JP2002097527A - パラジウムの抽出方法 - Google Patents

パラジウムの抽出方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】セレン、テルル、及び白金等を含有するパラジ
ウム含有水溶液から、硫化ジアルキルを用いてパラジウ
ムを抽出した有機溶媒からパラジウムを逆抽出する際
に、スラッジを多量に発生することなく、パラジウムを
選択的に抽出・回収する方法を提供することを課題とす
る。 【解決手段】セレン、テルル、及び白金等を含有するパ
ラジウム含有溶液より、硫化ジアルキルを含む有機溶媒
でパラジウムを溶媒抽出した後、該パラジウムを抽出し
た有機溶媒相を3.5M以上の濃度の塩酸で洗浄して、
次いで希塩酸溶液で洗浄することにより、次工程の逆抽
出時にスラッジの発生量を抑制することができ、パラジ
ウムの回収率を向上させるパラジウムの抽出法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、パラジウムの溶媒
抽出方法に関するもので、不純物として、セレン、テル
ル及び白金等が含有している塩酸溶液からパラジウムの
抽出分離に関するものである。
【0002】
【従来の技術】パラジウムを含有するとともに、セレ
ン、テルル及び白金等を含有する水溶液からパラジウム
を選択的に抽出するための方法としてジアルキルスルフ
ァイドを抽出溶剤とする方法が知られている(特開平1
0−130744号公報、特開平9−279264号公
報参照)。
【0003】特開平10−130744号公報には、
金、セレン及び白金族金属の塩化物含有水溶液から金を
ジブチルカルビトール(DBC)中へ抽出し、金を選択
除去した溶液を塩酸で希釈して酸性溶液を得、この溶液
中のパラジウムを硫化ジアルキル中に抽出し、塩酸を用
いてスクラビングし、スクラビングを行った硫化ジアル
キルからアンモニア水を用いてパラジウムを逆抽出する
段階を含むパラジウムの抽出方法において、塩化物含有
水溶液の塩酸濃度を4規定以上に調整し、かつ塩化浸出
後液〔A〕に対するジブチルカルビトール(BDC)
〔O〕の比率(O/A)が1/2以上の条件で金の抽出
を行うとともに、前記逆抽出後パラジウムを溶解したア
ンモニア水を濾過する段階を有することを特徴とする方
法が記載されている。この方法は、鉄及びテルルによる
パラジウムの純度低下を防止するものであって、その特
徴とするところは、塩化物含有水溶液の塩酸濃度を4規
定以上、好ましくは5規定以上に調整し、かつ金抽出の
後液〔A〕に対するジブチルカルビトール(DBC)
〔O〕の比率(O/A)が1/2以上の条件で金の抽出
を行うとともに、前記逆抽出後パラジウムを溶解したア
ンモニア水を濾過する点にある。
【0004】また、特開平9−279264号公報に
は、白金族元素を含有する貴金属溶液からパラジウムを
連続的に選択抽出する方法であって、濃度40%のジア
ルキルスルファイドを含有する抽出液を、単位時間あた
り、上記貴金属溶液中のパラジウム量に対して4モル倍
以上のジアルキルスルファイド量となる範囲で、かつ数
分以内の接触を他の白金族元素から選択的に抽出する方
法が記載されている。このように通液量と接触時間を選
択することにより、抽出速度の遅いオスミウムやルテニ
ウム等の抽出が抑制され、パラジウムが選択的に抽出さ
れることが記載されている。
【0005】本発明者らは、従来のパラジウムの選択的
抽出法によって得られたスポンジパラジウム中に、セレ
ン、白金等の品位が高くなり、規格に合格できないこと
があることを見出した。前記の先行技術はいずれも、パ
ラジウムのロスを抑制することは記載されていない。ま
た、本発明者らは、パラジウムを選択的に抽出するため
に成らされたもので、パラジウムを選択的に抽出するた
めに硫化ジアルキルを含む有機溶媒で抽出、スクラビン
グした後、該抽出有機溶媒を逆抽出する際に、多量のス
ラッジが発生し、スラッジ中にパラジウムが移行するの
で、パラジウムを高収率で回収できないという問題点が
あることを見出した。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、セレン、テ
ルル、及び白金等を含有するパラジウム含有水溶液か
ら、硫化ジアルキルを用いてパラジウムを抽出した有機
溶媒からパラジウムを逆抽出する際に、スラッジを多量
に発生することなく、パラジウムを選択的に抽出・回収
する方法を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、 (1)セレン、テルル及び白金等を含有するパラジウム
含有水溶液より、硫化ジアルキルによりパラジウムを溶
媒抽出した後、該パラジウムを抽出した有機溶媒相を
3.5M以上の濃度の塩酸で洗浄した後、次いで希塩酸
で洗浄することを特徴とするパラジウムの抽出方法。を
提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明を、図1に示す貴金
属回収フローチャートに沿って説明する。銅製錬工程に
おいて副生する白金やパラジウムを含有する残滓に、塩
化浸出を施し、貴金属を水溶液中に溶出させる。この浸
出後液からDBCによる金抽出を行う。金を抽出した抽
出後液は純水を用いて酸調整してから、硫化ジアルキル
によるパラジウム抽出を行う。パラジウムを抽出した硫
化ジアルキルはHCl濃度を3.5M以上の塩酸溶液に
てスクラビングして、その後希塩酸溶液にて洗浄するこ
とが本発明の特徴である。その後、アンモニア水で逆抽
出すると、パラジウムはジクロロアンミンパラジウム
(〔Pd(NH3)2〕Cl2)としてアンモニア水溶液中
に溶解してくる。硫化ジアルキルとしては、ジヘキシル
スルフィド(DHS)、ジオクチルスルフィドなどが用
いられるが、DHSが好ましい。
【0009】以下、実施例により本発明をさらに詳しく
説明する。
【実施例1】DHSスクラビング時のHCl濃度(モル
/L、以下単に「M」)を0.2〜7Mまで変化させた条
件と、スクラビングを行わないでDHSを逆抽出した時
のスラッジ発生量の測定と分相性を観察した。
【0010】1)抽出工程 パラジウム抽出後のDHSは図1に示すフローに沿って
得たもので、5Cの濾紙にて濾過し、濾液を分析試料と
した。試験に使用したDHSは表1の組成を有するもの
である。
【表1】
【0011】2)スクラビング工程 表1の組成の抽出後DHS430mlと、HCl濃度が
0.2,1.0,3.5,7.0Mの塩酸溶液430mlを
混合して30分間攪拌した。これによりSe,Ptの除
去を行う。その後、分液ロートに入れて、静置して塩酸
相を分離し、次いで希塩酸をDHS量と同量加えて30
分間攪拌した後、分液ロートに入れて希塩酸相を分離す
る操作を2回繰り返した。ここで、希塩酸により洗浄す
るのは、Se等の不純物を除去するためである。
【0012】3)逆抽出工程 〔0011〕の各塩酸濃度で洗浄した後のDHS相
(O)、及び洗浄しないDHS相(表1に示す抽出後D
HS)(O)に8%NHOH(A)をO/A比=1/
1.5の混合割合で1時間攪拌して、分液ロートに入れ
て静置したのち、逆抽出後液を分離して分析した。また
分相時に発生したスラッジを濾過分離して、その発生量
を秤量した。逆抽出後液の分析値、有機相と水相の中間
に発生する中間相中のスラッジ発生量(有機相に対して
の発生量を示す。)及び分相性の結果を表2に示す。
【表2】
【0013】表2より、スクラビングしない条件及びス
クラビング時のHCl濃度が低いほど、逆抽出後液中の
パラジウム濃度は低く、スラッジ発生量は多くなり、こ
の時の逆抽出液中へのパラジウム回収率は塩酸濃度が高
い方が高くなった。スクラビング塩酸濃度が1.0M以
下にすると分相性が悪くなる。またスクラビングの塩酸
濃度が低いほど、逆抽出後液中のパラジウム濃度は低く
なっていることから、スラッジへ移行するパラジウム量
が多くなり、パラジウムロス量が多くなった。従って、
スクラビング時の塩酸濃度を高くするほど分相性が良
く、かつパラジウムの回収率が高くなるが、分相性と塩
酸使用量の経済性から判断すると塩酸濃度は3.5M以
上が良いことがわかる。
【0014】
【発明の効果】本発明において、セレン、テルル、及び
白金等を含有する水溶液からパラジウムを抽出した硫化
ジアルキルをスクラビングする際に、3.5M以上の濃
度の塩酸溶液にて洗浄した後、次いで希塩酸溶液にて洗
浄することにより、逆抽出する際に、スラッジを大量に
発生量することなく、パラジウムの回収率を向上させる
効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による貴金属回収フローチャートを示
す。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】セレン、テルル及び白金等を含有するパラ
    ジウム含有水溶液より、硫化ジアルキルによりパラジウ
    ムを溶媒抽出した後、該パラジウムを抽出した有機溶媒
    相を3.5M以上の濃度の塩酸で洗浄した後、次いで希
    塩酸で洗浄することを特徴とするパラジウムの抽出方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102732728A (zh) * 2012-06-08 2012-10-17 佛山市邦普循环科技有限公司 一种报废汽车尾气催化剂中贵金属的分离方法

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