JP2002106294A - 可撓性継手 - Google Patents

可撓性継手

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JP2002106294A JP2000302578A JP2000302578A JP2002106294A JP 2002106294 A JP2002106294 A JP 2002106294A JP 2000302578 A JP2000302578 A JP 2000302578A JP 2000302578 A JP2000302578 A JP 2000302578A JP 2002106294 A JP2002106294 A JP 2002106294A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生産性及び経済性を悪化させることなく、常
に十分な固定力及び止水力が得られる信頼性の高い可撓
性継手を提供する。 【解決手段】 隣接する筒状剛性部材間に使用される可
撓性継手であって、可撓性継手本体を構成する弾性部材
と、その押え金具と、締結具とからなり、弾性部材の両
端側における前記筒状剛性部材との取付部が、端部側に
向かって徐々に厚みが増す傾斜面を有し、押え金具が、
当該傾斜面内に配置されている可撓性継手であって、好
ましくは、押え金具を厚みに変化のない平板状のものと
する。 1‥弾性部材、1A‥傾斜面、1B‥突起、1C‥繊維
補強材、2‥押え金具、3‥締結具、4‥テーパーワッ
シャー、31‥筒状剛性部材、32‥鋼製枠体、33‥
アンカーボルト

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、地中や水中に埋設
されるボックスカルバートやシールドトンネル等の管体
に取り付けられ、隣接する管体間の各方向の相対変位を
許容しつつ止水機能を発揮する可撓性継手に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来から、筒状剛性部材であるボックス
カルバート等の管体同士の連結部において、地盤沈下や
地震等により発生する管体間の相対変位に追従し、か
つ、地下水等が構造物内に侵入し、若しくは流出するこ
とを防止するための可撓性継手が使用されている。
【0003】例えば、ボックスカルバート用の可撓性継
手として、図3に示すように、可撓性継手本体を構成す
る弾性部材11の両端を管体との取付部とし、両取付部
間を蛇腹状としたものが知られている。なお、可撓性継
手が取り付けられる管体はコンクリート製の筒状剛性部
材31であり、一般的には筒状剛性部材31の端部に断
面形状がL字状の鋼製枠体32が埋め込まれている。
【0004】そして、弾性部材11の両端における取付
部をそれぞれ隣接する筒状剛性部材31のL字状鋼製枠
体32に押え金具12を介して締結具(ナット)13で
水密に連結することにより、図3に示すような可撓性継
手が構成されるのである。即ち、ここにおける可撓性継
手は、弾性部材11によって筒状剛性部材31の各方向
への相対変位を許容しているのであり、また、地下水等
の水圧が作用すると、初め蛇腹状の弾性部材11が図3
の点線で示すように半円状に変形して止水機能を発揮す
るのである。
【0005】ここで、弾性部材11とL字状鋼製枠体3
2との固定力は、締結具(ナット)13によって発生す
る両者の摩擦力で決定され、止水機能は、取付部付近の
断面図である図4(A)に示すように、弾性部材11に
おけるL字状鋼製枠体32との接触部に設けられた凸帯
11Aにより発揮される。
【0006】一方、シールドトンネル等に使用するゴム
製可撓伸縮継手には、図4(B)に示すように、トンネ
ル用セグメントと接続される筒状剛性部材31との取付
部において、端部側が肉厚となされた弾性部材21及び
当該取付部形状に合致する押え金具22を使用した可撓
性継手もある。
【0007】この場合、弾性部材21と筒状剛性部材3
1との固定力及び止水力は、締結具(ナット)23によ
って発生する両者の摩擦力及び弾性部材21に形成され
た傾斜面21Aの存在により生じる引抜力の水平・垂直
方向の分力の総和で決定されることとなる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図4
(A)に示す可撓性継手では、固定力及び止水力が、弾
性部材11とL字状鋼製枠体32との接触部の仕上げ状
態や締結具(ナット)13の締付力、弾性部材11のク
リープ等によって影響を受け易く、性能が必ずしも一定
しない場合があることから、安全性を必要以上に大きく
見込んだ過剰設計としなければならなかった。
【0009】一方、図4(B)に示す可撓性継手ではこ
のような影響を回避することができるものの、押え金具
22を弾性部材21の取付部形状に合わせて製作しなけ
ればならず、生産性及び経済性が悪いという問題があっ
た。また、弾性部材21に引抜力が加わると傾斜面21
Aによって押え金具22が持ち上がり、傾斜面21Aに
近い部分の平坦面21Bで摩擦力が低下する懸念がある
ことから、やはり過剰設計となっていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、この
ような従来の可撓性継手を改良し、生産性及び経済性を
悪化させることなく、常に十分な固定力及び止水力が得
られる信頼性の高い可撓性継手を提供することを目的と
するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、以上の課題を
解決するためになされたものであって、その要旨は、可
撓性継手本体を構成する弾性部材の両端側における筒状
剛性部材との取付部が端部側に向かって徐々に厚みが増
す傾斜面を有し、押え金具が当該傾斜面内に配置されて
いる可撓性継手に係るものである。そして好ましくは、
押え金具を厚みの変化のない平板状としたものである。
【0012】ここで、弾性部材は押え金具を介して、締
結具によって筒状剛性部材に取り付けられるが、押え金
具と締結具とは面接触していることが好ましい。このよ
うにするには、例えば、押え金具と締結具との間にテー
パーワッシャーを介在させて押え金具と締結具との接触
面の傾斜を補正すればよい。また、押え金具における締
結具との接触面に切り込みを設けることにより、接触面
の傾斜を補正することもできる。
【0013】なお、押え金具の外側で、弾性部材に突起
を設けておくことがより一層好ましい。押え金具のスト
ッパーとなり、また、押え金具取り付け時のガイドとな
るからである。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の可撓性継手は、少なくと
も継手本体を構成する弾性部材と、その押え金具と、締
結具とからなる。この弾性部材としては、例えば、ゴム
板又はゴムに補強繊維を埋設した板状体が好適に使用で
きる。また、押え金具にはメッキ鋼板やステンレス板等
が好適に使用でき、締結具には通常、ボルト・ナットを
使用するが、これらに限定されるものではない。
【0015】即ち、従来のものと同様、筒状剛性部材で
あるボックスカルバート等の管体同士の連結部におい
て、平板状の弾性部材を略Ω状や蛇腹状に折り曲げる
か、当初から弾性部材を略Ω状や蛇腹状に成形してお
き、押え金具を介して締結具で筒状剛性部材に取り付け
るのである。従って、地殻変動等による管体間の相対変
位の発生を許容することができ、弾性部材と筒状剛性部
材との密着面において止水性を有することとなる。
【0016】本発明の可撓性継手に特徴的な点は、弾性
部材の両端側における筒状剛性部材との取付部が、端部
側に向かって徐々に厚みが増す傾斜面を有していること
にある。そして、押え金具はその傾斜面内に配置される
のである。ここで傾斜面を設けるのは、押え金具に対し
くさび効果を持たせて引き抜き難くするためである。即
ち、図4(A)に示した従来の可撓性継手のような摩擦
による固定力だけでなく、押え金具との接触面を傾斜さ
せたことに伴って生じる引き抜き抵抗を利用することに
より、締結具の緩みや弾性部材のクリープ等が発生した
場合であっても引き抜き難くし、頼性をより一層向上さ
せたものである。
【0017】また、本発明では押え金具を傾斜面内に配
置していることから、押え金具の形状が極めて単純なも
のとなり、生産性及び経済性に優れたものとなってい
る。即ち、図4(B)に示した従来の押え金具は、傾斜
面と平坦面とで構成された断面形状であることから形状
が複雑なだけでなく、傾斜面によって水平移動が拘束さ
れてしまうことから締結ボルトの貫通孔の位置を正確に
設けておく必要がある。従って、押え金具の製造コスト
が非常に高くなってしまう。
【0018】一方、本発明のように弾性部材の傾斜面の
みに押え金具を配置すれば、傾斜面と平坦面のような不
連続部がなくなって、押え金具が単なる板状体でよくな
るだけでなく、傾斜面を滑らせることにより、ボルト貫
通孔の位置合わせが容易にできるのである。そして特
に、厚みに変化のない平板状のものとすれば、特別の加
工をしない安価な材料を用いて押え金具とすることがで
きる。
【0019】但し、締結具に曲げ応力が発生しないよう
に、押え金具と締結具とを面接触させることが好まし
い。そのためには、例えば、押え金具の形状を弾性部材
とは逆に、端部側に向かって徐々に厚みが減る傾斜面を
有するものとしたり、肉厚を変化させない場合には、押
え金具と締結具との間にテーパーワッシャーを介在させ
たり、押え金具における締結具との接触面に切り込みを
設けて、押え金具と締結具との接触面の傾斜を補正すれ
ばよい。
【0020】なお、弾性部材の傾斜面の角度は特に限定
されるものではないが、好ましくは5°から20°であ
る。5°未満であるとくさび効果が十分発揮できない場
合があり、20°を越えると押え金具と締結具との接触
面の傾斜補正が難しくなるからである。
【0021】また、押え金具の外側で、弾性部材に突起
を設ければ、突起が障害となって弾性部材が一層引き抜
き難くなる。突起は特に、弾性部材の傾斜面の角度が比
較的小さい場合に有効なものとなる。なお、突起の高さ
は特に限定されるものではないが、押え金具との十分な
引っ掛かりを考慮すれば、5mm以上としておくことが
好ましい。
【0022】このような本発明の可撓性継手は、ボック
スカルバートやシールドトンネル等の地下水位以下で掘
削されるトンネルの継手部分や、建築物の地下部分にお
いて地下水位となる継手部分、更には、水路や貯水池、
タンク等の液体が内部に存在する土木建築構造物の継手
部分等に幅広く使用できるものであり、角型であるか円
型であるかにかかわらず、あらゆる用途において、経済
的で信頼性の非常に高い可撓性継手となる。
【0023】なお、ボックスカルバート等の用途におい
ては、筒状剛性部材が鉄筋コンクリート等の単体のもの
にも、筒状剛性部材の端部に鋼製枠体を埋め込んだもの
にも適用できる。ここで後者の場合、二つの鋼製枠体に
それぞれ可撓性継手の取付部を予め固定しておくこと
で、鋼製枠体の製造と同時に隣接する鋼製枠体の相互を
可撓性継手によって所期通り連結することができ、筒状
剛性部材の製造後に可撓性継手を別途取り付けるといっ
たことが不要になる。従って、その取り付け作業のため
に筒状剛性部材の連結部近辺で地面の掘削等を行う必要
がなくなり、可撓性継手を所定の周長のエンドレス構造
とすることができるので、現場施工による継ぎ目が発生
することがなく止水性能の信頼性が一層向上する。
【0024】一方、シールドトンネル等の用途において
は、一般セグメントに接続される一組の筒状剛性部材の
間に弾性部材を取り付け、両端フランジの管状可撓性継
手として、シールドトンネル等の継ぎ目に組み込まれ
る。
【0025】
【実施例】以下、本発明の好ましい実施の形態を図面に
より説明する。図1は、本発明の可撓性継手を示す斜視
図である。ここで、筒状剛性部材31は鉄筋コンクリー
トの端部に鋼製枠体32をアンカーボルト33で埋め込
んだボックスカルバートである。また、可撓性継手本体
となる弾性部材1は、厚さ10mmのゴム板であり、そ
の内部には、ナイロン繊維又はポリエステル繊維からな
る厚さ0.7mmから1.0mmの繊維補強材1Cが挿
入されて強度部材とされている。
【0026】そして、弾性部材1の両端は筒状剛性部材
31における鋼製枠体32との水密取付部となってお
り、ここにアンカーボルト33の貫通孔が設けられてい
る。また、弾性部材1と押え金具2とが密着するよう
に、押え金具2は弾性部材1との接触面が平坦となって
おり、テーパーワッシャー4まで貫通したアンカーボル
ト33に締結具(ナット)3を締め込むことによって、
弾性部材1を鋼製枠体32に圧着している。
【0027】なお、弾性部材1の外形は、図1に示すよ
うに略Ω状となっており、地殻変動等によって隣接する
筒状剛性部材31間に相対変位が生じても、その変位を
十分許容することができる。但し、弾性部材1の外形の
初期状態は蛇腹状のものであってもよく、外形は製造時
の簡便さや取付作業性等を考慮して決定されるので、可
撓性や止水性に影響を及ぼすものではない。
【0028】図2は、本発明の可撓性継手を示す断面図
である。図2に示すように、弾性部材1の両端側におけ
る筒状剛性部材31との取付部は、端部側に向かって徐
々に厚みが増し、角度θ=5°の傾斜面1Aとなってい
る。そして、傾斜面1Aの先には突起1Bが設けられ、
高さH=5mmの段差が形成されている。
【0029】また、押え金具2は、弾性部材1の傾斜面
1A内に配置され、くさび効果が得られるようになって
いる。しかも、突起1Bの存在により、弾性部材1の固
定力が一層向上している。そして、押え金具2は、幅6
5mm、厚さ16mmで、単なるSS400(又はSU
S304若しくはSM490A)の平板であることか
ら、生産性及び経済性に優れたものとなっており、アン
カーボルト33との位置調整も傾斜面1Aに沿って横移
動させてやればよいので、極めて簡単に行える。
【0030】ここで、押え金具2による圧着力は、弾性
部材1と押え金具2を貫通し、筒状剛性部材31に埋設
されているアンカーボルト33の締付力によって得られ
る。即ち、弾性部材1と鋼製枠体32との接触面の摩擦
及びアンカーボルト33の軸力によって引き抜き抵抗が
発揮されるのである。
【0031】但し、このままの状態で締結具(ナット)
3を締め付けると、押え金具2の上面が傾斜しているこ
とから、アンカーボルト33に曲げ応力が発生してしま
う。そこで、押え金具2と締結具(ナット)3との接触
面の傾斜を補正して両者を面接触させ、アンカーボルト
33に曲げ応力が発生しないようにすると共に、アンカ
ーボルト33の締付力が弾性部材1の取付部に均等に作
用するようにすべく、図2(A)に示す例では、テーパ
ーワッシャー4を介在させている。
【0032】なお、図2(B)に示すように、押え金具
2に傾斜補正用の切り込み2Aを設けても、全く同様の
効果が得られる。
【0033】
【発明の効果】本発明の可撓性継手は、継手本体を構成
する弾性部材の両端側における筒状剛性部材との取付部
が端部側に向かって徐々に厚みが増す傾斜面を有し、押
え金具が当該傾斜面内に配置されているので、くさび効
果を有しつつ、押え金具の形状を極めて単純な板状とす
ることができ、生産性及び経済性に優れたものとなって
いる。しかも、傾斜面を滑らせて容易に押え金具の位置
合わせができる。
【0034】言い替えれば、生産性及び経済性を悪化さ
せることなく、摩擦力に加えて締結具の締付力も固定力
として作用させることにより、締結具の緩みや弾性部材
のクリープが発生した場合であっても十分な固定力及び
止水力が得られるようにしたものであって、信頼性の非
常に高い可撓性継手となっている。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の可撓性継手を示す斜視図であ
る。
【図2】図2は、本発明の可撓性継手を示す断面図であ
る。
【図3】図3は、従来の可撓性継手を示す断面図であ
る。
【図4】図4は、従来の可撓性継手の取付部付近を示す
断面図である。
【符号の説明】
1‥弾性部材 1A‥傾斜面 1B‥突起 1C‥繊維補強材 2‥押え金具 2A‥切り込み 3‥締結具 4‥テーパーワッシャー 11‥弾性部材 11A‥凸帯 12‥押え金具 13‥締結具 21‥弾性部材 21A‥傾斜面 21B‥平坦面 22‥押え金具 23‥締結具 31‥筒状剛性部材 32‥鋼製枠体 33‥アンカーボルト

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 隣接する筒状剛性部材間に使用される可
    撓性継手であって、可撓性継手本体を構成する弾性部材
    と、その押え金具と、締結具とからなり、弾性部材の両
    端側における前記筒状剛性部材との取付部が、端部側に
    向かって徐々に厚みが増す傾斜面を有し、押え金具が、
    当該傾斜面内に配置されていることを特徴とする可撓性
    継手。
  2. 【請求項2】 押え金具が、厚みに変化のない平板状の
    ものであることを特徴とする請求項1に記載の可撓性継
    手。
  3. 【請求項3】 押え金具と締結具とが、面接触するよう
    になされていることを特徴とする請求項1又は2に記載
    の可撓性継手。
  4. 【請求項4】 押え金具と締結具との間に、テーパーワ
    ッシャーを介在させることにより、押え金具と締結具と
    の接触面の傾斜が補正されていることを特徴とする請求
    項3に記載の可撓性継手。
  5. 【請求項5】 押え金具における締結具との接触面に、
    切り込みを設けることにより、当該接触面の傾斜が補正
    されていることを特徴とする請求項3に記載の可撓性継
    手。
  6. 【請求項6】 押え金具の外側で、弾性部材に突起が設
    けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれ
    か1項に記載の可撓性継手。
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