JP2002093785A - 複合金属酸化物膜の除去方法、クリーニング方法及びエッチング方法 - Google Patents

複合金属酸化物膜の除去方法、クリーニング方法及びエッチング方法

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JP2002093785A JP2000278307A JP2000278307A JP2002093785A JP 2002093785 A JP2002093785 A JP 2002093785A JP 2000278307 A JP2000278307 A JP 2000278307A JP 2000278307 A JP2000278307 A JP 2000278307A JP 2002093785 A JP2002093785 A JP 2002093785A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 処理容器に損傷を極力与えることなく不要な
複合金属酸化物膜を、1種類のガスを用いて除去するこ
とができる複合金属酸化物膜のクリーニング方法を提供
する。 【解決手段】 Ba、Sr、Tiなどの複数種類の金属
を含む複合金属酸化物膜のクリーニング方法において、
石英ガラス製の処理容器内にクリーニングガスとしてC
lF3 ガスを供給し、この内部温度を、上記金属がフッ
化されないような温度、例えば500℃未満に維持す
る。これにより、処理容器8に損傷を極力与えることな
く不要な複合金属酸化物膜を、1種類のガスを用いて除
去することが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、バリウム、ストロ
ンチウム、チタン等の複数種類の金属を含むことのある
複合金属酸化物膜の除去方法、クリーニング方法及びエ
ッチング方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、半導体デバイスを製造するに
は、半導体ウエハに成膜処理やパターンエッチング処理
を繰り返し行なって所望のデバイスを製造するが、中で
も成膜技術は、半導体デバイスが高密度化及び高集積化
するに伴ってその仕様、すなわちデザインルールが年々
厳しくなっており、例えばデバイス中のキャパシタの絶
縁膜やゲート絶縁膜のように非常に薄い酸化膜などに対
しても更なる薄膜化が要求され、これと同時に更に高い
絶縁性が要求されている。
【0003】これらの絶縁膜としては、シリコン酸化膜
やシリコンナイトライド膜等を用いることができるが、
最近にあっては、より絶縁特性の良好な材料として、金
属酸化膜、例えば誘電率が30〜50程度と大きいタン
タル酸化膜(Ta25 )等が用いられる傾向にあり、
更には、上記タンタル酸化膜よりも誘電率が大きくて誘
電率が100程度となるSrTiO3 (以下、STOと
も称す)や誘電率が200〜300程度となるBaX
1-X TiO3 (以下、BSTOとも称す)などの複数
種類の金属を含む複合金属酸化物膜も検討されるに至っ
ている。尚、上記BSTOは一般的にはBSTとも称さ
れている。これらの複合金属酸化物膜は、上述のように
現在一般的に用いられているシリコン酸化膜やタンタル
酸化膜よりも高い誘電率を発現するので、デバイスの高
集積化を進めても微小なキャパシタ面積でも十分な容量
を確保することが可能となり、しかも、薄くても信頼性
の高い絶縁性を発揮することができるので、キャパシタ
絶縁膜の材料として特に有望であり、今後において多用
されることが期待されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、周知のよう
に各種の膜を半導体ウエハ表面に堆積させる成膜装置に
あっては、この処理容器の内面等に付着した不要な付着
膜がパーティクルの原因になることから、これを定期的
或いは不定期的に洗浄して取り除くクリーニング処理が
行なわれる。この場合、このクリーニング処理には、処
理容器を取り外してこれを酸性液等のクリーニング液で
洗浄するウェットクリーニングや、処理容器を取り外す
ことなくIN−SITUEでクリーニングガスを用いて
洗浄するドライクリーニングが知られている。
【0005】そして、スループット向上の上からは、上
記したドライクリーニング方法の確立は重要な課題であ
るが、前述したような不要な複合金属酸化物膜を、処理
容器の材料である石英ガラスに損傷を与えることなく除
去するためのドライクリーニング方法が十分に確立され
ていないのが現状である。そこで、本出願人は、先の出
願(特願2000−157004)において、Cl2
スとClF3 ガスを別々に用いて複合金属酸化物膜を除
去するクリーニング方法を提案したが、このクリーニン
グ方法は上記した2種類のクリーニングガスを用いなけ
ればならないと、という不都合を有していた。本発明
は、以上のような問題点に着目し、これを有効に解決す
べく創案されたものである。本発明の目的は、処理容器
に損傷を極力与えることなく不要な複合金属酸化物膜
を、1種類のガスを用いて除去することができる複合金
属酸化物膜の除去方法、クリーニング方法及びエッチン
グ方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、先の出願
(特願2000−157004)の提出後、更に複合金
属酸化物膜のクリーニング方法について鋭意研究した結
果、複合金属酸化物膜を除去するためには、クリーニン
グガスとして周知のClF3 ガスを用いた場合には、ク
リーニングガスの活性化温度以上であって、且つ複合金
属酸化物膜中に含まれる金属のフッ化温度以下の温度に
てクリーニング操作を行えばよい、という知見を得るこ
とにより、本発明に至ったものである。請求項1に規定
する発明は、複数種類の金属を含む複合金属酸化物膜を
除去するために、除去ガスとしてClF3 ガスを用いつ
つ前記複合金属酸化物膜をその構成金属がフッ化しない
温度に維持しつつ前記複合金属酸化物膜を除去するよう
にしたことを特徴とする複合金属酸化物膜の除去方法で
ある。これにより、1種類の除去ガスにより略確実に複
合金属酸化物膜を除去することが可能となる。
【0007】請求項2に規定する発明は、複数種類の金
属を含む複合金属酸化物膜のクリーニング方法におい
て、クリーニングガスとしてClF3 ガスを用いつつ前
記複合金属酸化物膜を、その構成金属がフッ化しない温
度に維持しつつ前記複合金属酸化物膜を除去するように
したことを特徴とするクリーニング方法である。これに
よれば、成膜を行う処理装置内に付着した不要な複合金
属酸化物膜を1種類のクリーニングガスにより略確実に
除去することが可能となる。この場合、例えば請求項3
に規定するように、前記複数種類の金属には、少なくと
も1種のアルカリ土類金属と、このアルカリ土類金属以
外の金属を含むことを特徴とする。
【0008】更に、例えば請求項4に規定するように、
前記複数種類の金属には、アルカリ土類金属としてBa
(バリウム)とSr(ストロンチウム)の内の少なくと
も1つを含んでおり、アルカリ土類金属以外の金属とし
て少なくともTi(チタン)を含んでいる。また、例え
ば請求項5に規定するように、前記構成金属がフッ化し
ない温度は、500℃未満である。また、例えば請求項
6に規定するように、前記複合金属酸化物膜は、前記ク
リーニングガスが活性化する温度以上に維持されてい
る。
【0009】更に、例えば請求項7に規定するように、
前記活性化する温度は300℃である。この場合、例え
ば請求項8に規定するように、前記クリーニングガスに
よりクリーニングされる箇所は、被処理体を収容してこ
の被処理体の表面に前記複合金属酸化物膜を形成するた
めに真空引き可能になされた処理容器の内壁である。ま
た、例えば請求項9に規定するように、前記処理容器内
のクリーニング時には、前記被処理体を載置するための
被処理体支持手段が前記処理容器内に収容されている。
これによれば、処理容器の内壁と被処理体支持手段の表
面とを同時にクリーニング処理することが可能となる。
請求項10に規定する発明は、上記クリーニング方法
を、半導体ウエハ等の基板に堆積した膜をパターンエッ
チングするためのエッチング方法に適用した発明であ
り、すなわち、基板上に形成された、複数種類の金属を
含む複合金属酸化物膜をエッチングするために、エッチ
ングガスとしてClF3 ガスを用いつつ前記複合金属酸
化物膜をその構成金属がフッ化しない温度に維持しつつ
前記複合金属酸化物膜をエッチングするようにしたこと
を特徴とする複合金属酸化物膜のエッチング方法であ
る。これによれば、基板上に形成した複合金属酸化物膜
を1種類のエッチングガスにより所定の形状にパターン
エッチングすることが可能となる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に、本発明に係る複合金属酸
化物膜の除去方法、クリーニング方法及びエッチング方
法の一実施例を添付図面に基づいて詳述する。図1は本
発明に係るクリーニング方法を実施することが可能な処
理装置の一例を示す構成図である。ここでは複合金属酸
化物膜としてSTO或いはBSTOを形成し、この不要
な膜をクリーニングによって除去する場合を例にとって
説明する。尚、本発明のクリーニング方法と除去方法と
は同義である。この処理装置2は、内筒4と外筒6とよ
りなる石英製の2重管構造の縦型の処理容器8を有して
いる。上記内筒4内の処理空間Sには、被処理体を保持
するための被処理体支持手段としての石英製のウエハボ
ート10が収容されており、このウエハボート10には
被処理体としての半導体ウエハWが所定のピッチで多段
に保持される。この処理容器8の下方を開閉するために
キャップ12が設けられ、これには磁性流体シール14
を介して貫通する回転軸16が設けられる。そして、こ
の回転軸16の上端に回転テーブル18が設けられ、こ
のテーブル18上に石英製の保温筒20を設け、この保
温筒20上に上記ウエハボート10を載置している。そ
して、上記回転軸16は昇降可能なボートエレベータ2
2のアーム24に取り付けられており、上記キャップ1
2やウエハボート10等と一体的に昇降可能にしてお
り、ウエハボート10は処理容器8内へその下方から挿
脱可能になされている。上記処理容器8の下端開口部
は、例えばステンレス製のマニホールド26が接合され
ている。
【0011】また、外筒6の底部側壁には、排気口28
が設けられており、この排気口28には、排気路30に
真空ポンプ32を介設してなる真空排気系34が接続さ
れており、処理容器8内を真空引きするようになってい
る。また、処理容器8の外周には、断熱層36が設けら
れており、この内側には、加熱手段として加熱ヒータ3
8が設けられており、この内側に位置する処理容器8及
びこの中のウエハWを所定の温度に加熱するようになっ
ている。ここで、処理容器8の全体の大きさは、例えば
成膜すべきウエハWのサイズを8インチ、ウエハボート
10に保持されるウエハ枚数を120枚程度(製品ウエ
ハを100枚程度、ダミーウエハ等を20枚程度)とす
ると、内筒4の直径は略260〜270mm程度、外筒
6の直径は略275〜285mm程度、処理容器8の高
さは略1280mm程度である。また、上記マニホール
ド26には、プロセス時に例えば成膜用の処理ガスを流
す処理ガス供給手段40と、クリーニング時に必要とす
るクリーニングガスを必要に応じて流すクリーニングガ
ス供給手段42とがそれぞれ個別に設けられている。
【0012】具体的には、まず、上記処理ガス供給手段
40は、上記マニホールド26を貫通して設けられる処
理ガスノズル44を有しており、このノズル44には途
中に例えばマスフローコントローラのような流量制御器
46を介設したガス供給路48が接続される。また、こ
の流量制御器46の上流側と下流側のガス供給路48の
途中には、それぞれ処理ガス開閉弁50が介設されてい
る。そして、このガス供給路48には、処理ガスとして
ここでは成膜ガスを形成する原料液体52を貯留してい
る原料タンク54が接続されている。そして、この原料
液体52を原料タンク54に設けた気化用ヒータ56で
加熱することにより、気化させて成膜ガスを発生するよ
うになっている。
【0013】この原料液体52としては、複合金属酸化
物膜としてSTOを堆積させる場合には、例えば常温常
圧で固体である有機金属材料としてSr(DPM)2
Ti(t−BuO)2 (DPM)2 とを所定の重量比で
溶媒であるTHF(テトラヒドロフラン:C48 O)
や酢酸ブチルに溶解させてなる原料液体を用いることが
できる。また、複合金属酸化物膜としてBSTOを堆積
させる場合には、上記原料液体に更に、常温常圧で固体
である有機金属材料としてBa(DPM)2 を所定の重
量比で溶解させてなる原料液体を用いることができる。
ここでDPMとはジピバロイルメタナートを示し、t−
BuOとはターシャルブトキサイドを示す。この成膜ガ
スの供給に際して、図示されていないがN2 ガス等の不
活性ガスをキャリアガスとして用いることができる。
尚、ここでは原料液体として2種類、或いは3種類の有
機金属材料を混合状態で用いたが、これらをそれぞれ別
個独立して用いて原料ガスを個別に流量制御可能に供給
できるようにしてもよい。
【0014】また、このガス供給路48には、途中に分
岐させて酸化ガス供給路58が接続されており、この酸
化ガス供給路58は、途中にマスフローコントローラの
ような流量制御器60及び酸化ガス開閉弁62が介設さ
れて例えばO2 ガス等の酸化ガスを貯留する酸化ガス源
64に接続されている。尚、この酸化ガスを供給するノ
ズルとしては、上記処理ガスノズル44とは別個に設け
てこの酸化ガスを個別独立的に供給できるようにしても
よい。また、上記クリーニングガス供給手段42は、同
様に上記マニホールド26を貫通して設けられるクリー
ニングガスノズル66を有しており、このノズル66に
接続されるクリーニングガス流路68は、クリーニング
ガスとしてClF3 ガスを貯留するClF3 ガス源70
に接続されると共に、このガス流路68の途中には、マ
スフローコントローラのような流量制御器72とクリー
ニングガス開閉弁74とが介設されている。尚、このク
リーニングガスの供給に際して、図示されていないがN
2 ガス等の不活性ガスをキャリアガスとして用いること
ができる。そして、上記各ノズル44、66より選択的
に供給された各ガスは、内筒4内の処理空間Sを上昇し
て天井部で下方へ折り返し、そして内筒4と外筒6との
間隙内を流下して排出されることになる。尚、図中、7
6はキャップ12とマニホールド26との間をシールす
るOリング等のシール部材であり、78はマニホールド
26と外筒6の下端部との間をシールするOリング等の
シール部材である。
【0015】次に、以上のように構成された処理装置を
用いて行なわれる成膜方法及びこれに引き続いて行なわ
れるクリーニング方法(除去方法)について説明する。
まず、成膜方法について説明すると、未処理の多数枚の
半導体ウエハWをウエハボート10に所定のピッチで多
段に保持させ、この状態でボートエレベータ22を上昇
駆動することにより、ウエハボート10を処理容器8内
へその下方より挿入し、処理容器8内を密閉する。この
処理容器8内は予め予熱されている。上述のようにウエ
ハWが挿入されたならば、加熱ヒータ38への供給電圧
を増加してウエハWを所定のプロセス温度まで昇温する
と共に、真空排気系34により処理容器8内を真空引き
する。
【0016】そして、これと同時に処理ガス供給手段4
0の処理ガスノズル44から流量制御された酸素と成膜
ガス(有機金属ガスを含む)とを処理容器8内へ導入す
る。尚、この成膜プロセス中にはクリーニングガスは供
給されていないのは勿論である。このように、処理容器
8内へ導入された成膜ガスはこの処理容器8内を上昇し
つつ酸化反応してウエハ表面にSTO或いはBSTOよ
りなる複合金属酸化物膜を堆積することになる。この時
の成膜プロセス条件は、ウエハ温度が例えば400〜5
00℃の範囲内、圧力は数100Pa程度である。この
ようにして、所定の時間だけ成膜処理を行なったなら
ば、処理ガス供給手段40の処理ガス開閉弁50及び酸
化ガス開閉弁62を閉じることによって処理ガス及び酸
素の供給を停止して成膜処理を終了する。そして、処理
容器8内に図示しないガス供給系よりN2 ガスを供給す
るなどしてガス置換を行なうと共に圧力復帰も行ない、
そして、ボートエレベータ22を降下させることによっ
て、処理済みの半導体ウエハWを処理容器8からアンロ
ードして搬出する。
【0017】次に、この処理容器8内やウエハボート1
0等に付着している不要な複合金属酸化物膜を除去する
クリーニング方法(除去方法)について説明する。ウエ
ハボート10もクリーニングする場合には、ウエハWを
ウエハボート10から図示しないキャリア等に移載して
空になったウエハボート10、すなわちウエハ未載置状
態のウエハボート10を保温筒20上に載置した状態
で、これを処理容器8内にロードし、キャップ12によ
り処理容器8の下端開口部を気密に密閉する。この場合
には、容器内壁とウエハボート10の表面とを同時にク
リーニングすることができる。ウエハボート10をクリ
ーニングしない場合には、これを保温筒20上から取り
外しておけばよいのは勿論である。そして、加熱ヒータ
38により処理容器8や内部の温度を所定の温度、具体
的には後述するように複合金属酸化物膜中の構成金属が
フッ化しない温度、例えば500℃未満に維持し、クリ
ーニングガス供給手段42からクリーニングガスである
ClF3 ガスを流し、不要な複合金属酸化物膜中から、
それぞれの金属を除去する。上記クリーニングガスの供
給に際して、必要ならばN2 、Ar、He等の不活性ガ
スをキャリアガスとして用いてもよい。
【0018】具体的には、クリーニングガス供給路68
に介設した両クリーニングガス開閉弁74、74を開状
態として、クリーニングガスであるClF3 ガスを流量
制御しつつ処理容器8内に流してクリーニング工程を所
定の時間行なう。これにより、比較的除去され易いTi
は勿論のこと、500℃以上の高温ではフッ化物を形成
して除去が困難となるBaやSrもClF3 ガスと反応
してガス化して除去されることになる。このClF3
スを用いたクリーニング工程のプロセス条件は、温度に
関しては、複合金属酸化物膜の構成金属がフッ化しない
温度以下であって、且つクリーニングガスであるClF
3 ガスの活性温度以上の温度範囲、具体的には300〜
500℃未満の範囲内、好ましくは350〜450℃の
範囲内である。圧力に関しては、0.1kPa(0.7
Torr)〜54kPa(415Torr)の範囲内、
好ましくは1kPa〜25kPaの範囲内である。
【0019】これにより、結果的に、1回のクリーニン
グ処理により膜中に含まれる全ての金属、すなわちB
a、Sr、Ti(BSTO膜の場合)やSr及びTi
(STO膜の場合)が除去されることになるので、不要
な複合金属酸化物膜は、略完全に除去されることにな
る。しかも、石英製の処理容器8やウエハボート10や
保温筒20にもほとんど損傷を与えることもない。ここ
でクリーニングガスであるClF3 ガスが複合金属酸化
物膜中のSr及びTiに与える影響や処理容器等の石英
製の構造物に与える影響を検討して評価したので、その
評価結果について説明する。尚、Baはクリーニング時
にこれと同じアルカリ土類金属であるSrと同じ化学的
挙動を示すことが確認されているので、Baの減少重量
はSrの場合と略同じとなる。図2はClF3 ガスに対
するクリーニング時間とクリーニング後の残存重量との
関係を示すグラフ、図3はClF3 ガスに対するクリー
ニング温度とクリーニング後の残存重量との関係を示す
グラフ、図4はクリーニングガスに対する石英の損傷の
程度を示す図である。尚、図4においては、所定の重量
のサンプル石英をクリーニングガスに晒した後の重量減
少量をmgで示している。
【0020】まず、図2に示すグラフにおいては、クリ
ーニング時間を種々変化させてSr膜とTi膜とをクリ
ーニング(エッチング)している。この場合、クリーニ
ング温度は500℃、圧力は13.3kPa(100T
orr)、ClF3 ガスの流量は1.8slm、N2
ス(キャリアガス)の流量は3.2slmである。ま
た、Sr膜とTi膜のそれぞれの初期膜厚は300nm
である。このグラフから明らかなように、Sr膜は、温
度500℃ではクリーニング時間を長く延ばしても残存
重量は略100%を示しており、この温度500℃では
Sr膜(Ba膜も同じ)をほとんど除去できずにクリー
ニングできないことが判明した。
【0021】これに対して、Ti膜はクリーニング時間
を5分以上行うと残存重量は略0%を示しており、温度
500℃ではTi膜を略完全に除去してクリーニングで
きることが判明した。次に、図3においては、クリーニ
ング温度を種々(400℃と500℃)変化させてSr
膜とTi膜とをクリーニング(エッチング)している。
この場合、クリーニング圧力は13.3kPa(100
Torr)、ClF3 ガスの流量は1.8slm、N2
ガス(キャリアガス)の流量は3.2slm、クリーニ
ング時間は10分である。また、Sr膜とTi膜のそれ
ぞれの初期膜厚は300nmである。このグラフから明
らかなように、Ti膜は、クリーニング温度が400℃
の場合も500℃の場合も共に除去されて残存重量が略
0%を示しており、クリーニングが有効に行われたこと
が判明した。
【0022】これに対して、Sr膜に関しては、クリー
ニング温度が500℃の場合には先にも説明したよう
に、残存重量は略100%を示してほとんど除去されて
いないが、クリーニング温度が400℃の場合には残存
重量は略30%を示しており、Sr膜がかなり除去され
て十分にクリーニングされていることが判明した。すな
わち、クリーニング温度を400℃程度まで低下させれ
ば、Ti膜のみならずSr膜(Ba膜も含む)も除去し
てクリーニングできることが判明した。このように、S
r膜が、温度400℃では除去されて温度500℃では
除去されない理由は、400℃〜500℃の間に、Sr
原子がフッ化して、例えばフッ化物であるSrF2 に変
化する温度域が存在し、このフッ化物がClF3 ガスに
よっては除去できなくなるからであると考えられる。こ
の場合、Sr膜もTi膜も共に除去するためには、クリ
ーニング温度は上記両温度の中間点をとって好ましくは
450℃以下に設定するのがよい。また、ClF3 ガス
の活性化温度は略300℃なので、クリーニング温度の
下限は、クリーニングガスが活性化する温度である略3
00℃となる。従って、ClF3 ガスを用いたクリーニ
ング時の温度は300〜500℃未満の範囲に設定する
のがよい、ということが判明する。
【0023】ちなみに、上記温度帯域において石英に対
する損傷の程度を検討すると、図4において明らかなよ
うに、温度及び圧力を上げると石英に対する損傷が急激
に大きくなっているが、例えば石英の減少量の上限を略
10mgに設定すると、温度が300〜500℃の範囲
内では、圧力が0.13kPaの時は勿論のこと、圧力
が13kPaの時でも減少量は10mg以内であり、石
英に対する耐久性は十分に有していることが判明した。
以上の実施例では、処理容器8が内筒4と外筒6とより
なる2重管構造の処理装置2にて本発明方法のクリーニ
ング方法を実施した場合を例にとって説明したが、これ
に限定されず、例えば単管構造の処理装置においても本
発明方法を実施できるのは勿論である。
【0024】図5はこのように本発明方法を実施するた
めの単管構造の処理装置を示す図である。尚、図1に示
す構成部分と同一構成部分については同一参照符号を付
して説明を省略する。図5に示すように、この処理装置
では処理容器8は、例えば1本の円筒体状の石英ガラス
よりなって単管構造になされている。そして、この処理
容器8の天井部に排気口80を形成し、この排気口80
に、排気路30に真空ポンプ32を介設してなる真空排
気系34を接続している。この処理容器8の場合には、
処理容器8の下部の各ノズル44、66から導入された
ガスは、この処理容器8内を上昇し、そして、処理容器
8の天井部に設けた排気口80より、容器外へ真空排気
される。このような処理装置を用いてクリーニング処理
を行う場合にも、図1を参照して説明したと同様な作用
効果を呈することになる。また、上記実施例では複合金
属酸化物膜のクリーニング方法(除去方法)について説
明したが、これに限定されず、本発明方法を、半導体ウ
エハ等の基板の表面に付着した複合金属酸化物膜をエッ
チングする場合にも適用することができる。
【0025】図6はこのような複合金属酸化物膜のエッ
チング方法を説明するための工程図である。まず、図6
(A)に示すように半導体ウエハやLCD基板等の基板
82の表面に、前述したようにSTO或いはBSTOよ
りなる複合金属酸化物膜84が全面的に形成されてい
る。このような膜84の堆積操作は、例えば図1にて示
した処理装置で行えばよい。そして、この複合金属酸化
物膜84の表面にパターン化されたマスク86が形成さ
れている。このマスク86としては、ClF3 ガスに対
して、耐腐食性の高い材料ならばどのような材料を用い
てもよく、例えばシリコン酸化膜やフォトレジストを用
いることができる。
【0026】次に、この基板82を、図示しないエッチ
ング装置内へ搬入し、図6(B)に示すように、ここで
エッチングガスとしてClF3 ガスを用いて上記表面に
露出している複合金属酸化物膜84を選択的にエッチン
グする。このエッチング時の基板82の温度は、先の実
施例で説明したようなクリーニング時の温度範囲、すな
わち300〜500℃未満の範囲内、例えば400℃で
ある。このように、マスク86を用いて複合金属酸化物
膜をパターンエッチングしたならば、次に、図6(C)
に示すように、マスク86(図6(B)参照)を全て除
去することにより、エッチング処理を終了することにな
る。このように、本発明のエッチング方法によれば、基
板上に形成されている複合金属酸化物膜を、1つのエッ
チングガス(ClF3 )を用いて選択的にエッチングす
ることが可能となる。
【0027】尚、以上の各上記実施例にあっては、クリ
ーニング処理或いはエッチング処理の対象となる複合金
属酸化物膜としてBSTO膜或いはSTO膜を用いた場
合を例にとって説明したが、これに限定されず、例えば
SBTO膜(SrBi2 Ta29 )、SRO膜(Sr
RuO3 )、LSCO膜(La1-x Srx CoO3 )等
にも適用することができる。また、ここでは一度に複数
枚のウエハの処理ができるバッチ式の処理装置を例にと
って説明したが、これに限定されず、本発明は一枚ずつ
ウエハを処理する枚葉式の処理装置に適用できるのは勿
論である。更に、被処理体としては、半導体ウエハに限
定されず、LCD基板、ガラス基板にも適用できるのは
勿論である。
【0028】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の複合金属
酸化物膜の除去方法、クリーニング方法及びエッチング
方法によれば次のように優れた作用効果を発揮すること
ができる。請求項1に係る発明によれば、1種類の除去
ガスにより略確実に複合金属酸化物膜を除去することが
できる。請求項2乃至8に係る発明によれば、成膜を行
う処理装置内に付着した不要な複合金属酸化物膜を1種
類のクリーニングガスにより略確実に除去することがで
きる。請求項9に係る発明によれば、処理容器の内壁と
被処理体支持手段の表面とを同時にクリーニング処理す
ることができる。請求項10に係る発明によれば、基板
上に形成した複合金属酸化物膜を1種類のエッチングガ
スにより所定の形状にパターンエッチングすることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るクリーニング方法を実施すること
が可能な処理装置の一例を示す構成図である。
【図2】ClF3 ガスに対するクリーニング時間とクリ
ーニング後の残存重量との関係を示すグラフである。
【図3】ClF3 ガスに対するクリーニング温度とクリ
ーニング後の残存重量との関係を示すグラフである。
【図4】クリーニングガスに対する石英の損傷の程度を
示す図である。
【図5】本発明方法を実施するための単管構造の処理装
置を示す図である。
【図6】複合金属酸化物膜のエッチング方法を説明する
ための工程図である。
【符号の説明】
2 処理装置 4 内筒 6 外筒 8 処理容器 10 被処理体支持手段(ウエハボート) 42 クリーニングガス供給手段 66 クリーニングガスノズル 68 クリーニングガス流路 70 ClF3 ガス源 74 クリーニングガス開閉弁 82 基板 84 複合金属酸化物膜 86 マスク W 半導体ウエハ(被処理体)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 スポール フィリップ 神奈川県津久井郡城山町町屋1丁目2番41 号 東京エレクトロン東北株式会社相模事 業所内 (72)発明者 長谷部 一秀 山梨県韮崎市穂坂町三ツ沢650番地 東京 エレクトロン山梨株式会社内 Fターム(参考) 4K030 CA04 CA12 DA06 JA06 JA10 5F004 AA15 BA01 BB19 BB26 DA00 DB13 EA34 EA38 5F045 AA03 AB31 AC02 AC07 AC08 AD03 AD04 AD05 AD06 AD07 AD08 BB14 DP19 DQ05 EB06

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数種類の金属を含む複合金属酸化物膜
    を除去するために、除去ガスとしてClF3 ガスを用い
    つつ前記複合金属酸化物膜をその構成金属がフッ化しな
    い温度に維持しつつ前記複合金属酸化物膜を除去するよ
    うにしたことを特徴とする複合金属酸化物膜の除去方
    法。
  2. 【請求項2】 複数種類の金属を含む複合金属酸化物膜
    のクリーニング方法において、クリーニングガスとして
    ClF3 ガスを用いつつ前記複合金属酸化物膜を、その
    構成金属がフッ化しない温度に維持しつつ前記複合金属
    酸化物膜を除去するようにしたことを特徴とするクリー
    ニング方法。
  3. 【請求項3】 前記複数種類の金属には、少なくとも1
    種のアルカリ土類金属と、このアルカリ土類金属以外の
    金属を含むことを特徴とする請求項2記載のクリーニン
    グ方法。
  4. 【請求項4】 前記複数種類の金属には、アルカリ土類
    金属としてBa(バリウム)とSr(ストロンチウム)
    の内の少なくとも1つを含んでおり、アルカリ土類金属
    以外の金属として少なくともTi(チタン)を含んでい
    ることを特徴とする請求項2または3に記載のクリーニ
    ング方法。
  5. 【請求項5】 前記構成金属がフッ化しない温度は、5
    00℃未満であることを特徴とする請求項2乃至4のい
    ずれかに記載のクリーニング方法。
  6. 【請求項6】 前記複合金属酸化物膜は、前記クリーニ
    ングガスが活性化する温度以上に維持されていることを
    特徴とする請求項2乃至5のいずれかに記載のクリーニ
    ング方法。
  7. 【請求項7】 前記活性化する温度は300℃であるこ
    とを特徴とする請求項6記載のクリーニング方法。
  8. 【請求項8】 前記クリーニングガスによりクリーニン
    グされる箇所は、被処理体を収容してこの被処理体の表
    面に前記複合金属酸化物膜を形成するために真空引き可
    能になされた処理容器の内壁であることを特徴とする請
    求項2乃至7のいずれかに記載のクリーニング方法。
  9. 【請求項9】 前記処理容器内のクリーニング時には、
    前記被処理体を載置するための被処理体支持手段が前記
    処理容器内に収容されていることを特徴とする請求項8
    記載のクリーニング方法。
  10. 【請求項10】 基板上に形成された、複数種類の金属
    を含む複合金属酸化物膜をエッチングするために、エッ
    チングガスとしてClF3 ガスを用いつつ前記複合金属
    酸化物膜をその構成金属がフッ化しない温度に維持しつ
    つ前記複合金属酸化物膜をエッチングするようにしたこ
    とを特徴とする複合金属酸化物膜のエッチング方法。
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