JP4357057B2 - ハニカムフィルタおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、多孔質炭化珪素焼結体及び該焼結体内部の一部に形成された充填材層とからなる排気ガス浄化用のハニカムフィルタ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
バス、トラック等の車両や建設機械等の内燃機関から排出される排気ガス中に含有されるパティキュレートが環境や人体に害を及ぼすことが最近問題となっている。この排気ガスを多孔質セラミックを通過させることにより、排気ガス中のパティキュレートを捕集して排気ガスを浄化するハニカムフィルタが種々提案されている。
【0003】
ハニカムフィルタは、通常、図5に示すような多孔質セラミック部材32が複数個結束されてハニカムフィルタ30を構成している。また、この多孔質セラミック部材32は、図6に示すように、長手方向に多数の貫通孔35が並設され、貫通孔35同士を隔てる隔壁37がフィルタとして機能するようになっている。
【0004】
すなわち、多孔質セラミック部材32に形成された貫通孔35は、図6(b)に示すように、排気ガスの入り口側又は出口側の端部のいずれかが充填材36により目封じされ、一の貫通孔35に流入した排気ガスは、必ず貫通孔35を隔てる隔壁37を通過した後、他の貫通孔35から流出するようになっており、排気ガスがこの隔壁37を通過する際、パティキュレートが隔壁37部分で捕捉され、排気ガスが浄化される。
【0005】
従来、このような多孔質セラミック部材32を製造する際には、まず、セラミック粉末とバインダーと分散媒液とを混合して成形体製造用の混合組成物を調製した後、この混合組成物の押出成形等を行うことにより、セラミック成形体を作製する。
【0006】
得られたセラミック成形体を乾燥させた後、セラミック成形体中のバインダー等を熱分解させる脱脂工程及び炭化珪素の焼成を行う焼成工程を経て、多孔質セラミック部材32を製造する。
【0007】
そして、得られた多孔質セラミック部材32を複数個、接着剤(ペースト)を介して結束させた後、周辺部の切削加工を行って図5に示すような円柱形状とし、この加工により発生した周辺の凹部(貫通孔部分)にペーストを充填することにより、必要な大きさ及び形状のハニカムフィルタ30を製造していた。
【0008】
このように、小さな柱状の多孔質セラミック部材32からなるセグメントを複数個結束させて大きな柱状体を作製した後、切削加工等を施して円柱形状のものを作製するという複雑な工程によりハニカムフィルタを製造していたのは、以下のような理由による。
【0009】
すなわち、1回の押出成形により長手方向に多数の貫通孔が並設された円柱形状の大きな成形体を作製し、これを焼成等することにより、いきなり最終製品であるハニカムフィルタを製造する方法もある。
【0010】
しかし、炭化珪素のようなセラミック材料は、その熱膨張係数が大きいことから、このような方法で製造したハニカムフィルタは、フィルタとして使用中の昇温、降温等により、大きく膨張又は収縮する。
【0011】
この膨張、収縮によりハニカムフィルタに亀裂や破損箇所が生じ、フィルタとして機能しなくなってしまうため、小さなセグメントを結束させるという複雑な工程を経てハニカムフィルタ30を製造していたのである。
【0012】
小さなセグメントを結束させるハニカムフィルタの製造方法は、設備の小型化、製造の容易さ、多品種対応等の面では有利な点もあるが、各セグメントの接着工程、切削加工工程、外周部のコーティング工程等が必要となり、また、切削加工により不要部分を取り除かなければならず、その部分は廃棄するため、一体化物に比べ時間的、経済的に不利であるという問題があった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、これらの問題を解決するためになされたもので、フィルタとして使用しても、膨張、収縮により多孔質セラミック部材の隔壁や外壁が破損することがなく、該多孔質セラミック部材の接着工程、切削加工工程及びフィルタ外周部のコーティング工程が不要で、安価に製造が可能なハニカムフィルタ、及び、上記ハニカムフィルタの製造方法を提供することを目的とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明のハニカムフィルタは、多数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設され、上記貫通孔の端部のいずれかが充填材により目封じされることにより上記隔壁がフィルタとして機能するように構成された多孔質炭化珪素焼結体と上記焼結体内部の一部に形成された充填材層とからなる排気ガス浄化用のハニカムフィルタであって、外壁を有し、その内部に複数の上記貫通孔が隔壁を隔てて並設された多孔質炭化珪素部材が、上記多孔質炭化珪素部材と同材質からなる連結部を介して複数個結束され、上記多孔質炭化珪素部材の外壁同士を隔てる空隙部には、上記充填材層が形成されていることを特徴とする。
【0015】
また、本発明のハニカムフィルタの製造方法は、押出成形法を用い、外壁を有し、その内部に複数の貫通孔が隔壁を隔てて並設された柱状部が、連結部を介して複数個結束された形状からなる、炭化珪素粉末と樹脂とを含む炭化珪素成形体を作製する成形体作製工程と、作製された炭化珪素成形体の上記貫通孔の端部のいずれかが充填材により目封じされるように充填ペーストにより封口する封口工程と、上記炭化珪素成形体中の樹脂を熱分解して、消失させる脱脂工程と、上記脱脂工程を経た上記炭化珪素成形体の焼成を行って多孔質炭化珪素焼結体を製造する焼成工程と、上記焼成工程により得られた多孔質炭化珪素焼結体の外壁同士を隔てる空隙部に、炭化珪素粉末を含む充填用ペーストを充填して充填材層を形成する充填工程とを含むことを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のハニカムフィルタについて、図面を参照しながら説明する。
【0017】
図1は、本発明のハニカムフィルタの一形態を模式的に示した斜視図であり、図2は、本発明のハニカムフィルタの一形態を模式的に示した正面図であり、図3、図4は、図2中A、Bで示した各部分の部分拡大図である。
【0018】
図1及び図2に示したように、本発明のハニカムフィルタ10は、外壁を有し、その内部に複数の貫通孔が隔壁を隔てて並設された多孔質炭化珪素部材11が、多孔質炭化珪素部材11と同材質からなる連結部13を介して複数個結束され、多孔質炭化珪素部材11の外壁12同士を隔てる空隙部には、充填材層14が形成されている。
【0019】
図3に示した多孔質炭化珪素部材11は、外壁12に連結部13が設けられている以外は、図6(b)に示した多孔質セラミック部材32と同様に形成され、排気ガスの入り口側又は出口側の端部のいずれかが充填材16により目封じされ、一の貫通孔15に流入した排気ガスは、必ず貫通孔15を隔てる隔壁17を通過した後、他の貫通孔15から流出するようになっており、排気ガスがこの隔壁17を通過する際、パティキュレートが隔壁17部分で捕捉され、排気ガスが浄化されるようになっている。
【0020】
一方、図4に示した多孔質炭化珪素部材11は、同様の機能を有するものであるが、ハニカムフィルタ10の外周部18近傍に位置するため、図3に示した多孔質セラミック部材11と異なり、完全な四角柱形状となっておらず、外周部の形状に合わせてカットされたような形状となっており、上側の外壁12aの外側は、曲面により構成されている。また、貫通孔15は、外周部18に露出しておらず、多孔質炭化珪素部材11の内部に入ったガスが外に漏れないようになっている。
【0021】
連結部13は、このような構成の個々の多孔質炭化珪素部材11を機械的に支持し、連結する役割を有しているが、実際にフィルタとして使用された場合には、このハニカムフィルタ10が膨張、収縮し、これにより連結部13に大きな応力が作用する。
【0022】
もし、この連結部13がこの応力に対して充分に大きな機械的強度を有していると、この応力は、多孔質炭化珪素部材11内部の隔壁17や外壁12に作用し、隔壁17や外壁12にクラックが生じ、フィルタとして機能しなくなることも考えられる。
【0023】
そこで、本発明のハニカムフィルタ10は、使用中の膨張、収縮により応力が作用した場合に、連結部13が簡単に破損する厚さで形成されていることが好ましい。つまり、連結部13が破損することにより、多孔質炭化珪素部材11の破損を防ぐことができるのである。連結部13が破損しても、各多孔質炭化珪素部材11は、充填材層14により接着されているため、全体がばらばらになることはない。
【0024】
連結部13の厚さとしては特に限定されないが、炭化珪素成形体を作成した際に、隣合う炭化珪素成形体同士を支持、連結することができ、かつ、フィルタとして使用中の膨張、収縮により、破損が可能な範囲であれば薄い方が好ましい。また、図4に示したように、連結部13aの一部の幅が狭くなって、簡単に破損するような構造となっていてもよい。
【0025】
本発明のハニカムフィルタの外周部18は、凹凸のないほぼ平滑な壁面により構成されていることが好ましい。外周部18のコーティングを不要とするためである。この外周部18は、多孔質炭化珪素部材のみから構成されていてもよいが、充填材層14が外周部表面に露出し、これにより外周部18が分割されている構造の方が好ましい。
【0026】
外周部18が、完全に凹凸のない平滑なセラミック壁面により連続的に構成されていると、フィルタの使用中の膨張、収縮により、外周部18を構成する多孔質炭化珪素に亀裂、破損が生じる恐れがあるからである。
【0027】
充填材層14は、多孔質炭化珪素部材11の外壁12同士を隔てる空隙部に形成されており、これにより、排気ガスがパティキュレートを捕集せずにそのまま通過するのを防止している。また、多孔質炭化珪素部材11同士を接着する役目も果たしている。この充填材層14は、少なくとも無機繊維、無機バインダー、有機バインダー及び無機粒子からなる充填用ペーストを用いて、充填した後、乾燥させることにより形成されたものである。なお、上記充填用ペーストについては後述する。
【0028】
次に、本発明のハニカムフィルタの製造方法について図面を参照しながら説明する。
【0029】
本発明のハニカムフィルタの製造方法は、押出成形法を用い、外壁を有し、その内部に複数の貫通孔が隔壁を隔てて並設された柱状部が、連結部を介して複数個結束された形状からなる、炭化珪素粉末と樹脂とを含む炭化珪素成形体を作製する成形体作製工程と、作製された炭化珪素成形体の上記貫通孔の端部のいずれかが充填材により目封じされるように充填ペーストにより封口する封口工程と、上記炭化珪素成形体中の樹脂を熱分解して、消失させる脱脂工程と、上記脱脂工程を経た上記炭化珪素成形体の焼成を行って多孔質炭化珪素焼結体を製造する焼成工程と、上記焼成工程により得られた多孔質炭化珪素焼結体の外壁同士を隔てる空隙部に、炭化珪素粉末を含む充填用ペーストを充填して充填材層を形成する充填工程とを含むことを特徴とする。
【0030】
本発明では、初めに、成形体作製工程として、押出成形法を用い、外壁を有し、その内部に複数の貫通孔が隔壁を隔てて並設された柱状部が、連結部を介して複数個結束された形状からなる、炭化珪素粉末と樹脂とを含む炭化珪素成形体を作製する工程を行う。
【0031】
上記工程においては、まず、炭化珪素粉末とバインダーと分散媒液とを混合して成形体製造用の混合組成物を調製した後、この混合組成物の押出成形を行うことにより、外壁を有し、その内部に複数の貫通孔が隔壁を隔てて並設された柱状部が、連結部を介して複数個結束された形状からなる炭化珪素成形体を作製し、この後、この成形体を乾燥させることにより分散媒液を蒸発させ、炭化珪素粉末と樹脂とを含む炭化珪素成形体を作製する。なお、この炭化珪素成形体には、少量の分散媒液が含まれていてもよい。
【0032】
この炭化珪素成形体の外観の形状は、図1〜4に示した形状とほぼ同形状であるほか、楕円柱状や三角柱状等であってもよい。なお、本工程では、充填材層14及び充填材16に相当する部分は空洞となっている。
【0033】
上記バインダーとしては特に限定されず、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコール、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等を挙げることができる。上記バインダーの配合量は、通常、上記炭化珪素粉末100重量部に対して、1〜10重量部程度が好ましい。
【0034】
上記分散媒液としては特に限定されず、例えば、ベンゼン等の有機溶媒;メタノール等のアルコール、水等を挙げることができる。上記分散媒液は、上記樹脂の粘度が一定範囲内となるように、適量配合される。
【0035】
次に、封口工程として、作製された炭化珪素成形体の上記貫通孔を充填ペーストにより封口パターン状に封口する工程を行う。この際には、炭化珪素成形体の貫通孔15に、封口パターン状に開孔が形成されたマスクを当接し、充填ペーストを上記マスクの開孔から上記貫通孔に侵入させることにより、充填ペーストで一部の貫通孔15を封口する。
【0036】
上記充填ペーストとしては、セラミック成形体の製造の際に使用した混合組成物と同様のものか、又は、上記混合組成物にさらに分散媒を添加したものが好ましい。
【0037】
次に、脱脂工程として、上記工程により作製された炭化珪素成形体中の樹脂を熱分解する工程を行う。この脱脂工程では、通常、上記炭化珪素成形体を脱脂用治具上に載置した後、脱脂炉に搬入し、酸素含有雰囲気下、400〜650℃に加熱する。これにより、バインダー等の樹脂成分が揮散するとともに、分解、消失し、ほぼ炭化珪素粉末のみが残留する。
【0038】
次に、焼成工程として、脱脂した炭化珪素成形体を、焼成用治具上に載置して焼成する工程を行う。この焼成工程では、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下、2000〜2200℃で脱脂した炭化珪素成形体を加熱し、炭化珪素粉末を焼結させることにより、外壁を有し、その内部に複数の貫通孔が隔壁を隔てて並設された多孔質炭化珪素部材が連結部を介して複数個結束された形状の多孔質炭化珪素焼結体を作製する。
【0039】
なお、脱脂工程から焼成工程に至る一連の工程では、焼成用治具上に上記炭化珪素成形体を載せ、そのまま、脱脂工程及び焼成工程を行うことが好ましい。脱脂工程及び焼成工程を効率的に行うことができ、また、載せ代え等において、炭化珪素成形体が傷つくのを防止することができるからである。
【0040】
このようにして、多数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設され、上記隔壁がフィルタとして機能するように構成された多孔質炭化珪素焼結体を製造した後、充填工程として、上記多孔質炭化珪素焼結体を構成する多孔質炭化珪素部材の外壁同士を隔てる空隙部に、炭化珪素粉末を含む充填用ペーストを充填し、充填材層14を形成する工程を行う。
【0041】
上記充填用ペーストは、少なくとも無機繊維、無機バインダー、有機バインダー及び無機粒子からなるものである。
【0042】
上記無機繊維としては、例えば、シリカーアルミナ、ムライト、アルミナ、シリカ等を挙げることができ、配合量としては、充填材層中固形分で、10〜70重量%が好ましく、10〜40重量%がより好ましく、20〜30重量%がさらに好ましい。
【0043】
上記無機バインダーとしては、例えば、シリカゾル、アルミナゾル等を挙げることができ、配合量としては、固形分で、1〜30重量%が好ましく、1〜15重量%がより好ましく、5〜9重量%がさらに好ましい。
【0044】
上記有機バインダーとしては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシセルロース等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記有機バインダーのなかでは、カルボキシセルロースが好ましい。
【0045】
上記無機繊維、有機バインダー、無機バインダーは全て、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、上記有機バインダーおよび無機バインダー中の水分は、充填後の加熱により、分解又は蒸発していてもよい。
【0046】
また、上記無機粒子とは、炭化珪素であり、配合量としては、固形分で、3〜80重量%が好ましく、10〜60重量%がより好ましく、20〜40重量%がさらに好ましい。本工程を経ることにより、上述した構成の本発明のハニカムフィルタ10を製造することができる。
【0047】
上述した本発明のハニカムフィルタの製造方法を用いることにより、多孔質炭化珪素部材が連結部を介して一体化したハニカムフィルタを製造することができ、従来のように複数の多孔質炭化珪素部材を接着、結束する工程、結束された多孔質炭化珪素部材の切削加工を行う工程、外周部のコーティング工程等も不要となり、より安価に、かつ、効率よくハニカムフィルタ10を製造することができる。
【0048】
【実施例】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0049】
実施例1平均粒子径30μmのα型炭化珪素粉末70重量部、平均粒子径0.28μmのβ型炭化珪素粉末30重量部、メチルセルロース5重量部、分散剤4重量部、水20重量部を配合して均一に混合することにより、原料の混合組成物を調製した。
【0050】
この混合組成物を、押出成形装置に充填し、押出速度2cm/分にて図1に示した形状とほぼ同形状の炭化珪素成形体を作製した。
【0051】
次に、炭化珪素粉末を含有し、分散媒として、グリコールエーテル系溶媒を使用した充填ペーストの液中に、マスクを密着させた炭化珪素成形体を浸漬することにより、封口処理を行った。このとき、充填ペーストの粘度は、室温で6000cPであり、40℃において、4000cPであった。
【0052】
次に、封口処理後の炭化珪素成形体を5%の酸素濃度を有するガス雰囲気中、450℃で加熱することにより脱脂を行い、非酸化性雰囲気中、2200℃で焼成する工程を経て、ハニカムフィルタ10と同形状の多孔質炭化珪素焼結体を作製した。その後、得られた多孔質炭化珪素焼結体の外壁同士を隔てる空隙部に、充填用ペーストを押し込んで充填材層を形成することにより、図1〜4に示した構造のハニカムフィルタ10を製造した。
【0053】
作製したハニカムフィルタ10において、四角柱状の孔質炭化珪素部材11に相当する部分は、その外形が33mm×33mm×300mmの直方体であり、貫通孔15の数は、31個/cm2 、隔壁17又は外壁12の厚さは、0.35mmであった。また、ハニカムフィルタ10の直径は144mmであり、連結部に相当する箇所は、その厚さが0.4mmであった。
【0054】
次に、製造したハニカムフィルタを用いてパティキュレートの捕集試験を行ったところ、漏れ等は観察されず、通常のハニカムフィルタの場合と同様に、長期間にわたってパティキュレートを完全に捕集することができた。
【0055】
また、使用中の加熱及び冷却の繰り返しによる膨張や収縮のために、連結部13は破損されたが、多孔質炭化珪素部材の隔壁17や外壁12に傷、破損等は観察されなかった。
【0056】
【発明の効果】
本発明のハニカムフィルタは、上述の通りであるので、フィルタとして使用しても、膨張、収縮によって多孔質炭化珪素部材の隔壁や外壁が破損しない。また、このハニカムフィルタの製造の際、小さなセグメントを接着、結束させる工程、切削、加工の工程、及び、外周部のコーティング工程等も不要であるため、安価なハニカムフィルタとなる。
【0057】
また、本発明のハニカムフィルタの製造方法は、上述の通りであるので、小さなセグメントを接着、結束させる工程、切削、加工の工程、及び、外周部のコーティング工程が不要であり、安価に、かつ、効率よくハニカムフィルタを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のハニカムフィルタの一形態を模式的に示す斜視図である。
【図2】本発明のハニカムフィルタの一形態を模式的に示す正面図である。
【図3】図2に示したハニカムフィルタにおいて、Aで示した部分の部分拡大図である。
【図4】図2に示したハニカムフィルタにおいて、Bで示した部分の部分拡大図である。
【図5】従来のハニカムフィルタを模式的に示す斜視図である。
【図6】(a)は、図5に示したハニカムフィルタに用いる多孔質セラミック部材を模式的に示した斜視図であり、(b)は、その縦断面図である。
【符号の説明】
10、30 ハニカムフィルタ
11 多孔質炭化珪素部材
12 外壁
13 連結部
14 充填材層
15、35 貫通口
16、36 充填材
17、37 隔壁
18 外周部
32 多孔質セラミック部材
Claims (4)
- 多数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設され、前記貫通孔の端部のいずれかが充填材により目封じされることにより前記隔壁がフィルタとして機能するように構成された多孔質炭化珪素焼結体と前記焼結体内部の一部に形成された充填材層とからなる排気ガス浄化用のハニカムフィルタであって、
外壁を有し、その内部に複数の前記貫通孔が隔壁を隔てて並設された多孔質炭化珪素部材が、前記多孔質炭化珪素部材と同材質からなる連結部を介して複数個結束され、
前記多孔質炭化珪素部材の外壁同士を隔てる空隙部には、前記充填材層が形成されていることを特徴とするハニカムフィルタ。 - 連結部は、フィルタとして使用中の膨張、収縮により、破損が可能な厚さで形成されている請求項1記載のハニカムフィルタ。
- 外周部分は、凹凸のないほぼ平滑な壁面により構成されている請求項1又は2記載のハニカムフィルタ。
- 押出成形法を用い、外壁を有し、その内部に複数の貫通孔が隔壁を隔てて並設された柱状部が、連結部を介して複数個結束された形状からなる、炭化珪素粉末と樹脂とを含む炭化珪素成形体を作製する成形体作製工程と、
作製された炭化珪素成形体の前記貫通孔の端部のいずれかが充填材により目封じされるように充填ペーストにより封口する封口工程と、
前記炭化珪素成形体中の樹脂を熱分解して、消失させる脱脂工程と、
前記脱脂工程を経た前記炭化珪素成形体の焼成を行って多孔質炭化珪素焼結体を製造する焼成工程と、
前記焼成工程により得られた多孔質炭化珪素焼結体の外壁同士を隔てる空隙部に、炭化珪素粉末を含む充填用ペーストを充填して充填材層を形成する充填工程とを含むことを特徴とする請求項1、2又は3記載のハニカムフィルタの製造方法。
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