JP2002105432A - 接着剤、セラミック構造体及びその製造方法 - Google Patents
接着剤、セラミック構造体及びその製造方法Info
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Abstract
部材との馴染みがよく、上記多孔質セラミック部材同士
を良好な接着強度を保った状態で接合することができる
接着剤を提供する。 【解決手段】 多孔質セラミックから構成される多孔質
セラミック部材を接合するために用いられる接着剤であ
って、少なくともヒドロキシル基を有する直鎖型高分子
化合物、上記直鎖型高分子化合物以外の有機バインダ
ー、無機バインダー及び無機繊維を含むことを特徴とす
る接着剤。
Description
からなる多孔質セラミック部材を接合するための接着
剤、該接着剤を用いた粒子捕集用フィルタとして用いら
れるセラミック構造体、及び、該セラミック構造体の製
造方法に関する。
械等の内燃機関から排出される排気ガス中に含有される
パティキュレートを捕集するためのセラミック構造体
(セラミックフィルタ)、熱交換器用部材、高温流体、
高温蒸気の濾過フィルタ等の様々な用途に、多孔質セラ
ミックからなるセラミック製品が製造されている。
には、まず、原料であるセラミック粒子の他に溶剤やバ
インダー等を含む混合組成物を調製し、この混合組成物
を用いて押出成形等を行い、セラミック成形体を作製す
る。そして、このセラミック成形体に乾燥、脱脂、焼成
の各処理を施すことで、多孔質セラミック部材を製造し
た後、この多孔質セラミック部材を接着剤を介して積層
することによりセラミックブロックを組み上げ、所定形
状に切削することによりセラミック構造体を製造してい
た。
て、多孔質セラミック部材を積層することにより組み上
げたセラミックブロックは、その形状を保ち、その後の
切削工程やセラミックフィルタとして使用中に、上記多
孔質セラミック部材がばらばらに崩れることがないよう
に、各多孔質セラミック部材同士がしっかりと接合され
ている必要がある。
28246号公報に開示されているような、各多孔質セ
ラミック部材が耐熱性の無機繊維や無機バインダー、有
機バインダー及び無機粒子等を含むシール材(接着層)
で接合されたセラミック構造体を開発した。
層)は、そのなかに含まれる無機繊維と有機バインダ
ー、及び、無機繊維と無機バインダーとの絡み合いの効
果により、ある程度の接着強度を有するとともに、熱伝
導率を確保することができるものであった。
は、多孔質セラミック部材との馴染みが良好なものでは
なく、多孔質セラミック部材とシール材(接着層)との
間で、剥離が起きてしまう場合があり、その接着力は未
だ充分といえるものではなかった。
題を解決するためになされたもので、多孔質セラミック
からなる多孔質セラミック部材との馴染みがよく、上記
多孔質セラミック部材同士を高い接着強度で強固に接合
するとともに、優れた熱伝導率を有する接着剤を提供す
ることにある。
強度が大きいため、振動や熱応力等により上記接着層に
クラック等が生ずることがない耐久性に優れるセラミッ
ク構造体、及び、その製造方法を提供することにある。
は、多孔質セラミックから構成される多孔質セラミック
部材を接合するために用いられる接着剤であって、少な
くともヒドロキシル基を有する直鎖型高分子化合物、上
記直鎖型高分子化合物以外の有機バインダー、無機バイ
ンダー及び無機繊維を含むことを特徴とするものであ
る。
クから構成される多孔質セラミック部材を接合するため
に用いられる接着剤であって、少なくともヒドロキシル
基を有する直鎖型高分子化合物、上記直鎖型高分子化合
物以外の有機バインダー、無機バインダー、無機繊維及
び無機粒子を含むことを特徴とするものである。
孔が隔壁を隔てて長手方向に並設された角柱形状の多孔
質セラミック部材が接着層を介して複数個結束されてセ
ラミックブロックを構成し、上記貫通孔を隔てる隔壁が
粒子捕集用フィルタとして機能するように構成されたセ
ラミック構造体であって、上記接着層は、第一又は第二
の本発明の接着剤を用いて形成されてなることを特徴と
する。
上記セラミック構造体の製造方法であって、多孔質セラ
ミックから構成される多孔質セラミック部材の側面に、
第一又は第二の本発明の接着剤を塗布し、上記接着剤の
上に他の多孔質セラミック部材を積層する工程を繰り返
して、セラミックブロックを組み上げる工程を含むこと
を特徴とするものである。
着剤、本発明のセラミック構造体及びその製造方法につ
いて説明する。
明する。第一の本発明の接着剤は、多孔質セラミックか
ら構成される多孔質セラミック部材を接合するために用
いられる接着剤であって、少なくともヒドロキシル基を
有する直鎖型高分子化合物(以下、ヒドロキシ含有化合
物ともいう)、上記直鎖型高分子化合物以外の有機バイ
ンダー(以下、他の有機バインダーともいう)、無機バ
インダー及び無機繊維を含むことを特徴とするものであ
る。
着剤は、多孔質セラミックからなる多孔質セラミック部
材との馴染みがよく、接着強度が優れたものとなる。こ
の理由は明確ではないが、以下の通りであると考えられ
る。
インダー、即ち、上記ヒドロキシ含有化合物と、上記他
の有機バインダーとを含むものである。
るヒドロキシル基を有するとともに直鎖型であるため、
第一の本発明の接着剤中で上記ヒドロキシ含有化合物と
接着剤中の水分子とが水素結合を形成していると考えら
れる。そして、多孔質セラミックから構成される多孔質
セラミック部材上に、第一の本発明の接着剤で接着層を
形成すると、接着層中の水分子が、毛細管現象により多
孔質セラミック部材表面に存在する多数の開放気孔に吸
引されるが、その際に、水分子と強固な水素結合を形成
している上記ヒドロキシ含有化合物も水とともに吸引さ
れる。その結果、上記多孔質セラミック部材の開放気孔
中、及び、その界面近傍に、多数のヒドロキシ含有化合
物(有機バインダー)が存在することになるものと考え
られる。
状が親油性であるものが多く、上記他の有機バインダー
は、通常、接着剤中の水分子と親和性が低いと考えられ
る。従って、上記多孔質セラミック部材上に、第一の本
発明の接着剤で接着層を形成しても、上記他の有機バイ
ンダーの大部分は、この多孔質セラミック部材の開放気
孔中に吸収されず、多孔質セラミック部材の間に存在す
る接着層中に残っていると考えられる。
ドロキシ含有化合物が、接着剤と多孔質セラミック部材
との馴染みを良好なものとし、上記他の有機バインダー
が、接着剤中の無機バインダー等との接着力を確保する
ことで、第一の本発明の接着剤全体の接着力が良好なも
のになると考えられる。
機バインダーを含むものであったが、このような従来の
接着剤に使用されていた有機バインダーは、ポリビニル
アルコールのような親水性の化合物とその他の化合物と
を併用していなかった。そのため、接着剤と多孔質セラ
ミック部材との馴染みが良好とは言えず、多孔質セラミ
ック部材を高い接着強度で接着することができなかっ
た。
アルコールであることが好ましい。水分子と良好な水素
結合を形成し、また、汎用されているので、安価であ
る。
形分で0.2〜2.0重量%であることが好ましい。上
記添加量が0.2重量%未満であると、接着剤と多孔質
セラミック部材との界面での馴染みが低下してしまう。
一方、上記添加量が2.0重量%を超えると、後の脱脂
工程で、分解、除去される有機バインダーの量が多くな
りすぎ、接着強度の低下を招く。
しては、例えば、ポリグリセリン、ポリエチレングリコ
ール、ポリプロピレングリコール等を挙げることができ
る。これらの化合物の添加量は、各分子量及びその親水
性等を考慮して適宜調整されるが、添加される化合物中
のヒドロキシル基の数は、上記ポリビニルアルコールの
ヒドロキシル基の数と概ね同数となるように調整される
ことが望ましい。
ば、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシ
メチルセルロース等の環状化合物等を挙げることができ
る。上記他の有機バインダーの添加量は、固形分で、
0.1〜5.0重量%が好ましく、0.2〜1.0重量
%がより好ましく、0.4〜0.8重量%がさらに好ま
しい。他の有機バインダーの含有量が0.1重量%未満
であると、接着層中のその他の成分を均一に分散させる
ことが困難となり、一方、5.0重量%を超えると、接
着層が高温に曝された場合に、有機バインダーが焼失
し、接着強度が低下する。
リカゾル、アルミナゾル等を挙げることができる。これ
らは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよ
い。これらのなかでは、シリカゾルが好ましい。上記無
機バインダーの添加量は、固形分で、1〜40重量%が
好ましく、1〜20重量%がより好ましく、5〜15重
量%がさらに好ましい。無機バインダーの添加量が1重
量%未満であると、接着層の接着強度の低下を招き、一
方、40重量%を超えると、熱伝導率の低下を招く。
アルミナ、ムライト、アルミナ及びシリカから選ばれる
少なくとも1種以上のセラミックファイバー等を挙げる
ことができる。このような無機繊維は、上記有機バイン
ダーや無機バインダーと絡み合うことで、接着層の接着
強度をより向上させることができる。
クファイバーである場合、そのショット含有率は1〜1
0重量%であることが好ましく、1〜5重量%であるこ
とがより好ましく、1〜3重量%であることが最も好ま
しい。ショット含有率を1重量%未満にすることは、製
造上困難であり、一方、10重量%を超えると、被接着
面である多孔質セラミック部材表面を傷つける恐れがあ
る。その繊維長は1〜100μmであることが好まし
く、1〜50μmであることがより好ましく、1〜20
μmであることが最も好ましい。繊維長が1μm未満で
あると、その性質が粒子に近くなり接着強度の低下を招
く。一方、100μmを超えると、接着層中に均一に分
散させることが困難となり、やはり接着強度の低下を招
く。
ことが好ましい。繊維径が3μm未満であると、その強
度が低下し容易に切断されてしまうため、接着強度の低
下を招く。一方、15μmを超えると、有機バインダー
や無機バインダーとの絡み合いが阻害され、やはり接着
強度の低下を招く。上記シリカ−アルミナセラミックフ
ァイバーの添加量は、固形分で、10〜70重量%であ
ることが好ましく、10〜40重量%がより好ましく、
20〜30重量%がさらに好ましい。その添加量が10
重量%未満であると、接着層の接着強度の低下を招く。
一方、70重量%を超えると、熱伝導率の低下を招く。
記無機繊維の代わりに、上記炭化珪素繊維を添加しても
よい。接着強度とともに、熱伝導率を高いレベルで維持
することができるからである。
インダー、及び、炭化珪素繊維と上記ヒドロキシ含有化
合物及び上記他の有機バインダーとが絡み合うことによ
り、接着層の接着強度の向上を図ることができるととも
に、無機粒子を添加するのに比べ、接着層中で炭化珪素
繊維同士が絡み合うことでその接触面積が増加し、熱伝
導率が向上するものと考えられる。
0μmであることが好ましく、50〜200μmである
ことがより好ましい。繊維長が20μm未満であると、
その性質が粒子に近くなり接着強度の低下を招く場合が
ある。一方、300μmを超えると、接着層中に均一に
分散させることが困難となり、やはり接着強度の低下を
招く場合がある。また、その繊維径は、3〜15μmで
あることが好ましい。繊維径が3μm未満であると、炭
化珪素繊維の強度が低下し容易に切断されてしまうため
接着強度の低下を招く場合があり。一方、15μmを超
えると、シリカゾルとの絡み合いが阻害され、接着強度
の低下を招く場合があり、また、このような太い炭化珪
素繊維を得ること自体が困難であり原料コストの高騰を
招く。
合、接着層中の炭化珪素繊維の含有量は、固形分で、3
〜80重量%が好ましく、10〜70重量%がより好ま
しく、40〜60重量%がさらに好ましい。炭化珪素繊
維の含有量が3重量%未満であると、熱伝導率の低下を
招き、一方、80重量%を超えると、接着層11が高温
に曝された場合に、接着強度の低下を招く。
孔質セラミック部材上に接着層を形成した際、該接着剤
と多孔質セラミック部材との界面近傍では、水分子と水
素結合を形成したヒドロキシル基を有する直鎖型高分子
化合物が有機バインダーとして機能し、その他の部分で
は、上記直鎖型高分子化合物以外の有機バインダーが機
能するため、多孔質セラミック部材と接着層との馴染み
がよく、優れた接着力を有するものとなる。
する。第二の本発明の接着剤は、多孔質セラミックから
構成される多孔質セラミック部材を接合するために用い
られる接着剤であって、少なくともヒドロキシル基を有
する直鎖型高分子化合物、上記直鎖型高分子化合物以外
の有機バインダー、無機バインダー、無機繊維及び無機
粒子を含むことを特徴とするものである。
本発明の接着剤で説明したヒドロキシ含有化合物、他の
有機バインダー、無機バインダー及び無機繊維を含むと
ともに、さらに、無機粒子を含むものである。このよう
に、上記無機粒子を含むことで、第二の本発明の接着剤
は、多孔質セラミック部材と接着層との馴染みがよく、
接着強度が優れたものとなるとともに、その熱伝導率に
優れたものとなる。
染みがよく、接着強度が優れたものとなる理由は、上述
した第一の本発明の接着剤において説明したので、ここ
では、その説明を省略する。また、上記無機粒子を添加
することで、熱伝導率が優れたものとなる理由は、上記
無機粒子が上記無機繊維の表面や上記無機バインダーの
表面及び内部に介在するためであると考えられる。
機バインダー、無機バインダー及び無機繊維について
は、上記第一の本発明の接着剤において説明したものと
同様のものであるため、ここでは、その説明を省略す
る。
素、窒化珪素及び窒化硼素から選ばれる少なくとも1種
以上の無機粉末又はウィスカーが挙げられる。また、上
記無機粒子の平均粒径は0.01〜100μmであるこ
とが好ましく、0.1〜15μmであることがより好ま
しく、0.1〜10μmであることが最も好ましい。平
均粒径が0.01μm未満であると、ある程度の熱伝導
率を確保するためには大量の無機粒子が必要となり、ま
た、このような粒径の小さな無機粒子を得ること自体が
困難で、製造コストの高騰を招く。一方、平均粒径が1
00μmを超えると、逆に接着力及び熱伝導率の低下を
招く。
添加量は、固形分で、3〜80重量%であることが好ま
しく、10〜60重量%がより好ましく、20〜40重
量%が最も好ましい。その添加量が3重量%未満である
と、熱伝導率の低下を招き、一方、80重量%を超える
と、高温時での接着強度の低下を招く。
上記無機繊維及び無機粒子の代わりに、上記炭化珪素繊
維を使用してもよい。上述した通り、上記無機繊維は、
接着層の接着強度を向上させる目的で添加され、上記無
機粒子は、接着層の熱伝導率を向上させる目的で添加さ
れるものである。しかしながら、上記無機粒子は、接着
層の接着強度を減退させる傾向があるため、接着層の接
着強度及び熱伝導率の両方を高いレベルで確保するには
一定の限界がある。しかしながら、上記無機繊維及び無
機粒子の代わりに上記炭化珪素繊維を使用することで、
接着層の接着強度と熱伝導率とを高いレベルで確保する
ことができるようになる。
記第一の本発明の接着剤と同様に、多孔質セラミック部
材と接着層との馴染みがよく、優れた接着力を有すると
ともに、その組成中の無機粒子が、無機繊維の表面や無
機バインダーの表面及び内部に介在することで熱伝導率
が優れたものとなる。
説明する。本発明のセラミック構造体は、多数の貫通孔
が隔壁を隔てて長手方向に並設された角柱形状の多孔質
セラミック部材が接着層を介して複数個結束されてセラ
ミックブロックを構成し、上記貫通孔を隔てる隔壁が粒
子捕集用フィルタとして機能するように構成されたセラ
ミック構造体であって、上記接着層は、第一又は第二の
本発明の接着剤を用いて形成されてなることを特徴とす
る。
施形態を模式的に示した斜視図であり、図2は本発明の
セラミック構造体を構成する多孔質セラミック部材を模
式的に示した斜視図である。
構成する多孔質セラミック部材20には、多数の貫通孔
21が形成されており、これら貫通孔21を有する多孔
質セラミック部材20の一端部は、市松模様に充填材2
2が充填されている。また、図示しない他の端部におい
ては、一端部に充填材が充填されていない貫通孔21に
充填材が充填されている。
貫通孔21は、いずれか一端部のみに充填材22が充填
されているため、開口している一の貫通孔21の一端部
より流入した排気ガスは、隣接する貫通孔21との間を
隔てる多孔質の隔壁23を必ず通過し、他の貫通孔21
を通って流出する。そして、排気ガスが隔壁23を通過
する際に、排気ガス中のパティキュレートが捕捉される
ことになる。
材20を複数個結束させたセラミック構造体10を示し
ている。また、図1においては、多孔質セラミック部材
20に形成された貫通孔21を省略している。
ラミック部材20が接着層11を介して複数個結束され
てセラミックブロックを構成し、この接着層11は、少
なくとも無機バインダー、有機バインダー及び炭化珪素
繊維を含むものである。また、セラミックブロックの外
周部の全体に、シール材12がコーティングされてセラ
ミック構造体10が形成されている。上記セラミック構
造体の形状は特に限定されず、円柱形状でも角柱形状で
も構わないが、通常、図1に示したように円柱形状のも
のがよく用いられている。
ラミック部材の材質は特に限定されず、種々のセラミッ
クが挙げられるが、これらのなかでは、耐熱性が大き
く、機械的特性に優れ、かつ、熱伝導率も大きい炭化珪
素が好ましい。
るものではないが、後の焼成工程で収縮が少ないものが
好ましく、例えば、0.3〜50μm程度の平均粒径を
有する粉末100重量部と0.1〜1.0μm程度の平
均粒径を有する粉末5〜65重量部とを組み合わせたも
のが好ましい。また、シール材12を構成する材料も特
に限定されるものではないが、無機繊維、無機バインダ
ー等の耐熱性の材料を含むものが好ましい。シール材1
2は、接着層11と同じ材料により構成されていてもよ
い。
一又は第二の本発明の接着剤であるのでここでは、その
説明は省略する。
は、複数のセラミック部材を結束する接着層に、第一又
は第二の本発明の接着剤を用いたものであるため、多孔
質セラミック部材と接着層との馴染みがよく、また、そ
の接着強度、又は、その接着強度及び熱伝導率の両方に
優れたものとなる。従って、本発明のセラミック構造体
は、振動や排気ガスの圧力等により接着層にクラックが
生ずることはなく、耐久性に優れたものとなり、また、
耐久性に優れるとともに、その再生処理において、堆積
したパティキュレートを完全に燃焼除去することができ
る。
法について説明する。本発明のセラミック構造体の製造
方法は、上記セラミック構造体の製造方法であって、多
孔質セラミックから構成される多孔質セラミック部材の
側面に、第一又は第二の本発明の接着剤を塗布し、上記
接着剤の上に他の多孔質セラミック部材を積層する工程
を繰り返して、セラミックブロックを組み上げる工程を
含むことを特徴とするものである。
は、初めに、セラミック成形体を作製する。この工程に
おいては、セラミック粉末とバインダーと分散媒液とを
混合して成形体製造用の混合組成物を調製した後、この
混合組成物の押出成形を行うことにより、多数の貫通孔
が隔壁を隔てて長手方向に並設された柱状のセラミック
成形体を作製し、この後、この成形体を乾燥させること
により分散媒液を蒸発させ、セラミック粉末と樹脂とを
含むセラミック成形体を作製する。なお、このセラミッ
ク成形体には、少量の分散媒液が含まれていてもよい。
2に示した多孔質セラミック部材20とほぼ同形状であ
るほか、楕円柱状や三角柱状等であってもよい。なお、
本工程では、充填材22に相当する部分は空洞となって
いる。
例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロー
ス、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコ
ール、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等を挙げることが
できる。上記バインダーの配合量は、通常、上記セラミ
ック粉末100重量部に対して、1〜10重量部程度が
好ましい。
えば、ベンゼン等の有機溶媒;メタノール等のアルコー
ル、水等を挙げることができる。上記分散媒液は、上記
樹脂の粘度が一定範囲内となるように、適量配合され
る。
ック成形体の上記貫通孔を充填ペーストにより封口パタ
ーン状に封口する工程を行う。この際には、セラミック
成形体の貫通孔に、封口パターン状に開孔が形成された
マスクを当接し、充填ペーストを上記マスクの開孔から
上記貫通孔に侵入させることにより、充填ペーストで一
部の貫通孔を封口する。
形体の製造の際に使用した混合組成物と同様のものか、
又は、上記混合組成物にさらに分散媒を添加したものが
好ましい。
製されたセラミック成形体中の樹脂を熱分解する工程を
行う。この脱脂工程では、通常、上記セラミック成形体
を脱脂用治具上に載置した後、脱脂炉に搬入し、酸素含
有雰囲気下、400〜650℃に加熱する。これによ
り、バインダー等の樹脂成分が揮散するとともに、分
解、消失し、ほぼセラミック粉末のみが残留する。
ク成形体を、焼成用治具上に載置して焼成する工程を行
う。この焼成工程では、窒素、アルゴン等の不活性ガス
雰囲気下、2000〜2200℃で脱脂したセラミック
成形体を加熱し、セラミック粉末を焼結させることによ
り、多数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設された
柱状のセラミック焼結体を製造する。
工程では、焼成用治具上に上記炭化珪素成形体を載せ、
そのまま、脱脂工程及び焼成工程を行うことが好まし
い。脱脂工程及び焼成工程を効率的に行うことができ、
また、載せ代え等において、セラミック成形体が傷つく
のを防止することができるからである。
てて長手方向に並設され、上記隔壁がフィルタとして機
能するように構成された多孔質セラミック焼結体を製造
した後、この多孔質炭化珪素焼結体の結束工程として、
多孔質セラミック焼結体の外壁部分に上述した接着層を
形成し、所定の大きさになるように上記多孔質セラミッ
ク焼結体を複数個結束してセラミックブロックを作製す
る。
いては、図3に示したように、断面がV字形状に構成さ
れた台60の上に、斜めに傾斜した状態で載置した多孔
質セラミック部材20の上側を向いた2つの側面20
a、20bに、第一又は第二の本発明の接着剤を、例え
ば、刷毛、スキージ、ロール等を用いて印刷して、所定
の厚さの接着層61を形成する。
ラミック部材20を積層する。そして、このような多孔
質セラミック部材20の側面に接着層61を形成してか
ら、他の多孔質セラミック部材20を積層する工程を繰
り返して行い、所定の大きさの角柱状のセラミックブロ
ックを作製する。
100℃、1時間の条件で加熱して乾燥、硬化させ、そ
の後、例えば、ダイヤモンドカッター等を用いて、その
外周部を図1に示したセラミック構造体10とほぼ同様
に切削した後、その外周部にシール材12を形成するこ
とにより、本発明のセラミック構造体の製造を終了す
る。
セラミック部材の接着強度に優れ、熱伝導率も高いセラ
ミック構造体を製造することができる。
明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるもの
ではない。
10重量%)6.4重量%、カルボキシメチルセルロー
ス0.4重量%、シリカゾル(シリカ含有率30重量
%)24.2重量%、シリカ−アルミナセラミックファ
イバー48.2重量%、トリエタノールアミン1.2重
量%、スチレン無水マレイン酸共重合アルキルエステル
アンモニウム塩水溶液(ELF Atochem No
rth America Inc製、SMA)0.1重
量%及び水19.5重量%を混合、混練し、多孔質セラ
ミック部材接着用の接着剤Aを調製した。
粒径0.7μmのβ型炭化珪素粉末30重量部、メチル
セルロース5重量部、分散剤4重量部、水20重量部を
配合して均一に混合することにより、原料の混合組成物
を調製した。この混合組成物を押出成形機に充填し、押
出速度2cm/分にてハニカム形状の生成形体を作製し
た。この生成形体は、図2に示した多孔質セラミック部
材20とほぼ同様であり、その大きさは33mm×33
mm×300mmで、平均気孔径が1〜40μm、貫通
孔の数が31/cm2 で、隔壁の厚さが0.35mmで
あった。
と同成分の充填剤ペーストを用いて、炭化珪素焼結体の
貫通孔の所定箇所に充填剤を充填した後、450℃で脱
脂し、さらに、2200℃で加熱焼成することで、その
大きさが33mm×33mm×300mmの多孔質炭化
珪素部材を製造した。
材の一の外周面に上記Aで調製した接着剤Aを貼着し、
接着層を形成した。そして、この接着層の上に他の多孔
質炭化珪素部材を載置し、100℃、1時間で乾燥、硬
化させ、3つの多孔質炭化珪素部材が連続して結合した
多孔質炭化珪素部材の結合体を作製した。
10重量%)5.08重量%、カルボキシメチルセルロ
ース0.32重量%、シリカゾル(シリカ含有率30重
量%)18.93重量%、シリカ−アルミナセラミック
ファイバー37.86重量%、炭化珪素粉末(屋久島電
工社製、GC−15)24.57重量%、トリエタノー
ルアミン0.97重量%、スチレン無水マレイン酸共重
合アルキルエステルアンモニウム塩水溶液(ELF A
tochem North America Inc
製、SMA)0.08重量%及び水12.19重量%を
混合、混練し、多孔質セラミック部材接着用の接着剤B
を調製した。
粒径0.7μmのβ型炭化珪素粉末30重量部、メチル
セルロース5重量部、分散剤4重量部、水20重量部を
配合して均一に混合することにより、原料の混合組成物
を調製した。この混合組成物を押出成形機に充填し、押
出速度2cm/分にてハニカム形状の生成形体を作製し
た。この生成形体は、図2に示した多孔質セラミック部
材20とほぼ同様であり、その大きさは33mm×33
mm×300mmで、平均気孔径が1〜40μm、貫通
孔の数が31/cm2 で、隔壁の厚さが0.35mmで
あった。
と同成分の充填剤ペーストを用いて、炭化珪素焼結体の
貫通孔の所定箇所に充填剤を充填した後、450℃で脱
脂し、さらに、2200℃で加熱焼成することで、その
大きさが33mm×33mm×300mmの多孔質炭化
珪素部材を製造した。
材の一の外周面に上記Aで調製した接着剤Bを貼着し、
接着層を形成した。そして、この接着層の上に他の多孔
質炭化珪素部材を載置し、100℃、1時間で乾燥、硬
化させ、3つの多孔質炭化珪素部材が連続して結合した
多孔質炭化珪素部材の結合体を作製した。
ニルアルコール含有率10重量%)11.73重量%、
無機繊維としてアルミナシリカからなるセラミックファ
イバー59.13重量%、無機バインダーとしてシリカ
ゾル(ゾル中のSiO2 の含有量:30重量%)16.
19重量%および水12.95重量%を用いて多孔質セ
ラミック部材用接着剤を調製したほかは、実施例1と同
様にして多孔質炭化珪素部材の結合体を作製した。
5重量%、無機繊維としてシリカ−アルミナセラミック
ファイバー23.3重量%、無機バインダーとしてシリ
カゾル(ゾル中のSiO2 の含有量:30重量%)7重
量%、平均粒径0.3μmの炭化珪素粉末30.2重量
%、及び、水39重量%を調製して、多孔質セラミック
部材用接着剤を調製したほかは、実施例1と同様にして
多孔質炭化珪素部材の結合体を作製した。
多孔質炭化珪素部材の結合体の性能評価を以下に示す方
法にて測定した。
し、続いて、上記結合体を、両端の多孔質炭化珪素部材
が上記角柱状部材の上に載るように載置し、中心の多孔
質炭化珪素部材に荷重をかけ、接着層に剥がれが生じた
時の荷重を測定し、その曲げ強度を求めた。また、実際
の使用では、室温〜900℃程度までの急熱、急冷が予
想されるため、室温〜900℃のヒートサイクル試験
(100回)を行った後のものについても同様の評価を
行った。その結果を下記の表1に示す。
した後、その外周を断熱材30で囲い、ヒータ31の上
に設置して600℃で30分間加熱することにより、上
部の温度T1と下部の温度T2との温度差を測定した。
その結果を表1に示す。
施例1〜2に係る多孔質炭化珪素部材の結合体の接着層
の代表的な接着強度は0.7〜0.8MPaであり、そ
の上端と下端との温度差は150〜170℃であるが、
比較例1〜2に係る多孔質炭化珪素部材の結合体の接着
層の代表的な接着強度は0.1〜0.2MPa、その温
度差は250〜260℃といずれも、実施例に係る多孔
質炭化珪素部材の結合体よりも劣ったものであった。な
お、本実施例及び比較例においては、多孔質炭化珪素部
材を3個だけ連続して結合したものを使用して、その接
着強度及び熱伝導率を測定したが、実際のセラミック構
造体には、多数の多孔質炭化珪素部材を結合するため、
接着強度及び熱伝導率の値の差はさらに顕著なものとな
る。
あるので、多孔質セラミックからなる多孔質セラミック
部材と接着層との馴染みがよく、上記多孔質セラミック
部材同士を高い接着強度で強固に接合することができ
る。
りであるので、多孔質セラミックからなる多孔質セラミ
ック部材と接着層との馴染みがよく、上記多孔質セラミ
ック部材同士を高い接着強度で強固に接合することがで
きるとともに、上記接着層の熱伝導率を高いレベルで維
持することができる。
り、第一又は第二の本発明の接着剤を用いて形成されて
いるので、多孔質セラミック部材と接着層との馴染みが
よく、接着強度及び熱伝導率に優れたものとなる。
上述の通りであるので、多孔質セラミック部材と接着層
との馴染みがよく、接着強度及び熱伝導率に優れたセラ
ミック構造体を製造することができる。
的に示した斜視図である。
ラミック部材を模式的に示した斜視図である。
示した説明図である。
Claims (6)
- 【請求項1】 多孔質セラミックから構成される多孔質
セラミック部材を接合するために用いられる接着剤であ
って、少なくともヒドロキシル基を有する直鎖型高分子
化合物、前記直鎖型高分子化合物以外の有機バインダ
ー、無機バインダー及び無機繊維を含むことを特徴とす
る接着剤。 - 【請求項2】 多孔質セラミックから構成される多孔質
セラミック部材を接合するために用いられる接着剤であ
って、少なくともヒドロキシル基を有する直鎖型高分子
化合物、前記直鎖型高分子化合物以外の有機バインダ
ー、無機バインダー、無機繊維及び無機粒子を含むこと
を特徴とする接着剤。 - 【請求項3】 少なくともヒドロキシル基を有する直鎖
型高分子化合物は、ポリビニルアルコールである請求項
1又は2記載の接着剤。 - 【請求項4】 ポリビニルアルコールの添加量は、0.
2〜2.0重量%である請求項3記載の接着剤。 - 【請求項5】 多数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に
並設された角柱形状の多孔質セラミック部材が接着層を
介して複数個結束されてセラミックブロックを構成し、
前記貫通孔を隔てる隔壁が粒子捕集用フィルタとして機
能するように構成されたセラミック構造体であって、前
記接着層は、請求項1〜4のいずれか1記載の接着剤を
用いて形成されてなることを特徴とするセラミック構造
体。 - 【請求項6】 多数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に
並設された角柱形状の多孔質セラミック部材が接着層を
介して複数個結束されてセラミックブロックを構成し、
前記貫通孔を隔てる隔壁が粒子捕集用フィルタとして機
能するように構成されたセラミック構造体の製造方法で
あって、前記多孔質セラミック部材の側面に、請求項1
〜4のいずれか1に記載の接着剤を塗布し、前記接着剤
の上に他の多孔質セラミック部材を積層する工程を繰り
返して、セラミックブロックを組み上げる工程を含むこ
とを特徴とするセラミック構造体の製造方法。
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