)二次抗体50μl(1:1000希釈のヤギ抗ヒトHRP)を加え、室温で1時間インキュベートする。
9)ステップ2のようにプレートを洗浄する。
10)100μlのTMB基質溶液/ウェル(1:1比の溶液A+B)(Pharmingen #2642KK)でアッセイを発現させる。
11)50μlの硫酸で反応を停止する。
12)450nmでプレートを読み取り、550nmで補正する。
抗体のCG57008-02に対する特異性を示すために、4種の抗体CR014.1.29、CR014.2.56.2、CR014.2.59.2およびCR014.2.45.1ならびにアイソタイプ対応対照mAb PK16.3の、CG57008-02抗原に対する反応性に関してELISAを用いて試験した(図2)。X軸は上記の順の抗体処理を示し、Y軸は光学密度である。
加えて、観察された免疫反応性がCG57008-02構築体に加えられたV5-Hisタグに対して向けられたものである可能性を除くために、同じV5-Hisタグを含む関連のないタンパク質を対照としてアッセイに含めた(図3)。これらの結果は、アッセイされた4種の抗体は野生型-CG57008-02抗原と特異的に結合することを示す。
(実施例11)正常組織および腫瘍組織におけるCG57008発現の免疫組織化学(IHC)解析
正常組織および腫瘍組織におけるCG57008発現の免疫組織化学(IHC)解析を当技術分野で公知の方法により行った。
免疫組織化学染色プロトコール
サンプル調製
1.組織を10%ホルマリン中、4℃で一晩固定する。
2.固定された組織をパラフィン包埋する。
3.組織切片をスライド上にのせる。
4.スライドを100%アルコール(18:1:1 100%エタノール:100%メタノール:100%イソプロパノール)での2分間のすすぎを2回繰り返し、次いで100%アルコールの95%溶液で2分間のすすぎを2回行う。
5.100%アルコールの80%溶液中にスライドを2分間浸し、新鮮な脱イオン水に数回浸す。
SDS抗原回収
1.スライドを表面を上にしてインキュベーショントレイ中に置き、TBS(100mM Tris pH 7.4、138mM NaCl、27mM KCl)中1%SDSで各切片を覆う。
2.室温で5分間インキュベートし、次いでTBSで5分間洗浄を3回繰り返す。
ブロッキング
1.ブロッキングバッファー(使用する二次抗体の宿主種由来の血清、TBSで1:10に希釈)を入れたディッシュ中にスライドを浸す。
2.37℃で1時間インキュベートする。
一次抗体とのインキュベーション
1.ブロッキングバッファーで希釈した一次CG57008(CR014)抗体を用いて組織切片を覆う。
2.37℃で2時間インキュベートする。
3.TBS中で5分間のすすぎを2回行う。
二次抗体とのインキュベーション
1. 製品説明書にしたがって、ブロッキングバッファーで希釈したコンジュゲート二次抗体で組織切片を覆う。
2.37℃で1時間インキュベートする。
3.TBS中で5分間のすすぎを2回行う。
4.対比染色および可視化を行う。
表26はCG57008 2.59.2 mAbを用いて検出されるCG57008-02を高度に発現する組織をまとめたものである。検体は0〜3の尺度で類別され、評点1+は抗体とは無関係のアイソタイプ対照を用いて染色された対照組織で認められた染色よりも染色強度が強いことを示す。ひとつの腎臓腫瘍および膵臓腫瘍由来の相当する組織学的検体を図4Aおよび4Bに示す。表25は、試験したすべての組織と、試験した組織の各種類の数および結果を示す。これらに加えて、腎臓および膵臓腫瘍、頭部および頸部癌、卵巣癌、胃癌、メラノーマ、リンパ腫、前立腺癌、肝臓癌、乳癌、肺癌、膀胱癌、結腸癌、食道癌、および脳癌の検体、ならびに対応する正常組織は、2.59.2 mAbを用いて染色した。
全体的に見て、CG57008抗原を認識する2.59.2 mAbを用いて染色した場合、試験した腎臓癌組織サンプルの約18%および膵臓癌組織サンプルの6%が強陽性であった。正常組織での染色は見られなかった。これらの結果は、CG57008-02がこれらの組織の癌のマーカーであり、2.59.2抗体は正常組織と癌を区別するために使用できることを示す。
表25
Figure 2005535294
Figure 2005535294
Figure 2005535294
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表26 腎臓および膵臓腫瘍において2.59.2 mAbを用いて検出されたCG57008タンパク質の発現のまとめ
Figure 2005535294
(実施例12)フローサイトメトリーによる膜結合型CG57008タンパク質の定量化
細胞膜結合型CG57008に対する抗CG57008抗体の特異性を示し、治療薬または診断薬として使用するのに好ましい抗体を同定するためにFACS分析を行った。分析は4種の腎臓癌細胞株、ACHN(ATCC#;CRL-1611)、CAKI-1(ATCC#:HTB-46)、CAKI-2(ATCC#:HTB-47)および786-0(ATCC#:CRL-1932)で行った。CG57008を発現しない乳癌細胞株BT549を対照として使用した。表27は2.59.2および2.70.2双方の抗体が、AHCN、CAKI-1、CAKI-2および786-O細胞で発現されたCG57008に特異的に結合するが、BT549細胞には結合しないことを示す。pK16アイソタイプ対照、無関係な抗体に対して標準化したGeo平均比に基づけば、ACHN細胞のCG57008タンパク質の細胞表面発現はより高度である。
表27
Figure 2005535294
(実施例13)抗体媒介性毒素殺作用
Kohls and Lappi, Biotechniques, 28 (1):162-5 (2000)は、サポリン毒素コンジュゲート二次抗体試薬と併用した場合に、一次抗体が癌細胞死を誘導できるかどうかを調べるクローン原性アッセイについて記載している。
A.クローン原性アッセイプロトコール:抗CG57008 mAb媒介性毒素殺作用
ACHNおよびBT549細胞を、平底組織培養プレート上に3000個細胞/ウェルの密度でプレーティングする。2日目または細胞が約25%のコンフルエンスに達したら、100ng/ウェルの二次mAb-毒素(ヤギ抗ヒトIgG-サポリン;Advanced Targeting Systems; HUM-ZAP; cat. # IT-22)を加えた。次いで所望の濃度(通常1〜500ng/ml)のEFGR、CR014.2.7.2、CR014.2.59.2またはアイソタイプ対照mAbを各ウェルに加えた。5日目に、細胞をトリプシン処理し、150mmの組織培養皿に移して37℃でインキュベートした。プレートは毎日観察した。10〜12日目に、すべてのプレートをギムザ染色してプレート上のコロニーを計数した。コロニー形成率は、150mmのプレートに移す前に細胞を計数し、最終的に形成されたコロニーの数と比較することにより求めた。
抗原陽性ACHNおよび抗原陰性BT549細胞株の生存率を、図5および図6にそれぞれ示す。この試験において、細胞障害性化学療法薬5-FUを陽性対照として使用したところ、ほぼ完全な殺作用を誘発し、一方サポリンコンジュゲート-ヤギ抗ヒト二次抗体単独の添加では影響はなかった。両方の細胞株により発現されるEGF受容体に対して作製したモノクローナル抗体(NeoMakers MS-269-PABX)を用いて、一次抗体および二次抗体-サポリンコンジュゲート特異的殺作用を調べた。その結果は、両方の細胞株は100ng/mlでEFGR mAb媒介性毒素殺作用に対し感受性であったことを示す。同用量において、2.59.2mAbおよび2.70.2mAb両方が90%を超えるACHN細胞死を誘発し、これに対しBT549による細胞死は0%であった。
B.クローン原性アッセイプロトコール:オーリスタチンEコンジュゲート抗体媒介性毒素殺作用
CAKI-1およびBT549細胞を、平底組織培養プレートに3000個細胞/ウェルの密度でプレーティングする。2日目または細胞が約25%のコンフルエンスに達したら、EGFR、CR014.2.7.2、CR014.2.59.2またはアイソタイプ対照mAb (CR011.2.6.2)を含む、種々の濃度(通常1〜1000ng/ml)の非コンジュゲートmAbおよびオーリスタチンEコンジュゲートmAbを細胞に加えた。5日目に細胞をトリプシン処理し、150mmの組織培養皿に移して37℃でインキュベートした。プレートは毎日観察した。10〜12日目に、すべてのプレートをギムザ染色してプレート上のコロニーを計数した。コロニー形成率は、150mmのプレートに移す前に細胞を計数し、最終的に形成されたコロニーの数と比較することによって求めた。
抗原陽性CAKI-1および抗原陰性BT549細胞株の生存率を、それぞれ図17および図18に示す。CR011.2.6.2はアイソタイプ対照として用いた。両方の細胞株により発現されるEGFレセプターに対して作製したモノクローナル抗体(NeoMarkers MS-269-PABX)を用いて、AEコンジュゲート抗体により媒介される特異的殺作用を調べた。
結果は、非コンジュゲートおよびAEコンジュゲートCR011.2.6.2mAbは、CAKI-1およびBT549細胞両方の増殖に影響を及ぼさなかったことを示す。しかし、両方の細胞株は、AE-EGFR mAb媒介性毒素殺作用に対して用量依存的に感受性であった。最大用量においては、CG57008 mAb(CR014.2.59.2および2.70.2)は両方とも、それらの非コンジュゲート対応物と比較して90%を超えるCAKI-1細胞死を誘発した。その応答は用量依存的であった。同じ用量範囲において、CR014.2.59.2および2.70.2mAbは双方とも、BT549細胞の生存に影響を及ぼさなかった。
(実施例14)化学療法および放射免疫コンジュゲート抗体の調製ならびに試験
癌の細胞障害性化学療法または放射線療法は、それらが悪性細胞に対し選択的でないために、感受性正常細胞に対する毒性から生じる、重篤な、しばしば生命にかかわる副作用により制限されている。したがって、その選択性を改善する必要がある。1つの戦略は、腫瘍関連抗原を認識する抗体に治療薬を結合することである。これにより、リガンドを標的とする治療薬に対する悪性細胞の曝露が増加し、同一の薬剤に対する正常細胞の曝露が減少する(Allen, Nat Rev Cancer ,2(10):750-63(2002)に概説されている)。
FACSおよびIHCによって、腫瘍細胞の細胞膜での特異的発現によって示されるように、CG57008は、これらの腫瘍関連抗原の1つである。したがって、本発明のひとつの実施形態では、細胞障害性化学療法薬または放射線療法薬と結合した、CG57008に対して向けられたモノクローナル抗体を抗腫瘍治療薬として使用する。
抗体の使用目的、すなわち診断薬として、または治療薬としてに応じて、当技術分野では放射性標識が知られており、同様の目的で使用されている。例えば、臨床診断で使用される放射性核種としては、I131、I125、I123、Tc99、Ga67ならびにIn111が挙げられる。また、抗体は標的化免疫療法で使用する可能性に向けてさまざまな放射性核種で標識されている(Peirersz et al. (1987) The use of monoclonal antibody conjugates for the diagnosis and treatment of Cancer. Immunol. Cell Biol65: 111-125)。これらの放射性核種としては、Re188およびRe186ならびにY90、およびより少ない程度ではあるが、Au199およびCu67が挙げられる。I131はまた、治療目的にも使用されている。米国特許第5,460,785号では、かかる放射線同位体のリストが提供されている。
放射線療法用キレート剤およびキレート剤コンジュゲートは当技術分野で公知である。例えば、米国特許第4,831,175号は、多置換ジエチレントリアミン五酢酸キレート剤およびそれを含むタンパク質コンジュゲート、ならびにそれらの調製方法を対象としている。米国特許第5,099,069号、同5,246,692号、同5,286,850号および同5,124,471号はまた、多置換DTPAキレート剤に関する。
細胞障害性化学療法は当技術分野で公知であり、同様の目的で使用されている。例えば、米国特許第6,441,163号は、マイタンシノイドと抗体の細胞障害性コンジュゲートの製造方法を記載している。新規チューブリン重合阻害剤であるオーリスタチンPE(auristatinPE)の抗腫瘍活性も当技術分野で知られている(Mohammad et al., Int J Oncol,15(2):367-72(1999))。
これらの化学療法または放射性標識と抗体のコンジュゲートを作製すると、CG57008-02発現細胞に対するその細胞障害活性を試験することができる。かかる実験は、MTS、細胞計数およびクローン原性アッセイのような当技術分野で公知の方法を用いる。
(実施例15)CD4+T細胞でのCG57008-02発現のFACS分析
方法
PBSで1:1希釈したヒト血液から、Ficoll上にのせ20分間遠心して単核細胞を単離した。この単核細胞をPBS-MgおよびCaを用いて1000rpmで2回洗浄し、Miltenyiバッファー(PBS,0.5%BSA,5mM EDTA)中に約108個細胞/mlとなるよう再懸濁した。CD4 Miltenyiビーズを107細胞あたり20μl加え、氷上で15分間インキュベートした。10倍過剰量のMiltenyiバッファーで細胞を洗浄した。ポジティブVS選択カラムを3mlのMiltenyiバッファーで洗浄した。沈殿した細胞を1mLのMiltenyiバッファー当たり108個細胞で再懸濁し、洗浄したVSカラムにアプライした。次いでこのカラムを3mlのMiltenyiバッファーで3回洗浄した。この後、このVSカラムを磁場から離し、5mLのMiltenyiバッファーを用いてCD4+細胞を溶出させた。単離されたCD4+リンパ球を沈殿させ、DMEM 5% FCS+添加剤(非必須アミノ酸、ピルビン酸ナトリウム、メルカプトエタノール、グルタミン、ペニシリンおよびストレプトマイシン)に106個細胞/mlとなるよう再懸濁した。新しく単離された1×106個の休止CD4+T細胞をフローサイトメトリー用試験管に移し、PBS、1%BSAおよび0.05%NaN3を含む2ml/試験管のFACS染色バッファー(FSB)で洗浄した。細胞を遠沈してその上清を除去した。細胞をFSB中20%ヤギ血清を用いて氷上で30分間ブロッキングした。前述のように細胞を洗浄し、FSB(200μl)中、10μl/mlの一次ヒト抗CG57008-02mAbまたは対照PK16.3mAbとともに、氷上で45分間インキュベートし、次いで洗浄した。二次ヤギ抗ヒトPEコンジュゲート抗体を1:50希釈の割合で、暗所、氷上で45分間加え、1%ホルムアルデヒドを含む500μlのPBSで洗浄、再懸濁して、フローサイトメトリー分析が行われるまで4℃で保存した。
FACS分析を実施して、ヒトおよびマウス休止CD4+細胞ならびにヒト活性化およびヒト極性化CD4+T細胞で5種の抗CG57008-02抗体(2.59.2,1.29,2.70.2,2.56.2,2.45.1)を用いて検出されるCG57008-2タンパク質発現を調べた。これらの分析から、新しく単離された休止ヒトCD4+T細胞はCG57008-02を発現しないが、極性化ヒトTh2およびTh1細胞の主要画分はCG57008-02を発現する(表28参照)ことが示された。表29は、T細胞の5日間の連続刺激にわたって、2.70.2抗体により測定されるCG57008発現が、対照PK16.3抗体と比較すると増加することを示す。さらに、マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤(MMPI)の添加は、CG57008発現の測定可能な増加をもたらさず、これらの実験条件下ではその受容体がT細胞から取り除かれないことを示す。したがって、CG57008タンパク質および特異的抗体結合は、活性化Th1およびTh2細胞に特異的なものであり、言い換えれば炎症性反応、具体的には、喘息の特徴である。
表28 5種の抗cG57008-02抗体を用いるヒトCD4+Th2細胞でのCG57008-02タンパク質の発現のFACS分析。実験は左側の列に記載されており、標識抗体は最上行に明記されている。データは蛍光強度の幾何平均として報告する。
Figure 2005535294
表29 CG57008を発現する、活性化されたT細胞のパーセント
Figure 2005535294

(実施例16)サイトカインアッセイ
活性化Th1およびTh2細胞によるIL-4、IL-5、IL-10、IL-13およびIFNγ産生レベルを、標準ELISAプロトコールを用い、培養上清で抗CG57008-02抗体を用いて測定した。抗CG57008-02抗体で処理したTh1またはTh2細胞によるサイトカイン産生を、対照PK16.3抗体で処理したTh1またはTh2細胞と比較した。さらに、以下のサンプルを、内部対照として平行して実施した:i)同時刺激がないためにサイトカイン産生は予想されない、抗CD3処理Th1またはTh2細胞、ii)検出可能なサイトカイン産生を示すと予想される、抗CD3/抗CD28刺激Th1またはTh2細胞、iii)未処理Th1またはTh2細胞。
CD4+T細胞を、実施例15に記載したように単離した。次いで、単離したCD4+リンパ球を沈降させ、DMEM5%FCSおよび添加剤(非必須アミノ酸、ピルビン酸ナトリウム、メルカプトエタノール、グルタミン、ペニシリンおよびストレプトマイシン)に106個細胞/mlで再懸濁した。ファルコン6ウェル非組織培養処理プレートを、抗CD3(2μg/ml)および抗CD28(10μg/ml)(ダルベッコPBS中合計600μ)を用いて4℃で一晩プレコーティングした。このプレートをPBSで洗浄し、CD4+リンパ球を、500,000個細胞/mlでTh2培地:DMEM+10%FCSおよびサプリメントおよびIL-2 5ng/ml、IL-4 5ng/ml、抗IFNγ5ng/mlに懸濁し、細胞を、5μg/mlのCG57008を認識するMabまたはアイソタイプ対応負対照mAb PK16.3の存在下、37℃および5%CO2で4〜6日間刺激した。
もう1つのセットの実験では、CD4+リンパ球を、500,000個細胞/mlでTh1培地:DMEM+10%FCSおよびサプリメントおよびIL-2 5ng/ml、IL12 5ng/ml、抗IL-45μg/mlに懸濁し、5μg/mlのCR014またはアイソタイプ対応対照mAb PK16.3の存在下、37℃および5%CO2で4〜6日間刺激した。細胞をDMEMで2回洗浄し、5μg/mlのCR014または対照PK16.3 mAbの存在下、DMEM、10%FCSおよびサプリメントおよび2ng/ml IL-2に再懸濁し(500,000個/ml)、37℃および5%CO2で4〜6日間培養した(休止させた)。活性化および休止方法を、FASによるアポトーシスを防ぐために抗CD95Lを加えて、前述のように少なくとももう一度反復した。500ng/mLの抗CD3mAbおよび同時刺激分子55790(B7H2、5μg/ml)でプレコーティングした非組織培養処理プレートを洗浄し、ウェル当たり100μlのCR014処理Th1またはTh2(200,000個細胞)を加えた。3日培養した後、上清を回収し、Tl-4、Il-5、IL-10、Il-13およびIFNγレベルをELISA(Pharmingen, San Diego, CA or R&D Systems, Minneapolis, MN)によって測定した。
以下に示したように、抗CG57008-02は、Th1およびTh2細胞による調べたサイトカインの放出を大幅に阻害した(図7〜16参照)。サイトカイン産生の阻害が有意である(p=.02〜.008)結果が、棒グラフ上にアスタリスクで印がついている。
表30および表31には、図7〜図16に示される棒グラフがまとめられている。異なるドナーを用いた複数の実験から得られたTh2サイトカイン阻害データのまとめが表32に示されている。各実験では、2人の独立したドナー由来の全血サンプルから単離した、精製したCD4+細胞を用いた。サイトカイン産生は、対照PK16.3mAbを用いて検出したサイトカイン産生のパーセントとして報告する。各実験に用いたmAbは下端の行に沿って明記されている。以下の表32では、有意なサイトカイン阻害を報告する結果には下線が引かれており、「ND」は、実験を行わなかったことを示す。これらの結果はドナー依存的可変性を反映しないが、mAb2.59.2および1.29が、1種以上のTh2サイトカインを再現性よくブロックすることを示す。
表30 2人の独立したヒトドナーにおいて、抗CG57008抗体を用いたCD4+Th1細胞におけるサイトカイン阻害。サイトカイン産生の有意な阻害を実証する実験にはアスタリスクで印がついている。*P=0.01〜0.05、**P=0.005〜0.009、***P=0.001〜0.004
Figure 2005535294
表31 2人の独立したヒトドナーにおいて、抗CG57008抗体を用いたCD4+Th2細胞におけるサイトカイン阻害。サイトカイン産生の有意な阻害を実証する実験にはアスタリスクで印がついている。*P=0.01〜0.05、**P=0.005〜0.009、***P=0.001〜0.004
Figure 2005535294

表32 5人の独立したヒトドナー群においてmAb2.59.2および1.29を用いるサイトカイン阻害のまとめ。対照PK16.3抗体を用いて見られるものの50%よりも大きな阻害を報告する実験の結果には下線が引いてある。
Figure 2005535294
(実施例17)CR014動物実験
炎症用:
FITC接触過敏症:フルオレッセインイソチオシアネート(FITC)を、接触感作物質として用いるTh2モデル
動物(例えば、マウス、ラット、サル、ヒト)は、それに対する事前の免疫を有する抗原での局所曝露に対して「接触過敏症」(CS)応答と呼ばれるものを発生することがある。CSには2つの基本型があり、一方はCD8T細胞によって媒介され(TNCB、DNFB接触過敏症、ツタウルシ曝露)、もう一方は、Il-4分泌性CD4T細胞が、抗原曝露部位へ好酸球を補充する一因となる。応答には、T細胞/抗原定時細胞相互作用、IL-4などの「Th2」サイトカインの産生および好酸球の補充が必要である。
マウス系統:どのようなマウス系統を用いてもよいが、本アッセイは、BALB/cマウス、雄または雌、6〜8週齢(20と35グラムの間の体重)で最良に働く。
皮膚感作:皮膚感作には、マウスの腹部を剪毛して皮膚を露出させ、次いで10ulの接触感作物質(アセトン&ジブチルフタレートに溶かしたFITC)を塗布する。
耳の測定:5〜6日後、マウスにペンタバルビトールナトリウム(pentabarbiol sodium)水溶液(60mg/kg体重)の腹腔内注射で麻酔する。熟練者は通常イソフルランで作業するが、耳の厚みを測定し、耳に接触感作物質を「塗布」するのに時間が必要なために、比較的持続性の麻酔薬が必要である。「チャレンジ前」の耳厚測定は、ダイアル式厚さ計(例えば、エンジニア用マイクロメーター)測定を用いて10-4インチの単位で行う。
抗原チャレンジ:マウスがまだ麻酔下にある間に、免疫化されたマウスおよび対照マウスの耳の背面に適当な希釈剤に溶かしたFITC(0.5%)を塗布する。24時間後、「チャレンジ後」耳厚測定を行う。耳厚の24時間の変化は、抗原特異的炎症応答と比例する。耳測定の直後に、マウスを屠殺し、前述のように分析を実施する。
Th2/好酸球増加症測定:チャレンジの24時間後、マウスをイソフルランで麻酔し、前述のように「チャレンジ後」耳厚測定を行う。耳厚の24時間の変化は、抗原特異的炎症応答の大きさと比例する。耳測定の直後に、マウスをCO2吸入によって屠殺し、病理組織分析のためにその耳を回収する。
マウスオボアルブミン(OVA)喘息:肺における好酸球流入を誘導するためにオボアルブミンを用いるTh2モデル:動物(例えば、マウス、ラット、サル、ヒト)は、肺に対する反復された抗原曝露に応じて喘息を発生することがある。通常、マウスにおいて好酸球流入および気道反応性亢進を誘導するためには、オボアルブミンが用いられている。この応答には、T細胞/抗原提示細胞相互作用、Il-4などの「Th2」サイトカインの産生、IgE産生、好酸球の補充および肥満細胞脱顆粒が必要である。
マウス系統:いくつかのマウス系統が使用されている。より良い気道応答を示す系統があり、より良いIgEを示す他のものがあり、気管支肺胞洗浄液(BAL)または血清においてより明らかなサイトカイン応答を示す他のものがある。
喘息誘導:0日目および5日目にマウスをミョウバン(2mg)中OVA腹腔内(8ug)を用いて免疫化する。12日目に、エアゾールチャンバーを用いて、動物に、OVA(PBS中0.5%)を用いる1時間のエアゾールチャレンジを2回与える。対照動物にはPBSエアゾールを与える。動物の半分を、14日目に肺機能(気道反応性亢進)について調べ、もう半分は、15日目にBAL中の細胞種および細胞数について調べる。
肺機能評価:麻酔され、人工呼吸されたマウスに、頸静脈を通して投与したメタコリンに応じた、肺コンダクタンス(GL)および肺ダイナミックコンプライアンス(Cdyn)変化を、全身プレチスモグラフで測定する。8〜10回の連続呼吸からのアウトプットシグナルを、コンピューターを用いる相互相関法を用いて分析する。各投与に対するGLおよびGdynピーク応答は、その投与前のベースライン値のパーセンテージとして表される。
BAL評価:深く麻酔し、屠殺するために、動物に、トリブロモエタノール溶液を腹腔内注射する。開胸後、各動物の気管にカニューレ処置をし、0.5mlのPBSバッファー12を用いて気管支肺胞洗浄(BAL)を2回行う。回収した容量を遠心分離し、上清を-70℃で凍結する。細胞内容物をPBSに再懸濁し、細胞を血球計数器を用いるアリコートの定量化によって計数する。Diff-Quik(Baxter)染色した細胞遠心分離したBAL液から白血球の差を求め、絶対好酸球数を白血球数および好酸球画分の結果として導く。
その他の評価:このモデルで調べることができるその他のパラメータとしては、1)全血清またはBAL IgE、2)OVA特異的血清またはBAL IgEおよび3)血清またはBALサイトカインがある。
マウス耳膨張DTH:鶏卵リゾチーム(HEL)、オボアルブミン(OVA)またはニワトリγグロブリンなどの抗原を用いるTh1モデル
Th1「ツベルクリン型」DTH:動物(例えば、マウス、ラット、サル、ヒト)は、それに対する事前免疫を有する抗原に対する皮内または皮下曝露に応じて「遅延型過敏症」(DTH)応答と呼ばれるものを発生する。DTHには、2つの基本型があり、一方はCD8T細胞によって媒介され(接触過敏症、ツタウルシ曝露)およびもう一方は、抗原曝露部位へマクロファージを補充するIFN-γ-分泌性CD4T細胞(Th1)によってもたらされる。後者は、ツベルクリン型DTHと呼ばれており、24〜48時間で特徴的な遅延型炎症発生を示す。応答には、T細胞/抗原定時細胞相互作用、マクロファージの補充を担う、IFN-γなどの「Th1」サイトカインおよびケモカインの産生が必要である。
マウス系統:どんなマウス系統を用いても良いが、ほとんどの研究は、BALB/cおよびC57BL/6マウス、雄または雌、6〜8週齢(20と35グラムの間の体重)を用いて行われている。
抗原免疫化:マウスを、尾の基部に皮下投与した、100ulのCFAに溶かしたHEL、OVAまたはニワトリγグロブリン(100ug/マウス)で免疫化する。
耳測定およびチャレンジ:7〜10日後、マウスに、ペンタバルビトールナトリウム水溶液(60mg/kg体重)の腹腔内注射で麻酔をする。熟練者は通常イソフルランで作業できるが、耳の厚みを測定し、耳に注射するのに時間が必要なために、比較的持続性の麻酔が必要である。「チャレンジ前」耳厚測定を、ダイアル式厚さ計(例えば、エンジニア用マイクロメーター)測定を用いて10-4インチの単位で行う。行う。耳当たり3回の迅速な読取(邪魔にならないようおくれ毛が動くことに注意しながら)を行い、平均をとる。マウスがまだ麻酔下にある間に、免疫化されたマウスおよび対照マウスの耳の背面に、ツベルクリンシリンジおよび30gニードルを用いて、抗原(10ulのPBSに溶かした、40ugのHELまたは10ugのOVAまたは10ugのニワトリγグロブリン)を皮下注射する。
DTH測定:チャレンジの24時間後、マウスにイソフルランで麻酔し、「チャレンジ後」耳厚測定を前述のように行う。耳厚の24時間の変化は、抗原特異的炎症応答の大きさと比例する。耳測定の直後に、マウスをCO2吸入によって屠殺し、病死組織分析のためにその耳を回収する。
腎臓癌用:ヌードマウスにおける、786-0ヒト腎細胞癌異種移植片に対するCR014オーリスタチンEコンジュゲート抗体の効力評価
本研究の目的は、胸腺欠損(ヌード)マウスにおいて異種移植片として増殖したヒト腎細胞癌(786-0)に対するCR014の抗腫瘍効力を評価することである。
試験系
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動物の住居および環境
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試験品
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ビヒクル
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試験品/ビヒクル混合物
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試験品の投与
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実験計画
順化期間後、マウスに0.20mLの血清不含培地の容量の総計5×106個の786-0腎細胞癌細胞を皮下移植する。動物をランダム化し、個別に特定する。腫瘍が150mm3の容積に到達した後、CR014での処理を開始する。CR014を、表33の用量およびスケジュールで静脈内投与する。マウスは、研究期間を通じて病的状態および死亡数について毎日観察し、腫瘍および体重を、週に2回記録する。研究設計を表33に示し、研究スケジュールを表34に示す。
表33 研究設計
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*現在、腎細胞癌のための唯一のFDA認可薬はインターフェロンαおよびインターロイキン-2であり、双方とも15%の目的応答しか生じず、持続性のある応答は極めて低率である(<5%)。(NCI医師データクエリー)。したがって、異種移植片モデルにおける腎細胞癌の有効な陽性対照はない。この研究設計では参照薬剤として薬物パクリタキセルを陽性対照と置き換えた。
Figure 2005535294
腫瘍移植:腫瘍細胞をコンフルエント以下の指数増殖している細胞培養物から回収する。細胞を計数し、トリパンブルーを用いて生存力について評価し、その後、血清不含培地に懸濁する。0.20mLの容積の合計5×106個細胞を、マウスの脇腹に皮下移植する。この研究には、腫瘍の速度を高めるためのマトリゲル(matrigel)は用いない。
腫瘍測定および容積測定:ノギスを用いて、週に3回、腫瘍増殖を測定し、記録する。各腫瘍の長さおよび幅を測定する。腫瘍重量は以下の式を用いて求める:
腫瘍重量(mg)=w 2 ×l
2
臨床観察/サイン:動物は、有意な臨床サイン、病的状態、死亡数について毎日観察する。
死亡したか、瀕死と見られる動物:研究のいずれの群についても、動物死亡数のパーセンテージおよび死亡までの時間を記録する。マウスは、以下の基準のうちの1以上に一致する場合に、瀕死および犠牲になったと定義することができる:
1)2週間での体重の20%以上の喪失。
2)摂食、飲むことなどの移動性および排尿または排便する能力などの正常な生理学的機能を阻害する腫瘍。
3)ノギスで測定した最大容積が2000mgを超える腫瘍。
4)潰瘍性腫瘍、または出血するか浸出物を生じる腫瘍。
5)体重喪失をもたらす長期の下痢。
6)持続性にゼイゼイ息をすることおよび呼吸困窮。
また、動物は、衰弱、丸まった姿勢、麻痺/不全麻痺、膨張した腹部、潰瘍形成、膿瘍、発作および/または出血などの臨床観察結果によって定義されるような、長期のまたは過剰な痛みまたは苦しみがある場合に、瀕死であると考えることができる。
統計(TGI):変化の一方向解析(ANOVA)およびマン-ホイットニーU検定(それぞれ、平均および中央値を解析する)を用いて、TGI%算出日に平均群腫瘍重量間の何らかの相違の統計的有意差を求めた。不十分な大きさの群には、ダンネット(Dunnett)検定を適用し、不十分な変化の集団を比較する場合には、ウェルチ補正を適用した。すべての統計解析は、0.05のαレベル(両側)で実施した。すべての統計解析および図表示に、プリズム(Prism)(GraphPad)バージョン3.0を用いた。
統計(TGD):ログランク(logrank)検定を用いて、処理群と対照群間の生存実験全体の相違を比較した。統計解析は0.05のαレベル(両側)で実施した。すべての統計解析および図表示に、プリズム(GraphPad)バージョン3を用いた。
1.腫瘍容積、倍増速度および腫瘍増殖遅延。
2.500、1000、1500および2000mm3での腫瘍増殖遅延。
3.処置群のパーセント体重変化を含む動物体重チャート。
最終報告:最終報告は、方法および生データのまとめ、ならびに腫瘍の大きさ、腫瘍重量、腫瘍増殖速度/細胞株/性別、腫瘍増殖点、動物体重、死亡率パーセンテージ、死亡までの時間および臨床観察の結果を含む。
その他の実施形態
特定の実施形態が本明細書中で詳細に開示されているが、これは単に例示目的のための例としてなされるものであり、以下に添付の特許請求の範囲について限定しようとするものではない。詳しくは、特許請求の範囲で定義される本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、本発明に種々の置換、変更、改変がなされ得ることを発明者らは考慮している。その他の態様、利点、改変は以下の特許請求の範囲内にあると考えられる。示した特許請求の範囲は、本明細書で開示された発明を代表するものである。別の、特許請求されていない発明も考慮される。出願人らは、後の特許請求の範囲においてかかる発明を追求する権利を留保する。
図1は、CG51373 (ネフリン1様)、およびLOC155465を含む、CG57008-02 (HAVCR-1)と相互作用するタンパク質を示す図である。 図2は、抗体CR014.1.29、CR04.2.56.2、CR014.2.59.2、およびCR014.2.45.1の、CG57008-02に対するELISAアッセイの結果の棒グラフである。 図3は、抗体CR014.1.29、CR04.2.56.2、CR014.2.59.2、およびCR014.2.45.1の、無関係なタンパク質に対するELISAアッセイの結果の棒グラフである。 図4Aおよび4Bは、抗CG57008 2.59.2モノクローナル抗体での腎細胞癌(左)および膵臓癌(右)の染色を示す写真である。 図5は、ACHN腎臓癌細胞株における毒素殺作用を介した抗CG57008モノクローナル抗体のクローン原性アッセイ(Clonogenic Assay)結果の棒グラフである。 図6は、BT549乳癌細胞株における毒素殺作用を介した抗CG57008モノクローナル抗体のクローン原性アッセイ結果の棒グラフである。 図7は、モノクローナル抗体2.59.2、2.56.2および2.45.1が、対照PK16.3 mAbと比べてTh1細胞からのIL-4の放出を有意に阻害したことを示す、ELISAアッセイの結果の棒グラフである。 図8は、モノクローナル抗体2.59.2および2.45.1が、対照PK16.3 mAbと比べてTh2細胞からのIL-4の放出を有意に阻害したことを示す、ELISAアッセイの結果の棒グラフである。 図9は、モノクローナル抗体2.59.2が、対照PK16.3 mAbと比べてTh1細胞からのIL-5の放出を有意に阻害したことを示す、ELISAアッセイの結果の棒グラフである。 図10は、モノクローナル抗体2.59.2および1.29が、対照PK16.3 mAbと比べてTh2細胞からのIL-5の放出を有意に阻害したことを示す、ELISAアッセイの結果の棒グラフである。 図11は、モノクローナル抗体2.59.2、1.29および2.56.2が、対照PK16.3 mAbと比べてTh1細胞からのIL-10の放出を有意に阻害したことを示す、ELISAアッセイの結果の棒グラフである。 図12は、モノクローナル抗体2.59.2、1.29および2.45.1が、対照PK16.3 mAbと比べてTh2細胞からのIL-10の放出を有意に阻害したことを示す、ELISAアッセイの結果の棒グラフである。 図13は、モノクローナル抗体2.59.2、1.29および2.56.2が、対照PK16.3 mAbと比べてTh1細胞からのIL-13の放出を有意に阻害したことを示す、ELISAアッセイの結果の棒グラフである。 図14は、モノクローナル抗体2.59.2および1.29が、対照PK16.3 mAbと比べてTh2細胞からのIL-13の放出を有意に阻害したことを示す、ELISAアッセイの結果の棒グラフである。 図15は、抗CG57008モノクローナル抗体が、対照PK16.3 mAbと比べてTh1細胞からのIFNγの放出を阻害しなかったことを示す、ELISAアッセイの結果の棒グラフである。 図16は、抗CG57008モノクローナル抗体2.59.2および2.45.1が、対照PK16.3 mAbと比べてTh2細胞からのIFNγの放出を有意に阻害したことを示す、ELISAアッセイの結果の棒グラフである。 図17は、オーリスタチンE(Auristatin E)(AE)をコンジュゲートした抗体で処理したCAKI-I細胞のクローン原性アッセイの結果の棒グラフである。 図18は、オーリスタチンE(AE)をコンジュゲートした抗体で処理したBT549細胞のクローン原性アッセイの結果の棒グラフである。

Claims (52)

  1. 配列番号2nからなる群より選択される配列決定された成熟型のアミノ酸配列を含む単離ポリペプチドであって、nが1ないし12の整数であるポリペプチド。
  2. 配列番号2nからなる群より選択されるアミノ酸配列を含む単離ポリペプチドであって、nが1ないし12の整数であるポリペプチド。
  3. 配列番号2nからなる群より選択されるアミノ酸配列に少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む単離ポリペプチドであって、nが1ないし12の整数であるポリペプチド。
  4. 配列番号2nからなる群より選択されるアミノ酸配列における1またはそれ以上の保存的置換を含むアミノ酸配列を含む単離ポリペプチドであって、nが1ないし12の整数である、ポリペプチド。
  5. 天然に存在する、請求項1のポリペプチド。
  6. 請求項1のポリペプチドおよび担体を含む組成物。
  7. 1またはそれ以上の容器中に請求項6の組成物を含むキット。
  8. ヒト疾患に付随する症候群を処置するための医薬の製造における治療剤の使用であって、該疾患が請求項1のポリペプチドと連関する病理から選択され、該治療剤が請求項1のポリペプチドを含むものである使用。
  9. 試料中の請求項1のポリペプチドの存在または量を決定する方法であって、
    (a)当該試料を提供し、
    (b)当該試料を、該ポリペプチドに免疫特異的に結合する抗体に導入し、次いで
    (c)当該ポリペプチドに結合した抗体の存在または量を決定し、それによって当該試料中のポリペプチドの存在または量を決定する、
    ことを含む方法。
  10. 第一の哺乳動物対象中の請求項1のポリペプチドの発現の変更レベルと連関する疾患の存在または素因を決定する方法であって、
    a)第一の哺乳動物対象からの試料中のポリペプチドの発現のレベルを測定し、次いで
    b)工程(a)の試料中の当該ポリペプチドの発現を、当該疾患を有しない、または素因がないと知られる第二の哺乳動物対象からの対照試料中に存在するポリペプチドの発現と比較する、
    ことを含み、対照試料と比較したときの第一の対象におけるポリペプチドの発現のレベルの変化が当該疾患の存在または素因を指摘するものである方法。
  11. 請求項1のポリペプチドに結合する剤を同定する方法であって、
    (a)当該剤に当該ポリペプチドを導入し、次いで
    (b)当該剤が当該ポリペプチドに結合するか否か決定する
    ことを含む方法。
  12. 該剤が細胞性レセプターまたは下流エフェクターである請求項11の方法。
  13. 病理の処置における潜在的治療剤を同定する方法であって、該病理が請求項1のポリペプチドの異常発現または異常生理学的相互作用に関連するものであり、
    (a)請求項1のポリペプチドを発現する、かつ該ポリペプチドに帰すべき特性または機能を有する細胞を提供し、
    (b)該細胞を、候補物質を含む組成物と接触させ、次いで
    (c)該物質が該ポリペプチドに帰すべき特性または機能を変更するか否か決定することを含み、
    上記工程を行うことにより、細胞が該物質不存在の組成物と接触させられた場合に、該物質の存在下で観察される変化が観察されないならば、該物質が潜在的な治療剤として同定されるものである方法。
  14. 請求項1のポリペプチドに連関する病理の活性または潜在または素因のモジュレーターをスクリーニングする方法であって、下記工程を含むものであり:
    (a)試験化合物を、請求項1のポリペプチドと連関する病理の増加リスクにある、試験動物に投与し、ここで当該試験動物は請求項1のポリペプチドを組み換え的に発現するものであり、
    (b)工程(a)の化合物の投与後、当該試験動物における当該ポリペプチドの活性を測定し、次いで
    (c)当該試験動物における当該ポリペプチドの活性を、当該ポリペプチドを投与されていない対照動物における当該ポリペプチドの活性と比較し、当該対照動物について当該試験動物における当該ポリペプチドの活性の変化が、試験化合物が請求項1のポリペプチドと連関する病理の活性または潜在または素因のモジュレーターであることを指摘するものである方法。
  15. 当該試験動物が、試験タンパク質トランスジーンを発現するものであるか、あるいは野生型試験動物についての増加レベルにあるプロモーターの制御下の当該トランスジーンを発現するものであり、かつ、当該プロモーターが当該トランスジーンの本来の遺伝子プロモーターではない、請求項14の方法。
  16. 請求項1のポリペプチドの活性を調節する方法であって、請求項1のポリペプチドを発現する細胞試料を、該ポリペプチドの活性を調節するに十分量の、当該ポリペプチドに結合する化合物と接触させることを含む方法。
  17. 請求項1のポリペプチドと連関する病理を処置または予防する方法であって、そのような処置または予防が望まれる対象に、対象における病理を処置または予防するのに十分量の請求項1のポリペプチドを投与することを含む方法。
  18. 該対象がヒトである請求項17の方法。
  19. 哺乳動物の病理学的状態を処置する方法であって、病理学的状態を緩和するのに十分である量のポリペプチドを哺乳動物に投与することを含み、該ポリペプチドが配列番号2nからなる群より選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドに少なくとも95%同一であるアミノ酸配列、またはその生物学的活性フラグメントを有するポリペプチドであり、ここでnが1ないし12の整数である方法。
  20. 配列番号2n−1からなる群より選択される核酸配列を含む単離核酸分子であって、nが1ないし12の整数である分子。
  21. 請求項20の核酸分子であって、天然に存在する分子。
  22. 核酸分子であって、配列番号2n−1からなる群より選択される核酸配列とは単一ヌクレオチドによって異なっており、nが1ないし12の整数である分子。
  23. 配列番号2nからなる群より選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドの成熟型をコードする単離核酸分子であって、nが1ないし12の整数である分子。
  24. 配列番号2n−1からなる群より選択される核酸を含む単離核酸分子であって、nが1ないし12の整数である、分子。
  25. 請求項20の核酸分子であって、配列番号2n−1からなる群より選択されるヌクレオチド配列または当該ヌクレオチド配列の相補物にストリンジェント条件下でハイブリダイズするものであり、nが1ないし12の整数である分子。
  26. 請求項20の核酸分子を含むベクター。
  27. 該核酸分子に作動可能に連結されるプロモーターを含む請求項26の方法。
  28. 請求項26のベクターを含む細胞。
  29. 請求項1のポリペプチドに免疫特異的に結合する抗体。
  30. モノクローナル抗体である請求項29の抗体。
  31. ヒト化抗体である請求項29の抗体。
  32. 試料中の請求項20の核酸分子の存在または量を決定する方法であって、
    (a)該試料を提供し
    (b)該試料を、当該核酸分子に結合するプローブに導入し、次いで
    (c)該核酸分子に結合する当該プローブの存在または量を決定する
    ことを含み、当該試料中の核酸の存在または量が決定される方法。
  33. 核酸分子の存在または量が細胞または組織型についてのマーカーとして使用される請求項32の方法。
  34. 該細胞または組織型が癌性である請求項33の方法。
  35. 第一の哺乳動物対象における請求項20の核酸分子の発現の変更レベルと連関する疾患の存在または素因を決定する方法であって、
    a)該第一の哺乳動物対象からの試料中の核酸の発現のレベルを測定し、次いで
    b)工程(a)の試料中の当該核酸の発現のレベルを、該疾患を有しないまたは素因がないと知られる第二の哺乳動物対象からの対照試料に存在する核酸の発現のレベルと比較する
    ことを含み、ここで該対照試料と比較した場合の第一の対象における核酸の発現のレベルの変化が該疾患の存在または素因を指摘するものである方法。
  36. 請求項1のポリペプチドを生産する方法であって、該ポリペプチドの発現につながる条件下で細胞を培養することを含み、ここで当該細胞が配列番号2n−1からなる群より選択される核酸配列を含む単離核酸分子を含むベクターを含むものであり、nが1ないし12の整数である方法。
  37. 該細胞が細菌細胞である請求項36の方法。
  38. 該細胞が昆虫細胞である請求項36の方法。
  39. 該細胞が酵母細胞である請求項36の方法。
  40. 該細胞が哺乳動物細胞である請求項36の方法。
  41. 請求項2のポリペプチドの生産方法であって、ポリペプチドの発現につながる条件下で細胞を培養することを含み、当該細胞が配列番号2n−1からなる群より選択される核酸配列を含む単離核酸分子を含むベクターを含むものであり、nが1ないし12の整数である方法。
  42. 該細胞が細菌細胞である請求項41の方法。
  43. 該細胞が昆虫細胞である請求項41の方法。
  44. 該細胞が酵母細胞である請求項41の方法。
  45. 該細胞が哺乳動物細胞である請求項41の方法。
  46. 抗体が、化学療法薬、毒素、放射性同位体からなる群より選択される細胞毒性薬にコンジュゲートしたものである、請求項29の抗体。
  47. 腎臓癌を患う患者に請求項46の抗体を投与することを含む、腎臓癌の治療方法。
  48. 治療を必要とする患者に請求項29の抗体を投与することを含む、炎症の治療方法。
  49. 第1ポリペプチドと第2ポリペプチドを含む精製タンパク質複合体であって、該複合体が第1ポリペプチド(NOV1)、および第2ポリペプチド(NOV2)のアミノ酸配列を含む複合体。
  50. 請求項49のタンパク質複合体に免疫特異的に結合する抗体であって、NOV1−NOV2タンパク質複合体の一部ではないNOV1タンパク質またはNOV2タンパク質に免疫特異的に結合しない抗体。
  51. NOV1−NOV2タンパク質複合体への該抗体の結合が、NOV1とNOV2間の相互作用を破壊するものである、請求項50の抗体。
  52. NOV1−NOV2タンパク質複合体への該抗体の結合が、該複合体の形成を妨げるものである、請求項50の抗体。


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