JP7034470B2 - 可撓止水部材の固定構造 - Google Patents

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Description

本発明は、可撓止水部材の固定構造に関する。
各種構造物の目地部には、内外を止水するとともに、その両側の構造物の不等沈下や地震時変位並びに温度変化等に起因する壁部分の伸縮等を許容する必要があり、目地部を跨ぐ構造物間や目地部の内側にゴムや合成樹脂の止水板などの可撓止水部材が設けられる。
例えば、ボックスカルバートなどのコンクリート製の構造物における可撓止水部材の固定は、目地部の一方の構造物の表面や目地部の両側の構造物の表面の長手方向に沿ってアンカーボルトを植設しておき、可撓止水部材に形成しておいたボルト孔をアンカーボルトに差し込み、押え板を介してナットで締め付けることで行われていた。
また、可撓止水部材にボルト穴を形成せず、押え板を載せ、中間部をアンカーボルトに差し込んだ固定金具の一端部を押え板に当てて締め付けることで、可撓止水部材を固定できるようにしたものが開示されている(特許文献1参照)。
特開2014-222001号公報
従来の押え板を介して可撓止水部材を固定する構造では、可撓止水部材に加わる高水圧などによる止水性を確保するため可撓止水部材に加わる引張力に対応しようとすると、アンカーボルトによる締め付け力を増大することが考えられる。
ところが、アンカーボルトにより締め付け力を増大するためには、押え板の強度を確保する必要があり、押え板を厚くすると、アンカーボルトの長さを変更したり、太くする必要や本数を増加する必要があり、簡単に高水圧などに対応する止水性を確保することができない。特に、既設の可撓止水部材を交換する場合には、アンカーボルトの仕様変更は、一層煩雑で工期の増大を招いてしまう。
このため高水圧などに対する十分な止水性の確保ができる可撓止水部材の固定構造の開発が望まれている。
本発明は、かかる従来技術に鑑みてなされたものであって、高水圧などに対する十分な止水性を確保することができる可撓止水部材の固定構造を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の可撓止水部材の固定構造は、
変位を許容する伸縮部と、前記伸縮部に延設され端縁部に設けられた固定用の碇着部と、を備える可撓止水部材を、前記碇着部に当てる押え部材を介して構造物の目地部に固定する可撓止水部材の固定構造であって、
前記押え部材は、前記碇着部に接触させる表面全体摩擦係数を高める摩擦増大部が設けられ
前記摩擦増大部は、前記表面に形成される合成樹脂被膜と、前記合成樹脂被膜上に設けられ一部が露出して埋設される無機質粒体と、で構成され、前記目地部に固定する軸力を大きくすることなく前記碇着部の引き抜き方向の抵抗力を高めて固定されている
ことを特徴とする。
前記摩擦増大部は、前記表面全体に形成され摩擦係数を高める凹凸部を備える粗面加工部で構成され、
前記粗面加工部は、前記表面に形成される合成樹脂被膜と、前記合成樹脂被膜上に設けられ一部が露出して埋設される無機質粒体と、で構成され、前記目地部に固定する軸力を大きくすることなく前記碇着部の引き抜き方向の抵抗力を高めて固定されている、ことが好ましい。
前記押え部材の前記摩擦増大部は、前記可撓止水部材の変位・変形により前記押え部材に接触する表面を含む、ことが好ましい。
前記押え部材は、前記碇着部と接触する前記押え部材の前記表面に前記碇着部に押し込まれて面圧を高める面圧部材が設けられ、
前記面圧部材の表面に前記摩擦増大部が設けられる、ことが好ましい。
前記摩擦増大部は、前記表面に形成される合成樹脂被膜の厚さが200~1000μmとされ
前記合成樹脂被膜上に設けられ一部が露出して埋設される無機質粒体が前記合成樹脂被膜の厚さの1/6~7倍とされて構成される、ことが好ましい。
前記押え部材は、アンカーボルトの挿通孔を備え、前記挿通孔には、前記碇着部を貫通する前記アンカーボルトが挿通されて前記構造物に固定されている、ことが好ましい。
前記押え部材は、アンカーボルトの挿通孔を備え、前記挿通孔には、前記碇着部の端縁部の外側に配置された前記アンカーボルトが挿通され、前記碇着部の前記端縁部の内側を押さえて前記構造物に固定されている、ことが好ましい。
前記押え部材は、前記碇着部の端縁部の外側に配置されたアンカーボルトで締め付けられる固定部材の一端部が当てられて前記構造物に固定されている、ことが好ましい。
前記固定構造は、前記構造物の表面に前記碇着部を接触させる枠板部材を備え、
前記枠板部材は、前記碇着部が接触する表面に摩擦増大部が設けられ、前記枠板部材の前記摩擦増大部に当接させた前記碇着部が前記押え部材により挟まれて前記構造物に固定されている、ことが好ましい。
本発明によれば、高水圧などに対する十分な止水性を確保することができる。
本発明の可撓止水部材の固定構造の一実施の形態の部分断面図、押え部材の部分斜視図および断面図である。 本発明の他の一実施の形態の部分断面図および一部分を抽出した断面図である。 本発明の一実施の形態の上方または下方に変位した状態の部分断面図および一部分を抽出した断面図である。 本発明の他の一実施の形態の部分断面図および一部分を抽出した断面図である。 本発明の一実施の形態に係り、それぞれが部分断面図である。 本発明の他の一実施の形態の押え部材の断面図である。 水圧試験装置の概略説明図である。 従来の可撓止水部材の固定構造の説明図および適用対象の構造物の概略斜視図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
本発明の可撓止水部材の固定構造10は、例えば図8(a)に示す従来の固定構造に代えて用いられるものであり、従来、コンクリート製の構造物1と隣接するコンクリート製の構造物2との目地部3の間に施工される可撓止水部材4は、構造物1に取り付けたアンカーボルト6に伸縮部4aを備える可撓止水部材4の碇着部4bのボルト孔を入れ、押え板7を介してナット8で締め付けることで固定されていた。
これに対し、本願の可撓止水部材の固定構造10は、図1に示すように、変位を許容する伸縮部21と、伸縮部21に延設され端縁部に設けられた固定用の碇着部22と、を備える可撓止水部材20を、碇着部22に当てる押え部材30を介して構造物1,2の目地部3に固定する可撓止水部材の固定構造10であって、押え部材30は、碇着部22に接触させる表面31に摩擦増大部32が設けられて構成される。
固定対象となる可撓止水部材20は、例えば、図1に示すように、ゴムや合成樹脂などの可撓性材料で短筒状に作成され、変位を許容する伸縮部21(図8の符号4a参照)と、伸縮部21に延設され端縁部に設けられた固定用の碇着部22(図8の符号4b参照)とを備えている。碇着部22には、アンカーボルト6を挿通するボルト孔(図示せず)が形成される。
可撓止水部材20は、必要な強度に応じて補強のための補強布(図示せず)が1層乃至複数層内層される。また、可撓止水部材20は、補強布を内層せずに、可撓止水部材20の施工の際に、外側を覆うように補強布を設置して用いられる場合もある。
変位を許容する伸縮部21は、例えば、図1に示したように、横断面形状が略コ字状に形成されて構成されたもの、図8に示した横断面形状が円弧状として1つの略Ω形状に形成されて構成されたもの、あるいは、図示しない複数の円弧状を連続させた略W字状に蛇行するよう構成したものなどが用いられる。また、図示省略したが、伸縮部21を中空体として形成し、中空部による変形代を確保して構成されたものなど、構造物1,2の不等沈下や地震時変位並びに温度変化等に起因する変位等を許容し、止水することができるものであれば、その形状は、何ら限定するものでない。また、構造物1,2は、図8に示したボックスカルバートに限らず、他の構造物であっても良く、例えば可撓矢板などの構造物に広く適用できるものである。
碇着部22は、構造物1の表面に設置して固定する部分であり、固定できる平坦な帯状や短筒状などであれば良く、その形状などは、伸縮部21と同様、特に限定するものでない。
碇着部22は、図1,2に示すように、アンカーボルト6を挿通するためのボルト孔(図示せず)が形成され、アンカーボルト6を挿通することで固定する。また、可撓止水部材20A、20Bでは、図3,4に示すように、碇着部22A,22Bにアンカーボルト6の挿通するためのボルト孔を形成せず、押え部材30Aを碇着部22Aの一部に当てることで固定したり、押え部材30Bを碇着部22Bの全面に当てることで固定するようにしたものであっても良い。
なお、可撓止水部材20Aでは、図3に示すように、碇着部22Aは、その外側端縁部が構造物1,2の表面(図3における水平面)から離れるように突き出してL字状に形成されており、構造物1,2の表面と直交する垂直面(図3における垂直面)に碇着部22Aを当てて固定するようになっている。碇着部22Aは、L字状の交差部分に押え部材30Aを係止する係止溝23Aが形成してある。
また、可撓止水部材20Bには、図4に示すように、碇着部22Bに押え部材30Bからの抜け出しに抵抗する凸条部23Bが端縁部の外側端に突き出すように一体に形成され、例えば、横断面形状が略円弧と矩形を組み合わせた形状に形成される。
凸条部23Bの形状は、横断面形状を略円弧と矩形を組み合わせた形状とする場合に限らず、図示省略したが、台形状や頂部が外側に突き出し底辺が端縁部22上に位置して一体に形成された三角形状などであっても良く、その形状は、何ら限定するものでなく、押え部材30Bからの抜け出しに抵抗できる形状であれば良い。
なお、これら可撓止水部材20A,20Bの具体的な固定構造については、後述する。
押え部材30は、金属材料で作成され、例えばSS400などの平鋼が用いられる。押え部材30は、例えば図1に示す固定構造10では、構造物1,2の内側に沿って複数個を環状に配置し、構造物1,2の形状に合わせて平鋼を平板状や曲面状などに成形して用いる。押え部材30は、図1(b)に示すように、アンカーボルト6を挿通するための挿通孔33が所定の間隔で複数形成されている。押え部材30は、可撓止水部材20の碇着部22に接触させる表面31に摩擦増大部32が設けられ、押え部材30と可撓性止水部材20の碇着部22との間の摩擦係数μを高めることで、摩擦抵抗、すなわち、可撓止水部材20に作用する水圧によって碇着部22を引き抜く方向に加わる引張力Tに対する抵抗力Rを増大する。
これまでは、可撓止水部材20の碇着部22を引き抜く方向に加わる引張力Tに対しては、アンカーボルト6を介して押え部材30を締め付ける軸力Pを増大して面圧を高めることで対処したり、押え部材30に丸棒を溶接して突き出すようにして碇着部22に接触する面積を小さくして部分的な面圧Pを高めることが行われている。
これに対し、この可撓止水部材の固定構造10では、アンカーボルト6を介して押え部材30を締め付ける軸力Pが一定であっても、押え部材30と可撓止水部材20の碇着部22との間の摩擦係数μを高めることで、可撓止水部材20に作用する碇着部22に対して引き抜く方向に加わる引張力Tに対する抵抗力Rを増大している。
すなわち、可撓止水部材20の碇着部22の引張力Tに対する抵抗力をRとし、押え部材30と可撓止水部材20の碇着部22との間の摩擦係数をμとし、軸力をPとすれば、抵抗力Rは、R=μ・Pで表すことができる。
これまでの手法は、引張力Tに対し、軸力Pを大きくすることで、大きな抵抗力Rを得ようとしていたのに対し、この可撓止水部材の固定構造10では、摩擦係数μを大きくすることで、大きな抵抗力Rを得るものである。
これにより、高水圧によって可撓止水部材20に引張力Tが作用しても抵抗Rが大きくなるような、R>Tの関係を保持する。
摩擦増大部32は、例えば図1(c)に上下を反転し、碇着部22に接触させる表面31を上にした押え部材30を示すように、合成樹脂被膜32aと、合成樹脂被膜32a上に設けられ一部が露出して埋設される無機質粒体32bとで構成される。
合成樹脂被膜32aは、例えば合成樹脂粉末を用いて溶融し、押え部材30の表面31をサンドブラストなどで粗面化した後に表面31に塗着することで形成することができる。合成樹脂被膜32aは、合成樹脂被膜32a上に設ける無機質粒体32bが露出した状態で埋設することができれば良く、特に限定するものでない。
合成樹脂被膜32aの厚さは、施工性や経済性を考慮して定められ、例えば200~1000μmの範囲とされ、好ましくは、300~400μmとされる。薄すぎると無機質粒体32bを保持することができなくなり、厚すぎると摩擦係数μの増大効果に限界があり、経済的でない。
押え部材30の表面31に塗着する合成樹脂被膜32aに用いる合成樹脂粉末としては、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ナイロン等のポリアミド樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、塩素化ポリエーテル等の熱可塑性プラスチック、さらに、不飽和ポリエステル樹脂やエポキシ樹脂、フッ素樹脂等の熱硬化性プラスチックを挙げることができる。
特に、可撓止水部材20の使用される環境を考慮すると、飽和ポリエステル樹脂被膜が好ましく、優れた防食性を確保することができる。
無機質粒体32bとしては、シリカ、砂、セラミック、アルミニウム、亜鉛、鉄などを挙げることができ、高硬度であって耐摩耗性に優れた材料が好ましい。
先にも挙げた通り、本発明の摩擦増大部32による摩擦力増大効果は無機質粒体32bが合成樹脂被膜32aの上に露出することによってもたらされるものであるから、無機質粒体32bについては、その粒径の範囲を、合成樹脂被膜32aの厚さに応じて調整する必要がある。つまり、可撓止水部材20の碇着部22に引き抜き力が加わった際に無機質粒体32bが合成樹脂被膜32aに完全に埋まってしまわずに露出していることと、無機質粒体32bの先端に加わるモーメントによって無機質粒体32bが合成樹脂被膜32aから離脱してしまわないような大きさであること、の2つの条件を両立させる必要がある。
合成樹脂被膜32aの厚さは、200~1000μmの範囲とするが、例えば、合成樹脂被膜32aの厚さを300μmとする場合は、合成樹脂被膜32aの厚さの1/6~7倍の範囲のものが用いられ、中でも合成樹脂被膜32aの厚さの0.3~3.4倍の範囲のものが望ましい。
無機質粒体32bとしては、これらの粒径の範囲の無機質粒体32bを一種ないし、二種以上を混合して使用することができる。
なお、無機質粒体32bは、使用する素材によって混合などの工程で微細化されるものが含まれる場合もあり、この微細化された無機質粒体32bが含まれても良く、この微細化された無機質粒体32bは、上記の粒径の範囲には含めない。
具体的な押え部材30の表面31に摩擦増大部32を形成する方法は、例えば、流動浸漬法を用いることができる。合成樹脂粉末を流動させた浸漬槽に、加熱した押え部材30を浸漬した後、溶融状態の被膜を無機質紛粒体に押し付け付着させて埋設することで形成する。すなわち、摩擦増大部32の形成は、押え部材30の表面31に合成樹脂粉末塗料を塗着して溶融被膜を形成したのち、合成樹脂被膜32aがまだ溶融状態にあるうちに、合成樹脂被膜32a上に無機質粒体32bを圧着、または吹付けして、無機質粒体32bの一部が合成樹脂被膜32aから露出するように埋設する。
なお、合成樹脂被膜32aの表面から無機質粒体32bが一部露出した状態の表面に、更なる粉末塗装を施すようにしても良く、こうすることによって、無機質粒体32b同士間に新たに合成樹脂被膜32aが形成され、合成樹脂被膜32a中に無機質粒体32bが一層強固に埋設されて保持され、被膜の厚みが増すことで防蝕性も向上することができる。
また、流動浸漬法のほか、他の粉末塗装法を用いることができ、負に帯電させ接地した押え部材30の表面31に合成樹脂粉末塗料を噴射し、静電付着させたのち、押え部材30を加熱炉に入れ、付着した合成樹脂粉末塗料を溶融させて均一厚みの溶融被膜を形成する静電粉末塗装法や合成樹脂粉末塗料を火炎で溶融させながら押え部材30の表面31に吹付ける溶射法等を用いることもできる。
摩擦増大部32は、上記の合成樹脂被膜32aと、無機質粒体32bとで構成する場合のほか、図6に示すように、押え部材30の碇着部22と接触する表面に凹凸部を備える粗面加工部32Aを設けて構成することもできる。
粗面加工部32Aは、例えばショットブラストやグリットブラストなどで押え部材30の金属表面31を荒らすことで形成される。
粗面加工部32Aでは、合成樹脂被膜32aと無機質粒体32bを用いる場合には、無機質粒体32bが合成樹脂被膜32aの厚さの1/3以上の平均粒径のものが表面から1/3程度出ていれば良いことから、例えば、合成樹脂被膜32aの厚さを200μmとすれば、粗面加工部32Aの凹凸部が22μmとなるようにすれば良いことになる。そこで、表面粗さRZを25μm以上、除錆度をSa2以上とした粗面加工部32Aを形成する。
ここで、表面粗さRZは、最大高さとよばれる高さ方向のパラメータであり、断面曲線の基準長さの範囲内で最も高い部分(Rp)と、最も深い部分(Rv)との和の値で求められるものである。
このような摩擦増大部32を粗面加工部32Aで構成する場合にも、既に説明した可撓止水部材の固定構造10と同様に、アンカーボルト6を介して押え部材30を締め付ける軸力Pが一定であっても、押え部材30と可撓止水部材20の碇着部22との間の摩擦係数μを高めることで、可撓止水部材20に作用する碇着部22に対して引き抜く方向に加わる引張力Tに対する抵抗力Rを増大することができる。
これにより、高水圧によって可撓止水部材20に引張力Tが作用しても抵抗Rが大きくなるような、R>Tの関係を保持することができる。
このような可撓止水部材の固定構造10の施工は、図1に示すように、構造物1,2の目地部3を挟む内側表面に、所定の間隔(配置)でアンカーボルト6を取り付けておく。
アンカーボルト6の間隔および配置に基づき、可撓止水部材20の碇着部22にアンカーボルト6を挿通するボルト孔(図示せず)を形成しおく。また、押え部材30を所定長さとしたものを複数用意し、各押え部材30の碇着部22にアンカーボルト6を挿通する挿通孔33をアンカーボルト6の配置に合わせて形成しておく。
こうして準備が完了した後、構造物1,2の表面に、必要に応じてブチルゴムなどの止水材を配置し、可撓止水部材20の碇着部22のボルト孔にアンカーボルト6を挿通し、碇着部22を押えるように押え部材30の挿通孔33をアンカーボルト6に挿通する。
この後、押え部材30の外側にワッシャおよびナット8を取り付けてアンカーボルト6に締め付けることで、可撓止水部材20を固定する。
さらに、各アンカーボルト6に押え部材30を介して可撓止水部材20の碇着部22を締め付けることを繰り返して固定が完了する。
この可撓止水部材の固定構造10によれば、アンカーボルト6に加える軸力Pをこれまでと同一としても、押え部材30の表面31と可撓止水部材20の碇着部22との間に押え部材30の摩擦増大部32や粗面加工部32Aが介在された状態で締め付けられているので、摩擦係数μが増加した分だけ可撓止水部材20に加わる引張力Tに対する抵抗力Rが大きくなり、高水圧が作用した場合の引き抜きを防止して止水性を確保することができる。
これにより、可撓止水部材20に加わる引張力Tをこれまでと同様に設定する場合には、押え部材30の表面31の摩擦増大部32や粗面加工部32Aで摩擦係数μを大きくした分だけ、押え部材30を薄くしたり、同一厚さの押え部材30に対しては、アンカーボルト6による締め付け力を小さくでき、アンカーボルト6を細いものとしたり、設置間隔を大きくすることも可能となる。
また、既設の可撓止水部材20を交換する場合には、押え部材30の碇着部22と接触する表面に摩擦増大部32や粗面加工部32Aを形成したものを用いることで、これまでと同一の軸力Pで締め付けるだけで、摩擦増大部32や粗面加工部32Aの摩擦係数μを大きくした分だけ可撓止水部材20に加わる引張力Tに対する抵抗力Rを大きくすることができ、止水性を向上することができる。
次に、本発明の他の実施の形態について、図2により説明する。
本実施の形態の可撓止水部材の固定構造10Aでは、構造物1の表面と目地部3との角部に可撓止水部材20の取付溝部1Aを形成し、取付溝部1Aに可撓止水部材20を設置することで、流路内側への突き出し量を小さくして流路が狭くなることを防止する。
この可撓止水部材の固定構造10Aでは、構造物1の取付溝部1Aの表面を覆うように枠板部材40が配置される。枠板部材40は、鋼材を曲げ加工して短筒状に形成され、図2での表示状態の断面形状を基準に、水平な中間水平部41と、その両端に延設して目地部3を覆う第1垂直部42と、目地部3と平行な第2垂直部43とが一体に形成されており、分割したものを組み立てることで筒状とされる。
枠板部材40は、水平な中間水平部41にアンカーボルト6を挿通するボルト孔(図示省略)が形成され、アンカーボルト6が挿通できるようにしてある。
この枠板部材40には、図2での表示状態の断面形状を基準に、横断面形状における水平な中間水平部41の表面41aと、第1垂直部42の一部の可撓止水部材20の碇着部22の端面と接触する表面42aと、に可撓止水部材20の碇着部22が接触されて取り付けられる。そこで、枠板部材40は、水平な中間水平部41の碇着部22と接触する表面41aと第1垂直部42の一部の碇着部22の端面と接触する表面42aに摩擦増大部44が設けてある。
摩擦増大部44は、既に説明した押え部材30の摩擦増大部32と同一のもので構成される。なお、摩擦増大部44を粗面加工部32Aで構成するようにしても良い。
このような枠板部材40を備える可撓止水部材の固定構造10Aでは、例えば、構造物1は、枠板部材40をコンクリートの打設のための型枠とし予めアンカーボルト6とともに組み立てられ、コンクリートが打設されて構成される。
構造物1の取付溝部1Aの表面を覆う枠板部材40から突き出しているアンカーボルト6に、既に説明した可撓止水部材の固定構造10と同様に、可撓止水部材20の碇着部22のボルト孔を挿通し、碇着部22を挟んで押えるように押え部材30の挿通孔33をアンカーボルト6に挿通する。
この後、押え部材30の外側にワッシャおよびナット8を取り付けてアンカーボルト6に締め付けることで、可撓止水部材20を押え部材30と枠板部材40とで挟むようにして固定する。
さらに、各アンカーボルト6に押え部材30を介して可撓止水部材20の碇着部22を締め付けることを繰り返して可撓止水部材20を押え部材30と枠板部材40とで挟むようにして固定が完了する。
この可撓止水部材の固定構造10Aによれば、押え部材30の表面31と可撓止水部材20の碇着部22との間に押え部材30の摩擦増大部32が介在された状態となるとともに、さらに、枠板部材40の中間水平部41の表面41aおよび第1垂直部42の表面42aの摩擦増大部44が可撓止水部材20の碇着部22に介在された状態で締め付けられる。
これにより、可撓止水部材20の碇着部22は、表裏両側が摩擦増大部32,44で挟まれた状態となり、表裏で摩擦係数μが増加した分だけ可撓止水部材20に加わる引張力Tに対する抵抗力Rが一層大きくなり、高水圧が作用した場合の引き抜きを防止して一層優れた止水性を確保することができる。
したがって、アンカーボルト6に加える軸力Pをこれまでと同一としても、押え部材30の表面31および枠板部材40の表面41a,42aと可撓止水部材20の碇着部22との間に摩擦増大部32,44が介在された状態となり、可撓止水部材20に加わる引張力Tをこれまでと同様に設定する場合には、押え部材30の表面31および枠板部材40の表面41a,42aの摩擦増大部32,44で摩擦係数μを大きくした分だけ、押え部材30を薄くしたり、同一厚さの押え部材30に対しては、アンカーボルト6による締め付け力を小さくでき、アンカーボルト6を細いものとしたり、設置間隔を大きくすることも可能となる。
また、既設の可撓止水部材20を交換する場合には、構造物1の取付溝部1Aを構築する際に、摩擦増大部44を設けた枠板部材40を用いるとともに、押え部材30の表面31に摩擦増大部32を形成したものを用いることで、これまでと同一の軸力Pで締め付けるだけで、摩擦増大部32,44の摩擦係数μを大きくした分だけ可撓止水部材20に加わる引張力Tに対する抵抗力Rを一層大きくすることができ、止水性を一層向上することができる。
なお、摩擦増大部44を粗面加工部32Aで構成するようにしても良く、同様に、摩擦係数μを大きくすることができる。
次に、本発明の他の実施の形態について、図3により説明する。
本実施の形態の可撓止水部材の固定構造10Bでは、構造物1の中心軸方向と平行にアンカーボルト6を配置する構成および可撓止水部材20Aの碇着部22Aにボルト孔を形成せずに押え部材30Aで碇着部22Aの一部を挟むようにして固定する構成で、既に説明した可撓止水部材の固定構造10Aと相違する。
構造物1では、図3に示すように、その表面と目地部3との角部に可撓止水部材20の取付溝部1Aを形成し、取付溝部1Aに可撓止水部材20Aを設置することで、流路内側への突き出し量を小さくして流路が狭くなることを防止する。
この可撓止水部材の固定構造10Bでは、構造物1の取付溝部1Aの表面を覆うように枠板部材40が配置される。枠板部材40は、既に説明した固定構造10Aのものと同一の構成であり、枠板部材40の水平な中間水平部41の表面41aおよび第1垂直部42の表面42aに摩擦増大部44が形成してある。
枠板部材40は、第1垂直部42にアンカーボルト6を挿通する挿通孔(図示せず)が形成してある。なお、摩擦増大部44を粗面加工部32Aで構成するようにしても良い。
可撓止水部材20Aは、図3に示すように、碇着部22Aにアンカーボルト6の挿通するためのボルト孔を形成せず、押え部材30Aを碇着部22Aの一部に当てることで固定している。碇着部22Aは、その外側端縁部が構造物1の表面(図3における水平面)から離れるように突き出してL字状に形成されており、構造物1の表面と直交する垂直面(図3における垂直面)に碇着部22Aを当てて固定するようになっている。碇着部22Aは、L字状の交差部分に押え部材30Aを係止する係止溝23Aが形成してある。
押え部材30Aは、図3の図示状態の横断面形状において、アンカーボルト6の挿通孔33Aが形成され、挿通孔33Aより内側が碇着部22Aの端部に当てられる垂直押え部30aと、垂直押え部30aの上端に延設され枠板部材40の第1垂直部42側に突き出して締め付けに伴う傾きを防止する水平突出部30bと、垂直押え部30aの下端に略L字状に延設された水平押え部30cと、を備えて構成され、水平押え部30cの構造物1側の端部に碇着部22Aの係止溝23Aに係止する係止凸部30dが形成されている。
押え部材30Aは、挿通孔33Aより内側の垂直押え部30aの表面34およびこの表面34に続く係止凸部30dの表面34、さらに水平押え部30cの表面34に摩擦増大部32が設けられる。押え部材30Aには、可撓止水部材20Aの碇着部22と変形前に接触する表面だけでなく、変位・変形により押え部材30Aが接触する表面にも摩擦増大部32が設けてある。
なお、摩擦増大部32を粗面加工部32Aで構成するようにしても良い。
このような可撓止水部材の固定構造10Bでは、例えば、構造物1は、枠板部材40をコンクリートの打設のための型枠とし予めアンカーボルト6とともに組み立てられ、コンクリートが打設されて構成される。
構造物1の取付溝部1Aの表面を覆う枠板部材40から水平に突き出しているアンカーボルト6の下側に、可撓止水部材20Aの碇着部22Aを配置し、碇着部22Aの端部より内側を押えるように押え部材30Aの挿通孔33Aをアンカーボルト6に挿通する。これと同時に、押え部材30Aの係止凸部30dを碇着部22Aの係止溝23Aに係止した状態とする。
この後、押え部材30Aの外側にワッシャおよびナット8を取り付けてアンカーボルト6に締め付けることで、可撓止水部材20Aを押え部材30Aと枠板部材40とで挟むようにして固定する。
さらに、各アンカーボルト6に押え部材30Aを介して可撓止水部材20Aの碇着部22Aを締め付けることを繰り返して可撓止水部材20Aを押え部材30Aと枠板部材40とで挟むようにして固定が完了する。
この初期状態(図示せず)では、可撓止水部材20Aの碇着部22Aは、枠板部材40の中間水平部41の表面41aとは接触しない状態となっている。
なお、変位後の図3(a)では、可撓止水部材20Aは、紙面上で上側に変位した状態であって押え部材30Aの水平押え部30cと接触している。
また、変位後の図3(b)では、可撓止水部材20Aは、紙面上で下側に変位した状態であって枠板部材40の中間水平部41の表面41aと接触する。
この可撓止水部材の固定構造10Bによれば、可撓止水部材20Aが図3の紙面上方に変位した場合には、押え部材30Aの挿通孔33Aより内側の垂直押え部30aの表面34およびこの表面34に続く係止凸部30dの表面34、さらに水平押え部30cの表面34の摩擦増大部32が可撓止水部材20Aの碇着部22Aとの間に介在された状態となる。さらに、枠板部材40の第1垂直部42の表面42aの摩擦増大部44が可撓止水部材20Aの碇着部22Aに介在された状態で締め付けられている。
これにより、可撓止水部材20Aの碇着部22Aは、垂直に配置された表裏両側が摩擦増大部32,44で挟まれた状態となり、表裏で摩擦係数μが増加した分だけ可撓止水部材20Aに加わる引張力Tに対する抵抗力Rが一層大きくなり、高水圧が作用した場合の引き抜きを防止して一層優れた止水性を確保することができる。変位した可撓止水部材20Aの碇着部22Aが押え部材30Aの水平押え部30cの表面34の摩擦増大部32と接触することによる抵抗力も作用する。
したがって、アンカーボルト6に加える軸力Pをこれまでと同一としても、押え部材30Aの垂直押え部30aの表面34およびこの表面34に続く係止凸部30dの表面34、さらに水平押え部30cの表面34と、枠板部材40の第1垂直部42の表面42aの可撓止水部材20Aの碇着部22Aとの間に摩擦増大部32,44が介在された状態となり、可撓止水部材20Aに加わる引張力Tをこれまでと同様に設定する場合には、押え部材30Aの垂直押え部30a、係止凸部30d、水平押え部30cの各表面34の摩擦増大部32および枠板部材40の表面41a,42aの摩擦増大部44で摩擦係数μを大きくした分だけ、押え部材30Aを薄くしたり、同一厚さの押え部材30Aに対しては、アンカーボルト6による締め付け力を小さくでき、アンカーボルト6を細いものとしたり、設置間隔を大きくすることも可能となる。
また、可撓止水部材20Aが図3の紙面下方に変位した場合には、押え部材30Aの挿通孔33Aより内側の垂直押え部30aの表面34およびこの表面34に続く係止凸部30dの表面34の摩擦増大部32が可撓止水部材20Aの碇着部22Aとの間に介在された状態となる。さらに、枠板部材40の中間水平部41の表面41aおよび第1垂直部42の表面42aの摩擦増大部44が可撓止水部材20Aの碇着部22Aに介在された状態で締め付けられる。
これにより、可撓止水部材20Aの碇着部22Aは、垂直に配置された表裏両側が摩擦増大部32,44で挟まれた状態となり、表裏で摩擦係数μが増加した分だけ可撓止水部材20Aに加わる引張力Tに対する抵抗力Rが一層大きくなり、高水圧が作用した場合の引き抜きを防止して一層優れた止水性を確保することができる。変位した可撓止水部材20Aの碇着部22Aが枠板部材40の中間水平部41の表面41aの摩擦増大部44と接触することによる抵抗力も作用する。
したがって、アンカーボルト6に加える軸力Pをこれまでと同一としても、押え部材30Aの垂直押え部30aの表面34およびこの表面34に続く係止凸部30dの表面34と、枠板部材40の表面42aの可撓止水部材20Aの碇着部22Aとの間に摩擦増大部32,44が介在された状態となり、可撓止水部材20Aに加わる引張力Tをこれまでと同様に設定する場合には、押え部材30Aの表面31および枠板部材40の表面42aの摩擦増大部32,44で摩擦係数μを大きくした分だけ、押え部材30Aを薄くしたり、同一厚さの押え部材30Aに対しては、アンカーボルト6による締め付け力を小さくでき、アンカーボルト6を細いものとしたり、設置間隔を大きくすることも可能となる。
また、既設の可撓止水部材20Aを交換する場合には、構造物1の取付溝部1Aを構築する際に、摩擦増大部44を設けた枠板部材40を用いるとともに、押え部材30Aに摩擦増大部32を形成したものを用いることで、これまでと同一の軸力Pで締め付けるだけで、摩擦増大部32,44の摩擦係数μを大きくした分だけ可撓止水部材20Aに加わる引張力Tに対する抵抗力Rを一層大きくすることができ、止水性を一層向上することができる。
なお、摩擦増大部32,44を粗面加工部32Aで構成するようにしても良く、同様に、摩擦係数μを大きくすることができる。
次に、本発明のさらに他の実施の形態について、図4により説明する。
本実施の形態の可撓止水部材の固定構造10Cでは、可撓止水部材20Bの碇着部22Bを押え部材30Bで押さえる場合に、押え部材30Bを直接アンカーボルト6で押さえることなく、アンカーボルト6で固定される固定部材50を介して固定するように構成したものである。これにより、アンカーボルト6の配置に合わせて可撓止水部材20Bおよび押え部材30Bにアンカーボルト用の穴をあける必要をなくし、施工前の準備を容易としている。
この可撓止水部材の固定構造10Cでは、可撓止水部材20Bは、図4に示すように、碇着部22Bに押え部材30Bからの抜け出しに抵抗する凸条部23Bが端縁部の外側端に突き出すように一体に形成され、例えば、横断面形状が略円弧と矩形を組み合わせた形状に形成される。
なお、凸条部23Bの形状は、既に説明したように、横断面形状を略円弧と矩形を組み合わせた形状とする場合に限らず、図示省略したが、台形状や頂部が外側に突き出し底辺が端縁の碇着部22B上に位置して一体に形成された三角形状などであっても良く、その形状は、何ら限定するものでなく、押え部材30Bからの抜け出しに抵抗できる形状であれば良い。
押え部材30Bは、図4に示す横断面形状において、上方が開口した略コ字状のリップ溝型形状に形成されて構成される。このリップ溝型形状の横断面形状により平板状とする場合に比べ、同一の剛性を確保しながら、重量を1/3程度に軽量化することができる。
なお、押え部材30Bは、その溝内に、例えば、溝深さと略同一の直方体状の補強部材や断面コ字状のC型鋼の補強部材などを介在させて補強するようにしても良い。
この押え部材30Bは、アンカーボルト6で直接構造物1に固定することなく、可撓止水部材20Bの碇着部22Bの外側に配置されるアンカーボルト6で固定部材50を締め付け、固定部材50を介して押え部材30Bを固定する。
固定部材50は、アンカーボルト6で挿通固定される中間板状部51を備えてアンカーボルト6用のボルト孔(図示せず)が形成され、中間板状部51の両側を内側に曲げ起こすように曲げ加工して側板部52が形成してある。側板部52のそれぞれの先端部に押え部材30Bを押える押えアーム部53が突き出すように形成されるとともに、側板部52のそれぞれの基端部に中間板状部51と空間を隔てて同一面をなし構造物1に当接されるように内側に突き出した弾性当接部54を一体に形成して構成されている。そして、固定部材50では、押えアーム部53の突き出し長さが押え部材30Bの溝幅と略同一の長さとされ、押えアーム部53の先端部は押え部材30Bの外側に僅かに突き出す状態としてある。これにより、可撓止水部材20Bが大きく変位しても固定部材50と可撓止水部材20Bとの干渉や互いの損傷を防止できるようにしている。
固定部材50には、押えアーム部53の下面に押え部材30Bの溝内に突き出して係止される係止突出部55が形成してあり、係止突出部55が押え部材30Bの溝幅と略同一の大きさとされ、係止突出部55の前後で係止できるようにしてある。
なお、係止突出部55の突出量は可撓止水部材20Bの変位により押え部材30Bが移動しないようにできれば良い。
また、固定部材50は、中間板状部51の下面から側板部52の押えアーム部53の下面までの距離(側板部の高さに相当)をアンカーボルト6に締め付けたときに、押え部材30Bを介して可撓止水部材20Bの碇着部22Bを構造物1に圧着するのに必要な面圧を発生できるように設定してある。
さらに、押え部材30Bは、開口部と反対の底部の外側の表面31Bに摩擦増大部32が形成してある。摩擦増大部32の構成は、既に説明した摩擦増大部32,44と同一のものである。
押え部材30Bは、押え部材30Bと可撓性止水部材20Bの碇着部22Bとの間の摩擦係数μを高めることで、摩擦抵抗、すなわち、可撓止水部材20Bに作用する水圧によって碇着部22Bを引き抜く方向に加わる引張力Tに対する抵抗力Rを増大する。
なお、摩擦増大部32を粗面加工部32Aで構成するようにしても良く、同様に、摩擦係数μを大きくすることができる。
次に、このような押え部材30Bおよび固定部材50を用いる可撓止水部材の固定構造10Cでは、予め、可撓止水部材20B、押え部材30Bおよび固定部材50を工場で製作するとともに、施工現場では、可撓止水部材20Bの碇着部22Bの外側となる構造物1にアンカーボルト6を植設する。
こうして準備が完了した後、構造物1,2の表面に、必要に応じてブチルゴムなどの止水材を配置し、可撓止水部材20Bの碇着部22Bを押えるように押え部材30Bを配置する。
この後、固定部材50の中間板状部51のボルト挿通孔にアンカーボルト6を挿通し、固定部材50の押えアーム部53を押え部材30Bの開口部に位置させる。そして、固定部材50に挿通したアンカーボルト6の外側にワッシャおよびナット8を取り付けて締め付けることで固定部材50を介して押え部材30Bを締め付けて可撓止水部材20Bを固定する。
このようにして、各アンカーボルト6に固定部材50を締め付けることを繰り返して固定部材50を介して押え部材30Bで可撓止水部材20Bの碇着部22Bの固定が完了する。
この可撓止水部材の固定構造10Cによれば、アンカーボルト6に加える軸力Pをこれまでと同一としても、押え部材30Bの表面31Bと可撓止水部材20Bの碇着部22Bとの間に押え部材30Bの摩擦増大部32が介在された状態で締め付けられているので、摩擦係数μが増加した分だけ可撓止水部材20Bに加わる引張力Tに対する抵抗力Rが大きくなり、高水圧が作用した場合の引き抜きを防止して止水性を確保することができる。
これにより、可撓止水部材20Bに加わる引張力Tをこれまでと同様に設定する場合には、押え部材30Bの表面31Bの摩擦増大部32で摩擦係数μを大きくした分だけ、押え部材30Bを薄くしたり、同一厚さの押え部材30Bに対しては、アンカーボルト6による締め付け力を小さくでき、アンカーボルト6を細いものとしたり、設置間隔を大きくすることも可能となる。
また、押え部材30Bを直接アンカーボルト6に締め付けることなく、固定部材50を介して締め付けるようにしたので、アンカーボルト6の配置に合わせて押え部材30Bや可撓止水部材20Bを製作する必要がなく、簡単に製作することができ、施工に要する工期を短縮することができる。
また、既設の可撓止水部材20Bを交換する場合には、押え部材30Bの碇着部22Bと接触する表面31Bに摩擦増大部32を形成したものを用いることで、これまでと同一の軸力Pで締め付けるだけで、摩擦増大部32の摩擦係数μを大きくした分だけ可撓止水部材20Bに加わる引張力Tに対する抵抗力Rを大きくすることができ、止水性を向上することができる。
なお、摩擦増大部32を粗面加工部32Aで構成するようにしても良く、同様に、摩擦係数μを大きくすることができる。
次に、本発明の他の実施の形態について、図5により説明する。
本実施の形態の可撓止水部材の固定構造10Dでは、押え部材30Cの構成が異なるものであり、押え部材30Cは、可撓止水部材20の碇着部22に押し込んで面圧を高める面圧部材36を備える。
押え部材30Cは、目地部3の周方向に複数に分割された鋼板等の金属板からなり、複数の押え部材30Cは、可撓止水部材20の碇着部22上に環状に配置される。
押え部材30Cは、押え部材30Cの長手方向に所定間隔で幅方向中央部に複数のボルト用の挿通孔33が穿設されており、押え部材30Cの碇着部22と対向する表面の幅方向において挿通孔33を挟む両側に2条の面圧部材36を備えている。面圧部材36は、例えば、丸鋼で構成され、その外周両側を押え部材30Cの表面31に溶接することにより固定されている。
押え部材30Cの面圧部材36の表面には、図5(a)に示すように、摩擦増大部32が設けられている。摩擦増大部32は、既に説明した摩擦増大部32と同一のもので構成される。また、摩擦増大部32を粗面加工部32Aで構成するようにしても良い。
押え部材30Cは、図5(b)に示すように、面圧部材36の表面に加えて押え部材30Cの表面31にも摩擦増大部32を設けるようにしても良い。
また、この可撓止水部材の固定構造10Dでは、構造物1の取付溝部1Aの表面を覆うように枠板部材40が配置される。枠板部材40は、既に説明した可撓止水部材の固定構造10Aに設置したものと同一であるので、同一部分に同一符号を記し、重複する説明は、省略する。
この場合の枠板部材40には、図5に示すように、枠板部材40への摩擦増大部の形成を省略ようにしても良いが、図2に示したように、枠板部材40の水平な中間水平部41の可撓止水部材20の碇着部22と接触する表面41aと第1垂直部42の一部の碇着部22の端面と接触する表面42aにそれぞれ摩擦増大部44(図2参照)を設けるようにしても良い。摩擦増大部44は、既に説明した押え部材30,30Cの摩擦増大部32と同一のもので構成される。
このような面圧部材36を備え、面圧部材36の表面及び/または押え部材30Cの表面31に摩擦増大部32が形成された押え部材30Cでは、可撓止水部材20の碇着部22のボルト孔にアンカーボルト6を挿通し、碇着部22を挟んで押えるように押え部材30Cの挿通孔33をアンカーボルト6に挿通する。
この後、押え部材30Cの外側にワッシャおよびナット8を取り付けてアンカーボルト6に締め付けることで、可撓止水部材20を押え部材30Cと枠板部材40とで挟むようにして固定する。
さらに、各アンカーボルト6に押え部材30Cを介して可撓止水部材20の碇着部22を締め付けることを繰り返して可撓止水部材20を押え部材30Cと枠板部材40とで挟むようにして固定が完了する。
こうして締め付けられた押え部材30Cでは、押え部材30Cの面圧部材36が碇着部22の中に押し込まれる結果、押し込まれた部分の碇着部22の肉が面圧部材36の両側に盛り上がって、一種の突条を形成し、押え部材30Cの幅方向(可撓止水部材20の軸方向)において、押え部材30Cの両側に2本の可撓止水部材20による突条が形成されることになり、それによって碇着部22の表面における面圧を高めることができ、止水効果を向上することができる。
これに加えて面圧部材36の表面に摩擦増大部32が設けてあるので、面圧部材36と可撓止水部材20の碇着部22との間に摩擦増大部32が介在された状態となり、面圧Pが高められた状態で摩擦係数μも大きくなって、面圧Pの上昇及び摩擦係数μの増加の相乗効果により、可撓止水部材20に加わる引張力Tに対する抵抗力Rが一層大きくなり、高水圧が作用した場合の引き抜きを防止して一層優れた止水性を確保することができる。
なお、図5では図示省略したが、図2で説明したように、枠板部材40に摩擦増大部44を設けるようにすれば、枠板部材40の中間水平部41の表面41aおよび第1垂直部42の表面42aの摩擦増大部44が可撓止水部材20の碇着部22に介在された状態で締め付けられる。これにより、面圧上昇の効果に加え、可撓止水部材20の碇着部22は、表裏両側が摩擦増大部32,44で挟まれた状態となり、表裏で摩擦係数μが増加した分だけ可撓止水部材20に加わる引張力Tに対する抵抗力Rが一層大きくなり、高水圧が作用した場合の引き抜きを防止して一層優れた止水性を確保することができる。
したがって、可撓止水部材の固定構造10Dによれば、アンカーボルト6に加える軸力Pをこれまでと同一としても、押え部材30Cの面圧部材36及びその表面の摩擦増大部32により、面圧Pおよび摩擦係数μを大きくした分だけ、押え部材30Cを薄くしたり、同一厚さの押え部材30Cに対しては、アンカーボルト6による締め付け力を小さくでき、アンカーボルト6を細いものとしたり、設置間隔を大きくすることも可能となる。
また、面圧部材36を設けることで、可撓止水部材20を構成するゴム等の材料が可撓止水部材20の軸方向に流動して碇着部22が肉薄になることが防止され、一層確実に止水を維持することができる。
また、既設の可撓止水部材20を交換する場合には、構造物1の取付溝部1Aを構築する際に、摩擦増大部44を設けた枠板部材40を用いるとともに、押え部材30Cの表面31に面圧部材36を設けてその表面に摩擦増大部32を形成したものを用いることで、これまでと同一の軸力Pで締め付けるだけで、面圧部材36により面圧を増大できるとともに、摩擦増大部32,44の摩擦係数μを大きくした分だけ可撓止水部材20に加わる引張力Tに対する抵抗力Rを一層大きくすることができ、止水性を一層向上することができる。
なお、摩擦増大部32,44を粗面加工部32Aで構成するようにしても良く、同様に、摩擦係数μを大きくすることができる。
次に、本発明の可撓止水部材の固定構造10の実施例について比較例とともに、説明する。
本実施例では、摩擦増大部32による止水性について水圧試験を行って確認した。
水圧試験は、図5に示すように、水圧試験装置60を用意し、可撓止水部材20を押える異なる表面の押え部材30を用意して試験を行った。
試験では、可撓止水部材20の両側を試験用の押え部材30で押さえるとともに、他の周囲を密封し、内部から加圧ポンプ61により水圧を作用させ、水圧を圧力計62で測定するとともに、押え部材30で押えた部分からの漏水の有無を調べた。
(実施例)
押え部材30として表面31(図1参照)に摩擦増大部32として飽和ポリエステルの合成樹脂被膜32aにシリカの無機質粒子32bを一部が露出するように埋設して摩擦増大部32を形成した。
可撓止水部材20として補強布を2枚内層したゴムシートを用い、ゴムシートの両側を押え部材30で押えた状態で水圧を0.05MPaから設計上止水性が必要とされる水圧(0.30MPa)まで高め、漏水の有無を目視した。
その結果、水圧を設計上必要とされる0.30MPaまで高めても押え部材30からの漏水は生じなかった。
(比較例1)
押え部材30の表面に何ら処理を施さない金属表面のままとした押え部材30を用いた以外、実施例と同一とした。
その結果、水圧を0.20MPaまで高めたところで、押え部材30から漏水が生じた。
(比較例2)
押え部材30の表面にタールエポキシ樹脂塗装のみを施した押え部材30を用いた以外、実施例と同一とした。
その結果、水圧を0.15MPaまで高めたところで、押え部材30から漏水が生じた。
以上、実施の形態とともに、具体的に説明したように、本発明の可撓止水部材の固定構造10によれば、変位を許容する伸縮部21と、伸縮部21に延設され端縁部に設けられた固定用の碇着部22と、を備える可撓止水部材20を、碇着部22に当てる押え部材30を介して構造物1の目地部3に固定する可撓止水部材の固定構造10であって、押え部材30は、碇着部22に接触させる表面31全体摩擦係数を高める摩擦増大部32が設けられ、摩擦増大部32は、表面31に形成される合成樹脂被膜32aと、合成樹脂被膜32a上に設けられ一部が露出して埋設される無機質粒体32bと、で構成され、目地部3に固定する軸力を大きくすることなく碇着部22の引き抜き方向の抵抗力を高めて固定されているので、押え部材30の表面31と可撓止水部材20の碇着部22との間に押え部材30の摩擦増大部32が介在された状態で締め付けられることで、摩擦係数μが増加した分だけ可撓止水部材20に加わる引張力Tに対する抵抗力Rが大きくなり、アンカーボルト6に加える軸力Pをこれまでと同一としても、高水圧が作用した場合の引き抜きを防止して止水性を確保することができる。
これにより、可撓止水部材20に加わる引張力Tをこれまでと同様に設定する場合には、押え部材30の表面31の摩擦増大部32で摩擦係数μを大きくした分だけ、押え部材30を薄くしたり、同一厚さの押え部材30に対しては、アンカーボルト6による軸力(締め付け力)Pを小さくでき、アンカーボルト6を細いものとしたり、設置間隔を大きくすることも可能となる。
また、既設の可撓止水部材20を交換する場合には、押え部材30の碇着部22と接触する表面に摩擦増大部32を形成したものを用いることで、これまでと同一の軸力Pで締め付けるだけで、摩擦増大部32の摩擦係数μを大きくした分だけ可撓止水部材20に加わる引張力Tに対する抵抗力Rを大きくすることができ、止水性を向上することができる。
特に、これまでの押え部材30による締め付け力を増大する場合に比べ、押え部材30やアンカーボルト6の剛性を高める必要がなく、簡単に可撓止水部材の固定に適用して止水性を向上することができる。
また、摩擦増大部32は、表面31に形成される合成樹脂被膜32aと、合成樹脂被膜32a上に設けられ一部が露出して埋設される無機質粒体32bと、で構成されているので、摩擦増大部32を押え部材30の表面に簡単に形成することができ、摩擦計数μを大きくすることができる。
これにより、摩擦係数μが増加した分だけ可撓止水部材20に加わる引張力Tに対する抵抗力Rが一層大きくなり、高水圧が作用した場合の引き抜きを防止して一層優れた止水性を確保することができる。
本発明の可撓止水部材の固定構造10によれば、摩擦増大部32は、表面31全体に形成され摩擦係数μを高める凹凸部を備える粗面加工部32Aで構成され、粗面加工部32Aは、表面31に形成される合成樹脂被膜32aと、合成樹脂被膜32a上に設けられ一部が露出して埋設される無機質粒体32bと、で構成され、目地部3に固定する軸力を大きくすることなく碇着部22の引き抜き方向の抵抗力を高めて固定されているので、ショットブラストやグリットブラストなどにより、押え部材30の表面の摩擦係数μを大きくすることができる。
これにより、摩擦係数μが増加した分だけ可撓止水部材20に加わる引張力Tに対する抵抗力Rが一層大きくなり、高水圧が作用した場合の引き抜きを防止して一層優れた止水性を確保することができる。
したがって、アンカーボルト6に加える軸力Pをこれまでと同一としても、粗面加工部32Aで摩擦係数μを大きくした分だけ、押え部材30を薄くしたり、同一厚さの押え部材30に対しては、アンカーボルト6による締め付け力を小さくでき、アンカーボルト6を細いものとしたり、設置間隔を大きくすることも可能となる。
本発明の可撓止水部材の固定構造10Bによれば、押え部材30Aは、可撓止水部材20Aの変位・変形により押え部材30Aに接触する表面34に摩擦増大部32が設けられているので、押え部材30Aの表面31だけでなく可撓止水部材20Aと接触する表面34の摩擦増大部32によって接触面積が大きくなり、引き抜きに対する抵抗力を大きくすることができ、一層止水性を高めることができる。
本発明の可撓止水部材の固定構造10Dによれば、押え部材30Cは、碇着部22と接触する押え部材30Cの表面31に碇着部22に押し込まれて面圧を高める面圧部材36が設けられ、面圧部材36の表面に摩擦増大部32が設けられることで、面圧部材36の表面に設けた摩擦増大部32が、面圧部材36と可撓止水部材20の碇着部22との間に介在された状態となり、面圧Pが高められた状態で摩擦係数μも大きくなって、面圧Pの上昇及び摩擦係数μの増加の相乗効果により、可撓止水部材20に加わる引張力Tに対する抵抗力Rが一層大きくなり、高水圧が作用した場合の引き抜きを防止して一層優れた止水性を確保することができる。また、面圧部材36を設けることで、可撓止水部材20を構成するゴム等の可撓性材料が可撓止水部材20の軸方向に流動して碇着部22が肉薄になることが防止され、一層確実に止水性を維持することができる。
本発明の可撓止水部材の固定構造10によれば、摩擦増大部32は、表面31に形成される合成樹脂被膜32aの厚さが200~1000μmとされ、合成樹脂被膜32a上に設けられ一部が露出して埋設される無機質粒体32bが合成樹脂被膜32aの厚さの1/6~7倍とされて構成されているので、摩擦増大部32を押え部材30の表面に簡単に形成することができ、摩擦数μを大きくすることができる。
これにより、摩擦係数μが増加した分だけ可撓止水部材20に加わる引張力Tに対する抵抗力Rが一層大きくなり、高水圧が作用した場合の引き抜きを防止して一層優れた止水性を確保することができる。
本発明の可撓止水部材の固定構造10によれば、押え部材30は、アンカーボルト6の挿通孔33を備え、挿通孔33には、碇着部22を貫通するアンカーボルト6が挿通されて構造物1に固定されているので、これまでの固定構造を変更することなく、押え部材30に摩擦増大部32を設けることで、止水性の向上を図ることができる。
本発明の可撓止水部材の固定構造10Bによれば、押え部材30Aは、アンカーボルト6の挿通孔33を備え、挿通孔33には、碇着部22の端縁部の外側に配置されたアンカーボルト6が挿通され、碇着部22の端縁部の内側を押さえて構造物1に固定するようにしたので、可撓止水部材20Aにアンカーボルト6のボルト孔の加工やアンカーボルト6の配置に合わせた加工の必要をなくして簡単に適用し、止水性を向上することができる。
本発明の可撓止水部材の固定構造10Cによれば、押え部材30Bは、碇着部22の端縁部の外側に配置されたアンカーボルト6で締め付けられる固定部材50の一端部が当てられて構造物1に固定されるので、可撓止水部材20Bや押え部材30Bにアンカーボルト6のボルト孔を形成する必要がなく、設計製作の自由度や施工の自由度が向上し、合わせて止水性の向上を図ることができる。
本発明の可撓止水部材の固定構造10A,10Bによれば、構造物1の表面に碇着部22が配置される枠板部材40を備え、枠板部材40は、碇着部22,22Aと接触する表面41a,42aに摩擦増大部44が設けられ、押え部材30,30Aと枠板部材40とで挟んで碇着部22,22Aが構造物1に固定されるので、可撓止水部材20の碇着部22は、表裏両側が摩擦増大部32,44で挟まれた状態となり、表裏で摩擦係数μが増加した分だけ可撓止水部材20に加わる引張力Tに対する抵抗力Rが一層大きくなり、高水圧が作用した場合の引き抜きを防止して一層優れた止水性を確保することができる。
したがって、アンカーボルト6に加える軸力Pをこれまでと同一としても、摩擦増大部32,44で摩擦係数μを大きくした分だけ、押え部材30を薄くしたり、同一厚さの押え部材30に対しては、アンカーボルト6による締め付け力を小さくでき、アンカーボルト6を細いものとしたり、設置間隔を大きくすることも可能となる。
また、既設の可撓止水部材20を交換する場合には、構造物1の取付溝部1Aを構築する際に、摩擦増大部44を設けた枠板部材40を用いるとともに、押え部材30の表面31に摩擦増大部32を形成したものを用いることで、これまでと同一の軸力Pで締め付けるだけで、摩擦増大部32,44の摩擦係数μを大きくした分だけ可撓止水部材20に加わる引張力Tに対する抵抗力Rを一層大きくすることができ、止水性を一層向上することができる。
なお、上記実施の形態で説明した可撓止水部材20,20A,20Bは、一例に過ぎず、伸縮部21や碇着部22,22A,22Bの形状は、図示例に限らず、他の形状であっても良い。
また、押え部材30,30A,30Bや固定部材50の構成も上記実施の形態で説明したものに限らず、同一の機能を備えたものであれば、何ら限定するものでない。
また、本発明は、構造物の目地部の外側の止水シートの固定部、可撓矢板の止水部材の固定部、耐圧ゴムプレートの固定部などの可撓止水部材の固定構造に適用することができる。
さらに、本発明は、上記実施の形態で説明した可撓止水部材の固定構造を単独あるいは、任意に組み合わせて構成することができるものである。
1 構造物
1A 取付溝部
2 構造物
3 目地部
4 可撓止水部材
4a 伸縮部
4b 碇着部
6 アンカーボルト
7 押え板
8 ナット
10 可撓止水部材の固定構造
10A 可撓止水部材の固定構造
10B 可撓止水部材の固定構造
10C 可撓止水部材の固定構造
10D 可撓止水部材の固定構造
20 可撓止水部材
20A 可撓止水部材
20B 可撓止水部材
21 伸縮部
22 碇着部
22A 碇着部
22B 碇着部
23A 係止溝
23B 凸条部
30 押え部材
30A 押え部材
30B 押え部材
30C 押え部材
30a 垂直押え部
30b 水平突出部
30c 水平押え部
30d 係止凸部
31 表面
31B 表面
32 摩擦増大部
32A 粗面加工部
32a 合成樹脂被膜
32b 無機質粒体
33 挿通孔
33A 挿通孔
34 表面
36 面圧部材
40 枠板部材
41 中間水平部
41a 表面
42 第1垂直部
42a 表面
43 第2垂直部
44 摩擦増大部
50 固定部材
51 中間板状部
52 側板部
53 押えアーム部
54 弾性当接部
55 係止突出部
30 押え部材
60 水圧試験装置
61 加圧ポンプ
62 水圧計

Claims (9)

  1. 変位を許容する伸縮部と、前記伸縮部に延設され端縁部に設けられた固定用の碇着部と、を備える可撓止水部材を、前記碇着部に当てる押え部材を介して構造物の目地部に固定する可撓止水部材の固定構造であって、
    前記押え部材は、前記碇着部に接触させる表面全体摩擦係数を高める摩擦増大部が設けられ
    前記摩擦増大部は、前記表面に形成される合成樹脂被膜と、前記合成樹脂被膜上に設けられ一部が露出して埋設される無機質粒体と、で構成され、前記目地部に固定する軸力を大きくすることなく前記碇着部の引き抜き方向の抵抗力を高めて固定されている
    ことを特徴とする可撓止水部材の固定構造。
  2. 前記摩擦増大部は、前記表面全体に形成され摩擦係数を高める凹凸部を備える粗面加工部で構成され
    前記粗面加工部は、前記表面に形成される合成樹脂被膜と、前記合成樹脂被膜上に設けられ一部が露出して埋設される無機質粒体と、で構成され、前記目地部に固定する軸力を大きくすることなく前記碇着部の引き抜き方向の抵抗力を高めて固定されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の可撓止水部材の固定構造。
  3. 前記押え部材の前記摩擦増大部は、前記可撓止水部材の変位・変形により前記押え部材に接触する表面を含む、
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の可撓止水部材の固定構造。
  4. 前記押え部材は、前記碇着部と接触する前記押え部材の前記表面に前記碇着部に押し込まれて面圧を高める面圧部材が設けられ、
    前記面圧部材の表面に前記摩擦増大部が設けられる、
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の可撓止水部材の固定構造。
  5. 前記摩擦増大部は、前記表面に形成される合成樹脂被膜の厚さが200~1000μmとされ
    前記合成樹脂被膜上に設けられ一部が露出して埋設される無機質粒体が前記合成樹脂被膜の厚さの1/6~7倍とされて構成される、
    ことを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の可撓止水部材の固定構造。
  6. 前記押え部材は、アンカーボルトの挿通孔を備え、前記挿通孔には、前記碇着部を貫通する前記アンカーボルトが挿通されて前記構造物に固定されている、
    ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の可撓止水部材の固定構造。
  7. 前記押え部材は、アンカーボルトの挿通孔を備え、前記挿通孔には、前記碇着部の端縁部の外側に配置された前記アンカーボルトが挿通され、前記碇着部の前記端縁部の内側を押さえて前記構造物に固定されている、
    ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の可撓止水部材の固定構造。
  8. 前記押え部材は、前記碇着部の端縁部の外側に配置されたアンカーボルトで締め付けられる固定部材の一端部が当てられて前記構造物に固定されている、
    ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の可撓止水部材の固定構造。
  9. 前記固定構造は、前記構造物の表面に前記碇着部を接触させる枠板部材を備え、
    前記枠板部材は、前記碇着部が接触する表面に摩擦増大部が設けられ、前記枠板部材の前記摩擦増大部に当接させた前記碇着部が前記押え部材により挟まれて前記構造物に固定されている、
    ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の可撓止水部材の固定構造。
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