JPH10158752A - 銀の抽出回収方法 - Google Patents

銀の抽出回収方法

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JPH10158752A
JPH10158752A JP9136525A JP13652597A JPH10158752A JP H10158752 A JPH10158752 A JP H10158752A JP 9136525 A JP9136525 A JP 9136525A JP 13652597 A JP13652597 A JP 13652597A JP H10158752 A JPH10158752 A JP H10158752A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 難溶性銀化合物原料から、銀を安全に且つ選
択的に抽出分離し、この抽出液から特別な還元剤や電解
によらずに簡単に銀を回収し、更には高純度の銀を回収
する方法を提供する。 【解決手段】 難溶性銀化合物原料を硫黄をS2-として
分子中に含む有機燐化合物の有機溶媒溶液と混合し、難
溶性銀化合物を溶解して銀を有機相に抽出する。有機相
中の銀は亜硫酸アルカリ水溶液で逆抽出し、逆抽出液か
ら銀を還元して析出させる。原料の還元処理、銀を抽出
した有機相の洗浄や活性炭処理等により、電解精製を経
由しなくても、高純度の銀を回収できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、貴金属製錬工程、
めっき液や写真現像液の処理工程などで発生する難溶性
銀化合物を含む固体から、抽出により銀を分離して回収
し、精製する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】湿式法で水溶液中や固体中の銀を固定、
回収する代表的な方法の一つとして、塩化銀のような水
に難溶性の銀化合物に変換する方法が広く用いられてい
る。この方法は、貴な金属も含めて共存する大部分の金
属から銀を分離回収できるというメリットがある。しか
し、ハロゲン化銀や硫酸銀のような難溶性銀化合物は、
水だけでなく酸やアルカリに対しても溶解度が低いた
め、一旦回収した銀化合物を直接湿式で精製処理するこ
とは困難であった。
【0003】このような難溶性銀化合物を、共存する他
の化合物又は固体から分離する方法としては、銀を安定
な錯化合物として溶解するアンモニア浸出法、チオ硫酸
塩浸出法が知られている。しかしながら、アンモニア浸
出法を用いた場合は、放置中に銀イオンがアンモニアと
反応して、雷銀などの不安定な爆発性の銀化合物が生成
する恐れがあるため、浸出液を滞留させたり、循環使用
する場合の妨げになっていた。
【0004】また、チオ硫酸塩浸出法を用いた場合は、
浸出液の放置中に難溶性の硫化銀の沈澱が生成しやす
く、特に液のpHが低下したり、温度が上昇した場合
に、この沈澱反応が顕著に促進されるという欠点があっ
た。しかも、この浸出液から電解法や還元法で銀を回収
する場合、得られる金属銀中の硫黄品位が高くなるとい
う問題があった。
【0005】更に、上記両浸出法に共通する問題点とし
て、銀の浸出時に、銀以外の錯形成する多くの元素が同
時に浸出されてしまうため、浸出液から還元により回収
された銀はこれらの元素を多く含み、乾式精製や電解な
どによる再精製が不可欠であった。また、その浸出液中
で銀は安定な錯イオンとして存在しているため、銀を金
属として回収するためには、強力な還元剤を使用するか
又は電解採取法による必要であった。
【0006】しかるに、銀の回収に強力な還元剤を使用
する場合は、コスト高を招くだけでなく、液中への還元
剤や還元剤分解物の蓄積により、銀回収後の逆抽出液の
繰り返し使用が困難になるという問題があった。また、
電解採取法では、設備費の増加や銀の滞留期間増だけで
なく、アノード酸化により浸出液が分解するため、浸出
液の循環使用ができないという問題があった。
【0007】その他の還元法として、アンモニア浸出液
の場合は高温高圧で水素還元する方法も知られている
が、前記のごとく雷銀などの爆発性の銀化合物が生成す
る危険性に加えて、水素による爆発の危険性があり、実
用的な方法とは言い難いものであった。
【0008】一方、硫酸をS2-として分子中に含む有機
燐化合物が、水溶液中の銀イオンを抽出することは既に
知られている。そのためには、実用的には硝酸により固
体中の銀を溶解して、硝酸銀水溶液とする必要がある。
しかしながら、上記有機燐化合物の抽出剤はいずれも、
希薄な硝酸であっても酸化による劣化が著しく、従って
この方法を工業的な固体中の銀の分離回収に適用するこ
とは困難であった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
従来の事情に鑑み、難溶性銀化合物を含有する固体から
銀を分離する際に、爆発性の化合物や難溶性の硫化物な
どの生成が無く、選択的に銀のみを抽出して分離でき、
この抽出液から特別な還元剤の添加や電解などを経由す
ることなく、簡単に且つ経済的に銀を回収し、更には高
純度の銀を回収することができる、銀の抽出回収方法を
提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明が提供する銀の抽出回収方法は、難溶性銀化
合物原料を、硫黄をS2-として分子中に含む有機燐化合
物の有機溶媒溶液と混合することにより、難溶性銀化合
物を溶解すると同時に銀を有機相中に抽出し、次いで、
銀を抽出した有機相から亜硫酸アルカリ水溶液により銀
を逆抽出し、得られた逆抽出液から銀を還元析出させる
ことを特徴とする。
【0011】銀の抽出に用いる硫黄をS2-として分子中
に含む有機燐化合物としては、トリアルキルホスフィン
スルフィド、ジアルキルモノチオホスフィン酸、ジアル
キルジチオホスフィン酸、モノチオ燐酸アルキルのいず
れかが好ましい。
【0012】上記本発明の銀の抽出回収方法において
は、難溶性銀化合物原料に銀より還元されやすい金属不
純物が含まれている場合には、硫黄をS2-として分子中
に含む有機燐化合物の有機溶媒溶液と混合する前に、難
溶性銀化合物原料を還元剤と混合し、銀より還元されや
すい不純物の一部を単体状態まで還元して除去すること
ができる。
【0013】また、難溶性銀化合物原料を硫黄をS2-
して分子中に含む有機隣化合物の有機溶媒溶液と混合す
る際に、水相の共存下において、有機相と水相を共に溶
解する溶媒を添加するか、又は金属イオンと反応しない
非イオン性界面活性剤を添加することにより、均一な混
合を行うことができる。
【0014】銀を抽出した有機相は、アミノカルボン酸
系化合物のような錯形成剤を含む水溶液で洗浄するか、
又は活性炭と接触させることによって、不純物をより一
層低減させることが可能である。また、逆抽出液からの
銀の回収は、逆抽出液のpHを10以上且つ温度を60
℃以上に上昇させることにより銀を還元析出させる方法
が好ましい。
【0015】ここで、難溶性銀化合物原料とは、ハロゲ
ン化銀のような難溶性銀化合物又は難溶性銀化合物を含
有する固体物質を意味する。かかる難溶性銀化合物原料
の具体例としては、貴金属製錬工程、めっき液や写真現
像液の処理工程等で発生するスラリー状又は粉粒状の残
渣等が代表的なものである。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明では、硫黄をS2-として分
子中に含む有機燐化合物が、選択的に銀化合物と安定な
化合物を形成する性質を利用して、上記有機燐化合物を
有機溶媒に溶解させた溶液を抽出剤として用い、他の元
素又は化合物が共存する固体原料中の難溶性銀化合物を
溶解させると同時に、銀を有機溶媒中に抽出分離する。
【0017】また、有機溶媒中に抽出された銀は、亜硫
酸アルカリ水溶液で逆抽出した後、還元により金属銀と
して析出させることができる。例えば、逆抽出液のpH
を10以上に上昇させることにより、亜硫酸イオン自体
により銀が還元される反応を応用して、銀を金属として
析出させて回収することができる。
【0018】以下に、硫黄をS2-として分子中に含む有
機燐化合物がトリアルキルホスフィンスルフィドの一種
であるトリイソブチルホスフィンスルフィド(以下TI
BPSと表記する)であり、難溶性銀化合物が塩化銀
(AgCl)である場合を例にとって、本発明の銀の抽
出分離及び回収方法を詳しく説明する。
【0019】TIBPSは常温で固体であるから、難溶
性銀化合物原料から銀を抽出するためには、まずTIB
PS及びその銀塩付加化合物を溶解しうる有機溶媒にT
IBPSを溶解し、次いで、このTIBPSの有機溶媒
溶液を難溶性銀化合物原料と混合する。有機溶媒として
は通常の炭化水素系溶媒を使用できるが、銀塩付加化合
物の溶解度が十分高くない場合には、p−ノニルフェノ
ールなどの改質剤を添加することによって、銀としてn
×10g/l(nは1〜10の任意の数)程度まで溶解
度を上昇させることが可能である。
【0020】難溶性銀化合物原料をTIBPSの有機溶
媒溶媒と混合することにより、原料中に含まれる難溶性
銀化合物は、下記化学式1に示すようにTIBPSと付
加化合物を形成し、溶解して有機相に移行する:
【化1】2R3PS+AgCl → (R3PS)2・AgCl (式中において、R3PSは前記TIBPSを意味す
る。以下同じ)
【0021】従って、この抽出操作においては、pH調
整の必要がなく、また爆発性や難溶性の副生成物の発生
もない。尚、難溶性銀化合物原料と有機溶媒溶液との接
触面積を増やすため、難溶性銀化合物原料は粉粒状若し
くはスラリー状にして添加することが好ましい。
【0022】ここで、中性のTIBPSの代わりに、他
の硫黄をS2-として含む有機燐化合物からなる酸性の抽
出剤を使用した場合には、銀の抽出に伴って酸の放出が
あるが、例え強酸である塩酸が生成しても、Ag濃度が
60g/l程度の抽出であればアルカリの添加などによ
りpHを調整する必要はない。また、硫黄を含む有機燐
化合物の酸性の抽出剤は常温で液体であるため、希釈剤
の添加は必ずしも必要ではない。
【0023】上記の抽出反応は、銀が難溶性化合物の場
合であっても、常温で十分に進行する。例えば難溶性銀
化合物が塩化銀の場合、水への溶解度は15℃において
1.3mg/lでしかないが、分散性の良い粉粒状又は
スラリー状であれば、常温でもTIBPSの有機溶媒溶
液中に10分以下の時間でほぼ完全に溶解させることが
可能である。難溶性銀化合物が硫酸銀などの溶解度がよ
り高い化合物の場合には、その溶解及び抽出は一層容易
になる。
【0024】次に、有機相からの銀の回収方法として
は、還元剤の添加により銀を直接還元し、金属として回
収する方法、又は塩化銀などの浸出に使用されるチオ硫
酸塩、チオシアン酸、チオ尿素、アンモニア、亜硫酸ナ
トリウム等を使用して逆抽出し、この逆抽出液を更に還
元又は電解することにより、銀を金属として回収する方
法等が適用可能である。
【0025】ただし、直接還元法では、塩化銀などの還
元困難な銀化合物が抽出されている場合には、アルカリ
性で強還元雰囲気にする必要があり、その結果有機相が
一部分解して硫化物を生成するため、適用可能な難溶性
銀化合物の形態が制限される。一方、逆抽出法において
は、亜硫酸アルカリ以外の逆抽出液を用いると、水相中
の銀化合物が不安定であるため、還元により回収される
金属銀中の硫黄あるいは窒素品位が高くなるという問題
がある。このような事情から、亜硫酸ナトリウム等の亜
硫酸アルカリの水溶液で逆抽出する方法が最適である。
【0026】従って、本発明方法においては、上記のご
とく有機溶媒中にTIBPSとの付加化合物として抽出
された銀は、例えば亜硫酸ナトリウム水溶液を使用して
逆抽出することにより、下記化学式2の反応に示すよう
に、スルフィト錯体として分離して水相に移行する:
【化2】(R3PS)2・AgCl+2Na2SO3 →Na
3[Ag(SO3)2]+NaCl+2R3PS
【0027】銀のスルフィド錯体は、イオン中にS2-
含まないため保管やpHの変動により硫化物が生成する
恐れがなく、また爆発性の不安定な化合物も生成しな
い。更に、他の逆抽出剤には無い特徴として、銀のスル
フィド錯体を含む水溶液のpHを上昇させることによ
り、下記化学式3に示すように銀が還元され、銀を金属
として回収することが可能である:
【化3】2Na3[Ag(SO3)2]+2NaOH →2Ag
+Na2SO4+3Na2SO3+H2
【0028】この還元反応は、pHが高いほど、また同
一pHでは温度が高いほど、還元速度が速くなる。従っ
て工業的な操業においては、pH10以上で温度60℃
以上とすることが好ましく、例えばpH12以上では9
0℃で1時間程度維持することにより、銀をほぼ完全に
金属銀に還元することができる。また、上記化学式3に
よれば、銀に対して最低1当量のアルカリが必要となる
が、pH10以上のような高いpH領域では亜硫酸塩が
pH緩衝性を有するため、0.5当量程度のアルカリで
も銀を完全に還元することができる。
【0029】上記の還元反応により析出した金属銀は、
フォルマリン還元などによって得られる銀のような微細
な暗色粉末ではなく、銀白色の粉末であって、粒径がn
/10mm(nは1〜10の任意の数)以上でハンドリ
ング性が良く、濾過及び洗浄も極めて容易である。
【0030】上記した本発明方法において、特に工業的
に上記化学式1の抽出反応を実施する場合には、有機
相、難溶性銀化合物原料、及びその原料に通常含まれ水
分の3相を均一に混合することが重要である。均一な混
合を達成するためには、通常の溶媒抽出とは異なり、強
力な上下方向の液流が形成されることが好ましく、従っ
て2枚バドル羽根よりも、マリンタイプやピッチドター
ビン等の方が良好な撹拌が可能である。
【0031】しかしながら、実際上は原料の固体粒子が
高度に凝集している等の理由によって、機械的撹拌だけ
では均一な混合が困難な場合が少なくない。このような
均一混合が困難な場合に、極めて良好な均一混合を達成
する方法として、以下のような方法がある。
【0032】その一つの方法は、有機相と水相を共に溶
解する溶媒を添加して、有機相と水相の間の界面張力を
下げ、可能ならば均一の相にして混合する方法である。
この方法は、銀化合物が通常親水性のため水相中には懸
濁しているが、水相のスラリーが有機相中に懸濁せず、
反応し難い場合に極めて有効である。このような溶媒と
しては、アセトン、メタノール、エタノール、イソプロ
パノール、DMF、DMSOなどが使用可能性である
が、価格を配慮するとメタノールが最適である。尚、水
で希釈されたアルコールは、パーベーパレーション法に
より低コストでの回収が可能である。
【0033】均一な混合を達成する別の方法は、界面活
性剤を添加する方法である。界面活性剤のうち、陰イオ
ン系界面活性剤は共存する可溶性塩類と反応し、不溶性
沈澱を形成して界面活性能力が低下するため、また陽イ
オン系界面活性剤では金属イオンと反応して有機溶媒に
可溶性な化合物を形成するため、いずれも好ましくな
い。従って、使用する界面活性剤としては非イオン系界
面活性剤が好ましく、中でも水に溶解し且つ有機相に抽
出されにくいものが好ましい。
【0034】かかる界面活性剤としては、花王(株)製の
エマルゲンPI−20T、エマルゲン906、クリーン
スルー LC−2500等が好ましく、特に有機相との
エマルジョンを形成しにくいクリーンスルー LC−2
500が特に好ましい。界面活性剤の添加量について
は、多すぎると有機相と水相との分離が困難になり、少
なすぎると混合効果が不十分となるため、原料の形態
や、有機相と原料と水分量との比にも依るが、一般的に
は有機相に対して1〜20g/l程度の添加が望まし
い。
【0035】このように、有機相と水相を共に溶解する
溶媒又は界面活性剤を添加して抽出を行った後、有機相
と水相と固体残渣を分離するには、初めに減圧濾過、加
圧濾過、遠心分離等の方法により固体を有機相及び水相
の混合物から分離し、その後有機相と水相とを分相し、
残渣を洗浄する方法が一般的である。また、遠心分離を
行いつつ、3相を同時に分離する3相分離機を使用する
と、連続的に且つ同時に3相の分離が可能であり、残渣
排出前に連続的に洗浄することもできる。
【0036】水相と有機相を共に溶解する溶媒を使用し
て抽出を実施した場合、固体残渣分離後の液相に水を添
加すると有機相と水相に分離し、水相と有機相を共に溶
解する溶媒は水相中に回収される。界面活性剤を使用し
た場合は、有機相の一部が水相中に懸濁することがある
が、このような場合には油水分離膜を使用したコアレッ
サーにより、有機相を完全に回収することが可能であ
る。残渣の洗浄は、水相と有機相を共に溶解する溶媒で
も、界面活性剤水溶液でも実施できる。
【0037】以上に説明した本発明方法により、特に有
機相と水相の均一な混合を行うことによって、高い回収
率で効率良く銀を回収することができる。回収される銀
は、金その他の不純物を若干含有するが、下記するよう
な種々の方法を採ることによって、その純度を通常の電
解精製により得られる銀と同程度にまで高めることが可
能である。
【0038】まず、難溶性銀化合物原料として、合金ス
クラップや鉱石のような天然由来の化合物等を使用する
場合には、しばしば銀よりも還元されやすい不純物が原
料中に混入している場合があり、これらの不純物の中で
も比較的銀に挙動が似ている元素が金である。例えば、
塩化銀中に金を含有する場合、洗浄によって金を完全に
分離することは困難であり、通常は銀に対して10〜1
00ppm程度の金が残留する。この金は、本発明方法
の抽出工程で有機相中に混入すると、そのまま水相に逆
抽出され、最終的に回収される銀中に混入する。
【0039】そこで、予め原料を少量の弱い還元剤によ
り処理し、銀よりも高い電位において還元される金など
の不純物を選択的に金属又は単体状態にまで還元するこ
とができる。かかる還元剤としては、一般に金の選択回
収で使用される亜硫酸ガス、亜硫酸塩、ヒドラジン及び
その塩、蓚酸などが使用可能であるが、反応速度が十分
速く、反応生成物の後工程への影響が無く、且つ工業的
に安価に入手できる点で、亜硫酸水素ナトリウム等の亜
硫酸塩が最も適している。還元電位としては、Ag/A
gCl電極に対して100〜200mV程度が望まし
く、100mVを下回ると徐々に銀も還元され、200
mV以上では金を完全に還元することができない。尚、
金属まで還元された金は本発明方法の抽出工程で有機相
に抽出されず、抽出残渣を乾式工程に繰り返すことによ
り別途回収される。
【0040】また、本発明方法で用いる硫黄をS2-とし
て含む有機燐化合物、特にTIBPSは、浸出する場合
に比べて不純物に対して高い選択性を有するが、同時に
微量の不純物も抽出する。この有機相に抽出された不純
物を分離するためには、有機相の洗浄又は活性炭による
吸着が有効である。これらの方法を、上記抽出前の原料
の還元と組み合わせることによって、銀をより一層高度
に精製することが可能である。
【0041】不純物を除去するため有機相の洗浄に使用
する洗浄剤としては、アミンと酢酸を含む一連の化合物
があり、特にエチレンジアミン四酢酸(EDTA)等の
アミノカルボン酸系の化合物が最も適している。しか
し、チオ尿素、チオ硫酸塩、亜硫酸塩、チオシアン酸塩
等の硫黄を含有する錯形成剤、シアン化物及びアンモニ
ア水は、銀も逆抽出するため使用できない。また、酸は
洗浄効果が低いため有効でない。金等の不純物は銀より
も活性炭に吸着されやすいため、有機相を活性炭と接触
させることによっても、有機相に含有される不純物を除
去することが可能である。
【0042】上述の方法を採ることにより、高度に精製
された銀を回収することができる。しかし、有機相を亜
硫酸アルカリ水溶液で逆抽出し、この逆抽出液から還元
により回収された金属銀には、亜硫酸アルカリ水溶液等
に含まれる微量の不純物が付着したり、分離濾過等の工
程で残存又は混入した不純物が付着することがある。こ
のような場合には、外部汚染を減らすことは勿論である
が、銀表面に付着した不純物を除去するため、銀粉末を
酸洗することが有効である。使用する酸としては、非酸
化性で、銀を僅かに溶解して表面を完全に洗浄しうる塩
酸が適している。また、最終製品が塊状でも差し支え無
い場合には、得られた銀粉末に公知の融解法やフラック
ス法を適用して、不純物量を低下させることも可能であ
る。
【0043】
【実施例】実施例1 銅電解アノードスライムを水洗した後、400g/lの
スラリー濃度で5N塩酸中に懸濁させた。この懸濁液を
90℃に昇温した後、最高電位になるまで塩素ガスを吹
込み、生成した残渣を5N塩酸で洗浄して、下記表1に
示す組成の塩素浸出残渣(銀濃縮物)を得た。この塩素
浸出残渣を湿潤状態のまま、難溶性銀化合物原料として
使用した。尚、この塩素浸出残渣は分散性が良好なもの
である。
【0044】
【表1】塩素浸出残渣の組成(湿潤状態における重量%) Au Cu Pb Se Ag Pt Pd Rh 0.01 0.1 13.5 0.1 40.9 0.06 <0.01 <0.01 Ni As Sb Bi Te Fe Sn SO4 0.35 0.38 6.17 4.04 0.06 0.26 1.02 <0.05
【0045】一方、硫黄をS2-として分子中に含む有機
燐化合物のトリイソブチルホスフィンスルフィド(商品
名CYANEX 471X、サイテック社製)444g
/l(1.87モル/l相当)と、改質剤のp−ノニル
フェノール53.5g/lを、芳香族炭化水素溶媒(商
品名クリーンソルG、日本石油(株)製)に溶解して、
有機溶媒溶液を得た。次に、上記難溶性銀化合物原料1
1.7gを、この有機溶媒溶液79.5ml及び水20m
lと混合し、1時間振盪して銀を有機相に抽出した。得
られた抽出結果を表2に示した。
【0046】
【表2】 有機相(ml) 銀濃度(g/l) 残渣量(g) 残渣品位(%) 銀抽出率(%) 75.8 52.6 3.95 2.00 98.1
【0047】表2の結果から分かるように、スライム残
渣のような複雑な組成の難溶性銀化合物原料であって
も、その分散性が良好であれば、本発明方法により銀を
高い抽出率で抽出分離することができる。
【0048】この銀濃度52.6g/lの有機相50m
lを、250g/lの亜硫酸ナトリウム(Na2SO3
水溶液50mlと10分間振盪した後、有機相と水相を
分離した。得られた有機相は新たなNa2SO3水溶液5
0mlと10分間振盪し、更に有機相と水相を分離し
た。この逆抽出操作を計5回繰返して実施した。上記5
回の逆抽出操作で得られた各逆抽出液の液量、銀濃度、
分配率、及び逆抽出率を、残留有機相と共に表3に示し
た。
【0049】
【表3】逆抽出 液量(ml) 銀濃度(g/l) 分配率(%) 累計逆抽出率(%) 1回目 47.8 18.1 33.4 33.4 2回目 48.0 15.6 28.9 62.4 3回目 48.0 10.4 19.3 81.6 4回目 47.7 5.67 10.4 92.1 5回目 47.8 2.8 5.17 97.3 計 − 52.57 − 100.0 残留有機相 47.5 1.49 2.73 −
【0050】上記の結果から分かるように、亜硫酸ナト
リウム水溶液により、有機相中の銀化合物は非常に安定
な付加化合物として水相中に逆抽出され、5回の逆抽出
を繰返し行うことによって、97%以上の銀を逆抽出す
ることができた。尚、亜硫酸ナトリウム以外の亜硫酸ア
ルカリの水溶液を用いて逆抽出をおこなっても、上記と
ほぼ同様の結果を得ることができる。
【0051】上記の5段の逆抽出で得られた逆抽出液
に、銀の1.3倍モルのNaOHを添加し、90℃まで
昇温したところ、銀粉末の析出が開始した。そこで、こ
の温度を維持し、酸化還元電圧(ORP)が一定になっ
た70分後を還元反応の終点とした。最終的にORPは
−128mV、pHは13.14であった。この還元に
より、最終的に回収された銀の量は合計2.52gであ
り、銀の直接回収率は93.8%であった。尚、溶媒抽
出の残渣は乾式工程に繰り返され、抽出剤中の銀も次回
の逆抽出時に払い出され、逆抽出液の還元後の残存銀も
次回の還元時に回収可能であることから、総合実収率は
98%以上となる。
【0052】実施例2 アノードスライム50gを処理して得られた下記表4に
示す組成の塩素浸出残渣13.1gに、水43.5gを添
加し、約300gのスラリーとした。このスラリーに、
90℃にてORPが170mVになるまで亜硫酸水素ナ
トリウム(NaHSO3)を添加(NaHSO3消費量
0.5g)して、不純物の一部(主に金)を金属状態な
いし単体状態に還元した。
【0053】
【表4】塩素浸出残渣の組成(湿潤状態における重量%) Au Cu Pb Se Ag Pt Pd Te 0.13 0.32 38.2 0.37 13.4 0.05 0.008 0.82
【0054】次に、残ったスラリーに、444gのCY
ANEX 471X及び53.5gのp−ノニルフェノー
ルを溶解したクリーンソルG溶液76.5mlを添加
し、1時間撹拌して銀を抽出した。抽出残渣はアルコー
ル洗浄し、洗液に水を添加して析出する有機相は回収し
て、メインの有機相と合わせた。合わせた有機相は、自
然濾過した。
【0055】かくして得られた有機相は、250g/l
のNa2SO3水溶液とO/A=1/1にて10分間振盪
し、1回の逆抽出を行った。この逆抽液に、銀の1当量
相当のNaOHを添加して、90℃まで昇温した。OR
Pが最低まで低下し、母液をサンプリングして、これが
SBHとの反応により黒沈を生成しなくなった時点を終
点とした。生成した銀粉末は、水洗し、常温で真空乾燥
した後、発光分光分析にて分析した。
【0056】比較のために、原料である塩素浸出残渣を
NaHSO3で還元処理しなかった以外は上記と同様に
して、銀粉末を回収し、その発光分光分析を行った。そ
れぞれ得られた分析結果を表5に示した。
【0057】
【表5】還元銀中の主な元素の発光分光定性結果 還元処理 Cr Ca Na Cu Al Bi Ni Fe Si Mg 無還元 ± 2+ 2+ 2+ + 2+ (±) + 2+ 3+ Au還元 (±) 5+ (±) 3+ + 2+ ± 2+ 2+ 5+ 還元処理 Sn Pb Pt Sb Au Pd 無還元 − − (±) (±) 5+ − Au還元 (±) + − ± + −
【0058】上記の結果から分かるように、原料である
塩素浸出残渣に還元処理を施すことにより、銀よりも還
元されやすいPtやAuの銀中への混入が大幅に低減し
た。回収された銀中のAu品位の参考値は、+5で約1
00ppm、+で1桁のppmオーダーである。また、
電解法により銀の精製で問題となるPdは、本発明方法
では抽出されないため、原料の還元の有無を問わず有機
相に混入しない。
【0059】実施例3 下記表6に示す組成を有するアノードスライムの塩素浸
出残渣を原料として用い、銀の抽出時における有機相と
水相を共に溶解する溶媒の影響に付いて確認した。尚、
表6の塩素浸出残渣は凝集性が高く、分散が困難なもの
である。
【0060】
【表6】塩素浸出残渣の組成(湿潤状態における重量%) Au Cu Pd Se Ag Pt Pd Te 0.011 0.23 31.0 2.11 16.9 0.007 0.007 0.42
【0061】この塩素浸出残渣16.6gに、200m
lのメタノールと、444g/lのCYANEX 47
1及び53.5g/lのp−ノニルフェノールを溶解し
たクリーンソルG溶液50mlとを加え、撹拌羽根を用
いて500rpmにて1時間撹拌した。また、比較のた
めに、表6の塩素浸出残渣16.6gに、メタノールを
添加していない以外は上記と同じCYANEX 471
X及びp−ノニルフェノールのクリーンソルG溶液50
ml、及び純水30mlを加え、同様に1時間撹拌し
た。
【0062】その後、両者ともに遠心分離により有機相
を分離し、更に残渣はアルコール洗浄を行った後、アル
コールを水と混合して遊離した有機相を回収した。ま
た、再現性を確認するために、両者とも同一の試験を3
回ずつ繰り返した。それぞれの有機相への銀の抽出率を
表7に示した。尚、抽出率は抽出有機相と残渣の分配か
ら求めた。
【0063】
【表7】 メタノール添加有り メタノール添加無し 残渣量 残渣銀品位 抽出率 残渣量 残渣銀品位 抽出率 抽出 (g) (%) (%) (g) (%) (%) 1回目 10.60 0.31 98.9 12.73 14.1 35.6 2回目 10.59 0.25 99.1 13.06 15.3 28.0 3回目 10.58 0.19 99.3 12.99 15.0 29.2 平 均 99.1±0.2 30.9±3.3
【0064】上記の結果から分かるように、銀の抽出の
際に有機相と水相を共に溶解する溶媒を添加することに
よって、分散性の悪い塩素浸出残渣であっても、有機相
への銀の抽出率が飛躍的に向上する。尚、分散性の良好
な別の塩素浸出残渣を使用した場合には、アルコールの
添加無しでの抽出率は、上記と同一条件の撹拌法で6
2.7%、震盪法では98.0%であった。
【0065】実施例4 下記表8の組成を有するアノードスライムの塩素浸出残
渣16gに、444g/lのCYANEX 471X、
53.5g/lのp−ノニルフェノール、及び下記表9
に示す非イオン性界面活性剤を添加したクリーンソルG
溶液50mlを加え、更に20mlの純水を添加して、
100mlビーカー中で2枚羽根にて1時間撹拌混合し
た。有機相への銀の抽出率を、使用した非イオン性界面
活性剤の種類及び添加量と共に下記表9に示した。
【0066】
【表8】塩素浸出残渣(湿潤状態における重量%) Au Cu Pb Se Ag Pt Pd Te 0.002 0.19 31.7 0.27 14.9 0.002 0.002 0.3
【0067】
【表9】非イオン性界面活性剤の種類 添加量(g/l) 抽出率(%) 添加無し 0 46.4 エマルゲンPI−20T 3 97.9 エマルゲン906 3 70.5 クリーンスルーLC−2500 20 98.7
【0068】上記表9から、非イオン性界面活性剤の添
加により、有機相と水相と残渣の3相の混合が改善さ
れ、有機相への銀の抽出率が向上することが分かる。
尚、使用した非イオン性界面活性剤の中でも、水相への
溶解が不完全なエマルゲン906では抽出率が若干低下
しており、非イオン性界面活性剤の種類も重要であるこ
とが分かる。
【0069】実施例5 アノードスライムの塩素浸出残渣をCYANEX 47
1Xを含む有機溶媒溶液で抽出した有機相中の不純物
は、金以外は通常1ppm以下である。そこで、想定原
料として塩化銀58.4g/lと、Cu、Bi、Pbの
各塩化物をぞれぞれ1g/lずつ水中に含有するスラリ
ーを用いて、下記のごとく洗浄液の選定試験を実施し
た。
【0070】上記スラリー250mlを、444g/l
のCYANEX 471X及び53.5g/lのp−ノニ
ルフェノールを溶解したクリーンソルG溶液250ml
と混合し、1時間震盪することによって、下記表10に
示す組成の有機相を得た。銀の抽出率は99.88%で
あり、銅は1.3%及び鉛は1.4%が抽出された。加水
分解して沈澱した元素は、濾過して分離した。
【0071】
【表10】有機相の組成(g/l) Ag Cu Bi Pb 49.8 0.0119 <0.001 0.0133
【0072】得られた有機相を分割し、分割した各有機
相をそれぞれ硫酸(2〜6N)、酒石酸(0.5mol
/1)、EDTA(0.25mol/l、pH5.61)
水溶液を用いて、O/A=1/1にて10分間振盪し
た。この洗浄処理後の各有機相の組成を表11に、水相
の組成を表12に、及び各元素の洗浄除去率を表13に
それぞれ示した。
【0073】
【表11】
【0074】
【表12】
【0075】
【表13】
【0076】上記結果から分かるように、アミノカルボ
ン酸の一種であるEDTAを洗浄液に使用すれば、主要
な不純物である銅、ビスマス、鉛を有機相中から0.1
mg/l以下にまで洗浄可能であり、且つ銀の洗浄によ
る損失は0.006重量%と極めて僅かである。それに
対して、通常の硫酸や錯形成能力が高いカルボン酸であ
る酒石酸では、いずれも銅の洗浄性に劣ることが分か
る。
【0077】実施例6 下記表14の組成を有するアノードスライムの塩素浸出
残渣80.2gに、444g/lのCYANEX 471
X及び53.5g/lのp−ノニルフェノールを溶解し
たクリーンソルG溶液243mlと、メタノール97m
lとを添加し、1時間撹拌混合して、下記表15に示す
組成の有機相を得た。
【0078】
【表14】塩素浸出残渣の組成(湿潤状態における重量%) Au Cu Pb Se Ag Pt Pd Te 0.032 0.19 23.0 0.13 13.8 0.011 0.018 0.63
【0079】
【表15】抽出有機相の組成 Au Si Ag 42mg/l <1mg/l 39.3g/l
【0080】得られた有機相に、下記表16に示す量の
活性炭(商品名クラレコール、クラレ(株)製)を添加し
て1時間撹拌した後、更にpH6.5、0.25mol/
lのEDTA水溶液を用いO/A=1/1にて洗浄し
た。洗浄後の有機相は、250g/lのNa2SO3水溶
液でO/A=1/1にて3回逆抽出した。
【0081】3回分の各逆抽出液を集めて、0.28m
ol/lになるようにNaOHを添加し、90℃で2時
間加熱して銀を還元析出させた。回収した銀粉末は、濃
塩酸l25mlを用いて、90℃にて1時間撹拌するこ
とにより洗浄した。下記表16に、添加した活性炭の量
と、回収された銀中の不純物量との関係を示した。
【0082】
【表16】
【0083】表16の結果から分かるように、銀を抽出
した有機相に活性炭を添加して撹拌することにより、吸
着の可能性のある主な元素はいずれも1ppm以下に低
減した。
【0084】実施例7 前記実施例2と同じ組成の塩素浸出残渣40gを水13
3mlに懸濁したスラリーに、亜硫酸ナトリウムを添加
しながらORP135mV、pH4.43に調整し、電
位が安定するまで0.5時間撹拌した。最終的な亜硫酸
ナトリウムの添加量は0.6gであった。
【0085】上記還元処理後のスラリーは、444g/
lのCYANEX 471X及び53.5g/lのp−ノ
ニルフェノールを溶解したクリーンソルG溶液235m
lと混合し、1時間撹拌して銀を抽出した。得られた混
合物を遠心分離して、有機相(229ml、98%相
当)を回収した。回収した有機相は、0.2mol/l
のEDTA(pH6.5)とO/A=1/1で混合し
て、洗浄した。
【0086】その後、この有機相を250g/lの亜硫
酸ナトリウム水溶液を用いてO/A=1/3で3回逆抽
出した。得られた逆抽出液に500g/lの水酸化ナト
リウム4.5mlを添加し、90℃まで昇温した。OR
Pの上昇が遅いため、更に水酸化ナトリウムを1gを追
加し、最終的にORPが−98mV(最低)まで還元し
た。
【0087】還元により析出した銀を回収し、得られた
銀粉末の2/3は、10mlの塩酸中にて90℃で1時
間撹拌して酸洗した後、水洗した。この塩酸洗浄後の銀
粉末の更に1/2は、水洗した後、1050℃で30分
加熱して融解した。融解銀はアルミナボードに固着して
いたため、融解水酸化ナトリウムで処理して剥離させ
た。剥離した銀は、常温にて塩酸洗浄及び水洗浄した。
【0088】上記の回収したままの銀(未処理)、それ
を酸洗浄した銀、更に融解した銀のそれぞれについて、
銀の品位を不純物含有量として下記表17に示した。ま
た、参考のために、同じアノードスライムを乾式精製し
て得た銀アノードを、硝酸浴中で電解精製することによ
り得られた銀フレークについても、その銀品位を併せて
示した。尚、表17に挙げた不純物は発光分光分析によ
って検出できた元素のみである。
【0089】
【表17】
【0090】以上の結果から分かるように、回収された
銀を酸洗するだけでも4N程度までの精製が可能であ
り、更に融解処理を施すことによって、Cu及びPbに
ついては電解精製以上に不純物を除去することが可能で
ある。
【0091】
【発明の効果】本発明によれば、銀が難溶性化合物とし
て存在していても、硫黄を含む有機燐化合物の有機溶媒
溶液を用いて抽出することにより、難溶性銀化合物含有
原料から選択的に銀を抽出することができ、更に逆抽出
及び逆抽出液のpH調整により銀を簡単に金属として効
率良く回収することができる。
【0092】しかも、難溶性銀化合物含有原料の事前の
還元処理、銀を抽出した有機相の洗浄あるいは活性炭に
よる吸着精製により、最終的に電解精製を経由しなくて
も、高純度の銀を回収することが可能である。また、外
部汚染を低減させたり、回収した銀の酸洗処理や融解処
理によって、銀品位を一層高めることができる。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 難溶性銀化合物原料を、硫黄をS2-とし
    て分子中に含む有機燐化合物の有機溶媒溶液と混合する
    ことにより、難溶性銀化合物を溶解すると同時に銀を有
    機相中に抽出し、次いで、銀を抽出した有機相から亜硫
    酸アルカリ水溶液により銀を逆抽出し、得られた逆抽出
    液から銀を還元析出させることを特徴とする銀の抽出回
    収方法。
  2. 【請求項2】 硫黄をS2-として分子中に含む有機燐化
    合物が、トリアルキルホスフィンスルフィド、ジアルキ
    ルモノチオホスフィン酸、ジアルキルジチオホスフィン
    酸、モノチオ燐酸アルキルのいずれかであることを特徴
    とする、請求項1に記載の銀の抽出回収方法。
  3. 【請求項3】 硫黄をS2-として分子中に含む有機燐化
    合物の有機溶媒溶液と混合する前に、難溶性銀化合物原
    料を還元剤と混合し、銀より還元されやすい不純物の一
    部を単体状態まで還元して除去することを特徴とする、
    請求項1又は2に記載の銀の抽出回収方法。
  4. 【請求項4】 難溶性銀化合物原料を硫黄をS2-として
    分子中に含む有機隣化合物の有機溶媒溶液と混合する際
    に、水相の共存下において、有機相と水相を共に溶解す
    る溶媒を添加することを特徴とする、請求項1〜3のい
    ずれかに記載の銀の抽出回収方法。
  5. 【請求項5】 上記有機相と水相を共に溶解する溶媒が
    メタノールであることを特徴とする、請求項4に記載の
    銀の抽出回収方法。
  6. 【請求項6】 難溶性銀化合物原料を硫黄をS2-として
    分子中に含む有機隣化合物の有機溶媒溶液と混合する際
    に、水相の共存下において、金属イオンと反応しない非
    イオン性界面活性剤を添加することを特徴とする、請求
    項1〜5のいずれかに記載の銀の抽出回収方法。
  7. 【請求項7】 銀を抽出した有機相を錯形成剤を含む水
    溶液で洗浄することを特徴とする、請求項1〜6のいず
    れかに記載の銀の抽出回収方法。
  8. 【請求項8】 上記錯形成剤がアミノカルボン酸系化合
    物であることを特徴とする、請求項7に記載の銀の抽出
    回収方法。
  9. 【請求項9】 銀を抽出した有機相を活性炭と接触させ
    ることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の
    銀の抽出回収方法。
  10. 【請求項10】 逆抽出液をpH10以上、温度60℃
    以上とすることにより、銀を還元析出させることを特徴
    とする、請求項1〜9のいずれかに記載の銀の抽出回収
    方法。
  11. 【請求項11】 還元析出させた銀を酸洗することを特
    徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の銀の抽出
    回収方法。
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JP2009209421A (ja) * 2008-03-05 2009-09-17 Sumitomo Metal Mining Co Ltd 高純度銀の製造方法
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