JP2002093239A - 電線被覆材 - Google Patents

電線被覆材

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JP2002093239A
JP2002093239A JP2000282303A JP2000282303A JP2002093239A JP 2002093239 A JP2002093239 A JP 2002093239A JP 2000282303 A JP2000282303 A JP 2000282303A JP 2000282303 A JP2000282303 A JP 2000282303A JP 2002093239 A JP2002093239 A JP 2002093239A
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olefin
ethylene
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thermoplastic elastomer
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JP2000282303A
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Kyoko Kobayashi
恭子 小林
Akira Uchiyama
晃 内山
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Mitsui Chemicals Inc
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Mitsui Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 強度及びゴム弾性に優れるとともにリサイク
ルが容易で低コストのオレフィン系熱可塑性エラストマ
ーからなる電線被覆材を提供する。 【解決手段】 ポリエチレン樹脂(A)と、エチレン・
α−オレフィン系共重合体(B)とを含むオレフィン系
熱可塑性エラストマーからなる電線被覆材、及び該電線
被覆材で被覆された電線。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、オレフィン系熱可
塑性エラストマーからなる電線被覆材に関し、更に詳し
くは、ポリエチレン樹脂及びエチレン・α−オレフィン
系共重合体を含み、ゴム弾性に優れたオレフィン系熱可
塑性エラストマーからなる電線被覆材に関する。
【0002】
【従来の技術】通常、電線、ケーブルなどには種々の高
分子材料が、絶縁体、シースあるいは保護カバーなどの
被覆材として用いられている。このような高分子材料に
は、例えば加硫ゴムがある。通常、加硫ゴムは、ゴムを
架橋剤、架橋助剤、添加剤及び副資材などと混練して未
加硫のゴム配合物を調製した後、加熱して加硫する加硫
工程を経て製造されるため、工程が煩雑でコストもかか
るという問題点がある。また、加硫ゴムは熱硬化型のゴ
ムであるためリサイクルが不可能である。一方、加硫工
程を必要としない、ゴム類似の性能を有する素材とし
て、塩化ビニル樹脂がある。しかし、塩化ビニル樹脂
は、加硫ゴムに比べて強度及び耐候性に劣るため、長期
間使用するとへたりや亀裂を生じたりするという問題が
ある。
【0003】また、高温で可塑化されてプラスチックと
同様に成形でき、常温ではゴム弾性を有する高分子材料
として熱可塑性エラストマーが知られている。リサイク
ル可能なオレフィン系熱可塑性エラストマーとして、ポ
リプロピレンとエチレン・α−オレフィン共重合体との
動的架橋物が知られている。しかし、この場合も、架橋
剤や架橋助剤が必要なためコストがかかるという問題が
ある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、前記
のような従来技術の問題点を解決するため、強度及びゴ
ム弾性に優れるとともにリサイクルが容易で低コストの
オレフィン系熱可塑性エラストマーからなる電線被覆材
を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、以下の発明を
包含する。 (1)ポリエチレン樹脂(A)と、エチレン・α−オレ
フィン系共重合体(B)とを含むオレフィン系熱可塑性
エラストマーからなる電線被覆材。 (2)ポリエチレン樹脂(A)5〜60重量部と、ムー
ニー粘度ML1+4(100℃)が90〜250、エチレ
ン含量が70〜90モル%のエチレン・α−オレフィン
系共重合体(B)40〜95重量部[(A)及び(B)
の合計量は100重量部である。]とを含むオレフィン
系熱可塑性エラストマーからなる電線被覆材。
【0006】(3)ポリエチレン樹脂(A)5〜60重
量部と、ムーニー粘度ML1+4(100℃)が90〜2
50、エチレン含量が70〜90モル%のエチレン・α
−オレフィン系共重合体(B)40〜95重量部
[(A)及び(B)の合計量は100重量部である。]
とを、架橋剤の非存在下に、動的に熱処理して得られる
オレフィン系熱可塑性エラストマーからなる電線被覆
材。 (4)ポリエチレン樹脂(A)及びエチレン・α−オレ
フィン系共重合体(B)の合計100重量部に対して、
ポリプロピレン樹脂(C)を30重量部以下含む前記
(2)又は(3)に記載の電線被覆材。 (5)前記(1)〜(4)のいずれかに記載の電線被覆
材で被覆された電線。
【0007】
【発明の実施の形態】《ポリエチレン樹脂(A)》本発
明で用いるポリエチレン樹脂(A)としては、高密度ポ
リエチレン、中密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエ
チレン及び低密度ポリエチレンなど、公知のポリエチレ
ン樹脂が制限なく用いられる。更に、これらのポリエチ
レン樹脂(A)はメタロセン触媒、バナジウム触媒など
の公知の触媒を用いて公知の方法により製造することが
できる。
【0008】本発明において好ましく用いられるポリエ
チレン樹脂(A)は、直鎖状低密度ポリエチレンであ
り、特にメタロセン触媒を用いて重合した直鎖状低密度
ポリエチレンが好ましい。ポリエチレン樹脂(A)とし
て直鎖状低密度ポリエチレンを用いた場合、高密度ポリ
エチレン又は中密度ポリエチレンを用いた場合に比べ
て、肌荒れが生じにくく外観性に優れ、しかも表面のベ
タ付きの少ない成形品を得ることができる。
【0009】ポリエチレン樹脂(A)はメルトフローレ
ート(MFR;ASTM D 1238、190℃、2.16kg荷重)が
0.01〜100g/10分、好ましくは0.01〜5
0g/10分であるのが望ましい。なお。MFRが0.
1g/10分より小さい超高分子量ポリエチレンは、1
35℃のデカリン(デカヒドロナフタレン)中で測定し
た極限粘度[η]が通常7〜40dl/gであり、この
ような超高分子量ポリエチレンをポリエチレン樹脂
(A)として使用する場合は、135℃のデカリン中で
測定した極限粘度[η]が0.1〜5dl/gの低分子
量ないし高分子量ポリエチレン15〜40重量%と、極
限粘度[η]が7〜40dl/gの超高分子量ポリエチ
レン85〜60重量%とを含む超高分子量ポリエチレン
樹脂組成物の形態で使用するのが好ましく、この超高分
子量ポリエチレン樹脂組成物全体の極限粘度[η]は
3.5〜8.3dl/gであるのが好ましい。ポリエチ
レン樹脂(A)は密度が0.88〜0.98g/c
3、好ましくは0.90〜0.95g/cm3であるの
が望ましい。
【0010】ポリエチレン樹脂(A)はエチレンの単独
重合体であってもよいし、エチレンと、少量、例えば1
0モル%以下の他のモノマーとの共重合体であってもよ
い。他のモノマーとしては、炭素数3〜20、好ましく
は3〜8のα−オレフィン;酢酸ビニル及びエチルアク
リレート等のビニルモノマーなどが挙げられる。他のモ
ノマーとして用いられるα−オレフィンとしては、例え
ばプロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテ
ン、1−ヘキセン及び1−オクテンなどが挙げられる。
他のモノマーは1種単独で使用することもできるし、2
種類以上を組み合せて使用することもできる。なお、ポ
リエチレン樹脂(A)中における他のモノマーとしての
α−オレフィン含量は10モル%未満であることが必要
であり、8モル%以下であることが好ましい。ポリエチ
レン樹脂(A)は1種単独で使用することもできるし、
2種類以上を組み合せて使用することもできる。
【0011】本発明で用いるオレフィン系熱可塑性エラ
ストマー中のポリエチレン樹脂(A)の含有量は、ポリ
エチレン樹脂(A)及びエチレン・α−オレフィン系共
重合体(B)の合計100重量部に対して、通常5〜6
0重量部、好ましくは10〜50重量部である。
【0012】《エチレン・α−オレフィン系共重合体
(B)》本発明で用いるエチレン・α−オレフィン系共
重合体(B)としては公知のエチレン・α−オレフィン
系共重合体が使用できるが、そのムーニー粘度ML1+4
(100℃)は、通常90〜250、好ましくは100
〜200、更に好ましくは110〜180である。前記
ムーニー粘度が100〜200の範囲にある場合、熱可
塑性エラストマーとしての物性バランスが優れ、特に圧
縮永久歪が優れたオレフィン系熱可塑性エラストマーが
得られ、110〜180の範囲にある場合、物性バラン
スがより優れ、特に圧縮永久歪がより優れたオレフィン
系熱可塑性エラストマーが得られる。
【0013】また、本発明で用いるエチレン・α−オレ
フィン系共重合体(B)は、エチレン含量が70〜90
モル%であることが必要であり、好ましくは75〜90
モル%、更に好ましくは75〜85モル%である。ここ
で、エチレン含量とは、全α−オレフィン(エチレンを
含む)に対するエチレン含量をいう。エチレン含量が7
0〜90モル%の範囲にある場合、熱可塑性エラストマ
ーとしての物性バランスが優れ、特に圧縮永久歪が優れ
たオレフィン系熱可塑性エラストマーが得られ、75〜
90モル%の範囲にある場合、物性バランスがより優
れ、特に圧縮永久歪がより優れたオレフィン系熱可塑性
エラストマーが得られる。
【0014】エチレン・α−オレフィン系共重合体
(B)はエチレンと炭素数3〜20、好ましくは3〜8
のα−オレフィンとからなる共重合体であってもよい
し、更にα−オレフィン以外のモノマーが共重合されて
いてもよい。α−オレフィン以外のモノマーとしては、
非共役ポリエンなどが挙げられる。またエチレン・α−
オレフィン系共重合体(B)はランダム共重合体であっ
てもよいし、ブロック共重合体であってもよい。
【0015】エチレン・α−オレフィン系共重合体
(B)の具体的なものとしては、エチレン・α−オレフ
ィン共重合体、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリ
エン共重合体などが挙げられる。これらの中ではエチレ
ン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体が好まし
い。
【0016】エチレン・α−オレフィン系共重合体
(B)において、エチレンと共重合されるα−オレフィ
ンとしては、例えばプロピレン、1−ブテン、1−ペン
テン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン及び1
−オクテンなどが挙げられる。α−オレフィンは1種単
独で使用することもできるし、2種類以上を組み合せて
使用することもできる。
【0017】エチレン・α−オレフィン系共重合体
(B)において、エチレン及びα−オレフィンと共重合
される非共役ポリエンとしては、例えばジシクロペンタ
ジエン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタジエン、
メチレンノルボルネン及びエチリデンノルボルネン等の
非共役ジエンなどが挙げられる。非共役ポリエンは1種
単独で使用することもできるし、2種類以上を組み合せ
て使用することもできる。エチレン・α−オレフィン・
非共役ポリエン共重合体のヨウ素価は、通常0.1〜5
0、好ましくは5〜30である。
【0018】エチレン・α−オレフィン系共重合体
(B)は1種単独で使用することもできるし、2種類以
上を組み合せて使用することもできる。エチレン・α−
オレフィン系共重合体(B)はメタロセン触媒、バナジ
ウム触媒などの公知の触媒を用いて公知の方法により製
造することができる。例えば、エチレン・α−オレフィ
ン・非共役ポリエン共重合体は、「ポリマー製造プロセ
ス((株)工業調査会発行、p.309〜330)」に
記載されている方法により製造することができる。
【0019】本発明で用いるオレフィン系熱可塑性エラ
ストマー中のエチレン・α−オレフィン系共重合体
(B)の含有量は、ポリエチレン樹脂(A)及びエチレ
ン・α−オレフィン系共重合体(B)の合計100重量
部に対して、通常40〜95重量部、好ましくは50〜
90重量部である。
【0020】《ポリプロピレン樹脂(C)》本発明で用
いるオレフィン系熱可塑性エラストマーにはポリプロピ
レン樹脂(C)が含まれていてもよい。ポリプロピレン
樹脂(C)としては、公知のポリプロピレン樹脂が制限
なく使用できる。具体的なものとしては、次のポリプロ
ピレン樹脂などが例示される。
【0021】1)プロピレン単独重合体 2)90モル%以上のプロピレンと10モル%以下の他
のα−オレフィンとのランダム共重合体(プロピレン・
α−オレフィンランダム共重合体) 3)70モル%以上のプロピレンと30モル%以下の他
のα−オレフィンとのブロック共重合体(プロピレン・
α−オレフィンブロック共重合体) プロピレンと共重合される前記他のα−オレフィンとし
ては、具体的にはエチレン、1−ブテン、4−メチル−
1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどの炭素
数2〜20、好ましくは2〜8のα−オレフィンが挙げ
られる。
【0022】ポリプロピレン樹脂(C)としては、前記
1)のプロピレン単独重合体及び2)のプロピレン・α
−オレフィンランダム共重合体が好ましく、特にMFR
(ASTM D 1238、230℃、2.16kg荷重)が0.1〜50g
/10分であるものが好ましい。ポリプロピレン樹脂
(C)は1種単独で使用することもできるし、2種以上
を組み合せて使用することもできる。
【0023】本発明で用いるオレフィン系熱可塑性エラ
ストマー中のポリプロピレン樹脂(C)の含有量は、ポ
リエチレン樹脂(A)及びエチレン・α−オレフィン系
共重合体(B)の合計100重量部に対して、通常30
重量部以下、好ましくは2〜30重量部、更に好ましく
は5〜20重量部である。ポリプロピレン樹脂(C)の
含有量が前記範囲内にある場合、肌荒れが生じにくく外
観性に優れ、しかもベタ付きの少ない押出成形品や射出
成形品等の成形品を得ることができる。
【0024】本発明で用いるオレフィン系熱可塑性エラ
ストマーには、本発明の目的を損なわない範囲で、必要
に応じて、公知の軟化剤、耐熱安定剤、老化防止剤、耐
候安定剤、帯電防止剤、充填剤、着色剤、滑剤、難燃剤
などの添加剤を配合することができる。前記軟化剤とし
ては、鉱物油系軟化剤が好ましく用いられる。このよう
な鉱物油系軟化剤は、通常ゴムに使用されるパラフィン
系、ナフテン系、芳香族系などの軟化剤が適当である。
また、このような鉱物油系軟化剤は、オレフィン系熱可
塑性エラストマーを製造する時に添加してもよいし、エ
チレン・α−オレフィン系共重合体(B)に予め伸展油
として添加されていてもよい。
【0025】《オレフィン系熱可塑性エラストマー》本
発明で用いるオレフィン系熱可塑性エラストマーは、以
下の(i)及び(ii)の特性を有することが好ましい。 (i)9≦Y−0.43X≦27 …(1) 好ましくは、 9≦Y−0.43X≦26 …(1') 更に好ましくは、 10≦Y−0.43X≦26 …(1'') (式(1)、(1')及び(1'')中、XはJIS K
6301に準拠して測定したオレフィン系熱可塑性エラ
ストマーのJIS A硬度(単位はなし)、YはJIS
K6301に準拠し、70℃×22時間の条件で測定
したオレフィン系熱可塑性エラストマーの圧縮永久歪
(単位は%)である。)
【0026】(ii)JIS K6301に準拠して測定し
た引張強度が5〜30MPa、好ましくは8〜30MP
a、更に好ましくは12〜30MPa 前記(i)及び(ii)の特性における測定方法は次のとおり
である。 JIS A硬度:JIS K6301、スプリング式硬
さ試験機A型による瞬間値 圧縮永久歪:JIS K6301、厚さ12.7mm、
直径29.0mmの円柱形サンプルを用いて、25%圧
縮、70℃×22時間後の残留歪 引張強度:JIS K6301、JIS3号ダンベルを
用いて引張速度200mm/分にて引張試験を行った引
張強度
【0027】《オレフィン系熱可塑性エラストマーの製
造》本発明で用いるオレフィン系熱可塑性エラストマー
は、好ましくは、ポリエチレン樹脂(A)、エチレン・
α−オレフィン系共重合体(B)、及び必要により配合
する樹脂や添加剤を、前記特定の割合で混合し、架橋剤
の非存在下に動的に熱処理することにより製造すること
ができる。
【0028】前記の「動的に熱処理する」とは、ポリエ
チレン樹脂(A)、エチレン・α−オレフィン系共重合
体(B)、及び必要により配合する樹脂や添加剤を溶融
(融解)状態で混練することをいう。この動的な熱処理
は、ミキシングロール、インテンシブミキサー(例えば
バンバリーミキサー、ニーダー)、一軸押出機及び二軸
押出機などの混練装置を用いて行うことができるが、二
軸押出機を用いて行うのが好ましく、動的な熱処理は、
非開放型の混練装置中で行うのが好ましい。また窒素な
どの不活性ガス中で行うのが好ましい。
【0029】動的に熱処理する際の条件は、混練温度が
通常150〜280℃、好ましくは170〜240℃、
混練時間が通常1〜20分間、好ましくは1〜5分間と
するのが望ましい。また、混練の際に加えられる剪断力
は、通常剪断速度で10〜104sec-1、好ましくは
102〜104sec-1とする。また、動的な熱処理を二
軸押出機を用いて行う場合には、下記式(2)を満たす
条件で行うことが好ましい。
【0030】 4.8 < [(T-130)/100] + 2.2logP + logQ - logR < 7.0 …(2) 好ましくは、 5.0 < [(T-130)/100] + 2.2logP + logQ - logR < 6.8 …(2') 更に好ましくは、 5.3 < [(T-130)/100] + 2.2logP + logQ - logR < 6.5 …(2'') (前記式(2)、(2’)及び(2'')中、Tは二軸押
出機のダイス出口での樹脂温度(℃)、Pは二軸押出機
のスクリューの直径(mm)、Qは二軸押出機内で受け
る最高剪断速度(sec-1)、Rは二軸押出機の押出量
(kg/h)である。前記最高剪断速度Q(sec-1
は、Q=(P×π×S)/Uの式から求められる。ここ
で、Pは二軸押出機のスクリューの直径(mm)、Sは
1秒間でのスクリュー回転数(rps)、Uはバレル内
壁とスクリューのニーディングセグメント(混練セグメ
ント)間のクリアランス(間隙)の最も狭い部分の距離
(mm)である。)
【0031】前記式(2)を満たす条件で、二軸押出機
を用いて動的に熱処理することにより、オレフィン系熱
可塑性エラストマーを構成する各成分の相溶性に優れ、
引張強度及び成形外観に優れたエラストマーを製造する
ことができる。
【0032】《電線被覆材及び電線》本発明の電線被覆
材は、前記オレフィン系熱可塑性エラストマーを成形し
て得られる。その成形方法は特に限定されないが、例え
ば通常の押出成形や射出成形が挙げられる。
【0033】本発明の電線被覆材は、電力ケーブル、キ
ャブタイヤケーブル、口出線、高圧引下線、船用電線、
制御及び信号ケーブル、自動車用高圧電線、X線用高電
圧ケーブル、エレベータ用ケーブル等の各種電線の絶縁
被覆材料、保護被覆材料等として広く用いられる。電線
の構造は特に制限されないが、例えば、日本複合材料学
会編「エラストマー系複合材料を知る事典」(アグネ承
風社刊)第205頁の図1に記載の各種構造が、好まし
く用いられる。
【0034】本発明のオレフィン系熱可塑性エラストマ
ーからなる電線被覆材は、架橋剤や加硫助剤などを使用
しなくても、ポリエチレン樹脂(A)、エチレン・α−
オレフィン系共重合体(B)及び必要により配合する樹
脂や添加剤を混合して動的に熱処理することにより得ら
れ、強度及びゴム弾性に優れている。そして架橋剤や加
硫助剤などを用いる必要がなく、しかも煩雑な加硫工程
が必要ないので、低コストで製造することができ、リサ
イクルも可能である。
【0035】
【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例により説明
するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでは
ない。実施例及び比較例におけるオレフィン系熱可塑性
エラストマーの製造に際して用いたポリエチレン樹脂
(A)、エチレン・α−オレフィン系共重合体(B)及
びポリプロピレン樹脂(C)などの原材料を以下に記
す。なお、これらの原料のメルトフローレート(MF
R)は、特に断らない限り、ASTM D 1238、190℃、2.16
kg荷重の条件で測定した値である。
【0036】《ポリエチレン樹脂(A)》 (A−1)高密度ポリエチレン: 1)密度;0.954g/cm3 2)MFR;0.8g/10分 3)エチレン単独重合体
【0037】(A−2)直鎖状低密度ポリエチレン: 1)密度;0.920g/cm3 2)MFR;2.1g/10分 3)エチレン含量;97.0モル%、4−メチル−1−
ペンテン含量;3.0モル%
【0038】(A−3)直鎖状低密度ポリエチレン: 1)密度;0.920g/cm3 2)MFR;18g/10分 3)エチレン含量;96.8モル%、4−メチル−1−
ペンテン含量;3.2モル%
【0039】(A−4)低密度ポリエチレン: 1)密度;0.927g/cm3 2)MFR;3g/10分 3)エチレン単独重合体
【0040】《エチレン・α−オレフィン系共重合体
(B)》 (B−1)エチレン・プロピレン・ジシクロペンタジエ
ン共重合体ゴム: 1)エチレン含量;77モル% 2)ムーニー粘度[ML1+4、100℃];145 3)ヨウ素価;12
【0041】(B−2)前記(B−1)のエチレン・プ
ロピレン・ジシクロペンタジエン共重合体ゴム70重量
部に、40重量部の伸展油(パラフィン系オイル:出光
興産(株)製、PW−380、商標)を配合したもの
【0042】《ポリプロピレン樹脂(C)》 (C−1)プロピレン単独重合体 1)密度;0.91g/cm3 2)MFR(ASTM D 1238、230℃、2.16kg荷重);1.
5g/10分
【0043】《鉱物油系軟化剤》 パラフィン系オイル:出光興産(株)製、PW−38
0、商標 実施例1〜9 表1に示す割合で、各成分をヘンシェルミキサーにより
混合した。次に、L/D=30、スクリュー径50mm
の二軸押出機を用いて、窒素雰囲気中、220℃で動的
に熱処理して押出し、オレフィン系熱可塑性エラストマ
ーのペレットを製造した。次に、このオレフィン系熱可
塑性エラストマーの硬度(JIS A)、圧縮永久歪
(70℃×22時間)及び引張強度をJIS K630
1に準拠して測定した。結果を表1に示す。
【0044】比較例1 表1に示す成分を表1に示す割合で用いた以外は、実施
例と同様に行った。結果を表1に示す。
【0045】
【表1】 T:二軸押出機のダイス出口での樹脂温度(℃) P:二軸押出機のスクリューの直径(mm) Q:二軸押出機内で受ける最高剪断速度(sec-1) R:二軸押出機の押出量(kg/h) S:1秒間でのスクリュー回転数(rps) U:バレル内壁とスクリューのニーディングセグメント
(混練セグメント)間のクリアランス(間隙)の最も狭
い部分の距離(mm) 式(2): [(T-130)/100] + 2.2logP + logQ - logR 式(1): Y−0.43X (式中、XはJIS K6301に準拠して測定したオ
レフィン系熱可塑性エラストマーのJIS A硬度(単
位はなし)、YはJIS K6301に準拠し、70℃
×22時間の条件で測定したオレフィン系熱可塑性エラ
ストマーの圧縮永久歪(単位は%)である。) 硬度(JIS A):JIS K6301、スプリング
式硬さ試験機A型による瞬間値 圧縮永久歪:JIS K6301、25%圧縮、70℃
×22時間後の残留歪
【0046】比較例2 従来の電線シースに用いられている塩化ビニル樹脂を用
いて、実施例と同様にして物性測定用のサンプルを作製
し、物性を測定した。その結果、硬度(JIS A)7
0、圧縮永久歪(70℃×22時間)69%、引張強度
8MPaであった。
【0047】
【発明の効果】本発明の電線被覆材は、ポリエチレン樹
脂(A)と、エチレン・α−オレフィン系共重合体
(B)とを架橋剤の非存在下に、動的に熱処理すること
により、架橋剤を使用しないで低コストで製造すること
ができ、かつ強度及びゴム弾性に優れるとともにリサイ
クルが容易である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01B 7/02 H01B 7/02 Z //(C08L 23/08 (C08L 23/08 23:12) 23:12) Fターム(参考) 4F070 AA13 AA15 AA16 BA02 FA17 FB06 FC05 4J002 BB02X BB05W BB123 GQ01 5G305 AA02 AB35 BA13 CA01 CA47 CA51 5G309 RA04

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエチレン樹脂(A)と、エチレン・
    α−オレフィン系共重合体(B)とを含むオレフィン系
    熱可塑性エラストマーからなる電線被覆材。
  2. 【請求項2】 ポリエチレン樹脂(A)5〜60重量部
    と、ムーニー粘度ML1+4(100℃)が90〜25
    0、エチレン含量が70〜90モル%のエチレン・α−
    オレフィン系共重合体(B)40〜95重量部[(A)
    及び(B)の合計量は100重量部である。]とを含む
    オレフィン系熱可塑性エラストマーからなる電線被覆
    材。
  3. 【請求項3】 ポリエチレン樹脂(A)5〜60重量部
    と、ムーニー粘度ML1+4(100℃)が90〜25
    0、エチレン含量が70〜90モル%のエチレン・α−
    オレフィン系共重合体(B)40〜95重量部[(A)
    及び(B)の合計量は100重量部である。]とを、架
    橋剤の非存在下に、動的に熱処理して得られるオレフィ
    ン系熱可塑性エラストマーからなる電線被覆材。
  4. 【請求項4】 ポリエチレン樹脂(A)及びエチレン・
    α−オレフィン系共重合体(B)の合計100重量部に
    対して、ポリプロピレン樹脂(C)を30重量部以下含
    む請求項2又は3記載の電線被覆材。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の電
    線被覆材で被覆された電線。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2004178867A (ja) * 2002-11-25 2004-06-24 Mitsubishi Cable Ind Ltd 電力ケーブル
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KR20190037996A (ko) * 2017-09-29 2019-04-08 엘에스전선 주식회사 내인열성, 내마모성 및 난연성이 우수한 차수용 시스 조성물 및 이로부터 형성된 시스층을 포함하는 차수 케이블

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