JP2002098976A - 液晶装置およびその製造方法、並びに電子機器 - Google Patents

液晶装置およびその製造方法、並びに電子機器

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JP2002098976A
JP2002098976A JP2000287536A JP2000287536A JP2002098976A JP 2002098976 A JP2002098976 A JP 2002098976A JP 2000287536 A JP2000287536 A JP 2000287536A JP 2000287536 A JP2000287536 A JP 2000287536A JP 2002098976 A JP2002098976 A JP 2002098976A
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sealing material
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film
crystal device
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Yoichi Momose
洋一 百瀬
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 製造途中、または製造後に配向膜が紫外線に
よって劣化しない液晶装置を提供する。 【解決手段】 対向配置された第1基板10,第2基板
20がシール材30を介して接着され、前記基板間の前
記シール材に囲まれたセル40内に開口部31を通じて
液晶41が充填された液晶装置であって、基板10,2
0の液晶に面する側に配向膜11,21が形成され、第
1基板10に、少なくとも配向膜11,21を覆う紫外
線遮断膜50が形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶装置およびそ
の製造方法、並びに本発明の液晶装置を搭載した電子機
器に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、パーソナルコンピュータ、携帯電
話機、腕時計等の電子機器や投影型表示装置、各種モニ
タ装置等の分野で、情報を表示する手段として液晶装置
が広く使用されている。液晶装置は液晶パネルと駆動用
電気回路とからなるが、この内液晶パネルは一般に、互
いに対向配置された一対の基板がシール材を介して貼合
され、前記基板間の前記シール材に囲まれた領域に、液
晶駆動用の電極と配向膜とを形成し、該シール材に形成
された開口部を通じて液晶を充填することにより形成さ
れている。
【0003】前記の配向膜は、液晶分子を所定の方向に
配向させるために設けられ、ポリイミド樹脂等の分子配
向性を有する材料を、それぞれの基板の液晶に面する側
(以下「内側面」という)の最上層(すなわち液晶と接
する層)として塗布し、配向処理を行って形成される。
また液晶が充填される領域(以下「セル」という)には
必要なら間隙幅(セルギャップ)を維持するためにスペ
ーサが散布される。
【0004】シール材を形成するには一般に、一方の基
板の内側面に熱硬化性樹脂を額縁状に印刷し、必要なら
当該基板または他方の基板のシール材に囲まれた内側に
スペーサを散布した上で、双方の基板を重ね合わせ、加
圧すると同時に加熱してシール材を双方の基板の間で硬
化させ貼合する。
【0005】液晶は、開口部を有しない未硬化のシール
材を形成した後にこのシール材に囲まれた内側に滴下
し、その後に双方の基板を重ね合わせ貼合することによ
り充填する方法もあるが、従来多く用いられている方法
によれば、熱硬化性樹脂のパターニングの際にシールパ
ターンの一部に開口部を設け、この状態で双方の基板を
重ね合わせ、加圧・加熱してシール材を硬化させ、次い
でこの開口部から液晶を真空法等によりセル内に吸入充
填し、その後に開口部を封止することにより充填されて
いる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記のシール
材を熱硬化により形成する場合には、加熱開始からシー
ル材の硬化、液晶パネルの冷却に至るまでに4時間以上
の長時間を要し、この工程が液晶パネルの製造作業の流
れを制限し、生産性向上の隘路になっていた。熱処理時
間を短縮しようとして加熱温度を上昇すると、熱歪みが
残留しセルギャップが不均一になったり、後で破損の原
因になったりした。
【0007】また一般に工場で液晶パネルを製造するに
当たっては多くの場合、「多数取り」と称して大型のマ
ザー基板に複数のシールパターンを配列して形成し、双
方の基板を重ね合わせ、加圧・加熱してシール材を硬化
させた後に、形成されたシール材の外周に沿って液晶パ
ネル母材を切断し、個々の液晶パネルを形成する製造方
法が採用されている。この製造方法によると、加圧・加
熱の際にマザー基板の部位によって圧力や加熱温度にむ
らが生じ、切り取った個々の液晶パネルの品質がばらつ
くという問題も指摘された。
【0008】一方、熱硬化による前記の問題を解決しよ
うとして、シール材を紫外線硬化樹脂を用いてパターニ
ングし、双方の基板を重ね合わせた後に紫外線を照射し
てシール材を硬化させる方法が検討された。この方法に
よると、シール材の硬化は長くても数分という極めて短
時間で完了するが、一方、基板に予め形成されている配
向膜が紫外線により分解し、液晶パネルとしての特性が
著しく損なわれることがわかった。また、配向膜は、液
晶パネルとして完成後に例えば屋外や強い照明光の元で
使用されることが多い電子機器等に組み込まれた場合に
は、紫外線により劣化が促進され、表示寿命が短縮され
ることもわかった。
【0009】本発明は前記の課題を解決するためになさ
れたものであって、従ってその目的は、製造途中、また
は製造後に配向膜が紫外線によって劣化しない液晶装置
およびその製造方法、並びにこの液晶装置を組み込んだ
電子機器を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記の課題を解決するた
めに本発明は、互いに対向配置された一対の基板がシー
ル材を介して貼合され、前記基板間の前記シール材に囲
まれた領域(以下「セル」という)に、該シール材に形
成された開口部を通じて液晶が充填されてなる液晶装置
であって、前記基板の前記液晶に接する面に配向膜が形
成され、前記基板の少なくとも一方に、少なくとも前記
配向膜を覆う紫外線吸収性の領域もしくは紫外線反射性
の領域(以下「紫外線遮断領域」という)が形成されて
いる液晶装置を提供する。
【0011】ここで「配向膜を覆う」とは、外部から紫
外線が照射されたとき該紫外線に対して配向膜が前記紫
外線遮断領域の蔭に入ることを意味し、必ずしも配向膜
と紫外線遮断領域とが接触していることを意味するもの
ではない。
【0012】前記本発明によれば、液晶パネルの製造課
程でシール材が紫外線によって硬化される場合も、また
製造後に液晶パネルが外部からの紫外線に曝される場合
も、少なくとも紫外線によって劣化を受けやすい配向膜
が、この配向膜を覆う紫外線遮断領域によって保護され
るので配向膜は安定した特性を長時間維持することがで
きる。従って、従来配向膜を劣化させる惧れがあって使
用できなかった紫外線をシール材の硬化に使用できるよ
うになり、硬化に要する時間が熱硬化に比べて大幅に短
縮でき、しかも多数取り時に指摘された加圧・加熱むら
に起因して液晶パネルの品質がばらつくという問題も解
消され、歩留りと生産性が向上すると共に製品の耐用寿
命も向上する。前記において紫外線遮断領域は、310
nm以下の波長域における紫外線透過率が10%以下であ
ることが好ましい。330nm以下の波長域における紫外
線透過率が10%以下であれば更に好ましい。
【0013】前記に関して、照射光の波長が配向膜の劣
化に及ぼす影響を調査した結果、ポリイミド樹脂膜等一
般に用いられている配向膜に関しては、330nm以下の
波長域において分解が始まり、特に310nm以下の波長
域においては急激に分解が進むことがわかった。従って
前記波長域以下の紫外線を遮断する紫外線遮断領域が少
なくとも配向膜を覆っていれば、配向膜の紫外線による
劣化は防止することができる。
【0014】前記紫外線遮断領域は、前記の基板自体が
紫外線遮断性を有することにより形成されていてもよ
い。
【0015】また、前記基板は、樹脂製であってもよ
い。前記において、基板自体が紫外線遮断性を有してい
れば、別途に紫外線遮断のための部材を付加することな
く、当該基板の内側に設けられた配向膜を紫外線から保
護することができる。前記基板が樹脂製であれば、例え
ばこの樹脂に紫外線吸収剤を配合することによって、所
望の紫外線吸収能を有する基板を容易に得ることができ
る。
【0016】また前記紫外線遮断領域は、基板の内側面
または反対側の外側面に設けられた紫外線遮断膜により
形成されていてもよい。この場合は紫外線遮断膜の紫外
線遮断特性を適宜に設定することによって、この紫外線
遮断膜に覆われた配向膜を紫外線から保護することがで
きる。紫外線遮断膜を基板の内側面に設けるか、または
外側面に設けるかは、液晶パネルの構成上の問題であっ
て、この紫外線遮断膜が少なくとも配向膜を覆うように
設けられていれば、いずれであってもよい。
【0017】紫外線遮断膜が基板の内側面に設けられる
場合は、当該基板の内側面全面に設けてもよいが、シー
ル材によって囲まれた内側のみに設けることもできる。
紫外線遮断膜が基板の外側面上に設けられる場合は、当
該基板の外側面全面に設けてもよく、また前記配向膜を
基板の外側面から覆うように選択的に設けてもよい。
【0018】紫外線遮断膜が当該基板の内側面のシール
材によって囲まれた内側のみに設けられる場合は、前記
シール材から内側に、0.2mmないし2mmの範囲内で離
間して設けられていることが好ましい。
【0019】前記に関し、近年の液晶パネルにおいて
は、シール材の内縁部から配向膜が形成される画像表示
面の端辺までの距離が3mm以下と接近していることが多
い。この観点から紫外線の回り込みによる配向膜端辺の
劣化を防止しようとすると、紫外線遮断膜とシール材と
の間隔は2mm以下とすることが好ましい。ただしシール
材と配向膜との重なり合いは避ける必要があり、紫外線
遮断膜をスパッタリング、印刷、フォトリソグラフィ等
のいずれの方法で成膜するにせよ、成膜時の位置精度を
考慮すると紫外線遮断膜とシール材との間には0.2mm
以上の間隔を設けることが好ましい。
【0020】前記の紫外線遮断膜は、無機膜より形成さ
れていてもよい。前記紫外線遮断膜の例としては、例え
ば、酸化インジウム、酸化バナジウム、酸化チタン、酸
化亜鉛等を挙げることができる。
【0021】前記紫外線遮断膜は、例えば、スパッタ、
CDV法等により形成することができる。また前記の紫
外線遮断膜は、屈折率が異なる複数の無機膜を積層して
形成されていてもよい。前記紫外線遮断膜の例として
は、例えば酸化チタン、酸化ジルコニア等の高屈折率膜
と酸化珪素、フッ化マグネシウム等の体屈折率膜をを複
数層積層したもの等を挙げることができる。
【0022】前記紫外線遮断膜は、例えばスパッタ法に
より、酸化チタンと酸化珪素を3〜10層程度積層する
こと等により形成することができる。
【0023】また前記の紫外線遮断膜は、有機化合物に
より形成されていてもよい。前記紫外線遮断膜の例とし
ては、例えばベンゾトリアゾール系の紫外線を吸収する
有機化合物を挙げることができる。
【0024】前記紫外線遮断膜は、例えば有機溶剤にベ
ンゾトリアゾール系の有機化合物を混合したものを塗布
することにより形成することができる。更にまた前記の
紫外線遮断膜は、無機膜と有機化合物とを積層して形成
されていてもよい。前記紫外線遮断膜の例としては、例
えば酸化チタン、酸化ジルコニア、酸化珪素、フッ化マ
グネシウム等の無機膜とベンゾトリアゾール系の有機化
合物とを積層したもの等を挙げることができる。
【0025】前記紫外線遮断膜は、例えば前記無機膜は
スパッタもしくはCVDにより形成、有機化合物膜は有
機溶剤にベンゾトリアゾール系等の有機化合物を混合し
たものを塗布すること等により形成することができる。
また、前記無機膜と有機化合物膜は複数層積層すること
も可能である。本発明の液晶装置において、前記シール
材は光硬化型樹脂からなっていることが好ましい。
【0026】この場合は、光の照射により、従来の熱硬
化による場合に比べ遙かに短時間で硬化が可能であり、
液晶パネルの生産性が著しく向上する。実際、例えば熱
硬化法では4時間程度要していたものが、光硬化法では
長くても2分以内には硬化を完了させることができる。
【0027】光硬化には可視光を用いる場合と紫外線を
用いる場合があり、本発明ではいずれを用いてもよい。
シール材として可視光硬化型樹脂を用いる場合は、基板
自体が紫外線吸収性を有するものである場合も、また紫
外線遮断膜が基板の全面を覆うように設けられた場合
も、これらの紫外線遮断領域を通して光を照射すること
によりシール材を硬化することができる。前記シール材
が紫外線硬化型樹脂からなる場合は、前記紫外線遮断領
域が配向膜を覆う領域に形成されている場合には紫外線
遮断性を有しない基板を通して直接紫外線を照射できる
ので、照射のためのエネルギー効率が向上する。またシ
ール材として可視光硬化型樹脂が用いられている場合
も、一般に可視光硬化型樹脂の短波長側の波長感度は3
00nm程度まで伸びているので、紫外線遮断領域の光透
過スペクトルは、配向膜の劣化をもたらさない範囲でで
きるだけ短波長側に伸びていることが好ましい。本発明
はまた、互いに対向配置された一対の基板がシール材を
介して貼合され、前記基板間の前記シール材に囲まれた
セル内に、該シール材に形成された開口部を通じて液晶
が充填されてなる液晶装置の製造方法であって、前記基
板の前記液晶に接する面に配向膜を形成する工程と、前
記基板の少なくとも一方に、少なくとも前記配向膜を覆
う紫外線遮断領域を形成する工程と、一方の前記基板の
内側面に、開口部が形成された未硬化のシール材を形成
する工程と、前記未硬化のシール材を介して双方の基板
を配向膜が内側となるように貼合する工程と、前記基板
を貼合した後に前記未硬化のシール材を硬化する工程
と、前記未硬化のシール材を硬化した後に前記開口部を
通じて前記セル内に液晶を充填する工程とを含む液晶装
置の製造方法を提供する。以下、必要に応じて、配向膜
を形成する工程を「配向膜形成工程」、前記配向膜を覆
う紫外線遮断領域を形成する工程を「紫外線遮断領域形
成工程」、開口部が形成された未硬化のシール材を形成
する工程を「シール材形成工程」、未硬化のシール材を
介して双方の基板を配向膜が内側となるように貼合する
工程を「貼合工程」、基板を貼合した後に前記未硬化の
シール材を硬化する工程を「シール材硬化工程」、シー
ル材を硬化した後に前記開口部を通じてセル内に液晶を
充填する工程を「液晶充填工程」という。
【0028】前記本発明の液晶装置の製造方法におい
て、各工程の実施順序は、順序が前記により特定された
ものを除き限定されるものではなく、液晶パネルの構成
および目的に応じて適宜選択されるべきである。また可
能なら2以上の工程を同時に実施することもできる。
【0029】前記液晶装置の製造方法によれば、製造工
程中に少なくとも配向膜を覆う紫外線遮断領域形成工程
が含まれているので、液晶パネルの製造中または製造後
に液晶パネルが紫外線に曝される場合も、配向膜は安定
した特性を維持することができる。前記液晶装置の製造
方法は、前記基板を貼合する前に、基板の一方の内側面
上にスペーサを散布する工程を含むことが好ましい。こ
れによって、貼合工程によって形成されるセルギャップ
を外部応力に抗して一定に保つことができるようにな
る。前記の紫外線遮断領域は、基板自体に紫外線遮断性
を有するものを用いて形成することができる。紫外線遮
断性を有する基板は、例えば紫外線吸収剤を配合した樹
脂を用いて基板を成形することによって得ることができ
る。この場合は基板成形工程が前記の紫外線遮断領域形
成工程に相当し、工程順序としては配向膜形成工程に先
行することになる。また前記の紫外線遮断領域は、基板
の内側面または外側面に紫外線遮断膜を設けることによ
り形成してもよい。紫外線遮断領域を基板の内側面に設
ける場合は、基板の内側面の最上層、すなわち液晶と接
触する面には配向膜を設ける必要があるので、紫外線遮
断領域形成工程は配向膜形成工程に先行することにな
る。紫外線遮断領域を基板の外側面に設ける場合は工程
順序は特に限定されない。前記において、シール材は光
硬化性樹脂により形成し、前記未硬化のシール材は光照
射により硬化させることが好ましい。この場合は、従来
の熱硬化による場合に比べ遙かに短時間で硬化が可能と
なり、液晶パネルの生産性が著しく向上する。特に前記
シール材は紫外線硬化性樹脂により形成し、前記未硬化
のシール材は紫外線照射により硬化させることが好まし
い。これによりシール材硬化工程に要する時間は更に短
縮され生産性がいっそう向上する。この場合、紫外線遮
断領域はシール材を覆わないように設けることが好まし
い。ここでいう「紫外線照射」は、可視光と紫外線との
混合光による照射を含むものである。本発明の液晶装置
の製造方法は、前記基板を貼合した後に、シール材を加
熱する工程を含むことが好ましい。すなわち本発明の液
晶装置の製造方法は、シール材形成工程においてシール
材の材料として熱硬化性樹脂を用い、シール材硬化工程
において加熱によりシール材を硬化する方法も含むもの
であるが、光硬化または紫外線硬化を用いる場合も加熱
を併用することによって硬化は更に促進される。本発明
は更に、前記のいずれかの液晶装置を備えた電子機器を
提供する。
【0030】本発明の電子機器は、液晶パネルの配向膜
が紫外線遮断領域によって覆われているので、電子機器
のいずれかの製造工程で紫外線が照射されても、または
製造後に紫外線に曝されることがあっても配向膜が紫外
線によって劣化することがなく、歩留りと生産性が向上
すると共に製品の耐用寿命も向上する。
【0031】
【発明の実施の形態】[実施形態1]以下、本発明の実
施形態1を図1ないし図4を参照して説明する。
【0032】図1は実施形態1の液晶装置における液晶
パネルの層構成の概略を示す断面図であり、図2は本液
晶パネルを表示面側から見た概略を示す平面図である。
ただし、例えば偏光板や位相差板など本発明の説明に不
要な要素は省略してある。また各構成要素の寸法や数は
実体を反映するものではない。なお以下の説明におい
て、液晶の駆動方式は便宜上パッシブマトリクス方式と
したが、他の方式、例えばアクティブマトリクス方式そ
の他であっても差し支えない。図1および図2に示すよ
うに、本液晶パネルは、基本的には、互いに対向配置さ
れた一対のガラス基板、すなわち第1基板10および第
2基板20がシール材30を介して貼合され、前記基板
間の前記シール材に囲まれた領域(セル40)に、該シ
ール材の一部に形成された開口部31を通じて液晶41
を充填することにより形成されている。このシール材3
0は光硬化性樹脂により形成されている。
【0033】第1基板10の内側面には、基板上に、I
TOなどの透明導電材からなる多数のストライプ状の第
1電極12…が形成されている。第1電極12…は、一
方の端末がシール材30より外側の基板上に延出し接続
端末を形成している。第1電極12…の上には、ポリイ
ミド樹脂からなる配向膜11が形成されている。配向膜
11は、所定の方向に配向処理されている。
【0034】第2基板20の内側面には、基板側から順
に、画素領域に対応してR(赤),G(緑),B(青)
の順に配列されたカラーフィルタ23…と、セルギャッ
プを隔てて第1電極12…と交差するように形成された
ITOなどの透明導電材からなる多数のストライプ状の
第2電極22…と、ポリイミド樹脂からなる配向膜21
とが形成されている。第2電極22…は、一方の端末が
シール材30より外側の基板上に延出し、接続端末を形
成している。配向膜21は、所定の方向に配向処理され
ている。
【0035】またセル40内には、外圧に抗してセルギ
ャップを一定に保つスペーサ42…が散布されている。
本液晶パネルにおいて、第1基板10の外側面には、全
面に、高屈折率の酸化チタンと低屈折率の酸化珪素とを
6層積層して形成された紫外線遮断膜50が成膜されて
いる。実際にはこの紫外線遮断膜50の上に更に位相差
板や偏光板が設けられるが、図示および説明を省略す
る。
【0036】本液晶パネルは、概略、図3(A)ないし
図3(D)に示す工程を経て製造される。図3(A)に
示すように、先ず第1基板10の一方の面(外側面)全
面に酸化チタンと酸化珪素のスパッタリングを繰り返し
て無機酸化膜を6層積層し、紫外線遮断膜50を形成す
る。
【0037】図3(B)に示すように、次に第1基板1
0の反対側の面(内側面)にフォトリソグラフィにより
第1電極12…を形成し、更にその上に配向膜11を印
刷し、所定の方向に配向させる。第1電極12…は一方
の端末が接続端末となるように、後に形成されるシール
材より外側の基板上に延出させる。図3(C)に示すよ
うに、次に光硬化性樹脂インクを用い、配向膜11を囲
むように未硬化のシール材30を形成する。シール材3
0はディスペンサを用いて描画し、一部に開口部31を
設ける。
【0038】第1基板とは別に、第2基板20の一方の
面に、詳細を省略するがカラーフィルタ23…を形成
し、その上に第2電極22…を形成し、更にその上に配
向膜21を印刷し、所定の方向に配向させ、更にその上
にスペーサ42…を散布しておく。第2電極22…は一
方の端末が接続端末となるように、第1基板上に形成さ
れるシール材より外側の基板上に延出させる。図3
(D)に示すように、第1基板10と第2基板20と
を、それぞれ配向膜11,21が内側を向くように重ね
合わせて圧着し、表示面側となる紫外線遮断膜50を通
して高圧水銀灯の光を照射し、未硬化のシール材30を
硬化させる。この際、光照射と加熱とを併用すると、硬
化が更に促進され、短時間に完全硬化が達成される。こ
の加熱は、別途に加熱装置を用いるまでもなく、高圧水
銀灯による光照射の際には必然的に熱線も輻射されるの
でこの熱をそのまま利用すればよい。
【0039】次いで、硬化したシール材30に形成され
た開口部31を通じて真空吸引法等によりセル40内に
液晶を充填し、開口部31を封止して本液晶パネルを完
成する。本液晶パネルは、配向膜11,21がいずれも
表示面側からの外光に対して紫外線遮断膜50によって
覆われているので、未硬化のシール材30を光により硬
化させる際にも、また完成後に本液晶パネルが紫外線に
暴露されることがあっても、配向膜11,21の特性が
紫外線によって劣化することはない。
【0040】ここで、図4の透過光スペクトルグラフを
用いて、紫外線遮断膜50を透過する光の波長と、シー
ル材30の硬化特性および配向膜11,21の劣化に及
ぼす影響を説明する。
【0041】図4は、一般的なポリイミド樹脂からなる
配向膜の波長ごとの光透過率を示している。図4におい
て横軸は光波長を示し、縦軸は配向膜の最高透過率を1
としたときの透過率比を示している。図4からわかるよ
うに、ポリイミド樹脂からなる配向膜は、短波長側に向
かって330nm付近で光の吸収が大きくなり始め、31
0nm以下では急激に大きくなる。そして配向膜の分解
は、前記の光吸収の大きさに対応しており、波長330
nm付近の光によって分解が始まり、波長310nm以下の
光では急激に分解することがわかった。
【0042】一方、シール材として用いる光硬化性樹脂
インクの波長感度は、一般に紫外線硬化性樹脂の場合は
波長310nm付近に感度のピークがあり、ピーク波長か
らずれるに伴って波長感度は低下する。可視光硬化性樹
脂の場合は波長400nmないし450nm付近に最大感度
があるが、この波長感度はなだらかに短波長側に伸び、
300nm付近まで感度を有している。
【0043】上記の観点から、第1基板の外側面全面に
紫外線遮断膜50を形成した本実施形態の液晶パネルに
おいては、紫外線遮断膜50として波長310nm以下の
光の透過率が10%以下であるものを用いれば、シール
材30として紫外線硬化性樹脂または可視光硬化性樹脂
のいずれを用いても紫外線遮断膜50を通して光照射す
ることでこのシール材を硬化させることができると共
に、配向膜11,21の分解を抑制することができる。
更に、紫外線遮断膜50として波長330nm以下の光の
透過率が10%以下であるものを用いれば、シール材3
0として可視光硬化性樹脂を用い紫外線遮断膜50を通
して光照射することでこのシール材を硬化させることが
できると共に、配向膜11,21の分解をほぼ完全に防
止することができる。前記において、紫外線遮断膜50
は第2基板20の外側面に形成し、シール材30の硬化
は、第2基板側からの光照射によって行っても同様な結
果が得られる。
【0044】[実施形態2]以下に説明する実施形態2
の液晶パネルは、いわゆる多数取りの方法で製造され、
紫外線遮断膜は一方の基板の内側面に形成されている。
【0045】図5は本実施形態の液晶装置における液晶
パネルの層構成の概略を示す断面図である。ただし、図
1の場合と同様に例えば偏光板や位相差板等、本発明の
説明に不要な要素は省略してある。また各構成要素の寸
法や数は実体を反映するものではない。図5に示すよう
に、本液晶パネルは、基本的には、互いに対向配置され
た一対のガラス基板、すなわち第1基板10および第2
基板20基板がシール材30を介して貼合され、セル4
0に、該シール材に形成された開口部31を通して液晶
41を充填することにより形成されている。このシール
材30は光硬化性樹脂により形成されている。
【0046】第1基板10の内側面には、全面に、高屈
折率の酸化チタンと低屈折率の酸化珪素を6層積層して
形成された紫外線遮断膜50が成膜されている。この紫
外線遮断膜50は、後に詳しく説明するカット波長以下
の波長の平均の光透過率が9%であり、380nm以上の
波長領域での光透過率はいずれも80%以上である。
【0047】この紫外線遮断膜50の面上には、ITO
などの透明導電材からなる多数のストライプ状の第1電
極12…がフォトリソグラフィにより形成され、更にこ
の上にポリイミド樹脂からなる配向膜11が形成されて
いる。第1電極12…は、一方の端末がシール材30よ
り外側の基板上に延出し接続端末を形成している。配向
膜11は、所定の方向に配向されている。
【0048】第2基板20の内側面には、基板側から順
に、画素領域に対応してR,G,Bの順に配列されたカ
ラーフィルタ23…、セルギャップを隔てて第1電極1
2…と交差するように形成されたITO等の透明導電材
からなる多数のストライプ状の第2電極22…、および
ポリイミド樹脂からなる配向膜21が形成されている。
第2電極22…は、一方の端末がシール材30より外側
の基板上に延出し、接続端末を形成している。配向膜2
1は、所定の方向に配向されている。
【0049】またセル40内には外圧に抗してセルギャ
ップを一定に保つスペーサ42…が散布されている。
【0050】本液晶パネルは、概略、図6(A)ないし
図6(D)に示す工程を経て製造される。図6(A)に
示すように、大型のマザー基板1の内側面となる一方の
面全面にスパッタリングにより紫外線遮断膜50を成膜
する。このマザー基板1には、後の工程で個々の液晶パ
ネルとして分割される行列配置された領域2…が仮想さ
れている。ここで説明するマザー基板1は分割された個
々の液晶パネルにおいて図5に示す第1基板10となる
ものである。
【0051】図6(B)に示すように、紫外線遮断膜5
0の膜上の前記仮想領域2に、前記の個々の液晶パネル
に対応する第1電極12…をパターニングして形成し、
次いで個々の液晶パネルにおけるシール材に囲まれた領
域に配向膜11を印刷し、所定の方向に配向させる。第
1電極12…は、一方の端末が仮想領域2の辺部に達す
るように延出し接続端末を形成している。図6(C)に
示すように、次に紫外線硬化性樹脂インクを用い、個々
の液晶パネルにおけるシール材に相当する位置に未硬化
のシール材30…を形成する。用いた紫外線硬化性樹脂
インクの波長感度のピークは315nmである。シール材
30はディスペンサを用いて描画し、1部に開口部31
を設ける。開口部31は、マザー基板1に想定されてい
るスプリットラインに沿って形成する。一方、図示を省
略するが、第2基板20に相当する別のマザー基板の内
側面に個々の液晶パネルに対応するカラーフィルタ、第
2電極、および配向膜を形成し、配向膜は所定の方向に
配向させる。更にこの第2基板側の配向膜の上にはスペ
ーサを散布しておく。次に図6(C)に示す第1基板側
のマザー基板1と、前記の第2基板側マザー基板とを、
互いに配向膜を内側にしてアライメントして重ね合わ
せ、基板両側から0.5kgf/cm2 の圧力をかけた状態
で、マザー基板1の側から高圧水銀灯の光を照射しシー
ル材30を硬化させる。高圧水銀灯の照度は365nmに
おいて130mW/cm2とし、照射時間は90秒とした。
【0052】シール材30を硬化させた後にマザー基板
をスプリットラインに沿って切断し、1辺上に開口部3
1…が並んだ複数の液晶パネルからなる液晶パネル母材
を形成し、これらの開口部31…を通してそれぞれの液
晶パネルのセル40内に液晶を充填し、開口部31を封
止材で封止し、図6(D)に示すように、個々の液晶パ
ネルに分割し、液晶パネルを完成させる。
【0053】本実施形態の製造方法によれば、生産効率
が高い多数取りであるに加えて、シール材の硬化が光照
射により極めて短時間に処理できるので生産効率は熱硬
化時に比べ著しく向上し、しかも長時間高温加熱に起因
するマザー基板の歪み(潜在歪みを含む)の問題も解消
され、歩留りが向上する。
【0054】次に前記シール材硬化工程において、紫外
線遮断膜50のカット波長(紫外線透過率が10%以下
となる波長)を種々に変化させて高圧水銀灯照射を行
い、それぞれのカット波長に対応して、配向膜の光分解
の指標となる液晶パネルの電圧保持率を測定した。高圧
水銀灯の照度はいずれの場合も365nmにおいて130
mW/cm2とし、照射時間は90秒とした。いずれの条件で
もシール材30は100%硬化していた。
【0055】結果を表1に示す。
【0056】
【表1】
【0057】表1の結果から、紫外線遮断膜50のカッ
ト波長が300nm以下では液晶パネルの電圧保持率が5
6%以下であるのに対して、カット波長が310nm以上
であれば、液晶パネルの電圧保持率は93%以上とな
り、シール材硬化時における配向膜の劣化が著しく軽減
されていることがわかる。特にカット波長が330nm以
上であれば、電圧保持率は99%が確保されている。一
方、紫外線遮断膜(表1のカット層)なしの従来型の液
晶パネルでは同じ条件で電圧保持率は21%であり、配
向膜は著しく劣化した。また、表1の結果から、シール
材30の素材として紫外線硬化性樹脂の代わりに可視光
硬化性樹脂を用いても、可視光硬化性樹脂の短波長側の
波長感度は300nm程度まで伸びているので、実施形態
2の場合と同様に配向膜を劣化させることなく未硬化の
シール材を短時間で完全に硬化させることができること
がわかる。
【0058】[実施形態3]実施形態3の液晶パネル
は、紫外線遮断膜の光透過特性を変化させた以外は実施
形態2のものと同様である。本実施形態では、紫外線遮
断膜の成膜条件を選択することにより、330nm以下の
平均透過率を5%、10%、15%、20%と変化させ
た。いずれの場合も380nm以上の領域での光透過率は
80%以上である。
【0059】マザー基板の一方の面全面に330nm以下
の平均透過率を変化させた前記紫外線遮断膜を成膜し、
この上に実施形態2と同様にして第1電極および配向膜
を形成し、配向膜を所定の方向に配向させた。次に実施
形態2と同様に波長感度のピークが315nmである紫外
線硬化性樹脂インクを用いて未硬化のシール材を形成
し、第2のマザー基板と貼合し、基板両側から0.5kg
f/cm2 の圧力をかけた状態で、前記紫外線遮断膜を通し
て高圧水銀灯の光を照射し、シール材を硬化させた。高
圧水銀灯の照度は365nmにおいて130mW/cm2とし
た。
【0060】前記条件におけるシール材の硬化時間、並
びに製造された液晶パネルにおける電圧保持率を測定し
た。紫外線遮断膜の330nm以下の平均透過率と、シー
ル材の硬化時間および液晶パネルの電圧保持率との関係
を表2に示す。
【0061】
【表2】
【0062】表2の結果から、330nm以下の平均透過
率が増大すれば硬化時間はより短縮されるが、同時に電
圧保持率に代表される配向膜の劣化も増大するので、こ
の観点から330nm以下の平均透過率が10%以下であ
る紫外線遮断膜を用いることがより好ましいことがわか
る。
【0063】[実施形態4]実施形態4の液晶パネル
は、紫外線遮断膜の種類を変化させた以外は図1,2に
示す実施形態1のものと同様である。すなわち、紫外線
遮断膜は第1基板10の外側面全面に形成されている。
【0064】本実施形態では、紫外線遮断膜として、無
機酸化膜と有機化合物とを積層して形成された複合膜、
または紫外線遮断能を有する有機化合物膜を用いた。無
機酸化膜と有機化合物との複合膜からなる紫外線遮断膜
は下記のようにして成膜した。
【0065】高屈折率の酸化チタンと低屈折率の酸化珪
素とを4層スパッタリングで積層し、その後ポリエステ
ルのワニス中にベンゾトリアゾールを添加したものを塗
布後乾燥させ300Åの膜とした。紫外線吸収能を有す
る有機化合物膜からなる紫外線遮断膜は、ポリエステル
のワニス中にベンゾトリアゾールを添加したものを塗布
後乾燥させ1000Åの膜にした。
【0066】いずれの紫外線遮断膜を有する液晶パネル
も、365nmにおける照度が130mW/cm2 の条件で高
圧水銀灯を90秒照射するとき、シール材は完全に硬化
し、かつ実質的な配向膜の劣化は認められなかった。
【0067】[実施形態5]実施形態5の液晶パネル
は、基板が紫外線吸収性を有する樹脂製であることによ
り、基板自体が紫外線遮断領域を形成している。図7は
本実施形態の液晶装置における液晶パネルの層構成の概
略を示す断面図である。図7に示すように、本液晶パネ
ルは、互いに対向配置された一対の透明な樹脂製の基
板、すなわち第1基板51および第2基板60がシール
材30を介して貼合され、前記基板間の前記シール材に
囲まれた領域(セル40)に、該シール材に形成された
開口部31を通して液晶41を充填することにより形成
されている。このシール材30は光硬化性樹脂により形
成されている。
【0068】第1基板51の内側面には、基板側から順
に、ITOなどの透明導電材からなる多数のストライプ
状の第1電極12…、およびポリイミド樹脂からなる配
向膜11が形成され、第2基板60の内側面には、基板
側から順に、画素領域に対応してR,G,Bの順に配列
されたカラーフィルタ23…、セル40を隔てて第1電
極12…と交差するように形成されたITO等の透明導
電材からなる多数のストライプ状の第2電極22…、お
よびポリイミド樹脂からなる配向膜21が形成されてい
る。
【0069】またセル40内には外圧に抗してセルギャ
ップを一定に保つスペーサ42…が散布されている。
【0070】本液晶パネルにおいて、第1基板51は紫
外線吸収剤を含有するポリカーボネートから成形され、
その光吸収特性は、380nm以上の波長領域での光透過
率が80%以上であり、330nm以下の波長の透過率は
10%以下である。第2基板60の材質は、本実施例で
は第1基板同様、紫外線吸収剤を含有するポリカーボネ
ート製としたが、第2基板60は紫外線吸収剤を含んで
いなくてもよい。本実施形態の液晶パネルは基板が樹脂
製であるので、ガラス基板製のものより厚みが薄く軽量
であり、しかも可撓性があり、携帯用の電子機器等の表
示装置として好適である。本実施形態の液晶パネルは基
板自体が紫外線吸収性であるので別途に紫外線遮断膜を
設ける必要がなく構成が簡単であり、しかも基板を通し
て光照射することにより、配向膜を劣化させることなく
光硬化性のシール材を硬化させることができる。
【0071】[実施形態6]以下に説明する実施形態6
の液晶パネルは、紫外線遮断膜がシール材で囲まれた基
板の内側面に形成されている。図8は実施形態6の液晶
装置における液晶パネルの層構成の概略を示す断面図、
図9は表示面側から見た本液晶パネルの概略を示す平面
図である。ただし、例えば偏光板や位相差板等、本発明
の説明に不要な要素は省略してある。また各構成要素の
寸法や数は実体を反映するものではない。
【0072】図8および図9に示すように、本液晶パネ
ルは、基本的には、互いに対向配置された一対のガラス
基板、すなわち第1基板10および第2基板20がシー
ル材30を介して貼合され、前記基板間の前記シール材
に囲まれた領域(セル40)に、該シール材に形成され
た開口部31を通して液晶41を充填することにより形
成されている。このシール材30は光硬化性樹脂により
形成されている。
【0073】第1基板10の内側面には、シール材30
に囲まれた内側で、かつシール材30の内縁部から距離
Dだけ離間した領域に、酸化チタンと酸化珪素とを6層
積層して形成された紫外線遮断膜50が成膜されてい
る。離間距離Dは0.2mmないし2mmの範囲内で適宜に
選択される。
【0074】紫外線遮断膜50の上面には、ITOなど
の透明導電材からなる多数のストライプ状の第1電極1
2…が形成されている。第1電極12…は、一方の端末
がシール材30より外側の基板上に延出し接続端末を形
成している。第1電極12…の上には、ポリイミド樹脂
からなる配向膜11が形成されている。配向膜11は、
所定の方向に配向処理されている。
【0075】第2基板20の内側面には、基板側から順
に、画素領域に対応してR,G,Bの順に配列されたカ
ラーフィルタ23…と、セルを隔てて第1電極12…と
交差するように形成されたITO等の透明導電材からな
る多数のストライプ状の第2電極22…と、ポリイミド
樹脂からなる配向膜21とが形成されている。この配向
膜は所定の方向に配向処理されている。
【0076】またセル40内には外圧に抗してセルギャ
ップを一定に保つスペーサ42…が散布されている。
【0077】本液晶パネルは、概略以下のようにして製
造することができる。先ず第1基板10の一方の面の、
後に形成されるシール材の内側でシール材の内縁部から
0.2mmないし2mmの範囲内の距離Dだけ離間した領域
に、屈折率が異なる複数の無機酸化膜を積層して紫外線
遮断膜50を形成する。または第1基板10の一方の面
全面に無機酸化膜を積層し、次いでシール材の内縁部か
ら0.2mmないし2mmの範囲内の距離Dだけ離間した領
域が残るようにパターニングして紫外線遮断膜50を形
成してもよい。次に形成された紫外線遮断膜50の上面
にフォトリソグラフィにより第1電極12…を形成し、
更にその上に配向膜11を印刷し、所定の方向に配向さ
せる。第1電極12…は一方の端末が接続端末となるよ
うに、後に形成されるシール材より外側の基板上に延出
させる。次に光硬化性樹脂インクを用い、紫外線遮断膜
50を離間して囲むように未硬化のシール材30を形成
する。このシール材はディスペンサを用いて描画し、一
部に開口部31を設ける。別途に、第2基板20の一方
の面には、詳細を省略するがカラーフィルタ23…を形
成し、その上に第2電極22…を形成し、その上に配向
膜21を印刷し、所定の方向に配向させ、更にその上に
スペーサ42…を散布しておく。第2電極22…は一方
の端末が接続端末となるように、第1基板上に形成され
るシール材より外側の基板上に延出させる。次に第1基
板10と第2基板20とを、それぞれ配向膜11,21
が内側を向くように重ね合わせて圧着し、表示面となる
紫外線遮断膜50の側から光を照射し、未硬化のシール
材30を硬化させる。次いで硬化したシール材に形成さ
れた開口部31を通じて真空吸引法等によりセル40内
に液晶を充填し、開口部31を封止して本液晶パネルを
完成する。本液晶パネルは、配向膜11,21がいずれ
も表示面側からの外光に対して紫外線遮断膜50によっ
て覆われているので、未硬化のシール材30を光により
硬化させる際にも、また完成後の本液晶パネルが紫外線
に暴露されることがあっても、配向膜11,21の特性
が紫外線によって劣化することはない。しかも、未硬化
のシール材30は紫外線遮断膜50に覆われていないの
で、硬化に有効な短波長の紫外線を含む充分量の紫外線
によっれ露光され、より急速に100%の硬化が達成さ
れる。以上説明した本発明の実施形態は、いずれも画像
表示方式としては便宜上、パッシブマトリクス方式の透
過型カラー液晶装置に用いられる液晶パネルとして説明
したが、本発明の液晶装置は、要は少なくとも配向膜が
保護される紫外線遮断領域が基板の少なくとも一方に形
成されていればよいので、画像表示方式は前記の実施形
態に限定されるものではなく、液晶駆動方式は例えばア
クティブマトリクス方式その他であってもよく、また透
過型に限らず、反射型、半透過反射型、または投影型な
どであってもよいことは言うまでもない。
【0078】[実施形態7]次に前記いずれかの本願発
明の液晶装置を備えた電子機器の具体例について図10
(A)ないし図10(C)を用いて説明する。
【0079】図10(A)は、携帯電話の一例を示した
斜視図である。
【0080】この図において、符号1000は携帯電話
本体を示し、符号1001は上記の液晶装置を用いた液
晶表示部を示している。
【0081】図10(B)は、ワードプロセッサ、パー
ソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置の一例を
示した斜視図である。
【0082】この図において、符号1200は情報処理
装置、符号1202はキーボードなどの入力部、符号1
204は情報処理装置本体、符号1206は上記の液晶
装置を用いた液晶表示部を示している。図10(C)
は、腕時計型電子機器の一例を示した斜視図である。
【0083】この図において、符号1100は時計本体
を示し、符号1101は上記の液晶装置を用いた液晶表
示部を示している。
【0084】[実施形態8]次に前記いずれかの本願発
明の液晶装置を備えた投射型液晶装置(プロジェクタ)
の具体例について説明する。
【0085】図11は、透過型液晶プロジェクタの一例
の要部を示した概略構成図である。この図において、符
号910は光源、符号913、914はダイクロイック
ミラー、符号915、916、917は反射ミラー、符
号918は入射レンズ、符号919はリレーレンズ、符
号920は出射レンズ、符号922、923、924は
それぞれ本発明の液晶装置を用いて構成されている液晶
光変調部、符号925はクロスダイクロイックプリズ
ム、符号926は投射レンズを示している。
【0086】光源910は、メタルハラルドなどのラン
プ911と該ランプの光を反射するリフレクタ912と
からなる。青色光・緑色光反射のダイクロイックミラー
913は、光源910からの光束のうちの赤色光を透過
させるとともに青色光と緑色光とを反射する。透過した
赤色光は、反射ミラー917で反射されて、赤色光用液
晶光変調装置922に入射される。一方、ダイクロイッ
クミラー913で反射された色光のうち緑色光は、緑色
光反射のダイクロイックミラー914によって反射さ
れ、緑色光用液晶光変調装置923に入射される。一
方、青色光は、第2のダイクロイックミラー914も透
過する。青色光に対しては、長い光路による光損失を防
ぐため、入射レンズ918、リレーレンズ919、出射
レンズ920を含むリレーレンズ系からなる導光手段9
21が設けられ、これを介して青色光が青色光用液晶光
変調装置924に入射される。
【0087】各光変調装置により変調された3つの色光
は、クロスダイクロイックプリズム925に入射する。
このプリズムは、4つの直角プリズムが張り合わされ、
その内面に赤色を反射する誘電体多層膜と青色を反射す
る誘電体多層膜とが十字状に形成されている。これらの
誘電体多層膜によって、3つの色光が合成されて、カラ
ー画像を表す光が形成される。合成された光は、投射光
学系である投射レンズ926によってスクリーン927
上に投射され、画像が拡大されて表示される。
【0088】実施形態7および実施形態8に示した電子
機器は、上記の液晶装置を用いた液晶表示部または液晶
光変調部を備えたものであるので、紫外線による配向膜
の劣化が少なく、液晶パネルの製造時に光硬化型のシー
ル材が使用できて生産性が向上するのみならず、電子機
器として使用中も、外光や照明光に含まれている紫外線
による配向膜の劣化が抑制され、耐用寿命が長い電子機
器を実現することができる。
【0089】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明の
液晶装置は、互いに対向配置された一対の基板がシール
材を介して貼合され、形成されたセル内に、該シール材
に形成された開口部を通じて液晶を充填することにより
形成された液晶装置であって、前記基板の内側面に配向
膜が形成され、前記基板の少なくとも一方に、少なくと
も前記配向膜を覆う紫外線遮断性の領域が形成されてい
るので、液晶パネル製造時に前記シール材を光硬化させ
ても紫外線の照射によって配向膜が劣化せず、従ってシ
ール材の硬化に光硬化を採用することができて生産性を
大幅に向上することができる。またこの液晶装置の製造
途中、または製造後にも紫外線によって配向膜が劣化し
ないので長寿命の液晶装置およびこの液晶装置を組み込
んだ電子機器を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態1の液晶装置における液晶
パネルの層構成の概略を示す断面図。
【図2】 前記液晶パネルを表示面側から見た平面図。
【図3】 (A)ないし(D)は前記液晶パネルの製造
工程の一部を示す断面図。
【図4】 ポリイミド樹脂からなる配向膜の光透過率を
示すグラフ。
【図5】 本発明の実施形態2の液晶装置における液晶
パネルの層構成の概略を示す断面図。
【図6】 (A)ないし(D)は前記液晶パネルの製造
工程の一部を示す平面図(一部断面図を含む)。
【図7】 本発明の実施形態5の液晶装置における液晶
パネルの層構成の概略を示す断面図。
【図8】 本発明の実施形態6の液晶装置における液晶
パネルの層構成を示す断面図。
【図9】 前記液晶パネルを表示面側から見た平面図。
【図10】 (A)ないし(C)はそれぞれ、本発明の
電子機器の一例を示す斜視図。
【図11】 本発明の電子機器の他の例を示す斜視図。
【符号の説明】
1:マザー基板 2:仮想領域 10:第1基板 11:配向膜 12:第1電極 20:第2基板 21:配向膜 22:第2電極 23:カラーフィルタ 30:シール材 31:開口部 40:セル 41:液晶 42:スペーサ 50:紫外線遮断膜 51:第1基板 60:第2基板

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに対向配置された一対の基板がシー
    ル材を介して貼合され、前記基板間の前記シール材に囲
    まれた領域に、該シール材に形成された開口部を通じて
    液晶が充填されてなる液晶装置であって、 前記基板の前記液晶に接する面に配向膜が形成され、 前記基板の少なくとも一方に、少なくとも前記配向膜を
    覆う紫外線透過率の低い領域が形成されていることを特
    徴とする液晶装置。
  2. 【請求項2】 前記紫外線透過率の低い領域は、310
    nm以下の波長域における紫外線透過率が10%以下であ
    ることを特徴とする請求項1に記載の液晶装置。
  3. 【請求項3】 前記紫外線透過率の低い領域は、330
    nm以下の波長域における紫外線透過率が10%以下であ
    ることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の液
    晶装置。
  4. 【請求項4】 前記紫外線透過率の低い領域は、前記の
    基板自体が紫外線吸収性を有することにより形成されて
    いることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれ
    かに記載の液晶装置。
  5. 【請求項5】 前記基板は、樹脂製であることを特徴と
    する請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の液晶装
    置。
  6. 【請求項6】 前記紫外線透過率の低い領域は、前記基
    板の前記液晶に面する側または反対側の外側面に設けら
    れた紫外線透過率の低い膜により形成されていることを
    特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の
    液晶装置。
  7. 【請求項7】 前記の紫外線透過率の低い膜は、基板の
    前記液晶に面する側に、前記シール材から内側に0.2
    mmないし2mmの範囲内で離間して設けられていることを
    特徴とする請求項6に記載の液晶装置。
  8. 【請求項8】 前記の紫外線透過率の低い膜は、無機膜
    により形成されていることを特徴とする請求項6または
    請求項7に記載の液晶装置。
  9. 【請求項9】 前記の紫外線透過率の低い膜は、屈折率
    が異なる複数の無機膜を積層して形成されていることを
    特徴とする請求項6または請求項7に記載の液晶装置。
  10. 【請求項10】 前記の紫外線透過率の低い膜は、有機
    化合物により形成されていることを特徴とする請求項6
    または請求項7に記載の液晶装置。
  11. 【請求項11】 前記の紫外線透過率の低い膜は、無機
    膜と有機化合物とを積層して形成されていることを特徴
    とする請求項6または請求項7に記載の液晶装置。
  12. 【請求項12】 前記シール材は光硬化性の樹脂からな
    ることを特徴とする請求項1ないし請求項11のいずれ
    かに記載の液晶装置。
  13. 【請求項13】 前記シール材は紫外線硬化性の樹脂か
    らなることを特徴とする請求項1ないし請求項12のい
    ずれかに記載の液晶装置。
  14. 【請求項14】 互いに対向配置された一対の基板がシ
    ール材を介して貼合され、前記基板間の前記シール材に
    囲まれた領域に、該シール材に形成された開口部を通じ
    て液晶が充填されてなる液晶装置の製造方法であって、 前記基板の前記液晶に接する面に配向膜を形成する工程
    と、 前記基板の少なくとも一方に、少なくとも前記配向膜を
    覆う紫外線透過率の低い領域を形成する工程と、 一方の前記基板の前記液晶に面する側に、開口部が形成
    された未硬化のシール材を形成する工程と、 前記未硬化のシール材を介して双方の基板を配向膜が内
    側となるように貼合する工程と、 前記基板を貼合した後に前記未硬化のシール材を硬化す
    る工程と、 前記未硬化のシール材を硬化した後に前記開口部を通じ
    て前記基板間の前記シール材に囲まれた領域に液晶を充
    填する工程とを含むことを特徴とする液晶装置の製造方
    法。
  15. 【請求項15】 前記基板を貼合する前に、前記一方の
    基板の前記液晶に面する側にスペーサを散布する工程を
    含むことを特徴とする請求項14に記載の液晶装置の製
    造方法。
  16. 【請求項16】 前記紫外線透過率の低い領域は、基板
    自体に紫外線吸収性を有するものを用いて形成すること
    を特徴とする請求項14または請求項15に記載の液晶
    装置の製造方法。
  17. 【請求項17】 前記紫外線透過率の低い領域は、前記
    基板の前記液晶に面する側または反対側の外側面に紫外
    線吸収膜を設けることにより形成することを特徴とする
    請求項14または請求項15に記載の液晶装置の製造方
    法。
  18. 【請求項18】 前記シール材は光硬化性の樹脂により
    形成し、前記未硬化のシール材は光照射により硬化させ
    ることを特徴とする請求項13ないし請求項17のいず
    れかに記載の液晶装置の製造方法。
  19. 【請求項19】 前記シール材は紫外線硬化性の樹脂に
    より形成し、前記未硬化のシール材は紫外線照射により
    硬化させることを特徴とする請求項13ないし請求項1
    8のいずれかに記載の液晶装置の製造方法。
  20. 【請求項20】 前記基板を貼合した後にシール材を加
    熱する工程を含むことを特徴とする請求項14ないし請
    求項19のいずれかに記載の液晶装置の製造方法。
  21. 【請求項21】 請求項1ないし請求項13のいずれか
    に記載の液晶装置を備えたことを特徴とする電子機器。
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