JP2002105153A - アルケニルフェノール系星型ブロック共重合体、およびその製造方法 - Google Patents

アルケニルフェノール系星型ブロック共重合体、およびその製造方法

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JP2002105153A JP2000298020A JP2000298020A JP2002105153A JP 2002105153 A JP2002105153 A JP 2002105153A JP 2000298020 A JP2000298020 A JP 2000298020A JP 2000298020 A JP2000298020 A JP 2000298020A JP 2002105153 A JP2002105153 A JP 2002105153A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】リニアポリマーに比べて高分子量でしかも低粘
度であり、狭分散性で、かつ、250nm近傍の波長の
光透過率が優れた星型ブロック共重合体及びその製造方
法を提供する。 【解決手段】中心核と該中心核より伸びるポリマー鎖か
らなるアーム部を有する星型ブロック共重合体であっ
て、前記アーム部に、一般式(I) 【化1】 (式中、R1は水素原子又はメチル基を表し、R2は水素
原子又はC1〜C6のアルキル基を表し、pは1又は2
を表す。pが2の場合、R2は同一でも相異なっていて
もよい。)で表される繰り返し単位を有するポリマー鎖
を含み、前記中心核はビニル芳香族モノマー又はジエン
系モノマーから生じるポリマーブロックからなり、か
つ、残留二重結合を実質的に含有しない星型ブロック共
重合体、及びその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、中心核と、アルケ
ニルフェノール系単独重合体又は共重合体をポリマー鎖
とするアーム部とからなる星型ブロック共重合体及びそ
の製造方法に関し、特に、中心核に残存する二重結合を
極力低減することにより、250nm近傍の波長の光透
過率に優れた塗膜を形成することができるアルケニルフ
ェノール系星型ブロック共重合体及びその製造方法に関
する。本発明の星型ブロック共重合体は、エキシマレー
ザー及び電子線用レジスト材料としての利用が期待され
る化合物である。
【0002】
【従来の技術】星型ブロック共重合体は、分子内に中心
核と該中心核から星状にのびるアーム部を有する高分子
である。このものは、エラストマー分岐及び熱可塑性分
岐を有し、良好な耐熱性を有するので、感圧接着剤や粘
度改質剤等種々の用途への適用が知られている。また、
星型ブロック共重合体は、レジスト材料のベースポリマ
ーとしての適用も期待されている。レジスト材料として
は、高分子である方が解像度を上昇させ、耐熱性を有す
るために好ましい。従来の線状高分子(「リニアポリマ
ー」とも称する。)においては、高分子量化するために
は線状構造をさらに延ばす必要がある。そして、その為
に粘度上昇を引き起こし、レジスト塗布工程において問
題となる場合がある。一方、星型ブロック共重合体の場
合には、線状構造とすることなく高分子量化することが
可能であるので、従来の線状高分子に比して、高分子量
で、かつ低粘度のものを得ることができる。
【0003】かかる星型ブロック共重合体としては、例
えば、特開平5−222114号公報には、イソプレン
及びスチレンをアニオン重合させてブロックコポリマー
分子を製造し、次いで、ブロックコポリマー分子1モル
当たり2.5モル以上のポリアルケニルカップリング剤
とカップリングさせ、更に少なくとも95%以上のイソ
プレン単位(オレフィン性不飽和部分)及び15%より
少量のスチレン単位(芳香族性不飽和部分)を選択的に
水素化した星型ポリマーが記載されている。
【0004】特開平6−220203号公報には、
(1、1−ジ置換)アルキルの不飽和カルボン酸エステ
ルから誘導される少なくとも1種のポリマーブロック、
並びに共役ジエンから誘導される少なくとも1種のポリ
マーブロック及び/又はモノビニル芳香族化合物から誘
導される少なくとも1種のポリマーブロックを含む改質
ブロックコポリマーであって、多官能性カップリング剤
の架橋した核を含む改質ブロックコポリマーが記載され
ている。
【0005】特開平6−256436号公報には、水素
化重合共役ジエンを含み、ピーク分子量が10,000
〜200,000の少なくとも3個の第1アーム;重合
メタクリレート及び/又はそのアミド又はイミド誘導体
を含み、ピーク分子量が500〜10,000の少なく
とも3個の第2アーム;及び第1及び第2のアームを星
型配置に接続し、重合ビス不飽和モノマーを含む中心核
に含むポリマーが記載されている。特開平7−9741
3号公報には、下記一般式
【0006】
【化8】
【0007】(式中、Cは架橋ビス不飽和モノマーのブ
ロックであり;A’は各々独立してアニオン重合モノマ
ーのブロックであり;Mはメタクリル酸部分のエチレン
不飽和を介して重合した重合メタクリル酸アルキルのブ
ロックであり;t’は0又は1であり;s及びtは平均
2以上、但しs≦tである)で表される化合物であっ
て、分子量が20,000〜2,000,000であ
り、A’がスチレン又はイソプレンである星型ブロック
ポリマーが記載されている。
【0008】特開平8−48987号公報には、(E
P’−S−EP’’)n−X〔式中、EP’は、水素化
前の数平均分子量が10,000〜100,000であ
るポリイソプレン(I’)の第1水素化されたブロック
であり、Sは数平均分子量が6,000〜50,000
のポリスチレンブロックであり、EP’’は水素化前の
数平均分子量が2,500〜50,000であるポリイ
ソプレン(I’’)の第2の水素化されたブロックであ
り、I’/I’’の分子量比が(Mw)が少なくとも
1.4であり、Xはポリアルケニルカップリング剤から
なる核であり、nは、(EP’−S−EP’’)アーム
1モル当たり2モル以上のポリアルケニルカップリング
剤を反応させることによって形成される星状分子1分子
当たりの平均アーム数を表す。〕で表される構造を有す
るポリスチレンブロック及び水素化ポリイソプレンブロ
ックからなる、粘度指数改良剤として有用な星状ポリマ
ーが記載されている。
【0009】特開平8−81514号公報には、非極性
溶媒に可溶性で如何なる残留二重結合も含有しない(又
は実質的に含有しない)、一般式(I):(PA)a
n-nLi+〔式中、PAは、ビニル芳香族モノマー及び
ジエンモノマーから選ばれる少なくとも1種のモノマー
Aから生じるポリマーブロックを表し、aはPAブロッ
クのアームの数であって、3〜30の数を表し、Nは、
式:(PMc)(RLi)p(式中、Mcは、分子当た
り少なくとも2つの重合性二重結合を含有するモノマー
であり、PMcは、モノマーMc由来の初期二重結合に
関して3〜30%の残留二重結合を含有する少なくとも
1種の重合モノマーMcの架橋コアであり、Rは、直鎖
又は分枝鎖を有するアルキル基等であり、pは、RLi
により中和されているPMc中の残留二重結合の数であ
る。)を有する、如何なる残留二重結合も含有しないか
又は実質的に含有しない架橋コアを表し、nは、架橋コ
ア中に存在するアニオン部位の数であって、a+p(又
はp)に等しい(pは上記の意味を有し、aはRLiの
付加前の架橋PMcコア内に存在するアニオン部位の数
である)〕により表されるアニオン重合の多官能性開始
剤が記載されている。
【0010】特表平8−504865号公報には、
(a)モノビニル芳香族炭化水素、共役ジエン及びそれ
らの混合物からなるグループから選ばれた、少なくとも
1つのアニオン重合した単量体から少なくとも3つのア
ーム、(b)ポリジメチルシロキサンからなる少なくと
も3つのアーム、並びに(C)ポリアルケニル芳香族カ
ップリング剤からなるコア(上記(a)及び(b)のア
ームがこのコアから外側に向かって放射状に伸びてい
る)からなる星形ブロック共重合体が記載されている。
【0011】特表平8−505179号公報には、一般
式:(A”−B)n(B)mX(式中、A”は15,0
00未満のピーク分子量を有するポリスチレンのブロッ
クであり、Bは15,000〜50,000の範囲のピ
ーク分子量を有する水素化共役ジエンのポリマーブロッ
クであり、Xはジビニルベンゼンのブロックであり、か
つ、n及びmは0以上の整数であり、nとmの合計は少
なくとも10である。)のブロックコポリマーが記載さ
れている。
【0012】また、特表平9−5410236号公報に
は、(a)ジビニル芳香族化合物、トリビニル芳香族化
合物、ジエポキシド、ジケトン及びジアルデヒドでなる
群から選ばれるコアを形成する多官能性結合剤4分子以
上、及び(b)前記コアに結合する3以上のカチオン重
合体分枝を含有してなり、前記重合体分枝が、ホモ重合
体、共重合体、少なくとも1つのポリオレフィンセグメ
ント、並びに少なくとも1のポリアリールセグメントを
有するブロック共重合体又はグラフト共重合体からなる
群から選ばれる星型コポリマーが記載されている。
【0013】一方、ポリ−p−ヒドロキシスチレンに代
表されるアルケニルフェノールのホモポリマーやコポリ
マー、中でも、ポリ−(p−ヒドロキシスチレン)や
(p−ヒドロキシスチレン/スチレン)コポリマーは、
化学増幅型エキシマレーザーレジスト材料として有用で
あることが知られている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上述し
た星型ブロック共重合体とポリ−(p−ヒドロキシスチ
レン)骨格の優れた性質を併せ持った新規な星型ブロッ
ク共重合体の創出を試み、星型ブロック共重合体のアー
ム部に、ポリ−(p−ヒドロキシスチレン)骨格を有す
る新規なアルケニルフェノール系星型ブロック共重合体
を開発した。
【0015】しかしながら、このものは、重合可能な二
重結合を有する多官能性化合物を用いて中心核を形成し
ているため、該カップリング剤に由来する二重結合が残
存している場合がある。そして、この残存二重結合は2
50nm付近に吸収領域を有し、最終工程での酸処理
(フェノール性水酸基の保護基の脱離工程)において、
分子量分布が変化したり、250nm付近の波長の光透
過率が低下する問題があった。
【0016】そこで、本発明は、溶液とした場合に、線
状構造のポリマーに比べて高分子量でしかも低粘度であ
り、狭分散性で、かつ、250nm近傍の波長の光透過
率が優れた新規星型ブロック共重合体及びその製造方法
を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意検討した結果、中心核に残存する二重
結合を極力低減した星型ブロック共重合体を製造するこ
とにより、狭分散性に優れ、かつ、250nm近傍の波
長の光透過率が向上し、上記課題を解決できることを見
出し、本発明を完成するに至った。
【0018】すなわち、本発明は第1に、中心核と、該
中心核より伸びるポリマー鎖からなるアーム部(A)を
有する星型ブロック共重合体であって、前記アーム部
(A)は、一般式(I)
【0019】
【化9】
【0020】(式中、R1は水素原子又はメチル基を表
し、R2は水素原子又はC1〜C6のアルキル基を表
し、pは1又は2を表す。pが2の場合、R2は同一又
は相異なっていてもよい。)で表される繰り返し単位を
有するポリマー鎖(A1)を含み、前記中心核は、重合
可能な二重結合を有する多官能性化合物が架橋してなる
ポリマーからなり、かつ、二重結合を実質的に含有しな
いことを特徴とする星型ブロック共重合体を提供する。
【0021】本発明の星型ブロック共重合体において
は、前記ポリマー鎖(A1)は、次の(A)〜(C)の
いずれかであるのが好ましい。 (A)前記一般式(I)及び一般式(II)
【0022】
【化10】
【0023】(式中、R3は水素原子又はメチル基を表
し、R4は水素原子又はC1〜C6のアルキル基を表
し、R5は酸分解脱離基を表し、qは1又は2を表す。
qが2の場合、R4は同一又は相異なっていてもよ
い。)で表される繰り返し単位を有する共重合体。 (B)前記一般式(I)及び一般式(III)
【0024】
【化11】
【0025】(式中、R6は水素原子又はメチル基を表
し、R7は水素原子又はC1〜C6のアルキル基を表
し、rは1又は2を表す。rが2の場合、R7は同一又
は相異なっていてもよい。)で表される繰り返し単位を
有する共重合体。 (C)前記一般式(I)、一般式(III)及び一般式(I
I)で表される繰り返し単位を有する共重合体。
【0026】本発明の星型ブロック共重合体は、前記ア
ーム部(A)を構成するポリマー鎖の数平均分子量が
1,000〜100,000であり、且つ、重量平均分
子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/M
n)が、1.00〜1.50の範囲にあるのが好まし
い。
【0027】本発明の星型ブロック共重合体の中心核
は、1分子あたり少なくとも2つの重合性2重結合を有
する多官能性化合物からなるのが好ましい。前記多官能
性化合物としては、一般式(IV)
【0028】
【化12】
【0029】〔式中、R8は水素原子又はメチル基を表
し、Yは、酸素原子、イオウ原子、r12N(r1及び
2はそれぞれ独立して、水素原子、C1〜C6のアル
キル基、アルコキシカルボニル基を表す。)、置換基を
有していてもよいメチレン基、置換基を有していてもよ
いフェニレン基、C(r34)O、C(r56)S、C
(r78)N(r9)、OC(r1011)、SC(r12
13)、N(r14)C(r1 516)、OCO又はCO2
CH2を表し、r3〜r16はそれぞれ独立して、C1〜C
6のアルキル基又は置換基を有していてもよいフェニル
基を表す。wは0又は1〜2の整数を表し、wが2の場
合、Yは同一又は相異なっていてもよい。また、uは2
又は3を表し、この場合、Y、R8及びWは同一又は相
異なっていてもよい。〕で表される化合物であるのがよ
り好ましい。
【0030】また、本発明の星型ブロック共重合体は、
その数平均分子量が3,000〜200,000であ
り、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の
比(Mw/Mn)が、1.00〜1.50の範囲にある
のがそれぞれ好ましい。
【0031】本発明は第2に、アニオン重合開始剤を用
いるアニオン重合法により、一般式(V)
【0032】
【化13】
【0033】(式中、R3、R4、R5及びqは前記と同
じ意味を表す。)で表される化合物を単独重合、又は前
記一般式(V)で表される化合物と前記一般式(V)で表
される化合物と共重合可能な化合物とを共重合させる工
程と、重合可能な二重結合を有する多官能性化合物をさ
らに共重合させる工程と、得られた反応液に、残存する
二重結合に対応する量又はそれ以上の有機アルカリ金属
を添加する工程と、及びフェノール性水酸基の保護基を
脱離させる工程とを有する前記星型ブロック共重合体の
製造方法を提供する。
【0034】本発明の製造方法においては、多官能性化
合物(S)と、前記一般式(V)で表される化合物を単
独重合させたポリマー鎖も活性末端(Q1)、又は前記
一般式(V)で表される化合物と共重合可能な化合物と
共重合させて得られるポリマー鎖の活性末端(Q2)の
モル比(S/(Q1又はQ2))は0.1〜10である
のが好ましい。前記多官能性化合物は、一般式(IV)
【0035】
【化14】
【0036】(式中、R8、w、u及びYは前記と同じ
意味を表す。)で表される化合物であるのが好ましい。
また、前記一般式(V)で表される化合物と共重合可能
な化合物としては、一般式(VI)
【0037】
【化15】
【0038】(式中、R6、R7及びrは、前記と同じ意
味を表す。)で表される化合物であるのが好ましい。本
発明は第3に、中心核と、該中心核より伸びるポリマー
鎖からなるアーム部を有する星型ブロック共重合体であ
って、前記星型ブロック共重合体により略1.0μmの
厚さに形成された薄膜の250nm近傍の光透過率が5
0%以上である星型ブロック共重合体を提供する。
【0039】また、前記星型ブロック共重合体は、20
重量%未満の残留アームポリマーを含有してなるのが好
ましい。該星型ブロック共重合体としては、前記第1の
発明の星型ブロック共重合体であるのがより好ましい。
【0040】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明す
る。 1)アルケニルフェノール系星型ブロック共重合体 本発明の星型ブロック共重合体は、中心核と、該中心核
に、前記一般式(I)で表される繰り返し単位を有する
ポリマー鎖(A1)を含有するアーム部を有する。
【0041】本発明の星型ブロックコポリマーのポリマ
ー鎖(A1)は、次の〜のいずれかであるのが好ま
しい。 第1のタイプは、前記一般式(I)で表される繰り返
し単位からなるホモポリマーである。一般式(I)で表
される繰り返し単位中、R1は水素原子又はメチル基を
表し、R2は、水素原子、又はメチル基、エチル基、イ
ソプロピル基、t−ブチル基等のC1〜C6のアルキル
基を表し、pは1又は2を表す。pが2の場合、R2
同一又は相異なっていてもよい。R2及び水酸基(OH
基)の置換位置は特に制限されないが、水酸基の置換位
置は、アルケニル基のパラ位又はメタ位が好ましい。
【0042】第2のタイプは、前記一般式(I)で表
される繰り返し単位及び一般式(II)で表される繰り返
し単位を有する共重合体である。前記一般式(II)で表
される繰り返し単位中、R3は水素原子又はメチル基を
表す。R4は、水素原子又はメチル基、エチル基、イソ
プロピル基、t−ブチル基等のC1〜C6のアルキル基
を表し、qは1又は2を表す。qが2の場合、R 4は同
一又は相異なっていてもよい。また、これらの置換基の
置換位置は特に制限されない。
【0043】R5は酸分解脱離基を表す。ここで、酸分
解脱離基とは、酸により脱離及び/又は分解する基を意
味する。例えば、メトキシメチル基や2−メトキシエト
キシメチル基、ビス(2−クロロエトキシ)メチル基、
テトラヒドロピラニル基、4−メトキシテトラヒドロピ
ラニル基、テトラヒドロフラニル基、トリフェニルメチ
ル基、トリメチルシリル基、2−(トリメチルシリル)
エトキシメチル基、t−ブチルジメチルシリル基、トリ
メチルシリルメチル基、t−ブチル基、t−ブトキシカ
ルボニル基、t−ブトキシカルボニルメチル基、2−メ
チル−2−t−ブトキシカルボニルエチル基等が挙げら
れる。また、R5としては、下式
【0044】
【化16】
【0045】(式中、R9は、C1〜C20の無置換若
しくはアルコキシ基が置換されたアルキル基、C5〜C
10のシクロアルキル基、又はC6〜C20の無置換若
しくはアルコキシ基が置換されたアリール基を表し、R
10は水素原子又はC1〜C3のアルキル基を表し、R11
は、水素原子、C1〜C6のアルキル基又はC1〜C6
のアルコキシ基を表す。)で表される基をさらに例示す
ることができる。
【0046】かかる置換基の具体例としては、1−メト
キシエチル基、1−エトキシエチル基、1−メトキシプ
ロピル基、1−メチル−1−メトキシエチル基、1−
(イソプロポキシ)エチル基等が挙げられる。また、O
5基の置換位置は特に制限されないが、アルケニル基
に対してメタ位又はパラ位が好ましい。
【0047】第3のタイプは、前記一般式(I)及び
一般式(III)で表される繰り返し単位を有する共重合
体である。前記一般式(III)で表される繰り返し単位
中、R6は水素原子又はメチル基を表し、R7は、水素原
子、又はメチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブ
チル基等のC1〜C6のアルキル基を表し、rは1又は
2を表す。rが2の場合、R7は同一又は相異なってい
てもよい。また、これらの置換基の置換位置は特に制限
されない。
【0048】第4のタイプは、前記一般式(I)、一
般式(III)及び一般式(II)で表される繰り返し単位を有
する共重合体である。上記及びの場合、一般式
(I)、(II)及び(III)で表される繰り返し単位の
結合順序や共重合の様式等に特に制限はない。例えば、
ランダム共重合体、ブロック共重合体、交差共重合体等
であってもよい。
【0049】本願発明の星型ブロック共重合体には、必
要に応じて、前記一般式(I)〜(III)で表される繰
り返し単位以外の他の繰り返し単位を含めることができ
る。かかる繰り返し単位としては、前記一般式(I)〜
(III)に対応する単量体と共重合可能な2重結合を有
する化合物から得られる繰り返し単位が挙げられ、スル
ホン酸基、カルボキシル基、フェノール水酸基等の酸性
置換基を有しない繰り返し単位が好ましい。
【0050】かかる繰り返し単位の具体例としては、ビ
ニル基含有化合物や(メタ)アクロイル基含有化合物か
ら得られる繰り返し単位等が挙げられる。ビニル基含有
化合物としては、ビニルピリジン等のヘテロ原子含有芳
香族ビニル化合物;メチルビニルケトン、エチルビニル
ケトン等のビニルケトン化合物;メチルビニルエーテ
ル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル化合物;
ビニルピロリドン、ビニルラクタム等のヘテロ原子含有
脂環式ビニル化合物;等を例示することができる。ま
た、上記(メタ)アクロイル基含有化合物としては、下
記一般式
【0051】
【化17】
【0052】(式中、R12は水素原子又はメチル基を表
し、R13はC1〜C12のアルキル基、炭素数3以上の
脂環式骨格を有する炭化水素基、ヘテロ原子を含有する
C2以上の脂環式骨格を有する炭化水素基又はヘテロア
リール基を表す。)で表される(メタ)アクリル酸エス
テル又は(メタ)アクリロニトリル等を例示することが
できる。ここで、(メタ)アクリルとは、アクリルまた
はメタクリルの意味で用いる。
【0053】上記一般式におけるR13の具体例として
は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピ
ル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−オクチル基、
n−デシル基等、又は下記式
【0054】
【化18】
【0055】(式中、nは0又は1を表す。)で表され
る基を具体的に例示することができる。これらビニル基
含有化合物や(メタ)アクロイル基含有化合物は、1種
又は2種以上の混合物として使用することができる。ま
た、これらビニル基含有化合物や(メタ)アクロイル基
含有化合物から得られる繰り返し単位は、前記一般式
(I)〜(III)に示される繰り返し単位とランダム共
重合あるいはブロック共重合させて、本発明の星型ブロ
ック共重合体に含有させることができる。
【0056】アーム部(A)を構成するポリマー鎖(A
1)の数平均分子量は特に限定されないが、通常1,0
00〜100,000の範囲であるのが好ましく、且
つ、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の
比(Mw/Mn)が、1.00〜1.50の範囲にある
単分散性であるのが好ましい。
【0057】本発明の星型ブロック共重合体の中心核
は、重合可能な二重結合を有する多官能性化合物からな
り、特に、多官能性化合物が重合架橋した構造を有する
のが好ましい。用いることのできる多官能性化合物とし
ては、例えば、分子内に官能基を2つ以上有する化合物
が挙げられ、特に一般式(IV)で表される化合物が好
ましい。
【0058】かかる多官能性化合物としては、具体的に
は、ジビニル芳香族化合物、トリビニル芳香族化合物等
の前記一般式で表される化合物が挙げられる。
【0059】上記ジビニル芳香族化合物としては、例え
ば、1,3−ジビニルベンゼン、1,4−ジビニルベン
ゼン、1,2−ジイソプロペニルベンゼン、1,3−ジ
イソプロペニルベンゼン、1,4−ジイソプロペニルベ
ンゼン、1,3−ジビニルナフタレン、1,8−ジビニ
ルナフタレン、2,4−ジビニルビフェニル、1,2−
ジビニル−3,4−ジメチルベンゼン、1,3−ジビニ
ル−4,5,8−トリブチルナフタレン、2,2′−ジ
ビニル−4−エチル−4′−プロピルビフェニル等を挙
げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種
以上を併用することもできる。
【0060】上記ジビニル芳香族化合物として、例え
ば、ジビニルベンゼン、エチルビニルベンゼン等との混
合物として通常市販されており、上記ジビニル芳香族化
合物が主たる成分であるものをそのまま使用することが
可能である。また、必要に応じて精製して純度を高めて
用いてもよい。更に、スチレン等の他の重合可能な二重
結合芳香族化合物等を混合して使用することができる。
混合比率は、ジビニル芳香族化合物等と混合して架橋重
合した中心核を形成することができれば特に限定されな
いが、通常1〜50重量%、好ましくは5〜20重量%
の範囲である。
【0061】上記トリビニル芳香族化合物としては特に
限定されず、例えば、1,2,4−トリビニルベンゼ
ン、1,3,5−トリビニルナフタレン、3,5,4′
−トリビニルビフェニル、1,5,6−トリビニル−
3,7−ジエチルナフタレン等を挙げることができる。
これらは単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用
することができる。
【0062】また、ビニル芳香族化合物として、ビニル
基と芳香環の間にスペーサーを設けた下記に示すような
化合物を更に例示することができる。これらは、単独で
用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0063】
【化19】
【0064】また、本発明においては、下記化学式で表
される多官能性化合物を例示することができる。
【0065】
【化20】
【0066】前記一般式(V)で表される化合物として
は、具体的には、p−t−ブトキシスチレン、p−t−
ブトキシ−α−メチルスチレン、p−(テトラヒドロピ
ラニルオキシ)スチレン、p−(テトラヒドロピラニル
オキシ)−α−メチルスチレン、p−(1−エトキシエ
トキシ)スチレン、p−(1−エトキシエトキシ)−α
−メチルスチレン等を例示することができ、これらは1
種単独又は2種以上の混合物として使用することができ
る。
【0067】2)アルケニルフェノール系星型ブロック
共重合体の製造 本発明のポリマー鎖(A1)を含むアーム部(A)を有
する星型ブロック共重合体は、(1)アルカリ金属又は
有機アルカリ金属をアニオン重合開始剤として、前記
一般式(V)で示される化合物、一般式(V)で表さ
れる化合物及び一般式(VI)で表される化合物、又は
一般式(V)で表される化合物と該化合物と共重合可
能な二重結合を有する化合物をアニオン重合させた後、
更に、所望により多官能性化合物を反応させ、得られた
反応液に残存する二重結合に対応する量、またはそれ以
上の有機金属を添加し、次いで、得られた共重合体から
フェノール性水酸基の保護基を全部又は一部脱離させる
方法、
【0068】(2)アルカリ金属又は有機アルカリ金属
をアニオン重合開始剤として、多官能性化合物を反応さ
せて多官能性コアを形成した後、得られた反応液に残存
する二重結合に対応する量、またはそれ以上の有機金属
を添加し、次いで、前記一般式(V)で示される化合
物、一般式(V)で表される化合物及び一般式(V
I)で表される化合物、又は一般式(V)で表される
化合物と該化合物と共重合可能な二重結合を有する化合
物をアニオン重合させて共重合体を得、さらに、得られ
た共重合体からフェノール性水酸基の保護基を全部又は
一部脱離させる方法、
【0069】(3)アルカリ金属又は有機アルカリ金属
をアニオン重合開始剤として、多官能性化合物を反応さ
せて多官能性コアを形成した後、次いで、前記一般式
(V)で表される化合物、一般式(V)で表される化
合物及び一般式(VI)で表される化合物、又は一般
式(V)で表される化合物と該化合物と共重合可能な二
重結合を有する化合物をアニオン重合させて共重合体を
得、得られた反応液に残存する二重結合に対応する量又
はそれ以上の有機金属を添加し、更に得られた共重合体
からフェノール性水酸基の保護基を全部又は一部を脱離
させる方法、
【0070】(4)アルカリ金属又は有機アルカリ金属
をアニオン重合開始剤とし、前記一般式(V)で示さ
れる化合物、一般式(V)で表される化合物及び一般
式(VI)で表される化合物、又は一般式(V)で表さ
れる化合物と該化合物と共重合可能な二重結合を有する
化合物をアニオン重合させた後、更に、多官能性化合物
を反応させた後、得られた反応液に残存する二重結合に
対応する量、またはそれ以上の有機金属を添加し、次い
で、他のアニオン重合可能なモノマーを反応させ、得ら
れた共重合体からフェノール性水酸基の保護基を全部又
は一部脱離させる方法、
【0071】(5)アルカリ金属又は有機アルカリ金属
をアニオン重合開始剤として、前記一般式(V)で表
される化合物、一般式(V)で表される化合物及び一
般式(VI)で表される化合物、又は一般式(V)で表
される化合物と該化合物と共重合可能な二重結合を有す
る化合物をアニオン重合させ、多官能性化合物を反応さ
せて多官能性コアを形成した後、次いで、他のアニオン
重合可能なモノマーを反応させ、得られた反応液に残存
する二重結合に対応する又はそれ以上の有機金属を添加
し、更に得られた共重合体からフェノール性水酸基の保
護基を全部又は一部を脱離させる方法等、いずれの方法
でも製造することができる。
【0072】これらの方法のうち、上記(1)、(4)
及び(5)の方法が反応の制御が容易であり、構造が制
御された星型ブロックコポリマーを製造する上で好まし
い。また、本発明の星型ブロック共重合体は、アニオン
重合開始剤の代わりに、リビングカチオン重合開始剤、
リビングラジカル重合開始剤を用いても同様に製造する
ことができる。
【0073】アニオン重合開始剤としては、例えば、ア
ルカリ金属又は有機アルカリ金属等が挙げられる。アル
カリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、
セシウム等を例示することができ、有機アルカリ金属と
しては、上記アルカリ金属のアルキル化物、アリル化
物、アリール化物等が挙げられる。
【0074】これらの中で、本発明においては有機アル
カリ金属を用いるのが好ましい。有機アルカリ金属とし
ては、例えば、エチルリチウム、n-ブチルリチウム、se
c-ブチルリチウム、tert-ブチルリチウム、エチルナト
リウム、リチウムビフェニル、リチウムナフタレン、リ
チウムトリフェニル、ナトリウムナフタレン、α-メチ
ルスチレンナトリウムジアニオン、1,1-ジフェニルヘ
キシルリチウム、1,1-ジフェニル-3-メチルペンチルリ
チウム等を挙げることができる。
【0075】上記(1)、(4)又は(5)の方法にお
けるアーム部を形成する重合反応としては、モノマーの
混合溶液中に重合開始剤を滴下する方法や、重合開始剤
を含む溶液にモノマー混合液を滴下する方法のいずれの
方法でも行うことができるが、分子量及び分子量分布を
制御することができることから、重合開始剤を含む溶液
にモノマー混合液を滴下する方法が好ましい。この反応
は通常、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下、有機
溶媒中において、−100〜50℃、好ましくは−10
0℃〜40℃、更に好ましくは−70℃〜室温の範囲で
行われる。
【0076】用いることのできる有機溶媒としては、n
−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、シク
ロヘキサン、シクロペンタン等の脂環族炭化水素類、ベ
ンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類、ジエチルエー
テル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン等の
エーテル類の他、アニソール、ヘキサメチルホスホロア
ミド等のアニオン重合において通常使用される有機溶媒
を挙げることができ、これらは1種単独又は2種以上の
混合溶媒として使用することができる。
【0077】重合体の形態としては、前述の一般式
(V)で表される化合物、及びビニル芳香族化合物の添
加法を選択することにより、各成分がコポリマー鎖全体
に統計的に分布しているランダム共重合体、部分ブロッ
ク共重合体、完全ブロック共重合体等が挙げられる。
【0078】例えば、(a)前述の一般式(V)で示さ
れる化合物とビニル芳香族化合物との混合物を反応系に
加えて重合することにより得られるランダム共重合体を
得る方法、(b)どちらか一方の一部を予め重合してお
き、その後両者の混合物を加えて重合を継続することに
よリ部分ブロック共重合体を得る方法、あるいは、
(c)前述の一般式(V)で示される化合物とビニル芳
香族化合物とを反応系に逐次添加して重合を行うことに
よリ完全ブロック共重合体を得る方法等が挙げられる。
【0079】このようにして得られた共重合体をアーム
ポリマー鎖とする星型ブロック共重合体を生成せしめる
には、アーム部を得る共重合反応の終了後、反応液中ヘ
さらに多官能性化合物を添加し達成される。この反応は
通常、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で、有機
溶媒中において−100℃〜50℃、好ましくは−70
℃〜室温の温度条件下で重合反応を行うことにより構造
が制御され、且つ分子量分布の狭い重合体を得ることが
出来る。
【0080】またこの反応は、アーム部を形成させるの
に用いた溶媒中で連続して行うこともでき、又は、溶媒
を添加して組成を変更して、あるいは溶媒を別の溶媒に
置換して行うこともできる。溶媒としては、アーム部を
形成する際に用いられる溶媒として列記したものと同様
なものを用いることができる。
【0081】多官能性化合物(S)と、前記一般式
(V)で表される化合物を単独重合させたポリマー鎖の
活性末端(Q1)、又は前記一般式(V)で表される化
合物と共重合させて得られるポリマー鎖の活性末端(Q
2)のモル比(S/(Q1又はQ2))は、好ましくは
0.1〜10、より好ましくは1〜10当量の範囲であ
る。
【0082】多官能性化合物との反応としては、活性末
端を有するアームポリマー鎖に多官能性化合物を添加す
る方法、多官能性化合物に活性末端を有するアームポリ
マー鎖を添加する方法等のいずれの方法も採用すること
ができる。
【0083】星型ブロック共重合体のアーム数は、ポリ
ビニル化合物の添加量と反応温度、反応時間により決定
されるが、通常はリビングポリマー末端とビニル基との
反応性差や立体障害等の影響を受けてアーム数の異なる
複数の星型ブロック共重合体が同時に生成する。本発明
の星型ブロック共重合体では、アーム数が3以上のもの
が特に好ましい。
【0084】本発明の星型ブロック共重合体の重量平均
分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/
Mn)は、1.00〜1.50の範囲にあることが好ま
しい。また、星型ブロック共重合体の数平均分子量は、
3,000〜200,000であるのが好ましい。
【0085】前記した活性末端を有する中心核に対し
て、アニオン重合可能なモノマーを反応させ新たなアー
ム鎖を形成させる(4)又は(5)の方法では、異なる
種類のアーム部を有し、かつ、末端に官能基を有する星
型ブロック共重合体を製造することができる。
【0086】また、中心核が有する活性末端に対して、
直接重合可能なモノマーを反応させることもできるが、
ジフェニルエチレン、スチルベン等の化合物を反応させ
た後、さらに、塩化リチウム等のアルカリ金属又はアル
カリ土類金属の鉱酸塩を添加し、モノマーを反応させる
方が好ましい。このようにすることにより、アクリル酸
誘導体のごとき反応性の高いモノマーを反応させる場合
に、重合反応速度を制御することができ、生成する星型
ブロック共重合体の全体の構造を制御する上で有利とな
る。この場合は、活性末端を有する中心核を形成させる
のに用いた溶媒中で連続して行うこともでき、溶媒を添
加して組成を変更して、あるいは溶媒を別の溶媒に置換
して行うこともできる。用いられる溶媒としては、アー
ム部を形成する際に用いることができる溶媒として列記
したものと同様なものが挙げられる。
【0087】新たに生成するアーム部は、2種のモノマ
ーを混合して反応させることにより、ランダム共重合し
たポリマー鎖とすることもできるし、また、順次添加す
ることでブロックポリマー鎖とすることもできる。ま
た、反応終了後、二酸化炭素、エポキシ等を添加するこ
とにより、末端に官能基を導入することも可能である。
【0088】本発明は、以上の様にして得られた反応液
に、残存する二重結合に対応する量の有機アルカリ金属
を添加する工程を有することを特徴とする。従来は、上
述した方法により得られた反応液に反応停止剤を添加し
て共重合体(保護基を脱離させる前の共重合体)を単離
し、フェノール性水酸基の保護基を脱離させていた(酸
処理)。しかしながら、得られた共重合体中、特に中心
核中にビニル基に由来する二重結合が残存していると、
酸処理工程において分子量分布が変化したり、250n
m近傍の波長の光を吸収するために、例えば、レジスト
材料として用いる場合に解像度の低下を招く等の問題が
あった。そこで本発明においては、かかる二重結合を極
力低減させるべく、得られた共重合体の反応液に有機ア
ルカリ金属を添加して、残存する二重結合に付加させる
こととしたものである。
【0089】二重結合をなくすために添加する試剤とし
ては、ビニル基のみと反応し、他の部位とは反応しない
性質のものであれば特に制限はないが、本発明において
は、有機金属を好ましく用いることができる。かかる有
機金属としては、例えば、アルカリ金属、有機アルカリ
金属、有機アルカリ土類金属等を例示することができ
る。
【0090】有機アルカリ金属としては、先にアニオン
重合開始剤として用いることのできる有機アルカリ金属
として列記したものと同様なものを例示することができ
る。土類金属としては、フェニルマグネシウムブロマイ
ド、メチルマグネシウムブロマイド等のグリニャール試
薬を例示することができる。
【0091】有機アルカリ金属の添加量は、残存する二
重結合に対応するモル量であれば十分であるが、過剰量
を添加するのが好ましい。具体的には、反応系に添加す
るビニル含有多官能性化合物1モル当量に対し、通常1
倍モル〜20倍モル、好ましくは、2倍モル〜10倍モ
ルの範囲である。有機金属を添加する場合においては、
反応系の溶媒を置換することなくそのまま反応系に添加
してもよいし、一旦反応を停止させた後、共重合体を単
離し、得られた共重合体を再度適当な溶媒に溶解させ
て、添加することもできる。この反応は、一般的には、
用いる溶媒の極性が高い程、有機アルカリ金属の二重結
合(ビニル基)への反応性が高くなる傾向にある。
【0092】用いられる溶媒としては、例えば、テトラ
ヒドロフラン、1,3−ジメトキシエタン、ジエチルエ
ーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、1,
4−ジオキサン、アニソール等のエーテル系溶媒;ベン
ゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ペンタ
ン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素;シクロペ
ンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン等の脂環式炭
化水素;及びこれら2種以上の組合せを挙げることがで
きる。
【0093】また、有機金属を二重結合(ビニル基)に
付加させる反応温度は、高いほど反応性は高くなる傾向
にあるが、その一方で反応温度があまりに高いと副反応
が進行するおそれがあるため、通常−100℃〜50
℃、好ましくは−70℃〜40℃の範囲である。反応時
間は、反応のスケールや基質濃度、用いるビニル化合物
の種類、反応溶媒の種類、有機アルカリ金属の種類等に
より異なるが、通常数分〜数十時間で反応は完結する。
【0094】残存する二重結合(ビニル基)に有機金属
がどの位結合したのかは、例えば、反応液を少量サンプ
リングして、示差屈折計(RI)検出器とUV検出器の
2種類の検出器を用いて、それぞれゲルパーミエーショ
ンクロマトグラフィー(GPC)による分析を行い、得
られたデーターを解析することにより二重結合の残存量
を推定することができる。
【0095】RI検出器は、移動相溶媒とカラム溶出液
の屈折率の差(示差屈折率)を測定することで、カラム
溶出液中の試料を定量するものである。この方法は、移
動相溶媒と使用溶液の屈折率の差が試料濃度に比例する
ことを利用するものである。また、UV検出器は、UV
領域に吸収をもつ試料に対して用いられ、検出波長(2
48nm)における相対吸光度からカラム溶出液中の試
料を検出する。そのため、250nm近傍に吸収をもつ
二重結合(ビニル基)が少なくなると、試料濃度が高く
ても相対吸光度は増加しない。すなわち、有機アルカリ
金属を添加する前の試料のRI検出器とUV検出器のそ
れぞれにより求められる濃度値と、有機アルカリ金属を
添加し反応を熟成させた後の試料のRI検出器とUV検
出器のそれぞれにより求められる濃度とを比較すること
により、どの位二重結合が減少したか(どの位二重結合
が残存しているか)を推測することができる。
【0096】このように、フェノール性水酸基の保護基
を脱離する前の共重合体を単離する前に、反応液に有機
アルカリ金属を添加して二重結合を極力少なくすること
により、その後の酸処理工程における分子量分布の変化
を防止し、得られる星型ブロック共重合体の塗膜(厚さ
略1.0μm)の250nm近傍の波長の光透過率を6
0%以上に高めることができる。
【0097】有機金属を添加し、反応を熟成させた後
に、反応停止剤を添加して反応を停止させる。反応停止
剤としては、メタノール、エタノール等のアルコール
類、塩酸、硫酸、硝酸等の鉱酸、塩化アンモニウム水溶
液及びこれらの混合物、二酸化炭素、エポキシ化合物等
が挙げられる。反応停止後は、常法により目的とする共
重合体を単離することができる。
【0098】次いで、得られた共重合体からフェノール
性水酸基の保護基を脱離させ、アルケニルフェノール骨
格を生成せしめる。この生成反応は、前記重合反応で例
示した溶媒の他、メタノール、エタノール等のアルコー
ル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、メ
チルセロソルブ、エチルセロソルブ等の多価アルコール
誘導体類、水等の一種単独又は二種以上の混合溶媒の存
在下、塩酸、硫酸、塩化水素ガス、臭化水素酸、p−ト
ルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、一般式:XHS
4(式中、XはLi,Na,K等のアルカリ金属を表
す)で示される重硫酸塩等の酸性試剤を触媒として、室
温〜150℃の温度で行われる。
【0099】また、この反応において、溶媒の種類と濃
度、触媒の種類と添加量及び反応温度を適当に組み合わ
せることにより、フェノール性水酸基の保護基が選択的
に全部又は一部脱離されて、本発明の狭分散且つ構造の
制御されたアルケニルフェノール系星型ブロック共重合
体を製造することができる。
【0100】また、本発明の重合体に含まれる星型ブロ
ック共重合体は、残留アームポリマーの含有量が20重
量%未満であるのが好ましく、10重量%未満であるの
がより好ましい。ここで、残留アームポリマーとは、中
心核と結合しない比較的低分子のアームポリマー分子を
いう。
【0101】本発明のアルケニル系星型ブロック共重合
体は、分子内に酸性部分を有するので、アルカリに可溶
である。また、基板上にレジスト樹脂を塗布して、パタ
ーニングするフォトリソグラフィーにおいて用いられる
露光光に含まれる250nm近傍の波長の光透過率に優
れる。したがって、解像度に優れたレジスト材料として
好適に用いることができる。
【0102】
【実施例】以下、本発明を実施例により、更に詳細に説
明する。但し、本発明の範囲は、下記の実施例により何
ら制限を受けるものではない。 (実施例1)窒素雰囲気下において、テトラヒドロフラ
ン(THF)2000g中に、n−ブチルリチウム(N
BL)30ミリモルを加え、撹拌下、−60℃に保持し
ながら、p−tert−ブトキシスチレン(PTBST)1
モルを1時間かけて滴下した。さらに反応を1時間継続
し、ガスクロマトグラフィー(GC)により反応完結を
確認した。この段階で、反応液を少量を採取し、メタノ
ールにより反応を停止させた後、ゲル・パーミエーショ
ン・クロマトグラフィー(GPC)により分析したとこ
ろ、得られたポリマーは、Mn=5,700、Mw/M
n=1.10の単分散ポリマーであった。
【0103】次いで、反応系を−60℃に保ちながら、
ジビニルベンゼン(DVB)30ミリモルを添加し、さ
らに反応を4時間継続した後、GCにより残モノマーが
無いことを確認した。さらに、反応系を−60℃に保ち
ながら、NBLを150モリモルを添加し、2時間反応
を熟成させた。次いで、反応系にメタノールを加えて反
応を停止させ、反応液を大量のメタノール中に投入して
ポリマーを析出させ、濾過、洗浄後、60℃で15時間
減圧乾燥して、白色粉体状のポリマーを得た。用いたモ
ノマー総量に対する重合収率は、99.1%であった。
このポリマーのGPC分析を行ったところ、Mn=3
6,000,Mw/Mn=1.18の単分散ポリマーの
ポリマーであった。
【0104】次に、得られたポリマー10gをTHF/
エタノール=4/1(重量比)の混合溶媒に溶解して2
5%溶液とし、濃塩酸3gを加えて50℃で30時間反
応を行った。反応液を大量の水中に投入してポリマーを
析出させ、濾過、洗浄後、60℃で5時間減圧乾燥し
て、白色粉体状のポリマー6.9gを得た。
【0105】この反応において、反応前後におけるポリ
マーの赤外線吸収スペクトル(IR)及びl3C−NMR
(以下、単に、「NMR」と略す)を比較した。IRに
おいて、890cm-1におけるポリPTBSTのt−ブ
トキシ基由来の吸収が反応後は消失し、新たに3300
cm-1付近に水酸基由来のブロードな吸収が観察され
た。又、NMRにおいて、77ppm付近におけるポリ
PTBSTのt−ブトキシ基由来のピークが反応後は消
失していた。生成したポリマーについてGPC測定した
所、Mn=32,000、Mw/Mn=1.19のポリ
マーであった。
【0106】以上のことから、共重合反応とその後の脱
離反応は設定どおりに行われ、p-ヒドロキシスチレン
セグメントを主骨格とするアルケニルフェノール系星型
ブロック共重合体が生成したことが確認できた。
【0107】(実施例2)窒素雰囲気下において、TH
F 1200gとヘキサン 300gの混合溶剤中に、
NBL 20ミリモルを加え、撹拌下、−40℃に保持
しながら、PTBST 1モルを1時間かけて滴下し
た。さらに反応を1時間継続し、GCにより反応完結を
確認した。この段階で反応液を少量を採取し、メタノー
ルにより反応を停止させた後、GPCにより分析したと
ころ、得られたポリマーは、Mn=8,900、Mw/
Mn=1.07の単分散ポリマーであった。
【0108】次いで、反応系を−40℃に保持しなが
ら、DVB 96ミリモルとエチルビニルベンゼン 4
ミリモルの混合物を添加した。さらに反応を4時間継続
した後、GCにより残モノマーが無いことを確認した。
さらに、反応系を−40℃に保ちながら、NBL 40
0ミリモルを添加し、2時間反応を熟成させた。最後
に、反応系にメタノールを加えて反応を停止させ、反応
液を大量のメタノール中に投入してポリマーを析出さ
せ、濾過、洗浄後、60℃で15時間減圧乾燥して、白
色粉体状のポリマーを得た。用いたモノマー総量に対す
る重合収率は、99.5%であった。このポリマーのG
PC分析を行ったところ、Mn=81,000、Mw/
Mn=1.21のポリマーとMn=8,900のポリマ
ーの混合物であった。
【0109】次に、得られたポリマー10gをトルエン
/エタノール=1/2(重量比)の混合溶媒に溶解して
25%溶液とし、硫酸3gを加えて40℃で45時間反
応を行った。反応液を大量の水中に投入してポリマーを
析出させ、濾過、洗浄後、60℃で5時間減圧乾燥して
白色粉体状のポリマー7.0gを得た。
【0110】この反応において、反応前後におけるポリ
マーのIR及びNMRを測定したところ、実施例1にお
けると同様に、PTBSTセグメントのt−ブトキシ基
由来のピークの消失が確認された。また、生成したポリ
マーについてGPCを測定した所、Mn=72,00
0、Mw/Mn=1.22のポリマーと、Mn=8、0
00のポリマーの混合物であった。
【0111】以上のことから、共重合反応とその後の脱
離反応は設定どおりに行われ、p−ヒドロキシスチレン
セグメントを主骨格とするアルケニルフェノール系星型
ブロック共重合体の生成が確認された。
【0112】(実施例3)窒素雰囲気下において、TH
F 2000g中にNBL 29ミリモルを加え、撹拌
下、−50℃に保持しながら、PTBST 1モルとス
チレン 0.3モルとの混合物を1時間かけて滴下し、
更に1時間反応を継続し、GCによリ反応完結を確認し
た。この段階でのPTBST/スチレン系ポリマーは、
Mn=7,200、Mw/Mw=1.05の単分散ポリ
マーであった。ついで、反応系を−30℃に昇温後、D
VB 30ミリモルを添加し、更に反応を5時間継続し
てから、GCにより反応完結を確認した。
【0113】さらに、反応系を−50℃まで冷却し、N
BL 20ミリモルを添加し、2時間反応を熟成させ
た。最後に、反応系にメタノールを加えて反応を停止さ
せ、反応液を大量のメタノール中に投入してポリマーを
析出させ、濾過、洗浄後、60℃で15時間減圧乾燥し
て白色粉体状のポリマーを得た。用いたモノマー総量に
対する重合収率は、99.3%であった。このポリマー
のGPC分析を行った所、Mn=63,000、Mw/
Mn=1.20の単分散ポリマーと、Mn=7,200
のポリマーの混合物であった。
【0114】次に、得られたポリマー10gをTHF/
エタノール=1/1(重量比)の混合溶媒に溶解して2
5%溶液とし、硫酸水素ナトリウム3gを加えて50℃
で20時間反応を行った。反応液を濾過して硫酸水素ナ
トリウムを除去し、濾液を大量の水中に水中に投入して
ポリマーを析出させ、濾過、洗浄後、60℃で5時間減
圧乾燥して白色粉体状のポリマー7.1gを得た。この
反応において、反応前後におけるポリマーのIR及びN
MRを測定したところ、実施例1におけると同様に、P
TBSTセグメントのt-ブトキシ基由来のピークの消失
が確認された。また、生成したポリマーについてGPC
を測定した結果、Mn=56,000、Mw/Mn=
1.24のポリマーと、Mn=6,500のポリマーの
混合物であった。
【0115】以上のことから、共重合反応と脱離反応は
設定どおりに行われ、p-ヒドロキシスチレンとスチレン
のランダム共重合体を主骨格とするアルケニルフェノー
ル系星型ブロック共重合体が生成したことを確認でき
た。
【0116】(比較例1)窒素雰囲気下において、トル
エン750gとTHF750gの混合溶剤中に、NBL
50ミリモルを加え、撹拌下、−40℃に保持しなが
ら、PTBST11モルを1時間かけて滴下した。さら
に反応を1時間継続し、GCにより反応完結を確認し
た。この段階で反応系から少量を採取し、メタノールに
より反応を停止させた後,GPCにより分析したとこ
ろ、得られたPTBSTポリマーは、Mn=3,70
0、Mw/Mn=1.10の単分散ポリマーであった。
【0117】次いで、反応系を−40℃に保ちながらD
VB 150ミリモルを添加し、さらに反応を4時間継
続した後、GCにより残モノマーが無いことを確認し
た。ついで、反応系にメタノールを加えて反応を停止さ
せ、反応液を大量のメタノール中に投入してポリマーを
析出させ、濾過、洗浄後、60℃で15時間減圧乾燥し
て白色粉体状のポリマーを得た。用いたモノマー総量に
対する重合収率は、99.5%であった。また、このポ
リマーのGPC分析を行ったところ、Mn=29,00
0、Mw/Mn=1.14の単分散ポリマーであった。
【0118】次に、得られたポリマー10gをトルエン
/エタノール=1/1(重量比)の混合溶媒に溶解して
25%溶液とし、硫酸1.4gを加えて40℃で45時
間反応を行った後、反応液を大量の水中に投入してポリ
マーを析出させ、濾過、洗浄後、60℃で5時間減圧乾
燥して白色粉体状のポリマー7.1gを得た。
【0119】この反応において、反応前後におけるポリ
マーのIR及びNMRを比較した。IRにおいて、89
0cm-1におけるポリPTBSTのt-ブトキシ基由来の
吸収が反応後は消失し、新たに3,300cm-1付近に
水酸基由来のブロードな吸収が観察された。又、NMR
において、77ppm及び153ppm付近におけるポ
リPTBSTのt-ブチル基由来のピークが反応後は消失
していた。また、生成したポリマーについてGPCを測
定した所、Mn=26,500、Mw/Mn=1.16
の単分散ポリマーであった。
【0120】以上のことから、共重合反応とその後の脱
離反応は設定どおりに行われ、p−ヒドロキシスチレン
セグメントを主骨格とするアルケニルフェノール系星型
ブロック共重合体の生成が確認された。
【0121】(星型ブロック共重合体の粘度及び光透過
率の測定)上記実施例及び比較例で得られた各ポリマー
を用いて、粘度及び248nmの波長の光透過率を測定
した。
【0122】(1)粘度の測定 粘度の測定は、溶媒としてN−メチルピロリドンを用
い、温度24.5℃にて改良型オストワルド粘度管(製
品番号:No.114、蕪木科学器械工業(株)製)を
使用して行った。実験手順は以下に示す通りである。
【0123】サンプル瓶に上記実施例及び比較例で得た
各ポリマー約0.1gを正確に秤量し(wg)、N−メ
チルピロリドン20mlに溶解させた。この溶液を一度
ろ過して、ゴミ等を完全に除去した後、ホールピペット
で10ml秤取り、粘度管に入れた。次いで、粘度管を
24.5℃の恒温水槽に入れ、1時間放置した後、ゴム
管を使用して溶液を吸引し、溶液が毛細管を落下する時
間(t)を測定した。また、同様にして溶媒のみの落下
時間(t0)を測定した。この実験は、落下時間の測定
後差が0.3秒以内となるまで繰り返した。測定結果か
ら、式:[ln(t/to)]/(w/0.2)により、
粘度対数(dL/g)の値を求めた。なお、粘度対数
(dL/g)は、溶液の粘度を示すパラメーターであ
り、粘度対数が大きいほど粘度が高いことを示す値であ
る。測定結果を第1表に示す。
【0124】(2)248nmの波長の光透過率の測定 上記実施例及び比較例で得た各ポリマーの所定量をプロ
ピレングリコールモノメチルエーテルに溶解させて、星
型ブロック共重合体濃度16重量%(実施例1〜3)及
び15重量%(比較例1)の重合体組成物を得た。次
に、透明ガラス基板(10cm×10cm)を用意し、
該基板上に、スピンコータを用いて、上記で得られた重
合体組成物を塗布し(2750r.p.m×90sec)、
溶媒を除去乾燥させて、膜厚約1.0μmの塗膜を形成
した。次いで、得られた塗膜の248nmの波長の光の
直線透過率を、UV検出器(型番号:U−4000、
(株)日立製作所)を用いて測定した。なお、塗膜を形
成しない場合(ガラス基板)をブランクとして、その光
透過率を100%とした。測定結果を第1表に示す。実
施例1〜3の星型ブロックコポリマーは、比較例1の星
型ブロックコポリマーに比して、248nmにおける光
透過率が格段に優れることが示された。
【0125】
【表1】
【0126】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の星型ブロ
ック共重合体は、分子中に二重結合(ビニル基)の残存
量が極力低減されていることを特徴とする。したがっ
て、本発明の共重合体を含む重合体組成物は、略1.0
μmの膜厚での250nm近傍の光透過率が60%以上
である塗膜を形成することができる。また、本発明の製
造方法によれば、簡便且つ効率よく残存二重結合(ビニ
ル基)を極力低減することができ、フェノール性水酸基
を脱離させた後でっても、分子量分布が変化することが
ない。したがって、本発明の星型ブロック共重合体は、
分子量分布が狭く、かつ構造の制御された星型ブロック
共重合体を簡便に製造できる。さらに、本発明の重合体
組成物は星型ブロック共重合体を含有してなるので、同
程度の分子量のリニアポリマーに比して低粘度となる。
したがって、本発明の重合体組成物をスピンコート法等
により塗布する場合、均一な塗膜を形成することができ
る。したがって、本発明の星型ブロック共重合体は、特
にレジスト材料としての適用が期待される。

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】中心核と、該中心核より伸びるポリマー鎖
    からなるアーム部(A)を有する星型ブロック共重合体
    であって、 前記アーム部(A)は、一般式(I) 【化1】 (式中、R1は、水素原子又はメチル基を表し、R2は、
    水素原子又はC1〜C6のアルキル基を表し、pは1又
    は2を表す。pが2の場合、R2は同一又は相異なって
    いてもよい。)で表される繰り返し単位を有するポリマ
    ー鎖(A1)を含み、 前記中心核は、重合可能な二重結合を有する多官能性化
    合物が架橋してなるポリマーからなり、かつ、二重結合
    を実質的に含有しないことを特徴とする星型ブロック共
    重合体。
  2. 【請求項2】前記ポリマー鎖(A1)は、前記一般式
    (I)及び一般式(II) 【化2】 (式中、R3は水素原子又はメチル基を表し、R4は水素
    原子又はC1〜C6のアルキル基を表し、R5は酸分解
    脱離基を表し、qは1又は2を表す。qが2の場合、R
    4は同一又は相異なっていてもよい。)で表される繰り
    返し単位を有する共重合体からなる請求項1記載の星型
    ブロック共重合体。
  3. 【請求項3】前記ポリマー鎖(A1)は、前記一般式
    (I)及び一般式(III) 【化3】 (式中、R6は、水素原子又はメチル基を表し、R7は、
    水素原子、又はC1〜C6のアルキル基を表し、rは1
    又は2を表す。rが2の場合、R7は同一又は相異なっ
    ていてもよい。)で表される繰り返し単位を有する共重
    合体である請求項1記載の星型ブロック共重合体。
  4. 【請求項4】前記ポリマー鎖(A1)は、前記一般式
    (I)、一般式(III)及び一般式(II)で表される繰
    り返し単位を有する共重合体である請求項1〜3のいず
    れかに記載の星型ブロック共重合体。
  5. 【請求項5】前記アーム部(A)を構成するポリマー鎖
    の数平均分子量が1,000〜100,000であり、
    且つ、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)
    の比(Mw/Mn)が、1.00〜1.50の範囲にあ
    る請求項1〜4のいずれかに記載の星型ブロック共重合
    体。
  6. 【請求項6】前記多官能性化合物は、1分子あたり少な
    くとも2つの重合性二重結合を有する化合物である請求
    項1〜5のいずれかに記載の星型ブロック共重合体。
  7. 【請求項7】前記多官能性化合物は、一般式(IV) 【化4】 〔式中、R8は、水素原子又はメチル基を表し、Yは、
    酸素原子、イオウ原子、r12N(r1及びr2はそれぞ
    れ独立して、水素原子、C1〜C6のアルキル基、アル
    コキシカルボニル基を表す。)、置換基を有していても
    よいメチレン基、置換基を有していてもよいフェニレン
    基、C(r34)O、C(r56)S、C(r78)N
    (r9)、OC(r1011)、SC(r1213)、N
    (r14)C(r1516)、OCO又はCO2CH3を表
    し、r3〜r16はそれぞれ独立して、C1〜C6のアル
    キル基又は置換基を有していてもよいフェニル基を表
    す。wは0又は1〜2の整数を表し、wが2の場合、Y
    は同一又は相異なっていてもよい。また、uは2又は3
    を表し、この場合、Y、R8及びWは同一又は相異なっ
    ていてもよい。〕で表される化合物である請求項1〜6
    のいずれかに記載の星型ブロック共重合体。
  8. 【請求項8】数平均分子量が3,000〜200,00
    0である請求項1〜7のいずれかに記載の星型ブロック
    共重合体。
  9. 【請求項9】重量平均分子量(Mw)と数平均分子量
    (Mn)の比(Mw/Mn)が、1.00〜1.50の
    範囲にある請求項1〜8のいずれかに記載の星型ブロッ
    ク共重合体。
  10. 【請求項10】アニオン重合開始剤を用いるアニオン重
    合法により、一般式(V) 【化5】 (式中、R3、R4、R5及びqは前記と同じ意味を表
    す。)で表される化合物を単独重合、又は前記一般式
    (V)で表される化合物と前記一般式(V)で表される化
    合物と共重合可能な化合物とを共重合させる工程と、 重合可能な二重結合を有する多官能性化合物をさらに共
    重合させる工程と、 得られた反応液に、残存する二重結合に対応する量又は
    それ以上の有機アルカリ金属を添加する工程と、及びフ
    ェノール性水酸基の保護基を脱離させる工程とを有する
    請求項1〜9のいずれかに記載の星型ブロック共重合体
    の製造方法。
  11. 【請求項11】多官能性化合物(S)と、前記一般式
    (V)で表される化合物を単独重合させたポリマー鎖の
    活性末端(Q1)、又は前記一般式(V)で表される化
    合物と共重合可能な化合物と共重合させて得られるポリ
    マー鎖の活性末端(Q2)のモル比(S/(Q1又はQ
    2))が0.1〜10である請求項10に記載の星型ブ
    ロック共重合体の製造方法。
  12. 【請求項12】前記多官能性化合物として、一般式(I
    V) 【化6】 (式中、Y、w、R8及びuは前記と同じ意味を表
    す。)で表される化合物である請求項10又は11に記
    載の星型ブロック共重合体の製造方法。
  13. 【請求項13】前記一般式(V)で表される化合物と共
    重合可能な化合物は、一般式(VI) 【化7】 (式中、R6、R7及びrは前記と同じ意味を表す。)で
    表される化合物である請求項10〜12のいずれかに記
    載の星型ブロック共重合体の製造方法。
  14. 【請求項14】中心核と、該中心核より伸びるポリマー
    鎖からなるアーム部を有する星型ブロック共重合体であ
    って、 該星型ブロック共重合体により略1.0μmの厚さに形
    成された薄膜の250nm近傍の光透過率が50%以上
    である星型ブロック共重合体。
  15. 【請求項15】前記星型ブロック共重合体は、20重量
    %未満の残留アームポリマーを含有してなる請求項14
    記載の星型ブロック共重合体。
  16. 【請求項16】前記星型ブロック共重合体は、請求項1
    〜9のいずれかに記載の共重合体である請求項14また
    は15に記載の星型ブロック共重合体。
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