JP2002106390A - 多気筒エンジンの制御装置 - Google Patents

多気筒エンジンの制御装置

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JP2002106390A
JP2002106390A JP2000298042A JP2000298042A JP2002106390A JP 2002106390 A JP2002106390 A JP 2002106390A JP 2000298042 A JP2000298042 A JP 2000298042A JP 2000298042 A JP2000298042 A JP 2000298042A JP 2002106390 A JP2002106390 A JP 2002106390A
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Japan
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fuel cut
engine speed
cylinder
engine
cylinders
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JP2000298042A
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Yoichi Saito
陽一 斉藤
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Subaru Corp
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Fuji Heavy Industries Ltd
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  • Exhaust Gas After Treatment (AREA)
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  • Control Of Vehicle Engines Or Engines For Specific Uses (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】トルクショックの発生を有効に防止しつつ、燃
料カットを許容するエンジン回転数領域の実質的な拡大
を図ることで、ドライバビリティと燃費との両立を図
る。 【解決手段】アクセル全閉の走行状態で燃料カットを実
行する多気筒エンジン1の制御装置12は、エンジン回
転数が第1のエンジン回転数よりも高い走行状態でアク
セル全閉になった場合、全気筒を対象にした燃料カット
である全気筒燃料カットを開始する。そして、エンジン
回転数が第1のエンジン回転数以下で第2のエンジン回
転数よりも高い走行状態でアクセル全閉になった場合、
一部気筒を対象とした燃料カットである一部気筒燃料カ
ットを開始する。さらに、低負荷低回転数領域において
成層燃焼を行う多気筒エンジンでは、燃料カット開始・
終了回転数を細かく設定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多気筒エンジンの
制御装置に係り、特に、アクセル全閉の減速時に実行さ
れる燃料カットに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、燃費向上を目的として、スロ
ットル全閉でかつ所定のエンジン回転数以上のときに、
インジェクタによる燃料噴射を停止する燃料カットが行
われている。このような燃料カットを行う場合、その開
始時にはエンジントルクが急激に低下し、それを終了し
て燃料噴射を再開する際にはエンジントルクが急激に増
大するため、トルクショックが生じることがある。
【0003】このような不都合を解消するために、例え
ば、特開昭61−23843号公報には、MPI方式の
制御系において、燃料カットへの移行および復帰をグル
ープ化された気筒単位で所定の遅延時間をもって段階的
に行う技術が開示されている。具体的には、所定の許容
回転数(燃料カットへの移行を許容する下限回転数)よ
りも高いエンジン回転数でアクセル全閉になった場合、
まず、第3気筒および第4気筒の燃料カットを開始する
と共に、所定時間経過後に第1気筒および第2気筒の燃
料カットを開始する。そして、エンジン回転数が所定の
復帰回転数以下になると、まず、第1気筒および第2気
筒の燃料噴射を再開すると共に、所定時間経過後に第3
気筒および第4気筒の燃料噴射を再開する。これによ
り、移行タイミングおよび復帰タイミングが気筒グルー
プ毎に異なるため、トルクショックが分散されて全体的
なトルクショックが低減される。
【0004】また、筒内噴射エンジンに関する燃料カッ
ト制御に関しては、例えば、特開平10−110642
号公報や国際公開番号WO98/09064号公報等に
開示されている。これらは、燃料カットへの移行または
復帰時に、目標空燃比を段階的に変化させたり、吸入空
気量の補正を行うことにより、ドライバビリティの向上
やエミッションの悪化を防止するものである。さらに、
特開平10−110643号公報には、圧縮行程噴射モ
ード(成層燃焼)における許容回転数を吸気行程噴射モ
ード(均一混合燃焼)のそれよりも低回転数側に設定す
ることが開示されている。また、この公報には、圧縮行
程噴射モードにおける復帰回転数を、吸気行程噴射モー
ドのそれよりも低回転数側に設定することも開示されて
いる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、いずれ
の従来技術においても、燃料カットは全ての気筒を対象
に行われるため、許容回転数や復帰回転数をあまり低く
設定することはできないという問題がある。なぜなら、
許容回転数をあまり低く設定すると、その回転数近傍で
燃料カットが開始された場合、燃料カットの移行制御と
復帰制御とが極短時間に集中するため、エンジンの制御
性を損なうおそれがあるからである。また、移行時のト
ルク減少と復帰時のトルク増大とが集中し、低回転数側
になるほどドライバがトルクショックを体感し易いから
である。さらに、復帰回転数をあまり低く設定すると、
エンジン回転数がその回転数を下回った場合にエンスト
等が生じ得るからである。これらの理由で、全気筒を対
象にした燃料カットを許容するエンジン回転数領域の下
限側への拡大には限界があるため、燃料カットの実行頻
度の増大による燃費の向上には限界があった。
【0006】そこで、本発明の目的は、トルクショック
の発生を有効に防止しつつ、燃料カットを許容するエン
ジン回転数領域の実質的な拡大を図ることで、ドライバ
ビリティと燃費との両立を図ることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】かかる課題を解決するた
めに、第1の発明は、アクセル全閉の走行状態で燃料カ
ットを実行する多気筒エンジンの制御装置において、エ
ンジン回転数が第1のエンジン回転数よりも高い走行状
態でアクセル全閉になった場合、全ての気筒を対象にし
た燃料カットである全気筒燃料カットを開始する。ま
た、エンジン回転数が第1のエンジン回転数以下で第2
のエンジン回転数よりも高い走行状態でアクセル全閉に
なった場合、一部の気筒を対象とした燃料カットである
一部気筒燃料カットを開始する。
【0008】このような構成では、全気筒燃料カットの
許容下限値となる第1のエンジン回転数以下の回転数領
域に、一部気筒燃料カットの許容下限値となる第2のエ
ンジン回転数を設定する。燃料カットを実行するエンジ
ン回転数の下限を第2のエンジン回転数まで低くして、
燃料カットの実行可能領域の拡大を図る。それととも
に、第1のエンジン回転数以下で第2のエンジン回転数
よりも高い回転数領域で開始される燃料カットは一部気
筒に留め、それ以外の気筒では燃料噴射を継続する。
【0009】また、第1の発明において、全気筒燃料カ
ットが開始された場合、エンジン回転数が第1のエンジ
ン回転数よりも低い第3のエンジン回転数に到達したと
きに一部の気筒の燃料カットを終了すると共に、エンジ
ン回転数が第3のエンジン回転数よりも低い第4のエン
ジン回転数に到達したときに残りの気筒の燃料カットを
終了する。また、一部気筒燃料カットが開始された場
合、エンジン回転数が第4のエンジン回転数に到達した
ときに、一部気筒燃料カットを終了する。これにより、
全気筒燃料カット時には、燃料カットからの復帰タイミ
ングが気筒によって異なるため、全体的なトルクショッ
クが低減される。また、一部気筒燃料カット時には、燃
料カットを行わない気筒については燃料噴射が継続され
る。
【0010】第2の発明は、アクセル全閉の走行状態で
燃料カットを実行すると共に、低負荷低回転数領域にお
いて成層燃焼を行う筒内噴射多気筒エンジンの制御装置
において、エンジン回転数が第1のエンジン回転数より
も高い走行状態でアクセル全閉になった場合、全気筒を
対象にした燃料カットである全気筒燃料カットを開始す
る。そして、エンジン回転数が第1のエンジン回転数よ
りも低い第3のエンジン回転数に到達したときに一部の
気筒の燃料カットを終了すると共に、エンジン回転数が
第3のエンジン回転数よりも低い第4のエンジン回転数
に到達したときに残りの気筒の燃料カットを終了する。
また、エンジン回転数が第1のエンジン回転数以下で第
2のエンジン回転数よりも高い走行状態でアクセル全閉
になった場合、一部気筒を対象とした燃料カットである
一部気筒燃料カットを開始する。そして、エンジン回転
数が第3のエンジン回転数よりも低い第4のエンジン回
転数に到達したときに一部気筒燃料カットを終了する。
【0011】このような構成においては、第1の発明と
同様の作用を有する。また、一般に、均一混合燃焼時よ
りも成層燃焼時の方がアイドル回転数を低く設定でき
る。したがって、第3および第4のエンジン回転数をよ
り低回転数側に設定しても、エンスト等の問題を回避す
ることができる。その結果、制御性を確保しながら、燃
料カット時間を長く確保することが可能となる。
【0012】また、第2の発明において、全気筒燃料カ
ットを行う場合、アクセル全閉になった時点から第1の
所定時間が経過した時点で一部の気筒の燃料カットを開
始し、アクセル全閉になった時点から第2の所定時間が
経過した時点で残りの気筒の燃料カットを開始すること
が好ましい。このように、気筒グループ毎に燃料カット
開始タイミングをずらすことで、全体的なトルクショッ
クが低減される。
【0013】また、第2の発明において、多気筒エンジ
ンの排気通路には、NOx吸蔵型三元触媒または選択還
元型NOx触媒を有する触媒コンバータが設けられてい
ることが好ましい。これにより、一部気筒燃料カット時
に、燃料カット対象となっている気筒側から酸素が多量
に排出された場合においても、リーン環境下で触媒コン
バータがNOxを有効に吸蔵する。
【0014】また、第2の発明において、一部気筒燃料
カットは、成層燃焼が実施されている場合に許可される
ようにしてもよい。成層燃焼が実行中であることを一部
気筒燃料カットの実行条件とすることにより、エンジン
回転数が第4のエンジン回転数よりも低下した場合にお
いても、燃料噴射量の増量だけでトルク増加が可能とな
る。
【0015】また、第2の発明において、多気筒エンジ
ンは、排気系から吸気系に排気ガスを還流させる排気還
流通路を有し、一部気筒燃料カットは、排気還流通路の
導出口が設けられていない気筒に関して実行することが
好ましい。この導出口が設けられた気筒を対象に燃料カ
ットを行った場合、この気筒から排出された多量の空気
が排気再循環通路を流れて吸気系に戻される。その結
果、成層燃焼を行っている残りの気筒の失火や燃焼性の
悪化を招くおそれがあるので、かかる不都合を回避する
ためである。
【0016】また、第2の発明において、全気筒燃料カ
ットは、自動変速機がロックアップ状態にある場合に実
施され、一部気筒燃料カットは、自動変速機のロックア
ップ状態に拘わらず実施されることが好ましい。自動変
速機がロックアップしていない状態では、アクセル全閉
によりエンジン回転数が急激に低下するため、短時間の
燃料カットしか行われず、トルクショックの発生を招
く。そこで、このような場合には、全気筒燃料カットを
禁止して一部気筒燃料カットを許可することにより、ト
ルクショックの発生を防ぐ。
【0017】さらに、全気筒燃料カットは、アクセル全
閉後、このアクセル全閉期間中において1回のみ許可す
るようにすることが好ましい。これにより、エンジン回
転数の低下時に自動変速機の特性よりアンダーシュート
が生じたとしても、燃料カットと燃料噴射が繰り返され
る制御ハンチングを防止することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】(第1の実施形態)図1は、本発
明が適用可能な多気筒エンジンの一例を示す全体構成図
である。本形態におけるエンジン1は、水平対向4気筒
の筒内噴射エンジンである。なお、通常吸入管噴射エン
ジンにおいても本発明を提供可能である。このエンジン
1のシリンダブロックにおける左バンクには、シリンダ
ヘッドが設けられ、このシリンダヘッドとシリンダブロ
ックとによって気筒#1,#3が形成されている。一
方、右バンクに設けられたシリンダヘッドとシリンダブ
ロックとによって気筒#2,#4が形成されている。エ
ンジン1の各吸気ポートには吸気バルブ2が介装されて
いると共に、各吸気ポートはインテークマニホールド3
と連通している。エンジン1の各排気ポートには排気バ
ルブ4が設けられていると共に、これらの排気ポートは
エギゾーストマニホールド5と連通している。また、エ
ンジン1の各気筒における燃焼室には、燃焼室内の混合
気を着火する点火プラグ6の放電電極が臨んでいる。各
燃焼室における吸気バルブ2の近傍には、燃焼室内に燃
料(ガソリン)を直接噴射するインジェクタ7が設けら
れている。一般に、筒内噴射エンジン1では、燃焼特性
上の要求から燃料噴霧を微細化する必要がある。そこ
で、図示しない燃料タンク内に貯えられた燃料は、規定
の圧力に高圧化され、燃料配管を介してインジェクタ7
に供給される。
【0019】エアクリーナ8により大気中の塵埃等が除
去された空気は、スロットルバルブ10の開度に応じ
て、その流量が制御される。このスロットルバルブ10
は、エアクリーナ8とエアチャンバ9との間の吸気通路
に介装されており、例えば電動モータ等のスロットルア
クチュエータ11によってその開度が調整される。エン
ジン制御装置12(以下「ECU」という)は、エンジ
ン回転数、エンジン要求負荷に相当するアクセルペダル
18の踏込量等に基づきスロットル開度を算出し、スロ
ットルアクチュエータ11を駆動することでスロットル
バルブ10を開閉する。スロットルバルブ10によって
流量が調整された吸入空気は、エアチャンバ9を流れ
て、吸気バルブ2の開弁によってエンジン1の燃焼室に
流入する。そして、インジェクタ7から噴射された燃料
と混合され、点火プラグ6の着火によって燃焼してエン
ジン1の駆動力が発生する。
【0020】燃焼によって発生した排気ガスは、排気バ
ルブ4の開弁によって燃焼室からエギゾーストマニホー
ルド5へ排出される。そして、この排気ガスは、エギゾ
ーストマニホールド5の下流に設けられた三元触媒コン
バータ13とNOx吸蔵型三元触媒コンバータ14とに
よって、有害成分CO,HC,NOxが適切に浄化され
た後、マフラ15を介して大気中に排出される。この
「NOx吸蔵型三元触媒」は、リーン運転時に排出され
たNOxを触媒内に一旦吸着して蓄積し、リッチ運転時
に蓄積したNOxを浄化する触媒である。したがって、
リーンフィードバック制御を単独で実行するよりも更に
排気エミッション(NOx)を低減することができる。
また、このようなNOx吸蔵型三元触媒に代えて、選択
還元型NOx触媒を用いることも可能である。この「選
択還元型NOx触媒」は、酸素過剰の雰囲気で炭化水素
の存在下でNOxを還元または分解する触媒であり、選
択還元型NOx触媒には、ゼオライトにCu等の遷移金
属をイオン交換して担持した触媒、ゼオライトまたはア
ルミナに貴金属を担持した触媒等が含まれる。
【0021】また、エギゾーストマニホールド5とエア
チャンバ9との間には、排気還流通路16が設けられて
いる。この排気還流通路16には、吸気系への排気ガス
の還流量を調整する排気再循環バルブ17(以下、「E
GRバルブ」という)が介装されている。EGRバルブ
17は、内蔵されたステッパーモータによって駆動し、
ECU12による制御の下でその開度が適切に設定され
る。成層燃焼時において、燃焼に寄与しない不活性ガス
を排気系から吸気系に還流して吸入空気に適切に混入す
ることにより、燃焼温度を低下させ、排気ガス中に含ま
れるNOxの排出量を減少させる。なお、本形態におい
て、排気還流系を構成する排気還流通路16の導出口
は、エギゾーストマニホールド5における気筒#1,#
2の排気通路にのみ設けられており、気筒#3,#4側
には設けられていない。
【0022】ECU12は、マイクロコンピュータ、R
OM、RAM、入出力インターフェース等で構成されて
おり、センサ・スイッチ類20〜26等からの信号に基
づいてエンジン制御を行う上で必要な各種パラメータを
検出する。ここで、エアフローメータ等の吸入空気量セ
ンサ20は、スロットルバルブ10の上流に設けられて
おり、エンジン1に吸入される空気量Qを検出するセン
サである。スロットル開度センサ21は、スロットルバ
ルブ10の開度に相当するスロットル開度θtを検出す
るセンサである。アクセル開度センサ22は、アクセル
ペダル18の近傍に設けられており、アクセルペダル1
8の踏込量に相当するアクセル開度θaを検出するセン
サである。エンジン回転数センサ23は、エンジン回転
数Neを検出するセンサであり、例えば、クランクシャ
フトが所定角度回転する毎に出力パルスを発生するクラ
ンク角センサを用いることができる。空燃比センサ24
は、排気通路を流れる排気ガスから実当量比φr(当量
比は空気過剰率の逆数)を検出するセンサであり、例え
ばリニアO2センサを用いることができる。この空燃比
センサ24により検出された実当量比φrが目標当量比
φに収束するように、ECU12は、空燃比フィードバ
ック制御を行う。また、車速センサ25は車速υを検出
するセンサである。さらに、アクセルペダル18の近傍
に設けられたアイドルスイッチ26は、アクセル全閉を
検出するスイッチであり、アクセルペダル18が踏み込
まれていない状態でのみ「オン」になる。
【0023】なお、ECU12は、図示しない自動変速
機を制御するため、マイクロコンピュータを中心に構成
された変速機制御装置19(以下「TCU」という)
と、双方向通信を行っている。これにより、ECU12
は、図示しないロックアップクラッチの係合状態に関す
るデータ等の各種データをTCU19から受信する。
【0024】ECU12は、現在の運転状態に基づいて
成層燃焼または均一混合燃焼のいずれかを決定し、その
燃焼形態を実現するエンジン制御を行う。図2は燃焼形
態領域の説明図である。低負荷低数回転領域では、目標
燃焼形態として成層燃焼が設定され、それ以外の運転領
域では均一混合燃焼が設定される。ここで、成層燃焼
は、圧縮行程においてインジェクタ7による燃料噴射を
開始すると共に点火直前に終了し、燃料噴霧の後端部を
点火プラグ6で着火して混合気を燃焼させる燃焼方式で
ある。成層燃焼は、燃焼室内に噴射された燃料周辺の空
気しか利用せず、充填空気量に対して極めて少ない燃料
量で安定した燃焼を得ることができるため、低負荷低回
転運転時に適した燃焼形態である。一方、均一混合燃焼
は、成層燃焼よりも早い行程(例えば排気行程終期また
は吸気行程)に燃料を噴射し、気筒内に噴射燃料が十分
に拡散し、噴射燃料と空気とが均一に混合した後に着火
する燃焼方式である。均一混合燃焼は、空気利用率が高
くエンジンの出力向上を図ることができるため、高負荷
高回転運転時に適した燃焼形態である。なお、実際の燃
焼形態が目標燃焼形態と一致する限りその燃焼形態が継
続されるが、一致しなくなった場合には、当量比を適切
に変化させることにより、目標燃焼形態への移行制御が
実行される。
【0025】図3は、燃料噴射時期・点火時期・スロッ
トル開度設定ルーチンのフローチャートである。ECU
12は、このルーチンを所定周期で繰り返し実行する。
まず、ステップ1において、現在の燃焼形態が「成層燃
焼」であるか否かが判断される。このステップ1で肯定
判定された場合にはステップ2に進み、成層燃焼時の燃
料噴射時期、点火時期およびスロットル開度が設定され
る。具体的には、エンジン回転数Neとエンジン負荷
(例えば、基本噴射パルス幅Tp)とに基づいて、成層
燃焼に適合する燃料噴射時期と点火時期とをそれぞれテ
ーブル検索等により設定する。また、アクセル開度θa
に基づいて、成層燃焼に適合する目標スロットル開度を
設定すると共に、スロットルアクチュエータ11により
スロットルバルブ10を駆動して、スロットル開度θt
が目標スロットル開度に一致するように制御する。な
お、成層燃焼時においては、EGRバルブ17の開度を
調整して、必要な排気還流量(EGR量)を確保する。
【0026】一方、ステップ1で否定判定された場合に
はステップ3に進み、均一混合燃焼時の燃料噴射時期、
点火時期およびスロットル開度が設定される。具体的に
は、エンジン回転数Neとエンジン負荷(例えば、基本
噴射パルス幅Tp)とに基づいて、均一混合燃焼に適合
する燃料噴射時期と点火時期とをそれぞれテーブル検索
等により設定する。また、アクセル開度θaに基づい
て、均一混合燃焼に適合する目標スロットル開度を設定
すると共に、スロットルアクチュエータ11によりスロ
ットルバルブ10を駆動して、スロットル開度θtが目
標スロットル開度に一致するように制御する。
【0027】図4は、燃料噴射制御ルーチンのフローチ
ャートである。ECU12は、このルーチンを所定周期
で繰り返し実行し、燃料噴射量に相当する燃料噴射パル
ス幅Tiを算出する。そして、インジェクタ7からは燃
料噴射パルス幅Tiに応じた量の燃料が燃焼室内に噴射
される。なお、燃料噴射制御ルーチンは、気筒#1〜#
4毎に別個に実行され、それぞれの気筒#1〜#4の燃
料噴射パルス幅Tiが算出される。
【0028】まず、ステップ10において、ある気筒#
iに関する燃料カットフラグF#iが「1」であるか否か
が判断される。燃料カットフラグF#iは、気筒#iに関
する燃料カットの実施を指示するためのフラグであり、
後述する燃料カット判定ルーチンによって燃料カットが
指示された場合に「1」に設定される。本形態の場合、
燃料カットフラグF#iは、気筒数に対応して4つ存在す
る(F#1〜F#4)。燃料カットフラグF#iが「1」すな
わち燃料カットが指示された場合はステップ15に進
み、インジェクタ7からの燃料噴射を停止すべく、燃料
噴射パルス幅Tiが0にセットされる。そして、今回の
サイクルにおける本ルーチンの処理を終了する。一方、
燃料カットが指示されていない場合(F#i=0)には、
ステップ11以降の手順に進み、燃焼を実現する上で適
切な燃料噴射パルス幅Tiが算出される。
【0029】ステップ11において、下式に従い吸入空
気量Qとエンジン回転数Neとに基づき、基本噴射パル
ス幅Tpが算出される。なお、Kはインジェクタ特性補
正定数である。
【数1】Tp=K×Q/Ne
【0030】つぎに、ステップ12において、燃料噴射
パルス幅Tiを算出する際に必要な各種増量補正係数C
OEFが周知の手法により算出される。各種増量補正係
数COEFは、燃料噴射量を増量補正するためのパラメ
ータであり、水温増量補正係数KTW、始動後増量補正係
数KAS、燃料増量補正係数KMB等を加算することにより
算出される。
【0031】ステップ13において、下式に従い燃料噴
射パルス幅Tiが算出される。同式において、目標当量
比φは、燃焼形態や運転状態に応じて決定される。ま
た、LAMBDA,Tsはそれぞれ、空燃比フィードバック補
正係数、無効パルス幅である。
【数2】Ti=Tp×φ×LAMBDA×COEF+Ts
【0032】そして、ステップ14において、燃料噴射
パルス幅Tiがセットされて、今回のサイクルにおける
本ルーチンの処理が終了する。なお、上述した燃料噴射
制御ルーチンの詳細については、特開平10−3316
84号公報に開示されているので、必要ならば参照され
たい。
【0033】図5は、燃料カット判定ルーチンのフロー
チャートである。ECU12は、このルーチンを所定周
期で繰り返し実行することにより、各気筒#1〜#4に
関する燃料カットの開始判定および終了判定を行う。ア
クセル全閉による減速時に行われる燃料カット(減速燃
料カット)は、全気筒#1〜#4を対象に行うケース
と、一部気筒#3,#4のみを対象に行うケースとがあ
る。以下、それぞれのケースについて、図6および図7
に示すタイムチャートを参照しながら詳述する。
【0034】(全気筒燃料カット)図6は、全気筒燃料
カット時のタイムチャートである。まず、ステップ20
において、エンジン回転数Ne、車速υおよびアイドル
スイッチ出力が読み込まれる。次に、ステップ21にお
いて、車速υが所定の判定値(例えば、4km/h)以上、
すなわち走行状態であるか否かが判断される。ステップ
21において肯定判定された場合、ステップ22に進
み、アイドルスイッチ26がオン(アクセル全閉)であ
るか否か判断される。ステップ21またはステップ22
のいずれかの判定結果が否定の場合は、全ての燃料カッ
トフラグF#1〜F#4が「0」にセットされた後(ステッ
プ36)、燃料カット実行フラグFCUTも「0」にセ
ットされる(ステップ37)。この実行フラグFCUT
は、燃料カットの実行状態を示すフラグであり、燃料カ
ットの実行中のみ「1」に設定される。そして、ステッ
プ37の処理の終了に伴い、今回のサイクルにおける本
ルーチンの処理を終了する。
【0035】このように、アクセルペダル18が踏み込
まれた走行状態にある限り(図6のt0以前)、ステッ
プ36の処理が繰り返される。したがって、燃料カット
フラグF#1〜F#4は「0」のままなので、燃料噴射制御
ルーチンにより、燃焼形態(成層燃焼または均一混合燃
焼)に応じた量の燃料がインジェクタ7より噴射され
る。
【0036】次に、t0の時点において、踏み込まれて
いたアクセルペダル18が開放されると、その後はステ
ップ22の判定結果が否定から肯定に変わるため、ステ
ップ23に進む。ステップ23では、エンジン回転数N
eが予め設定された第1のエンジン回転数Ne1よりも
高いか否かが判断される。この第1のエンジン回転数N
e1は、全気筒燃料カットの実行を許可する下限側の許
容回転数であり、後述する理由により、1200〜1300[rp
m]の範囲内で適切な値に設定することが好ましい(一例
としてNe1=1200[rpm])。
【0037】アクセル全閉時点toでは、エンジン回転
数Neが第1のエンジン回転数Ne1よりも高いので、
ステップ24に進む。ステップ24では、燃料カット実
行フラグFCUTが「1」であるか否かが判断される。
上述したように、t0直前における本ルーチンの処理に
より、この実行フラグFCUTは「0」に設定されてい
る。したがって、t0直後の実行サイクルでは、ステッ
プ24での否定判定よりステップ25に進み、燃料カッ
ト実行フラグFCUTが「0」から「1」に切り換わ
る。そして、ステップ26において、全ての燃料カット
フラグF#1〜F#4が「0」から「1」に切り換わり、全
気筒燃料カットが指示される。これを受けて、燃料噴射
制御ルーチンにより、全ての気筒#1〜#4の燃料噴射
パルスTiが0にセットされるため、全気筒燃料カット
が開始される。
【0038】ステップ25において燃料カット実行フラ
グFCUTが一旦「1」にセットされると、ステップ2
4の判定結果が否定から肯定へと変わるため、ステップ
25,26の処理をスキップしてルーチンを抜ける。し
たがって、エンジン回転数Neが第1のエンジン回転数
Ne1よりも高い回転数領域では、ステップ23,24
における肯定判定が繰り返されるため、全気筒燃料カッ
トが継続される。その結果、エンジン回転数Neはアイ
ドル回転数へ向けて低下していく。
【0039】やがて、エンジン回転数Neが第1のエン
ジン回転数Ne1に到達すると、ステップ23の判定結
果が肯定から否定へ変わるため、ステップ27に進む。
ステップ27では、エンジン回転数Neが予め設定され
た第2のエンジン回転数Ne2よりも高いか否かが判断
される。この第2のエンジン回転数Ne2は、一部気筒
燃料カットの実行を許可する下限側の許容回転数であ
り、第1のエンジン回転数Ne1より低いことを条件と
して、1000〜1100[rpm]の範囲内で適切な値に設定する
ことが好ましい(一例としてNe2=1050[rpm])。
【0040】エンジン回転数Neが第2のエンジン回転
数Ne2よりも高い回転数領域(Ne1≧Ne>Ne2)
では、ステップ27の肯定判定よりステップ28に進
み、燃料カット実行フラグFCUTが「1」であるか否
かが判断される。この場合、燃料カット実行フラグFC
UTは、アクセル全閉時点t0において既に「1」にセ
ットされている。したがって、ステップ28で肯定判定
より、ステップ29,30をスキップしてルーチンを抜
ける。その結果、この回転数領域では、燃料カットフラ
グF#1〜F#4は「1」のままなので、全気筒燃料カット
が継続され、エンジン回転数Neは更に低下していく。
【0041】やがて、エンジン回転数Neが第2のエン
ジン回転数Ne2に到達すると、ステップ27の判定結
果が肯定から否定へ変わるため、ステップ31に進む。
ステップ31では、エンジン回転数Neが予め設定され
た第3のエンジン回転数Ne3よりも高いか否かが判断
される。この第3のエンジン回転数Ne3は、気筒#
1,#2に関する燃料カットからの復帰回転数であり、
第2のエンジン回転数Ne2よりも低いことを条件とし
て、950〜1050[rpm]の範囲内で適切な値に設定すること
が好ましい(一例としてNe3=1000[rpm])。
【0042】エンジン回転数Neが第3のエンジン回転
数Ne3よりも高い回転数領域(Ne2≧Ne>Ne3)
では、ステップ31の肯定判定よりルーチンを抜ける。
したがって、この回転数領域では、燃料カットフラグF
#1〜F#4は「1」のままなので、全気筒燃料カットが継
続され、エンジン回転数Neは更に低下していく。
【0043】そして、t1の時点において、エンジン回
転数Neが第3のエンジン回転数Ne3に到達すると、
ステップ31の判定結果が肯定から否定へ変わるため、
ステップ32に進む。ステップ32では、エンジン回転
数Neが予め設定された第4のエンジン回転数Ne4よ
りも高いか否かが判断される。この第4のエンジン回転
数Ne4は、気筒#3,#4に関する燃料カットからの
復帰回転数であり、第3のエンジン回転数Ne3よりも
低いことを条件として、800〜900[rpm]の範囲内で適切
な値に設定することが好ましい(一例としてNe4=850
[rpm])。
【0044】t1では、エンジン回転数Neが第4のエ
ンジン回転数Ne4よりも高いため、ステップ32の肯
定判定を経てステップ33に進み、気筒#1,#2に関
する燃料カットフラグF#1,F#2が「1」から「0」に
リセットされる。その結果、t1の時点において、気筒
#1,#2の燃料カットが終了し、気筒#1,#2につ
いては通常の燃料噴射制御が再開される。ただし、気筒
#3,#4の燃料カットは継続されるため、エンジン回
転数Neは更に低下していく。
【0045】そして、t2の時点において、エンジン回
転数Neが第4のエンジン回転数Ne4に到達すると、
ステップ32の判定結果が肯定から否定へ変わる。した
がって、気筒#3,#4に関する燃料カットフラグF#
3,F#4が「1」から「0」にリセットされると共に
(ステップ34)、燃料カット実行フラグFCUTも
「0」にリセットされる(ステップ35)。その結果、
気筒#3,#4の燃料カットが終了し、全ての気筒の燃
料カットが終了する。
【0046】(一部気筒燃料カット)図7は、一部気筒
燃料カット時のタイムチャートである。t0の時点にお
いて、踏み込まれていたアクセルペダル18が開放され
ると、ステップ22の判定結果が否定から肯定に変わる
ため、ステップ23に進む。図7に示したように、この
アクセル全閉時点t0において、エンジン回転数Neが
第1のエンジン回転数Ne1以下で第2のエンジン回転
数Ne2よりも高い場合、ステップ23,27の判定結
果より、ステップ28に進む。ステップ28では、燃料
カット実行フラグFCUTが「1」であるか否かが判断
される。t0直前において、この実行フラグFCUTは
「0」である。したがって、t0直後の実行サイクルで
は、ステップ28での否定判定よりステップ29に進
み、燃料カット実行フラグFCUTが「0」から「1」
に切り換わる。
【0047】そして、ステップ30において、気筒#
3,#4に関する燃料カットフラグF#3,F#4のみが
「0」から「1」に切り換わる(F#1,F#2は「0」の
ままである)。これを受けて、燃料噴射制御ルーチンに
より、気筒#3,#4の燃料噴射パルスTiが0にセッ
トされ、一部気筒燃料カットが開始される。
【0048】一部燃料カット時において、燃料カットの
対象気筒を気筒#3,#4とした理由は、これらが排気
還流通路16の導出口が設けられていない気筒だからで
ある。仮に、排気還流通路16の導出口が設けられた気
筒#1,#2を燃料カット対象とした場合、この気筒#
1,#2から排出された多量の空気が排気循環通路16
を流れて吸気系に戻される。この戻された空気量は、吸
入空気量センサ20では検出不可能なため、空燃比制御
における外乱要因となる。この外乱の影響により、成層
燃焼を行っている気筒の燃焼性の悪化を招く可能性があ
るほか、成層燃焼におけるリーン側可燃限界を超えた場
合には失火を招くおそれがある。かかる不都合を回避す
るために、燃料カット対象は、排気循環通路16の導出
口が設けられていない気筒#3,#4にすることが好ま
しい。
【0049】また、エンジン1の排気通路にはNOx吸
蔵型三元触媒コンバータ14が設けられているため、一
部気筒燃料カット時におけるエミッションの悪化を防止
することができる。すなわち、一部気筒燃料カット時に
おいて、燃料カットの対象気筒である気筒#3,#4か
ら多量の酸素が排出される。その結果、三元触媒コンバ
ータ13よりNOxが放出されるが、このNOxはリーン
環境下においてNOx吸蔵型三元触媒コンバータ14に
より有効に吸蔵される。なお、NOx吸蔵型三元触媒の
代わりに、選択還元型NOx触媒を用いた場合も同様の
理由で、エミッションの悪化を防止することができる。
【0050】ステップ29において燃料カット実行フラ
グFCUTが一旦「1」にセットされた後は、ステップ
28の判定結果が否定から肯定へと変わるため、ステッ
プ29,30をスキップしてルーチンを抜ける。したが
って、エンジン回転数Neが第2のエンジン回転数Ne
2よりも高い回転数領域では、ステップ27,28の肯
定判定が繰り返されるため、一部気筒燃料カットが継続
される。その結果、エンジン回転数Neはアイドル回転
数へ向けて低下していく。
【0051】やがて、エンジン回転数Neが第2のエン
ジン回転数Ne2に到達すると、ステップ27の判定結
果が肯定から否定へ変わるため、ステップ31に進む。
ステップ31では、エンジン回転数Neが予め設定され
た第3のエンジン回転数Ne3よりも高いか否かが判断
される。エンジン回転数Neが第3のエンジン回転数N
e3よりも高い回転数領域(Ne2≧Ne>Ne3)で
は、ステップ31の肯定判定よりルーチンを抜ける。し
たがって、この回転数領域では、燃料カットフラグF#
3,F#4は「1」のままなので、一部気筒燃料カットが
継続され、エンジン回転数Neは更に低下していく。
【0052】エンジン回転数Neが第3のエンジン回転
数Ne3に到達すると(Ne3≧Ne>Ne4)、ステッ
プ31,32よりステップ33に進み、気筒#1,#2
に関する燃料カットフラグF#1,F#2が「0」に設定さ
れる。しかしながら、一部気筒燃料カットの場合、フラ
グF#1,F#2はもともと「0」なので、フラグ内容の変
更は生じない。
【0053】そして、t3の時点において、エンジン回
転数Neが第4のエンジン回転数Ne4に到達すると、
ステップ32の判定結果が肯定から否定へ変わる。した
がって、気筒#3,#4に関する燃料カットフラグF#
3,F#4が「1」から「0」にリセットされると共に
(ステップ34)、燃料カット実行フラグFCUTも
「0」にリセットされる(ステップ35)。その結果、
気筒#3,#4の燃料カットが終了し、一部気筒燃料カ
ットが終了する。
【0054】このように本実施形態においては、燃料カ
ットの開始・終了に関する判定値として4つのエンジン
回転数Ne1〜Ne4(Ne1>Ne2>Ne3>Ne4)を
設定している。具体的には、エンジン回転数Neが第1
のエンジン回転数Ne1よりも高い走行状態でアクセル
全閉になった場合には、全ての気筒#1〜#4を対象に
した全気筒燃料カットを実行する。また、エンジン回転
数Neが第1のエンジン回転数Ne1以下で第2のエン
ジン回転数Ne2よりも高い走行状態でアクセル全閉に
なった場合には、一部の気筒#3,#4のみを対象とし
た一部気筒燃料カットを実行する。上述したように、一
部気筒燃料カットにおいては、気筒#1,#2の燃焼が
継続されるため、全気筒燃料カットと比べて、トルクシ
ョックが少ない上に失火が生じ難く、制御性にも優れて
いる。このような一部気筒燃料カットを行う回転数領域
(Ne1〜Ne2)を、全気筒燃料カットが困難である第
1のエンジン回転数Ne1以下の回転数領域に設定する
ことにより、燃料カットの実行可能領域を低回転数側に
拡大できる。その結果、全気筒および一部気筒の双方を
含む燃料カットの実行頻度が増大するため、ドライバビ
リティの悪化防止と燃費向上との両立を図ることができ
る。
【0055】特に、エンジン回転数Neが1000[rpm]か
ら1300[rpm]までは、街中走行では使用頻度の高い回転
数領域である。したがって、この回転数領域でアクセル
全閉になった場合に一部燃料カットを行うことで、燃料
カットの実行頻度を著しく増大できるため、燃費向上の
実効性を高めることが可能となる。
【0056】また、全気筒燃料カットが開始された場
合、エンジン回転数Neが第3のエンジン回転数Ne3
に到達したときに気筒#1,#2の燃料カットを終了す
る。そして、エンジン回転数Neが第4のエンジン回転
数Ne4に到達したときに気筒#3,#4の燃料カット
を終了する。これにより、燃料カットから燃料噴射への
復帰タイミングが気筒グループ#1,#2と気筒グルー
プ#3,#4とでずれるため、トルクショックが分散さ
れ、ドライバビリティの更なる向上を図ることができ
る。また、一部気筒燃料カットが開始された場合、エン
ジン回転数Neが第4のエンジン回転数Ne4に到達し
たときに、気筒#3,#4の燃料カットを終了する。そ
の際、燃料カットを行わない気筒#1,#2については
燃料噴射が継続されているため、燃料噴射再開時におけ
るトルクショックの発生やエンストの発生等を有効に防
止することができる。
【0057】また、低負荷低回転数領域において成層燃
焼を行う筒内噴射エンジンは、均一混合燃焼のみを行う
吸気系燃料噴射エンジンと比べて、アイドル回転数が低
く設定される。したがって、特に、本発明を筒内噴射エ
ンジンに適用する場合、エンスト等を招くことなく、燃
料カットの復帰回転数に相当するエンジン回転数Ne
3,Ne4を低回転数側に設定することができる。その結
果、Ne3,Ne4を低回転数側に設定した分だけ燃料カ
ット時間を長く確保することができるため、燃費の一層
の向上を図ることが可能となる。
【0058】なお、本発明は、上述した実施形態に限定
されるものではなく、以下に述べる第2から第5の実施
形態を含む様々な形態に適用することが可能である。な
お、各実施形態の基本的な構成・制御方法は第1の実施
形態と同様であるから、システム構成や各制御ルーチン
の詳細な手順等に関しては第1の実施形態の説明を参照
されたい。
【0059】(第2の実施形態)図8は、第2の実施形
態における全気筒燃料カット時のタイムチャートであ
る。本形態が第1の実施形態と相違する点は、燃料カッ
トの開始タイミングについて、気筒#1,#2と気筒#
3,#4とをずらしている点である。具体的には、全気
筒燃料カットを行う場合、アクセル全閉になった時点t
0から、ECU12中のカウンタにより遅延時間のカウ
ントを開始する。そして、第1の所定時間Delay1が経過
した時点で、燃料カットフラグF#3,F#4を「0」から
「1」に切り換えて、気筒#3,#4の燃料カットを開
始する。そして、第2の所定時間Delay2が経過した時点
で、燃料カットフラグF#1,F#2を「0」から「1」に
切り換えて、気筒#1,#2の燃料カットを開始する。
【0060】本実施形態によれば、第1の実施形態と同
様の作用・効果を奏する。それとともに、気筒群#1,
#2と気筒群#3,#4とで燃料カットの開始タイミン
グがずれているので、それに伴う気筒毎のトルク変動が
分散される。その結果、トルクショックが緩和されるた
め、ドライバビリティの一層の向上を図ることができ
る。
【0061】(第3の実施形態)第1の実施形態で説明
した一部気筒燃料カットの実行条件(下記の(1)〜(3)の
条件)に加えて、条件(4)を具備する場合に、一部燃料
カットを許可する。 [一部気筒燃料カットの実行条件] (1) υ≧υth (2) アイドルスイッチがオン (3) Ne1≧Ne>Ne2 (4) 成層燃焼を実施中
【0062】本実施形態でも、第1の実施形態と同様の
作用・効果を奏する。それとともに、成層燃焼を条件と
して一部気筒燃料カットが許可されるため、エンジン回
転数が第4のエンジン回転数Ne4よりも低下した場合
においても、燃料噴射量の増量だけでトルク増加が可能
となる。したがって、エンストの発生等を含むドライバ
ビリティの悪化を有効に防止することができる。
【0063】(第4の実施形態)第1の実施形態で説明
した全気筒燃料カットを、自動変速機がロックアップ状
態にあることを条件に実施する。これに対して、一部気
筒燃料カットは、自動変速機のロックアップ状態に拘わ
らず実施される。上述したように、ECU12は、自動
変速機を制御するTCU19と双方向通信を行っている
ため、ロックアップクラッチの現在の係合状態をECU
12側で認識することができる。図9に示すように、ロ
ックアップクラッチは、自動変速機の出力軸回転速度
(車速υ)とスロットル開度θtとに基づいて特定され
る。自動変速機がロックアップしていない状態では、ア
クセル全閉によりエンジン回転数が急激に低下するた
め、短時間の燃料カットしか行われない。そこで、この
ような場合には、全気筒燃料カットを禁止して一部気筒
燃料カットを許可することにより、トルクショックの発
生を防ぎ、ドライバビリティの更なる向上を図ることが
できる。
【0064】(第5の実施形態)第1の実施形態で説明
した全気筒燃料カットは、アクセル全閉後、このアクセ
ル全閉期間中において1回のみ許可する。高回転数領域
において燃料カット(全気筒燃料カット)が発生した場
合、自動変速機が非ロックアップ状態にあると、エンジ
ン回転数Neは急激に減少する。その際、図10に示す
ように、エンジン回転数Neのアンダーシュートが生じ
ることがある。このアンダーシュートによりエンジン回
転数Neが第4の回転数Ne4を下回った場合には燃料
カットが終了する。そして、その後、エンジン回転数N
eが急激に上昇して第1のエンジン回転数Ne1を越え
ると再度燃料カットが実行されてしまい、制御ハンチン
グが発生する。そこで、全気筒燃料カットは、アクセル
全閉後、このアクセル全閉期間中において1回だけ許可
するという条件を付加すれば、燃料カットと燃料噴射と
が繰り返される制御ハンチングを有効に防止することが
できる。
【0065】
【発明の効果】このように、本発明によれば、全気筒燃
料カットを許可する許容回転数(Ne1)以下の領域
に、トルクショックの少ない一部気筒燃料カットを許可
する回転数領域(Ne1≧Ne>Ne2)を設定してい
る。これにより、全気筒および一部気筒の双方を含む燃
料カットの実行頻度が増大するため、燃費の向上を図る
ことができる。また、ドライバがトルクショックを体感
し易い低回転数領域(Ne2≧Ne>Ne4)では、一部
気筒の燃料カットに留めることにより、トルクショック
を低減して、ドライバビリティの向上を図ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】多気筒エンジンの全体構成図
【図2】燃焼形態領域の説明図
【図3】燃料噴射時期・点火時期・スロットル開度設定
ルーチンのフローチャート
【図4】燃料噴射制御ルーチンのフローチャート
【図5】燃料カット判定ルーチンのフローチャート
【図6】全気筒燃料カット時のタイムチャート
【図7】一部気筒燃料カット時のタイムチャート
【図8】第2の実施形態における全気筒燃料カット時の
タイムチャート
【図9】ロックアップクラッチの係合状態の説明図
【図10】エンジン回転数のアンダーシュートの説明図
【符号の説明】
1 エンジン、 5 エギゾーストマニホールド、 7 インジェクタ、 9 エアチャンバ、 12 エンジン制御装置(ECU)、 13 三元触媒コンバータ、 14 NOx吸蔵型三元触媒コンバータ、 16 排気還流通路、 17 排気再循環バルブ(EGRバルブ)、 18 アクセルペダル、 19 変速機制御装置(TCU)、 20 吸入空気量センサ、 21 スロットル開度センサ、 22 アクセル開度センサ、 23 エンジン回転数センサ、 24 空燃比センサ、 25 車速センサ、 26 アイドルスイッチ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F02D 17/02 F02D 17/02 S V 29/00 29/00 G 29/02 341 29/02 341 F02M 25/07 550 F02M 25/07 550G 550R 570 570A Fターム(参考) 3G062 AA04 AA07 BA04 BA05 BA06 EA11 FA08 GA04 GA05 GA06 GA15 GA17 GA25 GA26 GA30 3G091 AA02 AA11 AA17 AA23 AA24 AA28 AA29 AB03 AB05 AB06 BA00 BA14 BA15 BA19 CA13 CB02 CB03 CB05 CB06 CB07 CB08 CB09 DA01 DA02 DB10 DC01 EA01 EA05 EA07 EA26 EA34 EA39 FA05 FA07 FA09 FA11 FA12 HA03 HA08 HA36 HB05 3G092 AA01 AA06 AA09 AA14 AA15 BA07 BB06 BB10 CA04 CA08 CA09 CB05 DE03S DG08 DG09 EA09 EA17 FA04 FA05 FA17 GA05 GA13 GA17 HA01Z HA06Z HE01Z HF08Z HF10Z HF11Z HF15Z HF21Z 3G093 AB00 BA02 BA20 CA06 CA10 CB07 DA01 DA06 DA09 DB01 DB05 EA04 EA05 EA08 EC02 FB02 3G301 HA01 HA04 HA07 HA08 HA13 HA16 JA04 JA06 JA25 KA08 KA16 KA24 KA26 LB04 LC03 LC04 MA01 MA19 MA24 NE23 PA01Z PA11Z PD04A PD04Z PE01Z PF01Z PF03Z PF06Z PF08Z

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アクセル全閉の走行状態で燃料カットを実
    行する多気筒エンジンの制御装置において、 エンジン回転数が第1のエンジン回転数よりも高い走行
    状態でアクセル全閉になった場合、全ての気筒を対象と
    した燃料カットである全気筒燃料カットを開始し、 エンジン回転数が第1のエンジン回転数以下で第2のエ
    ンジン回転数よりも高い走行状態でアクセル全閉になっ
    た場合、一部の気筒を対象にした燃料カットである一部
    気筒燃料カットを開始することを特徴とする多気筒エン
    ジンの制御装置。
  2. 【請求項2】前記全気筒燃料カットが開始された場合、
    エンジン回転数が第1のエンジン回転数よりも低い第3
    のエンジン回転数に到達したときに一部の気筒の燃料カ
    ットを終了すると共に、エンジン回転数が第3のエンジ
    ン回転数よりも低い第4のエンジン回転数に到達したと
    きに残りの気筒の燃料カットを終了し、 前記一部気筒燃料カットが開始された場合、エンジン回
    転数が第4のエンジン回転数に到達したときに、前記一
    部気筒燃料カットを終了することを特徴とする請求項1
    に記載された多気筒エンジンの制御装置。
  3. 【請求項3】アクセル全閉の走行状態で燃料カットを実
    行すると共に、低負荷低回転数領域において成層燃焼を
    行う多気筒エンジンの制御装置において、 エンジン回転数が第1のエンジン回転数よりも高い走行
    状態でアクセル全閉になった場合、全気筒を対象にした
    燃料カットである全気筒燃料カットを開始し、エンジン
    回転数が第1のエンジン回転数よりも低い第3のエンジ
    ン回転数に到達したときに一部の気筒の燃料カットを終
    了すると共に、エンジン回転数が第3のエンジン回転数
    よりも低い第4のエンジン回転数に到達したときに残り
    の気筒の燃料カットを終了し、 エンジン回転数が第1のエンジン回転数以下で第2のエ
    ンジン回転数よりも高い走行状態でアクセル全閉になっ
    た場合、一部気筒を対象とした燃料カットである一部気
    筒燃料カットを開始すると共に、エンジン回転数が第3
    のエンジン回転数よりも低い第4のエンジン回転数に到
    達したときに前記一部気筒燃料カットを終了することを
    特徴とする多気筒エンジンの制御装置。
  4. 【請求項4】前記全気筒燃料カットを行う場合、アクセ
    ル全閉になった時点から第1の所定時間が経過した時点
    で一部の気筒の燃料カットを開始し、アクセル全閉にな
    った時点から第2の所定時間が経過した時点で残りの気
    筒の燃料カットを開始することを特徴とする請求項3に
    記載された多気筒エンジンの制御装置。
  5. 【請求項5】前記多気筒エンジンの排気通路には、NO
    x吸蔵型三元触媒または選択還元型NOx触媒を有する触
    媒コンバータが設けられていることを特徴とする請求項
    3に記載された多気筒エンジンの制御装置。
  6. 【請求項6】前記一部気筒燃料カットは、成層燃焼が実
    施されている場合に許可されることを特徴とする請求項
    3に記載された多気筒エンジンの制御装置。
  7. 【請求項7】前記多気筒エンジンは、排気系から吸気系
    へ排気ガスを還流させる排気還流通路を有し、 前記一部気筒燃料カットは、排気還流通路の導出口が設
    けられていない気筒に関して実行されることを特徴とす
    る請求項6に記載された多気筒エンジンの制御装置。
  8. 【請求項8】前記全気筒燃料カットは、自動変速機がロ
    ックアップ状態にある場合に実施され、 前記一部気筒燃料カットは、自動変速機のロックアップ
    状態に拘わらず実施されることを特徴とする請求項3に
    記載された多気筒エンジンの制御装置。
  9. 【請求項9】前記全気筒燃料カットは、アクセル全閉
    後、当該アクセル全閉期間中において1回のみ許可され
    ることを特徴とする請求項3に記載された多気筒エンジ
    ンの制御装置。
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Cited By (3)

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002349304A (ja) * 2001-05-18 2002-12-04 Yamaha Motor Co Ltd 気筒数制御エンジン
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