JP2002098833A - 透明導電性基板及びそれを用いてなる表示素子 - Google Patents

透明導電性基板及びそれを用いてなる表示素子

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JP2002098833A
JP2002098833A JP2000288401A JP2000288401A JP2002098833A JP 2002098833 A JP2002098833 A JP 2002098833A JP 2000288401 A JP2000288401 A JP 2000288401A JP 2000288401 A JP2000288401 A JP 2000288401A JP 2002098833 A JP2002098833 A JP 2002098833A
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conductive substrate
layer
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film
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Isao Shiraishi
功 白石
Toru Hanada
亨 花田
Akihiko Uchiyama
昭彦 内山
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Teijin Ltd
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Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の目的は、外光反射を抑え、コントラ
ストが明瞭な表示素子、及びそれを与える透明導電性基
板を提供することにある。 【解決手段】 1枚の位相差フィルムの少なくとも片面
の最表面に透明導電層を積層した透明導電性基板であっ
て、該位相差フィルムは450nm及び550nmにお
ける位相差が下記式(1)を満たすことを特徴とする透
明導電性基板。 │R(450)│<│R(550)│ (1) (上記式(1)において、│R(450)│、│R(5
50)│はそれぞれ波長450nm、550nmにおけ
る面内位相差の絶対値(nm)である。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、偏光板を組み合わ
せて用いることにより反射防止能を有する透明導電性基
板およびこれを用いた表示素子に関するものであり、表
示素子としては特に有機薄膜を電界発光層に用いる有機
電界発光表示素子、無機電界発光表示素子、フィールド
エミッション表示素子、プラズマ表示素子、液晶表示素
子、その他反射を無くすことによりコントラストを明瞭
に表示するすべての表示素子に好適な透明導電性基板に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、有機電界発光素子(一般に有機E
L素子、あるいはOLEDなどと称されることもある)
は観測者に対して発光層の裏側に金属電極を有してお
り、外光が存在することによってその金属電極からの反
射光が発生したり、また観測者側の風景が写り込んだり
することにより著しく表示品位を下げてしまうといった
問題がある。この金属反射を防ぐ目的で、発光素子にお
いて観測者に対して発光層の表側に位置する前面基板上
に、反射防止フィルムとして円偏光板を用いる技術が既
に知られている。円偏光板は偏光板と四分の一波長板で
ある位相差フィルムからなるが、この位相差フィルムと
しては、高分子フィルムを延伸した高分子配向フィルム
等を用いるものである。
【0003】しかしながら、このような位相差フィルム
は、特定の波長においてのみ、四分の一の位相差を与え
るものである。したがって、この位相差フィルムを円偏
光フィルムとして使用した場合には、位相差の四分の一
波長となるある特定の波長のみで良好な反射防止効果が
得られるが、可視光例えば、波長400nm〜700n
mといった広帯域において良好な反射防止を得ることが
できず、その結果反射光が色付いたりするといった問題
点があった。
【0004】一方、複数枚の位相差フィルムを使うこと
で位相差の波長分散特性を改良し、これら反射光の着色
における問題を解決しようとする技術も提案されてい
る。
【0005】しかしながら複数枚の位相差フィルムを用
いた円偏光板は、複数枚の位相差フィルムを最適な角度
に保って使うことが必要であり、フィルム間に粘着剤を
必要とすること、歩留まりを低下すること、面倒な光学
設計が必要になることなどでコストが非常に高くなって
しまう多くの問題を抱えている。
【0006】またさらに、有機電界発光素子は酸素や水
分に非常に弱い性質を持つため、ガス透過性の低く透明
な電極を積層することの出来るガラス基板が従来から用
いられてきた。しかし、ガラス基板はプラスチックで出
来た基板と比べ、重く、割れ易いという問題点を持って
いる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の主たる目的
は、外光反射を抑え、コントラストが明瞭な表示素子、
及びそれを与える透明導電性基板を提供することにあ
る。
【0008】また本発明の他の目的は、割れずかつ軽量
化した透明導電性基板、及びそれを用いた有機電界発光
素子等の表示素子を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、可視光領域に
おいて波長に依存しない理想的なλ/4板を得ることの
できる位相差フィルムを探求する過程で、一枚で短波長
ほど位相の小さいの位相差フィルムが提供可能であるこ
とを見出し、これと偏光板とを組み合わせることで上記
目的を達成することを見出し、またさらに、薄く、軽
く、割れない液晶表示素子に必要である透明導電性基板
の開発によって見出された要求を追求する過程で得られ
た知見とを融合することにより従来にない優れた特性を
有する透明導電性基板及びそれを用いてなる表示素子を
提供するに至ったものである。
【0010】すなわち本発明は、次のとおりである。 1.1枚の位相差フィルムの少なくとも片面の最表面に
透明導電層を積層した透明導電性基板であって、該位相
差フィルムは450nm及び550nmにおける位相差
が下記式(1)を満たすことを特徴とする透明導電性基
板。
【0011】
【数2】 │R(450)│<│R(550)│ (1) (上記式(1)において、│R(450)│、│R(5
50)│はそれぞれ波長450nm、550nmにおけ
る面内位相差の絶対値(nm)である。)
【0012】2.前記位相差フィルムの位相差が四分の
一波長である上記の透明導電性基板。
【0013】3.前記位相差フィルムの少なくとも一方
の面側に、少なくとも一層のガスバリア層が積層されて
いる、及び/又は位相差フィルムの少なくとも一方の面
に少なくとも一層の耐薬品層が積層されている上記の透
明導電性基板。
【0014】4.ガスバリア層が金属酸化物及び/又は
金属窒化物からなり、かつ該ガスバリア層が透明導電層
に接して配置している上記の透明導電性基板。
【0015】5.前記位相差フィルムがフルオレン骨格
を含むポリカーボネートを含んでなる上記の透明導電性
基板。
【0016】6.上記透明導電性基板を、透明導電層を
透明電極として用いた表示素子であって、かつ該透明電
極と反対の面に偏光板を配置した表示素子。
【0017】7.透明導電性基板と偏光板の間に、位相
差が波長の二分の一波長である高分子フィルムを配置し
た上記の表示素子。
【0018】8.有機電界発光素子である上記の表示素
子。
【0019】9.上記の透明導電性基板の透明導電層と
反対の面に、偏光板を配置した円偏光性透明導電性基
板。
【0020】ここで、本発明の透明導電性基板が外光反
射を防止する原理を、有機電界発光素子を例として図2
で説明する。
【0021】図2において、外光1は偏光板6を通過
し、直線偏光2となる。ついで、直線偏光2は位相差
(四分の一の波長)を有する位相差フィルムを基材とす
る透明導電性基板7を通過した後、右回り(または左回
り)円偏光となる。この際、透明導電性基板を構成する
透明導電層、必要に応じて具備される耐溶剤層、ガスバ
リア層はそれぞれ光学的に等方なので、3の偏光状態は
位相差フィルム以外の部分ではほとんど変化を与えな
い。8、9、10はそれぞれ正孔輸送層、発光層、電子
輸送層であるが、これらも透明導電層などと同様に光学
的に等方であるため3の偏光状態はほとんど変化を与え
ない。よって右回り(または左回り)円偏光3は陰極で
ある金属電極11に偏光状態を維持したまま到達する。
反射後、偏光状態は4のように左回り(または右回り)
円偏光に変化し、再び透明導電性基板7を通過後は直線
偏光2と180度位相がずれた直線偏光5となる。その
ため直線偏光14は偏光板6を通過することができず、
外光が吸収されるため反射防止機能を発現することがで
きる。なお、図2では偏光板6、透明導電性基板7、正
孔輸送層8は離れているように記載されているが、これ
は原理を説明するためであって、実際これらは密着して
いる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の位相差フィルムは1枚の高分子配向フィルムか
らなり、波長450nm及び550nmにおける位相差
が下記式(1)を満たしており、該位相差フィルムと偏
光板を併用することにより反射防止能を有する。
【0023】
【数3】 │R(450)│<│R(550)│ (1) R(450)、R(550)は同符号である必要があ
る。
【0024】かかる位相差フィルムは四分の一波長の位
相差を有するもの、すなわちλ/4板が好適である。こ
こでは位相差が四分の一波長であるとは、測定波長が5
50nmに対して四分の一波長であるとする。本発明の
透明導電性基板は偏光板と組み合わせて用いることによ
り反射防止能を有し、この反射防止機能により外光の写
りこみや黒表示を可能にした表示素子を提供できるもの
であり、人間の目の視感度が比較的高い波長である55
0nmを用いて定義した。具体的には測定波長が550
nmにおいて位相差値R(550)の範囲が100nm
≦R(550)≦170nmであることが好ましく、よ
り好ましくは120nm≦R(550)≦155nmで
ある。
【0025】位相差フィルムの位相差波長分散として好
ましくは、測定波長450nm、550nm、650n
mの位相差値R(450)、R(550)、R(65
0)で表すと、下記式(2)及び(3)
【0026】
【数4】 0.6<R(450)/R(550)<0.97 (2) 1.01<R(650)/R(550)<1.4 (3) を満足することである。より好ましくは下記式(4)、
(5)を満足することである。
【0027】
【数5】 0.70<R(450)/R(550)<0.90 (4) 1.03<R(650)/R(550)<1.25 (5)
【0028】測定波長450nm、550nm、650
nmで完全に四分の一波長の位相差を与える場合には、
それぞれの位相差値はR(450)=112.5nm、
R(550)=137.5、R(650)=162.5
nmであるので、それぞれの上記波長分散値はR(45
0)/R(550)=0.818、R(650)/R
(550)=1.182となる。このような位相差の波
長分散の範囲とすることにより、可視光の広い範囲で反
射防止効果が得られ、あるいは発光素子における外光反
射防止能を与え、コントラストに優れた表示素子を提供
可能となる。
【0029】位相差フィルムはガラス転移点温度が12
0℃以上、好ましくは150℃以上、さらにより好まし
くは180℃以上であることが好ましい。該位相差フィ
ルムを用いた透明導電性基板を有機電界発光素子へ応用
した場合、素子の作製工程や素子の使用条件にもよる
が、素子からの発熱などにより配向緩和等の問題が生じ
る可能性がある。このため、位相差フィルムのガラス転
移点は高く、熱処理により緩和しないようなフィルムで
あることが好ましい。
【0030】本発明に用いられる位相差フィルムは、ブ
レンド高分子からなるものでも共重合体からなるもので
もよい。
【0031】本発明に用いられる位相差フィルムを構成
する高分子材料は特に限定されず、耐熱性に優れ、光学
性能が良好で、溶液製膜ができる材料、例えばポリアリ
レート、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリオレフ
ィン、ポリエーテル、ポリスルフィン系共重合体、ポリ
スルホン、ポリエーテルスルホンなどの熱可塑性ポリマ
ーが好適である。
【0032】この熱可塑性ポリマーを用いた場合、正の
屈折率異方性を有する高分子と負の屈折率異方性を有す
る高分子からなるブレンド高分子、正の屈折率異方性を
有する高分子のモノマー単位と負の屈折率異方性を有す
る高分子のモノマー単位とからなる共重合体がより好適
である。それらは2種類以上組み合わせてもよく、また
一種類以上のブレンド高分子と一種類以上の共重合体と
を組み合わせて用いてもよい。
【0033】ブレンド高分子であれば、光学的に透明で
ある必要があることから相溶ブレンドまたは、各々の高
分子の屈折率が略等しいことが好ましい。ブレンド高分
子の具体的な組み合わせとしては、例えば負の光学異方
性を有する高分子としてポリ(メチルメタクリレート)
と、正の光学異方性を有す高分子としてポリ(ビニリデ
ンフロライド)、ポリ(エチレンオキサイド)及びポリ
(ビニリデンフロライド−コートリフルオロエチレン)
からなる群から選ばれる少なくとも一種のポリマーとの
組み合わせ、正の光学異方性を有する高分子としてポリ
(スチレン−コ−ラウロイルマレイミド)、ポリ(スチ
レン−コ−シクロヘキシルマレイミド)及びポリ(スチ
レン−コ−フェニルマレイミド)からなる群から選ばれ
る少なくとも一種のポリマーとの組み合わせ、負の光学
異方性を有するポリ(スチレン−コ−マレイン酸無水
物)との正の光学異方性を有するポリカーボネートとの
組み合わせ、正の光学異方性を有するポリ(アクリロニ
トリル−コ−ブタジエン)と負の光学異方性を有するポ
リ(アクリトニトリル−コ−スチレン)との組み合わ
せ、正の光学異方性を有するポリカーボネートと負の光
学異方性を有するポリカーボネートとの組み合わせを好
適に挙げることができるが、これらに限定されるもので
はない。特に透明性の観点から、ポリスチレンとポリ
(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンオキサイド)
等のポリ(フェニレンオキサイド)とを組み合わせたブ
レンドポリマー、正の光学異方性を有するポリカーボネ
ートと負の光学異方性を有するポリカーボネートとを組
み合わせたブレンド体が好ましい。前者の場合、該ポリ
スチレンの比率が全体の67重量%以上75重量%以下
を占めることが好ましい。後者の場合、正の光学異方性
を有するビスフェノールAをジオール成分とするポリカ
ーボネートと、ビスフェノールフルオレンをジオールフ
ルオレンをジオール成分とする、フルオレン骨格を主と
して有するポリカーボネートとを配合してなるものが好
ましい。該ビスフェノールフルオレン成分のブレンド体
全体における含有率は、30〜90モル%が好適であ
る。
【0034】また、共重合体としては例えばポリ(ブタ
ジエン−コ−ポリスチレン)、ポリ(エチレン−コ−ポ
リスチレン)、ポリ(アクリトニトリル−コ−ブタジエ
ン)、ポリ(アクリトニトリル−コ−ブタジエン−コ−
スチレン)、ポリカーボネート共重合体、ポリエステル
共重合体、ポリエステルカーボネート共重合体、ポリア
クリレート共重合体等はより好ましく用いられる。
【0035】上記高分子材料は、二種類以上の共重合体
ブレンドでもよく、一種類以上の共重合体と上記のブレ
ンド体または他のポリマーとからなるブレンド体であっ
てもよく、二種類以上のブレンド体または共重合体かた
は他のポリマーのブレンド体でもよい。これらの場合、
該ビスフェノールフルオレン成分の全体における含有率
は、30〜90モル%とすることが好適である。
【0036】ビスフェノール類とホスゲンあるいは炭酸
ジフェニルなどの炭酸エステル形成性化合物と反応させ
て製造されるポリカーボネート共重合体は透明性、耐熱
性、生産性に優れており特に好ましく用いることができ
る。ポリカーボネート共重合体としてはフルオレン骨格
を有する構造を含む共重合体であることが好ましい。フ
ルオレン骨格を有する成分は式(I)で表される繰り返
し単位であり、繰り返し単位全体の1〜99モル%含ま
れていることが好ましい。
【0037】具体的には、下記式(I)
【0038】
【化1】
【0039】(上記式(I)において、R1〜R8はそれ
ぞれ単独に水素原子、ハロゲン原子及び炭素数1〜6の
炭化水素基から選ばれる少なくとも一種であり、Xは
【0040】
【化2】
【0041】である。)で示される繰り返し単位を30
〜90%モル%と下記式(II)
【0042】
【化3】
【0043】(上記式(II)において、R9〜R16
それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子及び炭素数1〜
22の炭化水素基から選ばれる少なくとも一種であり、
Yは下記式群
【0044】
【化4】
【0045】(ここで、Y中のR17〜R19、R21及びR
22はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子及び炭素数
1〜22の炭化水素基から、R20及びR23はそれぞれ独
立に炭素数1〜20の炭化水素基から選ばれ、Arは炭
素数6〜10のアリール基から選ばれる少なくとも一種
の基である。))で示される繰り返し単位が全体の70
〜10モル%を占めるポリカーボネート共重合体が挙げ
られる。
【0046】上記式(I)において、R1〜R8はそれぞ
れ独立に水素原子、ハロゲン原子及び炭素数1〜6の炭
化水素基から選ばれる。かかる炭素数1〜6炭化水素基
としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、シク
ロヘキシル基等のアルキル基、フェニル基等のアリール
基が挙げられる。この中で、水素原子、メチル基が好ま
しい。
【0047】上記式(II)において、R9〜R16はそ
れぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子及び炭素数1〜2
2の炭化水素基から選ばれる。かかる炭素数1〜22の
炭化水素基としては、メチル基、エチル基、イソプロピ
ル基、シクロヘキシル基等の炭素数1〜9のアルキル
基、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基等のア
リール基が挙げられる。この中で、水素原子、メチル基
が好ましい。
【0048】上記式(II)のYにおいて、R17
19、R21及びR22はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲ
ン原子及び炭素数1〜22の炭化水素基から選ばれる少
なくとも一種の基である。かかる炭化水素基について
は、上記したものと同じ物を挙げることができる。R20
及びR23はそれぞれ独立に炭素数1〜20の炭化水素基
から選ばれ、かかる炭化水素基については、上記したも
のと同じものを挙げることができる。Arはフェニル
基、ナフチル基等の炭素数6〜10のアリール基であ
る。
【0049】本発明における位相差フィルムは、フルオ
レン骨格を有するポリカーボネートを用いたものが好ま
しい。このフルオレン骨格を有するポリカーボネートと
しては、例えば上記式(I)で表される繰り返し単位と
上記式(II)で表される繰り返し単位からなるポリカ
ーボネートのブレンド体がよく、上記式(I)の含有
率、すなわち共重合体の場合共重合組成、ブレンド体の
場合ブレンド組成比は、ポリカーボネート全体の30〜
90モル%が好適である。かかる範囲を外れた場合には
小さい位相差値を有する位相差フィルムを均一に得るこ
とが困難となる。
【0050】上記式(I)の含有率はポリカーボネート
全体の35〜85モル%が好ましく、50〜80モル%
がより好ましい。
【0051】上記共重合体は、上記式(I)及び(I
I)で表される繰り返し単位をそれぞれ二種類以上組み
合わせてもよく、ブレンド体の場合も、上記繰り返し単
位はそれぞれ二種類以上組み合わせても良い。
【0052】ここで上記モル比は共重合体、ブレンド体
に関わらず、位相差フィルムを構成するポリカーボネー
トバルク全体で、例えば核磁気共鳴装置(NMR)によ
り求めることができる。
【0053】上記フルオレン骨格を有するポリカーボネ
ートとしては、下記式(III)
【0054】
【化5】
【0055】(上記式(III)において、R24及びR
25はそれぞれ独立に水素原子及びメチル基から選ばれる
少なくとも一種である。)で示される繰り返し単位を3
5〜85モル%と下記式(IV)
【0056】
【化6】
【0057】(上記式(IV)において、R26及びR27
はそれぞれ独立に水素原子、メチル基から選ばれ、Zは
下記式群
【0058】
【化7】
【0059】から選ばれる少なくとも一種の基であ
る。)が全体の65〜15モル%を占めるポリカーボネ
ート共重合体及びまたはブレンド体を用いることが特に
好ましい。
【0060】上記した共重合体及びまたはブレンド体は
公知の方法によって製造し得る。ポリカーボネートはジ
ヒドロキシ化合物とホスゲンとの重縮合による方法、溶
融重縮合法等が好適に用いられる。ブレンド体の場合
は、相溶性ブレンドが好ましいが、完全に相溶しなくて
も成分間の屈折率を合わせれば成分間の光散乱を抑え、
透明性を向上させることが可能である。
【0061】上記のポリカーボネートの極限粘度は0.
3〜2.0dl/gであることが好ましい。0.3未満
では脆くなり、機械的強度が保てないといった問題があ
り、3.0を超えると溶液粘度が上がりすぎるために溶
液製膜においてダイラインの発生などの問題や、重合終
了時の精製が困難になるといった問題がある。
【0062】位相差フィルムは透明であることが好まし
く、ヘーズ値は3%以下、全光線透過率は85%以上で
あることが好ましい。
【0063】さらに、フェニルサリチル酸、2−ヒドロ
キシベンゾフェノン、トリフェニルフォスフェート等の
紫外線吸収剤や、色味を買えるためのブルーイング剤、
酸化防止剤等を添加しても良い。
【0064】本発明の位相差を有する位相差フィルムは
上記ポリカーボネートなどの未延伸フィルムに延伸等を
行い、高分子鎖を配向させたものである。かかるフィル
ムの製造方法としては、公知の溶融押し出し法、溶液キ
ャスト法等が用いられるが、膜厚斑、外観、表面平坦性
等の観点から溶液キャスト法がより好ましく用いられ
る。溶液キャスト法における溶剤としては、メチレンク
ロライド、ジオキソラン等が好適に用いられる。
【0065】また、延伸方法も公知の延伸方法を使用し
うるが、好ましくは縦一軸延伸である。フィルム中には
延伸性を向上させる目的で、公知の可塑剤であるジメチ
ルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレー
ト等のフタル酸エステル、トリブチルフォスフェート等
のりん酸エステル、脂肪族二塩基エステル、グリセリン
誘導体、グリコール誘導体等が含有しても良い。延伸時
には、先述のフィルム製膜時に用いた有機溶剤をフィル
ム中に残留させて延伸しても良い。この有機溶剤の量と
してはポリマー固形分対比1〜20wt%であることが
好ましい。
【0066】また、上記可塑剤や液晶等の添加剤は、本
発明の位相差フィルムの位相差波長分散を変化させ得る
が、添加量はポリマー固形分対比10wt%以下が好ま
しく、3wt%以下がより好ましい。特に添加剤として
液晶は位相差波長分散を大きく変化さ得るが、本発明に
おいて液晶はなくても良い。
【0067】位相差フィルムの膜厚としは特に限定する
わけではないが、10μmから1000μmであること
が好ましい。厚さが10μmより小さいと十分な剛性が
なくパネル加工時に変形しやすく取り扱いが難しい。ま
た、1000μmよりも大きいと変形は生じにくくなる
が、ロール・ツー・ロール方式による延伸配向や透明導
電層、耐溶剤層のコーティングなどが困難となり生産性
が低下する。なお、本発明では透明導電性基板の基材と
なるフィルムを、位相差フィルムと表現しているが、共
通して「フィルム」、あるいは「シート」といわれるい
ずれのものも含む意味である。
【0068】先述したように、位相差フィルムの位相差
を短波長ほど小さくするためには、位相差フィルムを構
成する高分子の化学構造が重要であり、位相差波長分散
はかなりの部分がその化学構造で決まるが、製膜条件、
添加剤、延伸条件、ブレンド状態、分子量等によっても
変動することに留意されるべきである。
【0069】本発明のひとつの側面として、本発明の透
明導電性基板は、さらに上記式(1)を満たす他の位相
差フィルムを1枚以上積層させることができる。具体的
には透明導電性基板のベースとなる位相差フィルムとし
てλ/4板を用い、かかる他の位相差フィルムとしてλ
/2を用いることができる。(あるいはベースとなる位
相差フィルムとしてλ/2板、他の位相差フィルムとし
てλ/4板でも構わない)ここで言う積層とは、2枚の
位相差フィルムの間に、耐溶剤層、ガスバリア層、粘着
層等、光学特性に著しい影響を与えない材料であれば入
っていても構わない。この場合、λ/4板及びλ/2板
はいずれも下記式(6)(7)
【0070】
【数6】 0.6<R(450)/R(550)<1 (6) 1<R(650)/R(550)<1.4 (7) を満たすことが好ましい。
【0071】このようなλ/4板とλ/2板とを積層す
ることにより、直線偏光を積層した位相差フィルムに入
射した際に測定波長400〜700nm、好ましくは4
00〜780nmにおいていずれの波長でもほぼ完全な
円偏光とすること、逆に完全な円偏光を積層した位相差
フィルムに入射した際に測定波長の400〜700nm
においていずれの波長でもほぼ完全な直線偏光を得るこ
とができるため、可視光領域の広帯域において非常に良
好な反射防止特性が得られる。本発明においては前述し
たような位相差波長分散特性を有する位相差フィルムが
一枚でも十分な反射防止特性を得られるが、逆にさらに
広帯域で反射特性が問われる用途ではこのような構成も
使用し得る。式(1)のような特性を満足しない場合に
は、広帯域で非常に良好な反射防止特性を得ることが困
難である。
【0072】さらにλ/4板とλ/2板の貼り合わせ角
度については、光軸の角度が50から70度であること
が好ましく、また、λ/4板とλ/2板は同じ材料から
なるほうが好ましいが、異なるものでも良い。ここで言
う光軸とは、進相軸または遅相軸である。
【0073】このような他の位相差フィルムは上記位相
差フィルムで述べたものと同じ高分子材料や厚さのもの
を用いることができる。特にR(450)/R(550)お
よびR(650)/R(550)の値はλ/4板とλ/2
板とで同一であることが好ましい。
【0074】本発明における透明導電層としては、公知
の金属膜、金属酸化物膜等が適用できるが、中でも透明
性、導電性、機械的特性の点から、金属酸化物膜が好ま
しい。例えば、不純物としてスズ、テルル、カドミウ
ム、モリブデン、タングステン、フッ素、亜鉛、ゲルマ
ニウム等を添加した酸化インジウム、酸化カドミウム及
び酸化スズ、不純物としてアルミニウムを添加した酸化
亜鉛、酸化チタン等の金属酸化物膜が挙げられる。中で
も酸化スズを2から15重量%含有した酸化インジウム
(ITO)の薄膜が、透明性、導電性に優れており、好
ましく用いられる。上記透明導電層の膜厚は目的の表面
抵抗に応じて設定されるが、1nmから10μmが好ま
しい。
【0075】本発明の透明導電性基板は、上記位相差フ
ィルムの少なくとも片面の最表面に透明導電層を有する
が、この透明導電性基板を有機電界発光素子等の表示素
子へ応用する場合は、上記位相差フィルムの少なくとも
一方の面に、少なくとも一層の有機系または無機系のガ
スバリア層を有することが好ましい。
【0076】有機系のガスバリア層の具体的な例として
は、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール−エ
チレン共重合体等のビニルアルコール系高分子、ポリア
クリロニトリル、アクリロニトリル−アクリル酸メチル
共重合体やアクリロニトリル−スチレン共重合体などの
アクリロニトリル系高分子、あるいはポリ塩化ビニリデ
ンなどのポリマーが挙げられる。これらのガスバリア層
は通常、これらのポリマーを溶剤に溶かしたコーティン
グ組成物を、位相差フィルム基板の上に湿式塗工するこ
とにより形成される。塗工方法としては、例えばリバー
スロールコート法、マイクログラビアコート法、ダイレ
クトグラビアコート法、キスコート法、ダイコート法等
の公知の方法が用いられる。また、適当な有機溶媒で樹
脂組成物の希釈を行うことにより、塗液粘度の調整や層
の膜厚調整が可能である。
【0077】また、無機系のガスバリア層としては、珪
素、アルミニウム、マグネシウム及び亜鉛からなる群か
ら選ばれる一種または二種以上の金属を主成分とする金
属酸化物または金属窒化物を設けることができる。これ
らは、ガスバリア性に優れる材料として知られているも
のである。これらの酸化物層は例えばスパッタ法、真空
蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等
の気相中より材料を体積させて膜を形成する気相堆積法
により作製することができる。
【0078】これらの中でも、ガスバリア層、透明性、
表面平滑性、屈曲性、膜応力、コスト等の点から珪素原
子に対する酸素原子数の割合が1.5から2.0の珪素
酸化物を主成分とする金属酸化物が良好である。
【0079】珪素酸化物の珪素原子数に対する酸素原子
数の割合は、X線光電子分光法、X線マイクロ分光法、
オージェ電子分光法、ラザホード後方散乱法などにより
分析、決定される。この割合が1.5よりも小さくなる
と透明性が低下することから、1.5から2.0が好ま
しい。さらにより高い透明性の要求に対してはフッ化マ
グネシウムを全体の重量に対して5から30重量%含有
してなる、上記珪素酸化物が好ましい。
【0080】有機系のガスバリア層ならびに無機系のガ
スバリア層の膜厚は、本発明の透明導電性基板から透明
導電層を除去した後の基板の40℃90%RH環境下に
おける酸素透過度を1cc/m2/day/atm以下
かつ水蒸気透過度を1g/m2/day以下になるよう
に、使用する材料に応じて膜厚を調整することがより好
ましいが、通常1nmから50μmの範囲である。
【0081】かかるガスバリア層は位相差フィルムと透
明導電層の間にあってもよく、透明導電層と反対側にあ
っても良い。また位相差フィルムや透明導電層と接して
いなくても良い。ただし特に有機電界発光素子へ本発明
の透明導電性基板を用いる場合には、基材となる位相差
フィルムに含有あるいは吸着している水も素子の劣化を
起こすため、透明導電層に接してガスバリア層を配置す
ることがより好ましい。また、透明導電層に接して配置
するガスバリア層は、それ自体の吸着水が影響するた
め、吸湿性の少ない無機系の材料からなるガスバリア層
であることがより好ましい。
【0082】本発明の透明導電性基板は、耐薬品層を有
することができる。かかる耐薬品層としては、耐薬品性
の他、透明性、良好な層間密着性を有するものがよく、
例えば、エポキシ系樹脂等の熱硬化性樹脂、紫外線硬化
性アクリル系樹脂等の放射線硬化樹脂、ビニルアルコー
ル系ポリマーとエポキシ基含有珪素化合物ならびにアミ
ノ基含有珪素化合物等の珪素含有化合物とを混合して加
熱し架橋反応させて得られる熱硬化性珪素含有ビニルア
ルコール系樹脂、シロキサン系樹脂、メラミン系樹脂、
ウレタン系樹脂、アルキド系樹脂等を挙げることができ
る。
【0083】エポキシ系樹脂は耐溶剤性の観点からノボ
ラック型のエポキシ樹脂が好ましい。かかるエポキシ系
樹脂を硬化させる硬化剤としては、公知のものが適用で
きる。例えばアミン系、ポリアミノアミド系、酸及び酸
無水物、イミダゾール、メルカプタン、フェノール系樹
脂等の硬化剤が用いられる。
【0084】なかでも、耐薬品性、光学特性、熱特性等
より、酸無水物及び酸無水物構造を含むポリマーまたは
脂肪族樹脂類が好ましく用いられ、更に好ましくは酸無
水物及び酸無水物構造を含むポリマーである。
【0085】さらに、反応速度を上げるために公知の第
三アミン類やイミダゾール類等の硬化触媒を適量加える
ことが望ましい。
【0086】放射線硬化性樹脂は、紫外線や電子線等の
放射線を照射することにより硬化が進行する樹脂を指
し、具体的には分子あるいは単体構造内にアクリロイル
基、メタクリロイル基、ビニル基等の不飽和二重結合を
含むアクリル系樹脂が好ましい。該放射線硬化性樹脂は
一種類の樹脂を用いても、数種類の樹脂を用いてもかま
わないが、耐溶剤性の観点から分子あるいは単位構造内
に二個以上のアクリロイル基を有する多官能アクリレー
ト成分を有するアクリル系樹脂を用いることが好まし
い。こうした多官能アクリレート樹脂としては、例えば
ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ペンタエ
リスリトールトリアクリレート、トチメチロールプロパ
ントリアクリレート等の各種アクリレートモノマーや、
ポリエステル変性もしくはウレタン変性の多官能アクリ
レートオリゴマー等が挙げられるが、これらに限定され
るものではない。
【0087】このような放射線硬化性樹脂として、特に
アクリル系樹脂を用いた場合、更なる密着性、耐溶剤性
を付与する目的で下記式(8)及びまたは(9)で表さ
れるアルコキシシランの加水分解物を固形分の重量比率
で75重量%以下となる範囲になるよう混合した、紫外
線硬化性珪素含有アクリル系樹脂が好適である。
【0088】
【数7】 R28−Si(OR293 (8) Si(OR294 (9)
【0089】上記式において、R28はメチル基、エチル
基、もしくはビニル基、アクリロイル基、メタクリロイ
ル基、アミノ基、エポキシ基を含む有機基、R29はメチ
ル基、エチル基、プロピル基を示す。該アルコキシシラ
ンの混合比率が75重量%を超えると逆に耐溶剤性、硬
化性が低下する傾向が見られ、好ましくない。
【0090】紫外線硬化法を用いる場合には、前述の放
射線硬化性樹脂に公知の光反応開始剤を適量添加する。
例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−メチル−1−
(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノプ
ロパン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプ
ロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェ
ニルケトン等のアセトフェノン系化合物、ベンゾイン、
ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物、ベ
ンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸のベンゾフェノン系
化合物、チオキサンソン、2,4−ジクロロチオキサン
ソン等のチオキサンソン系化合物等が挙げられる。ま
た、より硬化性を向上させるためには、トリエタノール
アミン、メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミ
ノ安息香酸エチル等の公知の反応開始助剤を適量添加す
ることも効果的である。
【0091】熱硬化性珪素含有ビニルアルコール系樹脂
は、ポリビニルアルコール系ポリマーと、珪素含有化合
物とを含む硬化性樹脂を好ましく用いることができる。
特に、珪素含有化合物としてエポキシ基含有珪素化合物
及び/またはアミノ基含有珪素化合物を用いると、密着
性、耐薬品性が非常に優れるのでより効果的である。
【0092】ここでポリビニルアルコール系ポリマー
は、公知の市販のものが適用でき、例えばビニルアルコ
ール成分およびビニルアルコール共重合体成分よりなる
群から選ばれた少なくとも1種を50モル%以上含有す
る高分子が適用される。なお、このビニルアルコール共
重合体としては、例えばビニルアルコール−酢酸ビニル
共重合体、ビニルアルコールビニルブチラール共重合
体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、あるいは分
子内にシリル基を有するポリビニルアルコール系高分子
等が挙げられる。
【0093】エポキシ基含有珪素化合物はエポキシ基及
びアルコキシシリル基を有する珪素化合物、その(部
分)加水分解物、その(部分)縮合物、及びこれらの混
合物からなる群から選ばれ、例えば下記式(10)で表
される。
【0094】
【数8】 X−R30−Si(R31n(OR32)3-n (10) ここで、R30は炭素数1〜4のアルキレン基、R31及び
32は炭素数1〜4のアルキル基、Xはグリシドキシ基
またはエポキシシクロヘキシル基であり、nは0または
1である。
【0095】特に好ましいエポキシ基含有珪素化合物と
しては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラ
ン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルト
リメトキシシランである。これらの化合物は単独で用い
ても、2種以上を併用してもよい。
【0096】アミノ基含有珪素化合物はアミノ基及びア
ルコキシシリル基を有する珪素化合物、その(部分)加
水分解物、その(部分)縮合物、及びこれらの混合物か
らなる群から選ばれ、例えば下記式(11)で表され
る。
【0097】
【数9】 X−HN−R33−Si(R34m(OR353-m (11)
【0098】ここでR33は炭素数1〜4のアルキレン
基、R34及びR35は炭素数1〜4のアルキル基、Xは水
素原子またはアミノアルキル基であり、mは0または1
である。
【0099】この中で特に好ましいアミノ基含有珪素化
合物は3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−ア
ミノプロピルトリエトキシシラン、N−メチル−3−ア
ミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピル
メチルジエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−
3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−ア
ミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシ
ランである。これらの化合物は単独で用いても、2種以
上を併用してもよい。
【0100】なお、本発明におけるエポキシ基含有珪素
化合物ならびにアミノ基含有珪素化合物の(部分)加水
分解物及びその(部分)縮合物は、上述のエポキシ基含
有珪素化合物ならびにアミノ基含有珪素化合物の一部ま
たは全部が加水分解したもの、該加水分解物の一部また
は全部が縮合反応した縮合物、及び該縮合物と加水分解
していない原料のエポキシ基含有珪素化合物ならびにア
ミノ基含有珪素化合物が縮合したものであり、これらは
いわゆるゾルゲル反応させることにより得られるもので
ある。
【0101】エポキシ基含有珪素化合物とアミノ基含有
珪素化合物の混合比率は、エポキシ基モル当量換算量
A、アミノ基モル当量換算量Bの比率で1/6<A/B
<6/1の範囲内が好ましい。混合比がこの範囲から外
れる場合、密着性、耐熱性、耐溶剤性、耐水性、耐久性
が低下する。この様なエポキシ基含有珪素化合物とアミ
ノ基含有珪素化合物の混合物をポリビニルアルコール系
ポリマーに混合する際に、硬化後の固形分の重量比率で
20重量%以上となるように混合する。20重量部より
も少ない場合は、耐水性、耐薬品性に劣る。なお、該熱
硬化性珪素含有ビニルアルコール系樹脂は、前述の無機
系ガスバリア層に接して積層すると、ガスバリア性がい
っそう向上するので好ましい。
【0102】シロキサン系樹脂としては、下記式(1
2)で表される有機珪素化合物ないしはその加水分解物
をいわゆるゾルゲル反応させることにより得られるもの
が好ましい。
【0103】
【数10】 R36 a37 bSiX4-a-b (12)
【0104】ここで、R36は炭素数1〜10の有機基で
あり、R37は炭素数1〜6の炭化水素またはハロゲン化
炭化水素基であり、Xは加水分解性基であり、aおよび
bは0または1である。上記式(12)で示される有機
珪素含有化合物の例としては、例えばテトラメトキシシ
ラン、テトラエトキシシラン、メチロトリメトキシシラ
ン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシ
ラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシ
シラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラ
ン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ジメ
チルジメトキシシラン、3−グリシリドキシプロピルト
リメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエト
キシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチ
ルトリエトキシシラン、アミノメチルトリエトキシシラ
ン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミ
ノプロピルトリエトキシシラン、N−アミノメチル−3
−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−メチルアミ
ノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメ
チルジエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3
−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられ
る。これらの化合物は単独で又は2種以上を併せて用い
ることができる。中でも前記式(12)のエポキシ基含
有珪素化合物と前記式(12)のアミノ基含有珪素化合
物との混合物が好適である。ここで、エポキシ基含有珪
素化合物とアミノ基含有珪素化合物の混合比率は、エポ
キシ基モル当量換算量A、アミノ基モル当量換算量Bの
比率で55/45<A/B<95/5の範囲内で用いる
ことが、耐薬品性、層間密着性、高温高湿下での表面絶
縁抵抗性の点で好ましい。
【0105】上記耐薬品層の厚さは、通常0.2〜50
μmであるが、密着性等の観点から0.7〜3.0μm
がより好ましい。
【0106】本発明の透明導電性基板の具体的な構成と
しては、以下のものが好ましい。 ・透明導電層/耐薬品層/位相差フィルム/ガスバリア
層/耐薬品層 ・透明導電層/ガスバリア層/耐薬品層/位相差フィル
ム/耐薬品層 ・透明導電層/耐薬品層/位相差フィルム/耐薬品層/
ガスバリア層/耐薬品層 ・透明導電層/ガスバリア層/耐薬品層/位相差フィル
ム/ガスバリア層/耐薬品層 ・透明導電層/ガスバリア層/耐薬品層/位相差フィル
ム/耐薬品層/ガスバリア層/耐薬品層 ・透明導電層/耐薬品層/ガスバリア層/耐薬品層/位
相差フィルム/ガスバリア層/耐薬品層 ・透明導電層/耐薬品層/ガスバリア層/耐薬品層/位
相差フィルム/耐薬品層/ガスバリア層/耐薬品層 ・透明導電層/ガスバリア層/耐薬品層/ガスバリア層
/位相差フィルム/耐薬品層 ・透明導電層/ガスバリア層/耐薬品層/ガスバリア層
/耐薬品層/位相差フィルム/耐薬品層 ・透明導電層/ガスバリア層/耐薬品層/ガスバリア層
/耐薬品層/位相差フィルム/ガスバリア層/耐薬品層 ・透明導電層/ガスバリア層/耐薬品層/ガスバリア層
/耐薬品層/位相差フィルム/耐薬品層/ガスバリア層
/耐薬品層
【0107】本発明の透明導電性基板は、該透明導電性
基板を構成する上記位相差フィルムの少なくとも1枚と
偏光板との組み合わせにより、優れた反射防止能を示す
ものである。ここで、偏光板とこの透明導電性基板は密
着していることが好ましく、偏光板と透明導電性基板の
間には、例えば耐溶剤層、ガスバリア層、粘着剤層など
を介して貼り合わせて用いることができる。耐溶剤層、
ガスバリア層、粘着剤層は公知のものを使用することが
できる。該透明導電性基板を構成する位相差フィルムの
遅相軸または進相軸と偏光板の偏光軸をなす角度は45
度であることが好ましい。偏光板はヨウ素系、色素系等
公知のものが使用可能である。粘着剤層は厚さ0.5〜
1000μmが好ましい。
【0108】本発明の透明導電性基板は、偏光板と組み
合わせて、円偏光性透明導電性基板とすることにより、
有機電界発光素子等の発光素子に用いて優れた反射防止
効果が実現される。
【0109】有機電界発光素子の正孔輸送材料、電子輸
送材料、発光材料などの電子機能材料は高分子系材料
と、低分子系材料とがあるが、本発明における透明導電
性基板はどちらの材料でも好適に用いることが出来る。
高分子系材料の例としては次のよう材料が挙げられる。
【0110】
【化8】
【0111】上記式(V)においてR38〜R42はそれぞ
れ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシド基から
選ばれる材料である。式Vに挙げた材料は高分子材料の
例であり、本発明の有機電界発光素子に用いられる電子
機能材料はこれに限定されるものではない。
【0112】一般的に高分子系材料は薄膜を形成する
際、溶媒に溶解させた高分子系材料を、インクジェット
法などの印刷技術、フォトリソグラフィー技術、あるい
はスピンコート法、溶媒キャスト法などに代表される湿
式法を用いて製膜することができるが、本発明の透明導
電性基板は耐溶剤層を備えているため、基板の持つ位相
差を狂わせることなく製膜することが可能である。
【0113】有機電界発光素子に用いられる低分子系材
料としては次のような材料が例として挙げられる。
【0114】
【化9】
【0115】上記式(VI)において、R43、R44は水
素原子、あるいはアルキル基である。式VIに挙げた材
料は一般に用いられる材料として記載した例であり、本
発明の有機電界発光素子に用いられる電子機能材料はこ
れに限定されるものではない。
【0116】一般的に低分子系材料は薄膜を形成する
際、真空蒸着法を用いて製膜することが出来る。
【0117】これらの他、有機電界発光素子の発光効率
を上げるため、フッ化リチウム、銅フタロシアニンなど
のバッファー層を用いることが出来る。また発光効率を
上げる、およびまたは発光色を変えることの出来るクマ
リンやDCMに代表される蛍光色素材料、インジウム錯
体系のりん光材料も好適に用いることが出来る。
【0118】有機電界発光素子は、酸素および湿度によ
って劣化する素子であるため、長期間発光素子としての
性能を維持するためには、基板に対して出射光側と反対
の面も封止し、大気から隔離することが重要である。封
止の方法としては、例えばガスバリア性の高いフィルム
と本発明の透明導電性基板とで、正孔輸送材料、電子輸
送材料、陰極等の電子機能材料を、活性エネルギー線に
より硬化する接着剤を用いて挟む事により大気から隔離
する方法や、正孔輸送材料、電子輸送材料、陰極等の電
子輸送材料の上に、ガスバリア性の高い無機バリア材料
(例えば金属酸化膜、金属窒化膜など)を積層すること
により大気から隔離する方法などが挙げられる。この
際、封止した中に乾燥剤などを同時に封止することも、
素子の劣化を抑える有効な方法である。乾燥剤の例とし
ては、酸化バリウム、五酸化二リン、塩化カルシウムな
どの化学吸着性の材料と、シリカゲル、合成ゼオライト
に代表される物理吸着性の材料が挙げられるが、加熱し
ても吸着した水分を再放出することの無い化学吸着材
料、例えば酸化バリウムがより好ましく用いられる。
【0119】本発明の基板は、偏光板と位相差が四分の
一波長の位相差フィルムを組み合わせることにより外光
反射を抑えることが出来るが、この方式では有機電界発
光により生じる光は偏光板を通過する際に50%以下と
なる。このため、好ましくは有機電界発光により生じる
光が偏光を有すること、より好ましくは円偏光を有する
ことにより、生じた発光効率よく素子から出射すること
が可能となる。素子からの発光が理想的な円偏光である
場合は、外光反射を抑えこむと共に発光を素子外部に効
率よく通過させることが出来る。
【0120】上記までの説明において、本発明の透明導
電性基板が有機電界発光素子に応用可能であることを記
したが、本発明の透明導電性基板の応用範囲は外光反射
を抑えることによりコントラストを向上させるすべての
表示素子に適用可能であり、有機電界発光素子以外の表
示素子としては例えば、無機電界発光素子、フィールド
エミッション表示素子、プラズマ表示素子、液晶表示素
子などが上げられるが、これに限定されるものではな
い。
【0121】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をより詳細に説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0122】(評価法)本明細書中に記載の材料特性値
等は以下の評価法によって得られたものである。
【0123】(1)位相差値(R=Δn・d(n
m))、Nzの測定 複屈折Δnと膜厚dの積である位相差R値及びNzは、
分光エリプソメーター『M150』(日本分光(株)
製)により測定した。R値は入射光線とフィルムの表面
が直交する状態で測定した。また、Nz値は入射光線と
フィルム表面の角度を変えることにより、各角度での位
相差値を測定し、公知の複屈折楕円体の式でカーブフィ
ッティングすることにより三次元屈折率であるnx、n
y、nzを求め、下記式(13)に代入することにより
求めた。なおその際、別のパラメーターとして平均屈折
率n=(nx+ny+nz)/3が必要になるが、これ
はアッベ屈折計((株)アタゴ社製の商品名『アッベ屈
折計2−T』により測定した。
【0124】
【数11】 Nz=(nx−nz)/(nx−ny) (13)
【0125】(2)高分子のガラス転移点温度(Tg)
の測定 『DSC2920 Modulated DSC』(T
A Instruments社製)により測定した。フ
ィルム形成後ではなく、樹脂重合後、フレークス、又は
チップの状態で測定した。
【0126】(3)フィルム膜厚測定 アンリツ社製の電子マイクロで測定した。
【0127】(4)高分子共重合比の測定 『JNM−alpha600』(日本電子社製)のプロ
トンNMRにより測定した。特にビスフェノールAとビ
スクレゾールフルオレンの共重合体の場合には、溶媒と
して重ベンゼンを用い、それぞれのメチル基のプロトン
強度比から算出した。
【0128】また、以下の実施例、比較例で用いたポリ
カーボネートのモノマー構造を以下に記す。
【0129】
【化10】
【0130】(5)有機電界発光素子の作製と評価 本発明の透明導電性基板の透明導電層をフォトリソグラ
フィー法により、160×100ドットの表示電極を形
成した。次に透明電極上に真空蒸着法により、正孔輸送
層としてトリフェニルアミン誘導体であるTPD(N,
N’−ビス(3−メチルフェニル)1,1’−ビフェニ
ル−4,4’−ジアミン)を50nm積層させた。次に
発光層25としてAlq3(トリス−(8−ヒドロキシ
キノリン)アルミニウム)を50nmの厚さに蒸着させ
た。この発光層は図2の電子輸送層も兼ねている。更に
マグネシウムと銀をこの上に200nmの厚さに蒸着さ
せ、金属電極とした。本発光素子に電圧を印加させたと
ころ、緑色に発光することを確認した。
【0131】(6)反射率測定 外光反射の低減程度を見るにあたっては、分光光度計
『U−3500』((株)日立製作所製)を用いて5度
の正反射測定を行うことにより評価した。ブランクに
は、透明導電性基板の位相差フィルムを、無延伸の光学
等方性基板(『C−1400』:帝人化成(株)製)に
変えた透明導電性基板を使用し、有機電界発光素子を作
製し、それぞれの素子に偏光板を貼付したものを使用し
た。これを各波長で反射率100%として測定を行って
いる。また、偏光板上には屈折率の異なる多層膜からな
る反射防止層が設置してある。この偏光板は『LLC2
−9218』((株)サンリッツ製)を用いた。反射率
測定においては、電圧非印加状態でそれぞれ測定してい
る。
【0132】なお、表1中に記載のI(λ)は波長λ
(nm)での有機電界発光素子における反射強度をそれ
ぞれを示しており、またNz(λ)は波長λでのNzで
ある。
【0133】[実施例1]攪拌機、温度計及び還流冷却
器を備えた反応槽に水酸化ナトリウム水溶液及びイオン
交換水を仕込み、これに上記構造を有するモノマーAと
Fを表2のモル比で溶解させ、少量のハイドロサルファ
イトを加えた。次にこれに塩化メチレンを加え、20℃
でホスゲンを約60分かけて吹き込んだ。さらに、p−
tert−ブチルフェノールを加えて乳化させた後、ト
リエチルアミンを加えて30℃で約3時間攪拌して反応
を終了させた。反応終了後有機層を分取し、塩化メチレ
ンを蒸発させてポリカーボネート共重合体を得た。得ら
れた共重合体の組成比はモノマーの仕込み量比とほぼ同
様であった。
【0134】この共重合体を塩化メチレンに溶解させ、
固形分濃度20重量%のドープ溶液を作製した。このド
ープ溶液からキャストフィルムを作製し、温度230℃
で2倍に一軸延伸し、位相差板を得た。
【0135】表1に、測定結果をまとめる。このフィル
ムは、測定波長が短波長であるほど位相差が小さくなり
かつ、屈折率異方性は正であることを確認した。
【0136】ついで、得られた位相差フィルムの一方の
面上に、10重量%のフッ化マグネシウムを添加した珪
素酸化物を蒸着源とし、真空度67mPa下で真空蒸着
することによって、厚さ100nmのフッ化マグネシウ
ム含有酸化珪素層を積層した。この酸化珪素酸化物はS
iOxの平均組成でxはおよそ1.7であった。
【0137】引き続いてこのフッ化マグネシウム含有酸
化珪素層の表面に、以下のように耐薬品層Aを積層し
た。
【0138】エチレンビニルアルコール共重合体として
クラレ(株)製EVAL−F(エチレン共重合比32モ
ル%)100重量部を水720重量部、2−プロパノー
ル1080重量部の混合溶媒に加熱溶解させ、均一溶液
を得た。この溶液にレべリング剤として東レダウコーニ
ング社製SH30PAを0.1重量部、酢酸62.4重
量部加えた後、2−(3,4−エポキシシクロヘキシ
ル)エチルトリメトキシシラン85.8重量部と3−ア
ミノプロピルトリメトキシシラン62.4重量部を順次
加えて3時間攪拌し、塗液ALを得た。
【0139】この塗液ALをマイクログラビアロールコ
ーティング法を用いてコーティングし、130℃3分熱
処理を行い、厚さ2μmの耐薬品層Aを形成した。
【0140】さらに、水720重量部、2−プロパノー
ル1080重量部の混合溶媒に、酢酸46重量部を加え
た後、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル
トリメトキシシラン720重量部と3−アミノプロピル
トリメトキシシラン93重量部を順次加えて3時間攪拌
し、塗液BLを得た。
【0141】この塗液BLを位相差フィルムのフッ化マ
グネシウム含有酸化珪素層、ならびに耐薬品層Aを設け
た面と反対の面上にマイクログラビアロールコーティン
グ法を用いてコーティングし、130℃3分熱処理を行
い、厚さ2μmの耐薬品層Bを形成した。
【0142】最後に耐薬品層B上にマグネトロンスパッ
タ法により厚さ120nmのITO膜からなる透明導電
層Iを設けることにより透明導電性基板を得た。
【0143】この透明導電性基板の透明導電層を電極
(陽極)とし、前記有機電界発光素子の作製方法の通り
に有機電界発光素子を作製した。次いで該電極の反対面
側の耐薬品層Aの上に、粘着剤を用いて、図2に示すよ
うに偏光板を設けて、有機電解発光素子を完成した。こ
の有機電界発光素子の各種評価を行った結果を図1およ
び表1に示す。広帯域において反射率が低く、有機電界
発光素子において良好な黒表示が可能となることがわか
った。
【0144】[実施例2]表1記載のモノマーを使った
以外は実施例1と同様の方法にてポリカーボネート共重
合体を得た。得られた共重合体の組成比はモノマー仕込
み量比とほぼ同様であった。実施例1と同様に製膜、温
度230℃2倍で一軸延伸し位相差フィルムを得た。ま
た、その後のガスバリア層、耐溶剤層も実施例1と同様
にして積層し透明導電性基板を作製した。この透明導電
性基板は、測定波長が短波長ほど位相差が小さくなりか
つ、屈折率異方性は正であることを確認した。
【0145】この透明導電性基板及びこれを用いて作製
した有機電界発光素子の各種評価を行った結果、広帯域
において反射率が低く、良好な黒表示が可能となること
がわかった。
【0146】[実施例3]表1記載のモノマーを使った
以外は実施例1と同様の方法にてポリカーボネート共重
合体を得た。得られた共重合体の組成比はモノマー仕込
み量比とほぼ同様であった。実施例1と同様に製膜、温
度200℃1.9倍で一軸延伸し位相差フィルムを得
た。また、その後のガスバリア層、耐溶剤層も実施例1
と同様にして積層し透明導電性基板を作製した。この透
明導電性基板は、測定波長が短波長ほど位相差が小さく
なりかつ、屈折率異方性は正であることを確認した。
【0147】この透明導電性基板及びこれを用いて作製
した有機電界発光素子の各種評価を行った結果、広帯域
において反射率が低く、良好な黒表示が可能となること
がわかった。
【0148】[実施例4]表1記載のモノマーを使った
以外は実施例1と同様の方法にてポリカーボネート共重
合体を得た。得られた共重合体の組成比はモノマー仕込
み量比とほぼ同様であった。実施例1と同様に製膜、温
度240℃2倍で一軸延伸し位相差フィルムを得た。ま
た、その後のガスバリア層、耐溶剤層も実施例1と同様
にして積層し透明導電性基板を作製した。この透明導電
性基板は、測定波長が短波長ほど位相差が小さくなりか
つ、屈折率異方性は正であることを確認した。
【0149】この透明導電性基板及びこれを用いて作製
した有機電界発光素子の各種評価を行った結果、広帯域
において反射率が低く、良好な黒表示が可能となること
がわかった。
【0150】[実施例5]表1記載のモノマーを使った
以外は実施例1と同様の方法にてポリカーボネート共重
合体を得た。得られた共重合体の組成比はモノマー仕込
み量比とほぼ同様であった。実施例1と同様に製膜、温
度250℃1.9倍で一軸延伸し位相差フィルムを得
た。また、その後のガスバリア層、耐溶剤層も実施例1
と同様にして積層し透明導電性基板を作製した。この透
明導電性基板は、測定波長が短波長ほど位相差が小さく
なりかつ、屈折率異方性は正であることを確認した。
【0151】この透明導電性基板及びこれを用いて作製
した有機電界発光素子の各種評価を行った結果、広帯域
において反射率が低く、良好な黒表示が可能となること
がわかった。
【0152】[実施例6]表1記載のモノマーを使った
以外は実施例1と同様の方法にてポリカーボネート共重
合体を得た。得られた共重合体の組成比はモノマー仕込
み量比とほぼ同様であった。実施例1と同様に製膜、温
度230℃2.2倍で一軸延伸し位相差フィルムを得
た。また、その後のガスバリア層、耐溶剤層も実施例1
と同様にして積層し透明導電性基板を作製した。この透
明導電性基板は、測定波長が短波長ほど位相差が小さく
なりかつ、屈折率異方性は正であることを確認した。
【0153】この透明導電性基板及びこれを用いて作製
した有機電界発光素子の各種評価を行った結果、広帯域
において反射率が低く、良好な黒表示が可能となること
がわかった。
【0154】[比較例1]表2記載のモノマーを使った以
外は実施例1と同様の方法にてポリカーボネートホモ重
合体を得た。実施例1と同様に製膜、温度160℃1.
1倍で延伸し位相差フィルムを得た。また、その後のガ
スバリア層、耐溶剤層も実施例1と同様にして積層し透
明導電性基板を作製した。表2に測定結果をまとめる。
この透明導電性基板は、測定波長が短波長ほど絶対値で
位相差が大きくなることを確認した。
【0155】この透明導電性基板を用いて有機電界発光
素子としての評価も実施してみたが、長波長側と短波長
側で光の反射が大きく、外光存在下の電圧非印加状態で
は見た目には紫色に見え、表示品位に劣る表示素子であ
ることがわかった。この素子の反射率分光特性を図1に
記す。
【0156】
【表1】
【0157】以上説明したように、一枚で短波長ほど位
相差値が小さくなるような、位相差フィルム(特に波長
が四分の一となる位相差フィルム)を用いた透明導電性
基板と、偏光板を組み合わせることにより、外光反射を
抑え、コントラストを明瞭にする有機電界発光素子を提
供することができる。また、従来使用していたガラス基
板を必要とせずに、高分子フィルムを用いることができ
るので、割れない、軽い、曲げられるといった効果を有
する。
【0158】また、本発明で用いる位相差フィルムは、
従来の位相差板とガラス基板とが一体となって機能して
いるので、従来行われていたガラス基板と位相差板とを
積層するための粘着剤の使用工程を減らすことができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1及び比較例1における有機電界発光素
子電圧非印加状態の反射スペクトル
【図2】本発明の有機電界発光素子における反射防止フ
ィルムの原理を説明した模式図
【符号の説明】
1;外光 2;偏光板を通過した直線偏光 3;位相差を有する透明導電性基板を通過した右回り
(左回り)円偏光 4;正孔輸送層、発光層、電子輸送層を通過後、金属電
極によって反射し、回転方向が反転することにより左回
り(右回り)円偏光となり、再び電子輸送層、発光層、
正孔輸送層を通過した左回り(右回り)円偏光 5;再び位相差を有する透明導電性基板を通過して2と
180度位相がずれた直線偏光(偏光板8を通過するこ
とが出来ずここで光吸収される) 6;偏光板 7;透明導電性基板 8;正孔輸送層 9;発光層 10;電子輸送層 11;金属電極(陰極) 12;発光した光
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C08L 69:00 C08L 69:00 (72)発明者 内山 昭彦 東京都日野市旭が丘4丁目3番2号 帝人 株式会社東京研究センター内 Fターム(参考) 2H049 BA02 BA06 BA07 BB03 BB44 BB46 BB47 BB48 BB50 BB62 BC03 2H091 FA08X FA11X FA44Z FB12 GA03 GA07 GA16 KA02 LA03 LA17 4F006 AA36 AB74 BA07 CA08 5G307 FA02 FB01 FC08

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1枚の位相差フィルムの少なくとも片面
    の最表面に透明導電層を積層した透明導電性基板であっ
    て、該位相差フィルムは450nm及び550nmにお
    ける位相差が下記式(1)を満たすことを特徴とする透
    明導電性基板。 【数1】 │R(450)│<│R(550)│ (1) (上記式(1)において、│R(450)│、│R(5
    50)│はそれぞれ波長450nm、550nmにおけ
    る面内位相差の絶対値(nm)である。)
  2. 【請求項2】 前記位相差フィルムの位相差が四分の一
    波長である請求項1記載の透明導電性基板。
  3. 【請求項3】前記位相差フィルムの少なくとも一方の面
    側に、少なくとも一層のガスバリア層が積層されてい
    る、及び/又は位相差フィルムの少なくとも一方の面に
    少なくとも一層の耐薬品層が積層されている請求項1〜
    2のいずれかに記載の透明導電性基板。
  4. 【請求項4】 ガスバリア層が金属酸化物及び/又は金
    属窒化物からなり、かつ該ガスバリア層が透明導電層に
    接して配置している請求項1〜3のいずれかに記載の透
    明導電性基板。
  5. 【請求項5】 前記位相差フィルムがフルオレン骨格を
    含むポリカーボネートを含んでなる請求項1〜4のいず
    れかに記載の透明導電性基板。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の透明導
    電性基板を、透明導電層を透明電極として用いた表示素
    子であって、かつ該透明電極と反対の面に偏光板を配置
    した表示素子。
  7. 【請求項7】 透明導電性基板と偏光板の間に、位相差
    が波長の二分の一波長である高分子フィルムを配置した
    請求項6記載の表示素子。
  8. 【請求項8】 有機電界発光素子である請求項6〜7の
    いずれかに記載の表示素子。
  9. 【請求項9】 請求項1〜5のいずれかに記載の透明導
    電性基板の透明導電層と反対の面に、偏光板を配置した
    円偏光性透明導電性基板。
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