JP2002098136A - 複列玉軸受 - Google Patents

複列玉軸受

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JP2002098136A
JP2002098136A JP2000286285A JP2000286285A JP2002098136A JP 2002098136 A JP2002098136 A JP 2002098136A JP 2000286285 A JP2000286285 A JP 2000286285A JP 2000286285 A JP2000286285 A JP 2000286285A JP 2002098136 A JP2002098136 A JP 2002098136A
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ball bearing
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ring
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Seizo Miyazaki
晴三 宮崎
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Abstract

(57)【要約】 【課題】軸受が使用されるスピンドルモータ等の組立が
容易に行えると共に軸受の組立性を良好にし、さらに第
1の内輪又は軸への精度良い段加工を不要にした低コス
トの複列玉軸受を提供する。 【解決手段】複列玉軸受1は、第1の内輪3又は軸の外
周に形成された軌道溝3aと第1の外輪4の内周面に形
成された軌道溝4aとの間に装填された一方の列の玉5
と、第1の内輪3又は軸に嵌合固定された第2の内輪8
の外周面に形成された軌道溝8aと第2の外輪9の内周
面に形成された軌道溝9aとの間に装填された他方の列
の玉10とを備えている。第2の内輪8は、第1の内輪
3又は軸の外周に形成された軌道溝3aの肩部3bの外
径と同一の外径の第1の内輪3又は軸に嵌合固定される
と共に、第1の外輪4及び第2の外輪9同士が互いに押
し合うように与圧されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複列玉軸受に関
し、特に、ハードディスク駆動装置、フロッピィディス
ク駆動装置、光ディスク駆動装置等の情報機器におい
て、スピンドルモータ、スイングアーム、IC冷却ファ
ン用モータ等に使用される小型軸受として好適なものに
関する。
【0002】
【従来の技術】従来のこの種の複列玉軸受として、例え
ば、図8乃至図11に示すものが知られている。図8に
示す複列玉軸受は、特開昭62- 22223号公報に開
示された回転ヘッド装置に使用されるものであって、軸
201の上部に固定された第1のラジアル軸受202
と、第1のラジアル軸受202から所定距離離れた軸2
01の下部に固定された第2のラジアル軸受205とか
ら構成されている。このうち、第1のラジアル軸受20
2は、軸201の外周に形成された軌道溝201aと第
1の外輪203の内周面に形成された軌道溝203aと
の間に装填された一方の列の玉204を備えている。ま
た、第2のラジアル軸受205は、軸201に嵌合固定
された内輪206と第2の外輪207との間に装填され
た他方の列の玉208を備えている。そして、内輪20
6は、軸201の外周に形成された軌道溝201aの肩
部201bの外径と同一の外径の軸201に嵌合固定さ
れている。
【0003】そして、第1の外輪203及び第2の外輪
207は、固定ドラム212に嵌合固定され、回転可能
な軸201の上端には、スリーブ213を介して回転ド
ラム214が固定されている。また、軸201の第1の
ラジアル軸受202のやや下方側に設けられたスプリン
グ止めリング209と第2のラジアル軸受205の内輪
206の上端に接するプリロードカラー210との間に
は、プリロードスプリング211が設けられ、このプリ
ロードスプリング211により軸201及び第2の内輪
206に対して適性な与圧を与えるようになっている。
【0004】また、図9に示す複列玉軸受は、実開平5
- 12739号公報に開示され、軸301の外周に形成
された軌道溝301aと外輪302の内周面に形成され
た軌道溝302aとの間に装填された一方の列の玉30
3と、軸301に嵌合固定された内輪304の外周に形
成された軌道溝304aと外輪302の内周面に形成さ
れた軌道溝302aとは別個の軌道溝302bとの間に
装填された他方の列の玉305とを備えている。そし
て、玉303,305の軌道溝302a,302bへの
挿入性及び軸受の組立性を向上させるために、外輪30
2の軌道溝302aの玉挿入側の肩及び軌道溝302b
の玉挿入側の肩は取り除かれ、カウンタボアのアンギュ
ラコンタクト型とされている。内輪304は、軸301
の外周に形成された軌道溝301aの肩部301bの外
径と同一の外径の軸301に嵌合固定されている。
【0005】そして、内輪304には、軸301に接着
により嵌合固定する際に、図9における矢印で示す軸線
方向に与圧が付与されるようになっている。更に、図1
0に示す複列玉軸受は、特開平6- 200926号公報
に開示され、軸401の外周に形成された軌道溝401
aと外輪402の内周面に形成された軌道溝402aと
の間に装填された一方の列の玉403と、軸401に嵌
合固定された内輪404の外周に形成された軌道溝40
4aと外輪402の内周面に形成された軌道溝402a
とは別個の軌道溝402bとの間に装填された他方の列
の玉405とを備えている。そして、内輪404には、
軸401に接着等により嵌合固定する際に、図10にお
ける矢印で示す軸線方向に与圧が付与されるようになっ
ている。なお、図10に示す複列玉軸受と同様に、外輪
に複数の軌道溝を形成した複列玉軸受が、特許第289
0157号公報及び特許第2890158号公報にも開
示されている。
【0006】加えて、図11に示す複列玉軸受は、実開
平4- 48419号公報に開示され、軸501の大径部
501aに固定された第1のラジアル軸受502と、軸
501の小径部501bに固定された第2のラジアル軸
受505とから構成されている。このうち、第1のラジ
アル軸受502は、軸501の大径部501aの外周に
形成された軌道溝501cと第1の外輪503の内周面
に形成された軌道溝503aとの間に装填された一方の
列の玉504を備えている。また、第2のラジアル軸受
505は、軸501の小径部501bに嵌合固定された
内輪506と第2の外輪507との間に装填された他方
の列の玉508を備えている。そして、内輪506は、
軸501の小径部501bに挿入され、第1の外輪50
3及び第2の外輪507同士を間座509を介して軸線
方向に押し付けて与圧を加えた状態で、軸501の小径
部501bに固定される。なお、図11に示す複列玉軸
受と同様に、軸に段加工を施して大径部及び小径部を構
成し、この小径部に一方の軸受の内輪を挿入し、外輪同
士を直接あるいは間座を介して押し付けて与圧を加えた
状態で、挿入した内輪を小径部に固定するようにした複
列玉軸受が、特開平9- 56108号公報、特開平9-
56110号公報、特開平9- 119434号公報、特
開平9- 119435号公報、特開平9- 119436
号公報、特開平9- 21416号公報、特開平9- 21
417号公報、及び特開平9- 21418号公報にも開
示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
図8乃至図11に示す従来の複列玉軸受にあっては、以
下に示す課題があった。即ち、図8に示す特開平62-
22223号公報に開示された複列玉軸受の場合には、
回転ヘッド装置の組立時において、プリロードスプリン
グ211により軸201及び内輪206に対して適性な
与圧を与えるようにしているため、部品点数が多く、組
立作業が非常に面倒で作業手間が多くかかってしまうと
いう課題があった。
【0008】また、図9に示す実開平5- 12739号
公報に開示された複列玉軸受の場合には、外輪302に
複数の軌道溝302a,302bが形成されていて軸受
の組立性が悪いところ、玉303,305の軌道溝30
2a,302bへの挿入性及び軸受の組立性を向上させ
るために、外輪302の軌道溝302aの玉挿入側の肩
及び軌道溝302bの玉挿入側の肩は取り除かれ、カウ
ンタボアのアンギュラコンタクト型とされているが、こ
のカウンタボアのアンギュラコンタクト型では軌道溝の
加工精度を良好にするのが他の深溝と比べて難しいとい
う課題があった。また、実開平5- 12739号公報に
は、玉303,305の軌道溝302a,302bへの
挿入性及び軸受の組立性を向上させるために、外輪30
2の軌道溝302a,302bの軌道面を玉挿入側に向
けて径が拡大するようなテーパ面とする例も開示されて
いるが、テーパ面とすると軸受の負荷荷重が非常に小さ
くなってしまうという課題があった。
【0009】さらに、図10に示す特開平6- 2009
26号公報に開示された複列玉軸受の場合には、外輪4
02の内周面に複数の軌道溝402a,402bが形成
されており、玉403,405の挿入性及び軸受の組立
性が悪いという課題があった。特許第2890157号
公報及び特許第2890158号公報に開示された複列
玉軸受の場合にあっても同様の課題があった。
【0010】また、図11に示す実開平4- 48419
号公報に開示された複列玉軸受の場合には、軸501を
精度良く段加工するのが困難で手間がかかるという課題
があった。特開平9- 56108号公報、特開平9- 5
6110号公報、特開平9-119434号公報、特開
平9- 119435号公報、特開平9- 119436号
公報、特開平9- 21416号公報、特開平9- 214
17号公報、及び特開平9- 21418号公報に開示さ
れた複列玉軸受の場合にも同様の課題があった。
【0011】従って、本発明は上述の課題に鑑みてなさ
れたものであり、その目的は、軸受が使用されるスピン
ドルモータ等の組立が容易に行えると共に軸受の組立性
を良好にし、さらに第1の内輪又は軸への精度良い段加
工を不要にした低コストの複列玉軸受を提供することに
ある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明のうち請求項1に係る複列玉軸受は、第1の
内輪又は軸の外周に形成された軌道溝と第1の外輪の内
周面に形成された軌道溝との間に装填された一方の列の
玉と、前記第1の内輪又は軸に嵌合固定された第2の内
輪の外周面に形成された軌道溝と第2の外輪の内周面に
形成された軌道溝との間に装填された他方の列の玉とを
備えた複列玉軸受において、前記第2の内輪が前記第1
の内輪又は軸の外周に形成された前記軌道溝の肩部の外
径と同一の外径の前記第1の内輪又は軸に嵌合固定され
ると共に、前記第1の外輪及び前記第2の外輪同士が互
いに押し合うように与圧されたことを特徴としている。
【0013】この複列玉軸受によれば、第2の内輪が第
1の内輪又は軸の外周に形成された軌道溝の肩部の外径
と同一の外径の第1の内輪又は軸に嵌合固定されること
により、第1の内輪又は軸への精度良い段加工が不要と
なる。そして、第1の外輪及び第2の外輪同士が互いに
押し合うように与圧されることにより、複列玉軸受のス
ピンドルモータ等への組み込みに際して、軸受に与圧を
付与するためにプリロードスプリング等を用いて与圧を
かける必要はなくなる。また、第1の外輪及び第2の外
輪の内周面のそれぞれに1つづつの軌道溝を形成してあ
ることから、複列玉軸受の組立において、一方列の玉の
挿入と他方列の玉の挿入とを別別に行うことができる。
【0014】また、本発明のうち請求項2に係る複列玉
軸受は、請求項1記載の発明において、前記第1の外輪
及び前記第2の外輪同士が直接接触していることを特徴
としている。この複列玉軸受によれば、第1の外輪及び
第2の外輪同士が直接接触した状態で互いに押し合うよ
うに与圧される。
【0015】本発明のうち請求項3に係る複列玉軸受
は、請求項1記載の発明において、前記第1の外輪及び
前記第2の外輪同士が間座を介して互いに押し合ってい
ることを特徴としている。この複列玉軸受によれば、第
1の外輪及び第2の外輪同士が間座を介して互いに押し
合うように与圧され、間座により、第1の外輪と第2の
外輪との間に所定の軸方向距離が保たれる。
【0016】本発明のうち請求項4に係る複列玉軸受
は、請求項3記載の発明において、前記間座に、前記第
1の外輪及び前記第2の外輪のうちの少なくとも一方の
外輪に嵌合する嵌合部を設けたことを特徴としている。
この複列玉軸受によれば、間座は嵌合部を第1の外輪及
び第2の外輪のうちの少なくとも一方の外輪に嵌合させ
ることにより前記外輪に取り付けられる。
【0017】本発明のうち請求項5に係る複列玉軸受
は、請求項3又は4記載の発明において、前記間座が前
記第1の内輪又は軸の外周面近傍に至るまで延長されて
前記第1の内輪又は軸の外周面との間のラビリンスシー
ル機能を有することを特徴としている。この複列玉軸受
によれば、間座が第1の外輪と第2の外輪との間の距離
保持機能の他に、第1の内輪又は軸の外周面との間のラ
ビリンスシール機能を有し、この間座のラビリンスシー
ル機能により、第1の外輪を有する軸受及び第2の外輪
を有する軸受の軸方向内側のシール機能を果たすことに
なる。
【0018】更に、本発明のうち請求項6に係る複列玉
軸受は、請求項1記載の発明において、前記第1の外輪
及び前記第2の外輪のうちの少なくとも一方の外輪の軸
方向両側に、ラビリンス構造のシールを装着したことを
特徴としている。この複列玉軸受によれば、ラビリンス
構造のシールが装着された方の外輪を有する軸受内に潤
滑剤を円滑に封入することができる。
【0019】本発明のうち請求項7に係る複列玉軸受
は、請求項1記載の発明において、前記一方の列の玉及
び前記他方の列の玉の玉径及び玉数を同じにしたことを
特徴としている。この複列玉軸受によれば、一方の列の
玉及び他方の列の玉の玉径を同じにしていることから、
軸方向の幅が制限された空間に一方の列の玉及び他方の
列の玉を効率良く配置することができる。また、一方の
列の玉の玉数と他方の列の玉の玉数とは同数であること
から、軸受に対する負荷容量が一方の列と他方の列とで
ほぼ同等になり、両列における軌道面のうねりなどで発
生する振動周波数も近づくことになる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面を
参照して説明する。図1は本発明に係る複列玉軸受の第
1実施形態の断面図である。図1において、複列玉軸受
1は、第1のラジアル軸受2と第2のラジアル軸受7と
から構成されている。
【0021】このうち、第1のラジアル軸受2は、第1
の内輪3と、第1の外輪4と、第1の内輪3の外周面に
形成された軌道溝3aと第1の外輪4の内周面に形成さ
れた軌道溝4aとの間に装填された一方の列の玉5を備
えている。そして、玉5は、冠形保持器6により円周方
向において一定間隔に保持されている。また、第2のラ
ジアル軸受7は、第1の内輪3に圧入固定された第2の
内輪8と、第2の外輪9と、第2の内輪8の外周面に形
成された軌道溝8aと第2の外輪9の内周面に形成され
た軌道溝9aとの間に装填された他方の列の玉10とを
備えている。ここで、第2の内輪8は、第1の内輪3の
外周面に形成された軌道溝3aの肩部3bの外径と同一
の外径の第1の内輪3に圧入固定されている。このた
め、第1の内輪3への精度良い段加工が不要となり、低
コストの複列玉軸受1を提供することができる。そし
て、玉10は、冠形保持器11により円周方向において
一定間隔に保持されている。
【0022】ここで、第1の外輪4及び第2の外輪9同
士は、直接接触して互いに押し合うように与圧されてお
り、第1の外輪4の軸方向内面と第2の内輪8の軸方向
内面との間には、与圧調整用の隙間Sが形成されてい
る。また、第1のラジアル軸受2及び第2のラジアル軸
受7の軸方向外側及び内側には、図示しない軸受シール
が装着されてもよい。
【0023】次に、複列玉軸受1の組立方法及び複列玉
軸受1のスピンドルモータへの組み付け方法について説
明する。先ず、複列玉軸受1を組み立てるには、第1の
内輪3の外側に第1の外輪4を芯をずらせて配置してお
き、一方列の複数個の玉5を第1の外輪4と第1の内輪
3との間に挿入し、周方向に等配後、保持器6を挿入す
る。すると、複数個の玉5は第1の内輪3の外周面に形
成された軌道溝3aと第1の外輪4の内周面に形成され
た軌道溝4aとの間に介装される。同様に、第2の内輪
8の外側に第2の外輪9を配置し、複数個の玉10を第
2の外輪9と第2の内輪8との間に挿入し、周方向に等
配後、保持器11を挿入する。そして、第1の内輪3の
外周に第2の内輪8を圧入すると共に、第2の内輪8を
図1の矢印で示す方向に押圧して第1の外輪4及び第2
の内輪9に互いに押し合う与圧を付与する位置まで内輪
8を押し込む。なお、第2の内輪8は、第1の内輪3の
外周に与圧荷重で押し付けながら接着固定してもよい。
これにより、複列玉軸受1は組み立てられる。このよう
に複列玉軸受1の組立において、第1の外輪4及び第2
の外輪9のそれぞれに1つづつの軌道溝4a,9aを形
成し、一方列の玉5の挿入と他方列の玉10の挿入とを
別別に行うことができるので、外輪に複数の軌道溝を形
成した複列玉軸受に比べ、玉の挿入性及び軸受の組立性
を良好なものとすることができる。
【0024】そして、複列玉軸受1をハードディスク駆
動装置等のスピンドルモータ(図示せず)等に組み込む
には、第1の内輪3をスピンドル軸に接着固定あるいは
圧入固定すると共に、第1の外輪4及び第2の外輪9の
外周をスピンドルモータ等のハウジングに接着固定ある
いは圧入固定すればよい。この複列玉軸受1のスピンド
ルモータ等への組み込みに際しては、第1の外輪4及び
第2の外輪9同士が既に互いに押し合うように与圧され
ているため、軸受に与圧を付与するために図8に示すよ
うなプリロードスプリング211を用いて与圧をかける
必要はなく、スピンドルモータ等への組み込み及びスピ
ンドルモータ等の組立を容易に行うことができる。
【0025】なお、複列玉軸受1において、一方の列の
玉5の玉径と他方の列の玉10の玉径とは同じに形成さ
れている。このため、複列玉軸受1の軸方向の幅が制限
された空間に玉5及び玉10を効率良く配置することが
できる。また、一方の列の玉5の玉数と他方の列の玉1
0の玉数とは同数である。このため、軸受1 に対する負
荷容量が一方の列と他方の列とでほぼ同等になり、両列
における軌道面のうねりなどで発生する振動周波数も近
づくことになる。従って、ハードディスク駆動装置のス
ピンドルモータ等で発生するこの振動周波数とスピンド
ルモータ等の共振周波数とをずらす設計をするときに、
設計し易いことになる。
【0026】次に、本発明の第2実施形態を図2を参照
して説明する。図2は本発明に係る複列玉軸受の第2実
施形態の断面図である。図2に示す複列玉軸受21は、
図1に示す複列玉軸受1とほぼ同様の構成を有するが、
軸23の外周面に直接形成された軌道溝23aと第1の
外輪24の内周面に形成された軌道溝24aとの間に装
填された一方の列の玉27を備えている点で複列玉軸受
1とは異なっている。
【0027】即ち、複列玉軸受21は、第1のラジアル
軸受22と第2のラジアル軸受29とから構成されてい
る。このうち、第1のラジアル軸受22は、第1の外輪
24と、軸23及び第1の外輪24間に介装された一方
の列の玉27とを備えている。ここで、第1の外輪24
は、内周面に軌道溝24aを形成した内周部25と内周
部25から外径方向に延びる外周部26とを有し、一方
の列の玉27は、軸23の外周面に直接形成された軌道
溝23aと第1の外輪24の内周部25の内周面に形成
された軌道溝24aとの間に装填されている。そして、
玉27は、冠形保持器28により円周方向において一定
間隔に保持されている。
【0028】また、第2のラジアル軸受29は、軌道溝
23aの近傍の軸23に圧入固定された第2の内輪30
と、第2の外輪33と、第2の内輪30と第2の外輪3
3との間に介装された他方の列の玉34とを備えてい
る。第2の内輪30は、軸23に圧入固定された内周部
31と内周部31から外径方向に延び、外周面に軌道溝
30aを形成した外周部32とからなり、他方の列の玉
34は、軌道溝30aと第2の外輪33の内周面に形成
された軌道溝33aとの間に装填されている。ここで、
第2の内輪30の内周部31は、軸23の外周面に形成
された軌道溝23aの肩部23bの外径と同一の外径の
軸23に圧入固定されている。このため、軸23への精
度良い段加工が不要となり、低コストの複列玉軸受1を
提供することができる。そして、玉34は、冠形保持器
35により円周方向において一定間隔に保持されてい
る。
【0029】ここで、第1の外輪24の外周部26及び
第2の外輪33同士は、直接接触して互いに押し合うよ
うに与圧されており、第1の外輪24の内周部25の軸
方向内面と第2の内輪30の内周部31の軸方向内面と
の間には、与圧調整用の隙間Sが形成されている。ま
た、第1のラジアル軸受22及び第2のラジアル軸受2
9の軸方向外側及び内側には、図示しない軸受シールが
装着されている。
【0030】なお、第1の外輪24の外周部26の幅を
内周部25の幅よりも狭くし、第2の内輪30の内周部
31の幅を外周部32の幅よりも狭くし、かつ、第2の
内輪30の外周部32を第1の外輪24の内周部25よ
りも径方向で外側に位置してあるので、軸23の振れを
抑制しながら、図1に示す複列玉軸受1よりもその幅を
狭くすることができる。
【0031】次に、複列玉軸受21を組み立てるには、
軸23の外側に第1の外輪24を配置しておき、一方列
の複数個の玉27を保持器28と共に第1の外輪24と
軸23との間に挿入する。すると、複数個の玉27は軸
23の外周面に形成された軌道溝23aと第1の外輪2
4の内周部25の内周面に形成された軌道溝24aとの
間に介装される。同様に、第2の内輪30の外側に第2
の外輪33を芯をずらせて配置し、複数個の玉34を第
2の外輪33と第2の内輪30とのすきまに挿入し、第
2の内輪30と第2の外輪33の芯を合わせ、玉34を
円周方向に等配後、保持器35を挿入する。そして、軸
23の外周に第2の内輪30を圧入すると共に、第2の
内輪30を図2の矢印で示す方向に押圧して第1の外輪
26及び第2の外輪33に互いに押し合う与圧を付与す
る位置まで内輪30を押し込む(押し込む位置の調整
は、特開平6- 221326号公報、特開平6- 307
439号公報で示されている方法によることができ
る。)。なお、第2の内輪30は、軸23の外周に与圧
荷重で押し付けながら接着固定してもよい。これによ
り、複列玉軸受21は組み立てられる。このように複列
玉軸受21の組立においても、第1の外輪24及び第2
の外輪33のそれぞれに1つづつの軌道溝24a,33
aを形成し、一方列の玉27の挿入と他方列の玉34の
挿入とを別別に行うことができるので、外輪に複数の軌
道溝を形成した複列玉軸受に比べ、玉の挿入性及び軸受
の組立性を良好なものとすることができる。
【0032】そして、複列玉軸受1をハードディスク装
置等のスピンドルモータ(図示せず)等に組み込むに
は、第1の外輪24及び第2の外輪33の外周をスピン
ドルモータ等のハウジングに接着固定あるいは圧入固定
すればよい。この複列玉軸受21のスピンドルモータ等
への組み込みに際しても、第1の外輪24及び第2の外
輪33同士が既に互いに押し合うように与圧されている
ため、軸受に与圧を付与するために図8に示すようなプ
リロードスプリング211を用いて与圧をかける必要は
なく、スピンドルモータ等への組み込み及びスピンドル
モータ等の組立を容易に行うことができる。
【0033】なお、複列玉軸受21においても、図1に
示す複列玉軸受1と同様に、一方の列の玉27の玉径と
他方の列の玉34の玉径とは同じに形成され、玉数も同
数である。次に、本発明の第3実施形態を図3を参照し
て説明する。図3は本発明に係る複列玉軸受の第3実施
形態の断面図である。
【0034】図3に示す複列玉軸受41は、図1に示す
複列玉軸受1とほぼ同様の構成を有するが、第1の外輪
44及び第2の外輪49同士が環状の間座52を介して
互いに押し合っている点で相違している。即ち、複列玉
軸受41は、第1のラジアル軸受42と第2のラジアル
軸受47とから構成されている。
【0035】このうち、第1のラジアル軸受42は、第
1の内輪43と、第1の外輪44と、第1の内輪43の
外周面に形成された軌道溝43aと第1の外輪44の内
周面に形成された軌道溝44aとの間に装填された一方
の列の玉45を備えている。そして、玉45は、冠形保
持器46により円周方向において一定間隔に保持されて
いる。
【0036】また、第2のラジアル軸受47は、第1の
内輪43に圧入固定された第2の内輪48と、第2の外
輪49と、第2の内輪48の外周面に形成された軌道溝
48aと第2の外輪49の内周面に形成された軌道溝4
9aとの間に装填された他方の列の玉50とを備えてい
る。ここで、第2の内輪48は、第1の内輪43の外周
面に形成された軌道溝43aの肩部43bの外径と同一
の外径の第1の内輪43に圧入固定されている。このた
め、第1の内輪43への精度良い段加工が不要となり、
低コストの複列玉軸受41を提供することができる。そ
して、玉50は、冠形保持器51により円周方向におい
て一定間隔に保持されている。
【0037】そして、第1の外輪44及び第2の外輪4
9同士は、環状の間座52を介して互いに押し合うよう
に与圧されている。この間座52により、第1のラジア
ル軸受42と第2のラジアル軸受47との間に所定の軸
方向距離が保たれる。また、第1のラジアル軸受42及
び第2のラジアル軸受47の軸方向外側及び内側には、
図示しない軸受シールが装着されていてもよい。
【0038】複列玉軸受41を組み立てるには、第1の
内輪43の外側に第1の外輪44を配置しておき、一方
列の複数個の玉45を保持器46と共に第1の外輪44
と第1の内輪43との間に挿入する。すると、複数個の
玉45は第1の内輪43の外周面に形成された軌道溝4
3aと第1の外輪44の内周面に形成された軌道溝44
aとの間に介装される。同様に、第2の内輪48の外側
に第2の外輪49を芯をずらせて配置し、複数個の玉5
0を第2の外輪49と第2の内輪48とのすきまに挿入
し、第2の内輪48と第2の外輪49の芯を合わせ、玉
50を円周方向に等配後、保持器51を挿入する。そし
て、間座52を第1の内輪43の外側に配置してから、
第1の内輪43の外周に第2の内輪48を圧入すると共
に、第2の内輪48を図3の矢印で示す方向に押圧して
第1の外輪44及び第2の外輪49に互いに押し合う与
圧を付与する位置まで内輪48を押し込む(押し込む位
置の調整は、特開平6- 221326号公報、特開平6
- 307439号公報で示されている方法によることが
できる。)。なお、第2の内輪48は、第1の内輪43
の外周に与圧荷重で押し付けながら接着固定してもよ
い。これにより、複列玉軸受41は組み立てられる。
【0039】このように複列玉軸受41の組立において
も、第1の外輪44及び第2の外輪49のそれぞれに1
つづつの軌道溝44a,49aを形成し、一方列の玉4
5の挿入と他方列の玉50の挿入とを別別に行うことが
できるので、外輪に複数の軌道溝を形成した複列玉軸受
に比べ、玉の挿入性及び軸受の組立性を良好なものとす
ることができる。
【0040】そして、複列玉軸受41をハードディスク
駆動装置等のスピンドルモータ(図示せず)等に組み込
むには、第1の内輪43をスピンドル軸に接着固定ある
いは圧入固定すると共に、第1の外輪44及び第2の外
輪49の外周をスピンドルモータ等のハウジングに接着
固定あるいは圧入固定すればよい。この複列玉軸受41
のスピンドルモータ等への組み込みに際しても、第1の
外輪44及び第2の外輪49同士が既に互いに押し合う
ように与圧されているため、軸受に与圧を付与するため
に図8に示すようなプリロードスプリング211を用い
て与圧をかける必要はなく、スピンドルモータ等への組
み込み及びスピンドルモータ等の組立を容易に行うこと
ができる。
【0041】なお、複列玉軸受41においても、一方の
列の玉45の玉径と他方の列の玉50の玉径とは同じに
形成され、また、玉数も同数となっている。次に、本発
明の第4実施形態を図4を参照して説明する。図4は本
発明に係る複列玉軸受の第4実施形態の断面図である。
図4に示す複列玉軸受61は、図3に示す複列玉軸受4
1とほぼ同様の構成を有するが、間座72に第2の外輪
69に嵌合する嵌合部73を設けると共に、間座72が
第1の内輪63の外周面近傍に至るまで延長されて第1
の内輪63の外周面との間のラビリンスシール機能を有
する点で相違している。
【0042】即ち、複列玉軸受61は、第1のラジアル
軸受62と第2のラジアル軸受67とから構成されてい
る。このうち、第1のラジアル軸受62は、第1の内輪
63と、第1の外輪64と、第1の内輪63の外周面に
形成された軌道溝63aと第1の外輪64の内周面に形
成された軌道溝64aとの間に装填された一方の列の玉
65を備えている。そして、玉65は、冠形保持器66
により円周方向において一定間隔に保持されている。
【0043】また、第2のラジアル軸受67は、第1の
内輪63に圧入固定された第2の内輪68と、第2の外
輪69と、第2の内輪68の外周面に形成された軌道溝
68aと第2の外輪69の内周面に形成された軌道溝6
9aとの間に装填された他方の列の玉70とを備えてい
る。ここで、第2の内輪68は、第1の内輪63の外周
面に形成された軌道溝63aの肩部63bの外径と同一
の外径の第1の内輪63に圧入固定されている。このた
め、第1の内輪63への精度良い段加工が不要となり、
低コストの複列玉軸受61を提供することができる。そ
して、玉70は、冠形保持器71により円周方向におい
て一定間隔に保持されている。
【0044】そして、第1の外輪64及び第2の外輪6
9同士は、環状の間座72を介して互いに押し合うよう
に与圧されている。そして、間座72の一側面には、第
2の外輪69の内周面に嵌合する嵌合部73が突出形成
され、嵌合部73の側面と第2の内輪68の側面との間
には与圧調整用の隙間Sが形成されている。間座72
は、嵌合部73を第2の外輪69の内周面に嵌合するこ
とにより、第2の外輪69に取り付けられる。また、間
座72の内側は、第1の内輪63の外周面近傍に至るま
で延長され、これにより第1の内輪63の外周面との間
のラビリンスシール機能を構成している。この間座72
のラビリンスシール機能により、第1のラジアル軸受6
2及び第2のラジアル軸受67の軸方向内側のシール機
能を果たすことになる。なお、第1のラジアル軸受62
及び第2のラジアル軸受67の軸方向外側には、図示し
ない軸受シールが装着されてもよい。
【0045】複列玉軸受61を組み立てるには、第1の
内輪63の外側に第1の外輪64を配置しておき、一方
列の複数個の玉65を保持器66と共に第1の外輪64
と第1の内輪63との間に挿入する。すると、複数個の
玉65は第1の内輪63の外周面に形成された軌道溝6
3aと第1の外輪64の内周面に形成された軌道溝64
aとの間に介装される。同様に、第2の内輪68の外側
に第2の外輪69を芯をずらせて配置し、複数個の玉7
0を第2の外輪69と第2の内輪68とのすきまに挿入
し、第2の内輪68と第2の外輪69の芯を合わせ、玉
70を円周方向に等配後、保持器71を挿入する。そし
て、間座72を第2の外輪69の内周面に嵌合してか
ら、第1の内輪63の外周に第2の内輪68を圧入する
と共に、第2の内輪68を図4の矢印で示す方向に押圧
して第1の外輪64及び第2の外輪69に互いに押し合
う与圧を付与する位置まで内輪68を押し込む(押し込
む位置の調整は、特開平6- 221326号公報、特開
平6- 307439号公報で示されている方法によるこ
とができる。)。なお、第2の内輪68は、第1の内輪
63の外周に与圧荷重で押し付けながら接着固定しても
よい。これにより、複列玉軸受61は組み立てられる。
【0046】このように複列玉軸受61の組立において
も、第1の外輪64及び第2の外輪69のそれぞれに1
つづつの軌道溝64a,69aを形成し、一方列の玉6
5の挿入と他方列の玉70の挿入とを別別に行うことが
できるので、外輪に複数の軌道溝を形成した複列玉軸受
に比べ、玉の挿入性及び軸受の組立性を良好なものとす
ることができる。
【0047】そして、複列玉軸受61をハードディスク
駆動装置等のスピンドルモータ(図示せず)等に組み込
むには、第1の内輪63をスピンドル軸に接着固定ある
いは圧入固定すると共に、第1の外輪64及び第2の外
輪69の外周をスピンドルモータ等のハウジングに接着
固定あるいは圧入固定すればよい。この複列玉軸受61
のスピンドルモータ等への組み込みに際しても、第1の
外輪64及び第2の外輪69同士が既に互いに押し合う
ように与圧されているため、軸受に与圧を付与するため
に図8に示すようなプリロードスプリング211を用い
て与圧をかける必要はなく、スピンドルモータ等への組
み込み及びスピンドルモータ等の組立を容易に行うこと
ができる。
【0048】なお、複列玉軸受61においても、一方の
列の玉65の玉径と他方の列の玉70の玉径とは同じに
形成され、また、玉数も同数となっている。次に、本発
明の第5実施形態を図5を参照して説明する。図5は本
発明に係る複列玉軸受の第5実施形態の断面図である。
図5に示す複列玉軸受81は、図4に示す複列玉軸受6
1とほぼ同様の構成を有するが、間座92のうち第1の
外輪84に接する側の一部分94及び第2の外輪89に
接する側の一部分95のみを第1の内輪83の外周面近
傍に至るまで延長して第1の内輪83の外周面との間の
ラビリンスシール機能を構成し、第1のラジアル軸受8
2及び第2のラジアル軸受87の軸方向内側のシール機
能を果たすようにしている点で相違している。
【0049】即ち、複列玉軸受81は、第1のラジアル
軸受82と第2のラジアル軸受87とから構成されてい
る。このうち、第1のラジアル軸受82は、第1の内輪
83と、第1の外輪84と、第1の内輪83の外周面に
形成された軌道溝83aと第1の外輪84の内周面に形
成された軌道溝84aとの間に装填された一方の列の玉
85を備えている。そして、玉85は、冠形保持器86
により円周方向において一定間隔に保持されている。
【0050】また、第2のラジアル軸受87は、第1の
内輪83に圧入固定された第2の内輪88と、第2の外
輪89と、第2の内輪88の外周面に形成された軌道溝
88aと第2の外輪89の内周面に形成された軌道溝8
9aとの間に装填された他方の列の玉90とを備えてい
る。ここで、第2の内輪88は、第1の内輪83の外周
面に形成された軌道溝83aの肩部83bの外径と同一
の外径の第1の内輪83に圧入固定されている。このた
め、第1の内輪83への精度良い段加工が不要となり、
低コストの複列玉軸受81を提供することができる。そ
して、玉90は、冠形保持器91により円周方向におい
て一定間隔に保持されている。
【0051】そして、第1の外輪84及び第2の外輪8
9同士は、環状の間座92を介して互いに押し合うよう
に与圧されている。そして、間座92のうち第1の外輪
84に接する側の一部分94及び第2の外輪89に接す
る側の一部分95が第1の内輪83の外周面近傍に至る
まで延長されており、これら延長部分94,95が第1
の内輪83の外周面との間のラビリンスシール機能を構
成し、第1のラジアル軸受82及び第2のラジアル軸受
87の軸方向内側のシール機能を果たすようにしてい
る。また、間座92の延長部分95の一側面には、第2
の外輪89の内周面に嵌合する嵌合部93が突出形成さ
れ、嵌合部93の側面と第2の内輪88の側面との間に
は与圧調整用の隙間Sが形成されている。なお、第1の
外輪84及び第2の外輪89の軸方向外側には、ラビリ
ンス構造のシール96,97が接着されており、これら
シール96,97と延長部分94,95とで各ラジアル
軸受82,87内に潤滑剤を封入するようにしている。
【0052】複列玉軸受81を組み立てるには、図4に
示す複列玉軸受61と同様の手順で組み立てれば良い。
複列玉軸受81の組立においても、第1の外輪84及び
第2の外輪89のそれぞれに1つづつの軌道溝84a,
89aを形成し、一方列の玉85の挿入と他方列の玉9
0の挿入とを別別に行うことができるので、外輪に複数
の軌道溝を形成した複列玉軸受に比べ、玉の挿入性及び
軸受の組立性を良好なものとすることができる。
【0053】また、複列玉軸受81のハードディスク駆
動装置等のスピンドルモータ(図示せず)等への組み込
みは、図4に示す複列玉軸受61と同様の手順で行えば
良い。この複列玉軸受81のスピンドルモータ等への組
み込みに際しても、第1の外輪84及び第2の外輪89
同士が既に互いに押し合うように与圧されているため、
軸受に与圧を付与するために図8に示すようなプリロー
ドスプリング211を用いて与圧をかける必要はなく、
スピンドルモータ等への組み込み及びスピンドルモータ
等の組立を容易に行うことができる。
【0054】なお、複列玉軸受81においても、一方の
列の玉85の玉径と他方の列の玉90の玉径とは同じに
形成され、また、玉数も同数となっている。図6は、図
5に示す複列玉軸受81の変形例を示すもので、間座9
2のうち第1の外輪84に接する側の一部分94及び第
2の外輪89に接する側の一部分95を第1の内輪83
の外周面近傍に至るまで延長する代わりに、間座92の
第1の外輪84及び第2の外輪89に接する両側にラビ
リンス構造のシール98,99を装着している。
【0055】最後に、本発明に係る複列玉軸受の第6実
施形態について図7を参照して説明する。図7は本発明
に係る複列玉軸受の第6実施形態を示す断面図である。
図7に示す複列玉軸受101は、図2に示す複列玉軸受
21とほぼ同様の構成を有するが、第2の内輪108が
軌道溝103aから遠く離れた軸103に圧入固定さ
れ、第1の外輪104及び第2の外輪109のそれぞれ
に第1のラジアル軸受102及び第2のラジアル軸受1
07の軸方向両側のシールド板112,113、11
4,115を取り付けた点で異なっている。
【0056】即ち、複列玉軸受101は、第1のラジア
ル軸受102と第2のラジアル軸受107とから構成さ
れている。このうち、第1のラジアル軸受102は、第
1の外輪104と、軸103及び第1の外輪104間に
介装された一方の列の玉105とを備えている。ここ
で、軸103は、段付きに形成され、外周面に軌道溝1
03aを直接形成した大径部103cと、大径部103
cの軌道溝103aを形成した側の端部から延びる小径
部103dとを備えている。そして、一方の列の玉10
5は、軌道溝103aと第1の外輪104の内周面に形
成された軌道溝104aとの間に装填されている。そし
て、玉105は、冠形保持器106により円周方向にお
いて一定間隔に保持されている。
【0057】また、第2のラジアル軸受107は、軌道
溝103aから遠く離れた大径部103cに圧入固定さ
れた第2の内輪108と、第2の外輪109と、第2の
内輪108の外周面に形成された軌道溝108aと第2
の外輪109の内周面に形成された軌道溝109aとの
間に装填された他方の列の玉110とを備えている。こ
こで、第2の内輪108は、軌道溝103aの肩部10
3bの外径と同一の外径の大径部103cに圧入固定さ
れている。そして、玉110は、冠形保持器111によ
り円周方向において一定間隔に保持されている。
【0058】第1の外輪104及び第2の外輪109同
士は、直接接触して互いに押し合うように与圧されてい
る。また、第1の外輪104及び第2の外輪109のそ
れぞれに第1のラジアル軸受102及び第2のラジアル
軸受107の軸方向両側のシールド板112,113、
114,115を取り付けている。これらシールド板1
12,113、114,115により、各ラジアル軸受
102,107内に潤滑剤を封入するようにしている。
【0059】複列玉軸受101を組み立てるには、図2
に示す複列玉軸受21と同様の手順で作業を行えば良
い。そして、複列玉軸受101の組立においても、第1
の外輪104及び第2の外輪109のそれぞれに1つづ
つの軌道溝104a,109aを形成し、一方列の玉1
05の挿入と他方列の玉110の挿入とを別別に行うこ
とができるので、外輪に複数の軌道溝を形成した複列玉
軸受に比べ、玉の挿入性及び軸受の組立性を良好なもの
とすることができる。
【0060】そして、複列玉軸受101をハードディス
ク装置等のスピンドルモータ(図示せず)等に組み込む
には、第1の外輪104及び第2の外輪109の外周を
スピンドルモータ等のハウジングに接着固定あるいは圧
入固定し、軸103の小径部103dにモータの他の部
品を装着すればよい。第1の外輪104及び第2の外輪
109のハウジングへの接着固定あるいは圧入固定は、
外輪104,109同士の接触部近傍だけをハウジング
へ固定するようにしてもよい。複列玉軸受101のスピ
ンドルモータ等への組み込みに際しては、第1の外輪1
04及び第2の外輪109同士が既に互いに押し合うよ
うに与圧されているため、軸受に与圧を付与するために
図8に示すようなプリロードスプリング211を用いて
与圧をかける必要はなく、スピンドルモータ等への組み
込み及びスピンドルモータ等の組立を容易に行うことが
できる。
【0061】なお、複列玉軸受101においては、図1
に示す複列玉軸受1と同様に、一方の列の玉105の玉
径と他方の列の玉110の玉径とは同じに形成され、玉
数も同数である。以上、本発明の実施形態について説明
してきたが、本発明はこれに限定されず、種々の変更を
行うことができる。例えば、図7に示す軸103の小径
部103dは、大径部103cの軌道溝103aを形成
した側の端部から延びているが、大径部103cの反対
側の端部から延びるようにしてもよい。
【0062】また、第1乃至第6実施形態における冠形
保持器6,11,28,35,46,51,66,7
1,86,91,106,111の背面の向きは、モー
メント剛性を増すよう両列の玉間のスパンを広げたいと
きは、軸方向の内側に向け、両列の玉間のスパンを狭く
したいときは、軸方向の外側に向けることが好ましい。
【0063】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のうち請求
項1に係る複列玉軸受によれば、第2の内輪が第1の内
輪又は軸の外周に形成された軌道溝の肩部の外径と同一
の外径の前記第1の内輪又は軸に嵌合固定されるので、
第1の内輪又は軸への精度良い段加工が不要となり、低
コストの複列玉軸受を提供することができる。そして、
第1の外輪及び第2の外輪同士が互いに押し合うように
与圧されるので、複列玉軸受のスピンドルモータ等への
組み込みに際して、軸受に与圧を付与するためにプリロ
ードスプリング等を用いて与圧をかける必要はなくな
り、スピンドルモータ等への組み込み及びスピンドルモ
ータ等の組立を容易に行うことができる。また、第1の
外輪及び第2の外輪の内周面のそれぞれに1つづつの軌
道溝を形成してあることから、複列玉軸受の組立におい
て、一方列の玉の挿入と他方列の玉の挿入とを別別に行
うことができ、外輪に複数の軌道溝を形成した複列玉軸
受に比べ、玉の挿入性及び軸受の組立性を良好なものと
することができる。
【0064】また、本発明のうち請求項2に係る複列玉
軸受によれば、請求項1記載の発明において、前記第1
の外輪及び前記第2の外輪同士が直接接触しているの
で、第1の外輪及び第2の外輪同士を直接接触した状態
で互いに押し合うように与圧することができる。本発明
のうち請求項3に係る複列玉軸受によれば、請求項1記
載の発明において、前記第1の外輪及び前記第2の外輪
同士が間座を介して互いに押し合っているので、第1の
外輪及び第2の外輪同士が間座を介して互いに押し合う
ように与圧され、間座により、第1の外輪と第2の外輪
との間に所定の軸方向距離を保つことができる。
【0065】本発明のうち請求項4に係る複列玉軸受に
よれば、請求項3記載の発明において、前記間座に、前
記第1の外輪及び前記第2の外輪のうちの少なくとも一
方の外輪に嵌合する嵌合部を設けたので、間座を第1の
外輪及び第2の外輪のうちの少なくとも一方の外輪に取
り付けることができる。本発明のうち請求項5に係る複
列玉軸受によれば、請求項3又は4記載の発明におい
て、前記間座が前記第1の内輪又は軸の外周面近傍に至
るまで延長されて前記第1の内輪又は軸の外周面との間
のラビリンスシール機能を有するので、間座が第1の外
輪と第2の外輪との間の距離保持機能の他に、第1の内
輪又は軸の外周面との間のラビリンスシール機能を有
し、この間座のラビリンスシール機能により、第1の外
輪を有する軸受及び第2の外輪を有する軸受の軸方向内
側のシールを行うことができる。
【0066】更に、本発明のうち請求項6に係る複列玉
軸受によれば、請求項1記載の発明において、前記第1
の外輪及び前記第2の外輪のうちの少なくとも一方の外
輪の軸方向両側に、ラビリンス構造のシールを装着した
ので、ラビリンス構造のシールが装着された方の外輪を
有する軸受内に潤滑剤を円滑に封入することができる。
【0067】本発明のうち請求項7に係る複列玉軸受に
よれば、請求項1記載の発明において、前記一方の列の
玉及び前記他方の列の玉の玉径を同じにしたので、軸方
向の幅が制限された空間に一方の列の玉及び他方の列の
玉を効率良く配置することができる。また、一方の列の
玉の玉数と他方の列の玉の玉数とは同数であるので、軸
受に対する負荷容量が一方の列と他方の列とでほぼ同等
になり、両列における軌道面のうねりなどで発生する振
動周波数も近づくことになる。このため、ハードディス
ク駆動装置のスピンドルモータ等で発生するこの振動周
波数とスピンドルモータ等の共振周波数とをずらす設計
をするときに、設計し易いという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る複列玉軸受の第1実施形態の断面
図である。
【図2】本発明に係る複列玉軸受の第2実施形態の断面
図である。
【図3】本発明に係る複列玉軸受の第3実施形態の断面
図である。
【図4】本発明に係る複列玉軸受の第4実施形態の断面
図である。
【図5】本発明に係る複列玉軸受の第5実施形態の断面
図である。
【図6】図6に示した複列玉軸受の変形例の断面図であ
る。
【図7】本発明に係る複列玉軸受の第6実施形態の断面
図である。
【図8】従来例の複列玉軸受の断面図である。
【図9】従来の他の例の複列玉軸受の部分断面図であ
る。
【図10】従来の他の例の複列玉軸受の断面図である。
【図11】従来の他の例の複列玉軸受の断面図である。
【符号の説明】
1,21,41,61,81,101 複列玉軸受 2,22,42,62,82,102 第1のラジアル
軸受 3,43,63,83 第1の内輪 3a,4a,8a,9a,23a,24a,30a,3
3a,43a,44a,48a,49a,63a,64
a,68a,69a,83a,84a,88a,89
a,103a,104a,108a,109a 軌道溝 3b、23b、43b、63b、83b、103b 肩
部 4,24,44,64,84,104 第1の外輪 5,27,45,65,85,105 一方の列の玉 6,11,28,35,46,51,66,71,8
6,91,106,111 冠形保持器 7,29,47,67,87,107 第2のラジアル
軸受 8,30,48,68,88,108 第2の内輪 9,33,49,69,89,109 第2の外輪 10、34,50,70,90,110 他方の列の玉 23,103 軸 25,31 内周部 26,32 外周部 52,72,92 間座 73,93 嵌合部 94,95 延長部分 96,97,98,99 シール 112,113,114,115 シールド板
フロントページの続き Fターム(参考) 3J012 AB04 AB13 BB01 BB05 CB06 FB10 3J016 AA02 BB17 3J101 AA02 AA32 AA42 AA43 AA52 AA62 AA72 AA81 BA53 BA54 BA56 BA71 BA73 FA41 FA44 FA46 GA24 GA53

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】第1の内輪又は軸の外周に形成された軌道
    溝と第1の外輪の内周面に形成された軌道溝との間に装
    填された一方の列の玉と、前記第1の内輪又は軸に嵌合
    固定された第2の内輪の外周面に形成された軌道溝と第
    2の外輪の内周面に形成された軌道溝との間に装填され
    た他方の列の玉とを備えた複列玉軸受において、 前記第2の内輪が前記第1の内輪又は軸の外周に形成さ
    れた前記軌道溝の肩部の外径と同一の外径の前記第1の
    内輪又は軸に嵌合固定されると共に、前記第1の外輪及
    び前記第2の外輪同士が互いに押し合うように与圧され
    たことを特徴とする複列玉軸受。
  2. 【請求項2】前記第1の外輪及び前記第2の外輪同士が
    直接接触していることを特徴とする請求項1記載の複列
    玉軸受。
  3. 【請求項3】前記第1の外輪及び前記第2の外輪同士が
    間座を介して互いに押し合っていることを特徴とする請
    求項1記載の複列玉軸受。
  4. 【請求項4】前記間座に、前記第1の外輪及び前記第2
    の外輪のうちの少なくとも一方の外輪に嵌合する嵌合部
    を設けたことを特徴とする請求項3記載の複列玉軸受。
  5. 【請求項5】前記間座が前記第1の内輪又は軸の外周面
    近傍に至るまで延長されて前記第1の内輪又は軸の外周
    面との間のラビリンスシール機能を有することを特徴と
    する請求項3又は4記載の複列玉軸受。
  6. 【請求項6】前記第1の外輪及び前記第2の外輪のうち
    の少なくとも一方の外輪の軸方向両側に、ラビリンス構
    造のシールを装着したことを特徴とする請求項1記載の
    複列玉軸受。
  7. 【請求項7】前記一方の列の玉及び前記他方の列の玉の
    玉径及び玉数を同じにしたことを特徴とする請求項1記
    載の複列玉軸受。
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