JP2002107229A - 赤外線放射器及びそれを用いた赤外線放射装置 - Google Patents

赤外線放射器及びそれを用いた赤外線放射装置

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JP2002107229A
JP2002107229A JP2000297600A JP2000297600A JP2002107229A JP 2002107229 A JP2002107229 A JP 2002107229A JP 2000297600 A JP2000297600 A JP 2000297600A JP 2000297600 A JP2000297600 A JP 2000297600A JP 2002107229 A JP2002107229 A JP 2002107229A
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temperature
radiator
film
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Setsuo Kotado
節夫 古田土
Yukio Araki
幸雄 荒木
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Anritsu Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 放射される赤外線の黒体放射温度を簡単な構
成で室温を含む広範囲に亘って制御する。 【解決手段】 赤外線放射器を、一方面に赤外線吸収膜
11が形成されたプレート12と、このプレートの他方
面に熱的に結合され、加熱素子14と冷却素15子とが
組込まれた加熱冷却器13と、プレートの温度を測定す
る温度センサ16と、加熱素子と冷却素子とを駆動して
プレートの温度を外部から指定された温度に制御する温
度制御器18とを備えている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、赤外線センサの検
出温度の校正用に用いられる赤外線放射器及びこれを用
いた赤外線放射装置に関する。
【0002】
【従来の技術】非接触で被測定物体の温度を測定する赤
外線センサは、全ての物体から放射される物体の絶対温
度に比例した赤外線のエネルギー量(放射パワー)を検
出して、この検出量を温度値に変換して出力する。
【0003】すなわち、物体から放射されている赤外線
の放射パワーP(λ)は、ステファン・ボルツマンの法
則により、(1)式で示される。
【0004】 P(λ)=ε・σT4 …(1) λ;赤外線の波長 ε;物体固有の放射率 σ;ボ
ルツマン定数 T;物体の絶対温度(K) この(1)式からも明らかなように、物体から放射されて
いる赤外線の放射パワーP(λ)は、物体の絶対温度の
4乗と物体固有の放射率とに比例する。したがって、物
体固有の放射率が解れば、赤外線センサを用いて、当該
物体の温度の測定が可能となる。
【0005】このような原理で温度測定を行う赤外線セ
ンサの温度校正用の基準赤外線光源として、従来、黒体
放射炉が用いられていた。図7(a)(b)は黒体放射
炉の概略構成図であり、図7(b)は断面模式図であ
り、図7(b)は側面図である。円柱状に形成された鉄
製コア1の一方端に円錐状空間2が形成されている。鉄
製コア1の外周にはヒータコイル3が巻装されている。
さらに、ヒータコイル3が巻装された鉄製コア1の外側
はグラスウール等の断熱材4で覆われ、この断熱材4の
外側はステンレス製の円筒状容器5で覆われている。そ
して、鉄製コア1の温度及び円錐状空間2の温度はそれ
ぞれ熱電対からなる温度センサ7、8で検出される。
【0006】このような黒体放射炉において、ヒータコ
イル3で鉄製コア1を加熱して円錐状空間2内を例えば
800Kに保持することにより、この円錐状空間2内を
一種の黒体と見なすことが可能である。さらに、外部か
ら開口8を介して赤外線9が円錐状空間2に入射する
と、この赤外線9は、図7(a)に示すように、円錐状
空間2の壁面で反射を繰り返すうちに吸収され、再び開
口8から、外部に放出されることはない。
【0007】すなわち、この黒体放射炉において、開口
8から黒体の温度に対応した赤外線を出力するが、外部
から入射された赤外線を吸収して反射することはないの
で、この黒体放射炉から設定された温度に対応する正し
い放射パワーP(λ)を有した赤外線が出射される。赤
外線センサは、この黒体放射炉から放射された基準の赤
外線を受光して、温度校正を実施する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図7
(a)(b)に示す黒体放射炉においてもまだ改良すべ
き次のような課題があった。
【0009】すなわち、近年、被測定物体における一点
の温度を測定する簡単な単画素赤外線センサの他に、被
測定物体の二次元的な各点温度を同時に読取る二次元
(Focal Plane Array FPA )赤外線センサが実用化
されている。このFPA赤外線センサの測定対象とする
温度範囲は、例えば、炎や溶けた金属等の高温のみなら
ず、例えば0°Cから80°Cまで等の自然界に存在す
る温度領域で使用される確率が高くなり、微妙な温度分
布の測定に使用される確率が高くなって来ている。
【0010】したがって、このような使用範囲及び使用
目的に応じた校正用の基準赤外線を放射する赤外線放射
器が必要である。
【0011】しがしながら、上述した図7に示す黒体放
射炉は、前述したように擬似黒体が800K等の高温に
維持されるので、冷却機能を有しておらず、室温を含む
自然界に存在する温度領域における各温度に対応する赤
外線を放射できなかった。
【0012】さらに、この黒体放射炉の円錐状空間2か
ら放射される赤外線は基本的には点光源であり、二次元
的広がりを有していない。したがって、FPA赤外線セ
ンサで測定される二次元的な温度分布における平面方向
の温度分解能(空間分解能)を評価できなかった。
【0013】さらに、従来の図7に示す黒体放射炉は、
ヒータコイル3で鉄製コア1を加熱する構成であり、外
部から入射された赤外線を吸収する機構として円錐状空
間2を採用しているので、装置が大型化し、かつ高い温
度精度で放射される赤外線の放射パワーを制御できなか
った。
【0014】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
ものであり、赤外線吸収膜を用いることによって、簡単
に外部から入射された赤外線を吸収でき、かつ放射され
る赤外線の温度を簡単に室温の広範囲に亘って制御でき
る赤外線放射器を提供することを目的とする。
【0015】また、赤外線吸収膜を用いることによっ
て、二次元的な温度分布を有した赤外線を放射できる赤
外線放射器を提供することを目的とする。
【0016】さらに、放射される赤外線の赤外線パワー
(赤外線温度)を短時間で切換できる赤外線放射装置を
提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記課題を解消するため
に、本発明の赤外線放射器においては、一方面に赤外線
吸収膜が形成されたプレートと、このプレートの他方面
に熱的に結合され、加熱素子と冷却素子とが組込まれた
加熱冷却器と、プレートの温度を測定する温度センサ
と、加熱素子と冷却素子とを駆動してプレートの温度を
外部から指定された温度に制御する温度制御器とを備え
ている。
【0018】このように構成された赤外線放射器におい
ては、一方面に赤外線吸収膜が形成されたプレートの他
方面には加熱冷却器が取付られている。したがって、プ
レートの温度を室温を含む所定の範囲で任意に設定可能
である。プレートは設定された温度になると、この温度
に対応する放射パワーレベルを有した赤外線を、赤外線
吸収率のよい、すなわち赤外線透過率のよい赤外線吸収
膜を介してプレートの一方面から外部へ放射する。
【0019】一方、外部からこの赤外線放射器のプレー
トの一方面に入射された赤外線は、プレートの一方面に
形成された赤外線吸収膜で吸収されて反射されない。よ
って、プレートの一方面から放射される赤外線は設定さ
れたプレートの温度に正確に対応した赤外線のみとな
る。
【0020】また、別の発明は、上記発明の赤外線放射
器における加熱冷却器の加熱素子を抵抗ヒータで構成
し、冷却素子をペルチェ素子で構成している。
【0021】このように、抵抗ヒータ及びペルチェ素子
を設けることによって、赤外線放射器全体を小型軽量に
構成できる。
【0022】また、別の発明は、上記発明の赤外線放射
器における赤外線吸収膜を、プレートの一方面のそれぞ
れ異なる領域に形成されかつ互いに赤外線吸収率が異な
る複数種類の部分赤外線吸収膜で構成している。
【0023】このように構成された赤外線放射器におい
ては、プレートの各位置から放射される赤外線はその位
置に形成された部分赤外線吸収膜の吸収率、すなわち、
部分赤外線吸収膜の放射率に応じて変化するので、この
変化をFPA赤外線センサでこの変化を検出すればよ
い。
【0024】また、別の発明は、上記発明の赤外線放射
器における赤外線吸収膜は、プレートの一方面内の所定
領域内に形成され、プレートの一方面内の赤外線吸収膜
が形成されていない領域には、赤外線反射膜が形成され
ている。
【0025】このように構成された赤外線放射器におい
ては、プレートにおける赤外線吸収膜が形成された領域
からはプレートの温度に対応する赤外線が放射され、プ
レートにおける赤外線反射膜が形成された領域からはプ
レートの温度と放射率とに対応する赤外線が出力され
る。
【0026】また、別の発明は、上記発明の赤外線放射
器におけるプレートの一方面内に形成された赤外線吸収
膜又は赤外線反射膜は、同一形状を有し、かつ大きさが
異なる複数のパターンを有する。
【0027】このように構成された赤外線放射器におい
ては、この赤外線放射器のプレートから放射される赤外
線を測定したFPA赤外線センサは、同一形状を有し、
かつ大きさが異なる複数のパターンを受光するので、オ
ペレータは測定されたパターンを観察することによっ
て、二次元的な温度分解能を簡単に把握できる。
【0028】また、別の発明は、上記発明の赤外線放射
器における赤外線吸収膜をニッケルーリン合金で形成
し、赤外線反射膜を金で形成している。
【0029】さらに、別の発明の赤外線放射装置は、複
数台の請求項1記載の赤外線放射器を移動自在に支持す
る支持機構と、この支持機構の前面に配設され1つの放
射窓が形成された遮蔽板と、各赤外線放射器の温度制御
器に対して互いに異なる温度を指定し、かつ支持機構を
駆動して、各赤外線放射器の赤外線吸収膜が形成された
プレートを遮蔽板の放射窓に順次対向させる駆動制御装
置とで構成されている。
【0030】このように構成された赤外線放射装置にお
いては、赤外線センサにおいて複数の温度を校正する場
合、赤外線センサを遮蔽板の放射窓に対向配置させれば
よい。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明の各実施形態を図面
を用いて説明する。 (第1実施形態)図1は本発明の第1実施形態に係る赤
外線放射器を示す図である。図1(a)は断面模式図で
あり、図1(b)は図1(a)を側方から見た斜視図で
ある。
【0032】例えば金属で形成された円筒状の容器10
の前面に形成された円形窓10a内に、外側の一方面に
赤外線吸収膜11が形成された円形のプレート12が組
込まれている。円筒状容器10内におけるプレート12
の内面に、加熱素子としての抵抗ヒータ14と冷却素子
としてのペルチェ素子15とが組込まれた加熱冷却器1
3が熱伝導率の良い接着材で接合されている。さらに、
プレート12の内面には、このプレート12の温度を検
出するために白金(Pt)抵抗からなる温度センサ15
が取付けられている。
【0033】抵抗ヒータ14に対する電流供給線、ペル
チェ素子15に対する電圧供給線、及び温度センサ16
からの信号線は、円筒状の容器10の裏面10bに穿設
された貫通孔17から円筒状の容器10の外部に設けら
れた温度制御器18の各入出力端子へ接続されている。
この温度制御器18には操作者(オペレータ)がプレー
ト12の温度を設定するための設定器19が取付られて
いる。
【0034】次に、各部の詳細構成を順番に説明する。
円形のプレート12は、熱伝導率の良い銅(Cu)、真
鍮(しんちゅう Cu―Zn)、アルミニウム(Al)
等の材料で、外径は20mmであり、厚みは0.5mm
に形成されている。なお、外径は、使用目的に応じて2
0mm〜500mmの範囲で任意に設定可能であり、厚
みも0.5mmに限定されるものではなくて0.1mm
〜10mm程度に設定できる。さらに、プレート12の
形状も、円形に限定されるものではなく、正方形や長方
形や楕円形状であってもよい。
【0035】このプレート12の表面に形成される赤外
線吸収膜11の材料としては、赤外線吸収率の大きなも
のであればよく、この実施形態においては、黒色のニッ
ケル―リン(Ni―P)合金(黒体)を採用している。
具体的には、ニッケル―リン(Ni―P)合金の溶液を
収納したメッキ槽に裏面をマスクした状態のプレート1
2を浸してメッキ加工して、例えば10〜40μmの厚
みを有したメッキ層を形成する。
【0036】なお、プレート12の表面に赤外線吸収膜
11を形成する手法は、上述したメッキ加工の他に、真
空蒸着手法や、薄い赤外線吸収シートをプレート12の
表面に貼付ける手法も採用することが可能である。
【0037】次に、このニッケル―リン(Ni―P)合
金のメッキ層が形成されたプレート12を硝酸水溶液が
収納されたエッチング槽に浸してエッチング処理を施
す。その結果、プレート12の表面にメッキにより形成
されたニッケル―リン(Ni―P)合金の層がエッチン
グされ、ニッケル―リン(Ni―P)合金の表面に細か
い凹凸が形成される。
【0038】エッチング時間を調整することによって、
この表面に形成される凹凸の凹部の平均的深さを任意に
設定可能である。このニッケル―リン(Ni―P)合金
の表面に凹凸を形成する目的は、外部から、ニッケル―
リン(Ni―P)合金の表面に入射した赤外線がこの凹
凸の凹部内に入射して、この凹部内の壁面で反射を繰り
返し、その反射の繰り返し過程で、赤外線のエネルギー
が消費され、結果として、この赤外線が再度凹部の外部
へ出射されるのを抑制して、赤外線に対する吸収率を向
上させるためである。
【0039】したがって、凹部の平均的深さを赤外線の
反射回数が多くなるように赤外線の波長で求まる最適深
さに設定している。この実施形態においては、凹部の平
均的深さを2〜20μmに設定している。
【0040】このように、プレート12の外面に、表面
に細かい凹凸を有する赤外線吸収膜11を形成すること
によって、外部からこのプレート12の外面に入射され
た赤外線を吸収して、この赤外線が反射されるのを極力
抑制できる。
【0041】このプレート12の内面に熱的に結合され
た加熱冷却器13内に組込まれた抵抗ヒータ14及びペ
ルチェ素子15は外部の温度制御器18にて駆動制御さ
れる。
【0042】温度制御器81は、温度センサ16でプレ
ート12の温度を常時検出しており、操作者(オペレー
タ)が設定部19を介して温度を指定すると、温度セン
サ16で検出されたプレート温度が、指定温度に一致す
るように、抵抗ヒータ14又はペルチェ素子15の通電
量又は印加電圧を制御する。具体的には、指定温度がそ
のときの室温より高い場合は、抵抗ヒータ14を通電し
てプレート12を加熱し、指定温度がそのときの室温よ
り低い場合は、ペルチェ素子15に電圧を印可してプレ
ート12を冷却する。
【0043】プレート12に対する温度指定可能範囲
は、抵抗ヒータ14及びペルチェ素子15の加熱、冷却
容量によって定まるが、この実施形態においては、常温
を挟んで自然界に存在する0°C〜80°Cの範囲であ
る。
【0044】このように構成された赤外線放射器におい
て、操作者(オペレータ)が設定器19で温度を設定す
ると、温度制御器18が抵抗ヒータ14又はペルチェ素
子15を駆動して、プレート12の温度を指定温度に制
御する。なお、指定温度が常温より高い温度又は常温よ
り低い温度のみの場合は、ペルチェ素子15又は抵抗ヒ
ータ14を省略して赤外線放射器を構成することができ
る。
【0045】その結果、プレート12から、(1)式で示
したように、温度T(K)と、波長(λ)と、物体固有
の放射率εと、ボルツマン定数σとで定まる放射パワー
P(λ)を有する赤外線が放射される。プレート12か
ら放射された赤外線は、赤外線吸収率(透過率)がほぼ
100%の赤外線吸収膜11をそのまま透過して、プレ
ート12の前方に放射される。
【0046】図2は、この赤外線放射器から放射される
赤外線における波長λ(μm)と分光放射発散度で示し
た放射パワーとの関係を示す図である。パラメータとし
て、プレート12の温度として200K、300K、4
00Kを採用した。そして、図中実線で示す特性は、プ
レート12の表面にニッケル―リン合金の赤外線吸収膜
11が形成された状態を示す。この各特性によると、温
度が100K低下すると、放射パワーは約1/10に低
下することが理解できる。
【0047】なお、図中の破線で示す特性は、プレート
12の表面に赤外線吸収率(放射率)がほぼ10%であ
る金(Au)の赤外線反射膜を形成した場合におけるプ
レート12の温度を200K、300K、400Kに設
定した条件における赤外線における波長と放射パワーと
の関係を示す。
【0048】実線特性と破線特性とを比較すると、プレ
ート12の表面に形成する膜を、赤外線吸膜11から赤
外線反射膜に交換することにより、放射パワーを約1/
10に低下させることが可能である。
【0049】また、図1に示す赤外線吸膜11がプレー
ト12の外面に形成された赤外線放射器においては、前
述したように、外部から赤外線吸膜11に入射された赤
外線は、この赤外線吸膜11で吸収されて反射されな
い。
【0050】したがって、この赤外線放射器において
は、設定器19で設定した温度に正しく対応した放射パ
ワーを有した赤外線を放射させることができる。
【0051】さらに、赤外線放射器においては、二次元
的広がりを有したプレート12から二次元的広がりを有
した均一な赤外線を放射させることができる。したがっ
て、この赤外線放射器から放射される赤外線を用いてF
PA赤外線センサで測定される二次元的な温度分布にお
ける各座標位置における検出された各温度値を短時間で
かつ正確に構成できる。
【0052】さらに、赤外線放射器においては、プレー
ト12を加熱冷却する加熱冷却器13を抵抗ヒータ14
とペルチェ素子15との簡単な電子素子で構成している
ので、赤外線放射器全体を、図7の従来の黒体放射炉に
比較して、大幅に小型軽量に構成できる。さらに、低価
格化を図ることができる。
【0053】(第2実施形態)図3(a)及び図3
(b)は、本発明の第2実施形態の赤外線放射器におけ
るプレート12の外面を示す図である。その他の構成は
図1に示す第1実施形態の赤外線放射器と同じであるの
で説明を省略する。
【0054】図3(a)においては、円形のプレート1
2の外面は格子状に区切られ、図中黒領域には、前述し
たニッケル−リン合金で構成された部分赤外線吸収膜と
しての赤外線吸収膜11が形成されている。この赤外線
吸収膜11のプレート12に対する形成工程は、前述し
たように、メッキ処理工程とエッチング処理工程とを含
む。
【0055】また、図中白領域には、赤外線吸収率が極
端に小さい金(Au)で形成された部分赤外線吸収皮膜
としての赤外線反射膜20が形成されている。この赤外
線反射膜20のプレート12に対する形成工程は、メッ
キ処理工程のみを含む。そして、この,金(Au)で形
成された赤外線反射膜20の赤外線吸収率は10%程度
である。すなわち、この赤外線反射膜20の赤外線の放
射率は約10%と非常に低い。
【0056】したがって、白領域の赤外線反射膜20か
ら放射された赤外線の放射パワーは、黒領域の赤外線吸
収膜11から放射された赤外線の放射パワーに比較し
て、図2に示すように、約1/10に低下する。
【0057】また、図3(b)においては、円形のプレ
ート12の前面に、赤外線反射膜20で、形成された
「イ」の文字を示す同一形状を有し、大きさが異なる、
複数のパターンが形成されている。そして、この複数の
赤外線反射膜20のパターンが形成された以外の全黒領
域には赤外線吸収膜11が形成されている。
【0058】このように構成された、第2の実施形態の
赤外線吸収器においては、この赤外線吸収器の赤外線吸
収膜11及び赤外線反射膜20が形成されたプレート1
2の各位置から放射される各赤外線における放射パワー
の大きさの二次元的な分布は、図3(a)又は図3
(b)に示す分布を有する。
【0059】したがって、この赤外線吸収器から放射さ
れる赤外線を用いてFPA赤外線センサで測定される二
次元的な温度分布は、図3(a)又は図3(b)に示す
分布を有する。したがっで、測定された温度分布と、図
3(a)又は図3(b)に示す分布や各パターンとを比
較照合することによって、このFPA赤外線センサにけ
る二次元的な温度分解能を簡単に把握できる。
【0060】(第3実施形態)図4は本発明の第3実施
形態の赤外線放射装置の側面図である。
【0061】ベース21に設置されたフレーム22上に
モータ23が固定されている。このモータ23の回転軸
24の中途位置にスリップリング25が取付けられてお
り、回転軸24の先端にフランジ26が固定されてい
る。このフランジ26には、図5に示すように、回転軸
24と直角方向に、3本の支持アーム27a、27b、
27cの一端が固定されている。
【0062】3本の支持アーム27a、27b、27c
の他端には、それぞれ図1に示す赤外線放射器と同一構
成の赤外線放射器28a、28b、28cが取付けられ
ている。各赤外線放射器28a、28b、28cは、円
筒状の容器10の軸心がモータ23の回転軸24と平行
となるように、位置決めされている。各赤外線放射器2
8a、28b、28cの赤外線吸収膜11が形成された
プレート12がモータ23と反対側に位置する。
【0063】したがって、モータ23を回転させると、
赤外線放射器28a、28b、28cは、回転軸24を
中心とする円周上を回転移動する。この赤外線放射器2
8a、28b、28cの移動円周の前面位置に遮蔽板2
9が配設されている。この遮蔽板29における前記円周
上の1カ所に円形の放射窓30が穿設されている。した
がって、モータ23を回転させると、各赤外線放射器2
8a、28b、28cの赤外線吸収膜11が形成された
プレート12が順番に、円形の放射窓30に対向する。
【0064】したがって、モータ23、回転軸24、フ
ランジ26、支持アーム27a〜27cは、各赤外線放
射器28a、28b、28cを移動自在に支持する支持
機構を構成する。
【0065】各赤外線放射器28a、28b、28cに
おける抵抗ヒータ14、ペルチェ素子15、温度センサ
16の各信号線は、支持アーム27a、27b。27
c、フランジ26、回転軸24内を経由して、スリップ
リング25を介して、外部へ取出され、フレーム22内
に設置された温度制御部32内の各赤外線放射器28
a、28b、28c毎の温度制御器18に入力される。
温度制御部32は各赤外線放射器28a、28b、28
c毎に、個別に指定された温度を各温度制御器18へ指
定する。
【0066】その結果、各赤外線放射器28a、28
b、28cのプレート12はそれぞれ指定された温度に
制御される。この実施形態においては、図5に示すよう
に、赤外線放射器28aは10°Cに設定され、赤外線
放射器28bは25°Cに設定され、赤外線放射器28
cは30°Cに設定されている。
【0067】モータ制御部31は、モータ23を120
°ずつ回転させて、各赤外線放射器28a、28b、2
8cのプレート12を遮蔽板29の放射窓30に順次対
向させる。
【0068】したがって、温度制御部32とモータ制御
部31とは、各赤外線放射器28a〜28cの温度制御
器18に対して互いに異なる温度を指定し、かつモータ
23を含む各赤外線放射器28a〜28cに対する支持
機構を駆動して、各赤外線放射器の赤外線吸収膜が形成
されたプレート12を遮蔽板29の放射窓30に順次対
向させる駆動制御装置を構成する。
【0069】このように構成された第3実施形態の赤外
線放射装置においては、赤外線センサにおいて、複数の
温度を校正する場合、この赤外線センサを遮蔽板29の
放射窓30に対向配置させた状態において、モータ制御
部31でもって、モータ23を120°ずつ回転させ
て、各赤外線放射器28a、28b、28cのプレート
12を遮蔽板29の放射窓30に順次対向させる。する
と、赤外線放射器28a、28b、28cから10°
C、25°C、30°Cにそれぞれ設定された基準とな
る、各赤外線が赤外線センサに順次入射されるので、短
時間で複数の温度を校正できる。
【0070】なお、赤外線放射器のプレート12の設定
温度を変更するためには所定の時間が必要であるので、
1台の赤外線放射器で複数の温度を校正するには、多大
の処理時間が必要である。
【0071】(第4実施形態)図6は本発明の第4実施
形態の赤外線放射装置の側面図である。
【0072】この実施形態の赤外線放射装置において
は、3個の赤外線放射器28a、28b、28cが1台
の台車33上の異なる水平位置に取付けられている。こ
の台車33はレール34上を図示しない移動機構によっ
て、水平方向に移動制御される。
【0073】このレール34の手前に遮蔽板29aが配
設されており、この遮蔽板29aに放射窓30aが穿設
されている。そして、台車33をレール34に沿って移
動すると、台車33に登載された各赤外線放射器28
a、28b、28cが順番に遮蔽板29aの放射窓30
aに対向する。
【0074】したがって、図4に示した第3実施形態の
赤外線放射装置とほぼ同じ作用効果を奏することが可能
である。
【0075】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の赤外線放
射器においては、赤外線を放射するプレートの表面に赤
外線吸収膜を形成し、プレートを加熱冷却器で加熱又は
冷却している。したがって、簡単に外部から入射された
赤外線を吸収でき、かつ簡単に温度を室温の広範囲に亘
って制御できる。
【0076】さらに、二次元的な温度分布を有した赤外
線を放射できる。また、本発明の赤外線放射装置におい
ては、互いに設定温度が異なる複数の赤外線放射器を組
込んでいる。したがって、装置全体から放射される赤外
線の赤外線パワー(赤外線温度)を短時間で切換できる
ので、赤外線センサに対する温度校正に対する操作性を
大幅に向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の赤外線放射器の概略構
成を示す図
【図2】放射される赤外線の波長と放射パワーとの関係
を示す図
【図3】本発明の第2実施形態の赤外線放射器における
プレートに形成された赤外線吸収皮膜と赤外線反射皮膜
との分布を示す図
【図4】本発明の第3実施形態の赤外線放射器の側面図
【図5】同第3実施形態の赤外線放射器の要部を取り出
して示す正面図
【図6】本発明の第4実施形態の赤外線放射器の側面図
【図7】従来の黒体放射炉の概略構成を示す図
【符号の説明】
10…容器 11…赤外線吸収膜 12…プレート 13…加熱冷却器 14…抵抗ヒータ 15…ペルチェ素子 16…温度センサ 17…貫通孔 18…温度制御部 19…設定部 20…赤外線反射膜 23…モータ 24…回転軸 25…スリップリング 26…フランジ 28a、28b、28c…赤外線放射器 29、29a…遮蔽板 30、30a…放射窓 31…モータ駆動部 32…温度制御部

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一方面に赤外線吸収膜(11)が形成さ
    れたプレート(12)と、 このプレートの他方面に熱的に結合され、加熱素子(1
    4)と冷却素子(15)とが組込まれた加熱冷却器(1
    3)と、 前記プレートの温度を測定する温度センサ(15)と、 前記加熱素子と冷却素子とを駆動して前記プレートの温
    度を外部から指定された温度に制御する温度制御器(1
    8)とを備えた赤外線放射器。
  2. 【請求項2】 前記加熱冷却器の加熱素子は抵抗ヒータ
    であり冷却素子はペルチェ素子であることを特徴とする
    請求項1記載の赤外線放射器。
  3. 【請求項3】 前記赤外線吸収膜は、前記プレートの一
    方面のそれぞれ異なる領域に形成されかつ互いに赤外線
    吸収率が異なる複数種類の部分赤外線吸収膜で構成され
    たことを特徴とする請求項1記載の赤外線放射器。
  4. 【請求項4】 前記赤外線吸収膜(11)は前記プレー
    トの一方面内の所定領域内に形成され、前記プレートの
    一方面内の前記赤外線吸収膜が形成されていない領域に
    は、赤外線反射膜(20)が形成されていることを特徴
    とする請求項1記載の赤外線放射器。
  5. 【請求項5】 前記プレートの一方面内に形成された赤
    外線吸収膜又は赤外線反射膜は、同一形状を有し、かつ
    大きさが異なる複数のパターンを有することを特徴とす
    る請求項4記載の赤外線放射器。
  6. 【請求項6】 前記赤外線吸収膜はニッケルーリン合金
    で形成され、前記赤外線反射膜は金で形成されているこ
    とを特徴とする請求項4又は5記載の赤外線放射器。
  7. 【請求項7】 複数台の請求項1記載の赤外線放射器
    (28a、28b、28c)を移動自在に支持する支持
    機構(23、24、26、27a〜27c)と、 この支持機構の前面に配設され1つの放射窓(30,3
    0a)が形成された遮蔽板(29,29a)と、 前記各赤外線放射器の温度制御器に対して互いに異なる
    温度を指定し、かつ前記支持機構を駆動して、前記各赤
    外線放射器の赤外線吸収膜が形成されたプレートを前記
    遮蔽板の放射窓に順次対向させる駆動制御装置(31、
    32)とを備えた赤外線放射装置。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008202971A (ja) * 2007-02-16 2008-09-04 Ihi Corp 赤外線カメラ調整装置及び赤外線カメラ調整方法
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CN112146764A (zh) * 2020-09-25 2020-12-29 杭州海康威视数字技术股份有限公司 一种提高基于热成像温度测量准确性的方法、热成像设备

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