JP2002098627A - スターリング冷凍機及びヒートショック試験機 - Google Patents

スターリング冷凍機及びヒートショック試験機

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JP2002098627A
JP2002098627A JP2001017713A JP2001017713A JP2002098627A JP 2002098627 A JP2002098627 A JP 2002098627A JP 2001017713 A JP2001017713 A JP 2001017713A JP 2001017713 A JP2001017713 A JP 2001017713A JP 2002098627 A JP2002098627 A JP 2002098627A
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JP
Japan
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cold head
temperature
stirling refrigerator
heat
expansion
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Application number
JP2001017713A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Sekiya
弘志 関谷
Takashi Inoue
貴至 井上
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Sanyo Electric Co Ltd
Original Assignee
Sanyo Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スターリング冷凍機のコールドヘッド
の直上に温度特性試験槽を設けヒートショック試験機の
構造を簡単にするとともに、コールドヘッドからの熱の
放散を抑え熱損失を少なくし、スターリング冷凍機の振
動の影響を温度特性試験に与えない。 【解決手段】 温度特性試験槽3をコールドヘッド4
5の上方に隙間を介して設け、コールドヘッド45の輻
射熱により冷却又は加熱されるように、支持部材により
スターリング冷凍機とは独立して固定し、作動シリンダ
及び上記温度特性試験槽3に、金属成形ベローズ54の
上端及び下端が夫々気密的に固定し、コールドヘッド4
5を囲むように真空断熱する密閉空間58を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、環境温度を低温又
は高温状態にしたり、あるいは急速に、低温から高温、
逆に高温から低温に切り換えて電子部品、工業材料等温
度特性試験を行うヒートショック試験機であり、特に、
スターリング冷凍機を使用したヒートショック試験機に
関する。
【0002】また、電子部品や材料などを冷却する冷却
器へ冷却に用いる熱媒体を供給する際の冷却能力の増加
/変更を可能にするスターリング冷凍機に関するもので
ある。
【0003】
【従来の技術】従来、電子部品、工業材料等温度特性試
験を行うために、環境温度を低温状態又は高温状態にし
たり、あるいは冷却して急速に降温、又は加熱して急速
に昇温したりするヒートショック試験機は知られている
ところである。従来のヒートショック試験機は、夫々独
立した冷凍装置と加熱装置が組み合わされ構成されてお
り、冷凍装置としは、フロン(単一、二元あるいは混合
冷媒等)を冷媒として使用したシステムが知られてい
る。そして地球環境問題を背景とした昨今のフロン規制
に対しては、HCFC、HFCを使用した冷凍装置が知
られている。
【0004】しかしながら、前記従来の構成によると、
次のような問題がある。第1に、従来のヒートショック
試験機は、夫々独立した冷凍装置と加熱装置が必要であ
り、構造が複雑であり、製作コストも高くなる。又、従
来の冷凍装置は、2元あるいは2段冷凍システムとなる
ために構造が複雑であり、コストが高くなる。
【0005】第2に、従来の冷凍装置と加熱装置を使用
したものでは、その温度範囲は、大体、ー60〜+15
0℃程度にしか設定できず、特に、従来の冷媒としてフ
ロンを使用した冷却装置は、そのシステムの特性から使
用温度領域が狭く、特に、昨今の各産業分野における技
術発展に伴い求められている超低温領域の要求には十分
ではない。
【0006】第3に、地球環境問題に対する国際的な取
り組みの本格化を背景として、今後、特定フロン及び代
替フロンを含めフロン使用の一層の規制が求められる方
向にあり、他の方式の冷却装置の開発の必要性が重要と
なっている。
【0007】そこで、本発明者等は、このような問題を
解決するヒートショック試験機をすでに提案している
(特願平10−311804号)。このヒートショック
試験機63は、図7に示すように、スターリング冷凍機
2の膨張シリンダのコールドヘッド45に、ヒートショ
ック試験機の温度特性試験槽64を直接取付け、コール
ドヘッド45に発生する冷熱又は温熱で温度特性試験槽
64を直接冷却又は加熱するようにした構成を特徴とす
るものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等が既に提案
したスターリング冷凍機を利用した前記ヒートショック
試験機は、構造がコンパクトとなり、温度特性試験のた
めの使用温度領域も液体窒素レベル(ー200℃近辺)
の超低温領域での温度特性試験も可能となり、しかもエ
ネルギー効率が良好である等の数々の利点を有し、各種
の試験対象試験対象物の温度特性試験に有用である。
【0009】しかしながら、スターリン冷凍機のコール
ドヘッド等からの冷熱(又は温熱)の放散については、
さらに改善の余地があり、又前記ヒートショック試験機
は、スターリング冷凍機のコールドヘッドに直接、温度
特性試験槽を取り付けた構造であるから、スターリング
冷凍機の振動が若干温度特性試験槽に伝わる。この点
は、通常の温度特性試験では問題ないが、半導体デバイ
ス等の精密電子部品等については、振動の影響のない環
境で温度特性試験を行うことが、より好ましい。
【0010】本発明は、このような熱放散による熱損失
の減少を図り、併せて振動の問題を解決することを目的
とし、具体的な課題は、次の通りである。 (1)スターリング冷凍機の膨張シリンダのコールドヘ
ッド近傍に、ヒートショック試験機の温度特性試験槽を
配設し、しかも、スターリング冷凍機の振動を温度特性
試験槽へ伝えないようにする。これにより、コールドヘ
ッドに発生する冷熱又は温熱で温度特性試験槽を直接冷
却又は加熱できるようにして構造をコンパクトとする。 (2)そして、互いに近辺に配設した温度特性試験槽と
膨張シリンダの周辺のスペースを有効活用して、コール
ドヘッドを含む膨張シリンダからの熱の放散をなるべく
少なくする相乗的作用を行う手段を実現する。この結
果、成績係数が高く、エネルギー効率が良好な、地球環
境問題に適応したヒートショック試験機を実現する。
【0011】また、膨張シリンダのコールドヘッドでは
被冷却物の大きさがコールドヘッドの大きさによって実
質的に限られものであり、より大きな被冷却物へ対応で
きるスターリング冷凍機が求められていた。この場合、
コールドヘッドに相当する冷却器を膨張シリンダから分
離して設けるものも求められており、冷却能力の増加を
可能にするスターリング冷凍機を提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は前記課題を解決
するために、スターリング冷凍機と、該スターリング冷
凍機により冷却又は加熱される温度特性試験槽とを備え
て成るヒートショック試験機において、前記スターリン
グ冷凍機は、作動ガスを封入した作動シリンダと、モー
タの正転又は逆転により低温又は高温とされる前記作動
シリンダの先端部のコールドヘッドとを有し、前記温度
特性試験槽は、温度特性試験に供する試験対象物を収納
するものであり、前記コールドヘッドの上方に隙間を介
して、前記コールドヘッドにより冷却又は加熱されるよ
うに、支持部材により前記スターリング冷凍機とは独立
して固定されており、前記作動シリンダ及び前記温度特
性試験槽に、金属成形ベローズの上端及び下端が夫々気
密的に固定され、前記コールドヘッドを囲むように真空
の密閉空間を形成しており、前記コールドヘッドは、前
記密閉空間によって真空断熱されていることを特徴とす
るヒートショック試験機を提供する。
【0013】前記スターリング冷凍機は、圧縮ピストン
を有する圧縮シリンダと、膨張ピストン又はディスプレ
ーサを有する膨張シリンダとを備え、前記圧縮ピストン
と前記膨張ピストン又はディスプレーサとが位相差をも
って往復動するものであり、前記コールドヘッドを有す
る作動シリンダは、前記膨張シリンダである構成として
もよい。
【0014】前記コールドヘッドの外周面は、真空断熱
用コア材で覆われている構成としてもよい。
【0015】また、スターリング冷凍機は、熱媒体が循
環するサイクル中に、圧縮ピストンを有する圧縮シリン
ダと、膨張ピストン又はディスプレーサを有する膨張シ
リンダとを備え、前記圧縮ピストンと前記膨張ピストン
又はディスプレーサとが位相差をもって往復動して前記
熱媒体を冷却する用に構成しスターリング冷凍機を複数
台前記サイクル中に直列に設ける構成である。
【0016】また、スターリング冷凍機は、熱媒体が循
環するサイクル中に、圧縮ピストンを有する圧縮シリン
ダと、膨張ピストン又はディスプレーサを有する膨張シ
リンダとを備え、前記圧縮ピストンと前記膨張ピストン
又はディスプレーサとが位相差をもって往復動して前記
熱媒体を冷却する用に構成し、スターリング冷凍機を複
数台リザーブタンクを介して前記サイクルに並列に設け
る構成である。
【0017】前記スターリング冷凍機の作動ガスは窒
素、ヘリウム又は水素である。
【0018】前記スターリング冷凍機を運転制御して温
度制御を行う温度調整装置を設けた構成としてもよい。
【0019】前記熱媒体は、少なくともエチルアルコー
ル、フロリナート又はHFE(ハイドロフルオロエーテ
ル)を有する構成である。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を実施例に基
づき図面を参照して以下に説明する。図1は、本発明の
ヒートショック試験機の実施例を示す図であり、図2
は、図1の要部を拡大した図である。図1において、ヒ
ートショック試験機1は、スターリング冷凍機2と、ス
ターリング冷凍機2により冷却又は加熱の行われる温度
特性試験槽3とから構成される。
【0021】スターリング冷凍機2のハウジング4は、
鋳物で形成されている。このハウジング4内は、区画壁
5によってモータ室6とクランク室7とに区画され、こ
のモータ室6には正逆回転可能なモータ8が、クランク
室7には、モータ8の回転動作を往復動に変換する回転
往復変換機構部9が夫々配設されている。モータ室6及
びクランク室7は、夫々蓋10、11で閉止され、ハウ
ジング4内が半密閉状態に保持される。ハウジング4
は、金属ばねやゴムばね等の緩衝部材14を介してベー
ス又は架台に載置される。
【0022】ハウジング4内には、区画壁5を貫通し、
軸受12、13により軸支されたクランクシャフト15
が回転可能に配置されている。モータ8は、ステータ1
6と、このステータ16の内周側に回転可能に配置され
たロータ17とから構成され、このロータ17の中央に
クランクシャフト15が固定されている。
【0023】回転往復変換機構部9は、クランク室7内
に延びたクランクシャフト15のクランク部18、19
と、このクランク部18、19に連結されたコンロッド
20、21と、このコンロッドの先端に取り付けられた
クロスガイドヘッド22、23とから構成され、スター
リング冷凍機2の駆動伝達手段として機能している。
【0024】クロスガイドヘッド22、23は、ハウジ
ング4のシリンダの内壁に設けられたクロスガイドライ
ナ24、25内を往復動可能に配置されている。クラン
ク部18、19は、モータ8の正転時にクランク19が
クランク18より先行して移動するように、又、逆転時
にクランク18がクランク19より先行して移動するよ
うに位相差を付けて形成されている。この位相差は、一
般的には約90度の位相差が採用される。
【0025】スターリング冷凍機2のハウジング4のク
ランク室7の上部には、作動シリンダとして、圧縮シリ
ンダ26と、圧縮シリンダ26の若干上方に位置した膨
張シリンダ27とが配設されている。圧縮シリンダ26
と膨張シリンダ27、並びにハウジング4内には、作動
ガスとして、例えば、ヘリウム、水素、窒素等が封入さ
れている。圧縮シリンダ26は、ハウジング4にボルト
等によって固定される圧縮シリンダブロック28を有
し、この圧縮シリンダブロック28の空間内をピストン
リングの付設された圧縮ピストン29が往復摺動して、
この空間の上部が高温室(圧縮空間)30であり、この
中の作動ガスは圧縮されて高温となる。
【0026】圧縮ピストンロッド31は、一端が圧縮ピ
ストン29に固定し、他端がオイルシール32を通って
クランク室7内に伸び、ピンによってクロスガイドヘッ
ド22に回動自在に連結されている。往復動する圧縮ピ
ストン29は上死点及び下死点で摺動方向が反転するた
め、速度がゼロになり、上死点及び下死点付近では速度
が遅く単位時間当たりの容積の変化量も小さく、下死点
から上死点及び上死点から下死点に向かって移動すると
きの夫々の中間点で最高速度になり、単位時間当たりの
圧縮ピストン29の移動による容積の変化量も最大とな
る。
【0027】一方、膨張シリンダ27は、ボルト等によ
ってハウジング4の上部に固定される膨張シリンダブロ
ック33を有し、この膨張シリンダブロック33の空間
内をピストンリングの付設された膨張ピストン34が往
復摺動して、この空間の上部が低温室(膨張空間)35
であり、この中の作動ガスが膨張し低温となる。膨張ピ
ストン34には、膨張ピストンロッド36の一端が固定
され、膨張ピストンロッド36の他端はオイルシール3
7を通ってクランク室7内に伸び、クロスガイドヘッド
23に連結されている。膨張ピストン34は、圧縮ピス
トン29より90度の位相だけ先行して移動する。
【0028】膨張シリンダブロック33には、図面下か
ら、圧縮シリンダ26の高温室(圧縮空間)30に作動
ガスが流入流出するマニホールド38が連通するように
設けられており、さらに放熱用熱交換器(高温側熱交換
器)39、再生器40及び冷却用熱交換器(低温側熱交
換器)が互いに順次連通して環状に配設されている。圧
縮シリンダブロック28の上端部近くには、高温室とマ
ニホールド38を連通する連通孔38'が形成されてお
り、これにより、高温室(圧縮空間)30と低温室(膨
張空間)35は、連通孔38'、マニホールド38、放
熱用熱交換器39、再生器40及び冷却用熱交換器(低
温側熱交換器)41を介して互いに順次連通するように
構成されている。
【0029】放熱用熱交換器39は、特に図示しない
が、アニュラータイプの熱交換器、例えば、シェルアン
ドチューブ式熱交換器(環状の熱交換室内に作動ガスを
流す多数のチューブを軸方向に貫設して、冷却用の水を
熱交換室内に流して作動ガスを冷却する熱交換器。)、
あるいは、環状の作動ガス流路の周囲に環状のジャケッ
トを配設し、このジャケット内に冷却水を流して作動ガ
スの冷却を行う熱交換器等がある。
【0030】放熱用熱交換器39は、冷却水循環管路4
2及び冷却水用ポンプP1を介して放熱器43と接続し
ており、冷却水を循環している。放熱用熱交換器39で
熱交換され加熱された冷却水は放熱器43の冷却ファン
44より冷却される。
【0031】膨張シリンダブロック冷却用熱交換器(低
温側熱交換器)41を構成する膨張シリンダブロック3
3の頂部(先端部)はコールドヘッド45と呼ばれてい
るが、このコールドヘッド45の上方に温度特性試験槽
3が、スターリング冷凍機とは独立して支持部材47に
支持されて配設されている。支持部材47はベース又は
架台に立設された支柱48等に固定されている。
【0032】温度特性試験槽3は、温度特性試験の試験
対象物である電子部品等を収納するケースであり、テフ
ロン(登録商標)等の樹脂材料や断熱材等で形成された
周壁49と、アルミニウム、銅等の金属製プレートで形
成された底壁50とから試験対象物51を収納する収納
空間を形成し、蓋52で閉鎖されるように構成されてい
る。温度特性試験槽3には、図2に示すように電気ヒー
タ66を設けてもよい。
【0033】コールドヘッド45の外周面を含め膨張シ
リンダブロック33の上部は真空断熱用コア材53で覆
われている。さらに、膨張シリンダブロック33の上半
部は、金属成形ベローズ54に囲まれるように構成され
ている。この金属成形ベローズ54の材料としては、S
US等を利用する。
【0034】金属成形ベローズ54の底部55は、膨張
シリンダブロック33の外周フランジ56にシールを介
して気密的に固着又は溶着されている。金属成形ベロー
ズ54の上端部57は、温度特性試験槽3にシールを介
して気密的に固着されている。このようにして、コール
ドヘッド45は、真空断熱用コア材53で囲まれるとと
もに、温度特性試験槽3と膨張シリンダブロック33の
間に配設された金属成形ベローズ54により形成される
密閉空間58内に配設されることとなる。
【0035】金属成形ベローズ54の底部55にパイプ
59が連通するように取り付けられ、このパイプ59は
途中、開閉調整弁60を介して真空ポンプPに接続して
いる。ポンプPを駆動し、開閉調整弁60を操作するこ
とで、密閉空間58内に真空状態を発生させ、その状態
を調整することができる。これにより、コールドヘッド
45は、真空断熱用コア材53による断熱に加え、金属
成形ベローズ54により真空断熱の状態にすることがで
きる。
【0036】しかも、金属成形ベローズ54の上端部5
7及び底部55を温度特性試験槽3及び膨張シリンダブ
ロック33に気密的に固定して密閉空間58を形成した
ので、スターリング冷凍機2の振動が金属成形ベローズ
54で吸振され、温度特性試験槽3に直接伝わらず、防
振効果が生じる。この結果、温度特性試験に対するスタ
ーリング冷凍機2の振動の影響を排除することができ
る。
【0037】ところで、コールドヘッド45と温度特性
試験槽3の底壁下面の間にはギャップ(空隙)61が形
成されるように温度特性試験槽3を配設する。このギャ
ップ61の寸法は、スターリング冷凍機2の振動により
コールドヘッド45が温度特性試験槽3の底壁50下面
に当接しない程度、例えば数mm程度に設計される。コ
ールドヘッド45の冷熱又は温熱は、このギャップを介
して輻射により温度特性試験槽3の底壁50に伝熱され
る。
【0038】要するに、本発明では、スターリング冷凍
機2のコールドヘッド45の上方に設けた温度特性試験
槽3と膨張シリンダブロック33の間を金属成型ベロー
ズ54で接続して、コールドヘッド45を囲う真空の密
閉空間58を形成することで、コールドヘッド4の冷
熱、温熱を輻射で温度特性試験槽3に伝熱し冷却、加熱
を可能とするとともに、コールドヘッド45を真空断熱
し熱の放散を防止し、しかもスターリング冷凍機2の振
動は温度特性試験槽3に伝えないようにした構成を特徴
とする。
【0039】図3は、本発明のヒートショック試験機1
の温度調整装置62を示している。この温度調整装置6
2は、温度設定パネルと、温度設定パネルにより温度設
定を可能とする温度制御回路と、温度特性試験槽3内に
配設されたは温度センサーとを有する。
【0040】温度調整装置を構成する温度制御回路内の
比較回路において、温度センサーで検知した収納ケース
52内の温度信号を設定された温度と比較し、設定され
た温度を中心とする許容温度範囲にあるか否かを判断
し、その結果に応じてモータ8をPID制御して、ある
いはモータ8を逆回転させて、設定温度を保ちながら運
転を行うような構成とする。
【0041】さらに、温度特性試験槽3に電気ヒータ6
6を付設しておけば、スターリング冷凍機2のモータ8
の運転制御による温度制御に加え、電気ヒータをPID
制御して加熱すれば、より精密な温度コントロールも可
能である。
【0042】本発明のヒートショック試験機1は、スタ
ーリング冷凍機2を圧縮シリンダ26と膨張シリンダ2
7の2ピストンとすることにより、スターリング冷凍機
2内の作動ガスの充填された空間の容積変動を大きくす
ることによって、冷凍能力の大きいスターリング冷凍機
2を提供できるようにしている。
【0043】なお、本発明では前記実施例では膨張シリ
ンダと圧縮シリンダの2つの作動シリンダを有する2ピ
ストン型のスターリング冷凍機2を使用したが、1つの
作動シリンダを有するディスプレーサ型のスターリング
冷凍機等他の形式のスターリング冷凍機を適用してもよ
いことはいうまでもない。
【0044】次に、本発明の前記実施例のヒートショッ
ク試験機1の作用を説明する。図1において、モータ8
によってクランクシャフト15が正方向に回転し、クラ
ンク室7内のクランク部18、19が互いに位相がずれ
て回転する。このクランク部18、19に回動自在に連
結されたコンロッド20、21を介して、このコンロッ
ドの先端に取り付けられたクロスガイドヘッド22、2
3が、クロスガイドライナ24、25内を往復動する。
クロスガイドヘッド22、23の夫々に圧縮ピストンロ
ッド31及び膨張ピストンロッド36を介して連結され
た圧縮ピストン29及び膨張ピストン34が、互いに位
相差をもって往復動する。
【0045】膨張ピストン34が約90度先行して上死
点付近でゆっくりと移動中、圧縮ピストン29は中間付
近を上死点に向かって急速に移動して作動ガスの圧縮動
作を行う。圧縮された作動ガスは、連通孔39及びマニ
ホールド38を通り放熱用熱交換器39に流入する。放
熱用熱交換器39内で冷却水に放熱した作動ガスは、再
生器40で冷却され、通路を通って低温室(膨張空間)
35内に流入する。
【0046】圧縮ピストン29が上死点近辺でゆっくり
と移動している時に膨張ピストン34は急激に下死点に
向かって移動し低温室(膨張空間)35に流入した作動
ガスは急激に膨張し冷熱が発生する。これにより低温室
(膨張空間)35を囲むコールドヘッド45は冷却され
低温となる。
【0047】コールドヘッド45に生じる冷熱は、ギャ
ップ61を通して輻射により試験用温度特性試験槽3の
底壁50に伝熱され、その結果、試験用温度特性試験槽
3内は冷却可能である。
【0048】そして、ジャケット48内の冷熱冷媒をコ
ールドヘッド45において冷却する。膨張ピストン34
が下死点から上死点に移動するときには圧縮ピストン2
9は中間位置から下死点に向かっており、作動ガスは低
温室(膨張空間)35より流路46を通り再生器40に
流入し作動ガスの有する冷熱を再生器40に蓄熱する。
再生器40に蓄熱された冷熱は、前記のように高温室3
0から放熱用熱交換器39を通して送られてくる作動ガ
スを再度冷却するために再利用される。
【0049】放熱用熱交換器39で熱交換された冷却水
は、冷却水循環管路42から放熱器43に流れ、そこで
冷却ファン44により冷却され、再度放熱用熱交換器3
9へと循環する。
【0050】以上は冷凍機を冷却運転して温度特性試験
用温度特性試験槽3を低温状態にする場合であるが、加
熱運転をして温度特性試験槽3を高温状態にする場合
は、モータ8を逆回転させる。すると上述した冷却運転
の場合と全く逆に、クランク部18が、クランク部19
に先行して約90度位相がずれて回転する。これによ
り、上述した冷却運転の場合と全く逆に、膨張シリンダ
27は圧縮シリンダとして作用し、圧縮シリンダ26は
膨張シリンダとして作用し、冷却用熱交換器41は放熱
用熱交換器として機能し、コールドヘッド45は高温と
なる。
【0051】コールドヘッド45に生じる温熱は、ギャ
ップ61を通して輻射により試験用温度特性試験槽3の
底壁50に伝熱され、その結果、試験用温度特性試験槽
3内は加熱され温度特性試験槽3内に収納された試験対
象物51を加温する。
【0052】このように、モータ8を正転と逆転を相互
に切り換えることにより、冷凍機の冷却運転と加熱運転
を相互に切り換え、温度特性試験槽3を降温又は昇温し
て低温状態と高温状態を相互に急激に切り換えることが
でき、試験対象物51に温度変化によるヒートショック
を与えることができる。
【0053】ところで、本発明に係るヒートショック試
験機では、コールドヘッド45を真空断熱用コア材53
で断熱するとともに、金属成形ベローズ54で取り囲ま
れる密閉空間58で真空断熱を行う構成としているか
ら、温度特性試験槽3と膨張シリンダヘッド45の周辺
の空間を真空断熱空間としてスペースの有効活用が図れ
る。そして、真空断熱用コア材53と密閉空間58の真
空断熱により、コールドヘッド45から冷熱(加熱運転
の場合は温熱)が周囲に放散しにくくなり、熱損失が少
なくなり、コールドヘッド45は、輻射によって温度特
性試験槽3の底壁を十分冷却することができる。
【0054】しかも、温度特性試験槽3及び膨張シリン
ダブロックに取り付けて密閉空間58を形成する囲い壁
を金属成形ベローズ54で形成したので、スターリング
冷凍機の振動が金属成形ベローズ54で吸振され、温度
特性試験槽3に直接伝わらず、防振効果が生じる。この
結果、密閉空間58を形成して真空断熱を行っても、温
度特性試験に対するスターリング冷凍機の振動の影響を
排除することができる。このように、金属成形ベローズ
54で密閉空間58を形成することにより、スペースの
有効活用、断熱効果、及び防振効果という相乗的な効果
が生じる。
【0055】温度特性試験槽3で試験対象物51に加え
られる温度は、温度調整装置62の温度設定パネルによ
り設定する。この設定温度が低温領域か高温領域に応じ
て、温度制御回路によりモータ8を正転又は逆転するよ
うに制御する。
【0056】そして、スターリング冷凍機2の運転状態
において、温度特性試験槽3内の温度を温度センサーで
検知し、この検知温度と温度設定パネルで設定した温度
とを温度調整装置62を構成する温度制御回路内の比較
回路において比較し、設定された温度を中心とする許容
温度範囲にあるか否かを判断し、その結果に応じてスタ
ーリング冷凍機2のモータ8をPID制御し、場合(設
定温度と検知温度に大幅に温度差がある場合等)によっ
ては、モータ8の回転方向を切り換えて急激に昇温又は
降温して、設定温度を保ちながら運転を行う。
【0057】さらに、温度特性試験槽3に電気ヒータ6
6を付設すれば、スターリング冷凍機2のモータ8の運
転制御による温度制御に加え、電気ヒータを制御して加
熱することにより、より精密な温度コントロールも可能
である。
【0058】なお、電気ヒータ66を付設すれば、コー
ルドヘッド45や温度特性試験槽3内に生じる霜の霜取
りを行う際には、これらの場所に設けた着霜センサーに
より着霜を検知して、霜取り用の制御回路により電気ヒ
ータ66により加熱を行い霜取りを行うことができる。
又、スターリング冷凍機2のモータ8を逆回転すること
により、コールドヘッド45を高温として、急速かつ効
果的に霜取りが可能である。
【0059】図4はスターリング冷凍機を用いたサイク
ル図である。この図において、101A、101Bはス
ターリングユニットであり、駆動することにより入り口
103A、103Bから入った熱媒体(エチルアルコー
ル、フロリナート又はHFE(ハイドロフルオロエーテ
ル)など低温の熱搬送に適したものであれば良い)を冷
却して出口102A、102Bから供給するものであ
る。スターリングユニット101A、101Bの具体的
な構成は図6を用いて後記する。
【0060】104は冷却器であり、冷却された熱媒体
が循環して収納された被冷却体(電子部品、半導体材
料、温度試験材料など)を冷却するように構成されてい
る。
【0061】105はサイクル中で熱媒体を循環させる
ギアポンプなどの搬送手段であり、106は冷却された
熱媒体を溜めるリザーブタンクである。
【0062】スターリングユニット101B、スターリ
ングユニット101A、冷却器104、ギアポンプ10
5が順に配管で直列に接続されて、ギアポンプ105を
駆動することによって熱媒体が実線矢印に沿って循環す
るサイクルを構成している。リザーブタンク106はギ
アポンプ105の1次側(吸い込み側)に接続され、こ
のサイクル中を循環する熱媒体の循環量が減少しないよ
うにするものである。尚、このリザーブタンク106に
は熱媒体補充用にバルブ及びガス抜き弁等が設けられて
いる。
【0063】スターリングユニット102A、102B
と同様のスターリングユニットをサイクル中に直列に追
加させることによって冷却器104における冷却能力を
増加させることができるものである。尚、この際はギア
ポンプ105の熱媒体の搬送能力を調整する。
【0064】図5はスターリングユニット111A、1
11Bを並列に接続した際のサイクル図である。この図
において111A、111Bはスターリングユニット1
01A、101Bと同様なスターリングユニットであ
り、熱媒体の入り口113A、113B、出口112
A、112Bを備えている。
【0065】114はリザーブタンク、116は冷却
器、117はギアポンプでありリザーブタンク106、
冷却器104、ギアポンプ105と同様なものを用いて
いる。115A、115Bは電磁ポンプであり熱媒体を
搬送するものである。尚、ギアポンプ117を用いるこ
とによって熱媒体の搬送圧力を高くかつ脈動を抑制でき
るので、好ましくはギアポンプが冷却器116への熱媒
体の搬送に適している。
【0066】スターリングユニット111A、111B
及び電磁ポンプ115A、115Bを運転することによ
って、熱媒体が実線矢印に沿って循環するサイクルを構
成し、リザーブタンク114内の熱媒体の温度を下げる
ことができる。このリザーブタンク114内の熱媒体は
ギアポンプ117を運転することによって冷却器116
へ供給され、被冷却体を冷やすことができる。
【0067】冷却器116の冷却負荷が大きい際は同様
なスターリングユニットをスターリングユニット111
A、111Bと並列に接続することによって冷却能力の
増加を図ることができるものである。
【0068】図6はスターリングユニット101A、1
01B、111A、111Bの一実施例を示す図であ
る。図1に記載の構成と同様のものは同一符号を付して
説明は省略する。
【0069】120はコールドヘッド45の外側に形成
された冷却フィンであり、冷却フィン120及びコール
ドヘッド45を覆うようにジャケット121が設けられ
ている。このジャケット121には熱媒体の入り口10
3(103A、B、113A、Bに相当)及び出口10
2(102A、B、112A、Bに相当)が設けられて
おり、熱媒体がジャケット内を通過する際に冷却される
ものである。
【0070】以上、本発明の実施の形態を実施例に基づ
いて説明したが、本発明は、前記実施例に限定されるこ
となく、特許請求の範囲記載の技術的事項の範囲内でい
ろいろな実施の形態があることは言うまでもない。
【0071】
【発明の効果】以上のような構成とすることにより、本
発明は次のような効果を奏する。 (1)スターリング冷凍機の膨張シリンダのコールドヘ
ッド近傍に温度特性試験槽を配設したので、ヒートショ
ック試験機の構造が簡単、かつコンパクトとなる。 (2)温度特性試験槽と膨張シリンダヘッドとに金属成
形ベローズを気密的に取り付けることで、温度特性試験
槽と膨張シリンダヘッドの周辺の密閉空間を真空断熱空
間としてスペースの有効活用が図れる。 (3)しかも、金属成形ベローズの防振効果により、ス
ターリング冷凍機の振動による温度特性試験への影響を
なくすことができるとともに、コールドヘッドからの熱
の放散を抑えて熱損失を少なくし、成績係数が高く、エ
ネルギー効率が良好となる。そして、従来のフロン以外
の冷媒使用可能とすることにより、地球環境問題に適応
したヒートショック試験機が提供可能である。 (4)さらに、スターリング冷凍機の特性である低温及
び高温における広い温度範囲の温度特性試験が可能であ
り、又正転、逆転による急速な昇温、降温による、極め
て効果的なヒートショック試験を可能とする。 (5)冷却器での冷却負荷が増加した際にはスターリン
グユニットを増加することによって容易に対応が可能に
なるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のヒートショック試験機の実施例を示す
図である。
【図2】図1の要部を説明する図である。
【図3】本発明のヒートショック試験機の実施例の温度
調整装置を説明する図である。
【図4】本発明のスターリング冷凍装置の概略を示す説
明図である。
【図5】本発明のスターリング冷凍装置の概略を示す説
明図である。
【図6】本発明のスターリング冷凍機に用いるスターリ
ングユニットの概略を示す説明図である。
【図7】従来のヒートショック試験機を示す図である。
【符号の説明】
1 ヒートショック試験機 2 スターリング冷凍機 3 温度特性試験槽 8 モータ 26 圧縮シリンダ 27 膨張シリンダ 29 圧縮ピストン 30 高温室(圧縮空間) 34 膨張ピストン 35 低温室(膨張空間) 39 放熱用熱交換器 40 再生器 41 冷却用熱交換器 45 コールドヘッド 48 支柱 50 温度特性試験槽の底壁 51 試験対象物 53 真空断熱用コア材 54 金属成型ベローズ 58 密閉空間 61 空隙(ギャップ) 62 温度調整装置 101、111 スターリングユニット 106、114 リザーブタンク 104、116 冷却器 P 真空ポンプ

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スターリング冷凍機と、該スターリン
    グ冷凍機により冷却又は加熱される温度特性試験槽とを
    備えて成るヒートショック試験機において、前記スター
    リング冷凍機は、作動ガスを封入した作動シリンダと、
    モータの正転又は逆転により低温又は高温とされる前記
    作動シリンダの先端部のコールドヘッドとを有し、前記
    温度特性試験槽は、温度特性試験に供する試験対象物を
    収納するものであり、前記コールドヘッドの上方に隙間
    を介して、前記コールドヘッドにより冷却又は加熱され
    るように、支持部材により前記スターリング冷凍機とは
    独立して固定されており、前記作動シリンダ及び前記温
    度特性試験槽に、金属成形ベローズの上端及び下端が夫
    々気密的に固定され、前記コールドヘッドを囲むように
    真空の密閉空間を形成しており、前記コールドヘッド
    は、前記密閉空間によって真空断熱されていることを特
    徴とするヒートショック試験機。
  2. 【請求項2】 前記スターリング冷凍機は、圧縮ピス
    トンを有する圧縮シリンダと、膨張ピストン又はディス
    プレーサを有する膨張シリンダとを備え、前記圧縮ピス
    トンと前記膨張ピストン又はディスプレーサとが位相差
    をもって往復動するものであり、前記コールドヘッドを
    有する作動シリンダは、前記膨張シリンダであることを
    特徴とする請求項1記載のヒートショック試験機。
  3. 【請求項3】 前記コールドヘッドの外周面は、真空
    断熱用コア材で覆われていることを特徴とする請求項1
    又は2記載のヒートショック試験機。
  4. 【請求項4】 熱媒体が循環するサイクル中に、圧縮
    ピストンを有する圧縮シリンダと、膨張ピストン又はデ
    ィスプレーサを有する膨張シリンダとを備え、前記圧縮
    ピストンと前記膨張ピストン又はディスプレーサとが位
    相差をもって往復動して前記熱媒体を冷却する用に構成
    されたスターリング冷凍機を複数台前記サイクル中に直
    列に設けることを特徴とするスターリング冷凍機。
  5. 【請求項5】 熱媒体が循環するサイクル中に、圧縮
    ピストンを有する圧縮シリンダと、膨張ピストン又はデ
    ィスプレーサを有する膨張シリンダとを備え、前記圧縮
    ピストンと前記膨張ピストン又はディスプレーサとが位
    相差をもって往復動して前記熱媒体を冷却する用に構成
    されたスターリング冷凍機を複数台リザーブタンクを介
    して前記サイクルに並列に設けることを特徴とするスタ
    ーリング冷凍機。
  6. 【請求項6】 前記サイクル中に被冷却体を収納する
    冷却器を備えることを特徴とする請求項4又は請求項5
    に記載のスターリング冷凍機。
  7. 【請求項7】 前記スターリング冷凍機の作動ガスは
    窒素、ヘリウム又は水素であることを特徴とする請求項
    1乃至請求項6のいずれかに記載のスターリング冷凍又
    はヒートショック試験機。
  8. 【請求項8】 前記スターリング冷凍機を運転制御し
    て温度制御を行う温度調整装置を設けたことを特徴とす
    る請求項1、2、3又は7のいずれかに記載のヒートシ
    ョック試験機。
  9. 【請求項9】 前記熱媒体は少なくともエチルアルコ
    ール、フロリナート又はHFE(ハイドロフルオロエー
    テル)を有することを特徴とする請求項7記載のスター
    リング冷凍機。
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