JP2002091991A - 遺伝子ネットワーク研究支援システム及び方法 - Google Patents

遺伝子ネットワーク研究支援システム及び方法

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JP2002091991A
JP2002091991A JP2000284612A JP2000284612A JP2002091991A JP 2002091991 A JP2002091991 A JP 2002091991A JP 2000284612 A JP2000284612 A JP 2000284612A JP 2000284612 A JP2000284612 A JP 2000284612A JP 2002091991 A JP2002091991 A JP 2002091991A
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JP2000284612A
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Mikio Yoshida
美寸夫 吉田
Hiroshi Fukagawa
浩志 深川
Yukari Shibagaki
ゆかり 柴垣
Hideaki Shimano
英明 島野
Toshihisa Takagi
利久 高木
Takashi Ito
隆司 伊藤
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Intec Web & Genome Informatics Corp
Intec Web and Genome Informatics
Original Assignee
Intec Web & Genome Informatics Corp
Intec Web and Genome Informatics
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 遺伝子に関する多種、多様なデータに基づい
て遺伝子ネットワークを構築するのを支援すること。 【解決手段】 遺伝子情報データベース2に蓄積した要
素情報及び関係情報を用いて遺伝子ネットワークを再構
成し、ディスプレイ装置6上にネットワーク図を表示し
ておき、ユーザが入力デバイス11から編集コマンドを
入力することにより、グラフ編集手段14によって、表
示されているネットワーク図の点または辺を変更、削
除、追加し、あるいは付随情報を表示させる等の遺伝子
ネットワークの編集を行うことができるようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、データベースに蓄
積された遺伝子に関する情報から遺伝子ネットワークを
構築するのを支援するための遺伝子ネットワーク研究支
援システム及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年における各種生物のゲノム情報の研
究作業において遺伝子の機能や発現制御などの相互関係
の解明が急務となっている。そこで、この相互関係の解
明のために遺伝子制御ネットワークの同定作業が行われ
ているが、従来では、個々の遺伝子に対する機能解析実
験と網羅的解析実験とは独立に行われており、これらの
実験結果を統合して遺伝子ネットワーク情報を図ること
ができるようにしたシステムは未だ存在していない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、今後研究が進
むにつれて網羅的解析実験が多数行われ、その結果を示
すデータの蓄積が増大することが予想される。すなわ
ち、遺伝子制御関係やタンパク間相互作用等の機能解析
実験結果、転写因子予測や遺伝子機能解析等の配列情報
解析結果、及び遺伝子の振る舞いや発現プロファイル実
験等の網羅的解析実験結果などの、多種、多様の大量の
実験データ及び膨大な情報解析結果などのデータの蓄積
が予想されている。
【0004】したがって、研究者は、これらのデータを
基にある刺激などに対する反応系において、それに関連
する遺伝子群および最も重要な遺伝子は何か等の重要な
遺伝子の同定及び着目する遺伝子を制御するネットワー
クを知ることで、刺激に対する反応などの生物学的現象
を転写レベルで理解するため着目する遺伝子近傍のネッ
トワークの同定等の作業を行うことが要請されるが、こ
のような作業は膨大な時間を必要とするものである。
【0005】本発明の目的は、データベースに蓄積され
た遺伝子に関する多種、多様なデータに基づいて遺伝子
ネットワークを構築することを支援するための、遺伝子
ネットワーク研究支援システム及び方法を提供すること
にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は、ユーザが容易に所望の遺伝子情報を重ね
て導入して遺伝子ネットワークを再構築できる遺伝子ネ
ットワーク編集手段を設けたものである。
【0007】発明によれば、コンピュータを用い遺伝子
に関する情報を統合して遺伝子ネットワークとして視覚
的に表示することにより遺伝子研究を支援するシステム
であって、遺伝子、RNA、タンパク質、タンパク質複
合体、低分子、環境条件、細胞周期、細胞タイプ、表現
型などの要素情報と要素間の結合や制御などの関係情報
とを蓄積したデータベースと、前記データベースに蓄積
される前記要素情報をノード、前記関係情報をエッジと
して表現される連結成分を生成するグラフ再構成手段
と、前記グラフ再構成手段によって生成された連結成分
をグラフィカルに表示する表示手段と、前記表示手段に
よって表示されているグラフのトポロジーを変更するグ
ラフ編集手段とを備えたことを特徴とする遺伝子ネット
ワーク研究支援システムが提案される。
【0008】この構成によれば、例えば、細胞内あるい
は細胞間の生体物質間の相互作用に関する要素情報及び
関係情報を蓄積したデータベースを構築しておき、ユー
ザの要求に応じて動的にそのデータベースを参照して遺
伝子ネットワークを再構成して、ユーザがそれをグラフ
ィカルな画像として確認したり、インタラクティブに編
集できるようにすることによって、遺伝子ネットワーク
に関する研究を支援することができる。
【0009】ここで、前記グラフ再構成手段によって生
成された複数の連結成分から特定の連結成分だけを選択
するユーザ入力を受け取る手段をさらに備え、これによ
り、特定の連結成分だけを選択的に表示できるように構
成することもできる。
【0010】また、グラフ再構成手段に対して、連結成
分を生成する過程で関係同士を結び付けるか否かの条件
・制約を指定することができるように構成することもで
きる。
【0011】さらに、演繹推論により、要素間の関係に
介在する要素、関係を取り除く要素間関係推論を行う演
繹推論部を含むように構成することもできる。ここで、
前記要素間関係推論の結果が表示されている場合に、要
素間関係に対応するエッジを指定することにより、指定
されたエッジに対応する要素間関係に介在する関係情報
に対応するエッジを表示するようにすることもできる。
【0012】また、既存の文献あるいはデータベースか
ら情報を抽出する情報抽出手段と該情報抽出手段によっ
て得られた情報を前記データベースに蓄積する情報保存
手段とをさらに含むように構成することもできる。
【0013】また、複数のグラフを重ね合わせてレイヤ
ー表示するレイヤー表示手段を備えるように構成するこ
ともできる。
【0014】ここで、前記レイヤー表示手段によって表
示される複数のレイヤー間で重複する又は重複しない点
・辺を強調表示するようにすることもできる。
【0015】また、ユーザからの問合せパターンである
グラフ及び該グラフに関する付随情報とを入力する手段
と、前記グラフと同型なグラフを前記グラフ再構成手段
によって生成されたグラフの中から検索するための検索
手段と、該検索手段による検索結果に対して付随情報に
ついての照合を行う照合手段とをさらに設ける構成とす
ることもできる。
【0016】前記データベースに蓄積された要素情報お
よび関係情報に付随する情報に応じて、それらに対応す
る点、辺の色の濃度を変更するようにすることもでき
る。
【0017】付随する情報に応じて、点、辺に対応する
表示プリミティブの視覚的特徴を変更する手段をさらに
備えるようにすることもできる。
【0018】遺伝子、タンパク質が出現する文献情報を
取得するステップと、関係を構成する遺伝子、タンパク
質間で重複する文献情報を求めるステップと、得られた
結果を表示するステップを備えるようにすることもでき
る。
【0019】前記データベースに各要素に付随する情報
を予め付随遺伝子情報として蓄積しておくと共に、点あ
るいは辺を指定するステップを設けておき、指定された
点あるいは辺に対応する要素の付随遺伝子情報を前記デ
ータベースから取得し、取得された付随遺伝子情報を表
示するようにすることもできる。
【0020】関係情報を追加、削除するステップを設け
ておき、追加、削除された関係情報を加味してグラフを
再構成し、再構成されたグラフを表示するようにするこ
ともできる。
【0021】本発明によれば、また、複数の遺伝子ネッ
トワーク図を保存し、それを連続的に表示する機構を備
えた遺伝子ネットワーク研究支援システムが提案され
る。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態の一例につき詳細に説明する。
【0023】図1は、本発明による遺伝子ネットワーク
研究支援システムの実施の形態の一例を示すシステム構
成図である。遺伝子ネットワーク研究支援システム1
は、外部記憶装置A、入力装置B、中央演算処理装置C
及び表示装置Dを備えて成るコンピュータを用いて構成
されているもので、細胞内あるいは細胞間の生体物質間
の相互作用に関する情報を蓄積したデータベースを外部
記憶装置Aに構築しておき、中央演算処理装置Cにおい
てユーザの要求に応じて動的にそのデータベースを参照
して遺伝子ネットワークを再構成して、ユーザがそれを
表示装置Dによってグラフィカルな画像として確認した
り、入力装置Bと表示装置Dとを用いてインタラクティ
ブに編集できるようにすることによって、遺伝子ネット
ワークに関する研究を支援することができる構成となっ
ている。
【0024】遺伝子ネットワーク研究支援システム1
は、コンピュータの外部記憶装置A内に、遺伝子、タン
パク質、タンパク質複合体、低分子などの細胞を構成す
る基本的要素に関する要素情報と、遺伝子間の制御関
係、遺伝子間の類似関係、タンパク質間の相互作用など
の要素間の関係を表す関係情報と、各要素に付随する情
報である付随遺伝子情報とが予め蓄積されている遺伝子
情報データベース(遺伝子情報DB)2が設けられてい
る。なお、温度などの環境からの刺激あるいは細胞周期
などの条件等を要素情報として加えることもできる。
【0025】遺伝子情報データベース2には、遺伝子や
タンパク質などの要素の名前や機能、細胞内における局
在、生物種、シノニム、発現情報、変異体などの情報が
蓄積されている。また、関係情報についても、その関係
の意味、関係が得られた実験とその条件などの有用な情
報がデータベースに蓄積されている。これらの情報は、
要素や関係の意味を理解する上で不可欠な情報であり、
付随遺伝子情報として遺伝子情報データベース2内に格
納されている。
【0026】遺伝子ネットワーク研究支援システム1
は、遺伝子情報データベース2内に蓄積されている情報
を繋ぎ合わせることにより要素間の関係をグラフとして
再構成することができるようにするため、必要な情報が
遺伝子情報取得手段3によって遺伝子情報データベース
2から取り出され、遺伝子情報取得手段3によって取り
出された情報はグラフ再構成手段4に送られる構成とな
っている。
【0027】遺伝子情報取得手段3及びグラフ再構成手
段4によって実施されるグラフ再構成について図2及び
図3を参照して説明する。図2には遺伝子情報データベ
ース2内に蓄積されている要素情報と関係情報との一例
が示されており、ここでは、要素であるタンパク質Aか
らGまでの7つの要素情報と、これらの要素間の関係を
示す関係情報とが格納されている例が示されている。要
素間の関係としては、結合、活性化、不活性化の3つを
例示しているが、これらに限定する趣旨ではない。
【0028】遺伝子情報取得手段3によって遺伝子情報
データベース2から取り出された図2に示される情報に
基づき、連結成分を生成するためのグラフ再構成手段4
では図3に示されるように、連結成分を生成する。本実
施の形態では、2つの連結成分が生成されている。この
ように、グラフ再構成手段4は遺伝子情報取得手段3に
よって取り出された情報に基づいて連結成分を生成し、
グラフ再構成手段4はその生成結果を示すグラフ再構成
データDAを再構成グラフメモリ5に出力し、再構成グ
ラフメモリ5にこのグラフ再構成データDAが格納され
る。
【0029】再構成グラフメモリ5に格納されるグラフ
再構成データDAの例が図5に示されている。図5に示
す例では、一方の連結成分の連結成分IDが1で、他方
が2となっている。そして、要素情報に関しては、7つ
の要素に対して要素ID1〜7が付され、それぞれの要
素について、ラベル、機能、細胞内局在、生物種、シノ
ニムの各情報が付されている。一方、関係情報に関して
は、連結成分IDが1の場合について関係IDが000
01〜00004まで設定されており、連結成分IDが
2の場合については関係IDが00005〜00006
まで設定されている。そして、関係IDで特定される6
つの関係のそれぞれについて、始点、終点を要素IDと
ラベルとで特定し、その関係タイプが示されている。さ
らに、各関係について信頼度、情報の由来を示すデータ
が付加されている。ここで、要素情報、機能、細胞内局
在、生物種、シノニムは各要素に対する付随遺伝子情報
である。一方、関係情報中、信頼度及び情報の由来は各
関係に対する付随遺伝子情報である。
【0030】このように、グラフ再構成手段4におい
て、グラフ再構成データDAには各連結成分に対して連
結成分IDが識別子として付与されているので、再構成
グラフメモリ5において複数個の連結成分のデータの保
存が可能である。グラフ再構成データDAは後述するよ
うに処理され、遺伝子ネットワークとしてディスプレイ
装置6によってグラフィカルに表示されることになる。
図5に示されるような形態で再構成グラフメモリ5に保
存されているグラフ再構成データDAは、人間にとって
理解しやすいように、図4に示すような形態でグラフィ
カル表示される。
【0031】図4に示されているグラフィカル表示で
は、各要素を点(ノード)に対応させ、各要素間の関係
を辺(エッジ又はアーク)に対応させているが、ディス
プレイ装置6においてこれらの点及び辺をどのように配
置するのかは一通りには決まらない。遺伝子ネットワー
ク研究支援システム1では、人間にとって理解しやすい
よう点・辺の配置を所定の基準に基づいて決定するた
め、点と辺の自動配置処理を行うグラフ配置手段7が設
けられており、再構成グラフメモリ5内に格納されてい
るグラフ再構成データDAはグラフ配置手段7に送られ
る。
【0032】この種の自動配置の手法としては、従来か
ら様々なものが既に提案されている。人間にとって理解
しやすい、あるいは見やすいネットワークのレイアウト
(配置)は、各ユーザの好みや目的によって異なる。本
実施の形態では、これら既存の複数個の手法をグラフ配
置手段7内に予め備えておくこととし、ユーザが例えば
入力デバイス11を用いてそれらの手法の中から適宜選
択して使用することで、ユーザにとって理解しやすいネ
ットワークレイアウトを得ることができるように構成さ
れている。
【0033】グラフ配置手段7において決定されたネッ
トワークの配置状態を示すグラフ配置データDBは配置
グラフメモリ8内に一担格納される。配置グラフメモリ
8に格納されたグラフ配置データDBは、図6に示され
ているように、再構成グラフメモリ5に格納されている
グラフ再構成データDAの各要素(すなわち点)を2次
元上に配置する場合の位置情報と、それらの間の関係に
対応する辺を配置する場合の線の位置情報(始点と終点
の位置、あるいは始点とその向きと長さ)である。辺の
両端の位置は点の位置に対応するので、辺の位置情報を
点の位置情報とは別々に記憶しなくても構わない。この
ようにする理由は、その点の位置と辺の位置が意図的に
異なる位置に配置される場合に対応するためである。配
置グラフメモリ8に格納されるグラフ配置データDBは
グラフ表示手段9を介して表示メモリ10に出力され、
ディスプレイ装置6でグラフィカル表示される。このと
きの表示形態は図4に示した如くなる。
【0034】本発明による遺伝子ネットワーク研究支援
システム1は、このようにしてディスプレイ装置6に表
示された遺伝子ネットワーク図のトポロジーを変更して
編集処理を施す機能を有している。ここで、編集とは、
表示された遺伝子ネットワーク図に対してユーザが行う
点・辺の移動、削除および追加を意味すると共に、この
ときそれらに付随する付随遺伝子情報の編集を行うこと
を意味する。
【0035】次に、上述した編集機能を実現するための
構成について説明する。符号11で示されるのはユーザ
からの編集コマンドの入力に使用される入力デバイス
で、マウス、キーボード、ポインティングデバイス等か
ら成っている。ユーザがマウス、キーボード等を操作す
ることによって入力デバイス11から入力された編集コ
マンドは、入力デバイス処理手段12によって検知さ
れ、検知された編集コマンドは入力コマンド処理手段1
3によって編集コマンドとして解釈され、グラフ編集手
段14に送られる。
【0036】グラフ編集手段14は、配置グラフメモリ
8に格納されているレイアウト処理されたグラフ配置デ
ータDBを参照し、現在ディスプレイ装置6に表示され
ている遺伝子ネットワーク図を構成する点・辺の配置情
報を取得する。そして、点・辺の配置情報と編集コマン
ドとからネットワークの内容の変更に関する第1更新デ
ータDA1を作成し、このようにして作成された第1更
新データDA1は再構成グラフメモリ5に送られる。一
方、ネットワークの配置変更に関する第2更新データD
A2は配置グラフメモリ8に送られる。
【0037】第1及び第2更新データDA1、DA2に
より再構成グラフメモリ5及び配置グラフメモリ8の内
容が変更され、この結果、グラフ編集手段14で編集さ
れた遺伝子ネットワークがディスプレイ装置6において
グラフィカル表示されることになる。
【0038】ここで、編集処理は、グラフのレイアウト
(点・辺の位置や向き)を変更する処理をも含んでい
る。この場合には、グラフ編集手段14における編集結
果は配置グラフメモリ8に出力され、再構成グラフメモ
リ5の内容には変更が加えられず、配置グラフメモリ8
の出力に従う配置状態の遺伝子ネットワーク図がディス
プレイ装置6において表示されることになることは前述
の通りである。
【0039】次に、図7を参照して、グラフ編集手段1
4の構成をより詳細に説明する。
【0040】本実施の形態においては、グラフ編集手段
14は編集のための以下の5つの機能を達成することが
できるように構成されている。(1)点あるいは辺の選
択。(2)選択された点あるいは辺の位置や向きの変
更。(3)選択された点あるいは辺の削除。(4)点あ
るいは辺の新たな追加。(5)選択された点あるいは辺
の付随情報の編集(追加、削除、変更)。
【0041】このため、上記に対応した5種類の編集用
コマンドが用意され、ユーザは入力デバイス11から所
要のコマンドを入力することができ、入力されたコマン
ドは入力デバイス処理手段12、入力コマンド処理手段
13を介してグラフ編集手段14に入力される。
【0042】これら5種類の編集用コマンドは以下の通
りである。 1.編集対象となる点あるいは辺を選択するための点・
辺選択コマンド(第1コマンド) 2.選択された点あるいは辺の位置や向きを変更するた
めの点・辺移動コマンド(第2コマンド) 3.選択された点あるいは辺を削除するための点・辺削
除コマンド(第3コマンド) 4.点あるいは辺を新たに追加するための点・辺追加コ
マンド(第4コマンド) 5.選択された点あるいは辺の付随情報を編集(追加、
削除、変更)するための付随遺伝子情報編集コマンド
(第5コマンド)
【0043】入力コマンド処理手段13を介してグラフ
編集手段14に送られた編集用コマンドは、コマンド処
理選択手段500に入力され、ここで入力された編集用
コマンドの種別が識別され、そのとき入力された編集用
コマンドは、この識別の結果に基づいて対応したコマン
ド処理部に送られる。すなわち、第1コマンドは点・辺
選択コマンド処理部511に送られ、第2コマンドは点
・辺移動コマンド処理部512に送られ、第3コマンド
は点・辺削除コマンド処理部513に送られ、第4コマ
ンドは点・辺追加コマンド処理部514に送られ、第5
コマンドは付随遺伝子情報編集コマンド処理部515に
送られる。ここで、第2、第3及び第5コマンドによる
編集の処理のためには、予め第1コマンドによって編集
の対象となる点あるいは辺が選択されていなければなら
ず、したがって、第2、第3及び第5コマンドに対して
は、常に第1コマンドの入力が必要となる。
【0044】先ず、第1コマンドの処理について説明す
ると、入力デバイス処理手段12は、ディスプレイ装置
6上の任意の位置を指定するためのデバイスである2次
元ポインティングデバイス(図示せず)からの入力を検
知し、その信号を2次元位置算出部501に常時出力し
ている。2次元位置算出部501は2次元ポインティン
グデバイスが指定する2次元位置指定データDPを2次
元位置メモリ502に出力し、2次元位置指定データD
Pは2次元位置メモリ502に一担格納される。点・辺
選択コマンド処理部511は、第1コマンドがコマンド
処理選択手段500から入力されたことに応答して2次
元位置メモリ502から2次元位置指定データDPを読
み取る。一方、点・辺配置情報取得手段503は、配置
グラフメモリ8に格納されているグラフ配置データDB
からディスプレイ装置6に表示されている遺伝子制御ネ
ットワークの構成要素の位置情報を読み取り、点・辺選
択コマンド処理部511では点・辺配置情報取得手段5
03による読み取り情報と2次元位置メモリ502から
の2次元位置指定データDPとからポインティングデバ
イスで指定される点・辺を検索し、その結果を被選択点
・辺メモリ504に出力する。
【0045】このようにして、ディスプレイ装置6上に
グラフィカル表示されている遺伝子制御ネットワークを
構成する所望の点又は辺をポインティングデバイスで選
択し、このようにして選択された点又は辺を特定するた
めの被選択データDQが第1コマンドの入力に応答し
て、被選択点・辺メモリ504に格納される。
【0046】次に、上述の如くして選択された点又は辺
を第2コマンドに従って移動させるための編集処理につ
いて説明する。点・辺移動コマンド処理部512は、点
・辺の移動指令情報を含む第2コマンドをコマンド処理
選択手段500から受け取る一方、現在選択されている
点あるいは辺を特定するための被選択データDQを被選
択点・辺メモリ504から読み取り、現在選択されてい
る点あるいは辺を第2コマンドの内容に従って移動する
よう点・辺配置情報を変更するための処理を行う。この
処理結果は点・辺配置情報更新手段516に出力され、
点・辺配置情報更新手段516は配置グラフメモリ8内
に格納されている点あるいは辺の位置・向きの情報を変
更するための第2更新データDA2を出力する。配置グ
ラフメモリ8においては、第2更新データDA2に応答
して配置グラフデータの点・辺配置情報が変更される。
【0047】この結果、ディスプレイ装置6上にグラフ
ィカル表示されている遺伝子制御ネットワークの所望の
点又は辺の位置や向きを変更する移動処理が実行され
る。この編集機能を用いることにより、ディスプレイ装
置6上に表示されているネットワーク図を着目した要素
や関係を中心とするユーザにとって見やすい表示状態に
変更することができるので、ネットワークの解析等の作
業効率を著しく向上させるのに役立つ。
【0048】次に、第1コマンドに従って選択された点
又は辺を第3コマンドに従って削除するための編集処理
について説明する。点・辺削除コマンド処理部513は
第3コマンドの入力に応答し、現在選択されている点あ
るいは辺の情報を示す被選択データDQを被選択点・辺
メモリ504から読み取り、その削除処理を行う。点・
辺削除コマンド処理部513からの処理結果は再構成グ
ラフ更新手段517に送られ、ここで、ポインティング
デバイスにより指定された点・辺のデータの削除のため
の第1更新データDA1が出力される。再構成グラフメ
モリ5においては、第1更新データDA1に応答し、被
選択データDQによって示される辺または点のデータが
削除される。この結果、再構成グラフメモリ5からの出
力に基づいてグラフ配置手段7によって再びグラフ配置
処理が実行されることにより、指定された点又は辺が表
示されないことになる。この編集機能を使うことによ
り、表示されたネットワーク内においてユーザの研究に
重要でない又は必要でない要素や関係を簡単に削除する
ことができるので、必要なものだけを見やすく表示させ
ることができる。
【0049】点・辺追加コマンド処理部514は、追加
するものが点か辺かの情報をコマンド処理選択手段50
0から受け取った第4コマンドの内容に基づいて判断
し、点又は辺の追加を処理する。この追加処理もまた、
点・辺追加コマンド処理部514での処理結果を再構成
グラフ更新手段517に送り、再構成グラフメモリ5内
のデータに追加すべき点又は辺のデータを加えるという
更新処理によって達成される。この処理の結果、追加さ
れた点又は辺がディスプレイ装置6上に表示されるよう
になる。この編集機能を使うことにより、例えば遺伝子
情報データベース2内には蓄積されていない自分の研究
成果による情報を付加して遺伝子制御ネットワークを再
構成することができるなど、外部情報を簡単に取り入れ
ることができるようになる。
【0050】最後に、第1コマンドによって選択された
点又は辺について付随する情報の追加、削除、変更等の
編集のための第5コマンドに対する処理について説明す
る。付随遺伝子情報編集コマンド処理部515は第5コ
マンドの入力に応答し、現在選択されている点あるいは
辺を示す被選択データDQを被選択点・辺メモリ504
から読み取り、その点あるいは辺に付随する情報の編集
(追加、削除、変更)を処理する。付随遺伝子情報の編
集処理は、被選択データDQによって示される点又は辺
について、第5コマンドによって示される付随遺伝子情
報を表示させるようにするための処理である。図5に示
したように、再構成グラフメモリ5に格納されているグ
ラフ再構成データDAには付随遺伝子情報が含まれてお
り、その内容は要素ID及び関係IDを用いて特定でき
る。したがって、本実施の形態では、付随遺伝子情報編
集コマンド515から再構成グラフ更新手段517にど
の要素又は関係について付随遺伝子情報を表示させるか
の情報が送られ、再構成グラフ更新手段517はこれに
従って再構成グラフメモリ5内のデータのうち所要の付
随遺伝子情報がグラフ配置手段7に送られるようにする
ための処理を実行する。この機能によれば、グラフィカ
ル表示したネットワーク図中に要素及び又は関係につい
て適宜に必要な文字情報を付加したりすることができる
ので、ネットワークが説明的となり、理解しやすいもの
とすることができる。
【0051】図8には、本発明の他の実施の形態が示さ
れている。図8に示されている遺伝子ネットワーク研究
支援システム1Aの基本構成は図1に示した遺伝子ネッ
トワーク研究支援システム1の基本構成と同一である。
したがって、図8の各部のうち図1の各部に対応する部
分には同一の符号を付してそれらの説明を省略する。
【0052】遺伝子ネットワーク研究支援システム1A
は、下記の(1)〜(8)の点で遺伝子ネットワーク研
究支援システム1と異なっている。
【0053】(1)遺伝子情報データベース2から取得
された複数の連結成分のリストを表示し、ユーザがその
リストから表示・編集したい連結成分を選択できるよう
にするため、連結成分選択部20が設けられている。連
結成分選択部20は、図9に詳細に示されるように、再
構成グラフ選択指定手段21と、選択再構成グラフメモ
リ22とから成っている。
【0054】遺伝子ネットワーク研究支援システム1A
においては、グラフ再構成手段4において遺伝子情報デ
ータベース2内に格納されている複数個の関係情報から
連結成分を生成する処理が実行されており、生成された
連結成分はグラフ再構成データDAとして再構成グラフ
メモリ5を介して再構成グラフ選択指定手段21に送ら
れ、例えば図10に示されるようにリスト表示される。
この結果、ユーザは入力デバイス11から表示、編集し
たい連結成分を選択できる。
【0055】マウス、キーボード等の入力デバイス11
から所望の連結成分を選択するための選択コマンドが入
力されると、この選択コマンドは入力デバイス処理手段
12、入力コマンド処理手段13を介して再構成グラフ
選択指定手段21に入力され、所望の連結成分が選択さ
れ、選択された連結成分のみが選択再構成グラフメモリ
22に送られる(図9参照)。
【0056】この選択された連結成分のデータがグラフ
再構成データDAとしてグラフ配置手段7に送られ、以
後、図1に示した構成の場合と同様にして、この選択さ
れた連結成分に従う選択再構成グラフが得られ、これが
ディスプレイ装置6においてグラフィック表示される。
連結成分選択部20を設けることにより、上述の如く、
遺伝子情報データベース2に基づいて生成された複数の
連結成分のリストを表示し、ユーザがそのリストから表
示・編集したい連結成分のみを選択することができる。
図11には、上述した連結成分選択の構成の概念が示さ
れている。
【0057】(2)連結成分を生成する過程で、関係同
士を結び付けるかどうかを判断するための条件・制約を
ユーザが指定できるようにすることで、生成される連結
成分の個数の絞りこみを行えるようにするため、条件・
制約指定部30が設けられている。
【0058】連結成分選択の構成では、複数個の連結成
分が選択、生成される構成であったが、遺伝子情報はそ
の数が厖大であり、関係情報の個数はさらに厖大になる
ことが予想される。したがって、(1)で説明した連結
成分生成の結果も厖大な数になる可能性が大きい。とこ
ろが、ユーザが着目しようとする連結成分はそれらの一
部にすぎず、厖大な個数の連結成分の中から、所望の連
結成分だけをユーザが選択することは実際上困難な場合
が多いと考えられる。
【0059】条件・制約指定部30はこの問題を解決す
ることができるもので、図12に示すように、入力コマ
ンド処理手段13とグラフ再構成手段4との間に再構成
条件指定手段31と再構成条件メモリ32とを図示の如
く設けた構成となっている。再構成条件指定手段31
は、ユーザによって入力デバイス11から入力されるグ
ラフ再構成の条件・制約に関するデータを受け取ってコ
ンピュータ内で処理できる形式に変換する処理を行い、
変換処理されたグラフ再構成の条件・制約に関する指定
データDCを再構成条件メモリ32に出力するものであ
る。再構成条件メモリ32に一担格納された指定データ
DCはグラフ再構成手段4に入力される。グラフ再構成
手段4では再構成条件メモリ32からの指定データDC
を考慮して連結成分のためのグラフ再構成処理が実行さ
れる。条件・制約の例としては、「グラフを再構成する
ために始点と終点となる遺伝子の指定」、さらにそれに
加えて「再構成処理において探索する深さのレベルの制
限」、あるいは「つなぎ合わせる2つの関係が満たすべ
き条件の指定」など様々なものが考えられる。上述の如
く条件・制約指定部30を設けることにより、連結成分
を生成する過程で、関係同士を結び付けるかどうかを判
断するための条件・制約をユーザが指定できるようにす
ることで、生成される連結成分の個数が多い場合、ユー
ザに大きな負担を掛けることなしに連結成分の絞りこみ
が行えるようにする。
【0060】(3)演繹推論を適用して遺伝子ネットワ
ークを単純化すると共に、この演繹推論によって直接関
係のない要素間の関係を生成することを可能にするた
め、演繹推論部40が設けられている。
【0061】遺伝子情報データベース2に蓄積されてい
る情報の量は厖大である。また、グラフ再構成手段4に
よって再構成される遺伝子ネットワークもまた、厖大な
要素情報と関係情報とから構成される複雑なものになる
可能性がある。今後、遺伝子情報データベース2に蓄積
される情報は増加するため、この傾向は強くなるはずで
ある。ネットワークが複雑になると、たとえグラフィカ
ルに表示したとしても、人間が理解することは困難であ
る。
【0062】演繹推論は、既知の知識の組から関連する
別の表現を導き出すものである。図13を使って具体的
に説明する。各記号の意味は凡例に示した通り、四角が
遺伝子、円形がタンパク質、辺(矢印等)が関係を表し
ている。今、図13のような遺伝子情報があるとする。
図13では、分かりやすさのために遺伝子情報を模式的
に表現している。それらの関係を言葉で表すと、「遺伝
子Aがタンパク質Aをコードする」、「遺伝子Bがタン
パク質Bをコードする」、「遺伝子Cがタンパク質Cを
コードする」、「タンパク質Bがタンパク質Aを活性化
する」、「タンパク質Cがタンパク質Aを不活性化す
る」、「タンパク質Aが遺伝子Cの転写を促進する」と
なる。いま、推論規則として次の2つ、すなわち(1)
「タンパク質1がタンパク質2を活性化し、かつタンパ
ク質2が遺伝子3の転写を促進するならば、タンパク質
1が遺伝子3の転写を促進する」、(2)「遺伝子1が
タンパク質1をコードし、かつタンパク質1が遺伝子2
の転写を促進するならば、遺伝子1が遺伝子2の転写を
促進する」を適用することにより、「遺伝子Bが遺伝子
Cの転写を促進する」なる関係が新たに得られる。この
演繹推論により得られた関係は、介在している他の遺伝
子やタンパク質を含んでいない。そのため、記述が簡潔
であり、理解が容易である。
【0063】また、図14に示したように、グラフ再構
成により得られたグラフに対してタンパク質間の類似関
係を考慮することによって、例えば新たなタンパク質間
の活性化の関係を演繹推論によって得ることが可能であ
る。
【0064】演繹推論部40は上述の如く演繹推論を適
用して遺伝子ネットワークを単純化すると共に、この演
繹推論によって直接関係のない要素間の関係を生成する
ことを可能にするもので、図15に詳細に示されるよう
に、上記演繹推論のための推論規則が蓄積されている推
論規則データベース(推論規則DB)41と、入力デバ
イス11からユーザが入力した選択コマンドが入力コマ
ンド処理手段13を介して入力されている推論規則選択
手段42とを備えている。推論規則選択手段42は選択
コマンドに従って推論規則データベース41からユーザ
によって選択された推論規則データDDを取り出して推
論規則メモリ43に一担格納し、その後推論規則データ
DDは推論規則メモリ43から推論手段44に送られ
る。
【0065】推論手段44では、再構成グラフメモリ5
に格納されているグラフ再構成データDAに対して推論
規則メモリ43に格納されている推論規則データDDに
基づく推論処理を施し、図13及び図14に基づいて説
明したような所要の推論処理を施された推論結果データ
DEが推論結果メモリ45に格納される。推論結果メモ
リ45に格納された推論結果データDEはグラフ配置手
段7及びグラフ編集手段14に送られる。グラフ配置手
段7では、再構成グラフメモリ5のグラフ再構成データ
DAと推論結果メモリ45の推論結果データDEとを合
わせることによりグラフの単純化等の目的とする処理を
行い、グラフの配置処理を行う。以後のグラフィカル表
示のための処理は、図1に示した遺伝子ネットワーク研
究支援システム1の場合と同様である。
【0066】上述の如く演繹推論部40を設けると、厖
大な要素情報と関係情報とから構成される複雑な遺伝子
ネットワークを単純化すると共に、直接関係のない要素
間の関係を生成することを可能にし、理解しやすいグラ
フ表示をすることができる。
【0067】(4)遺伝子ネットワーク研究支援システ
ム1Aにおいては、上記(3)の構成による多段推論
(本明細書では、複数回の推論が組み合わされるような
推論をこう呼ぶことにする)によって得られた最終的な
グラフの配置処理が行われたグラフだけが表示されてい
るディスプレイ装置6をマウスでクリックすると、その
推論の段数が辺の側に表示される。さらに、その推論結
果の基になった関係に対応する辺が太く表示される。そ
れと同時に、その推論の基になった推論結果に対応する
関係の辺がその段数と共に表示される。そこで、その基
になった推論結果に対応する辺をクリックすると、さら
にその推論の基になった関係に対応する辺が太く表示さ
れる。
【0068】異なる推論を繰返し適用することによっ
て、遺伝子ネットワークをより単純化することができる
が、このように推論結果によって求められた関係が、実
は他の推論結果に基づいて求められている場合が起こり
得る。例えば、図16には2つの推論を適用することに
よって、遺伝子間の制御関係を新たに推論する例が示さ
れている。図16では、「タンパク質Aがタンパク質C
を活性化する」、「タンパク質Eがタンパク質Dを活性
化する」、「タンパク質Eが遺伝子Bの転写を促進す
る」という関係があるが、遺伝子Aと遺伝子Bの間に制
御関係を推論することはできない。そこで、タンパク質
間の類似関係に着目し、類似しているタンパク質同士の
機能が類似するという仮説を設け、それに基づいて推論
を行う。すなわち、「タンパク質Cとタンパク質Eが類
似する」という関係に着目し、「タンパク質Eがタンパ
ク質Dを活性化すること」から、「タンパク質Cがタン
パク質Dを活性化する」という関係を推論する。次に、
新たに推論された「タンパク質Cがタンパク質Dを活性
化する」という関係から、結局「遺伝子Aが遺伝子Bの
転写を促進する」という関係が得られる。
【0069】このような場合、得られた推論結果がどの
ような推論のプロセスに基づいた結果であるのかが分か
らない。また、推論規則として信憑性の乏しいものが使
われていることも考えられる。この場合は、推論結果が
予測的であるため、推論結果を得るプロセスを知ること
が不可欠である。例えば、上記のタンパク質の類似性に
基づいた推論によって得られる新たな関係は、予測的な
関係である。したがって、得られた推論結果が、他の推
論結果に基づいているかどうかを把握できるような遺伝
子ネットワーク表示方法が必要である。
【0070】この問題を解決できるようにするため、図
15に示した演繹推論部40の構成においては、推論結
果メモリ45に格納されている推論結果データDEをグ
ラフ編集手段14に送り、グラフ編集手段14において
この推論結果データDEを参照してグラフ編集を行うよ
うに構成されている。この場合、推論規則選択手段42
では、複数の推論規則を選択し、その適用順序を決定
し、その決定結果である推論規則データDDを推論規則
メモリ43を介して推論手段44に出力する。
【0071】推論手段44は、推論規則メモリ43から
推論規則データDDを受け取ると、再構成グラフメモリ
5からのグラフ再構成データDAに対してこの推論規則
データDDを適用する。推論結果メモリ45内に格納さ
れている推論結果データDEは、他のどの推論結果に基
づいているのかを表す情報と、その推論結果の段数の情
報を持つ。これによって、全ての推論結果の段数と他の
どの推論結果に基づいているかが分かる。
【0072】次に、表示方法について説明する。推論結
果メモリ45内に格納されている推論結果データDE
は、図1に基づいて説明したように、配置グラフメモリ
8、グラフ表示手段9を介してディスプレイ装置6に表
示される。次に、ユーザが、入力デバイス11を使っ
て、推論結果であるエッジを選択する。すると、その選
択コマンドが、入力コマンド処理手段13によって解釈
され、グラフ編集手段14に出力される。グラフ編集手
段14は、配置グラフメモリ8を参照して、何が選択さ
れたかを検知する。また、選択された辺が推論に基づい
ているかどうかを推論結果メモリ45に格納されている
推論結果データDEを参照して判定する。もし、その辺
が推論に基づいているのであれば、推論の段数とその基
になった他の関係に対応する辺の表示形態を変更し、そ
の結果を配置グラフメモリ8に反映させる。図17には
多段推論の結果の表示例が示されている。
【0073】演繹推論部40を以上のように構成したの
で、得られた推論結果がどのような推論のプロセスに基
づいた結果であるかを表示することができる。
【0074】(5)再構成したグラフの構成要素に付随
する情報に基づいて、点・辺の濃度を変更できるように
することで、ユーザの信頼性の判定基準を反映した遺伝
子ネットワークの表示を行えるようにするため、表示形
態変更部50が設けられている。
【0075】表示形態変更部50は、図19に示されて
いるように、図8に示した入力コマンド処理手段13と
グラフ表示手段9との間に、表示形態条件指定手段51
と表示形態条件メモリ52とを設けた構成によって実現
することができる。表示形態条件指定手段51は、入力
デバイス11からユーザが入力する表示形態条件指定コ
マンドを入力コマンド処理手段13を介して受け取り、
表示形態条件指定コマンドに従って属性値とそれに対応
する色の濃度、あるいは全体のコントラストを設定す
る。このような方式に基づく遺伝子ネットワーク表示例
を図18に示す。前方にあるウィンドウで、属性値の対
応を選択し、その属性値に対応する濃度を指定する。ま
た、ネットワーク構成要素の信頼度が低いために、全体
的に濃度が薄くなってしまう場合に備えて、全体のコン
トラストを変更できるようにした。表示形態条件指定手
段51ではこのようなグラフ設定データDFが設定さ
れ、グラフ設定データDFは表示形態条件メモリ52に
送られ一担格納された後、グラフ表示手段9に送られ
る。そして、グラフ設定データDFに従ってネットワー
ク図が表示されることになる。この方法によれば、一度
再構成したグラフの各構成要素の表示濃度を変更するだ
けであるので、ユーザの判断基準の変更を、高速に反映
させることが可能である。
【0076】遺伝子情報データベースに蓄積される情報
は公開データベース、文献、実験結果やバイオインフォ
マティクスを駆使した情報技術に基づく予測解析結果な
ど多様な情報源から取得されることが考えられる。それ
らの情報の中には、信頼できる情報やそうでない情報が
含まれている。また、信頼するかどうかの判定基準には
必ずしも絶対的ではなく、ユーザや使用目的により多様
である。したがって、一律にそれらの情報からグラフを
再構成して遺伝子ネットワークとして表示することは、
信頼できる情報とそうでない情報のユーザによる区別を
難しくしてしまうことになる。ユーザのデータに対する
信頼の度合いを反映したグラフの再構成や表示手段が必
要である。
【0077】このような問題に対して、連結成分の絞り
込みにより、再構成条件を指定して、一定の信頼できる
情報だけを選別してグラフを再構成することが考えられ
る。しかしながら、それでは、グラフ再構成に使用する
データを絞り込んでしまうことになり、結果的に重要な
関係を見逃してしまうことになりかねない。その場合
は、絞込みを緩めて、グラフの再構成を再試行しなけれ
ばならない。この方式は、グラフの再構成には比較的処
理に時間を要するため、ユーザにとって効率的ではな
い。
【0078】最良の解決策は、ユーザの情報の判定基準
を考慮したグラフ再構成と、その結果を表示する一連の
処理を高速に処理できるようにして、ユーザの判断基準
の変更に対して即時に結果を表示できるようにすること
である。しかしながら、先述したように、遺伝子ネット
ワークのように膨大なデータに基づくグラフ再構成処理
の高速化は困難である。
【0079】表示形態変更部50を設けることにより、
再構成したグラフの構成要素に付随する情報に基づい
て、点・辺の濃度を変更できるので、ユーザの信頼性の
判定基準を反映した遺伝子ネットワークの表示が行える
ようになる。
【0080】(6)多様な条件で構築された遺伝子ネッ
トワーク図を蓄積しておき、それらを要素間の類似性や
関連性などを基準にして重ね合わせて表示することがで
きるようにするためレイヤー表示部60が設けられてい
る。
【0081】本機構に類似した既存の報告事例として、
Peter Uetz, Loic Giot, Gerand Cangney, Traci A. Ma
nsfield, Richard S. Jundson, James R. Knight, Dan
iel Lockshon, Vaibhav Narayan, Maithreyan Srinivas
an, Pascale Pochart, Alia Qureshi-Emili, Ying Li,
Brian Godwin, Diana Conover, Theodore Kalbfleisc
h, Govindan Vijayadamodar, Meijia Yang, Mark Joh
nston, Stanley Fields, Jonatha M. Rothberg, "A com
prehensive analysis of protein-protein interaction
s in Saccharomyces cerevisiae", NATURE, Vol.403, 1
0 Feb 2000がある。この中で紹介された機能は、タンパ
ク質間相互作用関係についてタンパク質の生物種間相同
性に基づいて重ね合わせて表示することができるもので
ある。本発明においては、環境条件やグラフ再構成に適
用した条件・制約の違いによる遺伝子ネットワークの変
化を理解しやすく提示するための表示方式に関するもの
であり、図20は実現するレイヤー表示の一例であり、
L101とL102とはそれぞれ異なるレイヤーであ
る。図20では、レイヤーが3次元的に表示されている
が、これを垂直方向に正射投影することによって、2次
元の図として表示することも可能である。レイヤーL1
01とL102は、それぞれS101〜S107とS2
01〜S209の遺伝子およびタンパク質から構成され
る遺伝子ネットワークが配置されている。この2つのレ
イヤーは、それぞれ異なる環境条件に限定して再構成さ
れた遺伝子ネットワークであり、両レイヤーのS101
とS201、S102とS202、S104とS204
は同一の遺伝子とタンパク質に対応している。これらの
ことから、異なる環境条件においても、類似した遺伝子
ネットワークがS101(S201)を基点として存在
することが分かる。更に、S101(S201)を基点
とした全く異なる遺伝子ネットワーク(S101→S1
05→S1067→S107)、(S201→S208
→S209)が存在することも分かる。
【0082】図8を参照すると、レイヤー表示部60
は、再構成グラフ情報と配置グラフ情報を併せ持ったグ
ラフ情報を保存する機能を有している。入力デバイス1
1を用いてユーザによって指定されたグラフ情報保存読
取コマンドは、保存コマンドと読取コマンドとの2種類
を有しており、いずれもグラフ情報保存読取手段61に
入力される。保存コマンドの場合、グラフ情報保存読取
手段61では、再構成グラフメモリ5からのグラフ再構
成データDAと配置グラフメモリ8からのグラフ配置デ
ータDBとを受け取り、それらを処理してグラフ情報デ
ータDGとしてグラフ情報62に送り、格納する。ま
た、読取コマンドの場合は、グラフ情報保存読取手段6
1がグラフ情報62からグラフ情報データDGを読み込
み、読み込んだグラフ情報データDGをグラフ再構成デ
ータDAとグラフ配置データDBとに分割して、それぞ
れを再構成グラフメモリ5、及び配置グラフメモリ8に
出力する。
【0083】レイヤー表示コマンドには、既存のグラフ
をどのレイヤーに対応付けるかを設定するコマンド(レ
イヤー設定コマンド)と、どのレイヤーを表示・非表示
するかを指定するコマンド(レイヤー表示コマンド)
と、レイヤー間の再構成グラフの要素を指定された関係
(先の例では、同一の遺伝子、タンパク質であるという
関係)で対応付け、人間にとって見やすく配置するコマ
ンド(レイヤー配置コマンド)がある。ユーザによって
与えられたレイヤー設定コマンドはレイヤー表示手段6
3に入力される。レイヤー表示手段63では、再構成グ
ラフメモリ5に属するグラフ再構成データDAの所望の
再構成グラフデータに対してそれが対応するレイヤーを
設定する。それと同時に、その再構成グラフメモリ5に
対応する配置グラフメモリ8のレイヤーを同じレイヤー
に設定する。
【0084】レイヤー表示コマンドの場合、レイヤー表
示手段63は表示・非表示するレイヤーを受け取り、そ
れをグラフ表示手段9に出力する。グラフ表示手段9
は、入力された表示レイヤーに属するグラフだけを表示
メモリ10に出力する。
【0085】レイヤー配置コマンドの場合、レイヤー表
示手段63は、レイヤー間で対応付けに使用する関係を
入力として受け取り、それをグラフ配置手段7に出力す
る。グラフ配置手段7は、再構成グラフメモリ5からグ
ラフ再構成データDAを受け取り、異なるレイヤーに属
するグラフ間で、指定された関係に基づいて対応付けて
見やすく配置し、その結果は配置グラフメモリ8に格納
される。
【0086】上述した構成によれば、多様な条件に基づ
いて再構成された遺伝子ネットワークをレイヤー表示機
構により表示することによって、それらの違いや類似性
の把握を容易にすることができる。
【0087】(7)多様な条件下における遺伝子ネット
ワークを比較する上で有効な方式の一つとして、上述し
たレイヤー表示がある。しかし、レイヤー表示される遺
伝子ネットワークが複雑になってくると、それらの違い
や共通点を把握することは困難である。そこで、レイヤ
ー表示部60の上述の機能を用いることにより複数レイ
ヤーで表示される遺伝子ネットワークの共通部分と差分
とをそれぞれ強調表示することができるようにするた
め、上述したレイヤー表示部60のレイヤー表示手段6
3には所要の強調表示のための処理機能が付加されてい
る。この強調表示のための処理機能は、既にレイヤー表
示が為されている状態で、レイヤー間の差分強調表示あ
るいは共通部分強調表示をするためのものである。ユー
ザにより入力デバイス11から入力された差分強調表示
コマンド、共通部分強調表示コマンドが入力コマンド処
理手段13を介してレイヤー表示手段63に入力され
る。
【0088】共通部分強調表示コマンドの場合、レイヤ
ー表示手段63は、再構成グラフメモリ5のグラフ再構
成データDAと配置グラフメモリ8のグラフ配置データ
DBとを参照して共通部分を求める。得られたレイヤー
間の共通部分の情報は、再構成グラフメモリ5と配置グ
ラフメモリ8とに分けられ、そして新たなレイヤーに対
応付けられ、それぞれ再構成グラフメモリ5と配置グラ
フメモリ8とに出力される。
【0089】次に、グラフ表示手段9に対して、共通部
分に対応付けられたレイヤーを出力し、グラフ表示手段
9がそのレイヤーを表示メモリ10に出力する。
【0090】差分強調表示コマンドの場合、レイヤー表
示手段63は、再構成グラフメモリ5内に格納されてい
るグラフ再構成データDAと配置グラフメモリ8内に格
納されているグラフ配置データDBとを参照してレイヤ
ー間の差分を求める。得られたレイヤー間の差分の情報
は、再構成グラフデータと配置グラフデータとに分けら
れ、そして新たなレイヤーに対応付けられ、それぞれ再
構成グラフメモリ5と配置グラフメモリ8とに出力され
る。
【0091】次に、グラフ表示手段9に対して、差分グ
ラフに対応付けられたレイヤーを出力し、グラフ表示手
段9がそのレイヤーを表示メモリ10に出力する。
【0092】ここで図21は、レイヤー間の共通部分と
差分の強調表示機能が模式的に示されている。図21で
は、レイヤーが3次元的に表示されているが、前項と同
様に、レイヤー面を垂直な方向から正射投影することに
よって、2次元的に表示することも可能である。
【0093】レイヤーL101、L102はそれぞれ環
境条件をA、Bに限定して得られた遺伝子ネットワーク
である。2つの遺伝子ネットワークの要素に着目する
と、同一の要素(S101とS201、S102とS2
02、S103とS203、S104とS204、S1
06とS206、S107とS207、S108とS2
08)が含まれていることが分かる。これらは、2つの
異なる条件下でも、共通して反応が確認されている部分
である。一方、S105、S209はそれぞれのレイヤ
ーにのみ存在している。これは、2つの条件下におい
て、異なる反応経路が存在していることを表している。
レイヤーL103はレイヤーL101とL102の差分
を強調表示したレイヤーである。レイヤーL104はレ
イヤーL101とL102の共通部分を強調表示したレ
イヤーである。
【0094】レイヤー表示手段63に上述した処理機能
を付加したので、多様な条件下に対応してレイヤー表示
された複雑な遺伝子ネットワークを比較し、それらの違
いや共通点を容易に把握することができ、非常に有効で
ある。
【0095】(8)遺伝子ネットワークには、類似する
パターンが存在する場合がある。例えば、図22で示す
ように、(1)ある遺伝子Aが別の遺伝子Bおよび遺伝
子Cの転写を促進する場合、(2)ある遺伝子Aが別の
遺伝子Bの転写を促進し、その遺伝子Bが遺伝子Aの転
写を抑制するなどである。ここで示した例は、遺伝子間
の単純なパターンであるが、これにタンパク質間の相互
作用も含めたり、環境条件や特定の遺伝子やタンパク質
を介在させるなどのパターンに基づいて検索する場合も
考えられる。そこで指定されたグラフのパターンを部分
グラフとして持つグラフを検索することができるように
するため、検索部70が設けられている。
【0096】あるグラフGαが別のグラフGβの部分グ
ラフに同型であるかどうかを見つける問題は、グラフ理
論の分野において部分グラフ同型問題と呼ばれている。
2つのグラフGα=(Vα,Eα)、Gβ=(Vβ,E
β)について、Gβの部分グラフとGαが同型とは、両
グラフの全ての頂点と全ての辺に対して完全な1対1対
応がある場合のことである。V⊆Vβ、E⊆Eβとする
と、部分グラフ同型の条件は下式(1)のようになる。 写像fの選び方は、(Gαの点の個数)P(Gβの点の
個数)通り存在するので、グラフを構成する点の個数が
増加すると実用時間では計算不可能となってしまう。本
発明は、この問題を解くアルゴリズムではないので、そ
の実装方法としては、既存のアルゴリズムを使用するも
のとする。アルゴリズムとしては、Ullmannのアルゴリ
ズム(J. R. Ullmann. An algorithm for subgraph is
omorphism.Journal of the ACM, 23(1):31-42, January
1976)が知られている。
【0097】図23には検索部70の詳細構成が示され
ている。従来の部分グラフ同型問題では点や辺に付随す
る情報まで考慮していないが、ここでは、まず、指定さ
れたパターンを部分グラフとして持つグラフの検索結果
(グラフと写像の組)を記憶しておき、それからグラフ
に対して付随情報が合っているかどうかについて詳細な
検証を行うことで対応する構成となっている。
【0098】検索部70は、同型グラフ検索手段71
と、問い合わせパターンメモリ72と、検索結果メモリ
73とから成り、同型グラフ検索コマンドには、問合せ
グラフ指定コマンドと同型グラフ検索コマンドの2つの
コマンドがある。問合せグラフ指定コマンドは、問合せ
したいグラフのパターンで構成される。一方、同型グラ
フ検索コマンドは、再構成グラフメモリ5に蓄積されて
いるグラフ再構成データDAに対して、問合せパターン
メモリ72に同型なサブグラフを含むグラフの探索を行
う。
【0099】まず、問合せグラフ指定コマンドについて
説明する。ユーザによって入力デバイス11から入力さ
れた問合せグラフ指定コマンドは入力コマンド処理手段
13を介して同型グラフ検索手段71に入力される。同
型グラフ検索手段71は入力されたグラフ指定コマンド
を解析し、そこに含まれている問合せパターンを抽出
し、抽出された問合せパターンを示す問合せパターンデ
ータDIを問合せパターンメモリ72に退避させる。
【0100】次に、同型グラフ検索コマンドについて説
明する。ユーザによって入力デバイス11から入力され
た同型グラフ検索コマンドもまた入力コマンド処理手段
13を介して同型グラフ検索手段71に入力される。こ
れに応答して同型グラフ検索手段71は、問合せパター
ンメモリ72に退避されている問合せパターンデータD
Iを読み出す。また、再構成グラフメモリ5に保存され
ているグラフ再構成データDAを読み出し、先の問合せ
パターンに同型な部分グラフを持つグラフとその写像の
組みを検索結果メモリ73に出力する。部分グラフ同型
の探索が全てのグラフ再構成データDAに対して完了し
たら、次に、問合せパターンに含まれている要素・関係
の付随情報の検証を検索結果メモリ73に保存されてい
る全ての検索結果に対して行う。それが完了したら、検
索結果をグラフ表示手段9に出力することにより、ディ
スプレイ装置6に検索結果が表示される。
【0101】また、上述したレイヤー表示機能を用い
て、検索結果を問合せパターンとともにレイヤー表示す
ることも可能である。さらに、検索結果が複数個存在す
る場合は、それら全てをやはりレイヤー表示機能を用い
てレイヤー表示することが可能である。
【0102】この検索の機能は、例えば、モデル生物で
観察された遺伝子ネットワークのパターンがより高等な
生物にも存在するかどうかを確認する場合に有効であ
る。
【0103】図24には、本発明の他の実施の形態が示
されている。図24に示されている遺伝子ネットワーク
研究支援システム1Bの基本構成は図1に示した遺伝子
ネットワーク研究支援システム1の基本構成と同一であ
る。したがって、図24の各部のうち図1の各部に対応
する部分には同一の符号を付してそれらの説明を省略す
る。
【0104】遺伝子ネットワーク研究支援システム1B
は、下記の(9)〜(11)の点で遺伝子ネットワーク
研究支援システム1と異なっている。
【0105】(9)遺伝子ネットワーク研究支援システ
ム1Bにあっては、付随遺伝子情報表示手段81を設
け、これにより、グラフィカルに表示された再構成グラ
フ(遺伝子ネットワーク)の点・辺のそれぞれ対応する
要素、関係に付随する情報を遺伝子情報データベース2
から取得し、ディスプレイ装置6に表示できるように構
成されている。
【0106】図25は、模式的に、遺伝子ネットワーク
と、それを構成する要素、関係に付随する情報(A10
1、A102、A103、A104)を並べて記載した
ものである。
【0107】図24を参照して上述した付随情報表示の
ための動作について説明すると、ユーザによって入力デ
バイス11から入力された付随遺伝子情報表示コマンド
は、入力コマンド処理手段13によって付随遺伝子情報
表示コマンドであると解釈されて、付随遺伝子情報表示
手段81に出力される。付随遺伝子情報表示コマンド
は、付随情報の表示対象である要素あるいは関係の識別
子から構成される。付随遺伝子情報表示手段81は、入
力される要素あるいは関係の識別子に対応する付随情報
を遺伝子情報取得手段3から得る。得られた付随情報は
グラフ表示手段9を介して表示メモリ10に出力され、
ディスプレイ装置6で表示される。
【0108】図26には、その表示形態の一例が示され
ている。
【0109】遺伝子ネットワーク研究支援システム1B
にあっては、付随遺伝子情報表示手段81を設けたの
で、グラフィカルに表示された再構成グラフ(遺伝子ネ
ットワーク)の点・辺のそれぞれ対応する要素、関係に
付随する情報をディスプレイ装置6に表示でき、ユーザ
は必要性に応じて要素や関係の意味を理解する上で不可
欠な情報を取得できる。
【0110】(10)遺伝子ネットワーク研究支援シス
テム1Bにおいては、さらに、要素・関係に付随する情
報に応じて、それらに対応する点・辺の色、辺種、形状
等の表示形態を変えることができるようにするため、表
示形態条件指定手段82及び表示形態条件メモリ83が
設けられている。
【0111】グラフィカルに表示される再構成グラフ
は、点・辺で表される。それらの意味を理解するには、
上述の如く、それらに対応する要素・関係に付随する情
報を参照することが有効である。ここでは、付随する情
報に応じて再構成グラフを構成する点・辺の表示形態を
変更できるようにすることによって、表示された遺伝子
ネットワーク図から直観的に意味を理解できるようにす
ることを意図している。
【0112】表示形態条件指定手段82はユーザによっ
て入力デバイス11から入力された表示形態変更条件を
示す表示形態変更条件データDHを表示形態条件メモリ
83に出力し、表示形態条件メモリ83に一担格納す
る。表示形態変更条件データDHは表示形態条件メモリ
83からグラフ表示手段9に送られ、グラフ表示手段9
においては表示形態条件メモリ83から受け取った表示
形態変更条件データDHに基づいて遺伝子ネットワーク
図を作成した後、この遺伝子ネットワーク図を表示メモ
リ10に送り、これにより遺伝子ネットワーク図がディ
スプレイ装置6において表示される。
【0113】図25にはその表示例が示されている。こ
の例では、転写因子が太縁の白抜き円形、タンパク質複
合体が黒丸、それ以外のタンパク質が細縁の白抜き円
形、DNA塩基配列が模式的な画像で表されている。ま
た、タンパク質同士の結合関係が1点鎖線、タンパク質
複合体とその構成要素間の関係が破線、タンパク質がDN
A塩基配列に結合する関係が実線で表されている。
【0114】DNA塩基配列の例では、点に対応する図
形の形状の表示形態を指定するのではなく、予め用意さ
れた画像データを表示している。すなわち、ここでは、
表示プリミティブの表示形態として、画像を表示するこ
とも含めている。
【0115】表示形態条件指定手段82及び表示形態条
件メモリ83を設けることにより、要素・関係に付随す
る情報に応じて、それらに対応する点・辺の色、辺種、
形状等の表示形態を変えることができるようにし、表示
された遺伝子ネットワーク図から直観的に意味を理解で
きるようにしている。
【0116】(11)遺伝子情報データベース2を構築
するには、既存の公開データベースから必要な情報を抽
出してデータベースに蓄積する方法が現実的である。そ
の既存の公開データベースには、遺伝子(あるいはそれ
がコードしているタンパク質)に関する様々な情報が対
応付けられており、それらの情報の中には、その遺伝子
(あるいはタンパク質)に関する過去の論文(一般に複
数)の情報が記載されている場合が多い。遺伝子ネット
ワーク研究支援システム1Bにおいては、遺伝子やタン
パク質等の要素間の関係情報が信頼できるかどうかの度
合いをその関係を構成している要素(2項関係ならば2
つの要素)が参照する文献情報に基づいてその信頼度を
数値化して表示できるように構成されている。
【0117】遺伝子情報データベース2を参照して、再
構築された遺伝子ネットワークには、多様な情報源に基
づいた情報がモザイク状に埋め込まれている。これら遺
伝子ネットワークに埋め込まれた様々な情報の中のどれ
を信頼するかは個々のユーザやシステムの利用目的によ
って異なる。この信頼度を遺伝子ネットワークの表示に
即時に反映させる方式として、既に遺伝子ネットワーク
研究支援システム1Aの構成に関連して遺伝子ネットワ
ークの構成要素に付随する情報に基づいて表示色の濃度
に反映させる方法を述べた。この方式は、遺伝子情報デ
ータベース2に登録されているような既に報告されてい
る関係情報がどの程度信頼できるかを直観的に把握した
い場合には有効である。
【0118】それとは別に、既述の如く、ユーザが行っ
た実験結果(例えば、タンパク質間の相互作用の抽出実
験結果、遺伝子間の制御関係の抽出に関する実験)をシ
ステムに反映させて遺伝子ネットワークとして可視化す
る場合、それらの関係の信頼度を遺伝子情報データベー
ス2に蓄積されている情報を使って把握したい場合があ
る。既に、遺伝子情報データベース2から構築された遺
伝子ネットワークと重ね合わせることにより、実験結果
の検証を行うことについて説明した。しかしながら、も
っとシステマティックにそれらの信頼度を数値で算出す
る方法があれば、大規模なデータの検証にとって有効で
ある。
【0119】次に本実施の形態における関係情報の信頼
度の数値化方法について説明する。関係情報が2項関係
の場合について説明する。構成する要素をそれぞれA、
Bとし、以下のように定義する。 nab:要素A、Bが共通して参照している文献数 Ci :要素A、Bが共通して参照している文献(i=
1、・・・、nab) もし要素A、B間の関係が高いのであれば、そうでない
関係よりも共通して参照している文献の個数nabがより
大きくなると考えられる。ここでのコンセプトは、要素
がデータベースにおいて共通して参照する文献情報に基
づいて要素間の関係の信頼度を数値化することである。
ただし、要素間で共通して参照される文献には、多くの
文献で参照される文献が存在する。このような文献は多
くの要素が参照するため、あまり重要度が高くない。す
なわち、ある要素で特異的に参照される文献が重複して
いる場合は、それらの要素間の関係に高い関連があると
するような数値化方法が必要である。次に、文献の特異
性を考慮したスコアリングの方法について説明する。
【0120】いま、 D:データベースに登録されている全要素数 dCi:文献Ci を参照する要素の個数 とし、文献の特異性のスコアSCiを、下式(2)のよう
に定義する。 そこで、関係情報の信頼度を全ての共通して参照されて
いる文献の特異性に対するスコアSCiの和をとって下式
(3)のように定義する。 文献の特異性に対するスコアSCiはあまり参照されない
文献では極端に大きくなる場合があり、そのような場
合、関係情報の信頼度のスコアの比較に強い影響を及ぼ
す恐れがある。そこで、この影響を抑制するために、下
式(4)のように対数を取ると良い場合もある。
【0121】以上のような方法で要素がデータベースに
おいて共通して参照する文献情報に基づいて要素間の関
係の信頼度を数値化したので、例えばユーザが行った実
験結果(例えば、タンパク質間の相互作用の抽出実験結
果、遺伝子間の制御関係の抽出に関する実験)をシステ
ムに反映させて遺伝子ネットワークとして可視化する場
合、それらの関係の信頼度を遺伝子情報データベース2
に蓄積されている情報を使って把握したい場合、システ
マティックに信頼度を数値で算出することができる。
【0122】図27には本発明の第4の実施の形態が示
されている。図27に示されている遺伝子ネットワーク
研究支援システム1Cの基本構成は図1に示した遺伝子
ネットワーク研究支援システム1のそれと同一である。
したがって、図27の各部のうち図1の各部に対応する
部分には同一の符号を付してそれらの説明を省略する。
【0123】遺伝子ネットワークは環境条件の変化によ
って変化するものであり、遺伝子ネットワークの変化を
把握することは細胞内の分子機構を理解する上で極めて
重要である。遺伝子ネットワーク研究支援システム1C
は変化している各遺伝子ネットワーク図を保存し、保存
された遺伝子ネットワーク図を変化がわかるように連続
的に表示するアニメーション機能を有している点で遺伝
子ネットワーク研究支援システム1と異なっている。
【0124】上述により遺伝子情報データベースを参照
して再構成される遺伝子ネットワークは、環境条件によ
って異なるが、このような環境条件として代表的なもの
に、細胞周期がある。細胞周期とは、真核生物細胞が増
殖分裂する周期のことをいう。細胞周期には、G1期、
S期、G2期、M期がある。G1期では、細胞はまずD
NA合成の準備をする。次に、S期においてDNA合成
が行われDNA量が倍加する。その後、準備期間G2期
があり、それから、顕微鏡で観察されるような染色体の
出現、移動、細胞分裂などが起こる。この時期がM期で
ある。分裂を行った細胞はまたG1期に戻り、次のサイ
クルに入り、同じことが再度繰り返される。すなわち、
G1期→S期→G2期→M期という周期で細胞が増殖す
るわけである。細胞によっては、増殖しないものがある
が、これはG1期からS期に行かず、G0期に入って休
止してしまったものである。また、下等真核生物ではG
2期からG0期に入ることもある。
【0125】次に、上述のような環境条件の変化に伴う
遺伝子ネットワークの変化を把握するためのアニメーシ
ョン機能を遂行するための各構成について説明する。
【0126】アニメーション機能は図27に示すよう
に、アニメーション表示手段111とアニメーションデ
ータメモリ112とから成るアニメーション表示処理部
100を設けることにより実現される。
【0127】遺伝子ネットワーク研究支援システム1C
において、アニメーション表示に関する設定コマンドに
は、アニメーション編集コマンドと、アニメーション表
示コマンドがある。これら2つのコマンドは、入力デバ
イス11により入力されると入力デバイス処理手段12
を介して入力コマンド処理手段13に出力され、入力コ
マンド処理手段13で解釈されアニメーション表示手段
111に送られる。
【0128】アニメーション編集コマンドでは、表示対
象となる遺伝子ネットワークの選択およびその順序を指
定する。アニメーション表示コマンドは、アニメーショ
ン編集コマンドによって設定された順序で遺伝子ネット
ワークを順番に表示する。この結果、ユーザは入力デバ
イス11からアニメーション表示したい遺伝子ネットワ
ークを選択し順序を指定することにより、設定された順
序でディスプレイ装置6にアニメーション表示すること
ができる。
【0129】アニメーション編集コマンドについて説明
する。アニメーション編集コマンドを処理するために
は、あらかじめ表示対象となる全ての遺伝子ネットワー
クが再構成グラフデータとしてメモリ上に存在していな
ければならない。そのために、グラフ再構成手段4で遺
伝子ネットワークを複数個生成するか、あるいは、前述
したようにグラフ情報保存読取手段によって、予め保存
されているグラフ情報を読み込んでおく必要がある。
【0130】アニメーション編集コマンドは2つの要素
から構成される。1つは、対象とする遺伝子ネットワー
クを指す識別子であり、もう一つは、その遺伝子ネット
ワークを表示する順序を示す番号である。対象とする遺
伝子ネットワークの識別子は、グラフ編集手段14にお
いて対象とする遺伝子ネットワークを構成する点・辺を
選択してその連結成分IDを取得し、それからアニメー
ション表示手段111において現在選択されている遺伝
子ネットワークの識別子をグラフ編集手段14の被選択
点・辺メモリ504を介して取得することによって得る
ことが可能である。また、遺伝子ネットワークを表示す
る順序を示す番号は、アニメーション編集コマンドによ
り、再構成グラフメモリ5にあるグラフ再構成データD
Aに、アニメーション表示対象であるフラグと共に付与
される。上述の操作を繰り返すことにより、アニメーシ
ョンの表示対象となる再構成グラフを設定することがで
きる。
【0131】次に、アニメーション表示コマンドについ
て説明する。このコマンドを処理するには、再構成グラ
フメモリ5に存在するグラフ再構成データDAにおいて
アニメーション表示に関する設定が為されている必要が
ある。アニメーション表示コマンドがアニメーション表
示手段111に入力されると、アニメーション表示対象
となっているグラフ再構成データDBをレイアウトする
ようグラフ配置手段7にアニメーション表示コマンドを
出力する。
【0132】図8に基づいて説明したようなレイヤー表
示方法で、各表示順序に対応する再構成グラフ間で同じ
要素が同じ位置に表示されるようにグラフ配置手段7に
より整列させる。また、ユーザの操作によってグラフ再
構成データDAのレイアウトを編集する場合も考えられ
る。この場合は、グラフ配置手段7により整列処理を省
くことが可能である。その場合は、グラフ編集手段14
により配置グラフメモリ8に保存されているグラフ配置
データDBの点・辺の位置や向きを変更する。アニメー
ション表示手段111はこのグラフ配置データDBを全
てのアニメーション表示対象について配置グラフメモリ
8から取得し、アニメーション表示順序に対応する番号
を付してアニメーションデータメモリ112に一旦格納
する。
【0133】次に、アニメーションデータメモリ112
に一旦格納されているグラフ配置データDBをアニメー
ション表示手段111を介してグラフ表示手段9に表示
順に出力する。この処理により、グラフ表示手段9のグ
ラフ配置データDBは表示メモリ10を介してディスプ
レイ装置6に送られ、配置グラフに対応する遺伝子ネッ
トワーク図がディスプレイ装置6に表示される。
【0134】遺伝子ネットワーク研究支援システム1C
にアニメーション表示処理部100を設けたので、細胞
内の分子機構を理解する上で極めて重要である、環境条
件の変化によって変化する遺伝子ネットワークの変化を
容易に把握できる。
【0135】遺伝子ネットワーク研究支援システム1、
1A、1B、1Cは以上のように構成されており、遺伝
子などの要素の情報とそれら要素間の関係の情報を蓄積
したデータベースは予め与えられている。しかし、遺伝
子に関する情報は日々更新され、新しい情報が常に増加
している。最新の遺伝子ネットワーク研究にとって、こ
れら最新の情報にアクセスすることは不可欠なことであ
る。遺伝子に関する情報を蓄積したデータベースとして
は、GENBANK、SWISS−PROTなどがある
他、生物種を限定した詳細なデータベースや転写やスプ
ライシングなどの特定の現象に着目したデータベースが
構築、公開されている。予め決められた情報をこれらの
データベースから抽出し、抽出した情報を遺伝子情報デ
ータベース2に反映させるために、遺伝子ネットワーク
研究支援システム1が常に最新の情報を遺伝子情報デー
タベース2に反映するための情報抽出手段を有するよう
にすることもできる。このような目的を達成するための
構成として図28に示すような情報抽出手段200を付
加することもできる。
【0136】情報抽出手段200を説明すると、情報抽
出手段200は図28に詳細に示されるように、抽出対
象情報201と、遺伝子情報抽出手段202と、遺伝子
情報保存手段203とから成っている。
【0137】抽出対象情報201にはどのデータベース
のどこから情報を抽出するかを記述した抽出対象データ
が必要な抽出対象の個数分だけ格納されており、抽出対
象データは遺伝子情報抽出手段202に送られる。遺伝
子情報抽出手段202では、取得した抽出対象データを
解釈し、インターネット等のネットワークを介してロー
カルあるいは遠隔地にあるデータベースにアクセスし、
所望の情報を取得する。その後、取得した情報を遺伝子
情報保存手段203に出力する。遺伝子情報保存手段2
03は、入力された情報を遺伝子情報データベース2に
出力して反映させるので、したがって、情報抽出手段2
00を設けることにより、遺伝子情報データベース2は
常に最新の情報を有することができる。
【0138】遺伝子ネットワーク研究支援システム1は
以上のような手段を付加することができる他、遺伝子ネ
ットワーク研究支援システム1のグラフ再構成手段4に
おいてシステマティックに再構成された遺伝子ネットワ
ークに対して、ユーザが持っている実験結果や仮説をシ
ステムの編集機能を使って遺伝子ネットワークに反映さ
せるようにすることもできる。この機構により、ユーザ
が持っている仮説(例えば、なんらかの要素間の関係)
を追加して再構成された遺伝子ネットワークと、遺伝子
情報データベース2のみからシステマティックに再構成
された遺伝子ネットワークとがどのように異なっている
かが確認できるようになる。遺伝子ネットワーク研究支
援システム1が備えている遺伝子情報データベース2に
は、過去に報告された情報、すなわち既知の情報が蓄積
されており、この機構を使用することにより、ユーザが
持っている仮説と既知の情報を遺伝子ネットワークとい
う要素レベルよりも広い視点で比較することができるよ
うになる。このような目的を達成するための構成として
図29に示すような遺伝子情報追加機構300を付加す
ることもできる。
【0139】遺伝子情報追加機構300を説明すると、
遺伝子情報追加機構300は、遺伝子情報追加手段30
1と、追加遺伝子情報メモリ302とから成っている。
【0140】ユーザにより追加される1件以上の遺伝子
情報から構成される遺伝子情報コマンドは、ユーザによ
り入力デバイス11から入力され、入力デバイス処理手
段12を介して入力コマンド処理手段13に送られ、入
力コマンド処理手段13において解釈された後、遺伝子
情報追加手段301に出力される。遺伝子情報追加手段
301は、入力された遺伝子情報から成る遺伝子情報追
加コマンドを追加遺伝子情報メモリ302に出力すると
共に、遺伝子情報データベース2と追加遺伝子情報メモ
リ302の両情報源を参照してグラフを再構成するため
の命令をグラフ再構成手段4に対して出力する。グラフ
再構成手段4ではこの命令により遺伝子情報取得手段3
を介して遺伝子情報データベース2と追加遺伝子情報メ
モリ302との2つの情報源を参照してグラフを再構成
する。以後のグラフィカル表示のための処理は、図1に
示した遺伝子ネットワーク研究支援システム1と同様で
ある。
【0141】したがって、ディスプレイ装置6にグラフ
ィカル表示された遺伝子ネットワークには遺伝子情報デ
ータベース2と遺伝子情報追加機構300とによりユー
ザが追加した遺伝子情報に由来する情報が含まれてい
る。すなわち、これら2つの情報源に由来する関係情報
が併記されることとなる。
【0142】上述の如く遺伝子情報追加機構300を付
加したので例えば以下のような効果を期待することがで
きる。
【0143】まず最初に遺伝子情報データベース2に基
づいた遺伝子ネットワークを再構成する。このとき再構
成の条件・制約を指定しても良い。次に、再構成された
遺伝子ネットワークに対して、ユーザが新たな関係情報
を追加し、同じ条件・制約で遺伝子ネットワークを再構
成することができる。この結果、着目しているネットワ
ークに違いがあれば、その仮説の意味を理解する上で役
に立つ。このような機能は、グラフ再構成の条件・制約
が複雑(条件・制約の個数が多いなど)な場合などの理
由により、再構成されるネットワークの予測が困難であ
る場合に特に有効である。
【0144】上記と同様に、ユーザが追加した関係情報
と遺伝子情報データベース2に基づき、遺伝子ネットワ
ークを再構成し、この処理によって得られた遺伝子ネッ
トワークの中に遺伝子情報データベース2に由来する関
係とユーザによって追加された関係情報が含まれている
場合、両者の違いを表示される色や形を異ならせること
により表示形態に反映させるようにしたので、ある関係
が、遺伝子情報データベース2だけか、あるいはユーザ
によって追加された関係情報だけなのか、それとも両方
の情報源に共通して存在するものなのかを容易に把握す
ることができる。
【0145】
【発明の効果】本発明による効果は以下の通りである。 (1)要素情報及び関係情報を蓄積したデータベースを
構築しておき、ユーザの要求に応じて動的にそのデータ
ベースを参照して遺伝子ネットワークを再構成して、ユ
ーザがそれをグラフィカルな画像として確認したり、イ
ンタラクティブに編集できるようにしたので、データベ
ースに蓄積された遺伝子に関する多種、多様、大量な実
験データ、及び厖大な情報解析結果から遺伝子ネットワ
ークを構築するのを支援することができる。 (2)本発明によるシステムに特定の連結成分だけを指
定するための手段を設けたので、所望の連結成分を選択
して表示するようにすることができる。 (3)グラフ再構成手段に対して特定の連結成分だけを
抽出するための条件・制約を指定することができる手段
を設けたので、厖大な個数の連結成分から所望の連結成
分だけをユーザが選択することができる。 (4)要素間関係推論手段を含むように構成したので、
グラフィカル表示された複雑な遺伝子ネットワークを単
純化することができ、ユーザが複雑な遺伝子ネットワー
クを容易に理解できるようになる。 (5)要素間関係推論手段の結果が表示されている場合
に、要素間関係に対応するエッジを指定したり、指定さ
れたエッジに対応する要素間関係に介在する関係情報に
対応するエッジを表示したりするためのステップを設け
たので、表示されている結果の推論のプロセスを視覚的
に理解することができる。 (6)既存の文献あるいはデータベースから情報を抽出
する情報抽出手段を設けたので、本発明によるデータベ
ースに常に最新の情報を蓄積することができる。 (7)レイヤー表示手段を設けたので、複数のグラフを
重ね合わせて表示することができ、それぞれのグラフの
要素間の類似性や関連性などを容易に把握することがで
きる。 (8)レイヤー表示機構において、複数レイヤー間で重
複する又は重複しないノード、エッジを強調表示するよ
うにしたので、遺伝子ネットワークが複雑な場合におい
ても、複数レイヤー間のグラフの類似性及び相違部分を
容易に把握することができる。 (9)ユーザから問合せパターンであるグラフとそれに
関する付随情報についての条件とを入力するステップ
と、そのグラフに同型なグラフを有する再構成グラフを
検索するステップと、検索結果に対して付随情報につい
て照合を行うステップとを設けたので、類似するパター
ンを有するグラフを検索することができる。 (10)本発明のデータベースに蓄積された要素情報お
よび関係情報に付随する情報に応じて、それらに対応す
るノード、エッジの色の濃度を変更するようにしたの
で、ユーザの信頼性の判定基準を反映した遺伝子ネット
ワークの表示を行うことができる。 (11)付随する情報に応じて、ノード、エッジに対応
する表示プリミティブの視覚的特徴を変更する手段を設
けたので、表示された遺伝子ネットワーク図から直観的
にノード、エッジに付随する情報を理解することができ
る。 (12)データベースに各要素に付随する情報を予め付
随遺伝子情報として蓄積しておくと共に、ノードあるい
はエッジを指定する手段を設けたので、指定されたノー
ドあるいはエッジに対応する要素の付随遺伝子情報をデ
ータベースから取得し、取得された付随遺伝子情報を表
示することができ、要素や関係の意味を容易に理解する
ことができる。 (13)関係情報を追加、削除する手段を設けたので、
ユーザが持っている仮説を追加して再構成された遺伝子
ネットワークと、本発明によるシステムのデータベース
のみから再構成された遺伝子ネットワークとがどのよう
に異なっているかを確認することができる。 (14)複数の遺伝子ネットワーク図を保存し、それを
連続的に表示する機構を設けたので、例えば環境条件の
変化に伴う遺伝子ネットワークの変化を容易に把握する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による遺伝子ネットワーク研究支援シス
テムの実施の形態の一例を示すシステム構成図。
【図2】遺伝子データベース内に蓄積されている要素情
報と関係情報との一例を示す模式図。
【図3】グラフ再構成手段によって実施されるグラフ再
構成を説明するための図。
【図4】再構成されたグラフデータが遺伝子ネットワー
クとしてディスプレイ装置にグラフィカル表示される一
例を示す図。
【図5】再構成グラフメモリに格納されているグラフデ
ータを説明するための図。
【図6】配置グラフメモリに格納されているグラフ配置
データを説明するための図。
【図7】本発明による遺伝子ネットワーク研究支援シス
テムのグラフ編集手段の実施の形態の一例を示すシステ
ム構成図。
【図8】本発明の第2の実施の形態を示すシステム構成
図。
【図9】図8に示した連結成分選択部の詳細構成図。
【図10】連結成分選択部により抽出された連結成分が
ディスプレイ装置に表示されるリストの一例を示す図。
【図11】連結成分選択部において実施される連結成分
選択の概念を説明するための説明図。
【図12】本発明の第2の実施の形態に設けられる条件
・制約指定部の詳細構成図。
【図13】演繹推論部の演繹推論の実施による遺伝子ネ
ットワークの単純化と新たな関係の生成との一例を説明
するための説明図。
【図14】演繹推論部の類似関係の考慮による遺伝子ネ
ットワークの単純化と新たな関係の生成との一例を説明
するための説明図。
【図15】図8に示した演繹推論部の詳細構成図。
【図16】演繹推論部の演繹推論の繰り返し実施による
遺伝子ネットワークの単純化と新たな関係の生成との一
例を説明するための説明図。
【図17】演繹推論部による多段推論結果の表示の一例
を示す図。
【図18】表示形態変更部により遺伝子ネットワークの
点・辺の濃度の変更を説明するための説明図。
【図19】図8のシステムに設けられる表示形態変更部
の詳細構成図。
【図20】レイヤー表示部により遺伝子ネットワーク図
をレイヤー表示する実施の形態の一例を説明するための
説明図。
【図21】レイヤー間の共通部分と差分を強調表示の一
例を説明するための説明図。
【図22】遺伝子ネットワークの類似パターンを説明す
るための説明図。
【図23】図8に示した検索部の詳細構成図。
【図24】本発明の第3の実施の形態を示すシステム構
成図。
【図25】図24に示した付随遺伝子情報表示手段によ
り表示される再構成グラフの付随遺伝子情報の一例を説
明するための模式図。
【図26】付随遺伝子情報表示手段によりグラフィカル
表示された再構成グラフの付随遺伝子情報の表示の一例
を示す図。
【図27】本発明の第4の実施の形態を示すシステム構
成図。
【図28】図27に示すシステムに設けられる情報抽出
手段の詳細構成図。
【図29】図27に示すシステムに設けられる遺伝子情
報追加機構の詳細構成図。
【符号の説明】
1 遺伝子ネットワーク研究支援システム 2 遺伝子情報データベース 3 遺伝子情報取得手段 4 グラフ再構成手段 5 再構成グラフメモリ 6 ディスプレイ装置 7 グラフ配置手段 8 配置グラフメモリ 9 グラフ表示手段 10 表示メモリ 11 入力デバイス 12 入力デバイス処理手段 13 入力コマンド処理手段 14 グラフ編集手段 15 付随遺伝子情報表示手段 20 連結成分選択部 21 再構成グラフ選択指定手段 22 選択再構成グラフメモリ 30 条件・制約指定部 31 再構成条件指定手段 32 再構成条件メモリ 40 演繹推論部 41 推論規則データベース 42 推論規則選択手段 43 推論規則メモリ 44 推論手段 45 推論結果メモリ 50 表示形態変更部 51 表示形態条件指定手段 52 表示形態条件メモリ 60 レイヤー表示部 61 グラフ情報保存読取手段 62 グラフ情報 63 レイヤー表示手段 70 検索部 71 同型グラフ検索手段 72 問合せパターンメモリ 73 検索結果メモリ 81 付随遺伝子情報表示手段 82 表示形態条件指定手段 83 表示形態条件メモリ 100 アニメーション表示処理部 111 アニメーション表示手段 112 アニメーションデータメモリ 200 情報抽出手段 201 抽出対象情報 202 遺伝子情報抽出手段 203 遺伝子情報保存手段 300 遺伝子情報追加機構 301 遺伝子情報追加手段 302 追加遺伝子情報メモリ 500 コマンド処理選択手段 501 2次元位置算出部 502 2次元位置メモリ 503 点・辺配置情報取得手段 504 被選択点・辺メモリ 511 点・辺選択コマンド処理部 512 点・辺移動コマンド処理部 513 点・辺削除コマンド処理部 514 点・辺追加コマンド処理部 515 付随遺伝子情報編集コマンド処理部 516 点・辺配置情報更新手段 517 再構成グラフ更新手段 A 外部記憶装置A B キーボード C 中央演算処理装置 D 表示装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 深川 浩志 東京都江東区新砂一丁目3番3号 インテ ック・ウェブ・アンド・ゲノム・インフォ マティクス株式会社内 (72)発明者 柴垣 ゆかり 富山県富山市下新町3番23号 インテッ ク・ウェブ・アンド・ゲノム・インフォマ ティクス株式会社内 (72)発明者 島野 英明 富山県富山市下新町3番23号 インテッ ク・ウェブ・アンド・ゲノム・インフォマ ティクス株式会社内 (72)発明者 高木 利久 東京都江東区越中島1−3−16−609 (72)発明者 伊藤 隆司 石川県金沢市平和町3−20−10 平和宿舎 (C)54−31 Fターム(参考) 4B024 AA19 AA20 CA01 CA11 HA20 4B029 AA23 BB20 5B075 ND02 PQ02 PQ14 PQ22 UU19

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コンピュータを用い遺伝子に関する情報
    を統合して遺伝子ネットワークとして視覚的に表示する
    ことにより遺伝子研究を支援するシステムであって、 遺伝子、RNA、タンパク質、タンパク質複合体、低分
    子、環境条件、細胞周期、細胞タイプ、表現型などの要
    素情報と要素間の結合や制御などの関係情報とを蓄積し
    たデータベースと、 データベースに蓄積される要素情報をノード、関係情報
    をエッジとして表現される連結成分を生成するグラフ再
    構成手段と、 前記連結成分をグラフィカル表示する表示手段と、 前記表示手段によって表示されているグラフのトポロジ
    ーを変更するグラフ編集手段とを備えたことを特徴とす
    る遺伝子ネットワーク研究支援システム。
  2. 【請求項2】 前記グラフ再構成手段によって生成され
    た複数の連結成分から特定の連結成分だけを選択的に表
    示できるようにした請求項1記載の遺伝子ネットワーク
    研究支援システム。
  3. 【請求項3】 前記グラフ再構成手段に対して、連結成
    分を生成する過程で関係同士を結び付けるか否かの条件
    ・制約を指定することができるようにした請求項1記載
    の遺伝子ネットワーク研究支援システム。
  4. 【請求項4】 既存の文献あるいはデータベースから情
    報を抽出する情報抽出手段と、該情報抽出手段によって
    得られた情報を前記データベースに蓄積する情報保存手
    段とをさらに含む請求項1記載の遺伝子ネットワーク研
    究支援システム。
  5. 【請求項5】 遺伝子情報を統合してグラフとして視覚
    的に表示する遺伝子ネットワーク研究支援方法であっ
    て、 (a)関係情報を追加・削除するユーザ入力を受け取る
    ステップと、 (b)追加・削除された関係情報を加味してグラフを再
    構成するステップと、 (c)再構成されたグラフを視覚的に表示するステップ
    とを備えたことを特徴とする遺伝子ネットワーク研究支
    援方法。
  6. 【請求項6】 前記ステップ(a)から(c)が複数回
    反復される請求項5記載の遺伝子ネットワーク研究支援
    方法。
  7. 【請求項7】 遺伝子情報を統合してグラフとして視覚
    的に表示する遺伝子ネットワーク研究支援方法であっ
    て、 (a)ノードあるいはエッジを指定するためのユーザ入
    力を受け取るステップと、 (b)指定されたノードあるいはエッジに対応する要素
    に付随する情報を前記データベースから取得するステッ
    プと、 (c)取得された付随情報を前記グラフに関連させて表
    示するステップとを備えたことを特徴とする遺伝子ネッ
    トワーク研究支援方法。
  8. 【請求項8】 前記付随情報が、タンパク質局在性、発
    現プロファイル、タンパク質機能、タンパク質機能ドメ
    イン情報を有している請求項7記載の遺伝子ネットワー
    ク研究支援方法。
  9. 【請求項9】 付随する情報に応じて、点・辺に対応す
    る表示プリミティブの視覚的特徴を変更する手段を備え
    た請求項1記載の遺伝子ネットワーク研究支援システ
    ム。
  10. 【請求項10】 演繹推論により、要素間の関係に介在
    する要素、関係を取り除く要素間関係推論を行う演繹推
    論部を備えた請求項1記載の遺伝子ネットワーク研究支
    援システム。
  11. 【請求項11】 前記要素間関係推論の結果が表示され
    ている場合に、要素間関係に対応するエッジを指定する
    ことにより、指定されたエッジに対応する要素間関係に
    介在する関係情報に対応するエッジを表示するようにし
    た請求項10記載の遺伝子ネットワーク研究支援システ
    ム。
  12. 【請求項12】 前記データベースに蓄積された要素情
    報および関係情報に付随する情報に応じて、それらに対
    応する点、辺の色の濃度を変更するようにした請求項9
    記載の遺伝子ネットワーク研究支援システム。
  13. 【請求項13】 複数のグラフを重ね合わせてレイヤー
    表示するレイヤー表示手段を備えた請求項1記載の遺伝
    子ネットワーク研究支援システム。
  14. 【請求項14】 前記レイヤー表示手段によって表示さ
    れる、複数のレイヤー間で重複する又は重複しない点・
    辺を強調表示するようにした請求項13記載の遺伝子ネ
    ットワーク研究支援方法。
  15. 【請求項15】 遺伝子、タンパク質が出現する文献情
    報を取得するステップと、関係を構成する遺伝子、タン
    パク質間で重複する文献情報を求めるステップと、得ら
    れた結果を表示するステップとを備えたことを特徴とす
    る遺伝子ネットワーク研究支援方法。
  16. 【請求項16】 複数の遺伝子ネットワーク図を保存
    し、それを連続的に表示するようにした請求項1記載の
    遺伝子ネットワーク研究支援システム。
  17. 【請求項17】 ユーザからの問合せパターンであるグ
    ラフ及び該グラフに関する付随情報とを入力する手段
    と、前記グラフと同型なグラフを前記グラフ再構成手段
    によって生成されたグラフ中から検索するための検索手
    段と、該検索手段による検索結果に対して付随情報につ
    いての照合を行う照合手段とをさらに備えた請求項1記
    載の遺伝子ネットワーク研究支援システム。
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